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1955-06-08 第22回国会 衆議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月八日(水曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 荻野 豊平君 理事 山口 好一君    理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君    理事 今村  等君       伊東 隆治君    大高  康君       薩摩 雄次君    廣瀬 正雄君       松澤 雄藏君    仲川房次郎君       二階堂 進君    有馬 輝武君       小松  幹君    三鍋 義三君       中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    南部 哲也君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    鎌田 隆男君         建設事務官         (住宅局住宅経         済課長)    鮎川 幸雄君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 六月八日  委員中村寅太辞任につき、その補欠として中  山榮一君が議長の指名で委員に選任された。 同 日  理事廣瀬正雄理事辞任につき、その補欠とし  て山口好一君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  日本住宅公団法案内閣提出第六三号)  住宅融資保険法案内閣提出第七四号)  公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を  求めるの件(内閣提出承認第二号)     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  日本住宅公団法案住宅融資保険法案及び公営住宅法弟六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件、以上三案件を一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行います。小松幹君。
  3. 小松幹

    小松(幹)委員 三年計画を、最初にちょっとお伺いします。自由党内閣の時代に、三年計画十八万戸建設というのが計画された。今度は順序からいけば、十八万戸があるいは二十万戸三カ年計画ぐらいになってしかるべきが順当だ。ところが今度は十五万五千戸に減っておるわけです。それはどういう意味でそういう計画の変更を来たしたか、そこをお尋ねいたします。
  4. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ごもっともでありまして、われわれもできるだけ多くしなければならぬという熱意においては、十分考えておるわけでありますが、住宅審議会における御意見は、当初十八万戸の計画ではありましたけれども、事実いろいろ財政その他の事情からいたしまして、実績通りには参っておりません。十二万数千戸程度で三カ年の第一期を終ったようなわけでありますので、われわれは良心的に考えまして、一応十八万戸という計画考えなかったのではないのでありますが、今回の三十年度予算の五万戸を基本にいたしまして、六カ年の経済計画による国民所得の漸増を考えまして、十五万五千戸と考えた次第でありますが、一方において、これには、毎度申し上げるように、従来の公営の中で、実施をして参りました中層アパートの分を公団の方に実質的に移しておりますから、この分を計算の中に考えますならば、第一期計画と実質的にはそんなに遜色はないと考えております。一方地方財政現状からいたしましても、公営住宅を急速にあの形において非常に拡張するということは、また別途の方法等考えませんと、容易でなかろう。将来、地方財政財源等に新たなる構想が生まれて参れば、またそのとき追加をいたすことは、何らちゅうちょはいたしませんけれども、現在の段階においては、そういう諸般の情勢考え根本住宅審議会において御決定をいただいた線をわれわれもごもっとも考えて、この計画政府としては一応御承認を得る原案といたしたわけであります。
  5. 小松幹

    小松委員 二つ見方があると思うのです。最初公営住宅の十八万戸計画を、このたび減さなければならなかった理由として、一つは、いわゆる住宅不足決定額というものに、建設省はどれほどの自信を持っているかという、その自信の喪失ということと、もう一つは、公営住宅予定通りなぜ建たなかったかという理由がある、その理由からきていると私は想像しているのです。それならば、今二つの問題として住宅不足決定額というものを、どういう計算なり、あるいは推計によってやられたかということと、なぜ公営住宅三カ年計画の十八万戸建設というのが、予定通り進捗しなかったか、そうして今度二度目の三カ年計画に縮小しなければならない結果になったかという、その二つ理由を承わりたい。
  6. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 前段のお話通り不足戸数に対する住宅対策というものの考え方が、基本がぐらついているんじゃないかという御意見でありますが、前内閣以来ずっと審議を重ねてきました基本は、私はぐらついているとは考えませんが、しかし、何しろ複雑な社会情勢の中での住宅の問題でありますから、既存の統計が完全であるということは、なかなか言い切れないだろうと思います。何しろ戦後のいろいろな波乱の段階を経ておりますから、そういう意味においても、今回予算で、住宅をできるだけ広範囲に政策の基礎になるような資料をあらためて調査をし直そう、従来の行政的な報告をもとにした集計ということでなしに、別途に一つ住宅調査をやろうということで予算を計上いたしておりますので、近くこれを実行に移しまして、あらためて一つ検討をし直そうということは、率直に申し上げてわれわれも考えておりますが、それだからといって、別に住宅計画熱意を失ったとは決して考えておりません。  それからもう一つの、公営住宅実行の困難であった理由ということは、これはいろいろ見方があろうかと思いますから、私は過去の政策批判がましいことでかれこれ――私自身もまとまった考えもありませんから、そう的確なことを申し上げかねますけれども、いろいろな事情が重なり合って困難になったのであろうというふうに私は考えておりますが、今後の問題といたしましては、われわれはこの計画を進めていく上におきまして、一つには地方財政現状を頭において、公営住宅を今の方式をとるといたしまして、やっていく限界といいますか、やり方というものは、今のところは、今申すような考え方でいくのが、まず一ぱいのところじゃなかろうか、やり方根本から変えれば別でありますが、そういうように考えております。もう一つは、資金の面と、それから土地の問題でありますが、土地の問題については、いろいろ宅地対策を強力に行うということによって――公営宅地が一ぺんに行き詰まってしまうというようなことは、私は考えておりませんが、これも決して軽い問題ではないので、今後も宅地対策を強力に行なっていきたいと考えております。過去の問題については、いろいろ御意見もありましょうが、私としては、的確にどれが原因かということは、どうも申し上げるほどの分析も実はいたしておりませんので、この程度でお許しを願いたいと思います。
  7. 小松幹

    小松委員 公営住宅十八戸三カ年計画というのが、実質において十二万幾らしかできなかったという、そこにはやはり私は大臣自身の研究というよりも、建設行政に携わる者としては、何がゆえにその建設の進捗ができなかったか、進まなかったのかという原因は、これは研究しておると思う。大臣は存じないのかもしれないが、事務当局は研究しておるかもしれない。また住宅審議会等では、結論が出ておるのではないか。問題は、いわゆる地方起債の問題が大きくからんできて、いわゆる地方財政の問題といっていますが、この地方起債の問題について、大臣はどのような考え方に立って――もうできないから、起債でもワクを別ワクにするという考え方もあると思うのです。別ワクになっている起債ワクというのは、四つか五つかございますが、それと同じように起債ワクを別ワクにするという考え方、あるいはワクの拡大をはかるためにはいろいろな措置がある、あるいは起債の時期がずれてきている。そういうことから、公営住宅に対しては、最近は盛んに、名古屋でも大阪でも、大都市では、よくやっておりますけれども、やれないところが今後出てくると思うのです。今まではもの珍しくてやれたと思うのですが、今後は、東京だけでないと思う、東京以外の地方公共団体でも、今年のように、今からずっと地方財政赤字財政が年々累加してきますと、起債というものに目をおおって公営住宅を進めるということは、今までよりも私は今後はむずかしくなると思う。その辺について、起債ワクを別ワクにするか、あるいは拡大するか、その問題と、起債の時期の問題と、そうした公営住宅が行き悩んだ、思うように計画が進まなかった原因を、もう少し私は親切に分析して、そうして、かくなる上は公団住宅に行かなければならなかったという深い論拠があると思うのです。その論拠をそのままに見のがして、ただ公団という新規なものに取りついていくという考え方に、私はあまり感心していない。そこで、公営住宅の行き詰ったことについて、何ら考えなかったのか、今後もそのまま野放図に行くか、その御見解をお伺いしたい。
  8. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、決して考えなかったわけではありませんが、率直に申せば、前内閣政策批判がましいことを私の口から申し上げることもいかがかと考えましたので、そういう意味で申したのであります。例としておあげ下さったこの地方債地方財政から来る公営住宅の困難ということは、確かにこれは現実の問題であります。そこで、私も毎度申し上げるように、五万戸に対して、今年度でも約百億近い地方起債地方財源としては要るわけでありまして、これをそのまま百パーセント起債を認め得るかどうかということについても、地方財政計画を立て、またこの予算の編成の過程におきまして、私も事務当局も、何十回となく折衝、努力をいたしたようなわけでありまして、今度の地方財政計画の中におきましては、政府最終決定の案におきまして、第一に住宅起債は優先的にこれを認めるということをはっきり明示をいたしておりますように、これを明らかに別ワクにするということも、大臣同士の話は了承をしたのでありますが、事務的な発表、表現の仕方としては、そういうことにいたすよりも、もう少し全体的な地方財政現状に合うようにした方がよかろうということで、別ワクには今年はいたしませんでしたが、実行上はさようなことにいたすことにきまっておりますから、私は今年度の計画については、地方起債については心配いたしておりません。ただ、内容になって参りますと、お話通り、従来もこの地方起債の問題で困難をきわめたのは、一般的にいわゆる交付団体の方へ起債をつけるということについて、これは原則的な理由で、楽というわけでありませんけれども、やりいい。ところが、自治庁の方からいうと、東京とか大阪富裕県住宅に限って相当膨大な起債を許すということは、全体の財政計画起債のプランからいいまして、なかなか承知をしないのであります。住宅だけが例外だという考え方は、自治庁自治庁なりに、全体の地方財政から出発するものですから、この点で、私は従来も事務当局同士の話がなかなか煮えなかったもとだと思います。その例が東京で、お話通り計画通り家が建ちませんので、三月に強引に、これは事務的な交渉を抜いて十億急遽東京起債ワクをつけまして、今その家が進行しているというようなわけで、この自治庁考え方が、すべて間違っているというわけにはいきませんし、そうかといって、富裕府県住宅に限って無制限に起債を与えていくということについても、全体的には議論が出てくるといったようなことで、これはなかなかめんどうな問題でありますが、今年はそういうことにならぬように、実際の計画をあわせて話し合いをつけてありますから行きますが、これはなかなかお話通り、今後一そう困難になって参ろうと思います。そういうわけで、私は公営住宅がどの程度までやり得るかということについては、もっといろいろな角度から検討しなければなりませんから、簡単には結論は下せませんけれども、これを拡大するということは、今の建前ではなかなか容易でないということは、率直に私も考えております。と申して、またこの公営制度に、思い切って国家負担率を増していくならば、これはまあできましょうが、そうなれば戸数を、国民の要請であるところの戸数に応ずるだけの財政的な裏打ちができなければ、全体の計画を縮小しなければならぬ。一体今の制度をできるだけがんばって、地方努力を要請してこの戸数を維持することが必要か、あるいは政府負担率を上げて、戸数を減らしても楽にする方がいいかというようなことになりますと、これはなかなかむずかしい問題でありまして、将来のことは別として、私は今の率を維持することに努力して、できるだけ公営戸数を増していくということが、われわれの今置かれている立場からの努力の目標であろうと考えますので、今度の計画もそういうふうにいたしたようなわけでありまして、御指摘通り、このことは容易でないというふうに考えておるのであります。
  9. 小松幹

    小松委員 政府が大きな公約として住宅建設を取り上げたということは、非常に時宜を得て、国民も、のどがかわいているときに水をやろうかと言われたような感じがされたであろうと思うのです。それにしては、もう少し私は、公営なら公営住宅というものを、なぜ行き詰まったかというところから考え直して、その行き詰まったところを積極的に力を入れるというようなことをやってもらいたい気がするわけです。政府住宅に力を入れると言うたことは、公団住宅を新しく作るというだけの試みだとしか考えられないならば、今までずいぶん言われたことですが、幾分ものさびしい感じもするわけです。私は、やはり公営住宅というものに力を入れて、それに自治庁がとやかく言うといっても、ほんとうに地方が必要に迫られて、公営住宅で賃貸しが安くできるような住宅を、一般庶民のために建てることに力を入れてもらいたかったわけです。しかし、政府の案としては、公団という新規なものを試みるというのでございますから、これも仕方かない。そこで、私は公団のことをこの前も質問いたしましたが、やはり疑点が一、二ありますから、それをお伺いしたいのです。一つは、公団はこれは頭が二つ三つになるのじゃなかろうか、やまたのおろちのようになるのか、一つかという問題がある。その疑念を抱くのは、地方公共団体資金を出させるということと公団経営というものは、どういう格好になるのか。法案で見れば、地方に支部を設けるような格好にも見えるし、大臣も、最初一つで行こうと思ったが、どうも地方の実情に応じて二つ三つ頭を出さんならぬというふうにも聞いたのです。その辺のところがどういう格好になるのか、もう少し詳細に言っていただきたい。
  10. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 公団につきましては、あるいはそういう心配があるのも、今の私の説明が足りなかったと思いますが、組み立て方考えた場合において、これは公営と違って、地方に半額の負担をさせるという建前を原則にしないで、一応頭金なしに、全部政府の金でといいますか、公団資金で家を建てて、分譲なり、貸付をするという建前のところが、公団の一番変った点であります。その場合、地方とのつながりというものは、これは非常に大事な問題であって、何か天下り的に別の会社が家を建てて、地方には何ら無関係仕事をしていくということでは、出発が、公営の性格を別に十分持っていくという考え方でありますから、そういうことではいけない、できるだけ一つ地方とのつながりをつける。それには、やはり人的にも資金的にも、実際その中に入って一緒になってやっていくということでないと、遊離してしまうというふうに考えましたので、百六十億のうち一割の十六億というものを地方から出資願う。しかし、法案に書いてありますように、政府はきめただけのものは直ちに出しますが、地方の十六億の方は、必ずしもそれが一文も欠けないでそろわなければ出発ができないということにはいたしておりませんのは、これは漸次広げていって、せいぜいその程度で願うという建前であるから、そこにもそういう特別の考慮を払っておるような次第でありまして、資金的、人的に地方とのつながりをつけるということで、そういう組み立てをいたしております。しかし、これは今あくまで地方公共団体が主体になっやってておる公営やり方とは違って、一つ公団計画的にどんどん一定の住宅を建てていくことが、早く家を作る一つの道だと考えますから、そこで、これは中央に事務所を置いて、公庫のように金を貸すのが主じゃありませんから、支店を置くことを先に考えるよりも、仕事をするために最小限度の必要な連絡機関は作りますけれども、全国に一斉に支店を作って、仕事を手広く広げるということよりも、実際の仕事に必要な限度においてそういうものは作っていくという建前考えておりますので、支店も全部各県に作るというような考え方では出発をいたさなかったというわけであります。従って、私は頭が幾つにも分れるという意味がちょっと理解がしかねるので、その御質問に対する答弁が的確でないかもしれませんが、今申し上げたような考え方で、現実に必要なところへ必要な連絡機関は設けて、この全体の計画を進めて参りたいと思います。あくまで頭は一つで、その頭というか、中央機関の中へ地方団体代表者も加わって、資金的な若干の裏打ちとともに、一体になって進んでいくということでありますから、頭が分れるというようなことは、実は心配をいたしておりませんが、なおわれわれの気づかぬ点で不十分な点があれば、御指摘をいただいて注意をいたしますことに、何らちゅうちょはいたしておりません。
  11. 小松幹

    小松委員 私もちょっと疑問に思っておる点がある。というのは、似たような帝都高速度交通営団というものがあり、これとどういうような格好で違うのかということです。事業体なんですけれども、補助金事業をしておるのではない。手前の資本というものを持って事業をしておれば、仕事そのものは、支店があろうがなかろうがいい。ところが、資本の上で各地方自治団体資本というものを入れて、そこに限定してその公団なるものの資本の範囲からいえば、いわゆる財政というものからいえば、どうも一本調子にいかないのじゃないか。やはり頭が八つか、あるいは枝葉がちょっと出たか、そういう格好公団組織――仕事はどうでもいいです。いわゆるその資本というものが、どういう格好に連なって一つ組織体になるか、そこのところが中途半端ではっきりしない。だから、最初例としてあげた高速度交通営団のようなああいうものかどうか、その辺のところをもう少しはっきりしていただきたい。
  12. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 どうもごもっともなような気もいたしますが、私の申し上げるのは、十六億というものは、一応資本として各県がそれぞれ分に応じて出していただくので、出していただいた以上は、それが公団資本一つのものになるのですから、それでばらばらになるということは、私は考えられません。同時に、人的な機構といえば、五人の理事のうち、地方からは二人を代表者として出して、何県か地方代表者意見を代表するという考え方で人的な機構はできますし、それから百六十六億の資金の中へ十六億の資金というものが溶け込んでしまって、その割合は別に金に種類があるわけじゃないのです。一本のものとなって必要な建設計画を進めていくということでありますから、御心配のような問題は私は何ら憂慮いたしておりませんが、ただお話の中で考えられることは、もちろん東京がある程度出資をして家を建つ、大阪もある程度出資してもらって大阪へ家を建つというようなことは、これはある意味において当然のことでありまして、それは決して分割した考え方ではなくて、それを一つところで総括をしてあんばいしていくというふうにやって参れば、さしたる支障はなかろうと考えております。
  13. 小松幹

    小松委員 事務当局にお願いするのだが、そうした見解をもう少し具体的に――大臣以外の見解がありますか。
  14. 石破二朗

    石破政府委員 お話通り資本金政府出資金地方公共団体出資金と両方から成り立っておりますが、経営はもちろん一本でやるつもりであります。といって、政府考えだけで動かないように、地方の意思も十分反映するように、いろいろ法案上も考えております。まず第一に、毎年の事業計画でありますとか、予算でありますとか、そういう公団の業務の基本になる事項は、管理委員会というので決定することになっておりますが、この管理委員会構成員のうら、二人は関係地方公共団体の長が共同で推薦する者のうちから任命しなければならない。こういうことで、地方との関係をまず第一に縛っております。次に、三十四条を見ていただきますと、公団住宅建設計画でありますとか、宅地造成計画、こういうものを作ります際には、関係地方公共団体の長の意見を聞かなければならぬ、こういうふうにいたしております。さらに入居者等の選定などでありますが、三十二条をごらんになりますと、これらのことは一切建設省令が定めることにいたしておりますが、この省令を定めます際には、地方公共団体の長の意見を十分取り入れてやるような規定の仕方をいたしたいと考えております。なお、財務の点に関しても、出資者でありますので、出資者たる地方公共団体に対しましては、いろいろ必要な報告をする、そういう規定を設けておる次第でございます。そういたしますれば、最終的には建設大臣が監督しておりますので、これが二元的になる危険もありませんし、といって建設大臣が独断で仕事をやっていくという危険もなかろう、かように考えておるわけであります。
  15. 小松幹

    小松委員 そういうようにいろいろ聞いてくると、何も公団というのを別にこしらえぬでも、建設省の外局かあるいは今までの住宅金融公庫ですか、そういう形でも、そういう機構を作らないでもやれるんじゃないかという気がするのです。やれないとすれば、やはり資本というものを別個にはっきりして、そうして将来、住宅建設というのはここが山で、三年なら三年、五年なら五年と一応建設したならば、あとは管理の面に変ってくると思う。それが永久に今までのままの建設がどんどん続けば別ですけれども、ある一つの山を越した場合には管理の方向に変ってくるので、そうした場合に、やたらに機構を広げておいて、そうしてそのときになって機構を縮小することができないで、建てた住宅に全部のものが寄りかかって寄生虫みたいなものになって、その住宅の家賃というものが下ってこない。こういう三年、五年の先をいろいろ考えたときに、そんなにやたらに機構を広げていくのがいいのか、その程度のことならば今の機構でやれるんじゃないかということを私は考える。何かもの珍しく、資本を入れるのだから、生命保険から何十億かくるのだからというので公団を作った。二、三年して建設していくうちに、それがうやむやになってくるか、あるいは妙なふうに変形して、住宅寄生虫みたいになるのではないか、こういうことを私は心配しておるわけです。その辺の見通し、今は今でいい、ことしはことしでいい、竹山さんが建設大臣になっておる間はいい。しかし、これは五年も六年もというわけにいかぬと思う。その三年、五年の将来のときに、住宅建設の上に公団組織というものがあって、益なきものになってくるのではないか。それは過去の住宅営団とか、そうしたものを振り返ってみると、日本機構の場合、いろいろな公団というものをこしらえると、やがては公団が妙な――もっと言えば、食糧営団とか、何とか営団とかいうものができた。ところが、そのときはよかったが、しまいのころには、もう食糧営団が官僚的になって、庶民の食生活の上にのさばってしまって、やみ取引をしたり何かして、食糧営団そのものが妙なものになってしまう。こういうことを過去に幾たびか経験しておるから、住宅営団が、当初竹山建設大臣が思っておった趣旨からはずれて、また賃貸し親分のようになってくるのではないか。特に宅地造成というものを含んでおるゆえに、住宅界の大ボス営団になろう。こういう心配考えるから、それなら最初からそういう公団をしゃにむに作らぬでも、今の機構でやれるのではないか、そういうことを私は考えている。その辺は見解の相違でもありましょうが、その辺を一つ御答弁願いたい。
  16. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことにごもっともな御意見だと思います。今度これを考えますには、もちろんいろいろな意見を十分検討をいたしたわけで、ことさら新しいものを作る奇をてらったわけではありません。私はこういうふうに考えております。公営住宅というものは、これは社会党案もそうですが、政府が最大限度の国費を負担して低家賃の家を極力作っていくという建前は、これは基本であってくずすべきではないと考えますから、この制度は、これを一挙に膨大にするということは財政上、立場が違えば別でありますが、一挙に何十倍にするということはできないと思いますから、これは基本的な政策として依然として続けていく。一方、今日の住宅金融金庫というものは、御承知の通り金融機関として今日まで住宅問題に取り組んで来たのでありまして、住宅に対する不動産金融機関というものは、終戦後不動産金融機関というものが制度上なくなってしまいまして、農地についてもそうでありますが、私はこの不動産金融機関というものをしっかりしたものにしていくことが、国民生活の安定上必要だ、これへもっと政策努力をすべきだと考えておりまして、農業の方でいえば、農地担保金融制度というものは、農地改革の裏づけとして当然なすべきことを今日まで怠っておったという点で、多少社会党さんの考え方と違っておりますが、今度の自作農の農地担保金融というものは、そういう構想で出したわけであります。同時に、住宅に対する金融機関というものも、漸次もっとしっかりしたものにしていく必要があろうと私は考えておりまして、それには、幸いにして住宅金融公庫というものが住宅に対する金融機関として、当初は政府の別動隊のごとき形で、政府資金を貸すということだけで出発をいたしたわけでありますが、私は、むしろこれを住宅不動産金融機関として健全なる発達をさして力強いものにしていくということが、将来の恒久政策としてとるべきものだと考える。そこで、今度も住宅資金に対する保証保険の制度を公庫に扱わせることにいたしましたのも、その一貫した考え方から出発をいたしております。ところが、当面住宅の不足を急速にやっていこうとするには、公営と今申します金融機関の金貸しだけでやれるかというと、それではわれわれとしてはどうも不十分だ。この際政府資金を思い切って集めて、みずからどんどん家を建てていく。あるいは御批判はありましたが、宅地の造成は政府にかわってどんどんやっていくという現業的な施策を強力にやらなければ、従来のままではなかなか拡大ができないという考え方で、住宅公団なるものを考えたわけでありますから、私は永久的に公団が家を建てていくということを実は考えておりません。十年計画で、計画が終れば、むしろこれは将来は公営と公庫でけっこうだ。そういう意味で、これをいつまでも政府みずから家を建てていくということでなくて済むようにすることが、住宅政策だろうと思います。それには、金融機関の公庫と、みずから家を建てる現場をやるものとが、事務的にも経済的にもごちゃごちゃになってしまうことは避けなければならぬ。現実に非常に綿密な計画のもとに進んでいかなければならぬ。公庫の金融機関を、一時的にわっと家を建てるため使いますと、これは必ず混乱をいたしますから、私は一緒にやるべきじゃない。いろいろ意見はありましょうけれども、私は将来のことを考え公団の家を建てるものは、人間も違います、これは現場の建築屋の諸君が中心になってやらなければならぬ仕事であり、公庫の金融機関というものは、必ずしもそうでないのでありますから、そういう意味において、画然とおのおのの分担を通じても協力せなければなりませんけれども、分けていくことが、将来の住宅政策といいますか、全体の政策の見通しから申して必要だという考え方に立って、かような方式をきめたわけで、いろいろ御意見のある点はもちろんよくわかりますし、省内においても、当初計画を立てる場合に、いろいろな方面の御意見があったことは事実であります。率直に私はそれを認めますが、私は最後的な決意は、さような考え方に立っておるわけであります。
  17. 小松幹

    小松委員 私は将来を見通して、こういう新しい組織というものはもの珍しくしないで、今の組織、機構の中で現実にやれるのではないかという意見ですが、それは政治的立場も違いますから、そういう公団組織をこしらえて、勢い込んで旗を上げてやることもいいでしょう。しかし、この際言っておきたいことは、最近でも営繕の人が首を切られるというようなことを聞いて、さもありなんと思わせるのです。家を建てるときには、ネコもしゃくしも、家を建てるんだからといって採用をしたが、家も建って官庁営繕も済んで、もう要らなくなった、五年たった後にはやめてくれということでお払い箱になる。五年間むだ骨を折ったのではないけれども、将来が不安定だということになる。公団経営というものは、やたらに規模が大きくなりますと、将来住宅建設は、ある年月がくると限度がきて、平常的な管理業務に変ってきたときには、その規模というものをよほど考えておかないと、そのときになって、首を切るということになる。そうでなければ、思い切って資本主義社会の中に飛び込んでいって、宅地土地建設会社や電建会社や、あるいは何々住宅協会などと、しのぎを削って宅地造成に競争するとか、あるいは住宅建設競争をするような力を持たせるようにすれば、公団ももう政府の金なんか当てにしなくてもいい。いろいろ文句を言われぬでも、手前からしっかりやっていきますという時代がくれば別ですけれども、おそらく今の公団やり方では、勢いのいいときはいい。しかし三年、五年先を見ると、こうしり細りになってくることもわかる。それもいいでしょう、いいでしょうが、今度のいわゆる公団を作る場合には、そうした意味のわが方の限界線、公団運営の限界線をしっかり考えておっていただきたいのであります。そうでなくて、私は公団というものが、将来の住宅に住む居住民に大きな負担になってくるのではないか、かように考えます。これは意見になって参りますから、その点意見意見として、公団というものを作らないでも、同じ金を使うならば、公営住宅一本で建設を急ぐという格好の方がいいのではないか、こういう趣旨からいっておるわけでございますから、その点、やはり公団がいいというきめ手を、一つだけ大臣にもう一回はっきり言っていただきたい。
  18. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これは考え方の違いでありますから、何度も同じことを申すようで恐縮でありますが、急速に住宅政府の力でどんどん作っていく。これは公団がかわってやっていくという政策をこの際とることが、住宅政策推進のために必要である。しかし従来やっておる公営及び公庫の制度を、あくまで伸ばしていくということには、何ら変るところはないという三本建の君え方というものが私の考え方でありまして、公団が別にオールマイティでないことも事実であります。しかし、これだけでは私はむずかしいと思う。先ほど来申し上げておるように、公営制度だけにたよるということでは、われわれの立場としては困難だということが、また逆にひっくり返せば、公団の必要なるゆえんでありますので、あまり私も自分の効能書きを言うようで恐縮でありますが、そういう考え方です。  それから、今お話の中で、人の問題について御心配いただいておる点も、よくそのお気持はわかる。これは、決してこの際しいて事を起す意味において、そういう問題が起ったのではないということは、どうか御理解をいただきたいのであって、実を言うと、建築の技術者の諸君などというものは――実は建築に限らないのでありますが、私は一番気の毒に考えております。これは技術者に伴う一つの半面でありまして、一生懸命で仕事をやって、仕事がなくなると、役人の定員の制度上、仕事がないのに役人を置いておくということはできない。そういうところに、非常に営利会社とは違った矛盾があります。また性格からいったって、家を建てるという仕事は、永久に継続するはずのない性質のものでありますから、だんだんと新しい分野を開拓していく、本来の性格上、そういうふうになって参ります。人情としては、いつまでも置いておきたいという気持は、われわれだって人後に落ちないつもりでありますが、それができない。だから、むしろこれは思い切ってそのときどきの政策の重点に向って、その人の能力を最も有効に働いてもらえるような機構を、それが必要に応じて起っていくその分野において思い切って働いてもらうということが、やはり一番働きがいのあることであって、仕事はないけれども、いつか起るかもしれないから、じっとがまんして待っておれということでは、行き方としては、若い諸君には思い切った期待はできないと思います。これがだんだんと日本の経済や機構が落ちついて参れば、もっといろいろな整った体制にもなりましょうけれども、何しろ戦後のいろいろな混乱の中の仕事をやってきた、そのあとの体制を正常な状態に取り戻すための、いわゆる独立後の政治の切りかえのために起ってくる、これも一つの現象と私は考えておりますので、それを最もスムーズに、国家のためにもなるように、個人のためにもなるように、親切にいろいろな方面から考えて参りたいと思っておるのが今日の事態でありますので、その辺も一つ御理解をいただきたいと思います。
  19. 小松幹

    小松委員 よくわかりました。これ以上は、住宅公団のことについてはお伺いしませんが、種あかしをすれば、東京公営住宅が行き詰まったから、何とか公団みたいなことをしなければならぬというのが、そもそもこの公団の発祥であると私は見ておるのです。あとからいろいろ理屈はつくでしょうからいいでしょう。  そこで私は、大臣に希望を申し上げておきたいのです。住宅金融公庫は、設立の当初は、非常に勢い込んで貸付住宅というものが起ってきた。ところが、その後限界線が来たのか、住宅金融公庫に金が余った。それで自由党内閣のときに、その金を引き落したということもありますが、なぜ住宅金融公庫が行き詰まるかということを考えたときに、頭金の問題と、それから坪当りの単価というものが、必要以上に小さく見積ってあるために、実際坪単価がその倍もかからなければ、いなかでも家が建たない。住宅金融公庫の坪単価では、まるで思うような恒久的な自分の住宅というものは、みすぼらしくて建てられない。そうなれば、頭金を出した上に、その不足の金を出さなければならぬから、ずいぶんたくさんの手前の金を用意しなければ、住宅金融公庫の金を借りても意味がない、こういうところから、借り手が、あるいは遠慮する向きも出てきたのだろうと思う。今、国民の中には、住宅建設したいという希望は、切実にあると思うのです。そこで住宅金融公庫の金を、もう少し一般大衆、零細な大衆に貸し出しができるような方法を講ずることはできないか。たとえたならば、よく新聞の住宅、貸間とか貸家の欄を見ても、権利金なし、敷金なしという家に、一番みんなが飛びついておるというのはどういうわけか。権利金が六万円だ、敷金が三万円だというところに家賃を三千円出すよりも、権利金なし、敷金なしで三千五百円の家賃を出していく方が、勤労階級としては飛びつきやすい。そうすると、住宅建設の場合に、頭金を五十万円も三十万円も三十万円も出して家を建てることはできないから、住宅金融公庫というものが縁遠いものになってくる。これを今後どういうように考えるか。私は、大臣も私の考え通り考えてもらいたいと思うが、本年の金融公庫の運営はそういうようになっていないのです。これについて、一つ見解を承わりたい。
  20. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これは毎々御注意をいただいておる点でありますが、実は事務的に、予算組み立て上七〇%の資金を貸し出すとかいうことにきめておりますので、それが非常な御批判を受けておる。それで私も、決してこれがいいとは考えておりませんので、今いろいろ皆さん方の御注意をもとにして、最大限度公庫が運営をし得る範囲で融資率を引き上げるためにはどうしたらいいかということについて目下検討中であります。これはおきめをいただくころまでには、われわれとしても最大限度の率を引き上げるように、われわれの、また公庫の責任においてこれが実行できるように今検討をいたしておりますが、だいぶ自信もありますから、御希望以上に行くとは申し上げられませんけれども、今まで申し上げた中で工夫をいたしまして、できるだけ内容が実際の要請に応じ得るような案を目下検討をいたしております。またできましたならば、一つ批判をいただきたいと思います。
  21. 小松幹

    小松委員 それでは今の点は一つ大臣の善意ある善処を願いたいと思います。  もう一つ、先ほどちょっと聞いたのですが、今年三千万円金を用意した、大臣はそう言ったのではないか。私は昨日もらいました「季刊」という雑誌を見ておると、建設当局の課長か何かが、全国的に本年の住宅不足調査をやるというのをちらっと見たように思う。大臣も、今そんなことを育ったのであるが、それはどういう計画があるか、お考えを承わりたい。
  22. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 先ほどちょっと申し上げたように、今年実は三千万円の予算をとりまして、ほんとうをいえば、家を建てる金がないときにぜいたくだと思いますけれども、これはやはり戦後のいろいろな混乱時代の中でだんだんに積み上げられてきていますから、この際一つ、これで十分とは思いませんけれども、住宅のいろいろな面について、できるだけ基本的な調査をしてみたいということで、具体的な問題は今計画をいたしておりますが、必要とあれば官房長から申し上げます。
  23. 小松幹

    小松委員 今必要ではないのですが、全国調査ですか。
  24. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 そういうことです。全国的に調査をしたい。国勢調査のように一軒々々調べるというところまでは、二千万円ではとてもできますまいが、これで一ついろいろうまい方法を考えて、いろいろな要請にこたえるような資料を作りたいと思っております。
  25. 小松幹

    小松委員 二、三年前か、ちょっと調査しかけて途中で投げたんじゃないですか。全国調査というものは、なかなかむずかしいのですが、その辺どうですか。
  26. 石破二朗

    石破政府委員 お話通り、昭和二十八年にやっております。ただ、そのときは住宅事情の最も悪い市部だけを調査して、それを郡部に類推と申しますか、過去に調査したのがありますので、ふえ工合とか減り工合で率をかけまして、郡部は推計しておるというのが実情でございます。今度は、それを全部というわけにはいきませんけれども、三十八年から日数もたっておりますし、そういう不完全な点もありましたので、やはり抽出検査になると思いますけれども、早急に、もう少し徹底した調査をしたい、こういう意味であります。
  27. 小松幹

    小松委員 最後に、金融公庫の方はおりませんか。――おられないようですから、それでは質問を終ります。
  28. 内海安吉

    内海委員長 中島巖君。
  29. 中島巖

    ○中島(巖)委員 建設大臣に質問いたしますが、政府からの資料といたしまして、現在二百八十四万戸が不足している、今後年間人口増などで二十五万戸ぐらいずつふえていくことを推定する。実際この通りでありまして、住宅難ということは非常にはっきりとわかっておるのでありますが、さて、そこで問題となるのは、いかなる階層が最も住宅の困窮度が高いか、住宅の困窮度の高いのは、いかなる階層であるかということが、まず基本的の問題である、こういうふうに考えるのであります。従って、この基本的な問題の上に立ちまして、住宅政策を策定したというように私ども解釈いたしておるのであります。従いまして、この基本的の問題であるところの住宅困窮者の階層、収入はどのくらいのところと踏んでおるかということについて、質問いたしたいと思います。
  30. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 私はこういうことだろうと思うのであります。住宅に困窮しておるという人は、いろいろな階層にあると思う。まあいわゆる資本家、金持ちは勝手に建てますから別ですが、国民の中層をなすところの勤労者、中小工業者といったような人も、住宅土地がないとか、資金がうまくいかないとかで、家がないという困り方は、むしろそういうところにもずいぶんあると思う。ですから、必ずしもまるで収入のない、いわゆる困窮者だけが家に困るということではないと私は思う。そこで、住宅に対する要求というものは、非常に幅の広い要請が起ってくるわけでありまして、何でもいいから、とにかく一間でもいいからはいれる家を建てろという要求、しかも、これは家賃は払えないのだから、ただにしてくれれば一番いいし、払うにしてもごくわずかしか払えないのだという階層の要請というものが熾烈であること、これがなかなか多いということも事実であります。ところが一方においては、そんな小さな家を建てたっておれたちははいれないのだ、とにかく相当のアパートを建ててくれ、もう木造住宅なんかだめなんで、不燃性のアパートにすべきだという要求が、御承知のように都会においては猛烈に強いわけであります。そこで、われわれの立場からいたしますと、観念的には、食うに困る国民の層に対して家を供給すれば、あとは自分で何とかすればいいじゃないかということも、一応考えられるわけでありますが、これだけでは、私は住宅対策にはならないし、事態の要請の解決にならないと思いますので、どうしても両方の要請というものを適当なつり合いにおいて対策を立てていかなければならぬ。もちろん、いわゆる中以上の所得者の問題は、これは自分の力で考えてもらう、いわゆる自力建設の面というものは、ある程度の援助を政府がやれば、あとは自分で解決をしてもらう以外に方法はありません。そういうことを前提にして考えて参りますと、いわゆる低額所得者に対する住宅の供給というものは、今日までやって参りました公営住宅をできるだけ数多く、できるだけ家賃の少い家を供給するというところに、公営住宅のねらいをまず持っていく。そうしてある程度の収入のある勤労者が中心でありますが、そういう人たちの要請に応ずるためには、これまた安いに越したことはないのですけれども、ある程度進んだ耐火アパートのようなものを供給する。しかし、五万も十万も月収のあるような所得者を対象にすることは、政府がやる住宅対策としては必要のないことでありますから、これは金融の方法さえ立てば自然にできていくわけであります。いずれにしても、いわゆる中層の所得者を対象にしたまでのところが政府政策の対象になるもの、その割合をどっちを重点にするかということが、非常にむずかしい問題でありますが、私はやはり数においては依願所得者に対する公営住宅を数多く供給をするということが当面の要請であり、あとは資金的にまかない得る最大限度において、できるだけ進歩した耐火アパートのようなものを、都会においてはできるだけ多く供給をしていくということに努力をするというやり方が、私たちの今考えておる態度でありまして、それが今度の三本建のやり方になってきたようなわけであります。
  31. 中島巖

    ○中島(巖)委員 重ねてお尋ねいたしますが、ただいまの基本的の問題について、はっきりした御答弁を得られなかったことを、大へん遺憾とするものであります。結局、いかなる階層が最も住宅に困窮し、最も大きな人員であるかということが、この基本的な問題であると思うのであります。これらは、建設省といたしまして数字をつかむということは困難だと思うのでありますが、この住宅政策を策定するに当りまして、厚生省あるいは労働省なんかの意見を徴してこの策定をしたかどうかということについて、お伺いをしたいのでございます。
  32. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 それはもちろんやっております。なお住宅審議会には、各方面のその道の権威者が集まっておられますから、今お話のような問題は――総評からも住宅審議会には参っておられますし、いろいろな方面の意見を私は十分取り入れて考えておるつもりであります。  なお、基本的な階層のことが不明確だったとおっしゃられますが、私が先ほどから申しておるように、勤労者を含む国民の中層までの層というものが、全部住宅を必要とする層で、それを対象に考えておるということで、それ以上のぜいたくは、政府としてはとても考える余裕がありませんから、自力建設の方へ回しておるということでありまして、端的に申せば、勤労者の住宅というものが全部で、その中でいわゆる低額の、収入もない未亡人とか、そういう方面の人たちのことも考えなければなりませんから、できるだけ極端に安い低家賃の家を、公営の方で特に考えていくということでありまして、対象になる範囲というものは、おのずからわれわれは皆さんのお考えと、そんなに食い違いはないと考えております。
  33. 中島巖

    ○中島(巖)委員 結論的に申しまして、現在約三百万世帯が住宅が不足しておるということになるのです。従って、住宅政策を策定するに当りましては、この三百万世帯の中で、たとえば、具体的に申し上げれば、月収二万円程度のものが何世帯で、月収四万円程度のものが何世帯であるというようなことを、大ざっぱで、推定でもいいのでありますが、そういうような基礎の上に立って住宅建設計画が立てられなければならないというように私は考えるのであります。そういうような基礎の上に立って、この住宅政策を策定したのであるか。もしそういうような基礎の上に立って策定したといたしますれば、その基礎の御発表を願いたいと思います。
  34. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 官房長から数字的に申し上げます。
  35. 石破二朗

    石破政府委員 この数字を責任を持ってお答えするだけの正確な資料は持っておりませんけれども、お話通り住宅不足を最も痛感している階層は、所得から申しましても、やはり低い者ほど多くなっております。お話通り住宅難の比率と申しますか、こういうものを取ってみますと、これは総世帯が多い少いによって違いますから、その点も考えていただかなければなりませんが、絶対数から申しまして、住宅不足を訴えておりますものは、各階層にわたっておるわけではございますけれども、お話通り、最も多く固まっておりますところは、やはり一万二千円程度から二万八千円程度、まあ三万円までというようなところのようでございます。
  36. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私の要求いたしますのは、しからば、ただいま官房長から説明のあった二万円程度が、この三百万世帯の中で何%を占めておるか、それから月収がさらにそれ以上のもの、それから下のものというような幾段階に分けたそういう基礎の上に立って、住宅政策を樹立せねばならぬと考えるのでありますが、この住宅政策を策定する基本になるこれに対する資料が非常に貧弱であることを大へんに遺憾とするものであります。そこで、昨年度までの金融公庫の貸付の状態を見ますと、一〇〇の申し込みに対しまして、金融公庫から借り受けのできたものはわずかに四%というようなことになっておるのであります。従いまして、この申し込みがいかに多いかということを、この数字が如実に物語っておるわけであります。そして、これに対しましては、約二十八万円ないし三十万円程度で一戸が建設されておるような状況でありますが、今度の公団法案によりますと、一戸当り約八十三万円というような資金が必要なわけであります。さらに、膨大な官庁機構を、実質において一つこしらえるというような結果になっておるのでございます。従いまして、もし住宅金融公庫がこれだけの金を扱いますれば、三倍くらいの家が建設できるのでありまして、都市センターとして、もっと住宅が緩和した将来は別でありますけれども、この非常な住宅不足の現況におきましては、今回の公団を設置するよりは、この方へ融資いたしまして住宅の増強をはかった方が、はるかに簡便であり、そうして三倍近いところの戸数が建つのでありますが、これに対する大臣の御所見を承わりたい、かように考えます。
  37. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ごっもともな点もありますが、今の三倍になるというお話は、これはちょっと数字的に何かお考え違いがあろうと思います。それは公庫の産労住宅を建てるのと、公団が建てますのと、同じものを建てれば、同じだけ金が要るわけであります。それを逆に申せば、公団が作ろうとする従来の公庫の産労住宅を、小さな貧弱な家に分割しろとおっしゃれば、これは戸数はふえますけれども、同じ家には同じ費用がかかるわけです。ただ違う点は、お話通り、公庫は全額を貸せるわけじゃないが、公団は自分で建てるのですから、全額の費用を見込んでおる。こういう関係で、若干の食い違いはありますが、やり方としてはこの金でもって三倍家が建つなどということは、全然私たちには考えられないことでございまして、内容は、同じものを作れば同じだけ命が要るわけであります。そんなわけでありますから、実際みずからやるか、金を貸してやるかというやり方には、いろいろ御批判はありましょう。ありましょうが、たびたび申し上げるように、金を貸してやる制度だけでは、住宅の急速、集中的な建設は困難であるというふうに考えますので、今度の制度考えたわけでありまして、費用の点においては、決してぜいたくをいたしておるつもりはありません。
  38. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私の質問に不備な点があったかもしれませんが、何か建設大臣、お考え違いがあると思うのです。金融公庫で融資した場合の率を申し上げたわけであります。それで、昭和二十九年度におきましては、申し込み数が十一万七千九百二十九人ありまして、承認戸数が二万六千六百人でありまして、パーセンテージにして四・四、つまり百人に対して四・四人しか承認戸数がない、かような計算が建設省から出ておるわけであります。そうして融資額において百四十二億円で、建設戸数において四万戸建設ができておるわけでありますから、一戸当り三十万円ちょっとになるのじゃないかと思います。従って、八十三万という金額になりますと、三倍よりはちょっと少いのでありますが、しかも今回の金融公庫の融資におきましては、一〇%貸し出しの率を下げておるというような現状から見まして、本年度の金融公庫において行いますれば、三倍の家が建つということは、数学的にはっきり出ておるわけであります。従いまして、都市センターとかいろいろな問題を含めてお考えになれば、あるいは今度の公団もよろしいかと思いますけれども、現在のような住宅が逼迫している場合におきましては、どうしても質より量ということを求めねばなりませんので、公団よりは金融公庫を生かして、そしてこれだけの金でもって三倍の戸数の家を建てる感恩はないかということについて、お伺いしたのであります。
  39. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 いろいろ御注意の気持は、よくわかるのでありますが、これは見解の相違ということになるかもしれませんけれども、私の申しているのは、産労住宅を、現に公庫でやっております資金の貸し出し額と、今度公団のやります四階建てアパートとにおいては、同じだけの費用を見積っているというわけであります。ですから、こういう四階建てアパートのようなものは、ぜいたくだから小さくしろと言うなら、これは問題は別であります。それから、今お話の七割、八割の問題は、先ほど別に御答弁申し上げたように、予算上は一応そういうことにきめておりますが、いろいろ資金的なやりくり苦心をいたしまして、前年度より実質的に著しく低下いたさぬような方法を、実行の面においてはやり得る確信もありますので、この点は昨年より悪くするようなことのないように、実はできるだけいたして参りたいと考えております。そういうわけですから、今お話の二十万円とか三十万円とかおっしゃるのは、要するに中層アパートのようなものや木造のものを一緒くたにした話か、あるいは木造の家に基準を置いてお話になっているのか、それも七割ないし八割貸せるその金の額をお話されているわけです。これに対して公団は、土地つきで全部費用を持って建とうとするわけでありますから、幾分そっちの方が費用が多いように見えるのは当然のことでありまして、それが三倍になるなんというようなことは、全然考えられません。この点は、議論になるようで恐縮でありますが、お考えの気持はよくわかりますけれども、公団の金を全部公庫に入れたら同じような家が三倍建つということは、これは絶対に考えておりません。なお、私の申し上げることで御理解いただけなければ、官房長から数字的に申し上げてもよろしゅうございます。
  40. 中島巖

    ○中島(巖)委員 建設大臣、これはあなたの方から出た資料でありまして、昭和二十九年度に金融公庫の融資住宅が四万戸建設されている。これに対して百四十二億円融資している。この数字から割り出した金額であります。しかも本年度は、この融資額を一〇%引き下げたのであります。従って、この計算からいけば、一戸八十三万円かかる金額でもって十分三戸建たる、こういうことを申し上げたわけであります。  それはそれとして、次にお伺いいたしたいのでありますけれども、公団において融資する家は八十三万円かかる。従って、昨日の官房長の答弁では、家賃は約四千円というようなお話があったのであります。また現在の住宅の最も困窮度の高い層は、二万円前後の月収者であるというようなお話であります。従って、今度公団のもくろむところの住宅に対しては、最も困窮度の高いところの階層が入ることができぬということは、これははっきりわかっているのであります。そこで、ある程度高給所得者もしくは蓄積のあった者ということになるのでありまして、従ってその階層に当てはまる者は、金融公庫の融資を受けて家を建てれるところの階層に当てはまるというように直訳しても差しつかえないように私は考えるのであります。そういたすとすればただいま申しましたような現在の金融公庫を高度に活用すれば、百人の申し込みに対して承認者はわずかに四人というような実態はなくなって、えらい職員をふやさずとも、国民大衆から歓迎されて、そして三倍の家が立つのであるから、この点お考え直したらどうかということをお伺いいたすわけであります。  もう一つ公団住宅についてお伺いいたすのでありますが、八十三万円の金をかけて、四千円の家賃で収支が償うかという点であります。この二つの点に対しまして、お答えを願いたいと思います。
  41. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 八十三万円というお話は、百六十六億を一万戸で割るとそういうことになるということも、一応ごもっともでありますが、これにはいつも申すように、約百万坪の土地造成の費用を十数億見込んでおりますししますから、土地付で公団の一戸分は八十万円はかからぬ計算でおります。しかし、その費用の点は、別に御議論申すわけではないので、この基準は、先ほども申すように公庫の産労住宅の基準と変っておりません。それからその家賃が四千円というのも、まだ四千円にきめているわけではないわけであります。できるだけ低くやれるように、今いろいろな資金組み立てによって検討をいたしておりますから、そこまでは行かぬと思います。それで、今三種類の資金の組み合せでやれる最小限度の家賃を出そうという努力をいたしているようなわけであります。従って、これが絶対的な非常な高収入のものを対象にするというお話でありますが、私たちはそういうことは考えていないので、従来も、産労住宅には相当の頭金を要しますから勤労者がはいれない、それを勤労者の諸君にも、頭金なしの家を作れば、ずっと楽にはいれる。しかし何と申しても、近代的な中層アパートを作れば、ある程度の家賃はどうしても出していただかなければならぬが、それは必ずしも金持を対象とするというわけではなくて、払い得る最小限度のところをねらって三千円台であるということならば、今の実勢から見て、決してそうむちゃな高いものとは私は考えておらぬようなわけであります。
  42. 中島巖

    ○中島(巖)委員 いろいろ御答弁がありましたが、何となくどうも私の考えと食い違いがありまして、大へん遺憾であります。  それから住宅融資保険法でありますけれども、住宅融資関係につきましては、建設省の方から金融関係と特別のお話し合いができているというようなことをこの前伺ったのでありますが、住宅建設費に対しまして、大体何%ぐらい融資することができるのであるか、そして金利はどんなところに抑えているのか。そしてさらに、融資と保険とは、同じ傍系会社と申しますか、それに保険をかけなければならぬというような点について、大ざっぱな御意見をお伺いいたしたいのであります。
  43. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 この前も申し上げましたように、融資保険法は、現在の金融機関、すなわち労働金庫であるとか信用金庫であるとか、銀行であるとかというようなところの住宅のための金融を保険するのでありますから、従来通りの金の貸し方を、これによって拘束することはできません。ただ約款をきめまして、こういう範囲のものに金を貸した場合は保証しようということはきめるつもりであります。その場合、非常なぜいたくな家とか、あるいは料理屋とかいうようなものに出ないようなことは当然きめますけれども、公庫のように何%貸せるとか、金利は幾らでなければならぬとかいうようなことを、この法律で制限することはできませんし、そういうことは考えておりません。従って、一ぱいに貸せる場合もありましょうし、内輪で貸せる場合もありましょうし、金利は従来の金利が当然行われるものだと思います。従って、保険会社との関係ということは、何も特殊な関係はありませんので、ここにあげられた各金融機関を全部相手としてやるわけであります。
  44. 中島巖

    ○中島(巖)委員 現在の金融機関の金利というものは、大体一割程度になると思いますが、これらから考えまして、かりに一戸五十万円といたしましても、一側の金利を払い、保険料を払うといたしますと、相当高額な家賃を支払う結果になるのでありまして、結局、高額所得者が住宅を建てれば、絶対量から見ますれば、それが住宅緩和の一助にもなるというように考えるのでありますけれども、これでは、おそらく先ほど申したような最も住宅困窮度の高い階層は、とうてい使えないように考えるのであります。それからまた、金融公庫の本年度の政府の方針から見ましても、貸出金を一〇%程度減額している。従って宅地関係にも非常な影響を及ぼしているような点から考えましても、住宅の困窮度の高いところの階層を相手にはしておらぬ。それからまた、公団から見ましても、現在の二万円前後の月収の者が一番困窮度が高いが、これらの住む家賃ではとうていない。こういうように、いろいろとせんじ詰めて考えてきますと、どうも今回の住宅政策そのものは、困窮度の高い月収二万円前後のところへ重点が向いておらぬのじゃないか、ことに基本的に間違いがあるのじゃないかというように私考えるのでありますが、これにつきまして、大臣の御所見を承りたいと考えております。
  45. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 住宅融資保険法の対象になるものは、いわゆる自力建設のものを対象といたしているわけでありますから、お話のように、公営住宅を対象とするような階層とは、どうしても同じだとは申しかねると思います。しかし、今日までの現状は、金融機関住宅に金を貸すことが非常に消極的であります。これでは困りますから、自力建設のためには、金融機関住宅に積極的に金を出せるような方策としてこれをやるわけであります。この中には、住宅困窮者で自力建設をやろうとする人が、当然対象に上ってくるものでありますから、この点は、私は四十二万戸の対象としては決して的をはずれているとは思いません。  それから、低額所得者を対象としていないとおっしゃいますが、われわれは、十七万五千戸の政府資金を対象とするものは、すべて今お話のようなものを対象として考えているつもりでありまして、公団についても、幾分公営よりは高くなりますけれども、前に申しますように、もちろん勤労者を対象として考えておることには間違いはない。ただ、自力建設の方には、いろいろなものが入ってこなければできませんししますから、この融資保険法というものの考え方は、その中においても、できるだけわれわれの考える中層以下の人たちにこの資金が回るように、保険約款においてわれわれの趣旨を生かして参りたいという考えであります。
  46. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大臣の見えるうちに、他に質問したい方がありますので、私これをもって打ち切りたいと思いますけれども、この公団の組織その他につきまして、たしか同僚の小松委員だと思いましたが、お尋ねいたしましたけれども、すでに国会に対しまして公団法を出し、そして百六十六億の予算も計上してある上におきましては、相当準備をされていなければならないのにもかかわらず、定員に対しましても、あるいは支所もしくは支店、出張所に対しましても、あるいは大阪東京都などにおけるところの概算建設戸数というようなことに対しましても、何らわれわれの納得のできるような答弁がなかったのであります。大へん、そう申しては失礼でありますけれども、思いつきでこしらえたような感じがしてならないのでありますけれども、この計画は相当建設省として練ってこしらえたのでありますか、いかがでありましょう。
  47. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これはいろいろ御批判はありましょうが、われわれが政治的に責任を持って実行をしようということであれば、最大の努力をして立案をいたしたと申すよりほかはありません。  それから、いろいろ準備が不足じゃないか、これは国会がおきめをいただく前に、人のことやら事務所のことやらやれと言われても、できるわけのものではありませんので、われわれは腹案として持っておる程度以上のことは申し上げられません。  それからまた、同時に、なぜ私がそこをあいまいに申すかといえば、われわれの一応の事務的な考え方はあったのでありますけれども、この審議の過程を通じて、国会の御意思を十分にわれわれはごもっとも考えますので、これを実施の面において生かして参ろうと、今いろいろ検討をこれからいたそうといたしておるわけでありますから、従って、事務所をどことどこに置くとか、都市別の建設戸数の割当がないじゃないかとおっしゃられる点は、むしろ私は国会の御意思を尊重して、その御趣旨に合うようにその計画を持って参りたい。これは計画でありますから、やる気になって腹をきめれば、直ちにできるつもりでありますので、決してそういう意味での用意は怠っておるつもりはありません。
  48. 内海安吉

    内海委員長 三鍋義三君。
  49. 三鍋義三

    ○三鍋委員 竹山さんの住宅対策に対する根本的なお考えと申しますか、住宅難はあらゆる階層にある、この御見解は、私はやはり理解できるのでございます。しかし、今瀕死の状態にある病人と慢性の胃腸病をわずらっておる病人と二人あるときに、どちらを先に手当をするかということは、これはおのずから明らかであると思うのです。私は、やはり最も切実に家なき人とか、一番家に困っている人はだれかということを考えて、これにまず投薬する、これが一番住宅対策の重点でなければならない、このように考えるのでございます。そこで、この問題につきましては、各委員の方だから、非常に微に入り細にわたって御質問になっておるのでございますから、私はなるべく重複を避けまして、一つ竹山さんにお尋ねしたいのは、過日の本会議の質問におきまして、私の手違いから文部大臣と厚生大臣の御出席を願えなかったので、そのときの質問に対して答弁がいただけなかったのでございますが、これは当然建設大臣竹山さんとの関係になりますので、それで竹山さんに一つお尋ねをいたします。  いろいろな問題がありますけれども、やはり一番の問題は、東京なら東京へ遊学している学生の住宅対策というものを、どのようにお考えになっているかということです。四畳間か六畳間ぐらいの薄暗いところに、四千円ももっと出して生活しているアルバイト学生とか、あるいは遊学している学生の対策、これなんかやはりこの住宅対策として非常に大きな問題でないか、このように考えるのでございますが、何か文部大臣お話しがありましたでしょうか。
  50. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことにごもっともなことでありまして、その後、文部大臣とも実は相談をいたしております。まだ具体的に御答弁をいたす段階まで具体案が固まりませんが、端的に申し上げると、実は今回の修正をいただきました文部省予算の中で、いわゆる育英資金に充てる財源の中から、三千万円とりあえず文部大臣出して、一つ君の方で今お話しの学生の寮を考えてくれぬかということであります。まさに今お話しの問題でありまして、私は、今三千万円で家を建てたって、これは幾らにもなりませんから、これを一つ年々の基金にして、政府資金が出ればですけれども、今からこれに政府資金といっても、なかなか困難でありますから、民間資金なり何なり他の資金を思い切って集めて、――これには各県の育英会なり、あるいは県人会などの熱烈な御支援もいただけましょうから、これを一つ核にして思い切って学生アパートの大計画をこの際やってみたいというのが、文部大臣と私との今の考え方でありまして、速急にこれは具体化したい。できるならば、一番大きな案を作りたいのでありますが、これは金だけが問題でありますから、その設計等も、今住宅局に考えてもらっておりまして、ぜひ一つ、これはまた建設委員会としても御協力をいだきたい。私はそれこそ四十二万戸に勘定する気はないのでありますけれども、現実の問題としては、今の間借りの学生の苦しみを解消することは、お話しの通り一番必要です。文部大臣も、非常に熱心に今主張しておってくれますし、今そういった具体的な財源の用意も一部できておりますから、これは急速に進めたいと考えております。
  51. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ただいま竹山さんから、非常に御熱意のある言葉を聞きまして、私は心からうれしく存ずるのでございます。財政上いろいろと困難な点があることはわかりますけれども、この点は一つうんとお力添えを願いたい、こう考えます。一間を一軒に数えるならば、四十二万戸が五十万戸にすぐなるのであります。  それからもう一つ、私は本会議のとき、ちょっと触れたのでございますけれども、靖国の遺児が東京へ朝早く来ましたので、私も偶然ですがこれを出迎えに四時ごろ出たのです。そうすると、上野のガード下地下道に、実にたくさんの人がたき火をしてたむろしている姿を見まして、これは大へんなことだ――あそこだけではないと思うのです。こういう浮浪者の方々の家とまでいかなくても、あんなことをしてアスファルトの上に寝ころばなくても、何とか過ごせる、そういう住宅対策、収容所といったようなものを考えていただけないか。これを私、非常に痛切に感じまして、本会議のときにちょっと触れたのでありますが、この点も学生の住宅とあわせまして、竹山さんの絶大なる御理解と対策をお願いしたい、このように考えておるわけでありますが、一つよろしくお願いいたします。
  52. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これは家を建てただけで解決するかどうか、問題だと思いますので、よく一つ労働省、厚生省方面と研究をして、御趣旨の線に沿うように努力いたしたいと思います。
  53. 内海安吉

  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 住宅対策については、各委員から微に入り細にわたって質疑が行われましたので、私は住宅対策の内容については、取り立ててお尋ねすることもないと思って控えておったのであります。今、三鍋さんも言われた通り大臣も非常に熱意を持っておられますが、あの問題は、政治の基金を中心にして、財界、地方公共団体に呼びかけられると、りっぱなものができると思います。どうか一つ今の大臣の気持を早急に具体化していただくことを、私からもお願いしておきます。  そこで、住宅対策の内容は、もうよろしゅうございますが、この住宅公団法について一、二点、この法案を見ただけでは納得しないところがありますので伺っておきます。それは、この法案の条文は、専門家が作られたのでありますから、何も申し上げることはないのでありましたが、この公団ができました場合の運営についての条項であります。第二章に、管理委員会というものを設けているわけですが、この管理委員会がどういうことをするということは、第十一条に掲げてあります。そこで、こういう公団式のものを作った場合に、この管理委員会が必要であるかどうかということについて、正直なところ、私はなくてもいいんじゃないかというくらいの考えを持っておるのです。公団自体には、役員として総裁、副総裁、理事の方がおられる。そのほかに、またこの五人の管理委員会というものがその上に何かかさをかぶったような形になっております。そこで、公団の業務運営についての責任は、一体だれが持つんだということを、一つこの際伺っておきたいと思います。
  55. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 率直に申して、今瀬戸山さんの御意見のようなことは、立案の際にもあったことは事実であります。これはやはり、現行のいろいろな制度というものも一応考えなければなりませんし、国鉄その他これに似よったものは、一応戦後の形としてこういう形をとっておるものですから、私もこうすることが、総裁の独裁になったり、あるいは役所の下請け機関になったりするという非難の起らぬように、公正に、民主的にやっていくためには、この制度が必要であると考えて、こういうふうにいたしたのでありますが、しかし、これはあくまで公団の責任は、総裁がすべての責任者でありますから、今御質問の趣旨は、総裁にあるものだと考えております。
  56. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 総裁にあるということは、そうでしょうが、ここに掲げてあります第十一条には、定款の変更、予算事業計画資金計画、決算、こういうものはこの委員会の議決を経なければならない、こういうふうになっておりますので、何か責任の所在が明確でないようです。総裁に責任があるでしょうが、あるいは委員会で決定されたので、それをやりましたのでありますといわれたのでは、実際責任の所在が明確でないような気がいたします。同時に、終戦後いろいろなものがはやっておるから、現行の状況その他の法令とつり合うような気持でやったんだというお話は、一応ごもっともでありますけれども、実際にやってみて、こんな屋上屋を重ねなければ、こういう仕事ができないものだろうか。これは腹を打ち割っての話でありますが、こういうのはたくさんあります。鉄道でもほかでも、名前は多少違いますが、御承知のようにたくさん委員制度というものがありますが、実際は、何もしないというと、非常に今やっておられる人たちに失礼でありますけれども、ただ、ときに寄って――たまたま昨日の東京新聞に、ロボット委員会ということで、各種の委員会が、ただ昼飯を食いに来るだけだというようなことが出ておりましたが、こういうことは、この際一つやめてしまった方がいいのじゃないかという気がするのです。こんなものはなくても――こんなものと言って、えらい口が悪うございますけれども、なくても、総裁以下りっぱな陣容をそろえられると思うのであります。こういうものを作って、ときに来てもらってやっても、むしろ今までの実例を見ると、文句を言うくらいのもので、大した仕事はしないのではないか。しかも、問題が起ったときには、責任問題とか何とかいうことで、非常にぼやけてくる。建設大臣が最高の責任者として監督権があるのですから、総裁、副総裁、理事の諸氏が一生懸命やられれば、このくらいのことはできるんじゃないか。これは見解の相違だといえば別問題でありますが、私どもは、こんなようなものははずした方がいいんじゃないかという気持があるのです。どうしてもこれが必要だという理由があったら別でありますが、大臣の率直な意見を聞いておきたい。
  57. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これはお話通り、運営が問題であろうと考えますが、しかしながら私たちとしては、総裁の独裁によって、いろいろ地方のそれぞれの要請をうまく調和をしていくということに、あるいはあやまちがあってもいけませんし、できるだけ広い知識を入れると同時に、株式会社であれば、株主総会というものがあって、総裁なり執行部の横暴を制肘する方法もあるのでありますが、役所が監督をするということもありますけれども、中でこれを制肘する機関というものがこれにはありませんので、やはり民主的な今日の政治の建前からいたしまして、この程度管理委員会というものによって調整をしていくことがやはり必要であろうと、われわれは今日も考えております。ただ、責任の所在が不明確になるのではないかという御心配も、ごもっともとは思いますが、私はあくまで責任は総裁が負うべきもので、従ってこの管理委員会の運営を今御批判のようにならぬようによく注意をし、また人選等についても、そのことに注意をいたすならば、公団の運営には必ずプラスになって、御期待に沿い得るものだと考えております。一にこれは人と運営の問題だと思いますので、御注意の点は、執行に当りましては十分注意をいたして参るべきものだと考えております。
  58. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この問題は、何と申しますか、見解の相違といえば見解の相違で、大臣の言われたようなことも、最近の戦後の考え方からすれば、一応理屈があるのですから、こんなことを押し問答する考えはありません。ただ民主的という言葉によって、日本の政治が非常に複雑であって、手間がかかって、それほどの実効が上らないというのが、これは各方面どこでもあるのですから、このくらいの公団に、またさらに民主的という名前によってこういうものを作らないでも、だんだん占領政策を改めていくというふうにやったらどうかというのが、私の考えであります。この点は、別に押し問答はいたしません。  そこでもう一つ、今度公団の実務と申しますか、実際の仕事でありますが、これはたびたび大臣が言われておりますように、二万戸建てる決意をされておる。それには資金もあります、それから陣容もできました、資材もこれくらいのものはいつでも間に合う。一番問題になるのは土地だ。どなたでも、これは心配しておられる。今の住宅政策で、一番行き詰まりになるのは土地の問題です。土地を百万坪造成をする、こういうふうになっておりますが、この土地がうまく行かなければ、この公団――ほかの住宅でもそうでありますが、特に公団の場合には、せっかくの政府熱意が実現されないおそれがある。これについて、まだ法律ができない前だから、今から直ちに計画を云々することはできないと言われれば、それまででありますけれども、これは直ちに地価に響きますから、ここで発表されていいかどうかわかりませんが、一体どのくらいの地価のものを予定されて――この予算でそれを買い上げることになると思うのです。国の財産を出資されるのなら別でありますけれども、それだけでは足りません。具体的にどれくらいの地価のものを買い上げて、百万坪の宅地造成をどういう方面でやられるか、そういう考えはどんなふうでしょうか。
  59. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 宅地の問題につきましては、お話通りでありますので、これはなかなか困難なことであることは覚悟いたしておりますが、毎度申し上げるように、三、四十万坪の国有地を提供することについては、なおこれを拡大いたしたいと思っておりますが、これは大体見当をつけております。それからその他の民有地に対しましては、率直に申して、まだ何万円までのところを買うのだという具体的なところはきめておりません。約十億余の土地造成に関する費用をこれに充当をして、原価の安い土地に対して、この十億の金で土地造成をして宅地化そうということが、主たる公団のねらいでありますから、市内の非常に高いところを無理に買い集めるという考え方は、あまり持っておりません。大体この前に申し上げましたように、当面二万戸分の宅地としては、三、四十万坪あれば事足りるわけでありますから、この宅地には、そう公団土地を買いあさって高くしなければならぬほど、当面は困難ではないと考えておりますから、今用意してある中から拾い上げていけば、十分間に合うと考えておりますが、将来のことがありますから、お話のように、土地のつり上げにならないように、慎重に用意をいたして、できるだけ安い、現在では宅地にどうにもならないようなところを、まず公団としては宅地化して参りたいと考えておりますので、今、原価の見積りを幾らということは、予算的には一応の見当はつけておりますものの、それは必ずしも現実土地の購入の基準には当りませんので、申し上げることがかえって誤解のもとになってもいかぬと思いますし、お許しをいただきたいと思います。
  60. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それからもう一つは、これは相当安いところを買わなければ、家賃に関係してきます。区画整理をしたりすると、相当の経費がかかってくる。減歩率などを見ると、相当単価が上らなくちゃならぬおそれがありますから、実行される場合には、よほど慎重に考えてやられないと、家賃がなかなか安くならないというおそれがあります。もう一つは、たとえば相当安い土地といいますと、郊外であるとか、不便なところだと思います。そういうところに区画整理事業をして、交通もよくなり、水道もできることになると、公団住宅街と申しますか、住宅地と申しますか、そういう付近の地価が相当に上ると思います。これはどこでもあることでありますが、区画整理をしたり道路を通したりすると、その隣地の地価が上る。こういう場合には、その隣地の地価の上った点について、何か受益者負担と申しますか、それについて考えておられるかどうか。
  61. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これは土地区画整理法の一般の原則通り考えておりますので、今のお話の利益を伴うものに対しては、当然そういうことも一部やり得ることは、法律の上でも考えております。全額公団がやることだけを建前にはいたしておりません。そういうことで、いろいろ地方との調整が起ろうと考えて、区画整理の問題は慎重にいたしておるようなわけであります。
  62. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それから、これは私資料を持っておりませんから、お尋ねした方が早いと思うのです。住宅金融公庫の融資住宅は、今日まで総計でどのくらいの戸数になっておりましょうか。
  63. 石破二朗

    石破政府委員 約二十六万戸融資しておることになっております。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今まで二十六万戸、今年もまた四万五千戸ですか、これは相当続くと思いますし、こういう住宅がたくさん建って、どなたも心配されるように、できるだけ家賃を安くするというのが、住宅政策の大きなねらいであろうと思います。そこで、これはだいぶ前であったと思いますが、金融公庫で融資住宅をたくさん建てる。これはどうせ強制保険で損害保険に入らなくちゃならないので、償還金を少しでも減らすという考え方から、金融公庫が火災保険について自家保険をしたらどうかということで、前に建設省が案を立てられたことがあると思います。その当時には、保険業界が非常に猛烈な反対をいたしました。私どもは、住宅政策一つの社会政策でありますから、そういうことでもやって、何とかして少しでも償還金が安くできる方法があれば、だんだんふえていく金融公庫の融資住宅は、自家保険をしてでもやった方がいいじゃないかという考えをずっと持っておった。一時そういう計画がちょっと出たことがありますが、これについての建設大臣の所信がありますれば、伺っておきたい。
  65. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ごもっともでありまして、私もそういう考え方があったことの程度まで承知をいたしておりますが、実はその後、その計画を積極的にまだ進めるに至っておりませんことは、申しわけありません。十分その点を研究はいたしたいと思っておりますが、一面においては、保険会社方面から住宅資金の供給を積極的にこちらも要請をし、また出してくれておるような事態になっておりますから、このことは、目的としての家賃が安くなればいいというお話通りの線に沿って、よく検討して参りたいと考えます。
  66. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この問題は、保険会社が相当神経をとがらすことであります。私どもは、保険会社が神経をとがらしたって、園児の住宅が多少でも安くなるということが、われわれのねらいであります。保険会社は、損はしておりませんから、何もそんなことは、全然心配は要らない。どんどん資金でも出して、もっと金利でも安くして、そうして家を建ててやるといえば別でありますけれども、結局金利をむしり取ろうというような考えでは、やはり自家保険でもして、国民に安い家賃にしてやりたいというのが私どもの務めであります。そこで、私は今ここで結論を出して下さいなんて言いはしませんけれども、前にこの案に関係された方がおりますか、もしおられたら、あの自家保険をしたら、大体どのくらい償還金が安くなるかということを、この際おわかりの方があったら、一つ教えていただきたいと思います。
  67. 石破二朗

    石破政府委員 当時関係しておりました主管課長もかわっておりまして、今日ここへ参っておりません。御入用でございましたら、適当な機会に参らせますなり、資料で提出したいと思います。
  68. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はこれで質問を終りますが、この問題は、相当複雑ではありますけれども、真剣に考えてみたいと思っておる一項目であります。当委員会でも、この住宅問題については、政府住宅政策に非常に熟慮を示されており、これについては、各委員とも非常に敬意を表しながら、できるだけ安い、しかも人間らしい生活のできるような家を供給して、しかも安い家賃にしたい、あるいは償還が安くなるようにしたい、これで一ぱいであります。今までの論議というものは、すべてそこに集中されておるのですから、こういう面からでも、できるだけ考えて、もしできることならば、そういう方法も講じてみたいと考えております。私は、そういう専門家でありませんから、何もぜひとも今国会にそういう法律を出して下さいとは言いません。研究をしていただくことを希望して、私の質問を終ります。
  69. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 先はどの瀬戸山委員宅地造成に関する質問に関連しまして、一言だけお伺いいたしたいと存じます。  この公団の業務に関する第三十一条、特に第二号は、この公団設立について、大臣から強調して御説明があったところであります。また第三十四条で、関係地区の自治体の長を集めて話し合いをつけるというようなところに、現在までできなかったことを推進する一つのねらいがあるということも、大臣の御説明の中に強調されたところであります。この法案の企図としては、わかるわけでありますけれども、問題は、この宅地造成につきまして、建設省で、また大臣として希望されておる、そのことはわかるのでありますけれども、実際問題として、果して自治体がそういった形で協力してくるかどうか、特に区域を違えるようなものについて、実際問題として、健常の面で相当の支障が出てくるのではないかということを心配するわけであります。この立案の際にも、やはり具体的にそれなりの土地に対する目当てがあって、いろいろなことを構想された上での立案であろうと想像いたしております。ですから、そういった点を、実際問題として検討されて出されたのかどうか。それからまた、運営面で自信を持っておられるかどうか、この点をいま一度お伺いしたいと思うわけであります。またこれと関連いたしまして、自治庁との間に、特にそういった運営面での話し合いが具体的に突っ込んだ形においてどのようになされておるか、その点もお伺いしておきたいと存じます。
  70. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことにごもっともなことでありまして、宅地の問題は具体的な問題で、あります。実を言うと、いろいろ心当りを十分持って、今計画は内々考えておりますけれども、御承知のように、ここで私がどことどこをやるというようなことを申すことは、非常に影響するところが――いいことばかりあればいいのでありますけれども、むしろマイナスになることの方を心配をいたしますので、決して、ことさら隠すわけじゃありませんけれども、具体的に申し上げることだけはお許しをいただきたいと思いますが、地域を異にするいわゆる衛星都心的な構想というものは、具体的なものは何個かは現実に用意をいたしておることは事実であります。同時に、そのことに関して、地方公共団体が協力をするだろうかという点につきましても、これも十分あらかじめの打診はいたしての上でありますが、なお困難とあれば、私はみずからでも出かけていって、一つ話をして進めるつもりでございます。しかし私は、事実においては、そうひどい困難があるとは思っておりません。むしろ法律には――実はこういうことを申していいかどうかわかりませんけれども、宅地の問題について一番の難点は、地方長官、地方公共団体意見ということよりも、問題は農地との問題だろうと思います。農地改革という大きな政策のあとを受けましただけに、農地と宅地関係現実に調整解決をしていくという問題は、非常にむずかしい問題だろうと思います。これを実は法律で何か簡易化そうという考え方も、一時はなかったわけじゃないのでありますが、私の感覚と、またいろいろ話をしてみた結果において、農林省、建設省で法律で争ったりなんかしたのでは、これはかえって事を荒立ててしまいまして、できることもできなくなってしまうというふうに私は考えましたので、この際、宅地問題の一番大きな一つである農地との関係については、ことさら法律的措置は講じなかったのでありますが、しかし、それだけに、農林当局とはよく懇談をいたしまして、当面現実宅地化すべき運命にある特別な区域の自治体等については、農林省にもまたできるだけ協力をしてもらって、手続その他について迅速、また解決に積極的な協力をしてもらうというような線において、私も自分みずから出て努力をいたす、今後もそういうことをいたす考えでありまして、この点が今後の実行面において一番大きな、また難問題であろうと思いますが、これはやはり人の力で解決をして、制度根本的に変革をしない中でやっていかねばならぬ。非常にむずかしい問題でありますが、私は今の空気ならば、大体そういう線で協調をしてやっていけると考えております。この点も、国会でことさら論議をいたしますと、事がめんどうになりますので、今日まで申さずにおりましたけれども、率直に私は、お触れ下すったから、宅地の問題については私の今日の立場を申し上げて、法律的にははなはだ簡単な、あいまいなことを書いておりますけれども、そういう事実行為によって宅地問題の処理に、困難ではあるけれども、取っ組んで参りたい、かように考えております。
  71. 内海安吉

    内海委員長 他に御質疑はありませんか――それでは暫時休憩いたします。    午後四時九分休憩      ――――◇―――――    午後四時十一分開議
  72. 内海安吉

    内海委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。  日本住宅公団法案住宅融資保険法案及び公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件の三案件につきましては、以上をもって質疑を終了いたすことといたします。  なお討論及び採決は次会に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  73. 内海安吉

    内海委員長 なお、この際理事補欠選任につきましてお諮りいたします。すなわち、理事廣瀬正雄君より本日理事辞任の申し出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  つきましては、これが補欠選任を行わなければなりませんが、選挙の手続を省略して委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事山口好一君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会