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1956-08-11 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第50号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年八月十一日(土曜日) 午前十一時十四分
開議
出席委員
委員長代理
理事
吉川
久衛君
理事
笹山茂太郎
君
理事
白浜 仁吉君
理事
助川 良平君 安藤 覺君 石坂 繁君 大野 市郎君 小枝 一雄君 綱島 正興君 原 捨思君 本名 武君
松浦
東介
君
赤路
友藏
君
足鹿
覺君
淡谷
悠藏
君
伊瀬幸太郎
君 稲富
稜人君
石田 宥全君 小川 豊明君
神田
大作君
芳賀
貢君 平田 ヒデ君 久保田 豊君
委員外
の
出席者
農林政務次官
大石 武一君
農林事務次官
清井 正君
農林事務官
(
大臣官房長
) 永野 正二君
農林事務官
(
農林経済局統
計
調査部長
)
野田哲五郎
君
農林事務官
(
農地局長
)
安田善一郎
君
農林事務官
(
農地局管理部
長) 立川
宗保
君 農 林 技 官 (
農地局建設部
長)
清野
保君
農林事務官
(
振興局参事
官) 庄野五一郎君
農林事務官
(
食糧庁総務部
長) 河野 恒雄君
林野庁長官
石谷 憲男君 専 門 員 岩隈 博君
—————————————
八月十一日
委員田中利勝
君及び
川俣清音
君辞任につき、そ の補欠として
足鹿覺
君及び
芳賀貢
君が議長の指 名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
水害
による
農林災害対策
に関する件
農地開発機械公団
に関する件
小作地返還
に関する件 甜菜に関する件
農業共済保険金
の運用に関する件
商工委員会
に申入れに関する伴
—————————————
吉川久衛
1
○
吉川
(久)
委員長代理
これより
会議
を開きます。 本日は、まず先般の
水害
による
農林災害
について
調査
を進めます。本問題につきましては、さきに
水害
による
農林災害
に関する小
委員会
を
設置
して、その
被害状況
及び
対策
を
調査
して参りましたが、この際小
委員長
より
報告
を求めることにいたします。
松浦東介
君。
松浦東介
2
○松浦(東)委員 それでは、私から本委員会に設けられました水害による
農林災害
に関する小委員会の経過及び結果につきまして御報告を申し上げます。 去る七月、東北、
北陸地方
に発生いたしました水害による
農林水産業関係
の災害につきまして、委員会から山形、宮城、福島、新潟、石川等の各県に対し、三班の現地調査の委員が派遣され、八月一日その報告を聴取いたし、また被害県及び
中央農業団体
から参考人を招致して、
被害状況
の説明、対策に関する要望等を聞いたのでありますが、委員会としても、引き続きそれに対する対策を具体的に樹立しますために、特に水害による
農林災害
に関する小委員会が設けられ、私の外十名の小委員が指名されましたことは、
委員各位
の御承知の通りでございます。この決定に基きまして、わが小委員会としましては、八月二日、三日及び十日の三日間にわたり会議を開催し、また数次にわたり懇談会を開いて調査を進め、対策を協議して参ったのであります。 今、小委員会における審議の経過並びに結果の概要について、大略を御報告申し上げます。 まず、八月二日には農林省の各局の担当者の出席を求め、過去の水害に対してとられた諸対策を基礎とし、今回の災害の特殊事情を勘案しつつ具体策を協議いたし、三日並びに十日には農林、大蔵、建設、厚生、通産及び自治庁など、各省庁の担当官に対して質疑または意見の交換を行い、対策要綱のとりまとめを行なったのでございますが、その結果小委員会としましては、今回の水害による
農林水産関係
の被害は、八月十日までに
統計調査部
に集計された数字は、農産物のみでも二十一億六百万円に上り、農地、
農林業施設等
については、損害の査定が終っておりませんが、地域的にも相当広範囲にわたり、かつ局部的にはきわめて激甚でありまして、
被害農林漁家
に対しては早急に最大限の対策を講じなければらぬという結論に達し、本委員会において次に申し述べるような決議をいたしまして、この決議の実行方を強力に政府に対して要求すべきものであるということに意見の一致を見たような次第でございます。 決議案はお手元に配付させておきましたが、これを朗読し、なお問題となった事項について若干の補足的な説明を申し上げます。 東北及び北陸等における昭和三十一年六月、七月及び八月の
水害等対策
に関する件(案) 過ぐる六月、七月及び八月、東北及び北陸等に発生した水害等は、農作物、農地、
農業用施設
、
林業用施設等
に対し、局地的には未曾有の激しさをもって、農山漁家に損害を与えている。 よって、政府は、左記各項の方途を講じ、
農林漁業生産力
の確保及び
農山漁家経営
の安定を図るべきである。 なお、六月及び七月の栃木県、茨城県、千葉県、岐阜県、愛知県及び岡山県等に発生した降雪による
農林水産業
の被害に対しても、右に準じて措置すべきものとする。 記 一、
応急措置
として、農地及び
農林水産業施設
の
災害復旧
のため、
地方公共団体営
のものについては
簡易生命保険
及び
郵便年金
の積立金より、
つなぎ融資
又は
短期融資
を行う。外、
農林漁業金融公庫
より
融資措置
を早急に講ずる。
償還期限
は三ケ月以内、利率は日歩一銭八厘以内となるよう措置する。 二、「天災による
被害農林漁業者等
に対する資金の融通に関する
暫定措置法
」に基き、迅速に、
経営資金
(
炭がま構築資金
を含む)の貸付けを行う。 被害激甚な地域に対しては、政令による
地域指定
を行い、
貸付利率
を三分五厘とする。
累年災害
を受けた農家に対しては、本法により借換資金の貸付けを行う。 三、
被害農家
に対し速かに共済金の仮払いを行わしめるため必要に応じ、
農業共済基金
より
農業共済組合連合会
に対し仮払資金を融通するに必要な
財源措置
を講ずる。 また、夏秋蚕の
掃立不能
及び九割以上の水陸稲の
被害農家
に対しては、
農業共済
再
保険特別会計
より早期に
概算払い
を行う。 四、災害を受けて困窮が著しく、自作農の維持困難となった者に対しては、「
自作農維持創設資金融通法
」による第二条第四号資金を、
農林漁業金融公庫
の
自作農維持創設資金枠
を拡大し、優先的に貸付ける。
償還期限
は三年据置、二十年以内、利率は年五分とする。 五、被害を受けた
開拓農家
に対する
融資措置
については、特別の配慮を加えるとともに、この
さい開拓地
の
災害対策
を根本的に再検討する。 六、農舎、畜舎、
堆肥舎等個人施設
の被害については、
農林漁業金融公庫
の
主務大臣指定災害
の枠より
復旧資金
を融通する。 七、農作物、桑、果樹等の
減産防止
に要した農薬、
病虫害防除用機具等
の
購入資金
につき左の
国庫補助
を行う。 1. 水陸稲及び桑の
病虫害防除
に要する農薬代については、
冠水面積
を基準として算定した一回撒布分の額の二分の一を目途として補助する。 2.
病虫害防除機具
の購入費の一部を補助する。 3.
家畜伝染病予防
に必要な経費の一部を補助する。 八、
被害地域
の稚
蚕共同飼育
又は稚
蚕共同桑園
の設置に必要な経費の一部を補助する。 九、
被害激甚農家
に対して
転作用種子
及び
明年度用種もみ
又は種ばれいしょの安売の措置を講ずる。 十、
蚕業技術員
、
農業改良普及員
、
農業共済団体職員
、耕地又は
山林関係
県職員及び
統計調査職員
の活動等に要する経費を増額する。 十一、「
農林漁業施設災害復旧事業費国庫補助
の
暫定措置
に関する法律」及び「
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
」に基き、農地、
農業用施設
、
林業用施設
、
山地砂防施設
及び
共同利用施設等
の
災害復旧事業
を早期に完了する。
緊急災害復旧事業
については、政令の定めるところにより、三ケ年以内に完了するよう
予算措置
を講ずる。
耕地流失
、
土砂岩石
の流入等により荒廃に帰した
被災地域
については、
被災農家
の
農業経営
上真に已むを得ない場合には、反当事業費の限度までは
災害復旧事業
を実施し得るよう措置する。
災害復旧事業
と関連して施行する
耕地整備事業
については、
災害復旧事業
と同一の補助率を適用して行う。 堤外にある
民有農地
についても
一般農地
の例により
災害復旧
を行うはもちろん、今後の民生安定のため、この
さい根本対策
を樹立する。 十二、
公共施設
又は
個人施設
の
災害復旧
に使用する木材については、民有林野から、それぞれ
減価譲渡
又は特売を行う。 十三、農地、
農業用施設等
に
潰滅的打撃
を受け他に
現金収入
の乏しい農家に対しては、
救農土木事業
を実施しこれを救済する。 十四、
被害農家
にかかる米穀の
事前売渡申込数量
の
減額変更
に伴う前渡金の返納に要する資金を
希望農家
に対し貸付け得る措置を講じ、併せて前渡金の
返納遅延
による
利子負担
の軽減又は免除について考慮する。 十五、河川の敷地の
流失埋没
により粗飼料が著しく不足する
有畜農家
に対しては、
食管特別会計
の所有にかかる飼料をすみやかに放出する。 十六、
災害農家
については、申請による
予定納税額
の
減額等所得税
の
減免措置
を講ずる。 十七、
災害復旧事業
に使用する機械に要する軽油の引取税について、 政令を改正し、
免税措置
を講ずる。 十八、被害県及び市町村の今次災害による税収入の激減と
支出増加
に対処し、
地方特別交付税
を早期に概算交付するとともに、起債の
特別措置
を講ずる。
地方財政再建促進特別措置法
の
適用対象
となる
地方公共団体
については
公共事業費
に対する制限を緩和する等、
再建計画
を再検討し、別途いかんなき対策を樹立する。 わが小委員会としましては、七月に発生した水害のみについて一応その対策を検討して参りましたが、六月に九州等に水害があり、また八月には東北、北陸に引き続いて水害が襲っており、当然これらをすべてこの対策の中に包含し得べきであるとの意見のありますことを付言しておきます。 一、
応急措置
として、農地及び
農林水産業施設
の
災害復旧
のため、
地方公共団体営
のものについては
簡易生命保険
及び
郵便年金
の積立金より、
つなぎ融資
又は
短期融資
を行う外、団体営のものについては
農林漁業金融公庫
よりの
融資措置
を早急に講ずる。
償還期限
は三ケ月以内、利率は日歩一銭八厘以内となるよう措置する。 この項目のうち、団体営の
災害復旧事業
についての
応急資金措置
でありますが、これはまず
農林漁業金融公庫
より融資し、国より補助金が交付されましたとき返済するよういたしたいのであります。この際
公庫融資
の利率は一銭五厘程度を考えております。 二、「天災による
被害農林漁業者等
に対する資金の融通に関する
暫定措置法
」に基き、迅速に、
経営資金
(
炭がま構築資金
を含む)の貸付けを行う。 被害激甚な地域に対しては、政令による
地域指定
を行い、
貸付利率
を三分五厘とする。
累年災害
を受けた農家に対しては、本法により借換資金の貸付けを行う。 この
天災融資法
については、政令による
地域指定
は八月上旬までの水害とすることにいたしたいのであります。 三、
被害農家
に対し速かに共済金の仮払いを行わしめるため必要に応じ、
農業共済基金
より
農業共済組合連合会
に対し仮払資金を融通するに必要な
財源措置
を講ずる。 また、夏秋蚕の
掃立不能
及び九割以上の水陸稲の
被害農家
に対しては、
農業共済
再
保険特別会計
より早期に
概算払い
を行う。 四、災害を受けて困窮が著しく、自作農の維持困難となった者に対しては、「
自作農維持創設資金融通法
」による第二条第四号資金を、
農林漁業金融公庫
の
自作農維持創設資金枠
を拡大し、優先的に貸付ける。
償還期限
は三年据置、二十年以内、利率は年五分とする。
自作農維持創設資金融通法
による
資金ワク
については、未決定分が九億円あり、さしあたってこのワクのうちより支出することは何ら差しつかえないとしても、本法の成立のゆえんを考えますと、法自体が災害に対処することを大きな目的の一つとしておるので、別途に
資金ワク自体
の増額をすることは当然のことであり、この点政府に対し要望いたすものであります。 五、被害を受けた
開拓農家
に対する
融資措置
については、特別の配慮を加えるとともに、この
さい開拓地
の
災害対策
を根本的に再検討する。 すなわち
開拓農家
に対する措置については、
償還期限
を五カ年とする等、特に優遇するはもちろん、根本的には
中期資金
たる
開拓者資金
に乗りかえ、あるいは
累年災害
を受けた
開拓農家
については旧債を切り捨てる等の対策を要望するものであります。 六、農舎、畜舎、
堆肥舎等個人施設
の被害については、
農林漁業金融公庫
の
主務大臣指定災害
の枠より
復旧資金
を融通する。 この点については、
農林漁業金融公庫
の
主務大臣指定ワク
が三億円あり、その中よりとりあえず支出するわけであります。 七、農作物、桑、果樹等の
減産防止
に要した農薬、
病虫害防除用機具等
の
購入資金
につき左の
国庫補助
を行う。 1. 水陸稲及び桑の
病虫害防除
に要する農薬代については、
冠水面積
を基準として算定した一回撒布分の額の二分の一を目途として補助する。 2.
病虫害防除機具
の購入費の一部を補助する。 3.
家畜伝染病予防
に必要な経費の一部を補助する。 このうち農薬の件については多少問題のあるところでありまして、大蔵省としては
補助金等適正化法
上の問題もあり、個々の農家の損害を補償するための補助金の支出はできがたいような趣旨でありましたが、しかしながらわれわれとしては、
減産防止
のための農民の犠牲及び努力に対しては、あくまで国はこれを補償し、増産を奨励すべきものであるという立場に立って、これが支出を強く要望するものであります。ただし支出の方法については総合的かつ効率的に行い、補助目的の達成について遺憾なからしむべきであると存ずるものであります。なお今後この種の補助金の支出については、農政と財政との調整について根本方針を確立すべきものであると考えます。 八、
被害地域
の稚
蚕共同飼育
又は稚
蚕共同桑園
の設置に必要な経費の一部を補助する。 この点は春の凍霜害の場合に準ずるわけであります。 九、
被害激甚農家
に対して
転作用種子
及び
明年度用種もみ
又は種ばれいしょの安売の措置を講ずる。
転作用種子
でありますが、現在行なっている方法では、市価の約三割安となるはずでありますが、
明年度用種もみ
または
種バレイショ
については、その現物の確保に行政上遺憾のない措置をとるという政府側の説明でありましたが、委員中よりその安売りについても善処すべきであるとの強い要望がありました。 十、
蚕業技術員
、
農業改良普及員
、
農業共済団体職員
、耕地又は
山林関係
県職員及び
統計調査職員
の活動等に要する経費を増額する。 十一、「
農林漁業施設災害復旧事業費国庫補助
の
暫定措置
に関する法律」及び「
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
」に基き、農地、
農業用施設
、
林業用施設
、
山地砂防施設
及び
共同利用施設等
の
災害復旧事業
を早期に完了する。
緊急災害復旧事業
については、政令の定めるところにより、三ケ年以内に完了するよう
予算措置
を講ずる。
耕地流失
、
土砂岩石
の流入等により荒廃に帰した
被災地域
については、
被災農家
の
農業経営
上真に已むを得ない場合には、反当事業費の限度までは
災害復旧事業
を実施し得るよう措置する。
災害復旧事業
と関連して施行する
耕地整備事業
については、
災害復旧事業
と同一の補助率を適用して行う。 堤外にある
民有農地
についても
一般農地
の例により
災害復旧
を行うはももろん、今後の民生安定のため、この
さい根本対策
を樹立する。 これは暫定法の対象となっております一カ所の工事の範囲でありますが、一カ所の工事とは、字句の通り独立した一つの個所であることはいうまでもありませんが、十万円未満の工事が点々と連続して、これを合計すれば相当の額に達する場合もあり、また施設によっては分離施行することが困難または不適当な場合も多いのでありますから、これらの場合は一カ所の工事とみなすこととしたのであります。一つの施設の場合としましては、イ、災害にかかった個所が五十メートル以内の間隔で連続しているものは、各種工事ことに当然一カ所の工事として施行し得る。口、災害にかかった個所が五十メートルをこえる間隔で連続しているものにかかる工事で
当該工事
を分離して施行することが
当該工事
の効用上困難または不適当なものは、やはり一カ所の工事として施行できる。 次に二以上の施設の場合でありますが、工種の異なる施設であっても、同時に災害を受けた場合には
当該工事
を分離して施行することが、
当該工事
の効用上困難または不適当なものは一ヵ所の工事とみなして取扱うのであります。また
災害復旧事業
の反
当り事業費
の限度については、
農林漁業施設災害復旧事業国庫補助
の
暫定措置
に関する
法律施行令
の解釈上、
被害農家
の要望に沿って、できるだけ有利なる取扱いを行うように措置することとしたのであります。 十二、
公共施設
又は
個人施設
の
災害復旧
に使用する木材については、国有林野から、それぞれ
減価譲渡
又は特売を行う。
国有林産物
の
減価譲渡
については、
国有林野事業特別会計
の管理に属する物品の無償貸付及び譲渡等に関する省令の第十五条により、譲渡を受け得る条件は、一、
国有林野所在市町村
及び
隣接市町村
、二、
災害救助法適用地
、三、
公共用緊急施設
、四、必要数量の三分の一、以上のようなわけでありまして、この場合には五〇%以内の
値引き販売
が認められております。また個人の場合には予決令に基き、随意契約を行うとの趣旨であります。 十三、農地、
農業用施設等
に
潰滅的打撃
を受け他に
現金収入
の乏しい農家に対しては、
救農土木事業
を実施しこれを救済する。 十四、
被害農家
にかかる米穀の
事前売渡申込数量
の
減額変更
に伴う前渡金の返納に要する資金を
希望農家
に対し貸付け得る措置を講じ、併せて前渡金の
返納遅延
による
利子負担
の軽減又は免除について考慮する。 利子の点につきましては、政府側より財政法第八条に基き、
立法措置
を必要とするとの意見もありましたが、委員側よりこれは不確定債権であるから、契約条項の変更だけでも足りるのではないかという意見もあり、すみやかに政府においてその方針を決定し善処するよう要望するものであります。 十五、河川の敷地の
流失埋没
により粗飼料が著しく不足する
有畜農家
に対しては、
食管特別会計
の所有にかかる飼料をすみやかに放出する。、 この点は、政府において手持も飼料が十分にあるので、適正価格で放出する旨説明がありましたので、申し添えておきます。 十六、
災害農家
については、申請による
予定納税額
の
減額等所得税
の
減免措置
を講ずる。 十七、
災害復旧事業
に使用する機械に要する軽油の引取税について、政令を改正し、
免税措置
を講ずる。 この点につきまして、自治庁としての考えは、使用数量及び使用範囲の確認がむずかしく、また手続きが煩雑であり、額も僅少である等の理由から政令改正には反対であるというのですが、これは法律の趣旨を歪曲するものであり、われわれとしてはすみやかに政令の改正を要求するものであります。 十八、被害県及び市町村の今次災害による税収入の激減と
支出増加
に対処し、
地方特別交付税
を早期に概算交付するとともに、起債の
特別措置
を講ずる。
地方財政再建促進特別措置法
の
適用対象
となる
地方公共団体
については
公共事業費
に対する制限を緩和する等、
再建計画
を再検討し、別途いかんなき対策を樹立する。
地方特別交付税
はとりあえず県に対し五億円、市町村に対しては一億二千五百万円の概算交付をしたとの説明でありました。 以上のような案を本委員会の決議にせられますよう強く要望いたす次第でございます。 なお去る六月並びに七月、栃木、茨城、千葉、愛知、岐阜及び岡山等の各県下に発生いたしました降ひょうによる
農林関係
の災害に対しても、今回の対策と並行して考慮を払われたい旨、委員中より要望がございましたので、この点を申し添えます。 最後に、わが国はその風土の関係から
累年災害
の発生がきわめて多く、なかんずく
農業生産
は自然の条件に左右されることがきわめて大きく、農家は絶えず災害の脅威の中を彷徨しており、これが
農業生産力
の発展を大きく阻害しておるのであります。このことを考えますとき、われわれは災害の発生のつどこのような対策に頭脳を悩ます以前に何らかの対策を樹立すべき責務を痛感いたすものでありまして、先般
現地調査委員
の報告中にも強く要望されておりました治山、治水、
土地改良等
を主とした
恒久的災害対策
の推進強化と並んで、一利を興すには一害を除くにしかずとの古諺に思いを新たにしながら、
災害基金制度
の構想の実現等を手始めに、
基本的災害対策
の早期樹立を皆様とともに切に念願いたすものであります。 なお以上申し述べました
農林漁業
の水害対策に関連いたしまして、この水害により農村及び地方都市の一部の商店が、その保有する商品に受けました損害の
救済措置
に関しまして、この際付言しておきたいのであります。すなわちこれら商店の保有しまする繊維製品、雑貨、日用品その他にことごとく浸水し、それがために多大の損失をこうむることと相なったのであります。われわれとしましては、
地方経済
の正常化をすみやかに回復し、また中小企業の安定をはかりますために、
中小企業金融公庫
、国民金融公庫または
商工組合中央金庫等
より低利融資を行いまする等の方法により、適切な
救済措置
の確立されることを要望するものであります。従いまして、
災害対策
に専念いたしまするわが委員会より、本件に関して
商工委員会
及び通産省に適切な申し入れを行いまするよう、委員長においてお取り計らいを願う次第であります。 以上をもって私の報告を終ることといたします。
神田大作
3
○
神田
(大)
委員
ただいま小
委員長
からの
報告
がありましたように、今度の七月の
水害
は
東北
、
北陸
以外に鹿児島その他の
地方
にも起り、あるいはまた
栃木
、
愛知等
において六月、七月、八月に
ひょう害
に襲われておりますので、これらの
災害等
に関しましても、この
東北
、
北陸等
における七月の
水害
と同様なる
予算的措置
を講ぜられんことを提案いたし、皆さんの御賛成を得たいと思います。
吉川久衛
4
○
吉川
(久)
委員長代理
ただいまの
報告
に対し及びこれに関連して
政府
に対し、
質疑
があればこれを許します。
淡谷悠藏
5
○
淡谷委員
この今回の
災害
だけではなくて、年々起ります
災害
に対する
共済制度
の活用が非常に重大となるのは論ずるまでもありませんが、最近聞くところによりますと、
農林省
の
共済関係
の仕事について何かまことに困った問題が起っておりまして、
農林省
の内部からこれを告発した事実があるようでございますので、この点について
一つ
御
報告
を願いたいと思うのであります。
吉川久衛
6
○
吉川
(久)
委員長代理
淡谷委員
に申し上げます。先ほどの
理事会
の申し合せもございますので、後刻、ただいまの
報告事件
を処理いたしました後に関連をして
調査
審議する
予定
になっておりますから、御了承願います。
淡谷悠藏
7
○
淡谷委員
その点了承いたしました。 それでは別なことを御質問申し上げます。
今小委員長
の
報告
にございましたが、この
水害
その他の
災害
の
復旧
につきまして、単なる
復旧
であってはすぐにまた
災害
にやられるといったような問題がしばしば
地方
の橋梁その他にはございますが、
復旧
に対して改良的な
復旧
をするような
措置
を講ぜられるかどうか、この点をお伺いしたい。
清野保
8
○
清野説明員
災害復旧
の原則は
原形
に戻すということでございますが、
原形
に戻すだけでは、その
施設
がさらにまた
災害
を受けるというような場合も想像されますので、その場合には関連事業といたしまして、改良
工事
を同時に施行することが認められております。なお関連事業に対する補助は従来の土地改良事業と同様でございます。
淡谷悠藏
9
○
淡谷委員
もう一点、この要綱の十五に関連いたしますが、「
河川
の
敷地
の
流失埋没
により粗
飼料
が著しく不足する
有畜農家
に対しては、
食管特別会計
の
所有
にかかる
飼料
をすみやかに放出する。」としておりますが、現在この
食管特別会計
の持っております
飼料
というのは、粗
飼料
に代用し得るような
飼料
であるかどうか、この点伺いたい。
永野正二
10
○永野
説明
員 これは担当の方面が今ちょっとおりませんので、とりあえず私からお答え申し上げておきたいと思います。今御指摘のように現在食糧庁が
管理
しております
飼料
は濃厚
飼料
でございまして、これをもって直ちに生草その他の粗
飼料
に代用する点についてはいろいろ問題はあろうかと思っておりますが、私どものとり得ます
対策
といたしまして、これらの濃厚
飼料
を放出いたしますことによりまして、なるべく現地の
農家
の
飼料
の需給
関係
を緩和するということが必要であろう、こう考えておるわけでございます。
淡谷悠藏
11
○
淡谷委員
粗
飼料
が不足したからといって直ちに濃厚
飼料
をこれに代用させますというと、かえって家畜の飼育上重大な欠陥が起る場合がございますが、この点に対する
配慮
はいかがでございますか。
永野正二
12
○永野
説明
員 ただいま申し上げました通り、直ちに濃厚
飼料
をもって全部の粗
飼料
に代替するということには、今お話しのように飼育上の問題もございまして、これはとうていできることではないのでございますが、
政府
といたしまして処置し得る問題といたしまして、濃厚
飼料
の放出によってなるべく全体の
飼料
の需給
関係
を緩和していくということを考えておるわけでございます。もちろんそのほかに粗
飼料
が現地において手に入るような状況にございますれば、これらについては末端の指導もいたして参らなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
小川豊明
13
○小川(豊)
委員
災害対策
小
委員会
で御苦心なさって
対策要綱
を作られたわけでありますが、私どもまだこの
説明
の
報告
を承わっただけでよくわからないのですが、これを実施していく場合に
法律
改正
をしないで、
法律
運用だけでできるわけですか。
法律
改正
をしなければならないような点が出てきやしませんか。この点を……。
永野正二
14
○永野
説明
員
災害対策
につきましては、当
農林
水産
委員会
を中心といたしまして、今までいろいろな御処置によりまして、大体
法律
上の新しい
立法措置
を講じなくても、いろいろな
対策
が講じ得るようにまでなっておるわけでございます。ただ、ただいま詳細にわたりまして小
委員長
の御
報告
がございました中には、先ほどちょっと御
報告
の中でもお触れになりましたように、たとえば十四の事前売渡し申込みの概算金につきましての
利子
の減免というような問題は、国の債権に関する
措置
といたしまして、何らかの
立法措置
を必要とするではないか。ただしこの点はなお研究を要しますので、私どもの方で至急に検討を続けて参りたい点でございますが、これ以外には私どもといたしましては、特にこの際
立法措置
を要するというような点はないように考えておるわけでございます。
吉川久衛
15
○
吉川
(久)
委員長代理
この際お諮りいたします。先ほどの
松浦
小
委員長
の
報告
の通り、小
委員会
の結論を本
委員会
の
決議
とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
16
○
吉川
(久)
委員長代理
御異議なしと認め、さよう
決定
いたしました。 この
報告
に関連をいたしまして、
神田
大作君から
要望
が述べられましたが、これは
松浦
小
委員長
からも触れられてはおりますが、ごもっともな御
意見
と認め、この点をこの
決議
に明記いたしたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
17
○
吉川
(久)
委員長代理
なおただいま小
委員長
より発言のありました、
東北
及び
北陸地方
の
水害
により、農村等における商業機構の受けた
損害
の
救済措置
の確立に関する件について、次の通り
商工委員会
に申し入れを行いたいと存じます。 案文を朗読いたします。
東北
及び
北陸地方
の
水害
により農村等における商業機構の受けた
損害
の
救済措置
の確立に関する件 去る七月
東北
及び
北陸地方
に
発生
した
水害
により、同
地域
の農村及び
地方都市
の一部の
商店
等の保有する
繊維製品
、雑貨、
日用品
その他に浸水したため、多額の損失を受けたのであるが、
地方経済
の正常状態をすみやかに回復し、
中小企業
の安定を図るため、
中小企業金融公庫
、国民金融公庫及び
商工組合中央金庫等
より
低利融資
を行う等、適切な
救済措置
を講ぜしめられるよう取計られ度、
農林
水産
委員会
の総意によりこの旨申入れる。
昭和
三十一年八月十一日 衆議院
農林
水産
委員会
村松 久義
委員長
衆議院商工委 員会
委員長
神田
博殿 右の通り
商工委員会
並びに通産大臣に申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
18
○
吉川
(久)
委員長代理
御異議なしと認め、さよう
決定
いたしました。
—————————————
吉川久衛
19
○
吉川
(久)
委員長代理
次に
理事会
の申し合せにより、ビートの問題について
調査
を進めます。
政府
の
報告
を求め、
質疑
があればこれを許しますが、 その前に、大石政務次官が今回アメリカの小麦事情並びに取引事情等について
調査
に出張されますので、
委員会
の皆様にごあいさつを述べたいと申し出がございます。これを許します。
大石武一
20
○大石
説明
員 本日は
東北
、
北陸
の
水害
に関しまして、いろいろとその
対策
の
委員会
の御
決議
を賜わりまして感謝にたえない次第でございます。御
決議
の
趣旨
を十分に尊重いたしまして万全の
対策
を講じさせる所存でございます。 次に、私は今回アメリカ合衆国のオレゴン州小麦栽培連盟の招聘によりまして、桑原食糧庁第二部長とともに、その小麦の状態を調べるため一カ月間出張することになりました。できるだけよく勉強いたしまして、立ち帰った上皆様に御
報告
申し上げたい所存でございます。行って参ります。今後ともよろしくお願いいたします。(拍手)
吉川久衛
21
○
吉川
(久)
委員長代理
それではビート問題はあと回しにいたしまして、香川県における土地取り上げ問題と
機械
開発公団に関する問題についてその後の
報告
を求めます。
安田善一郎
22
○安田
説明
員 香川県の土地取り上げ問題につきましては、私どもの
管理
部
農地
課によりまして
報告
も受け、
農地
法に照らしまして、過般
農林
委員会
の御
決議
もありましたところに従って検討中であるのでございますが、その結果、ただいま私は
報告
を聞いておりませんので、
関係
部課長が早く来るように申しております。よろしくお願いいたします。
機械
開発公団の進捗状況でございますが、これはただいま
機械
輸入のための世界銀行の融資に関しまして、最終的打ち合せにドール及びチャールズその他の世銀の人が来ておりまして、おおむね新たな法令とかを要せず、また国会で御論議がありましたような
趣旨
を体しまして、なるべく日本的に主張を通しまして妥結に近づいております。もう一週間ないし二週間たちますれば、実質上の世銀契約が成り立つ、そしてこれが本国へ帰りまして、公団と世銀との調印が済みますれば、その分はできるようになっております。今毎日
農林省
にも来ていただきまして、世銀側と
農地
局側と交渉の最終段階になっております。 すでに青森県上北などにつきましてどういう事業をしておるかという点について申し上げますと、第一に
建設
工事
、これは幹線道路に使用します採石等の
工事
を目下実施中であります。また開拓道路、幹線道路でありますが、ちょうどこの夏、すでに予算、
資金
上の
措置
その他の
措置
を整えまして、できるだけすみやかに着工の
予定
をもって、そのための現場
施設
について
工事
中でございます。さらに飲料
施設
について重要な事項がございまするが、これにつきましてボーリングを実施中であります。さらに開拓
工事
につきましては、公団におきまして試験開墾、言いかえますと抜根及び荒起しでございますが、これは年度当初の計画に即して進捗しておるわけでございます。 篠津地区につきましては、
機械
輸入はおおむね終りつつあるわけでごさいますが、これは見返り円を使いまして先輸入しまして、世銀との協定が成立しますればその
資金
で置きかえるように、
機械
輸入を先いたしておるわけでございますが、北海道開発局が
工事
の実施者でございますので、これに対しまして公団がその
機械
を貸しまして、北海道開発局が実施に当る。そのことに関しまする公団と北海道開発局——国であるわけでありますが、それに関しまする世銀との
関係
、自分のことでもあるし応援もする意味で
農林省
、この四者が、間もなく話がつくようになっておるわけであります。 根釧地区につきましては、第二床丹地区が
予定
通り完了に近くなっております。 これらのおのおのにつきまして、開拓道路、開拓の水路、飲料水
施設
、こういうものの着工が実施中または着工直前にあるわけでありますが、入植者の選考等もおおむね終りまして待機中でございます。 以上でございます。
淡谷悠藏
23
○
淡谷委員
若干お伺いしたいのですが、具体的に例を申し上げます。青森県上北
機械
開墾の状態でございますが、昨日手紙を受け取りまして、八月十八日には起工式をやるそうでございます。しかしこの開墾の委託契約が一体できたのかどうか、その点をお伺いしたい。
立川宗保
24
○立川
説明
員 委託契約につきましては、
機械
開墾地区のうち根釧地区は北海道と契約をいたしております。 それから上北につきましては、青森県の当局と契約をすることになっておるのでございますが、県の方でなおいろいろ御検討中のことも、ございまして、ごく最近の機会に青森県の当局と公団と
関係
者と、われわれの方も
関係
者と寄り合いまして、よく御相談をしまして、その辺の問題をほどいて契約に到達する
予定
でございます。
淡谷悠藏
25
○
淡谷委員
特に開拓の道路の開発が大へん大事になっておりますが、野辺地の事務所から現地に参ります道路、すなわち未明と平沼の間の幹線道路は着工されておりますかどうか。
清野保
26
○
清野説明員
木明−平沼間の開拓道路はまだ着工いたしておりません。ただしそれに対する
建設
業者の選定等の事務打ち合せをいたしておりますので、近く
建設
業者が
決定
されますれば、本年度内、八月中にはぜひ着工いたしまして、
予定
通りの期間に
工事
を終りたいと思っております。
淡谷悠藏
27
○
淡谷委員
青森県と契約が非常におくれておるという原因は、一体どこにあるのであるか、ざっくばらんに御
説明
願いたい。
立川宗保
28
○立川
説明
員 要するに開墾の
経費
が非常に高過ぎるという御
意見
が青森県から出ましたが、その点にあると存じます。
淡谷悠藏
29
○
淡谷委員
この前の
委員会
で私質問をしました場合には、土地の造成費と土地の売り渡しとの間には必ずしもそのままの
関係
はない。造成費が高くついても、いろいろな全国的な事情を勘案して、開拓者が十分に営農ができるような地価で売り渡すという
根本方針
は変りございませんか。
立川宗保
30
○立川
説明
員 開拓地の売り渡しの立て方は、今のお尋ねでございますけれども、買収価格で売り渡すということにいたしております。それでいろいろ土地の造成費、
建設
工事
でありますとか、そういうものにつきましては、国営地区、代行地区は全額国費でやる、それ以外の地区は半分だけ国費をもってやる、こういうことにいたしておりますので、土地の売渡価格は買収価格をもって売るというのが建前でございます。ただし、そのときどき
政令
が変りますので、買収価格と売渡価格は一致をいたしますけれども、その土地について買収した価格が即売渡価格ということは、場合によったら例外がございますが、原則として買収価格が売渡価格になるわけであります。
淡谷悠藏
31
○
淡谷委員
土地の買収は主として原野状態でございますけれども、これに投ぜられる土地の造成費、
耕地
の造成費、すなわちただいまお話のございました
機械
の使用料あるいは労務者の賃金、こういうものがあまりに高くつきますと、原野として
払い
下げを受けた場合は安くついても、
耕地
としては大へん高くなって、これが開拓営農の場合に非常に隘路になりますから、それで青森県が非常に二の足を踏んでおるのとは違いますか、どうですか、この点は。
立川宗保
32
○立川
説明
員 必ずしも御指摘の通りではないのでありまして、あそこの山林の素地価格で買収をいたしましたので、売り渡しはその価格で売りますから、その点は問題はないと存じます。ただ青森県が問題にされておりますことは開墾の
経費
がいろいろ一般のほかの例に徴して高過ぎるのではないか、こういうことをおっしゃっておられます。その点は今青森県ともいろいろ相談中でございまして、だんだん検討をいたしました結果、
意見
がおのずと一致するのではないかと思っております。なお相談中でございます。
淡谷悠藏
33
○
淡谷委員
私の調べたところによりますと、
機械
関係
の労務者が高いと言っておる。具体的に申し上げますと、運転手や整備員の俸給は、月二万五千円と見積っておりますが、実際は一万八千円で雇える。現に公団が鹿島
建設
から約十名の運転手を月ぎめで借りてきております。その俸給は最高三万円、最低は一万二千円でありますが、一万二千円の方が数が多いので、平均して一万八千円にしか当っておりません。公共事業で人夫賃は普通三百円にしているときに、三百二十円にしてやっているのが公団の実情であります。
農林省
や会計検査院はやかましく言っておりますが、この運転手の俸給の算定はあまりにルーズではないか、この点はいかがお考えですか。
立川宗保
34
○立川
説明
員 この問題は
機械
開墾の方式として、しかも公団方式でもってやるという最初の例でございますので、いろいろ単価の算定については、正直に申してまだ問題がございます。これは最初の想定に比べますと、実行をしていきます過程において、想定よりも安くなるだろうという分も考えられます。それから想定よりも高くなるだろうという分もございます。今も人件費の御指摘がございましたが、これは必ずしも安い労働賃金がよいということではないと思います。
機械
の操縦者の操縦
いかん
によりまして、開墾を非常にうまくやって、あとの営農がうまくいくようなやり方をやる、安くとも非常に下手くそにやるというような者がございますので、当初想定をいたしました考え方としては、高給を出しても、りっぱな能力のあるオペレーターを雇いまして、りっぱな結果を残そうという想定でございます。でございますが、実行の過程におきましては、今御指摘のような、それよりも安いというような問題もございますので、その辺をよく青森県当局とも打ち合せをしたいと考えているわけでございます。
淡谷悠藏
35
○
淡谷委員
今の御答弁で私納得がいきませんのは、非常に熟練したりっぱな運転手を頼むことは必要で
しょ
う。しかしあの現地の状態から見ますと、年間稼働期間というのは四月の中旬から十一月の中旬まで七カ月しかございません。一体そのあとの月は高い技術者をどうしておやりになりますか。俸給十四カ月分見てあるのであります。休んでいる間も高給技術者を黙って遊ばせていくつもりかどうか。その点を伺っておきます。
立川宗保
36
○立川
説明
員 これはいろいろそういう点に入りますと話がこまかくなりますが、もちろん公団といたしましては、必ずしも冬の間に
機械
を遊ばせるということではなしに、できるだけその
機械
を他のいろいろな仕事に活用したいという工合に考えまして、先般も
法律
の
改正
をお願いしたわけでございます。しかしながら当初
予定
を立てまして想定をいたしましたときには、どういう工合に冬の間に稼働できるか見通しもつかず、現在もまだ確たる判定はついておりません。ですから従って八カ月働くか十カ月働くか、その点ははっきりいたしておりませんので、一応想定といたしましてはそういうような立て方をいたします。これはもちろん委託の
経費
でありますから、請負ではありません。安くかかれば安くかかったようにあとで直します。高くかかれば場合によればまた御相談にも乗りま
しょ
うから、できるだけその安全な想定でありますが、それを高率に動かしまして安くするという考え方は当然考えなければならぬ。しかしいろいろな面で今の開墾の想定単価には安全度がいろいろ高く見てあるということは事実であります。
淡谷悠藏
37
○
淡谷委員
いかにもこれは委託になりま
しょ
うけれども、公団は純粋に国策に立ちまして、あまりに営利一方に走らずに、開拓者の営農の実態も考えられればいいのですが、私の
調査
に基きますと、どうも今度の
機械
公団はもうけ主義に堕しておるのではないか。ただ労務者の賃金あるいは俸給が高過ぎるというだけではなくて、間接費なども大へんに高く、むだがある。たとえば入植住宅につきましても、坪当り一万円足らずであります。しかるに
機械
をわずか三カ年だけ入れるために車庫は坪当り五万円と押えておる。こういう点なども本日は詳しく申し上げません。いずれ現地の
調査
もあることと思いますから、そのあとで申し上げますけれども、間接費などについても非常にむだが多いのであります。特にこの開墾の費用は、一般業者に比べますと倍もしくは三倍も高いというのがたくさんございますので、これが国営開墾である公団の仕事であるという角度から無理やり高い価格で押えますと、非常にあとで入った開墾者が難儀をするという事実は争えない。この点は契約をせられる場合に十分に
一つ
御注意を願いたい。なお私は詳しく調べております。たとえば油の使用等に関しましても非常に不合理な点がたくさんございます。これでは全く公団をもうけさせて、あとで入った開拓者を追っ払うということになると思いますので、現地の
調査
が終りましてから詳しく申し上げますが、いたずらに契約を急がれる前に、じっくりとあとの者が困らないように
一つ
十分な御折衝を願いたいと思います。別に現地では熱意がないわけではないのですが、前途の見通しのつかない開墾事業はやってもむだになりますので、その点も
農林省
は十分お考え下さいまして、新しく発足した公団が単なる営利機関に終らないように、十分な御監督と御指導を願いたいと思います。なおつけ加えて申し上げますが、公団に対して指導監督するような機構が現在
農林省
にはどういうふうにできておりますか。
安田善一郎
38
○安田
説明
員 前段のお話は、公団は言うまでもなく特別法によりました非営利機関であります。
政府
機関の一部でございます。また想定の経営計画に伴う定期計画によりましても、必要な
経費
が収入としてまかない得ないので、約五千万円事務費に当りますものは補助を繰り入れをするという
予定
で予算
資金
計画を立てております。御指摘のような点につきましては、私赴任まだ日は浅いのでありますが、県の側においてもさらに熱意を入れてもらう点もあるやに聞いておりまして、なお公団と
農林省
において御
趣旨
の通り再検討をするということも必要と考えております。特に青森県知事がおかわりになりましたので、新知事と直接打ち合せをいたしまして、公団には
淡谷委員
の御
趣旨
をよく体させるようにいたしまして、
農林省
が取りまとめ役をして推進をするというように持っていきたいと思って
予定
を立てつつあります。 第二点は、公団には
農地
局外に公団
管理
官を特に任命いたしまして、この
管理
官が専門に公団の
管理
をし、あわせて事業の推進に当る時期でありますので、専管しましてこれを取り扱う。従ってその補助者もつけて行なっておるわけでございます。公団
管理
官は
法律
に基いたものであります。
淡谷悠藏
39
○
淡谷委員
公団は
政府
の一部門であるというような御答弁でありましたが、これはその通りでありますか。
安田善一郎
40
○安田
説明
員
政府
機関に当るようなものだと思います。公けの機関だと思います。特別法に基きました
政府
機構そのものではないと思います。
淡谷悠藏
41
○
淡谷委員
これはあとでゆっくり議論したいと思いますけれども、
政府
機関に当るものであるが
政府
機関でないといったような、ぼうばくとした形の中に、高い賃金でも
政府
の一部門のような顔をして現地に押しつけるという悪弊が露呈して参っております。私この問題については初めから関心を持ち、疑念を持っておりました。県に行って調べようと思って公団に行くというと、県が社会党だけにいろいろな材料を与えてけしからぬというおしかりを受けるのはどうかと思う。これでは一体公団は何かわからないし、これを監督すべき
農林省
の態度でもないと思う。社会党であろうが自民党であろうが、こういう公けの事業に対しては虚心たんかいに語ってよろしい。何か内容を聞かれることをこわがられるような事実がございますかどうか、お伺いしたい。
安田善一郎
42
○安田
説明
員 公団につきましてはそういうことはないと信じておりますが、そういう御発言もあったということで、厳重に注意いたします。自今そういうことがないように、また
淡谷
先生もそうお感じにならぬような態度をとるように、本日直ちに
理事
長以下に申し入れをいたします。
淡谷悠藏
43
○
淡谷委員
私は別にちっともそんな感じは持っておりませんが、そんなことを言われましたので、事実があるかないか聞いたのです。これはへたまごつきますと、
政府
でもないような者が
政府
みたいな顔をして、言うことをきかないとやってやらないぞ。現に、青森県がそんなことをこやかましく言うならば岩手県に持っていくぞとどうかつされているということを言っております。これでは非常に独占的な形で、二倍あるいは三倍もかかるような開墾車でもって、それを無理やりに押しつけられるような危惧を私は感ずるのです。こういう点がないように、この契約の場合においてももっと打ち割って、公平な立場においてやられるように希望しまして、私の質問を一応打ち切っておきます。
安田善一郎
44
○安田
説明
員 香川の件はまことに恐縮でありますが、
管理
部長をしてお答えいたさせます。
吉川久衛
45
○
吉川
(久)
委員長代理
ちょっと申し上げますが、
農林
大臣に月曜日
出席
を求めて
調査
を進めることになっておりますので、本日は時間の
関係
もございますから
報告
だけにして、
質疑
は月曜に譲りたいと思いますが、いかがでございま
しょ
うか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
46
○
吉川
(久)
委員長代理
それでは
管理
部長から香川の土地取り上げの件を
報告
を願い、次に清井事務次官が見えましたから、
理事会
の申し合せによりますビート問題についての
報告
、なお本日の主題であります
災害対策
に関連し、
農業共済
金の運用、特に多久島事件のこれまでの
経過
の概要について、
政府
より
報告
を求めることにいたします。
立川宗保
47
○立川
説明
員 香川県の
小作地返還
問題の概要を御
説明
申し上げます。 戦後
農地
改革に対しますところの地主さん方の運動がいろいろ展開をされましたが、その中で香川は発祥の地であります。自来いろいろ運動が変転をいたして参りましたが、最近顕著な事実は、昨年の秋あたりから、香川県下一帯におきまして小作地の賃貸借の解除、解約、
小作地返還
の動向が非常に顕著に出て参りました。これを若干数字的に申しますと、本年の初頭におきましては高松市外十四カ町村——十四農業
委員会
の地区と申しました方が正確でありますが——におきまして、千五百八十一件の、
農地
法二十条の、つまり
小作地返還
の
申請
でありますが、そういうものが出ております。ところがさらにその後この傾向は累増いたしまして、本年の七月十二日には二十六
関係
農業
委員会
につきまして二千九百二十四件の
申請
書が県庁に出ております。七月二十六日現在におきましては、累計をいたしますと六十三
関係
農業
委員会
につきまして四千七百二十七件の
申請
書が出ておるわけであります。ただいま御
説明
しましたのは多少不正確で、少し訂正をいたしますと、この数字は農業
委員会
に
申請
されて、農業
委員会
が受理した件数でございます。 そこで従来も香川県につきましてはいろいろこういう
農地
法二十条の
申請
がありましたが、その従来の傾向と今回の傾向と非常に違いますことは、従来のものはそれぞれの地主さん方が自分の土地を自作する必要を痛感して、それぞれ自分の個別の理由によって書類を提出する、こういう傾向でございましたが、最近の動きは、地主さんの団体の幹部の方が、香川県下の土地を保有しておる地主さん方に、こういう書類で
申請
をなさいという印刷物を配りました。大体私どもが聞いておりますところでは、二万件の印刷物を作りまして、二万人の地主さんに配ったそうでございます。従って書類も全然同じ形で出て参ります。そしてその
申請
者はもちろん地主さんでございますが、普通は小作人の同意という形をとりまして、地主、小作の連名で出てくるのが普通でございます。単独
申請
もございますが、その
申請
の代理人がついておるわけでありまして、
申請
の代理人は地主さんの団体の特定の
個人
——副会長さんでありますが、その方が全部の代理人になっておられます。今申し上げました四千七百二十七件の全部の代理人が、ただ一人の方であります。そこでそのような書類が一斉に各地から出て参ります。しかも二万件の印刷物を各地主さんに配られたということで、まだまだもっとうんと出てくる、こういう形勢であるようであります。そこで
関係
の農業
委員会
におきましては、それについて十分慎重に正確に討議中でありまして、
農地
法二十条の
趣旨
に照らして適当であるかどうかということを厳正に公平に各農業
委員会
で判断をする、こういう段階になっております。一部農業
委員会
の審議が終りまして、県の方に書類が送り込まれておるという分もございます。 そこでその一番はしりとしまして、本年のたしか五月だったと思いますが、県の農業
会議
を開きまして、県がその可否の諮問をし、その結果五月の末ごろだったと思いますが、七十三件につきまして県は全部
申請
不許可の処分をしております。その後いろいろ出て参っておるようでありますが、それについて県は目下いろいろ検討を加えておる、こういうような状況でございます。
清井正
48
○清井
説明
員 先ほどの
委員長
のお話によりまして、先にテンサイ糖の問題につきまして
経過
を御
報告
申し上げたいと思います。 テンサイ糖の工場の設立に関しまして、見返り
資金
の融資の問題と関連いたしまして、同時にまた私どもの方において食糧
管理
特別会計法に基き製造されましたテンサイ糖はこれを買い上げることにいたしておりますので、これらの関連において、
農林省
が主となりまして大蔵省とも相談の上いろいろ
措置
を講じて参った次第でございます。 先般私ども現地におきますテンサイ栽培面積の今後における増加の推移の見通し等を十分検討いたしまして、明年度秋からの操業につきましては、現在の日本甜菜製糖の持っております三工場よりさらに二工場増加できるという事務的な見通しを立てましたので、大蔵省ともその線に沿いまして折衝をいたして参ったのであります。その二工場につきましては、私どもといたしましては、一応南部につきましては台糖、北部につきましては芝浦精糖の希望がございますので、その点について考慮いたし、同時に北連につきましてはいろいろ準備の都合もありましたし、諸般の点を考えまして、これは一年操業を延ばすということによってこれを
措置
するというような方向に基きまして、大蔵省と融資の問題につきまして相談をいたして参りました。大蔵省におきましては、
農林省
の主張に対しましていろいろの角度から御検討中でありまして、まだこれに対する正確な最後的な御返事を得ていないままになっておったのであります。ところが最近に至りまして、南部の方面に操業を
予定
いたしておりました台糖から、その後におきます
経費
の増大あるいは原料獲得の問題等をにらみ合せまして、明年度に工場を作って操業するということはできないという意味の申し入れがあったのであります。そこでその問題につきまして台糖とも十分話し合いを進めて参ったのでありますが、なかなか事務的にもむずかしいようでございますので、その点につきまして大蔵省に対しましても、台糖からこういう申し入れがあったということを連絡いたしまして、目下その線を含めまして大蔵事務当局と相談を重ねておる最中でございます。まだ最後的な結論に到達していないのであります。なるべくすみやかに結論を得たいものと考えておるような次第でございます。 以上がテンサイ糖問題に関します今日までの
経過
であります。 それでは、続いて
水害
に関します農業保険の
関係
からというような意味のお話でございますので、大へんお騒がせいたしました多久島事件と世にいわれております問題につきまして、私からごく概略の中間
報告
を申し上げたいと存ずる次第でございます。 その前に私から申し上げますが、今回いわゆる多久島事件を引き起しまして、
農林
事務当局のみならず、国家公務員全体に対します不信を買い、重ねて
農林
行政全体に対する国民の不信を買い、ひいては当
委員会
に対しまして非常な御迷惑をおかけ申し上げましたことにつきまして、私事務当局を代表いたしまして深くおわびを申し上げる次第でございます。これはわれわれ事務当局、ことに幹部一同の監督の不行き届きによってかかる事態を生じましたのでございます。この点私どもといたしましても、深く責任を痛感いたす次第でございます。さよう御了承いただきたいと思います。 本件は実は
農業共済
団体の事務費、すなわちこの
共済金
ではございません事務費の国庫負担金の不正事件でございます。担当いたしておりました多久島貞信
農林事務官
は二十六才でございます。非常に若い青年でございますが、その多久島貞信に
農業共済
団体に交付すべきいわゆる団体の事務費の負担金の交付事務を直接担当させておったのであります。ところがたまたまその地位を利用いたしまして
茨城
県の共済連の一部の役
職員
と共謀いたしまして、同共済連に対しまして正規に交付すべき額以上の交付金の
支出
を、上司を欺罔して行わしめたのでございまして、これによって不正多額の金額を騙取したというのが事実でございます。 この事実は
昭和
二十九年四月から三十一年の三月までの間に行われたのであります。その
方法
はどういう
方法
によったかと申しますと、
昭和
二十九年度の分につきましては、御承知の通り、まず当局から各県の団体に対しまして、今年度はこのくらいの負担金を交付するという内示をいたすわけであります。一たん内示をいたしましたものにつきまして、それ以上の水増し
申請
をいたしているわけでございます。内示額に対しまして水増しした
申請
額を、
茨城
県の方から出しておるわけであります。それに対してこちらから交付いたす、こういうことをやったのであります。それが
一つ
と、同じ案件につきまして、二重に
申請
をするという
方法
をとったのであります。いずれもこれは共済連の幹部の者と共謀いたしておりますので、かかることができたのでございますが、そういうような
方法
によって、二十九年度は多額の金額を騙取したということになるのであります。それから三十年度も大体同様でございますけれども、これは
農業共済
組合の事務費と、共済連に交付する事務費との
関係
の問題になっておるのでありますが、共済組合の事務費は、県庁を通じて交付をいたしております。共済連に対する事務費は共済連に直接出しておる、こういうふうになっておるのでありまして、その行き先が両方になっておる。すなわち県庁に対するものと、共済連に対するものと二重になっておるというところが利用されたことになるのであります。いわゆる共済組合に対する正しい負担金を県庁を通じて出しておりながら、その金額をまた二重に共済連を通じて出しておる、こういうことが三十年度の実態であるのであります。そういうようなことで、共済組合の事務費が共済連の方に二重に交付されておる、こういうことになったわけであります。
茨城
県の共済組合に対する事務費は正当に出して、それにさらに共済組合に出すと同じものが共済連合会の方に出された、こういうような事実によって二重交付の形になっておるのであります。 そういうようなことで出されたのでございますが、右の不正
支出
の額は二十九年度におきましては千二百六万一千円ということになっております。それから三十年度におきましては七千六百九万九千円ということで、一応不正に出されました金の総額は八千八百十六万円ということになったのでございますけれども、そのうち千九百三十五万八千円というものは
茨城
県共済連に本年の四月の末に返還命令を出しまして、これを正当に国庫に還付を受けておるのであります。それから八百八十九万九千円というものは、これは
茨城
県の共済連が当然正規に交付を受けるべき額であって、まだ交付していないものがあるのであります。それで以上のものを差し引きますと、五千九百九十万三千円というものが不正
支出
実損額ということに相なるのであります。 ところがここで申し上げておきますが、さらにもう一件、これはまた他の機会にいずれ詳しく申し上げますが、多久島が
個人
で
茨城
県共済連から金をとりまして、これを兵庫の共済連に交付した金が千二百八十万円ばかりあるのであります。この金は
法律
上まだ疑問があるのでございます。私どもは多久島に対する債権還付の見地から、これも国の正当なる金として取り扱って、これを兵庫県に交付したいと考えておりますが、かりにそれが交付ができますれば、この五千九百万円からさらに千二百万円ばかりの金が引かれるということになるのでございます。それでただいまの段階ではそういう方向で努力しておりまして、大体見通しがついておりますが、そういうことになっておりますので、ただいまの段階では、正確に申し上げますれば五千九百九十万円、さらに千二百八十万円程度のものが、これが懸案の金額として残っておるというふうに御承知おき願いたいと思います。 そういうような多額の金額に相なるのでありますが、これは先ほど申し上げたような不正な交付
方法
によりまして不正
支出
実損額は、結局
茨城
県の共済連合会長あてに
農林省
から送金されまして、これを受けた者は、共済連の経理課長の大津茂という人がこれを受領いたしたのであります。そしてその受領された金の大部分は多久島の事業
資金
等に充てられまして、なおその一部は
茨城
県共済組合連合会長の加倉井正利及び大津経理課長並びに経理課員の薗部尚一という人々が共謀いたしまして、
茨城
県共済連の簿外赤字の
資金
に充当したものというふうに考えられておるのであります。 以上が大体の
経過
でございますが、かかる
経過
にかんがみまして、多久島
個人
につきましては六月五日に懲戒免職をいたしまして、なお同日東京
地方
検察庁に告発をいたしたのであります。なお多久島、大津の両名は、六月の二十八日に詐欺容疑で起訴され、さらに七月五日、七月十日追起訴されておるわけであります。それから薗部氏は七月の五日、加倉井氏は七月の十四日詐欺容疑で起訴されておる、こういうような事実に相なっておるわけであります。私どもその後この事件が起りましてから、非常な事態に驚きまして、全力をあげましてこの事実を探査をいたしたのでありますが、事があまりに複雑でありますのと、これはほかの県にも
関係
がありはしないかということで、日本全国の県につきましてこれを
調査
したというようなこともございます。かたがたこの帳簿が捜査当局の方に全部提出してありますので、なかなかこれが発見に困難を生じた、あるいは
調査
してからも、その日その日で新しい事実が出て参るということで、なかなか事実をつかめなくて、本日まで延引しておったようなわけでありますが、最近になりましてやっと事実が固まって参りましたし、あるいは一時非常な興奮状態にありました
関係
者も、漸次落ちつきを取り戻して参っておりますので、近い最近の期日において正確な御
報告
が申し上げられると思うのであります。以上私どもただいままでに知り得た概略の状況は、さようなことになっておるのであります。 なおつけ加えて申し上げますが、これに関連いたしまして、
農林省
部内におきましても、所要の
関係
局長につきましては減俸処分を行い、なお
関係
局長全部訓告の処分を受けましたほか、なお
関係
者につきましても目下行政処分等につきまして準備をいたしておるような状況でございますし、事務等につきましてはいろいろ内閣の方にも御
決定
があったのでありますが、その後この事件の教訓にかんがみまして、不十分であり、怠慢の点がありました点につきましては、十分これを反省いたしまして、私どもといたしましては、できるだけの事務的な
措置
を講じて努力いたしておるような次第でございます。 簡単でございますが、一応中間的な御
報告
を申し上げる次第でございます。
吉川久衛
49
○
吉川
(久)
委員長代理
政府
の
報告
に対する
質疑
は次会に譲ります。 事務次官、官房長に御注文を申し上げておきますが、今回の
災害
は小
委員長
の
報告
にもあり、本
委員会
の
決議
の通りでありまして、その
被害
はきわめて甚大であります。こういう重要な
委員会
に主管大臣が一回も
出席
をしないということは、はなはだ遺憾でございます。来週の月曜午前十時から本
委員会
に大臣の
出席
を求めて所信をただすことに相なっておりますから、必ず
出席
のできるように、
委員長
も要請をいたしますが、そのおつもりでお手配をお願いしておきます。
伊瀬幸太郎
50
○伊瀬
委員
今の次官の
報告
に対して、ちょっと質問したい。
吉川久衛
51
○
吉川
(久)
委員長
代理それでは一問だけ……。
伊瀬幸太郎
52
○伊瀬
委員
今の事務次官の
報告
に、私どもの奈良県の共済連の事務費二百三十一万円何がしかを当然受け取らなければならないことになっているのですが、これに対する御
報告
がなかったのですけれども、
一つ
……。
清井正
53
○清井
説明
員 金額の点あるいはお話のございました奈良県についてどういうことになっておりますか、私ちょっと存じておりませんので、即答はいたしかねますが、これはおそらく、私どもの
調査
によりましては、当該県以外につきましては
法律
的には問題はないと聞いておるのであります。しかしお話の
趣旨
もございますから、
調査
させていただきたいと思います。
吉川久衛
54
○
吉川
(久)
委員長代理
次会は来週十三日の午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十六分散会