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1955-06-28 第22回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————    委員異動 六月二十四日委員平井太郎君辞任につ き、その補欠として横川信夫君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            小沢久太郎君            西岡 ハル君            酒井 利雄君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   政府委員    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 澁江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本住宅公団法案内閣提出衆議  院送付) ○住宅融資保険法案内閣提出衆議  院送付) ○公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (東北地方水害に関する件)   —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  前回に引き続きまして、日本住宅公団法案住宅融資保険法案、「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」について総括質問を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  政府委員石破官房長澁江計画局長五十嵐都市復興課長説明員として出席しております。
  3. 石井桂

    石井桂君 きょう新聞を見ると、金融公庫貸付について新聞発表したようですが、今問題になっている貸付率の昨年より約一〇%低下について発表されているようですが、今ああいう発表をしても差しつかえないですか、どうですか、その辺一つ……。
  4. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実はまだ予算成立前でございまして、その点非常に心配したわけでございますけれども年度相当経過して参っておりますし、実は毎年の例といたしまして、予算が成立したらばという条件をつけまして予算成立前に毎年やらしていただいておるような実情でございます。昨年はたしか三月の二十五、六日ごろに発表したと思います。なお、実際の受付につきましては、一般の方につきましては七月の十一日から受け付けるということにいたしております。もちろん、予算国会において修正等がなされました際には、それに応ずる準備は整えておくようにということを申し渡しております。
  5. 石井桂

    石井桂君 毎年の例におよりになったかもしれませんけれども融資率が変更のないようなときには、予算が通ればということでいいと思うのですが、今問題になっておるのは、金融公庫住宅では、住宅計画の一環をになっておる金融公庫住宅での融資率が問題になっておる。そこで昨年よりも一割ほど低率にして貸し付けるということであれば、これは一般庶民の人が、昨年通り貸し付けられると思っていた人は、ここであきらめてしまうと思うのです。そうして比較的金持ちだけが希望を持ってこの発表を読むだろうと思うのです。そういう不都合が、これから予算がきまり、いろいろな公団法や何か通る、その間において、この国会あたりでたとえば融資率は昨年通りにしろというような条件でもつけられると、せっかく発表したものがむだになってしまう、そういう危険を冒してまでも先に発表した方がいいということをお考えになって、発表されたんでしょうか。
  6. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、今年は昨年とだいぶ融資条件が違っておりまして、当委員会におきましても非常な御論議があることは十分承知いたしております。従いまして、かりに御審議の結果、融資率を若干でも変えろというようなことになりますれば、やはりあの手続はもう一ぺんやり直しまして、相当の期間をおいて希望者を募集するという手続をとるつもりでおります。
  7. 石井桂

    石井桂君 私はなるべく早く発表することは賛成なんです。今年度住宅に対する計画発表して、そうして国民住宅ができるように結局便利になるわけでありますから、非常にけっこうなんですが、どうもまだはっきりした、融資率政府計画通り一割下げてきまるかどうかもわからぬ今の段階発表するということは、どうもまだ、いわゆる参議院軽視問題もわれわれからいえば考えられるわけです。何かちょっと、われわれからいえば、ばかにしておるような気もしないこともない。そこらの点はちっともお考えにならなかったのですか。
  8. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実は考えないではありませんけれども、正直に申し上げますと、もう少し早くやるつもりであったのでございます。ここまで来て、もう数日というところでやりました点は、まことにお話のようなあるいは御意見が出ようかと思いますけれども、実は正直を申し上げますと、もう少し早く、一カ月くらい前にもうやっておきたいと思ったくらいでございまして、発表手続等がおくれたのでございます。内定いたしまして印刷物などを作るのに着手しましたのは、ずいぶん前でございまして、参議院とか衆議院とかいうことにこだわりなしに、私の方は一日も早く募集しておきたい。ただし、国会で変るようになりますれば、当然もう一ぺんやり直すというしっかりした条件はつけておるつもりでございます。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 関連して……。今の官房長の御説明によると、もっと早くやりたかった、こういうことで非常にあせっておられるようですが、そのあせっておられるというのは、早くやらなければ政府公約の四十二万戸が建たないから、そのようにあせって早くやられたのですか。
  10. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まあ公約が守れないからという前に、その前に住宅を一戸でも早く建てたい。それが結果的には、政府公約を必ず守りたい。まあ同じことだと思いますが、われわれとしましては、二戸でも早く家が建つことを念願いたしまして処置いたした次第でございます。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 今日の新聞を見ますと、三回以上申し込んだ者は今度は優先的に貸し付けると、こういうようなことが出ておりましたが、そういう慣例は今までにあったのですか。
  12. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 従来からやっております。従いまして、今年は三回以上継続して落選しておられる方に、大体無抽せんで、選考だけでお貸ししよう。大体まあ五千戸程度ありゃせぬかと思っておりますが、しかしこれは、従来三回続けて申し込まれた方のうちで、何ぼかもう棄権されることを実は見越しております。従いまして、これが全部出てくるというようなことになりますれば、必ずしも無抽せんということにはいかないかと思います。前例はあります。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 棄権されるものを見込んでということは、これは、先ほど石井委員が言われましたように、融資率が下ったので申し込みがないだろうということを見込んでやられたと理解してよろしいですか。
  14. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 従来からも、まあ一割ないし二割程度はやっぱり棄権される方があったようであります。その間に、住宅事情がいろいろお変りになったり、経済事情がいろいろお変りになったということもあるかと思います。さらに、お話通り、今年は融資条件が若干変っておりますから、お話のような事情による方もないとは断言できないと思います。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 三回連続で申し込んだ人は——これは第審査と二審査とありますね、あるでしょう。それで、第一審査ではねられた人でも、とにかく三回以上申し込んだ人ならば、だれで竜今度はかまわず、条件さえ備わっておれば優先的に貸し付けられると、こういうことに理解してよろしいですか。
  16. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 抽せん手続を省くというだけだと思います。一般のとの違いは、抽せんせずに選考だけでお貸しするということだと承知しております。
  17. 石井桂

    石井桂君 融資率を一割上げたならば、何戸計画になりますか。七万五千戸計画が何戸計画になりますか。
  18. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ちょっとその計算をここでいたしておりませんが、さっそく計算いたしてみたいと思います。
  19. 石井桂

    石井桂君 これは一割上げられる公算もずいぶん大きいと思うのですがね、われわれは。政府では確信があられて、変えられないと確信があるのかもしれないが、その場合融資率を去年通りしたならば何戸減るかぐらいの計算をしていないのは、どうも政府当局の怠慢のように思われる。非常に簡単な算術ですからね、五分もあればできてしまう。だから、石破官房長御存じなくても、南部課長あるいは鎌田課長、なかなか立派な方が済々でありますから、関係者から……。
  20. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際説明員を御紹介します。説明員鶴海都市計画課長南部住宅企画課長鎌田住宅建設課長鮎川住宅経済課長、この四氏が出席しております。
  21. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 今年度住宅金融公庫貸付予定戸数は七万五千戸でございますが、そのうちの三万戸は増築に対する貸付でございます。残り四万五千戸が一般公庫貸付になっております。戸数で申しますと、その一割分は約四千五百戸でございます。
  22. 石井桂

    石井桂君 そうすると、まあ昨年通り融資率を据え置けというような条件でもつけて予算でも通ることになれば、まあ全体からいって四十二万戸のうち、四千五百戸が減るということなんですね。そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  23. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通りでございます。
  24. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、四十二万戸のうちの四千五百戸とすると、これは考えて、そのくらいな異動はあっても、国民は責めないと思うのです、減ったことについて。四十二万戸の計画の中に四千五百戸ぐらいのずれがあるという成績は、私は九十何パーセントができるわけですから、国民は責めまいと思うのです。それと同時に、政府計画した十七万五千戸のほかの二十四万五千戸のこれができるかできないかという、何といいますか、不たしかな条件ですね、その方がよっぽど四千五百戸よりも大きな心配が私はあると思うしのです。そこで一割——つまり融資率を去年のままにしておく方が国民は非常に喜ぶのですから、今からでもおそくないと思うのですが、そういうふうに変える意思はないでしょうか。
  25. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、四十二万戸のうちの四千五百戸を見捨てた方がいいか、あるいは融資率は若干下げても四十二万戸の戸数を確保した方がいいか、御議論のあるところだと思いますが、私どもといたしましてはやはり、少しは融資の率が下りましても、一戸でも家を多くという考えを持っておりますので、目下のところこの融資率を変える意思は持っておりません。
  26. 石井桂

    石井桂君 そんならば、四十二万戸をもっと来年、来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんけれども戸数をふやすために、さらに六割五分が五割五分になりあるいは五割ぐらいにでもなることがあり得ると、今の御議論からいえば想像されるわけです。ことに金融公庫の七万五千戸の中で三万戸というものは、あれは半額でしょう、増改築に対してはですね。だから、ここまで後退することはどうも想像できるように思うのですね。そういうことはまだ考えたことはないのですか。
  27. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 今年の公庫融資率を変えましたのは、実は従来公営住宅公庫住宅二種類しかありませんのに、その中間ともいうべきところに公団方式による住宅二万戸を入れました関係上、そういう関係もありまして、この融資率は若干下げてもよかろうというところでこういう措置をとっておるわけでありまして、何ら措置を講ぜずに住宅金融公庫融資率だけを下げるということは、私どもとしては現在考えておりません。
  28. 石井桂

    石井桂君 ですから、日本公団法でしたか、住宅公団法、これの措置をとったから下げるということでありますから、日本住宅公団法成績がますますよくなるということであれば、あなたの御議論だと、だんだん下げてゆきそうな気も、そういう気持をこちらで受けるわけです。そういうことは心配ないですか。
  29. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 住宅金融公庫法律にも書いてあります通り、やはり住宅金融公庫のねらいとしますところは、非常な金持ち階級じゃありませんで、一般庶民を対象としておる政策でありますので、公団の方がどんどん戸数がふえることになりましても、現在の公庫法建前からいたしまして、そういうことはちょっと考えられませんけれども住宅政策全体としまして、公庫の性格を変えるというような事態になりますれば、お話のようなこともあるいは想像できないこともありませんが、自分らとしましては、やはり今年のバランス、三種の方式バランスをそれぞれ後年度に延ばしてゆこうというようなつもりでおります。
  30. 石井桂

    石井桂君 それじゃ、もう一ぺん念を押しておきますが、昨年よりも一〇%内外融資率を下げると、今回ね。下げるが、それ以上は下げないように極力骨を折るんだと、努力するのだと、そういうふうに考えていいですか。
  31. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通りでございます。
  32. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御質疑のある方は御発言願います。   —————————————
  33. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際、二十五日、六日に発生いたしました災害状況につきまして、建設大臣から御報告をいたしたいという御希望がありますので、さよういたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは御異議がないと認めまして、建設大臣から、今次起りました二十五日、六日の東北方面における発生災害につきまして、御報告を願います。
  35. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大へんおそくなりましてまことに恐縮でございますが、委員長からのお話東北水害は、少しふだんと型が違った水害で、県も大へん心配をしておりますので、昨日さっそく防災課専門家を二人派遣をいたしまして、現地との連絡に当っておりますので、初め考えましたよりもだんだんと範囲が広くなっております。しかし大局的に見ますと、非常に雨量が多かったので、あとから具体的なことは河川局長から申し上げますが、全体的に憂慮いたしますのは、私の方の橋だとか川の問題もありますけれども、何しろ一番米所の本場が田植のあとで冠水をいたしまして、その後の病虫害の発生等考えますと、これは農業としては非常に大きな被害になりゃしないかということを実は憂慮いたしておるようなわけであります。なお刻々連絡をとっておりますので、また事情のわかり次第御報告をいたしますが、今日までわかった状況について、河川局長から申し上げさすことにいたします。
  36. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今回の二十六日、五日の水害は、もはや新聞紙上で御承知のように、梅雨前線がずっと北に上りましたために、東北地方に豪雨をもたらしたものでございます。梅雨の降雨の形としては非常に珍しいケースでございます。普通梅雨前線九州付近を通っておるのが常態でございますが、これがずっと北に上っておったという点で、おそらく現地としては珍しい雨が降った、従来にない雨が降ったというために、思いがけない災害を受けたという特徴を持っているものでございます。  で、まだ被害状況等の詳細のものが報告は参っておりませんので、とりあえず速報のありましたものをまとめてお手元に出してありますので、今後正確な調査ができてくることにつれてこの数字は変って参ると思います。その点御了承おきを願いたいと思います。  第二ページでごらん下さいますように、青森、岩手、秋田、山形、新潟、宮城の六県でございまして、そのうち宮城はまだ災害金額報告が参っておりませんが、他の五県の集計は、被害個所が千二十八個所、金額にいたしまして十六億八千五百三十一万一千円という数字でございます。災害規模としては、国の全体から見ますと、従来の実績からは大体中程度災害でございます。  第一ページに帰りまして、一ページの一番下の参考という欄に、昭和二十九年度災の六月末日までの被害参考にあげておりますが、百九億六千二百八十万七千に対しまして、本年度災害は本年に入りましてから、冬季の風浪災害以来今日まで、今度の分を含めまして、六十五億五千百七十四万九千円というのが、その参考と書いた欄のすぐ上の行の右の方に六十五億五千百万円と書いてございますが、これがことしになってからの災害集計でございます。昨年対比で申しますと、昨年の六割を上回る程度でございます。大体そういう規模だということを申し上げるために、参考資料を付けておきました。  第三ページは直轄河川被害状況でございますが、主として北上川水系最上川水系雄物川水系米代川水系等でございますが、堤防の法くずれ、決壊程度で、全面的に破堤をいたしたというような被害はございません。被害としては、まだ直轄河川については非常に軽微な程度であろうと想像いたしております。今日までの報告においてはその程度でございます。しかし北上川一関上流付近水位相当水位が上っておったのは、この表にある通りでございます。  その次の第四ページに、今までに報告がありました被害数字県別に書いてございます。人的被害から建物の被害耕地被害などをずっと書いております。比較的耕地被害が多かったために、早場米地帯の水田に相当被害を生じているということが想像されます。こういう点が現地でも問題になっているのではないかと思いますので、われわれとしてもなおこの点についての資料等は今後極力集めるつもりでおります。  以上概要でございます。
  37. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと伺いたいのですが、本年度中央気象台における長期予報建設省の方へすでに通報があったと存じますが、本年度長期予報のあらましが伺えましたら伺いたいです。
  38. 米田正文

    政府委員米田正文君) 長期予報は参っておりますが、きょう手元に持っておりませんので、後刻印刷にして差し上げることにいたしたいと思います。
  39. 石川榮一

    委員長石川榮一君) もう一つお伺いしますが、災害終戦後における集計防災課調査をしてもらいましたのですが、詳細のことがよくわかりません。だいぶ手間をかけて調べていただきましたが、災害のようなものは年年集計をされまして、建設省のものばかりでなく、他の省のものまで建設省はお調べ願いまして、どのくらい水災があるものなのか、建設省関係のものはこう、農林省はこう、運輸省はこうと、こういうものを御集計願いまして、どのくらいの数字になるかということを一応はっきり把握してゆきまして、そうしてその災害に対する国策を立ててもらわなければならぬと思う。その統計が今ないそうですから、今調べてもらったものをお伺いしますが、これには農林省一般災害はわかっておりません。建設省の調べましたいわゆる民家、一般民金額の大体もつかんでおりません。ですから、そういうものを一つこの際、災害支出状況でありまするから、終戦程度のものは全都お調べ願いまして、正確なものを委員会に御提出を願いたい。  ただいままでに建設省防災課で調べてもらったのを見ますと、膨大な数字になっている。死傷が十万二千五十七人、九年間に。住宅の半壊、全壊、流失等を加えましても、その三つだけでも四百七十七万戸に達するのです。床下浸水あるいは床上浸水を入れますと、さらにまた大きなものになる。かように非常な大きな災害で、建設省がつかんでおるだけのものでも二兆三千二百七十億、これが九年間です。民間は入れていないと思うのです。あるいは民間を入れましたならば、四兆にも五兆にもなるのじゃないか。このありさまでいけば、日本災害は激増しますから、激増するに従いまして、あと河川改修を行なっても、手も足も出なくなるという状態が現出するのじゃないかと心配するのです。そういう見地から、一つ災害調査を詳細なものを御提出願いたいと思います。二十一年度からでけっこうですから。
  40. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 承知いたしました。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 それに関連して……。今石川委員長お話は、二十一年度からでありましたが、私はやはり過去十カ年という観点からいうならば、二十年度からのものがいいと思いますが……。
  42. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 私も賛成いたします。
  43. 石井桂

    石井桂君 今度の水害に対してこの間の水防法改正はどういうふうに響きましたか、おわかりになっていれば……。まだこまかく行き渡っていないから、一つも影響がなかったかどうか。
  44. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は、地方十分連携をとった上で、ただ法律を施行しただけではいけないということでその準備をいたしておる段階でありましたし、あすその会議をやる予定にいたしておるようなわけだったものですから、率直に申し上げて、どうも法律のせっかくの御審議をいただきましたけれども法律によっての実効をおさめ得たとは申せませんが、しかしその気持で今も十分連絡をいたしておる次第であります。
  45. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それに関連してお願いしておきますが、あの水防法補償の段ですが、あれを弾力のある解釈をとっていただきまして、現在すでに七人の死亡者が出ている。行方不明を加えますと十三人になりますが、おそらく行方不明者も死んでおりましょう。これらの死者を出しておりまする地元管理団体あるいは町村というものは、非常に疲弊していると思う。今年までいつも毎年災害に見舞われている所だと思うのです。従って、あの補償法災害補償が完全に行われているとは私ども考えられない。ですから、補償の点を生かしてもらいまして、今度初めて施行されるのですから、思い切った補償をあの線から出してもらいまして、地元の負担にたえられないそういう公務災害補償並びにこれに準ずるものに対しては、政治的な考慮を加えていただきまして、模範を示してもらいたいと思います。単なる補償が、財政的な妥結が十万円だそうでありますが、十万円程度ではとてもこの東北方面の、非常に失礼ですが、零細農家の多い、年々災害をこうむるところの管理団体町村はたえられない。たえられないとすれば、災害復旧に目を回す。みずからの損害に目を回すという状態ですから、思い切って一つ政治的な考慮を加えていきまして、予算的な措置を講じていただきまして、水防法のねらいとするところを、政治的な考え方から生かしていただくように希望します。
  46. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 委員長の御趣旨、よく努力をいたしますが、ただちょっと、私の聞き違いかもしれませんけれども水防補償の分はここに出ております死傷者の中の一部であろうかと思います。まだ実情がよくわかりませんので、調べましてよく……。
  47. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいま私が申し上げたのは、全部水防団員だとは思いませんが、水防団員を含んでおるかと思いまして……。
  48. 米田正文

    政府委員米田正文君) 御参考に申し上げますが、水防法、今度の改正公布は、七月十日になる予定でございます。
  49. 石川榮一

    委員長石川榮一君) では伺いますが、七月十日からということだと、これに遡及しないことになりますか。この点は政治的な考慮を加えていただきたいと思います。
  50. 米田正文

    政府委員米田正文君) 法律全体の建前からは、遡及しないことになっております。十日というのは、公布手続、事務的な手続、私どもが県へ十分法律趣旨を徹底するための時間、それから政令を作る準備、そういうものに最小限見まして、そういう打ち合せをしております。
  51. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そのことは今までも聞いておりますが、要するに、予算的な行政措置といいますか、ある程度今までやっておると思う、その線を生かしていただけばいいわけです。こういう意味合いです。
  52. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 了承いたしました。   —————————————
  53. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 災害に関する御質疑もありませんようですから、戻りまして、住宅関係法案に対して質疑を続行いたします。質疑のある方は御発言願います。
  54. 湯山勇

    ○湯山勇君 非常に基本的な問題について、大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、まず私の根本的な考えをさきに申し上げて御質問申し上げた方が、よく御答弁いただけると思います。  私はこの公団法をざっと一通り見まして、この法律の必要性ということについて非常に疑問を感じておるものでございます。そこで、今回の公団法が、今年度住宅計画二万戸、これを対象としたものであれば、その二万戸は必ずしも公団というものによらないで、従来の公営住宅なりあるいはその他の方法でもって、十分今の二万戸くらいのものは達成するのではないか。ことにこれにはたくさんの政府資金なり、あるいは地方公共団体の資金なり、民間資金にいたしましても、野放しの民間資金ではなくて、やはりある程度政府の方であっせんとかその他の方法が加えられると思いますので、そうなって参りますと、むしろこれは、この二万戸はたとえば公営住宅なら公営住宅でやることの方が実際的ではないかというような感じがあるのでございますが、この点についてはどういう御意見でございましょうか。
  55. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともな点もありますが、今回この公団という新しいことを加えました考え方は、決して新奇をてらったというようなことではありませんので、今までの公営及び公庫の二つの方式というものをいろいろな角度から検討して参りますと、もちろん一番大きな問題は必要な資金量というものがありさえすれば、御意見のように公営でも公庫でもまだできる余地はもちろんあるわけでありますから、そのことを絶対的なものとはもちろん考えませんけれども、この際急速に住宅政策を推進しょうといたしますと、いろいろな角度から検討いたして、公営及び公庫の二つの方式にただ資金量を増すということだけでは十分でない。その間政策的に一つの谷間がありますから、その谷間をこの公団の方で埋めて、三者鼎立の形において推進をすることが、急速に住宅政策を進めるためには必要であるという考え方に立っておるわけであります。  そういうことになりますには、いろいろな問題がありますけれども、たとえていえば、公営住宅を一番中心の施策と考えることには従来と何ら考えを変えておりませんし、従って、三カ年計画公営住宅法に基いて御審議をいただいておるのはそのためでありますが、今の地方財政の現状から考えまして、今までの建前からいたして、地方に財政負担を非常に大きくかけていくというやり方では、公営住宅に非常に地方の圧迫が強くなりますので、家は建てたし地方には財政負担をなるべくさせたくないということを考えますと、公営住宅法全体を直すということも考えられますけれども、それは今日いろいろまだ混乱が来たしますし、従来のものとの比較の問題も起って参りましょうし、いろいろ制度的に矛盾混乱等が起りますから、公営住宅そのものの建前はくずさないという前提に立ちますと、まず今の状態では五万戸程度がわれわれは地方財政負担の限度であろう。そうしますと、他の方法によってこれを補っていくという方法をとる方がよかろうということと、それから公庫等においても、また公営の中におきましても、耐火建築のいわゆる中層以上の高層アパートというものが今日の時代の要請であります。そういうものに漸次焦点を向けて参りたいという政策を強行をいたそうとしますと、これまた非常に資金量がその面に集中をいたしまして、他の低家賃の小さい方の住宅に圧迫が参りまして、どうしても、理想はいいのでありますけれども、現実に低家賃の住宅を要求する国民の層に対してうまくいかないというようなこと等も合せて考えますと、この際思い切って中層以上のアパートというものは別途の資金考慮をいたしまして、公営及び公庫の中からこの相当部分を引き抜いて重点的に思い切ってこれを進めるということと、今までやりました公営及び公庫の制度をできるだけ伸ばしていくということと、三本立で参ることが今申すようないろいろな角度からの住宅に対する要請にこたえ、住宅の推進、住宅促進の方策としてよかろうというふうに考えた次第であります。
  56. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、今大臣の御答弁にありました低家賃住宅を必要とする階層、それ以上の階層、それぞれの階層ということを一応頭にお入れになって公団の方もできたというように考えられるわけですが、まあ従来の民間住宅、いわゆる民間住宅の実績を、私資料を今持っておりませんけれども、見た記憶では、戦後の二、三年間に民間資金による、自己資金による住宅というものは数十万戸ずつ非常に急速に建ちまして、あと多少の波はあるにいたしましても、だんだん低下していっている。そこで、実際今住宅に最も困っている階層というのは、今おっしゃったような谷間の階層というよりも、まあ今日の日本状態ではやはり公営住宅程度の低家賃の住宅をほしい階層が一番大きいのではないか、こういうふうに考えられるのですけれども、それに対する資料的な説明、これは大臣からでなくてけっこうでございますから、どなたかから御説明いただければと思います。
  57. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありますが、私の先ほどの答えが十分でなかったと思いますが、今お話しのような趣旨考えて参りますと、やはりどこまでも公営住宅によるできるだけ低家賃の住宅を多く供給するということが、依然として私はやはり必要だということには何ら異議もなければ、そう考えております。ところが、先ほど申し上げましたように、その公営の方式を無限に拡大できるかといいますと、今の建前をとりますと、地方財政負担という点において制約がある。そこでこの公営方式に準じた方法をどうして考えていくかというのが公団方式でありまして、従って、公団方式一つの特徴は、公庫のような半額負担を地方に要請しないで民間資金をある程度補いをいたしまして、全額公団の負担において建てていくというところにねらいがありますので、いろいろ先般来、一戸当り国の負担が大きい、ぜいたくだ、もっとこれを薄く広く広げたらいいじゃないかという御意見が出てくるゆえんのものはよくわかりますけれども、われわれは地方負担をかけないでその分を中央の資金で負担をしていくというところに公団のねらいを特に持っておりますゆえんのものは、公営方式に準じてできるだけ低家賃の家に持っていきたい。しかしそれには中層アパートという、住宅からいえば最も近代化されたものをこれでやっていこうというところに、結果的に見ると、高い家賃の家になるじゃないかということでありますけれども、公営でいう低家賃の家を公団で作るという二重の政策はこれは要らぬことだと思いますから、それはあくまで公営の方でできるだけやるとして、公団はそれを補う意味において、従来公営の中でやっておりまして、非常に金をその方へ集中しかけておりましたところの中層以上のアパートというものを公団に引き抜きまして、その財政的な負担を軽からしめて、それを低家賃の家の方に向けて、そうして一方に公団でその分を補って、なおかつ拡充した中層アパートを公団でやっていく。従って、われわれの考えといたしましては、公営に準じた家賃に公団を持っていって、そうして公庫はそれより高くていいというわけじゃありませんけれども、実質的に個人の負担からいえばその方に行かざるを得ないという段階考えておりますので、いろいろ御批判はありましょうし、現実の家賃という段になりますと、公営の低家賃の家よりは高く見えますけれども、われわれの意図しておりますところの公営に準じたものに持っていきたいという考えであります。
  58. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいまの御説明で他の部分はよくわかったのですが、地方財政との関係ですけれども、今日の地方財政は、これはもうほとんど大部分国に依存しておる状態でございまして、地方財政が逼迫しておるとか逼迫していないとかいうことは、客観的にと申しますか、第三者的な立場からいうことではなくて、むしろ政府政策がそういうふうにしているのだ。もっと端的にいえば、地方財政が困っている、公営住宅地方負担にたえないということであれば、地方財政計画をもっと多くその方に見積りまして、そしてそれに対する譲与税、そういうものを見ていけば、これは簡単に——簡単にという表現は悪いのですけれども、簡単に片づく問題でございますから、地方財政の面だけからでは私は大して問題にならないのではないか。今おっしゃったように、地方財政にこの上負担をかけるかけないということは、国の方でその気になりさえすれば、これは大して問題にする必要ばないのではないかというように思いますが、これは大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  59. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) もちろん、お話通り、その地方負担というものはほとんど大部分というものは起債財源に待っておるという現実から見ますならば、これをどんどん必要なだけ与えればいいじゃないかということにもなるわけでありますが、これは政策全体の問題となり、中央、地方の全体の財政計画との問題になりますから、これは立場の違いといいますか、御議論を申せばいろいろありましょうけれども、現実の事態を考えて参りますと、これは住宅だけを完全に孤立した政策でもって行くということは、もちろん内閣の重点施策でありますから、現に今年度のごときも、困難ではあるけれども住宅の起債というものは最優先に考えて参っておりますから、ある程度のことは実現はいたしますけれども、これを無限大に住宅だけを引き離して財政計画考えるということは、今のわれわれの立場、今の現実といたしましては、これはおのずから限度があるということになりまして、政策立案の立場によっていろいろ違って参ろうと思います。従って、われわれとしては、現実の地方財政、中央の財政、一般金融情勢というようなものを勘案をいたしたその中で、住宅政策を重点的に扱う方法を考えて参ったのが、今度の考え方であります。
  60. 田中一

    ○田中一君 この資本金の関係ですが、これは政府がはっきりと六十億というものを資本金を出す、財政投融資をする。しかし四条の四項に、地方公共団体の出資というものは何ら明確にされていない。あなたはよく計画全体を見ると二万戸ということを言っておりますけれども、六十億じゃ二万戸はできません。そうすると、地方公共団体から幾ら来るかということが明確になっていないのです。ここには出すことができるとなっておるのですからね。出すことができるというものと、二万戸を作ることと、どういう具体性があるか。今湯山君からの質問もある通り地方財政がそこまで、たとえ若干でも投資をする余裕があるかどうか、非常に懸念されるのです。そこで二万戸というつじつまを合わすために、一応絵に描いた地方公共団体の投資というものを書いたのじゃないかと思うのです。そこで具体的にいつごろ幾ら投資されるかということは、目安がなければならぬと思います。この前も一ぺん伺いましたけれども、明確に御答弁がなかったのです。もう衆議院を通ったのですから、目安があると思います。目安を明確にされたいと思います。
  61. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは目安は初めからはっきりしておりまして、十六億というものは、地方財政計画の中に新規の分としてはっきりと、同じ住宅資金の中からも分離して計画を立ててもらっておりますように、この分は自治庁としても、この公団に伴う出資の資金として明らかに計画の中に入れておりますように、十六億ということは明瞭であります。ただ、法律に十六億ということを書くか書かぬかということになりますと、これは情勢が変って参りまして、地方ももっと持てるということになるかもしれませんし、また今お話しの、いつ幾ら出すのかということを明確にしないのほおかしいじゃないかというお話はごもっともでありますが、われわれが慎重に扱いましたのは、公団の設立を急がなければならぬという御注意も受けておりますように、半年の間に実行いたさなければなりませんので、まず六十億の政府出資をもってでも公団は出発させる。地方の方は地方の方でそれぞれ手続をいたしましたり、全部が一斉に揃うというのを待っておるために公団の設立をおくらすということになりますと、全体の事業に差しつかえますので、公団の設立は政府の資金だけでも出発する。第一日で全部一ペんに建てるわけではありませんから、そういう意味で法律は書いてあります。十六億は少くとも今年度の目標でありますから、それは漸次できるだけすみやかに地方から出してもらうという建前をとっておりますので、法律には今御指摘のように十六億をいつ出すというふうにわざと書かなかったゆえんのものは、ねらいが公団の設立をすみやかに行おうという趣旨でありますので、御了承いただきたいと思います。
  62. 田中一

    ○田中一君 どこがどのくらい出しますか。
  63. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは当初の考え方は、東京、大阪、名古屋等の大都市中心に必要に応じてそれぞれ話し合いで持ってもらうというつもりで考えておったのでありますが、衆議院建設委員会等の付帯決議にもありますように、公団建設はそういう限られた都市だけにやるべきでない、できるだけ地方の要望に沿うように必要な所には分散をしろという御趣旨もあります。また今後参議院の御意見等もよく伺いまして、実際に合うようにこれを持って参りたいと考えますので、今のところ、大体の方向としては前に考えたようなことを思っておりますが、それにとらわれないで参りたいと思いますから、今のどこにどれだけという割当を、具体的にはいろいろ考えはありますけれども、きめておらぬような次第であります。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、今の地方公共団体の負担と地方財政計画との関係でありますが、これは現在の状態に立てば大臣の言われることは肯定できると思いますけれども、今日の地方財政は今の状態であってはならないということは、もうこれは今の政府も十分お認めになっておりますし、来年から改めていこうということは、自治庁長官も大蔵大臣も言っておられます。そういたしますと、現状に合せて作ったこの公団法が、来年地方財政制度全般にわたっての改正が行われた場合に、また不適当になってくるというようなこともあるいは考えられるのではないか、こういう心配があるのでございますが、この点はいかがでございましょうか。来年もしそういうことになれば、また考え直す余地があるのでございましょうか。
  65. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは建設省だけで地方財政をどうこうするわけにはいきません。お話しの点はよくわかりますが、私は全体を眺めた考え方として、今自治庁長官や大蔵大臣の心配いたしておりますことは、ある意味においては膨張し過ぎた地方財政というものを中央との関連においていかに整備していくかということと、今までできた赤字をどう処理するかということが、まず前提にならなければならぬということを考えますと、来年度以降におきまして地方財政が、またこれは政策の立場を異にして根本をかえれば別問題でありますが、今の状態をわれわれの立場で考えて参りますと、急激に地方財政にゆとりができて何ぼでも負担ができるというようなことは、私は少くも考えられない。従って、むしろ地方財政というものの整備をいたすという立場からいうならば、いろいろな地方財政への負担を政府がこれ以上拡大をむやみにしていくということはむしろ困難になってくるのではないかということすら、憂慮を私はいたしておりますので、今度も道路のいわゆる地方負担を思い切って減額したり、住宅政策についても、多少消極的だという非難は受けても、こういう考え方をとりますゆえんのものは、今後十カ年計画考え住宅政策をやっていこうというのに、今年だけの考え方ではいけませんから、そういう意味で十分将来の地方財政ということを考慮に入れて考えたつもりでありますので、むしろ私は公団方式というものによって地方財政にこれ以上負担を多くかけていくというやり方でない方法をあわせてやっていくという必要は十分あるし、公団方式について少くも、五年、十年、二十年先のことは別といたしまして、来年度直ちにこれに大きな変更を加えなければならぬということは今日考えておりません。
  66. 湯山勇

    ○湯山勇君 私はこの地方財政に対する改正の要点は、大臣の言われたこともあります。もちろんありますけれども、一番大きなものは、今後赤字をどのようにして出さないようにするか、どのようにして地方財政を健全にしていくかということであって、その要点は、必要なものには出し得る、そうして不必要なものは削っていく、こういう意図が多分にあると思います。そうなってくれば、これだけ政策としても重要な政策であるし、また国民もこれだけ望んでいる住宅などの費用は出し得るようになるのが、地方財政健全化の一つのねらいではないかということも考えられますけれども、この点につきましては、なお固まったわけではありませんから、別の機会にまた細かくお聞きしたいと思います。  次に、総括的にお尋ねいたしたいのは、今度の公団法では、ただいま大臣の御説明になりましたように、地方負担を中央負担に振りかえる、あるいは公営に準ずるというような御説明がございましたが、私は非常にやはり、いろいろ今までに他の委員の方からも御質問がありましたように、非常にまあこの公団に対する大臣の権限でございますね、これが大きいと思います。たとえば、ちょっと拾いましただけでも、大臣の承認事項というものは、公団予算、資金計画、事業計画、財務諸表、借入金、これはもう全部大臣の承認がなければできません。それから認可事項となっておりますものは、この人事、資金、定款、事業、土地区画、この全般にわたりまして、たとえば長期、短期の借入金、住宅債券、それから資本金の増額、定款変更、それから総裁、理事等の任命に関する認可、それから業務開始の認可、業務方法書の認可、土地区画整理施行規程の認可、事業計画、それからさらにまた事業計画については大臣が修正命令を出す、それから事業計画についての意見聴取、これは大臣がする。さらにまた大臣はこの公団に対しては命令する権限を持っており、報告をとる権限を持っており、立入検査の権限も持っております。さらにまた監理官制度というのがございまして、経営一般の監督をする。それからさらに大臣の任免権が監理官、総裁、監事に対してありますし、それから給与、退職手当の支給基準、これの変更等は大臣の承認事項となっている。こういうことをずっと見て参りますと、これは公団独自でやれるという面は一つもないことになるわけであります。公団が単独で自主的に計画し自主的にやっていけるところというものは、もうこれはこの住宅建設の全面にわたって一つもないというのでございます。こうなって参りますと、果してこの公団という民間団体形式をとることが妥当かどうか。ここまで大臣の、何といいますか、権限がもう端々まで行きわたっている、職員の給与に至るまで大臣の権限、こうなって参りますと、もうむしろこれは政府機関であって、公団という性格ではないのではないかと、極端にいえばそういう感じを持つのでございますが、この点については他の例もみなそうだということをおっしゃいますけれども、他の例がどうであるにいたしましても、ここまできておれば、もはやこれは公団とかという性格じゃなくて、政府部内のものとか、もう少しゆるめてもせいぜい公社ぐらいまでのものではないかというふうに感ずるのですが、これについては大臣はどのようにお考えでございますか。
  67. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありまして、法律に書きますとえらいかた苦しくなるわけでありますが、私の気持は、建設大臣が何も一切を引っぱり回すという考え方で法律を作ったのではございません。できるだけ、現業の公団でありますから、現業の公団が十分に働きやすいようにするという考え方をもとにいたしていることには……。率直に申し上げますが、ただこういう法律は戦後いろいろな型がありまして、こういうものだけを特に型破りにするということもなかなか法律立案の技術として困難でありますので、むしろ反対の理由を見つけるのに厄介なような始末でありますから、一応従来の型をもとにして仕組んではありますものの、私の気持を申せば、できるだけ自由闊達に早く家を建ててもらいたいという運営をいたすべきだと、だれがかわりましてもそういうものだと考えておりますが、しかし一面におきましては、これは政府が大部分の財政負担をいたしますし、また一方からいいますと、ただ家ができればいいというのではないのであって、公営に準ずるようなできるだけ安い家を国民の要求に合うように作っていかなきゃならぬ。それには勝手な家を、ぜいたくな家を作っていいというわけではありませんから、そういう点でやはり政府政策をこの公団の実行の面においても規則をいたしていくということは、政府が財政負担をし、政府政策としてやる以上は、これはやむを得ないことであってその点をどうでもいいというわけには参らぬと思いますし、また一面、世間からもいろいろ御批判がありますように、過去のいろいろな公団等のことについて今後の心配をされる向きもありますから、われわれはあくまでこういう国民の税金でやる仕事でありますから、何ら世間から疑惑や心配を持たれぬように、あくまで厳正に事業の遂行をいたすためには、政府も当然に責任を持っておりますから、監督については万遺憾なきを期して置かなければならないということがありますし、また土地区画整理事業という特別の権限をこれに与えておりまするから、このことに関しては土地区画整理事業そのものの根本の性格からいたしまして、公団の勝手にまかせるわけにはいきませんから、これも基本法との関連におきまして、建設大臣は二重の資格においてこれにそれぞれの権限を留保して置かなければならないというようなこと等がありまして、大へん建設大臣のことばかりうたっているようで恐縮でありますけれども、これでも必要最小限度にとどめたつもりでありますが、なお運営に当りましては、もちろん、御趣旨のように、いたずらに政府がのさばり出て、実際の事業に支障を来たすというようなことのないように努力をいたすつもりであります。
  68. 湯山勇

    ○湯山勇君 今お話しの中の前段、自由に早期に住宅を建てるということだけから考えますと、事業計画その他一句大臣の認可、承認、そういうことを必要とするということは、自由に、そして、早く家を建てるということとは、むしろ逆になる可能性が多いと思います。それから私は、こういう住宅に対して大臣の責任、監督というものがなくてはならないものだということについては同じ意見でございます。むしろ私は、もっと積極的にいえば、公団の一切のことは大臣の責任だと、こういう建前が必要だと思いますから、この権限についてとやかく言うのではなくて、むしろ、これだけの権限、責任を持つのだとすれば、公団というような形をとらないで、建設省の特別会計、住宅特別会計なら特別会計というもので、明確に直接大臣が責任を持っておやりになる、あるいはそこまでいかないにしても、公社というような形にすれば、やはり公団よりももっと大臣の責任、こういうものは明確でございますから、公社という程度のものでやっていく、この方がむしろ、今日の公団の内容、実質から見て適切ではないか、こういうことをお尋ねいたしたいのでございますが、公社にするとか特別会計にするとかいうことについては、御検討になられましたでしょうか。なられたとすれば、そうした場合、どういう点が不都合だということがございましたならば、御説明いただきたいと存じます。
  69. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありますが、公社のことも、あるいは特別会計のことも、特別会計は事実がありませんでしたけれども政府が直接やったらどうかということも、一応御意見としてはよくわかります。ただ、率直に申し上げまして、住宅地方との関連を抜きにして政府が直営でやるという考え方も、立場の違いで、決して私は否定的な意見を持つものではありませんけれども政府のいろいろ自分の役所を作るだけでも、なかなか民間がやるようには簡単に参りません。まして、個人の住宅政府が直接作っていくという考え方が、果して今の役所機構として適当であるかどうかという点については、私はどうもあまり適当でないと考えて、特別会計の考え方はとりません。  もう一つ、公社あるいはもっと政府機関に近いものにしたらどうかという考え方、これもごもっともでありますが、そのやっていきますについて、消極的な理由にはなりますけれども民間の資金を入れたり地方の出資を求めたりという、この住宅に伴って少し形の違った組み立て方を考えて参りますと、どうも特別会計または公社という制度には、やってやれないことはないかもしれませんが、非常に建前上、立法上、非常に複雑なまた困難がありまして、やはり自由に民間資金を入れ、また地方負担も適当に地方との責任の分担をいたしていくという建前をとるには、この公団が最も、研究の結果適当であると、かように考えた次第であります。
  70. 湯山勇

    ○湯山勇君 すべてを国でやるということには問題がある、それはたしかに全部を国がやられるということであれば、問題ですけれども、すでに公営住宅というのがありまして、これはもう地方と一緒になってやっていく。そうすれば、この計画でいけば四十二万戸の中のわずか二万戸でありますから、この程度のものを国でもって機動的に配置していくということには、むしろ事宜に適したやり方であるとも言えるわけでございますし、また特別会計と  いうのは、これは御検討になっていらっしゃらなかったとすれば別ですけれども、実は、今度アヘン特別会計というのができております。これなんかは、昨年初めてわずか一億そこそこでしたけれども、入れたものさえも特別会計にするくらいで、特別会計をふやすふやさないという基本的な問題からいえば、これは問題になると思いますけれども、今の政府は必ずしも特別会計というものについての確固たる方針はないと私は見ております。とすれば、それこそ運用によって、これを地方とのつながりをもって特別会計なら特別会計でやっていくということは、決してこれは、困難なことではないと思いますが、あるいはまあ特別会計にいかないにしても、公社にいたしましても、公社が地方とのつながりがとれないという性質のものではなくて、すでに公営住宅で十分地方との提携をし、その調整用として公社がその間にあってやっていく。公社ならば、民間資金の導入ということは、すでに他の公社にその例がありますように、国鉄にいたしましても、あるいは電電公社にしても、民間資金はどんどん入れておりますから、この点も私は今大臣が言われましたような心配はなくて済むのではないかというように考えますが、重ねてこの点についての御意見を伺いたいと思います。
  71. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 国鉄、電電公社の例をお引きになりましたが、私の基本的な考え方は、これは立場の相違で異なってくると思いますが、住宅は従来もいわゆる公営住宅の形で考えられますように、できるだけ地元の機関が責任を持つといいますか、その住んでおる人に密着をした施策をすることが実情に合うのであって、政府が直接立って分譲をするといったような行き方は、住宅政策では私はむしろ反対の感じを持つものであります。しかし、住宅政策政策として強調をいたして参るには、政府が思い切って乗り出さなくちゃならぬ。そこの乗り出し方と同時に、将来住宅の管理等をすることをあわせて考えますと、政府が全面的に乗り出すべきものではないということを考えますので、これ以上は見解の相違になろうと思いますが、さようなわけでありますから、国鉄とか電話とかいうように、政府が実は今まで政府の直営でやってきたように、政府がみずからこれを持つべきものだという建前のものと、住宅のようなものとは、これはどうも私は同じには考えられない、しかも国鉄及び電電公社も、民間が出資をしておるのではありませんので、民間の資金を公債の形において受けとめていくということには、これはもう、何ら、公共企業体であり独立採算制をとる以上は、どこまでやったってもいいわけでありますが、住宅公団もさような意味において、現在は出資とそれから民間資金の借り入れに求めておりますが、将来も住宅債券の発行等も法律考えておりますように、そういう建前には進んで参りますけれども、私はやはり政府がこれを最終まで管理をしていくというような形だけを強調するよりも、できるだけこれを地方に結びつけて考えて参りたいということの意味において、この際地方の出資を求めておる。金額は多くは望まないけれども地方の出資を求め、また運営に当っては地方代表をも加えるという細心の注意をいたしておりますゆえんのものも、住宅という性格から来ておるつもりでありますので、御意見ではありますけれども、私は国鉄並みにやっていくことがいいかどうかということについては、若干考えを異にいたしておるわけであります。
  72. 湯山勇

    ○湯山勇君 私はまあ、大臣は非常に大きな立場に立っての御答弁でございましたけれども、私もそこまで立ち至っての質問を申し上げたわけではなくて、この法律案全体を見渡して、最初申し上げましたように、非常に大臣の権限、これが大きい。そしてそれに対しては大臣は、そういう責任と監督とは大きくしたい建前でおる、こういうことでございましたから、そういう立場を肯定して、そういうお立場に立つのであれば、ぜひむしろ公社なりあるいは直轄の方が趣旨が徹底するのではないかということで、別にすべて国家管理方式とかそういうことでお尋ねしたわけではないのでございますから……。この点はしかし、実際私もそこまで立ち入って御質問したいのでございますけれども議論になりますから、これはこの点までにいたします。  次に、やはりこれと関連して、公団に入った職員、政府機関から入った職員の特別な措置がございます。この措置に反対の立場ではありませんけれども、こういう例はほかにございますでしょうか、他の公団について。
  73. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 詳細は官房長から答弁してもらいますが、例があるといえばあるし、それから今度こういう形においては実は新例を開かせるために、一カ月以上もこの一点だけで実は法律がおくれたほど、率直に内輪を申すと、苦心をいたしたわけであります。まあ役人のことばかり考えて、そんなことばかり力んでおるのはおかしいではないかということをおっしゃられればそれまででありますが、私はやはりこの仕事をすみやかに、またスムースに、政府政策とマッチして進めていくためには、民間と役所とが人事の交流をできるだけいたして、その間に十分政策——法律の権限などに基かないで仕事をスムースに進めていくためには、こういうことがぜひ必要であるというふうに考えまして、部分的には新しい新例を開くほどこのことには考慮を払ったような次第でありますが、しかしこれは公団あるいは住宅政策の根本の問題からいえば、派生的な問題でありまして、まあそれだけを力んでおるわけではもちろんありません。同時に、これにはいろいろ将来の建設行政の運営等も、あわせて考慮をいたした点もあることを申し上げておきます。
  74. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうような措置をとられる趣旨もでございますね、いわゆる公団という概念ではなくて、もっと政府の責任、あるいは公団というよりもむしろ政府機関に近いということの、一つの事例になるのではないかというようなことも考えられるわけでございます。  総括質問として最後にお尋ねしたいのは、そこでもし公団計画された二万戸の住宅を建て得なかった場合は、その責任はどうなりますか。そうして建てられないような場合、建てられそうにないというときに、大臣はどういう処置をおとりになりますか。公団計画遂行に対する大臣の立場、そうして責任、そういうものを最後にお尋ねしたいと思います。
  75. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは現在の段階におきましては、私が一切の政治的責任を負うべきものだと考えております。理屈をいえば、公団ができてからはその事業の執行は公団の総裁によって行うわけでありますから、部分的な問題はいろいろ起るかもしれませんけれども、しかし全体を総括をして政治的責任はすべて私にあると考えておりまして、今お話しの通り、私も決して安易に考えておるわけではありませんけれども、これは政府政策として何としてもやりとげなければならない。また私は諸般の御審議の御決定をいただきますならば、すべての準備をし今日までのことをすみやかに、準備態勢に入ってゆきますならば、私は今の情勢から判断をいたしまして、なし得るものと考えておりますので、その後の責任はどうするかということについては政治的には考えなければなりますまいが、今のところ別に具体的に考えてお答えをするということは考えておらぬようなわけであります。
  76. 田中一

    ○田中一君 この公団住宅に入る人たちは、一応住宅に困窮する勤労者という工合の定義づけでございますが、建設大臣も勤労者の定義というものを、これは今後の運営に、これが出発する場合に運営に非常に支障がありますから、詳細に収入の点、それから職業の点、あるいは年令があるなら年令、家族の構成員数、そうしたものを、あなたが頭に描いている勤労者の定義というものを具体的にお示し願いたいと思います。
  77. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは率直に申し上げますと、今までの段階に、公庫及び公営の制度において進歩の過程を見ますと、いろいろな形において住宅政策がその時期に応じて変ってきております。戦後の混乱時代、何でもいいからすぐ家を必要とするといった時代、それからだんだんと安定してきて、また収入の点で階層の差等もだんだん激しくなってきて、インフレを経たデフレの段階に入ってきておるというような、その時期々々に応じていろいろ要請が変ってきておる。しかし住宅に関する限り、家のないものがほしがるということにおいては一貫しておりますけれども、そういういろいろな段階を経てきておる。それに応ずる住宅政策の変化を考えてみますと、漸次、国民生活の安定に伴って、できるならば文化生活といいますか、生活環境のいい住宅を求めてきておる。一方また世間も、国費を費す以上は耐火性の家を建てろという要請、そういうことがいろいろ総合されまして、公営及び公庫の中で今一番中心的な形をとってきたものが中層アパートであり、その内容からいえば、勤労者住宅、産労住宅といった形のものが、進歩の一番先端をとってきたというふうにわれわれは見ておりますが、これらのものを資金的に、ただ今の二つの建前に集中するということでなしに、こういう自然的に進んできた形のものをこの際公団という形に取り上げて、これへ特別の資金処置を講じてやってゆこうというのが、実は経過的に来た政策の持って行き方でありまするので、従って、いわゆる産労住宅相当部分はこれへ実質的に移したりいたしたことから考えまして、勤労者という意味は、実質的には従来の産労住宅考え方というものをとっておることは事実であります。で、そういう基本的な考え方でありますから、今御指摘のように、年令、職業あるいは収入の点等の考え方はどうかとおっしゃられれば、これはいずれ御審議の過程を経て御決定をいただけば、その線に沿うて政令あるいはその他事業計画等で、公営及び公庫に準じて、この公団の立てるべきねらいを具体的にきめて参るつもりでありますから、そういう点で今どう考えておるかといえば、ある程度のところは官房長から申し上げて差しつかえない。考え方は、率直に申しますが、今いろいろ御審議の過程を経て、漸次コンクリートになってゆく前に、これをきちんと、公営に準じて、何才から何才というようなことをどこまできめることがいいのかということについては、われわれは慎重に考えたいと思いますが、大まかなねらいは従来の産労住宅等の考え方を拡大をいたして参るという点で、ことさら変った層を考えたり、またやり方を考えたりはいたしておりません。
  78. 田中一

    ○田中一君 産業労働者住宅資金融通法では、目的はこうなっておるのです。「この法律は、健康で文化的な生活を営むに足りる産業労働者住宅建設しようとする者に対し、産業労働者住宅建設に必要な資金の一部を長期且つ低利で融通することにより、その建設を促進し、もって産業労働者の福祉の増進と産業の発展に寄与することを目的とする。」住宅金融公庫法はこうなっております。「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こうはっきりしてあるのですね。それでこれは「住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、」「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」こうなっております。そこでこの住宅困窮者に対しては同じような目的を持っておりますけれども、少くとも産業労働者住宅資金はこれは全然目的が違うのですね。これをはっきりと住宅に困窮する勤労者、従って、同じようなものでありながら、対象がおのずから違ってきておるのですね。住宅金融公庫は金のない者、これは家があってもなくてもかまわないのです。文化的な生活を営みたいという人は金を貸してやる、こういうことなんです。従って、この三つの法律考えますと、おのずから対象というものが変ってきているのです。  そこで、この三つのものを、この公団ができて、この住宅金融公庫法並びに産業労働者住宅資金融通法から関連して、この公団法の対象とする勤労者とは何であるかということを御説明願いたいのです。それは長いことは要りませんから、これに入れようとする、これを分譲しようとするところの勤労者とはこういう層で、こういう者だ、ということをお示し願いたいのです。
  79. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 端的に申せば、今の御指摘になった産労住宅の対象になるものと、ここにいう「住宅に困窮する勤労者」と、私は違っておるつもりはありません。ただ、法律の書き方が、産労住宅の資金の供給をするためにこういう書き方をし、また公団は御指摘のようにほかの目的、宅地の造成とかあるいは集団的な耐火性の住宅を建てるんだとかいう別の目的を表わしておるものですから、一番重なるところは、御指摘のように、住宅に困窮する勤労者ということで、住宅に困窮する勤労者という範囲は、公営住宅の場合も、それから今の産労住宅の場合も、公庫の場合も、私はそんなにえらい食い違いがあるものとは考えておりません。
  80. 田中一

    ○田中一君 えらい食い違いがあるのですよ。住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足りる住宅建設に必要な資金で、銀行その他から貸してくれないから、貸してくれない者に貸してやるということにあるのです。これは何も住宅困窮者じゃなくてもかまわない。あんたのような立派な家を持っている人でも——立派でないかもしれないけれども、(笑声)借りれば借りられるのです。こうなっているのです、住宅金融公庫の資金というものは。これが産業労働者の場合は、これも決して住宅困窮者になっていないのです。産業の発展に寄与することが最終の目的なんです。「もって産業労働者の福祉の増進と産業の発展に寄与する」というところに持っているのです。いわゆるその社宅建設というふうなんですね。社宅なんですね。その職場に準ずるものという思想なんです。従って、公団には新しく今度は「住宅に困窮する勤労者」、これはわが意を得たりなんです、私に言わせれば。あとの二つの法律にはそういうことはないのです。ここで初めて「住宅に困窮する勤労者」ということが……。これは私ども出しておりますけれども日本分譲住宅公社法案でもはっきりうたっております。国設住宅法案にもうたってあるのです。これがわれわれと一致するところです。  ですから、どういう階層を対象とするか、作文が違うくらいのものじゃないのです。根本的な目的ですよ。この法律を作るための精神なんですよ。あとは枝葉なんです。そういうものをごまかし半分の答弁ではいかぬですよ。法文がちょっと、書きそこないか書き足りないか知らぬけれど革、そういう答弁ではいかぬですよ。あなたがもし住宅政策に対して建設大臣としての責任を持ち、ほんとうに信念を持つならば、この三つの法律に対する目的、精神というものを明確におつかみにならなければならない。あなた、それでは法文をお読みになるにすぎないのですよ。そんなものではないのですよ。この三つのものをよく目的を消化なすって、そうして「住宅に困窮する勤労者」というものの定義をはっきりとお示し願いたい。
  81. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、決して私は安易に申したわけではありませんが、現実の事態、まあ法律を作ったときの環境なりそのときの立案者の気持等がいろいろの表現になっておりますから、今の三つの中で、文章からいうと、食い違いがあるように感じますが、御承知の通り公庫も、公営も、産労も、その法律を運用する場合においてはここにいう「住宅に困窮する勤労者」というものを対象に現実にやっておることは事実でありまして、私はそういう気持で、この間に法のネックとするところに食い違いはないと申し上げたのでありまして、なるほど法律の条文だけからいうと、表し方にあるいは違いがあるかもしれませんが、私の今回のこの法案の意図するところは、現実に今までやってきておりますような産労住宅のねらいは、その三ついずれをとりましても、住宅政策に関する限り、書いてあろうとなかろうと、住宅に困窮する国民住宅を供給するということには間違いないわけでありますから、そういうことを大前提とする限りにおいては、そう食い違いはないつもりであります。  ただ、ここでお答えになるかならぬかわかりませんが、御議論の焦点は、勤労者という範囲をどう考えておるかという法律的のお尋ねと考えますならば、これは私は、少くも勤労者というのは財産で食っているような資本家でないということでありまして、法律上のこれはテクニックとしては、いろいろ言い方によってはあるようであります。あるようでありますが、ある意味においては、これも勤労者という言葉を法律に使ったのは、これはかなり新例のようにも考えております。
  82. 田中一

    ○田中一君 そうして産業労働者住宅資金融通法の資金はどうなっておるのですか。
  83. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御承知のように、公庫の中には、産労住宅に当る分も現存はいたしております。しかしながら、その中で相当部分をこの公団の方へ移したということも、移すという考え方で来ておることも事実でありますから、その法律に当る分というものは、公庫で現存した制度でやっております。しかしそれだけではどうも頭金が多過ぎて実情に合わないという点もありますから、それも制度として法律がある以上、また要求がある以上はやるべきですが、しかしある意味において、今までやってきた産労住宅の欠陥を補う意味において、公団においては頭金のない全額資金をこれで引き受けてやっていこうという趣旨でありますから、産労住宅考え方を、これでもう一段飛躍させたつもりであります。
  84. 田中一

    ○田中一君 これは石破官房長に聞きますが、住宅金融公庫の投融資のうち、今度は三十年度は産住に貸し付けられる分はいかがです。
  85. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 昨年の一万戸に対しまして、今年は七千五百戸を予定いたしております。
  86. 田中一

    ○田中一君 住宅金融公庫の投融資の中から、産住に貸し付ける分が一万戸分ですか。
  87. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 七千五百戸であります。
  88. 田中一

    ○田中一君 そうすると、それに対してプラス・アルファ二万戸という考え方ですね、建設省は。
  89. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういうつもりであります。
  90. 田中一

    ○田中一君 この住宅に困窮する勤労者というのは、非常に多く過大評価しておるのです。これは非常にけっこうなことだと思うのです。ですから、ただこれを限定せられるものは、こういうことになりますね、あなたは常に産業労働者住宅資金融通法、産住の分もこれはできるんだとおっしゃっているけれども、これはここにはっきりと産住というものの融通法では七千五百戸というものを融資するのである。そしてあとこれを除いたものが住宅に困窮する勤労者なのか。いいですか、これも含まれているものなのか。もし含まれているとしますと、住宅金融公庫から借りられる人の方の負担が大きい。あなたが言っている通り、片方は四割五分の金を出さなければ借りられない、こっちは全額で借りられる。そうなりますと、どちらかに殺到するんです、申し込みというもうは。その調整はどうするつもりなんです。
  91. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはお話通り、商売人のことですから、損得勘定、そろばんをはじくでありましょうけれども、私は産労住宅にもまたいいところがあって、制度を作りましたから、この七千五百戸の産労住宅というものはこれは計画的に十分にやっていけると考えております。この中には木造もあったり、いろいろの種類がありますから、産労住宅の方にはそういうものもそれぞれ地方の要請に応じてやってやることが親切だと思います。一方住宅公団は、先ほども申すように、中層アパートというようなシステムを前提にして考えておりますから、それに合ったものはこっちへ来るかもしれません。その辺はまあやってみにゃわかりませんけれどもお話通り公団の方に殺到するかもしれませんが、また産労住宅の方の希望も、会社のやり方から見れば出て参るでありましょうから、これは新しい制度でありますから、まず両建でやってみまして、実際の実情に合うように、国民の要求に合うように、私は運営の面においても考えなければならぬし、またことしの実行の結果に基いて、来年度以降についても考え方、その分に、何といいますか、調和というものを考える必要はあろうかと思いますが、今の段階では、これは両方両建でやって参ることがよかろうということで、こうやっておるわけであります。
  92. 田中一

    ○田中一君 官房長に伺いますがね、厚生年金ですね、あれは幾らの予算で幾ら出ているか。私が調べてもいいんですが、おわかりでしたら教えていただきたい。
  93. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 詳しいことは覚えておりませんが、三十年度におきましては、三十億程度の金をもちまして約六千戸の家を供給しよう、そういう計画に相なっていると思います。
  94. 田中一

    ○田中一君 建設大臣は、今の厚生年金の勤労者厚生住宅という、この三十億の予算で国が八〇%の融資をして、そうして民間が二〇%を出してやるという、六千戸の計画。これはどういう御見解を持っておりますか。
  95. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは前年度以来の計画でありまして、当然住宅計画の中にわれわれは考えております。十分連絡をとってやるつもりであります。
  96. 田中一

    ○田中一君 こうして私が解明してみますと、一体住宅建設というものですね、住宅供給という施策が、実に多岐多様にわたるんですね。これはおそらく一ぺん聞いたんじゃわからぬでしょう。実に多岐多様にわたるのです。条件がことごとく違うのです。同じことは一つもないんですよ。これはまあ大臣も否定できぬと思うのです。厚生年金の厚生住宅は産住で六千戸、これは貸付が八割、いいですか、産住の方が五割五分の貸付住宅金融公庫は七割五分の貸付公団が今度は全額国が負担しようというのです。このように非常に多岐にわたっておるのです。あなたは一体、この公営住宅の二分の一で産労住宅ができる、二分の一ないし三分の一で。これはあなたは一体、建設大臣として、このどの方式が一番いいと思うのです。
  97. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはおのおのの考え方でまた違ってこようと思います。全部一本にして、全部国家が持つとか半分持つとかいうことの方がわかりやすいし、公平感からいえばその方がいいと思いますが、私は住宅のような、いろいろ国民各層に応じて、ただ貧困者だけにやればいいというものでない、この住宅政策はある程度の幅を持ったものでなければならぬ。しかし金持ちに何も政府心配してやる必要はないのでありますけれども、勤労者の層までと申しても、いろいろな層があるわけでありますから、ある程度負担力のある者、負担力の全くない者、その中間の段階に立つ者、あるいは多少の資金の、商売人と月給取りとは資金の裏打ちがまるで違っておりますから、そういうそれぞれの国民の層に合うように持っていかなければ、私は住宅政策は広く行えない。それにはなるほど、御指摘を受ければ、いろいろな種類があり段階があるのはおかしいじゃないかと言われればそれまででありますが、それが私は住宅政策の実体であって、歩をよくすることに何もちゅうちょするのじゃありませんけれども、ある程度金を持っている者には十分でなくともある程度の援助をしてやり、全くどうにもならない者には国家が最大の供給をしてやり、その中間の者ということを考えますと、今御指摘がありましたけれども、七割あり、八割あり、十割あり、いろいろなものがあってしかるべきものだと、またそれでなければこの際急速に国民のいろいろの層の要請に応じた住宅の供給はできないと考えまして、私は無理にこのいろいろな制度のものを極端に一つに統合をするという考え方には立っておりません。
  98. 田中一

    ○田中一君 少くとも四十二万戸の住宅を建てるなんという公約をしている民主党の内閣が、このように繁雑多岐にわたる対象を、国民というものを何と考えているのか。あなたは一体、貧乏人とか貧しい者と言いましたね。貧乏人とか貧しい者という定義をどう解釈をしているのですか。金持ちとはどういうものをさしているのですか。一体、五万円の収入を得ている者でも、十人の家族のいる者は、一人当り五千円ずつです。それがもし住宅がないなら、この人こそ住宅困窮者だとわれわれは認めているのです。一体建設大臣はあまりに野放図もないことをおっしゃるけれども、もう少しあなたが背負わなければならないところの住宅政策というものをもっと分析して、そうして一番いいというものを、これが一番いいのだというあなたの理想、アイデアというものをお示し願いたいと思うのです。そういう解釈の問題とか、相手が金持ちとか貧乏人だとかいう問題じゃないのです。
  99. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、私も言葉が不適当であったか知りませんから、その点はお許しをいただきたいと思いますが、私の申す意味は、住宅政策を急速に進展をさせるためには、統一をするということも一つの見解でありましょう。しかし、私はいろいろな層から、いろいろな種類の資金を住宅へ投入をさせるということをいたしますためには、これを政府が全部一元化してやるということも一つ考え方とは思いますが、私はむしろそれぞれの資金の性格に応じまして、それぞれのねらいに出ていくということ、それが全体的に総合をされておりますならば、住宅対策としてはそれでいいのだろうと考えておりますから、あえてこれを無理に統一をするということをいたさなかった。それはむしろ私はこの際の住宅政策の持って行き方として適当である。決して負け惜しみを申すわけじゃありませんが、そういう考え方に立ったわけであります。
  100. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと関連して……。今のお話を聞いておりまして、各階層というものが相当今度の住宅政策では重要な要素になるといるように承わったのですが、住宅政策上、まあ国民の階層をどういうふうに考えておられるか。もっと具体的にいえば、今日住宅難、住宅難といっておりますけれども、その住宅難の状態が、今政府考えておられる階層別によってどういう状態になっておるか。そういうものについての数的な資料は建設省としてお持ちでございましょうか。お持ちであれば、これはぜひこの住宅政策全般についての審議上資料としてお出しいただきたいと思いますが……。
  101. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実はこの間も申し上げましたように、ほんとうの基礎資料というものにはわれわれもきわめて不十分であります。そこで、今度約二千万円で、今お話しのような点等を合せまして、住宅全体の基礎資料を整備いたすつもりでありますので、現在あります資料については何でも御要求に応じて出しますが、これは今御要求のような点をぴったり全部われわれも満足するような的確な資料とは考えておりません。  それで、私は政治政策的に考えれば、そうむずかしく理屈を考えておりませんが、住宅に困窮するという者は国民のいろいろな層にあるだろう。ただ、そのいろいろな層のうちで、この法律でもいっておるように、政府がそれを対象に考えなければならぬ、政策の対象としなければならぬものは、勤労者という言葉で表わしている中には、いわゆる高級生活者はもとより、中小企業者も農業者も、極端にいえばみんな、その他の職業の人も含まれてしかるべきものだと考えておりますから、そういうふうになって参りますと、農業者に対して今開拓の住宅を供給したり、今の厚生年金を対象としてその関係者には厚生年金の資金が住宅に回されたり、今度の保険会社の資金が公団を通じて住宅に回されたりということになって参るわけでありますから、それらを全体としてねらって一おるところには、それぞれいろいろ、若干の目標がいろいろに分れておるとは考えますけれども、そうして政府政策対象になりますものは、いわゆる勤労者層というものに政府政策を向けていくという考えであります。
  102. 田中一

    ○田中一君 この「住宅に困窮する勤労者」という目的がはっきりしたので、私は喜んでおるのです。今までの産労住宅やそれから住宅金融公庫の層と違って、まあ少くとも竹山建設大臣は改進党以来革新派と目されておる方であって、われわれの意図するところの勤労者大衆に対する施策を持った、また表現したのだということで、喜んでおるのです。  しかしながら、今御説明をお伺いすると、なかなかぼやけてくるのです。従って、特定なるだれかを、特定なる階層を目ざしておるに違いないのです。もしもあなたが言うように、後者のものの場合には、住宅金融公庫もあれば、あるいはしいていえば住宅金融公庫の定義になっておりますところの銀行で融資をしないものの階層というものもあり、住宅金融公庫あるいは銀行で融資をする階層もあるのです。こういうものには、あなたは考えておらないと思うのです。従って、住宅困窮者という中にもなるほど幅がございます。幅がございますが、あらゆるいろいろな形で幅を持ち、法律でもって住宅建設の促進のために手を打ってある。打ってあるが、公団の場合にはすっきりとした姿でもって、「住宅に困窮する勤労者」こういう定義を下されたということに対しては、尊敬はしておるけれども、御答弁を伺うと、なかなかあいまいになってくる。従って、これは今ここでもってあなたと押し問答をしても困るのであって、一つお帰りになりまして、あなたは革新派なんだから、民主党の。従って、お帰りになって、これに関連するところの法律はたくさんある、住宅供給政策はたくさんあるのですよ。これはよくお調べになって、これは根本なんですよ。もしここであいまいな答弁をなさるならば、われわれももう少し深く審議してゆかなければならぬと思うのです、これは。
  103. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) その点は、私の答弁がまちまちじゃないので、御質問に応じて申しておるつもりなので、先ほどはいわゆる住宅政策全般の目標階層とかいう御質問に対して申し上げたから、農業者や中小工業者、いろいろ申したので、ここにいう住宅公団の「住宅に困窮する勤労者」というものは、このやろうとする目標がもっとしぼられておりまして、農村にまで集団アパートを作るのじゃないので、やはり大体住宅の足りない、集団住宅を建てなきゃならぬ地帯というものは、新しい市街地まで作ろうということを考えてゆくことからして、おのずから限定されて参りますし、耐火性のある集団住宅に住むものといえば、これはおのずから限られて参りますから、そういう意味で、この公団のねらう「住宅に困窮する勤労者」というものは、そう私が野放図に広く考えているわけじゃないので、別の法律でおっしゃられるねらいとこの公団のねらいというものは、全体の住宅困窮者、住宅を要求する国民の層の中で、公団の対象とするものはこれはもうはっきりして参る。それが勤労者という定義で表おされる層だとこう申し上げておるので、決してぼやけておるつもりはありません。
  104. 田中一

    ○田中一君 それでは、住宅金融公庫が定義しておりますところの対象、それから産住が定義するところの対象、これはよその所管のことでございますけれども厚生年金によるところの勤労者、厚生年金の対象、こういうものに対する対象の定義を、こういうものでかくかくのものであるということを、一つ資料でもってお出し願いたいのです。それが来ませんと、われわれは審議するのにぼやけてしまうのですよ。いつも審議しながら、あの不幸の人たちにこれならば的確に家が供給できるのじゃないかというような夢を見ながら、幻影を描きながら、審議しておるのです。少くとも金持ちは自分で建ってもらったっていいのです。
  105. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはもちろん御要求に応じた資料を出すべき義務は感じておりますが、そういう御趣旨から申せば、法律の文句も文句でありますが、公営住宅公庫住宅公庫の中の産労住宅、こまかくいえば、それが木造であり、あるいは少し程度のいいものでありというように、おのおの種類を分けております。ところにおのおののねらいがあるわけでありまして、この公庫、公営及び公団の三つの建前以外に、お話のようなその他の対策がありますから、これのねらいというものを一々分類して出しますならば、しいて出せないわけはありませんが、私が先ほどから申しておりますことは、これらを総括してもやはり、これらの政府の施策の対象になりますものはお話のようないわゆる勤労者を対象として考えておるということを申しておるわけでありますが、御要望に応ずるような一つ資料を整備いたします。
  106. 田中一

    ○田中一君 もう一つ申し上げますが、公営住宅法ではこうなっておるのですよ。「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅建設し、」これは「国及び地方公共団体が協力して、」という前書きがありますが、「これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、」と、こういうことになっておるのですね。おのずから目的が違うのです。いいですか。あなたの場合に、今度の公団の場合には「住宅に困窮ずる勤労者のために」こうなっております。すっかり階層が現わしてあるのですね。たとえば勤労者であっても高額所得者に対しましては、公営住宅の方の住宅は賃貸しないとなっているのです、はっきりと。よろしいですか。ですから、低額とか高額とかいう限界もはなはだ不明確なんです。ですから、こういうものは重要な資料です。もし、今後この逐条審議が終ったあとに、われわれが出しておりますところの法案を、大臣も来て大臣から御説明願ってもけっこうですが、御説明申し上げますならば、これは明快にはっきりと規定してあるのです。このようにあいまいな、あなたが言っている階層がたくさんある、段階があるとおっしゃるが、その通りです。しかしながら、対象というものをほかの法律がみんな明確にしている。従って、ここにあるところの「住宅に困窮する勤労者」というものの対象が明らかにならなければならぬのですよ。その対象を明らかにしていただきたいということを申し上げておるのであって、中小の小売業者などというものは、おそらく店舗付き住宅におおむね入っているのですよ。従って、店舗付き住宅というものでなければ中小業者の大部分のものがこうしたものに入れないということに定義されるおけですよ。従って、ここに示しているところの「勤労者」というものはどういう層をねらっているかということを伺っているのであって、これはほかのものは明確に規定しているのですから、これを一つ分析して御説明願いたいのですよ。重要な問題です。
  107. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通りで、私しばしば申し上げているように、法律建前を私は申しているので、公営住宅というのは、大まかに申せば、低額所得者に対してできるだけ低家賃の家を供給する。それから公庫建前は、資金の供給によって家を建てようというのだから、幾分そういう線よりは高いものになるであろう。公団はその間をねらって、公営に準じて、しかし政府の資金負担等の資金の性格からいたしまして、若干家賃も高くなるかもしれませんが、ねらいとしてはそれに準じて参りたい。従って、性格上は産労住宅的な性格を多分に持っておるということを申し上げておるゆえんのものは、われわれのねらっておるところの階層がそういう思想から出ておるというよりも、今までの御指摘のように、法律建前を尊重して参っておることでありまして、そういう思想が「住宅に困窮する勤労者」という表現で今度は公団でやろうというのでありますから、御指摘の通り、これが全部同じであったのではおかしいのでありまして、それぞれ三つの法律が(「ちっともおかしくない。ちっともおかしくない」と呼ぶ者あり)ねらっておるところは、具体的にいえば、若干の違いが起ってくるが、それを一貫して申せば、国民住宅に困っておる層のうちでできるだけ勤労者の層を大きくねらってゆく。しかしそれには住宅そのものからくるねらいがいろいろありますから、極端なことを申せば、第一種と第二種とはまた、厳密にいえば、所得階層を違えてゆかなければならぬということになりますから、御指摘の点を分析してこまかく申し上げるとすれば、この公営住宅の中でいろいろな種類に合うように申し上げざるを得ませんし、それとまた公団のねらっておるところといろいろ組み合せて、全体が組み合されてわれわれの意図する住宅政策になるつもりでありますので、その点はいずれ具体的に申し上げる方が御議論にならぬでいいかと思いますが、そういう意味で、内容的にもし必要とあれば、官房長から申し上げてもいいと思います。
  108. 田中一

    ○田中一君 それは伺っていると時間がなくなって……。私はまたその点について質問しますと、二時間か三時間かかりますから、ですから、資料を出していただきたい。次回の委員会までに。申し上げますよ、公営住宅法に基くところの一種、二種、これの職業、一番いいと信ずるところの区域、それから所得額、これが公営住宅。それから産労では、区域。今度は区域は公団が与えるのですよ。産労のいいところは、社宅と考えられるところの、自分の産業をよくするための住宅なんです。その工場に勤めておる者を最短距離で、一番手近に置いて、あまり固体的なロスなくして生産能率を上げさせるために必要な産業住宅なんです。今度の公団の場合には、公団自身の意思でどこに土地を求めるかわかりません。この違いがありますからね。今のような三つか四つの条件で、全部の法律、全部の立法をされておる施策対象、そういうものを全部、図解でもけっこうです。現にもう公営住宅並びに住宅金融公庫、それから産労、こういうものは明らかになっているのです。そうして公団でねらうところはこれである、こういう御説明を願いたいのです。  私は少くとも、われわれ社会党が出しておりますところの、私が出しておりますところの法案ならば、明快にそれは御説明してあげます。そうして非常に短い時間に、選挙もあったし、短い時間にまとめなければならぬものだから、苦労して、ほかのものに手をつけずに、われわれが考えておったもののかずみたいなものを取り上げて、公団住宅という形で出しておる。けっこうですそれも、前進ですから。しかしほかのものとの——ほかのものという意味は、八割は貸してやるというものもあれば、五割五分貸してやる、なるほど今度は前進しまして全額公団がみてやる。これも前進しています。けっこうです。けっこうですから、今度は入る対象というものは変ってくるのです。同じ労働者であっても、同じ勤労者であっても、おのずから条件が違ってくるのです。こういうことは、根本的な基本的な住宅政策を立てる場合においては、こういうことはあり得ないのですね。いろいろな階層の——いろいろな階層というのは、勤労者の中のどの階層をさしておるかも明確にしてほしい。これを御説明願わないと、私たちはいつも法案を審議しながら、対象をいつも頭に描きながら審議しているんです。われわれは社会党に属していますが、社会党らしい対象を目しながら、この連中に対してはこれで条件はいいだろうか、この条件は悪いだろうかという考えをもって、審議しているんです。真剣にやっているんです。従って、あいまいなことじゃ困るんですよ。ですから、この法案の勤労者という対象はかくかくのものであるということを、まず御説明願いたい。そうしてそれによって、これはまあほかの委員の方々もそうだと思うのですが、対象がなければものは審議できるものじゃないんです。これは次の委員会までに、図解でもいいですし、全部揃えて、まあ余分なことになりますけれども、厚生省の分もあなたの方でお調べ願って入れていただいて、それからもしできるならば電電公社あるいはその他の国鉄とか政府機関とか、公企ですね、公共企業体の持つところの住宅というものはどういう条件でやっておるか、家賃の点もありますし、そういうものも一連の、今の現政府がやるところの住宅政策住宅建設というものに対する一連のグラフを、グラフでもいいしそれから文書でも何でもいいから、そういうものでわれわれが理解できるようなものをお出し願いたいと思います。そうしなければ、審議できないんですよ。大臣よろしゅうございますか。
  109. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) はい、できるだけのものを出します。
  110. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をつけて。  本日はこの程度で散会いたします。    午後零時三十四分散会    ————————