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1955-05-09 第22回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月九日(月曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 志賀健次郎君 理事 山口 好一君    理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君       大高  康君    荻野 豊平君       薩摩 雄次君    中村 寅太君       廣瀬 正雄君    松澤 雄藏君       久野 忠治君    二階堂 進君       有馬 輝武君    小松  幹君       三鍋 義三君    今村  等君       中島  巖君    石野 久男君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    南部 哲也君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 啓一君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 四月三十日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として仲  川房次郎君が議長指名委員に選任された。 五月七日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員荒舩清十郎君及び勝間田清一辞任につき、  その補欠として久野忠治君及び西村力弥君が議  長の指名委員に選任された。 同日  理事西村力弥委員辞任につき、その補欠とし  て同君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月二十八日  横利根川のひ門開放に関する請願山村新治郎  君紹介)(第二三四号)  肱川総合開発事業費増額等に関する請願中村  時雄君紹介)(第二三五号)  車両制限令制定反対に関する請願倉石忠雄君  紹介)(第二七五号)  市川、岡三沢間道路鋪装工事施行に関する請  願(夏堀源三郎紹介)(第三二〇号) 五月七日  庶民住宅建設に関する請願横山利秋紹介)  (第四二九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人招致に関する件  建設行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  建設行政に関しまして調査を進めます。すなわち前会におきまして、建設省関係予算につきまして政府より説明を聴取したのでありますが、本日は、これに関連建設行政一般につきまして質疑を行います。通告順によって許可いたします。廣瀬正雄君。
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 私は住宅問題につきまして、大臣その他に二、三お尋ね申し上げたいと思います。  今回の住宅四十二万戸の建設につきましては、公庫住宅におきまして増築等が三万戸、民間自力建設二十三万戸のほかに、増改築一万五千戸というようなものが計画にあります。これにつきまして、増築改築も、住宅難緩和のための住宅増築になるかどうか、政府の御見解を承わりたいと思うのであります。さらに、公庫増築融資ができるかどうか、今までの法律ではできないと思っておりますけれども、増築融資対象なり得るかどうか。またさような法律改正をするということになりましても、その増築いたしました部分の建物を担保に入れるということが、果してできるかどうかという技術的なことにつきましても、御意見を承わりたいと思うのであります。  今回の住宅政策につきまして、民間建設の二十四万五千戸が、非常に大きな問題になると思うのでありますけれども、これにつきまして、所得税法人税登録税固定資産税というような税制に対しますところの措置というような、スズメの涙くらいな措置で果してさような期待ができるかどうか、あるいはまた融資保険制度を今回創設するそうでございますけれども、果してさようなことで四十二万戸の確保、わけても二十四万五千戸の民間建設確保ができるかどうかを承わりたいと思うのであります。  なお、この問題につきまして建設省と大蔵省の折衝の中間におきまして、巷間にいろいろ建設省見解が伝わっておるのでありまして、建設省といたしましては、大幅な課税減免措置を講じたいという熱望を持っておられたかに承わっておりますけれども、さような折衝経過状況につきまして承わりたいと思うのであります。  また民間住宅建設を促進いたしますために、不要不急建物建設を抑制するというような御意思があるかどうか。さらに、さようなことにいたしまして果して効果があるかどうかということにつきまして、承わりたいと思うのであります。さらにまた、地代家賃統制令に触れる意思があられるかどうかということにつきましても、お尋ねいたしたいと思います。
  4. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 住宅の問題については、なおいろいろ御疑問や御意見が多数おありと思います。いろいろ申し上げなければならぬと思うこともありまして、今日まで私もその機会がなくて、まことに恐縮に存じておりましたが、とりあえず今御質問の点にお答えをいたします。  増築の問題は、これはいろいろ御意見がおありだと思いますが、実情は従来も公庫等増改築について資金を貸すようにということが、民間から非常に強い要望が続けられて参っておりました。主婦連などの主張は、その一つの代表的なものであると思います。また実際問題として、新築を第一順位に考えなければならぬことはもとよりでありますけれども、当面の住宅難緩和のためには、増改築ということは非常な要望でありますので、これを新築同様の価値あらしめるように、要するに、小さい家へ何家族も入っているものが、部屋がふえれば結果的には新築と近い状態になるわけでありまして、今回はそういうことも、この際一般要望にこたえて増改築をいたすことにいたしたわけでありますから、われわれは実質的には国民要望に沿い得ることだと考えております。  それから、今の制度でもってできるかということでありますが、これは資金用意をいたしておりますから、公庫からこの貸付は――法律改正もあるいは研究の余地はあるかもしれませんが、われわれとしては現行法制のもとにおいても、特別の資金用意をすれば、これはなし得ると考えておりますし、またそうするつもりであります。  それから民間自力建設の問題については、これもいろいろ御意見おありだということは、よく承知をいたしておりますが、実際の問題として、従来民間自力建設というものが、事実主体をなして行われてきておるわけでありますから、これをできるだけ伸ばすために、いろいろな措置考えて参りたいというのがわれわれの考えでありまして、結果的には、お話通り税制の面において決して十分満足であるとは存じませんけれども、今の国税につきましては、特別償却制度を四倍程度思い切ってやることによって、相当行き得るものだと考えております。なおでき得れば、地方税において関係の多い固定資産税その他について思い切った減税をすることが、国民要求であることはよく了承をいたしますけれども、この地方税の方につきますと、御承知通り国税と違いまして、ひんぱんな減税をするということだけでは解決し切れぬ地方財政の非常な窮迫ということが目前にありますので、そういう地方財政の問題とも関連をして、今後十分に対策検討を重ねて参りたい。とりあえず国税でなし得る最大限度措置をいたしたというわけであります。なおお話通り金融措置約五十億を本年は考えておりますが、これは新しい制度でありますので、実際にこれを周知徹底利用させるためには、どうしても時間的な準備期間等も要しますので、今年度はとりあえず五十億ということを考えておりますが、明年度以降この利用度拡大に応じまして、実際に合うように十分いたして参りたいと考えております。  それから不要不急建物の問題につきましては、これば非常に心理的な影響が伴うむずかしい問題であることは御承知通りでありまして、一般的に統制経済の世の中であるならば、法制的に簡単に処置するということもあるいは可能かと思いますけれども、今日のような経済情勢になったときに、ただいたずらに法律だけでもってかようなことをするということは、多数のほかの国民経済に不当な影響等を与えたりいたしまして、結果的にはこちらの予期する目標とは相反した結果になることも考えられますので、その点は努めて慎重に国民の良識に訴えて、われわれの全体の目的が達成できますように考えて行きたいと思って、いろいろ検討はいたしておりますし、できるだけ刺激を必要以上にしないようにしつつ効果をあげたいと努力をしております。それに関連して、この際政府建設面におきましても、必要やむを得ざるもの以外は、極力建設を差し控えるというような措置も、予算全体を通じていたしたようなわけであります。  それから地代家賃の問題につきましても、これはいつも問題になることでありまして、現行のまま放置していいとは考えませんけれども、またこれを簡単に撤廃することが直ちに住宅対策になるとも考えられませんので、目下これもいろいろな面から慎重に検討いたしておるわけでありまして、あるいは今国会中に成案を得まして、できるならば御検討御審議をいただきたい、かように考えておりますが、目下のところは、まだその改正の最終の結論というものに至っておりませんので、意見として申し上げれば、ここにいろいろありましょうけれども、そのことが必要以上に刺激をいたしまして、逆効果をあげても相済まぬと思いますので、慎重な態度をとっておるような次第であります。
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ただいま御説明を承わったのでございますが、民間自力建設ということが、一番大きな問題になるのではないかと考えております。これにつきまして、ただいまの御説明でも、大体やっていけると思うという御意見でございますけれども、はたして大臣として、これは年度が終ってみなければわからない問題でございますし、あるいは最後におきましては水かけ論になるかもしれませんけれども、現在のあのような微温的な措置で、二十四万五千戸の建設ができるかどうか、その点一つはっきり御言明を得ておきたいと思います。
  6. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これはもちろん意見の分れるところと思いますが、私は、ただ勢いよく申すのではなくて、今日各方面から検討を加えて参りますと、民間における住宅建設の必要があることは、今までも同様でありますが、一例をあげれば、会社などの社員住宅建設というものが非常に進んで参りまして、われわれの予想以上にいくんじゃないかというふうに思いますしいたしますから、私としては十分行き得るものと、今日の段階において考えております。
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それでは次の問題をお伺いいたしたいと思います。今回住宅公団というものを新設される御計画のようでございますけれども、公営住宅公庫というものが今までありました。かような住宅建設の方法のほかに、特に今公団を新設しなければならないという真の理由を承わりたいと思うのであります。これにつきましては、あるいは民間資金利用というようなことをいわれるかもしれませんけれども、これは公営住宅でも、ただいま地方債の発行ができることになっておりますし、公庫でも、立法的に法律改正をいたしますれば、民間資金利用ができることになると思うのであります。民間資金利用ということは、絶対的な要件ではないように私は思考いたナのでございますけれども、さようなことについて御意見を承わりたいと思うのであります。また公団には地方公共団体から十六億の出資を予定いたしておるようでございますけれども、地方公共団体は、公営住宅をやる事業主体になっておるのでございまして、かような公営住宅事業主体でありまする地方公共団体から出資を依頼するということは、公共団体に圧力を加えると申しますか、団体に重圧を加えるようなことに考えられますとともに、また公団性格をぼかして、あいまいにするようなことに考えられるのであります。これにつきましての大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。  また住宅公団を作る理由といたしまして、府県別地域の調整というのがございますが、東京都の公営住宅を千葉県に建てるというような場合に、現在では非常に不自由である、建てにくいというような点があるから、これを調整するというような考えがあるかもしれませんけれども、現在の制度のもとにおきましても、かようなことは双方の府県の話し合いで大体円満に解決ができる問題ではないか、かように考えるのであります。とにかく今回住宅公団をつくります設立のほんとう理由をお尋ねしたいと思うのであります。  それから、公団ができるということになりますと、公営住宅予算が減額されておるようでございます。戸数は多少増加いたしておるようでございますけれども、予算は明らかに減額されております。そうしてこの公団は、主として大都市住宅建設するということになりますと、地方は従前以上に困難、難渋を加えるということが予想されるのであります。これにつきましては、果してどんなふうにお考えになっておるか。  それから、公団は本年度二万戸を建設するということに計画はなっておるようでありますけれども、この公団の発足までには、また数ヵ月を要すると私は思うのでありまして、果して約半年間に二万戸というような多数の住宅建設ができるかどうか、それにつきまして、土地の入手でありますとか資材の確保ができるかどうか。また公営住宅でありますれば、水道とかガスには公共団体は密接な関係を持っておりますので、水道ガスを敷設するということも割合容易でございますけれども、さようなことも、公団では困難ではないかと思っております。また入居者選考なんかにいたしましても、住民と深いつながりを持っております公共団体でありますれば、選考もしやすいというようなことは考えられるのでありますけれども、果して公団でさようなことがうまくスムーズにいくかどうかというようなことにつきましての御見解を承わりたいと思います。
  8. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 今主として公団の問題の御質問でございますが、事は全体に関連をいたしますので、一応全体にわたって申し上げるようになると思いますが、私は、今度全体の住宅計画拡大をするに当りまして考えましたことは、何といっても公営住宅というものは政府負担最高度に入れます建前からいって、国民の層の中で最も低家賃でなければならない国民対象とすべきであると考えております。もちろん、そういうことが全部財政資金ででき得るならば、これはもうそれに越したことはありませんけれども、現在政府考え得ます最大限度財政負担をもって全体の国民の各層にバランスのとれた住宅政策をやるという見地に立って考えますと、公営住宅はどうしても低家賃住宅考えざるを得ないのでありまして、そのために、今もお話のありましたように、公営住宅につきましては戸数の増加をできるだけ考えると同時に、低家質の家をできるだけ多く作るということに、三分の二の負担をいたします第二種住宅に重点を置いたつもりであります。その結果、従来の第一種住宅の中におきまして要望が多くなって結果的に非常に遊歩しつつあったところの程度のいいアパートのようなもの、商層住宅のようなものは、この際公営のワクでやりますことは低家賃住宅の方を圧迫いたしますので、これは残念ながらほかの形に持っていかざるを得ないことになりましたために、それらを勘案いたしまして、公庫公団というものを新しく考えた次第であります。  そこで公庫公団の問題でありますが、これはいろいろ御意見はありましょうけれども、私の考えでは、公庫というものは、今日まで金融機関本体といいますか、事業主体として発達をいたしてきたものでありまして、私は今後におきましても、この住宅のための金融機関というものは、不動産金融機関が戦後壊滅をいたしました今日は、大きく発展をさせていかなければ、住宅政策ばかりでは不十分であると考えております。幸いにして前内閣がしっかりお作りになったこの住宅のための金融機関というものを、その精神を私は尊重いたしまして、あくまでも公庫金融機関としての面において住宅政策を推進させるという前内閣方針を堅持いたしまして、混乱をいたさないように心がけて参ります。従ってそういう見地からいいますと、どうしてもこの際従来の高層アパート等建設につきましては、公営だけでは十分の希望を達成することができませんのと、一方において今申す金融措置だけではやり切れない面というものがありますから、それを現実に現業的に家を建てる機関として公団というものを考えたわけであります。これはあるいは公庫に金さえやればできるじゃないかという御意見もありましょうが、私は公庫はなるべく現業をやらないように、金融機関としての性格をすっきりするという従来の建前混乱を避けたわけであります。その現業的な仕事は、一つ土地造成の問題であります。この土地造成の問題は、もちろん地方公共団体にお願いをしてできないわけではありませんけれども、やはり時間的に急速にやらなければならぬというようなこともございまして、公庫で一部の金融だけでやっておりましたようなことでは不十分でありますから、この際思い切った宅地の造成をするために、公団考えたわけであります。もう一つは、今お話通りいわゆる広地域計画考えて参りますと、決してできないとほ私は申しませんけれども、地方公共団体の区域を越えての仕事は、自由になし得る半官半民の機関のようなものでやることが、仕事を早くするための必要やむを得ざる処置であるというふうに考え公団考えたわけであります。  なお、地方公共団体出資の問題につきましては、これもよく御意見はわかりますが、この公団仕事のうちには、いわゆる産労住宅的なものと、公営住宅的な性格のものと、ごらん下さればおわかりになりますが、両方含んでおりますので、この公営的な性格の分につきましては、従来も地方公共団体負担を願っておるわけでありますから、そういうふうに一つ考えていただくことが、つながりをつける意味におきましても、また今いろいろお話のありましたように、地方公共団体と全く遊離をいたすような考えはありませんけれども、財政的な圧迫にならぬ限度においてある程度つながりをつけていく意味で、出資を願う方がよかろうというふうに考えたような次第であります。  なお、これは公営戸数関係等から、地方住宅建設が困難になりはしないかというお話でありますが、地方財政計画におきましても、従来は住宅について特別の考慮を払っておりませんでしたけれども、今度の起債の面におきましては、最優先に地力の起債計画の上において織り込んでおりますし、今お話のありました十六億の出資につきましても、はっきりと地方財政計画の中に取り上げております等、私は地方住宅建設は、今日の情勢を見ておりましても、非常に地方の熱意が高まっておりまして、実をいうと、逆に地方の方に住宅要求がみんな流れてしまって、こっちの必要とする大都市建設が困難になりはしないかとすら実は心配をいたしておるようなわけであります。
  9. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 不満な点が一、二ありますけれども、いずれ他の委員から質問があると思いますから、一応今の点は了承いたしておきます。  次に公営住宅公庫住宅におきまして、戸数を四十二万戸、に掲げておりますために、建坪とか構造に非常な無理をしているようであります。公営住宅のごときは建坪六坪、八坪というような建物があるようでございます。四十二万戸にとらわれることなく、ほんとう人間の住めるような住宅予算の範囲内でやるというような方針に御変更なさる御意思があってしかるべきではないかと、私は一応考えるのでありますけれども、その問題につきましてのお考えを承わりたいと思うのであります。六坪と申しましても、廊下と階段に約二割とられるそうでございますので、実際は非常に小さいものになるわけでございますが、かような六坪住宅というのは、本年度限りでありますのかどうか。また、かような住宅でも、健康な文化的な生活のための住宅考えて、来年以後も継続しておやりになる意思があるかどうか、承わりたいのであります。  なおこの際、住宅政策の根本的な考え方といたしまして、かような安価な住宅を多数急いで建てるという方針がよいか、それとも少し金がかかりましても、そして戸数が少くなりましても、耐火的な永久的なブロック建築でありますとか鉄筋コンクリートの建築でありますとかいうようなものに、新しい建設は進めていくということにすべきであるかどうか、さような住宅建設につきましての根本的なお考え方につきまして、大臣についでに承わっておきたいと思います。  なお、今回はブロック建築をやられるようでありますけれども、ブロック建築は、防水が非常に肝要と承わっておりますが、これについての対策を、局長でも課長でもけっこうでありますからお話し願いたいと思います。また金属組立て住宅というものが最近考えられているそうでありますけれども、これは公営住宅公庫住宅利用できるかどうか、そのことにつきましても承わりたいと思います。
  10. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 全体の問題として、小さい公営住宅を建てることがいいか悪いかということでありまして、これは私も、日本の経済力が許すならば、りっぱな大きな家をたくさん作るということに何ら反対をするものではありません。ありませんが、今の国情をもっていたしますならば、家のないほんとうに苦しんでいる、しかも低収入の国民の要請にこたえるためには、どうしても低家賃の家をまず早くある程度の数を供給するということが、住宅政策の当面の目標であろうと私は考えております。しかしながら、住宅政策の全体から申せば、そういうものが本体であっていいとは決して考えておりません。国民税金を使って家を建てるのでありますから、できるだけこれを将来に向って有効に使っていくという意味からいきましても、戦災後の一時的なバラックを建てたというような考え方でいってはよくないと考えますので、今度も、低家賃の中においても、今お話のように、新しいブロック建築建築研究所研究をいたしました一番新しい設計その他を取り入れまして、従来の第二種木造住宅と同じ程度の国家の負掛において、むしろそれよりも安い家賃の家を作り得る研究をいたしましたのが、今度の御指摘になりましたブロック建築でありまして、これは人間の欲望と感情の問題でありますから、これで満足しろとか、これでいいのだということは決して申しませんけれども一戸建の木造の小さな象よりは、家賃の安いブロックの、しかも近代的なアパートの方が、人によってよほど進歩的な住宅ととってもらえる、実はそう考え計画をいたしたわけでありまして、決して十分なりっぱなものとは申しませんけれども、許され得る諸条件においては、まずこれは今日の時代には適合するものだと考えております。そして同時に、将来にわたっての根本対策として、大きい家、りっぱな家を建てるのがいいか、小さい家を建てるのがいいかという御意見につきましては、これはなかなか簡単に断定すべき問題ではないと思いまして、国力に応じてりっぱな高層アパート建築等が十分にできますことを私もこいねがうわけでありますから、そういう意味で、今回の計画の中にも、取り入れ得る可能の限度において不燃化住宅をふやしまして、昨年度計画予算から見ると、約倍額不燃率を臨めましたのも、国民税金で家を建てる以上は、すぐにつぶれてしまうような家を建てることは相済まぬと考えまして、計画の可能な最大限度の不燃率をとったのもそういう意味であります。今の国情と国民要求に適合するように、両方の要求がどの辺で折り合うかということは、これはなかなかむずかしい問題でありまして、一方においては、安い家賃の家をどんどん供給しろと言うし、一方においては、りっぱな家を作れと言う。これはどこまで行っても相並行する要求であろうと私は思いますので、これはその時の経済、政治の情勢というものに基いて考えるべきものと考えまして、私は慎重に検討いたしました結果、今年度の状態におきましては、この程度が最もつり合いのとれたものと考えておりますが、お話通り五年十年先に同じようなことを考えていいとはもちろん考えておりませんから、明年度以降拡大均衡の経済に入りまして財政的にもゆとりを持ち、国民生活も向上をいたすようになることを、今予期しているわけでありますから、そういう一般経済の上昇とあわせまして、できるだけ今の御意見のような国民の生活を充実向上させる線に計画は漸次進めて参りたい。ただ、今年の計画を変更する意思があるかどうかという御質問につきましては、目下御審議をいただいている予算でありますから、今の段階において私はその予算を根本から組みかえた方がいいという考えは持っておりません。しかし実行の面におきましては、これは予算は一応全国画一に標準を作らなければ計画なりませんから、作ってありますものの、これはいろいろな地方の実情や経済情勢がみな違っているわけでありますから、それを機械的に押しまくろうとは少しも考えておりません。いろいろ地方の実情を勘案をいたしまして、最も適当な実行をいたしたい、かように考えております。
  11. 石破二朗

    ○石破政府委員 ブロック建築の湿度の問題でございますが、きょうちょうど技術官が参っておりませんので、具体的な研究の結果はここに持ち合せておりませんから、後日機会を得ましてお答えいたしたいと思います。概括的に申しまして、一応の研究の成果はまとまっている、ブロック建築をなにして差しつかえないという段階になっていることを御了承願いたいと思います。
  12. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 実は私もこの間建築研究所でそのことをよく調べさせまして、これは四十何種のいわゆる防水剤というものがありまして、また世界に例がないという機械を作って、今建築研究所研究をいたしておりますが、非常にいいものもあり、非常に悪いものもあるということで、施工上非常に指導を要するということで、技術者が特に研究をいたしておりますから、今度やる分については十分御注意の点に留意をいたしていきたい。実を言うと、戦後急に作ったものには、防水剤をほとんどというか、何も使わないようなアパートが戸山ケ原あたりにもありまして、アパートは水が漏ってしょうがないということになっておりますが、このごろの防水剤の研究というものは非常に進歩をしておるということを、この間私も研究所へ参りましていろいろ調べて認識をいたしたようなわけで、よく注意をいたします。  金属の建物のことについては、いろいろお話も聞いておりますが、よく研究をいたします。
  13. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 最後に公庫の問題につきまして、総裁がお見えになっておるのでお尋ねしたいと思います。公庫金融対象は、公庫法の第十七条の各号に列記してありますが、賃貸や譲渡をいたします事業を行なっておりますところの会社その他の法人という字句があるようでございます。ところが、これにつきましては、従来公庫の解釈では、電鉄以外の営利法人は排除しておるように承わっておるのでありますけれども、その理由を承わりたいと思うのであります。私どもの考えを申し上げますれば、ただいまは住宅建設促進の時期でもありますから、営利法人を含んで広義に解釈すべきものではないかと思っておるのであります。営利法人を融資対象に許しましても、家貸や譲渡価格、譲渡方法などが省令で制限されておりますから、営利法人は実際に暴利をむさぼるというようなことはできないと思うのでありまして、私は営利法人に許しても差しつかえないというように考えております。総裁はなかなか窮屈な方のようでございまして、非常に制限的に解釈をいたしておるようでございますけれども、私はこういう施設に当りましては、公庫は思い切ってどんどん貸し付けるようにすべきではないかと思っておるのであります。意見を申し添えて、御意見を承わりたいと思うのであります。  それから、先般住宅を実地に視察して参ったのでございますが、その際、青山にあります王子製紙の産労住宅を見たのであります。王子製紙は、御承知のように一流の大会社であります。資金の回収という点から申しますれば、かような大会社に金を貸し付ける方が安全であるかもしれませんが、私どもは公庫融資の理念から考えまして、小さい会社にも貸す、むしろそっちの方に重点を置くということの方が必要ではないかと思っております。実際にあのような建物を見まして気のついたことでありますけれども、それらにつきましての御当局の御意見を承わりたいと思います。
  14. 鈴木啓一

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。第一の賃貸住宅建設する法人の条項に対しましては、もとより可能なことと思っております。できればそういう方面にも貸し付けて住宅を建てていただきたいということは、ひたすら念願しておるのでありますけれども、今までの政府から国会の議決を経て毎年いただいております政府出資あるいは予算総則にきめられておる借入金の限度の総額、そういう新しくいただく資金の高に比較いたしまして、各方面からの要求が非常に多過ぎると申しては語弊がありますが、多いのでありまして、常に十何倍もしくは何十倍の程度になっておるのであります。賃貸住宅貸付につきましても、そういう法人にもお貸ししたいとは考えないではないのでありますが、地方公共団体を財的あるいはまた人的の背景にいたしました財団法人、これが住宅事情の逼迫しました地方、つまり県民が住宅対策に対して御熱心な府県あるいは大都市等に財団法人ができておりますので、あるいはまた新しく財団法人を作って貸付を熱心に希望されますので、そういう方面の希望をとうてい満足される程度お貸付ができませんので、まずそういう方面の希望を第一義的に優先的に尊重しております結果、賃貸住宅につきましては、そういう財団法人以外には一応お貸付の順序が回らないということに相なっております。ただし、近ごろはめいめい個人住宅を――個人の所有すべき、みずから住むべき住宅を求められるいわゆる個人住宅につきましては、個々に貸付希望を申し込みされましてやっておるのでありますが、その大部分は俸給生活者その他いわゆる庶民階層でありまして、住宅をいまだ建てた経験のない方がほとんど全部であります。しかるに、それが土地を求め、または建設業者を相手にして設計から始めまして公庫から貸付を得て、みずからの家を建てるということは非常に難渋でありますので、約四年くらい前から、地方公共団体が建売り住宅なるものを希望されまして、あるいはさっき申し上げた大都市あるいは府県等を背景とした財団法人で建売りの行われるものもありますし、また地方公共団体たる府県市自身において建売りをしたいという希望が多々ありまするし、試験的に行なってみてもらいましたところが、大へんその成績が優秀でありまして――と申しますのは、そういう公共団体が土建業者に指名いたしまして住宅を作らせるという場合において、土建業者の方面の方が非常な熱意と誠実をもって建設に当っていただげまするし、第一土地の獲得について、地方公共団体の力をもちまして相当大面積の土地を購入し、もしくは在来の公有地等で区画割をして宅地造成をするという立場におきましても、あるいは農地委員会との折衝その他についても非常な便宜が得られますので、建売り住宅なるものが、建ち上って、これを個人が購入する、購入する個人は、公庫から借り入れられるだけは借り入れまして、なお足らぬところを自己資金として調達して、これを公共団体に納付する。公庫から借り入れた資金は、そのまま地方公共団体にこれまた納付するというような仕組みになっておりまして、建築の監督等は地方公共団体の職員等が厳密に監督をしますので、なれない個人としましては非常な便宜と安心をもってこれを購入し得るのであります。これを計画建売り住宅と呼んでおりますが、これは地方公共団体に非常に要求が多く、つまりその府県住民が熱心に希望されますので、年々その需要が非常に多いことに相なっております。それで今度の三十年度予算案におきましては、この建売り住宅の幅を、在来より相当広げて提案に相なっておるような次第であります。  御質問の電車会社等とおっしゃいましたのは、この建売り住宅を建てていただくということに、試みに昨二十九年度から初めて、郊外電鉄会社の沿線開発のための一助として公庫の建売り住宅のわくを与えてもらいたい、年来の希望をわずかに、あるいは一社二十戸あるいは三十戸というように試験的に二十九年度初めて郊外電鉄諸会社に対して割り当てたような次第であります。これはまだ今全部が全部でき上っておりませんが、今まで大部分竣工いたしまして、それぞれ希望する個人に購入をしてもらっております。が、これはやはり何倍という倍数になるようで、結局は一定の資格を持った人だけの範囲内で抽せんをしなければならぬというような状況であります七これは、電鉄会社ばもちろん営利会社でありまするけれども、将来における沿線の開発ということをひたすら念願しておりまして、今までわれわれが関係しております範囲において、それぞれ誠実に、ある意味では損得を度外視して、将来の沿線開発のために誠実に事業を行なっておられまして、その結果も大へんよろしいと考えておりますので、だんだんに増していきたいと考えておりまするが、まだその建売り住宅を、仰せになったその他の営利会社に割り当てるまでには至っておりません。これまたわれわれの方から申しますと、希望とわれわれの与えられた資金との関係において、一躍そう広く飛び越すわけにも参らぬ、かように考えております。与えられた資金を十分に有効に確実に運用する意味合いにおいては、今日までのところその程度に終っておりまするが、将来は決して貸付不可能と考えておるわけではありません。電鉄会社に対しても、わずかに昨年度試みに試験的に実行したというのにすぎませんので、これは漸進的に拡充して参りたいと考えておる次第であります。  産業住宅につきましては、一昨年国会において新しく産業労働者住宅資金融通法を御議決になりまして、一昨年の八月から実施しておるわけでありますが、その際に衆議院の建設委員会で附帯決議をいたしました次第もありますので、大産業会社に偏重しないように極力努めておる次第であります。仰せのような著名な大会社にももちろんお貸ししておりますけれども、中小企業者に対しましても、これはやはり中小企業の関係から鉄筋コンクリートの大アパートを建てて下さるような向きは少いのでありまするが、本造住宅その他を、中小企業者に対しましてもお貸しして、建設していただいております。ただいま手元に数字を持っておりませんけれども、相当の部分は中小企業産業会社に対しまして融通して建設していただいておるのが実際であります。国会の附帯決議を尊重して、努めてさよういたしておる次第でございます。この点は御安心下さってよろしいかと思います。
  15. 内海安吉

    内海委員長 廣瀬君、この程度でよろしゅうございますか。  瀬戸山三男君。
  16. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 昭和三十年度建設省関係予算を見ますと、正直なところ、大臣も大分御苦心なされて、御苦労御苦心の跡がよく現われておるのであります。しかし、私どもの考えからすれば、必ずしもそれに満足だというわけには参らない状態であります。ただいま、前に要求しておりました資料をいただきましたけれども、相当複雑な資料でありますから、よくこれを研究してから、さらにこまかい点についてはただしていきたいと思いますが、今日は時間の許す範囲で、全般的なことについて御意見をただしてみたいと思います。  まず第一番に、先ほど廣瀬委員からも御質問が出ておりましたが、住宅政策の問題であります。これについてば、御承知通り公団を新設して住宅政策を推進する、こういう新しい構想が盛られておるようであります。これについては、大臣からも今いろいろ御趣旨を御説明なりまして、多少重複するかもしれませんけれども、お許しを願って、私どもの疑点をただしておきたいと思います。この公団新設について、世間でもいろいろ議論があると思いますが、大臣は、こういう案を出されておるのでありますから、あくまでもこれはいいのだというように御説明をされるお気持は十分わかっておりますけれども、しかし、ほんとうをいうと、建設省内部でも必ずしもこれには満足の意を表しておらないと私は想像をいたしております。ただ、先ほどもお話がありましたが、四十二万戸という数字が選挙中に現わされて、その公約をどうしても果したいという政府特に建設大臣の良心的なお気持は、大いに敬意を表しなくちゃならない、これはけっこうな話でありますが、しかし、そのために住宅政策の根本を誤まるというと、失礼な言い方でありますけれども、ゆがめられていくような気がしてならない。住宅が不足だということは、なるほど世論であります。実情であります。でありますから、これを急速に解決するということも、政治家の務めでありますが、それだからといって、住宅政策の根本をゆがめるようなことをされるということについては、将来の日本の建設と申しますか、行き先をみて――何も住宅四十二万戸とそろばんがぴっしゃり合わなければ、政治家としての公約に反しておるというようなことを言う人間は私はおらないと思う。今の大臣お話のように、財政全般を考えて政治をやっていくのでありますから、必ずしもそれに執着される必要はないと思うのであります。何かそれに執着されておるような、そろばんのしりをどうしても四十二万戸に合せるのだというような気持が、ここに現われているような気がいたします。それはそれといたしまして、この公団については、先ほども申し上げましたように、いろいろ議論があるようであります。これは詳細に、いずれ公聴会といいますか、参考人などに来ていただいて、そういう方面の専門家の意見も聞く予定になっておりますが、先ほどの大臣の、いろいろなそういう組織をもって住宅政策を推進するというお気持は、わからないでもないのでありますけれども、しかし、今日まで公営住宅とそれから先ほどお話なりました公庫融資による住宅と、この二本建で相当苦心をしてやってきて、相当の効果をあげております。これだけで一体間違いないのかどうかということが、大きな問題になるわけでありますが、地方公共団体が、今日まで日本の住宅問題について、敗戦後非常に熱意を示して相当の実績をあげております。そのためにだんだん住宅の事情が改善されると同時に、住宅の施設そのものも年々改善改良されておることは大臣もよく御存じだと思う。そういうところに持ってきて、今度資金のワクをふやして、さらに公団を作らなくてはならない。この問題については、地方公共団体との間に必ずしもしっくりした気分ができておらないのじゃないか、こういうふうに私は考える。地方公共団体は、もちろん来年のことは今年から考えておりますので、来年の住宅計画はこのくらいにやりたい――もちろん国全体の財政が伴わないから、希望通りには参りませんけれども、相当の計画を立てて、そうして最も必要な土地などを確保する、こういう計画をずっと進めておる。そこに持ってきて、あとでお尋ねいたしますけれども、大幅にというと失礼でありますが、公営住宅を圧縮するような計画でやられておりますが、地方公共団体住宅建設に対する熱意を阻害するおそれはないか。国民に対する住宅を与えるということは、もちろん国家の当面の責任でありますが、直接にはやはり地方公共団体の住民に対する一つの責任として、最も直近な地方公共団体にやらせることが非常に適当であるという考え方でやってきておる。これは考え方の違いもありましょう。近く社会党の諸君から出ます国が安い家をたくさん建ててやるのだ、これは国家組織の根本の考え方が違っておりますから別でありますけれども、私どもの考え方としては、やはり地方公共団体を中心にしてやるべきものである、これが非常に仕事がやりやすい、そうして住民に対する愛情を施す政治のほとばしりだ、こういうような考えを持っておる。そこに持ってきてこれをやられる。重ねて申し上げますが、地方公共団体のこの住宅建設に対する熱意が欠けはせぬかどうかということを根本に心配しておりますが、大臣はそれに対してどういう御見解を持っておられますか。
  17. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 瀬戸山さんの御心配の点は、私の方がしろうとでありますので、非常な御親切な御注意と感謝をいたして伺っておりますが、地方公共団体の方の熱意が減りはしないかということについては、まことにごもっともな点で、よく承知ができます。ということは、お話通り地方公共団体が戦後の困難の中から、一番むずかしい住宅の問題を取り上げて、今日世間から見て、なるほどりっぱだというようなアパートを作るまでの苦心というものは、私は心から敬意を表するものであります。そういう努力をされてきた諸君には、そういうものを一応公団の方でやって、お前の方はもっぱら安い家を建てろということにとられましょうし、これは技術者などの諸君からいえば、勢いある程度失望を感ずるということは、私は人情上よくわかるのであります。そういう点については、今回の全体計画公営の中で、ある程度りっぱなアパートの分が若干減ったという点に御意見の焦点があろうかと思います。これは私もよく事情は了承をいたしますし、またその当面の諸君の努力に報いるに、はなはだ相済まぬという気持も十分よく了承いたしているつもりであります。ただしかし、私はそういう熱意をことさらに阻害する気持から今回の計画をやるわけではないのでありまして、これは瀬戸山さんも十分御承知の上での御意見と理解しておりますものの、全体の計画を、この際数をふやしていく――今四十二万戸にとらわれるなというお話でありますが、もちろん私は決してそういう気持からやっておるわけではないので、一戸でも多くこの際作ることが国民の要請だと考えますから、四十二万戸を精一ぱいあらゆる方法で建てようと努力いたしておる途中であります。そういう面から見ますと、どうしても従来いわゆる公営の中で限られた資金で安い家からある程度りっぱな家まで、いろいろの種類を苦心して作ってきたということに対して、私は敬意を表し、それが実情として当然であったと考えますけれども、全体としての計画を伸ばしていこうとする場合におきましては、さきにも申し上げたように、非常に困っておる国民の層というものの低家賃要求というものを、従来とても満たしておったわけではないのでありますから、まず安い家賃の家というものを全体の中からどのくらいやったらよいか。これは各党それぞれの主張の立場において違いましょうけれども、できるなら、まず低収入の人の家を、最大限度これに提供するということが、やはり住宅政策の大事なねらいではないかと思うわけであります。そういう見地に立ちまして、今度全体のワクをふやすに当りましては、どうしても国家の負担の一番多く投入されておるところの公営住宅、しかもその中の第二種公営住宅、三分の二を政府が持つという部面におきまして戸数をふやすということが、最もこの際の住宅政策の焦点であり、根本的のねらいであると考えまして、私はそういたしたわけでありますから、家を建てる方の人からいえば、こんな安いうちを作っても作りがいがないと言われるかもしれませんが、これは国民要望でありますから、公共団体の諸君といえども十分よく事情をのみ込んでもらえれば、何かりっぱな家ができなくなって不満だという感じはよく理解されますけれども、私は国民全体としての要望にこたえるために、地方公共団体一つ進んでやって、安い家賃の家をたくさん作るという政策に協力を願いたいし、また願えるものと私は信じております。この点は予算がきまりませんし、計画が決定いたさぬ前に、個々の地方団体に一々交渉をするわけにもいきませんから、その間において十分な連絡がないので、誤解に基くいろいろな批判があろうかということもよく想像はされますが、これは国会で御決定をいただきますれば、私はその趣旨に従って、知事を初め地方公共団体の諸君によく理解を求めまして、決して政府地方公共団体との間に食い違いが起らぬように万全の措置をいたしたいと考えております。同時に、もう一つの面は、御承知通り地方財政というものが破局に瀕しております。今日までお作りをいただいた住宅ばかりではありませんけれども、建設関係の法案に基くいろいろの施策というものも、実際問題として地方財政が現実に破綻をいたしておりますために、知事の会議などでは、公共事業すら思い切って減額しろという要求も起きております、一方国民からいえば、公共事業をうんとふやせというが、知事は減せという。住宅などで現に最も露骨に現われておるのは東京都でありまして、一番住宅要求が多い東京都が一番進捗率が悪い。これは今日までずっと自治庁が住宅に関しても東京都へは起債を許さない。起債を許さなければ家は建たぬじゃないかという理屈をもって――東京都は絶対に建たぬとは申しませんけれども、一番進捗率が悪くて、現に国会でも指摘されましたように、割り当てた予算を返上してくるというような始末でありますので、先般十億の緊急起債を、私は強引に大蔵省を説いて、東京都と大阪につけたようなわけでありまして、こういう地方財政全般の情勢から考えまして、公共団体住宅を建てたいという御熱意は、住民に対する当然なことであって、われわれは敬意を表しまするけれども、現実の問題として、地方公共団体が現在の制度において、それに耐えるだけの地方財政力を持ちませんと、それはなかなか進行をいたしません。そこでやはり全部を地方公共団体負担において押しつけるということは、この際住宅政策を推進する上からいきましてどうかと考えまして、御意見はありましょうけれども、私は道を別の方面にとりまして公団制度を作りましたのは、一部ごくわずかの地方公共団体からの出資をいただくということは、御意見のように、地方公共団体と疎隔をいたしませんようにするための用意として出資をいたしてもらっておりますが、これは財政的の負担からいえば問題ではないので、別に今とりあえず用意をいたしておりまするように、民間の保険会社から五十億の資金を提供してもらいまして、これと政府財政資金とあわせまして、今公共団体等が苦心してようやくものになりかけてきた進んだアパートの方面は、これと民間資金とをあわせて提供するということで、今日まで苦心した住宅政策をもう一段進展させようというのが、公団のねらいの一つであるようなわけであります。御心配のような点はよく注意をいたしまして、万遺憾なきを期したいと考えますが、私は十分努力をいたして御理解を願うならば、地方公共団体との間に意見の疎隔が起って、この事業がうまくいかぬというようなことは万ないものと考えておるようなわけであります。
  18. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大臣の話を聞いておりますと、公団でやれば金はいらないというふうに聞えるのでありますけれども、もちろん家を建てるについては金がなくちゃ建たないことはわかっております。地方公共団体がやる場合に、今日まで非常に方針を間違っておるのです。住宅を建てるということが大切なものだということは言いますけれども、その資金を出してやらぬところに大きな問題があるのです。先ほど廣瀬君の質問に対して、住宅に対する起債は最優先的にやるということを大臣は言明をされております。またそうしなければ住宅政策は進まない。そこで、それでは公団にやれば一体資金はいらないのか、これは先ほど大臣の御説明通り、また予算に出ておりますように政府出資民間資金地方公共団体資金、こういうものが出ておる。その金をどこへどういうふうに使うかだけの問題であります。そういう金が地方公共団体に回らないと、これは別でありますが、そういう政府資金を出して、さらにまた起債を許す、こういうことになれば、何も地方公共団体が――東京都が返上したというような話がありましたけれども、ただそういう問題が解決されておらないからそういうことになる、私はそう考えます。でありますから、そうであるからといって、何も公団でしなければ家が建っていかないという理論にはならないのじゃないか、私はこういうふうに考えるのであります。どうせどっちに建てるにしても、金を出さなければならないのでありますが、新しい役所を作って――役所というと役所になります。半官半民と大臣は言われましたが、こういうものをこれから作って、二万戸今年じゅうにはできないと私どもは思いますが、どうしても早く作らなければならないものであれば、やはり今日まで着々進んでおる、金をさえ出してやれば、地方公共団体金融公庫も活動して家はどんどんふえると思う。それに新たに一種のそういう役所みたいなものを作ってこれから計画をされるというところに、ちょっと納得がいかないところがあるのであります。  さらにまた、今大臣の話を聞いておりますと、公営住宅の方では低家賃の方を建てさせて最も緊急の家を作るのだ、そうすると逆にいうと、公団住宅を、高級住宅を建てて、最も緊急である今の住宅を非常に希望しておる人たちにばこたえないということに、これはあげ足をとるように見えますけれども、そういうふうに聞える、私どもは何もぜいたくな家を今の日本で建つべきだというのではありません。先ほど廣瀬君の質問に対してもお答えになりましたように、できれば安い家賃でいい家を建てたいのはやまやまでありますけれども、そんなことを言うたって、今の日本ではできません。それでも敗戦後今日まで、ずっといろいろ苦心惨たんして、やや人間が住めるような住宅なりつつある。この間も、東京都の家を見ましても、今年の家よりか去年の家の方がまずいのです。人間の住むような状態に今日だんだん改善されて来ておる。それを、非常に緊急だから地方公共団体にはそういう低家賃のものを建てさせるのだ、公団には高家賃の、いわゆるぜいたくな家を建てさせるのだ、これは大臣の言われる緊急な人たちに早く住宅を建てるという根本的なお考えとちょっと違うような気がするのですが、そこはどんなふうでしょう。
  19. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことにごもっともでございまして、私の説明が足りなかったかもしれませんが、今までの中層というか、高層とまではいきませんけれども、中層アパート公団でもあるいは公庫でも公営でも作っておったことは御承知通りで、その分は非常に資金を食いますので、この分を公団の方へ移しまして、金利の高い民間資金を補って中層アパートを作るということになりますので、これはぜいたくなつもりで考えておるわけではありません。今お話の、最近の最も進んだ程度アパートをこれは考えておるのであります。しかし実際を申せば、そういう結果として家賃はどうしても高くなるということは避けられませんが、それはぜいたくというところではなくて、今考え得る最も適当な段階と考えて、なるべく安くするように努力はしておるようなわけでありますので、決して不必要なぜいたくなものを作ろうとは考えておりません。端的に申しますれば、従来の公営その他で作っておりました進んだアパートというものは、数を多く作りますためには、どうしても政府財政資金だけではとてもまかない切れません。そこで民間資金をあわせてやるために、公団でそういう分を担当する、従ってお話通り、逆に申せば公団はある程度程度のいいものを作る結果にはなりますが、これはおのずから分担した方がいいというふうに考えたものだからそうなったわけで、従って公営公庫公団全体をバランスをとって計画をいたしたわけでありますから、一つ一つについてはあるいは御意見のような点が出るかもしれませんが、その点は一つ御了承願いたい。
  20. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 地方公共団体住宅を建てますには、申し上げるまでもなく、都市計画その他とにらみ合せてやることになると思います。この案によりますと、いわゆる公団住宅は、都市をずっと離れたところに一団地を形成してそこに建てる、これも一つ考え方であります。これを私は必ずしも悪いと申すのじゃない。ところがその反面において、先ほども出ましたけれども、都市の中心に近い、人間が最もたくさん住んでいるところには、極端に言って小さな、あるいは二、三年の先には壊滅住宅になる六坪とか八坪、そういう家を建てる、しかも階枚は低くなる。都市計画その他の全般からいって、あるいは災害その他の問題からいって、それが適当であるかどうかというと、私は非常に逆行するのじゃないかというように思う。しかも、都市の中心はとても地代が高い、これは申すまでもありません。そこに狭くて低い家を建てて、土地の値段の低いところには高い家を建てる、私どもは東京にこれほど人間がたくさん集まるのがいいのか悪いのか、元から考えておりますが、なかなか人間を統制することができないで困っております。それだからこそ、できるだけ都市の内部にこそ高い土地であるから土地を高度に利用するために、その中においてはできるだけ高い家を建てる、それほどでないところには、日本の国土全体からいうとぜいたくでありますけれども、まあまあ低い家も仕方がない、こういうような考えを今日まで持ってきて、それに進んできたのであります。ところが、今度のこの案によりますと、逆行している。そういう地代の高いところには低い家を建てる、先ほど新研究による一階建あるいは二階建だそうであります。こういうようなことが、一体この日本の小さな国土、しかも都市の宅地というものが非常に重要な問題になってきておりますときに、それでいいのであるかどうか。これは大臣もごらんになったかもしれぬけれども、この間この住宅問題について新聞に出て、マッチ箱住宅総スカンなんといって東京では騒いでおる――騒いでおるかどうか知りませんが、新聞では騒いでおる。東京都のまん中に、六坪か八坪の家を建てて、すぐこれが壊滅住宅になって住宅不足の問題が出るでしょう。そういうことについての大臣の根本的な考えを承わっておきたいと思います。
  21. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 予算の上の戸数から申すと、先ほど申し上げたようなことでありまして、今御注意をいただきました、これを地帯別にどういうふうに配置するかということについては、その都市々々の情勢に応じて今後やっていく問題でありますから、御注意の点は、そういうことになりませんようによく努力をいたしたいと思います。御意見の点は全く同感でありまして、そういうことに今考えておるわけではありません。ただたまたま公団が宅地の造成等をいたします場合において、今まで皆さん方の御主張にもありましたところの衛星都市を作れという点も、この際一つ生かして参りたいということでありまして、必ずしも全部を衛星都市にする考えは毛頭持っておりませんし、もちろん都心部におきまして高層アパート建設等はいたさなければならぬという実情もよく考えておりますから、御注意の点をよく守りまして、実施の面においてはさようなことにならぬようにいたしたいと考えております。
  22. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 どうもその点が私にはぴんとこないのですが、これは建設省でも内部ではある程度計画はあると思います。そういう問題はきょうはあらためて聞くことはあとに回しますが、大体の構想ほそうでないと私どもは見ておる。そこで、御承知のように住宅政策では、融資関係金融公庫の方から金を出して、多少家賃の高い、少しばかり人間らしい住宅を作ろうという一部面で住宅協会などを作って、これも都心部あたりに作っております。それにまた公団もそこに入る。こういうふうにしなければ住宅政策は家は建たない、こういうふうにお考えなさるところに、どうしても納得がいかないところがあるのです。今大臣のおっしゃったように、いや都心部も公団が建てるのだ、住宅協会もやるのだ、地方公共団体は小さな家だ、そういうふうにされる理由がちょっとわからないのですが、その点はどうなんでしょうか。
  23. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 公庫の実行機関としての協会というものがやっておられるのは、これは自然発生的に必要に応じてできたものでありまして、今お話通り、大いにその活動を期待いたしておるわけであります。その面とはおのずから――同じ家を建てるのでありますから、同じようにも見えますけれども、また別の角度から、そういう機関だけでは宅地の造成等も困難であります点を、いろいろな隘路をいろいろな機関でむずかしいところは、また別な機関でやるという考え方が今度の公団考え方でありますので、今現在あります機構とは十分に連携のとれますように考えてもおります。またそういうふうにやりまして、決してその間において矛盾が起るようなことのないように注意をいたして参りたいと考えております。
  24. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これを今ここで結論を出すわけではありませんから、またゆっくりいろいろ御意見を聞きたいと思いますが、この問題について、一体この金融公庫やあるいは地方公共団体に予定されておるのは、どのくらいの家賃なりますか、四千幾らになると思いますが、今の国民が、住宅を希望しておる階層は、だんだんあると思いますけれども、これは金持のぜいたくな人にはそういうことは心配せぬでもよろしい、自分の家がないといって困っておる人のことを考えていればいいのですから、そういう人たちに対して家を供給するのに、公団をつくらなければ、地方公共団体金融公庫ではいけないのだ、その方が資金の効率もよくて、家を早く建てて――家賃は安くなるとは思いませんが、ほかのそういうものにやらせるよりも、公団でやった方が、今国民が希望しておる、最も緊急に家を供給しなければならない人たちに対する対策はうまくいくのだという、ほんとうの気持を一つ聞かしていただきたい。
  25. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 別に私はそんな特別の理由考えておるわけではありませんので、今までもずっと政府が苦心をしてこられたが、住宅はなかなかこれはだれがやっても困難な問題でありますから、思うようにいかなかったのでありましょうから、この際少しでも、一歩前進させるためには、従来の機構はそれぞれ伸ばすという以外に、困難な点をまた一つずつでも取り除くためには、やはり新しく――何も私は新しいことを好んでやるわけではありませんけれども、また別の角度から隘路を打開をしていくというために、公団制度考えた方がよかろうというのが根本の考え方でありまして、公営住宅制度というものは、ずっと伝統もありますし、この制度はあくまで低家賃住宅というものを守っていく。それから公庫の方は、今お話通りどうしてもある程度高い家賃の家にならざるを舞ませんが、これは借りられる能力のある者に貸すということになりますからいたし方ない。その中間をねらって民間資金政府財政資金とで、公庫ほどではないが、もう少し安い、しかし民間資金を伴うために公営までにはなかなかいき切れませんから、その中をねらっていこうというのと、今申す通り現業的な面、宅地の造成とか、場合によっては直接住宅を建てるとかいったような性格のものを、公庫とごっちゃにしますと、将来にわたってまたどっちが本体だかわからぬようになることを非常におそれますから、この際公庫は従来の金融の面と、それから今度新たに作るつもりの金融の保険すなわち金融保証の制度を、これは金融の面でありますから、公庫の方でやってもらってこれを大きく広げていこう、そして現業的な面を公団でやっていこう、三本がおのおのその特徴を生かして全面的に協力いたして参るならば、困難な住宅問題も一歩前進をし得るのじゃないか、こう考えておるのが私のこの計画をいたしました趣旨であります。
  26. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう少し突っ込んで聞きますが、いわゆる住宅公団に対する資金地方公共団体金融公庫に回して、そうした住宅建設の政策は、それじゃうまくいかない、こういうふうに考えたということなのですか。
  27. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これはおのおのお考えでありますから、私はそのお考えをあえて反発はいたしません。いたしませんが、私はどうも金融機関が現業をやるというようなことになると、かつていわゆる古い公団がいろいろ世間から、時世のせいもありましたけれども、結果的には、苦労をして、いろいろな批判が起りましたことも考えて、金融機関というものは、信用をもとにして長い計画で進まなければなりませんし、これは永久的なものとしていかなければならぬと思いますから、これにあまりいろいろなことをごちゃごちゃ入れますことはどうか。先輩の作られた制度を私がちゃちゃむちゃにしてしまうようなことがあっては相済まぬというようなことを考えて、ある意味では、公団一般的に家が建ってしまえばいらないものであり、公庫は半永久的に住宅金融をやっていかなければならぬ性格のものでありますから、私はこれは一緒にすべきものでないという考えのもとに計画をいたしたようなわけであります。いろいろ御意見の点は十分よく伺い、また了承もいたしたいと考えますが、私の現在の考え方はさようなわけであります。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほどちょっと廣瀬君の質問に答えられたと思うのでありますが、公団地方公共団体から十六億くらい出資を予定されておりますが、それはどういうところから出資されるか。もし、話合いと申しますか、計画がありましたら聞きたいのと、その出資については起債を認めるのかどうか。先ほども質問がありましたように、二重に、自分の方の公営住宅にも金を出さなくちゃならぬし、公団の方にも金を出さなくちゃならない。これは両方とも起債を認められることに考えておるか。と同時に、それに出資しないところには公団の家は建たないのかどうか、その点を一つ聞いておきたい。
  29. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 これはまだ予算だけのことでありますから、実施の面においては、地方の実際を見て変えなければならぬと考えておりますが、当初の考え方は、一番住宅不足の激しい東京とか大阪とかいう大都市を、まず先に公団としては考えるということでありますが、私は決してそう限定的には考えておりません。従って、自治庁としては、おもにそういった方面のものを具体的に当って十六億の資金計画を立てておってくれますが、これはいずれ実施の場合におきまして、よく相談ずくできめて参りたい。従って、お話のように要求のあるところにどこでもここでも全部農村までやるというわけには――またそうすることは、地方公共団体仕事や公職の仕事とかえって混乱をいたしますし、困難なところを重点的にやるという趣旨のもとに実情に合せて参りたいと思いますから、よく検討して参りたいと思います。
  30. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 出資をしない都市にも建てるのですか。
  31. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 その点は、おそらく少しでも見ていただくということにしませんと、つながりがつかぬということの意味もありましょうから、できるだけでも見ていただくというようなことになるのじゃないかと考えておりますが、同時に、これを起債の面で見るかどうかということにつきましては、住宅全体の起債として自治庁と話しておりますから、富裕県、あるいはどうしても起債を許さなければならぬ県等いろいろありましょうから、両方をあわせて考えております。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 公団については、一応そのくらいにしておきます。  もう一つ、今度の予算を見ますと、住宅金融公庫融資限度と申しますか、率、これを引き下げておられる。それと同時に、やはりこれは公営住宅と同じような考えであるかもしれませんが、住宅建設の一戸建の規格を引き下げておる、これも私どもは逆行のような気がしてならない。特に融資率の引き下げということは、この金融公庫制度を作るときから非常に問題になりまして、その当時ばアメリカがおったと思いますが、アメリカと徹底的にやり合って、日本の国民はそれほど金がないから、もうちょっと出してやらなければ、幾ら家を建てるための金を貸すというても、大体自分の元手がないのだ、そういうことでようやくあそこまで引き上げてきておるのですが、それを、さらに今度は融資の率を引き下げる、いわゆる頭金と申しますか、それをよけい持っておる者でなくちゃせっかくのこの制度も活用ができない。今でさえも、相当申し込みがあっても実際に行われておらない。それは土地の問題や頭金の問題で、実際に申し込んで金融公庫は認めたけれども、家が建たないという実情のものが相当あることは、これは大臣も御存じだと思います。そういう場合に、さらにこれを引き下げて、結局金融公庫の貸し出しのペーパー・プランではこれほどの戸数になる――これもやはり四十二万戸と何か関係があるような気がしてしようがないのですが、これは私は逆行じゃないかと思うのです。日本の国民のふところがよくなって、今までよりも融資率を下げても家の建つ数は多いのだ、こういうふうにごらんなさるならば、その理由一つ説明を願いたいのであります。
  33. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 個々の数字はまた政府委員から申し上げますが、下ったものもありますが、下らぬものもあるというわけで、もちろんお話のように、もっとうんと貸せれば貸すに越したことはないと思いますけれども、今の状況でやり得る最大限度考えたわけでありまして、規模、率等、いろいろ種類によって違えておりますことは、実情から勘案をして割り出したのでありまして、御不満の点もよくわかりますけれども、この程度でやり得るものと考えたようなわけであります。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それでは、金融公庫の総裁もおみえですから承わっておきますが、これは一〇%ずつ融資の率を引き下げる、自己負担が一〇%ずつ多くなるのですが、そういう融資の率で、今までよりも、あるいは今までと同程度に家は建つものだという確信を、鈴木総裁は持っておられますか。
  35. 鈴木啓一

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。ただいま瀬戸山委員お申し述べの通りに、最初は、個人住宅に関しましてはもう少し融資率が少かったのでありますが、途中で公庫法の改正が行われまして、個人住宅等につきましては融資率がやや引き上げられたのが今までの経過であります。そしてこれは、たまたま公庫発足と同じ時期に朝鮮で三十八度線を越えてきて、いわゆる朝鮮事変が勃発したということ、それに伴って北九州方面空襲のうわさが飛んだとか、並びにこの事変に伴って建築費が、あるいは材料費においてあるいは工賃において漸次騰貴してきたこと、これらの背景並びに経済事情によって土地費がだんだん高勢して参ったこと、いろいろな客観情勢もあったと思いますけれども、公庫の当初の貸付率をもってしてはなかなか自己資金が足らぬ人が多く相なりまして、いわゆる公庫融資による住宅建設は高ねの花というような悪声も飛んだ時期がありまして、やむを得ず私どもの立場といたしましても住宅の標準建設費の引き上げを若干数回にわたって試みまして、それぞれ主務大臣の承認を得て、これらを嵩めましたり、いろいろの苦心を払っておったのでありますが、先ほどお申し述べのように公庫改正融資率の引き上げということも行われたりいたしまして、また一面においては建築諸材料の騰貴の趨勢が非常に緩和いたしまして、ある物資によりましては、横ぱい状態にも和なったというような情勢もありまして、昨今の情勢ではやや落ちつきぎみかと思っております。しかしながら、何分にも私どもの方の個人住宅の申し込みをされる向き等は、公庫発足以来二十八年度までの調査によりますと、大体税込み月収三万円以下の階層の人が七、八〇%を占めておるというような状況でありまして、いわゆる勤労階級、庶民階層の人が大部分でありますから、どうしても手持ち資金が足らないというために、各種の難渋をきわめております人が多数あるということは事実でございます。私どもの立場から申しますと、なるべくこれらの人が楽に自己住宅等を建設して、生活の安定の重大部分が満足せられるということが望ましいことと考えておりますが、政府の御方針で、しばしば大臣がこの席からもお申し述べになったように、公営住宅公団住宅、さらに公庫住宅は、それらの利用階層より少し高いところをねらうのだということに承知しておりますので、それらの意味合いと財政事情等のやむを得ざる結果として、融資率の若干の引き下げをせられた種別も含まれておるような結果になっておるのでありまして、まことにやむを得ざる結果であるかと思います。しかしながら一面におきましては、個人住宅等がその場合、場合でいろいろな率に相なっておりますが、申し込み総数に対する抽せんによる当せん率というのは時々変っておりますけれども、常に十何倍、あるいはときに何十倍のときもあったのでありますから、融資率あるいは建設費の引き下げあるいは土地費に対する貸付のない種別もできたような情勢から申しますと、それらの多数の希望者の中で比較的自己資金の余力のある人が公庫住宅の申し込みをする、そうして当せんをし建設を実行できるという結果に相なるかと思うのであります。若干の人は、従来の公庫金融による住宅建設を希望した多数の人たちの中の一部の人は、あるいは公団住宅の賃借人となり、または公営住宅の賃借人とならざるを得ないといったような結果もできるかと思います。しかし、結論として申しますれば、やはり住宅金融公庫融資による個人住宅建設をなし得る人も多々残るであろう、かように考えておる次第でございます。抽象的でございますが、お答えといたします。
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大体私どもの考えでは、家というものはどなたでも同じだと思うのですが、人の家よりも自分の家を好むのです。やむを得ぬからアパートに住んでやっておる。しかも一戸建をたくさん建てるわけにもいきませんから、いろいろな方法で集団的な住宅を建てるという政策をやっております。そこで、できることならば、特に日本人の気持としては、あまりマッチ箱みたいな一戸建でも困るには困るのでありますけれども、自分の家を建てたいという希望は相当にある、何も大邸宅は必要でないのです。そこでそういう希望の人は、今鈴木総裁お話通りたくさんあるようであります。希望が達成されない人が相当におる。この世論調査を見ても、やはり自分の家がほしいという人がたくさんおるということは、これは説明を要しない。それもまだ希望が達成せられない。申し込んで当っても、頭金と申しますか、そのためになかなか困難だ。月収三万円前後の人たちが、それをたくさん希望しておるけれども、結局自分の持ち金が足らないから、その目的を達することができない、こういう実情にあることは、今の御説明ではっきりいたしております。そういう現実の問題の前に、現に融資率を引き下げていくということは、どうも私ども納得がいかない。これは同じ問答を繰り返すようで申しわけありませんけれども、大臣はそれでいいとお考えですか。
  37. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 もちろん多いに越したことはないと思いますけれども、今総裁も話されたように、私は今度全体計画一つ御了承をいただくという意味で、従来産労住宅というものが、公庫の努力で少しものになりかけてきたので、これを大きく取り上げて思い切ってふやせば、いわゆる低額所得者ではないけれども、俸給生活者の層は、今度公団やあるいは産労住宅を思い切って数をふやしましたし、その方面で、これも今のお話の分譲を対象として考えておりますから、自分の家にはなります。ただお話通り、宅地の関係等から一戸建を全部に満足を与えるということは、何ぼ金があっても、私は事実できまいと思いますから、政府計画としては、そういう点で不満足はありましょうけれども、ある程度進んだアパートで満足をしてもらうということでいけば、両々相待っていき得るものだというふうに考えております。決してこれで金が十分で満足し切っておるとは考えておりませんが、現在の国家財政の立場から全体のバランスを考えて、かような計画にいたしたようなわけでございます。
  38. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この問題は、押し問答をしてもしようがないことで、せっかく相当高率の融資ができるようになって、それで多少金があれば家が建つという状態になっておるので、その多少の金では間に合わないようにするのが住宅政策上いいのかどうかという問題でありますが、私はこれ以上この問題について押し問答をいたしません。時間も経過しておりますし、ほかの委員の方もいろいろ御意見があろうと思いますので、この問題はこれで終えます。  次に、河川関係でありますが、これは詳細はお伺いいたしません。日ごろの大臣の治水問題についての御熱意はよく承知いたしておりますが、今度の予算を見ますれば、何と申しますか、治水全体の費用は、昨年度に比べて減っておりません。減っておりませんが、私がふしぎに思いますのは、その中で――これは財政のやりくり都合上という御返答になると思いますが、その中で国の最も大事な治水の中心である直轄河川改修費を減らしておる。これは資料が出ておりますから、あとでこまかく検討いたしますが、各直轄河川の一本々々についての資料を要求しましたが、それはさすがにおそれをなされて、建設省もそれを出しておられません。私も無理な注文だと思って注文したのですが、それはそれとして、百年河清を待つという言葉があります、そういう状態になっておりますので、この直轄河川の改修費を減らされた理由を承りたいのであります。
  39. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことに河川の問題は重要なことでありますので、これは率直に申せば、何ぼあっても足りない現状であることはお話通りであります。そこで、今年度予算の場合につきましても、いろいろ検討をいたしまして、限られた財源の中からどう配置するかということにつきましては、いろいろ事務当局と苦心をいたした点でありまして、お話通り今度河川関係予算の中におきましては、一番ふえましたのがダム関係であります。その次にふえたのが砂防でありまして、河川の増加率はお話通りきわめて低かった。これはまことに相済まぬと思っておりますが、どれもこれも決して軽くていいとは思っておりませんけれども、何しろダムがずっと既定計画で進んで参っておりますので、これを途中で金がないからといって減額をいたしますと、ただちに地方財政を破局に導くというようなことで、事まことに緊急やむを得ないことになります。そうかといって川の方が軽いとは思いませんけれども、この方は仕組み上地方財政とからみ合っておりますために、何としてもやらなければならぬというようなことから、ごらんの通りダムにはこの財政の状態から見れば思い切ってふやした。もちろん個々について見れば御不満もありましょうけれども、総額から見れば、思い切ってふやしたということが一つ、砂防につきましても、額こそ少けれ、比率からいえば相当ふやしましたのも緊急を考えたからであります。その結果、中小河川等においては決して減らしたつもりはありませんが、お話通り直轄河川については、まことに私も満足はいたしておりません。これについては、これは言いわけになるとおとりになるかもしれませんが、前国会のときにも申し上げましたように、河としても今年まず直轄からでも継続予算の編成をいたしたいということで主張を続けて参りまして、今年度の額ということももちろんでありますけれども、今までのやり方をどうしてもこの際改めたい。それには、まず順序として直轄河川から入りたいということで、ある程度の準備はいたしました。ところが、やってみますと、大蔵大臣も主計局長も、趣旨には賛成したのでありますけれども、何年かの計画をこまかくいわゆる査定をいたしますためには、一本について一週間もかかる、こういうわけで、選挙等で御承知のような状況でありましたし、予算の事務的な査定がこのために一ヵ月も遅れるということに結果的になるおそれも出て参りましたので、私は最後には何本でもいいから入れようということを主張いたして、最後まで努力をいたしたのでありますけれども、残念ながら時間的にそれが許されない。来年度予算においては必ずやるからという大蔵省との確約のもとに、今年はまことに残念でありましたけれども、継続予算制度に入り切れませんでした。そういうことが原因とは申しませんけれども、そういう考えがありましたものですから、この際河川の問題については根本的に検討をする。そのもとは前からきめられました十ヵ年計画を基礎にいたしまして、長期の継続予算制度に持っていきたいと考えております。もう来年度予算にも入るわけでありますから、今年若干御不満の点はありましょうけれども、これをベースにしないで、新しいベースを作るように今努力をいたしているような次第でありますので、御了承をいただきたい。
  40. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 当初に申し上げましたように、大臣の治水に関する熱意が不足していると言うわけではありません。最初に、大臣の継続予算まで作って何とかしたいという御意見も聞いておりますが、予算編成前に、住宅ももちろん緊急であって必要である、必要であるけれども、しかし河川の問題については、何も堤防を作るのが楽しいからでなくして、あれだけの膨大な災害を早く防ぐ方法を講じなければ、日本の産業経済に重大な影響が毎年あるのですから、そういうものに影響ないようにということを私は申し上げている。それを申し上げておいたのに、減ったから文句を言うという意味じゃありませんが、かりにも長い間かかってやらなくちゃならぬ河川改修費、今までも満足でない、それを多少でも減らすという今度の政府考え方が、私どもはどうしても納得がいかない。なるほど、ダム建設の問題について今御説明を聞きましたが、これは御承知のように全国数ヵ所です。直轄河川は、日本全国を荒している。それを中心にして農作物その他の被害を入れて、二千億ないし三千億の損害を日本全国民が負っている。いかに貿易を振興しましても二千億三千億の利益を得るということはできない。これがいかに聖天であるかということを、私どもは数年間声を大にしておりますが、多少治水費がふえて来ておったのに、今度は直轄河川において減らされたということは絶対不満でありますということを申し上げておきます。
  41. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ちょっと私説明が足りなかったのでありますが、もちろんこれも言いわけとおとりくださればなんでありますが、今度公共事業費全体について、物価その他の関係から全面的に少しずつ減らしております。これも御意見はございましょうが、政府全体の考え方として、みな減らしておりますようなわけで、そういう結果が積極的にふえなかったということにも相なっておりますので、つけ加えておきます。
  42. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう一つ、災害復旧費についてでありますが、これも昨年度と比較して、減ったとかふえたとかということを私は申し上げるのではありませんが、しかし、あれほど膨大な過年度災害が残っているのに、しかもこれによって全国民がどのくらい苦しんでいるかということは申し上げるまでもなくわかっておられるにもかかわらず、こういうような災害予算を組まれるその気持を聞きたいのです。理屈を聞くのじゃないのです。
  43. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 まことに同感でありまして、災害を何とか早く片をつけなければならぬということについては、従来からの経過をよく研究もし承知もいたしております。われわれもできる限りこれに努力を続けなければならぬと考えておりますが、全体の関係と、それから今年度予算の計上をもっていたしますならば、昨年度予算より、若干でありますけれども残事業に対する進捗率が伸びているということだけでお許しを願いたい。要するに、昨年度災害が幸いにして少かったものですから、今年度の残事業に対する予算額がこの程度で食いとめられたというわけで、しかし御期待のように、もっとこの際思い切って復旧に金をつぎ込むことができますことは、われわれも望むところでありますが、全体の財政上昨年並みを少し越える程度で今年の予算を編成いたしたということで、お許しをいただきたいと思います。
  44. 内海安吉

    内海委員長 二階堂進君。
  45. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま瀬戸山委員建設省関係予算、特に河川予算と災害復旧の予算につきましては、私もきわめてその減額されたことに対して不満の意を表明いたしたのであります。このことにつきましては、後日私は委員会におきまして、建設大臣の所信をさらにお伺いいたしたいと思いますが、竹山建設大臣は、御承知通り農政の問題につきましても非常に造詣の深い方であります。直轄河川等の予算が削減されたことによりまして、地方、農村の被害がいかに甚大なものになってくるかということは、私が申し上げるまでもないのであります。農業にいそしむ農民の土地が崩壊するとか、あるいは道路が破壊されるとか、食糧増産の上から考えましても、これは非常に影響の大きい問題であるのであります。特に私の方のごとき、雨も多い、災害も多い地域といたしましては、河川等の予算が削られたということは、非常な関心を持たなければならない問題であるのでありまして、私はこの前の国会の委員会のときにも、大臣に特に南九州等の河川災害復旧費の点につきましては御配慮願いたいと、特殊な事情を申し上げておいたのでありますが、こういうような観点から考えてみましても、本年度予算、特に災害復旧費、直轄河川等の予算が削減されたということは、私にとっては承服のできない問題であるのであります。なおまた地方におきましては、直轄河川等に使われる予算の半分にもなんなんとするものが、地方の労務者の失業者等の救済事業にも大きく役立っておることは、私が申し上げるまでもないと思います。こういう失業者救済の上から申しましても、この直轄河川等の予算をどうしても増額していただきたい、こういうことを私は念願をいたしておるわけであります。明日、明後日にわたりまして、私は建設予算全体につきましても大臣の所見を伺うつもりでございますが、特に本日は瀬戸山委員の災害復旧費並びにこの河川予算の削減に関する質問関連をいたしまして、私の希望を強く申し上げておく次第であります。
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 関連して一つだけ。民主党では住宅建設を公約の一番大きなものとしてやったわけで、住宅政策に熱意を示されることは当然でありますが、一人の大臣住宅政策に熱意を持つことによって、国土の保全とその開発ということが、やはりその内部においてしわ寄せされてきた結果を見るのではないかという印象を私は強く受けるのです。それで、住宅政策は、金持ちとか銀行とか官庁とか、そういうものはかまわぬでおいても建てられるので、あくまでも社会政策的な色彩を濃厚にしていかなければならないわけであります。そんな点からいいまして、建設省住宅に関する行政を分離して厚生省に移す、何かそういう立場をとられるのが正しいのではないか。建設省はあくまでも国土全体の総合的な開発あるいは保全、そういうところに主力を注いでいく、こういう建設省のあり方でなければならぬのではないか。そういうふうに住宅が入ってくると、社会保障というような面が入って、二兎を追うような結果になって、予算折衝などにおいても、どうも一方にしわ寄せを自分自体でかぶってくる結果になるのではないか、こう思うのです。そういう点に関しまして、国務大臣としましてか、建設大臣としましてか、一つ意見を伺いたいと思う。
  47. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 二階堂さんの御意見、まことにごもっともでありますが、先ほど申し上げましたように、直轄が、若干減りましたのは、今の御質問にもありますが、各省を通じて公共事業費について――これは御意見はありましょうけれども、物価の値下りとか、あるいは請負の際の事務的な問題とか、いろいろこまかい理由で、一割程度全部の公共事業費は削っても同じ事業ができるという――これは御意見はありましょうけれども、そういう考え方のもとに、公共事業全体を貫いた予算の編成をいたしておるのであります。そういう関係で、直轄事業についても、もちろん若干は減っておりますが、これは一ついろいろ工夫することによって、前年度事業を下回らないように実行いたしたいと考えております。その反面に、中小河川については、これは直轄と区別するのはおかしいかもしれませんが、今二階党さんの御意見のように、たまたまその場所が直轄という場合はどうかと思いますが、全面的にいえば、今まで十分行き渡りかねておった中小河川の方に少しでも予算を増額いたす。なおこの建設省予算の以外に、五億円労働省の特別失業対策事業として中小河川に持ってくる予算を計上いたしておりまして、これを実行の際は、建設省予算に組みかえて河川として実施をいたしますから、今御心配のような労働対策の一環として、それだけ予算が増額いたすわけであります。これも御承知とは思いますが、一つ申し上げておきます。  なお、今西村さんの御意見の、住宅のために河川の予算が削られたのではないかという御心配でありますが、さようなことは絶対にございません。もちろん、一兆円予算全体は、金に色があるわけではありませんから、どれがどこへ行ったということはないわけでありますが、ごらん下さればわかりますように、建設省全体として、道路にしても住宅にしても、昨年よりも相当増額をいたしております。しかし、河川のふえ方がそれほどでなかったというだけの話でありまして、決して河川の予算住宅に回ったとは私は考えておりませんし、そういう傾向はいささかもありません。全体の予算が、公共事業費については、今申すようにある程度みな低目に予算を組みましたためにそういうことになった。ただ、道路、住宅等は、また別の機会に御意見もありましょうけれども、特別にふやした。河川の中においても、中小河川はふやしておるわけでありますから、今建設省から住宅をよそへ持っていったからといって、建設省予算が非常にふえるとも私は考えられませんし、これは都市計画の問題等と関連をいたしまして、建設省がやることが、従来の内閣もそう考えられた通り、一番妥当である。しかし、住宅の問題はいろいろな方面と関連がありますから、もちろん各省と連係はとります。そのことは住宅ばかりではなく、川につきましても何につきましても、農林省その他との関連があるわけでありますが、今の私の考えとしては、建設省でやることが最も妥当であると考えております。
  48. 久野忠治

    久野委員 委員長に一言だけ希望を申し上げておきたいのですが、先ほど来論議されております住宅政策の問題は、政府の今度の最大の公約と申しますか、一番国民の関心の深いところでございまして、特にこの四十二万戸の建設については、大蔵大臣自身が本会議の席上で発言をしたのであります。その当時、いかなる心境で、しかもどういう構想のもとに大蔵大臣がこの問題を発表せられたか、その真意をただす必要があろうと思うのであります。そのことについて、特に大蔵大臣の当委員会への出席を私は要望いたしたいと思います。委員長において、しかるべく一つ強く要求せられんことを希望いたす次第でございます。
  49. 内海安吉

    内海委員長 あなたのおっしゃる通り、実は大蔵大臣の出席を要求しておるのですけれども、何分にも予算委員会の方が忙しいというので、いずれは二両日のうちに御期待に沿うように努力いたしましょう。質疑通告者が多数ありますので、明十日午前十時より引続き会議を開き、質疑を続行したいと存じます。本日の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  50. 内海安吉

    内海委員長 なおお諮りいたします。すなわち、性毛に関する廣瀬委員長より、昭和三年度住宅対策に関しまして、小委員会において参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいとの申し出がありました。参考人としましては、東京都副知事岡安彦三郎君、大阪市建築局長伊東五郎君、住宅対策審議会委員杉本正幸君、生命保険協会総務理事野口正造君、東京大学教授有泉亨君、以上五名を予定しておりますが、住宅問題につきましては、委員各位はみな非常なる関心を有する問題でありますので、ただいま懇談で御了解を得ました通り建設委員会及び住宅に関する小委員会の両方に招致し、意見を聴取することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。それではさように決しました。     ―――――――――――――
  52. 内海安吉

    内海委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち西村力弥君が去る七日委員辞任され、本日再び木委員となられましたが、同君は理事でありましたので、これが補欠選任を行わねばなりません。この補欠選任につきましては、選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 内海安吉

    内海委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事西村力弥君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会