運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-15 第22回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十五日(水曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君    理事 山口 好一君 理事 逢澤  寛君    理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君    理事 今村  等君       伊東 隆治君    大高  康君       薩摩 雄次君    志賀健次郎君       田中 彰治君    高見 三郎君       中村 寅太君    廣瀬 正雄君       松灘 雄藏君    仲川房次郎君       二階堂 進君    有馬 輝武君       三鍋 義三君    山田 長司君       中島  巖君    松尾トシ子君       石野 久男君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    南部 哲也君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    鎌田 隆男君         建設事務官         (住宅局住宅経         済課長)    鮎川 幸雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 六月十五日  委員中山榮一君、久野忠治君及び赤路友藏君辞  任につき、その補欠として中村寅太君、荒舩清  十郎君及び有馬輝武君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 六月十四日  二級国道前橋、宇都宮線中富田道路舗装工事  促進に関する請願(山口好一君紹介)(第二一  八九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本住宅公団法案内閣提出第六三号)  住宅融資保険法案内閣提出第七四号)  公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を  求めるの件(内閣提出承認第二号)  住宅に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に、住宅に関する件について調査を進めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。さように決定いたします。発言の申し出があります。これを許します。石野久男君。
  4. 石野久男

    石野委員 住宅公団法の問題について、二、三の点を再確認する意味で一応お尋ねいたします。  まず、政府が今度の住宅公団法を作るに当っては、なるべく地方財政負担を軽くするというような意図であるということであります。しかしながら、住宅公団法資金内容を見ますと、そこには国庫の資金も出ておるし、また地方自治体からの資金供出方も要請されておるわけであります。一番われわれが心配になるのは、住宅金融公庫が行う場合と、この住宅公団法相当金額が出て、住宅が建てられる場合との間に、公団法でやる住宅建設が、ややもすれば各都道府県の間に、その恩恵を及ぼす点が不均衡になりはせぬかということであります。投資が少いところと多いところとの軽重が出てくるのは当然のことだというような考え方が、もしあるとしますと、地方自治体事情によって投資ができないような場合に、その府県が全く抹消されてしまうという危険が出てきはせぬかということであります。こういうことのないようにということを、われわれは非常に心配するわけでありますが、政府としては、そういう問題に対してどういうふうに考えておるか。地方自治体からの投資がない場合には、それはほうりっぱなしにしておくのだという考え方であるのか、そうでないのか、この点をはっきり聞かせていただきたい。
  5. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 法律建前建前といたしまして、国会の御意思等をよくそんたくをいたしまして、実情に合うように運営をいたしたいと考えております。
  6. 石野久男

    石野委員 今の大臣答弁は、非常に巧妙でありますが、おそらくそういう不均衡な取扱いをしないのだというふうに理解いたします。  第二の点として、私はもう一度大臣所見を承わっておきたいのでありますけれども、この住宅公団を建てるについては、民間資金を相当入れているわけです。その入れるための諸法律もまた考えるわけでありますが、そういうことを、なぜこの公団を設立するというようなことを考える前に、住宅金融公庫でそういう民間資金を受け入れることの考えができなかったかということであります。このことに対する政府考えが、どういうところで突き当りがあってできなかったのかという点を、いま一度大臣から意見を聞いておきたい。
  7. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 絶対に否定的なつもりはありませんけれども公庫は今までの建前を尊重いたして、低利の金融をいたすために努力をいたして参りたいと考えましたので、民間資金が入りますと、金利が高くなりますので、公団に集中をいたしたわけでありまして、なお将来の問題については、よく研究をいたしたいと考えます。
  8. 石野久男

    石野委員 住宅公団法の業務の範囲のところに、この公団住宅建設賃貸その他の管理及び譲渡を行うことができるようになっている。宅地についてもそうであります。この賃貸または譲渡を行うことができるということが、ややもすると、その譲渡を行う間にいろいろな不正譲渡の形が出てきたり、あるいは買い占めを行うことによっての転売などが出てくる危険性があると思うのです。この法律の中には、そういうものに対する警戒、あるいはそれを防止する条項が何もないように考えられます。そういう問題を政府は予想しているかどうか。またそういう問題に対して、もしそういう不正の譲渡とか賃貸というようなことが行われる場合に、どういう対策でそれを防止しようとしているかという政府所信をお聞かせしてもらいたい。
  9. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 お話のようなことは、厳に慎しまなければならぬと思います。法律上明記をいたしませんけれども、この法律に伴う政令によりまして、こまかい実施の問題は解決をいたし、なお、それの運用の実際の場合におきまして、契約あるいはこちらの方針を明示する等によりまして、さような問題は一切起らぬように、ほんとうに公正にやって参りたいと考えております。
  10. 石野久男

    石野委員 ただいまの大臣答弁は、法律には明記できないけれども、それを省令とか何か別な施行法によって十分取り締るというふうに聞いてよろしゅうございますか。
  11. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 さようであります。
  12. 石野久男

    石野委員 今度は、住宅融資保険法の問題について一、二点お聞きしておきたいのであります。この住宅融資保険法法案を作るという建前については、私たちも別に反対するものではない。この住宅融資保険法意味するものは、少くとも市中銀行におけるところの住宅建設に対する取扱いを、困窮者に対して非常に有利にするのであると思います。ところが、この住宅保険法の案文を見ますと、こういう点で果してそれが十分に行き渡るかどうか、むしろかえってほんとうに困っている者に行き渡らないのじゃないかという点がある。それはこういう点である。この法案の中には、貸付に対する最低期限の制約をしておりまして、それは六カ月ということになっておる。ところが、六カ月とか一年間くらいのところで融資を受ける金額では、ほんとうに因っている者の救済策にはならないと思う。われわれが事実住宅金融公庫法だとか、あるいはその他政府施策によって恩恵を受けるに当って、それの選に漏れた者が、どうしても市中銀行から恩恵を受けようとすれば、少くとも三年ないし五年というような長期にわたっての金融を受けない限りは、住宅は建つものじゃないと思う。そういう問題に対して、果して政府考慮しておるかどうか。もし考慮しておるとすれば、六カ月というようなことでは、真に困っておる諸君に対する金融上の手当としては不十分なものじゃないか、こういうように考える。そういう点について、政府としてはこの法案に出ておる六カ月というものをどういうふうに考えており、また実際実務に当って、市中銀行貸付期限の大体の目安を、どういうようなところに平均を置かなければならぬというように考えておるのか、その点を政府所見としてはっきり聞かせてもらいたい。
  13. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 住宅金融ということになれば、お話通りのものが、むしろ最低限度だろうと思いますけれども法律は、金融取扱い基準として、一番短かいところを書いておきませんと、制度的に食い違いがといいますか、実行上不便が起ってはいけないという意味限度が六カ月というわけでありますから、運用に当りましての考え方処置は、お話のような考え方で参るつもりであります。
  14. 石野久男

    石野委員 お話のような処置で参るつもりだというそのお話の点は、大体どういうようなところの年限とか期限とかいうふうに考えておられるか、その点をはっきりお聞かせ願いたい。
  15. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これは、御承知のように金融機関が自由に貸し付ける金でありますから、何年貸せろということを、こちらから命令するわけには参りませんが、住宅金融の性格からいたしまして、お話のように三年とか五年とか、できるだけ長い資金を貸せるように金融機関に対してわれわれは話して、そういう運営をして参りたいと考えております。
  16. 石野久男

    石野委員 市中銀行が貸し付ける金だから、政府が取り締るとか、はっきりした要請を、ここで期日を切ることはできないという事情はわかる。けれども、この保険法によって、金融機関は非常に過分に相当するものまでの保証政府から受けるわけです。これはおそらく他の金融よりも、ずっと優遇されることになると思う。それだけ優過される資金が、きわめて短期の中で使われるというようなことでは、法律を設定し、あるいはまたこういうものを議するわれわれの趣旨からいっても、事志と違う結果になり、いたずらに金融機関を擁護する建前にのみなってしまう。だから、少くともわれわれとしては、最低期限が六カ月であるということはわかっておっても、しかし大体政府金融機関に対する内示的に与えるところの期限、言いかえれば、この金融恩恵を受けるべき住宅困窮者に利益を潤し、そこで均霑を受けるような期限として、三年なり五年というものが、話し合いで大体できていなければならないのではないかというふうにわれわれは考える。そういうことを金融機関政府との間に、あらかじめ何か話し合いをしておるか、了解でもついておるかどうかという点について、はっきりとここで政府所信を表明しておいていただきたい。
  17. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 全部にわたってそういう約束はいたしておりませんけれども、大体お話のような心持で話はいたしております。
  18. 内海安吉

  19. 西村力弥

    西村(力)委員 住宅関係融資保険の問題でございますが、主として住宅建設をやった場合の融資に対して保険を与える、この「主として」ということは、この前の私の質問に対して石破官房長は、大体半分くらい住宅関係であればこれを保険の対象にする、かようなお話でありますから、ここを相当厳格にしておく必要があるのではないかと私は考えておるわけです。今まで、大きい、さまざまな不要不急と思われるような建物がどんどん建ちましたが、今後もああいう趨勢というものは、やはり続くのではないか。今、石野委員からの発言にもありましたように、それらの住宅を建てようとする人は、今まで銀行なんかに行っても、なかなか融資ができない。それで、高利と知りながらも、いろいろな方面からその融資を仰いでおったということになっておるのですが、今度は銀行も安心して貸すとなれば、そっちの方で、この保険の恩典を自分の方に獲得しようと殺到するのではないだろうかと思われるわけです。それで具体的に言いますと、たとえば店舗を改造するという場合においても、住宅に少し手を加えることによって、まるまるの金が借りられる、あるいはまた、店舗を別に建てるので、そして今まで店舗にしておったところを住宅にするのだというようなことだけでも、その店舗を建てるための金が銀行から来、それが国家保証というようなことになってくる。その方面にだけ多く利用されて、真に住宅を建てんとする人々の融資あと回しにされるのではないか、置き去りにされるのではないか、かように憂えるものでございます。その点、もちろん今後約款を結ぶとかの場合に、考慮せられるものであると思うのでございますが、これに対する一つの制限、規制というものについて、一体どういう工合にしてそういう悪用というものを押えていくか、そのお考えを明確に一つお聞かせ願いたいと思うのであります。
  20. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 その他の問題についても、今御注意のような点が多々あろうと思いますが、これはよく今日までの委員会の御論議等基礎にいたしまして、できるだけ本筋に誤まりのないような運営をいたすために、建設省令できめる面もありましょうし、約款できめる面もありましょうし、できるだけ細部にわたって誤まりのないようにやって参りたい、今の御趣旨を十分取り入れて参りたいと考えております。
  21. 西村力弥

    西村(力)委員 大体の目安を半分というようなところでなく、まるまる住宅でなければ絶対だめだと言わないにしても、もう少し基準をきつくするというお考えはございませんですか。
  22. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 そういう点も、よく一つ考慮いたしたいと思います。
  23. 西村力弥

    西村(力)委員 次に、保険料率の問題でございます。百分の三以内となっておりますが、先ほど官房長に聞いたところが、大体二くらいにしたいのだ、こうおっしゃっておりましたが、何としましても、百分の三まで認めるというようなことは、非常に高率に過ぎるではないだろうか、かように思うわけでございます。私どもとしては、もっとぐんと下げていくべきが妥当である、かように思うのですが、百分の三に押えた、あるいは百分の三以内というところを二に大体押えようとする根拠を明確にしていただきたい、かように思います。
  24. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 いろいろ数字的な根拠ももちろんありますけれども、率直に申せば、財政当局の方からいえば、できるだけ安全に持っていきたいというので三を申し、われわれは、最初は一くらいで十分やれるじゃないかという主張をしてやって参ったのでありまして、結果といたしまして、今財務当局との一致した見解は、とりあえず二でやるということには一致をいたしております。従って、これで実施に入るつもりでありますが、私の希望は、実行をいたしました成績によりまして、これが非常にうまく運転をされて、費用が安くつけば、これを引き下げることに努力をいたしたいと考えております。もちろん三にいたす考えは毛頭ございません。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 財政当局との話とありますけれども、こういう種類の保険というものは、私は寡聞にしてあまり例を知らないのでございますが、保険経理というか、そういう点については、どういうはじき方をしたのか。財政当局との話し合いも、お互いに腰だめでこういうぐあいにやったのか。とにかく危険率を少くしよう、こういうために、大体腰だめでやったのか、何かもっと基礎になるものがあってこうせられたのかという点を、お聞きしたい。
  26. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これに類似の各金融機関、いわゆる中小企業等立法例は、すべて三になっております。それを基礎財務当局は三にしようと申したわけでありまして、これにはこれの根拠があると思いますが、われわれとしては、従来の公庫資金の貸し出しの例等根拠にいたしまして——もとより、新しい制度でありますから、的確にこれの基本的な数字というものがあるといえばあるが、その通りのものはないわけでありますから、今までのいろいろな事情を調査いたしまして、二で十分やっていけるという確信でこういうことになったわけで、決して腰だめではありません。
  27. 内海安吉

    内海委員長 よろしゅうございますか。     —————————————
  28. 内海安吉

    内海委員長 日本住宅公団法案住宅融資保険法案及び公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件、以上三案件一括議題といたします。  以上の三案件につきましては、すでに質疑を終了いたしておりますので、これより討論に入ります。討論は通告の順によってこれを行います。廣瀬正雄君。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 私は日本民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日本住宅公団法案住宅融資保険法案、その両法案原案賛成いたしまして、また公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件に対しましては、承認を与えることに同意する討論を行わんとするものであります。  鳩山内閣が、国民の住宅難を十カ年で解消せしめたいという念願をもちまして、本年度四十二万戸の住宅建設せんといたしますことに対しましては、大いに賛意を表するのでありまして、歴代の政府施策が、従来おおむね総花的に堕しまして、重点的な成果が上らないことを、私どもは非常にうらみといたしておりましたときに、住宅政策を強力に優先的に推進せんといたします現内閣意図には、敬意を表する次第であります。日本における住宅政策の大きな前進であると、私ども考えているのであります。  しかして四十万戸の建設のためには、現内閣は、緊縮予算の限られたワク内におきまして、財政措置の著しい増額をはかっておるのでありまして、昭和二十九年度におきましては、国家資金が二百八十四億円になっておりましたのに対しまして、本年度は四百二十四億円を投ずることに相なっておるのであります。また、住宅金融公庫融資増築にも、拡大いたしておるのであります。あるいはまた、日本住宅公団新設をいたしまして、地方行政区を加えて、広域内にわたりまするところの住宅の供給をはかりたい、あるいはまた民間資金を大いに利用したい、さらに宅地取得造成を推進いたしたい、かように考えておられるのであります。さらに、民間自力建設推進のためには、国税、地方税の特別の軽減措置を講じましたら、金融機関融資準則を改訂いたしまして、住宅金融を優先的に取り扱わしめるというようなことをしたり、さらにまた、住宅融資保険制度を創設いたしておるのでございますが、かような措置は、いずれも妥当な好ましい方策だと考えるのであります。  しかるに、本委員会におきまして質疑応答が重ねられ、論議が展開せられましたように、住宅四十二万戸の建設政策には幾多の問題や不安を包蔵いたしておるのであります。その一つは、増築改築戸数に加算いたしておることでありまして、公庫におきまして三万戸、民間自力建設におきまして二万五千戸、計四万五千戸の増改築考慮に入れておるのであります。かようなことにつきまして、非常に冷厳なる批判があるのでありますけれども、しかしながら、老朽過密住宅不足住宅に数えております建前からいたしまして、やむを得ないと思うのであります。私どもは、かようなところに欺瞞やインチキというものが存するというようには、いささかも考えていないのであります。また自力建設二十三万戸を予定いたしておりますことも、これまたいろいろな批判がございますけれども、しかし、民間自力による建設も、住宅の建築には間違いないのであります。ただ問題は、今回の所得税法人税登録税固定資産税軽減措置でありますとか、あるいは住宅融資保険制度の創設でありますとか、金融機関住宅優先取扱いというようなことで、果して民間自力建設の二十万戸の確保ができるかどうか。これは建設当局におきましても、内心は不満と不安を持っておるのではないかと思うのであります。しかし在来も、これらの特別な手当がなくて、二十万戸に近い年間の自力による建設が進められたわけでございまして、政府の自信を一応信頼いたしまして、実績を見ることにいたしたいと思うのであります。  また住宅公団ができまして、公営予算額が減額いたしておりますことは不都合である、公営のすぐれた実績考えて、公団建設住宅の一部を公営に移したらどうかという意見もございます。しかし、これは地方公共団体負担は、公営は五割あるいは三割三分であるのに対しまして、公団は、地方出資をいたしましても、これが二割ということになっておるのでありまして、公団の方が、地方公共団体に対しましても有利だと私ども考えるのであります。ただ、公団住宅を特に住宅の困窮いたしております四、五の大都市に限定せずして、広く全国の要望ある都市建設し、そうして公団運営につきましては、地方公共団体意見希望を十分尊重する、かようなお考えを特に願いたいと思うのであります。  また、公団家賃が高い、低所得勤労者には不向きであるというような意見もあるのでございます。民間資金を利用いたしております公団住宅といたしましては、一応やむを得ないことかもしれないと存じますけれども、これは将来大いに考慮措置を要する事柄だと存ずるのであります。  さらにまた、公団が発足いたしましても、本年度残期間はまる一カ年はないのでございまして 果して住宅建設二万戸、宅地造成百万坪の達成ができるかどうかというような意見もございます。これは政府の督励を特にお願いいたしたいと思うのであります。  また、公営六坪住宅が非常にきびしく批判されておるようでございまして、本年度は住民の希望都市状況等を勘案いたしまして、同一戸数で木造八坪住宅に転換を許すべきであると思うのでございますけれども明年度以後におきましては、本年の入居者意見などを参酌し、また需給の状況などを考えまして、設計につきましては、深い考慮を要するものだと思います。人間の住める住宅でなければならないと思うのであります。日本の今後の住宅は、耐久的、耐火的でありますことと、社会保障制度的な低廉な家賃であるということのほかに、健康な文化的な生活のための住宅であるということを考えなければならないと思うのであります。この二つをいずれも充足するということは、非常にむずかしい要求であると思うのでありますけれども、これは常に忘れてはならない原則だと思うのでございます。  また住宅金融公庫融資率を、従来より一割程度引き下げておるということにつきましても、非難が多いのでございます。これは住宅建設促進に逆行することは事実であると思うのでありまして、将来一口もすみやかに復元方希望するものでございます。  以上のような事柄が指摘され、論議されました問題点の大きなものであったと存ずるのでございまして、私どもは与党でありますけれども、率直に申しまして、今回の四十二戸政策は、必ずしも完全無欠な完璧のものとは認めがたいのであります。これは鳩山内閣が組閣後日なお浅く、かような大事業を策定するに立案、計画、用意の期間が足らなかったと思うのでありますけれども明年度以後におきましては、本年度実績を検討いたしまして、一段の工夫を切望し、また本年度実施につきましては、格段の努力を払って、遺憾なきを期せられたいのであります。  さて、日本住宅公団法案は、日本住宅公団新設のための法律案であります。四十二万戸住宅政策にとりましては、最も重要な意義を持つものであります。公団の設置は時宜に適したものでありますので、私ども賛意を表するのでありまして、法案内容も妥当と存じまして原案賛成をいたすものでございます。住宅融資保険法案は、民間自力建設の一助といたしまして、住宅融資保険制度を創設しようとする法律案でありますが、これまた四十二万戸建設中、民間自力建設戸数に多大の期待をかけます以上、当然の措置といたしまして賛成でございます。公営住宅法によりますところの承認を求めるの件は、これを承認すべきものと存ずるのであります。以上をもちまして、私の討論を終ります。
  30. 内海安吉

  31. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題になっております日本住宅公団法案住宅融資保険法案の二法案並びに公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件、いわゆる住宅建設計画でありますが、これに対して、数々の欠点を認めながら、また相当の不満を持ちながら、一応政府計画実施せしめるという意味で、賛成意見を表明するものであります。  鳩山内閣が、住宅政策に非常な熱心を入れられたということについては、これは私どもも敬意を表するにやぶさかではありません。ただ、そこで四十二万戸という不思議なる数字をあげられたために、その計画内容がきわめて無理がきておる、住宅政策の後退を来たすような計画がその中に含まれておるということは、これは今与党である民主党の賛成討論の中にもあったことで、世間周知の事実であります。政府が、真に住宅建設が必要である、四十二万戸というものを金科玉条とされるのであれば、その住宅の実際の建設の後退を来たさないために、これに対して十分な財政措置をするのが、真にまじめなる政治のやり方であると私ども考えておりますが、あるいは六坪住宅を作って、そうして住宅四十二万戸の計算をいたし、さらにまた世間に四十二万戸をいわゆる政府資金によって建てるような印象を与えて、その内容は二十四万五千戸という民間自力建設をこの計画に盛っておられる。さらにまた、常に問題になっておりますその四十二万戸の中には、四万五千戸という膨大な数の、いわゆる一部屋を作ってそれを二戸の住宅建設するがごとき印象を国民に与えておる。これは何と言われても、インチキだと私ども考えております。日本の国民の常識では、一部屋増改築した、そういうことを住宅戸数がふえたとは私どもには考えられない。そういう数多くの欠点があります。  さらにまた、住宅政策全般について申しますと、公営住宅戸数を相当に減らすようになっておる。これは真に住宅に困っておるいわゆる庶民と申しますか、国民大衆の中には、どうしてもある程度の国家の保護をしてその家に住ませるという政策を相当強力に進めなければ、なかなか低収入の人たちの住宅をまかなうということはできないので、今日まで公営住宅に力を入れておった、これを減らして、いわゆる住宅公団を作って、相当商家賃の家を二万戸も建てられる。この二万戸の住宅がないとは申しませんが、それに力を入れる余り、公営住宅の、いわゆる社会政策的な面が相当軽んじられたという印象を私どもは受けておるのであります。  さらにまた、金融公庫融資率を引き下げるということは、これはまじめに考えられる人たちは、だれしも反対であります。こういうことをして、住宅政策を推進するということと実行とが非常に逆行しておる。こういう点は、今も民主党の委員の方から御議論がありましたが、私どもはこういう数々の不満を持っておりますけれども、しかし日本住宅公団というものは新しい試みであります。こういうことをして住宅建設を推進するということは、全面的にこれを排撃することも必要でない。こういう考え方から住宅公団法には一応賛成をして、実施の面で、政府がたびたび言明されておるように、必ず本年度二万戸の公団住宅が建たなければ、政府としては重大なる責任がありますぞということをここに申し上げて、この法案賛成をいたします。  さらにまた住宅融資保険法案、これは真に新しい制度でありまして、今日まで住宅を建てるについては、いわゆる市中の金融機関がなかなか融資をいたしません。これについて、この法案以前に、住宅に対する融資の道を開こうと努力されており、今度さらにこの法案を出されたことについては、これもけっこうなことであります。ただ、先ほど来、他の委員からお話になりましたように、この保険料率の問題、さらにまた融資期間の問題、もう一つ融資の対象となる住宅について相当程度研究をされて、乱用にならないようにしなければ、政府も御存じの通りに、世間では不要不急の建物が非常に進捗するのに、住宅の方には一向金が回らないという実情でありますから、この融資保険法の乱用ができないような行政措置を十分にとらなくちゃならない。私はこういう注文をつけて、この法案にも賛成をいたします。  さらにまた、住宅三カ年計画の十五万戸でありますが、これも必ずしも私どもは全面的に賛成はできないような状態である。過去においては、十八万戸の計画を立てましたが、住宅政策を推進することを大きな看板としておる政府としては、これを十五万戸に削られたということは、ちょっと納得がいかない。しかし、財政の都合もあるということでありますから、一応これも認めて、政府の今後の実施を監視するという立場をとって、私はこの際賛成をいたしておきます。  私どもがこれに賛成するについてば、この住宅公団法案について、後刻提案いたします附帯決議をつけて賛成をするということを申し上げて、私の討論といたす次第であります。
  32. 内海安吉

  33. 西村力弥

    西村(力)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、日本住宅公団法案、これには反対、住宅融資保険法案、これには賛成公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件、これにも賛成でございます。  民主党は、選挙に当って、住宅政策を大きく打ち出されましたことは、まことに時宜を得たことであると、敬意を表します。しかも、選挙後、この公約を実現しようと努力した点については、これは政党政治のあり方から見まして、当然のことでありながら、今まで日本でそのようなことがなかなかなされなかったということを思うときに、一応の敬意を表したいと思うのでございます。しかしながら、せっかくそのようにやられました住宅政策が、実際に国民を満足させるものであるかどうか、あるいは公約通りに誠意を持ってやられているかどうか、この点に至りますと、まことに疑わざるを得ないわけでございます。政府といたしましては、誠意を持ってやったんだ、かような考え方を強く持っていらっしゃると思うのでございますけれども、しかし、事実として現われていることを指摘いたしますと、誠意は誠意として認めましても、事実としては、その誠意はそのまま表現されていない、かように言わざるを得ないものであると思うのでございます。  第一番目には、四十二万戸という戸数の国民に与えた印象は、自力建設に二十四万五千戸含んでいるのだ、しかもいろいろな施策を行いながらも、その二十四万五千戸も相当無理をした数字である、そういうことを加えても四十二万戸だというようなことは、明らかに素朴な国民に対しては、非常な期待はずれの感を与えたことであるだろうと思うのでございます。しかも、住宅政策の行く方向をずっと見てみますと、今まで投げやりにされた住宅政策でありながらも、直接自分たちが接触している地方住民の福祉のために、営々として地方公共団体努力してきたその公営住宅建設の方向を、大きく削減するなり、あるいは六坪住宅というような工合に、質的にもこれを低下せしめて、今まで十年間にわたって地方公共団体努力したことに対して、報いるところはあまりにひどいのでないか。今までの努力に報いるためにも、公営住宅重点の方向を強く打ち出していくべきが当然であろうと思うのです。そこに至りますと、公営住宅は補助金を出しっぱなしであるし、公団住宅は回収になるのだからと、こういう採算が先に立っているのではないか。住宅政策は、これは営利企業であってはならないはずです。日本の現状においては、確かにそうでなければならない、かように思うのでございますが、そこのところの考え方が、金はむだにならぬようにというような方向が、強く表面に出てきているのではないか。そういう点、あるいは六坪住宅なんというような工合に、質的にそれを低下せしめているし、住宅金融公庫融資の割合も低下せしめている。こういう工合に、ほんとう住宅を欲している勤労階級方面に対しては、なかなかあたたかい施策というものが進められないでおって、そして住宅公団というものが大きく出ているが、その住宅公団は、家賃は四千円程度をとるのだ、こういうことになっておるとするならば、決してこれは公団法の第一条に、勤労階級のための住宅を整備するのだ、こういうことになっておったにしても、おそらく四千円の住宅に住まい得るだけ日本勤労者の生活水準というものは上っていないのでございますので、住宅公団建設する住宅というものは、勤労階級を素通りして、結局相当高額なる所得者がその恩恵にあずかるということになるではないか。そうしますと、せっかくの四十二万戸の公約、その誠意ある努力、それも勤労者のためには質的にもあるいは融資なんかの率的にもぐんぐんと下っていく。そして一方において相当高給所得者の方向に住宅公団住宅としてだんだんと向いてくる、ここに住宅政策の大きなる転換を見ざるを得ないわけでございます。住宅公団を作らなければならぬというその理由も、いろいろ説明をお聞きしたのでございますけれども、われわれとしては、なかなかその点は納得しがたい。ぜひともこれをやらなければ、どうにもできないのだという絶対的な理由づけを、発見することが困難なのでございます。こういう住宅公団という特殊な法人を作らなくとも、現在まである金融公庫の事業の拡充、拡張、そういうような点から、あるいはそのほか地方公共団体努力、そういうような点で、住宅公団の目途する方向ば、完全にやり得るものであると私たちは考えざるを得ないわけでございます。それでありますので、この住宅公団法案にはどうしても賛成するわけには参らないし、また民間の金をここに注入するのだ、さような立場から保険会社の金もここに入ってきておるのでございますが、一体保険会社の経理というものを考えてみるときに、私たちは、保険会社がここに注入する金、これはするもうけの金である、こう言わざるを得ないのです。私は、昨年でしたか、火災保険会社の経理を調べてみたことがございますが、保険金として支払うのは、保険料の収入の三三%しかないのです。事業費が五〇%かかっている。そうしますと、まるもうけというのがどうなりますか、すばらしい率になる。総額三十数億円の掛金の中から、十億円近くのものが純益となって現われておるのです。そういう状態が長いこと続いておって、その金がいろいろな方面に使われているわけでございますが、それがこの住宅公団に入ってくる。これはまるもうけの金だから、僕らとしては、こういう金は無利息でもいいじゃないか、かように考えざるを得ないわけでございますが、そうまで行かないにしても、もっともっとほんとうに低利でこの金は注入されるべきである、かように考えるものでございます。  以上のような点から、この日本住宅公団法案には反対し、まず低額所得者にあたたかいねぐらを与えるというところに重点を指向すべきである、かように考えるものでございます。次に、住宅融資保険法案でございますが、これは、先ほど質問申し上げました通り、この悪用、乱用ということは目に見えており、よほどしっかりこれを規制していかないと、とんでもないことになってし庇うのではないだろうか、こうおそれますし、また料率もぐんと引き下げることを希望してやまないものでございます。この点希望いたしまして、これには賛成いたします。  なお、公営住宅計画でございますが、私たちは、住宅公団法案の問題について申し上げましたような立場から、この法案はまことに数が少い、もっともっとこれを計画を大にせられることを強く望んでおるのでございますが、そのことを希望いたしまして、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件、これには賛成をいたしたいと思うのでございます。  以上をもちまして、私の討論を終ります。
  34. 内海安吉

    内海委員長 中島巖君。
  35. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私は、日本社会党を代表して、日本住宅公団法案に反対し、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件並びに住宅融資保険法案に対しては、希望意見を申し上げて賛成するものであります。  鳩山民主党内閣は、選挙の公約として住宅四十二万戸建設を宣伝したのでありまして、内政問題として、最も重要なる公約の一つであります。また、ただいま当委員会において討論採決せんとする日本住宅公団法は、鳩山内閣住宅政策のその根幹をなすものであります。鳩山内閣住宅政策全般が、当面する最も住宅困窮者に縁遠いものであり、その実質において、前の自由党吉田内閣よりはるかに劣っておるものであることを断言せざるを得ないのであります。  およそ住宅政策策定に当っては、住宅困窮度の最も高い階層はいかなる階層であるかという点を把握し、しかる後にこの根本的な資料の上に立って住宅政策を立案すべきであると思うのであります。しかるに、政府はこれらの資料はなく、当委員会における答弁中にも、大体月収一万二千円ないし二万八千円くらいの低額所得者ならんということで、その数字もつかんでいないのであります。  ただいま申し上げましたように、住宅政策の基盤たるべき住宅困窮度の高い階層の調査すらなく、計画された政府住宅政策は、選挙公約にとらわれて、ただ単に四十二万戸の数字に合せさえすればよいというでたらめ政策であるとしか私は思えないのであります。  以下逐次具体的に政府住宅政策批判することといたします。  まず第一に申し上げねばならぬことは、選挙公約の住宅四十二万戸建設についてであります。国民の大多数は、政府みずから建設もしくは助成融資等によって四十二万戸を建設されるものと考えていたのであります。しかるに、今国会に提案された内容は、民間自力建設二十四万五千戸を加えたものであって、全く国民を愚弄した欺瞞政策であり、公約違反であるといわねばならぬのであります。  第二に、政府建設もしくは助成融資による住宅建設十七万五千戸のうちに、二階等に一室増設するもの三万戸を計画し、一戸当り七万五千円の融資を予算に計上してあるのであります。便所も台所もない一室を一戸と計算することは、全世界で鳩山内閣をもって嚆矢とするものでありましょう。  第三に、住宅困窮者の最も要望する公営住宅建設について見ますると、昨年度すなわち昭和二十九年度は五万  一千九百四十六戸であり、本年度は五万二千四十一戸であります。昨年度と比較して、わずかに全国で九十五戸の増加であります。しかるにその内容は、昨年度は一戸建十五坪、十二坪、十坪であり、最低八坪であったのでありますが、現政府は、最高十二坪として、十坪、八坪、七坪、六坪と大幅に建坪を減少して、八坪以下すなわち八坪、七坪、六坪の、最も少い坪数の建設を二万一千九百戸を計上しているのであります。住宅困窮者の最も多い階層の要望する公営住宅に対する現政府政策は、昨年度の吉田内閣政策より、実質的にはるかに低下している、すなわち劣っていることが、これではっきりわかると思うのであります。  第四に、住宅金融公庫についてであります。昨年度四万一千六百戸であり、本年度は七万五千戸となっており下すが、この七万五千戸のうちには、先ほど申し上げました増改築分、すなわち便所も台所もない一室三万戸を計上してありますので、これを差し引くと四万五千戸であり、昨年度よりわずかに三千四百戸の増加であります。戸数において七%強増加いたしておりますが、その内容においては、公営住宅と同様に、融資率を大体において一〇%切り下げを行なっているのであって、実質において昨年度より低下していると見るべきであります。昨年度における金融公庫実績、すなわち需要供給の状態を見ますと、申し込み者十四万九千二百九十四人に対して、承認戸数四万一千六百人にて、わずかに百人に対して三人六分と言う数字であります。二十八年度においても同じような状態にあるのであります。かくのごとく、多数の希望者のある金融公庫制度を、なぜ拡充強化せぬかと怪しむものであります。  第五に、今回新たに創設された日本住宅公団法による事業計画であります。事業費百六十六億円を計上し、国有土地三十万坪を現物出資して住宅二万戸建設計画しているのであります。この財源の内訳は、政府出資六十億、運用資金三十八億、民間資金五十二億、地方公共団体出資十六億となっております。また反面、事業面において宅地造成費十億円を計上してありますが、いずれにしても百六十六億円に対して二万戸建設であって、一戸当り八十三万円となるのであります。建設後の家賃に対して、当委員会の質問に対して、政府はいまだ正確な答弁をしないのであります。思い切った保護政策も、他との関連もありまして、とることは困難だと考えます。さすれば一カ月五、六千円の家賃となることは大体想像できるのであります。以上の次第にて、住宅困窮度の最も高い階層、すなわち月収二万円前後の階層に対しては、何ら関係のない住宅政策であります。日本住宅公団法に反対する第一の理由であります。  反対の第二の理由は、住宅金融公庫昭和二十八年度は百五十八億に対して、建設戸数五万三千六百五十戸、二十九年度は百四十二億円に対して建設戸数四万戸、すなわち一戸当り三十二万四千円であります。また公営住宅について申し上げますれば、昭和二十八年度は百九億八千九百万円に対して五万七千九百四十戸、昭和二十九年度は百二十六億円に対して五万五千五百戸、すなわち一戸当り二十万九千円となっております。  以上の計算でおわかりのように、日本住宅公団法の本年度事業資金百六十六億を現在の金融公庫に流用すれば、五万一千二百戸の住宅建設ができます。また公営住宅に流用すれば七万九千四百戸の住宅建設ができるのであります。以上の理由によりまして、日本住宅公団の事業資金を、公営住宅並びに金融公庫に活用せしめて、住宅困窮度の高い階層に対して、三倍前後の住宅戸数を提供すべきであります。  反対の第三の理由といたしまして、公営住宅並びに金融公庫においても、申し込み者百人に対しまして取得者三、四名という現状において、新しい準官庁機構ともいうべき公団を設備して、一戸当り三倍前後の金をかけて、しかも住宅困窮度の高い者を除外した住宅政策を行うべき現在は段階でないのであります。従って、無用の長物ともいうべき準官庁機構の日本住宅公団そのものの設立に対して反対であります。  以上をもって政府住宅政策の根本的のあやまちを指摘し、かつ日本住宅公団法に対する反対の理由を申し上げた次第であります。  政府住宅対策の冒頭に当って、現在の住宅不足戸数二百八十四五尺年々人口増加等により二十五万戸の不足を来たすことを述べており、住宅問題こそは、日本の民生安定のための最大のものと思うのでありまして、窮極するところ、限られた予算において住宅困窮度の高い階層にいかに多数の住宅を提供するかが住宅政策の基本的問題であると考えるのであります。この観点から政府提出の住宅政策全般に対して、遺憾ながら同意をすることはできないのでありまして、ことに日本住宅公団法に対して絶対反対するものであります。  次に、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるのであります。これは住宅困窮度の高い階層が希望いたしておるところの住宅でありますので、私は本年度はやむを得ませんが、来年度におきましては、さらにこれを拡充強化するように要望いたしまして賛成をいたすものであります。  次に、住宅融資保険法案でありますが、これも民間自力建設に対しまして、非常な力になる法案と思いますけれども、第七条の保険料の額であります。おそらくこれは、私推定いたしますに百分の一くらいで十分まかなえる、かように考えるのでありまして、第七条におきましては百分の二以内となっておりますけれども、この適用につきまして、格段の御研究、御努力をお願いいたしまして、次の国会におきましては、第七条の年百分の二以内を、百分の一もしくは最高であっても百分の二以内に御訂正あらんことを希望いたしまして、本法案賛成するものであります。
  36. 内海安吉

    内海委員長 次に石野久男君。
  37. 石野久男

    石野委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、ただいま討論に付されております三つの法案のうち、日本住宅公団法案には反対をし、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件には賛成住宅融資保険法案賛成討論をいたします。  民主党は、今度の選挙のときにも、住宅政策をその一番大きな主目標として国民に訴えました。四十二万戸の住宅を建てるということを約束したわけであります。ここに提案になっております住宅公団法案は、その四十二万戸建設のための中心的な政府施策であると思われます。しかしながら政府の四十二万戸の住宅政策は、同僚各委員からも反対討論の中にあったように、実質的にはその質的低下を来たし、表向き量だけをふやすというきわめてインチキに富んだ、国民を欺瞞する政策となって現われておると思うのであります。  日本住宅公団法にわれわれが反対する第一の理由は、公団法によって、住宅を要望する人々にどのようにこたえることができるかという点であります。ほんとう政府住宅に困窮している人々にこたえる政策をとるならば、こういう公団法を作らないでもいいはずだ。なぜなら、この住宅不足者に対して、政府がこの公団法で作るところの住宅というものは、相当高給を取っておる者でなければ、この住宅を利用することができないという点にあるのであります。ほんとう住宅困窮者に、この住宅が行き渡らない結果が出てくるからであります。低額所得者に対しては、この住宅政策は潤わない、そしてまた、健康で文化的な生活をするということに対しての答えにもなっていないということに、この住宅公団法にわれわれが反対する理由があるのです。家賃が非常に高いということや、またこういう住宅を作るために、公営住宅が非常にその領域を狭められていく結果が出てきたり、また公営住宅の質が、非常に今度は低下していくというような結果が出てきたりすることなども、実にこの日本住宅公団法を作ろうとする無理な結果だと思うのであります。  第二に、もし政府ほんとう住宅公団法というものに力を入れるというようなことを心から考えるなら、なぜ住宅金融公庫法に対して思いをいたさなかったかという点に、われわれの疑義があるのです。もし政府にして、百六十億というこの膨大な金を、新しく住宅公団法設立に伴う経費として使うというようなことを真剣に考えるならば、住宅金融公庫にその金を使うような施策をすれば、もっと数多くの住宅困窮者にこたえる結果が出たものだ、かように考えるのです。ところが、そういうことをしないために、住宅金融公庫によって潤うべき住宅困窮者が、かえってその場を失い、しかも住宅金融公庫融資率は一〇%も引き下げられるというような結果が出てしまっております。この法案は、われわれからすれば、住宅金融公庫法というものがある際においては、むしろ屋上屋を重ねるものであって、われわれの立場からすれば、その設立の意味が全然ないといっても過言ではないと存じます。私たちは、こういう立場からこの住宅公団法に対して反対します。第三に、政府は、この住宅公団法地方財政負担を軽減するためだ、こりいうふうに言っております。これはきわめて巧妙な言い回し方でありますけれども、しかし住宅公団法に使う金を分析いたしますと、必ずしも地方財政を潤したり、あるいは軽減させる結果にはなっていない。六十億の政府資金においてからが、これさえも各都道府県の住民諸君の納めた税金が、みなそこに入っているわけです。こういう金を、もしそのまま住宅金融公庫というものに使ったならば、もっと違った意味での成果が出てくるものと思うし、のみならず、また政府ほんとう住宅政策に真剣味を持っておるならば、民間資金の活用に当って、何も住宅公団法などというものを作らないでも、それを利用する法案を別途考えることによって、住宅金融公庫を充足し、それを補備していくことができたはずであります。だから私たちば、地方財政負担軽減を強調している政府施策は、全くまやかしものであると言わなければならぬと、かように考えます。  また、この法案に私たちが反対する第四の理由といたしまして、この法案では、本年度二万戸の住宅を作るんだ、非常に住宅に困っておるからというので、二万戸を作るんだと言われますが、民主党の委員からも言われたように、本年度実際に二万戸を作るということ、あるいは百万坪の宅地造成をするということそのことが、この公団を作ってから後に果して可能であるかどうか、きわめて私たちとしては疑義を持っております。そういう疑義を内容とするような法律を作らないで、むしろその金をそのまま在米の住宅施策の中に補備する形で資金運用をしたり、あるいは施策を行うことをすれば、もっともっと成果が上るはずだ。それをあえてやらなかったところに、何かわれわれとしては、そこに政府としてこの公団法を作る意図があるのじゃないかとさえ疑義を持つのであります。私たちがそういうことに対する疑義を持つ理由としては、先ほど来私が非常に心配して政府に尋ねておるように、この公団法によって、非常にわれわれの危険視される面が出てきはせぬかということを心配します。これはかっての復金法やその他公団のような伏魔殿を政府が作り出すのではないかというようなことさえも心配するのです。たとえば、この公団住宅建設宅地の造成をし、あるいは賃貸をしたり譲渡をするということによって、その賃貸譲渡をする過程の中で、非常に恩義わしい事実が出てくる。不正な宅地の独占買い取りや、あるいは転売というようなことが出てくるとか、あるいは住宅の独占買い取りやなんかが出てきほせぬかということが心配になる。それをほんとうに防止することができるかどうかということに、疑問を持つのです。こういうような疑問を持つ法案をあえて作る必要はないと、われわれは考えておる。この法案は、その運営の過程で、このような伏魔殿を作る疑義を持っておるものであります。だからわれわれは、こういうような法案を作らないで、むしろ在来の住宅政策に対する補備をし、あるいは充実をするという施策をとる方が、策を得たものであると考えるのであります。私たちは、この住宅公団法は、政府が四十二万戸という住宅政策を国民に発表したために、そのつじつまを合わすために行うところの、ほんとうに苦しまぎれの方策として、国民に対する公約の肩透かしをするためにとられた法案であるとさえ考えます。私たちは、政府住宅政策が、ほんとう住宅に因っておる人のためにやらなければならぬのであったならば、こういうようなことをしないで、むしろ公営住宅だとか、あるいはまた住宅金融公庫法等を充実するように持っていくべきである。こういうような観点から、この法案に対して反対します。  なお、私たちは、この法案のほかに、同時に上程されております公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件については、決してこれで満足するものではありません。私たちは、もっともっと住宅の困窮度を政府考えるならば、こんなわずか十五万五千戸ぐらいのところで三年計画を作るなんというようなことでは、とてもそれは充足されるものではないし、政府の真剣度が那辺にあるかということを疑う。けれども政府の出しておるこの承認を求める計画は、それだけの点についての不満はわれわれにあっても、しかし一応こういう計画としては否定すべきものではないという点で、これに賛成いたします。  住宅融資保険法案につきましては、われわれは、市中銀行住宅建設に対して従来全く興味を持たず、ほうりっぱなしておった点に対して、この保険法を通じて金融機関に対する政府の保護が行われるという点において、その保護の中から出てくる市中銀行の積極的な協力を期待する意味においてこれを支持します。けれども、そのために金融機関が、この保険法をうしろだてとして盗意的な金融をしたり、あるいはまた不要不急の面に対してのみ融資が流れていくようなことがないかということを心配いたします。従って、そういう問題については、この保険法実施し、またこれによって市中金融住宅資金としての融資をするに当っていろいろな監督業務を行う上において、そういう変更を来たさないように、そういう危険がもたらされないように、特に厳重な警戒を要するということを、私たちは政府に対しても要請をして、この法案に対して賛成意見を申し述べます。
  38. 内海安吉

    内海委員長 これにて討論は終局いたしました。  ただいまより採決に入ります。まず日本住宅公団法案について採決いたします。本案を原案通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  39. 内海安吉

    内海委員長 起立多数。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。  この際瀬戸山三男君より、本案に対する附帯決議の提案について発言の申し出があります。これを許します。瀬戸山三男君。
  40. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま可決されました日本住宅公団法案につきまして、政府住宅政策全般に関連いたしました附帯決議を提案するものであります。  その案文を読み上げます。    日本住宅公団法案についての附帯決議  一、今年度四十二万戸の住宅建設政策は、或は増改築建設戸数に加算し或は六坪住宅を設計し、或は充分の措置なく民間自分建設二十四万五千戸を予定し、或は住宅金融公庫融資率を引下げる等幾多懸念せらるる点が多いので政府はその実施に当っては格段の工夫と努力を払うこと。  二、政府公団住宅建設を数箇所の大都市のみに限定せず広く全国の要望ある都市にこれを建設すること。  三、政府公団住宅家賃をなるべく低廉ならしめるよう考慮すること。  四、政府住宅金融公庫融資率の引下げ及び小住宅(六坪等)の建設を今年度限りとすること。  以上がこの決議案文でありますが、その理由を簡単に申し上げますと、先ほど討論の際に申し上げた通りであります。日本住宅公団法による公団住宅建設は、政府意図するところは、大都市を中心にしているようでありますけれども公営住宅のいわゆる中層アパート減少等の関係から、やはり全国の都市で要望ある個所にはこれを建設することが適切であるということと、また公団住宅家賃については、当委員会においてもしばしば論議されましたように、高家賃に流れるおそれがあるから、できるだけ工夫と努力をされて、家賃が低廉になり得るように考慮を払う必要がある、こういう理由であります。  さらにまた、住宅金融公庫融資率を、ある面において一〇%引き下げる措置をされておりますけれども、たびたび当委員会において論議されましたように、住宅を積極的に建設していこうというその線からは、非常に後退している。さらにまた、数を並べるということだけで、今日までようやく住宅の規模について漸進的に進歩して参りましたのが、これも六坪等の小住宅を建てて、将来過密住宅の根源をなすというおそれがありますので、こういう小住宅は、将来長く継続すべきものでない、こういう考えから本決議案を提出したゆえんであります。  どうか委員諸公のすべての方の御賛成を得たいのであります。
  41. 内海安吉

    内海委員長 ただいまの瀬戸山君の提案に御意見があれば、この際これを許します。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 これは日本住宅公団法、案についての附帯決議でございますが、この内容を見ますと、だいぶ広汎になっております。委員長にお尋ねしますが、一体一法案に対する附帯決議として、こういう形の決議というものは認められるのかどうか、これが一点。  その次は第一項の四行目「政府はその実施に当っては格段の工夫と努力を払うこと。」という「その」というのは何であるか、ここのところが不明確である。  それからもう一つは、これは住宅金融公庫融資率の引き下げ、あるいは小住宅建設を今年度限りとするとか、こういうことを言うて、将来はそっちの方が復元し、またそれ以上に重視せられるという方向にいくことを含んでいるのでございますが、そうしますと、この住宅公団の事業というものは、現在よりも下回った方向にいくべきであるという意思を盛るのかどうかということなのであります。  その二点について、お尋ねしたいのでございます。
  43. 内海安吉

    内海委員長 西村君にお答えしますが、これは諸君の御審議によって決定すべきものとは考えますが、この四項目にわたる提案の理由については、提案者より聞かれる方が最も便利であり、簡潔であると考えますから、提案者から説明してもらうことにいたします。瀬戸山君。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま西村委員から御質問がありましたが、第一の案文の四行目の「その実施に当っては」の「その」というのはどういうことか、こういうお話でありますが、これは、いわゆる四十二万戸の住宅建設政策についてと、こういうふうに考えている次第であります。それからもう一つは……。
  45. 西村力弥

    西村(力)委員 私が委員長に聞きたいのは、一法案に対する附帯決議が、その法案の条文や何かに直接関係のない——直接関係があるのは二項と三項だけです。そうでないものを含めたこういう決議案という形で一体附帯決議をしてよろしいものかどうかということを委員長に聞きたいということが一つ。  それから提案者に対しては、こういう工合に、住宅金融公庫融資率を引き上げるとか、小住宅を払拭し、また公営住宅建設を拡充していく、こういうようなことを決議としてされるとするならば、日本住宅公団なるものがやる事業というものが、いかに圧縮されるべきものであるか、そういう目標を持っているかどうかということを聞きたい。今までいろいろ討論によって述べられました通り公団建設するために公営住宅が圧縮されるとか、あるいは融資率を引き下げられるという結果が出ているのですが、それを元に戻そうというのだから、公団の方向をもっと縮減するということを予定されているのかどうか。これを提案者に聞きたい。
  46. 内海安吉

    内海委員長 西村君にお答えしますが、ちょうど日本住宅公団法というものができまして、皆様の連日の御審議によって、ともかく全画的に質疑応答が終ったのでありますが、その結果として、瀬戸山君の自由党を代表しての御意見によると、公団法そのものに対して、根本的においてはどうも不備な点があるから、直ちにこれには全面的に賛成はできないけれども、この段階においてはやむを得ぬであろうという意味において賛意を表せられた。そのかわり、行政の執行面において、今後この法律を最も広範囲に生かして使う面においては、こういうような希望附帯決議をつけるということは、行政面を鞭撻する面において、当然あってしかるべきことじゃないかと私は考えております。
  47. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 西村委員の第二点についてお答えいたします。第四で、住宅金融公庫融資率の引き下げ及び小住宅などというものは、将来続けないようにするということの反面、いわゆる公団住宅を縮小する意図があるかどうかというお尋ねでありますが、私の提案者としての考え方としては、公団住宅の何年計画というものは、いまだないのでありますから、公団住宅実施をして、そしてその成績がよければ大いにやるべし、成績が悪ければ、これは縮小するか、廃止しなければならないと考えておりますが、この決議案自体は、これを縮小するとか、あるいは拡充するとかいう考え方は持っておりません。第四の場合は、これは財政面でこういう措置はしなくてもできるのでありますから、そういう意味で第四の、項目を掲げておるのであります。
  48. 内海安吉

    内海委員長 採決いたします。ただいまの附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 内海安吉

    内海委員長 起立多数。よって附帯決議を付することに決しました。  次に、住宅融資保険法案について採決いたします。本案を原案通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  50. 内海安吉

    内海委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。  次に、公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  51. 内海安吉

    内海委員長 起立総員。よって本件は承認すべきものと決しました。  この際お諮りいたします。以上の三案件に関しまする委員会の報告書の成作等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。よってさように取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会      ————◇—————