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1955-01-23 第21回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年一月二十三日(日曜日)    午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 竹谷源太郎君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 鈴木 仙八君 理事 有田 喜一君    理事 山口丈太郎君 理事 中居英太郎君       徳安 實藏君    臼井 莊一君       青野 武一君    楯 兼次郎君       正木  清君    館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  濱地 文平君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         日本国有鉄道参         事         (施設局管理課         長)      中路 誠三君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 昭和二十九年十二月十七日  委員中居英太郎辞任につき、その補欠として  鈴木義男君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員鈴木義男辞任につき、その補欠として中  居英太郎君が議長指名委員に選任された。 昭和三十年一月二十三日  理事中居英太郎委員辞任につき、その補欠と  して同君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和二十九年十二月二十二日  石生駅にこ線橋設置等に関する請願佐々木盛  雄君紹介)(第一八号)  鍛冶屋、福知山間に鉄道敷設請願佐々木盛  雄君紹介)(第一九号)  き柳製品鉄道運賃引下げに関する請願(佐々  木盛雄紹介)(第二〇号)  園篠線全通促進に関する請願佐々木盛雄君紹  介)(第二一号)  和田山駅播但ホーム上家復旧工事施行に関す  る請願佐々木盛雄紹介)(第二三号)  同(有田喜一紹介)(第二四号)  上野、水戸間にデイゼルカー運転請願(丹羽  喬四郎君外三名紹介)(第五一号)  青函連絡海底トンネル実現に関する請願鈴木  善幸君紹介)(第八五号)  苫米地に停車場設置請願山崎岩男紹介)  (第一一〇号)  元小中野停車場再開等に関する請願山崎岩男  君紹介)(第一一一号)  気象観測機関拡充強化に関する請願山崎岩  男君紹介)(第一一二号)  小規模学校児童及び生徒の鉄道運賃団体割引に  関する請願山崎岩男紹介)(第一二七号)  野辺地港しゆんせつに関する請願山崎岩男君  紹介)(第一二八号)  大間修築工事施行に関する請願山崎岩男君  紹介)(第一二九号)  国鉄大畑線大間まで延長の請願山崎岩男君  紹介)(第一三〇号)  旭川、稚内間にデイゼルカー運転請願(松浦  周太郎紹介)(第一三一号)  旭川、沼田間に鉄道敷設請願松浦周太郎君  紹介)(第一三二号)  唐津市、呼子町間に鉄道敷設請願舘林三喜  男君紹介)(第一三三号) 昭和三十年一月二十一日  公営バス事業優先免許に関する請願竹山祐  太郎紹介)(第一六五号) の審査を本委員会に付託された。 昭和二十九年十二月二十二日  国鉄福知山宮津線建設促進に関する陳情書  (第七九号)  山陽線電化促進に関する陳情書  (第八〇号)  山陽線岡山以東電化促進に関する陳情書  (第八一号)  熱海市のモーターボート競走事業反対に関する  陳情書  (第八三号) 昭和三十年一月十四日  国鉄白糠足寄線敷設に関する陳情書  (第一七七号)  東北線複線化及び電化促進に関する陳情書  (第一七  八号)  三陸沿岸縦貫鉄道未成線完遂促進に関する陳情  書(第一七  九号)  大糸線全通工事促進に関する陳情書  (第一八〇号)  同(第一八一  号)  中央線及び篠ノ井線の電化促進に関する陳情書  (第一八二号)  甲府、長野間国鉄電化実現に関する陳情書  (第一八三号)  山陽線電化促進に関する陳情書外一件  (第一八四  号)  同外一件  (第一八五号)  高知県江川崎村より窪川町間の鉄道敷設促進に  関する陳情書(第一  八六号)  土讃線推進列車運行に関する陳情書  (第一八七号)  高松駅改築に関する陳情書  (第一八八号) 同月二十日  東北地方輸送幹線整備増額に関する陳情書  (第二七七号)  青函トンネル早期実現に関する陳情書  (第二七八号)  青森、函館間航送貨物運賃引下げに関する陳情  書(第二七九号)  山陽線電化促進に関する陳情書外八件  (第二八〇号)  同外二件  (第二八一号)  同外二件  (第二八二号)  急行霧島号並び高千穂号終着駅変更陳情  書(第二八三号)  日航旅客機沖繩線板付空港寄航に関する陳情  書(第二八四号)  離島航路に対する国費並びに県費の助成の陳情  書(第二  八五号)  大瀬崎無線局跡無線方位信号所設置に関す  る陳情書  (第二八六号) 同月二十一日  山陽線電化促進に関する陳情書外三件  (第三七四  号)  同  (第三七五号)  山陰線電化促進等に関する陳情書  (第三七六号)  草津線にディーゼルカー運転に関する陳情書  (第三七七号)  国鉄福知山宮津線建設促進に関する陳情書  (第三七八号)  土讃線電化実現に関する陳情書  (第三七九号)  洞爺丸遭難に関する陳情書  (第三八一号)  気象観測設備拡充強化に関する陳情書  (第三八二号)  同(第三八三号)  同(第三八四号)  同(第三八五  号)  同(第三八六号)  同(第三八七号)  北陸航空路線の設定に関する陳情書  (第三八八号)  鹿児島飛行場整備に関する陳情書  (第三八九号)  同(第  四八一号)  日本海に定点観測船設置に関する陳情書  (第四八二号) 同月二十二日  喜米線ディーゼルカー運行実施に関する陳情  書  (第五八七号)  野沢、西方間鉄道敷設実現に関する陳情書  (第五  八八号)  伯美線に新日光口設置に関する陳情書  (第五八九  号)  土讃線電化促進等に関する陳情書  (第五九〇号)  繋灯浮標設置に関する陳情書  (第六六七号)  土讃線電化実現に関する陳情書  (第六八四号)  奄美航路優秀船舶の増配と運賃引下げに関す  る陳情書(第六  八五号)  鴨池飛行場施設整備促進に関する陳情書  (第六八六号)  気象観測設備拡充強化に関する陳情書  (第六八七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  陸運に関する件  国鉄飯田線電車転覆事件に関する件     ―――――――――――――
  2. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 これより会議を開きます。  最初にお諮りいたします。理事でありました中居英太郎君が去る十七日委員辞任されておりまするので、理事が一名欠員になっております。この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、委員長から指名いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 それでは中居英太郎君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 陸運行政に関する件について調査を進めます。正木清君。
  5. 正木清

    正木委員 私の質問は、運輸大臣も御出席を願って、そこの席上で関係局長並びに運輸大臣質問をする筋合いのものでございまするが、まず関係局長に事務的な点でお尋ねをしたいと思います。  私が自動車局長にまずお尋ねしたいと思いますことは、東京陸運局業界からの申請事項でございまするタクシー料金改訂問題について、聴聞会をお開きになっておることについてであります。その開きました期日は十二月の十八日、会場は新宿文化会館において行われております。質問に先だって私の立場を明らかにしたいと思いまするが、私は東京陸運局主催のこの聴聞会に対しまして、タクシー運賃変更に対する陳述書衆議院議員立場から提出をいたしてございます。私が議員の責任において陳述をいたしましたその目的及び趣旨を明らかにしておきたいと思いますることは、料金変更につきましては、料金引き下げてまでも営業をしたいという業者立場、またその料金引き下げられることによって反対立場にある業者、このいずれもがおのおの自己営業を通じて利害関係が相反するところに問題があるのである、こういうふうに私は常識的にものを判断いたしております。従って私の陳述の内容といたしておりまするこの料金の問題については、いろいろの事情がありまするけれども、私としてのものの考え方は、今戦後十カ年を経過いたしまして、ようやく日本産業その他が軌道に乗ってきた、こういう際に日本の国の産業を興さなければいけないのではないか。それを興すためには、たとえばタクシー業界においても当然国産車というものを奨励しなければならないのではないか。しかも現内閣は、組閣早々から自動車の問題をも取り上げて、国産奨励をいたしております。こういう観点から、この国産車をもって今日まで非常な苦難な営業を続けてきたこれらの業界の人人が、外国車営業上の競争をするためには、運輸省がキロ当り八十円の料金を七十円に引き下げて、そして国産車としてのいろいろな不利な条件かカバーして、みずから自己営業を守ろうとする努力に対しては、ものを常識的に判断するならば、政府政策と一致するのではないか。それをなぜ運輸当局が数カ月を経過した今日に至るまでも結論を出さないで、業界を混迷な状態にしておくのか、これが私のこの聴聞会における陳述意見の骨子であります。それでなければ私は、たとい業界からどのような陳情があり、この業界の中に私の同志がおったとしても、私としてはこの陳述を出すような軽はずみは絶対いたしません。  そこで私は局長にお伺いしたいと思いますことは、東京陸運局長から上司でございまするあなたのところへ、この聴聞会の結果の書類その他がすでに提出されていると思いまするが、あなたはこれに対して、行政処置として今日までどのような経過をとり、どのような一体事務処理をしてきたのであるか。またあなたは賛成反対業者からそれぞれ陳情を受けていると思うが、どういうこれに対する今日までの処置をとってきたのか、まずこの点を御答弁を願いたいと思います。
  6. 真田登

    真田説明員 ただいまの御質問の点、聴聞会の結果につきましては、書面の詳しいものは私はまだ見ておりませんが、口頭で陸運局長陸運局自動車部長から報告を受けております。それからそれに基いてどういう事務処理をしてきたかというお話でありますが、この問題は陸運局の権限になっておりますが、大体東京、大阪、京都のような大都市では、同じような歩調の運賃制度をとっておりますので、陸運局といたしましても全国的な影響もあるということで、本省と相談をしてきておるわけでありまして、われわれの方でも、これにつきまして全部の事業者申請しておりますならばともかく、事業者につきましては賛成反対いろいろございますので、その人たちの意向をよく聞いて、もし運賃を下げて事業が健全にやって行けるのだとすれば、みんなが運賃を下げたいというのに反対する理由はないのでありますが、この申請理由として、国産愛護あるいは運賃を下げることによって、客をもっと得られるであろうという理由はございますが、それにつきましても必ずしも全面的にその考え賛成というわけでもございませんので、賛成の方、反対の方のお越しを願って、いろいろと御意見を伺っております。大臣ともよく御相談いたしておりまして、うまくバランスのとれた値下げというものを、可能ならばそういう方向へ持っていきたいが、それについては各事業者意見をよく聞いてからのことにしたい、こういうことで最近も毎日のようにわれわれの方へ、あるいは大臣のところへ関係方々がお見えになって、いろいろと意見の交換をいたしております。
  7. 正木清

    正木委員 私は、就任早々局長として、こうした問題を処理するに当ってのいろいろな行政上の処置について、非常に慎重を期すということについては、お気持がわからないわけではないのでございます。と申し上げますことは、あまりにも私はこの委員会を通じて、あなた方のいろいろの苦しい立場その他の事情も知らぬわけではございませんから、あなたを追及しようとは私は考えてはおりませんが、あなたがその担当局長である限りにおいては、お尋ねをしていかなければならない。  実は国産車でございまするトヨペットを主体として営業をいたしております東京都内の百二十四社以上にわたるこれらの人々の今日までの努力犠牲、この努力犠牲の上に立って適正なる料金引き下げを行わない限り、外国車営業上の太刀打ちができない。それがために適正なる料金改訂をしてもらわなければならないということを、成規書類を通じて、運賃変更の届出をいたしましたのは、あなたはいつだったとお考えになられますか。それはおそらく事務的にきちんとあなたのところでわかっておらなければならない。しかもその成規書類手続に基いて東京陸運局が、運輸審議会道路運送法、それぞれの法規の精神に基いて、聴聞会の準備をいたしましたのは、局長御存じのように九月でございます。もしこの九月にきちんと聴聞会を開いて、多くの人々意見基礎にして、すみやかなる行政官庁としての裁断を下しているならば、ことさらに今日ほどまでに業界混乱状態に持っていく必要はなかったであろう、私はそれを言いたいのです。しかるに東京陸運局は、この当然行うべきところの聴聞会を何カ月間一体引き延ばしてきたかというと、九月に事務的処理が終ったのにかかわらず、聴聞会が開かれたのは十二月十八日でございます。ですからこれらの問題と関連いたしまして、昨年の最終の運輸委員会、すなわち十二月十七日わが党の同僚でございます山口丈太郎氏から運輸大臣及びあなたに対して、自動車に従事する労務管理その他と関連して、この問題を取り上げていることもあなたは御存じでございます。なぜ一体そこまで引き延ばさなければならなかったのか。しかもこの新宿文化会館における聴聞会において、国産車を守るために適正なる料金引き下げを行なって、外国車営業上争わなければならないという意見書類を出したのは、われわれ国会議員同僚の中で松田竹千代君も出しております。参議院議員では栗山議員がこの日の聴聞会出席しております。栗山君はかって左派社会党中小企業対策部長であり、労働を担当する労働委員長であった人でございます。しかもなおかつ国会同僚の中からは、櫻内君、中曽根君、鈴木仙八君がやはりこの聴聞会出席して、日本産業を振興する一つの方策としての自動車事業と、そしてこの自動車事業を通ずる面から見た業界人々の八十円を七十円に引き下げる、この料金は正しいという責任ある立場意見を発表しておる。あなたは東京陸運局から詳細なる報告、またはあなた自身が局に対してそれらの経過等について御調査になったことがあるのかないのか、それを私はお伺いしたいのです。九月に当然やるべきものである。あなたのところへ私の意見書が出ておると思うが、なぜ一体九月にやらなかったか。聴聞会をやると東京陸運局が発表してなぜやらなかったのか。やらないのならやらないという理由があるはずだ。その理由等について、私は私のこの陳述書の中へその疑問とする点を織り込んでございます。そういう点について一体どういう経過をたどったのか、それらの点についての御答弁を願いたいと思います。
  8. 真田登

    真田説明員 最初申請がございましたのが八月十八日となっておりますが、都内タクシーハイヤー事業営業しておられる方々は、二百九十六社あるわけでございます。そのうち最初出てきましたのが七十六件、これはこの一部でございまして、その後九月の一日から十一月三十日、十二月一日というふうに、あとから追加されておりまして、二百九十六の中に今までに申請の出ておりましたのが百十二社、半分に満たない会社の数でございます。それで聴聞会をやりますにつきましても賛成反対方々がございますので、それについていろいろと手続をいたしましてやるわけでございますが、そういうふうにあとからあとから出てくるのでございますから、できるだけ一緒に皆さんの御意見を聞きたいということで、おくれて参ったのだと思います。  それから先ほど労務管理の面で御質問があったということでございますが、労務管理の面から見ますと、運賃を値下げして同じような収入を得ようといたしますと、むしろある程度の労働強化とか、そのために事故を起すというような心配もあるのでありまして、その面からはわれわれといたしましてもむしろ逆に非常に心配しておるわけでございます。  それから国産愛護というお話でございますが、これにつきましては現在オオタとか、ダットサンという申請外の車もございまして、これが現在七十円で走っておりますが、むしろトヨペットよりも成績が悪いという状態でございますので、同じ国産車同士が今度はお客を取り合いするような結果になってもまずい。こういうふうなこともございまして、それとの間のバランス考えたい、こういうことで陸運局でも研究しておりますし、われわれの方でも何かいい方法はないかと研究しておるわけであります。
  9. 正木清

    正木委員 これから申し上げることは、局長に大へん失礼になるかもしれませんが、あなたは実際の事情を御調査になっておられないようでございます。なるほど国産車を使用している業界諸君が、漸次増加してきたという事実は私は認めます。しかしただいま東京都内営業しておりまするものが、私の調査では二百六十社、端数は切り捨てますが、そのうちで国産車を使っておって、どうしても料金を十円引き下げなければ外国車と太刀打ちできないと言っておるものが百二十四社、これはすでに書類上の手続は済んでいるはずでございます。それから反対立場に立っておるもの、あるいは私の調査不能の点もあるかもしれませんが、私は二十四社と調査いたしております。あとに残った百社はいろいろの車を使っておるはずですが、もし新料金が決定されるならば、あえてこれに反対しないということも私は調査済みでございます。しかもその中であなたが特に触れました国産車のうちで、ダットオオタの問題でございます。この両国産車をあなたは今非常に心配をされておりましたけれども、今度は現実東京都内車両の問題を申し上げてみましょう。現に東京都内であなたの許可を受けて営業しておりまするタクシーは九千両であると、私は書類を通じて知っております。そのうちで国産車トヨペットプリンスは約三千七百両でございます。局長よろしゅうございますか、三千七百両、あなたの御心配されるダットオオタの実際に稼働しておる車は、全車両九千両のうち、わずかに五百両に満たないと私は調査が済んでおるのです。全車両九千両の中で、大きな犠牲努力を払いながら国産車をもって営業しておるのが三千七百両、あなたの御心配になる同じ国産車ではあるがダットオオタはわずかに五百両、この三千七百両の台数と五百両の台数を比較して、三千七百両の諸君が八十円の料金を七十円に下げたいという。上げるというのではないのです。下げたいという。しかもこの五百両の国産車をあなたは非常に大事のようにおっしゃるが、一体三千七百両を犠牲にして五百両を助けたいというのか、この点がまず第一に非常に大きな議論中心にならざるを得ないではないか。それからオオタは昨年の秋から、製造を停止しておるとまで私の調査は進んでおります。  それからあなたは労務管理の面に触れましたが、その点もあなた自身が若干具体的な科学的な調査をして、私に答弁技術としてさような答弁をされるのであるならば、私は時間をかけてもあなたと議論をしなければなりません。私の調査したところによると、こういう数字が出てくるのです。ルノーでございますが、これに押されておる。これは政務次官が御出席でございまするから、一応三木運輸大臣に申し上げたいと思った資料ですが、政務次官にも申し上げておきます。二十九年の三月の調査でございます。日本自動車会議所調査基礎にしたのですが、外国車日本営業しておる車が五万九千三百台、そのほかに外国人の使用のものが二万一千六百台、それから中小型四万一千五百台、同じく外国人の使用しておるものが千三百台、かりに大型車外国車によらず、国産車によらず、今の政府の方針に従って漸次変えて参りますと、一カ年間に油だけでどれくらいの節約ができるかというと、十六万キロリットル、邦貨に換算して六十億、おそらく閣議等で申し合せ事項として、総理みずからの口から国産車を愛用しなければいけないと言われたことは、私の想像ですが、こうした基礎資料から出てきたのではなかったか。私は三年前欧州及びアメリカの両大陸を視察いたしましたが、そのときしみじみ感じられたことは、欧州各国は非常に中小型大型車をしのいで、実用化されておるということであります。それは当然です。国の経済の建前の上からいって、当然そうあるべきです。その基礎資料の上に立って、今日本国産車が押されておるのは、ルノーに押されておるのです。そのルノーが、しからば七十円の料金で一日どのくらい働くか、これは十一社百十八台の平均収入でございまするが、八千五百八十一円働く。ところが日本国産車は、残念ながら乗り心地も悪いし、その他の悪条件が重なって、六千六十七円しか働けません。一日で約二千五百円の収入減となって現われてきておる。局長、よろしゅうございますか。この結果現実に、しからばこれらの百二十社以上に勤務する従業員立場の上に立つと、どういう結論になるか。一方、会社営業も最低限を守らなければならない。これは営業会社としては当然、さらにそれに従事する従業員またおのれの生活の最小限度を守らなければいけない。守らなければやっていけません。これは当然です。それでその結果がどういうところに現われてくるかというと、昨年十二月十七日、同僚山口議員がこの席上で詳細にわたって質問したいろいろの労務管理面からくる非常な無理がかかってくるという原因が、これから出てくるのです。このことは事陸運行政、特に自動車行政に携わる局長が知らないはずはない。あなたは知っていて知らないようなふりをして、答弁技術として私に答弁しておる。およしなさい、そんなことは。私も初めてこの席に現われた正木ではないのです。そういうことはいけない。もしあなたがそういうような気持で私に答弁するのならば、私は何日でもやりますよ、よろしいですか。そういうことではないのです。ですから、労務管理の面からいっても、それから国産車を守るという現政府の基本的な政策の面からいっても、どこに一体料金を下げて外国車と競争したければならない原因があるのか、その下げることによってしからば全体の営業の面にどういうような欠陥と混乱が出てくるのか、そのことを行政官庁として当然一日も早く明確にして、業界人々に対して決断を下すべきではないか、これが私の言いたい質問中心です。だのにあなたは、何カ月もこれらの問題を放任しておるから、ますます業界の中で混乱が出てくる。一体それであなたはいいのか、政府として一体それでいいのか、これを私は質問しておる。あなたは明確に答弁をされたい。
  10. 真田登

    真田説明員 ただいまのお話にございました数字につきましては、いろいろと調査の違いがあるかもしれませんが、私の方の数字と多少違っておりますが、これにつきましてはあまりこまかい点を申し上げても仕方がございません。ただトヨペットプリンスの数とオオタの数とが、おっしゃいました数字が少し違い過ぎておりますので、これについて私の方の調査を申し上げますと、三千七百両とおっしゃいましたのはわれわれの方では三十百両、ダットサン、オオタ五百両とおっしゃいましたのが私の方では千五百九十四両、約千六百両となっております。  それから今の問題をどうするかの問題でありますが、われわれの方でも、下げてうまくやっていけるならば、その方向について考えることはやぶさかでないのでありまして、ただそのあとに、それではわれわれも下げたいというふうな申請者がどしどし現われてきたときに、下げてやっていくならいいじゃないかというふうな考え方には参りませんので、やはりある程度将来のバランスというものの見通しをつけてやりたい。そのための折衝を現在やっておるわけでございまして、下げることが悪いとかなんとかいうふうなことは言っておるわけではございません。そういうことで現在関係方々の御意見を伺っておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  11. 正木清

    正木委員 ただいまの自動車局長答弁で、運輸省側の意向がわかってきましたが、その点に関する限り私も全くあなたと同感なのです。この国産車料金を、八十円を七十円に下げることによって、たとえば外国車ルノーが現在七十円の料金をとって走っているのが、今度六十円にしたいがどうか、その他のオースチン、コンサル等の八十円も七十円にしたいがどうか、こういう申請があったとき、しからば一体どうするかという問題が、現実行政官のあなたの手元に出て参りますね。そのときしからば今のこの混乱に近い営業状態を続けておって、非常に苦難な立場にあるこの業界を野放しにしていいかというと、私はあなたのおっしゃる通り、そうではいけないのだ、こういう意見を持っております。ですから、その点は全くあなたと同感です。そこに、やせても枯れても自動車営業というものは、一つの公共性を持つものなのだという点で私は全く同感です。同感ですが、だからといってあなたのように、一切の聴聞会事務的処理が九月にきまったものを、私の承知しておる範囲では、一部の輸入業者反対にあって十二月までこれを放置しておる、こういう行政的な処罰が今日の結果を招いたのではないかということを私は言っている。一体そういうことがいいのか悪いのか。ですから私は、あなたのおっしゃるようにすでにあなたの手元及び運輸大臣の手元等において、業者の中、それから学識経験等の者の賛成反対の者を呼んで、現に結論を急ぎつつあるというのであるならば、それでけっこうです。けっこうですが、一日も早く全体としての料金制度というものを再検討する必要があるとするならばするように、一日も早く結論を下すべきではないか。あなたはこれに対してどうお考えになるか、それを重ねて聞きたい。
  12. 真田登

    真田説明員 先日、陸運局の方にもう一度関係業者の代表者をお呼びしまして、それについて将来の体系を考えた案を皆でつくってくれというお話をしました。二十五日にお返事をいただくことになっております。それがどういう結論になりますかわかりませんが、二十五日のお返事をいただいて、それによってわれわれの方としても、どういうふうな処置をするかということを決定したいと思っております。二十五日にお返事をいただくことになっております。
  13. 正木清

    正木委員 そのあなたのおっしゃる業界の代表とは、大型車、中型車、それから国産車、この中に要するに国産車トヨペット、それから外国車、いろいろまじつておりまするが、この料金を下げたいという百二十社の代表の中からも代表が出、それから料金を下げられたのでは逆に今度は私の方の営業に差しつかえをするという、その業界の代表も出て、それが東京陸運局意見の交換をしたその結論に基いて、あなたの方では最終的な行政的な処置をとりたい、こうおっしゃるのですか。私の承知している範囲では、どうもあなたの方は、私はこの席上で言いたくありませんから触れませんが、何かあなたの方のとっておられる処置は、この下げたい下げたいという連中の方を押えて、下げたくないのだ、下げられると自分の商売が困るという者の代表だけを、あなたの方は呼んで意見を聞いているという事実があるのですが、この二十五日に業者意見がまとまるその意見には、さような処置はとられないのですね。この点を重ねて……。
  14. 真田登

    真田説明員 これは都内に組合が五つございまして、それから非組合員が約十社ほどございますが、全部の代表者をお招きしてお話しをしているわけでございまして、その二十五日までにうまく話がまとまればもちろんけっこうでございますが、その結果うまくまとまらなかったというふうなお話がございましたならば、われわれの方でも独自の見解である程度の将来の見通しをつけなければいけないのじゃないか、こういうふうにも考えておりますが、いずれにしましても今お話のございましたように、賛成者はあまり呼ばないで、反対者ばかり呼んでいるというふうな事実はございません。
  15. 正木清

    正木委員 一応局長に対する私の質疑はこの程度にして、大臣に対する質問大臣出席するまで保留しておきます。
  16. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと私今の正木委員質問に関連して質問いたしますが、昨年私がこの問題について指摘をいたしまして、局長お尋ねをした点で重要な点は、国産車を取り扱う場合に、輸入いたしまするその自動車の輸入業者との利害関係上、この運賃の問題も頭打ちの格好になっているのであります。そういうことになれば、結論としては外車をのみ大きく奨励することになり、それはひいては今日の日本の各種産業においても、いわゆる国内産業を奨励する意味においても、あるいはまた日本の現在の経済を立て直す上においても、非常にゆゆしい問題を包蔵しておるのではないかと思われるが、これについてどうかという質問をいたしたのでありますが、これに対してあまりはっきりした御答弁はなかったのであります。今日聞いておりますと、どうも今の局長答弁では、運輸省としてこの車両の生産と国内産業とを通してのはっきりとした確たる目標がなくて、何といいますか、いわゆるその衝に当っている業者意見まかせというようにもとれるわけですが、運輸行政上から見てこの国産車を奨励する建前をとられるのか、あるいは今言うように輸入商社の利害だけを考えてというと多少語弊があるかもわかりませんが、しかしそれらの利益を非常に重く見るために、あるいは国内産業がこれらの輸入車から圧迫されるというようなことについて、そのまま目をおおって行こうとなさるのか、この運輸省の陸上交通に関する、特にハイヤー、タクシー等の車両行政に関する根本の目標はどういうお考えでおられるのか、これを一つ聞いておきたい。
  17. 真田登

    真田説明員 車両の生産あるいは需給の直接の関係は、通商産業者の方になっておりますが、われわれといたしましては、ユーザーといいますか、これを使って営業なさる方、あるいは自家用車をお使いになる方の利益を代表するといいますか、その人たち立場考えて、これについての意見を述べるという立場になっております。それで、実際にお使いになる方は、外国車の方が便利だ、耐久力もいいし、燃料の消費率も少いとかいうような希望は相当あるわけでございますが、これは外貨によって輸入されるわけでございますので、それをユーザーの希望通りやるわけにも参らない、国産車の奨励ということも一つの重要な国策でありますので、その間の事情をにらみ合せて——できるだけ国産を奨励することにはわれわれとしても賛成でありますが、ある程度の外車が輸入されて、国産がこれに刺激されて、性能その他が非常によくなるということも望ましいことだ、こういうように考えておりますので、本年度は千三百余近い外車の割当がございましたが、上期におきましては、百両ほど新聞、報道用あるいは医療関係に輸入しただけで、その余のものについてはまだ全然決定しておらないような状態であります。
  18. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は、今申された外車に刺激されて国内の製造車両の性能を上げる、これは全く同感であります。しかし現在の実情は、外車がただそのような刺激剤として使われているのでなくして、日本自動車交通のうち、ハイヤー、タクシーに関しましては外車がその主軸になっている。そして国産車は付属物になっている、こういう実情にあると私は思う。これはもう厳然たる事実でありまして、今局長の申されたことと現実とは、全く相反したことになっていると考えるのであります。従って、これを返して逆の立場に立たせますためには、輸入を極力抑えていくことはもちろんでありますけれども、それと同時に、需要の面を持っておる運輸省の運輸行政といたしましては、需要という建前から、国産車を大きく発展させることが必要だと私は考えるのであります。そういう点に関して、今の行政面と照らし合せて、今後どういうふうに需要面、行政面から国産車を大きくしようとされるのか、この点については一つ十分に私ども承わっておきたいと思います。
  19. 真田登

    真田説明員 現在外車と申しております車の中に、国内組み立てという車が大体年間六千八百両、ルノーとかオースチンとかあるいはヒルマン、これは国産化をするために、現在では三五%ぐらいは国産化の過程になっているというようなことでやっておるわけですが、それが実際には国内生産は約九千両と考えられるのでありますから、その車と比較しましてウェートが大き過ぎはしないかということはわれわれも考えておるわけでありますが、それは一応外国とのいろいろな契約を結びまして、通商産業省の方で一つの長期の計画として立てておる。それをわれわれは今どうこういじるわけには参らぬのであります。もう一つは、この日本に来ております外国人が中古車を払い下げるといいますか、売り払う、これが年間非常な数に上っております。昨年は一万両を越したと思いますが、ことしは六、七千両にとどまるのではないかというふうに考えております。そういったいろいろなルートがあって、外国車が入ってきておるわけであります。そういったものを全体でどういうふうににらんでいくかという問題でございますが、日本の国内生産の絶対量が、昨年度まではやはり国内車の需要に満たなかった。従って作れば売れるというわけで、あまり性能がよくなくても売れていたというのが、国産車の性能が特によくならなかった原因ではないか。二十九年度の不況から大分国内のストックなどもできまして、そのために各社ともある程度車をよくしなくちゃいけないということで、いろいろ新しい設計などもやられたらしくて、今度トヨペットあたりが発表しました五五年型は相当優秀な車だと聞いておりますが、需要の前からふやすということは——たとえば全国の車十五万両といたしましても、営業車というのは四万両程度でございまして、国産車の隘路という面から行きますと、営業車の運賃を十円下げるとか下げないとかいう問題ではないと思うのであります。生産過程あるいはその他の負担をどういうふうに国として考えて行くかという問題から、もっと国産車をということを考えるべきである。運賃を十円下げるとか下げないとかいう問題は、営業車の面だけの問題にとどまるのではないか。そういう意味では需要をふやすということは、結局いい車をふやすということよりほかにはないのではないかと私どもは考えております。
  20. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 時間がありませんから、私は希望だけを申し述べたいと思います。今のは単に料金だけの問題を論じて国産車を云々ということは、あまりにも末節的ではないかという御意見のように承わるのですが、しかし私はそのことこそ一番重要だと考えるのであります。なぜかといえば、優秀な外車の中で、いわば血みどろの商業戦をやって、国産車の需要を維持してもらっている人々にこそ、もっと敬意を払っていいのではないかと私は考えるわけです。今局長も自認されておりますように、今日の外車の輸入ルートにつきましては、それが違法であるとは考えませんけれども、国内における組み立てだけをやって、部分品の形で輸入してみたり、あるいは外国人を使って故意に中古車という名目による新車を払い下げて外車を購入したり、いろいろの正しくない行いによってこれが行なわれておる。それにだんだんと押されて、正しい国産々使って国内産業を興隆させる、そしてまた労働行政面から見ましても、あるいは日本経済面から見ましても、一つの大きな貢献をするこれらの業者に圧迫を加えるというようなことは、需要行政である運輸省といたしましては当然とらない問題である。だからそれを保護していくためには、やはりこれらの業者意見を十分お聞きなさって、そうして大いにこれを尊重されるところに、行政の妙味があると考えるのであります。ですから、ぜひともこれは早急に実現をしてもらいたい。また今の内閣は新しくなったから、政務次官にも要望しておきますが、事ごとに総合経済を強く打ち出されておる内閣はこの内閣である。そうすれば生産については、通産省であるからということでこの運輸行政面、ことに交通に関する限りそういうようなことは言いのがれにすぎないのであります。従ってそういうような答弁をする必要のないように、早急に通産省とよく話されて、そしていわゆる口先だけではなしに、業界の秩序維持と国内産業を発展させるために、大いに総合計画を立ててもらいたい。このようなことで放任しておくというようなことは、これは日本国内の産業を守ろうとする人々を苦しめることになる。こういう点からもよくお考えになって、これらの、要望につきましては早急にその実現方をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  21. 竹谷源太郎

  22. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 ごく簡単に。先輩が今いろいろ料金引き下げについて質問をされたので、私が屋上屋を重ねる必要もありませんが、先般来公聴会なるものに呼ばれまして、いろいろ意気を言わされた関係上、料金の早急引き下げ方を要求している向きがあれば、ぜひ国産車料金引き下げてもらいたい、かように存ずるのであります。趣旨はそれだけでありますが、ただいま拝聴しておりますると、御答弁の中に料金引き下げる、引き下げないは枝葉末節であるかのごとき、夢は優秀車を作ればそれでいいのではないかというようなことをおっしゃっておる。それを逆に裏返して言うと、つまり枝葉末節的なものであったならば、下げたらいい。私どもは料金を上げてくれと言われるならばどうかと思いますが、優秀車を作るから料金を下げてくれ、料金を下げれば大衆の利用度が多いだろうというようなことを言われているのです。よい車を作るためにもっと料金を上げてくれと言うのではないのです。これは今料金を上げるとか下げるとかいうことは問題でないような御答弁であるから、それであるならば下げたらいいではないかと思うのです。トヨペットなどが先年来、乗客を勧誘するためにいろいろ苦心をしている様子がございまして、何か抽せんみたいなものを出したりいたしました。ルノーなどもよく乗りますが、なるほど軽快で、乗り心地も非常によろしい。料金も安い。しかしだんだん考えてみると、どうも危険性が感じられて、薄っぺらのようにも思われる。そこで最近はもっぱら方法を変えておりますが、残念なことには十円高い。これは大衆に対しては密接なつながりがあると思いますが、先般来何か当局でもこれは了解したというふうな風説があったのですが、またまた運動によってこれが行き悩んでいる。だれがそのような運動をするのか、こういうことは重大な問題だ。ここに關谷君もおられるが、先般の理事会でもそれはそうだろうという大先輩の言葉もあったし、さらに運輸大臣にもお願いしてあるのに、どこでそれがとどまっているのか、奇怪しごくである。私どもは要請も何もされていない。利用者の一人として安い方がいい。しかも国産車奨励という意味において、これは早くやってやるべきである。あたかも枝葉末節であるがごとくに、どうでもない、こうでもないと言うことは、へ理屈です。引き下げたらいいじゃないですか。どうかその意味でお願いしたいと思います。     —————————————
  23. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 次に去る二十日、国鉄飯田線において電車が転覆いたしまして、死傷者を出した事件について調査を進めます。  この点に関しまして国鉄当局よりその事故の内容について説明を求めたいと思います。
  24. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 一月二十日の飯田線の事故について御報告申し上げます。  一月二十日の二十一時五分ごろ、静岡管理局の所管であります飯田線の田本−門島間において、第二二九電車というのが二両連結で飯田の方に向けて走っておりまして、第三明島トンネルというところを出ましたとたんのところで、右側の切り取りの上からおよそ八十貫くらいと思われるような岩石が落ちてくるのを運転手が見つけました。直ちに非常制動の手配をとりましたが、これに衝突いたしまして、約三、四十メートル前に進みまして、その前に差しかかった鉄橋のところから下へ落ちました。乗客が四十名ほどあったわけでありますが、即死三名、重傷五名、病院で死亡二名、死者五人が出ました。そのほか重軽傷者合せて三十数名というような事故を出しました。まことに申訳ないことで、残念に存じております。この区間は非常にこうした土砂くずれでございますとか、落石がふだんから多い線でございまして、特にこの事故を起しましたところは、飯田線の中でも一番多いところだとはいえないのでありますが、飯田線全体として平素から事故の起ることを考えまして、警戒その他については、ほかの地域と違った特段の事故防止の対策を講じて参っておったのでありますが、不幸にしてちょうど出会いがしらにぶつかったというようなことで、はなはだ残念に存じております。特に昨年度以来いろいろな事故がございますので、今年はぜひそうしたことのないようにしていきたいという考えでおりましたが、正月早々こうした事故を起して、私どもとしてまことに残念に思っております。遭難された方々につきましては、それぞれいろいろな先例に徴しまして、できるだけ弔慰を期したいというふうに存じております。  なおまた私どもの防災のいろいろな経費というものは、全国でなかなか大きな額に上っております。それでなおかつ十分であるとは思っておりません。むしろこうしたところについては、鉄道沿線の関係方々の御協力というようなものを十分得なければ、完全に果し得ないと思うのであります。ことにこの事故のありました区間は、上に県道があるというような地域でありまして、そうした県道の管理者というような者との連絡、協調というようなものがあれば、あるいはこういうことも防げたかもしれないというふうに考えられますので、今後そういうような点について対策を講じて、そういう事故を繰り返したくないと存じます。一応事故の概要についてお話を申し上げました。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 ただいまの説明に対して、質疑があればこれを許します。
  26. 楯兼次郎

    ○楯委員 この飯田線の事故につきまして簡単にお伺いをしたいと思いますが、私どもこの線の事故が多いということは、過去においてちょいちょい聞いておるわけであります。特に落石に対する対策をどのようにやられておるかというのが一点と、それからこの落石を防止する方法がないかということです。この二点をまずお伺いしておきます。
  27. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 先ほど申しましたように飯田線だけについて見ましても、一年間に落石の件数というものは大体千件くらいある。二十七年度が千十一件、二十八年度が千百五十七件、二十九年度は九百九十五件という、非常に大きな数になっておるのであります。飯田線は相当長い距離でありますから、その区間において非常に多いところにつきましては、石が落ちてくれば何か合図が出て、急遽出動するということもやっておりますし、そのほかこの区間におきましては、線路警戒の人間を特にきめまして、その人たちが朝と夕方とに危険区間と目されておる区間を見て回っております。当時もこの事故が起りました前の電車のすぐ前に、約一時間半くらい前だと思いますが、そのころにその場所を警戒して見て回っておるのであります。そのときには何もなくて、その前の電車は無事に通過し、不幸にしてあとの電車がほとんど出会いがしらにぶつかったというわけであります。落石の防止対策につきましては、ものすごい金でもかければ根本的に十分なこともできるかと思いますが、落ちてきたと同時にぶつかったということは、まことに運が悪いのでありまして、落ちてきたのを発見して、それにぶつからないようにするという手を打つというのが、現状としては、まあできるだけのことをしておるという態勢ではないかというように考えておるわけであります。
  28. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は現場を見ておりませんから、かれこれ言えないのですが、事前警戒をやるより仕方がないということでは、将来といえども根本的な防止対策にならないと思っております。現場を見ておらないから、どのような警備と工事をしなければならないかという点はわからないのでありますが、特にこういう危険な個所については、落石がないような恒久的な防止対策ができないかどうか。一体それをやろうとすれば、大ざっぱに見て、どのくらいの経費がかかるかというような点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  29. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 毎度私どもの予算その他を通じて、御審議を願いまする際に申し上げておりますが、国鉄といたしましては、とにかく安全に運ばれなければ鉄道の用はなさぬのでありまして、今危険と私どもが感ずる問題については、いろいろ防災費というような名前で毎年二、三十億くらいずつ組んでおりますが、さらに耐用年数が切れて、トンネルがくずれかかっておるとか、橋梁に亀裂が入っておるとか、そういうようなものもありまして、そういうものについては、とにかく相当な額をまとめて何とかしたい。同じ必要な減価償却に相当する分でも、ただいまの額では十分でないというような状態でありますので、この落石の問題は、今すぐ手が届くという姿には遺憾ながらないわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、これだけの数字のあるところをほっておくというわけにはもちろんいかないので、先ほど申し上げたような対策を講じておるわけですが、こうした落石防止のために思い切った手を打つとすれば、飯田線だけでもやはり数十億程度の金は要るのではないかと考えられるわけであります。とにかくまだそれより先に危険が起るかもしれないと通常考えられるところに、まず手を打つのに精一ぱいというのが現状でございますから、この点御了承願いたいと思います。
  30. 楯兼次郎

    ○楯委員 それもなかなか早急にはむずかしいと思いますが、事故防止のために今日まで巡回警戒措置をとっておるというお話が先ほどございましたが、この事故にかんがみて、まず今すぐできる措置、たとえば巡回の度数をふやすとか、あるいは人員を増員するとか、そういう点が考えられるのですが、当面国鉄当局に再発を防ぐために考えておられる処置がございましたら、この点承わりたいと思います。
  31. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 先ほど落石に対しまして、約千件近い数があるということを申し上げました。しかし、事故の形になっておるのはごくわずかでありまして、その間それがほとんど現在の警戒態勢で事故を起さずに、未然に防いでおるということが言えると思うのであります。たまたま今度の事故は、とたんにぶつかったというようなことで、しかも結果として大きなことになったというので、まことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話しになりましたように、今後ああいうところの警戒方法につきましては、相当考え直さなければならないと思います。それにつきましては先ほどもちょっと申しましたが、今回の事故の落石が、自然の石が上から落ちてきたのであるか、あるいは人工的に上の県道等で整理したものの管理方が不十分であったかどうかというような点も考えて、その原因に応じて警戒数をふやすということも考えてみたいと思います。現在こうした警戒に当っております線路関係の要員が、全国で約二百数十人おるのでありますが、そのうち百人近くの者が飯田線関係で警戒に当っておるというような実情であります。
  32. 楯兼次郎

    ○楯委員 今巡回の方をお開きしたのですが、車両の装置を変更するといいますか、機関車なり客車の構造の違ったものを入れるというようなことで、たとえば乗り上った場合に、相当遠方に行って鉄橋の下に落ちておりますが、これがぶつかったとたんにそこで停止をする、こういうような装置は考えられないものかどうか。車両の方でこうした場合にこういう危険のない措置を講ずる対策があるかないかということを伺いたい。
  33. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 飯田線は買収いたしました線路でございまして、買収当時は木製車が三十四、五両あった。これが全部鋼鉄車に切りかえられまして、今回も幸いにして鋼鉄車であったから、被害が少かったということが言えると思います。ただ今お話しでヒントを与えていただいたのでありますが、そうした措置ができるかどうか。やはり相当な速度で走っておるわけでありますから、制動をかけてすぐとまるような格好になるかどうか。まだその辺技術上の問題がありますから、今後研究いたしたいと思います。ただ事故の現場は、レベルの直線区間であったということをつけ加えて申し上げます。
  34. 楯兼次郎

    ○楯委員 それから罹災者の弔慰、補償といいますか、この点でありますが、国鉄は自動車の事故あるいはこの前の連絡船の事故、今度の事故、いろいろ事故が起きたわけでありますが、これらに対する弔慰と補償については、私は一貫性を欠いてはいけないと言うと語弊があると思いますけれども、大体同じような方法でやらなくてはいけないと思います。こんなことを聞くのはどうかと思いますが、具体的にどういうことを考えておられるか、この点を一つお聞きしたいと思います。
  35. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいまのお話がございました通り、大体こうしたことは先例その他類似の例によった格好で処理するのが当然でありまして、そうしたことによって処理して行きたいと考えております。ただいままでの措置といたしましては、なくなられた方に、総裁名をもって五万円と、局長名で一万円の香典を差し上げてあります。今後の問題は、この問題のいろいろな原因その他を研究いたしました上で、善処いたしたいと思います。
  36. 竹谷源太郎

  37. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は二、三尋ねたいと思いますが、この落石は何によるかということなんです。たとえば地すべりとか、地殻の変動とか、そういうようなことが常にこの沿線は行われていて、そうして落石あるいはがけくずれ等が起るのか。この地盤は一体どういうことになっておるのか、御調査された点があれば一つお聞かせ願いたいと思います。
  38. 中路誠三

    ○中路説明員 この付近につきましては、昔三信鉄道が作った路線でありまして、非常に技術上むずかしいところであって、一番最後に飯田線の完成になったのは昭和十二年でございました。そういう工合で非常に悪いところでございますが、国鉄の買収以来、この地区にやはり最大の金をかけておりまして、二十八年度の十一月現在の物価換算にいたしますと、約五億、これは大きいトンネルを作るとか、あるいは落石どめとか、落石さくとか、いろいろあるのでございますが、そのほかにも三十万ないし五十万でできるような簡単なものは、いわゆる鉄道経費でやっておりますが、これもやはり九億投資しておる。そういう工合でありまして、構造物に対して受ける被害は十分注意しておるのでございますが、そのほかにやはり構造物を作る間にも、あの付近におきましては、たとえばだんだん石が落ちてきますと、やはり風化の状況——あそこは急峻でございますから、やはり年とともにそういう工合にその付近にある粘土とか、そういったものが溶けて流れる、落ちてくるというようなことがございますので、先ほど副総裁からおっしゃいましたように、重点をここに指向しまして、約百人くらいずっと警戒を続けておるわけでございます。  それで大体この落ちる時期は、この両三年間を調べてみましても、やはり春先が多い。凍るとか、雪とか、激しい天然の自然現象によって起るものでございます。大体石の質は石英粗面岩または花崗岩だと思いますが、あの付近はそういう大きい石が粘土の中にかまれておる、そういうところでございますので、こういうことが起る原因につきましては、そういうような自然の風化というようなものでございまして、この石も、経路を今検察庁その他で調べておられるようでございますが、のりではかりまして百十メートルくらい上に県道が通っておりまして、その上になお六、七十メートルの山がございます。そっちの方が大体風化されておる地区のように考えられます。これはもちろん私も現地に行っておりませんのでわかりませんが、私どもとしてもその辺が原因ではないか、風化しておるところから落ちたので、結局線路のそばにある百十メートルののり面からは落ちてきていないじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。
  39. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今お話を伺いますと、地すべりや地殻変動というような原因ではなくて、大体季節的に起るもので、しかもそれが冬から春先ということになれば、これはやはり風化等によるものが原因だと思いますが、そうするとその地帯は、私は行って見ないのでわかりませんが、主として花崗岩石の地帯ではないかと考えるわけですが、もしそうだとして、風化を防止するとすれば、いわゆるその土地へセメントの注入法であるとか、樹脂注入というようなことによって、その地殻を強化することが現在の技術上できることは、私は和歌山の紀勢西線で一度試みられて、地盤の変動をとめられた、すでにそういう試験済みのこともあると思いますので、これらについては至急にやはり事故防止の建前から一つ御研究を願って、こういった事故の再発を防止するようにしていただきたい。  それからもう一つは、この線は国鉄当局も言明されておりまするように、落石あるいは土砂崩壊等によって、非常に特殊な線路状況にあるところを走っておると思うのです。従ってそれには車両構造におきましても十分に——今楯同僚委員が申しましたように、電車、汽車というようなものは、自動車のようにわずか十メートルや二十メートルで即座にとめようとしてもとまるというような性質のものではございません。私の十何年もの電車運転手の経験からいたしましても、少くとも六十キロ以上で走っておれば、発見後五十メートル以上を行かないととまらないというのが電車の実情であります。そういたしますと、そういうような妨害物が絶えずその線路に落ちるところでは、その車両の前部に何か防災措置を講じて、そうして特殊な車両をはめて行かなければ、ほんとうの危険防止はできぬのじゃないかと思いますが、これについては何らその措置を施しておるようなことは今までかつてないのですか、あるのですか、またあるとすればどういうようなことを研究なさっておるか、お聞きしたい。
  40. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいままだそこまで研究は十分いたしておりません。小さい子供が石を線路でもてあそぶ、それを掃き散らして行くというようなことも本線で考えたこともございますが、ただいま申しましたように八十貫以上の石というものにぶつかりますと、どういう構造で考えたらいいかという点、相当技術的な問題もあろうと思います。ただ今回こうした事故が起ったことでもあり、そういう点、車両に何かそういう措置ができるかどうかということを、研究はしてみたいと考えております。
  41. 竹谷源太郎

    竹谷委員長 暫時休憩いたします。    午後二時五十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕