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1956-04-06 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)    午前十一時五十三分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       岡崎 英城君    關谷 勝利君       田中 角榮君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君  早稻田柳右エ門君       井岡 大治君    下平 正一君       楯兼 次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     大石 孝章君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 四月六日  委員佐伯宗義辞任につき、その補欠として田  中角榮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中角榮辞任につき、その補欠として佐  伯宗義君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月三日  青森港浜町ふ頭築設に関する請願三浦一雄君  外六名紹介)(第一七三五号)  道路運送法の一部改正に関する請願足鹿覺君  紹介)(第一七七三号)  同(五島虎雄紹介)(第一七七四号)  同(吉田賢一紹介)(第一八〇六号)  小名浜海上保安部大型巡視船配置請願(助  川良平紹介)(第一八〇七号)  青年学級生鉄道運賃割引に関する請願(石坂  繁君紹介)(第一八二一号)  国鉄只見線中未開通区間開通促進に関する請  願外二件(田中角榮紹介)(第一八二二号)  国鉄長野原線を嬬恋まで延長の請願中曽根康  弘君紹介)(第一八二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際観光事業振興に関する件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  観光に関する小委員長より発言をいたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。濱野君。
  3. 濱野清吾

    濱野委員 観光の小委員長といたしまして御報告申し上げますとともに、小委員会において御決定いただきました決議を本委員会決議といたされたく、御提案申し上げる次第でございます。  最初に小委員会審議経過を御報告いたします。観光に関する小委員会は去る二月二十七日第一回小委員会を開会いたし、参考人として日本交通公社会長新井堯爾君観光協会会長平山孝君及び運輸省調達庁の各方面よりいろいろ御意見及び説明を聴取いたした次第であります。詳細につきましては速記録を参照していただきたいと思います。なおそれらの御意見説明に加え、お手元に御配付されているごとき小委員会調査をも行いました結果、本日次のごとき決議を小委員長より提案いたし、小委員各位の御賛同を得た次第であります。朗読いたします。    国際観光事業振興に関する件  国際観光事業国際親善国際収支  の改善等に寄与するところ大なるに  かんがみ、本委員会においてもこれ  が振興につき数回に亘り決議を行つ  たのであるが未だその実施に積極的  でないのは遺憾である。よって政府  は観光行政の一元化を図ると共に、  確固たる年次計画を策定し、これに  必要なる資金計画をたて、逐次これ  を実施に移し対外宣伝強化並びに  受入態勢整備拡充を図り国際観光  事業の成果を収むべきである。  更に又当面の緊急措置として現在外  客接遇上最も支障を来たしている観  光ホテル不足難を打開するため、  現在駐留軍に接収されている外人宿  泊用ホテルであって契約満期のも  のは勿論、その他のホテル等につい  てはその返還方につき特段の努力を  なすべきである。  右決議する。  小委員会において決定された決議は以上の通りであります。よろしく委員各位の御賛同を得、委員会として本決議を採択されることをお願いいたす次第であります。  以上、小委員会審議経過を報告し、同時に決議案提案をいたす次第であります。よろしく御賛同をいただきたいと存じます。
  4. 松山義雄

    松山委員長 ただいまの観光小委員長より提案されました国際観光事業振興に関する決議案を、本委員会決議とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松山義雄

    松山委員長 それではさよう決定いたします。
  6. 濱野清吾

    濱野委員 ただいま御採択に相なりまして、小委員会として満足と存ずる次第であります。つきましては政府のそれぞれの機関はもとより、また政府のそれぞれの機関を通じて駐留軍当局、都合によれば外務省等にもこの決議一つ御送達下さるよう御手配を願います。
  7. 松山義雄

    松山委員長 さように希望を付して政府の方に通知することにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますね。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松山義雄

    松山委員長 本議決の取扱いにつきましては、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
  9. 松山義雄

    松山委員長 それではさように取り扱います。     —————————————
  10. 松山義雄

    松山委員長 これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出第一一〇号)を議題として質疑を行います。通告がありますので、これを許します。木村俊夫君。
  11. 木村俊夫

    木村(俊)委員 今回の国鉄法改正の重要な点の一つは、国鉄財産管理に関する規定を明確にしたことであると思いますが、この改正案の四十五条、四十六条の規定をもってしても、なお必ずしもその運用上について疑義なしとはいえません。少々こまかい質問になりますが、この際政府確定解釈を明らかにしていただくという意味において二、三お伺いしてみたいと思います。  現行法では財産管理についての規定は四十六条のみであります。それも営業線についてはきわめて明瞭であります。その他はこれに準ずる重要な財産ということだけで、運用上従来必ずしも明確ではない点がありました。国有財産管理について従来も国会方面鉄道会館問題その他いろいろ批判がありまして、そういうところに基因しているところも多かったと考えるのでありますが、今回の改正案の四十五条でこの点を明確にして、「運輸省令で定める重要な財産を貸し付け、」その他の処分を行おうとするときは「運輸大臣許可を受けなければならない。」としたことは、これは一つの進歩であると思うのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、この四十五条にあげてあります運輸省令で定めることになっておるその他の重要な財産ということは、車両以外でたとえばどういうものを予定しておるのか、主要なものについて二、三例示していただきたい。
  12. 權田良彦

    權田政委員 お答えを申し上げます。ただいまなお細部にわたって研究いたしておりますが、重要な財産として省令で定めたいと考えておりますのは、ただいま御指摘のございました車両は当然でございますが、さらに船舶、駅の構内の用地、停車場建物、こういうようなものを考えておる次第でございます。
  13. 木村俊夫

    木村(俊)委員 次にお伺いしたいのは、同じくこの四十五条で運輸大臣許可をする場合でありますが、運輸大臣許可をする場合におそらくある一定の基準なりお心組みと申しますか、方針なりがあると思いますが、この方針その他によりまして、従来問題のありましたああいう鉄道会館の問題のようなことも防止できると思うのであります。そのお心がまえなり方針について、もしお漏らし願えればお聞かせいただきたいと思います。
  14. 權田良彦

    權田政委員 四十五条の二項の貸し付ける場合の運輸省令で定める場合、こうある場合でございますが、ただいまのところでは認可を受けなくともよい、認可なしに国有鉄道限りにおいて貸し付け得る範囲といたしましては、この法文にありますように「国又は地方公共団体に貸し付ける場合」はそういたすことは当然でありますが、さらにこれに準ずるような場合、またあるいはごく一時的な貸付というようなもの、これはまたすでに御存じでございます営業通常貨車貸し渡しを現在行なっておる場合がございますが、こういうようなものは認可は要らない。それからまたたとえば国有鉄道事業関連のない、宿舎用建物の交換、こういうようなものは認可が要らないようにいたしたい。今御指摘鉄道会館等ような重要な財産をしかも永久に貸し付ける、長期にわたって貸し付けるというような場合には、運輸大臣許可を要する。要するに実情に即しまして形式的な許可に陥らないようにいたしたい、かよう心組みでおるわけでございます。
  15. 木村俊夫

    木村(俊)委員 次に四十六条の規定に移りますが、現行法では国有財産適用がありませんので、国鉄財産性格が非常に不明確で、とかく従来紛争を生じがちであるのでございますが、この点を明らかにしたものだと思うのであります。そこでこの四十六条でいう国鉄不動産といううちには、いわゆる事業用財産国有財産法上の公用財産に相当するものだと思います。そうでないものは国有財産法普通財産に相当するものだと思いますが、この不動産の中には卒業用財産貸付ができるという解釈でありますか。
  16. 權田良彦

    權田政委員 御指摘通りでございまして、国鉄不動産の中にはいわゆる事業用財産とそうでないものもございます。この事業用財産につきましては、その本来の事業の用に供しておりますがゆえに貸し付ける余地は少いとは考えられますが、しかしその目的用途を妨げません限度で、使用収益させるということはあり得ると思っておりますし、そういうような場合には差しつかえない、かよう政府としては解釈をいたしております。
  17. 木村俊夫

    木村(俊)委員 今の御答弁によりますと、事業用財産は理論上貸し付ける余地はないかもしれぬが、その目的用途を妨げない限度使用収益させることはあり得る、こういう御答弁でありますが、しかしこの改正規定を見ますと、使用収益という性質よりも一歩進みまして、積極的にこういう事業用財産を貸し付ける、すなわち民法上の賃貸借ようにまで進んだようなことを考えておられるようでありますが、これはそういうふうに解釈してよろしいのですか。
  18. 權田良彦

    權田政委員 これも御指摘通りでございまして、ただいまお答え申しました通り、この事業用財産はその公共事業の用に供します性格上、あまり貸し付ける余地は少いとは言えますが、目的用途を妨げない限度使用・収益させることはあり得る。従って実際的には一町的に使用収益させます場合が大部分であると思いますが、それがまた今御指摘賃貸借であるかどうか、賃貸借部分をも含まれる場合がある。と申しますのは、契約条文当事者意思契約当時の客観的情勢などによって、最終的には裁判所が判断いたしますが、全部が全部賃貸借でない場合であるということは言えません。そういうものを含む場合もございます。
  19. 木村俊夫

    木村(俊)委員 いずれにしましても事業用財産ですから、その性格上一時的に使用収益させるという場合が大部分だと思います。そうなりますと民法上の賃貸借ではないから、従って普通の場合はこの四十六条の解除権を使わなくとも、いつでも解除できると考えられますが、何かそういう従来の判例がありますか。
  20. 權田良彦

    權田政委員 従来の判例にも、今先生の御指摘通り判例がございます。
  21. 木村俊夫

    木村(俊)委員 そうなりますと最後に四十六条は、いわゆる従来の約定解除権のほかに、この四十六条によってさらに法定解除権をも認めたということになるのですかどうですか、お伺いをいたします。
  22. 權田良彦

    權田政委員 御指摘通りでございまして、従来の約定解除権のほかにさらに四十六条で法定解除権を認めた、こういうことに相なります。約定解除権が有効であるかどうかということは、これはもう当然その契約性質によって判断いたされるのでございますが、約定解除権で参れるものはもちろん約定解除権解除をいたしますし、それで参れません場合には四十六条の法定解除権が働く、こういうことに相なると解釈をいたしております。
  23. 木村俊夫

    木村(俊)委員 次に四十六条の第二項に書いてあります損失補償でありますが、これは従来の国有財産法上における損失補償と同じ観念でございますか。
  24. 權田良彦

    權田政委員 この四十六条第二項の損失補償、は御指摘通りでありまして、これは債務の不履行から出て参ります損害賠償ではございません。法律で認められました四十六条一項の解除権という適法行為に伴いまして、相手方に損失を生ずる場合がございますので、その損失補償するという、一項の解除に見合う補償という趣旨のものでございます。御指摘通りでございます。
  25. 木村俊夫

    木村(俊)委員 最後に、従来国有財産についての借地法とか借家法適用が非常にあいまいで問題が多かったようでありますが、せっかくこの国鉄法改正によりましてこういう規定が設けられる以上、もう少し改正案で明確にこの点をカバーするようなことをお考えになったらどうかと思うのですが、この点についての御見解を伺いたい。
  26. 權田良彦

    權田政委員 従来借地借家法適用を受けるかどうかというのは、これまた御指摘通りでございまして、これは先ほども申し上げましたよう契約条文当事者意思契約当時の客観的情勢などによりまして、最終的には裁判所が判断いたすのでありますが、この点については今御指摘通りなお不明確の点があるではないか、これもごもっともでございます。この点につきましては政府におきましても目下なお検討をいたしておるのでございます。特に国有財産法関係においても、国有財産自体においてもこの点はなお明確を欠いておりますので、この国有財産のそういう点についても現在政府部内で鋭意検討を進めておりますから、それらの結論を待ちまして、将来におきまして国の財産との均衡を保って明確にするように、せっかく努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 松山義雄

  28. 下平正一

    下平委員 日本国有鉄道法の一部を 改正する法律案について、こまかい点についてはいずれまた後日お伺いするとして、大臣がお見えになっておりますので、二、三根本的な問題についてお伺いをしたいと思います。  提案理由の中にもありますが、今国有鉄道がいろいろの批判を受けたり、あるいは運営上にいろいろの支障を来たしている、こういうことを改善するために国有鉄道法改正が出たと思うのですが、内部の運営の問題あるいは監督の問題、いろいろの問題に関連はありますけれども、根本の問題としては公共企業体というもの自体が一体どういうものか、公共企業体というものをどういうふうに理解をし、どういう性格づけをするかということがいまだに不明確であるので、そこに一番大き な欠陥があると思うのです。公共企業体がすでに電通あるいは専売等にもでき上ってきておりますが、どの公共企業体を見ても、その矛盾、公共企業体とは何ぞやというものに対する明確なものがまだ出ていない実情だと思うのです。そこで特に国鉄等の場合、あるいは公共企業体日本にできた当時の状況等は、公共企業体としての経営をさせることがいいか悪いかという観点よりも、御承知のあのマ書簡によって、主として労働問題を中心に急速に、内部検討公共企業体そのものの明細な検討がなされなくて、公共企業体として発足してきた、こういうところにあると思うのです。そこで大臣に、国鉄としてはもう六年間も公共企業体としての経験を持っておりますので、第二十二国会で私が質問したときにも、公共企業体の将来については十分検討して考えていくというよう大臣の御答弁がありましたが、こういう基本的な問題について今運輸大臣はどんなお考え方を持っているか。御提案になりました日鉄法改正を見ますと、ほとんどそうした基本的な問題には触れておらない。しいて言えば、こそく的改正だというふうに理解ができるわけですが、この公共企業体そのものに対するどんな御処置を考えておられるか、そういう基本的な問題についてまずお伺いをしたいと思います。
  29. 吉野信次

    吉野国務大臣 まことにごもっともな、根本的なお尋ねでございまして、実は公共企業体というもののあり方につきましては、御承知通り各国の法制におきましても今発達の途上でございまして、まだ的確な形というものがないようでございます。専売の方は、これは一つの税でございますから、鉄道とは違うだろうと思います。鉄道の方は、これはやはり商業的な一つ企業でございますから、どうしても収支相合うようにやっていくのであって、たとえば予算関係などにつきましても、あまり政府が直接やるよう予算関係を縛らない方がよくはないか、一つの例でございますけれども、実はそういうよう考え方もあるのです。日本でも、外国でもそうでございますが、公共企業体というものが、一体どういう形になるのかということがまだはっきりしませんので、今度の改正というものにつきましても、国有国営の形ですけれども、やはり根本一つ商業的企業であって、政府直営でなくて、なるべく収支というものが相償うようにやるのが根本の立て方じゃない、  か、こういうふうに私は考えております。そのことにつきまして、現在予算  その他の関係において、大蔵省です  か、何かいろいろ協議するよう建前  になっておりますが、ああいったようなことがいいか悪いかということも、実は根本的に考えればいろいろ問題があろうかと思いますが、現状におきましてあまり急激な変化もできませんので、その意味からいえばこそくだろう  と思いますが、あまり現状変化を与えない程度において、もう少し自主性  というものを重んずると同様に、また一面これは国有国営事業でございますから、政府監督権というものを強化する、こういう建前でこの法案を編んだわけでございます。
  30. 下平正一

    下平委員 まだ公共企業体そのものに対する確定的な考え方なり、そのあり方等検討されていないというお話ですが、これは御無理もないと思うのです。どこにおいてもまだ——特に日本において、公共企業体決定的な理念なり、あり方等はまだ出ないと私は思うのです。しかしそれにしても、六年間の経験の中で、相当改正をしていかなくてはならぬ、ここに原因があるというような、幾つかの問題はピック・アップされてきていると思うのです。そこでそういうような問題についてもう少し本腰を入れて、その本質にメスを入れるという態度がぜひ必要だと私は思うのです。たとえば大きな問題点になっているのは、いつも国鉄が貧乏だという表現で、財政の問題が非常に大きな問題になっております。たとえば財政の問題の中で、運賃決定権を今日国会が握っておる。運賃決定権というようなものが 一体どこに決定権を持たせることがいいか悪いかというようなことも、早晩・考えなければならぬ時期だと思うのです。しかもこれは考えてもよい段階考えなければならぬというよう段階にきていると思う。それらのような問題ついてはやはりこの改正の際に、もう少し明確にするだけの必要があると思うのです。さらに国鉄財政予算組み方、こういう問題についても、国鉄当局の御意見も、あるいは大臣の御意見もほぼ向う方向は一致してきていると思う。そういうような問題についてももう少し基本的なメスを入れなければならぬと思うのです。そういう点については今回の改正においてはほとんど触れておらないのです。こういう問題について今どういう方向に進めていくか、そういう点を除いてしまった改正というものは、私はあまり意味がないと思う。各条項についてあと質問しますが、経営委員会理事会に変えるとか、二、三の修正がありますが、これは私は全然意味がないとは言いませんが、割合大きく取り上げて論議するよう意味がないような気がする。そういう運賃決定権の問題とか、あるいは国鉄予算組み方等について二、三資料をあげて質問をしたのですが、そういう点についてどんなお考え方を持っているのか、近い将来に改正をするようなお考えがあるかどうか、お伺いしたいのです。
  31. 吉野信次

    吉野国務大臣 これはこれだけの改正で、そう意味がないというふうに考えませんが、今御指摘になりましたたとえば事業経営の一番根本は、運賃決定権国会が持っているという形、これは一体三権分立の思想からいえばおかしいと思うのです。ただ国会にある理由は、めちゃくちゃに運賃を引き上げないようにこの監督をするという意味で、国会が一番強力でございますから、その意味意味があると思う。けれども、この事業経営をやりますについて一々国会の承認を得なければ運賃がきまらないということは、これはおかしいと思って、実は私もその点については、国会のほかの委員会におきましても、それは改めた方がいいのではないかという私の考えだけは述べているわけです。ただ運賃というものが、御承知通り非常に国民生活の上に重大な影響を及ぼしますから、というて公共企業体自身だけの決定にまかせるということも適当でないことは、私が申すまでもないのであって、その点につきましては諸外国にもいろいろな例があるようでありますから、イギリスのように、御承知よう運賃裁判所ような形にするがいいか、あるいは委員会制度にするがいいか、いずれにしても、公共企業体というものの自主的の決定ということと、それから公共の利益というものをいかに確保するかということの調節の機構の問題が、私はかなり慎重に考慮されなければならぬだろうと思います。この国会には提案の運びに至っておりませんが、その点は私もはなはだ力足らずして残念だと思っているわけでございます。その点について御非難を受けますれば、私も甘んじて受けなければなりませんが、しかしなるべく早い機会において、そういう点についてももっと明確なる案を私が編みまして、皆さんにお目にかけたいと思っております。それからあと経理面の点におきましてもいろいろ改善すべき点はあるようですけれども、しかししさいに経理面自立性の点について私も条文をいじくってみますと、ほかの一般、特別会計とは違って、国鉄に関しては相当弾力性を持たして、そうして公共企業体自身自立性というものを相当認めているようでありますから、実際問題としては当分の間これでもいいのじゃないか。しかし理論的に言えば、もう少し的確にした方がより一そうはっきりするものと私も考えております。
  32. 下平正一

    下平委員 少し角度が違いますけれども、提案理由の中で、合理化審議会あるいは経営調査会答申を待って、その答申に基いて御提案をした、こういうふうに言われておりますが、最近政府でやっているいろいろの諮問機関、そういうものが非常に政府の御都合主義に使われているような気がしてならぬのです。たとえば小選挙区制の調査会ですが、この調査会意思を完全に無視して、ゲルマンダーに終始しているなんて、その最たるものですが、そういう傾向が今の鳩山内閣に特に顕著に見えると思うのです。何か調査会とか第三者を入れるというようなことで委員会を作って、それで国民の目をごまかして、常に有利な形を作ろうという傾向が、私非常に強いように感じております。この日鉄法改正についても、たとえば経営調査会答申案を見れば、十数項目にわたって経営形態についての答申が出ております。その中でやはり重要な問題点というのは、私は抜かれているような気がするのです。たとえば経営調査会が組織に関して七項目にわたって答申を行なっておりますが、その中の重要機関である国鉄諮問機関を設けて国民意見を聞く必要がある、こういう主要な諮問機関等については今回は全然考慮されていない。あるいは今申し上げました監督その他の項の中でも三項目にわたって答申されておりますけれども、運賃決定機構あるとは国鉄予算の形式等については全然触れておらぬ。実はこういった問題が、国鉄の改善あるいは今日の国鉄をより国民の負託にこたえていくようにするのに必要な事項だと思います。そういう必要な事項というものはほとんど抜かれているのですが、最初にも申し上げました通り、どうも調査会だとか何々会とかいうものを作るのが、非常におざなりな責任のがれの形だけで作っている。答申そのものはほとんど実質的には尊重されないというような形があるのですが、この日鉄法改正についても、これが顕著に現われてきているのです。これはまことにけしからぬ行き方だと思うのですが、この答申なりあるいは合理化審議会答申と、今回の日鉄法関係について、少し大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  33. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の通り、たとえば今の運賃とかなんとかの重要な点について、先ほど申し上げました通りに、まだ手をつけておりませんことは、はなはだ遺憾に存じますが、しかしその他の点については、やはりできるだけ委員会意見を尊重したつもりでございます。御指摘になりましたたとえば諮問委員会ような点につきましても、私が考えましたのは、これは国鉄内部規定でよろしいのであって、国鉄法というものに書かなくても、国鉄総裁がやはり責任を持ってそういう諮問機関を現に置いておるのですから、私はそうした方がいいというので、これは実質的に否認する考えはざいません。私はぜひそういうふうにして各方面の人の意見というものが、国鉄の運営の上に反映するようにいたしたい、こう考えております。
  34. 下平正一

    下平委員 諮問機関国鉄が勝手に作ればいいというように簡単にお考えになっておるようでありますが、そういう問題こそ、国鉄経営国民意思を反映させる機関というものは作って、行いなさいというふうな形の政府の関与といいますか、そういうことが一番私は重要だと思うのです。そのために答申案でもわざわざ出していると思うのですが、どうも重要なところになると大へん遺憾ですとか、あるいはいろいろな形で逃げられているのですが、せっかく持った第三者の調査会というものの性格あるいは答申そのものをもう少し誠意を持って尊重せられるという立場、あるいはそういう態度というものがなければならぬと思うのですが、この点はどうなんですか。
  35. 吉野信次

    吉野国務大臣 私は全然御同感でございます。それは尊重したいし、またするつもりでございます。ただ法律事項というものではないという見解のもとに、法律規定しなかったというだけのことで、他意はございません。
  36. 下平正一

    下平委員 少し観点を変えてもう二、三御質問したいのですが、今国鉄が困っている問題の中に公共性と企業性の矛盾という問題があります。この前にも大臣に申し上げたのでずが、今回の日鉄法改正の中でも公共性と企業性の矛盾なり調和というものを、ある程度考え余地があると思うのです。たとえば公共性を追及されておるために、国鉄がいろいろ国家的な要請のしわ寄せを受けておる。たとえば財政投融資の面にしても、あるいは利子負担の面にしても、過小資本の点等についても——この前過小資本等の点については十分にお認めになって、早い機会にこういうものは改善しなければならぬということを、この前の国会でしたか、お伺いしたような気がするのですが、そういった公共性を追及するということを一つ企業体にしわ寄せていくというこの関係というものを、もう少し明確にしていかなければならぬと思います。しかも公共性の追求ということが今日の国鉄、いわゆる公共企業体の中で大きなネックになっておることも十分わかっておる。この公共性の問題について直ちに国家補償をせよ、こういう極端な理論ではないのですが、何らか公共性の追及をする場合に、企業性に与える影響について考慮が払われてしかるべきだと思いますが、それらの点については今どんなふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  37. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点は私も全然同感でございまして、現に例の資産の過小評価の問題などについても、この前もお尋ねがございまして、これは時価に評価し直す方がいいというので、私はけさその標準についてサインをいたしまして、そういうふうに国鉄側の今の評価がえをする方針をきめたのでございます。つまり法律になくても、法律事項でないことでも、今の御趣旨に従ってできるだけのことはやるつもりでもあり、また現にやっておるわけでございます。  それからもう一つ、具体的にはお示しになりませんでしたけれども、今の国鉄というものはやはり国の形のものですから、いろいろ国家から商業的企業としては少し無理な要求を受けておるわけでございます。たとえば新線の問題なども、これは国鉄現状からいえば、国有、国営という形からいえば、必ずしも採算だけにこだわってはいけないので、引き合わないものでも余裕があればやるべきものですが、現状から見れば少し無理なことが現に行われておる。それですから、そういうようなことについても、私は、そういう場合には、それに借り入れをしたり、あるいは何かした場合の利子の補給くらいは、せめて政府として認めてやってほしいものだという考えで、財政当局には始終言うて、なるべくそういうふうに努力したいと思っておるわけであります。
  38. 下平正一

    下平委員 もう一つ基本的な問題としてお伺いしたいのは、国有鉄道、いわゆる汽車、電車等によって行われておる交通という形が——今日航空機の先達とか、特に自動車の発達等によって、交通界におけるところの国鉄の地位というものが、かなりの変化を来たしておると思うのです。最近国会で取り上げました自動車縦貫道路等の完成によって、勢いこの傾向というものは拙くなってくると思うのです。特に私どもが現在の交通を見ますと、自動車こいうものに転化をしていく形というものは、非常にスピードが速いと思うのです。そういう中で、この国鉄法なりあるいは国鉄の問題を考えていく際には、陸運交通上に占める国鉄の地位とか役割、こういうものが総合的に勘案されて、その中で国鉄経営なり方針、こういうものが打ち立てられていかなければならぬと思うのです。それには相当な綿密なあるいは計画的な方向というものが必要だと思うのですが、こういう点について、将来の国鉄の役割等についての大臣のお考えを少しお伺いしておきたいと思います。
  39. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまのお話は非常に重要な問題でございまして、今直ちにどういうふうになるかということの考えは、私ども実は申し上げかねるのであります。しかしいずれにしても、お示しになりました縦貫道路の例についても、たとえば東京から神戸までということになれば、これは縦貫道路であるけれども、ある意味においては、経済的の意味からいえば、やはり東海道線をもう一本作るということと同じことと見ても私はいいのではないかと思うのです。そうすれば、今の国鉄というものを考えますときに、それが鉄道経営というものから見てどういうふうに一体扱わるべきものか。こういったよう根本問題がそこに起ってくると思うのです。その点につきましては、実はまだはなはだ遺憾でございますけれども、政府部内においても、そこらについての総合的の政策というものが立ってない現状でございます。しかしそれは立ってないが、それをほうっておくわけではないので、実は交通審議会等にもその問題というものを諮問しておりまして、私も運輸省を担当しておる者として、そういったような問題につきまして、いろいろ各方面から研究をしておるわけでありまして、こういう問題はいずれ近き将来において、もっとはっきりした政府考え方というものがきまらなければならぬ問題ではないか、こういうふうに考えております。しかしその問題がきまらなければ、今の国鉄法改正意味がないということまでには考えておりません。これはこれで考えてもよろしい問題ではないか、こう考えております。
  40. 下平正一

    下平委員 公共企業体について明確なる理論なり体系というものがないといっても、およそ常識的には大体三つ四つの形は出ているように思うのです。米国のTVAの形をGHQから示されてできたといっておりますが、いわゆる政治上の自主性とか、財政上の自主性、人事権の自主性、この三つだけは公共企業体として欠くことのできない基本的な条件だということは、大体これはだれも認めていると思うのです。そこで財政上、政治上の問題はあとで御質問するといたしまして、人事の自主性の問題でございますが、経営調査会答申案では人事の管理というところで、国鉄の人事には不合理な面が多い、これを改めていく。人物本位を趣旨とする人事管理に切りかえる、こうありますが、これは私は国鉄内部のことだと思うのです。この人事管理の問題でお伺いしたいのは、公共企業体——TVAの例をとってみても、そこに従事しておる労働者のこの事業に対する積極的な協力を求める、いわゆる労働者の労働権だけでなくして、企業に対する経営権もある程度認めるという形がとられてきているのです。これはドイツ等においては経営参加法などがあって、一般労組に適用されておりますが、資本主義の国であるアメリカにおいても、TVAにおいては経営委員会というものをそこに設けて、そこに従事しておる労働者の経営参加というものを法的に認めている。こういう形をとっているのです。このことは人事管理の問題について大へん重要な事項だと思うのです。ところが翻って国鉄の今日の状態を見ると、そういうことは全然ありませんし、なおかつ国鉄を、ある程度基本的な監督だけで企業は自主的にやらせるといいながらも、その国鉄総裁には人事権その他についてのいろいろの権能があるかといえば、ほとんどないのです。たとえば毎年々々起ってくる労働者対国鉄のいろいろなトラブルの問題も、せんじ詰めていけばどこにあるかといえば、やはり財政の問題もありましょう。いろいろな問題もありますけれども、国鉄の総裁にそれを処理するだけの人事管理権というものがない。言いかえるならば、団体交渉の当事者能力を欠いておるというところに、紛争の大きな原因があるような気がする。そこで当然これらの問題等も十分に考えていただかなくてはならぬ。公共企業体だというのだから一般の官吏とは違うのです。そこには当然国鉄総裁を相手側とし、国鉄労働組合を相手側としたところの、一般の労使関係というものが構成されなければならぬと思うのですが、ところが日鉄法を見ると、当然労使の間できめるべきような団体交渉の対象事項まで、日鉄法の中に全部繰り込んでしまっておる。たとえば休職の問題等も、これは当然団体交渉の対象事項でしょうし、その他十カ条近くにわたって労使の間で当然きめるべきような団体交渉の対象事項というものが、この日鉄法という法律によってきめられてしまっておる。こういうことはきわめて不自然な形だと思うのです。これについて大臣の所見を少し聞かせていただきたい。
  41. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまのお話の点は、法律には国家の一般の利益というものの保護の見地から、一定のある基準は書いてありますけれども、その範囲において、やはり団体交渉で国鉄当局者と従業員組合の方がやるのであって、そういう人事管理のことについてはすべて国鉄の方におまかせをしておるわけです。人事管理の詳細については、私どもよりも国鉄当局からお記を申し上げた方がいいと思いますが、ただ私として一言その点について申し上げますと、つまり公共企業体というものの経営の主体の中に、労儀組合の代表の方もその中に入れるか入れないか、こういう問題は御承知通り外国でもいろいろ問題があるところでございます。そして各国の実例もいろいろありますが、そこがさっき申し上げました公共企業体あり方の問題に関係するのでございます。ですからこれがもし一部の思想のように、いわゆるサンジカリズムの思想のようなものであれば、当然に働く者の手で経営というものをやらなければならぬという思想からいえば、組合の代表者というものは、その経営の主体に入らなければならぬ。ところがイギリスのようにまたわが国のように、これを商業的の企業と見るということになると、今の利益代表というような形で組合の方の人は入ってはいけないのであって、そういう意味で私の方の今度の法律を見ますときには、経営の主体というものの方には組合の代表というものは入らない建前をとったわけであります。しかしこの法律にもパート・タイムといいますか、専門でないものを入れることを今度やりましたから、そういう意味で労働組合というものの方の過去の経歴を持っておった人は、これはエキスパートとして尊重して入れていいとも思うのです。しかしそのときにはその組合の方が経営の方のかりに理事になりますれば、これは組合の理事として入っておるのではないのですから、そのときにはやはり組合の役員というものの資格はなくなって、ただ労働あるいは人事管理というものに、過去において非常な経験のあるというその資格においてこれが参加する、こういうよう建前で今度の法律改正というものをやった次第でございまして、なお具体的な人事管理のことについては、私よりもあるいは国鉄当局から申し上げた方がよろしいかと存じます。
  42. 楯兼次郎

    ○楯委員 ただいま下平委員質問に対して運輸大臣はいろいろ答えておられます。しかし運輸大臣答弁を聞いておりますと、何といいましょうか、どうもわれわれごまかされるような感じしか受けないわけです。といいますのは、公共企業体は世界各国でも確たる定義がない、これは私もそうだろうと思います。先日、各権威者を集めましての調査会でありますか、少くとも日本国鉄はかくあるべし、かく改善をしなければいけないという答申をあなたに出しておるわけであります。従って現段階においては、当然調査会答申を唯一のものと見て、答申案に沿って日鉄法改正されていかなければならない、こういうふうに私どもは率直に見ておるわけです。ところが運輸大臣答弁を聞いておりますと、各国でも確たる定義がないので、まだどうしていいかわからない、そういうことではこの日鉄法改正に対する大臣答弁にならないのではないか。われわれ最終の形はどういう形になるか知りませんけれども、とにかく調査会が相当研究して答申案を出しておる、その答申案を尊重されるならば、なぜこの調査会の結論による改正案提出しないのか、こういうことを下平委員も聞いておるわけです。どうもこの点大臣答弁はわれわれ納得いかないので、御説明願いたいと思います。
  43. 吉野信次

    吉野国務大臣 あるいは私の言い方が悪かったような気がいたしますが、私は公共企業体の定義がわからないということは申しておらないのであります。ちゃんと定義はわかっておる。ただそういうもののあり方法律制度としてのあり方については、これは過去五十年来の産物であって、まだ進化の道程にあるので、世界まちまちに、いろいろ思い思いの試みをしておるのだが、いまだきまった方式はないということだけを申し上げたのであって、そうしてそれはそれとして、それについての経営調査会なり何なりの御答申につきましては、私も先ほど申し上げましたように、十分尊重して取り入れるだけのものは取り入れたが、取り入れなかったものについての一、二の点について下平さんから御批判がありましたから、それは私もやりたいと思うのだけれども、追っかけてそういうことについても考えたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  44. 楯兼次郎

    ○楯委員 ただいまの答弁でも、調査会答申と相当かけ離れておる。従ってここ数年来国鉄はいろいろの問題を起しておりますが、この改正では根本的立て直しにならない、私はこういうふうに考えておるのです。これだけ世間が騒いで、世論が沸騰しておるにもかかわらず、なぜ根本的な改正案というものが出てこないのかという点を私どもが考えますと、具体的な一つの例を申し上げますと、これは私は非難をしておるわけではございませんが、よく総裁あたりは、もう公共企業体でも国有でも、国鉄経営はどちらでもいい、ただ金さえもらえばいい、こう言っておることを新聞等で私ども散見するわけでありますが、そういうあいまいな態度をとっておるために、ほんとうに公共企業体としての国鉄を確立しなければならぬという信念が生まれてこない、その信念が生まれてこないところに、あいまいなその場限りを糊塗する改正案というものが出てくるのではないか、こういうふうに考えます。ここで私は大臣にお伺いしたいと思いますが、国鉄も問題が起るごとに、公共企業体を存続するか、あるいは昔のように国有に還元するかというような議論か相当起きて参りますが、運輸大臣としては将来国鉄経営をどういう線に沿ってやっていこうとされるのか、その決意をここで承わっておきたいと思います。
  45. 吉野信次

    吉野国務大臣 経営調査会答申を私は尊重してやったつもりなのでありまして、ただ経営調査会答申をこの際全部一挙にやらなかったということだけは御了承願いたいと思います。それから国鉄公共企業体としてのやり方というものについては、今お話がありました通りに、理論的に言えば国有国営というもののやり方には二つの形式がございまして、一つ政府経営の官僚組織による経営、もとの鉄道省のよう経営、もう一つ公共企業体という形であります。それを将来どちらの方でやるつもりであるかという問題でありますならば、私の考えとしては官僚組織のものよりも公社の形の方がよろしいと考えております。
  46. 楯兼次郎

    ○楯委員 この問題はそのくらいにしまして、もう一つは先ほどの答弁ですが、これは国鉄の将来にとって大きな問題を及ぼすわけでありますが、運輸大臣日本の交通政策に対する考え方というものは、、だいぶおくれておるよう考えます。私は具体的な例をあげますが、たとえば縦貫自動車道の問題が出てきたときに、これは非常に大きい問題であるので、当然運輸省は建設省と相談し合って、大きな国家的な問題としてこれを取り上げなければいけないという論法で私は進めていったわけです。ところが運輸省の方は、冷淡と言っては語弊があるかもしれませんが、私どもから見ますと冷淡な態度をとっておられたように見受けられるわけです。従ってこの法案というものは今日建設委員会にかかっております。私は建設委員会にかかったことが悪いとは言いません。悪いとは言いませんが、先ほどの運輸大臣のお答えでは、まだ政府の総合的な交通政策というものが立っておらないので、これから一つ検討して交通政策を立てていくというようなお話でしたが、これは大臣考え方が、はなはだ失礼でありますが、非常におくれておるように私には見受けられます。私今建設委員会に出席いたしておりましたが、先ほど成立を見ました首都圏整備法案、あるいは海岸法でもそうであります。運輸省関係のある項目がたくさん入ってきておる。しかも今の日本の交通というものは、私から言わしめるならば、たとえば道路公団法一つを見ましても、交通の行政というものが建設省の方にどんどん移りつつある。もう少し運輸省の方でも積極的な総合的な交通政策に対する考えを進めていただかなければ、運輸省の影はだんだんと薄れていってしまうのではないかというふうに考えるわけであります。特に先ほど下平委員指摘されましたように、自動車の激増というものはもう阻止することができないと思います。従ってこの自動車輸送というものをどういうふうにやるか、鉄道と自動車を——もちろん港湾もこれに入るのでありますが、これをどういうふうに関連させてやっていくかという面は、あなたが中心となって計画を樹立してやっていかなければならない、こういうふうに私ども考えるわけでありますが、これから検討をして計画を立てるというような、こんなばかげた大臣答弁はないと私は思います。このことに関してもう一回所信をお伺いしたいと思います。
  47. 吉野信次

    吉野国務大臣 別に冷淡だというわけではないのであって、お話の通りに実は私も考えております。ですから、やはりどうしてもこの交通行政というものは一元化しないといけないと思っております。それから、少し言い過ぎになるかもしれませんが、諸外国の例を見ましても、やはり鉄道というものと道路運送というものは一元的に行政をしなければいけません。ただ道路運送というものは鉄道ように簡単ではございませんので、何千、何百といいますか、あるいは何万といいますか、非常に小さい企業体というものが全国にばらまかれておるものですから、イギリスのごときも、こういう鉄道をやりますときには、道路運送というものを法律で一応国営にして、一元的の経営にいたしましたけれども、現実の問題として、そういうものをいかに国が統合するかという問題になりますと、御承知通り遅々として進まないで、やはり現状はちぐはぐなものになっておる、こういうことだろうと思うのです。ですから、先の目標については私は一つも疑いを持っていないのです。ただ行政を現実にやるときに、どういうときにどういう方法でやるかということが、私は非常にむずかしい問題だと思っているので、その意味において私は慎重に考慮する、こういうことを申し上げたのです。
  48. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は関連ですから簡単にしてやめますが、大臣の御答弁を聞いておりますと、どうも非常にのんきな御答弁です。すでに参議院の建設委員会においては、一つの例をあげますと、縦貫自動車道建設法案は通過をいたします。これは確定的です。私は運輸省と建設省と所管争いをせよというわけではないのです。ないのですが、われわれ社会党としては、当然交通省なりを作って、そういう一元化をやらなければならないと思っているわけですが、現在の機構においても、建設省と運輸省は話し合ってこれを円滑に進めていく方法が私はあると思うのです。ところが日本の交通に一大変革をもたらそうとするような縦貫自動車道の建設法案が通過しようとする今日の国会において、一体運輸省はこの法案に対してどういう発言力を保有されておるのか、あるいはどういう積極的な努力をされておるのか。残念ながらわれわれから見るとそれがゼロである、こういうふうにしかとれないわけです。これでは日本の交通の円滑なる運営ということはできぬのではないか、こういうふうに思うのです。いま一つ具体的な問題を提案して、私は御答弁をいただきたいと思いますが、たとえばこの日鉄法関連をして、定員以上乗ったならば、罰金、過料に処すというよう鉄道営業法が現存をしておるのです。それからこの縦貫自動車道の問題についても、道路運送法と道路法といろいろ解釈の相違によって混乱をしております。道路運送法改正をするなり、建設省と相談をして調整をするなりなぜしないのか、それからいま一つ、法案について申し上げたいと思いますが、今日鉄道敷設法というものがあります。これにはいつも問題になる鉄道の新線が百数十も予定線として上っているのです。こんなものは私は百年たっても完成されないと思う。従って当然鉄道敷設法は、いわゆる自動車の発達に対応して、取捨選択をし、改正をする段階にきておると思うのです。こういう根本的な交通政策に対する法律検討せずして、ただ時期が早い、あるいはそのうちに検討をする、これでは日本の交通というものはなっておらぬのではないか、こういうふうに考えるわけです。この点についてどうお考えになりますか。
  49. 吉野信次

    吉野国務大臣 実際は建設省の方とも十分連絡をとっておりますので、決してなおざりにしておるということはないのです。それから鉄道敷設法のお話が出ましたけれども、これもちやんとこの間の委員会で正式に、これまでは鉄道々々と言うたけれども、もう自動車の時代になったから、自動車ということとあわせてこれから考えようということになっておりますので、大体お話の方向に着々行っておるわけです。
  50. 下平正一

    下平委員 公共企業体特に企業体ということについて、少し大臣の認識が不足しているような気がするのです。なぜ一体企業体にしたのか。私どもが現在の日鉄法その他から見ていけば、何のために公共企業体という名前をつけたかわからなくなるのです。運輸省なり鉄道省なりでけっこうなような形です。もう少し企業体ということについての認識がなければならぬと思うのであります。国営で、鉄道省という形から、公共企業体に移ったのはそれだけの理由もあるし、また経営調査会答申の、企業体を存続すべしというところには相当の理由があると思うのです。公共企業体に移るには、御承知ように国家経営事業では非常な難点があるのですね。たとえば国家経営の場合には、国家公務員法というよう法律があって、スタッフを集める場合にも非常な制約があるとか、あるいは労働者の服務、任免あるいは給与といった面においても、国家公務員法等において非常に制約を受ける。従ってそういう制約をなくして、私企業的な経営能率を上、げさせるというところにあると思うのです。言いかえれば、国営事業ではできないところの経営の能率化をはかるために、経営の面だけは私企業のいいところを入れていくということで、公共企業体ができたと思うのです。それからもう一つは、いわゆる資金が大きくなって、収入が独占化された場合の社会化の方策としての企業体があると思うのですが、国鉄の場合には、国営事業のいろいろな非能率なところを取り除くというところに、一番大きな問題点があると思うのです。そうなるとすれば、国鉄経営については広範な自主性を与えていかなければおよそ意味がないと思うのです。そういう意味国鉄の今の日鉄法の面からくるいろいろの制約を見ると、ほとんど公務員と違わぬような制約がまだ残っておるのです。特にさっき私が申し上げましたように、国鉄総裁というものはそういった面においてはほとんど無能力者になっているのです。たとえば会社に例をとってみれば、企業を完全にやっていくためには、会社の重役なり社長なりの意向というものが、経営の上に十分反映されなければならぬ。たとえば従事員に賞与を出す場合とか、従事員を免職させる場合とか、あるいは営業を拡大する場合だとか、いろいろな面があるのですが、この日鉄法ではそういった大切な面を全部縛っている。たとえば業績が上った、もう少し賞与を出して経営能率、特に労働能率を上げていきたいというようなことを総裁が考えてみても、日鉄法によってこれは許さぬ。大蔵大臣運輸大臣の協議でなければそれが出せぬというような、経営の面においてはほとんど手足を縛ってあるという形なんです。こういう形は、これは大臣は少し認識不足かもしれませんけれども、国鉄経営者の、総裁にしろ副総裁にしろ、一番その点に困っておるのです。そこでこういう点についてもう少し大幅な自主性を持たせ、特に労使の間というものは、私は民間企業の形と同じに持っていっても差しつかえないと思う。国が監督をする場面は大綱だけで、この経営についての自主性をもう少し大幅に付与してやらなければ、企業体にした意味が全然ないと思うのですが、こういう点について大臣のお考え伺いたいと思うのです。これは一般の会社にいけば当りまえなことなんです。国鉄企業体にしておきながら、労使の慣行とか営業のいろいろな問題等については、依然として、公務員あるいは国営という観念を抜け切らないところに問題があると思うのですが、そういう点について大臣の所見をお伺いしたいと法うのすで。
  51. 吉野信次

    吉野国務大臣 まあ自主権は相当与えておるのですが、ただ今のお話は、何といいますか、財政的に縛る法規があるので、一般民間企業と非常に違う、こういう点が主としてお尋ねの趣旨だろうと思うのでありますが、これはどうしても私は公共企業の公社に対しては必要だろうと思うのです。なぜかと申しますと、民間企業でございますなら、組合との団交、賃金値上げの問題につきましても、これは破産という一つの制限がございますから、会社が立っていかないという限度がございますから、幾ら組合が強力であっても会社が立っていかない場合は出しませんから、そこに制約があるのです。ところが国有の事業におきましてはそういう破産という制約はないのですから、これはやはり国がかわって財政上の破綻ができないだけの制限をとるということは当然だろうと思う。それですから公社としては、今せっかくのお話ではございますけれども、財政面についての監督の権能というものは私は保持しておく方がよろしい、こう思います。
  52. 下平正一

    下平委員 私は財政、金の問題に関してだけに限って聞いているわけではないのです。一般の具体的例を上げれば、降職させるとか免職させるとかいった問題についても、当然日鉄法の中に入っているのですが、問題は今大臣が言ったように、そういった制限をはずせば国鉄財政が破綻をしてしまうというのですが、これはちょっとおかしいと思う。大臣国鉄考えておられると同様に、やはり国鉄総裁も内閣の任命で、国鉄の運営については責任を持っているのです。その人たちが労働者の要求があったからといって、むやみやたらに給料を上げて、国鉄をつぶすというようなばかげた考え方を持っている者はいない。問題は、私の言わんとするところは、そういう自主性の付与によって、特に企業体としての重大な成績を上げる要素となっている労使の間の不要な摩擦、あるいは必要以上の抗争をなくして、お互いに協力態勢の中で国鉄の業績を上げていく。そういうために相当大幅な自主性を与えるべきだ、こういうふうに私は言っているのです。特に金がないからそういう制約をしなければ国鉄が破綻をしてしまうという言い方は、ちょっと大臣の言い方としてはおかしいと思うのです。大臣考えておられる通り国鉄総裁あるいはそれ以下の今度でき上るであろう理事会の諸君たちは、やはり国民の代表として国家機関国鉄というものを十分責任を持ってやっているのです。ですからその責任の範囲内で自主性を十分与えてやることはいささかもおかしな話ではないし、そのことの方が企業体としての能率を上げるということには重要なことだろうと私は言っているのです。これだけについて御答弁をいただけばきょうの私の質問を終ります。
  53. 吉野信次

    吉野国務大臣 全くその通りです。私は聞き違ったのですが、もし人事管理や何かの点についての自主性を与えていないというお話なら、そういうことはございませんので、総裁に自主性を与えてやると法律に書いてあるのは、ただこういう場合に免職しちゃいかぬぞという労働者保護の規定が書いてある。別に一つ一つ運輸大臣があれを免職しろとかしないとかいう規定ではございませんから、全くお話の通りにやっておるわけでございます。
  54. 松山義雄

    松山委員長 堀内君。
  55. 堀内一雄

    ○堀内委員 私は国鉄法の四十三条に関連して、国鉄の総裁並びに最後に運輸当局にお伺いしたいと思います。前の委員会で私は私鉄に対する国鉄並びに運輸大臣の見解を伺いましたときに、国鉄におきましても、私鉄は子会社的な存在であり、毛細管的な業務をやっているのであるから、国鉄としてはぜひこれを育成しなければならぬというお話でありましたが、まことにその通りと存ずるのであります。御承知ように現在私鉄は、百四十五社の中で一割以上の配当をしておるのはただ二十四社で、六十一社は赤字である。しかも一割以上の配当をいたしておりますのは、大都市附近あるいはケーブル・カーを持っておるとか、または鉱山に付属しておる鉄道というようなものでありまして、そのほかは非常に窮境にあるのでございます。しかしてその影響といたしまして、私鉄の国鉄に対する連帯運輸の勘定の延滞というようなことが現われて、決算委員会等においても問題になっておるようでございますが、この際その延滞勘定になっておる額は現在どのくらいであるかということを伺いたい。
  56. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 お答え申し上げます。三十年の十二月末の調査でございますが、国鉄が連絡運輸を行っております会社は、現在全国で二百二社でございます。このうち国鉄に対する滞納金を有しておりまするものが三十二社ございます。そうしてその滞納額は、四億三千九百三十六万円余になっております。大体四億円余ということに御承知願いたいと思います。
  57. 堀内一雄

    ○堀内委員 私どもの調査によりますれば、大体三十二社で四億五千万円になっておるのでございますが、しかもその内容を調べますと、百万円以上の延滞が二十九社、一千万円以上が十九社、二千万円以上が八社、しかも大きいのになりますと、四千六百万円から九千万円というような延滞になっておるのでございます。そこでこれを国鉄として清算させるためにどんなような方法をおとりになっておられるか、お伺いしたい。
  58. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 額につきましては、当方の調べも大体先生のおっしゃる通りになっておりますのですが、地方鉄道につきましては、やはり公共性を持っておりますために、一がいに連帯運輸を直ちに廃止するとか、あるいは貨車その他の交通費用を上げるということはなかなか困難な問題でございますので、できるだけその会社と折衝いたしまして、できるだけ回収をはかっていきたい、こういう手段をとっておりますが、中に二、三不良なものにおきましては滞納額のふえるのもございます。そういうものは厳重に督促をするという程度でございます。
  59. 堀内一雄

    ○堀内委員 具体的な問題については私が調べたことで申し上げますが、御承知ように現在懲罰的な意味において、延滞のものに対しては日歩四銭という強い利子を要求しておるのでございますが、しかしこの実有を見ますと、先ほど申しました鉄道会社三十二社で四億五千万円の延滞があり、その中で大きいのは十七社で四億円になっておるのであります。しかもその四億円を十七社で分けてみれば、一社で二千四百万円くらいの延滞になっておる。それを日歩四銭ということにしますと、これらの会社が一つでもって約五百万円くらいの延滞利子を払っておる。しかも五千万円以上のものは一千万円の延滞利子を払わなければならぬ。しかも他方から申しますれば、地方税におきましてこれが一億円といたしまして、現在百五十万円以上の税金を納めなければならぬ。さらに固定資産税におきましては、本年度十六億円といたしまして、これを百四十社に分けて平均してみましても、千二百万円の税金を納める。このほか諸税がありますが、これらを考えますると大体に平均二千万円の税金を納めるというようなことになる。さようでありますので、これらの会社を今そのままでいたしていきますれば、自然につぶれるよりほか仕方がない。そこで私どもは、先般から事業税の問題におきましても、固定資産税の問題等におきましても、地方行政委員会等においていろいろ努力をいたしておるのでございますが、国鉄におきまして日歩四銭というような懲罰的な高利ということを依然として続けておりますならば、今の弱小私鉄は片っ端からつぶれていくということになる。そこでさようなことを考えますれば、地方鉄道国鉄との関係公共性というようなことから考えて——現に日通並びに交通公社等に対しましては、国鉄の延滞の金に対して特別な処置をしておるように聞いておるので、ございますが、その辺に対して国鉄としてどんなようにお考えになっておりますか。
  60. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいまのお話でございまするが、延滞清算の割賦金と申しますのは、これは国有鉄道の取り前の分でございまして、地方鉄道が当然国有鉄道に支払うべき金がおくれておる、あるいは払えない、その金は私設鉄道が収受しておる金なんでございます。それでございますから、国鉄としましては、私鉄は収受しておるものだから、国鉄に支払ってくれということは当然でございますし、その場合に、日歩四銭と申しますのは社会的に御批判があるのかもしれませんが、従来鉄道におきましては、延滞につきましては大体四銭を取っておるわけでございます。決して特に私設鉄道をどうのこうのということはありません。
  61. 堀内一雄

    ○堀内委員 ただいまのお説はごもっともでございますが、しからば日通並びに交通公社におきましても同じ関係だ。ところが日通並びに交通公社に対しては、今までの金をたな上げして、年六分というようなことで特別の待遇をしておる。しかるに私鉄に対してのみそれをやらないということについて、御意見をお伺いしたい。
  62. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいまの御質問でございますが、日通あるいは交通公社につきましても、納期を過ぎました分については日歩四銭取るときめてあるのであります。ただ、ただいまでは納期に間に合うように納めていただいておりますので、取っておりません。決して日通、交通公社に免除しておるというようなことはございません。  それからただいま六分というお話がございましたのは、いわゆる運送店関係につきまして延滞が重なりましたものにつきまして、二十九年の九月からでございましたか、今までの分をたな上げいたしまして、それに対しましては年六分で月割で完済を約束してもらいまして、滞納金を消す約束をしてもらったのであります。たな上げした分につきましては六分でやっておりますが、その後発生したものについては、同じように、もし納期を過ぎれば日歩四銭を取っております。なぜしからばそういう措置を連帯運輸に講じないかと申しますと、もちろん私どもとしても、同じようにいたしまして連絡運輸会社から今までたまった分を納めていただきたいのでございます。この点につきましては、運輸省の方にもいろいろ御相談したのでありますが、運送店の場合は、納期を一回でもたがえたら後払い契約を停止してくれというかたい約束をしております。それで停止をいたしますが、連絡運輸に関しましては、やはりそれと同じ裏づけになる措置がなければ、そういう取扱いをしにくいということでございまして、かりに今後の納期に、年六分のものに対しまして月割を納めそこなった場合には、連絡運輸を打ち切るというお約束がいただければ、私どもは同じ取扱いをいたしたいと思っております。ただしかしそういうお約束をいただくには、地方鉄道というものはあまりにもお困りになる——お困りになるのは地方鉄道ばかりでなくて、御利用になっておる地元の方々についてもいろいろ問題がありますので、私どもとしても決心いたしかねておりますし、運輸省におかれましても、相当慎重な御考慮をされておるということでございます。
  63. 堀内一雄

    ○堀内委員 私は延滞したものに対して、日通と交通公社に対する取扱いが違うとは言わない。つまり日通にしましても、交通公社にしましても、昭和二十九年というところでそれを切って、たな上げをして、年六分という特別な待遇をした。しかるにかかわらず、私鉄に対しましては、もっと弱小のものであって、非常に困難な状態にある、そういうものに対して一切そういうことをやらないという理由をお伺いしたい。
  64. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいま日通と交通公社にたな上げして特別の待遇をしたというお話でありますが、これはお間違いでございまして、そうでない普通のいわゆる新免と称しております新しくできました業者の滞納の多かったものに対して、そういう措置をいたしたわけであります。これは連絡運輸会社に対しましても同じことをやってよろしければ、私どもはやることに差しつかえないのであります。申し上げましたように、その裏づけといたしましては、連絡運輸契約というものを、一回でも滞納した事実があれば、打ち切るという基礎の上に立たなければ、同じようなお取扱いはできない、その点で踏み切りができないというわけであります。
  65. 堀内一雄

    ○堀内委員 懲罰的な他の方法でやるならばやってもいいのでありますけれども、それをもなさずにやるというところにわれわれは不思議があるのでありますが、この問題に対して、これは当然こういうふうに金が滞納になるということは、国鉄も悪いのですが、監督局といたしましても責任があるのじゃないかと私は思いますが、そういう意味から今日までの方法並びに監督局長が現在指導しておられるところをお伺いしたい。
  66. 權田良彦

    權田政委員 私鉄の連絡運輸精算金の滞納については、過日この委員会、の席上でお答えをいたしておきましたが、重ねてお答えを申し上げます。連絡運輸精算金の滞納は、会社側にいかなる事情がございましても、滞納すべき性質のものではないということは、これははっきり言えるのでございます。これは長年運輸省といたしましても、絶えず行政指導をして、会社経営者の良心に訴えて、すみやかに返済するように強く要望しておるのでありまして、このため連絡運輸精算金の滞納額は逐次減少しておりますことはけっこうな次第と思っておるのであります。昨年の十一月に滞納額三千万以上の会社代表者を招致いたしまして、いろいろ事実上のあっせんとして早急に完納する具体策について指導いたしておりますとともに、滞納者三十一社に対して早期完済を要望しておるのであります。今お話の問題は、通運関係その他はあるときにその滞納額——それには延滞償金四銭を含んでおりますが、その総額をたな上げをいたしまして、それをできるだけ短かい期間に全額なしくずしに返す契約を一方で結ばせて、それに対して国鉄の方が六分のあれを見たように伺っておりますし、これは個々の通運社に対するものではなく、滞納通運社に対する一般措置として全部それを行なっておる。だからこれが年賦通りいけば滞納額がゼロになる。もし一社でも滞納額を怠るものには賦払いをとめる、こういうことにいたしてやっておるわけであります。従ってこの三十数社にしても、三十数社の方で完全にたな上げをした額を短期間において返せるという見通しがっき、国鉄の方でもその見通しにおいて完全に回収できる、その間両者の話し合いがつき、それでその部分が返せないようなものがあった場合には、直ちに連絡運輸を停止するというような措置がついて差しつかえないものならば、そのごあっせんをいたしたい、かよう考えておるのでありまして、運輸省といたしましても、この問題には、行政指導において深い関心を有しておるのでございます。
  67. 松山義雄

    松山委員長 議長から今通知がありまして、本会議の人数が足らぬそうでありますから、暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ————◇—————    午後二時四十二分開議
  68. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより再開いたします。  午前に引き続き日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題として、質疑を続行いたします。堀内君。
  69. 堀内一雄

    ○堀内委員 先ほど国鉄の方並びに監督局長さんの御答弁がありましたが、もともと日通とか交通公社というものが全国的の組織を持っておったりいたしましても、これは一つの、経営形態が同じ関連性のあるものであるにかかわらず、それが三十二社集めましても、全然別個のものを集めて、それに連帯の責任を負え、といったようなお話をして、それができないというような御答弁があったのでありまするが、私はかくのごときことが皆さんのような優秀な方のお集まりのところにおいて、どうしてそういうようなことになったのかと思うのでございます。しかしそれを今追及したところで意味をなしませんが、すでに御承知ように、この地方鉄道現状というものは、交通公社または日通より以上に困難な状態にあるのでございまして、しかもこれの救済は非常に焦眉の急ではないかというように私は考えているのでございます。先般国鉄の副総裁からも、私鉄の育成について十分関心を持ってやるのだというようなお話があったのでございますが、そういうようなことから関連して、ぜひこの問題に対しまして、国鉄におかれましてもこの対策をほんとうにまじめに、というと失礼ですが、お立てになって、地方鉄道の育成をするようにしていただきたいと思うのでございますが、総裁の御決意を承わりたいと思います。
  70. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいまの地方鉄道の育成につきまして、お話はごもっともでございまして、国鉄は、育成の方は別といたしまして、業務上の提携は今後とも十分やっていきたいと存じております。何にいたしましても、国鉄の方が比較にならない力を持っておりますので、業務提携といたしましてはできるだけ助力ということで進んで参りたい。午前中にもお話がありましたように、私鉄は国鉄の培養線になっております関係上、こういう点も十分考慮して参りたいと思います。ただ先ほどの件でございまするが、今後とも十分に相提携して、国内の全面的な輸送体系の保持ということに努力していきたいと思っております。
  71. 堀内一雄

    ○堀内委員 私はこの際運輸大臣のお考え伺いしたいのでありますが、私鉄の連帯がかくのごとく停滞したということにつきましては、やはり私は省といたしましても、指導監督の上において責任があると存ずるのでございますが、何と申しましても、今実情がここのところへ到達してしまった以上は、これに何とか打開の方法を講じて、過去は過去として処理して、将来に向ってまた新しく再びそういうことのないように、指導していただくというふうなことになるのではないかと思うのでございますが、そういうよう考えから、たとえば地方鉄道整備法というようなものの適用とか、そのほかいろいろな方法があると思うのでございますが、そういうような各種の方法を講じて、そうしてこの問題を処理するとともに、私鉄育成について今後努力していただきたいと存ずるのでございますが、運輸大臣のお考えを承わりたい。
  72. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の地方鉄道整備法の適用、これを拡張するとか、そういったようなことは考えられると思いますが、今問題になっております過去の債権の累積したものをどうするかということ、これはなかなかむずかしい問題だろうと思うのです。しかしこれは例がないことはないので、いろいろな行政面で、かっては産業組合で九億か借金があったときに、再建整備の方法を立ててやったという例もございますけれども、ただこの方の問題は、つまりお客さんの方からちゃんと取り立てられる運賃だものですから、それを何というか、俗にいえば、そちらの方にお回しになってこちらに入らない、こういうような問題のものですから、それを幾ら金額がたくさん固まったからといって、それの再建の計画を政府の責任において立てることは、よほどこれはむずかしいものじゃないかと、率直にいって考えております。
  73. 堀内一雄

    ○堀内委員 私は過去のものを国鉄で背負うというのでなくて、現状においてそういうふうになっている。それを何も地方鉄道にやってしまうとかなんとかいうことでなく、日通並びに交通公社においてやっていると同じような方法によって、これを返させるのは返させるのだ、しかし利子を日歩四銭といったような問題でなく、これを考慮して、そうして過去のものは過去のものとして考えるというようなことが望ましいと思っているのでございます。
  74. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の意味が、先ほどからお話のありました通り、四銭の延滞利子一本だけでなく、もう少し、そういう既成の事実は事実としてこれを何とかほぐすよう考えろ、こういうお話だろうと思いますが、それは私もよく考えてみようと思います。
  75. 堀内一雄

    ○堀内委員 私はとかく事務当局としてはなし得ないところが非常に多いと思いますが、そこを大臣の政治力によって、またいろいろな手段によってこれを打開していただくことは、地方鉄道の育成上非常に重要なことと存じますので、これを御希望申し上げて私の質問を打ち切ります。
  76. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま上程せられております日本国有鉄道法の一部を改正する法律案関連をして、二、三の質問をいたしたいと思うのであります。  時間がありませんから端的に申し上げますと、私は終戦後十年間国会議員としての職責を果しておるわけでありますが、十年間を顧みて非常に多難な道を歩いた国有鉄道の育成ということに対しては、私自身は池坊鉄道関係しております関係上、好意ある立場で、しかも理解ある議員の一人として行動して参ったつもりであります。御承知通り、かつて決算委員会で問題になり、戦後国有鉄道が最も大きな事件にぶつかったといわれた鉄道会館問題の審議に際しましても、当時の速記録を見ればおわかりになると思いますが、田中議員は私鉄の社長であるから、国有鉄道とぐるだとさえ極論をせられていたにもかかわらず、私は議員の良識に従って、アイデアとしていいものであるならば、国鉄が自力で立ち上っていくために果敢に施策を行わなければならないものであったならば、  一面において反対があったとしても、  勇敢にこれを行うべきだという立論  をいたしておったのであります。今  日は少し立場を変えて私鉄のために  も、国鉄のためにも、ある意味におい  ては是正をすべきものは勇敢に是正をしていただきたいということで政治的な発言もありますが、私は率直に私の意見を申し述べ、当局の所信をただしたいと考えておるわけであります。  私が今、なぜこのような立場でものを申さなければならないかというと、ただいま申し上げた通り、かつて決算委員会鉄道会館問題が非常に大きな問題として提起をせられ、その鉄道会館問題がうまく終息をしないと、国鉄自体も大へんだと自他ともに考えられた。その問題にあまりにおそれをなして、その後国鉄が当然行うべきものを行わない。もっとはっきり申し上げると、行うべき職責を果さず、勇気に欠けておる場面が非常にたくさんあるのじゃないかということを、率直に考えざるを得ないのであります。特にこのような事態を続けていきますと、先ほど経理局長が言われたのでありますが、どうもそういう前提に立った自分の発言が正しいのだという錯覚を起してくるおそれが多分にある。それは国有鉄道の将来のためにも私は惜しむものでありますので、率直に意見を申し上げてみたい。あつものにこりてなますを吹いておるということでは、国鉄の将来のためにならないという考えであります。特に現行国鉄法の制定は占領軍政策によるものでありまして、これは非常に大きな施策の一つであります。もちろん独立後は、当然これが法制及び機構の問題に対しては再検討を要する問題でありますし、国鉄当局及び運輸当局がこれが改正案提出いたしておるゆえんもまたそこにあると思うのであります。しかし戦後十年間の歴史を持っておるものでありますから、この膨大なる機構で、法律改正によって一挙に何らかの結論を見出すということは、なかなかむずかしいことだと考えております。お互いが納得する国鉄機構の整備を慎重にはからなければならないと考えておるのは、あに私だけではないと考えております。  私がこういう事例をもって申し上げますのも、あつものにこりてなますを吹いておるのが現在の国鉄であろうと思うからでありますが、それも現実にぶつかっての問題でありますし、お互い人間でありますから、理想論だけが推し進められるとは思いません。思いませんが、そのために是正すべきは是正するということもやっておらないようであります。強力に推し進めなければならないものに対しては、勇敢にこれを行うという処置にも欠けておるようであります。その現実的事例として、鉄道会館問題はあのようになりましたが、日本の戦後十年間の鉄道に対する一般会計からの繰入額を見てみますと、これは三分の一が停車場に使われております。戦後最も大きな事業一つである国鉄が、輸送力増強とか、その他運行上必要な施設の改善に金を使うことは当然であります。ドイツが第二次アウトバーン計画に一切の財力を投じて、これが建設に当っておるという姿を見れば、これは当然の話であります。ところが駅舎の建築というものは、それほど重要なものではありません。国鉄当局及び運輸当局にいわせると、代議士どもが持ってきてしようがないのだ、全くこういう一言で片づけられるようでありますが、鉄道は駅がなくとも運行できるのであります。西ドイツの戦後十年間の駅がいかに復活しているかということを考えれば、全く一目瞭然であります。こんなことを見ないために国鉄や運輸当局からたくさん人を出したわけではないのでありましょう。西ドイツの鉄道は、レールの単一化をはかり、最高速度の制限を行い、一切のものが完了しておりまして、最後に残っているものは駅舎だけであります。ところが日本国有鉄道現状は、できたものは何かというと、駅舎の復旧がよけいできているのであります。東京駅構内の施設にかけられた費用と、東京駅の駅舎にかけられた費用の率を見ていただければすぐわかるのでありますが、一体こんなやり方でいいのか。これはわれわれ政治家にも大きな責任があることは言うまでありませんが、そういう状況であります。それを是正し、そうしていわゆる国鉄の運輸能力を増すための施設に力を入れるのは、限られた予算内部でやるのでありますから、何らか別の方法をとらなければならぬことは言うまでもない。そこで鉄道会館ような、すなわち駅舎のようなものに対しては民間資金の導入をはかろうということは、アイデアとしては非常にりっぱだと思うし、国鉄会館問題が、衆議院、参議院において追及せられたことによって、国鉄の経理が非常に明朗化したということも一つの利点でありましょうが、それによって民間資金の導入が一頓挫を来たしたということも一つの事例だと思う。そういうことを勇敢におやりになればいい。一、二貿易株式会社の認可は去年度から出して  いる。出しているが、ほとぼりがさめるまでやらないでおこうということではだめで、認可を出したならば堂々とおやりになればいいではありませんか。きのうかおととい参議院を通過した法律に官庁営繕法の一部を改正する法律というものがありますが、これは  一つの地区を一団地として指定いたしまして、中央官衙及び地方公共団体の官衙も一まとめにしようという考えのものでありますけれども、少くとも現在の駅の上にこれら諸官衙が作られるとしたならば、国費支弁に基く建物というものは非常に安くなるのであります。土地の取得だけでも三分の一の費用を要していることは御承知通りでありますが、なぜそういうことをおやりにならないのでありますか。こういう勇敢にやらなければならぬことをやらないで、国鉄会館問題が終ってからまだ一、二年しかたたないから、もう  一年ばかりほとぼりをさまさせようなどという考えでは、遺憾ながら現在の国鉄の幹部の方々が勇気を持っていると是認することはできないと思うのであります。  それからもう一つは、これは前から言っているのでありますが、私は現在の道路法を三十七、八年ぶりで改正をいたしました。道路法に引き続いて有料道路法の提出を行い、それからガソリン税等相当額を盛らなければならない道路整備五カ年計画も、私が代表として提案したのであります。今度は積雪寒冷地における道路法の提案もいたしました。このようなことでさえできるのであります。道路の整備はできるのであります。これよりも大きなものは何かというと、国鉄を何とかしてペイ・ラインに乗せようということであります。戦後いろいろの国有財産がばらまかれましたが、国有鉄道ほど大きなものをある一定のものに与えたというものはないのであります。ほかのコーポレーションは全部一般会計に繰り入れを行なっております。国鉄だけがなぜ行われないか、こう言いますと、それはあなた方の議論があるところであるが、鉄道というものは全くの公益企業であり、運賃値上げを無制限に認めないのは、これが日本経済の根幹をなすものだからという考え方ではありませんか。その通りであります。だから一般会計から繰り入れをやっているのであります。損失は補てんをやっている。だから先ほど大臣の言われた通り、もうからない施設の国鉄の新線計画も、年々進めていかなければならないということであります。その現実を、何とか大きな努力を払うことによってある時期にペイ・ラインに乗せ、その後は幾らかずつでも国に返すということを考えるのが——国鉄を今よりもさらに一歩進めて民営企業に移そうということで乗り出すならばうんと金を出してもいいが、老朽化している国鉄をいつまでもいつまでも今のままで進めていけないという考え方だと思うのです。だから貨車、客車等に対しては総裁は民間資金の導入を考えております。これは大蔵省が官庁営繕物に対し、特に例をあげて言うと外務省庁舎に対して民間の資金を入れようという考えに相通ずるものでありますから、こういうものをやっておりますが、こんなことだけで片づけられると  は私は思わない。極論すれば、今進めておる三千キロ電化計画は、五カ年に縮めて六千キロ計画に推し進められる  としたならば、これで国鉄はペイ・ラインに乗るでありましょう。こういう  ことさえもおやりになっておらないのであります。私は運輸に関係する委員ではありませんでしたが、今度は一つ運輸委員の諸君とも十分連絡をして、国鉄というものを何とかしなければならぬ、そういう意味で、全線電化を考えていかねばならぬ。そのためには賠償さえ払うと言ったでないか。第二次財産税を徴収せられるとしたならば、国鉄の電化に向けるべきだ。国鉄を低賃金に据え置き、そうして国鉄を抜本的に改正しなければ、日本の経済というものは破滅するのであります。こういう考えを私たちは持っておるわけであります。そういういろいろな角度から私は考えておるのでありますが、国鉄だけでは一本に立っていかないのであります。国鉄はたくさんの毛細管の中の幹線であります。動脈であります。毛細管の問題に対しては、先ほどあなた方が言われた通り、衆参両院でいじめられるだけいじめられたし、またいろいろな協定の是正もやったようであります。外郭団体の整理も行なったようであります。しかし国鉄が一人立ちができないという原則に立って、これをなくすることはできないのであります。なくすることができないというよりも、これは育成、助長しなければならないのであります。国鉄が育成、助長をしなければならないというのは、ただ単に国鉄の自由意思によって助長、育成をはかるのじゃありません。これははかる義務があるのであります。ここに問題がある。先ほどの質問との間にどうもあやがあるようでありますが、国鉄は培養線の助長をはかならなければならない法律的な義務があるのであります。特に私鉄の問題に対しては明治三十九年三月三十一日の法律第十七号、鉄道国有法の第一条に「鉄道ハ総テ国ノ所有トス」と明記してある。これは明治憲法当時からの国是であります。これは依然として変っておらない。鉄道は国有とするから、いろいろな資源の制約があってむずかしいといった戦時中には、鉄道はこの条文適用して強制収用ができたのであります。鉄道はサーベルの力を持って国に収用したのであります。収用の反面を持つと同時に、政府は右の鉄道に対しては相当な助成というよりも、これを育成しなければならない責務があることは当然であります。第二条には明らかに、政府は左記の鉄道を買収すべしとある。左記の鉄道は、この法律施行の当時政府が買い入れられる限度においては、左記の鉄道であったにすぎない。鉄道はすべて国有とする。まあその最後に、「但シ一地方ノ交通ヲ目的トスル鉄道ハ此ノ限二在ラス」、「但シ一地方」と書いてあります。これは除外例であります。明らかに鉄道はすべて国有であるという鉄道国有法の原則は、今になお貫かれておるはずであります。こういう法律的な精神を考えると、日通と私鉄が同じであるというような議論は、これは法律の精神を誤まるもはなはだしいものであります。しかも一般の債権者と債務者が法廷で争う場合は、そういう議論が成り立つ。違法でなければ払わないでいいのであります。しかし少くとも国有鉄道の職員が、違法でないが妥当でないという議論を吐いてはならないのであります。そういう基本論をたてにして進めたならば、決算委員会で何と言われようと育成すべきものは育成し、助長すべきものは助長する義務があるのであります。決算委員会がうるさいから、やむを得ず地方鉄道とバス会社とトラック会社を一緒にしたいのだけれども、勇気がないからやれないのだ、こういうことになるではありませんか。  私は運輸大臣に、、ダブるかもわかりませんが、結論を申し上げるまでに一つ伺いたいのでありますが、私のただいま申し上げたことを前提として、運輸大臣は、地方鉄道は公益企業考えるか、または私企業考えておられるのかということに対して所信を伺いたい。
  77. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは公共企業であることは明瞭だと思います。
  78. 田中角榮

    田中(角)委員 第二に、地方鉄道国有鉄道とは一体不可分のものと考えるか、または全然切り離して考えられるのかどうか、伺いたい。
  79. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは全然切り離して考えてはいけないと思います。
  80. 田中角榮

    田中(角)委員 鉄道はすべて国有とするという原則、観念を先ほど申し上げましたが、今でもその観念は正しいかどうか、大臣の見解を伺いたい。
  81. 吉野信次

    吉野国務大臣 原則はその通りであります。ただ原則には例外があるということであります。
  82. 田中角榮

    田中(角)委員 第四番目になりますか、日本通運や交通公社というようなものが国鉄の外郭団体としてありますが、地方鉄道とあわせて、その緊急重要の度合いをどうお考えになっておられますか。
  83. 吉野信次

    吉野国務大臣 これは理論的の観念から言うても、今言うた通運会社のようなものはパブリック・ユーテリティというようなものには入らないと思います。
  84. 田中角榮

    田中(角)委員 今地方鉄道業と一般のバス業等を行なっておる交通会社があるが、この地方鉄道と一般の交通機関とに対して認許可を行う場合、助成を行う場合、いろいろなものの解決を行う場合、運輸大臣はどういう基準をお持ちになりますか。
  85. 吉野信次

    吉野国務大臣 バス事業にも二色ありまして、いわゆるオン・ザ・ラインというので、一定の路線を持っておるものはパブリック・ユーテリティであるということは、理論上その通りであります。
  86. 田中角榮

    田中(角)委員 今地方鉄道事業については、運賃は免許制でありますが、この運賃国有鉄道運賃を上げるとか下げるとかいうような問題と別にして、地方鉄道経営を進めていくためにはその運賃についてもっと大幅に認めるか、もしくは免許制を廃止するというお考えがありますかどうか。
  87. 吉野信次

    吉野国務大臣 今免許制を廃止することまで考えておりませんけれども、地方鉄道運賃の場合は、その具体的の会社の経理状態ごとに考えてやって、これを一律に押えるという考えは持っておりません。
  88. 田中角榮

    田中(角)委員 地方鉄道が業務の廃止を申請してきた場合、やむを得ざる事情とお認めになった場合、この業務の廃止を許可せられる意思があるかないか。
  89. 吉野信次

    吉野国務大臣 そういう場合は、まあその会社自体から言えば、どうせ立っていかないのだからやめたいということがありましても、それはやむを得ないということでありましょうけれども、ただやむを得ないというだけでほうってはおけないのであります。そこが大体今の公衆の利便ということの性質でございますから、どうするか、その場合にいろいろな方法があると思うのです。これを進んで国鉄が買収するか、あるいはそれをどういうふうにするかという方法があると存じますけれども、ただそういう問題が具体的に起きたときに、一般企業と同じように、採算がどうだからといって、採算一点張りでこれを処置するということは適当でないと考えております。
  90. 田中角榮

    田中(角)委員 その通りであります。草軽鉄道ように、五島慶太というような斯界の権威者が社長になっておりまして、二十年間廃止の免許申請をやっておりますが、これは依然として許可になっておらない。これは地元に反対がある場合許可してはならない。これは地方鉄道国有鉄道と同一にみなしておるという理論からきておることは言うまでもないのであります。きっとそうお答えになるだろうと思っておりました。  次に御質問申し上げますが、安全運行のための軌条の更換を今要求しております。これは人命を損傷するおそれがありますから、地方軌道に対して、二十五キロレールに対しては枕木何ちょう、三十キロレールに対しては何ちょう入れるべしと、これは非常に強いのであります。入れなければ運行を停止せしめるのであります。これは非常に強いものがあるのですが、戦後運輸当局もいろいろと考えれらて、大事件を起した陸運、海運の利子補給さえやった。日本が立ち上るために必要な措置は、世論がどうあろうともやるべきことはなす、これが当然のことだと思います。しかし地方鉄道に対してはほとんどやっていない。今地方鉄・道の助成法というのがありますが、これは議員立法であります。私どもが原案を作り、国有鉄道あと押しをして、議員も中に入ったということであればよいが、そうではなかった。議員がさんざん働きかけて、当時国鉄の副総裁だった天坊君が、今のところはもうこれ以外にないからこうしておって下さい、占領政策によって鉄道はみな民営にするのだ、国有鉄道は今すぐ純民営にできないなら、私鉄に対して補助をやってはいかぬ、と同時に国有鉄道というものをコーポレーションにして、だんだん民営に移していくのだということで、昔においては不可分であった国鉄と私鉄とが分離せられておるような法制下においてはいかんともなしがたいから、一時こうしておいていただきたい。しかし私鉄は国鉄の培養線であるから、当然独立後の国有鉄道法改正に当っては、これを鉄道法の改正の末尾にくっつける、そして国有鉄道自体が一体になって私鉄を運営しなければできないということを言っておる。こういうことを研究しないで、ぽかっと局長になり次官になり副総裁になったというならば、もう少し勉強なさってからおいで願いたいと申し上げたい。それは国会審議を無視しておるのです。そうでなければ、少くともバス業と私鉄を同一視して、これが連帯運輸は差しとめてもいいのだという議論は成り立たないのであります。もう一つは昭和二十五年か二十六年かに、立法措置を行わない前に閣議決定で、開発銀行の設置に当って、地方鉄道に対して法律もしくは大臣の命令をもって、安全運行を要求し、軌条及び道床の改良を命ずるような場合には、開発銀行にワクを設けて利子補給を行うという閣議決定の申し合せがちゃんとあります。そういう現実に基いて、二、三の会社が開発銀行の融資の対象になって電化を完成してへ四十年、五十年の夢からさめて今ようやく立ち上りつつある事例があります。大井川鉄道においてしかり、私どもの鉄道もそうであります。しかしこれはあとがしり切れトンボになって、今開発銀行に私鉄のワクはありません。それは私鉄の関係者がむしろ旗を立てて運動しないからといえばそれまででありますが、こういう問題は起動すべきものじゃありません。私は自分の在任中、私鉄に対する大きな問題としては河川法の一部改正案を私が提案いたしました。そしていわゆる川の洪水水位が上るために当然橋脚を上げなければならないという問題は、現憲法下では経営者負担であって、国がこの負担をすべきだという改正を行なったのでありますが、議員立法以外に一つもやっておりません。それで十年間もたって、考えてはおるのだというに至っては、熱意がないか、品では言っておるがやる意思がないか、どちらかだと私は思う。  最後一つ伺いたいのでありますが、この連帯運輸の精算金に対して大臣は多少お考え違いがあると思うのです。これは一般民法上の債権債務と違うのであります。この連帯運輸の精算金に対しては、先ほど経理局長が言われましたが、連帯運輸の精算ができるという一札を入れて、もし精算することができなかった場合には連帯運輸の停止をすればいいのだ、こういうのでしょう。ところがこの連帯運輸の停止ということはできないのです。できないことをできるがごとき錯覚を持っているとしたならば、この人は恐ろしい人です。連帯運輸の停止ができるようならば、草軽鉄道やそれからもう一つ岩手開発は、とっくに停止許可が出ておるはずです。運輸大臣許可ができない、できないのは当たりまえです。国有鉄道は連帯勘定の精算金が納まらないからといって、連帯運輸の停止ができるのですか。それをしかも省議に持ち出したじゃありませんか。私は運輸省とは特に親しい、先輩である吉野さんが運輸大臣になられたが、こういうことを言うときがあると思ったから、ついに今日までごあいさつに伺わなかった。少くとも日本国有鉄道の二階においてさようなことが議決され、運輸省に協議せられるにおいては、現在の国有鉄道理事は何をしておるのか。連帯運輸の停止はできないことが原則になっておる。これに対して運輸大臣と協議して、運輸大臣がやむを得ない、これはもうこの営業の廃止を認可ようという腹がきまらなければ、連帯運輸の停止はできないのであります。こういう問題をよく軽々にここでもっておしゃべりになられると思う。それは不勉強か、もしくは議院を軽視しておるか以外の何ものでもない。そんな議論が一体通るのですか。だから私は段階をつけて御説明を求めておるじゃありませんか。だからさすがにこれに対しては、運輸省はけ飛ばしております。そういうことはまかりならない、別に妥当な処置を講じなければならない、さすがに私は運輸省だと思います。私は決算委員をしておるときに、こんなに批難事項がたくさん出るのは、運輸省がしっかりしていないからだと、ここにおる部長などには耳の痛い話をした。大体今考えてみても、運輸大臣が四階で、国有鉄道の総裁が三階におるなんということで、国鉄に対して行政権が行われるか。日本の観念では下にいるほど高いのだ、安いたな子は上に上ることになっておる。そういうことで、私は今度のことは、運輸省はどうかと思ったが、さすがに運輸省は伝統があり力があると思った。そういう意味で連帯運輸の停止ということを前提にしてこのことを考えてはならないので、別な方法で解決する道はたくさんありますが、運輸大臣は連帯運輸の停止をしてもいいとお考えになっておるかどうか。
  91. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは先ほど申し上げました通り公共企業というものはそういう債権債務の関係だけでもってこれをやるということはよろしくない、こう思います。
  92. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つ、地方税法上の外形標準課税というのは、地方鉄道以外はごく数種に限っております。国が運行の差しとめをしない、連帯運輸はひっかかってもとれない、そういうものも育成していかなければならぬ、なぜか。それは毛細管なんだから、また培養線だから、もしそれをやめるときには、国がこれを買収すればいい。引き取るよう鉄道財団順位を設定しろと業者はみな言っておる。ところがそうすると、借金等も一切ひっくるめて引き取らなければならぬから、これはできないというのですよ。そんなことはない。引き取ればいいのであります。法律は、明らかに鉄道は国有を原則としているのでありますから、大蔵省にばたばた言われなくても、金を貸して自動的に引き取らざるを得なくなれば、これは非常にいいことだと私も考えておるわけでありますが、それもおやりにならない。ただし今地方税法上の外形標準を収益課税に直そうといっておるが、私鉄に対して外形標準課税をやっていることは非常におかしい。安全連行を要求し、運賃をとにかくストップしておるのだ、そして廃止には応じない、すべてが免許制なんです。金はお前たち集めてこい、こういうのであります。なぜ外形標準ということで納得しておられるのでしょうか。運輸省が少なくとも今まで十年間かかって、外形標準を収益課税に直してくれということを閣議でもって一言も強く言われたというお話を聞かないのであります。きょう五時に採決をするという隣の地方行政委員会においては、ほとんどの委員諸君がこれだけは何とかしてやろう、運輸省国鉄にかわってわれわれの良識でやってやろうというのも、まあ時間がないのでやむを得ずこのたびは見送ろうということで、きよう最後の九九%まで収益課税に直っておるものが、公給領収書の廃止との抱き合せのために、本日はついに原案で通るようであります。私は国鉄及び私鉄の関係者の一人として非常に悲しむのであります。政府当局は昭和三十二年度予算編成の前までに税制の抜本改正を行うから、これは当然行うという言明をしておられるのでありますが、運輸大臣のこれに対しての所見を聞かしていただきたい。
  93. 吉野信次

    吉野国務大臣 私もその点は非常に不合理だと思っておりまして、なるべく早くそういう不合理はやめたい、こう思って努力しているわけであります。ただ非常に微力にしてそれがまだ実現しないということは、非常に遺憾だと存じております。
  94. 田中角榮

    田中(角)委員 私も与党ですから大臣と責任を分担しておりますから、それ以上は申し上げません。  今度は国有鉄道の副総裁にお聞きをいたしますが、今までの質疑を、私ははめ込んでいって質疑をしておるのじゃありませんが、どうもお互いに短かい時間で話をしますと、それもこれもみんなほんとうのように聞こえるのであります。だからつまらない前提を長々と申し上げて、なるほど田中の方が正しいぞという観念をきめてもらわないといかぬので、申し上げただけでありますから、あしからずお聞きを願いたいと思うのであります。国有鉄道は先ほど大臣が申された通り、地方鉄道に対して育成も考えておられると思います。だから、あまり私はしっこく同じことをお聞きしません。まず地方鉄道は培養線として培養しなければならないというお考えであると思います。私の発言と逆なものがありましたら御訂正を願いたい。これはあると考えます。  もう一つは、国有鉄道日本通運やいわゆる運賃精算をやらなければならないいろいろな業態と比べて、私が今申し上げたことを御認容になるならば、私鉄というものはあらためてそれらのものと別のものと考えなければならないというお気持になることも、それは現実的にはなかなかむずかしいにしても、少くとも精神的な面からもそうなるだろうということも私は疑っておりません。そうしますと、これは私鉄に対する現在の未精算連帯運輸をどうするか、こういう方法論だけに搾られるのですが、これに対して先ほど経理局長の言われた通りに、連帯運輸の停止が約束できるならば、精算に対しては特別の措置を考えてもいい。トラック会社と私鉄は一緒だ、こういうようにお考えになっておるかどうか。もしそうであれば、国鉄の赤字はなくならなければ一般会計から支出しないという議決ができるのであります。同じ公益企業なんです。同じ制約を受けておる。これは形態がちょっと違うだけであります。こういうことになりましょう。国鉄の赤字をなくさなければ一般会計からの支出は認めない。国鉄は一人でやってみろ。どうですか、国鉄理事、幹部と労働組合と毎日けんかしなさい、国会は一、二年見ておる、こういう議論に相なのでありますが、トラック業者や指定のホテル業者やそういうものと、もう一つは各種の公社があるようでありますが、この種のものと私鉄に対して、やはり先ほど経理局長の言われた基本線はお変えにならないのですか。
  95. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 いろいろお伺いをいたしまして、ごもっともと存じます。この件に関しましては先ほど運輸大臣からのお話もございましたので、なお運輸省と御協議をいたしたい、かよう考えております。
  96. 田中角榮

    田中(角)委員 これは経理局長がおられますからはっきり申し上げますと、今こういうことなんですよ。年間における割賦率というものがあります。私鉄と国鉄との連帯運輸は、大体ことしは私鉄が二割五分、それから国鉄が七割五分にしょう、この会社に対しては三割五分と六割五分にしょう、こういうことになるわけですが、前三カ年ぐらいの実績に徴して、大体この程度でいいのじゃないかということで協定をしておるのです。両者が協議をしておるのだから、協定文書に基いて翌月発生分からは延滞利息を徴していい、こういう考え方なんですが、実際これはひどいですよ。こんなことをやっておるのは国鉄だけなんです。これは国鉄がどうしても決算委員会がおっかなくて、現行法を変えられないというならば、民法上の権利で争えばいいのであります。実際において全国の私鉄がこれだけの数寄って、一枚々々連帯運輸を全部精算できないのだ。ほんとうにするならば、精算確定のある日まで連帯運輸の未精算金というものは払わぬでもいいのです。それは当然なんです。両者が協議をして納得する線が出なければ、いつまでたってもいいのです。そうしますと、少くとも国有鉄道が今の方式を変えないということをあなた方が言われるならば、私たちはとにかく悪くは考えませんが、私鉄業者が労働組合のように団結すれば何でもできるのですよ。労働組合よりも良識があるから団結しないだけなんです。なぜかといいますと、精算というものは両者が協議をして納得をしなければならない。あなた方が提示をしてきたものは、国有鉄道と私鉄との間の連帯勘定はこういうものだ。こういう決定をしてきたときには、これに対しては異議の申し立てをやればいい。これは法律で争えばいいのですよ。何年でも異議の申し立てができる。最終債権が確定した日から延滞利子を払わなければならない。現在はそうではないのです。長いものに巻かれる式で私鉄は黙っておるのです。だから法律的に争えば争う余地が幾らでもあるのですが、争わずにやっておるのは、結局国鉄と私鉄の関係というものは親子の関係にあるので、どっちがなくてもいかぬのだ、こういう相関関係をお互いが認めておるがために、こういうふうに円満にお互いの話し合いができておるのであります。事実ある種の会社がとにかく十分審査したら、二五%と七五%の割賦率をやってみたら二七・五%をもらえるのだということもあり得るのです。それはお互いの良識で話がついておる。ついておるから協定によってその翌月から延滞に対しては待ったなしに日歩四銭取っておるのであります。今度運輸当局は三銭にすると言っておるそうです。私もこの問題に対しては——私も私鉄の社長であります。それで長いこと、四十何・年かかって郷土の先輩がわずか四十キロの鉄道経営しておったのが、六年前に私が社長になったが、非常にひどい会社であったのです。私は今まで六年間無給でありました。一銭ももらっておりません。そういう会社を私は持っておりつつも、この質問をする前は——私も連帯運輸に対しては非常にひどいと思ったのです。思ったが、国会議員としてこれだけの質問をすれば、利益代表者としてやったと言われてもかなわぬので、私はおとといまで全額一千九百万払ったのです。一銭も負けてくれとは言っておりません。しかしそういう問題に対しては、決算委員会がうるさいから、社会党の諸君がうるさいから、それを納得せしめるだけの資料をあなた方は出さなければならない。それは行政府の役人の務めじゃありませんか。そういうことを勇敢に言わないで、労働組合ががちゃがちゃ文句を言えば無制限にものを認めていく。そんなことで一体国有鉄道の再建ができるのでありますか。私はそこを言いたい。だからそういう意味で私はもうこれ以上申し上げません。申し上げませんし、与党でありますから——与党にしても非常に強い発言であります。しかしこれらの責任は単に議員と行政府及び国鉄の問題じゃないのです。お互いに、特に与党の議員であれば共同して責任を負わなければならぬ。だから決算委員会にさん、ざんたたかれたときには、そのたたかれ方に甘んじておったのであります。私はこんな問題を何回も言おうとは思いません。思いませんが、地方鉄道業なるものが私企業と同じだというよう考えは改めてもらわなければならない。私はもしあなた方が私企業という認定を下されるならば、われわれも国有鉄道に対して別な観点から法律立案をやるでありましょう。これはまわりがうるさいからなどといって、そういううるさい議論をみずから解明しよう努力をしないで、連帯運輸の差しとめができるならば、特に非常に苦しい会社が今貨車を二十両回してくれれば、砂・利を送り何かを送ってそれを運賃未精算にやるのだといっても、運賃を納めない会社に対しては減車をしておる。二割ないし半分の減車をしております。もう一つは、どうしても砂利業を開設しようという場合には、連帯運輸の未清算金がある会社に対しては、鉄道車両等を払い下げないという内規があります。こんなことをしておって、一体どうして私鉄の連帯運賃を取ろうというのですか。条件を提示せず、めんどうも見ず、何もしないで日歩四銭を取るのだ、そうして日歩四銭ずつ取っておれば連帯運輸はとまるでありましょう。そして最後に、十五年間も二十年間も廃止の許可をしない草軽鉄道というものは、厳然としてあるじゃありませんか。こういう事実をもっと深刻に考えてもらいたい。われわれも国有鉄道の育成に対して人後に落ちるものではありません。私は十年を通じてきょう初めてものを言い、また将来こんな発言をしないでありましょう。しかしもう少し深刻に考えていただきたいということだけを申し上げて、私の質問を終ります。
  97. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私有鉄道につきましては同業でありますし、レールのつながりがありますので、特に親しみを感じておる次第であります。従来とも決して無理をいたすつもりはございませんでしたし、今後もその通り育成、助長をしていきたい、かよう考えておりまして、ただいま先生のお話の点につきましては、とくと調査研究をいたしたいと思います。
  98. 田中角榮

    田中(角)委員 けっこうです。
  99. 濱野清吾

    濱野委員 関連して。今堀内君と田中君の質問を傾聴しておったのでありますが、公益事業経営は非常に困難だと思います。ことに戦後のあのインフレからデフレを経てきて、膨大な資産を持ってこうした輸送産業を経営するということはなかなか大へんなことだと思って、私どもも御推測申し上げておる。そこで、お話中の未精算運賃のことについてちょっとお尋ねしておきたい。交通公社は現金収入に対する何%という手数料をいただいてあの事業をやっておる。あれはすでに現金が入っておる。現金が入っておるのにもしたな上げやあるいは長期にわたる支払い猶予があるということは、相当世間でも議論になっておるし、筋も通らない話だと思う。そこでもし地方鉄道の未払いの方に相当の金があれば、これはたといそれが公益事業であっても、私は今の議論は相当検討しなければならぬと思う。そこで私どもはこれを詳細に検討する必要のために、大体今の私鉄の旅客運賃の未収と貨物運賃の未収との。パーセンテージをここへ出してもらいたい。これはこの議論をするためにはどうしても聞いておかなくちゃいけない。もし貨物運賃の未収が旅客運賃の未収よりは多い場合は、これはまださらに検討する必要がある。貨物運賃が未収になるということも、未収という名のつくのはどれだっておもしろくない。おもしろくない現象だが、日本の過去十年間における産業、経済、金融、それらを見ると、旅客運賃ように現金を取って、そうしてそれを蓄積しておったとか、よそへ利用しておったというようなことでなしに、運賃がとれない面があるのじゃないか。たとえば産業家あるいは企業家はどんどん物の輸送は運輸省に頼む、あるいは私鉄にも頼むけれども、しかし運賃は未納になって、あるいは手形になって、そうして一定の期日に入ってこぬ、こういうことで貨物輸送面における未収というようなものも大きくなるのじゃないかと思います。この責任をただせば、なるほど国鉄やあるいは私鉄の当事者、あるいは一般の日通その他の企業者の直接には責任ではあるかもしれぬけれども、しかしこの場合、それはそれらの当面の責任者が怠慢であったと責めることは、あまりに日本の国情というようなものについてのその診断がなさ過ぎる行き方だ、こういうふうに考えますので、どうぞ私鉄における旅客運賃と貨物運賃とを区別して、そうして貨物運賃が一体幾ら未整理になっているか、あるいは旅客運賃がどれだけ未整理になっているか。旅客運賃が未整理になっているとするならばこれは少々考え直さなければならぬし、貨物運賃が未整理になっているとすれば、また別の角度から一応この検討を進めて、その対策、育成の方向に向っていかなければならない、こういうふうに私は考えるのであります。これは重要なことですから、後ほど資料を出していたたきたい。
  100. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま資料の持ち合せがございませんから、至急調べまして提出いたしたいと思います。
  101. 松山義雄

    松山委員長 火曜の日は午前中倉庫業法案をやりまして、午後時間があれば日鉄法をやります。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十八分散会