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1954-12-15 第21回国会 参議院 文部委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月十五日(水曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  委員氏名    委員長     堀  末治君    理事      木村 守江君    理事      竹下 豐次君    理事     小笠原二三男君    理事      相馬 助治君            大谷 瑩潤君           大野木秀次郎君            小林 英三君            関根 久藏君            松野 鶴平君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            加賀山之雄君            安部キミ子君            岡  三郎君            矢嶋 三義君            永井純一郎君            松原 一彦君            鈴木  一君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            木村 守江君            竹下 豐次君           小笠原二三男君            相馬 助治君    委員            加賀山之雄君            安部キミ子君            岡  三郎君            矢嶋 三義君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 安藤 正純君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    文部政務次官  小高 熹郎君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   —————————————   本日の会議に付した事件調査承認要求の件  (文教政策に関する件)  (義務教育費国庫負担法及び教職員  の期末手当に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこれから文部委員会を開催いたします。  先ず第一に理事会打合せ事項を申上げたいと存じます。  本日の委員会では調査承認要求に関する件を一つきめて頂き、続いて文部大臣から文教政策の新大臣のお考えを聞くということ、続いて矢嶋委員からの発言の御要求義務教育費国庫負担法についての問題、続いて教職員期末手当についての問題、今日の委員会はこれを議題といたしたいと存じます。  なお今後の委員会の運営につきましては、先ほど理事会で休会中は開かないでもいいじやないか、まあこういうことに取きめたのでございますが、如何でございましようか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) それではそういうことにきめます。  それでは第一の調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。先ず要求書を朗読いたします。    教育文化及び学術に関する調査承認要求書  一、事件の名称 教育文化及び学術に関する調査  一、調査の目的 教育行政教育制度文化財保護及び学術等の諸問題をつぶさに調査研究する。  一、利益 教育文化及び学術に関する諸法の改廃制定に寄与する。  一、方法 関係者より意見を聴取し、参考資料を収集し又必要に応じて実地調査を行う。  一、期間 今期国会開会中  右本委員会の決議を経て、参議院規則第三十四条第二項により要求する。   昭和二十九年十二月十五日      文部委員長 堀  末治    参議院議長河井彌八殿  只今朗読いたしました要求書議長に対し提出することとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。    午前十時三十九分速記中止    ——————————    午前十一時三分速記開始
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  新任大臣安藤大臣から御発言を求めて御挨拶を申上げたいということであります。
  6. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今回図らずも文部大臣に就任いたしました。どうぞ何分よろしくお願いいたします。この機会を以ちまして、一、二私の所信を申上げましてお聞きとりを願つておきたいと思います。  文教の問題、教育の問題は国民根柢に関する問題で、非常に重大なことは申すまでもございません。日本が敗戦しまして、新らしく今後復興をして行かなければなりませんが、その文化国家建設をするにつきましても、経済問題その他のことが最も重大であるのですが、やつぱり根柢になるものは教育であろうと思うのです。すべてのことは人が運用するのでありますから、その人を造るということが最も大切なことであり、而うして旧社会から今日までにこう変化して参りました新らしい社会建設をしなければならない、その新らしい社会要素となる人を養成するのが教育でありますから、教育は何としても一番重大な問題だと思うのであります。そこで先ずすべての施策が今日では相並んで行われて行かなければならないのでありますが、一体文教政策というものは今までの間どうも割に閑却をされております。最近においてはだんだん認められて来まして、予算なども戦前及び戦時等におきましては、ほかの役所と比べるとかなり低かつたんですが、最近においては大分それが殖えて来ましたのでありますが、併しながらまだまだこれでは足りない。ほかのことに使つている経費と比べますとまだまだ少いと思うのであります。本当に今後の日本建設する基礎になるところの教育文教でありますから、これらの点についても今後だんだん考慮して、もつと予算も殖やし、十分日本根柢となる仕事のできるようにいたしたいと思います。まあ一口に言いますと、文教比重を重くするということが必要だ。ほかのことに比べまして、文教教育比重を高めるということに努力をいたしたいと思うのであります。  それから教育制度でありますが、今日まで教育制度、即ち学制の問題につきましては、いろいろな変遷があります。私は今まで文政審議会であるとか、或いは教育審議会であるとかというような常任委員をずつとやつて参りました。それらを顧みますと、非常にその間に変遷変化があるのでありまして、今日は六・三制の制度になつております。これも根本的に検討すると、いろいろ議論があるのでありますが、私は今の六・三制の制度というものは、持続することがいいと思います。長所もあり又短所もあります。併し長所即ちこれによつて今までの封建的な傾向のあつた教育が一掃されて、自由主義、個人の完成ということを本位とするところの今の教育やり方は、これは長所であつて大変いいのだと思います。併しながら一面におきましては、日本の国情、民族に副わない、殊に日本の今日には副わないような点も多々ありますから、そのいいところは保持し、そういう適合しておらないところは思い切つて改正、訂正する必要があろうと存じます。更に今六・三制が行われておりますが、これもまあ改正するということについても、制度のほうなんです。つまり小学校、中学校高等学校大学というこの制度の上においても、検討する必要があろうと思うのであります。  もう一つ教育内容でありますが、この内容についても改めて行く必要があろうと思う。一例をいたしますれば、地理、歴史並びに修身科の問題のごときことも、このままでは不足、不備であると思いますから、検討を加えたい。但し教育の問題、殊に教育内容等の問題はただ目先で急いでやるべき問題じやありませんから、慎重なる再検討を加えて、そして改むべきことは断然として改めることがいいと思うのであります。  それから科学振興、これは非常に大事でありますから、これにもつとうんと金を増したい。十分金を増して研究ができるように、又学者が後顧の憂いなくして、もう全力研究に没頭することができるようにいたしたいと思うのであります。西洋諸国科学振興のために使つていることなどから比べると日本などは大変少いのですから、どうしても科学振興ということに遅れたならば日本が遅れてしまうのだから、科学振興に相当の金を注ぎ込んで行かなければならないと思います。殊に又今日は原子力時代になりまして、この原子力研究等につきましても日本はずつと遅れておりますから、早くこれを追いかけて十分研究をしなきやならん、そういうようなふうに考えておりますが、同時にこの物質科学ばかりでなく、自然科学ばかりではなく、精神科学方面についても関心を高めることが必要だと思います。ややともすると自然科学発展をする、自然科学発展振興は、これは非常に必要なことなんです。これは言うまでもないことだが、同時に一面の精神科学が閑却されるということはこれは又国家の将来にとつて大いに憂うべき現象であります。原子力の問題などにつきましても、そこにこの精神科学的の考え科学者の頭の中へ入つて参りませんと片輪の発達が出て来るのじやないか。即ち現在の原子力の問題がそれなんであります。従つて国民全体の頭の中に、自然科学の頭をもつと科学的に国民の頭をすることが大事であると共に、精神方面におきましても、もつと関心を深めて、両々相携えて自然科学精神科学、相携えて行かなければならないと思うのであります。従つて私はこの際一言申しておきたいが、日本は今政教分離時代で、憲法ではつきり政教を分離しておる。これは非常にいいことなんです。まあ文明国政治宗教関係政教分離が一番いいと思います。併しこれが一番最後的にいいのかどうかはこれはわかりません。併し現在においては比較的にこれがいいんだと思う。政教分離制度は維持したいが、併し世間往々取違えまして、政教は分離しているんだ、教育宗教も分離しているんだから宗教なんというものは要らないものであるといつて軽く取扱う宗教軽視の風潮が相当ありますが、これは憂うべきことと思う。  私はこの道徳教育とかということも今非常に問題になつておるが、道徳教育無論しなければいかんが、この道徳教育というものを、余り形式的に何か別物扱いにして道徳教育をやるということは筋が間違つているじやないか、すべてについて道徳基礎にならなければならん。民主主義の根本は道徳基盤でなければならない。如何なることもすべて道徳基盤に立つてやるのですから、道徳教育というものはそういう広い意味考えて行く必要があろうと思うのでありますが、その道徳ということも、それの私は一番基礎には宗教的精神というものが必要だと思います。即ち宗教精神というものは、どの宗教を特別に取入れるとか何とか、そういう意味じやない、もつと広い意味であります。宗教精神というものは、言い換えれば人道精神なんですから、その人道精神を本当に養うものは宗教精神の涵養ということであろうと思います。でありますから、そういう方面にも国民がもつと考えて行かなければならん、又日本文政はそういう方面指導をして行かなければならないと思うのであります。  最後に一言申上げておきますが、日教組に対する、まあ日教組対策といいますか、対策という言葉もおかしいし、そういう頭を以てやるのも変なものだと私は実は思つておる。併し日教組のあのやり方があれでいいのかというと、これは大いに批判を加えなければなりません。非常にこの思想的に偏向をしておつて、それを又政治のほうに持つて来ようというやり方については、よほど考えて行かなければならん。考えるのに、外から無暗にこれを叩きつけて行く、初めから監督の目を見張つてどこにあらがあるのか、どこに悪いところがあるのかということにばかり目くじらを立てて行くという狭いやり方は余り感心しないと私は思つております。むしろそれよりは日教組のほうで自己批判をし、自己反省をして日教組なるもののつまり要素、即ち次代の国民を養つて行くところの、その教育の任に当つている人たちの組合なんだから、そういう点を自分でよく自覚をしますと、日教組なるものが、非常に任務の重い、責任の重い、それから大きな仕事に当つているのだ、自分仕事の尊重さです。自分仕事の大きなる価値に気が付いて来るのではないか。気が付いて来ればおのずから偏向もなくなつて真直に行けるのではないかと思います。それは時間がかかりましよう。時間はかかつてもそういうやり方のほうがいいのではないかと考えます。何だか初めから監督、監視、摘発、進めば弾劾になる。弾劾を今までしているのではありませんよ。今までの文部省がそういうことをやつているのではありませんよ。ただそういうふうのやり方をすると、今後においても往々にして弾劾になることがある、弾圧になることがある、それは文部行政としては大いに考えなければならないかと思います。むしろ彼らをみずから自己批判をし、自己反省をさして、本道に立戻らせるということが必要であろうと思います。併しながらそうやつて或いは法規に触れ、或いは見逃すべからざることがあれば、これは断乎として又逮捕しなければならんと思う。そういうやり方が望ましいと考えておるのであります。  もう一つ最後に付加えますが、大学生大学了つてこの頃就職率が非常に減じて来た、そこで従つて若い失業者が余計できて困つておるということは、これは重大な問題であります。何とかこれは速かに解決をする方針に向いたいと思います。これはいろいろ関係があるだろうと思う。会社なり銀行なりいろいろな団体なりで、どうもそう採らないということは、一つ自分のほうの経済事情ですよ。自分のほうの経済事情が御承知のように悪くなつていますから、従つてこれを採用して採るという率が少くなつているという事情があります。併しそのほかにそういうふうに受入れて採るほうが何かこの折角勉強して卒業した大学生に対して初めからこれ又警戒、警戒的の目で見ているのじやないか、うつかり入れると厄介だといつたような、どうも少し警戒的ではなかろうかと思います。これらは採るほうでももつと考えたらいいじやないか。若し採つた人にそういうことがあれば中へ入つてからこれを指導すればできるいろいろな方面がある。指導ということは経済的方面もありましよう、生活の改善ということもありましよう、それから又思想的に思想の方向を変えさせるというやり方もありましよう。だが、もう一つこれについて考えたいのは、今のそこへ行くと教育制度にこれが関係して来るのであります。つまり今の学校の卒業生が余り役に立たないというようなことがあるのじやないか。元は御承知のように実業教育産業教育が盛んだつたのです。各種の高等専門学校があつた。これは大変役に立つ。そういうことを会社銀行団体じや相当望んでいるのです。今の大学出たものはどうもその点が不備である。そうだとすればそういう就職率というような問題から考えて、この今の教育学校制度の問題も考えて行かなきやならないと存ずるのであります。つまり実際問題、生活問題、就職問題、そういう実際面から考えて、それを掘下げて行くと制度の問題に入る。これが一番実際的の考え方じやないかと思います。別の言葉で言えば産業教育のこれが振興であります。実業教育産業教育というものを大いに振興しなければいかん。殊に日本が実質的の独立国になるのには一番必要なことだと思いますから、そういう方面産業教育振興も図つて行きたいと思う次第であります。まあそんなことでよく研究もしますし再検討もいたしまして、できることは成るべく早く手をつけて行きたい。じつくり考えなければならんことは慎重にだんだん考えて行きたい。これは教育及び文政仕事というものはほかの仕事と違いまして早くやつたらいいというわけにも行かないのですから、落着いてじつくりやる必要がある。併しながら今の就職問題なり、それから日教組に対する問題なり、こういつたようなこと並びに科学振興の問題などというようなことは、これは一日も争うべからざることであります。成るべく一つ勉強して、そういう方面にやつて行きたいと考えておる次第であります。どうぞ皆さんよろしく御指導を願います。  一言御挨拶を申上げます。
  7. 堀末治

    委員長堀末治君) 只今小高政務次官から発言を求められております。
  8. 小高熹郎

    説明員小高熹郎君) 昨日政務次官に新任いたしました小高熹郎でございます。よろしくお願い申上げます。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今大臣の御挨拶は、今後において総選挙等もあり、真に政局担当した暁において具体的な施策が或いは出て来るたんびに、いろいろ抱負としているものがどう出て来るかということによつて大臣の真意を質したいと思うのです。御挨拶内容には触れませんが、あなたの今のお話の中にもありましたが、社会正義とか、社会道義とか、こういうことを従来御主張なすつておられる大臣として、又文部大臣という職責上、あなたの政治行動については二、三伺つておきたい点がある。  第一は、大臣は最近まで自由党内閣国務大臣つた。それが自由党を脱党し、国務大臣をおやめなつた途端に今度は民主党にお入りになられて、民主党国務大臣に、文部大臣として御挨拶を頂いているわけであります。それで自由党を脱党せられたのは、政治的な主張が相容れないということで脱党もし、国務大臣もおやめになつたのか、或いは政治節操と申しますか、政治道義上おられないということでおやめになつたのか。この点明らかにして頂きたい。国民自由党内閣指揮権を発動したということについて大いなる憤激を感じている。このことは政治的には内閣全体の責任である。あなたも国務大臣として連帯責任があつたはずだという意味から、どういう御理由でおやめになられたのか、第一点として伺いたい。  第二点としては、どういう理由民主党へ御入党になられたかという点です。  第三点としましては、今までの自由党の閣僚の一人として責任を、民主党の側からいえば追及をしておつた自由党内閣の一員として、十分な責任をやはりお感じになつておられるであろうおかたが、組閣に当つて文部大臣たることを懇望せられてなつたのか、という点。私は国民道義の高揚、それを言う前に、政治指導者として大先輩である大臣、又自由党内閣においても責任問題等で良心的な、全力を挙げられて、国民の意向を全うしようとして御努力なつたあなたからは、大臣出発に当つてこういう過去の経緯については主義主張とするところを明らかにして頂きたいと思う。大変ぶしつけな、失礼な質問であつたかも知れませんけれども、やはり大臣としての一応お話をしたい機会を積極的に得たほうがいいだろうと思うので、お尋ねしておきます。
  10. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) お尋ねがありましたからお答えいたしますが、長く時間をかけてお答えすればいいのですが、そう長くごてごて言つているよりも、肝心な点だけを申上げておきたいと思います。  私は政局の安定をし、政治を明朗化し得るためには吉田内閣辞職が一番いいのだ、むしろそれよりほかに途はないということを、無論自分のそれが考えであり、又そういうことを主張して参つたのであります。私はそれでありますから、吉田内閣辞職をする決心はもう大分前から肚をきめてあつたのであります。併し吉田総理外遊をしておりますから、外遊の留守中に自分だけの行動をとるということも、理窟では差支えないかも知れないが、なんだか感情なりその他の上において、もつと、もう少し慎重にしたほうがいいというふうに考えました。吉田総理が帰りましたので、一番先に面会を求めたのです。吉田総理帰つて参りましての一番初めの閣議が先月十一月十九日なんです。十七日に羽田へ着かれて、十八日は休養で、十九日に閣議に出て来られた。閣議の席上で言おうと余ほど思いましたが、これはそうしないほうがいいと考えた。特別会見十分意見を交換をし、私の所見を披瀝してそれに従つてもらいたいと、こう深く決心を固めました。閣議終つて吉田総理政局の重大問題について今日会見をしたい、こう申入れました。ところが吉田総理は非常に快いような顔で、それはいいが、今日は宮中にも行かなければならないし、いろいろなことがあるから今日は駄目、明日お目にかかるということなんです。それが二十日の日であります。ところがその晩に、明日のお約束をしたが、明日はスイスの大使その他等に会うので時間がなくなつたから別の日にしてもらいたい、こういうことなんです。それで私はまあ電話で応酬をしましたが、やむを得ません。それは会うというのは二十日の日なんです。その日は会えなくなつた。二十一日は日曜日ですから、二十二日に総理に会うべく参りましたが、総理どうしても会いません。従来吉田総理特別会見をしたことが数十回に及んでおります。懇談も幾度もしておりますが、今回に限つては会いません。殊に私は国務大臣としての責任の上で重大な問題でお目にかかりたいと、こう申入れたのですが、今日はやめてくれ、別の日にしてくれと、こういうことでありますから、それはもうそういうことをしていては非常に政局がますます混乱をしていけないと、ここは躊躇すべきときではないから、政局安定の一つの導きといいますか、促進といいますか、その意味において躊躇してはおられないので、私は辞職勧告書を書き、それから自分の辞表を一封にしまして、総理に秘書官を通じて差出しまして、そういうことにいたしたのであります。要するに私は内閣辞職、これが政局安定の唯一の途である、政治を又明朗にする大きな途であると考え自分所信に向つて邁進をいたしたのであります。  それからどうして民主党に入つたのか。これはもうこういう席で、何か自分の私事に亘るようになりますが、併しそこまで言わないとちよつとわからないと思いますから、御質問は御質問ですから簡単にちよつと申上げますが、私はどうもこういう今の政治やり方自分には合わない、私の考えが狭いのでしよう、むろん。だがどうも歩き方が違うので気持がよくない、又自分にはどうもできない、自分が不敏でできない。政治やめようか、政治生活から脱却しようかと考えたのです。真剣に考えましたが、更に又考え直しますと、どうもそれもここまでやつて来て何だか自分政治に対する信念を全部失つてしまつたようなことになつて弱い、これはまあ信念でやらなくちやいけないのだと考えまして、そこで民主党に入ることにいたしたのであります。自由党を去るということはこれは私にとつてはもう非常な傷手なんです。傷手と申しますのは非常に遺憾、残念、こんな悲しい気持はない。自由党は御承知のように私も創立者の一人で初めから鳩山君を援けた、一番初めからかかつたのが私でありますから、あの敗戦後のすぐあとから苦心惨憺を重ねてようやく創立をいたしました。それから政策のほうでも私が一番最初の政務調査会長になりまして、ともかくもいろいろな権威者にも来てもらい、党員にも骨を折つてもらつてひと通りの政策ができたのです。初めの政策をこしらえたそういう点からいいましても、自由党を離れるほど辛いことはない、愛着の念は誰にも劣らないのであります。併し自由党の内部はだんだん悪くなつております。私の正義感の上において、まあ私の正義感ということは狭い正義感、余り狭く考え過ぎている正義感かも知れませんが、どうも相許さない。今日まで実は改革を企てました。或いは側近政治の弊害を脱却しようとし、従来のボス政治みたいなところもあるから、そういうようなことを払おうとして大努力をいたしたのであります。併し半分成功して半分成功しません。むしろ半分成功したこともあと戻りをしてしまつて却つて又悪くなつて行くというようなことであります。而して最近におきましては汚職の問題が出、これに蔽うに指揮権の発動をやる。一一私は反対なんであります。それでそれらのことについても今日まで吉田総理に話をしたこともあるのでありますが、微力すべて行われません。で、それならもつと自由党をそんなに愛着しているのだから残つて改革したらいいじやないか。ところが今申上げました通り今日までの改革がうまく行きません。この上私の微力を以てしては今のままのあの自由党の改革はできません。一口に申しますと、免れて恥なしというようなあの当時の自由党の党情を以てしてはどうもできません。そこでやむを得ないから私は涙をふるつて自由党を離れたのであります。それじやなぜ民主党に入つたかということになると、民主党は穢れておりません。穢れを持つておりません。それから保守合同という線に沿つて来ております。これは私の宿願と一致するものであります。勿論保守合同になつておりません分裂してしまつて。併しこれは仮定であります。どうしても保守は大合同をして革新政党と相対して両々研磨し、両々相異なつたる立場の上において相携えて日本をしよつてつて行かなきやならないと思いますから、その二つに分れる、保守と革新に分れることが一番日本のためにいいんだと、変な考えを持たないで、政策では大いに公けの争いはするが、日本という立場においては共存共栄して、両々相携えて日本を作つて行くということがいいと、この宿願にも一致をいたしますので、それによつて民主党に入つた次第であります。  最後に私が今度文部大臣になるということは懇望したのかどうか、懇望どころの騒ぎではありません。私は全然タツチしないのみならず、新党へ入りましてもちつとも実は出て行かなかつたのです。だから人にも会わなかつた、会合には勿論出ておりません。でありますから然どういうふうなのか知らない。むしろ私としては今までやつていたのだから今度やめたらよかろうという、そういつたこともあるし、そればかりじやない、この際何をやるより休んだほうがいいというくらいに思つてつたのですが、ちつとも自分が知らんうちにそういう声が出て来たのでありましよう、私は新聞でそれを見たり何かしただけであります。そういうのでありますから、急にきまりまして、認証式が実はある際にも着るものの用意すらなかつたんで、私の家は鎌倉で離れておりますから、急にほかの者からモーニングを借りまして間に合せたというわけなんです。ですからこれは懇望どころの騒ぎじやないのです。懇望をしないのならやめたらいい、断つたらいいじやないかとお考えになるのかも知らんが、そこへ行くと人間ですから(笑声)懇望はしなくても文部行政ということはやりたいというふうに考えていたから、そういうふうに自然に廻つて来たのならばやつてもよかろう、こういう考えなんです。そんなようなことでありましたが、併し私はこれは筋は通つておると思います。あとで言つたことは言わなくてもいいことだが、そういうようなこともあるという話をちよつといたしたのであります。それだけお答えしておきます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私聞いているのは、自由党内閣当時あなたが個人的に反対なことでも閣議決定等を以てですね、いろいろな国民批判にあるような自由党内閣施策というものが行われた、あなたはその一員なんです。従つて文部大臣として文部行政を担当する以上は、他の大臣以上に、あなたの従来の御主張のように、これは政治節操なり、或いは政治道義なりが全うされなけりやならんような重要なポストであろうと思うのです。それにですね、朝には自由党内閣の閣僚、夕には民主党文部行政担当者、こういうことであつて政治の筋が通るとあなた自身お考えになつておられるか、そのあなたの御心境如何によつて文部大臣としてあなたが今後道義高揚なりその他おやりになろうということについて我々はいろいろの忖度ができる。あなたのおつしやる筋から言うならば、当然今回の場合は御遠慮なすつて、次期の堂々たる閣僚を選ぶというようなことが筋ではなかつたろうかと我々後輩としては考えておつた。ところが作為はない、運動もしない、けれど指名されるとなれば、かねがね念願しておつたところだからなつたのだと、そういうことでは私大臣の真意を疑うというと語弊がありますけれども、真意がわからなくなる。前内閣の閣僚の一員としておやりになつ行動に個人としては御反対であつて責任は感じなければならんそのかたが、新内閣の而も文部大臣として又御任命になられたということに、あなた自身政治の筋というか、節操というか、道義というか、こういうものが貫かれ、国民の前になんらやましくないものであるということをおつしやることができるかどうか、という御心境を伺つておきたいと思います。
  12. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 私の心境は自分の問題で長くなることは恐縮なんですが、相当長く申上げたつもりであります。私はこれは筋が通つていると、むろん節操に欠けるところはない、大きな立場で考えれば差支えないことである、むしろ適当であるというふうに考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。只今ながながと文部大臣から施政方針の一端を承わつたわけですが、これが長過ぎたので小笠原君から質問が出たわけでございます。私は大臣が院外で報道人のかたがたにもみずから言明されている通りに、総選挙というトンネルを通して、日本民主党は勝利を博し、鳩山内閣は再び成立して、そうしてあなたが文部大臣となられたときに、初めて先ほどの文教政策らしきものが生きて来るわけでございまして、私個人としては、この内閣ができた経緯から申しまして、又鳩山総理みずからが述べられている事柄からして、私も完全にこれは選挙管理事内閣という解釈をしているわけでございます。私個人としては最後大臣お話は聞きおくという気持でございます。併し何分にもみずから大臣は早期解散によつて総選挙を通して、そうして腰を落ち着けてやるんだ、それからであつて、それまでは考え機会だ、こういうふうにみずから申述べながら、なんと大きな風呂敷を拡げられましたので、大臣政治的な信念政治道義についての見解も私も聞きたいのです。小笠原君から代表的に聞かれましたが、他の委員諸君も聞きたい人がたくさんあると思います。併し私はこの本日の委員会が招集された経緯又先刻委員長から冒頭に説明された本日の委員会の目的からいつて、又現在の内閣が選挙管理事内閣である、従つて現在の行政権を持つているその範囲内で当面緊急の仕事責任を持つて処理する、そういう立場に立つて、そういうふうにしぼつた立場においてこれから委員会を運営しては如何、こういうふうに私は考えますので、議事進行として提案いたします。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 矢嶋君から今折角のお話だが、私も今日の委員会の筋はさようだと心得ております。併し如何に選挙管理内閣文部大臣といえども、おつしやつたことを聞きおくというだけでいい問題と、ただ単に聞きおくだけでは当面の緊急問題解決の前提としても済まされない問題がある。従いまして私は矢嶋君の議事進行の発言以前に発言の意思を持つていたので、特に矢嶋君の今の議事進行上の発言には賛成いたしますが、私はその前にただ一言質したいと思うので、私は飽くまで発言委員長要求します。その上で私は矢嶋君のほうに賛成したいと思います。
  15. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体まあみんなそれぞれやつていいと思うのですが、大体今十二時十分前ですか、これから陳情も聞いたりいろいろと日程があるので、大体やるとするならば午後にかけてやるならやる。大臣の予定もあると思うので、実は大臣お話を伺うことも私は結構だと思う。但し問題は全体的に、教職員の年末手当とか或いは昇給昇格とか、差迫つた問題が現実の問題として解決されなければならんと思う。だから大臣が言われていることについても、そういう問題とも関連の中で話合いをするのはいいけれども、ちよつと大臣が今日は初めて言われたことは悪いというのではないけれども、問題の焦点はそこにあるということを皆さんも確認しておるわけだから、大体委員長のほうで日程をきめて、相馬君の言われていることを取上げてやられても結構です。早速矢嶋君の言われるように入つてもらうほうがいいと思うが、その前に相馬君の言われることも簡略にやつて、そういう方針で進んで頂きたいと思います。
  16. 堀末治

    委員長堀末治君) 大体そういう方針で考えております。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 今日の委員会を持つた理由は、矢嶋君からはつきりしております。緊急な懸案について文部行政上文部当局から質したいので、この委員会を招集されたと私も心得ております。この文教政策については今大臣も言われたように、少くとも一国の文教政策が慎重に而も勇気を持つて行われなければならないということについては同感です。御発言中こうもしたい、ああもしたい、これらもみんな、私は科学振興についても、道義高揚についても区々たる疑問はありますけれども同感です。ただ私はここで本日議題になりますことにも連関がありますので、一言大臣の所見を質しておかなくちやなりませんことは、日教組対策ということに言及されました。で、問題は日教組がその組合運動上いろいろな失敗なり乃至は世間から誤解されている向きがあるかないかということになれば私はあろうと思います。併し問題は過去長きに亘る吉田内閣の下において、教員の敢えて経済を守らんとするところの労働組合としての日教組としては、当然その錯誤なり何かと世間で見られていることについても、これは同情の眼を以て見なければならん点が多々あると思います。特に先ほど小笠原君も申されたように、あなたは吉田内閣の台閣に列せられたかたである。いわば大達文政というものについても一つ責任を持つているはずでございます。そこで私は尋ねたいことは、あなたが日教組を思想的に偏向しておる度し難いものであるという前提に立つておる、ただ大達さんと違うのは、大達さんが警察的にこれを弾圧し、そうして面会に来たるものも拒み、そうして地教委の総会等において発破をかけて、世間の輿論を利用して、日教組というものに対してこれは極悪人というような貼札を貼ると同時に、これを踏みつぶそうとすることについては、あなたはどうやら反対のようである。それは飽くまで自省させるというような御見解に立つておるようでありまするから、この点は私も新大臣の今後の文政というものを期待します。併し問題は日教組というものは偏向した、そうしてその思想的な誤りを教壇に持込むことを仕事とし、同時に政治界をあえて撹乱するがごとき団体であるかのごとき発言というものは、私は聞き逃すことは絶対できない。少くとも勅令によつて文部行政というものができた時代ではなくて、すべてが法律によつて文部行政というものが行われておるとするならば、今置かれている段階から教員というものが政治的なものに目を向けて行くということは必然的な運命を持つておる。そこで私は、一体あなたは大達文政というものを如何様にお考えになり、同時に日教組というものに対して憎々しげにおつしやつたが、あれはやはりあの通り間違いないのかということを二つお尋ねすると同時に、今後あえて自省を求めるという日教組に対しては、面会その他についても大達さんと同じような態度をとるか。即ちこれは拒否して会わんという態度をおとりになるか、それとも飽くまで納得ずくの上で日教組の諸君とも会う。間違いは正してやる、教えてやる、そうして聞くべき言には耳を傾ける、こういう態度をおとりになるのか、このことだけは私が承わつておきたいというのは、今日議題に供せんとするものは全国五十万の教職員が鶴首して待つている問題なのです。同時にこれは或る意味では日教組主張しておる問題でもあるのです。この点について、今まで自由党の中においては良識であると聞かせられていた安藤さんであります故に、あなたのお気特を是非この際当委員会を通じて日教組に対する見解について、先ほどの御発言はやや誤解を招くから、あえて、もう一回所見を承わつておきたいと思います。
  18. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 大体先ほど申上げたのでおわかり下すつたと思うのだが、或いは言葉が悪かつたり不足であつて徹底しなかつたかも知れませんが、今おつしやつたように、日教組の面会を拒否するとか何とか、そういう考え一つも持つておらない。面会する必要のあるときは面会をいたします。それから又、今教えてあげるとちよつと言つたが、別に教えるとか何とか、そういう考えも持つていない。互いに意見を交換して、おのずから考えてもらう。それから又こつちも日教組の言うことに対して、こちらが考える必要があれば冷静に考えても行きたいと思うのであります。併し基本線としては大達文政に共鳴をいたします。併しそのやり方ですね、歩み方、或いは又それが感情的になつている、まあなつているかなつていないか知らないが、なつているということがあつたらば、それはそんなふうにやりたくない。つまり一視同仁というような考えをもつて言葉が余り立派過ぎるかも知れないが。そうして話合い、納得で行きたい、こう考えております。
  19. 相馬助治

    相馬助治君 もうこれ以上申しません。まああなたの良識を期待します。
  20. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは大臣の御挨拶に対する質疑はこれで打切つて差支えありませんか。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が質さんとする問題は、実は先臨時国会で、年末を控えて地方財政窮迫の折から、それらとの関連ある問題として質疑の段階途中に吉田内閣は総辞職したために審議が中断されていた問題でございます。それを引続いて伺いたいと思います。その伺う前に、私先ほどちよつと申しましたが、憲法には選挙管理内閣というものがございません。ともかくも成立した鳩山内閣には甲乙のないところの権利もあれば義務もありましよう。併し大成された文部大臣が外部に発表されている通りに、鳩山内閣というのは御承知の通りの政府でございます。従つて私は大臣がいろいろと発言されることを、これを封ずる法的根拠も何もないわけでございますが、併し大臣は多少おわかりだと思うのですが、総選挙が終るまでは余りあつちこつちで、或いは日教組はどうのこうのというような、或いは文教政策はどうのこうのというようなことは余り話されないほうがいいのじやないかと、こういうように私は思いますので、希望を申上げておきます。いずれ所信に基いて鳩山内閣が再現した場合又安藤国務相が再び出現した場合には、その時ゆつくりといろいろと私は御所見を伺いたいと、こういうふうに思つております。ともあれ短期間であろうが長期間であろうが、私は文部大臣としてはみずから認めるように日本教育の重要性を考えて、一日たりとも教育振興のために誤りのないように御努力願いたいということも希望申上げておきます。  大変御高齢で大臣に再び就かれて、その点については私は御苦労様という言葉を呈しておきたいと思います。  そこで質問に入りますが、先ず私は大臣に伺いたい点は、行政を縛つているものには法律、政令、省令、こういうふうに大別されるわけでありまして、法律が如何ようにして確定され、政令、省令がどういうふうにして出されているかということは、ここで私が申上げるまでもありません。そこで私は大臣に伺いたい点は、我々は立法府で法律を作ります。その行政運用の面において、閣議決定において政令というものが出されて参ります。その法律と政令との関係ですね。これは非常に失礼な質問かと思いますが、私は基本的に法律と政令というものについてどういうふうにお考えになつておるかということを先ず私は伺いたいと思います。
  22. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは勿論あなたらもよくおわかりのはずで、政令は法律の趣旨に従つてそれを実行面に移すべくやるのですから、法律の趣旨を離れてはいけないと思います。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 全く御尤もな意見でございます。ところが当面問題になつているのは大臣承知と思いますが、義務教育費国庫負担法という法律三百三号でございますが、これに関連する政令の事項が問題になつているわけです。この義務教育国庫負担法というのは、申上げますと長くなりますので申上げませんが、簡単に申上げますと、義務教育無償の原則を活かして行く、教育機会均等を維持するという立場から義務教育費については国庫が負担するという立場において昭和二十七年立法されたものです。そしてその内容では半額負担するわけで、飽くまでも実績の半分を国が持つ、これが原則になつているわけです。そして最後に万やむを得ない特別の事情があつたときには、各都道府県ごとの国庫負担額の最高の限度を政令で定めることができると、こういうふうになつております。この法律ができる過程に衆参の両院は附帯決議というものをやりまして、この法の精神である飽くまでも教育の地方分権という立場から義務教育を守るという立場からその実績は確保する、しなければならん、その二分の一というものは国庫で負担しなければならんということを附帯決議として政府に預けてあります。ところが二十八年六月十五日に政令百六号の下にこの義務教育国庫負担に関する政令を出されたのですが、その後地方税法が変つたわけですね、その調整もされていないのです。単価は非常に低きに失しているわけです。これは誠に私は吉田内閣の怠慢だと考えるのでありますが、そのために災害或いは社会保障費等々地方の支出面が増加して参りまして、地方財政は赤字になつてしまつたわけですが、更にこの政令の不合理さから地方財政は非常に圧迫することになつて、地方財政赤字の大きな要因となつている。その結果が教職員の当然確保されなければならぬところの昇格の不足、昇給の不足或いは御婦人の先生がお産をして、お産の前とうしろに法律で保障されている休みをとるというようなことが不可能になつてつて来つつある。従つて私は先ほど大臣が言明された法律と行政府からされるところの政令との関連から言つて、早急に私は検討、改正すべきものだと思うのです。先ほどあなたの内閣は選挙管理内閣、こういうふうに私は申上げました。併しこれは行政事務ですからね、こういう緊急な事態、このために地方財政は赤字になつているのです。困つているのです。詳しいことは局長が知つていると思いますが、昨年より本年度はこの該当県が皆さん方から出された資料によつても十県殖えているのです。従つて各県は職員の給与もうまく支給されないのみならず、県の単独事業もやれないというほど地方財政に圧迫を加えて来ている。従つて私は選挙前にですね、行政府でやられる仕事なんですから、早急にこの政令の検討、改正をさるべきだと思うのですが、私は鳩山内閣国務大臣としてあなたがこれをどういうふうにお考えになり、又閣内においてどういう努力をされるかということを伺いたい。この詳細な内容については、いずれ局長からも大臣に話がございましようが、私が今申上げたことは、絶対に間違いないのですから、法律の精神と政令とは。もう政令が出されて二年たつているのです。その間に地方税法なんか変つて来た、これは当然検討されなければならない、してないがために当初法律を作つたときと事情が非常に変つて十七県というものが該当することになつて来ている、これは絶対間違いないのです。この前提としてこの法律と政令の関係国務大臣どういうようにお考えなのか、特に文部行政責任大臣たる文部大臣教育を興すということについて如何にお考えであるか、文部大臣の答弁を求めます。
  24. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 只今お話でありますが、ご尤もの点もありますが、併し現状におきましては、いろいろ地方財政の能力上の均衡を欠いているとか、従つて教員給与がやはり均衡を欠いているというような関係等もありまして、それを今すぐ今日、明日にこれを撤廃するというようなことは、ちよつと今むずかしいのではないかと考えます。併しながら法律の趣旨が政令に曲つて出ているというようなことがあれば、これは慎重に研究しましてだんだんそのうちに検討して、訂正すべきものは訂正して行かなければならぬと思います。今直ちにこれを撤廃するとかどうするとかという考えは政府は持つておりません。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 直ちにということを大臣は今日とお考えになつていらつしやるのじやないかと思いますが、私は慎重に審議せねばならんということは当然と思います。併し慎重、慎重というて、これを何十日も経過するということは私は許されないと思うのです。これは特別教育だけに、他の関係よりも予算を余計持つて来ようとかいうようなことだつたならば、これはいろいろとお考えがございましようけれども、当然法律の精神によつて確保されなければならんことが、現在の実情にその政令が合わないために、その結果教育に犠牲を強要される、しわ寄せが来ている、それによつて教育は興らないわけです。これを文部大臣が見過してよろしいものかどうか、こういうふうに私は考えるものです。重ねて大臣の御所見を承わりたいと思います。
  26. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 只今お答えをした通りでありますが、今すぐ手をつけるということはちよつと不可能と思います。併し私もまだ入つたばかりですから、そういう事務的の問題につきまして、これは今研究をしている最中なんです。でありますから、その研究の歩を進めまして、どういうふうにするか、きめたいと思います。それの細かいことは、一つよくわかつている局長から答弁をして頂きます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今局長から要点となる若干を伺いますが、その前に私は文部大臣に伺うのでありますが、実際この年末を控えて事は緊迫しているんです。而もこれは教育のみならず、都道府県の自治体の会計年度第四四半期に入る現在、非常に大きな問題になつているんです。従つて大臣としてはまだ大臣になつて早々で十分御検討なさつていないでしようが、事務当局から十分その説明を聞かれて、今週中にも私はこの問題を閣議に持込まるべきじやないか、又一萬田大蔵大臣とも担当文部大臣として私は折衝を開始されて然るべきじやないか、又そういうふうに教育を興すために大臣に御足労願いたい、こういう私は気持でおるわけですが、そういう御要望に副つて頂けるでしようか、どうでしようか、伺います。
  28. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) よく研究をいたしまして、そういう途をとることが適当と思えばとります。要するに研究中ですから、もう少し時間をかしておいて頂きたいと思います。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長に伺いますが、長くなると恐縮ですから余計伺いません。この法律が昭和二十七年に成立してその後政令が出された、その政令内容自体、私この法律の精神から問題があると思うんですが、この政令が出た当時これに該当した県と、現在とはどのような変動を来たしているか、これが一つ。それから第二点は単価の問題でありますが、随分私は古いものになつて現状に副わないと考えておりますけれども、これをあなたは如何ようにお考えになつておられるか。更に先国会で地方税法が改正されて、御承知のように入場税その他変更を来たしたわけでございますが、これに伴うところの検討の必要性を認めておるかいないかということ。第四点は二十八年政令百六号の実施のために、教育の末端に如何なる事態が起つているとあなたは現在把握されておるか。以上四点について伺います。
  30. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 第一点は該当府県の問題でありますが、二十八年度にこの政令に該当いたしました府県といたしましては六府県であります。東京、大阪、愛知、兵庫、京都、福岡であります。その後二十九年度から地方税財政の改正がございましたので、現在私どもが試算をいたしておりまする見通しから申しますと、これに五府県の該当府県が増加することになるのじやないかと思います。該当と申しますのは、この政令を受ける、つまりいわゆる交付団体とそれから基準財政収入額が交付金の額よりも多い、こういう団体は、先ほどお話のありましたように十七府県でございますけれども、併し実際に最高限度抑える、そこに該当するものは十一県ぐらいになるだろう、こう見ております。まあ大体そういう状況に考えております。それから第二点の単価の問題でありますが、これは昨年政令を改正いたしました。これはベース・アツフ等の関係から政令を改正いたしましたが、その後新らしい年度の二十九年度の単価につきましては、まだ改正をいたしておりません。これらにつきましては今後技術的に、事務的にも改正をいたさなければならんと考えております。それから地方税財政の関係についての検討というお話でございますが、これは先ほど申上げましたように、二十九年度にこの該当いたしまする府県が増加したということは、この年度から実施になりました地方税制の改正に基くものであろうと考えます。御承知のように、入場譲与税ができましたし、それから府県民税も創設されたし、そのほかの事情もございまして、これは主管といたしましては自治庁の問題でありますけれども、そのために基準財政収入額と交付金の額との比率が変つて来た、そういうことからこの該当する府県が殖えて来た、こういう事情に相成るものだと考えております。  それから政令百六号の実施の結果、地方の末端にどういう影響があるかということでございますが、これは地方財政全般の問題、御承知の通り非常に窮迫をいたした状況にございます。でありますので、その二十九年度最高限を抑える府県が殖えますと、それは当然それだけ地方の財政が、国庫負担の金額が減りますので、それだけ地方に負担がかかる、こういうことになつて参りますので、その点は地方財政の負担になり、従つて教育財政の面にも負担になつて行く、かように考えております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第四の質問については、地方財政に負担をかけておるということを言われておりますが、それが教育の面に如何様に影響して来ておるようにあなたは把握されておられるかということを伺つておるのです。教育行政並びに教育の末端における実態にどういうふうに影響を及ぼして来ておるか。
  32. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) これはこの政令第百六号の直接の影響だけを取上げて申上げることは非常にむずかしいと思います。地方財政全般の問題からいたしまして、これは当然地方の各行政費目もさようでございますが、非常に苦しい状況になつておることは申上げるまでもございません。その影響は当然教育費の面にも及んでおると思います。ただ百六号の影響だけを取上げてこういうふうになつておるということは、ちよつとその点だけを把握するということはむずかしいことかと考えております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点に関連してですが、昇給、或いは昇格、或いは当然保証されなければならない先ほど私が一つの例として挙げました産前産後の休暇とかいうようなものが好ましい状態で行政が遂行されておるか、それとも非常に遺憾な状況でいろいろのトラブルを起しているとあなたは局長として事情を把握されているかどうか、その点伺います。
  34. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) その点は、昇給昇格の問題につきましても、これは四日昇給、七月昇給、定期昇給でございますが、まだ実施してない県も相当ございます。これは勿論実施されることが望ましいのでございますが、やはり地方財政全般の問題といたしまして実施が遅れておると、かように考えております。そのほか産休代替職員の問題につきましては、これもやはり地方財政の問題もあるかと存じますが、県によりましては非常に不十分な措置、県によりましては相当措置をしておるところもありますが、不十分な措置しかできていないところもあるように存じております。ただ義務教育費国庫負担の建前からいたしまするこれは全体の問題でございますが、政令百六号の問題は別といたしまして、全体の問題といたしましては、半額負担金の概算交付は成るべく早く文部省としては交付して、その面からは成るべくそういうことが行われないように努力しておることは、前々から申上げておる通りであります。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 新たなべースの引上げでなくて、現在法規で保証されているところの、まあいわば公務員の権利である昇給昇格が四月並びに七月において如何ように実施されたか、参考にあとの論を進めて行く関係から伺うのですが、あなたのところが入手されている最も新らしい資料で法規に基く昇給昇格が七月において行われていない県が何県あるかということを伺います。
  36. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 七月昇給は四十六県のうち実施済が三十四県という調べに相成つております。これは私どもの調べは十一月十八日であります。あと実施していない県でもいろいろ内訳がありますから……。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはよろしい。四月に実施していない県は何県ありますか。
  38. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 四月実施済が三十九県あります。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これと関連してもう一点。昭和二十八年度においてこの政令のために地方自治団体が過分に負担した金額は幾らと把握されておるか。わかりますか質問意味が。その政令に該当して国庫負担金が来ない、ところが実際決算額には都道府県は出してあると、そのために都道府県が余計に負担しておる金額というものが二十八年にあるはずですね。それをあなたのところでは幾らと数字を掴んでおられるかということを聞きたい。
  40. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) まあ言葉を換えて申しますと、いわゆる抑制された金額ということになりまするが、これは大体二十億近い金であります。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その抑制された二十億は、地方公共団体の独立財源で出しておるわけですね。今のまま行つたならば二十九年度の決算において二十八年度の二十億という数字は幾らになると推定されておるか、大まかな数字でいいから承わりたい。そのくらいな見通しがなければ文教行政できないよ。
  42. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) まだはつきりした見通しはつきませんが、大体二十四億くらいであると見ております。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に伺います。只今当面議題になつておる問題の極く一部を私と局長の質疑応答によつてお聞き取りになつたと思うのです。二十八年においてこの政令の不当なるが故に地方自治団体文部省の発表ですら二十億円過大支出のやむなきに至つた。本二十九年において恐らく会計年度末にはこの二十億円は二十四億円になるであろうということを、非常に固い文部当局の数字すらそういうふうにここで発表されておるわけであります。この問題相当問題点がある。閣議でやはり検討してみなければならん問題だと大臣は御判断になりましたか、如何でございましようか、お伺いいたしたいと思います。聞いていなければいかんですよ、私が局長に質問しておるときには、いつあなたに質問が行くかわからんのだから。そうこの問題複雑な問題ではないですよ。
  44. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) これは先ほどから申します通りに、よく研究検討してきめて行きたいと思います。それでまだそこまで行つておりませんから、今ここで一日、二日のうちにどうするということはできません。検討の結果手をつけてよいという結論ができますれば、成るべく早くやります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当然大臣責任者でございますから、慎重に御検討なさるでしよう。又御検討なさつて頂きたいのですが、私が今伺つておることは、その検討の結果如何を伺つておるわけではないのです。責任ある局長が私の質問に対して若干答弁されたわけなんです。あなたの部下がですね。それをあなたはお聞き取りになつたわけなんです。その限りにおいて、あなたの判断力とあなたの良識において、日本文教を守つて行く立場からこれは重大な問題で、責任者である文部大臣が頭を突つ込んで真剣に取り組まなければならんというふうにお考えになられたかどうかと、それを伺つておるのです。
  46. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは申すまでもありません。真剣にやらなければならんと考えているのですよ。併し、これは当然こういうことは欠陥なんですから、その欠陥を是正するということは、基本的には言うまでもないことと私は思つております。併しただ今の事情において果してそれがなし得るかなし得ないかといつたようなこと、そういつたような点をもう少しよく聞きまして、研究をしてきめたいと、こう思うのです。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は先ほど局長に伺いました第二点の単価の問題、第三点の税法改正との関連の問題、この問題について自治庁当局並びに大蔵当局は如何様にお考えになつておるか、関係者の答弁を求めます。
  48. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  49. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主計局次長に伺います。早くおいでにならんから骨が折れますよ。さつき大臣教育大分つて話が漸くわかつたというところで大蔵省に質問したところが、あなたがたがおいでになつていないので又私は一言申述べなければならんので非常に迷惑です。  そこでポイントだけ申上げますから、主計局次長明快に答弁願いたいと思います。大体問題の所在というものは主計局次長あたり御承知だと思います。そこで余りくどくど申上げません。問題は義務教育費国庫負担法、御承知の実績の二分の一の負担というものですね、これと政令で若干都道府県の最高額を抑えるということをやつておりますね。この政令が二十八年の六月に出ているわけです。その当時と現在とは地方税制の税法が変つたわけですね。それから又単価のきめ方が非常に今の実情に合わないわけなんですね。で、この政令と法律の関係では、大臣も先ほど認めたんですが、法は、御承知と思いますが、飽くまでも実績の二分の一と第一条に明確に書いてある、実績の二分の一と。万々やむを得ない場合に最高限度を政令で定めることができると、こうきめているわけです、第二条ですね。これを国会で成立させるときに、御承知のように衆参で決議が行われているわけです。教育は地方分権であり地方の自主性でやらなければならんと。地方で、うちの県の教育はかくかくまで持つて行きたい、持つて行かなければならんと、こういうふうに公選された教育委員会が結論を出して、又予算の審議権のある都道府県議会がそういう線を出したならば、飽くまでもその実績の二分の一を国が負担する。そこに法の精神があるのだから、これを曲げないようにということの附帯決議を両院で預けてあることも御承知だと思う。ところが、二十八年六月に出された政令が、この政令自体に問題があり、我々当時追及したことなんですが、それがその後今申上げましたように、時間の経過と共にいろいろ不都合な点を持つて来ておる。その結果としては今文部省監督局長の答弁では、二十八年に二十億円の超過支出を都道府県はせざるを得なかつた昭和二十九年においては、現在のところこの本会計年度末にこの数字は二十四億円になるであろう、こういうふうに文部当局は数字を踏んでおられるわけです。よろしいですね。これは又ほかにも要因がありますが、地方財政の窮迫、赤字というものに非常に大きな要因となつて現われて来ている。その結果、現在のベースを引上げるというんじやないのですよ。私は今のベースで、法律に、法規にきめられておる昇給、昇格ですね、これが行われ得なくなつているわけです。私があなたに申上げるのは釈迦に説法だと思うのですが、かくかくの基準で昇給昇格をやるというその待遇の半面に、公務員なるが故にかくかくのことをやつてはならん、こうしちやならんという制約があるわけだ。私が申すまでもなくその一つには或いは地方公務員、国家公務員法とか或いは先般問題になつ教育二法とか、そういうものがあるわけです。その制約と給与というものは、これは表裏の関係なんです。で、法律に背いたならば、公務員はそれに背いたというので厳重なる処分を受けるわけです。その法規で規定されているところの昇給昇格が、四月昇給昇格さえできないのが、今文部省の答弁では七県ある。それから七月昇給昇格のできないのが文部省の答弁で十二県あるわけですね。更にあなたは御承知と思いますが、法律で女先生がお産した場合は産前産後の休みの保障、それがとれないのです。とれない状況になつておる、そのため最近は校長はもう既婚者は雇わない、子供ができるような女の先生は雇わないということが末端では現われて来ておる、こういう地方財政の窮状の一端でありますが、教育の面には非常な支障が起つて来ているわけです。現在まで私が政令百六を検討しないで放置されておつたこと自体が教育無視だと、こういう立場から文部大臣質問しましたところ、文部大臣としては成るほどこれは慎重に検討して早急に何とか対処したい、内容については、もう少し事務当局と検討して善処したい、こういう答弁をされているわけです。そこで私はこの問題は文部当局とあなたのところではしばしば論議され、検討されたところと思うのでございますが、質問したい点は、私はこれは行政措置でできるのですから、この法と政令との関連からいつて、私は閣議においてこれは廃止さるべきものだ、検討さるべきものだ、特にこの盲点としては単価が適当でない、それから地方税制の改正に伴つて検討をなされていない、こういうところはもう抜き差しのならん私は盲点だと考える、それについて大蔵事務当局としてはどういう御見解を持ち、文部当局の教育を守らんとする立場に御協力なさるところの心掛けがあられるかどうかという立場においての答弁を求めます。
  51. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 大変出席が遅れましたことを先ずお詫び申上げます。  今日デフレーシヨン政策の下におきまして、とにかくも公務員が就職の保障をされておりますことを極めて有難く、感謝を申上げている次第でございます。御質問の御趣旨は昭和二十八年六月十五日の義務教育費国庫負担法第二条但書の規定に基き教職員給与費の国庫負担額の最高限度を定める政令につきまして、この政令があるために地方が財源的に相当困つておる、特にその後の地方税制の改正或いは単価の高騰等に伴いまして昇給、昇格も十分行われていない、又生理休暇等も励行されないような状態になつておるが、それに対して大蔵省はどういう態度をとるかという御趣旨に拝聴いたしたのでございます。今日地方財政は御説明の通り誠に窮乏の極にございます。地方財政の問題は、教育ももとより誠に重大なその一部内の問題でございますが、そのほかにいろいろの問題がございまして、この地方財政の窮乏を打開するためには今後非常な努力が必要となつて来るわけでございまして、国会におかれましても折角いろいろと御検討に相成つておるように拝承いたしておるのであります。私どもはこの政令の出されましたときに文部省から御協議を頂いたのでありますが、これは当時この地方財政がやはり各団体々々によりまして、相当財源の余裕、苦しさが違つておるということを元にして出されたものと承知をいたしておるのであります。最も極端な場合を申上げますれば、当時は地方財政調整交付金、今日はいわゆる交付税でございますが、これが全然交付されないような、我々の言葉を以ていたしますると富裕団体、こういうところに対しましては当時は御承知の通り政府におきまして義務教育費国庫負担法の臨時特例を定めんといたしたようなこともあつたのでありますが、これは再三に亘りまして国会のほうで審議未了等のことによりまして、遂に特例法は陽の目を見なかつたのでありますが、その精神がやはりこの政令の中にもあるというふうに思われるのであります。いずれにいたしましても、日本全体の国並びに地方の財政が非常に窮屈、このときにおきまして重点的に教育の行政に必要なる財源を確保して行くにはどうすればいいか、苦しいところに最小限度のものを確保して参りますためには、比較的余裕のあるところには或る程度の我慢をして頂くと、これによつて初めて全国に亘りまして国会がおきめになりましたような最低の教育費が保障されるのである、こういう趣旨がこの政令の根本であろうかと思うのであります。御指摘のようにその後税制の改正もございました。特に地方税につきましては、本年度事業税が従来の免税点五万円が七万円に引上げられた。来年度からは十万円に引上げられることになつております。又たばこ消費税という新らしい税金が設けられまして、今日たばこ益金のうちの約一五%が地方の独立の税源になつております。又従来の財政調整平衡交付金制度に代りまして交付税制度が設けられまして、来年度からは所得税、法人税、酒税の二二%が優先的に地方の税源として確保せられることになつております。その他政府といたしましては、これは新政府におきましてはまだ御決定になつておられませんが、いろいろと国と地方との財源の関係につきまして研究をいたし、又地方財政につきましては、いわゆる再建整備法案が国会において継続御審議に相成つておることは御承知の通りであります。私どもは地方財政の今日の窮乏をもとよりそのまま放置するという考えはございません。できる限りの手を打つて参らなければならんと思うのでありまして、願わくは国会におきまして立派な再建整備法案が御制定に相成り、これによつて今日の地方財政の窮乏が打開されることを衷心から念願しておるものでございます。そして我々の愛する子弟が本当に苦しい中にも立派な将来の新らしい国民としての教育を受けられるように、そういう財源の心配は別途これをするという建前をとつて行きたい、これが我々の念願でございますが、然らば政令を廃止するかということになりますれば、これは今日やはり地方公共団体の財源の余裕度はそれぞれ違つておるのでございまするから、それを放任して、そして今のような再建整備をやるとか、最低限度の教育を全国に亘つて確保するということは、私どもは一応算盤の上からはなかなか出て参りませんということを、苦しい実情を訴えて、この点につきましては一応我々の事務当局といたしましての考え方を申上げざるを得ないと思います。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは関連質問でございますが、特例法を出したのが国会でものにならなかつた。併しその精神がこの政令に生きているんだ、という御発言があつたのですが、あなたは何の法によつてこの政令が出ているとお考えですか。陽の目を見ない特例の精神がこの政令に生きているというのならば、大臣が先ほどおつしやる法律に基いて政令が出ているという枠を逸脱している。あなたはそれを認めている。どうなんですかこの点は。これだけは質問をしておきます。
  53. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) お答え申上げます。先ほど申上げました政令は、これは申上げるまでもなく昭和二十七年八月八日法律第三百三号即ち義務教育費国庫負担法によつて出されているものでございます。私の申し方が少しまずかつたかと思いますが、要するに私の申上げたいのは、その地方の財政力によりまして或る程度余裕のあるところには一定の限度において我慢を願わなければならんということを申上げたのでありますが、特例法は東京、大阪のような本当の富裕団体には全然交付しない、まあこういうふうなことが規定があつたのでございますが、まあいわばそういうふうなこの財政力に応じて或る程度我慢をして頂くというふうな意味においてこういう政令が働いているのである、こういうことを申上げたわけでございます。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次長の御答弁を承わつて見ますと、まあ常識的な一般論をとうとうと述べられて、余裕があるならば窮屈なほうに廻して云々ということでありますが、さすがは私やはり主計局育ちの次長さんだと思いますが、重要なミスをしていると思います。ということは、あなたの根柢にはどういう御所見があるかというと、この政令百六を地方財政の財政調整の具に資する、具という言葉は穏当でないかも知れませんが、地方財政調整の具にしよう、こういうことがあなたの根柢にありますよ。だから私は冒頭に文部大臣に対して法理に関連して伺つたのですが、この点はさつきも申上げましたので、時間がかかるから申上げませんが、義務教育の無償、憲法にあるのですよ。教育機会均等、教育の地方分権、こういう柱の下に地方公共団体で打ち出されて来たところのその教育所要額の人件費でありますが、義務教育なるが故に半分は国で持とう、ここにあなた立法精神があるのですよ。それが飽くまでも根本ですよ。そうして非常に異例な場合があつた場合は政令云々とあるのですが、あなたのほうは政令のほうは重点がかかつて来ている。そうして大蔵省の主計当局らしき国家財政、それからそれに関連いたして来るところの地方財政、そういうものの調整の便にこれをするという考え方がある点を私非常に遺憾なんです。(「大臣に聞け」と呼ぶ者あり)大臣おわかりでしようか。先ず大臣お答え願いたいと思います。文部大臣の御答弁のあとに次長の御答弁を求めます。
  55. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと大臣のお考えの間に皆さんに御相談申上げます。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  56. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  57. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) この問題は無論誠意を持つて考えている、何とかしてやりたいとこう考えておるのですよ。併しながら今これをそれではどうするということをここで言い切ることはできないのですよ。実は昨日の閣議でも相談がありまして、それで三好君をこの担当にしてやることにしましたから、それであのほうで又検討することもしておりましようし、それらともよく打合せ、又明日、明後日閣議もありますから、その問題も出て来るわけなんで、つまり今進行の過程にあるのですよ。何とかそれを実現したいという考えは持つている。併しどうしたらできるかということについて、そこのところのまだ実現の方法が見出せないのです。でありますから、今日御追究になつてもどうもこれ以上は答弁できないと思います。併しそれではこれでおしまいかというと、それはわかりません。或いはうまく実現するように努めておるのですから、そういうふうになるかも知れません。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大変文部大臣失礼でございますが、今はどういう案件に対する御答弁でございましたでしようか、今のは何の案件に対する御答弁でしようか。
  59. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今の給与の問題でしよう。この政令の撤廃をどうするかという根本的な問題なんだ。併しそれは先ほどから言つておる通りに、今ここで撤廃するとか何とかいうことは断言はできません。併しながらさつきから言つておる通りに、よく検討をしまして、そうすべきものならばするかも知れませんが、またその段階になつておりませんということを申上げておるのです。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に終ります。  そこで主計局次長のさつきの御答弁に対して私重ねて伺つたわけですが、まあ私の意見めいたものも入つて来るかとも思いますが、私はそういう感を非常に濃くするわけです。それで非常に当面緊迫して、私はこのあとちよつと年末手当のことに触れたいと思うのですが、政令の現実に合わないという立場から出て来た地方財政のやり繰りの困難さというものが二十八年度会計年度末を目前に控えていろいろな問題が起つて来たわけです。そこで文部大臣としては、これは閣議に持込んで十分検討するということを言われておるわけですが、とりあえずこの該当しておるために二十億或いは本年度二十四億円になるというのですが、こういう過大支出が、地方自治団体の自己財源で賄われておるという所、このあたりに資金運用部資金とか何とかで、とりあえず救済措置をされて然るべきじやないかと思います。そうしてこの政令の検討、これは当然しなくちやならんと思いますが、その結果によつて本会計年度末までにその結末をつける。こういう私は弾力性のあるところの行政措置をとらるべきではないか、こう考えるのですが、如何でしようか。
  61. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 地方財政の年末の金繰りにつきましては、先般補正予算が国会を通過するに当りまして衆議院でも決議がございまして、当時の政府におかれましても、取りあえず預金部資金四十億を年末の短期の融資として出すことをおきめになりました。只今たしか各財務局におきまして、管内の各都道府県等にその所要額につきまして御折衝申上げているように承知いたしておるのであります。ただ、只今矢嶋先生のおつしやられました御趣旨は、持出額というお言葉でございましたが、これは政令で最高限を抑えられるために地方の財源で支弁したかという御趣旨かと思うのでございますが、そこは先ほど来縷々申上げましたように、比較的余裕のある団体と然らざるものとの間の調整になるわけであります。そこで私どもは直接地方の公共団体と折衝いたすわけではございませんので、やはり地方自治庁が間にお入りになりまして、公共団体の財政或いは年末の金繰り等については責任をお持ちになつておるわけであります。大蔵省は自治庁からのいろいろの御相談に対しまして、預金部資金その他の許す限り、各都道府県その他の地方団体の実情に即しまして能う限りの措置は講じておるのでございます。只今一般的に持出した府県に対して何かの措置を講じないかという御質問に対しましては、私はむしろ地方自治庁とも十分相談をいたしまして、年末の資金繰りその他についてはできる限りの措置を講じたいということ以外には申上げられないのでございます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この段階で自治庁の後藤財政部長にお伺いしたいと思います。あなたに伺いたい点は、先ほどからここで議論になつておりました私の質問の第二点の単価ですね。単価がこの政令の単価と現在とは相当に食い違いがあります。時間があつたら私がここに持つている資料を言うのですが、時間が惜しいからその資料に基く数字は上げませんが、相当食い違つております。文部省自体これを認めております。文部省は、先ほど局長はこれを検討しなければならんということを文部省の見解として表明されました。それから質問の第三点として、税法の改正に伴つての立場からのこの政令の検討もしなければならん、こういうことも文部省は認められているわけですが、この二点に対する自治庁当局の見解と、それから地方公共団体のお世話役である自治庁という立場において、現在窮迫している地方財政の救済という立場から、更にあなたも教育には非常に前から関心を持つて頂いているのですが、この政令のためにいろいろ不都合な教育に支障のあるところの実態が起つて来ていると、こういう立場から、教育振興させるという立場からどういうふうにお考えになつておられるかということと、根本に触れますが、これは大蔵省の主計局次長も聞いておつて頂きないのですが、昭和二十九年度の地方財政計画は、政府側の答弁では六百九十億ですね。それから義務教育費国庫負担法によるところの負担金は六百八十六億である。その差は僅かに四億しかないから、地方財政計画と負担金とがかち合つているから、大体符合しているから差支えないのだ、こういうことをよく言われるのでありますが、併し、この地方財政計画の六百九十億のまま地方には交付されていないわけです。私が要求しましたところのこの文部省から提出された昭和二十八年度義務教育費決算額と基準財政需要額との関係というこの資料に基いてみますと、国庫負担金の交付額と都道府県の決算額との差額は四十二億五千六百万と出ているのです。ということは、自治庁で六百九十億と地方財政計画を立てられたが、それだけの金が流れていないわけですね。交付金が流れていないわけです。それが地方自治団体の自己財源で皆いわゆる持出しとしてやられているわけですね。かかるが故に四十六都道府県が非常にこの教育財政に圧力を受けて来るわけなんです。教育に支障を来して来るわけです。更にこの政令のために、先ほど文部省から答弁したところによると、実に文部省の発表によつても十一県というのですね。あの第一条の第二項を入れますと十七都府県になりますが、それだけのいわゆる該当県は、更にそれが二重にかぶさつて来るわけです、だからこういう地方公共団体の財政のやりくりというのはどうにもならない。その結果どうなつて来るかというと、結局教育のほうにおつかぶさつて行くわけですね。従つて私はあなたに伺いたい点は、さつきの私の質問の第二点、第三点、更に根本的なこの国庫負担金、即ち交付金ですね、交付額、交付額と決算額とは一致されるようにしなければ、この義務教育費国庫負担法、いわゆる半額実績負担という法律の精神は生きないと思うのです。これに対する自治庁の見解と、それから最後には先ほど主計局の次長からあなたのほろにデータを預けられました、先ほど私が質問しました資金運用部資金或いは簡保資金等からこの困窮したところのいわゆる政令交付県ですね。こういうところの当面の財政やりくりのために一応貸出す。そうしてこの政令を内閣において検討され、本会計年度末までに決算をするという形で当面の窮迫した事態をそういう行政措置で私は切抜けるべきじやないか。地方公共団体のお世話役をやる自治庁としてはそういう態度をとつて然るべきじやないか。私は又そういうふうにお願いいたしたい、こういう気持でおるわけですが、御答弁を頂きたいと思うわけであります。
  63. 後藤博

    説明員(後藤博君) 第一点の単価の問題は、単価はたしか国の公立学校の先生の単価を使つておると思います。その単価が間違つておりますれば、私ども改めなければならんと思いますが、大体国のほうの単価を基礎にいたしております。従つて、こちらの単価が上昇されればそれにつれてこの単価も変えなければならないという気持を私ども持つております。  それから第二の税制の改正に伴う問題でありますが、これは譲与税というものを如何に考えるかという問題でございまして、これは私ども文部省と同じようにこれは地方税の中から外したいわゆる地方税とは違つた体系でありますので、外して考えて行くべきではないかという意見を持つております。政令の関係につきましては、文部省と大体意見を一致して大蔵省に話をしておるわけであります。  それから第三の救済の問題でありますが、政令の問題、これも最近政令にかかる県が非常に多くなつて参りました。而も私ども考えましても財源のない貧弱な団体がやはり多くかかつております。これを何とか救済しなきやならない。特に極く少額の地方が非常に大きな持ち出しをしなきやならないというような県につきましては、文部省と同じような立場で大蔵省に政令改正の話合いを進めておるわけであります。できるだけ前の趣旨から申しましても、極く少数の団体、財源の非常にある団体だけに頭をちよん切るといろ考え方でありますので、その精神をやはり政令の上に出して行くべきじやないか。今までの考え方とは最近の地方財政の現状からいたしましても、少し考え方を変える必要はないかということで、文部省と一緒になりまして検討いたしておるわけであります。この点は文部省考え方は同じであります。  それから第三点に関連いたしまして決算の問題がございましたのですが、実は昨年度の三十億近くのものが決算上足りないことになつております。それは本年度の最近の追加予算で以て、補正予算で以て補填されたわけであります。従つて私はこういう義務教育の国庫負担のようなものにつきましては、予算でなしにやはり決算で考えてもらう、従つて決算補助の形式にして行くべきじやないか、こういうふうに考えておるのであります。本年も昨年の三十億近いものは大体補正予算で本年度に補填されておりますので、長い目で見ますれば地方団体の赤字にはならんのでありますが、二十八年度だけとつて参りますと、この義務教育関係だけで二十数億の開きが出ておるわけであります。それは本年度で解決されましたが、長い目で見ればいいのでありますけれども、そういう措置も止むを得んかと思いますけれども、ともかくも年度が過ぎましたら早々に決算を基礎にいたしまして、国庫負担法の趣旨に従つてやはり追加をお願いしたい、こういう希望を考えておりますので、将来そういう考え方で行きたいと思います。それから総額が四十二億というのは決算の額でありますが、政令の趣旨に従いますと、たしか二十八、九億、三十億近くになつたと思います。これが政令がございます以上は止むを得ないのであります。かように考えております。  それからその次に最後に年末融資の問題でありますが、現在私どものところに十一月末で各団体の年末所要資金の量を調べた結果、歳出と歳入を細かく検討いたしまして大体四百六十億ぐらいの年末資金が新らしく必要である、こういうことに相なりましたので、四百六十二億、このうち県が三百億でありますが、これを基礎にいたしまして、そして起債の前借り、補助事業の起債の前借りを約二百五十億、それからつなぎ資金、財政資金二百二十億を政府資金で斡旋して頂くように我我お願いしておるわけであります。で大体今日までのところでは、いろいろ大蔵省の非常に御援助を願いまして政府資金が相当出て参りました。起債前借りは大体二百億ぐらいにはなると思います。  それから財調資金のほうはこれは細かくはわかりませんが、先ほど正示君がおつしやいましたように四十億のものは財務局のほうに出ております。これ以外に中央で以て手持ちの資金を相当出して頂いておりますので、従つて四十億ではございません。これはもつと大きな数字になつております。まだきまつてないところもございますし、それでここ数日のうちに大体片付けたい。問題になつておりますところは京都府とそれから市で申しますと鳥取市ぐらいが最後に残るのじやないか、かように考えて、今のところでは私は今の二つの市だけを特別にお考えになつて頂ければ年末資金にはそう困らないのではないか、普通年末資金の需要額の中にはおつしやいますように政府資金が入つておるのであります。従つて年末資金の各府県の要求を満たして行けば大体おつしやいますような同じ結果になりはしないか、こういうふうに考えております。
  64. 相馬助治

    相馬助治君 矢嶋委員がずつと質疑続行中であり、答弁も満足するものでまだないと思いますが、ずつと今朝ほど来の委員会を見ても、政令を廃止するかどうかというような基本問題は大きな政治問題で、文部大臣の御見解を煩わさなくちやならないが、その基礎をなすものはやはり地方財政の問題で、それらについて一々ここで安藤文部大臣に尋ねて参つても、なかなかあなたも神様でない限りは何から何まで知つてないと思いますが、これは一つ文部省、地方自治庁並びに大蔵省等々と十分お話合いを願つておいて、そして明日閣議だということですから、明日この委員会が持てるかどうかはあなたのほうの御都合もありましようが、理事会において一つ次の文部委員会を開くか開かないか、開くとすればどうするかということをきめて、今日は折角地方の教職員の代表の諸君が僅かでもいいからこの委員会で陳情したいと来ておりますから、矢嶋さんいろいろ御都合もあるかと思いますが、矢嶋さんの発言一つだけ許してその答弁を簡単に願つて、次に自治庁並びに大蔵省、文部省の事務当局の人も一つこの陳情を短い時間だそうだからお聞きになつて、それから文部大臣には二時頃何か予定した時間があるそうだから、これは我々も、我々だつていつ大臣になるかわからんのですから、大臣の御都合もよく考えてこれは向うにお帰り願う、こういうことに今日はお取り運びをお願いすることがよろしいと思います。では矢嶋君の発言一つ簡単に許して、次に陳情を聞く、そうして今日は終る。あとはどういうふうにするかは理事会一任、かように議事進行上の発言をいたします。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) 議事進行についての相馬君の発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 相馬委員の趣旨を体してやりますが、ごく一言というのでちよつと御勘弁願いたい。これから実は佳境に入りたいところなんですが、委員会の運営に同調いたします。そこでこれで終りますが、国立学校の単価と公立を比べているが、それと違えば検討する心掛けがあるということなんですが、この点には問題点が二点ある。その一つは国立学校と公立学校の勤労条件その他は非常に違つてつて承知と思いますが、一クラスの編成が違つてつて簡単に比べられないということが一つと、仮にそれを規定しても、私の持つている資料では国立学校と公立学校のこの比較をとりますというと、小学校で三百八十八円、中学校で二百四円の差額を生じております。この点を申上げておきます。  それから只今財政部長は決算補助の形でとりたいと、こういうことを言いました。そういう考え方もありましよう。それは基凖財政需要額の会計年度末においての訂正をしなければならないと思うのですが、そういう考え方の下に決算補助をされようとしておるのかということと、この点についてはまだ問題があると思いますが、他日に譲ります。それは二十八年度の決算補助をやりましたが、文部省関係で八億二千八百万円というのが、今度の補正予算の通つたこの八億二千八百万円の内容についてもこれは問題があるわけであります。これは他日に譲ります。  それから大蔵当局に聞いてまだ答弁してもらいたいのは、自治庁当局としては長い目でずつと見れば何とか処理できる、即ち決算補助の形をとれば云云と言いますが、例えばここに事業を起すとか、まだ具体的に持つているところの昇給昇格とか、或いは期末手当等を出す場合に金がなくてやり繰りができない。で相当多額になりますと、利子等の問題も起つて来るのですよ。だからそういう点というものは当然考慮されての決算補助という形でなければ、私は問題点が残ると思うのですが、この点について自治庁当局はどういう考えの下にそういうことを言われておるのか、又大蔵当局はどういうふうにお考えになるかということ。これで終ります。それはこの問題はずつと続けて行つて期末手当に入つて参るのですが、先ず大臣に私は伺いたいのは、それはあなたの内閣の閣僚懇談会で公労協、公労法に基く公労協の関係者には一・二五カ月の期末手当を出して、その上に各その事業内容によつて非常に成績の挙つているところは団体交渉によつてあとは処理する、こういうことを閣僚懇談会できめられたわけです。御承知と思いますが、公労法によるかたの期末手当は一・〇なんです。それからあなたの可愛がるべきところの官公労の諸君は一・二五となつているわけです。これは給与体系から来ているわけです。そこで公労協が閣僚懇談会できまつた一・二五、これは吉田内閣も一応その線を出しておりますが、あなたの内閣で再確認したというので我々は認めているのが一・二五、そうなると、官公労は一・五にならなければつり合いがとれないのです。この点について私は官房長官に先般議院運営委員会で伺つたところが、それは不均衡であると、何とかしなければならんと、こういうように議院運営委員会で官房長官は答弁したわけです。そこで私は大臣に伺いたいのは、大臣が面倒をみるべきところの公務員の中には国家公務員と地方公務員とがあるわけです。それで他の省においては公労法に基く公労協関係の職員と同じように今保証されている一・二五は勿論のこと、これは一・五〇に実質上なるようにもう補正予算を組むことができないから行政措置で、例えば超過勤務手当を出すとか、旅費の形で出すとか、昨年も若干やつたのですが、そういう行政措置でやれる最大範囲内のことをやりたいということを官房長官表明されておられるわけです。従つて伺いたい点は、国家公務員、即ち国立学校の先生に一・二五プラス・アルフアに、そのアルフアというのは皆様がたの行政的手腕に待つわけです。官房長官の言明で三好担当大臣も認められているところの一・二五プラス・アルフアに努力されるように作業が進められているかどうか、今後如何ようにされるかという点を文部大臣に伺いたいのです。  それと、これがいよいよ最後になりますが、国家公務員と地方公務員がありますから、前の大達さんはあなたと一緒に曾つて閣僚だつたわけですが、大達文部大臣国家公務員と地方公務員の継子扱いは絶対にしない、これは国家公務員と地方公務員の先生は一視同仁、あなたがさつき言われた、一視同仁で扱うということを言われていたわけです。従つて文部大臣も地方公務員であるところの高等学校以下の先生がたを国家公務員と同じように一視同仁で取扱うように努力されるところの御所見であられると私は思つております。これはまあやぼな質問になるかもしれませんが、念のために私は文部大臣に伺いたいと思います。先ず文部大臣の答弁を頂いて、それから自治庁後藤財政部長、それから大蔵省の主計局次長の答弁を求めます。
  67. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) よく御質問の趣意はわかりました。ところがこの間の閣議では今あなたのおつしやつたところまでは最後はまだきめましてないのです。併しそういうふうに行きたいといろ考えはみんな殆んど同じに持つております。それについて文部省のほうでは現業省でないから、実情を言うのですよ。できるとかできないとかいうことを今言つているのじやないのです。事情として現業省でないから、早く言うと、行政措置をやるのにやりにくい、或いはそういう余地を見つけるのに余地がないという実情である。殊に地方の教員、これに対しては地方ですからすぐどうするこうすると言つて文部省が直接に命令するとか何とかいうよろなことはできない立場にありますし、それで非常に困難なんです。併し私の考えは、つまりまあ一視同仁で同じく均霑をするように持つて行きたいという誠意はあるのです。併しそれはよく事情をもつと検討してみたり、事務当局から聞いてみたり、或いは又文部省ばかりではない、大蔵省なり地方自治庁なりとの間に話合いを進めてみたりしまして、そうして結論を出したいと思うのです。でありますから、今日はそういう一視同仁の誠意は十分持つている、又努力も十分する、但し最後の結論をここで申上げるまでには行つておらないということを御了解を願いたいのです。
  68. 後藤博

    説明員(後藤博君) お話の単価の問題につきましては、これは何らかの単価標準を作る必要があるのであります。国が保証する限度というものを措置する必要があると思います。従つて私どもは止むを得ず国立学校の現在の単価をお使いになつておるのをとつているわけでございますが、この内容についてお話のような点がありますれば、この点は十分に文部省と相談いたしまして研究いたしたいと考えております。  それからもう一点、決算の補助の問題でありますが、こういう教育関係の国庫負担金のようなものは私はやはり決算補助的な考え方を打ち出して行くべきじやないか、予算補助的な考え方でなしに決算で以て考えて行くことが適当じやないか、かように考えております。ただその場合におつしやいますように、決算のときに基準財政需要額の問題があるのではないか、これはおつしやる通りであります。併しこれは基準財政需要額を出しますときに単位費用を出さなければならん、単位費用のときには特定財源を差引いたものであります。従つて特定財源が異なつて参りますと単位費用が異なつて参ります。非常に専門的になりますが、従つて基準財政需要額は異なつて参ることは当然でありますが、これはもう一遍年度の終りになりまして弾き直すということは地方団体に非常に混乱を与えます。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次年度に影響する。
  70. 後藤博

    説明員(後藤博君) 次年度は勿論別でありますが、その年度に弾き直すということは、すでにやつた交付金を、交付税を返還してもらわなければならん団体が出て来る。而も現在の状況から申しますと、市町村の交付税を返してもらうということになるのであります。これは最近補正予算できめました警察費の増額分をやはり特別交付税で処理することにいたしましたが、これを普通交付税で処理すると同じような問題が出て来る。つまり府県はそう影響はございませんが、市町村の交付税を返してもらわなければならない。ところがすでに予定しておるものを返してもらう、すでに渡つておるものをこの段階で返してもらうということになりますと、非常な混乱が起つて参ります。従つて翌年度以降の問題として考えるべきじやないか。それを或る程度頭に置いて特別交付税の配分をするということも考えられます。従つて普通交付税の計算のときにはやはりこの問題は入れないほうが、普通交付税をやり直さないほうが却つて私は全地方団体から申しましていいのじやないか、こういう考え方を持つておるのであります。従つてまあ単年度で物事を見ないで、少し長い流れで見て行くという考え方で今の制度としては止むを得ないのじやないか、こういう考え方を持つております。  それから先ほど私が二十八億という数字を申しましたが、これは八億の間違いでありまして、ほかの数字の間違いでありました。
  71. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。先ほど自治庁の財政部長が決算的云々ということを申されまして、これに対しましての御質問でございますが、これは非常にむずかしいいろいろの技術的の問題、金利その他の問題も含んでおると思います。実は只今まで自治庁からまだそういう正式のお話を伺つておりませんので、今後慎重にお話を伺つて検討いたしたい、かように考えております。  期末手当につきましては、先般経済閣僚懇談会におきまして、業績手当その他一切のものを含めまして、一・二カ月分を限度にして出すことを認めるという経済閣僚懇談会の御決定があつたことを承知いたしております。
  72. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) さつきのことをちよつと申上げます。先ほど矢嶋委員の御質問に対しまして、政令で抑えられた金額につきまして申上げました。私がお答えいたしましたのは、これは形式的に政令で実績の二分の一を出すものとした場合の比較を申上げたのであります。ただこれは誤解されちやいけないと思いますから、念のため申上げますが、これが直ちに地方財政のしわ寄せになつているということには相ならんかと思います。その金額が直ちにそうはならぬということを御承知願いたいと思います。と申しますのは、端的に申しますと、東京、大阪等の不交付団体等に対しましては、平衡交付金は行つていなかつた。それに対して二分の一は国庫負担金が行つたということになりますから、これは従来と比較しまして、先ほど申しました金額そのものが地方財政のしわ寄せになつたということにはならんということを了解して頂きたいと思います。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は委員さんどなたも非常に関心を持たれている問題で、ただ私が代つてつただけで、どなたも関心を持つている重大な問題です。それでいろいろ伺いたい点がありますが、相馬君の議事進行に同調いたしまして、私はここで質問を終つて陳情を聞くように取り運んで行きたいと思いますが、最後の要望は、先ほど私が申上げましたように、この委員の全員が重大関心を持つておる問題でありますから、事而も緊急な問題でございますから、私の要望は文部大臣検討されるというのでございますから、文部省を中心に大蔵省、自治庁でこの政令百六号の問題、それから地方財政、それから当面の年末金融のやりくり、期末手当、そういう一貫の当面の緊急の案件について早急に協議されて、どういう協議をされて、どういう結論が出たとか、又は結論が出ないならば、どういう協議をして現在どういう中間過程にあるということを当委員会委員長に十七日の午後五時までに書面を以て御返事頂くように、委員長から要望して頂きたいということをお願いいたします。
  74. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後一時四十四分散会