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1955-12-15 第23回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十五日(木曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 畠山 鶴吉君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    伊藤 郷一君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       濱野 清吾君    松田 鐵藏君       眞鍋 儀十君    山本 友一君     早稻田柳右エ門君    池田 禎治君       大西 正道君    栗原 俊夫君       下平 正一君    竹谷源太郎君       正木  清君    山口丈太郎君       小山  亮君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁         監察参事官)  山口  酉君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         高等海難審判庁         長官      長屋 千棟君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道         参事         (船舶部海務課         長)      荒木 善之君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十二月十五日  委員加藤常太郎君辞任につき、その補欠として  松田鐵藏君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十四日  港湾整備予算増額等、に関する情願(南好雄君  紹介)(第三四四号)  宮城県の港湾整備促進に関する請願愛知揆一  君紹介)(第三四五号)  高知県の港湾整備促進に関する請願宇田耕一  君紹介)(第三四六号)  三陸沿岸縦貫鉄道未成線開通促進に関する請  願(愛知揆一君紹介)(第三四七号)  白糠十勝国足寄両駅間の鉄道敷設に関する請  願(正木清紹介)(第三四八号)  国分古江両駅間の鉄道敷設に関する請願(二  階堂進紹介)(第三七八号)  新潟県の港湾整備促進に関する請願塚田十一  郎君外一名紹介)(第三七九号)  富山県の港湾整備促進に関する請願内藤友明  君外二名紹介)(第三八〇号)  宇佐町、高知市間に土佐電気鉄道バス乗入れの  請願森本靖紹介)(第三八一号)  甲府長野間の電化促進に関する請願井出一  太郎紹介)(第四〇〇号)  青笹駅を貨客取扱駅昇格請願山本猛夫君  紹介)(第四五八号)  二戸線敷設に関する請願山本猛夫紹介)(  第四五九号)  岩泉駅有芸間に国営自動車運転開始請願(山  本猛夫紹介)(第四六〇号)  国鉄本線開通工事継続等に関する請願(山  本猛夫紹介)(第四六一号)  鈴川駅名変更に関する請願畠山鶴吉紹介)  (第四六二号)  北海道港湾整備促進に関する請願椎熊三郎  君外二名紹介)(第四六三号)  岡山県の港湾整備費増額に関する請願逢澤寛  君紹介)(第四六四号)  香川県の港湾整備費増額に関する請願加藤常  太郎紹介)(第四六五号)  愛知県の港湾整備費増額に関する請願(八木一  郎君外五名紹介)(第四六六号)  愛媛県の港湾整備費増額に関する請願關谷勝  利君外二名紹介)(第四六七号)  広島県の港湾整備費増額に関する請願灘尾弘  吉君紹介)(第四六八号)  静岡県の港湾整備費増額に関する請願西村直  己君紹介)(第四六九号)  神戸港の修築工事促進に関する請願首藤新八  君紹介)(第四七〇号)  坂出港修築工事促進に関する請願加藤常太  郎君紹介)(第四七一号)  牟礼港の修築工事促進に関する請願藤本捨助  君紹介)(第四七二号)  観音寺港の拡張工事促進に関する請願大平正  芳君紹介)(第四七三号)  松山港の修築工事促進に関する請願關谷勝利  君外二名紹介)(第四七四号)  宮古港の修築工事促進に関する請願山本猛夫  君紹介)(第四七五号)  高松港の整備費増額に関する請願藤本捨助君  紹介)(第四七六号)  三角姫戸両港の拡張工事促進に関する請願(  松野頼三君外一名紹介)(第四七七号)  熊本県の港湾修築工事促進に関する請願松野  頼三君外一名紹介)(第四七八号)  福岡田子間の国鉄定期バス路線を十和田まで  延長請願山本猛夫紹介)(第四七九号)  上士幌足寄間の鉄道敷設に関する請願(森三  樹二君紹介)(第五一〇号)  上川十勝股間鉄道敷設に関する請願(森  三樹二君紹介)(第五二号)  作木附近駅設置請願永山忠則紹介)(  第五一二号)  高知県の港湾整備促進に関する請願林譲治君  紹介)(第五一三号)  同(佐竹晴記紹介)(第五一四号)  宮崎県の港湾整備費増額に関する請願相川勝  六君外一名紹介)(第五一五号)  秋田県の港湾整備費増額に関する請願須磨彌  吉郎君外五名紹介)(第五二八号)  和歌山県の港湾整備費増額に関する請願山口  喜久一郎紹介)(第五一七号)  茨城県の港湾整備促進に関する請願塚原俊郎  君紹介)(第五一八号)  青森県の港湾整備費増額に関する請願三浦一  雄君外一名紹介)(第五一九号)  酒田港修築工事促進に関する請願池田正之  輔君紹介)(第五二〇号)  舞鶴港の修築工事促通に関する請願前尾繁三  郎君紹介)(第五二一号)  宮津港の修築工事促進に関する請願前尾繁三  郎君紹介)(第五二二号) の審査を本委員会に付託された。 同日  新潟港湾港分離工事等施行に関する陳情書  (第二七五号)  新潟港を特定重要港湾指定陳情書  (第二七六号)  港湾整備促進に関する陳情書  (第二七七号)  東北鉄道幹線複線化等に関する陳情書  (第二七八号)  府県内陸運事務の委譲に関する陳情書  (第二七九号)  下関秋田倉庫借上げ延期に関する陳情書  (第二八一号) を本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  国鉄経営等に関する件  函館港湾施設及び洞爺丸問題に関す  る件     ――――――――――――― 請 願  一 常磐線電化促進に関する請願赤城宗徳   君外三名紹介)(第二三号)  二 青森港を特定重要港湾指定請願)(三   浦一雄君外五名紹介)(第二四号)  三 野岩羽線鉄道全通促進に関する請願)(   八田貞義紹介)(第二五号)  四 奄美航路運賃値下げに関する請願)(上林   山榮吉紹介)(第二七号)  五 東北ドック再建に関する請願内海安吉君   外一名紹介)(第二八号)  六 国鉄仙山線中北仙台駅、陸前落合駅間に駅   設置請願)(内海安吉君外一名紹介)(第   二九号)  七 新得本通り地内の鉄道用地開放に関する請   願(本名武紹介)(第八五号)  八 根室本線新得駅舎改築に関する請願本名   武君紹介)(第八六号)  九 全国避難港の整備促進に関する請願(椎名   隆君外一名紹介)(第八七号)  一〇 国鉄姫新線汽動車運転請願(小枝一   雄君紹介)(第一〇七号)  一一 甲府長野間の電化促進に関する請願(   原茂紹介)(第一四四号)  一二 同(下平正一紹介)(第一九四号)  一三 東北本線北福岡駅、金田一駅間に斗米駅   設置請願山本猛夫紹介)(第一四五   号)  一四 羽幌町に灯台設置請願松浦周太郎君   紹介)(第一四六号)  一五 天売港の修築工事促進に関する請願)松   浦周太郎紹介)(第一四七号)  一六 羽幌港の修築工事促進に関する請願(松   浦周太郎紹介)(第一四八号)  一七 杞柳並びに杞柳製品鉄道等級運賃引下   げに関する請願有田喜一紹介)(第一九   五号)  一八 国鉄赤穂線電化促進に関する請願(亀   山孝一紹介)(第一九六号)  一九 国鉄飯山線運転改善に関する請願(塚   田十一郎紹介)(第一九七号)  二〇 細島港に海上警備救難署設置請願(伊   東岩男君外五名紹介)(第一九八号)  二一 甲府長野間の電化促進に関する請願(   松平忠久紹介)(第二四五号)  二二 上川十勝股間鉄道敷設促進に関す   る請願本名武紹介)(第二四六号)  二三 上士幌足寄間の鉄道敷設に関する請願   (本名武紹介)第二四七号)  二四 山陰本線京都、福知山間の電化促進等に   関する請願小川半次紹介)(第二四八   号)  二五 三重町、日向長井間の鉄道敷設促進に関   する請願外一件(村上勇紹介)(第二四九   号)  二六 米子、上石見駅間にデイゼルカー運転等   の請願足鹿覺紹介)(第二五〇号)  二七 浜坂漁港灯台設置請願有田喜一君   紹介)(第二五一号)  二八 常磐線電化促進に関する請願塚原俊   郎君紹介)(第二七〇号)  二九 同(北澤直吉君外一名紹介)(第三二五   号)  三〇 国鉄仙山線中北仙台駅、陸前落合駅間に   駅設置請願村松久義君外一名紹介)(第   二九五号)  三一 直江津、越後湯沢間の鉄道敷設促進に関   する請願倉石忠雄紹介)(第二九六号)  三二 福岡県の港湾整備促通に関する請願(淵   上房太郎君外二名紹介)(第三二六号)  三三 港湾整備予算増額等に関する請願南好   雄君紹介)(第三四四号)  三四 宮城県の港湾整備促進に関する請願(愛   知揆一君紹介)(第三四五号)  三五 高知県の港湾整備促進に関する請願(宇   田耕一君紹介)(第三四六号)  三六 三陸沿岸縦貫鉄道未成線開通促進に関   する請願愛知揆一君紹介)(第三四七号)  三七 白糠十勝国足寄両駅間の鉄道敷設に関   する請願正木清紹介)(第三四八号)  三八 国分古江両駅間の鉄道敷設に関する請   願(二階堂進紹介)(第三七八号)  三九新潟県の港湾整備促進に関する請願(塚田   十一郎君外一名紹介)(第三七九号)  四〇 富山県の港湾整備促進に関する請願(内   藤友明君外二名紹介)(第三八〇号)  四一 宇佐町、高知市間に土佐電気鉄道バス乗   入れの請願森本靖紹介)(第三八一号)  四二 甲府長野間の電化促進に関する請願(   井出一太郎紹介)(第四〇〇号)  四三 青笹駅を貨客取扱駅昇格請願山本   猛夫紹介)(第四五八号)  四四 二戸線敷設に関する請願山本猛夫君紹   介)(第四五九号)  四五 岩泉駅、有芸間に国営自動車運転開始の   請願山本猛夫紹介)(第四六〇号)  四六 国鉄本線開通工事継続等に関する請   願(山本猛夫紹介)(第四六一号)  四七 鈴川駅名変更に関する請願畠山鶴吉君   紹介)(第四六二号)  四八 北海道港湾整備促進に関する請願(椎   熊三郎君外二名紹介)(第四六三号)  四九 岡山県の港湾整備費増額に関する請願(   逢澤寛紹介)(第四六四号)  五〇 香川県の港湾整備費増額に関する請願(   加藤常太郎紹介)(第四六五号)  五一 愛知県の港湾整備費増額に関する請願(   八木一郎君外五名紹介)(第四六六号)  五二 愛媛県の港湾整備費増額に関する請願(   關谷勝利君外二名紹介)(第四六七号)  五三 広島県の港湾整備費増額に関する請願(   灘尾弘吉紹介)(第四六八号)  五四 静岡県の港湾整備費増額に関する請願(   西村直己紹介)(第四六九号)  五五 神戸港の修築工事促進に関する請願(首   藤新八紹介)(第四七〇号)  五六 坂出港修築工事促進に関する請願(加   藤常太郎紹介)(第四七一号)  五七 牟礼港の修築工事促進に関する請願(藤   本捨助君紹介)(第四七二号)  五八 観音寺港の拡張工事促進に関する請願(   大平正芳紹介)(第四七三号)  五九 松山港の修築工事促進に関する請願(關   谷勝利君外三名紹介)(第四七四号)  六〇宮古港の修築工事促進に関する請願山本   猛夫紹介)(第四七五号)  六一 高松港の整備費増額に関する請願藤本   捨助君紹介)(第四七六号)  六二 三角姫戸両港の拡張工事促進に関する   請願松野頼三君外一名紹介)(第四七七   号)  六三 熊本県の港湾修築工事促進に関する請願   (松野頼三君外一名紹介)(第四七八号)  六四 福岡田子間の国鉄定期バス路線を十和   田まで延長請願山本猛夫紹介)(第四   七九号)  六五 上士幌足寄間の鉄道敷設に関する請願   (森三樹二君紹介)(第五一〇号)  六六 上川十勝三股問鉄道敷設促進に関す   る請願森三樹二君紹介)(第五一一号)  六七 作木附近駅設置請願永山忠則君紹   介)(第五一二号)  六八 高知県の港湾整備促進に関する請願(林   譲治君紹介)(第五一三号)  六九 同(佐竹晴記紹介)(第五一四号)   七〇 宮崎県の港湾整備費増額に関する請願   (相川勝六君外一名紹介)(第五一五号)  七一 秋田県の港湾整備費増額に関する請願(   須磨吉郎君外五名紹介)(第五一六号)  七二 和歌山県の港湾整備費増額に関する請願   (山口喜久一郎紹介)(第五一七号)  七三 茨城県の港湾整備促進に関する請願(塚   原俊郎紹介)(第五一八号)  七四 青森県の港湾整備費増額に関する請願(   三浦一雄君外一名紹介)(第五一九号)  七五 酒田港修築工事促進に関する請願(池   田正之輔君紹介)(第五二〇号)  七六 舞鶴港の修築工事促進に関する請願(前   尾繁三郎紹介)(第五二一号)  七七 宮津港の修築工事促進に関する請願(前   尾繁三郎紹介)(第五二二号)     ―――――――――――――
  2. 松山義雄

    松山委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  昨日に引き続き陸運、特に国鉄経営に関しまして調査を進めます。通告によりまして青野委員
  3. 青野武一

    青野委員 引き続き運輸委員会の問題になっております国鉄公社行政管理庁勧告によって引き起された対立関係が、実は私ども聞いておりましてもまだはっきりした点がのみ込めないところもあるのであります。けれども、この勧告によって国鉄が反省すべき点は反省して、外郭団体等整理についてかなり英断的な態度をとられたということについては、私どもは非常に敬意を表しておるわけであります。しかし私どもが一番心配しておることは、これが何らか政治的理由によって行管国鉄当局に対して勧告を行なったのではないか。同僚議員からもそういった質問が出たように、昔の鉄道省に復活をする目的で、同じ政府のもとにおける行政官庁が非常に大きな対立を引き起した。国鉄公社側に対して内面から打ち合せも相談もせずに、日本の大新聞にそれを抜き打ち的に発表したようなことがたびたび行われて、問題がより以上複雑になったのでありますが、その大きな問題は、結局減価償却適正額をどこに置くか、あるいは耐用年数を再検討の結果、しっかりした年数をどこにきめるかという点から、減価償却の額もおのずからきまって参るはずでありますが、この点については私は後刻御質問申し上げることにしておきます。  大体国鉄当局にお尋ねしたいのは、また運輸省鉄道監督局長植田さんにもお尋ねしたいのは、今まで国鉄が国民から疑惑をもって見られておりました外郭団体国鉄当局に言わしめますとこれを外部団体とおっしゃっておりますが、この外郭団体国鉄公社に非常に密接な関係を持っておるといったものが、一体どれくらいあったか。私ども資料を集めてみましても、大体二百程度あったのではないかという推定はしておりますが、その団体の数と名称を私はまず第一に承わりたいと思うのであります。その次についでに、それと同時に外部会社の数と会社名を聞きたいと思います。たとえば車両注文電気機関車注文あるいは蒸気機関車等注文をする場合に、いろいろな大会社がございます。たとえば日本車両日立製作川崎車両汽車製造新潟鉄工近畿車輌帝国車両東急車両といったような大きな専門工場がありますが、国鉄と密接な関係のあるそういう外郭会社は一体どれだけあって、名前は何かを私は聞きたい。第一番にこの程度質問を申し上げたいと思います。
  4. 植田純一

    植田政府委員 今案は正確な資料を持っておりませんが、大体鉄道車両メーカーといたしましては約二十社程度と記憶しております。
  5. 青野武一

    青野委員 今外郭団体の数と名称と、外郭会社の数と名称を聞きたいと申しましたところ、国鉄公社に直接関係のあるメーカーが二十社という御答弁でありましたが、その詳しい数字を御発表になるときに、大体今度の行管勧告によって整理した会社の数と名前ついでに御報告願いたい。そして従来つながりを持つ外郭団体新聞では承知しておりますが、実際にどれとどれが残っておるかということを承りたい。
  6. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの御質問で、国鉄外郭団体あるいは部外団体というものがどれだけあるかというお話でございますが、実は私ども外郭団体あるいは部外団体と称しております定義そのものが非常にむずかしいのでございまして、ただいま御質問の中で御例示がございましたように、鉄道取引をしている会社というような意味になりますと、おそらく日本一流メーカーから始まりまして、大きな商売をやっております会社はほとんどみな取引があるというようなことになってしまうかと思うのでありまして、お尋ねの趣旨は必ずしもそういう幅での問題ではないと思うのでございますが、私ども先般来行政管理庁等の御意向もあり、またこの数年来いろいろ御批判を受けております点に重点を置きまして、外郭団体について一応の考え方を整理いたしまして、今回発表いたしましたものは、工事関係につきましては、一つ一つの独立した会社でございまして、私の方から整理すると申しましても、独立した会社をつぶすということはできるわけのものでもございませんで、工事の今後の指定の仕方というようなことによって、入札にも応じ切れない、あるいは入札をしても請け切れないというようなことで、自然にあるいはつぶれるかもしれないというようなものも出てくるかと思うわけでございます。従いまして入札関係工事請負会社については今申しましたような方針で、今後そういうように自然と整理されていくものが出てくるということができるわけであります。そのほか車両メーカーについて御質問がございましたが、この方につきましては、やはり工事入札については同じ精神で考えております。しかし特に行政管理庁の方でも御指摘の問題もございませんし、ますます公正に、優秀な品をできるだけ安く買いたいという方法でやっていきたいと思っております。そのほか特にこの数年間問題でございました交通公社でありますとか、弘済会でありますとか、あるいは日本食堂会社でありますとか、こういうものにつきましては、この前書類をもって御報告いたしましたような格好で、問題の点についての修正をだいぶしたという実情であります。
  7. 青野武一

    青野委員 そうすると今御答弁になりましたたとえば弘済会とか、交通公社とか、あるいはその他の外郭団体名前の出てこないものは、全部整理をしたと解釈して差しつかえないのですか。
  8. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまのお話整理という意味がどういうことでございますか、たとえば補助金を支出しておりました、あるいは補助金の名義もしくは助成的な意味を含めて研究の委託というようなことで財政的に援助をいたしておりましたような、一つ協会のようなものがあるわけです。たとえば電化協会でありますとか、車輌電気協会でございますとか、こういう式のものがございます。これも私どもの方が助成金を出さないということによって当然つぶれるかどうか、今のお話のように整理されることになるかどうかという点は、必ずしもそういう答えが出るかどうかは別でございまして、私どもはそういう助成的な意味を含めて金を出すことはやめる、こういう姿になっているわけでございます。それからまたその中に名前が載っていないところはどうするのだといいましても、これは個々の取引関係においてはやはり先ほど申しましたように、入札に応じるものは応じて、これと公正な取引をするという態度は続けて参らなければならぬと思っております。
  9. 青野武一

    青野委員 植田監督局長にお尋ねしますが、これは昨日の午後から運輸委員会を開くか開かぬか非公式に話し合っておりますところに、幸い監督局長がちょうど来られたので、私はちょっとお願いしておいたのですが、今天坊総裁の御答弁で大体了解がつき、また新聞記事にも載っておりましたので、了承しておるのでありますが、今まで補助金とか助成金というようなものを出している各外郭団体を調べてみますと、大体局長級を中心にして国鉄高級幹部退職した人が、たとえば四人とか、八人とか、六人、多いところは十八人、二十二人とその外郭団体責任者をしている。ちょっと私が心覚えに大体つけておりまするものを読み上げますると、東西電気協会には二十二名の国鉄高級幹部退職関係をしている。これは年間五十万円の補助を得ている大陸鉄道員援護会、ほとんど幹部の全員が国鉄退職者、これは年間収入が三百六十万円である。日本修学協会国鉄退職者四名で、国鉄から十二万円、運輸省から年間五十万円の補助金がある。日本交通協会は八人、そうして百五十万円、会員が二千五百名、交通協力会国鉄援護のもとに図書発行によって一年間九千七百万円の収入を上げている。全日本観光連盟は同じく国鉄最高幹部退職者が六名関係していて、一年間国鉄から五百万円、政府から千五百万円の補助金ないし助成金を得ている。鉄友会という外郭団体は、幹部全部が国鉄退職者で占められて、新橋の東京デパート経営している。鉄道逓信協会は十八名の退職者が席を占めて、国鉄より三百八十万円一年間補助金をもらって、そうして会員が全部で四千名、鉄道電化協会が五名で国鉄から九百八十万円、信号保安協会が同じく高級幹部退職者が二十二名席を占めて一年間に百八十万円、鉄道貨物協会は、これは幹部が全部退職者国鉄高級幹部であって年間に七百万円、数えていきまするとあるいは九十九万円、三百万円、百八十万円、七百万円、多いところは収入の点で九千七百万円も利潤を得ている。そういうものは、今回新聞に発表せられました行政管理庁勧告によって、外郭団体を、御答弁以外を整理したと称しますと、こういう助成金補助金までも全都中止をしたのかどうか。これからずっと読み上げてみますると、まだまだ団体がございます。そういう中で特に問題になる点は、この次御質問申し上げますが、こういうものも全部一応外郭団体整理という一つの英断のもとに、全部助成金補助金等を打ち切ったのであるかどうか、こういう点について一つ御弁明を願いたいと思います。
  10. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま御例示がございました一つ一つにつきまして、私どもも実は聞いたこともないような名前のものもございまして、その資料をもう一度拝見いたしまして、ゆっくり御説明いたさなければならぬかと思うのでございますが、先ほど申しましたように、国鉄として今後も引き続いて事業的に必要だと考えて、やはり助成金の方は出していきたい、ただしその出す額については、いろいろな観点から必要最小限度にとめなければならぬと思っておりますが、そうしたものはただいまのところ同業団体的なものと申しますか、交通関係の親睦団体であります日本交通協会、それから荷主に関する、鉄道の営業活動に必要なものといたしまして鉄道貨物協会、それから観光事業上特に必要だと考えられます国際観光協会並びに日本観光連盟、それからさらに鉄道の技術並びに事務的な経営研究上必要なものと考えまして鉄道技術協会と運輸調査局、これらの大体六つくらいのものを残しまして、そのほかに助成的な意味で出ているものはやめたい、こういうふうに考えているのでございまして、ただいま御例示がございました中に、たとえば鉄友会というようなのがございますが、これは私の知っております範囲においては、そういう名前鉄道から場所を借りて営業的なことをやっておるのでございまして、補助的な関係は別に何もないわけでございます。そういうものも一緒にただいま御例示の中には入っておるかと思いますので、先ほど申しました助成的な財政支出をいたしておりますものは、ただいま申し上げた六つくらいのものを除いてその他に出ているものは、これは取りやめる、こういう意味でございます。
  11. 青野武一

    青野委員 わかりました。しかしたとえば今まで出しておったそういった補助金助成金を全然やらないようにするか、あるいは少し減額をして出すか、そういうようなことは十河総裁なり天坊総裁の考えでやられるのか。たとえば運輸省にある経営調査会、たとえば三十七万の国鉄労組あたりの幹部と十分将来の国鉄経営について、どうするのが最善の道であるか、方法であるかという点について、そういう機関と十分話し合っておきめになる予定であるか。私どもも一兆八千億円から二兆円になる国鉄の資産というものが、あまり複雑になっておりますので、新聞外郭団体整理が発表せられまして、いかにも新聞の論調は、十河総裁の英断によって外郭団体整理が行われたようにいわれておりますが、その内容については、議員の諸君でも専門の運輸委員以外は、おそらくほとんど御存じないのではないか。今お話鉄友会といったような名称団体が新橋の下に事実上デパートを経営しておる。ところがお客さんは、あそこはデパートの通る道のように考えて、表から裏に抜けておるが実際はあそこに通路を設けて交通の便益をはかるというような名目で、デパートを作り、いわゆる国鉄の敷地を利用してああいったような営業をしておることは、助成金補助金は出さなくても、やはり一個の利権を与えたことには間違いないのです。これは相当根深く、社会党としても党全体の決議として資料を集めて調べておるのでありまするが、こういう点についてはまた別にあらためて御質問を申し上げることにしたいと思いますが、そういう点についてどういうような整理方針、改革方針をおとりになるのか。十河総裁天坊総裁の意見で直ちにそれが決定されるのであるかということも非常に大切なことでありますから、承わっておきたいと思います。
  12. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど申しました団体の中で、一つ申し落しておりましたので、つけ加えておきますが、交通協力会というのがございます。これも存続きしたいと考えております。これをつけ加えておきます。それからただいま御質問になりましたこうしたものの整理は、一体総裁が勝手にこういうことをきめてやっておるのかどうかという点でございますが、私どもといたしましては、いろいろな方面の御意見も承わりまして、さしあたってこうした方針をきめたわけでございまして、このきめるときには、経営調査会の御意向も承わっております。しかしまた——とりあえずこういう方針できめたわけでございますが、今後もこうした問題、特に今お話がございましたように、さらに直接に財政援助をやっておるという意味ではなくして、いろいろな関係取引関係、あるいは今お話のように高架下の貸付、これも前からの問題でございますが、そうした問題もひっくるめてどうするかという問題につきましては、今後いろいろな機会に各方面の御意見を承わって、できるところからできるだけ公正な格好にしていきたいと考えております。ただいま申し上げましたきめた分は、いろいろな方面の御意見を承わりましたが、総裁がきめられる範囲において、とりあえずきめたという分でございます。
  13. 青野武一

    青野委員 そのうちでたとえば——記録を見なければわかりませんが、天坊総裁の御答弁の中で、残された外郭団体の中に御発表になったか、私つい聞き漏らしたのでありますが、国鉄の建物の中に、運輸調査局というのがあるそうであります。これは何も国鉄の調査局でもなければ、運輸省の部局でもない。財団法人で、その仕事は大体国鉄とか日通、地方鉄道などから、長期委託事業として、運輸に関する調査資料を収集しておる一つ団体である。この国鉄の建物の中に一つの部屋を設けてやっておる財団法人、これが国鉄から年間三千万円の補助を受けておるということを私どもは聞いておるのでありますが、そういう関係から財団法人運輸調査局の調べが、一方的に国鉄運輸省の都合のいいような宣伝あるいは資料等が収集されて、そういったようなものが片寄ったものが参考資料として、衆議院とか参議院方面に配付されておるということを承わっておるのですが、運輸調査局というものが整理されずに現存をして、今まで通りに国鉄公社とのつながりを持っていくのかどうか、この点を一つ明瞭にお答えを願っておきたいと思います。
  14. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど申し上げましたように、運輸調査局は今後も残して補助をしたいと考えております。運輸調査局の仕事につきましては、日本の交通学界の権威者を集めまして、そういう専門の立場からいろいろな制度とか、あるいは外国の鉄道の実情というような点を調べてもらっておるわけであります。本来ならば、こうしたものを鉄道の内部の組織として持つことも必要かと思うのでありますが、そうした専門の学者をかかえるには、必ずしも鉄道の組織の中に入れることが適当であるかどうかという点も考えられましたので、現在財団法人としてその組織を残しておるわけであります。こうした大事業のサイド・ワークとして、交通学の専門家を集めて、交通学の経営研究をやっていただくということは必要なことと私は考えております。
  15. 青野武一

    青野委員 必要であるかないかは、私ども立場が違いますから、十分に再検討する必要があると思いますが、今の御答弁の中で、国鉄から年間三千万円の補助を受けておる。これはもちろん一流の学者から相当の専門家を網羅して調査局を構成しておると思いますが、お説の通りであります。しかしこの補助金の金額は間違いございませんか、承わりたいと思います。
  16. 天坊裕彦

    天坊説明員 補助金というわけではございませんが、研究委託費という名目で三千万円以上は出ておると思います。正確な数字は覚えておりません。
  17. 青野武一

    青野委員 もう一つ承わりたいと思いますが、いろいろ国民の疑惑に包まれております助成金とか、外郭団体等にいろいろな意味補助をしたり、あるいは金銭上、直接ではないが、非常に便宜をはかっておるという点について、そういうものの利益とか、補助金とかを総合計いたしますと、相当莫大な額に上るのではないか。その中で一、二年前に国会で問題になりました日本交通公社の新井さんという人は、元国鉄の運輸局長か何かを勤めておった人ということを聞いております。この交通公社は、一カ月後に国鉄に対して納めるという後納制度になっておりますが、定期券、特急券、寝台券、こういうものの手数料が大体五%ということを聞いております。それから乗車券とか、急行券あるいは指定券とか、着席券とかいうようなものは、大体三割の割り戻し、それが二つ合せて一カ月どの程度になるか、平均一年間の統計をとって、合計してどの程度の手数料と割り戻しの金額になるか。実際私どもが聞いております範囲では、一年間の実収の額が七億四千七百万円と聞いておる。しかも全国の百八十都市に散在する支所がこういった仕事をして、それだけの金額を得ておるそうでありますが、その莫大な金が一カ月後に、あとから納めていい制度になっておりますために、往々国会で問題になりましたように、浮き貸しをして、それが焦げつきになり、徴収ができないから遂に払えない、そういうような問題が運輸委員会を通じて、衆議院なり参議院で二、三年前には問題になったのであります。今度日本航空に政府が二十億の出資の上に十億円の出資をするという内定がどこからか漏れて、日本航空の当局者は、市中銀行から一億円の運転資金を当座に借りた。その一億円の金利が大体三十四、五万円の金利であると聞いておる。一億円の金利が一日に三十四、五万円もの利益がつく。そうすると交通公社が一カ月後に国鉄に納めていい金を、一カ月間に約二十日なり十五日なりを市中銀行に一応貸したり、あるいはいろいろな方法でうまく利ざやをかせげば、一年間相当の額になるのじゃないかと私は思います。こういう点について一つ詳細な御答弁を願いたいと思います。
  18. 石井昭正

    ○石井説明員 交通公社の問題につきましてはかなり前に、この一年前にこの委員会で詳細に御説明申し上げたのでございますが、結局ただいまお話のございましたように、月に約七、八億から十億という乗車券の代金が後納になっておることは御指摘の通りであります。ただこの関係につきまして御了承を得ておきたいのは、昭和二十四年ころでございましたか、例のGHQの御命令によりまして手数料を全廃して、そのために当時公社の経営が成り立たなくなるということで、公社の管理者がこの資金の運用をいたしましたところが、非常にまずい結果になりまして、相当の穴をあけた。結局その穴をあけたのを何とかして私どもとしては回収し、かつ交通公社も成り立っていくという建前で再建工作を立てまして、この委員会にも御披露申し上げまして御了承を得たと考えておるわけでございますが、その内容といたしましては、ただいまお話のございました点につきましては、全然浮き貸しというようなことをやるような余地のないように、一方におきましては収入金を特別預金の制度をとりまして別に預金としておりまして、その出し入れにつきましては国鉄の承認を得てやらせるということにいたしておりますが、また一方毎年の計画を五カ年間にわたって再建計画を定めまして、五年間の後にはその焦げつきを解消するという計画を立てて、昨年から実施いたしておりまして、この計画の線に沿ってやっております。そうして納期の短縮につきましても努力をいたしまして、昨年は月末に納めておりましたものを半分は月半ばに納める、本年に入りましてはそれを三回に分けてさらに納期を短縮するというふうにしておりますが、これは公社の経営状態の改善と相待って逐次進めて参る、そうして最後には当日入りました金はすぐに国鉄に納めるというような方法に持って参ることにいたしております。交通公社につきましては、現在の姿におきましては御指摘のような間違いがないようにやっております。また投資、融資等につきましても全部制限をいたしまして、こちらの承認なくして勝手に投資なり、融資するというようなことをさせないようにいたしております。御心配のようなことは今後も起らないと確信いたしております。また私どもも誓ってそういうことのないようにいたしたいと思っております。ただ過去におきまして非常に大きな間違いをいたしました。これは何とも申しわけがないということでございまして、その点につきましてはいかにおしかりを受けましてもおわびを申し上げる以外に方法はないのでございますが、その穴埋め、そうして再建ということについては、交通公社を存続せしめていき、かつまた公正な取扱いにするように万全の力を尽しておる次第でございます。
  19. 青野武一

    青野委員 今石井局長からの御答弁である程度の了解ができましたが、この交通公社の後納制というものは、十日ごとに計算をして順次相当手がそろっておりますので、全国で百八十都市からの支所を持って、それぞれ適材適所に事務をとる者を置いて、万全の対策をとって非常な協力を国鉄にしておる団体であるから、今さらこれを解散させるとか、あるいは全然縁を切るということは非常に至難の問題であるとすれば、この一カ月の後納制ということがやはり問題になるのじゃないかと思うのです。これは占領当時のGHQの命令で手数料が全廃せられたから、やむを得ずいろいろな浮き貸し等をやって、それが焦げつきになって問題を起したということでなく、この一カ月後納制そのものが存続しておる間は、人間である限りは金に大きな魅力を感じてあやまちを犯さないとは限らない。これを十日とか十五日とか、もう少し短期にするように、できるだけ努力をして、そういう方向に持っていくような御検討をなさっておられるかどうか。たとえば運輸省経営調査会等と十分話し合って、この問題は内容を検討し直す段階にきているのではないかと私は思うのです。国鉄が懸命な努力をすれば、この交通公社などの仕事はおそらく半分でもいいはずである。しかし野放しにやっておれば、ますます手数料とか割り戻し金額が増大していく、やはり一種の姉妹団体のような格好になって参ります。こういう点についてどのようなお考えを持たれておるかということを、私はあとの質問に非常に関連性を持っておりますので、この際お聞きしておきたいと思います。
  20. 石井昭正

    ○石井説明員 御指摘ごもっともでございます。私どもとしては交通交社を存続しておきます以上ある程度——交通公社はもともと無資本と申しましてはなんでございますが、非常に少い資本金で設立いたしまして、今日各所に相当の設備を持っておりますので、固定設備並びに運転資金として資金が必要だということは、これは現実問題としてやむを得ないと思います。ただその国鉄に納めるべき金を公社が手持ちしておるという点は、非常にあやまちのもとになると考えますので、公社に入りました金は即日そのまま国鉄の方へ入るという方に持って参るようにいたしたい。この目標を昨年から始めまして五年後に置いておりまして、五年後には必ずそういうふうにいたしたい、こういうつもりでやっておる次第でございます。
  21. 青野武一

    青野委員 大体時間が参りましたので、かなり御質問申し上げたいと思うことがあるのですが、中途半端になってしまいましたが、聞くところによれば明日も運輸委員会を開き、二十日から通常国会の召集がありますので、通常国会のときに行管国鉄対立の問題その他の問題について、また続行して質問をする機会があると思います。  最後に一つお尋ね申し上げたいと思いますのは、国鉄の共済組合が一年間に百億円からの金を動かしておる外部団体であることは、もう天下周知の事実であります。この組合の事業部と物資部が年間に売り上げる金は、約二百億であると私どもは推定しておる。二百億円の売り上げというものは、三越百貨店全部を集めた一年間の売り上げに匹敵するのでありまして、これはおそらく全国屈指の売上高であると推定される。ところが、この共済組合は一年間百億の金を動かして、外部団体のうちでも相当有力なものでありますが、その外部団体がまた別の外部団体、たとえば鉄道会館、日本食堂、日本電波、鉄道建設工業、新生電業、鉄道保安工業等の、株界ではほとんど問題にならないような株を金を出して何万株、何十万株と持っておる。そこがどうも国鉄外郭団体のうちで大きな金を動かし、そして全国屈指の売上高を示しておる点で、金銭上とかくの問題が起ってくるところなんでありますが、これがまた国鉄と非常に密接な関係を持っておる。ほとんどここから金が出ていくのでありまして、そういう点においてどのような外郭団体に対してこの共済組合から投資が行われておるか。願わくばこれは運輸委員の全員に資料として印刷物を配付していただきたい。株の数、それから外郭団体名前、どういう目的でその会社が設立せられたか、資本金は幾らか、共済組合の投資額は幾らか、こういう点を詳細に運輸委員会に報告していただきたいと思います。これは国鉄経営を合理化して、近代化をする上についてはぜひ必要な問題であると思いまするので、この点ここで御答弁のできる範囲御答弁をしていただいて、こういう点は一つ印刷物にして、全運輸委員に御配付願いたいということをもあわせて希望しておく次第であります。
  22. 石井昭正

    ○石井説明員 共済組合の資金の運用につきましては、これは大蔵省令でたしかきまっておりまして、そのうちの幾割を不動産投資、幾割を債券投資というふうにワクがきまっております。そのワク内での投資をいたしまして、そのつど大蔵省の承認を得てやるわけであります。それからまた国鉄自体といたしましても、その原案を作ります際は、共済組合事業運営会というのがございまして、これは労働組合の方も参加をしていただいて、その決議を経てやっておる次第でございます。そのワクの中で証券投資に向けられる分のうちから、ただいまお話のありましたような出資がなされておるわけでございます。  この出資の趣旨につきましては、設立当時いろいろな事情もあったかと思いますが、これは後刻書面で資料を出す際に明確にいたしたいと思います。しかしながらそういう点からいろいろ御疑惑を受けるという点も十分承知しておりますので、今回の外郭団体整理に当りましては、こういう出資金についてもこれは漸減していく。これを一挙に引き上げるとかやめるということは、これは会社の存続上の問題もありますので、そういう点も十分注意いたしまして、次第にこれは漸減していく方針を立てて実行いたしたいと考えております。
  23. 青野武一

    青野委員 私はまだ質問の要点をたくさん持っておりまするので、順序がちょっと中の方が抜けた形になってまことに残念でございますが、最後に国鉄総裁天坊さんにお尋ね申し上げたいと思いますことは、行政管理庁国鉄側との問題がいろいろ新聞紙上で国民に大きく疑惑を投げており、まだそれが最終的な結論に達しておらないことは御承知の通りであります。これは参議院なり衆議院の運輸委員会を通じて、もっと深く掘り下げて結論を得なければならぬ問題ではありまするが、国鉄自身としても公安官制度というものを、何らかの形で再検討をしておるのかどうかということと、それから問題になって同僚正木委員からも御質問がありましたように、耐用年数が今のままではまちまちである、国鉄側の意見、あるいは行管の意見、それからわれわれの意見、国民はそういう点についてはどちらに采配を上げるかわかりませんが、蒸気機関車は二十五年の耐用年数ということをあなたの方はおきめになっておるが、実際に五十年間使っておる機関車もあるということを聞いております。またいわゆる十カ年の電化計画を遂行する上に、物資の完全輸送を目的にして、蒸気機関車というものは時代おくれであるけれども、国民に迷惑をかけてはならない、輸送の完璧を期するためには、来年から二百台の新しい蒸気機関車を作らなければ間に合わない。それは本意ないことであるけれども、作らなければ輸送ができない、こういうことでこの間非公式な御説明があったのを私は記憶しておりますが、そういう点を考慮してはっきり二十五年と言われておる耐用年数が、実際は五十年も使っておる。たとえば富士川、大井川、天龍川等にかけてある鉄橋は、行政管理庁は大丈夫だという御声明を新聞紙を通じてなさっておるが、国鉄側は五年以内にかけかえなかったらこれは危ないのです。天龍川、大井川、富士川だけではありません。まだその他にもありましょう。それからトンネルの修繕、全線にまたがっての鉄道の大体一割程度は新しく取りかえなければならないといったような御説明もあった。こういう点をそれぞれの機関を通じてほんとうにまじめに、真剣に取り組んで再検討が行われておるかどうかという点についての質問であります。  それから出発して参りますと、当然減価償却は一体一年間どの程度にすべきであるかという適正価格がまたきまって参るはずでありますが、この点について、そして最後に問題になっておりますのが二割の運賃を上げるか上げぬか、国鉄公社側としては行管勧告もあり、運輸委員会で問題になり、国民の疑惑を招いておる中でも、現在ただいま国鉄運賃というものは旅客貨物を通じて、どういう内訳か知りませんが、大体二割の増額をしなければ、国鉄経営はやっていけないということを私どもは承わっておりますが、この運輸委員会の席上でその点について上げるか上げないか、こういう中でも上げてもらわねばやっていけませんというお考えがあるのか。国鉄の近代化、設備の改善、減価償却の適正価格の決定、公安官の制度、耐用年数の再検討等を通じて、いろいろ問題になっておりますのを内部で整理して、そして新しく再出発する上において、そういうものを十分考慮しても、なおかつ何割かの運賃を上げなければならないとお考えになっておるか。もしお考えになっておられれば、端的にその理由を付して御答弁を願いたいと思います。
  24. 天坊裕彦

    天坊説明員 今回行政管理庁におかれまして国鉄の実情についていろいろ御調査になりました。私どもといたしましては筋道の問題として、私どもの意見も十分聞いていただきたいというふうに考えて、いろいろ論争みたいな格好にもなっておりますが、私ども自身として考えなければならぬ問題もずいぶんいろいろと指摘されておるのでありまして、この点私どもは率直に私どもの仕事の面で考え直すべきものは、考え直していきたいというふうに考えております。その中でただいま御質問がございました公安官制度の問題でございますが、これも戦後の特殊事情によってできたものでございまして、私どもとしてその存続についていつも再検討はいたしておるつもりであります。ただしかし現在の段階において、なおかつ防犯的な意味において、もうしばらく存続させた方がいいという考え方を持っております。ただ人数その他は必要最小限度に毎年縮めて参っておることも事実でございます。  さらに耐用年数の問題は、おそらく今回の減価償却問題に関連して一番大きな問題でございましたが、この点につきましては本年の初めから学者、それから財界その他の実際の専門家の方方にお願いいたしまして、国鉄の再評価委員会と名づけまして、委員の方をお願いして再評価を実施中でございます。これによりまして一つ耐用年数その他の案ができ上りましたら、これを運輸大臣にお認め願うような措置をして、公正なものにしたいと考えております。さらにいろいろと合理化の必要その他についても先ほど申しましたように、できるものはできるだけ合理化してやっていきたいというふうに私ども考えております。それにいたしましても今日国有鉄道にいろいろな面で、各方面の部門の御要求に応じ切れないほどたくさんの御要請があるわけです。それはとにかく安全輸送をいたします点から、通勤輸送が楽になる点、あるいは輸送が一日も早く目的を達し得るというような点に、近代化その他の問題をひっくるめて、結局大きく資金不足というのが現状であります。これは前に御説明申し上げたかと思いますが、国鉄六カ年計画というようなもので、大体工事経費としてこの六カ年に毎年約一千億近くの金がどうしてもほしいというふうに考えておるわけでありますが、今日の国鉄の財政二千五百億の収入の中からは、どうしても減価償却に回る分の金も大体二百億程度でありますし、さらにまた借入金というものもできる幅が大体二百億前後というふうなことになりますと、かたがた減価償却の不足という点もありまして、私どもはこの不足額を何とかしていただきたいというふうに政府にお願いしておるわけでありますが、この何とかしていただきたい一というのに、それならばどうしたらいいかという意見を持っておるかという点については、事実として国鉄の運賃もほかの物価に比べれば相当安い、安いままに置いておるのだ、こういう事実に乗って御判断をいただくというほかにないのでありまして、従いまして私どもとしてはぜひ運賃の値上げもお願いしたいというふうに考えておる次第であります。
  25. 松山義雄

  26. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今青野委員からいろいろ御質問がございましたので、重複を避けつつ質問を申し上げたいと思います。まず今度の行政管理庁の調査されたその報告と、国鉄当局が、今天坊総裁も認められたように反駁し合いになった格好になっておる、こういう御答弁がありましたが、私どもほんとうに外部からこの行政管理庁の調査と国鉄当局が反駁されております反駁事項と対比いたしますと、ますます国鉄は、悪く言いますと伏魔殿的な考えを持たざるを得ません。行政管理庁の報告によって指摘された点を国鉄自身もこれを認めて、自分でその不合理性を逐次是正しつつ、行政管理庁に反駁をしておる。こういうことは、一方においては管理庁のこの調査を認めておきながら、一方においては自分の行なっておることが正しいのだ。行政管理庁の言っておることはけしからぬことを言っておる、こういう工合に世間をつくろわれておるとしかとれないのですが、このことは私はこの運輸委員にお世話になってからこっちずっと言っておったのでありますが、国鉄は自分のやることはみんな正しいのだ。私らのやっておる事業に対しては他のものが一切くちばしを入れるようなことは許さない、こういうような態度に見えてならなかった。今度の論争におきましても一そうそれを深くする。こういうことは一つやめて、正すべき点はすなおに認めて正すという態度をもっとすなおにとってほしい。これでないと皆さんが非常に努力をされてその矛盾を指摘されて、それを皆さんの力によって改善しつつも、なおそういう社会の誤解を根底から一掃することはできなくなります。私はそういう点について質問の前に一つ警告をしておきたい、こういうふうに考えるわけです。  まず管理庁に質問いたします。今度の行政管理庁国鉄の監査をいたしました結果については、私ども鉄道というものを専門的に見ました場合には、若干批判をすべきものもございます。全的にこれを正しい形とは考えないのであります。しかし今申したような国鉄のとっております現実の経営の実態からいたします場合には、管理庁の勧告されましたものはうなずけるものがございます。そこで一つ不可解に思いますことは国鉄部外団体という名前外郭団体を呼んでいる。私は名前のいかんということは論じませんけれども、他の部門に関しては詳細な御報告があるにもかかわらず、この外郭団体のことにつきましては具体的な監査の結果の報告というものがございません。この外郭団体の問題については、ただ特権的に不当な利益を得ておるとか、そういうことが見受けられるというような程度にしかなっておらない。私どもが最も知りたいのは、国鉄の合理化のためにはどうしても世間から最も疑惑を受けておるこれらの団体の実態というものを天下に明らかにして、国鉄当局が改善しようとしているその意思にこたえてやることが、国鉄の合理化に最も大切なことではないかと思うのでありますが、どういうわけでこの外郭団体と称せられるものの実態を明らかにすることができなかったか、あるいはしようとされなかったのか、お伺いをしたい。
  27. 山口酉

    山口説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。外郭団体に関しましては種々巷間で論議されておるところでございますが、行政管理庁の調査の結果につきましても、相当大きな問題を含んでおりますので意見を申し上げております。ただ報告書が非常に具体性を欠いておるという点は、あるいは御指摘の通りかと存じますが、私どもの調査は、外郭団体そのものを目的とした調査を従来いたしておりませんで、国鉄の各業務部門につきまして調査をいたし、たとえば財産の部外貸付の問題でありますとか、工事の問題でありますとか、資材の取扱いでありますとか、そういう点の国鉄の業務を調べたのでございますが、それに関連して外郭団体というものが存在しておるのでございまして、そういう点から派生的に外郭団体の問題を調べておるわけでございます。従って調査の主体となりますのはそれぞれの国鉄の業務でありますから、報告書はそれを中心に取りまとめております。しかし具体的の点が非常に欠けておるというお話につきましては、調査したものにつきまして詳細な報告を出すべきであるというお考えはごもっともでございますが、報告書には非常に膨大な調査の結果を取りまとめますために重点的になっておりますので、あるいは具体性の欠けておるものもあるようにお感じになると存じます。ただ事務的には、調べました内容は運輸省なりあるいは直接国鉄の担当の方々には申し上げておるわけでございます。  それからもう一つ、今回の総合的な調査の場合につきましては、これは従来やりましたものを総括して申し上げておりますので、従来個々に調査いたしました際に外郭団体の点について触れましたものを再び掲げるということはせずに、抽象的に取り上げたのでございます。特に従来のものにつきましては、その後国鉄におきまして非常な努力をされて漸次改善しつつございますので、その状況を見守っておるわけでありまして、新たに取り上げなければならないと思いますような点につきましては、かなり具体的に申し上げておるつもりでございます。
  28. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 調査の目的が国鉄の業務そのものに重点が置かれておったということは、なるほどその通りかと思いますが、しかし何と申しても、ただ単に国鉄の業務そのものを監査するということだけで国鉄の合理化とか、せっかく国鉄が努力をいたしております国鉄の合理的経営に万全にこれが役、立つことにはならないのでありまして、調査をせられた結果をば——たとえば交通公社につきましても具体的に月間平均十数億の金保が有せられており、その回収が非常に危ぶまれておるような状態に立ち至っていた、と過去的な言葉でこれが表現せられております。しかしこう言われる以上は、具体的な資料があって言われておるので、外部に発表するニュアンスとしてこういう言葉が用いられておるとしか考えられない。また鉄道弘済会の問題にいたしましても、収益があまりにも多い、こう指摘をせられております。しかしながらその収益があまりにも多いということは、その額がどういうものかお調べになった上でなければ、こういう文字は使われないと思うのであります。その他指摘をせられておりますここにあげられておる団体名だけを見ましても、特権的な取扱いを受けて、不当な利益を得ておる団体が数多く見受けられた、こういうふうに指摘をせられております。そうすると国民からも多くの疑惑を向けられておるこの外郭団体を合理化しなければ、国鉄の健全な経営はできない。総裁以下今の幹部が幾ら努力をされても、この公社が発足いたしましてからこちら、いろいろのつながり等によって、いわばくされ縁とでも申しますか、そういうことによってなかなか改善をしていくことができない。こういうような事態にあるときに、監査せられた結果について大きな批判を他から加えることによって、むしろ国鉄の合理化に力添えをすることができるという確信を私は持っております。決して私は国鉄を責めようと思って言っておるのではない。行政管理庁はこれらの点についてこのように指摘をせられておりますが、もう少し具体的にこの資料を私どもに提出していただけないということがどうも疑問でならない。資料がこう指摘せられる以上はあるのですか、あるいは具体的に調査をせられた結果をお持ち合せになれば、それを公表せられる御意思がありますか、それを伺いたいと思います。
  29. 山口酉

    山口説明員 改善意見として申し上げております事柄につきましては、それぞれ資料を持っておるのでございます。先ほど御指摘になりましたような事例につきましても、詳細な資料をもって事務的に国鉄なり運輸省なりに御連絡をいたしておるわけでございます。それからただいまお話しになりましたような外郭団体等の問題につきましては、内部で改善しようという熱意を持っておられましても、かなりむずかしい点がございますので、外部のものからそういう点を特に申し上げるということが、改善をしやすい事態を作り上げるというようなことは、御指摘の通りだと思いますので、私どもも現在相当国鉄として努力しておられる状況を存じておりながら、さらに重ねてそういう点について申し上げておる次第でございます。
  30. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 非常に適切なといいますか、うまい言葉で答弁されておりますが、私は委員長に申し上げたいのですが、これらの報告書に経営に関する総合調査報告書の二百三十九ページから二百四十ページにわたりますこの外郭団体の、今私が御質問を申し上げました百七つの団体を調査したということがありますが、これに対してそのおもなる外郭団体の調査せられました調査状況の報告書を一つ資料として提出していただくように、委員長の方からお取り計らいを願いたいと思います。  それから私は副総裁にお尋ねをいたします。国鉄当局からの外郭団体の合理的な改善について報告書に接しました。これを見ておりますと、外郭団体を合理化して国鉄企業経営に大きな改善を加えるような誠意、そういうものが私どもの最も望むところでありますが、この国鉄から報告せられた報告書を見ますと、どうも金のかからない面、いわば全国の指定旅館もその中に入るでしょうが、とにかく国鉄補助を出していないようなもの、そういうような経済的な関係のないもの、こういうようなものは遠慮なしにすぱすぱ切られておるけれども、実際にその外郭団体で共済組合等を介して投資をしておる、たとえば表面上は従業員からの投資だということにして投資をしておる鉄道会館、あるいはまた補助を与えておる交通協力会であるとか、あるいはまた何々研究会というものはものすごく、百七つもの団体があると報告されておるのですから、相当たくさんの、私どもその名前の記憶はあまり多くて今ちょっと出ませんが、とにかくそのくらいたくさんの外郭団体があって、国鉄から年間五十万、百万というように補助を与えて育成しておる。しかし実際はそういうようなものは、これは何もそんな外郭団体のお世話にならなくても、国鉄はりっぱな技術陣を持ち、経営陣を持ってやっておられるのですから必要はない。そういうものをこそ整理してもらうことが、国鉄の健全な経営に対する合理的な処置であるというように私は考えておるのでありますが、それに対しては一向に報告書に出ておらないのです。これは一体どういうわけですか、一つお尋ねしたいのです。
  31. 天坊裕彦

    天坊説明員 お答えいたしますが、その前に先ほど山口委員の前提としてのお話がございますが、国鉄は自分のしていることは全部いいのだとして、ほかの言葉に対してはいつも言いわけだけで耳をかさないというような意味の御発言がありましたが、これはそういうふうにとられておるとすれば、非常に申しわけないことでありまして、国の鉄道、国民の鉄道なのでございまして、総裁も就任以来、世の中の声、国民の声を十分に聞かなければいかぬということを申しておるので、私どもとしてはできるだけいろいろな御批評、国民の声を十分聞いて、直すべきものは直して参りたいというふうに考えておるのでございます。決して言いわけだけをいたしておるつもりはございません。一応お断わり申し上げておきます。  そこで、いろいろ外郭団体の問題について、たとえば今回の行政管理庁の調べの中でも、百何ぼも外郭団体と称するものが出ておるじゃないか、それにかかわらず、国鉄が一応外郭団体整理として取り上げて、こういうようにやりたいといっているものは、ごく数が知れている、あるいは金がほとんど要らないようなものだけを整理したような格好になっておるじゃないか、こういう御質問でございますが、行政管理庁のお調べが正確にその通りかどうか私も自信がありませんが、ここにおあげになった百何ぼという外郭団体の中には、大部分はおそらく今回抽象的にその点を言っておられます工事関係会社のことを言っておられるのじゃないか、そうした数多い工事会社国鉄関係が、非常に指名の回数が多かったり何かして、そういう意味で特権を与えているような格好になっている、それを直すべきだという点、あるいはそれに対する請負の工事費が甘過ぎはしないか、こういう点がおもに指摘されているのだと心得ております。従いましてその点に関しての今回の私ども外郭団体整理方針は、工事会社についてそういう誤解のないようにしたいということを申し上げておるわけである。それから先ほどお話がございましたが、共済組合が投資しておりますものについても、できるだけそれぞれの実情に応じて、共済組合が外郭団体に出資しておる分については、金を引き上げて参りたいというふうに考えておりますが、これは共済組合自身もそれによって不当な損失をこうむっても困りますし、独立に存在している会社もそのために大きく一挙に影響があっても困りますから、漸減の方針でやっていきたいというふうに考えております。そこでそうした点以外に、今山口委員と私との非常な違いは、百何ぼもの外郭団体というものがあって、それに五十万、六十万ずつ金を出しているのじゃないかというようにお考えなのでありますが、実は私どもの方で何とか研究会というようなものに補助金的な性格で金を出しておりますものは、そんなにたくさんないのであります。その中で先ほど申し上げましたように、交通協力会とか運輸調査局というものについては御意見もございましょうけれども、私どもとしては、これはぜひ国有鉄道のため、あるいは交通界のために必要であるから存続させておきたいというものを、先ほど申し上げた六つ、七つを残しまして、それ以外に電化協会とか車電協会とか保安協会というものがございます。そういうものに対して今日援助的な意味の金はこの際打ち切る、これはもうそれ以外にないのであります。しかもまたそうした外郭協会が必ずしも不必要なものであるかどうかという点についても議論はあろうかと思いますが、そうした点についていろいろ世の中の御批判もありますから、この際あるいは必要以上かもしれませんが、そういう意味で出している金は打ち切りたい、こういうことを申し上げたので、それ以外に個別に三十万、五十万と金を出しているようなものがたくさんあるということは、事実はないのでございます。
  32. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はこの百七の団体に全部そういうふうに出しておられるとは思いません。またそんなことでは大へんだと思うのです。ですから私はそれを言うのではなくて、その中にそういうような団体がある。もし国鉄において、運輸調査局あるいは鉄道技術協会が何をしているのか知りませんけれども、実際上必要であるとすれば、これは国鉄だけにそれが必要であると私は考えないのです。むしろ今日の鉄道、軌道全体の技術について必要なのだ、何も国鉄だけが犠牲を払ってそういうものを養っていく必要はごうもない。もし必要ありとすれば、運輸省が当然国の機関としてそういうものを設置して、そして日本の交通機関整備に関する具体的な研究をし、社会の進運におくれないように処置するのが当然だ、こう私は考えるのです。ですから、国鉄にそういうような不当な負担をかけさせてそういうものを研究させ、しかもそれが必要であるというならば、なぜ監督官庁たる運輸省はそれを放任して見ておるのか、それがふに落ちない。一体運輸省はどういう監督をしておられるのか、これを一つお答え願いたい。
  33. 植田純一

    植田政府委員 ただいま運輸調査局なりあるいは鉄道技術協会の例があげられましたが、これらのものは国鉄だけの仕事をしておるものではないのでありまして、運輸調査局におきましても私鉄等の研究の委託を受けてやっておりますし、また鉄道技術協会鉄道技術全般の向上のための団体であります。そういう意味におきまして実は公益法人ということになっておるわけであります。ただ御承知の通り鉄道技術といいあるいはまた鉄道の研究といい、そういう面におきまして国鉄の占めておる比重が非常に多いということでありますが、必ずしも国鉄だけのための機関であるというわけではないのであります。
  34. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういうことでありますならば、運輸省の運輸政策が消極的に過ぎる、そのためにこういう欠陥が生じておるのだと私は思うのです。ただ国鉄の監督官庁として業務の運営面を指導しておる、あるいはそれに対する助言をしておる、こういうようなきわめて消極的なものでは、運輸省の存在そのものが今度は危うくなると思うのです。いま少し運輸省は、この時代の進運に伴った交通運輸政策から発した総合的な技術の研究や、その他すべての面にわたって積極政策をとるべきである、こう考えるわけです。そのためには、今申したように国鉄にこういう技術の研究機関が必要である、あるいは運輸状態の調査が必要である、あるいはそういうことが基礎となるので国鉄の運営上どうしてもそれが必要である、国鉄のみならず今言われるように広範な運輸機関に対するそういうものが必要だ、そういうことをお認めになっておられるならば、なぜ運輸省においてしかるべく国の補助でそういうことをなさらないのか、あるいはそれをやる御意思があるのか、聞かせていただきたいと思います。
  35. 植田純一

    植田政府委員 ただいまも申し上げました通り、ただいま御例示の機関は、運輸省の公益法人として認めておるわけでありまして、実際の仕事は、それぞれの国鉄なりあるいは私鉄なりの調査委託を受けて研究をやっておるわけであります。従いましてこの点は、先ほども申し上げました通り鉄道全般が利用できる、こういう意味合いになっております。ただ実際問題として国鉄の比重と申しますか、国鉄から委託研究を受けておる面が多いということでありまして、やはり私鉄関係からも委託を受けて仕事をしておることは事実であります。
  36. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はこの点については一つ十分に研究をしていただきたい。一方においては国鉄に独立採算制だ、独立採算制だといっている。そして国鉄の財産なるものは国の財産であって、その財産を運用して事業をやっておるというのが、国鉄に限らず、専売公社にいたしましても、公社の性格だと思います。そうすれば国鉄の資産がふえるということは、国家投資によるのが当然の話だと思う。ところがそれを独立採算制だ、独立採算制だといって、国庫から何もやらない。そしてその融資はしてやるなんといったって、それは国鉄という企業が借金をふやすだけであって、ますます赤字を累積さすだけの話です。そういうことでは本来の公益業務はできない。今日の国鉄のあり方は、そういうところに強制されて、純営利的性格に変貌せざるを得ない事情にある。これでは国の動脈である交通機関の公益性を守る使命を全うすることは不可能であります。ですからこれはよろしく国鉄に加盟すべきである。ところが、それが今日急速に不可能であるとするならば、たとえば新線の建設の問題にいたしましても、あるいは時代の進運に伴って国鉄の施設の近代化にいたしましても、その大部分は資産評価だ何だといって争っておりますけれども、そういうことでは問題が解決するものではない。それらの部分についてはある程度の資産評価は必要であります、減価償却も必要であります。けれども、それ以上に越える必要な経費については、国家の投下資本的制度において国がこれを見るのが当然だと思うのでありますけれども、これについては運輸省はどういう考えをもって将来やっていこうとするか、また国鉄は、今あなた方がやっておられることは、今申したようにやむを得ず営利的企業の性格に変貌せざるを得ないような事態になっておる、これは本来の公益を守る企業としては私はふさわしくないと思うが、それらについての見解を一つお答え願いたい。
  37. 天坊裕彦

    天坊説明員 国鉄といたしましては、いろいろお話がございましたが、私ども経営についてあくまで独立採算制の立場をとってやっていかなければならぬという決意を持っております。だだしかし、御承知の通り国鉄は非常に大きな世帯でありまして、国際的にも、技術的には日本鉄道といいますれば、国鉄を通じて一つの代表した格好で、たとえば車両をインドに輸出するといたしますれば、国鉄が検査をしてくれなければ向うでは受け取らぬ、こういうことは事実であります。これだけの仕事をやっております国鉄といたしまして、ある程度の調査あるいは研究ということのために金をかけるということは、当然なことであると思っております。しかしその限度の問題が、おそらく山口委員のおっしゃるところではないかと思いますが、適当な範囲でそういう調査を持たなければならないことは当然だと私は考えております。
  38. 植田純一

    植田政府委員 ただいまのお話でございますが、国鉄が公共企業体になった。公共企業体というものはどういう形で、またどういうふうに育成していくべきものであるかということにつきましては、抽象的には別ですが、実際問題といたしまして非常にむずかしい点があろうかと思います。ただ公共企業体になりました趣旨から申しまして、従来のいわゆる官営時分の運営よりも、もっと能率的な運営要素を取り入れなければならぬということは当然ではないか、かように考えるわけであります。しかし国鉄の持っております使命、非常に公共性が強いという観点から見まして、民間企業のような工合にはなかなかいかぬ。やはり国の政策と非常に密接な関連があり、またその意味におきまして国もいろいろの面においてめんどうも見なければならぬということはお説の通りだと思います。ただできるだけ能率的運営をはかるという意味におきまして、一応収支をできるだけ独立していくという建前といたしまして、独立採算という建前をとっているわけでありますが、これもあくまで徹底した独立採算、突き詰めた何でも独立採算をとらなければ絶対にいかぬというふうな、いわゆる民間企業的なものも無理だろう、かように考えておりますが、一応そういう建前で能率的経営をはかるという観点から公共企業体になった。こういう趣旨に解しているわけでありまして、従いまして国のいわる財政上の観点、あるいはまた国鉄経営上、財政上の観点、いろいろな観点から国の援助というものはどの程度にやるべきであるかということは、毎年のいろいろな予算の場合におきましてももちろん議論があるわけであります。そういうふうな考え方でいるわけであります。根本的には公共企業体をどういうふうに持っていくか、非常に御議論のあったところでありますので、運輸省といたしましても実は国鉄経営調査会におきましても、そういう点につきまして根本的ないろいろな意見を拝聴いたしている、かような状態でございます。
  39. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 国鉄は独立採算制を強調せられているという御議論でありましたが、それらも日鉄法によって強制せられていることは間違いないのです。しかし公社を発足させてから今日まで運営してみて、この公社の行き詰まり等は、明らかに公社の性格において無理があるということがはっきりしている。同時に国鉄に対しては資本を投下しているのは国であります。他の資本が入っているのではないのです。ですからやはり国の資本を維持し、かつそれを増加して、運営を円滑ならしめてやるということが、私は国の責任でなければならないと思う。ですから日鉄法を改正して、所要の改正を加えて、国鉄にその営業面からする採算制をしいられることは、公社としてはある程度当然だと思いますけれども、しかしそうかといって投下資本に対する全的責任を国鉄に負わすということは無理であります。ですからそういう点で国が施設に対する資本を投下する道を私は開くべきではないかというふうに考えるわけでありますが、これについて運輸省は研究をされているか、これがまず第一点であります。  それから第二点としては、三十年度の新線建設においては、当初二十五億の予算をもっていたしておりましたのを増額して、三十億に増加したと思います。私どもの考えによりますと、少くとも今日進行しつつあります新線の工事を促進いたします限りは、年間百億以上の金を必要とすると思います。しかしこれを今申しますように国鉄だけにその調達をゆだねるとか、その予算を国鉄の中だけにとどめるということでは、この調達はとうてい不可能であることは事実であります。従ってどんどんとこういう予算が削られて、実際には工事が進行しておらない。ですからこれを促進させるためには、どうしても本年度においては八十億ないし百億程度の予算をぜひとも必要とすると思いますが、これについて一体予算の手当はどうなっているか。今日の状態ではまだ予算は確定してないと思いますが、これは私はこの運輸委員の皆さんの意思によっても、当然強い要求があると思うのでありますが、これがどういうふうになっておりますか、伺いたい。
  40. 細田吉藏

    ○細田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。政府の出資をどの程度に考えているかというお話でございますが、ただいま私ども植田局長から申し上げましたように、国鉄の性格をどう考えていくかということと関連いたしまして、政府の出資でいくのか、あるいは独立採算と申しますか、自己資金なり借入金でいくかという点につきましては、いろいろな角度から検討していただいているところでございますが、ただいままでの運輸省の考え方といたしましては、施設の維持あるいは改良といったような点につきましては国有鉄道の責任において、言いかえますならば自己資金と、あるいはその能力に応じた借入金とによってまかなっていくという基本的な考え方をとっております。新線建設については相当巨額な経費が要りますことと、できましたあとはほとんどが相当大きな赤字になりますので、これにつきましては非常に公共性の点から新線を敷くということであれば、政府出資でいくべきであるという考え方をとっているわけでございます。端的に申しますと、ただいま運輸省としましてとっておりますのは、新線建設に関しては政府出資を考えている。それから施設の維持あるいは改良というものについては自己資金または借入金でやっていく、こういうように考えている次第であります。根本的にはいろいろ今経営調査会で御検討願っているところであります。それから建設費でございますが、ただいま申し上げましたように政府出資でお願いしたいと考えているのでございまして、本年度は六十五億円の政府出資を要求しておりまして、ただいま大蔵省と折衝いたしているのでございますが、なかなか難航いたしているという実情でございまして、われわれといたしましてはぜひとも本年度は、毎年政府出資でお願いしているわけでございますが、本年度は少くとも六十五億は政府出資でぜひともお願いしたいということで折衝いたしている次第でございます。
  41. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今六十五億を予定して折衝中である、こういうことでありますが、そうすると昨年度から約三十五億の増額ということになると思いますが、ずっと今までの新線建設の事情を御説明いただいたところからいたしますと、どうも六十五億という数字は適切でないのではないか。財政事情もあるとは思いますけれども、こういうような数字では——今までの説明自身からいっても八十億ないし百億という金がなければ、ほんとうに新線建設を進行させることはできません。金さえあったらいいのですけれども、金がないのでというようなことで説明を受けてきたわけです。六十五億という要求になりますと、大蔵省は、これは六十五億しか要らぬのだな、こういうことになれば、今までの方針というものを放棄されたような形になっておるのではないか。今まで所要経費がだんだん削減されて、さなきだに工事の量がたまっているのです。昨年六十五億なら六十五億要るものを三十億にせられると、半分しか出ておらない。しからば本年それをやるためには、平年化した経費が八十億要るとすれば、百十五億なければできないのが当然でしょう。しかるにそれを半分の六十五億に削るということはどうも納得いかないのです。これは新線建設の熱意があるのかないのかというところまで発展すると思いますが、どうですか。
  42. 細田吉藏

    ○細田説明員 まことにごもっともな御説でありまして、実は昭和二十七年に新線として三十線を選んだのでございまして、これはすでに当委員会でもしばしば御説明申し上げておると存ずるのでございますが、おおむね年間百億ぐらいのベースで、長いもので五年ぐらいで完成しようということで選ばれたのがこの線でございます。従いましてただいまの山口先生の御質問が出て参ると思うのでございますが、その後実は昭和二十八年度におきまして九十億という予算がついたことがございます。これは政府出資ではございませんが……。これは災害のために実際は補正予算で七十億に減少いたしたのでありますが、その後一兆円予算の問題その他から、百億という当初二十七年に考えられた程度では大き過ぎはしないかというようなことがございまして、昨年の暮れに鉄道建設審議会がございまして、鉄道建設審議会で——これは御承知の通り各党から御参加願っておるものでございますが、現在の予算程度であれば六十億ないし六十五億がいいのじゃないかというふうに、縮小されるという御決議があったわけでございます。それを受けまして私ども六十五億の線がいろいろな角度から——建設線を計画通りやっていくならば百億ぐらい要るのだけれども、予算の関係その他から見てある程度少な目に考えていくべきじゃないか、それにしても三十億では小さい、それで大体六十億から六十五億ぐらいの線でいくべきだ、こういう結論を得たものでございますから、そういうふうにいたしたわけであります。
  43. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 時間がきましたから最後に、この新線建設につきましては、今申しますように、われわれといたしましては六十五億の要求をもっていたしましても、きわめて不満であります。大蔵省が見えておれば強く要望しておきたいと思うのでありますが、委員長においても、年々削られておるこのような予算をもってしては、新線の建設はきわめて不安なものがあるということを強く言って、予算の増額に努力していただき、新線建設の工事が既定の計画通り完成し得るように努めていただきたいと思います。  それからもう一つ希望を申し上げたいのでありますが、今申しましたように、今国鉄経営の性格論を論じても、これは現実の問題として間に合うものではありません。従ってそれは将来の研究課題とするといたしましても、行政管理庁が指摘した点について虚心たんかいに改めていくべきものは改めて、そして内部の合理化をはかっていただきますことはもちろんでありますが、それと同時に国鉄が今負担をいたしております赤字経営の根源は、何といっても国家投資の適切でないところに原因があるのであって、これを適切化すれば、私はもっと国鉄は健全に運営することができると思うのであります。従ってそういう点から赤字に対しまする適切なる補給等は、当然国の責任において行わるべきです。ですからそういう点でもう少し国の交通機関として国鉄に対する負担の軽減措置をとるように、当然運輸省は努力をしていただきたい。  それから行政管理庁に申しておきますが、それは行政管理庁が指摘をせられたこの営造物法人という性格についてであります。この営造物法人、これは国鉄の施設だけが営造物法人的性格を持っておる。公社は専売公社もあり、電電公社もあり、幾らもあるわけでございます。しかもこれらの公社は、その経営内容は黒字であります。この電電公社等の営造物を一体どういうふうにお考えになるか。国鉄同様営造物法人としてお取扱いになるのか、あるいはまた他の法人的な見方をなさるのであるか、この点については一つ行政管理庁の見解をちょっとお尋ねして最後にいたしたいと思います。
  44. 山口酉

    山口説明員 国鉄以外の専売公社、電電公社等も、性格においてはやはり営造物法人であるということに変りないと存じます。
  45. 松山義雄

    松山委員長 先ほど山口委員より要求になりました国鉄外郭団体の調査資料の取り寄せの件は、要求通り委員長としていたしたいと思いますから、御了承願いたいと存じます。  なお質疑の通告者はまだ多数ありますが、一応午前中の陸運関係の質疑を中止いたしまして、続いて海運、特に函館港湾及び洞爺丸の事件について調査を進めたいと思います。質疑は通告によりこれを許します。小山亮君。
  46. 小山亮

    ○小山(亮)委員 長屋審判庁長官がお見えですから、順序を変えて審判庁長官からお伺いしたいと思います。海難の審判の経過を見ますと、今までの経過では、大体において大きな海難がありましたときには、船長が必ず死んでおります。そうしてその審判の経過を見ますと、結論においては死んだ船長が過失ありとして責任を負わされておる例がきわめて多いのです。今回の洞爺丸の事件も、あるいは紫雲丸の事件も、その過程を見て参りますと、果して船長に責任があったかなかったかということは、これは審判をしてから後でなければわかりませんけれども、大体において死んだ人がすべての責任を負ってしまって、生きておる方の人には責任がないようになっておるのを見て、私は日本の将来の海員の養成上、これはゆゆしき問題だと考えておる。事実船長に責任があって、そうしてそれが責任ありとされるならよいのでありますけれども、いわゆる死人に口なしというようなことから、当然責任を関わるべき人が問われないで、なくなった人だけが責任を負わなければならぬというようなうわさでももし流布されるようなことがあったら、大へんな問題だと考えますので、その点について審判庁長官の御見解をまず伺いたい。
  47. 長屋千棟

    ○長屋説明員 お答えいたします。洞爺丸事件は第一審が結論を出しまして、第二審の請求がありましたので、目下私のところでやっと記録の検討を始めたところでありますので、内容についてかれこれということは今のところ申し上げられません。今小山さんのおっしゃったとかく大きな海難事件は船長なり、船員の過失になっておる、こういうお話でありましたが、何も死人に日なしだから、これに責任を持たせてしまえば事は済むという考えで、われわれは審判をやっておるのではございません。個々の事件について、これは船長の過失になっておるが、実際はどういうわけなのか、こういうお話があれば内容について御説明申し上げたいと思いますけれども、十分調査、審理の上、証拠に基いて出します結論でありますので、これは俗にいいます泣いて馬謖を切るということもまたやむを得ないのでありまして、われわれとしては審判によって海難の原因を明らかにするということ以外に他意はありませんので、その結果が船員の過失ということになる場合もありますし、その船員がなくなっておるものに対して、これはこの船員の過失であるという結論を出さなければならぬ場合もございます。特にそういうことを事実を歪曲して結論を出すということは毛頭ございません。その点御了承願いたいと思います。
  48. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私は海技の技術上の最高権威者が寄って審判をする、その審判が事実を歪曲して不公正な審判をしたということを言っておるのではない。従来ややもしますと、おそらく今日まで起りました海難においても、船長がなくなっておる、あるいは船の主要な責任者がなくなっておる場合には、大体においてその責任者が責任を持たされておるというような傾向がきわめて多いのであります。従ってどうしても死人に日なし、死んだ者は損だというような声が、海員の仲間から起っておるということは事実である。それでありますから、これを明確にしたいためにあえて質問に立つのでありますが、ことに洞爺丸事件の審判は、第一審の審判が済んで第二審のいかんによりますから、担当の係である長屋審判庁長官がこれに対して詳細なことについて御説明をなさる、あるいは自分の意見を開陳されるということは、相当困難だろうと思っております。私は第一審の審判の調書を見まして非常に不思議に思いますことは、船長に責任ありと断定されたその唯一の根拠は、颶風十五号、台風の中心が函館湾を通過するということを知っておって、しかもそれが通過したものと誤まって判断をし、そうして船を沖出しをした、それが船長としての判断の誤まりであったというふうに断定されておるように私は見受けるのです。これは第二審の審判になってどういうふうにまた審理されるか知りませんけれども、少くとも船長は、果して船長自身が台風の中心の函館湾を通過するということを誤信したかどうか、知っておったかどうか、知っておって出たしか、知っておらなくて出たのかということは、これは死人に口なしでありますから、そこを私は言うのである。間違って判断したものなりと推定するその根拠、これは私は少し無理があるのじゃないかと思います。それからもう一つ、ああいう場合にあの函館港において船を沖出しするのが船長としての処置の誤まりであるかどうか、函館港、十五号台風、風速五十六メートルのあの台風の中で、あの港の中に滞在して、果して船が安全を期し得られたかどうか。期し得られない場合には、それを避けるために沖出しをして、そして漂流をしてよけるということは当りまえのことなのです。幾多の例があることです。ことにわれわれも商船学校時分から、あるいはまた自分の経験を通じて、長い間そういうことによって船の安全を保ってきたのです。ですから沖出しをするということは決して悪いことじゃないので、当然の処置だろうと私ども思う。ただその場合にどうして港の中の安全な停泊地に船がおられなかったか、ここに私は非常に大きな問題があると思うのです。第一には、現在の函館港の設備というものは、そういうような強風に耐えるような設備であるかどうか。その中におって現に停泊しておったところの船はどんな状態であったか。御存じのように函館港の中には、戦後海軍の大湊港で使っておりました一万トンの軍艦を停泊させるに足るところの浮標を持ってきて、あの中に据えてあることは御承知の通りです。その一万トンの船を係留するに適する浮標に係留しておりましたイギリスのアーネスト号というのは、その浮標と一緒に引けるのです。浮標が安全の浮標じゃない。アーネスト号が停泊しておりましたところの浮標が風のために引け出して、船がだんだん後退して陸岸に近づいていくという状態です。これは午後の五時です。四時半ごろから引き出している。それを洞爺丸の船長は岩壁で見ておるのです。危なくてこの港の中に桟橋を離れていかりでかかるということはできない。だれが考えてもいかりが切れて流れてしまう。一万トンを係留するに足るところの浮標が完全に係留ができなくて、船がだんだん浮標もろともに引きずられておる。海岸に流れておるというところを見て船の安全をはかろうとする船長が、いかりを入れれば自分のいかりが切れることはわかっているのです、あるいはこれが引けることはわかっているのですから、そこにいかりを入れられる道理がない。どうしてもこれは外に出なければならぬ。しかも当時の函館の港の中には、あとで審判所でもお調べになったら、あらゆる浮標には全部避難船が係留しておる。そのほかの海面のあいているところには、避難船が全部入っておるということがわかった。それが全部どんどん引き出してくる。そういうときに船はこの中にいかりを入れるということもできなければ、浮標にかかるということもできっこないのですから、どうしても船の安全を保つためには、だれがやっても外に出るのが当然の処置だろうと思うのです。私はそういうふうに判断しておるのであります。しかしこれに対しては、審判所の審判は自分の職務権限外であるためでありましょう。港の中の構造であるとか、あるいは港の設備であるとか、あるいは船体の設備が、航洋船としてああいう大きな風浪に耐え得るような設備でないことを非難はしておりますが、これに対してもっと潔く検討して、そして国鉄に対する勧告というようなことはやっておりません。私は非常に不可解に思う。私どもはどう考えても、停泊をすることのできない港の設備自体を考えなければならぬし、それからあの荒波に津軽海峡を出て、そして青森まで行かれないという船の構造も考えなければいけない。その場合の船長の処置としてはどうしたらいいか。港の中におってそのまま船のこわれるのを待っておる、こういうことなのか。できるだけ安全の処置を講ずるために、船長の考えによって安全の措置を講じようとすることが果して悪かったのか。この点を非常に私は疑惑に思うのですが、この点は審判を進められた後でないと結論は出ないでありましょうが、審判庁長官も古い船の経験者であられるので、とうといあなたの体験を通じまして、こういう場合の船長の処置というものは常識的にいかがあるべきものかという点について、御説明願えれば伺いたい。
  49. 長屋千棟

    ○長屋説明員 先ほどのとかく船員が非難されているという御説に対して、もうちょっと補足しておきたいのですが、昔は海員懲戒法というので、審判所が審判をいたしておりました。そのために審理する目的が海員の行為にある。それでとかく直接そういう海員の過失でないものまでも、何でもかんでもあなたのおっしゃったように、海員の過失ということになりがちであったのです。これではいかぬというので、昭和二十二年に海員懲戒法の改正を企てまして、海難審判法として、海難の原因を探究するのだ、従ってその結論によっては船員のみならず、造船の欠陥があれば造船の方に勧告をする、その他先ほど小山さんのおっしゃったような港湾の設備ということについても、そこに欠陥があれば勧告をするのだ、海難というものは何も海員だけが起すものではないのだ、こういう構想でやり方を変えましたので、その後いろいろ勧告というものも出しておりますが、やはり直接運航しておる海員の過失ということはどうしても一番関係をして参りますので、先ほど来おっしっゃたような御不満があるかと思います。これはそういうことにならぬように、そういう法律を変えまして、ほんとうの原因過失というものをつかんでいくという行き方でやっております。  それから洞爺丸に関係いたしまして、いろいろ函館の港湾の欠陥とかいうようなものも今御指摘がございました。それから洞爺丸の運用、操船というようなことについても、いろいろお話がありましたが、これは先ほど申し上げた通りに、係属中の事件でございますので、ここでそのことをこれがいいのだ悪いのだということをちょっと申し上げかねますので、御了承願いたいと思います。
  50. 小山亮

    ○小山(亮)委員 審判所の審判をなさるその参考として、洞爺丸を建造するときに、これは確かに風洞試験によって性能というものを検査した、これは私は聞いておりますが、青函丸、洞爺丸、これらの風洞試験をしまして、風速五十メートルの試験をした。その試験に果して耐えたか耐えなかったか、何メートルまでの試験をしたか、五十メートルまでの試験をやったか、あるいは五十メートルまではやらなかったか、そういうこともお調べになったのでありますか。
  51. 長屋千棟

    ○長屋説明員 お答えします。記録は大体こちらに届いておりますが、まだ実験の記録が来ておりません。やはりこれも詳しいことをここで申し上げられないのですが、もしそれを知りておれば、何も隠すことはないのですけれども……。
  52. 小山亮

    ○小山(亮)委員 それから審判をお進めになるのに、私の申し上げることが非常に参考になればけっこうだと思いますが、聞くところによりますと、洞爺丸の建造のときには、これの風洞試験をやった。しかし五十メートルまではやらなかった。五十メートルをやれば、おそらく青函丸も洞爺丸もみなひっくり返ってしまったろうということを、権威ある人から私は聞いております。私はそれを委員会において確かめたいと思いますが、時間がないので、この次の機会に確かめたいと思います。   〔委員長退席、青野委員長代理着席〕  そうしますと、今の国鉄の船というものは、風速五十メートル以上のしけには自信がない船だ。それからもう一つ、かつて飛鸞丸という連絡船が荒天中に航海をして、船を横に向けて、風を横に受けたときに、船尾から非常な大きな波を吸い込んだ。それで危なかったが、辛うじてのがれたということであります。そういう例から見ましても、やはり風洞試験の際に、風力に対する試験と凌波性に対する試験をやりますが、凌波性は横から波を受けたときの試験というものをやっていないらしい。この点を審判をお進めになる上からは、とくと御考慮を願わなければならぬところだと思います。それから函館におきましてのこの間の風速は、沈みました船の風速計等を見ましても、風速五十六、七ということになっております。五十メートルの風洞試験すらしなかった船、五十メートル以上の風洞試験をすればおそらく危なかったろうといわれる船、それが実際にそのときに遭遇した風速が一秒間五十七メートルということになりますと、それだけで船長の責任だ、船長がふつつかであったということにはならないと思ます。しかもこの船の設計という問題については、非常に非難が起りまして、その後この非難によって次にできたところの新造船は相当改善されております。もし現在改善したような船があったならば、おそらくあのしけにも耐えたのじゃないかとすら私らも思う。船長にしましても、実に海上実歴三十余年、しかも函館と青森だけの間を通っておる、あの辺の海上の主なんですから、それだけの経験のある人は得がたい人です。その人でもまだ過失があるというのならば、ほかにあそこの船長をするだけの資格を持っておる人はおそらくないということになる。私はその点でこれは審判庁長官にこうしてくれ、ああしてくれという注文を決してするのじゃない。これから審判をお進めなさるについて、まだ第一審の審判においては調査しなかった部面ありと私は考えまして、その点をさらにもう一度お調べ下さらんことを希望するのです。この点について一つとくと御考慮願いたい。これは私は審判庁長官からそれに対する返事を伺う必要はないのですが、長い海上生活をやっておられて、ことに審判の公正を期しておられるところの審判庁長官である以上は、私が申し上げましたことを参考にされて、この点についてさらに深いメスを入れていただくことを希望します。  それから島居海上保安庁長官に伺います。これは今までだれも触れてなかった問題なんですが、函館の港務長といいますか、いわゆるハーバー・マスター、このハーバー・マスターは、函館の港の安全を確保するという上からは非常に大事な職務なんですが、今度の海難事件に対してこの人は全然取り忘れられて、一つも議論の対象にならなかった。私がこれを問題にしますのはどういうことかといいますと、船の係留標を港の中に埋め込んである、その係留標が有効に使用されて、避難船がたくさんに港の中にかかったときには——ちょうどこの函館の例からいいますと、桟橋から出ていく前の前面の一番船がかりをしようとするような大事な場所に、全部船がかかっているわけです。ですから、出入りをしようという船はこの船を避けなければならぬ、しかもこれがいかりが引けているという状態ならば動く道がない。それからもう一つは、この浮標も現に一万トンの浮標が引けている。八千トンの船がかかって一万トンの浮標が引けている。引けているとすると、そういうような不完全な浮標を入れるのになぜもっと考慮しないかという点、それからただに函館ばかりでなくして、今まで下関その他門司におきましても、係留しておるところの一万トンの係留浮標というものが、停泊している船がそこにかかりまして、往々にしてこれが引けている。それが中にはその埠頭に浮標をつないでおるところの鎖が切れてしまって、そうして船に故障が起きたということがあります。そういうことになりますと、この浮標というものは全く権威がない。だからこれはときどき完全であるかどうかということを検査しなければならぬが、検査しておるかどうか。それからこの浮標が切れたがために船と船とがぶつかって、特にそれが外国船の場合であって、外国船から日本政府あるいは港湾局に対して損害賠償の請求をされておるような事実があるかどうか、これは御記憶なら伺いたい。もしおわかりにならなければわかったときに返事して下さい。
  53. 島居辰次郎

    ○島居説明員 函館には御存じのように港長はおりますが、おっしゃるように浮標につきましては、各港において県の維持しているところもございますし、市の維持しているところもございますが、私たちの方で気がついておればその不完全なところは申し立てようとは思っておりますが、現実に函館の港において前もって、五十メートル吹いたことがまだないので、その節に注意したかどうかはまだ存じませんが、おそらく注意しなかったのじゃないかと思っております。それから今の外国の船舶の衝突については、今その資料を持っておりませんので、多分そういう事件はないのじゃないかと思いますが、よくわかりません。あとから申し上げます。
  54. 小山亮

    ○小山(亮)委員 その資料をお調べになると、ないのではなくてあると思いますが、あっても、きょうのこの問題ではないですから差しつかえありませんが、ここで島居長官に特に御考慮願いたいと思いますことは、ハーバー・マスターの任命なんです。港務長の選定なんです。これは日本中のどの港もどの港もというわけではないので、一番大事な主要港におけるところの港務長の任命、こはれきっと保安庁の保安官の中から任命になるのでしょう。ところが、こう言ってははなはだ失礼だが、海上保安庁の船というのは小さな船で、港の沿岸だけをやっておられる船が多い。従ってその船長という人も、航洋船で世界中の海を乗り回して、あらゆる外国の港に始終行っているような人から見ると経験が非常に浅い人、そういう大体四十がらみの人が港務長になられる。港務長になられた場合に、浮標の入れ方が港の運行にどういうふうな支障があるかないかということも考えず、ただ自分だけの判断でここが適当であるからといって浮標を入れられた場合には、こういう一朝事があるときに他の船が逃げられなくなって、どうにもならないことになるのですから、これはそこの海事関係の、海に関係するところの人々全部の相談会か協議会か何かをして、その結論の上にこういうふうにやろう、ああいうふうにやろうということでおきめになるのが一番正しいやり方であると思います。  それからもう一つは、洞爺丸の場合も、あらかじめしけありと見て避難してきた船がたくさんある。その船をどんどんと港務長が自分の判断で自分の思っているところへ停泊さしてしまった。浮標に係留さしてしまった。それがために肝心の洞爺丸が危険を感じて浮標にがかろうとする場合も、いかりを入れようとする場合も、その余地がない。それがために勢いやむを得ず外へ出ざるを得ないということになる。これは長年の経験のあるりっぱな海の経験者がハーバー・マスターをしておれば、こういうことは私はないと思う。しかも函館の場合は、個人を私は非難するのではないですが、船長ではないのですね。エンジニアなんです。エンジニアに港の一切の、停泊であるとかそういうふうな技術違いのことをやらせるということは、相当無理じゃないか。私はそれは有能な人だと思いますが、その人をどうしろこうしろというのではないので、少くとも重要な港湾のハーバー・マスター、日本に幾つありますか、五つあるか十あるか知らぬが、そのハーバー・マスターにはできるならやはり経験の豊富な、しかも船長を持っていってもらいたい。予算の関係もあってそういうものは置けないとおっしゃれば何ですが、これは大事なことなので、しかも今度の洞爺丸事件の起きました原因の、直接の原因ではない、間接の原因には非常に関係があるものですから、この点を一つとくと御考慮を願いたいと思います。それから浮標の検査、こういうふうなこともどういうふうにおやりになるか、これをもしおわかりならば、こまかいことはおそらくおわかりにならぬと思いますが、おわかりの程度だけ伺いたい。
  55. 島居辰次郎

    ○島居説明員 いろいろ実際の経験に基いたお話を伺いまして、非常に参考になるのでありますが、各港におきましては、幸いなことですか不幸かわかりませんが、現在海上保安庁ができまして七年しかなりませんので、大きな港には実は小山委員のおっしゃるように従来船会社におったような方が現在はおるのでありますが、今後出てくる者につきましては、たとえば海上保安大学なんかを出てくるのが中堅幹部になりますので、おっしゃるようなことを参考にいたしまして今後の配置は考えたいと思っております。なお浮標の検査その他につきましては、現場のことは実はよく私ども存じませんが、できるだけそういう方面にも気を配りまして、遺漏のないように配置したいと思っております。なおまた台風の来る場合におきましては、実は港長独断でもやれませんので、おっしゃるような会を設けまして活発にやっておるようなわけであります。ことに神戸などは非常に活発にやって損傷を大へん少く防いでいるので、今後もああいうようなのを各方面でやってくれというような民間からの要望もございますので、強力にそういう会を催して各港に協力したいと思っております。
  56. 小山亮

    ○小山(亮)委員 神戸はもちろん大港ですからそういう要望が多いのですが、函館のようなところはそういう業者や何かがたくさんおりません。小さい業者ですから、そういう要望が出ないのです。けれども洞爺丸事件が起ってから考えてみますと、青森とか函館は国鉄にとって重大なところになりますので、この点を特に長官にお聞きとめを願いたいというのが私の趣旨でございます。  それから国鉄の海務課長に伺いたいのですが、現在の青函の就航船名は何と何ですか。
  57. 荒木善之

    ○荒木説明員 羊蹄丸、摩周丸、大雪丸、徳寿丸、客船は以上の四船であります。貨物船があと八隻ばかりあります。   〔青野委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 小山亮

    ○小山(亮)委員 今度の新造船の構造ですが、あの遭難があってから後に作られた新造船の構造と、今まで使っておりました船の構造との違い、どの点を改造されたか、それを御記憶なら伺いたい。
  59. 荒木善之

    ○荒木説明員 新造船は空知丸と檜山丸でございます。檜山丸の方は貨車甲板の舷側に排水孔を設けております。空知丸の方は船尾にとびらを設けております。以上が特に変った点でございます。
  60. 小山亮

    ○小山(亮)委員 そうしますと、空知の方もやはり排水孔の方はおつけになったのですか。
  61. 荒木善之

    ○荒木説明員 空知の方は貨車甲板の排水孔を大きくしております。檜山丸の方は舷側の方にフリーイング・ボートを設備してございます。
  62. 小山亮

    ○小山(亮)委員 災害がありましてから後、国鉄の機構であるとか、船であるとか、港の設備関係というふうなことで、特に顕著な改善をしたところはどういうところでございましょうか。
  63. 荒木善之

    ○荒木説明員 港湾関係としまして、係船ブイ二個を設置すべく目下交渉しておりまして、大体年度内に二個を設置する計画を持っております。これは一万トンのものであります。それから函館の岸壁のうち二岸壁が、船の長さに比較して短かいものでございますから、これを四十メートルばかり延長する計画を持っております。来年度から着工する運びになっております。
  64. 小山亮

    ○小山(亮)委員 防波堤を改造するという話を聞きましたが、それは国鉄としておやりになるわけですか。
  65. 荒木善之

    ○荒木説明員 国鉄から運輸省に申請いたしまして、西防波堤のかさ上げ計画、既設防波堤延長の交渉をやっておりまして、大体運輸省も御了解になっているように承わっております。
  66. 小山亮

    ○小山(亮)委員 予算は大体どのくらいですか。
  67. 荒木善之

    ○荒木説明員 私その点はよく存じておりませんので、運輸省の方にお願いしたいと思います。
  68. 小山亮

    ○小山(亮)委員 あなたの方で交渉される運輸省の方の係はだれですか。
  69. 荒木善之

    ○荒木説明員 港湾局でございます。なお地方におきましては北海道開発庁に話を進めているわけです。
  70. 小山亮

    ○小山(亮)委員 なお国鉄として函館港内をこういうふうに改造したら将来海難は完全に防止されるというような案がありましたら、できるできないはとにかくとして、一つ伺っておきたいと思います。
  71. 荒木善之

    ○荒木説明員 北防波堤が基礎工事だけ三カ所ばかりできておりますが、北防波堤の完成がまず先決問題であろうと思います。それから今の函館港の西側の錨地が非常に狭隘でありますので、西防波堤を百メートルばかり延長しまして、その港内面積を拡充するということが、一般の船舶の遭難を防止するという考え方から、まずその二点を考えております。
  72. 天埜良吉

    天埜説明員 先ほど函館の防波堤について西防波堤をどういうふうにするかという御質問があったようでございますが、西防波堤については本堤を百五十メートル延長しまして、副堤を海の方に二百メートル出したいと思っております。それから既設の防波堤のかさ上げを八百六十七メートルいたしたいというふうな計画になっております。これを三十年度から三十五年までにやるわけであります。三十年度といたしましては、既設の防波堤のかさ上げ工事、これを千二百二十七万円をもちまして二百二・五メートルを工事中でございます。
  73. 小山亮

    ○小山(亮)委員 それは西防波堤の北側ですね。
  74. 天埜良吉

    天埜説明員 そうでございます。それから来年度から本堤にかかりまして、そして三十五年までに本堤百五十メートル、これが二億五千五百万円、副提を二百メートル、これが三億七千万円、それからさらにことしのほかにかさ上げをやります。四千八百九十九万円のかさ上げをやる、そのうち千二百二十七万円だけ三十年度にやります。
  75. 小山亮

    ○小山(亮)委員 今のあなたの御計画だと、今後五年たたなければ曲りなりにも安全というわけにはいかないのですか。
  76. 天埜良吉

    天埜説明員 大体西防波堤に囲まれた部分の安全を確保するには、ある程度かけないとできないという状況でございます。
  77. 小山亮

    ○小山(亮)委員 その西防波堤を、今の不完全なところを整備して、西防波堤の北側のブレーク・ウォーターの非常に低いところをかさ上げをする。そうしてさらに補助防波堤を外に突き出すわけですね。西の方に……。そうするとかりにどうやらこうやら不完全ながら、今までよりもよくなったということになるのですが、それには五年かかるのですね。そうすると北防波堤を全部作り上げる計画はないのですか。これをやるには何万年あとかかるのですか。
  78. 天埜良吉

    天埜説明員 今の施工の順序でございますが、これはかさ上げをまず急いでやりまして、そうしてかさ上げは三十二年までには完成して、本堤の方に移っていく。この工事ができ次第北防波堤にかかっていきたい。もし予算の都合その他によりまして、三十五年以内にできたらすぐこれにかかりたい、こういう予定でございます。
  79. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私どもも海に関係していろいろ仕事をしているものですけれども、海の工事というものは、ことし少しやって、来年少しやって、再来年またこっちをやってということをしては、一冬たったらまたみんな洗われてもとの通りになってしまうのです。やらなかったと同じことになってしまう。石をぶち込んでいくにしても……。ですからどうせおやりになるなら思い切っておやりになるのでなければ、国の費用をうんとむだに使うことになるのではないか。港湾局長はその道の専門家でおられるからでしょうが、そうして北防波堤というのは、もうやらないのですか、やるのですか。すぐにやると言ったって、一体これだけのわずかなことすら五年かかるというものを、この北防波堤という大事業を完成するには何年かかるのですか。われわれが生きておるうちには見られないということでしょう。
  80. 天埜良吉

    天埜説明員 北防波堤の方も少くとも三十五年度以降にはもちろん着手いたしまして、北防波堤にはかかる予定でございます。それから御説のように、少しずつの工事は非常に工合が悪いのでございます。捨て石その他の関係もございますので、この程度に進めていくのが工事としては一番いいのじゃないかというふうにも考えております。
  81. 小山亮

    ○小山(亮)委員 北防波堤にはもうずっと捨て石しているでしょう。すでにもうそれだけの相当捨て石をしているでしょう。ですからそう長くかかるわけはない。それに三十五年までは確かにかかりますといって、三十五年まであなたは港湾局長をしておいでになる自信がありますか。私はそういう先のわからぬことではなくて、できないならできないと、これは今予算がないから、もっと予算をこれだけ取れればできるのだということを言っていただけば、考えたいのです。この委員会はことしの春の委員会で、日本港湾設備費というものをもっとふやせと決議しているのです。決議して政府に迫っているのですから、港湾を整備したいというのはこの委員会あげての熱意なんです。それに当局に熱意がなかったら、これはもうしようがない話なんで、要するに五年間はまたこういう洞爺丸のような災害を繰り返してもしようがないことになる。それでは大へんだと思うのです。幾らいい船長を持っていったって、やはり同じことなんです。こういうことになるのですから、それには設備をよくしてやらなければいかぬ、こういうことなんです。もっと予算は取れないものですか。
  82. 天埜良吉

    天埜説明員 今の北防波堤の件でございますが、函館の全体の安全ということからいきますと、これはどうしても西防波堤の方を先にやりまして、そうして西防波堤の本堤を延ばすことと、それから副堤を出すこと、これがやはり順序としては一番大切だというふうに考えます。それから北防波堤も捨て石はしてありますが、これはほんの一部分でありまして、そんなに大した量ではないのでございますが、しかしこれも工事をやっていきます上には非常に有効に利用されておるわけでありまして、お話の通りに予算が許す範囲において北防波堤を早くやることをわれわれは熱望しております。
  83. 小山亮

    ○小山(亮)委員 西防波堤の方はかさ上げをして逐次かかっていくということでわかりましたが、北防波堤の方は独立しているのですからね。逐次やるといったって金がありさえすれば一ぺんにやれるわけでしょう。要するに金の問題ではないのですか。逐次やるべき性質のものでなくて、これは緊急を要すべきものですから、早くやらなければいけないと思うのですがね。私聞くところによると、函館の人たちも非常に早く築港してくれということを要求して、何回もこの要求が出ておるじゃないのですか。それからまた北防波堤の方は国鉄の金でやってくれ、そうしてもっと五稜郭の方に国鉄桟橋を移してくれというふうな運動もあるやに聞いております。そうしますとこれは朝野をあげて要求する問題で、しかも大きな事件ができたのですから、この際に港湾の整備をお進めになった方がいいのじゃないかと思うが、お考えいかがでしょうか。港湾局長がかわられる前から主張しておる。ちょっとかわられたばかりだから、予算を取るのに遠慮するというようなことをやられると、これは弊害をあとに残すですからもっと積極的におやり下さるわけにいかないのですか。
  84. 天埜良吉

    天埜説明員 これは函館港については非常に重点的に施工をしておりまして、西防波堤をまず第一にやりますが、予算さえ取れれば北防波堤にももちろん着手したいと積極的に考えております。
  85. 小山亮

    ○小山(亮)委員 この際ちょうど御出席ですから、運輸政務次官に伺いたいのですが、この函館の築港問題というものは、もう私が申し上げるまでもなく、焦眉の問題なんです。そこでああいうような大きな事件があった。この付近あげてそれを熱望しておる。そういう非常な切迫しておることが、当委員会の春の委員会において、日本港湾というものは貧弱過ぎる、こんなことではいかぬからというので、政府港湾修理費というものを出せといって、金額まで明示して強い決議を突きつけておる。そういう状態ですから、ことに伊能次官はこういう問題については最も関心を持っておいでになることだと思いますが、今港湾局長の言われるように、五年かかってここのところにわずかの補助岸壁を出すくらいのことでは心細過ぎるのです。もっと促進して、今年度から思い切って予算を取るというような方法を御決定になるお考えはありませんでしょうか。
  86. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 実は港湾局だけでなく、運輸省といたしましても、今小山先生の御趣旨の点は、十分われわれ努力いたしておりまして、本年度は約七十億ほどの予算でありましたが、来年度については百八十九億の予算を要求いたしました。従来日本港湾が、戦後進駐軍関係のワーフの占有その他で非常に痛めつけられていることは御承知の通りと思います。その他日本の貿易の圧迫に対する面からも、港湾が非常に虐待されてきた。また公共事業費の面から申しましても、道路、農業関係港湾、この三つを比べますと、予算的にも港湾が非常に虐待をされておるという現状にかんがみまして、先般本委員会においても、大へん御適切な、またわれわれを鞭撻していただくようなな決議もいただきましたので、来年度については画期的な港湾の増強をやりたい。実は党の方におきましても、そういう点についていろいろ御配慮を願っておりますので、来年度百八十九億の予算の確保をはかりまして、こまかい点については別途研究をいたさなければなりませんが、御趣旨のような方向で港湾の増強をできるだけ進めたい、かようなつもりで今努力中でございます。
  87. 小山亮

    ○小山(亮)委員 政府も、いろいろの所属しておられる議員の選挙区等の関係で、港湾費というものはとかくあっちこっちにこまかく、ちらしごもくのように分けられやすい。それがために、ほかの事業と違いまして、港湾というものは波が常に生きておりますから、絶えずこわれてくるのです。それをこわされないようにするには、急速にしかも重点的にやらなければ、いつまでたっても川原に石を積むようなことになりますから、ことに函館のようなこういう問題が起って、日本全部のものがだれしも北海道に行くのは危ないのだ、危険だというくらいに言っているときにこそ、そういうところを優先的におやりになることが機宜に適したやり方だと思います。ことに北の関門である函館では、しけが来たら港に船がいられない。港の中に入っておっても、いかりが切れたり、ブイが切れたりする。港の中にいては危ない。外へ出れば沈む。沈めば船長の責任だ。連絡船に乗った船長は、責任を問われるから、みんな死んでしまう。そういうばかなことは、いつまでも繰り返す必要はないので、ここで断固としたお考えをお持ちになる必要があると思います。  なお桟橋の置き方も、北防波堤ができれば、何も苦しんでこんな奥の方の変なところに、船込みのたくさんあるところに持っていって、港の中を狭く使う必要はない。むしろ五稜郭の方の広いところへ持っていって、しけが来ても、船が外へ出ないで済むようなドックを作ることです。マルセイユあたりのドックを見ますと、ドックの中に船をたくさん入れておけば、どんなしけが来てもちっとも心配がない。今のように金だけを安くしようとして、桟橋だけ出しているようでは、しけが来ると危ないですから、むしろドックにして、一ぱい一ぱい中に入れるようにすれば、どんなしけが来たって一つも心配がない。そういうことをやるためには、むしろ今あるような桟橋ではなくて、五稜郭の方面に思う存分施設ができると思います。私はこの際国鉄がこういう抜本塞源的なことをお考えになることがいいのじゃないかと思います。この点は御意見の相違等もありましょうが、函館と内地との連絡というものは非常に大事ですから、これに対しては伊能次官特別に御考慮をお願いしたい。私は信州の出身でここには何も関係のない人間です。何も関係がない人間ですが、海の問題を考えるたびに、ここは非常に重大なところと考えますので、あえてこういうことを申し上げるのですが、御意見を伺いたい。
  88. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 ただいま小山先生から非常に御明快な御意見がございましたが、われわれもすでに五稜郭の問題、現在の函館の桟橋の問題については、数年来国有鉄道としても研究をいたしております。また地元としても一部には移れという意見もあり、また現在の函館の繁栄を奪われるから移っては困るというような意見もあるやに聞いておりますが、昨年ああいう事態を惹起したことにかんがみまして、運輸省国鉄一体となってこの問題は急速に解決したい、と同時に予算の面においても、われわれは本年は三倍近い港湾整備費の予算を要求いたしておりますから、御趣旨の面については三十五年度というような考え方でなく、もしでき得れば調和をとった急速な整備についてもあらゆる努力をいたしていきたいと思います。
  89. 小山亮

    ○小山(亮)委員 最後に山下船舶局長に伺いたいのですが、現在までの青函連絡船の性能、船体構造その他における性能、これはああいうようなしけを考えますときに、今までの性能であれば十分であるとお考えですか、あれで十分であるとお考えですか、不十分だとお考えですか、率直に伺いたい。
  90. 山下正雄

    ○山下説明員 ただいまの御質問非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、ああいう航路に使っております船は三級船でございまして、船の検査の面からは格別復原性という問題について今までは詳しい規定がございませんでした。従いまして管海官庁の適当と認めるところによるということで、一部のものの意見というのが、相当この船の航路を認めるについての基準になり得る要素が多分にございます。しかしそういうことではいけませんので、先般来船の安全性の問題につきまして局としまして関係者、学識経験者の意見を十分にしんしゃくいたしまして、そうして船の安全性能というものにつきまして、かくあるべしということを規定を作りまして、今後におきましてはこういうようなことで十分船の性能を審査した上で、船の就航を認めるというふうにいたしたいと考えております。
  91. 小山亮

    ○小山(亮)委員 従来までの造船規程というものが最小限度の要求にとどまっておって、決してそれが造船規程通りやったならばいいというものじゃないと私は思うのです。それ以上にその土地々々の事情を考えて、それに対してそれぞれ勘案をしてやっておる。造船規程通りやれば、たとえば紫運丸の問題から見ましても、国鉄側の責任というものはありませんよ。たとえば救命具の問題にしても、船舶設備規程からいうならば、救命具というものはあればいい。だからそういう救命具というのはボートとか、ブイとか、みなそんなものを入れて、辛うじて定員の数に満てればいいというようなものなんですが、私どもはやはりお客を乗せる以上は、ライフ・ジャケットというものを全部その人の数だけ置かなければ、しろうとが乗るのに無理じゃないか、ボートからおりるときには困るのじゃないかということで、私どもはやはりそれはジャケットを用意しなければならぬということを主張する。それがまた当りまえだと思うのです。要するに船舶設備規程からいうと、そんなものは要らない。ごくわずかあればいい。それでは人命を尊重するでも何でもないので、また海運が遅々として進まない時分に日本に作られた造船規程、船主経済ということだけを中心に、なるべく安くということを考えて作った船舶設備規程を、今日のような人命を尊重しなければならぬ、人権を擁護しなければならぬということが大きな問題になったときに、一つも変更しないでおくということはおかしいと思う。だからこれはお改めになるのが当然だと思うのです。  われわれも十六年の海上生活をしておりましたが、津軽海峡というのはいつもほんとうにいやな航路なんです。非常に潮流が早い。ことに冬になりますとガスがかかり西風が強くなる。八マイルぐらいの船なんかうしろに下るような状態です。そうして始終ガスがかかり吹雪がつける。始末のつかないところです。しかも潮と風がぶつかった場合は波が非常に荒い。普通の海上では考えられないことです。だから三級船なんというような規定があっても、当然あそこは一級船で航洋船でなければならぬ。貨車を乗せる船とお客を乗せる船と同じ構造でやることすら、私は考えなければならぬと思っている。なぜなら、あのときの海難で貨車を乗せるようになった船は沖に出られなくてみな沈んで、そうでなく普通の航洋船はみな逃げている。フリーボードの問題もありましょう。船体の強度の問題もありましょう。いろいろな問題がありましょうが、要するにあそこを三級船で間に合うぞとしたことが失敗じゃないかと思う。だから今後は一級船としての一切の構造を持つようにおやりになるでしょう。それからまた貨車とお客と別にすべしというような議論も出ております。また乾舷の問題についてもいろいろな議論が出ておりますが、要するに今までの船に欠陥があるとお認めにならなければ、改良しようという意見は出ないわけです。私が今までの船に欠陥があったかどうかお聞きしたら、それは非常にむずかしいということです。むずかしかったら、あと改良するなんということはとても考えられないことなんで、やはり今までのものはいけなかった、これはこういうふうに面さなければならないという案が船舶局におありだと思うのです。あなたのところになかったら日本でどこにあるかということになりますから……。だから日本の最高権威であるところの役所から、こうこういう案を自分らは考えるのだという意見が出なければならぬと思う。それを伺いたい。それは必ずしもあなたの言われたことを、ではやらないからどうだというのではない。要するに理想案というものはありそうなものだと思う。
  92. 山下正雄

    ○山下説明員 この問題につきましては実は造船技術審議会の中に船舶安全部会というものを置きまして、その中で連絡船の種々の対策を考えていただいております。この部会は二十九年の十月二十九日に設立されております。審議会の会長は前甘利局長でございましたが、その後私が、今重光蔟、海事協会理事長をしておられますが、この方が会長になられまして、この会長にこの部会から報告を出しております。この報告の中に先ほどお話がございましたような船の構造の問題とか復原性の問題とか、または設備の問題につきまして、かくあるべしということを勧告いたしております。
  93. 小山亮

    ○小山(亮)委員 洞爺丸を作るときに風洞試験をおやりになったその成績はお持ちですか。
  94. 山下正雄

    ○山下説明員 その問題につきましては、実は私よく存じておりません。
  95. 小山亮

    ○小山(亮)委員 聞くところによれば、五メートル以上の風洞試験はやらなかったというのじゃないのですか。
  96. 山下正雄

    ○山下説明員 一般の船の建造の常識といたしまして、特殊な場合を除きまして、五十メートルの風というのは技術的に考えております最大のものではないか。これは洞爺丸のケースということを抜きにいたしましての答弁でございますが、一般の船で五十メートルの風が吹くということは、設計の基礎にしない場合が多いのではないかというように考えております。
  97. 小山亮

    ○小山(亮)委員 大正何年でしたか、山下さんも御記憶かと思いますが、関西に非常に大きな台風がありました。あのときのレコードが六十四メートルでしたか、六十五メートルでしたか、そのときに三十何隻一ぺんに沈んだ船は、全部不可抗力で、船長に責任がなかった。今度の場合でも、おそらく日本の風洞試験では、五十メートル以上の試験をするようになっていないでしょう。けれども五十メートルの試験をしたならば、おそらく今の船はみな青函丸も洞爺丸も保たなかったのではないかと思うのです。ところがそれをこえて五十六メートル、五十七メートルというふうな風が吹いておるということになれば、そういう風に対して試験もやらなかった船、対抗力がないような船に乗った船長の責任というものはどうなるのですか。私はここのところが非常にデリケートな問題になってくると思うので、特に伺っておるのです。
  98. 山下正雄

    ○山下説明員 先ほど申しましたのは、一般的なデザインの現在までに行われましたことを申し上げたわけでございますが、この洞爺丸の場合にどの程度の試験が行われましたか、後刻よく調査いたしまして御回答申し上げたいと思います。
  99. 小山亮

    ○小山(亮)委員 いずれこの問題は山県博士とか鮫島工学博士に来ていただいて、よく伺いたいと思う点があるし、改良するような場所等も委員会において明確にきめておきたいと思うのです。それがためにいつか機会を見て御出席願って、いろいろ伺いたいと思います。きょうは時間がありませんからこれで私の質疑は終ります。
  100. 松山義雄

    松山委員長 それでは海運の質疑はこれをもって一応中止いたします。     —————————————
  101. 松山義雄

    松山委員長 これより請願審査に入ります。  今国会において本委員会に付託になりました請願は七十七件であります。  これより請願日程第一より第七七を一括して議題といたします。  まず審査方法についてお諮りいたしますが、各請願の内容については、各委員のお手元に配付されました文書表によって御承知になっておることと思いますし、まだ文書表が配付されていない各請願も、本委員会審査の過程あるいは本委員会の調査の過程において、各請願に盛られております趣旨を尊重の上審査いたして参ったことは、各位の御承知のことと存じます。  なお内容の概略は、各線の電化促進港湾整備の促進、灯台の設置、駅舎の設置等であります。趣旨はおおむね各位の御賛同されるものと思われますので、この際各請願について紹介議員よりの説明聴取等を省略し、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 松山義雄

    松山委員長 御異議なしと認め、これより採決に付します。  日程第一より日程第七七の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 松山義雄

    松山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なおただいま決定いたしました各請願に関する報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 松山義雄

    松山委員長 それではさよう取り計らうことにいたします。  なお各委員のお手元に配付されております陳情書等は、当委員会に参考送付されたものであります。一応御承知下さい。     —————————————
  105. 松山義雄

    松山委員長 この際お諮りいたします。明日をもって本国会は終了いたしますので、この際閉会中も委員会の運営ができますよう、閉会中の審査案件を議長に申し入れたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 松山義雄

    松山委員長 それではさように決定いたしました。  なお案件等に関しましては前国会通りにいたしたいと思いますが、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 松山義雄

    松山委員長 それではさように決定いたします。     —————————————
  108. 松山義雄

    松山委員長 それでは引き続きまして、陸運に関する調査を進めたいと思います。通告によりまして、濱野委員の質疑を許可いたします。濱野委員
  109. 濱野清吾

    ○濱野委員 管理庁から来ましたらすぐやめますから……。伊能さんにちょっとお伺いしておきます。鉄道はえ抜きの政務次官ですから、まさか前の政務次官や大臣のように、変なお答えはなさらないだろうと思います。そこで一、二点お伺いいたしたいと思います。  行政管理庁は、外郭団体等につきましては相当痛烈なる文字を使って、そして運輸省勧告を出しております。しかしわれわれは、いずれが真偽であるかはにわかに断定しがたいので、この後あらゆる資料で調査して、意見を述べようと思います。しかし、それ以外のことで一つあなたにお聞きしたいことがありますが、世間でいわれるように、すべての外郭団体が何か悪いものででもあるかのような考え方は、私としては賛成しがたいと思います。そこで私がきょうあなたにお尋ねしたいのは、むしろ今の国鉄また運輸省もあわせて、もう二つの貨物輸送に関連したる外郭団体というものを作る必要があるのじゃないか。これはどうしても、専門家であるあなたでなければわからぬ。国鉄の実際の業務を知っている方でなければわからぬのです。その一つは、交計の事務をつかさどっている第三者的な独立会社をなぜ作らないのか。こういう団体こそは、天下晴れてすみやかに作るべきである。しかも公正妥当なるものであって、貨物輸送にとってはなくてはならぬ機関なのでありますから、今の変則的な行き方を改めて、すみやかにこれを作るように指導し、さらにまた推進してもらいたい。こういう外郭団体ならば、多々ますます弁ずるものだ、こういうふうに考えます。これが一点。  もう一点は、通運事業に関連したる外郭団体をさらに一つ作るべきである。それは道路運送法の制定により、競争原理の援用のもと、今日複数制がとられています。通運事業の複数制は、言うまでもなく小さい新企業者を生み出しています。そのために、それが当るかどうかわかりませんけれども、比較的小さい資本の方々が通運事業を経営している姿においては、国鉄が貨車の使用の料金を取る場合、また支払う場合、この事業者は、それぞれ銀行等に自己の会社の固定資産等を担保に入れて、そうしてつなぎ融資なりその保証としているということが業界の一般の実情であります。そのために、その業者等の業務の将来の発展性は、残念ながら金融措置において大きく阻害されておるということは御承知であろうと思います。そこでつい三年ばかり前から、その小さい、しかも国鉄については最も大事な末端の輸送業務を取り扱うこれらの業者に対して、何とか金融関係の打開策を講じて、そして業務の発展、ひいては国鉄の輸送力の増強という方面を推進すべきではなかろうかという議論があったわけです。これについては国鉄側も相当考究しているようでありますが、管理庁あたりから出した外郭団体の文書、あるいはそれに基いた新聞等の報道に何か卑屈になって、そういう必要なものの設立については手控えているような傾向があるように看取されるわけであります。これは国鉄のためにも、私はまことに不幸なことであり、国鉄収入のプラス、マイナスを議論するならば、むしろすみやかにこれらの設立を推進して、そして大切な末端業務の安定をはかってやることが、国鉄としても、あるいは運輸省としても適切妥当なる施策ではないか、こういうふうに考えているわけですが、この二点について一つお答えを願いたいと思います。
  110. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 ただいま御指摘になりました第一段の、通運業における交互計算関係の総合機関を設けることが、国鉄と通運業者との間における作業の円滑をはかり、よってもって国有鉄道の円滑な輸送成績を上げるゆえんではないか、その点について従来交互計算組織ができていないのはおそきに失する、早急に作るべきではないかという御意見でありましたが、この点は、理論的には私御指摘の通りであろうと思います。過去におきましても、かつての国際通運時代の問題、あるいはその他の非指定の交計制度もございました。戦時中から日通の一元化の問題が起りまして、こういった問題も逐次消えて参りましたが、この点については、理論的にはまさにその通りであり、また現在は、日通を中心とした日通管理下の交計制度が存在しているようにも私は承わっておりまするが、これらの点については、現在第二段の後払い補償制度の問題とも若干関連がございますが、昭和二十四、五年ごろから通運業法の改正によりまして新しい免許業者ができ、運輸省はこれが育成に努めて参りましたが、経済市況が必ずしも好転しなかったために、御指摘のような、やや弱小の、基礎の健全でない業者も現に出ておるような状態でございますので、これらの問題についても、その基礎をできるだけ早い機会に健全化する指導方策もとらなければならぬと存じますので、それらと見合わして、また日通等との関係も見合って、この問題については急速に何らかの方針を決定したいということで研究中でございますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。私は理論的にはこういう制度が必要であるということについては異議はないのでございます。また第二段の後払い補償制度、この問題についても、すでに本委員会においても御審議をいただいたと存じますが、最近の新規免許の通運業者が従来国鉄に対して、すでに五億円に近い運賃滞納をいたしております。この点は業界の基礎が経営上の問題だけでなく、経済界の不況に影響されて若干苦しくなっておる点もあると存じます。従いましてこれらの問題については御指摘のように、会社の資産を担保に入れて銀行の支払い保証というような措置もとってもらっておりますが、これらの問題ももし自主的に後払い補償制度ができれば、その補償金、利息等は当然協会に入って、それがさらに還元されて業界安定の上に大きな貢献をする、こういう点もありますので、この点についてはでき得る限りわれわれも早くこういう制度を確立したいという考え方で、これまた目下研究中でありますので、早晩これらの点については結論が出ると考えます。
  111. 濱野清吾

    ○濱野委員 私のおそれているのは、国鉄外郭団体というような言葉が出れば、何かそこに忌まわしきものがついているのではないかという世間の一つの雰囲気をおそれて、国鉄に必要なる外郭団体を作ることも遠慮している、そういう印象を実は受けているわけであります。そこで特にこの委員会で知っている仲の伊能さんに、私は正面切って申し上げておくのでありますが、そういうことであってはいけない、五億の借金が新免業者にあるかもしらぬけれども運輸省が国策として取り上げたあの複数制の事業は全く生みっぱなしであって、しかも競争原理を援用しておきながら、それを育成していくという方途の現われはいまだかつてほとんどなかった。ですから第三者から見るならば、競争会社を作っておいて、もともと第一着手である日通というものの利害関係だけ打算して、そしてそこに公正なる競争を期待しているという状態である、こういう批評をしている人が実は多いのです。今の世の中ですからいかに国鉄の職員や運輸省の先輩連中が日通を育て上げたといういきさつがあったにしても、不公正なる措置のとれないことは私も承知しておりますが、しかしさればといって直接国鉄の業務上にもプラスになるかマイナスになるかというそろばんづくの答えが出るこの補償というような問題について、このまま放置しておくことは策の得たるものではない。借金があるじゃないか、成績が悪いのじゃないかということを責めるばかりではなしに、借金なく運営できるようなただ一つの手を打ってやるならば、滞納、後納金というようなものもおおよそ完済できるという見通しが、私どものそろばんにおいてはついているわけなのでございます。これに今日まで三年かかっている。そうして理論としては賛成であるが、実際としてはなかなか困難だとおっしゃっていらっしゃるのだが、この機会に伊能さんがちょうど次官になったのでありまして、専門的な知識と経験を持っている方でありますから、思い切ってこの問題を急速に解決することを重ねて要望いたします。これは国鉄のためにも国のためにもプラスになることでありますから、あえてお願いとは申し上げません。ぜひともこれは要望したい。  それからもう一点は交互計算のことですが、知り過ぎている伊能さん、ことに事務のよくわかっているあなたに対しては、これ以上申し上げることをはばかります。これらは何といっても中正なる交互計算会社なり、あるいはその他の機関なりを作るべきではないか、こういうものをこのままに放置しておくから、国鉄の先輩たちが日通などに因縁があるのではないかという、そういう当らざる批判を受けるのではないか、実はこういうふうに考えているわけですから、せっかく理論に賛成でありますならば、あとは資金の問題でありまして、資金の問題も苦労するならば、これは公明にして妥当なる交互計算、しかも貨物輸送について最も円滑有効に、しかも正確に運行のできるような交互機関が望ましいのでありますから、一つ勇気を出しておやりを願いたい。この点についてはなはだ失礼でありますが、もう一度理論は賛成だというごあいさつではなしにやろう、この二つの点はどこから見ましても万人ことごとく賛成しておられる外郭団体でありますから、やろうというお答えをできればお願いしたい。やってやれないことはない。何十億という金がかかるわけではない。しかもあなたの方に損をさせるわけでもない、国鉄にマイナスをかせがせるわけでもない、そういうことがわかっていてできないということは一体どういうことか、この点でありますから、はっきり伊能政務次官のお答えを願いたいと思います。
  112. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 後段の後払い補償制度の問題につきましては、おそらく濱野先生も十分御承知のことで、すでに業界においてもこれが設立についてせっかく御努力中であると存じます。一部資金の関係等において目下研究されている面もありますが、私としては対国鉄関係並びに通運業者の経営の基礎を安んじて仕事ができるというようにする意味からいっても、早急にやるべきである。また運輸省としてもまた国鉄自体も、この点に御援助することはやぶさかでない、かように明確に申し上げたいと存じます。と同時にさいぜん来外郭団体の問題がありましたが、この一協会、一会社の問題は、国鉄自体の外郭団体とかなんとかいうものではありませんで、経済の流れについた、当然こういう制度もしくは会社が作らるべき問題でありまして、国鉄と対等の関係において相互の取引の円滑をはかるというものでありますから、国鉄当局はもちろん運輸省においてもこの点に関する限りは、外郭団体整理ということにおそれて遅疑逡巡している事態でないということもはっきり申し上げたいと存じます。  また交互計算制度の問題は、御承知のように現在の流通経済における商取引に手形交換所が必要であるように、輸送取引においては隔地取引の信用を確保する意味において、交互計算制度が必要である。たまたま現在日通が従来の関係から大きな自家交互計算方式と申しますか、自分自体の計算制を持っておって一部これに加入している。これが原則的なものであるとは私ども考えませんので、これらの点につきましてはもちろん資金の問題が一番大きな問題であります。日通と対等の立場において、新しい免許業者に日通が一体となって交互計算方式を確立するということについては、おそらく国鉄、私鉄、また通運業者その他いずれの交通業界においても異議がないことと存じますので、これらの点につきましても資金その他の点についても、われわれも早急に研究をして御希望に沿うように、御趣旨を尊重した結論を出したい、かように考えておる次第であります。
  113. 濱野清吾

    ○濱野委員 外郭団体の定義は聞かなくてもよいのでありますが、やはり血の流れておるところは外郭団体と見るというのは世間の常識でありますから、申し上げたのでありますが、政務次官にこの点をはっきりしていただければ、これはなおさら頼もしい政務次官として敬意を表します。問題は交互計算にいたしましても、また後納承認にいたしましても、新免業者単独ではできない。むろん日通という大きな組織、膨大なる資本を持っておる方々でありますから、それらと協力しないとできないことはよくわかっております。しかしその協力の方法は、専門的にいえば取扱いトン数の比率によってやるということは、決してこれは無理のない仕事である。ただ理屈はわかっておるのであるが、今までの鉄道省幹部は強力にその指導をしない、これは一体どういうわけなのかというのがわれわれ不満であり、不可思議の一つの事実として見ておるわけなのであります。ただいま親切にして勇敢なる答弁を得ましたから、この点はこれ以上申し上げません。  次に行政管理庁山口さんにお尋ねいたします。行政管理庁鉄道省勧告した三十年十一月の文書の中で、日本国有鉄道経営調査の結果に基く、勧告事項の説明の第九ページでありますが、「外郭的団体」こういう言葉を使っておるのでありますが、これがわれわれ同僚の社会党の正木君あたりにも相当議論の種になっております。世間もまたかというような印象を強く受けておりまして、好ましいことではありませんけれども新聞が記事に書くものですから、そういうことになったと思います。そこで私は行政管理庁の本委員会に提出しましたこの文書によって御説明を願います。その外郭団体のうちにこういう説明があります。「国鉄には全国的に多数の外郭的団体があり、調査の結果判明した主要なものだけでも公益法人・営利法人・任意団体を併せて約一〇〇余りに達している。これらを種類別に分類すると、(I)研究費・寄附金(補助的なもの)を受領するもの、(II)図書出版(代行出版)を委任されているもの、(III)独占的に業務の請負をするもの、(IV)工事関係のもの(これには全国的なものと旧鉄道局単位のものとがある)等に分れ、多くは特権的地位を保って利益を享受しており、その内容の不当と認められるものについては、既に当庁において夫々改善方を勧告し、その後、国鉄においても改善に努力しつつある点は認められるが、まだその取扱は公正なものとは考えられない。外郭的団体に対する特権的取扱いは国有鉄道の財政に及ぼす影響が少くないと認められるのでこれが政善は強力に推進さるべきである。」役所の勧告文としては、ずいぶん思い切った書き方であります。そこでこうした思い切った勧告文を出すからには、少くとも「多くは特権的地位を保って利益を享受し」という点について、一つ具体的な説明を願いたい。これが私の質問の要旨です。さらにまた「特権的取扱いは国有鉄道の財政に及ぼす影響が少くない」——多いという意味ですね。こういう言葉を使っておるからには、ただいままで本委員会において説明されたような抽象的な問題ではなく、具体的事例を一々詳細に委員会に報告をして、この勧告文ができたゆえんを説明することは、むしろ行政管理庁としては当然の責任であると私は考えております。こうした抽象的な文字ではなく、そういうことを一々具体的事例としてあなたから御説明願えれば、国鉄のこの膨大な批判についても、公正なる批判ができ得ると思います。何にしても国のものでありますし、資産も膨大でありますから、親切丁寧に一つ御説明願いたいと思います。
  114. 山口酉

    山口説明員 外郭団体に関する私どもの申し上げました意見の内容を詳細に申せということでございます。これは数が相当ございますし、本委員会で午前中にも要求されておりますので、後に資料を提出することになっております。ただいまその個々につきまして、詳細に説明申し上げることもできませんが、およその状況を申し上げます。
  115. 濱野清吾

    ○濱野委員 答弁中ですが、およそのことは必要はない。およそのことはこの文書でわかる。私は具体的な事例をあげろ、こう言うのです。
  116. 山口酉

    山口説明員 それでは御要求によりまして具体的なことを申し上げ、御参考に供します。
  117. 濱野清吾

    ○濱野委員 私の時間はこうしておるうちにたってしまいますから……。どうも役所側がもたもたされておるのでは、私の持ち時間がなくなる。  そこで、一つ具体的に私の方から聞いていきます。将来も継続してあなたが管理庁におられるうちは聞きますから……。具体的な事例の一つとして、あなたの方の文書の中で共済組合組織の関係を言っておりますね。「共済組合物資部」、十ページの六項、「共済組合の事業である物資部の業務に約二千三百名の国鉄職員を専従せしめているが、これは、他の公社にも類例を見ない処であって、既に、共済組合に対しては、国鉄より年間約七五億円の交附金を支出しているので、これら職員は、これを国鉄から切り離し、共済組合の職員とすることが至当と考えられる。」なぜ至当と考えられるのか。七十五億円の交付金というものはどういう性質のものだと考えて、あなたはこういう文書を書いたのか。「なお共済組合の物資については、運賃八割引を実施しているが、昭和二十九年度、物資部決算書から算定すれば、この割引額は約一億円に相当する。」これは毎年毎年やるとすれば非常な金になります。こういうように書いたあなたの解釈について責任ある御答弁を願いたい。
  118. 山口酉

    山口説明員 共済組合の物資部の関係は、これは国鉄共済組合の制度の中では、国家公務員に適用されております共済組合の制度を準用されておるものでございますが、本来共済組合制度の当然の業務ではございませんので、これらの業務につきましては共済組合法の組合の事務費について負担をする金額には該当しないものであると解釈いたしておるのでございます。そこで共済組合がこれらの特別の事業をいたすものにつきましては、共済組合自体の力で実施するのが適当であって、共済組合法の精神で、その職員の経費を持ってやるということは、共済組合の制度の中からは出てこないと思われるのでございます。従って国鉄の職員が専従しておる場合には、その経費を今のような国鉄職員という形で国鉄の負担で出すことは適当でなく、当然共済組合がこういう付帯的な業務をしてもいいかと存じます。これは妥当かどうかという問題は別といたしまして、共済組合の事業としてかような業務をやることに組合自体がきめられておるわけでありますから、それが認められるとすればこれは組合の経費で実施すべきであり、それに専従する職員は組合の職員としてやるのが至当であろう、こういうことでございます。  約七十五億の交付金という問題は、これは組合の運営について職員側と国または公共企業体側から出します分担のものでございますが、これは本来の組合の給付活動に必要な資金となるわけでございます。従来の組合の実績から申しますと、現在の状態はかような交付金を基礎といたしまして年々ある程度の資産がふえて参りまして、それで他の団体に対する投資が行われておる。また一面では、いろいろの厚生事務のための国鉄側に対する貸付もいたしておりますが、そういう貸付の方面につきましては当然の業務かとも考えられますが、財政が非常に潤沢であるという状況でございますので、実は物資部のような仕事をやっておりますと、その方面のある程度のマージンを見るということでもある程度運用はできますし、一般の財政状態から見ましてもかなり余裕があるような状況でございますので、そういう意味でこれは共済組合の負担とし得るのじゃなかろうか、事実そういう力があるのじゃなかろうかと判断しておるわけでございます。  それから運賃の八割引につきましては、全部八割引でなしに、違ったものもあるようでございますけれども、これが物資部の運営上相当有利になることと存じます。こういう問題もございますので、それから考えて国鉄職員としての取扱いは切り離すことが至当であろうというふうに考えたわけでございます。
  119. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと山口さんのおっしゃるのは、これだけの人間は法に定めただけの事務であって、物資部に専従する職員は組合の職員とすべきた、こういうふうな御説明でありますが、しからば国鉄の給付その他の問題について、法に許された事務の費用は幾らぐらい出せばいいのか、また二千三百名が不当だと言うのなら、幾人ぐらいが至当なのか、行政管理庁の方で目安がなければこの文章は書けないはずですが、どういう目安をお持ちですか、お答えを願いたいと思います。
  120. 山口酉

    山口説明員 二千三百名というこの計算は、物資部の関係に専従しておるものでございまして、そのほかの業務について職員局の厚生課あたりでやっておりますものとか、国の共済組合などにつきましても、俸給の差引をやるとかいうようなことは、大体本来の業務を持ちながら兼務的にやっております。さような者は入っていない計算でございまして、物資部だけの純粋の専従者を申し上げておりますから、これは全部が大体切り離すべきものであろうと考えております。
  121. 濱野清吾

    ○濱野委員 法の六十九条第一項、第二項のこれらに要する費用であるか、あるいは従業員であるか、これらの算定をあなたの方で大体してみてのお話ですか。他の事業団体といいますけれども国鉄ぐらい大きな組織を持ち、職員をかかえておるものと普通の官庁と比較すると、大へんな間違いができると思うのですが、これらの点を検討してのお話ですか。
  122. 山口酉

    山口説明員 六十九条の一項、二項の業務に携わっておりますものは、これは当然事務費の中に加算さるべきものかと存じます。物資部の仕事はその一項、二項の仕事ではないということで、その中には入らないと考えております。
  123. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますとこの割引額は約一億に達する、この運賃八割引は不当である、こういう考え方ですか。
  124. 山口酉

    山口説明員 運賃の八割引につきましては、これは内容によりまして全部が全然割引をすることが悪いというような結論までには達しておりません。その品種などによりましてあるいは意見があろうかと存じまして、その点についての検討はしておりませんけれども、しかし八割引というと大きな割引でございますので、これによってかなりの実質的な負担軽減と申しますか、利益が得られる、こういうことを参照して、この問題については考えるべきであろう、こういうことでございます。
  125. 濱野清吾

    ○濱野委員 私はそうしたことによって利益を得られるとか得られないとかいうことは、別だと思うのです。共済組合の活動について、共済組合の事務について、そうした国有鉄道というものの割引利用ということが許されるかどうかということを、管理庁としてはお調べになるのが妥当だと思う。この団体が非常に財政が豊富だから——大体国鉄の共済組合は非常に金持ちの場合もあるし、貧乏の場合もあった。今の現実の姿で、そういう金持ちで、財政が豊かだから云々というような行き方は妥当を欠く。こうした行き方が客観的に見て公正妥当であるかどうかという見解を、私はあなたからお聞きしたい。そういう見解がなければ、いやしくも役所が役所に勧告をする行き方としては、私は少々強い書き方だろうと思う。
  126. 山口酉

    山口説明員 全般的にはこの八割引というのは妥当でない、公正な取扱いとは認められないという考え方でございます。
  127. 濱野清吾

    ○濱野委員 どうして公正でないか、その点を鮮明にせられたい。
  128. 山口酉

    山口説明員 どうしてという内容につきましての検討、これを詳細に申し上げることはむずかしいし、またそういうことについての見方は、ある程度常識的な判断でございますが、国鉄の運賃八割引ということにつきましては、実は生活物資でありますと、薪炭でありますとか、非常に運賃比率の大きいものがございまして、炭などの問題につきましては、かなりこれが大量に取り扱われますために、薪炭業者などにも影響を及ぼしておるという実情があるのでございます。そういう方面からのいろいろの意見もございますし、公正なる取引関係におきましても、この種の割引率というものは妥当なものではないという判断をいたしたのであります。
  129. 濱野清吾

    ○濱野委員 そうしますと、社会にある事業者という立場から立って、共済組合の購買部がそういうような運賃の大幅の割引をもってやることは妥当でない、こういうふうなお考えですか。
  130. 山口酉

    山口説明員 重ねて申し上げますが、やはり国鉄に関しましては、これは私鉄などと違いまして、全国民に対して国の提供するサービス機関でございますので、こういう特殊の取扱いが、一般の業者にある種の打撃を与えるというようなことが考えられる取扱いというものは、妥当なものでないという判断でございます。
  131. 濱野清吾

    ○濱野委員 それ以外に何か組合運営に関係しました法令違反であるとか、不当であるとかいう見解を持って出したということではございませんで、政治的な立場から見ても、あるいは社会公平の立場から見ても、それは穏当を欠くという意味でこういう記述をなされた、こういうのでございましょうか。この共済組合の国家公務員共済組合法の法の精神から見て、それはけしからぬことだ、こういうようなことは考えることなく、ただいまあなたのおっしゃるような意味で不当である、不穏当である、こういうふうに考たえわけでございますか。
  132. 山口酉

    山口説明員 組合法の精神というものをむろん頭に置いてでございますが、物資部のような業務をやることが、組合の事業として果して違法であるかどうかということに関しましては、一応研究いたしましたけれども、これは違法であるというまでのことは言えないのではないかと考えておるわけでございます。それで取扱いといたしまして、本来のものでございませんので、これはやはりその力によってやられるならばけっこうであるけれども国鉄側に特殊の負担をかけるというようなことになりますとやはり再考すべきものである、かような観点でございます。
  133. 濱野清吾

    ○濱野委員 この文書の中で、共済組合物資部から見て、三行目に、「既に、共済組合に対しては、国鉄より年間約七五億円の交附金を支出しているので、これら職員は、これを国鉄から切り離し、」と書いてありますね。こういう書き方は穏当を欠く書き方ではないか。これは当然法令によって支給すべき七十五億円であって、それが事務費に使われたり、物資部の費用に使われたりしていないことは、明らかだと思うのでありますが、何か七十五億円の中に物資部に関連したり、その他に支出するような金額を含んでおるような書き方であります。これをただ文理的に解釈すれば、そういうふうにわれわれは解釈できるのであります。これはどういうことなんですか。われわれの解釈では、法の規定による七十五億は当然出す義務がある。それで支出しておるのだ、物資部やその他の問題には何ら関係がない、こいうふうに了解しておるのですが、私の了解は間違っておりますか、それともあなたのこの書き方が穏当と認めますか。
  134. 山口酉

    山口説明員 これはお話のように多少誤解を招くような表現と私も存じておるのですが、実は先ほどちょっと申し上げましたが、七十五億というのを出すというのは別に不当なことではございません。当然出すべきものでございますので、こういうふうな負担というものは、やはり共済組合の業務の運営のために当然出すべきものであるけれども、非常な多額のものが出されておる。こういうものが国鉄の今の財政力というようなものから見まして、七十五億というものは非常に大きいものであることは間違いないと思います。そういう点で国鉄としても十分本来尽すべきものでありますけれども、尽しておるそのほかに、さらに一般のその他の共済組合に対する雇用者側と申しますか、政府側あるいは公共企業体側で負担しておる以上の負担をやっておるのだ、こういうことの表現のために使ったのでございます。あるいは舌足らずの文章だったという御批判はあるかもしれません。
  135. 濱野清吾

    ○濱野委員 山口さん、そういうお答えは無理でしょう。この文章をずっと読んでみますと、七十五億円を出してやっておるのだ、その上二千三百名という国鉄の職員を物資の購入とか配給とか食堂の経営等に専従せしめているが、これは他の公社にも類例を児ないところであって、すでに共済組合に対しては国鉄より年額七十五億の交付金を支出しているので、こういう書き方ではあなたのただいま説明しているような解釈にはならないでしょう。どうですか、この点は一つ謙虚に考えてみようじゃありませんか。お互いに公けの仕事に携わっているのですが、私はこの書き方をあなたの説明のように印象づけようとするならば、あなたの説明をあらためて書き直さなければできぬことであって、われわれはこれをこのまま見るならば、国鉄というものはいかにも変なことをやっている役所であるという印象を強く受けるわけです。これはどういうことなんですか。
  136. 山口酉

    山口説明員 これはお話の通りで、少し文章をすらっと読みかえてみますと、やはり何か物資の購入や配給、食堂の経営などにこれを出しておるのだというふうに、あるいは誤解されはしないかという気がいたしておるので、私もこれは適当な表現でないと考えております。
  137. 松山義雄

    松山委員長 濱野君、持ち時間がずいぶん超過しております。
  138. 濱野清吾

    ○濱野委員 こういうことを役所同士でやって、役所のためにも国のためにもならぬことですね。これは山口さんそれでなくても外郭団体というものは変なふうに疑いを持たれて、国鉄も迷惑しておるし、議会人であるわれわれも迷惑しておる。お互いが迷惑なんです。何の利益にもならないことを堂々と行政管理庁勧告として打ち出して、これはちょっとおかしかったで済むものではないでしょう。あなたの方の役所の性質は大体行政管理庁なんですからね。これはあなたの方の重大な過失だということをお認めになってしかるべきだと思うのだが、これはどうですか、お認めになりますか。はなはだ追い打ちをして済まぬようであるが、これは謙虚な気持でお認めになったがよろしい。
  139. 山口酉

    山口説明員 文章の点でございますが、今申し上げました趣旨はそういうことで、私どもの申しておるような意味にもやはりとれるものであるとは思っております。しかし非常に短かい文章に書いてございますので、相当長く説明をいたしますれば明瞭でございますけれども、共済組合に対する負担金などがどのくらい出ておるかということも、この短かい中に突っ込もうとしたところに無理があったと存じております。お話のように、これは表現としてはなはだ適当でなかったということを認めております。
  140. 濱野清吾

    ○濱野委員 私は意地悪くあなたに言うのじゃありませんけれども、法律上の交付金というようなことを書くのは何でもないのですよ、四つか五つの文字を使えばこれは表現できるのですから。あなたの方の係の方は率直にそういうふうに考えておって、そのままこの文章を書いたに違いない、私はそう考えているのです。だからあなたの方で重大な過失であったと認めても、私は決して遠慮するには及ばぬと思うのです。というのは、あなたの方の役所が行政管理庁でなければよろしい。しかしあなたの方は行政管理庁という特別な役所だ。人の頭をたたいておいて、人に変な迷惑をかける文章をむやみに勧告の名において発して、そしてこれはどうも適当でなかったというような行き方なのでは、それこそ当を得ない、それこそ不都合だと私は思うので、山口さん、これ以上私申し上げてもいけませんけれども、あなたの方の文章には真実をうがっている点も多々あります。これは国鉄経営の面において、あるいは減価償却の面において、われわれの計算によると、またわれわれの考え方によると、いろいろ意見のあるところもございます。しかしながらあなたの方のこの調書につきましても、ただいまやったような行き方で相当大きな過失があるのじゃないか。私は行政管理庁という特殊な役所の事務としては、もう少し慎重な態度をとってしかるべきものではないかと思うのです。実はあなた方のこうした重大な過失を、しかも他の役所に迷惑をかけるまことに不都合なこの勧告案についてもっと聞きたいのでありますけれども、三十分でありますから、ここで一つだけ例にとっておきまして——多々ありますよ、山口さん驚いちゃいけませんよ、あなたの方の威勢のよい執筆は、非常に大きな誤まりのあることを私は指摘しておきます。  委員長、いずれまた後ほどの委員会で継続いたします。
  141. 松山義雄

    松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後二時四十五分散会      ————◇—————