○国務大臣(
塚田十一郎君) それでは簡単に
只今までの
経過を御
報告申上げます。
韓国が、竹島が自国の領土であるということを
国民に周知させるのだという
意味で、竹島の図案を表現しました切手を三種類作
つて、現実に今使用いたしておるわけであります。そういうものがどんどんと国内にも入
つて参りますので、先般来、これはとても放
つて置けない問題であるというのでいろいろ検討いたしたのであります。検討の
経過は、いろいろありますのでありますが、その結論だけを申上げますと、御
承知のように、
郵便物をどういう工合に扱うかということは、万国郵便条約に加盟しておる国々の間では、郵便条約の拘束を受けるわけであります。日本も韓国も郵便条約に加盟をいたしておりますので、私
どもの立場としても韓国の立場としても、やはり、郵便条約に基礎を置いてやらなければならない。そこで、郵便条約にはどうな
つておるかと申しますと、第五十九条に、どういうものならば入
つて来るのを禁止できるかということがいろいろ書いてあるのでありまして、その中の一項に、名宛国において輸入又は流布を禁止する物品、こういうことにな
つておる。それで、この切手の場合には、これに大体該当すると
考えられるわけであります。
従つて、日本でああいうものを輸入又は流布を禁止するという何らかの根拠規定が必要になると、こういう解釈になる。そこで、いろいろ現行の日本のいろんな法律を調べてみますと、なかなかこれに該当するものがありませんのでありまして、ただ
一つ考えられますのは、関税定率法の二十一条第一項第三号に「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」、こういうものは「輸入してはならない。」と書いてあります。そこで、この「公安」の
意味をどういう工合に一体今まで解釈しておるのかということを、いろいろ各省、殊に担当の大蔵省、それから更に法律解釈の担当の法制局、それから法務省などの
意見を聞いてみますと、どうもこの「公安」という字では今の場合を取締るというわけには行かないのじやないだろうか。そこで、大蔵
省側が「公安」という字をどういう工合に解釈しておるかということの裏になる規定が、輸出貿易管理令というものにあるのでありまして、この関税定率法は、輸入の面から規定をしておりますが、この輸出貿易管理令は、自分の国が輸出する場合に、こういうものを輸出してはならないという規定をしております。別表第一、第二十六項を見ますと、「いずれかの
政府に対するむほん又ははん乱を主張し、又はせん動する
内容を有する書籍、パンフレツト、新聞、文書、広告、回状、写真、映写用フイルム又は絵画」と、こういうふうに書いてあるのであります。
従つて、大蔵省がこの関税定率法の「公安」を害するという
考え方は、その裏は、この輸出貿易管理令の今読みましたこういう
内容のものだというように大蔵
省側は解しておるわけであります。そうすると、実はこの条項にはなかなか当嵌まらない。今問題にな
つておりますものは、日本
政府に対する非常な侮辱という形になるわけであります。そこで、いろいろ、閣議には丁度三回かか
つておるのでありますが、閣議の空気というものは、結論としては、これはどうしてもこういうものを許しておくべきでないというので、どういう形でこれを拒否するか。結局、入
つて来たのを送り返す。だからして、貨物その他の形で入
つて来たのを輸入を禁止するということになると思うのですが、結論においては誰にも
異論がないのでありますが、ただ、万国郵便条約と国内法の規定上、今の規定のままではちよつと取締り措置がしにくいのではないかという結論になりまして、本日の閣議で、それでは早急に法的措置をしよう。それで、法的措置が最終的にどういう形式になるかはまだ今日は決定いたしておりませんが、私
どもが
考えております
考え方といたしましては、今の関税定率法の「公安」の字句を、これを噛み砕いて、もう少し詳細な表現にして、この関税定率法の改正という形で本国会に是非両院の御賛成が得られるように運びたい。なお、この法案の立案準備その他は法制局において早急にや
つて頂くということで、本日の閣議は了解ができておるわけであります。