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1955-11-22 第23回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年十一月二十二日(火曜日)
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第一号
昭和
三十年十一月二十二日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
第二
議院運営委員長
の
選挙
第三
事務総長
の
辞任
の件 第四
会期
の件 第五
内閣総理大臣
の
指名
━━━━━━━━━━━━━
●本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
日程
第二
議院運営委員長
の
選挙
日程
第三
事務総長
の
辞任
の件
事務総長
の
選挙
日程
第四
会期
の件
日程
第五
内閣総理大臣
の
指名
原彪
君の故
議員安藤正純
君に対する
追悼演説
阿左美廣治
君の故
議員杉村沖治郎
君に対する
追悼演説
午前十一時二十三分
開議
益谷秀次
1
○
議長
(
益谷秀次
君)
諸君
、第二十三回
国会
は本日をもって召集せられました。 これより
会議
を開きます。
————◇—————
第一
議席
の
指定
益谷秀次
2
○
議長
(
益谷秀次
君)
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいま御着席の
通り
に
指定
いたします。
————◇—————
第二
議院運営委員長
の
選挙
益谷秀次
3
○
議長
(
益谷秀次
君)
日程
第二、
議院運営委員長
の
選挙
を行います。
長谷川四郎
4
○
長谷川四郎
君
議院運営委員長
の
選挙
は、その
手続
を省略し、
議長
において
指名
されんことを望みます。
益谷秀次
5
○
議長
(
益谷秀次
君)
長谷川
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
益谷秀次
6
○
議長
(
益谷秀次
君) 御
異議
なしと認めます。よって
動議
のごとく決しました。
議長
は
議院運営委員長
に
椎熊三郎
君を
指名
いたします。(
拍手
)
————◇—————
第三
事務総長
の
辞任
の件
益谷秀次
7
○
議長
(
益谷秀次
君)
日程
第三、
事務総長
の
辞任
の件につきお諮りいたします。
事務総長大池眞
君より
事務総長
を
辞任
したいとの申し出があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
益谷秀次
8
○
議長
(
益谷秀次
君) 御
異議
なしと認めます。よって許可するに決しました。
————◇—————
事務総長
の
選挙
益谷秀次
9
○
議長
(
益谷秀次
君) つきましては、この際
事務総長
の
選挙
を行います。
長谷川四郎
10
○
長谷川四郎
君
事務総長
の
選挙
は、その
手続
を省略して、
議長
において
指名
されんことを望みます。
益谷秀次
11
○
議長
(
益谷秀次
君)
長谷川
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
益谷秀次
12
○
議長
(
益谷秀次
君) 御
異議
なしと認めます。
議長
は
事務総長
に
鈴木隆夫
君を
指名
いたします。(
拍手
) この際暫時
休憩
いたします。 午前十一時二十五分
休憩
————◇—————
午後零時十九分
開議
益谷秀次
13
○
議長
(
益谷秀次
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。
————◇—————
第四
会期
の件
益谷秀次
14
○
議長
(
益谷秀次
君)
日程
第四、
会期
の件につきお諮りいたします。今回の
臨時会
の
会期
は
召集日
から十二月十六日まで二十五日間といたしたいと思います。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
益谷秀次
15
○
議長
(
益谷秀次
君) 御
異議
なしと認めます。よって
会期
は二十五日間とするに決しました。
————◇—————
第五
内閣総理大臣
の
指名
益谷秀次
16
○
議長
(
益谷秀次
君)
日程
第五、
内閣総理大臣
の
指名
を行います。この
手続
は
衆議院規則
及び
先例
によることといたします。
衆議院規則
第十八条第一項によりますれば、
記名投票
で
指名
される者を定めることとなっております。
諸君
のお手元に配付してありますところの
投票用紙
に、
指名
される者の
氏名
を記載せられ、かつ
投票者
の
氏名
を記載の上、木札の
名刺
を添えて御持参あらんことを望みます。 これより
点呼
を命じます。 〔
参事氏名
を
点呼
〕 〔各員
投票
〕
益谷秀次
17
○
議長
(
益谷秀次
君)
投票漏れ
はありませんか。
——投票漏れ
なしと認めます。
投票箱閉鎖
。
開匣
。 これより
名刺
及び
投票
を計算いたさせます。 〔
参事名刺
及び
投票
を計算〕
益谷秀次
18
○
議長
(
益谷秀次
君)
投票総数
四百三十八、
名刺
の数もこれと符合いたしております。本
投票
の過半数は二百二十であります。 これより
投票
の
点検
を命じます。
点検
の方法は、便宜上同一
投票
は十票ずつ合算して読み上げることといたします。 〔
参事投票
を
点検
〕
益谷秀次
19
○
議長
(
益谷秀次
君)
投票
の結果を
事務総長
より報告いたさせます。 〔
事務総長朗読
〕 二百八十八点
鳩山一郎
君 〔
拍手
] 百五十点
鈴木茂三郎
君 〔
拍手
]
益谷秀次
20
○
議長
(
益谷秀次
君) 右の結果、
鳩山一郎
君を、
衆議院規則
第十八条第二項により、本院において
内閣総理大臣
に
指名
することに決しました。 〔
拍手
〕 伊東 岩男君
伊藤
郷一
君 生田 宏一君
池田
清志君
池田
勇人君
池田正之輔君
石井光次郎
君
石田
博英君
石橋
湛山君 一
萬田尚登
君 稻葉 修君
犬養
健君 今井 耕君 今松
治郎
君 宇田 耕一君
宇都宮徳馬
君
植木庚
子郎君
植原悦二郎
君 植村
武一
君 臼井 荘一君 内田 常雄君 内海 安吉君 江崎 真澄君 遠藤
三郎
君 小笠
公韶君
小笠原
三九郎君
小笠原八十美
君
小川
半次君
小澤佐重喜
君 越智 茂君 緒方 竹虎君 大麻 唯男君 大石
武一
君
大久保留次郎
君 大倉
三郎
君 大島
秀一
君 大高 康君 大坪 保雄君
大野
市郎
君
大野
伴睦
君
大橋
武夫
君
大橋
忠一君 大平 正芳君 大村
清一
君 大森 玉木君 太田 正孝君 岡崎
英城
君 荻野 豊平君
加藤
精三君
加藤常太郎
君
加藤鐐五郎
君 鹿野 彦吉君
上林
山榮吉君
神田
博君 亀山 孝一君
唐澤
俊樹君
川崎
末
五郎
君
川崎
秀二君
川島正次郎
君 川野
芳滿
君
川村善八郎
君 菅
太郎
君
菅野和太郎
君 木崎 茂男君
木村
俊夫
君
木村
文男君 菊池 義郎君 岸 信介君 北
れい吉
君 北澤 直吉君
北村徳太郎
君
吉川
久衛君 清瀬
一郎
君 久野 忠治君
草野一郎平
君
楠美
省吾君 熊谷 憲一君 倉石 忠雄君 黒金 泰美君 小泉 純也君 小枝
一雄
君 小金 義照君
小坂善太郎
君 小島 徹三君
小平
久雄
君 小西 寅松君
小林
郁君
小林かなえ
君
小山
長規
君
河野
一郎
君
河野
金昇
君 河本 敏夫君 高村
坂彦君
纐纈 彌三君
佐々木秀世
君 佐伯
宗義
君 齋藤 憲三君 坂田
道太
君 櫻内
義雄
君 笹本
一雄
君
笹山茂太郎
君 薩摩 雄次君
志賀健次郎
君
椎熊
三郎
君
椎名悦三郎
君
椎名
隆君
重政
誠之君
重光
葵君 篠田
弘作
君 島村
一郎
君 首藤 新八君
正力松太郎
君 白浜 仁吉君 周東
英雄
君 須磨彌
吉郎
君 杉浦 武雄君 助川 良平君
鈴木周次郎
君
鈴木
善幸君
鈴木
直人君 薄田 美朝君 砂田
重政
君
世耕
弘一君
瀬戸山三男
君 關谷 勝利君 園田 直君
田口長治郎
君 田子 一民君
田中伊
三次君
田中
角榮
君
田中
彰治君
田中
龍夫君
田中
久雄
君
田中
正巳君 田村 元君 高岡 大
輔君
高木 松吉君 高
碕達之助
君 高瀬 傳君
高橋
禎一君
高橋
等君 高見
三郎
君 竹尾 弌君
竹山祐太郎
君 千葉
三郎
君 中馬 辰猪君
塚田十一郎
君 塚原 俊郎君 辻 政信君 堤 康
次郎
君 綱島 正興君
戸塚九一郎
君
渡海元三郎
君
徳田與吉郎
君
徳安
實藏
君 床次 徳二君 内藤 友明君 中垣 國男君 中川
俊思君
中嶋
太郎
君
中曽根康弘
君
中村
梅吉君
中村三之丞
君
中村
寅太
君
中村庸一郎
君
中山
榮一
君
中山
マサ君
仲川房次郎
君 永田 亮一君 永山 忠則君 長井 源君
灘尾
弘吉君
夏堀源三郎
君 並木 芳雄君
樽橘
渡君 南條 徳男君 二階堂 進君 丹羽 兵助君
西村
直己君
根本龍太郎
君 野澤 清人君
野田
卯一君
野田
武夫
君 野依 秀市君 馬場 元治君 橋本
龍伍
君
長谷川四郎
君 畠山 鶴吉君 八田 貞義君 花村
四郎
君
濱地
文平君 濱野 清吾君 早川 崇君 林
讓治
君 林 唯義君 林 博君 原 健
三郎
君 原 捨思君
平塚常次郎
君 平野
三郎
君 廣川
弘禪君
廣瀬 正雄君
福井
順一君
福井
盛太
君
福田
赳夫君
福田
篤泰君
福永
一臣君
福永
健司君 藤枝
泉介
君 藤本 捨助君
淵上房太郎
君 船田 中君 古井
喜實
君 古川
丈吉
君 古島 義英君 保利 茂君
保科善四郎
君 坊 秀男君 星島 二郎君 堀内
一雄
君 堀川 恭平君 本名 武君
眞崎
勝次君
眞鍋
儀十君
前尾繁三郎
君
前田房之助
君
前田
正男君 牧野 良三君
益谷
秀夫君 町村 金五君
松浦周太郎
君
松浦
東介
君
松岡
松平
君 松澤 雄藏君
松田竹千代
君 松永 東君 松野 頼三君 松村 謙三君
松本
俊一君
松本
瀧藏
君 松山
義雄
君 三浦
一雄
君
三木
武夫
君
三木
武吉君
三田村武夫
君
水田三喜男
君 南 好雄君 宮澤
胤勇
君 村上 勇君 村松 久義君 粟山 博君 森 清君 森下 國雄君
八木
一郎
君
山口喜久一郎
君
山口
好一君
山崎
巖君
山下
春江君 山手
滿男
君 山中
貞則
君 山村新
治郎
君
山本
勝市君
山本
粂吉君
山本
正一
君
山本
猛夫君
山本
利壽
君
山本
友一君 横井
太郎
君 横川 重次君
吉田
重延君 米田 吉盛君 早
稻田柳右エ門
君 渡邊 良夫君 亘
四郎
君
鈴木茂三郎
君に
投票
した者の
氏名
青野
武一
君
赤路
友藏
君 赤松 勇君
茜ケ久保重光
君
淺沼稻次郎
君
足鹿
覺君
飛鳥田一雄
君 有馬 輝武君 淡谷
悠藏
君 井岡 大治君 井谷 正吉君 井手 以誠君 井上 良二君 井堀 繁雄君
伊瀬幸太郎
君
伊藤卯四郎
君
伊藤
好道君
池田
禎治
君
石田
宥全君
石橋
政嗣
君 石村
英雄
君 石山 權作君 稲富
稜人君
稻村
隆一
君
今澄
勇君 今村 等君 受田 新吉君
小川
豊明君 大西
正道
君 大矢 省三君 岡 良一君 岡本
隆一
君 加賀田 進君
加藤
清二君 風見 章君 春日 一幸君 片島 港君
勝間田清一
君
上林與市郎
君 神近 市子君
神田
大作君 川俣 清音君
川村
継義
君
河上丈太郎
君
河野
正君 木下 哲君
木原津與志君
菊地養
之
輔君
北山
愛郎
君
久保田鶴松
君 栗原
俊夫
君
小平
忠君 小牧 次生君 小松 幹君 五島
虎推君
河野
密君 佐々木更三君
佐々木良作
君
佐竹
新市君
佐竹
晴記
君
佐藤觀次郎
君 坂本
泰良
君 櫻井 奎夫君 志村 茂治君
島上善五郎
君
下川儀太郎
君 下平
正一
君
杉山元治郎
君
鈴木茂三郎
君
鈴木
義男君
田中幾三郎
君
田中
織之進君
田中
武夫
君
田中
利勝君
田中
稔男
君 田原 春次君 田万
廣文
君 多
賀谷真稔
君 高津
正道
君 滝井 義高君
竹谷源太郎
君 楯 兼
次郎
君
戸叶
里子君
中井徳次郎
君
中居英太郎
君 中崎 敏君
中村
高一君
中村
時雄君
中村
英男君
永井勝次郎
君 成田 知巳君 西尾 末廣君
西村
榮一
君
西村
彰一君 野原 覺君 芳賀 貢君
長谷川
保君 原 茂君 原 彪君 日野 吉夫君
平岡忠次郎
君 平田 ヒデ君 古屋 貞雄君 帆足 計君
穗積
七郎
君
細迫
兼光
君 細田 綱吉君
前田榮
之助君 正木 清君 松井 政吉君
松尾トシ子
君
松岡
駒吉君
松平
忠久君
松原喜之次
君 松前 重義君
松本
七郎
君 三鍋 義三君 三宅
正一
君 三輪
壽壯
君
水谷長三郎
君
武藤運十郎
君 門司 亮君 森 三樹二君 森島 守人君 森本 靖君 八百板 正君
八木
一男君
八木
昇君
矢尾喜三郎
君 安平 鹿一君 柳田
秀一
君
山口シヅエ
君
山口丈太郎
君
山崎
始男
君
山下
榮二君 山田
長司
君 山花 秀雄君
山本
幸一君
横錢
重吉君 横路 節雄君 横山 利秋君
吉川
兼光
君
吉田
賢一君 渡辺
惣蔵
君 石野 久男君 川上 貫一君
小林
信一君
小山
亮君
志賀
義雄
君 中原 健次君
————◇—————
益谷秀次
21
○
議長
(
益谷秀次
君) 御報告いたすことがあります。
議員安藤正純
君は去る十月十四日逝去せられました。また、
議員杉村沖治郎
君は去る十月十七日逝去せられました。まことに
哀悼痛惜
の
至り
にたえません。両君に対する
弔詞
は、
議長
において、
先例
によりそれぞれ贈呈いたしました。 この際、弔意を表するため、
原彪
君及び
阿左美廣治
君よりそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。
原彪
君。 〔
原彪
君
登壇
〕
原彪
22
○
原彪
君
衆議院議員
正三位
勲一等安藤正純
君は、去る十月十四日病をもって死去いたされました。ここに深く君の死をいたみ、
諸君
を代表して
追悼
の辞を申し述べたいと存じます。(
拍手
) 君は、
明治
九年、
東京浅草
の松葉町に生まれ、
浅草
に育たれました。長じて東洋大学を
卒業
し、さらに早稲田大学を
卒業
、また
外国語学校
にも学ばれたのであります。
明治
三十二年、
明教新誌
という
宗教新聞
の主筆となられたのを
記者生活
の第一歩といたしまして、後、
日本新聞
に入り、
日露
の役にはその
従軍記者
として
活躍
いたされました。
明治
三十九年に
朝日新聞
に移り、後年、君が、その議論、文章において、その
識見
と
経験
において
自他とも
に許すもののあったのは、この長い
記者生活
における
精進努力
の結果でございました。君は、ついに
朝日新聞編集局長
となり、取締役となられました。
大正
十二年には
朝日新聞
の
海外特派員
として欧米に渡り、つぶさに
各国
の
政治
、
社会
の事情を視察するかたわら、
各国
の
宰相
、
知名政客
などと多く会見せられ、その見聞を広くするとともに、その
識見
をさらに高められたのであります。 君は、また、つとに青少年の
教育
に特別の関心を持たれ、特に
教育
の機会に恵まれない者に深い同情を持ち、
さき
には真
龍女学校
を
創立
してみずから
校長
となり、後にはまた
労働者教育
のために
東京労働学校
を設立してその
校長
となるなど、常に
社会教育
については献身的な
努力
をいたされました。
大正
九年の第十四回総
選挙
に、君は
東京
第七区から選出せられて、
衆議院議員
となられました。これが実にその後三十
有余年
にわたる長い
政治生活
に入る発端でございました。
大正
十三年に、君は
立憲政友会
に入党せられました。そうして、
政友会
の
情報部長
、
政務調査会長
、総務などの
要職
を経て、
昭和
十一年にはその
幹事長
となられました。
立憲政友会
が
昭和
十五年に解党せられました後、同交会を結成し、君はその
首席世話人
となられました。
昭和
二十年には、多年の
盟友鳩山一郎
君を助けて自由党の
創立
に
努力
し、
創立委員
となって、その結党とともに初代の
政務調査会長
となられたのであります。 君が
衆議院議員
に
当選
せられましたのは
大正
九年から実に十一回、その
在職年限
二十八年六カ月の長きに及んでおります。
昭和
二十年には、永年
在職議員
として、
衆議院
の名誉ある表彰をも受けておられます。 君の
政治活動
は多年各
方面
に及んでおりますが、特に
文教方面
において多大の功績を残しておられます。すなわち、しばしば
宗教制度調査会
、
文政審議会
、
国語審議会
、
教育審議会
などの
委員
となり、
教育
、
宗教
の重要問題の
調査審議
に当って、
文教制度
の
確立
と施策の実施に大いに貢献せられたのであります。 一方、
昭和
二年には
文部参与官
となり、同じく六年
犬養内閣
の
文部政務次官
となり、直接に
文部行政
の衝にも当られました。
昭和
二十九年、君は第五次
吉田内閣
が成立するや国務
大臣
となられ、また第一次
鳩山内閣
の
文部大臣
となり、長年の抱負をここに実現すべく、確固たる
信念
のもと、日夜
文教
の刷新に精励せられましたことは、いまだ昨日のごとく私たちの記憶に新たなるところであります。 君は
信念
の人でありました。そして、いわゆる
純理派
と称せられたほど、かたくその
信念
を持して、情実によってこれを
曲ぐる
ことなく、よく
清節
を守り、
清貧
に甘んじ、ひたすら
社会民衆
の幸福と
議会政治
の
向上発展
に終始一貫
努力
精進されたのであります。 大
東京
の一隅、
浅草
の貧しいお寺に生まれた君が、志を立て、行を励み、ついに
新聞人
としては第一流の
新聞社
の役員上なり、
政治家
としては
政党内閣
の
大臣
となったりでありますが、これすべて君の
刻苦勉励
のたまものであり、
精進努力
の結果であります。君のごときは、まことに立志伝中の
人物
と申すべきでありましょう。 ことに、その生涯の
足跡
をたどるに、ただ一筋に
議会人
として節操を守り、その所信に従って、公明正大に堂々と闊歩されておるのであります。その公人として、つまり
政治家
としてのその
先見達識
、理論と実践において、また一私人としての温情、友愛において、君をいにしえの名
宰相
に比するもあえて過褒ではないと思われるのであります。 まことに、出ては
政界
の長老、入っては市井の
浅草っ子
をもってみずから任じ、みずから安んじておられました。晩年には、その風貌とともに、人となりにも枯淡の味を加え、時にあのがんこと見える態度にもかえって一種の親しみをさえ感じさせられたのであります。かくて、名はその体を表わすとか申しまするが、まことに
正純そのもの
のごとき君独特の風格を備えられておりました。
民主政治
もようやく安定に向わんとしておるとは申しながら、内外の情勢容易ならず、
政界
に
人物
を要すること今のときよりはなはだしいことはありません。まことに君を失ったことは、ひとしお
哀惜
の感が深いものがあります。ことに、
安藤
君とは、
日本
における
議会政治
、
責任政治
、
政党内閣制
の
確立
などをともに論じ、ともに念願してきた私として、
さき
に
社会党統一
のなったとき、もしそれを知れば、必ずよかったねと喜んでくれたに違いない君は、すでにそのとき病あつく、また、
保守合同
のできた今、心からおめでとうと手を差し伸べたい
安藤
君のないことを、心から返す返す残念に存じます。(
拍手
) しかし、
安藤
君、今や君が久しく待望されていた二大
政党対立
の形態は整い、
日本憲政史上最初
の新しい構成のもとに
国会
は開かれたのであります。この上は、私どもは深く
責任
を感じ、
国会運営
のよき
民主主義的ルール
を
確立
することを
安藤
君の霊にお誓いいたします。(
拍手
)
安藤
君、どうぞ安らかに眠って下さい。(
拍手
) ここに、いささか追慕の情を述べまして、
弔詞
といたします。(
拍手
)
益谷秀次
23
○
議長
(
益谷秀次
君)
阿左美廣治
君。 〔
阿左美廣治
君
登壇
〕
阿左美廣治
24
○
阿左美廣治
君 ただいま
議長
より御報告のありました
通り
、
衆議院議員杉村沖治郎
君は、去る十月十七日病のため逝去いたされました。まことに
哀悼
の情にたえません。私は、
諸君
の御同意を得て、
議員一同
を代表し、つつしんで
哀悼
の辞を述べたいと存じます。(
拍手
)
杉村
君は、
明治
二十三年
埼玉
県児玉郡神
川村
に生まれ、現役に徴集されてより引き続き久しく軍務に服しておられたのでありますが、晩学をもって法律を学び、
大正
十一年
日本大学校科
を
卒業
、同十五年に
弁護士試験
に合格され、直ちに
東京
において
弁護士
を開業いたされました。 自来
在野法曹界
に御
活躍
になり、
昭和
二年に
日本農民組合
が結成されるやその
中央委員
に選ばれ、多年にわたり
農民運動
に偉大なる
足跡
を残されたのであります。君は、また、労働問題、
借地借家問題等
に精通し、幾多の事件の解決に当られましたが、常に
無産階級
の側に立ってその利益を擁護することに尽力いたされました。 この間、四谷区
会議員
に選ばれ、また
裁判所法施行準備委員会委員
、
司法行政中央監察委員会委員
、
労働者災害補償審査委員会委員
、
労働者災害保険審査委員会委員
、
東京地方裁判所調停委員等
の
要職
につかれるなど、大いに人権の擁護と
社会福祉
の増進とに尽されたのであります。
昭和
二十八年の第二十六回総
選挙
には、御郷里の
埼玉
県第三区より御出馬になり、
みごと当選
の栄を得られました。本
院議員
となられまするや、たちまちその頭角を現わし、多年の
経験
に基く豊富なる知識を駆使し、
決算委員
として目ざましい御
活躍
を示され、よく
国政審議
の重責を果されたのであります。本年二月の総
選挙
にも引き続き御
当選
になり、
特別国会
においては
予算委員
として御奮闘になっておられました。 しかるに、
不幸病
に犯され、ついに御本復を見るに至らなかったことは、まことに痛恨の
至り
であります。 君は、資性豪放らいらく、
熱情家
であり、
努力家
でありました。名利を求めず、
清貧
に甘んじ、しかも、事に臨むや粉骨砕身、
社会大衆
のためにはいかなる労苦をもいとわなかったのであります。君のはえある本
院議員
御
当選
も、長年にわたる血のにじむような苦心の末獲得せられたものでありましたが、その長い
精進努力
は
議政壇上
に常に特異な光彩を放ったのであります。君がその才幹を縦横に発揮し、
政治家
として大成される日を期待されたのでありますが、道半ばにして病魔に倒れられましたことは、まことに
哀惜
の
至り
にたえないところであります。 ここに、
杉村
君の長逝に対し、つつしんで敬弔の誠をいたし、君の御冥福を心からお祈りして、もって
追悼
の言葉とする次第であります。(
拍手
)
益谷秀次
25
○
議長
(
益谷秀次
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会