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衆議院議員(
橋本登美三郎君)
委員長から多分私を御指名になったのは、この
国際電信
電話会社法ができました当時の私が小
委員長をやっておりまして、そういう
関係から当時
会社に対しては
電電公社は株を持たないという
規定になっておるにもかかわらず、今度は、その当時は社会党及び民主党——民主党は前の改進党ですが、改進党の
委員の方々はこの
会社法に
反対でありまして、当時は自由党だけの多数でもってこの
会社法なるものを通過しておるのです。そういういきさつからして、その当時
会社法に対して賛成をした自由党側の、現在もその
委員をしておるものですから、橋本
委員の
考え方は当時と今日とでは変ったのじゃなかろうか、こういうようなお
考えもあろうと思いますからして、多分
委員長は私に指名になったろうと思います。
この当時
会社法を作ります際には、
政府の原案は御
承知の
通りに、
電電公社というものと、それから
会社という二つの
法律案を出してきたんですが、これは長期にわたって
審議を進めまして、そうして結局
公社法については一部を修正して、これは内容的な修正じゃなくして、
性格には
関係ありませんが、仕事の内容の一部について修正があったわけですが、修正をしてこれは全会一致で通っております。
会社法については、当時は自由党だけが賛成して、改進党並びに社会党は
反対であった。しかしながら、この
会社法についても自由党は、必ずしも当時の
委員は
会社法のこれをそのまま完全に賛成という
意味じゃなくて、いろいろ議論があったわけであります。というのは、今までお話があったと思いまするが、
電電公社と
会社という
関係は、
事業の上から
考えても、かつまた従来の伝統の上から
考えても、将来の
国際電信電話のあり方といいますか、いろいろ防衛上の問題もありましょうし、そういうことから
考えても、純然たる
会社にすべきでないという
意見が自由党を除く他の政党各位の
意見であったのであります。私たち自由党の当時の
委員も、この純然たる民間資本のみによって作る
会社というものが果して将来において妥当かどうか。当時非常に論議の中心になったのは、こういうような通信上の、ことに
国際通信上の大きな、外交もしくは防衛に
関係のあるような
会社が、全く
政府のコントロールなしに、もちろんこれは
郵政大臣の監督ということはありますけれども、これは
利益金の
処分並びに重役の選任においてのみ
郵政大臣の監督がある。
事業の内容の個々のこまかいものについては
郵政大臣の監督権は及んでおりません。こういうような純然たる
会社を作ることが、果して日本の将来のために妥当であるかどうか、こういう
見解がまあ一カ月余にわたって
衆議院の
電通委員会でも論議になったのであります。そのときに私もその点については非常な憂慮がありましたけれども、当時自由党としては、すでに
政府原案としてこれが決定を見、党議としてもとりあえず
会社法としてこれを通すべしという
見解であったものでありますからして、——その中間において非公式には修正案が出た。それはどういう修正案かといいますと、
会社の四九%までは
電電公社をして株を持たしめる、へしというような
意見が野党側の各
委員から言われたんであります。けれども、結局は当時は自由党が絶対過半数であったのでありますからして、結局これは自由党だけの賛成においてこの法案が通過した、こういうようないきさつを持っております。
そのときに私は自由党側を代表して賛成
意見を述べておりますが、その討論の賛成
意見の中でも、
国際電電会社の
株式の
保有を
電電公社はやっていけないということには触れておらない。要するに、
国際電信
電話会社の
事業というものは、現在及び近い将来における
運営から
考えて、これを急速に伸張せしめるためには、従来の
公社形態を離れて、そうして
会社運営によってこの
事業を進めるべきである。であるからして、自由党としてはこの
会社運営による
会社法というものについて賛成をするんだ、こういうようなふうに賛成討論を述べております。かつまた、御
承知のように、この
会社法の
法律から見ましても、いわゆる国並びにそういう機関が持つということは禁じておりませんが、
外国人もしくは
外国法人が
相当株式を持つということは禁じております。そうしてその他のものについては制限事項を与えておらない。当時
郵政大臣は佐藤榮作氏でありましたが、佐藤榮作氏も、株の
保有の問題に触れておるのではなくして、
国際電信
電話会社というものの
運営については
会社運営で行うべきである。それが現在の
国際電信電話事業というものを進展せしめる上において最も有効適切である。こういう建前からして
会社法を協賛願うことを
郵政大臣として
説明しておったのであります。
当時そういう工合の
情勢から
考えても、
会社の
株式を
電電公社が持っていけないという
規定はわれわれは
考えておらなかった。ただ、たまたま当時の、現在もそうですが、
日本電信電話公社法の中に
株式を持つ事項がない。これはあえて
国際の
会社にかかわらず、他の
株式も持つことができておらない。かつまた当時、御
承知のように
電電公社の財産を評価してこれを
株式に変更したのでありますからして、三十三億のうちの三十二億七千万円というものは、これは
日本電信電話公社の財産を株に評価して、これが
株式の大本をなしておるわけであります。従って
株式会社にするためには、一たんこれを国の所有に移して、これを直ちにある
程度のものを一般に売って
株式を作らなければ、実際上
株式の編成ができない。そういう形式上のことと、もう
一つは、一たんこれをもし
政府に移さずして、いわゆる
公社にそのまま持っておって、これを一般に割り当てる、こういう形式を作りますというと、あたかも
公社が
子会社としてこれを作るような感じを一般に与える危険がある。そういうことからして、
株式会社を成立するためにも、かつまた
電電公社の
子会社として出させるのだというような誤解を防ぐためにも、形式上これを国の所有に移した。従って国は直ちにその七月のうちに
株式の割当を行いまして、御
承知のように三十二億のうち十八億何千万円というものが割当によって、安定帯
株主といっておりまするが、大体金融業者並びに
生命保険、
関係事業団体、並びに
関係従業員、これらを大体のワクを作って、…十三億のうシノ中八億何千万円というものが割り当てられておる。そういうような事情からしてやったので、当時は御
承知のように非常に景気のいい
会社であったものですからして、あるいは一ぺんにこれらの株が売れてしまうのじゃないか、こういろ工合にできた当時は思われておったのですが、案に相違して、実際上割り当ててみたところが、十八億何千万円というものが割当がきかなかった、こういう状態で
会社が生まれたわけであります。こういう事情からして、あるいは議論の筋からいえば、先ほど
委員長が申し上げましたように、
会社の株を
公社が持っていけないという
考えがあったにかかわらず、今度は株を持つのはどうかというような御議論があったようでありまするが、われわれ当時国会として
審議をしておりました際には、必ずしも
会社の株を
電電公社は一株でも持っていけないという
考え方じゃなかった。要するに
電電公社が
会社を支配するような事態に陥ってはいけない。
会社運営はあくまで
会社が自主性によってできるような状態でなければならん、こういう建前であったことは事実でありますけれども、ほんの一部でも持ってはいけないという
規定のもとにあの
会社法ができたものかどうか、こういうことになれば、当時の
委員会の
速記録を御覧になってもらえばわかりますが、必ずしもそういう
考えであの
会社法は論議をされておらない、こういうことを申し上げたいのであります。
今度の
提案説明にいわゆる
安定株主ということがいわれておりまするけれども、これはいわゆる
安定株主というものを、何といいましょうか、非常に政治的にものを
考えて、
会社のいわゆるいろいろな
意味で困難な場合がありましょうが、そういう場合も
安定株主として
電電公社が引き受けるという
考えのもとに
安定株主になろうとしておるのであろうか、こういう御
意見であろうと思うのですが、私たちはそういうような強い
考えはもちろん持っておりません。というのは、残株は大体において五分の二強、総額にして十四億何千万円という金額ですが、このうち五分の一だけを
公社に移して、あとの五分の一を
大蔵省に残したというのは、
委員会で
審議の途中で監理官、もしくは
大蔵省の
関係者を
参考人もしくは
政府委員として招致してこれを聞いた場合に、全額を本年度中に
消化するということはこれは困難であり、あるいは不可能に近いかもしれん、けれどもその一
部分を本年度内に
処分するということは必ずしも不可能じゃなかろうと思うと、こういうような
見解が
一つにおいては述べられております。もう
一つは、できるだけ
会社の
運営方式といいますか、そういう建前から
考えても、あまり
株式の過半数に近いような株が一定機関に移される、
公社は
国家機関じゃありませんが、
国家関係機関でありますからして、一種の準
国家機関である、そういうものに過半数に近い全部の株が譲られるということは、たとえ議決権を停止しても、何か
公社の支配を受けるという影響、あるいは監視を受けやしないか、こういう点からしてこれを最小限にとどめよう、こういうような二点からして、一
部分を
公社に移して、一
部分は、
政府当局及び
会社側も大体において一
部分なら売れる見込みがある、本年度中なら売れる見込みがある、こういうような
参考人としての
意見もあったものでありますからして、そこで五分の一はできるだけすみやかに
処分するという建前でそのまま
政府に残したようなわけであります。
なお、手続に関して私が決議を読んでおりまするから、これの御
質問があったと思いまするが…、その問題もしあとでありましたら御
説明申し上げまするが、大体以上のような
意味においてこの五分の一をこえない範囲内において
公社は株を持つことができると、こういうような、
安定株主といえば第二義的な
安定株主、こういう
意味で
安定株主という言葉を
委員長は使われたのであります。
一応御
説明申し上げます。