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1955-05-11 第22回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十一日(水曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            佐藤清一郎君            堀  末治君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            田村 文吉君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            久保  等君            湯山  勇君            深川タマヱ君            武藤 常介君   政府委員    外務省経済局長 湯川 盛夫君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    通商産業大臣官    房会計課長   出雲井正雄君    通商産業省通商    局長      板垣  修君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      斎藤 正年君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これから委員会を開きます。  本日は、重要産業政策と、それから貿易振興対策について御審議を願う予定にしております。最初に、貿易振興対策について通商産業省外務省当局から一応説明を聞いて、それから御質問なりお願いしたいと思います。まず、通商産業省通商局長板垣さんにお願いしたいと存じます。
  3. 板垣修

    政府委員板垣修君) 私から通産省通商局で考えておりまする本年度の貿易振興対策につきまして、概略を御説明いたしたいと思います。  資料を三、四配ってございまするが、資料を離れまして概括的な考え方を取りまとめてお話を申し上げたいと存じます。  御承知のように、昨年度の日本輸出予想外に伸びまして、為替受け取りで十六億ドル、通関統計によりますると十七億ドルという大きな数字になっておるのでありまするが、本年度の貿易の方針といたしましては、いろいろな内外の事情にかんがみまして、第一には、昨年相当輸出振興輸出増進のささえになったと言われておりまする人為的な貿易施策を逐次廃止をして行きたいということが一つ、それから世界的な貿易自由化の潮流に従いまして、日本の実情からいって急速にこれに追随することはできませんけれども、漸進的にでも、これに態勢を添うように持って行きたいというような二つの基本的な考え方のもとに、今後貿易を振興して行きたいというふうに考えております。そういたしますと、一時的には貿易が従来のようなペースで伸びるということは困難になるかもしれません。そういう点も考慮に入れまして、ますます通常の一般的な貿易振興政策のほうを強化して行かなければならない、こういうふうな考え方でおります。従って本年度の貿易輸出の目標といたしましては、大体通産省事務当局といたしましては、十六億二千万ドル見当というところを最低の目標として設定いたしております。今後努力次第によりまして、これ以上ますますふやしたいのでありまするが、一応の最低の目標といたしまして十六億二千万ドルということにいたしたい、大体昨年の横すべりというところを維持できたらいいのじゃないかというふうな考え方でおります。それで、ただ先ほど申しましたように、人為的な貿易施策をやめまするので、それの補いといたしまして、これにかわる一般的な通商策を進めて行かなければならない、そのために本年度は相当額予算を要求いたしておる次第でございます。今後貿易を振興して行きます上におきまして、私どもの考えておりまする点は三つあると思うのであります。第一には、海外の市場の維持及び開拓という点が第一点、第二点には、日本商品国際競争力をさらに強化して行くという点が第二点、第三点といたしましては、国内における輸出取引態勢を整備いたしまして、過剰競争を防止するという点、この三つが大体今後のわれわれとしましてとるべき貿易政策中心点ではないかと考えております。この三つを推進して行きますためには、日本の全般の産業経済政策を総合的にとって行かなければできないわけでありまして、このうちで、通商局として通商施策として実施し得る面につきまして本日御説明申し上げたいと存じます。  第一の海外市場の維持、開拓という面につきましては、これもまず基本的には経済外交の推進ということが非常に重要なことでございまして、今後日本のおかれました現状におきましては、この経済外交の面で日本輸出の隘路になっている点を打開しなければならぬ点が非常に多いわけであります。この点につきましては、後ほど外務省経済局長から御説明があると思いますので、忍はこれは省略をいたしたいと存じます。それで通産省として考えておりまする第一の点は、従来ともやっておりましたが、何といたしましても海外の市場の調査ということが不十分でございます。従いまして、この点につきまして本年度は相当額予算を要求いたしまして、この海外市場の調査という方面に努力をいたしたいと存じます。第一には、海外貿易振興会というものを中心といたしまして、ここに補助額を増額いたしまして、このジェトロを通ずる海外市場の調査をさらに強化したいというふうに考えております。第二に、在外公館にもう少し通商の専門家を増置いたしまして、役所の面といたしましても、海外市場の調査の方面に力を入れたいと考えております。それからその次には、海外に対する日本の商品のまあ宣伝紹介、こういう点は従来ともやっておりますが、今年はさらに飛躍的に強化いたしたいというふうに考えております。それの第一といたしましては、海外見本市に対する、従来とも参加しておりましたが、今年度は大体八カ所ばかり参加をしたいというふうに考えております。従来よりも補助額を多くいたしまして、規模などもさらに大きくしたいというふうに考えております。それから本年度、実現はまあ来年度になると思いまするが、今年私どもが考えた一つの特色的な方策といたしましては、アメリカ一流百貨店と提携をいたしまして、そこで日本品展示会を開きたいというふうに考えて、いま計画を進めております。ただいまニューヨークメーシーの副社長が日本に来ておりまして、この予備調査をやっておりますが、これは単に日本に現在あるものを買って行くというだけじゃなくて、日本の商品、主として雑貨になると思いますが、そういうもので、アメリカで売れそうなものを選択いたしまして、さらにこれにつきまして、品質なり、デザインの点でいろいろと注文をつける、アメリカ人にアッピールするような意匠の改善なり、品質の向上を指導してもらいまして、その製品をアメリカ百貨店が買い上げて行って、ニューヨークでそれを展示して即売をするという方式で、これは一昨年イタリアメーシーとともにやりまして非常な成績をあげたのであります。この方式を日本でとれないかということで、ただいまメーシーと相談中でございます。で、メーシー側も非常に乗り気でありますが、これもやる以上は成功させなくちゃならぬというので、非常に慎重な準備行動をとっておりますので、大体結論を出すのは今年の秋、それでいよいよやれることになりますれば、開催は来年度になると思いますが、そのための予算を本年度要求いたしております。これが成功いたしますと、将来の日本の雑貨の対米輸出に大きな道が開けるのじゃないかと考えております。それからその次には、一般的な広報宣伝でありますが、これはもちろん従来やっておりましたが、何分経費の関係上、非常にこういう方面の日本の努力が不足でございます。本年度はこの点につきまして相当額増額いたしてもらいまして、この広報宣伝という面にも力を入れたいというふうに考えております。従来の雑誌、新聞等の広告以外に、テレビジョン、映画の作成、こういうふうな方面にも力を入れたいというふうに考えております。  それから第二の問題は、日本商品国際競争力の培養の問題でございまして、これは言うまでもなく、今後世界的な貿易自由化の潮流にもかんがみ、また日本といたしましては人為的な貿易施策をやめていくという方針からみますと、ますます日本商品国際競争が激化いたしますので、日本商品コスト切り下げということが非常に大事だと思います。従いまして、今後一般的な物価の引き下げと相伴いまして、さらに基本的には輸出産業コスト切り下げという方面に力を入れなくちゃならないと思います。この点につきましては、産業政策の基本問題でございますので、一応私の所管外でございますが、ただいま通産省といたしましても、この輸出産業並びにその基幹になる基礎産業の強化、合理化という点につきましても全般的な産業政策を進めております。これと伴いまして、通商局といたしましては、その他の面におきまして日本商品国際競争力助長培養という点につきまして、できる限りの通商施策をやりたいというふうに考えております。そのために考えておりまする第一の点は、繊維雑貨類につきましては、どうしてもこれはコスト切り下げよりも、意匠の改善、品質の向上という点が重要でございますので、この点につきまして本年度は力を入れたいというふうに考えまして、多少の予算を御要求いたしておる次第でございます。で、デザインにつきましては、意匠改善費を多少設けまして、これによって予算の許す限りにおいて、日本からデザイン研究者アメリカないしフランスあたりに派遣いたしまして、これが比較的短期間のうちに意匠などを研究して帰ってきて、その研究したことを公開をする、それから関係団体関係業者を指導するという行き方でいっております。こういう方面の経費が今後だんだんふえて参りますれば、そういう方面の道をだんだん拡大して参りたいと思います。元来意匠の改善ということは業界自体がやるべきことでありますが、こういう雑貨類につきましては、主として中小企業の産品が多うございますので、企業自体負担力がない、そういう関係で、当分の間政府の援助でもってこういう方面を進めて行かなければならぬというふうに考えておる次第でございます。それから第二の問題といたしましては、プラント輸出の問題でございますが、昨年いわゆる人為的対策の最も大きな恩恵を受けたのはプラント類輸出でございました。これが本年度以降廃止をいたしましたので、今後プラント類が自由に、円滑に出るかどうかという点が一番重要な問題でございます。従いまして、プラントの対策につきましては、私ども一番苦心いたしておるところであります。しかし基本的には、もちろん産業の合理化によるコスト切り下げというところにもう少し竿頭一歩を進めなければならぬわけでありますが、これには多少時間もかかりますので、そのつなぎといたしまして、通商政策として、できるだけのことはやりたいと考えております。第一には、プラント輸出金融面から助けている輸出入銀行資金源の確保ということであります。これは私ども期待したほどたくさん取れませぬでしたが、大体財政投融資から二百二十億というものを確保いたしました。また協調融資率も、現在よりも上げ得るようにいま大蔵省と話をしております。この点でプラント輸出者の金利の面で相当助けになるというふうに考えております。それからプラント輸出につきましては、輸出代金保険というものがございます。これにつきましても、最近料率を引き下げることを決定いたしました。この点で多少プラント輸出者の負担が軽減される、ひいてはブラント輸出コスト引き下げに役立つというふうに考えております。それから第三には、現在あります重機械技術相談室というものを拡充いたしまして、この運営を強化して、この面から間接的にはプラント輸出の振興に資したいということで、本年度予算の増額を要求いたしておる次第でございます。その他これに伴いまして、予算には関係ございませんが、輸出プラント用の原材料の安定した低価格の供給の確保という問題もございます。この点は行政的にいろいろ対策を今研究しております。それから過剰競争防止のための共同の受注態勢というものを整備する必要がございますので、この点も行政指導を研究中でございます。  それから輸出振興の第三の問題として、私ども重要視しておりますのが、国内の取引態勢の整備ということであります。御承知のように、昨年最も顕著に現われたのでございますが、国内の輸出業者なり、あるいは場合によってはメーカー過剰競争のために不当に安値に輸出しているということで、数量的にはふえても金額的には手取りが少いという実例が顕著なのでございます。しかも、そのために外国からの非常な非難を受け、外国からも、もう少し高くても安定した値段なら買えるのだが、日本はますます値段の引き下げ競争をやって外国の業者にも不測の損害を与えているという非難が多いのでありまして、こういう情勢にかんがみまして、どうしても過剰競争防止のために国内取引態勢を整備することが最も重要になって参ります。これによりまして、私どもといたしましては、昨年の九月から輸出入取引審議会にも諮問をいたしまして、現行の輸出入取引態勢取引をさらに改正いたしまして、この運営を強化したいということを考えております。これにつきましては、ただいま法案を準備中でございますので、近い機会に国会に提案される運びとなろうと思います。  改正の要点といたしましては、第一には、従来輸出業者間の協定締結の自由が非常に狭い範囲に限られていたのでありますが、今後はおよそ輸出入取引態勢取引の秩序の維持のために、対外の場合に輸出業者協定が結べるというふうに拡大をいたしたいと考えております。それから輸出業者間の協定だけで不充分の場合、どうしても国内取引の面でも何らかの協定を結ばなければうまく取引態勢が整備できない場合には、通産大臣の認可を得て国内取引に対する協定も結び得るというようにしたらどうか、さらに条件は限定されるかもしれませんが、場合によってはメーカー協定も結び得るというふうにいたしたいというふうに考えております。先ほど申しました中で、特に輸出業者対外取引の面につきましては、従来のように認可ということでなしに、届出だけで結べる、これが非常に不当なことがありますれば、あとで政府がこれを取り消し、あるいは変更ということはできまするけれども、一応締結は届出だけで効力を発するというふうに、自由にいたしたいというふうに考えております。それから第二の点といたしましては、アウトサイダーの問題であります。現行でも、ある場合によってはアウトサイダーの規制を通産大臣ができるということになっておりますが、非常に条件が狭いので、この点につきましては今後相当自由を拡げまして、輸出取引の秩序の維持のためには、アウトサイダーの規制を相当範囲やれるというふうに拡大したい、これによって輸出業者取引秩序を確立いたしたいというふうに考えております。こういう法律の改正によりまして、一応態勢として過剰競争を防止するというふうにいたして行きたいと考えておりますが、要するに法律の改正だけではできませんで、業者自体の自主的な運営によりまして、心がまえによりまして、過剰競争を防止することが肝要になって参ると思うのであります。これにつきましては、通産省としても業界の施策を今後進めて行きたいと考えております。それから第三の点といたしましては、貿易商社の強化の問題でありますが、御承知のように現在、戦後非常に弱体、細分化された貿易商社が乱立しておる。その結果が貿易競争を誘発して来ると思うのです。どうしても貿易競争を防止する必要があると思います。これにはどうしても資本力が充実することが必要なんでありますが、現在のような焦げつき資産をどうするかという根本問題がありますので、この点については、政府の最高のところで研究中でありますので、それ以外の面につきましては、できるだけ商社資本力が充実し得るような措置をやって行きたい、たとえば税制上の優遇というふうな面で、資本力の蓄積ができるような施策をやりたいというふうに現在研究中でございます。それから商社の統合というようなことにつきましても、これも政府が統合せよという命令はできませんが、こういう機運が徐徐に起りつつありますし、またこういう機運が譲成せられるように私どもも行政指導をやって行きたいと考えております。それから海外における活動分野の調整の点につきましては、現在各地に非常に商社の支店が出ておるのでありますが、御承知のように、パキスタンなどは非常に多数の商社の支店が出て、無益な競争をしておるので、在外公館の設置についても、ある程度の基準を設けて、できるだけ世界的に支店活動の調整というものをやって行きたいというふうに研究いたしているのでございます。これに伴いまして、現在御承知のように為替管理法及び貿易管理法がございまして、非常に商社の活動が制約されておるのです。基本的には、日本の現状からして根本的に緩和することは困難でありますが、その範囲内においては、できる限り商社の機能が正常化するように、漸次できる限り自由化したいと考えておりまして、ただいまいろいろと研究中でございますが、今までのところきまりましたのは、たとえば外貨預託制度、この運用によりまして、商社海外支店がもう少し自由に商取引できるというふうにしたいと、最近その措置を完了しました。行く行くは商社外貨保有制度を研究いたしたいと考えております。他面国内の為替手続きあるいは貿易手続きについても、できる限り事務手続きを簡素化して、商社活動がもう少し機動的にできるように研究いたしております。外貨予算運営の面につきましても、現在の六カ月予算をできるだけ利用いたしまして、この六カ月予算の範囲内において、もう少し機動的に外貨予算を運営いたしまして、商機を逸しないように商売ができるというふうに、事務的の面も運営の面で改善をして行きたいと研究いたしております。  大体ただいま申しましたように、海外市場の維持、開拓、それから国際競争力の培養、国内取引の態勢、大体この三つの点を中心といたしまして、今後貿易政策を推進して行きたいと存じます。本年度の御要求いたしました貿易振興予算の関係では、主として第一、第二、ことに第一の市場開拓という面で、予算的には一番関係が深いので、大体予算の八割以上は、この海外市場の維持、開拓という面の費用が占めておる次第でございます。一応簡単にお答えいたします。御質問によりお答えいたします。
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 次に、外務省湯川経済局長から御説明を願います。
  5. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) まず簡単に世界経済における日本の立場を述べさしていただきまして、それから外務省の考えております対外経済政策を御説明申し上げたいと思います。  世界先進国はいずれも戦後の混乱期を脱して、安定した経済へと着実な足どりを示して来ましたが、この経済健全化の背景として、世界主要国では各種の障害を克服して、貿易及び為替制限緩和交換制等差別関税緩和ないし廃止貿易に対する特別の助成措置廃止といった自由貿易態勢によって、世界貿易拡大に一歩々々近づく努力を続けております。しこうして各国ともそれぞれの特殊事情があるために、この貿易自由化の足並みは一様ではなく、その間かなりの曲折は免れませんが、結局世界全体としては、次第に自由化の方向に進むことは疑いのないところであります。こういう情勢下におきまして、日本といたしましても、この大きな潮流からはずれて、自由化への努力を怠れば、世界経済から孤立することとなると思います。しかしながら、わが国貿易は、西欧諸国相互貿易比重が非常に多いのに比べて、東南アジア、中南米等自由化の遅れている国との貿易に大きな比重をかけており、先進国から来る自由化潮流後進国との間には、きわめてきびしい試練にさらされているのが現状であります。しかも、わが国輸出輸入とも貿易に対する依存率が高い上に、日本経済基盤自身が必ずしも強くないため、諸外国景気変動通商政策変更といった影響を敏感に受けやすいと思いますので、日本経済外交政策は、相当時宜に応じた弾力性を持つことを要請されても、必ずしも画一的にはなり得ないと思うのであります。相当こうしたことから、各国別についても考慮を払わなければなりませんが、第一に、この通商政策として非常に力を入れておりますのは貿易協定及び支払協定維持締結であります。戦後相当たくさんの貿易協定が、取りきめができましたが、ただいま貿易取りきめのあります国はアルゼンチンペルーウルグァイブラジルビルマパキスタンセイロンタイフィリピン韓国中国、これは国民政府であります。インドネシアフランス連合、これはインドシナ三国を含んでおります。西ドイツスエーデンイタリアスペインフィンランドベルギーオランダシリアエチオピアトルコギリシャ、こういうふうにたくさんに上っております。一方支払取りきめの方は、アルゼンチンペルーウルグァイブラジルスターリング地域、これは非常に大きな支払取りきめで、英本国英植民地、濠州、ビルマセイロンインド、イラク、アイルランド、パキスタン、ニュージーランド、南阿連邦等をカバーしております。それからタイフィリピン韓国中国国民政府であります。インドネシアフランス連合西ドイツスエーデンイタリアスペインフィンランドベルギーオランダシリアエチオピアトルコギリシャ、こういった国と支払取りきめを結んでおります。これは短かいものは期間が一年、長いものは数年、あるいは新しい取りきめができるまでになっておりますが、こういった取りきめの更新あるいは新しい取りきめといったもので、常時数国とのこういう協定の交渉が絶えず行われております。  次に、これはまあ両国の貿易支払いをば調整するときの協定でありますが、さらに基本的には各国との間の相当恒久的な通商経済関係を規律するために通商航海条約諦結努力しております。現在新しい通商条約ができたり、あるいは戦前通商航海条約が復活されたりいたしまして、通商航海条約ないしはそれに似た取りきめというもののある国は、アメリカ合衆国、アルゼンチンウルグァイオランダ西ドイツ、デンマーク、スエーデン、スイス、フィンランドギリシャ、 ユーゴスラビア、トルコ、アフガニスタン、タイインドインドはこれは平和条約の第二条でかなりの程度に通商航海条約的なものをきめておりす。中国国民政府であります。こういったところとは現在戦後新しく通商航海条約を結ぶか、あるいは戦前のものが復活されて、一応通商航海条約ないし通商航海条約的なものが存在しております。それから現に通商航海条約締結を交渉中の国はチリー、キューバ、ドミニカ、イタリア、オーストリア、ノルウェー、スペインセイロン、そういった国々であります。そのほか近くこういった交渉を始めたいと思って準備中の国が、イギリスを初め相当多数ございます。私どもとしては、これらの国は戦前いずれも通商航海条約があった国でありますし、戦後廃止されたものはなるべくすみやかに復活し、また戦後新しく興った国ともできるだけ早く通商航海条約を作って、相互の関係をできるだけ早く恒久的な関係に、基礎に置くようにしたいと思っております。  第三に努力しておりますことは、戦後たくさんにできましたいろいろの国際経済機関に早く加入をして、そうしてその機関の中で日本にふさわしい地位を獲得するということであります。現在これはおおむねおもなものには入ったのでありますが、現在入っておる国際経済機関のおもなものを読み上げますと、国際通貨基金、国際復興開発銀行、食糧農業機関、FAOと呼ばれるものであります。アジア極東委員会、これはこの間東京で総会のありましたエカフェであります。国際小麦協定、国際砂糖協定、国際すず研究会、国際小麦研究会、国際羊毛研究会、国際綿花諮問委員会、それに関税及び貿易に関する一般協定、ガットという機関がございますが、これについては御承知のように現在は仮加入いたしておりますが、近く正式加入をいたしたいと思って、目下せっかく準備中であります。こういった貿易協定支払協定締結改善通商航海条約締結、国際経済機構に対する加盟、参加、そういったことが一番の大きな点でありますが、こういうことに関連しまして、さらに国際的な技術交流、特に国連あるいはコロンボ計画等を中心として行われております技術援助、こういったものには大いに協力したいと思っております。また海外市場開拓ということについては、先ほど通産省通商局長からお話がありましたが、海外視察団の派遣あるいはそういった視察団が外国から来た場合の応待というようなことも一つの力を入れている問題であります。昨年は中近東方面に二回にわたって貿易視察団を派遣し、またアフリカにも、これは旅商団でありますが、派遣して、相当の効果を挙げたようであります。海外宣伝活動ということもこの大事な分野と思いますが、これについては国際見本市の開催あるいは海外市場調査会等を中心とする貿易駐在員の派遣、設置、さらにもう少し一般的になりますが、海外向け広報宣伝活動強化といったようなことを考えております。  簡単でございますが、一応一般的な御説明を終ります。
  6. 館哲二

    委員長館哲二君) 貿易振興対策につきまして、何か御質問でもありましたらどうぞ。
  7. 中山福藏

    ○中山福藏君 ちょっと外務省の方にお尋ねしたいのですが、現在都道府県からいわゆる貿易視察団がしばしば派遣されておるのですが、あれは外務省あるいは通産省と連絡をとって、何らかそこにこの視察について事前に打ち合せがあって行かれるのですか、また単独に都道府県がやっているものか、これは単独にやっておるとすれば、効果価値があまり上らないのじゃないかという気もするのですが、その間どういうふうになっておるのでしょうか、ちょっとお尋ねしたい。
  8. 板垣修

    政府委員板垣修君) 都道府県から出ております視察団につきまして私の承知する限りでは、あまり通産省には連絡がないように存じます。私昨年まで香港におりましたころ、受け入れ側の方からの経験から申しますと、やはり東京において通産省ないし外務省とは連絡ないと見えまして、直接私のところ、領事館の方に電報が来ておるというような事情から見ますると、おそらく中央の省とは関係なく出ているのじゃないかというふうに考えます。これの効果の問題につきまして、私香港、台湾方面での経験でございまするが、非常に効果を上げているのもありますが、やはり漫然たる視察旅行団というのもまま見受けられますので、今後そういうものの派遣につきましては多少検討を要するのじゃないかというふうに考えております。
  9. 中山福藏

    ○中山福藏君 これは多少どころじゃない、大いに研究を要すると私は考えております。これは金のむだづかいが多いのじゃないかと思うのです。だから本省と直ちに都道府県の連絡をおとりになりまして、やはり金の二重づかいをしないような方法を一つ検討していただきたい、こう思うのです。  次に外務省の方にお尋ねしておくのですが、通商航海条約締結ということを今おっしゃっておりますが、その戦前のものの復活とか何とかは別として、現在通商航海条約の談議がどれくらいに進んでおるか、現在継続中のものがどれくらいあるか、またこれから今年中に期待できるものがどれくらいあるか、締結が完了するという期待が持てるものが今年中のものが幾らくらいあるか、それをちょっとお示しを願いたい。
  10. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) お答えいたします。現在交渉中のものは、チリ、ペルー、ドミニカ、キューバ、イタリア、ノルウェー、ユーゴスラビア、パキスタンセイロン、それだけであります。いつまでにできるかという点につきましては、できるだけ早く作りたいと思っておりますのですが、なかなか通商航海条約の方は、普通の貿易協定支払協定に比べて時間をとりますので、たとえばこの中でもイタリア通商航海条約などはここ二、三年まだ交渉しております。相当長くかかりますので、これが全部、たとえば十二月までにできるかどうか、こういうような点ははっきり申し上げかねますが、私どもとしてはできるだけ早くやりたいと思ってせっかく努力しております。
  11. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アメリカ合衆国への日本輸出品の関税の現況及びその関税引き下げについてどういうふうな交渉をしておられるか、どういうことが問題になっておるか、その点の御説明を願いたい。
  12. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) アメリカでは現在も幾つかの品目について、たとえばマグロとか、あるいは織物類とか、関税引き上げの問題があるのでありますが、今までたびたび起きているのでありますが、現在までのところは、そういった引き上げの実現したものはありません。それから日米間の関税の交渉、これにつきましては、日本のガット加盟に関連しまして、米国政府が非常に日本の立場というものを考えてくれまして、大いに協力してくれているわけです。日米間でお互いに関税に譲許を与え合って相互にこれを低めてそれをまた各国との交渉に使うということで、現在ジュネーヴでやっております。その具体的な内容についてはまだ今日お話し申し上げる段階になっておりません。
  13. 板垣修

    政府委員板垣修君) ただいまのアメリカの関税引き上げ問題につきまして補足いたしますと、現在まで引上げ申請が行われて却下された、今答弁がありましたように却下されたものでわが国関係があるものは、絹スカーフ、木ネジ、下級陶磁器、腕時計、バンド、手吹ガラスというようなものであります。それから現在申請中のものは、合板、自転車、手編手袋というようなことになっております。こういうような関税引き上げにつきましては、通産省といたしましても米国の輸入業者を通じ、それから外務省から正式に場合によっては国務省を通じまして引き上げ阻止の運動をやっております。ただ、従来弁護士を雇う費用というようなものは業者の方に負担能力がなかったので、今回の予算には引き上げ防止対策費という名目で若干の費用を御要求いたしておる次第であります。
  14. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三十年度輸出の見通しの各品目別のものをいただいておるのですが、これはドル、ポンド地域別になっていますが、主要な各国別の見通しというものはお作りになっているかどうか、もしそれがありましたら、後日でいいのですが、御配付を願いたいと思います。
  15. 板垣修

    政府委員板垣修君) できておりますから。
  16. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さっきちょっとお話が出たかと思いますが、輸出会議なるものをお持ちになるとかいうことですが、これは一体これの会議の構成なりどういうことを目的にしておられるのか、それから今お話になったそういうこと等は今後そういう会議にかけられるのかどうか、その辺の事情一つ
  17. 板垣修

    政府委員板垣修君) 先ほど輸出会議のことにつきまして実は説明を落しましたが、輸出会議につきましては機構といたしまして俗称最高輸出会議、その下に幹事会、それから下部機構といたしまして産業輸出会議というのができております。産業輸出会議は民間と官との合同の会議でございまして、現在会議といたしまして十、部会といたしまして六十八できております。それを昨年の暮ころから各部会ごとに会議を数回いたしまして、大体最近結論が出ました。この会議のさしあたりの主要審議事項といたしましては、第一に本年度輸出目標を設定すること、第二にはこの輸出目標を達成するために必要な輸出振興上の諸施策を取り上げること、それから今後といたしましてはその対策の実施につきまして検討し、あるいは促進をする、というのが大きな目的になっております。この出ました結論を最近輸出最高会議の幹事会を開きまして一応決定をいたしましたが、適当な機会にこれを最高の会議まで持って行きたいというふうに考えております。先ほど申し上げましたいろいろな輸出振興対策は、まあ輸出会議のできまする以前から通産省としては考えておりましたので、輸出会議を開いてみますと大体やはりこれと同じような項目が大体輸出会議を通じまして、各業界からもいろいろと御意見が出ましたが、そういうものを取りまとめて私どもといたしましては本年度振興対策といたした次第でございまするし、今後これの推進並びにもっと掘り下げるということにつきましては、やはり輸出会議も使いましてやって行きたいというふうに考えております。
  18. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからさっき輸出見通しの問題が出たのですが、毎年輸出見通し計画を御説明願うのですが、その年度の終りに実績が出るので、その実績と当初のこの見込み計画と対比しながら、なぜそういうふうに違ったのかというようなことを一つ一つの品目別、あるいは各国別に御検討になったことがあるのかどうか。それによって輸出振興対策なり何なりが非常に具体的な策が出て来るのじゃないかと思いますが、そういうことをおやりになっているかどうか。おやりになっているとすれば、それを文書の形でもいいですが、少し詳しい調査なり検討を御配付願いたいと思います。
  19. 板垣修

    政府委員板垣修君) 前のことは存じませんが、少くとも昨年のことに関係いたしましては、昨年が先ほど申しましたように当初の見込みよりは異常なる伸び方でありましたので、輸出増加の原因というものを非常に詳細に検討いたしまして、相当分厚な資料がございます。これをそのまま差し上げるべきかどうかは検討しますが、何らかの形でその結論を申し上げたいと、書類としてお渡ししたいと存じます。
  20. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さっき輸出入銀行のことでちょっとお話が出ましたが、その資金の中で、自己資金が昨年と比し若干減っている。特に減っている主要なものが運用利殖金が去年は百二十億であったやつが今年は三十八億に減っている。これは何か特別な理由があるのかどうか、ちょっと御説明願いたい。
  21. 板垣修

    政府委員板垣修君) ちょっとその点は詳細存じませんので、後ほど調べまして申し上げます。
  22. 田村文吉

    ○田村文吉君 通商局長さんにちょっと伺いたいのですが、大体の構想はわかったのですけれども、共産国家を相手にして貿易をする場合には、やはりこちらの方でも一手で売り、一手で買うというような組織が当然必要になって来ると思うのですが、それは第一にそういうふうにお考えになってお進みになるかどうか、これを一つお伺いいたしたい。それから別に共産国家でなくて、今日のような為替管理がみないすれの国もやかましくやっております場合、ややもすれば国内品同士で、さっきのお話のように乱売するというようなことになる場合に、共同販売所を作るとか、一手で売るとかいうような組織になるべくお進みになる御方針でおいでになるのか。それはまあそうしないで今日の自由のままでなるべく一つ競争は、むちゃな競争をやらないような方針でただコントロールして行きたいと、こうお考えになっているのか、その点を一つお伺いしたいのです。
  23. 板垣修

    政府委員板垣修君) ただいまのお話の点は私どもも完全に同感でございまして、先ず第一にソ連圏との取引につきましては、どうしても相手方の事情にもかんがみまして、こちら側でも今のような状態ではどうしても円滑なる取引ができないということで、できますればこちら側も一本の機構にしたらどうかというふうに私どもも考えております。ただこれは改府としてどうしようということではございませんので、民間として考えてもらうように私どもといたしましては希望しておる次第であります。昨年あたりに会社案というのがございましたが、会社案は非常に不適当なので、現在の方向といたしましては、やはり輸出入組合というものの結成の方向に動いているのではないかと私どもは想像いたしております。それから共産圏以外につきましては、今お話の通り確かに中近東諸国というようなところに対しましては、やはりどうしてもこちら側で一本の機構が望ましいと思います。ただこの場合にそういう輸出入組合というところまでに行く必要があるかどうか、あるいは今の一手買い取り、輪番制とかそういうふうな方向でもいいと思いますが、こういう点につきましては、先ほど御説明申し上げました輸出取引法の改正によってそういう道が開かれるわけでありますので、業界でそういう機運が起りますれば、そうできるような態勢に今度したいというふうに考えております。
  24. 田村文吉

    ○田村文吉君 御意図はわかるのですが、実際に運用なさる場合になると輸出組合では商行為がちょっとできないですね、実際問題として。そこで輸出組合でそういうようなコントロールを実際できるかどうかということになると非常に疑問があるのじゃないか。やはり一つ商社のようなもので、現在ある商社なら商社が四つなり五つなりが皆合同して、合同でなく一つの合同の機関を作って、それでそれを経由して必ず甲地に対して輸出する、あるいは甲地から輸入するというような形にならないと、組合はそういうことのコントロールが実際問題としてできないのじゃないかということを考えるのですが、何か組合でそういうことをやって乱売ができないということがはっきりとる手がお考えできますでしょうか。
  25. 板垣修

    政府委員板垣修君) 私が輸出組合と申しましたのは、勿論組合自体が商取引の主体になるわけでございませんので、組合としては組合協定を結びまして、いろいろな、あるいは品質なり、あるいはその他の規格、条件そういうようなものにつきまして、一般的に組合員を拘束する、これが妥当と認めた場合には通産大臣アウトサイダー規制の命令によりましてアウトサイダー規制するという行き方で組合の取引規制する、しかし取引自体は組合自身がやるという考え方でございます。ただいまお話のある数社ぐらいは合同なり、あるいはまとめましてやるという形ができますれば非常に好ましいのです。たとえば中共貿易につきましては、これはまあ何千軒という商社がやりたいわけでありまして、そのうちから特に数社なり十社なり選んで特権を与えるというわけには行きません。従いましてできればこれを全部包含した組合で一般的に縛る価格とかその他の点で協定を結ばせまして、その範囲内で取引は各組合員が自由にやるという形が今実行可能な方法じゃないかというふうに考えておる次第であります。
  26. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の共産圏相手の場合には、まあ当然そういうような方法で、いずれにしても一本の態勢から出るということにならないと困るだろうと思うのですがやそうでない国に対しても一本で行くことが望ましいのでありますが、組合でどういう規制をしましても、こういうふうに商社なりが非常に競争して割拠すると内緒でどういうディスカウントをやっておるかわからない、それで値段を崩すもとがどうしても起る。それを何か共同販売というような形を一応とればそれは防げるというところが今日の輸出貿易の一番大きな眼目になっておるように思うのです。組合で規制してもしそれに違反するものはある程度の罰則を加えるといっても商社と結託をしてある程度のものをディスカウントしてやっておる場合向うの相手方もはっきり言いませんししますから、実際問題としてなかなかわからない、それが非常にまあ国の貿易の上においては損をしておるわけなんだが、何かそれについてはもう一歩構想を進めたお考えはできないものかどうか、こう考えておるのです。
  27. 板垣修

    政府委員板垣修君) 確かに品物によりましてはもう、そういうようなところまで進まないとうまく行かない。リベートとかいうような問題が起きておりますので、そういう問題につきましては具体的に例をあげますれば、ミシンとかカン詰というようなものにつきまして、共販態勢まで進まないものにつきまして、今後お話のような趣旨に従いましてどうしても単なる輸出組合の協定によりましてはうまく行かないものにつきましては、更に一歩進めた措置も考究いたしたいというふうに考えております。
  28. 田村文吉

    ○田村文吉君 その場合のことを想定されまして、この輸出入組合法というものをお考えになりますかどうかということを伺いたいのです。たとえば今それをやるというと、いわゆる独禁法に触れる、そういう輸出入組合をお作りになる場合に、そういうことができるようにお考えになっての輸出入組合をお作りになるかそれを伺いたい。
  29. 板垣修

    政府委員板垣修君) 今度の輸出取引法の改正でそういう道が開けるわけでございまするし、それから一方中小企業の産品につきましては、中小企業安定法による調整組合方式でやれますのでこの両方を相待ちまして御質問のような態勢がとり得ると存じます。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 中国から輸入した原材料を加工したものが最近アメリカで輸入制限を受けておるというようなことを聞くのですが、具体的な、たとえば豚毛を輸入してそれの加工によるブラシ、そういうような具体的な事例について交渉をせられたかどうか、あるいはその経過等を聞きたいと思います。
  31. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 中国原産のものをば含んでいる製品を単純加工したものはアメリカで輸入をしないということになっておりますが、そういう問題になるようなものについて三十数品目、これは日本通産省の証明書を添付してあれば輸入を認める、こういうことに約束ができております。ところが最近アメリカの税関で調べたところでは、豚毛で作ったものに中国産の原料が入っていると、いろいろな証拠でそういうことがわかったので、それについて日本側の説明を求めて来ました。納得する説明があるまでは一時豚毛を原料として作ったものの輸入は認めない、こういうことになっているのが現状であります。そこで私どもとしては通産省等にお願いして、その実情をできるだけ早く調査してもらって、その上でアメリカと話合いたい、こう考えております。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 柞蚕糸を加工した絹織物関係についても問題が起きておるようでありますが、それはどんなふうですか。
  33. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 柞蚕糸を原料として作った問題についても若干問題が起きておりまして、非公式にまだ話合いの段階であります。これについてはまだ正式の抗議と、こういったものは私の知っている限り来ておらないようであります。しかし放って置くわけにはいきませんので、これについても至急調査して話合いをしたい、こう思っております。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 まだほかにもそういう例があるんでしょうか、どうでしょうか。
  35. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 現在私の承知しております限りはその二つだけであります。しかしこの二つについてこちらが十分誠意のある回答をしない場合には、またほかのものにも波及するおそれがないとはいえませんので、とりあえずこの二つの問題について十分まじめな調査をして先方と話合いたい、こう思っております。
  36. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それから輸出金融の円滑化をはかろうと、まあ経済六カ年計画も大分書き上げられておるようですが、輸出入銀行は御承知のようにプラント輸出金融に重点を覆いておるわけでありまして、そのほかに特に輸出金融の円滑化についてどういう計画を今持っておられるか、こういう点について伺いたいと思います。
  37. 板垣修

    政府委員板垣修君) 輸出金融につきましては、一般の輸出前貸手形、その他の点につきましてはもう相当現在は優遇をされておりますので、輸出金融自体をこれ以上優遇をどう上げるというような点につきましては、いろいろ業界の注文はございますが、今のところまだ検討中で結論は出ておりません。ただ先ほどもお話のありました輸出入銀行の金融の関係、それから輸出保険の関係でもう少し円滑化、保護率を上げる、金利を下げるとかいう点で研究をしたい、こういう程度でございます。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 貿易振興費の最近の数年間の増額比較対照表というものができておるでありましょうか。もしできておれば資料として配ってもらいたいと思います。
  39. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 板垣さんはちょうど香港にいたからあちらの方の様子がおわかりだろうと思いますが、日本としての将来は東南アジアにある、またわれわれが実際行ってきてもあの地方に対しまして相当販路の拡張ができるという見当も強くしたのでございますが、インドネシア、いわゆる東南アジアに対する一億五千万ドルくらいの支払い不能になっているのはその後の関係はどうなっておりますか。この地方に対しまして依然華僑の手を通じて日本品が流れているというように見受けましたが、今どういう方法を、経路を持って日本品があちらに輸出されているかという点についてまずもってお聞かせ願いたいと思います。
  40. 板垣修

    政府委員板垣修君) インドネシアは御承知のように日本海外市場のうちではもうほとんど一位か二位かというような重要な市場でございますが、御承知のように、賠償問題の未解決のためにまだ国交も回復しないわけで、貿易関係が非常に停頓をしているということははなはだ遺憾に存じております。先ほどもお話がございましたように、すでに一億七千万ドルに及ぶ焦げつき債権ができております。これはインドネシア側では賠償問題と引っかけまして払わないという態度をとられているわけでございます。従いまして、私どもとしても市場に出せば日本品は売れるのでございますけれども、売りっぱなしでそのまま焦げつき債権になるというような状況では、ちょっと日本の実情から申しましてそのまま輸出を野放しにすることは困難でございましたので、昨年の七月からいわゆる輸出調整金制度を実施いたしまして、インドネシアから入れ得るものに見返り得るものだけ出すという制度をしいている、しかしながら日本としてもできる限りインドネシアからの輸出を促進をいたしておりますので、大体六千万ドル程度は入っている、従って日本輸出もそれに見返る六千万ドル程度は出ているのでございます。大体香港経由ということのお話でございますが、それ以外に香港の華僑とインドネシアの華僑との密接なる経済関係にからみまして、日本品が香港経由ということで出ていくというものもございましょうけれども、これは今の直接のインドネシアとの貿易のワク外でございます。
  41. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今私の見たものによりますならばなるほど一億七千万ドルの焦げつきができているからというので、六千万ドル程度の向うの、そちらの見返りの程度にというお話がございましたが、これは賠償問題を何とか解決していただかなければあちらの方に行っても、一つの例をとりますならば、自転車などでもほとんどドイツ品であるとか、オランダ品であるとか、英国品であるとか、米国品であるとか、暑い国であるからくつやげた同様に常に用いる日用品が日本を除いた国国の品である。それからやはり農業においても、農機具などはアメリカのものよりも小規模の日本品の方が喜ばれておる。薬品などもそうですし、染料もそうだというようなことをよく見聞きして参ったのでございますが、これらの問題をまず解決することが通商産業省においても外務省においても目下なさねばならない問題であろうと思います。これらの問題について、今のような程度では、まだ本当に日本の品物がせっかく向うの希望通りにだんだん流れている際に、もし販路を拡張しなければ、将来ドイツ品によって占められ、アメリカ品によって占められ、その他の国々によって占められるときに、それらの品物を愛好されるときに、なかなか販路の拡張ということは非常なむずかしい過程に入るだろうと思いまして、この点をいま一度外務当局から聞きたいと思います。  それから次にタイでありますが、タイのわれわれに対しまして華僑の方々がわざわざ招待されて、日本品は統制がとれておらぬので、多量に買うときにおいてはその中に不良品をまじえて輸出して困る、われわれはこれを荷受けしてそしてそれをそれぞれの商品について売るときに非常な困難を来たした、もっと通産省なりあるいは外務省なりには、監督をして統制して輸出してほしいというような申し出があったのでございます。もっとものことでありまして、この点についてはどういう監督をしておりますか。また、バイヤーが適宜に輸出するから困るという野放し主義ではなかろうかと思いますが、やはり野放しに過ぎれば、そういうような弊害が生じますから、これらの点につきましてももっと明快な答弁を願いたいと思います。
  42. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ただいまのインドネシアとの貿易につきましては、先ほど通商局長からお話のありましたように、一億七千万ドルの焦げつき債権がありまするので、実際は私どももできるだけ輸出をしたいのでありますが、しかしその焦げつき債権の方がたまっていきますと、ふえる一方でありまして、どうも適当な方法がございませんので、やむなく輸出調整処置をとらざるを得ない状態であります。この点については何かもう少し適切な方法がないかということで、いろいろな方々にも御意見を伺っているのでありますが、今までのところ、どうも適当なる方法が見出されないでおります。しかし、まあ結局根本的にはなるべく早く賠償の問題でも片づいて、そうして両国間の関係が正常化すということが第一だと思いますが、インドネシアの賠償に対する態度は、絶えずフィリピンの賠償問題というものをば一つの基準として見ておる傾向がありまするので、そういった順序からできるだけ早くフィリピンの問題を片づけてインドネシアの問題に移ると、こういう段取りになるのではないかと思います。従ってさしあたりは、先ほど通商局長の言われたように、こちらとしてもできるだけインドネシアのものを輸入する。たとえば石油とかゴムとかすずとか砂糖とかこういったものについてできるだけ輸入努力を払って、そうしてその輸入に見合う程度で輸出をする。遺憾ながらまあその程度の措置に全力をあげるほかはないと、こういうふうに考えております。  もう一つの御質問の、粗悪な輸出品の取締りということについては、これは非常にわれわれとしても関、心を持っている問題でありますが、実際の、具体的にどういう方法でそれを取締っていられるかということについては、通商局長からお答えしていただきます。
  43. 板垣修

    政府委員板垣修君) ただいまお話の、タイに対する不良品の輸出については、具体的事例は存じませんが、私どもといたしましては、不良品の輸出防止につきましては、最も力を入れているところでございまして、ただいま法律といたしましては、輸出品取締法というのがございます。これに基きまして、二十数種の品目が指定され、それぞれの検査機関を通じなければ、輸出ができないということになっております。しかしながら、何分輸出される品目は非常に多いのでございまして、たまにはそういう不良品が出るということもございますので、今後ともそういうような取締りにつきましては、厳重に監視をして参りたいと存じます。
  44. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 板垣通商局長にお尋ねいたしますが、向うにおいて米など買付するにいたしましても、やはり通産省からも出張員が行っておるし、もちろん外務省からその他大使、公使、総領事の方も行っておられますが、これらの人々が買付品に対しましても、それから、日本から行っているバイヤーに対しても、十分なる監督の手が行き届いておるというように承知しておりますが、その後の経路はどうだという点について、よくお知りの点をこの際、明らかにしてほしい。なお、先ほど、経済局長の話では、フィリピンの問題が解決するまでは、東南アジア方面には、これに二段階あるというようなことでありますが、そこが日本のわれわれの将来性の発展あるところで、貿易はもちろんでございますが、もっとそれ以上に移民その他の問題に対しましても、向うは医師にしろ、農業の技師にしろ、あるいは各工場の技師にしろ、要求しておると同時に、日本を目ざして、留学生を送らんとしている状態をいろいろ各地から聞いて来たのでございますが、これらの点についても、十分に考慮を払われておられますか。まず、外務大臣でなく、経済局長でもいいから、責任者でないというが、実際は、大臣などは飾り物の方が多いのだから、実際事務に携わっている皆さんが真剣にやってほしいから、いま一度これらの点に対しまして、明らかにされることを望みます。
  45. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ただいまの、技術者の派遣、あるいは技術勉強のための留学生の招致といった問題につきましては、私、現在正確な数字をここに持っておりませんが、ただ、国際連合等を通じます技術協力において、できるだけわが国からも適切な候補者をば推薦して、向うに採ってもらう、こういう努力をしておりますし、また、先方からのそういった技術の修得のための研究員の派遣ということについても、同じく努力しております。
  46. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 板垣さん、向うから品物を買うときの立ち会いはどうですか。日本が向うから、たとえば、米、木材その他のものを買うときにも、やはりバイヤーが勝手に買いますか。それから日本のバイヤーについても、向うに対しましてのバイヤーが不正なものを買って来るから、結局われわれ国民は不正なものを押しつけられて、それを消費しなければならない。買うについても、売るについても、出先機関がよく監督をし、また、立ち会うところに、初めて彼我の成績が上る。この点はどうですか、こういう点です。
  47. 板垣修

    政府委員板垣修君) たとえば、米のような政府買上物資などにつきましては農林省の係官も現地に絶えず参っておりまして、これは相当監督しておりますが、その他の一般の部面につきましては大使館ないし領事館が個々の買付まで立ち会うという余裕もなし、また自由取引の原則でございまするので、そこまではやっておらない実情でございます。
  48. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 商品広報宣伝とあわせて観光の宣伝は一緒にやっているのですかどうですか。観光宣伝は観光宣伝、商品広報宣伝広報宣伝というふうに、はっきり別々にやっているのか、この点を伺いたい。
  49. 板垣修

    政府委員板垣修君) 特に観光と商品宣伝とを一緒にやるということの方針もございませんが、事実上海外にできておりまする貿易斡旋所などで商品の宣伝をいたします場合において、同時に観光の宣伝もやっておりまするし、それから商品などを宣伝する諸雑誌の作成につきましても、同時に観光目的をあわせてやれるような編集をしております。たとえばテキスタイルジャパンというようなものも観光の写真の間に日本商品の見本を入れる、こういうような形でやっております。大体において両方相伴うような方針でやっております。
  50. 館哲二

    委員長館哲二君) この問題いかがでございましょうか、一応……。伊能君。
  51. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 政府の助成がありますと、商品の宣伝について助成をすると、その面には力を入れるが、観光のほうの助成は違う部面だからというので、力を入れないというようなことが役所の仕事にはありがちなんですが、こういう点は一つ両方あわせて非常に効果的な宣伝をされることを特に希望したいと思います。
  52. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 貿易商社強化の問題でちょっと質問したいのですが、主として輸出の線からお話があったのですが、特に私大きな関心を持っておりますのは、今日は農林省はおいでにならんのですが、例の病変米の対策の結果、外国食糧を今度は日本まで持って来て、着地倉庫で食糧庁に渡す。こういうふうに非常に変って来たわけです。これは病変米をできるだけ防ごうという点からやむを得んと思うのですが、しかし普通の取引からすれば、非常に異例なものでもありまするし、しかもはるばる日本まで持ってきて、そこで検査をした結果、不適格品が相当出てきた、こうなると実は貿易商社というものは非常な大きな打撃を受けるのではないかと思う。今までは海上輸送、向うで積み出し以降の負担というものは、食糧庁なり政府負担をしておったものが、今度は日本に着いて、日本の倉庫で受け渡す以前のものは、これは全部商社負担することになると思うのです。そうなってくると、たとえば非常に大きなクレームのようなものを持ってくると、せっかく金融その他の面では貿易商社の育成とか強化ということをやっておるのですが、そういう輸入食糧の不適格品が出た、その危険をいかに分散するか、調整するかという問題、これは私は非常に大きな問題ではないかと実は思っておるのでございまして、貿易商社強化という線からも、まあこの辺に適当なお考えが私は出てこなければならんと思うのでございますが、まあいろいろ考えてはおるのでございますが、その事項は通産省でお考えになる事項か、農林省でその善後措置をお考えになる事項か、それが第一点、これは両方でやるということも結構ですが、どっちが実はそういう問題を主としてやるべきことなのか、それから何かそういう問題についての具体的な構想等があれば今日この機会にお話を願いたいと思います。
  53. 板垣修

    政府委員板垣修君) 私具体的にはまだその検討をしておらないのでありまするが、まあ結局商社強化の問題と別の問題であって、結局日本の病変米、米の買付対策という問題が優先するわけでありますが、只今お話のような点につきましては、こちらに入ってから不良品で返さなくちゃならんということになりますれば、これは非常に大きな商社のリスクでございますから、現在の商社資本力からいいますれば、何万トンというふうな米になれば、商社はつぶれる事態に直ちになると思います。従いまして私どもとしましては、やはり現地においてそういう不良な米を積んでこないように十分に調査をするということで買付をするということが大切なわけでございまして、その点につきましては、昨年来調査団をビルマ及びタイに派遣いたしまして、現地における病変米対策というものの機構の整備方を研究中でございますので、私ども考え方といたしましては、やはり現地でそういう不良な米を買付ないようにするということが先決問題ではないかというふうに考えております。
  54. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 ですから現地でそういう不適格品が入ってこないということであれば、何も今までの一般の取引慣行を破って着地倉庫渡しというような、そういう異例な措置をとる必要はないと思う。やはり農林省はそれだけの着地倉庫渡しで受け渡しを受けるというような措置をとったのは、やはりこっちへ持ってきて厳密な検査をしてみないとそれが発見でき得ないというところからきておると思う。現地でほとんど問題がなければ従来通りに向うで受け渡しを受けてこちらへ持ってくればいいんだ。それだとあぶないのでこっちへ持ってきて厳密な検査をするということになれば、その裏を返せば、やはり商社相当のリスクというものが発生し得るということが、これは理論上もあると思うのであって、従ってそうなった以上は、その商社の危険をどういうふうにそれを分散、調整するかという問題がありませんと……、現に食糧庁はそういうふうにきめておると思う、着地倉庫受け渡しでやるということを。そうなってくれば、やはりその結果起る商社のリスク、商社を特別に保護するというわけじゃないのですが、そういうリスクが起ってくると、御指摘のように直ちにつぶれてしまう、商社というものは。ですからその辺のお考えは、関係省の間においてどうもまだあまりそういう問題が真剣に取り上げられておらんのではないかという意味で質問したわけです。何も即効的な御答弁を願うわけではないのですが、そういう問題が大きな問題としてあるのではないかということを申し上げたい。
  55. 板垣修

    政府委員板垣修君) 検討さしていただきます。
  56. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 私も片柳さんと同じようなことを質問しょうと思って中途でやめたんだが、実際現地で見て来たとき、これは通産省でなくて農林省が買い上げるんだというんだが、ある程度まで、全部はやらなくても、重要なものはやはり今言う通りに現地で十分な監督なりあるいは立ち会いなりいたしますならば、日本の内地に輸入して非常な損害を受けるようなことがなくて済む。同時にまたバイヤーなども最近たくさんふえたのを、それをある程度まで整理した、ところがまた最近ふえたというように聞いておるんだが、詳細な農林大臣なり通産大臣なりあるいは厚生大臣なりにいずれ質問しようと思いますけれども、そういう点をよく尋ねてみると、それがない関係からして、商社も損失が、商社よりも一般国民はどれだけ大きな、消費者国民の間において健康上から言ってもそれからあらゆる部面から言っても損害を受けているのですから、だからその点をもう少し正直に一つ明らかにしておきたい、こう思うので、くどいようですが重ねて質問いたします。米あるいは日本で必要な木材とかゴムとかそういうようなものには通商産業省及び外務省は、もちろん経費はたくさんありません、ありませんから、そういうことは関係ないと言うだろうが、貿易関係通産省はやはり監督する必要があると思う。この点について一つ重ねて質問いたします。
  57. 板垣修

    政府委員板垣修君) 先ほど申し上げましたように、確かに主食類については現にやっておりまするし、今後もそういう方面の監督を強化していきたいと思います。ただ、今御指摘になりました木材、ゴムその他の一般物資につきましてやり得るかどうか、現在の大使館、領事館これは外務省の人間であろうと、普通の役人では、おそらく商品の専門の知識がございませんので、できません。従ってそういう監督をするということになりますれば、やはり商品の専門の知識のある者を派遣するということになりますと、あらゆる商品についてそうした人間が出なくちゃならんということについて、実行上いろいろむずかしい問題があろうとは思いますが、そういう点で一つ検討したいと思います。
  58. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 貿易関係通産省が今後そういうことの監督をする計画があるか。又それがために予算を大蔵当局は必要ならやはり出さなければならないが、そういう準備ができたかできないかということを重ねてお尋ねいたします。
  59. 板垣修

    政府委員板垣修君) 現在のところまだ準備ができておりません。
  60. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 計画は考えていますか。
  61. 板垣修

    政府委員板垣修君) 一般物資につきましてはまだ考えておりませんが……。
  62. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 一般物資じゃなく重要物資でいい。
  63. 板垣修

    政府委員板垣修君) 重要物資については検討いたしたいと思います。
  64. 館哲二

    委員長館哲二君) いかがでございますか。ここらで一つ次の問題の御検討をいただきましたら……。(「進行」と呼ぶ者あり)通産省の各局長がそろっていられるのでありますが、一つ一つの問題について説明を聞いて御審議を願いますか。一応説明を全部聞いて御審議を願いますか。いかがでございましょうか。(「全部がいいじゃないですか。」「一応全部を聞いてからがいいな。」と呼ぶ者あり)それでは通産省の立場から重要産業一つ一つにつきまして一応の説明を聴取することにいたします。
  65. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 電力に関しまして重要な事項を一、二御説明申し上げます。  まず予算に関連いたしますが、電源開発資金でございますが、これは電源開発会社とそれから九電気事業者、それに公営の各府県の契約、この三つの種類に分れておりますが、電源開発会社に関しましては昨年度は二百六十億の政府資金がついております。その内訳は百億が政府出資でありまして、百六十億が預金部資金、こういうふうになっております。この資金によりまして二十九年度は順調に工事が進捗いたしております……。
  66. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 何か資料が配ってありますか。
  67. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) ちょっと出ていると思いますが……。
  68. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 出ているならその資料があればそれを見ながら聞いた方がいいと思います。
  69. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 昭和三十年度重要産業別設備資金需要見込及びその調達計画という、こういう表があります。この表の数字はこれは開銀資金を中心にした表であろうと思います。今私が申し上げておりました電源開発関係の資金はここには表てには出ていないのではなかろうかと思いますが、中途でございましたから電源開発の会社の方のぶんを最初に申し上げます。  本年度は開発資金といたしまして当初三百七十億程度のものを予定いたしておりました。ところが最終的に予算できまりましたのが二百九十八億五千万円、三百億をちょっと欠けておる数字でございます。内訳は政府出資が三十億、それから預金部資金が八十六億、百八十二億五千万円というのが余剰農産物の見返資金、こういうふうなことになっております。で、まあ内訳別といたしまして全体の総額が三百億を欠けたということで、これではちょっと現在着手いたしております工事も十分できないというふうなうらみもございますので、その不足分につきましては何か別の金融措置で補充をするというふうな申し合せになっておりまして、その具体策は今検討中でございます。  それから一般の電気事業者の問題でございますが、これはこの表にございます通りに工事総額といたしまして千百三十九億、大体二十九年度とそう大きな違いはございませんが、この工事費に対しまして開銀の資金を希望といたしましてはやはりこれも三百二十億、電源開発の場合も三百二十億を政府資金として希望いたしておりましたが、それが三百億を切ったわけであります。電気事業者に対しましても三百二十億を開銀から出していただきたいという希望を持っておりましたが、現在のところ二百八十億だけが開銀資金ということになっております。従って残りのものが自己調達あるいは市中借り入れということでまかなわなければならぬわけでありますが、大体九会社の関係におきましては予定より少し若干削られましたけれども、この程度の資金で一応現在の契約の継続中の工事はもちろん振興いたしますし、それから新規地点につきましても必要最小限度のものは各社それぞれに実行できるのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから電力政策一般といたしまして、これは別に資料はございませんけれども、先般来料金の値上げ等に関連いたしまして、電力原価の抑制方策につきましていろいろ検討を加えております。で、これにつきましては単に従来は金利あるいは諸税の引下げということに非常に大きく期待いたしておりましたが、それだけでなくて、もう少し広く総合的な見地から全体的に考える必要があるだろうということを考えまして、直接原価に響かないものもございますが、電力政策全般といたしまして根本問題の検討をいたしております。たとえば電気事業法でございますが、これも昨年から国会に提出するように準備いたしておりますのでありますが、根本問題に関連しまして電気事業そのものの性格をどういうふうにするかということもこの際もう一度再検討する必要があるだろう。従って電気事業法そのものも全体の一般施策の内容がある程度見通しがついてから電気事業法をもう一度振りかえる必要があるだろうということから、電気事業法そのものの内容についても一応ペンディングになっております。それから原価に関係けるような問題といたしましては、たとえば直接電力原価に響くという問題ではないかも知れませんけれども、電源開発会社そのものの性格もまだ今後どういうふうな方針運営するかということがはっきりいたしておりません。これもことしの終り頃になりますと佐久間等が大きく出て参りますので、それまでには何らかその性格を明確にする必要があるわけでありますが、たとえばその際に電源開発会社を融通会社として現在のまま完成された設備をもって電力を各事業者に売るということにするかどうか。またそういうふうにした場合に売り値を全体で、全国で電源会社の全国の需用地をプールいたしまして、一本の値段で売るか、それとも各発電所別のコストによって売るか、あるいはその間若干その地域的な調整考慮して値段をきめるかという点につきましても十分検討する必要があると思います。で、そのやり方いかんによりましては、これはそれぞれ各九会社の電力の原価にも関係いたしますので、そういう点も十分考慮いたしまして、地域差の問題にも触れて電源開発会社の今後の経営方針等につきまして決定いたして参らなければならんと、こういうふうに考えております。  それから、たとえば発電原価に関係する事項といたしましては、特に補償費等が最近非常にかさんでありますが、何らか補償に関しまして立法措置をして補償費があまりに非合理的にかさまないようにする必要があるだろうということは、これは各界から強い御要望があります。もちろん国会からもずいぶんそういう御意見がありました。これにつきましては通産当局のみならず建設省、農林省におきましてもそれぞれ関係の公共事業費等を持っておりますので、それぞれの立場からこの補償立法につきましては、案を作っております。まだ素案でございますが、一応各省の案を経済審議庁に送りまして、審議庁でこれを総合的見地から何らかまとまった案に持っていきたいということで、これは現在検討中でございます。それからあわせまして、その立法措置が仮に実現いたしまして、補償が比較的合理的に行われるということになりますというと、補償の面から原価を高騰させるということは防げるわけでありますが、さらに一歩進めまして現在補償の意味でいろいろな道路、鉄道等のつけかえを行うのでありますが、こういうものは本来公共事業費でやるべき性質のものも当然あるわけであります。つけかえ道路というだけに着目いたしますというと、全部が電気で負担するということになりますけれども、それを公共的な施設という点で、公共事業費が全部これをまかなうということになりますと、これは電源開発費の中から削除されますから、それだけ原価が安くなる、そういう点が実行できない、これは各省の予算とも関係いたしますので今後の必要問題でございますが、そういう点も検討いたします。それからさらに従来電気関係だけのダムを作りまして、それで発電計画をするという場合におきましては、これはすべて工事費は電気で負担いたしておりますが、その場合におきましても、ダムを作れば公共事業関係と総合的な契約にはなっておりませんでも、やはりその影響といたしまして、洪水防禦にもなれば、あるいは用水関係にも利益を与える場合があるわけであります。そういう場合におきましては従来は完全に電気で背負っておりました費用も、ある程度公共事業費に配付していいのじゃないかという考え方もあります。こういうようなことにつきまして、各省と十分相談いたしましてこれらのことが実現できますというと、かなりその面で電気の原価が下るというふうに働いてくるわけであります。それからなお電気事業者自体の問題でございますが、いわゆる企業努力と称しまして、電気事業者自体努力相当に期待をしております。これはたとえば送電の損失でありますとか、あるいは発電所の利用方法、石炭の消費率というようなものが、従来戦後だんだん最近に至るまで逐年向上いたしております。それを毎年さらに上げていくというのがわれわれの期待であり、また企業努力目標となっておるわけでありますが、これが最近の実績を見ますというと、予期以上に好転いたしております。そうしますと、今後の見通しにつきましても、これを相当大幅に期待するということが、実績から見まして可能となりますので、従っていわゆる企業努力の面で原価を少くするというファクターもここに出てきておるということを、あわせて申し上げて差しつかえないと思います。そういうふうな各般の点を考えまして、電源開発会社の運用方針、それからコスト引き下げに関する諸政策というものを合せまして、今事務的に一応検討をいたしておりますが、いずれも相当根本的な問題を含んでおりますので、早急に安易な結論は出せませんと思いますが、できるだけ速かに最も合理的な案をここで作りたい。これにつきましては、今のところ委員会その他の機関によりまして公けに審議していただくというふうなつもりはございませんけれども、十分フランクな検討をいたしておりますので、各方面の意見は十分取り入れまして、一番適当な案をまとめたい、こういうふうに考えておる次第であります。大体電気に関しまして一番の問題は、開発資金の問題と、それから根本対策に関連しまして電気事業及び料金対策ということになりますと、おもな点は今申し上げました点で尽きると思います。
  70. 館哲二

    委員長館哲二君) 今度は川上鉱山局長
  71. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 鉱山局の予算につきましては、一番問題な点は石油の開発の問題でありますが、石油の開発につきましては、昨年度におきましては一億一千七百万円程度についておりましたが、三十年度におきましては三億ということになっております。  実はこの石油の開発につきましては御承知の通り、石油の開発計画の五カ年計画を立てまして、五カ年後におきましては百万キロの増産をいたしたい。現在におきましては三十数万でありますので、これを約百億の金をかけましてそうして試掘をやりまして、五年後におきましては百万キロの石油を出したいということで、三十年度におきましては助成金としまして約十二億程度、内容につきましては六十六本の井戸を掘りまして、そうして五カ年計画の第一年度としてやりたいというような考えでいろいろ折衝をいたしたのでありますが、先ほども申し上げましたように、三億程度ということになったわけであります。三億ということになりますと、われわれが五カ年計画の初年度として考えておりました計画の大体三分の一程度の事業になってくるのじゃないかというふうに考えます。助成金三億出しますということは、経理費その他の方から大体三億ないし三億五千万円程度のこの試掘関係の金が出るのじゃないかというふうに考えますと、六億あるいは六億五千万円程度の仕事ができるのじゃないかというようなふうに考えますが、そういたしますと、先ほども申し上げましたように、五カ年計画の初年度の計画の約三分の一程度になるのじゃないかというふうに考えます。従いまして五年後におきまして百万キロ出すという計画はとうていこれでは実行できないというふうに考えるわけでございます。
  72. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 鉱山局の資料は何にもないのですか。資料も何もなくてただ聞いているだけではちっとも頭に入らない。
  73. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は資料が出ているものと思っておりましたが、誠に済みません。
  74. 館哲二

    委員長館哲二君) それですぐ資料が参りますか。(「あとでいいよ。きょうは散会しよう」と呼ぶ者あり)資料を全部いただいてからやりますか。それでは通商産業省の方の重要産業その他につきまして、もう少し詳細な資料をいただいてから予算説明を求めます。  本日はこれで散会いたします。    午後三時二十分散会