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1956-05-08 第24回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月八日(火曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————   委員の異動 四月二十五日委員木島虎藏君及び西郷 吉之助辞任につき、その補欠として 安井謙君及び石村幸作君を議長におい て指名した。 四月二十六日委員三浦義男辞任につ き、その補欠として西岡ハル君を議長 において指名した。 四月二十七日委員西岡ハル辞任につ き、その補欠として剱木亨弘君を議長 において指名した。 五月一日委員剱木亨弘辞任につき、 その補欠として木村守江君を議長にお いて指名した。 五月四日委員有馬英二辞任につき、 その補欠として石川榮一君を議長にお いて指名した。 五月七日委員石川榮一辞任につき、 その補欠として有馬英二君を議長にお いて指名した。 本日委員松政二君、安井謙君及び山 縣勝見君辞任につき、その補欠として 川村松助君、鶴見祐輔君及び石坂豊一 君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            岡田 信次君            片岡 文重君            早川 愼一君    委員            有馬 英二君            石坂 豊一君            石村 幸作君            川村 松助君            仁田 竹一君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            小酒井義男君            大和 与一君            高良 とみ君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    建設省計画局区    画整理課長   五十嵐醇三君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道施    設局長     佐藤 輝雄君    日本国有鉄道管    財部長     今井 四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査の件  (日本国有鉄道職員家族パスに関す  る件)     —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開きます。  まず、委員変更について御報告申し上げます。四月二十五日木島虎藏辞任安井謙補欠西郷吉之助辞任石村幸作補欠、四月二十六日三浦義男辞任西岡ハル補欠、四月二十七日西岡ハル辞任剱木亨弘補欠、五月一日剱木亨弘辞任木村守江補欠、五月四日有馬英二辞任石川榮一補欠、五月七日石川榮一辞任有馬英二補欠、五月八日一松政二辞任川村松助補欠選任せられました。     —————————————
  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、理事補欠互選についてお諮りいたします。  委員変更に伴って理事が欠員となっておりますが、その互選は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。よって、私より岡田信次君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案に対し質疑のおありの方は、御発言を願います。
  6. 片岡文重

    片岡文重君 どなたがおいでになっておられるのですか、大へん失礼ですけれども……。
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 鉄監局長、それから副総裁その他参っております。
  8. 片岡文重

    片岡文重君 それじゃ、副総裁にお尋ねしたいと思いますが、国鉄法改正につきましては、すでに同僚委員諸君から一応質疑がなされて、大体尽きておると思うのですけれども、この改正の動議は、先般の国鉄経営調査会答申に基いて、大体それに準拠してなされたものと思うのですけれども国鉄の現在の立場、それから経営現状等から考えますと、国鉄法改正は、今回行われようとする改正案よりももっと根本的に改正が行われるべきでなかったか。特に考えられまするのは、国鉄がすでに、かつての独立企業の時代から、熾烈な競争相手を持つ機関に変りつつあるし、場合によってはそれら競争機関から相当激しい侵食を受けつつあると思われまするので、国家的な見地からいっても、また資材の重複投資等を避けるためにも、その他いろいろな面からいって、もっと国鉄あり方を根本的に検討し直すべき時期に来ていると思いますので、そういう立場から、この国鉄法については、国鉄あり方、それから経営進め方等について、根本的に改正を行うべきである、こう思うのですけれども、今回出されておる法案はそういう根本的な問題には触れないで、もちろん決定機関変更ですから根本的でないとは言えませんけれども、もっともう一歩先の問題を検討して、多少時間がかかっても、この際、せっかく経常調査会等においても真剣な調査をしていただいたことでもありますから、それらの意見等も十分にしんしゃくされて、根本的な改正をすべきであったと思うのですけれども、それにもかかわらず、こうしたこそく的な改正を急がれたという理由はどういうところにおありでしょうか。
  9. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答え申し上げます。ただいま御指摘通りに、国鉄につきましては、種々の角度から見直して、その再建をはからねばならぬ時期に至っておると存じます。御意見通りに、国鉄はかつては独占企業でございましたが、ただいまはいろいろな交通機関、なかんずくバストラック等競争が激烈でございまして、ことに近距離の旅客貨物等について見ますると、国鉄輸送量は伸びてはおりまするが、それ以上にトラックバス等伸び方が著しい。従いまして、非常に激しい競争を受けておるということは、仰せ通りでございます。単にバストラックのみではございませんで、最近は航空機の発達ということによりまして、これも長距離優等旅客相当飛行機に取られておるという数字も出ておるのでございます。しかし広く交通という観点から見ますれば、これは日本交通調整の問題でございまして、国鉄ばかりでなく、広くいろいろな交通機関をあわせて、国家的に調整していただかなければならぬ問題だと、かように考えます。  で、これにつきましては、企画庁で交通審議会も設けられておるようでございまするし、その他の研究調査機関もございまして、日本の全体の交通をいかにすべきかということは、識者の間で広く取り上げられておるようでございます。ただ国鉄といたしましては、自分の所だけでできることは、その御調査を待つまでもなく、自分の方で、国鉄自身で改善して参りたいと、かように考えまして、目下国鉄の六カ年計画その他の計画をこしらえております。ただ、そのほかにも国鉄としましてはいろいろな問題はございまして、これはぜひある時期には法案の御審議も願わなければならぬかと存じまするが、そういう方面につきましては、まだ全部の調査が完結いたしておらないのでございます。  しかしながら、一方におきまして、経営調査会の御答申もございますし、何はさておき、企業体といたしましては最高意思決定機関確立ということが一番必要なことでございまして、いわばトップ・マネージメントの構成確立ということが最も重大な根本的なものでございますので、とりあえず国鉄としても意思決定機関並びにその運用ということを確立していただきたい、こういう懸案のもとに、この法案の御提出、また御審議を願った次第でございます。
  10. 片岡文重

    片岡文重君 ただいまのお話によりますと、他の問題についても早晩改正がなされるようなお含みがあってのお話と伺われるのですけれども、一応そういうふうに理解しておいてよろしいですか。
  11. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 仰せ通りでございまして、国鉄といたしましては、ほかのいろいろな点につきまして法律事項に関する問題がございます。たとえば財産の問題にいたしましてもそうでございますが、これはいろいろ調査もいたしまして、政府、特に監督官庁である運輸省にもお願い申し上げまして、いずれ御準備を願う機会があるかと存じております。
  12. 片岡文重

    片岡文重君 そうすると、まだいつごろどういうところから手をつけていくということではないようでありますが、大体そういう程度ですか。
  13. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) さようでございます。
  14. 片岡文重

    片岡文重君 今回この改正案提出されたのは、とりあえずこの執行機関構成について、また決議機関構成について、経営調査会答申の意向を汲んでなされた、それは現在の国鉄経営状態を幾分でも円滑にし得るためだ、こういうふうに私は理解しておったのですが、この経営を円滑にするために、とりあえずここだけを手をつけたということであって、当然引き続き根本的な問題に検討のメスが加えられなければならないはずだと思うのですが、それについて今の御答弁によりますと、まだそこまでは着手しておらないような感じを受けるのですが、当然並行してといいますか、同時に根本的な改正に手をつけて進んでおられて、その一端としてとりあえず今回の改正がなされたのだと、こういうふうに私は理解しておったのですが、そうではなくて、この部分だけとりあえず取り上げて、他の問題についてはまだ着手しておらない、こういうことなんですか。
  15. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。御承知通りに、日本国有鉄道公共企業体として発足いたしましてから六年余りたっておりまして、この間に管理組織変更、制度的な若干の改正を幾たびか行いましたが、膨大な組織でもございまするので、過去いろいろと御批判を受けまして、政府といたしましても、この日本国有鉄道を国民のために一そう能率的に運営し、もって公共の福祉に資するように種々検討を続けておったわけであります。一昨年内閣臨時公共企業体合理化審議会、昨年運輸省日本国有鉄道経営調査会というものができまして、これらの答申をもしんしゃくいたし、さらにこの国会におきまするいろいろな御審議、御決議の趣旨も十分尊重いたしまして、今回日本国有鉄道法としてはこれを根本的に改正する法律案提出いたしたわけでありまして、この内容といたしまするところは、第一点が、理事会の設置、これは経営委員会を廃止して理事会を置く。第二は、新たに監査委員会を設ける。第三といたしましては、役員に関する規定を刷新し、より合理的にいたしまして、さらに大きな改正は、第四といたしまして、財産管理に関する規定改正をいたしております。また改正の第五は、いわゆる政府国鉄に対する監督、この点についての交通政策公共利益擁護見地からの監督権の強化というようなこと。それから改正の第六が、役員についての恩給法その他の準用適用関係、こういう改正要点になっておりまするので、日本国有鉄道法としては、各面にわたる根本的な法規改正でございます。  今いろいろ御指摘の点も、だんだんごもっともでございまして、これらの問題はあるいはこの日本国有鉄道法において解決すべき問題でなく、他の法律また他の交通政策において解決すべき問題でございまするので、日本国有鉄道法としては、これが一部であって、同特にもしくは引き続いて改正を要すべき点がある、そのいわば先がけ、先駆であるという改正ではないように私どもは理解しておるのでありまして、御指摘の点はそれぞれ別の問題として、政府といたしましても、目下鋭意検討いたしておる次第でございます。
  16. 片岡文重

    片岡文重君 今回の案が一時的といいますか、一部ではなしに、国鉄法の根本問題について改正をしたのだ、こういう御答弁のようですが、そうすると、この国鉄法改正はこれをもって当分行わない、こういうことですか。
  17. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は過日も、たとえば財産管理規定でも申し上げましたが、たとえば財産管理規定においては、国有財産法等関連で、国有財産法検討が並行的に行われておりまするので、これらとあわせましては、なお一部改正を要する点が引き続いて生ずるかと存じまするが、少くともただいま申し上げました改正の、理事会であるとか、監査委員会であるとか、役員に関する規定でございまするとか等々につきましては、これはそう簡単にすぐいじってしまうというような考え方で検討いたしたものではございませんので、根本的な検討によった改正と心得ておる次第でございます。
  18. 片岡文重

    片岡文重君 今出されてあるこの改正をすぐに変えるという意思は、それはもちろんないでしょう。私のお尋ねしているのは、そうではなくて、国鉄法全般を通じて私はもっと一貫した脈絡のある改正を抜本的にすべきではなかったか。しかるにこの改正については、あなた今御指摘になったような経営委員会をやめて理事会にしたとか、こういう調査会答申に基いた一部の改正はなされました。しかも、改正をした以上、これをすぐに変えるという意思はもちろんないでしょう。それを尋ねているのではないが、そのほかに、たとえば運賃に関する問題であるとか、あるいは財産処理に関する問題であるとか、公労法との関係等、いろいろ関連したものがあるわけです。そういう問題については、すぐには改正をする意思はないのか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  19. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答えいたします。ただいま御指摘になりました運賃の問題につきましては、これはすでに御承知通りに、日本国有鉄道法の問題ではございません。日本国有鉄道運賃法関係する問題でありますので、これは別個の問題でございまするので、その研究はいたしております。それから公労法の問題も、これは公労法としての問題でございまして、今回、御案内のように、今国会公労法の一部改正を御審議願いまして、なお合理的な弾力性を持たせる点の改正案を御提案しておるのでありまして、これらはいずれも日本国有鉄道の問題ではございません。日本国有鉄道法としては、ただいま申し上げました改正要点に沿って、一貫的に改正をいたした次第でございます。
  20. 片岡文重

    片岡文重君 運賃法とかあるいは財政法公労法等改正されるということについては、今研究しておられるということは聞いておりますが、それらに関連する問題も国鉄法の中にあるはずだと思うのですが、全然ありませんですか。
  21. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 公労法関係の問題、運賃法関係の問題で、関連をいたす点はないと存じます。
  22. 片岡文重

    片岡文重君 あとで、これは討論の場合に申し上げます。  それから給与総額制度を廃止して、仲裁裁定あるいは調停案受け入れ態勢を整のえるという御意思はありませんか。
  23. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 予算形式のうちで特に給与総額の問題でございますが、現行予算形式はすでに、御承知通りに、一般会計とは異なりまして、きわめて弾力性を持った予算を編成しておりますので、国鉄経営には何ら支障がないと、政府としては考えております。給与総額に関しましては、今直ちにこの給与総額制度をやめるということは考えておりませんので、現在の給与総額のワク内において、その運用よろしきを得てもらいたいと考えております。なお仲裁裁定関係は、先ほど申し上げました今回の公労法改正によりまして、現行法よりは弾力性を持ち得ますので、十分これでやっていけると存じておる次第でございます。
  24. 片岡文重

    片岡文重君 ちょっと、ここで委員長にお尋ねするのですが、きょうは大臣の御出席はないのですか。
  25. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 大臣はただいま内閣委員会に入っております。今連絡をいたしておりますが、その方の都合がつき次第、出席いたす予定であります。
  26. 片岡文重

    片岡文重君 それでは、続いて鉄監局長にお尋ねしますが、経営調査会答申によりますと、国内における一般交通政策確立といいますか、そういう点で、総合的に交通政策検討して、国鉄が受け持つべき役割を明確にすべきである、こういう意味のことを答申しておったと思うのですが、これについて運輸省としては、何か具体的に検討もしくは立案をされておられるのですか。
  27. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) この国内交通鉄道自動車航空機、内航船というような関係につきまする一般交通政策樹立に関しましては、これは当然運輸省といたしまして全力をあげて努力研究をいたしておる点でございまして、その具体的な関係といたしましては、今日までのところ、省内交通政策連絡協議会を設けまして、この中に三つの部会を設けまして、鋭意資料の収集及び研究政策立案に当っておる次第でございます。なお、政府といたしましては、内閣交通審議会を設けまして、こういう交通政策基本事項、特に道路鉄道とのその両者交通網の配列につきまする検討を今行なっておる次第でございまするが、いずれもきわめて重要であり、しかも喫堅な問題でございまするので、なお今後とも運輸省をあげてこの方に鋭意努力をいたしたい、具体的にはさような措置を講じておる次第でございます。
  28. 片岡文重

    片岡文重君 昨年でしたか一昨年でしたかの本会議でも、私、この交通政策樹立については、時の政府にお尋ねしたことがあるのですが、そのときも、たしか今あなたおっしゃったような程度の御答弁であったと思うのですけれども、一体その審議会というものはいつごろ発足して、どういう構成で、大体どの程度の会合を持って検討しておられるのですか。
  29. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。内閣に設けられました交通審議会は、この五月の終りには終了をいたしまして、今日までにすでに六、七回会合いたしております。そのほかにいろいろ幹事会をやっておりまして、相当膨大な資料提出いたしておりまして、これは近く答申が出る予定になっております。  それから前申し上げました省内に設けましたいろいろな、これは私どものまあ運輸省の内部のいろいろな研究並びに政策立案の機構でございますが、これはすでにもうここ相当やっておりまして、これは定例的にやっております。  なお、それらのさっき申し上げました三部会のうち、一つ都市交通部会につきましては、御案内のように、都市交通審議会もできまして、これはすでに十二、三回やっておりまして、あらゆる都市交通問題点につきまして相当進行いたしております。これは島田孝一氏が会長でございますが、いろいろ基本前提条件から人口問題、あるいは交通量の問題、これの交通網の問題、さらに経営主体の問題、あるいは運賃の問題、いろいろ法令関係問題等々、具体的に相当進行いたしておる次第でございます。  それからなお、その部会鉄道自動車調整部会では、いろいろ道路輸送鉄道輸送との原価計算、あるいはいろいろ基本的なデータを集めております。また内航関係陸上交通関係等部会も、今いろいろ資料を収集してやっております。こういったことから、一般交通政策から当然出て参りまする具体的ないろいろな問題、たとえば港湾の問題、そのうちの港湾専用船の問題、あるいは今申し上げましたような自動車の、いろいろなトラック実情調査問題等もすでに相当成果を上げておる次第でございます。
  30. 片岡文重

    片岡文重君 すでに港湾等について具体的に相当成果を上げておるというお話ですが、たとえばレールバスとの競合の問題、それから長距離輸送におけるレール航空機との競合解消の問題、そういう点について具体的にその審議会から出された答申が実現する、あるいは実施されるという見通し、これは一体いつごろになるのですか。
  31. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。交通審議会は、ただいま申し上げましたように、おそらく五月の末に御答申が出るのではないかと心得ておりますので、その御答申の線に沿いまして、各省においてするべきことをするということに相なると思います。  それから都市交通審議会につきましては、これは今申し上げました経過を持っておりますので、まだ答申のお見通しは今のところついておらぬようでありますが、私ども予定いたし、また希望いたしておりまするのは、最終答申は別といたしましても何らかの中間答申はそう遠からない期間に出るのではないか。そういたしますれば、その線に沿って、いろいろ策案実行いたしたいと存じております。  それから部内の今申しました交通政策連絡協議会におきまするいろいろな関係は、個々具体的な問題でいたしております。たとえば今先生御指摘の、特に自動車鉄道とのいろいろ具体的に競合いたします問題、これは具体的な免許に当りましては、部内で打ち合せる。また運賃の認可に当りましても、再考協議をする。あるいはその運行回数その他運営形態につきましては、現地陸運局その他を通じまして、これの調整現実にいろいろな面でやっておる。個々具体的な姿で一つ一つ解決部内的にはいたしておる、こういうことに相なっております。
  32. 片岡文重

    片岡文重君 具体的には、大体たとえば三年計画、五年計画、あるいは十カ年計画等でいつから着手して、大体いつごろにはどうなるのだということを、端的に私ども説明してほしいけれども、今の御説明ですと、そういうことまではまだ行っておらないと思うのですが、そこまで行っておるのですか。
  33. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今御指摘年次計画につきましては、陸上交通に関しましても、御案内の、過般政府で作りました経済総合五カ年計画におきまして、すでに内容は十分御承知だと思いまするが、そのうちの陸上部門におきまして、鉄道自動車航空機、内航等につきまして、それぞれ運輸年次五カ年計画として樹立をいたしております。ただ初年度の第一年度につきましては、交通関係につきましては、財政及びいろいろな資金裏づけ配付までは行なっておりません。そういう資金面裏づけにおいて若干欠けるところがございますので、われわれはその年次計画資金裏づけ努力をいたしておる次第でございます。
  34. 片岡文重

    片岡文重君 私がお尋ねしたいのは、その資金面等も十分に織り込まれて、すぐに、もしくは現実実行しておるもの、もしくはこれから直ちに実際に着手すべきものをお伺いしたいのであって、先般出されたあの机上プランでは、何にもならないと私は思う。どんないい計画でも、その資金面が確約されて、資材等十分に着手できる状態に置かれた計画でなければ、計画としての意味は私はないのじゃないか。今要請されておるのは、そういう実現性のあるものが要請されておるのであって、単なる計画だけではないと思う。その実現性のあるものを具体的に御説明願えるのですか。
  35. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は、今申し上げました通りに、今私どもが立てました経済五カ年計画は、三十一年度については、すでに御承知通り予算化されて、その範囲においての実行のめどが立っておるのでありますが、三十二年度以降の五カ年計画に対しまする資金裏づけその他は、まだ決定をいたしておりません。それを計画的に、今申し上げましたように、私どもとしては、より実行性のあるものにいたしたいと思って、努力をしておる次第でございます。
  36. 片岡文重

    片岡文重君 資金裏づけがなければ、結局どんな計画でも実施できないのですから、努力をされることは当然でありましょうけれども、すでに三十一年度は当然、そうすると、調査もできぬという状態に置かれてある。私たちとしては非常に遺憾な状態だと思うのですが、これを三十二年度なら三十二年度から、具体的に着手できる具体的な計画があるのですか。
  37. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 三十一年度は、その今申し上げました計画に沿いました中で、資金的にできる限りのことを予算化いたしたわけでございます。三十二年度以降につきましては、これまた三十二年度予算において、その計画の線に沿ってできる限りの資金手当をつけたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 片岡文重

    片岡文重君 それでは、その具体的な面について的確な資料があるならば、適当な機会にまた出していただくことにして、たとえば今バスレールとの競合という問題も、国鉄にとっては深刻な問題であろうと思うのですが、国鉄では経営の——経営というよりはむしろ経理の状態をよくしたいという一念から、閑散線区等については無配置駅を作ったり、あるいは駅を廃止したりして、もっぱら支出の削減に努めておられる。で、これはイコール・サービスの低下です。サービスを剥奪しているような傾向が特に地方、つまりローカル線等には見られるし、閑散線区等には極度に行われている例があるようです。しかし幹線においてはバス競合等はあまり見られないでしょうけれども、むしろバスレールとの競合等はそういう地方線区において激しいのであって、そういうところで、このわずかな経費削減のために、無配置駅を作ったり、駅を廃止したり、あるいは新駅の設置等に強い要望があるにもかかわらず、これが阻止されておる。こういうようなことになると、一方、競争相手バス業者等はできるだけのサービスを提供するわけです。従って、その結果として、ますます侵食されるという結果になるのであって、むしろこれを競合に打ち勝つという、国鉄がそれに越えていくということであるなら、支出の削減ということよりも、むしろサービスを向上することに力を注がなければならぬと思うのですが、こういう点について鉄監ではどういうふうに考えておられるのですか。
  39. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今御指摘の問題につきましては、まあ国鉄自体の経営に属する問題が多いかと存じまするが、特に鉄道自動車との競争というものは、今先生のおっしゃいましたような地方線区に確かに起っております。これは国有鉄道の支線、特にまた中小私鉄に同様な現象が、摩擦現象が起っております。これにつきましては、この分野というものを、両方が相寄り相助けまするためには、その運行の回数、あるいは運賃の問題、また運びますいろいろな客の内容を、たとえば通勤通学でありまするとか、一般客でありまするとかによって、非常に利用交通機関が相異なります。しかしまた、今おっしゃいますように、潜在需要と申しまするか、サービスの向上でまだ乗り手がふえる、それによって収入の増加をはかり得るという点が、確かにございます。これはまあ国有鉄道の支線、地方の中小私鉄を問いませず、鉄道におきまするこういった新しい時代に対応いたしまするには経営の近代化と申しますか、一つは車両を軽くし、この車両の動力をよりフリークエント・サービスのできるものに持っていく。それによって鉄道の独特性を発揮する。一方、バスはまたバスとしての特色を発揮するのでありますが、この場合は単に支出を切り詰めるだけが経営の合理化でないことは、御指摘の点でありますが、鉄道にとりましては、その近代化を行うことによりまして、従来の蒸気の重い列車が走っておりましたときとは、経営形態も異なって参りまして、あるいは駅員の配置にいたしましても、駅の置き方にいたしましても、また列車のとめ方にいたしましても、今までの鉄道とは異なった運営形式は、これは当然合理化の上においてやるべきものである。従いまして、まあ具体的に各線区について一口では申し上げられませんが、そういったようなことによって両者が不必要な摩擦を避けなければならない。運輸省といたしましては、こういう場合には、先ほど申し上げました運賃の認可なり、あるいは免許なり、あるいは運行回数の認可なりという、それぞれの行政処分なりする場合には、十分注意してやっていきたいと思っている次第でございます。
  40. 片岡文重

    片岡文重君 そういう今申し上げましたような苦しいやり方をしているような方面に対しては、やはり総合的に、たとえばバスの営業許可のような場合に、運輸省はもっと総合的な立場から、大乗的な立場から考えて許可をすべきであるし、少くとも政治的な支配等に屈することがあってはならないと思うんですけれども、大体ここに許可をすればどういう影響があるんだということは、当然わかるはずなんです。それがどうも不十分ではなかろうかと思われるのであります。そういう点がやはり総合的に考えられていないということなので、総合的な計画を早く樹立してほしいというのは、そういう摩擦を少しでもなくするように、そうして国鉄国鉄としての使命が果せるように、また私企業は私企業としての使命が果せるようにしてほしいということでありますので、先ほどのお伺いしました総合的な計画については、一日も早く実現できるように、一つ運んでほしいと要望するわけであります。  で、今の問題について、国鉄総裁も御出席になっておられますが、今のそのサービス低下によって、競合路線との競争といいますか、国鉄競争するという意識はないのかもしれませんが、とにかく民間バスと対抗していくようなやり方をしている、こういうやり方については、私どもはあまり賛成できないのですけれども国鉄としてはむしろ、一そうこのサービスを向上させて、国鉄の運転されている線区と並行して私企業が競合をしてくるというようなことは、投資する私企業がみずから自制するような方向に持っていかれたらどうかと思うんですが、そういう点について、総裁、どういうようにお考えですか。
  41. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今のお話、しごくごもっともに存じます。私も同様に考えまして、国鉄がサービスを向上しないために、民間で国鉄との競争となるような事業を計画する方が起ってきて、ここに二重投資とか、あるいはむだな競争というふうなものが起る結果になるんだ。これは国鉄のサービスが、お話のように、不十分であるからである。そこで私は、国鉄二万キロのうち、大体電化することが有利だと思われる一万キロ、すでに二千キロ電化しておりますから、残り八千キロを電化することは経済的でないから、サービスの改善を必要とするという所は、あるいはディーゼル機関車を通すとか、ディーゼル・カーを走らせるとか、あるいはレールバスを動かすとかいうことをして、できるだけ地方の国民に不便のないように、なるべく便益を供するようにということで、せっかく今努力をいたしておりますから……。何さま限られた資金で、思うように参りません。また一つには、国鉄に課せられた朝夕のラッシュ・アワーの大量の輸送があるのです。これはどうしてもレールバスとかディーゼル・カーでやりにくい場合が多いのであります。そこのところを非常に悩んでおりますが、今お話の趣旨に沿うべく、せっかくレールバスとかディーゼル・カーとかいうふうなものをできるだけ多く作りまして、閑散線区にも配置いたしまして、サービスを低下しないように努力いたしておる次第であります。
  42. 片岡文重

    片岡文重君 最後にもう一つお尋ねしたいんですが、それは今まで、終戦以来特に、国鉄では学閥打破について相当努力をされてこられたと思うのですが、最近また戦前の状態に復帰しつつあるという風評がもっぱらであります。必ずしも風評ばかりではないかのごとくに聞くのですが、国鉄経営に当っていろいろ法規を整え、あるいは機構を改善していくということも必要でありますけれども、要は、その責任の衝に立ち、その指揮監督、あるいは経営の任に当る人々の構成にもきわめて深い関係があろうと思う。特に人事の管理いかんによっては、士気が高揚もし、沮喪もするであろうと思う。最近における国鉄のこの学閥編重の弊が再び起りつつある、こういう点については、総裁としてどういうふうにお考えになっておられますか。
  43. 十河信二

    説明員(十河信二君) 最近学閥が再び盛んになりつつあるという今のお話でありますが、私はさようには考えません。しかし、このいわゆる学閥、同じ学校の者、同じ学歴の者が互いに相はかるということは、これはまあ人情の弱点でありまして、容易にこれは打破することはできないと思います。私、就任以来、学閥打破を絶叫して参りましたが、なかなか思うように参りません。そこで、さらに最近も、どうすれば学閥打破ができるかということについていろいろ検討してもらいまして、職員の再教育ということをやろう。一面では国鉄の教習所というような教育機関を利用いたしますが、他面では学歴、既往の学歴いかんにかかわらず、これを部外の大学等に派遣いたしまして、それぞれ各種の専門の研究をしてもらう、こういうふうなことをして、何とかして職員の学閥ということをなくして、ミックスするようにさせたいと、今せっかく考案中であります。最近数名部外の学校に委託生として派遣することを決定いたしまして、目下人選をいたしておるのであります。これらも一つの、学閥をどうして打破するかということの意図から出た一手段でありますから、そういう手段を漸次実行いたしまして、学閥打破の実を上げるようにいたしたいと考えておるのであります。
  44. 片岡文重

    片岡文重君 学閥打破について御努力なさっておられるという今のお話で、私たちも大へん意を強うするのですが、結局学閥が弊害を持つに至るということは、ひっきょうするに、学歴を尊重し過ぎるのではなかろうかと思うのです。で、学歴を尊重するのあまり、たとえば採用するに当ってすでに格段の差がついておる。採用されるときにすでに、大体それからのコース、行くポストもきまっており、異動のある時期には必ず、あすこは何年度のだれが行くのだから、この次はその次の年度のだれが行くであろうということも、すでにうわさをされており、しかもそのうわさの通り大体行くことが多い。そこで学歴を持たない者、あるいは私大出の諸君等は、せっかく優秀な技術、知識を、あるいは経験を持ちながら、しかもそれを率直に表わせば、自分の地位が保たれないような状態にも置かれており、それはそう数の多いことではないでしょうけれども、現にそういうことはなしとはしないようです。従って、経営の責任の地位にある者が、なまじ改革等を行わんとし、あるいは抱負を行わんとして、時に労働組合等と摩擦を起したり、あるいは上司、同僚との間に摩擦等を起して、黒星をかせげば、進路を妨げると、そういうことをするよりも、むしろじんぜんとして通常の任期を過ごすことの方が前途が開けると、こういう事態になっておる。やはり今日国鉄経営が行き詰まっておる、あるいは思わしくないという事態に立ち至っておるのも、その原因の一つとして、十分大きく検討されてしかるべき問題ではなかろうか。やはり経営に対する真剣な改革意識、あるいは合理化の意欲が、あおり立てられてくれば、法制上、機構上等において相当欠陥があっても、優にこれを乗り越えてゆけるものではなかろうかと。そういう点を考えてみますると、この学歴偏重、学閥の尊重という点については、具体的にもっと打破していけるような方法を、総裁として十分お考えをいただかなければならぬのではなかろうかと思うのですが、学閥の打破については今具体的な御意見も伺いましたが、学歴の尊重ということについては、やはり同じように、何かお考えになっておられるでしょうか。
  45. 十河信二

    説明員(十河信二君) 国鉄の仕事が非常に多岐にわたっておりまして、いろいろな課、係等に分れておるために、甲の人間と乙の人間、学歴の、経歴のいかんにかかわらず、人物をどうであるかということを比べてみるのに、非常に都合が悪い場合が多い。そこで私は先刻申し上げましたように、いろいろな経歴、学歴のある者もない者も、それを一緒にして、一つの専門の教育機関に入れて、そこでテストしてみる。それからそのテストによって成績を判定しよう。また絶えず私は学歴を尊重するなということを幾ら説教しても、なかなか通らないものですから、そこで私が直接それらの人にぶつかって、いろいろな実際問題をぶつけてみるのです。自分はこのことについてはこういう考えがあるが、諸君の意見はどうかということを、学歴のある者、ない者を、毎週一回そういう若い人を集めて、おでんをごちそうするから集まってこいというて、そこへ集めて、いろいろな問題を投げかけて、それでそれらの人間を見て、そしてこれはいいと、学歴はないけれどもこの人間は役に立つ人間だという人を、一つ自分みずから抜擢しよう、そういう方法をとって、今お話のように、学歴尊重の弊を少しずつでも打破していきたいということに、今努力いたしておる次第であります。
  46. 片岡文重

    片岡文重君 大へん御努力に対しては同感であります。しかし、せっかくのそういう具体的な御努力でありますが、総裁が今その職におられて、かつ熱意を持っておやり下さってもその矯正し得る範囲というものは、少くとも本庁舎なり、あるいは総裁の目に直接触れる範囲に私は限られておると思う。私のむしろ望むところは、具体的にこの人事管理の面において、あるいは労務管理の面において、内達でもけっこうですが、少くともそういう一つの基準を示して、具体的に学歴尊重の弊が打破されるように、真剣に経営に、四十五万の従業員のすべてが責任を持って参与できる、誇りを持てるような、そして前途に明るい希望を持てるような方法を私は考案してもらうべきではなかろうか。それを私は希望しておるのですが、そういう点について、やはり総裁として具体的に、何か方法を立てられる御意思ありませんか。
  47. 十河信二

    説明員(十河信二君) でき得るならば、そういう基準を設けて、制度としてそういうことをやりたいと思うのですけれども、遺憾ながらそういう基準、制度を設けると、それが形式になって、なかなか思うようにいかない。そこで私は、今お話しのように、一小部分ではあるけれども、全国にわたってそういうものを作ろうというて、なるべく広く私は全国を自分で回って、回るたびに、あるいは労組の連中、あるいは現場の長、主任その他の人々を集めて、なるべく広くそれらの人にぶつかって、私の意見も聞いてもらうし、それらの人々の思想あるいは才幹等も自分は知りたいというととで、できるだけ多くの職員に接触することを努力いたしております。その方も、なかなかひまがなくて、思うようにいきません。何かうまい基準なり制度なりがあれば、そういうものを作りたいという心がまえは持っておりますが、まだ今のところ、こうすればいいという考案がありません。なお今後もそういうことを研究いたしたいと思っております。
  48. 片岡文重

    片岡文重君 今そういう制度がないのは、おっしゃる通りです。ですから、そこで一つぜひ、その御熱意をもって、制度としてやはり作っていただかなければ、現にそういう任免の権限を実質的に握っておられる方々は、大体学歴尊重によってその地位を占めておられるのですから、とてもそれはできません。ですから、それは今直ちにできなくとも、将来はもっと現場の諸君が学歴がなくともまじめに経験を積み、知識をみがいていけば、どんなポストにも行き得るのだという希望の持てるような制度を確立をすべきだ。この制度が確立されなければ、その他の問題は幾ら完備しても、効果は上るまいと思うので、ぜひ具体的の措置を講じられることを切に私は要望したいと思います。以上でいいです。
  49. 小酒井義男

    小酒井義男君 監督局長にお尋ねをします。監査委員会を今度設けることになるわけですが、相当膨大な業務の監査をするわけなんで、大へんだと思うのです。これは何か、監査委員の下に、調査をするような機関というものが設けられると思うのですが、それはどういうふうな形で、構成はどういうところの人が来てそれをやることになるのですか。
  50. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。御指摘通りに、監査委員会国鉄の業務の監査に当りますので、非常になかなか重要な新しい機関でございまして、また同時に、内部機関でございます。従いまして、これのいろいろのそういうこまかい仕事、データを集めたりいたしますには、私どもといたしましては、やはり事務局を持つ必要がある、かように考えております。で、こまかいところは、国有鉄道総裁の御判断にまかせるようになっておりますが、大体事務局としては、現在国鉄にある監察局をこれに充てたら適当であろう、かように考えております。  それから監査委員会委員の方は、これは法律にございますように、三人ないし五人ということになっておりますが、これは各委員個々が監査の仕事をなさるのではございませんので、委員会として組織的に監査の仕事にお当りになる。この委員の任命は運輸大臣ということにその性格上なっておりますが、これは国鉄部内のみならず、部外からもこういう仕事に適当な方が、専念これに当られるように、そういう方になっていただきたい、こういう構成で私どもは考えておる次第でございます。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 この監査委員というのは常勤ですか、非常勤ですか。
  52. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) これは今申し上げましたように、この委員個人における権能がございませんので、委員会として会議形式をもちまして定例的にお仕事をなさいますので、そういう意味においては常勤、非常勤の区別がございません。従いまして、監査委員会としてこの仕事にお当り願う、こういう建前になっております。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 しかし、委員に外部の人が入ったときなんか、それに対する手当の問題もありましょうし、専念して毎日出てくるのではないのですか。
  54. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それは運用によりまして、専念して毎日出ていただける方がございますれば、非常にけっこうな話でございまして、またお仕事その他、人事のことでございますので、適当な方で、他の差しつかえのない仕事と兼務でおやり願って、監査委員会のときにおいで願うような方ができましても、これは法律上差しつかえがない。この給与につきましては、役員でございますので、特別に役員の給与というものをきめて、これに差し上げる、こういうことに相なると思います。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、毎日出てきてもらう人でもいいし、どちらでもいいのですか、まだきまっておらないのですか、それは、運輸省の方針として。
  56. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) それは人事でございまするので、任命に当りましていろいろそういうことを考えるわけでございますが、ただいままだ具体的に、どなたになっていただくということはもちろんきめておりませんので、その結果によって起ってくるのでありまして、今法律的な説明を申し上げたのでありまして、この法律上はどちらでも差しつかえないということになっております。ただ、私どもといたしましては、できるだけ専念できる方を選びたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、この監査委員の中には、やはり部内と部外との構成はどういうふうにお考えになっていますか。
  58. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 法律上は、ごらんの通りに、どれをどうという拘束はございません。私ども、まあ人事でございまするので、どうなりまするか、適当な方をお選びすることによって、割合もおのずからきまって参りますが、まあ大体三人ないし五人でございまするので、どうしても部外の方にお入り願った方がいいんじゃないか、かように考えておる程度でございます。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは二十条の役員の欠格条項の中に、この監査委員も欠格条項に含まれるわけでございますね。
  60. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) さようでございます。
  61. 小酒井義男

    小酒井義男君 政党の役員はだめなんですが、役員でなければ、これは政党員もはいれますか。
  62. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) さようでございます。
  63. 大和与一

    ○大和与一君 今度の改正は大したことないと思うんですが、根本的な改正を当然これはお考えになっていると思うのです。それでまあ、たとえば運賃法改正その他とからんで、今度の参議院の選挙でも終ってから、そういうふうなことを考えていくと思うのですが、それについても臨時公共企業体合理化審議会というのがあって、そこでいろいろと検討していると。早く、中間報告でも何でもいいから、まとまったら、いろいろと説明をしてもらいたいということを、何べんも運輸委員会でも私が御要望申し上げておるのですが、一ぺんもたしかなかったと思うのです。刷りものか何か出たかもしれぬけれども臨時公共企業体合理化審議会なり、あるいは今後根本的な改正を、この今回のやつだけでなく、将来お考えになっているかどうか、あるいはどういう点を大きく変えようとしているのか、そういう点をお尋ねいたします。
  64. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点は、先ほど片岡先生の御質問にお答えいたしましたのでございますが、日本国有鉄道法改正といたしましては、今回の改正甘外の大きな改正は考えているものではございませんのでございます。ただ、いろいろ運賃法の問題でありまするとか、公労法の問題につきましては、公労法につきましては今国会改正案を御提出いたしておりますが、あのことを考えておるわけでありまして、運賃関係につきましては、臨時公共企業体合理化審議会答申、あるいは国有鉄道経営調査会答申もございました。これをいかにすべきや、まだ政府部内でも検討を了しておりませんので、今のところ考えていないのでございます。
  65. 大和与一

    ○大和与一君 衆議院の付帯決議があって、それをまあ尊重されるわけだと思うのですが、具体的にはどのように実行し、うんと尊重してやってくれるということですか。
  66. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。衆議院で、御指摘通りに、付帯決議がございまして、その一つは、部内総裁の諮問機関を設けろ、こういう決議でございます。この点は私どもも、大臣からも、衆議院でお答えさいたしましたが、この諮問機関は、国鉄の重要性にかんがみまして、広く国民の声を反映させるために、部外のいろいろな有識者にお願いをいたしまして、諮問機関を設ける必要がある、かように考えております。ただ、こういった性格でございまするので、これは法律事項ではございません。従いまして、法律に書いてないのでございまして、これはお答えいたしました通り、ぜひ部内総裁の諮問機関を設けるようにいたしたいと、私どもも考えている次第でございます。  それから次の御決議事項は財政関係でございまして、国有鉄道財政再建につきましては、非常に数多くの問題を合んでおるわけであります。これは経営合理化あるいは減価償却の問題、あるいは災害引当金、退職手当、減債基金の問題、工事経費の問題等々ございますので、これは私どもといたしましても、今後の国鉄財政の再建については、根本的な財政再建計画について、いろいろな審議会調査会の御答申の線も尊重しつつ、目下鋭意検討いたしております。御決議の趣旨もありまするので、鋭意検討いたしまして、いろいろな必要な手続をとりたいと思っておりますが、それぞれいまだ政府部内の成案を得ておりませんので、ただいまお答え申し上げたようなことをお答え申し上げたのでございますが、なお引き続いて鋭意研究を進めたい、かように考えておるのであります。
  67. 大和与一

    ○大和与一君 総裁にお尋ねいたしますが、今のお話で、国鉄経営の民主化、合理化にお骨折をされていると思うのですが、顧問というか、きちんとした制度かどうか知りませんけれども、そういう人が何人かおって、協力をしている、こういう格好になっているようにうわさを聞きますが、一体顧問というのは正式にあるのか、またその顧問になっている人は、どういうりっぱな人がなっているのか、それがほんとうに国鉄全体のために具体的にプラスになっているか、こういう点をお聞きしたいと思います。
  68. 十河信二

    説明員(十河信二君) 別に顧問という制度があるわけではないのでございまして、先刻来お話のありますように、国鉄経営いたしておりまする事業はすこぶる広範な事業で、かつ国鉄の置かれておる現状は、すこぶる困難な時局に直面いたしております。私は自分の微力さを感ずるのあまり、いろいろな二、三の方にお願いして、私にいろいろと注意を与えてくれ、また私の諮問に答えてくれるような人を選んでおります。そのほかに、具体的のいろいろな問題につきまして委員会を設けまして、その委員会にまた部外からいろいろな学識経験のある方をわずらわしまして、それらの特定の問題について御意見を伺っておるのであります。それらの人の名前は、多数にわたりますので、私今一々ここで申し上げられませんですが……。
  69. 大和与一

    ○大和与一君 その中で労働問題に関係をしている顧問の人はどういう人か、たとえば特に労働問題について顧問的な立場総裁に助言をしておられる方は、どういう方がおられますか。
  70. 十河信二

    説明員(十河信二君) 特に労働問題について、常時的に意見を聞いているという人はおりませんが、絶えずいろいろな学者、あるいは実際家、実業方面の方で、いろいろな労働問題を扱った方の御意見などをときどき伺っております。そういう人も数名あります。
  71. 大和与一

    ○大和与一君 老婆心になるかもしれませんけれども総裁の非常な今のお骨折はよくわかるのですけれども、あまり顧問といいますか、そういう人を重要視過ぎると、現役の人は、全体の円滑の油になるなればいいけれども、それが少しどうかなったりしたらば困るので、そこがどうもちょっと心配もあるので、あわせて御要望しておきたいわけです。  それで、今の諮問委員会もどうせできるわけですが、最近新聞に、組合といろいろな経営合理化の問題について話し合いになり、形を持ちつつあるわけですが、それはいわゆる経営委員会といいますか、制度的な永続的なものにできたらしたいと、こういうふうなお気持ですか。
  72. 十河信二

    説明員(十河信二君) 私は制度的なものもけっこうだと思いますし、またそういうかた苦しいものでなく、ひざをつき合せて話し合いをしようじゃないか、談笑の間に、あまりかた苦しくならないで話し合うところに、非常な意思の疎通の道があるんじゃないかと、こういうふうに考えておりまして、私は東京でも、また地方へ参りましても、絶えず組合の方々とも必ずお会いして、何かしらん、話し合いをするという機会を持つことにいたしておるのであります。また先刻、部外の方々の意見をあまり尊重し過ぎると、うちの者が困りやしないかという御注意は、ありがたく拝承いたしまして、私、反省の資料にいたします。
  73. 大和与一

    ○大和与一君 ですから、顧問という人たちがいろいろな御意見を言うことは、総裁個人にすべて吸収をされて、消化されていく。従って、国有鉄道の運営については、新たに設ける理事会がその意思決定をすべきである。それは総裁個人の意思でどうこうするものでない。こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  74. 十河信二

    説明員(十河信二君) その通りでございます。
  75. 大和与一

    ○大和与一君 それで、この今度の国鉄法改正によって、先ほど監督局長からは、別に公労法なりその他大きな改正はないだろうというお話でございましたが、国鉄運営について機構改革あるいは人事刷新と、こういうことも一つの大きな目標になっていますが、それについての、まあできればやはり具体的な考え方も含めてお示しいただきたいと思います。
  76. 十河信二

    説明員(十河信二君) この法律案関連しての御質問かどうかわかりませんが、私は国会等の皆さんの御意見をもとくと考慮いたしまして、機構改革をいたしたいと、こう考えておりますが、その前に、私は、地方制度の機構は、いじくりますと非常に混乱を来たすし、また金もかかりますので、国鉄の現状において一番おくれておるものは何かというと、通信機関だと——昔は国鉄の通信機関相当進んでおりましたが、今日はもう非常におくれております。それで、まずこの通信機関をどうして改善をするかということとあわせて、機構の問題を考えたい。それからもう一つは、なるべく勤務時間を短縮するようにしたい。しかも能率を上げるようにしたい。これには事務の簡素化、事務の能率化あるいは機械化というふうなことが必要じゃないか。で、そういうふうなことと機構改革というものをあわせて研究したいということで、目下検討いたしておりますが、まだ成案を得ておらないのでありまして、ここで具体的にお答えいたしかねる状態にある次第でございます。
  77. 大和与一

    ○大和与一君 その機構改革という大きなことでなくても、現在局の一部の区域を、十分な検討をして、ちょっといじって、あっちこっちくっつけたり離したりする、こういうことをやっておられたと思いますが、これからもそういうことはあり得るか、あるいは今おっしゃった、もう相当はっきりした大きな機構改革の具体案があって、それがいつごろ思い切って出発をする、それに金が要るのだけれども、その方の見通しも大体ある、こういうことになるのか、お尋ねしたい。
  78. 十河信二

    説明員(十河信二君) 小さな管轄区域をちょっといじくるというふうなことくらいは、随時やっていきたいと思っております。方々にいろいろなそういう問題があるようでありますから、そういうものは随時片づけていきたい。それから大きい機構改革はなるべく早く検討したい。で、そのために今専門の委員会を作っておりますから、その委員会がまあどれくらいかかりますか、数カ月かかれば、何とか成案ができるんじゃないかと思っております。
  79. 大和与一

    ○大和与一君 そこで最後に運輸大臣にお尋ねしますが、どうせ今のお話でも、金のことがつきまとうのだと思う。大臣が衆議院の運輸委員会で、来年の三月三十一日までは運賃の値上げはしないというようなお答えがありましたが、この運輸委員会では、そうではなく、むしろ予算ができないから、載ってないからできないのだ、こういうお話があったように私記憶がありましたが、運賃値上げについて、今の大臣の御心境というか、お考えをはっきりと一つお聞きしたい。
  80. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) ここで、参議院で申し上げたことと、衆議院で申し上げたことと、あまり違ってないので、それはそれとして、ともかく私はこの委員会でも申し上げておるのですけれども、私としては、どうしても今の国鉄経営の現状ではどうも少し無理だ。無理だという意味は、どうしても若干運賃の値上げをごしんぼうしていただかなければいかぬというのが、私の実はいろいろ就任以来研究しました結論なんでございます。それで、調査会の方の答申もそう出ておるわけであります。  ただ、たびたび申し上げます通り運賃問題というのは、ただ計数の、採算だけの問題でないことは申し上げるまでもないので、世間には、理屈はどうあろうとも運賃の値上げはごめんだ、こういう世論と申しますか、そういう感情が非常に強い。それでなかなかやりにくい点がございますので、そこで私はそういうことも、これは経済の採算外の問題でございますけれども、そういう、これは私は心理的とこう申しておるのですが、そういうサイコロジーというものにも、やはり行政というものは考慮を払わなければならぬのでありますから、従って、いつの時期にどういう方法で——まあ方法についても議論があると思うのですね。今、国会でこれを一々やることになっております。これは国鉄というものを立法府が監督するという意味からいえば、これが一番適切な最も有効な方法なんですが、議会できめるということは、しかし、一面経済の、経営のこまかい数字上のことを、一々議会がきめることが適当かどうかということになると、いわゆる立法権、行政権、三権分立の思想からいって、そこに若干の問題があろうと思う。それですから、きめ方、方法についても、やはりこれはどうしたらいいかという問題があると思うのです。それは程度の点もその通りでございます。  そういうようなむずかしい問題がからまっておるものですから、そこで私は三十一年度の予算のときには、どうしても間に合わないと、こういうので申し上げたわけであります。しかしながら、どうしても国鉄というものを何とか、百年というと少し長過ぎますが、百年はおろか、とにかく現在のところをしのぐのには、やはり私は若干の値上げというものはやむを得ないので、それをどういう方法でやるか、どういう時期にやるか、しこうしてまた私は、衆議院なら衆議院の言明と矛盾しないような方法で、どういうふうにやるか、そこにいろいろ苦心が存しておるというところを御了承願いたいと思います。
  81. 大和与一

    ○大和与一君 博学な運輸大臣にお聞きしたいのですが、公社から本社というようになりましたね。そこで、そうなれば、これは公務員に準ずるのでなくて、だんだん会社にしてもらわなければいかぬのですけれども、それでもまだ公務員に準ずる扱いをされているわけですが、こいつはだんだんと会社にもっとしてもらって、自由に金を使えるように、一生懸命働いたら、もっともうかっていけば自分で使う、こういうふうにだんだんなるのが当りまえなんだけれどもそういうお考えをお持ちになっておりますか。名前の変ったというのはどういうわけですか。
  82. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 別に名前を変えたことにそこまで深い考慮を払ったつもりではございません。
  83. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。どうです、大臣、そういう形に変っているのですが、どうも国鉄だけではないのですが、総裁という名前が非常にたくさんあるのですね。どれだけありますか、調べると相当たくさん出てくると思うのですが、公社というような形になって総裁なんというのは、どうもまあ昔の感覚といいますか、何か近代的なセンスに欠けておるような気がするのですが、一つ社長か何か、そういう名前にお変えになるようなことは、お考えになったことはございませんか。
  84. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 今お話承わると、なるほどと思いましたのですが、実は今までは私どもはぼんやりしておって、別に気がつかずに来ましたわけですが、お話の点、なるほどそう言われてみれば、そういうきらいはあると、私もそう思います。
  85. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで、何か最もぴったりとする呼び方にお変えになるようなお考えですか。
  86. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まあ今、どういう名前がいいかということがちょっと考えつきませんでして、これはまあ外国の言葉なら、プレジデントといえば、その一つの言葉で大統領から社長まで入るのですから、そういう便利な言葉がございますけれども、ほかにたくさん使っているのに、しいて、この法律を作るときに、この方だけ変えるというのもどうかと思いまして、このままにしておったわけです。
  87. 大和与一

    ○大和与一君 総裁の任免が「経営委員会の同意を得て」と今までなっておったものが、内閣でいきなりきめるということになると、鉄道にあまり関係ない人でも、今度の小選挙区でもないけれども、少し乱暴に内閣の方で都合のいい人をやるということになったら困るのですが、そういうおそれは絶対ないというふうに断言できますか。やはり何か委員会があった方が、かえってラジカルにいくのじゃないでしょうか。
  88. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) それは、私はそういうことをしてはいけないと思います。(笑声)いけませんから、そういうことがあっちゃ、この公社の経営というものはこれはめちゃになりますから、私はこれはやはり経営委員会とかなんとかいうことでなしに、それこそ議会なりあるいは世論というものの批評というものは、きびしいものだろうと思っております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸大臣にお伺いしますが、この法案改正について衆議院において付帯決議がついておる。この付帯決議が非常に重要な問題だと思うのですが、この付帯決議の取扱いについてお伺いしておきたいと思うのです。というのは、従来ややもすれば、付帯決議あるいは委員会の決議、本会議決議というものは、決議のしっぱなしになって、ほとんど実効を見ない。何か軽視されるような風潮が出てきておるように思われる。従って、非常に重要な付帯決議がついておるわけですが、これを政府としては具体的にどのように推進されるという考えがおありなのか、それをまず承わっておきます。
  90. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) この付帯決議につきましては、私も責任者として、委員会でも言明しておりますが、事柄はですね、事柄は国鉄内部の問題でありますが、監督官庁として、私は強力に国鉄というものに対して、もしやらない場合は、あるいはもしこの付帯決議の趣旨にもとるか、あるいは進んでこの実現を期しないというような場合には、国鉄側に対して私は強力に実現するように、何といいますか、監督権と言っちゃ少し何ですが、それを発動するのだという意味のことを委員会で申し上げております。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 その点について、総裁からも一つお伺いしたいと思います。
  92. 十河信二

    説明員(十河信二君) 先刻もちょっと触れました通り、私はこういうのは前からそういう考えで、実質的にはすでに実行しているのであります。ただいま大臣お話のあった通り、私も同様に考えております。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 先ほどの質問にもあったのですが、この中で諮問機関を設けるべきであるということは、特に私は重要視しなければならぬと思います。今大和君からも質問があったのですが、今度の改正案を見ますと、総裁内閣で任命する、副総裁の任命あるいは理事の任命、これも運輸大臣の認可を得なければならない。あたかも総裁、副総裁理事運輸省の番頭さんのような格好になるが、やはりこういうような場合には、諮問機関というものはぜひとも必要だと思います。特に経営調査会答申にもこのことがうたってある。だから、私は聞くところによるというと、諮問機関の設置については、日本国有鉄道経営審議会というような仮称をもって、改正案の中に運輸省の第一次案としては出ておったということを聞いておるのだが、これは一次案にそういうことがおありになったかどうか、お伺いいたします。
  94. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) お答え申し上げます。この改正案を作りますには、実にいろいろたくさんの案を私ども事務当局として用意いたしました。その一つに、この諮問機関を法制化してみたらどうかということで、いろいろ検討いたしたことがございます。で、これは先ほどお答えしました通り、法制化いたしますると、少し技術的にわたりまして恐縮でありますが、まず第一に、この権限を法制化しなければならない。そうすると、必要諮問事項というものを書かなければならない。それからさらに、その構成に対しまして、委員の資格、任免形式をやはり法律上明らかにしなければならない。そうなりますると、公務員法との関係がありまして、公務員でないというような条項をさらに起さなければならない。そうすると、それに対する給与その他いろいろな、まあやかましいことになりまして、かえって本来の諮問機関としての機能を果すべきもの以外に、何か必要事項の職務限定をされるような機関に相なるのであります。こうなりますると、法制的にもいろいろ、理事会監査委員会等の関係が不明確を来たすおそれもあり……   〔委員長退席、理事早川慎一君着席〕 先ほど来いろいろお答え申し上げました趣旨のものは、やはり法律事項でないという検討の結果結論が出ましたので、この第一次の草案を廃案にいたしまして、今回の案にいたした次第であります。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、大体これを法制化するというのは、立法技術の面から非常に難点があるからというお話でございますが、これはやはり国鉄内部の問題には違いありませんが、しかしながら、国鉄運営の非常に重要な部分を占めるものだと思うのであります。従って、今回は付帯決議としてつけられておりますけれども、これを厳格に実行していくのだ、こういうような意思がおありになるなら、これは将来法案の中に法制化するというような、こういうような方向に努力されていかなければならないと思いますが、そういう御意向がおありになりますか。
  96. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今申し上げました趣旨によりまして、制度的に設置いたしますれば、やはり国有鉄道総裁の諮問機関でございますから、国有鉄道内部の規則、達とかあるいはその他の形におきてまして、制度化されるのが適当であろうと思います。なお必要によりますれば、理事会の業務に関する重要な規則として、現事会決定ということで持っていって、それを総裁が受けて執行上の規則にしていく、これが達とかという格好になって参りますので、そういう制度化するのに最も適切なものだと考えます。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 次に、第四十五条関係でお伺いするのですが、この第二項によりますというと、国有鉄道の重要なる財産を貸し付け、または譲渡、交換、あるいは担保、こういうことについては、今後運輸大臣の許可を受ける、こういうふうになったわけでありますが、このことについては、御承知通りに、鉄道会館あるいは民衆駅の問題等々につきまして、従来非常に問題が多いのですが、この許可をするという点について、運輸大臣はこれをどういうような方針で、たとえば一定の基準を設けるとか、あるいは条件を一つの基準にするとかいうような、何かそういうようなお考えがおありになるかどうか、その点についてお伺いします。
  98. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) お話の点につきましては、私は、いろいろ過去において問題もございましたので、慎重に考えたいと実は思っております。その場合に一つの基準みたいなものを作るのがいいか、あるいは具体的にいろいろな問題が起ったときに、いろいろやるのがいいかということは、まだ実は私も考えておりませんが、ただ、いずれにしても、この問題は私は相当慎重に監督官庁としては考慮しなければならぬ問題だと考えております。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは今後そういうことになるのですが、次に第四十六条関係から考えますというと、たとえば従来国鉄の用地その他を貸しておる。ところが、その貸し先の使用状態国鉄の事業運営についてどうも不便である、都合が悪い、こういう場合にはその貸借契約を解除する、こういう点もあり得ると思うのですが、そういうこともおやりになるわけですか。
  100. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) そのつもりでおります。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 特に最近、新宿駅とかあるいは池袋等におきまして、民衆駅とデパートの関係ですね、こういう問題について非常に紛糾が起っているということを聞いているですが、そういう民衆駅、特に民衆駅とデパートというような問題について、運輸大臣はどういう工合にお考えになっておるのか、その見解を承わりたいと思います。
  102. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 過去のことは、これはしばらくおきたいと思います。ただ、これからの問題として考えますときには、一体民衆駅というものを、国鉄財政さえ豊かであれば、これは国鉄自身がやればいいので、あまり進んでそういうものはやるべきものじゃないと私は考えております。しかし今の国鉄財政の現状であって、いつまでも都市の玄関をそのままにしておいては工合が悪いというときには、ある程度認めていいと思いますけれども、ただそういう場合にもよほど、これこそ百年の先のことをやはり考えなきゃいかぬと思うのです。今はなるほど二階なりあるいは一階なりで鉄道にしてもよろしいけれども、その上は要らない、こういうふうに考えましても、どうしても交通がだんだん発達しますれば、あるいは三階以上のものも立体的に停車場として使うということもあり得るわけですね。それですから、この規定によっても鉄道本来の用に何するときは解除することができるというふうな規定を置いたわけです。従って、この規定を円満に将来、何といいますか、そういう必要があったときにこれを発動しようという場合に、そのときに妨げになるような貸し方をしては私はいけないのじゃないかと思うのです。  そこで、これは少し私のあるいは言い過ぎになったならば訂正いたしますけれども、私の考えを言えば、今お話しになったデパートの問題ですね、デパートの問題というものは、なるほどこれはデパートは今やっておりますけれども、十年なり二十年たって、何んだからどけと言えるかどうかというときに、これは経済的にいえば、十年なら十年というものをそこで営業いたしますというと、そこに営業権という、のれんというものが私は生ずるものだと思うのです。そうしますと、そののれんの生ずるような貸し方は私はしない方がいいと思う。そうしますと、あとで設備をどけということができましても、物理的だけの金だけじゃ済まないのです。せっかくここに自分努力をして、十年二十年でこういう地歩を築いたのれん代をどうしてくれるのだ、ということになりますと、非常に莫大の金を出さぬと私は回収はできないのじゃないかと思います。これは言い過ぎかもしれませんが、私はそう思うのです。それですから、私がこういう規定を置きましたのも、先ほど慎重に考えると言ったのは、私はそういう意味であって、将来において——今は想像がつかないかもしれませんが、将来停車場に使うというときに妨げになるような貸し方はしない方がいいのじゃないか。これはしかし私個人の何でございますから、いずれこの法律通りましてから、これは正式に省議なり省議というものでそういう原則というものは明らかにしておく方がいいのじゃないか、こう考えております。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のお考えでありますというと、デパートとか、あるいはデパートに限らず、そういうのれんの伴うようなもの、そういうようなものについては、やはり民衆駅との関連を考慮しなければならぬ、好ましくないという工合に解釈ができると思います。特に今新宿駅とか池袋駅というものが問題になっておるのですが、私はこういうものに対して国鉄当局はどういう考えでああいうことをなさるのか、あるいは将来に対してどういう方針に基いてやっていかれるのか、今の運輸大臣の御見解との関連において、総裁の御見解を伺いたいと思います。
  104. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今運輸大臣の言われましたように、将来のことを考えて許可することをしなければならぬということは、私も同感でありまして、かつて私は、この席であったと思いますが、鉄道会館の問題についてどう思うかという御質問に対して、私は、会館をあそこに建設するという事柄自体よりか、鉄道が今後一体どうなるかという、鉄道の東京駅の今後の予想というものの計画が立っておるかどうか、そういうものが立っておって、その上での会館建設、その計画に沿うての会館建設ならば、私は今のところ、国鉄財政の困難の際でありますから、まあ仕方がないじゃないか、やむを得ないじゃないかというふうに考えておるのであります。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも総裁答弁でぴんと来ないところがあるのですが、会館の問題を今聞いているわけじゃありません。そこで、将来の問題というのでいろいろおっしゃっているのですけれども、駅の将来はどうなるか、国鉄の将来がどうなるかということを勘案して、そういうものを作るのだとおっしゃっているのですけれども、それと同時に、こういう民衆駅を作る、あるいは作り方によってはその地元民がどうなるか、あるいはそこの中小企業の、あるいは商店の、こういういろいろな民生関係に影響が出てくるのですが、そういうものを当然私は考えてやらなければならぬと思うのです。特にデパートというような問題につきましては、もうすぐに、きょうかあすか、商工委員会で百貨店法案が上ることになっているのですが、特に私はきのう池袋の駅に行って見てきたのですが、あそこの将来を勘案するという問題じゃなくて、現在の問題なんです。現在の問題の第一点は、あそこに三越、あるいは西武、東横、今度できれば四つになる。もう四つのデパートがあそこにひしめき合うという状態になる。もう一つの点は、今の設計は現地に行って見ますというと、あの駅の拡張によってさらに混雑が予想されるにもかかわらず、あそこの駅の前の地面というものは非常に狭い。私はきのう自動車に乗って行っても、自動車を置く場所もない。そういうような所を、一体国鉄はなぜああいう所にそういうことを許可されるのかという、その真意が私はどうも納得いかなかったのです。そこで運輸大臣は、あの池袋のああいう所へ行って、現地をごらんになったことがありますか。
  106. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まだ実は見ておりません。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 総裁、いかがですか。
  108. 十河信二

    説明員(十河信二君) 見ております。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはぜひ、百聞は一見にしかずで、いろいろな議論をするよりも、あそこへ行って見てもらったらわかることです。そうして大臣総裁もなぜこんな所を許可したのだろうということが、ぴんと来られるだろうと思う。私はこれ以上説明する必要はないと思う、行って見られるならば。特にあそこの問題につきましては、いろいろなことがうわさされておる。私はきわめて遺憾な問題と思っておるのです。  これについてちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、あそこは上信越線を乗り入れる計画になっておるのですか。総裁、御存じありませんか。
  110. 十河信二

    説明員(十河信二君) 施設局長に説明させます。
  111. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) お答え申し上げます。池袋につきましては、終戦直後いろいろと計画いたしまして、その際、上野駅の関係が非常に混雑しておりますから、そのうちで分けられるものはどっかに分けた方がいいのじゃないかという考えのもとから、上信越のターミナルとしまして池袋を考えたのでございます。その後このことにつきましてはいろいろ研究しておるのでございますが、とにかくあそこをターミナルにいたしますと、現在貨車の操車線がございます。こういうものを全部取らなければならない。これを取るためには、第二の山手線と申しますか、第二の環状線を作らなければできないことでございまして、こういう問題がございますし、また池袋の駅の貨物駅の問題、こういうものをいろいろ勘案いたしまして最後の案はきめるべきだ、こう思っております。
  112. 大倉精一

    ○大倉精一君 あそこの都市計画をやられるときに、これは昭和二十三年ころだと思うのですが、運輸省の方としては、あそこへは将来上信越線の乗り入れをやるから、駅前には相当広い場所が要る。よほど広い場所が要るから、あの駅前の国鉄の所有地に隣接した所に相当広い場所をあそこへ割譲してもらいたい、いわゆるやってもらいたい、こういうような申し入れが運輸省からあって、それに基いて東京都のその担当者においても、あそこの七百七十六坪ですか、そういう広い場所を提供した。これも地元民の提供によってこういういろいろな計画を立てた、こういうようなことがそもそも始まりだ、こういうことを私は聞いておる。そうだとするならば、あそこは広場になるべきはずなんですが、あそこにずっと隣りまで出っ張って、大きな建物を建てて、地下も掘っている。ああいうようなことになるならば、あそこに都市計画は当初立たなかったと思うのです。当初運輸省からああいう上信越線の乗り入れという計画をつけて申し入れをされておったんですか、その当時ですね。
  113. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) 今のお話でございますが、三十一年ころかと思いますが、そのころ、将来の池袋の計画を立てますのにつきまして、関係者が集まりましていろいろ相談したのでございます。そのときの話題に、やはり上信越のターミナルも作ったらいいじゃないかというような話が出まして、そういうような考え方のもとに全体の計画が立ったんです。その場合に、上信越が入って参りますと、今の貨車の操車線をほとんど使ってしまう。と申しますのは、やはり汽車のホームが二本か三本できますので、現在貨物線がある所は全部使ってしまいまして、そうして駅本屋となりますと、西武の建築の線を出てしまう。国鉄といたしましては、ですから、どうしても西武のあの建築線もございますし、そううしろに後退することもホームの関係その他でできませんから、駅の本屋の位置というのはひとりでに現在の位置にきまっておるのでございます。それで国鉄の考えといたしましては、あまり大きく駅の広場をとりますと宅地を痛めますし、そうかといって、駅の施設を小さくいたしますと、将来の発展にも支障を来たしますので、いろいろ勘案した結果が、現在くらいの大きさがいいのじゃないかということで、きめたのでございます。  なお、お断わりしておきますが、今民衆駅を作りつつありますが、一階には何も民衆施設はございません。普通の駅と全然同じでございまして、民衆施設は二階以上のただ空間を利用するというだけでございます。
  114. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは都市計画をあそこをやるときに、あなたの方の計画と、それから都市計画の担当者の方と、十分に話し合いをされてああいうふうな区画を作られたと思うのですが、その話し合いの場合、やはり今の七百七十六坪ですか、その上にああいう建物を建てるということは了解がついておったのですか。
  115. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) そのときには、まだ民衆駅の何はございませんので、おそらくついていなかったと思います。
  116. 大倉精一

    ○大倉精一君 おそらくついていなかったとおっしゃるのですが、そのときの事情に非常に詳しい人はおいでになりませんか。
  117. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) ここにいないのでございますが、書類を調べれば、これはわかります。
  118. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、その当時に具体的にこの衝に当られた責任者の方の御報告をお願いするとして、さらに、一番最初に国鉄に対して用地使用許可を申請された場合に、今のようなああいうデパートを作るような、そういう設計の申請ではなかった。そういう申請ではなかったというのが、その後において用途変更といいますか、設計変更といいますか、そういうものに変更されたと聞いておるのですが、そのいきさつはどういうことになっておりますか。
  119. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 管財部長からお答えいたします。池袋の本屋——東口本屋の民衆駅の計画につきましては、一番最初は昭和二十五年の十二月に出願がございました。多少変った内容を加えまして、二十六年に出し直しをしておるような経過になっております。そのときは大体、ホテル、食堂、売店、貸室、集会場というような事業の内容でございます。それから二十七年の一月になりまして、会社の設立の準備が進められまして、ホテルというのは下品なホテルになってもいけないから、やめた方がいいじゃないかというような関係者の意見もございまして、本格的には二十八年の二月に会社が設立されたわけでありまするが、そのときの内容には、売店、食堂、デパートという内容になっておりまして、申しおくれましたが、その前、二十七年の七月に一応、池袋交通会館創立事務所発起人代表という相手方に対して、東口駅舎のそういう民衆施設を載せた構想において駅を改築いたしますことを承認いたしております。しかしながら、その当時は百貨店という言葉は使わなかったのでありまするが、すでに白木屋が進出するという動きがあったのでありまして、国鉄といたしましては、最近のような中小商業者と百貨店の問題が非常に尖鋭化したような空気もございませんので、二階以上を貸室、売店というあり方で使用させますには、どちらでもよろしい、ただ相当な収益があって、鉄道に対して一定の料金を納入して、経営が永続する、また国鉄と協力ができる、それから旅客公衆に対して便益をはかるものであるという建前なら、百貨店もいいんだというような気持で、二十七年の七月に承認いたしておるわけでありまして、従いまして、二十八年の二月に会社ができますときには、はっきりデパート、売店、食堂というような事業内容になっております。二十七年七月の承認は、先ほど申し上げました通り、創立事務所発起人代表という相手方にしておるのでありまして、そのときには条件がついておりまして、将来会社ができました場合には、あらためて承認を申請して、それに対してあらためてこちらが承認をするというような条件をつけておりますので、二十八年の二月に、今申し上げましたような事業内容の会社ができまして、あらためて承認を下さいという申請に対しまして、二十八年五月に、その従来の承認条件を、新しくできた会社に対しまして承認するという承認を、二十八年の五月三十日におろしております。大体当時はそういう経過で、百貨店が載るということになった次第であります。
  120. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のちょっと、日にちの関係と内容が少し私の調査と違っておるのですが、用地使用許可を一番初めにされたのは二十七年の七月一日、これは設立準備委員会に対して使用許可を出された。その内容は、地下一階で地上五階である、そうして中身はホテルと貸事務所と売店になる、こういうことによって準備委員会に対して許可をされた。ところが、今度二十八年の二月に池袋ステーション・ビル会社が設立をされまして、そうして今度は用途変更の届が出てきた。用途変更の届といいますか、用途変更の届と同時に、承認を求めることが出てきた。そこで二十九年の末に、今度地下一階というのが地下三階になり、地上五階のものが地上八階に変更されて、そうして売店が百貨店というような関係になった、こういうようなことで用途変更の認可を得ておるということを聞いておるわけです。  しかもこれは建築の許可願が、二十九年の十一月二十一日に許可願が出ておる。そしてその事務処理も非常に急スピードでやられて、わずか一カ月足らずの十二月の二十八日の御用納めの日に、許可がおりておるということを私は聞いておるのですが、そういう日にちの関係は間違いありませんか。
  121. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) まず、最初の御質問の点は、二十七年の七月の承認のときに、ホテルが載っておったというお話でございますが、ホテルが載っておりましたとすれば、ちょっと私、はっきりその具体的な内容を今持っておらないのでありますが、その後それが変ったと思うのであります。  それから、よく地元の方が、使途変更の申請を出して、それを承認したというようなことを言うのでありますが、国鉄といたしましては、早い話が、細部の使途につきましては、時々非常に変化があるのでありまして、国鉄は大綱を押えるといいますか、それよりいたし方がないような実際上の事務処理になっておるのでありまして、いろいろな言い方があると存じまするが、国鉄といたしましては、先ほど申し上げましたように、二十八年の二月に会社ができまして、その会社が登記をされて、その内容として記載された一切の事業、そういうようなものを、二十八年五月三十日に、新しくできた会社に対しまして、従来のあり方の民衆駅の構想を承認するというように解釈いたしておるのでありまして、特に使途変更というようなものが出たかどうか、はっきり調べませんと、何とも私から御返事できないのでございます。  また民衆駅の設計の規模でありまするが、ただいまのお話のように、二十八年の春ごろまでは、地下一階、地上五階で計画されておりました。ところが、二十八年四月末に、地下一階を二階に、地上五階を八階にいたしまして、できるだけ奥行を、まだ約五メーター広げ得るから、奥行を五メーター広げさしてくれという設計変更の出願がございました。これを東鉄並びに東京工事事務所で審査いたしまして、本庁に上ってきたのが、三十年の暮というふうな段階になりますが、それまでは内容の検討ということに時間がかかったわけであります。  それから昨年の暮から非常にばたばた急いだというようなお話がありましたが、二十九年の六月中旬に換地指定がすっかり確定いたしまして、東京都からその通牒を受けておりして、その後今申し上げましたような設計内容の検討その他で時がたちまして、別に特に急いだというわけでなしに、昨年の暮ぐらいから大体、この二十七年に承認をいたし、二十八年の五月に最終的な承認をした構想が動き出した。それまでには細目協定といいまして、こまかいいろいろな付帯設備のお互いのあり方、分担の仕方、あるいは財産の区分というようなものをこまかに相談する段階にあるのでありまして、それが三十一年の一月下旬に完結いたしまして、それで着工の段階に来た、こういう順序になるのであります。
  122. 早川愼一

    理事(早川愼一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 早川愼一

    理事(早川愼一君) 速記を始めて。
  124. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、こまかいことは別にしまして、その当時のことをよく覚えておらぬというようなお話があったのですが、これはあなたがその当時の関係担当者として、ずっと、何といいますか、大きなことについてはおわかりになっておると思う。そこで私はこの点だけお尋ねしたいと思うのですが、売店というのと百貨店というのとは同じに考えておられるのか、あなたの方の通念はどうなんですか。
  125. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 当時は、鉄道会館問題などで、御存じの通り、非常にその辺の判定が、今日よりもどちらかといいますと、大まかでございまして、売店あるいは貸室といいましても、大きな部屋を貸せば、これは一種の不動産事業でございまして、鉄道の建前といたしましては、もちろんそれを間接的に別な人が営業の委託を受けるような場合に、それが関係ないとは申し上げませんが、大体資力信用を見まして、先ほど申し上げましたように、鉄道と協力ができるということなら、その不動産会社の計画というものも、いろいろな要素を検討いたしまして、承認するという建前にしておったのでありまして、そういう観点からいたしますると、貸室で百貨店ができます。それから売店も売店は、これは売店がたくさん出れば、必ずしも百貨店ということは言えないのであります。経営の方法でございまするから、個々の売店がただ物理的に集まっているというだけでは、百貨店にならない。ただ鉄道といたしましては、これが百貨店になっておりましすうとおりますまいと、それに対しては当時はあまり強い関心を持っておらなかった。かように今から逆に考える次第でありまして、今日の、昭和二十九年にこの財産管理の体制を強化するということから、管理規程のこうした部門の改正をやったわけでありますが、その場合に、鉄道会館の大丸百貨店というようなものをどう附則で解釈すべきかということをきめなければならない。いろいろな御指摘を受けたわけでありまするが、現在の規定におきましては、貸室営業ということでああいうものができるという解釈をいたしておる次第であります。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 総裁一つお伺いしたいのですが、私は鉄道の用地、公共物ですね、公共物の上へいろいろなものを乗っける場合に、単なる売店と巨大な資本を持っておる百貨店というものとは、おのずから意味が違うと私は思う。いわゆる単なる売店である場合と、百貨店をあの上に乗っける場合の影響力といいますか、そういうものは非常に大きな違いがあると思いますが、初め売店として申請をされてきておる。   〔理事早川慎一君退席、委員長着席〕  その次に百貨店という工合になっておる。これは用途変更になるかならぬかという見解を、一つ総裁にお伺いしたいと思います。
  127. 十河信二

    説明員(十河信二君) 非常にむずかしい問題で、売店も百貨店も小売をしておる場合としては同じじゃないかと思います。ただ、百貨店は大きな資本で統一した経営をやっておるというところに、違いがあるのじゃないか。そこで先刻から、駅の上に百貨店を置くことのいいか悪いかということを、いろいろ御意見を伺いました。地元からも反対の運動もあれば賛成の運動もあって、私ども実はなるべく国民の声を聞きたいということで、どちらもあれしておるのですが、なかなかどうもきめかねて、慎重に考えておるというところであります。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはまことに妙な議論になったのですが、私はこんな議論をやろうと思はぬのです。百貨店と売店とどう違うかという議論をいつまでもやろうと思いませんけれどもこれは私は常識から考えて当然用途変更になるべきものだと思う。これは英語でいえば、デパートメント・ストアでしょう。片方は何々ショップでしょう。全然違うのです。そういうものを、場合によっては、貸事務所として、そこに品物を並べれば百貨店になるというような、こんなばかげたことは、人をばかにしたことだと思います。私、そんな論法にならぬと思いますが、これはそんな論議を、私、しません。しませんが、どうも私は経過について腑に落ちないものがある。  そこで建設省の方にお伺いするのですが、この許可は昭和二十三年の八月十四日に建設大臣の指令第二百八十七号で決定されているのですが、この決定されるまでのいきさつについて御説明を願いたいと思います。経過について。
  129. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 今の御質疑要点は、都市計画決定のことだと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 駅前の広場ですね、七百七十六坪というものを、計画の割当を許可をした。こういうまでのいきさつですね。その決定されたところのいきさつ、経過について御説明願いたい。
  131. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 大体都市計画は建設大臣立案いたしまして、東京都の都市計画審議会に付議いたしまして、その答申をもちまして建設大臣決定することになっております。東京都をそれから国鉄と建設省と協議いたしまして、立案をいたしまして、その線に基きまして付議決定をいたした次第でございます。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 その都市計画整理委員会の委員長はだれですか、その当時は。
  133. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) その当時のことを存じませんですが、二十三年ごろ……。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 その当時の東京都第四復興事務所の第十地区区画整理委員会の委員の名前を一つ、あとから資料として御報告願いたいと思います。名前とそれからその人の経歴ですね。  このときに、この審議一つ資料といたしまして、国鉄の方から、運輸省の方から、あそこは将来上信越線の引き入れをするから、あの前の広場といいますか、前の土地が相当広いものがある。七百七十六坪のものが要るから、ぜひとも割当をしてもらいたい、こういうような申請があって、それに基いてあの区割りを決定した、こういうふうになっているというのですが、それは事実ですか。
  135. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 今の質問もよくわからないのですが、都市計画決定をいたしますのは、区画整理とは関係なしに、広場の必要な面積を決定いたしたわけでございまして、区画整理の方はその後土地の各換地を決定するわけでありますが、換地は、区画整理委員会の諮問を通じまして、その委員会の諮問に応じまして換地を決定いたしたわけでございまして、それは鉄道に対しましては、鉄道の駅部分の土地を鉄道に換地いたした次第でございます。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも説明がわからぬのですが、この七百七十六坪というものを割当するかどうかということを審議される場合に、委員会においても賛否両論があったということを聞いているのですが、その事情についてもおわかりになりませんか。
  137. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 存じないのでございますが、主として東京都がやっておりまして、建設省ではそこまで詳しいことはわからないのでございます、換地関係のことについては。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、その件は後ほど事情のわかる方からお伺いすることにしまして、運輸省の方にお伺いするのですが、あそこの計画は、今現に三十万人あそこに乗降客があるというのですが、非常に混雑をしている。が、しかしながら、その計画の青写真を見ますと、あの狭い通路ですね、あの狭い通路については、今度の換地後においても拡大変更されるような青写真がついていないわけですが、あれはあのままにされるわけですか。そういうことになると、あそこはデパートができると、さらにあそこの混雑というものはひどくなるわけですが、そういうものに対するあなたの方の見解はどういうふうになっておりますか。さらにまた非常に交通が激しくなる、そして新しい建築物がどっと前の方に出っぱってきて、そこで今の電車通りがあの所が非常に狭くなって、ますます交通というものが窮屈になってくる。そういうものと駅との計画関係ですが、大体どういうことになっておりますかということをお伺いしたい。
  139. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) お答えいたします。狭い通路と今お話しでございますが、それはどれをさすのですか私よくわかりませんのですが、とにかく現在あそこに跨線橋がございます。それから地下道もございます。将来——将来と申しますか、近い将来でございますが、地下鉄が入って参りますので、大きな地下道がまん中にできます。それから最近作ろうと思っておりますのは、目白寄りにもまた一本跨線橋を作る。この跨線橋も将来西武の方まで延びるというようなふうに考えております。ですから、あの駅は非常に乗りかえの多い駅でございますから、乗りかえのお客に対しましても、これで十分さばけると思います。また外の方に出るお客に対しましても、これらの通路で十分さばけるのじゃないかと思います。  それから先ほど大倉先生のお話の中に七百坪というお話がございましたですが、七百坪というのは駅本屋の面積でございます。これは駅本屋が二千五百平方米ございますから……。これは駅本屋の面積でございます。これだけあればあの駅本屋なら大丈夫だと、こう思っております。  もう一つ、デパートができたときですが、駅の混雑はラッシュ・アワーできめられますから、普通の駅のラッシュ・アワーとデパートのラッシュ・アワーと時間のすれがございます。普通デパートのラッシュ・アワーは二時前後といわれておりますから、その点時間のずれがございます。それからもう一つ、このデパートによってどれだけお客がふえるかということでございますが、大体ターミナル・デパートは普通の鉄道、乗り物を利用するお客がついでに買っていくという性格のものでございます。ですから、ほんとうのこれができますための純増というのは一割か二割くらい、こういうふうに大体いわれておりますものですから、そう私はふえないと思っております。  それから次は駅の広場の関係でございますが、広場は四千坪ございます。四千坪の計画になっておりますから、これであの辺なら十分じゃないかと思っております。これよりむっと広くいたしますと、これはもう相当また民家その他をいためますしいたしますから、まああの程度の駅ならそれぐらいでよいかと思っております。なお、駅本屋の七百坪は、実は国鉄がうしろに官舎の敷地を持っておりまして、そういう土地と交換いたしまして、そうして得た土地でございます。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 その問題については、あそこのこれは非常に重要な問題だと思いますので、将来の計画と、そして今度の新しい建築が建つところの付近の計画等について、要旨でけっこうでございますから、資料提出していただきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、この建築許可願が出たときに、この相手方であるところの池袋ステーションビル株式会社の資力信用というものでございますか、そういうものについて御調査になっておりますかどうか。
  141. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 民衆駅のあり方につきましては、鉄道会館でいろいろ国会でも問題になりまして、その民衆駅建設並びにその後の運営につきまして、二十九年に民衆駅委員会を設けまして、ただいまお話にもありましたような事柄その他、こういうことを必ず守ってやれという基準がございまして、その一つに建設を承認する相手方という条項がございまして、それにはただいまのお話にありました通り、相手方に資力信用のある者という項目が一つございますので、私どもといたしましては、もちろんそうしたことははなはだ不得手な部門でございますが、民衆駅委員会の委員さんにお諮りし、その他あらゆる国鉄関係の幹部と協力いたしまして、資力信用の調査ということをやっております。しかしながら、なかなかこれは、たとえば国税を調べるとか、あるいは取引先の取引高を調べるとか、そういうようなこともできにくいのでございまして、従来一般社会におきまして相当に実績のあるというような方、またはほかにいやなこととか、そういうようなことのないようなそういういわゆる客観的に一般社会における資力信用というものが中心になることはやむを得ないことではないかと思いまして、そういうものも相当重要なファクターに考えておる次第でございます。その他、できますことはやっております。
  142. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸大臣が衆議院にお出かけになるそうですから、一応国務大臣に対する質問は保留いたしますが、ただ一点だけ国務大臣に伺いたいのですが、ああいうようなものを建てる場合に、先ほど総裁お話しされたように、賛成論者もあれば反対論者もある、こういう場合にやはり反対論者の方の意見も十分聞いて、そうして地元民がほんとうに納得されるようになってからおやりになるのが普通じゃないかと私は思うのであります。これは大体ああいう場合は、賛成論者はこれによって利益を獲得しようと、こういう立場、反対論者は、自己防衛の立場から反対するから、ほんとうに深刻である。片っ方は利益を得ようとする、片っ方はそのことによって自分の生存権を奪われるというように非常に深刻なものでありますから、これはむしろ少数であっても反対論者の意見は十分に聞いて話し合いをしなければならぬと思います。今回のは話し合いがしてあるかどうかわかりませんけれども、かりに、今も穴を掘っておる、穴を掘っておるのだが、しかしながら今後やはり変更する余地があるならば、変更するような考慮をしなければならぬと思う。やはりあすこの駅をほんとうの民衆駅として、あるいは駅の混雑を緩和し、あるいは将来の計画に即応するような設備、建物にしようという場合には、今の設計のままでは将来非常に工合が悪い、あるいは地元との関係もうまくいかない、しかもこれは変更可能な余地があるということならば、再考しなければならぬと私は思うですが、その点について国務大臣はどういうお考えであるか。
  143. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まあ現実に今お話しになりました問題については、先ほど率直に申し上げました通り、まだ見てもおりませんし、私の就任前のこれは問題でありますから、何とも申し上げかねるのでございます。またその法律も、従来の法律がその点について、国鉄の重要な財産の処分についての監督の点が不備であった点もあろうと思いますが、それで今度こういうふうに規定をはっきりいたしましたものですから、先ほど申し上げました通りに、この規定に基きまして、今お話のありましたようなことと同じようなケースが出てくれば、やはり慎重に考えなければならない。また具体的な問題については今私はいい智恵はございませんが、かりにこの法律運用上においてある認可をいたしまして、そうして事業にやったということがありまして、その途中において、今お話のように、認可するときに当初予期しないような事故が起きれば、これは設計の変更なり何なりするのは、それは当然なことだと私は考えております。
  144. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは今の質問を続けますけれども、先ほどの資力信用の調査をする場合に、世間一般のどうのこうのというお話があり、あるいは取引先云々というお話があったのですが、この場合には、池袋ステーションビル株式会社というものが新しくこれはやはりできたものでありますから、これは従来の資力信用の調査とは私は違うと思う。これは明らかに、設立の当時に五千万円ですか、発起人が三千五百万円、一般公募が千五百万円、合計五千万円になって設立をされておるということは、明らかであるから、別に取引先もへちまもないわけです。これが五千万円の資本金をもって設立したのであるが、いよいよ地下一階、地上五階ですか、この申請が来た場合に、この五千万円の会社の内容、実体はどうであったかということをお調べになったかどうか。お調べになったとすれば、この会社がこの許可によって直ちに工事を開始し得るような資産状態にあったかということですね、そういうことはどうであるか。
  145. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 設立された会社は、そのときの資本金は五千万円でございますが、私どもはその会社を構成する役員の方々、その方々がたとえば地元で非常に有力な方である、あるいは地元でどういう役目をしておられる方である、また地元におられなくても地元にどういうつながりのある方である、また中に入ってまとまった営業をされるようなその中心人物は、従来そういう営業に対してどういう経験があるか、また背後にどういう同業の実際の経営のつながりを持っておられるか、そういうことから判断いたしまして、その会社の資力信力をきめる。これはまあ過去でございますが、私、そのとき関係したわけではありませんが、そういう建前でやったと私は存じております。  それからそういう会社を作って二十何億の事業をやることはどういうふうに考えたか。これは大体大きく分けまして、民衆駅の構想は建設関係に一番たくさんの資金を投入いたします。しかも、その期間は大体において収益がないものでありますから、この間を確かにやり遂げるかどうかということが一番私どもといたしましては大切なところでございまして、そのために建設資金の内容の検討はいたします。それからまた場合によっては、もちろんそれに関係のある銀行のいろいろな保証関係というようなこともできるだけつきとめまして、建設が確かにできるということを確認する次第でありまして、その次の段階といたしましては、建設が終ってから移行しまする営業であります。その営業の収支のもくろみというものの概要をとりまして、その詳細な個々の数字が疑問がありますれば、相手方を呼んで、いろいろと疑問の点を納得いくまでお伺いするようにいたしておるわけでございまして、池袋の建設につきましては、そういうことをチェックいたしまして、今日に至ったわけでございます。
  146. 大倉精一

    ○大倉精一君 許可のおりたのは二十七年の四月一日なんですが、このときに準備発起人会ですか、準備委員会ですか、そういうものの何といいますか、資産、資金状態といいますか、それから果してこれを許可して工事に取りかかれるようなそういう能力があるかどうか、お調べになったんですね。銀行もお調べになった。その場合にお調べになった結果はどうでありましたか。それをお調べになったのはいつ頃でありますか、どこの銀行でしたか。
  147. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) ただいまの御質問は二十七年でございますか。
  148. 大倉精一

    ○大倉精一君 許可になっておりますね。許可される前にそういうことをお調べになったというのですが、銀行はどういう銀行であったか、お調べになった状況はどういう……。
  149. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 二十七年の申請のときに検討しました内容につきましては、ただいま持ち合せがないのでございます。
  150. 大倉精一

    ○大倉精一君 覚えておりませんか。
  151. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 私はその当時関係しておりませんでしたので、覚えてはおりません。
  152. 大倉精一

    ○大倉精一君 関係しておられぬ、——その当時に関係しておられた方のお名前はおわかりになりますか。直接に担当し、調査された方。
  153. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) ただいまはっきり明確な責任者は覚えてはおりません。
  154. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、その当時の直接関係担当者の名簿を一つ、参考書類としてお出し願いたい。  もう一つお伺いしておきますが、その後において、昭和二十九年に譲渡変更の許可になったのですが、そのときに丸物がここに出てくるということが決定されて、この規模も地下三階、地上八階になったわけですが、この丸物を引っぱってくるまでの経緯については御存じございませんか。
  155. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 国鉄といたしましては、ただいま申し上げましたように、池袋ステーションビル株式会社を直接相手としていろいろな契約を結ぶわけでございまするが、もちろんその中に入って、しかも非常にたくさんの不動産を占有して、実態的には丸物が百貨店をやるということは、もちろん鉄道としても、これは直接関係のあることでありまして、承知はしておるのでありますが、国鉄が直接関心を持ちますのは、百貨店をやるというようなこと、あるいは百貨店であるかどうかというようなことと、それから先ほどから申し上げておりますように、その営業が成り立ってこちらの所定の料金が入るか、それからまた将来のいろいろの変更の場合に鉄道のいろいろつけてある条件を相手が協力して聞いてくれるかどうかというようなことでありまして、丸物を入れろとか、あるいは丸物であってはいけないとかいう、いろいろ個々の業者を鉄道が一緒になって選択するというような立場はとらないのでございまして、そういう意味において、池袋ステーションビル株式会社が百貨店をやるのだが、実際その中に入るのは丸物である。その丸物は、先ほど申し上げましたような資力信用は十分ある、こういうようなことは鉄道調査もいたし、承知したのでありますが、どういういきさつで丸物が入ったか、そうしたことの具体的な事実に応じた内容は、鉄道としては関知しないのでございまして、従いまして、こまかい具体的な内容は存じ上げません。
  156. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは国鉄があそこに民衆駅を作って、膨大なものを作る。将来いろいろな影響がある、これが。資力信用というものを調査する、それがためにですね。そういう場合には、相手方を千分知っておらなければ、資力信用調査にはならぬと思う。そういういきさつは知らぬ、これは知らぬ、丸物ならいいだろうということだけでは、私は調査は非常にずさんであると思う。私の聞いておるところによるというと、あなたの方へ申請されるまでに、この五千万円というものは運動費に使っちまって、なくなっちまった。なくなっちゃった。だからして、どこかで探さなければならぬということで、方方物色した結果、丸物という、これは失礼な話だが、京都でもあまり一流の百貨店でもないこれを引っぱってきて、一億円というものを増資して、やっと工事をはかるような格好になったということを聞いておるわけです。こういうような事情は御存じないはずはないと私は思うのですが、そういうようなことを全然知らなかったということでは、私は資力信用を調査したということにはならぬと思う。その間のあなたの方の先ほどの答弁は、隔靴掻痒の感ですね、何か中心に触れないものがあって、どうもぴんと来ないところがある。御存じないですか、そういういきさつは。
  157. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) いきさつの詳細は存じ上げないと申し上げたのでありまして、鉄道が相手方の会社と一緒になって、だれを入れようかというようなことをこまかに相談にあずかる建前でもなし、従いまして、具体的な詳細のいきさつは国鉄としては承知しないのでありまするが、丸物が入る交渉を持っておる、それがある程度順調に進んでおるというようなことで、もちろん先ほどから申し上げておる、丸物がいかなる資力信用があるかということは、国鉄にとってもこれは重大なことでございますので、丸物に対する調査は十分にしたわけであります。  それからただいまのお話のように、この五千万円をほとんど使っちゃったとかどうとか、こういうようなことにつきましては、もちろん相手方の会社のそういう資金の内容の変遷というものは、必要に応じ提出を求めて、こちらが検討できるようになっておりまするので、ある程度、たとえば操業関係の経費が多少よけいにがかったとかいうような話は、もちろん聞いております。しかし五千万円使ったかどうか、それがその穴埋めに丸物を引っぱったんであるかどうか、そういうような立ち入ったことにつきましては、聞いておりません。
  158. 大倉精一

    ○大倉精一君 この工事にかかったのが昭和三十一年の二月中旬から大林組がかかっておるのですが、これを認可されたのはいつですか。許可ですか、許可というのですか、認可ですか。
  159. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) この細目協定という段階がございまして、一月の二十一日に細目協定が、大体東京工事事務所並びに東京鉄道管理局、そういう現場の地方機関と相手方と案が仕上りまして、上申が参りまして、三十一年の二月の七日にその上申を本庁といたしまして承認いたしておりまして、これが大体着工し得る認可ということに相なります。
  160. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは設計あるいは用途の変更の許可をされたのは、三十年の三月じゃなかったですか。
  161. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 先ほど設計表更の出願の日にちを申し上げましたが、出願はずっと前に出ておりまするが、これを具体的に折衝に当りまして検討いたすのは地方機関でありまして、東京工事事務所というようなところが主になって、東鉄と一緒になって検討いたしまして、それが三十年の三月に本庁へ上申になっております。その後、本庁でそれを検討いたしまして、三十年の十一月四日にその設計変更に対する承認を本庁といたしましてはおろしております。
  162. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、この建築の許可願いが二十九年の十一月二十一日に出ている。その許可が同年の十二月二十八日の御用納めの日に許可になっている。この許可はどこの許可になっておりますか。
  163. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) そのおそらく許可は、東京都の許可じゃないかと思います。
  164. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、これは東京都が許可をして、それをもう一回運輸省なり国鉄が許可をする、こういう手続になるわけですか。
  165. 佐藤輝雄

    説明員(佐藤輝雄君) さようでございます。東京都は建築基準法その他に照らしましての許可を与えますし、私の方は駅の施設といたしまして差しつかえないかどうかということを検討した上、許可することにしております。
  166. 大倉精一

    ○大倉精一君 きょうはこれは担当の方がおいでにならぬので、詳しい状況はどうもわかりかねているんですが、総裁一つお伺いしたいと思うんですが、あそこにああいう大きなデパートができますと、先ほど言ったように、四つのデパートができることになるわけなんです。で、これは面積にいたしましても、四つのデパートによって四万三千坪。ところが、あそこの豊島全区域の小売商の総面積が二万二千坪というような統計を私は聞いているんです。半分なんです。四つだけで倍になってしまう。こういうようなことで、しかもデパート間の競争が非常に激烈であり、それがひいては地元の商工業者に非常な影響を与えていて、非常に大きな問題になっているんですが、こういう問題について、総裁として、あの建築について再考慮を払われる用意はないかどうか。たとえば今地下を掘っておりますけれども、私の考えでは、あれをやめさせることにはいかぬと思いますけれども、地下は地下といたしまして、地上の建物について、駅前の交通等も勘案しながら、再度設計変更ということをするというようなお考えはおありになりませんか。考慮するという余地はございませんか。
  167. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今お話のありましたように、賛成も反対もあって、あそこにデパートができると、池袋はかえって繁栄するから、方々から買いものに来るお客も出て来るだろうから、繁栄するから、ぜひやってほしいという意見もあるのでありまして、その賛成と反対と両方の意見を聞いて、反対の方も多くの方が納得して、それで私はあそこの工事が始まったように承知をいたしているのであります。今日となってこれを設計を変更をさせるということは、非常に困難じゃないだろうかというふうに考えておりますが、何か非常な変化でもあればまた別でありますが、そうでない限りは、ちょっと困難じゃないかと思います。今のところ、私はそういう考えを持っておりません。
  168. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは総裁が現地をごらんになっていないから、私はぴんと来ないと思うのですが、このケースは、国鉄の民衆駅問題のケースのうち、非常に重要なケースだと思うのですから、ぜひとも一つ現地を総裁がごらんになってもらいたい。それで賛成の方は何か、あそこに百貨店ができれば人あしがしげくなって、おれのうちに入るという人もあるかもしれませんが、それはデパートの近所の商店です。デパートから百メートルか百五十メートル離れた所の商店は、全くこれはさびれるのです。さびれるのですから……。この実情を、まず一つよく、総裁みずから見てもらいたい。それからあそこに、現実にちょうど、何といいますか、ニューヨークのビル街に行ったようなもので、非常に大きなものが建って、あの所が谷間になっているのです。そういうような設計を国鉄みずからやっていいものか悪いものか、私が説明するまでもなく、見ていないなら、総裁はいま一応あそこの所をごらんになっていただきたい。そしてもう一度、今からでもおそくないから、もう一回地元の反対者、賛成者の意見をよく聞いてもらいたい。賛成者、反対者の意見をお聞きになるお考えはありませんか。
  169. 十河信二

    説明員(十河信二君) 今までも、賛成の意見も反対の鷲見も、相当十分に聞いているつもりでありますが、なお今後も機会があれば、また聞く意思は持っております。
  170. 大倉精一

    ○大倉精一君 機会があればというのですが、私はぜひそれをやってもらいたいと思うのです。あそこを見て、必ずしも地上の部面に対しては設計変更できないものではないと私は思う。先ほども運輸大臣もおっしゃったのですが、そういうような問題については再考慮しなければならぬものはする、こういうような発言があったように思うのですが、総裁とされましても、あすこを目を通してもらって、そしてこのデパートを抜きにしましても、あすこの駅の設計あるいはその駅前の交通量その他を勘案して、これでは設計に変更をしなければならないというところに私は必ず思い当られることだと思います。それからかりにデパートを抜きににしても、あすこは一ぺんごらんになる必要があると私は思います。  委員長、この問題については、さらにこの次の委員会におきまして所要の方に来ていただいて、資料も出していただいて、もう少し検討をしていただきたいと私は思います。追及というよりも、むしろもう少し検討をしてみたいと思いますので、次回まで一つ保留しておきます。
  171. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 委員長から、ただいまの国鉄説明を聞きましても、資料あるいは調査等がまだ十分でないように思います。その他も、せっかくの御質疑に対して非常に要領を得ていないように思いますから、次回には十分勉強をして、非常に問題になっておることは御承知のはずですから、そのために建設省にも来ていただいたのでありますので、大倉委員質疑に的確な御答弁ができるように、資料も十分準備していただきたいと思います。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。  暫時休憩をいたします。    午後一時四十四分休憩      —————・—————    午後三時一分開会
  173. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  委員変更を報告いたします。五月八日安井謙辞任鶴見祐輔補欠、山縣勝見君辞任石坂豊一補欠選任せられました。     —————————————
  174. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  175. 片岡文重

    片岡文重君 ただいま上程されております日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、若干の意見を付して賛成いたします。  国鉄経営は最近はなはだ困難な状態であると思われますが、前途の見通しもまた必ずしも明るいわけではないと思うのであります。国鉄のこのような現状は、戦争後における経済事情の激変にもよりますが、流動しつつある経済事情に即応して、常に遺憾なきを期し得る体制が法制上、機構上整備されておらない。加えて人事管理の不均等、特に学歴偏重による学閥の抗争、幹部職員の経営に対する熱意不足等が相重なって、このような状態に相なっているものと考えられるのであります。言うまでもなく、国鉄はもはや交通界における独占事業ではなくなりつつあり、航空機自動車、船舶の発達等に対処して、交通経済国鉄の負担すべき領域をすみやかに確立し、よってもって百年の大計を樹立するところがなければ、国鉄経営は将来ますます困難の度を加えるだろうことは明らかであると言い得ましょう。先般行われた国鉄経営調査会においても特にこれらの諸点については国鉄の注意を喚起しておったところであります。  従って、今次国鉄法改正に当っては、当然これらの諸点を勘案して、運賃法財政法公労法等関係諸法規との関連についてはもとより、経営上障害またははなはだしい不便となっておる法制上の問題点や、財政投融資、利子負担、過小資本金及び予算における制約等についても、可急的慎重に検討を加えて、この際は抜本的な改正を行うべきであったと思うのであります。しかるに、今回の改正は、国鉄経営調査会答申をかなり尊重して行われたことは認めますが、なお現行にとらわれ過ぎて、重要な諸点の検討にいま一歩の突っ込みがほしかったのではないかと思われるので、衆議院における付帯決議の取扱い等をも含めて、自主的な経営の責任を負うに十分な組織をすみやかに確立し得るよう、さらに政府の善処を要望して、本案に賛成したいと思います。
  176. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  178. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     岡田 信次  片岡 文重     早川 愼一  有馬 英二     石坂 豊一  川村 松助     仁田 竹一  三木與吉郎     内村 清次  大倉 精一     高良 とみ     —————————————
  180. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  内村委員より乗車証に関し質疑の通告がございますので、発言を許可いたします。
  181. 内村清次

    ○内村清次君 国鉄小倉総裁にお尋ねをいたしますが、先般、日本国有鉄道経営調査会からの答申の中に、国鉄職員の無賃パスの点が答申されておったように記憶されますが、この取扱いにつきましては、当然国鉄の方におきましても、それぞれ関係の向きにおきまして、検討がなされておると思いますが、私も実は部内的な人々から、非常に、反響のあまりに大きい点を関知したわけです。それは第一点は、まず家族乗車証の問題、あるいは永年勤続者の退職後におけるところの無賃パスの問題ですね、こういう問題につきまして、それぞれ関係者は非常に、明らかに動揺しておるように感じられまするが、すでにこれは既得権とも認められるべき点ですが、どういう取扱いを今後国鉄の方ではなさろうと考えておるのか、その点一つ聞きたいと思います。
  182. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまお話がありました通りに、経営調査会答申は、国鉄の運営あるいは事務諸般にわたりまして、種々の点においていろいろの点の御指摘を受けております。その中にパスの問題がございまして、鉄道で発行している無賃乗車証は原則として廃止すべきものであというふうな御意見が述べられております。で、その理由はいろいろな理由があるのでございましょうが、一つは、運賃収入の点もございましょうし、あるいは国鉄という公けの機関におきまして一部の者にパスを出しているのは不公平だというふうな御意見もあったかに承かるのでございまするが、何はさておき永年続けて参りました制度でもございますし、また今御指摘通りに、始終大きな問題ともなっておりまするので、この点に関しましては国鉄当局としまして慎重に研究もし、またほかの意見も徴しまして、十分善処いたしていきたい、かように考えております。
  183. 内村清次

    ○内村清次君 この問題は、私たちもまた鉄道に勤めておりました際にも経験がある問題でございますので、当時まあ、戦前戦後を通じまして、鉄道の要員事情が非常に逼迫しておるというようなときには、一応こういう点に魅力を持って、そして家庭の方もその子弟を鉄道に就職させるというようほことも、一つの条件的な問題としてあったように記憶されておるのです。それが今直ちに、経営合理化の名によって廃止をするようなことになってきますれば、待望されておった永年パスの問題にいたしましても、また家族パスの問題にいたしましても、相当何と申しますか、勤勉意欲と申しますか、そういう点において影響することが多くはないか。さらにまたいま一つは、この国鉄の従業員のたとえば仕事内容、と申しますると、質と量とそれからまた危険度というものが、相当他の職に対しまして強いというふうに感じられますが、そういうような危険職、重労働職という問題の職に対しましての一つの魅力を失うような形となって、相当反響があっておるようです。問題は、この既得権を今ここに廃止をするというようなことは、これは慎重に考えていただきたい。  で、この慎重に考える面については、もう、うわさに聞きますと、労働組合の方にも話しかけておるということでございましょうから、十分やっぱり労働組合の意見も聴取した上において、検討するというような処置を私は希望いたすかけです。それが第一点です。これに対しまして一つ答弁を願いたい。  それから第二点は、永年勤続者の問題ですけれども、おやめになって、これが一つの生活の本拠になっているようなふうに、利便を持っておられる方方もあるようです。それと申しまするのは、やはり鉄道退職者においては、永年と申しまするか、半生と申しまするか、人生の半生を勤めて、必ずしもいい条件でまたさらに社会の方に出られたというようなことはないように考えるのですね。それは特別の人は別ですけれども、全体的におきまして、そうやった方々がやはり一つの生活の本拠としてこれを利用されておる向きもあるようですから、この点はやはり社会問題である、あるいはまたは生活権の問題であるという点も十分お含み願いまして、慎重に一つ検討してもらいたいという希望を持っておるのですが、この二つの点に対しまして、副総裁の御意見を承わりたいと思います。
  184. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ごもっともな御意見と存じます。ただいまお話しの、国鉄に入りますれば、自分の通勤パスはもちろんのこと、家族パスも出るということが、かつて鉄道に入ってくる人の魅力になっておったということも承知しております。それから永年勤続者が退職いたしまして、勤続年数に応じたそれぞれのパスをもらいまして、それが現在退職後の生活の一助ともなり、暮しの中に溶け込んでおるということも承知いたしておるのでございます。ただ、また反面から申しますると、先ほどもちょっと申し上げました通りに、鉄道は公けの機関であるから、その鉄道の利用は、本人は別として、家族にまで及んでいいか、あるいは退職者まで及んでいいかという点につきましては、また一部の方から御批判ふこうむっているような次第であります。よく私ども聞きます例といたしまして、鉄道は、たとえばほかの公社におきまして、専売局の職員はタバコをただ吸えるか、また郵政職員は郵便をただで出せるかというような例を引かれまして、国鉄でも無賃乗車証の発行は自粛すべきではないかというふうな御意見も承わる次第でございます。それで、まあしかし、国鉄は従来そういう制度をしいて参りましたので、そういうことが一つの慣性になっておる点は、これまたいなめないことだと存じます。  それで、かようにまあ二つの要請がございまして、私どもとしては種々この処置については、非常に苦慮いたしておるのでございまするが、ただいまのお話のように、職員の家族パス及び永年勤続者の無賃乗車証の取扱いにつきましては、十分慎重に考慮いたしまして、全部の御満足ということはこれはできませんですが、できるだけその調和をとって善処いたしていきたいと存じます。またこの職員一般に関しまする大きな問題でございますから、ただいまお話がありましたように、労組の方にもよく懇談をし、意見を徴して参りたいと存じます。先般ちょっと新聞にも出ましたが、このパスの問題のみならず、国鉄種々の問題につきまして、労組との間に懇談会の場を作りまして、そこでもうすでにいろいろ相談もしておりまするし、また今後も相談していきたい。従いまして、このパスの問題につきましても、十分懇談して、無理がないようにいたしていきたいと、かように考えております。
  185. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  186. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて下さい。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時二十二分散会