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1954-03-23 第19回国会 参議院 労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)    午前十一時五分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日委員菊川孝夫辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。 三月二十二日委員寺本広作辞任につ き、その補欠として八木幸作君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            田畑 金光君    委員            榊原  亨君            宮澤 喜一君            阿具根 登君            吉田 法晴君            赤松 常子君            市川 房枝君   政府委員    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    法務省公安調査   庁調査第一部長  柏村 信雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (労働情勢一般に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から会議を開きます。  先ず労働情勢調査に関する件を議題といたします。  最初に阿具根委員から日共白書に関する件につきまして質問通告がございますので、これを許します。
  3. 阿具根登

    ○阿具根登君 調査庁に御質問申し上げますが、約一カ月ほど前に衆議院委員会でも一応法務大臣の御説明があつたように思つておりますが、それと同時に各新聞日共白書というのが出されたわけでありますが、調査庁にはこういう日共白書というものがあるのかどうか、それをお伺いするのと、もう一つは天下の公党である日共をどういう面でそういう調査をされておるのか、これは共産党に限らず、社会党或いは改進党、自由党等に対してもこういう調査をされておるのかどうか。されておるとするならば、どういうことを調査されておるか、その内容をお伺いしたい、かように思います。
  4. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) お答えいたします。  日共白書というものを公安調査庁といたしまして作成をして、公式にも非公式にも発表をした事実はございませんが、共産党について調査をしているかどうかというお尋に対しましては、最近共産党といたしましてはいわゆる三反統一戦線戦術、反米、反吉田、反再軍備統一戦線の強化という線によりまして、表面合法的活動を強く推進する態勢をとつておるのでありますが、私どもの見るところでは、依然として本来の暴力革命考え方に基きまして、その軍事組織を強化し、機が熟すれば暴力主義的破壊活動の挙に出るための準備を進めておるという疑いがあるのでありまして、このような団体につきましては、平素においてその実態を究明、検討いたしておく必要があると考えておるのであります。このような暴力主義的破壊活動を行う虞れのない、只今お話のありましたようなその他の団体については、私どもとして何ら特別な調査をいたすものではないのであります。
  5. 阿具根登

    ○阿具根登君 白書としては公表したこともそういうこともないということでありますが、法務大臣の指令によつて相当調査されておる、こういうことがすでに言われておるのであります。そういう調査資料がいつできるのか、その点も相当詳しく調査されておると思うのですが、如何ですか。
  6. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 公安調査庁の機能といたしまして、只今申しましたような観点から、日本共産党についての調査を進めておることは事実でありまして、内部といたしまして、一応昨年の成立一周年を記念しまして、それまでの調査をまとめたものはございます。併しこれは全く内部資料として保管をいたして曲るわけであります。なお法務大臣が国会で日共白書のようなものを準備中であるというお話がありまして、これにつきましても、その後の調査を更に附加えまして、目下作成準備をいたしておりますが、できるだけ早く骨子は作り上げたいと思つておりますが、まだいつこれが完成するかということはちよつと申上げる段階にはございません。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 調査庁が何か特高的なそういう動きをされておつて而もそれを組合運動にまで結び付けて、そうして組合争議共産党指導した、いわゆるそういう暴力的な考えを持つているというようなふうに拡大解釈をされて組合にまでもそういう調査がされている。こういうことが言われております。一例を申上げれば、西日本新聞の二月の十五日の朝刊に、「統一戦線現状」と、こういう見出しで、「争議における例、昨年末国鉄の休暇闘争さい日共委員長ら二十名がピケに加わつた地本拡大闘争委員会日共県委員らが出席闘争継続を主張したりした。また三井三池炭鉱争議で、デモ、集会、すわり込み、ピヶ訓練日共指導参加した。」こういうことを発表されている。私はこの例のいずれを見てもそういう現実はなかつたものと思いますが、特に三井三池闘争におきましては、私も現地行つて最も熾烈な闘争現場を見ておつたものでありますが、全然共産党指導したとか或いは坐り込みの中に入つたとか、或いはピヶ訓練共産党指導したとか、そういうことは全然ないのであります。その点につきましては組合からも抗議も来ておりますし、私自身現場のその実態も十分把握しているものとしてこういう歪めめられたことを新聞に出されている。それ炉公安調査庁のいわゆる暴力取締というような考え方から、共産党解釈を拡大して、そうして現在の圧迫された組合運動にまで持つて来るというような傾向があるのであります。これを推して行くならば、私は戦前のような姿が近い将来起つて来るのではないかと思うのであります。  この新聞発表につきましては恐らく公安調査庁から出たものと私は思うのでありますが、どういう現実においてこういうことを発表されか、この点をお伺いいたします。
  8. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 日共調査を拡大して、組合運動をそういう目で見て行くというような考えは毛頭持つておりません。正常な組合運動について我々は何ら介入して参るものではないのであります。只今お話のありました西日本新聞の二月十五日の記事でございますが、ここには公安調査庁日共白書ということが書いてあり、只今お読上げになつたような「統一戦線の御状」というのも出ておりますが、先ほども申上げましたように、日共白書というようなものは出しておらないのでありますし、我々が今まで外部に出しましたもので、これに類したものといたしましては、衆議院法務委員会に、日本共産党の動向という、概括的な最近の党の動きを害いたものをお配りいたしているわけであります。併しながらその中には只今御指摘のような記事はないのであります。この西日本新聞記事を見まして、これは部分的には私ども調査した結果と一致している点もございますが、こういう形において私どものほうから公式にも非公式にも発表したことはございません。又内容につきましても、只今申しましたように部分的に一致した点もございますが、我々と見解を異にする点も多々あるわけでありまして、先ほどから申しますように、日共白書は出しておらん。又この記事も私どものほうから出たものでないということを申上げたいと思うのであります。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは公安調査庁としては、日共白書を出したこともないし、こういう事例も全然公式にも非公式にも出したことはない。こういうことになりますると、これは新聞社が創作したのか、或いは自分考えで書いたか、どこかからの出場所はあると思いますが、そういうように、公安調査庁としては全然関知しないのだ、非公式にも全然こういうことは言つておらないし、自分たち調査した範囲内にもこういう現実は全然ない。例えば三井三池闘争においても日共は全然指導しておらない。こういうことですか。
  10. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) この記事の内が私どもから出たものでないということははつきり申上げられるのでありますが、例えば三井三池炭鉱争議にきまして、共産党の側におきましてこれを非常に大きく取扱い、又はその間において党が活動している事実を記事として載せていることはあるのであります。従いまして共産党が少くとも彼らとしては相当に食い入つて行こうとしておる。一部には相当に成果を挙げておるということを申しておるのでありまして、それを共産党の言う通りであるというふうに私もまだ確認をいたしておりませんが、全然なかつたということは私としても断言し得ないところであります。  例えばちよつとここで御披露申上げておきますと、これは共産党の非公然機関誌でありますところの国民評論の二月号でありますが、その中に、「三井三池労働者闘争」と、立石高二という執筆名で書かれてあるわけでありますが、その中で、「その前夜青行隊社会党を訪れて、武器を使うのはまだ早いと思うが、少くとも脅かしくらいはかける準備をやりたいと相談した。社会党事務所にいた人々は、共産党のほうが専門だからと言つて共産党に行くことを薦めた。党の事務所で、中自隊員と青行隊の講談が持たれ、かんしやく玉を集めること、他の経営や市民に統一行動を拡大することで闘うという方針や、ピヶ隊に対しては座り込むこと、座つた上でバンドでスクラムを組むこと、この人垣が、敵の暴力を防ぐ最も強固なものであることなどの相談ができ上つた。大牟田のかんしやく玉、はその夜売切れになつたと言われている。又山の上現地における党指導部は、組合戦術委員会方針に従う。但し大衆の中に武装行動の必要と、権力の曝露を徹底的に入れるという方針を出して活動した」ということを言つております。  更にそのあとで、「この闘争の中で約七百の労働者が党と共に最後まで闘い抜くと言つて結集した。これは武装の必要を討議し、組織された労働者の数である。併し党の中にその場で決せんという焦りがあつたために、その後の闘争の発展の中核として、この七百名を組織する点が欠けた」ということを言つておるであります。  更に党の自己批判は、これは恐らく九州のその地方からの報告の形になつておると思うのでありますが、党の自己批判という項の中で、「山の上闘争で、党の一人の工作隊は約三百名の労働者労働者の討議を組織している。併しあの闘いの中で、党と統一委組織、グルーブの組織が圧倒的に弱く、その面では党は殆んど無力であつたことが自己批判された。三池労働者を本当に革命の方向に高めるということは、このような政治的な指導と、組織的な積重ねを我々が全力を挙げてかち取つて行くことだ」ということを言つているのであります。勿論党が出します文献等におきましては、まま非常に誇張したものもあり、虜偽のものもあることも私どもは知つておりますので、これをこのままに受取ることはできませんが、少くとも党が三井三池闘争相当に力を入れた。又党内においてその闘争のやり方を非常に高く評価して、他の党員を被舞激励しているという事実は認められるのありまして、私どもが党によつて指導されたということは、確認もいたしておりませんし、又そういうことを申したこともないのでありますが、党側においてそういうことを言つているということだけをここで御披露申上げておきたいと思います。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうことを初めて聞きましたが、これは常識でお考えになつてもわかることだと思いますが、この闘争の中で、社会党暴力相談をした。社会党が、それは共産党のお家芸だから共産党へ行けと、こういうことを言つた。又共産党ピケの場合にバンドを握れと言つた。こういうことは私どもその現場を知る者にとつては誠に噴飯物であつて、幼稚な英雄主義かも知れませんけれども三井闘争をあたかも自分たち指導したように言つている。そういうことをしよつちゆう読んでおられるから、そういうことが調査庁のはうでは先入観になつてつて、そうして少し闘えば共産党指導しておるのじやなかろうか、こういうような目で見ておられるのではないかと思う。それを御覧になるならば、三井闘争白書、これもやがてできますが、闘争自己批判害をお読みになつたならば私は十分おわかりになると思う。一人の英雄もおらずにああいう苦しい中で闘つて来た。それが共産党から指導されておるようなことを仮にもこういう新聞にも流されたとするならば、数万の労働者は本当に怒りにたけるだろう、かように思うのです。そのため私のところにも抗議文が来ておる。勿論私もその闘争を十分見ておるので、そういうことは全くなかつたことを十分知つておりますので、こういう質問もし、追及もしておるのでありますが、ただ共産党暴力的であるというようなことだけを念頭に置かれて、そういうような非公式の文章のみに促われて、これは言い過ぎかも知れませんけれども、そういうやつが概念的に頭に残つてつて、これは部長さんだけでなくて、公安庁の皆さんがそういうような目で見られて行くということが私は大きな誤りであり、それが知らずにこういうような文書になつて現われる、こういうように考えるわけですが、そういうような考え方で、新聞記者等にも話されたり或いは公式な場所で、そういう誤解を受けるような話をされたことはないかどうか。
  12. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先はどから申上げておりますように、少くとも私の知る範囲内においてそううことはございません。又私が今読み上げましたのは、党がこういうことを言つておるということを申上げたのでありまして、更に附加えて、党の言うごとには随分誇張も虚偽もあるということを念のために申上げておいたのであります。ただこういう記事が出た基礎になつたのが、恐らく私はこういう非公然機関誌等を読んだ人から聞いて書いたか、そういうふうな出所がこういうところに根拠があるのじやないかという意味で申上げたのでありまして、先ほど来たびたび申しますように、私どもが出したものでもなければ、私どもがこう考えておるということでもないのでありまして、我々の調査については、党はこう言つておるということを直ちにそれを真実として受取るような愚かさはしていないつもりでございます。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 これ以上質問をしてもこれは押問答になると思いますので、これで私の質問は打切りますが、この日共の問題に絡んで、特高的な考え方で各政党或いは組合を色目で見る、或いはそういう感覚の下に調査をして行く、こういうことがあつてはならないと思いますので、この点は厳重に慎しんで頂きたいと思います。又こういう問題もたくさん今後にも起つて来ると思いますので、そういう点も十分注意をしてもらいたい、かように思います。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは続きまして、近江絹糸労働基準法違反に関する問題につきまして、赤松君から質問通告がございますのでお願いします。
  15. 赤松常子

    赤松常子君 今日は労政局長おいでにならないのでございましようか。この前私が質問申上げておきましたことに対しまして御回答頂きたいと思うのでありますが……。
  16. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 後刻出席になるそうでございます。
  17. 赤松常子

    赤松常子君 では基準局長ちよつとお尋ねいたします。  最近近江絹糸の各工場における労働基準法違反は、かずかず枚挙にいとまがないことなのでございますが、岸和田工場におきまして、いわゆるふくろう労働なるものが実施されている。この実情について御承知でいらつしやいましようか。
  18. 亀井光

    政府委員亀井光君) ふくろう労働と言いますのは、機械をまあ二十四時間フルに運転するという意図の下に、従来でございますと大体十時間半で仕事が二交替で終るのでございますが、その後朝まで引続き就業させるという趣旨のものでございます。労働基準法では、御承知のように、男子につきましては深夜業を、禁止しておりませんし、又満十六歳以上の男子につきましても、交替制の場合におきましては、例外的に深夜業を認められておるのは御承知通りでございます。従いましてこのいわゆるふくろう労働が直ちに基準法違反であるというふうに我々としては考えていない次第でございます。
  19. 赤松常子

    赤松常子君 ふくろう労働と申しますのは、深夜業専門労働者なのであつて、夜分だけ働かしている恰好なんですね、それに対しまして交替制というものはして上げなくちやいけないと思うのでありますが、そういう夜業専門、深夜業専門の場合の交替制はどういうふうになつておるのでございましようか。
  20. 亀井光

    政府委員亀井光君) 成年男子でございますると、交林制の如何にかかわらず深夜に労働させることを認められております。ただ十六才以上十八才未満の男子につきましては、交替制の場合にわいてのみ深夜業は許されるということでございますので、そのいわゆるふくろう労働に従事しまする労働者成年男子労働者でございますれば基準法違反にはならないと思います。
  21. 赤松常子

    赤松常子君 私の聞いておりますことでは、成年男子でも深夜ばかり働くということに対しては一定の制限があるように伺つておるのでございます。それはないのでございますか。
  22. 亀井光

    政府委員亀井光君) 現行の基準法の下ではございません。ただ健康、福祉の問題がございますので、我々として法律違反ということではなくして、そういうことについ注意をいたしておる次第でございます。ただ近江絹糸の場合におきましては、会社当局も試験的にこれをやつているんだというふうなことを言つておりまして、併し問題が労働者の直接健康及び福祉影響のあることでございますから、基準法違法ということではなくして、指導の面で今注目をして見ておるところであります。
  23. 赤松常子

    赤松常子君 私伺つておりますことでは、深夜専門労働者でもそれはこういう制限があると聞いているのでございます。例えば非常に納期が迫つている場合の生産に追われている場合であるけれども、それもまあ二カ月連続は許されないということを伺つているのでございますが、そういう保護もございませんのでしようか、二カ月という期限の……。
  24. 亀井光

    政府委員亀井光君) そういう期間の制限も勿論現在の法律の中にはございません。ただ使用者のほうで臨時的に使う場合において、労働者の健康、福祉影響はないだろうということでやつておられるんじやないか、法律的には何らそれにつきましての制限規定はございません。
  25. 赤松常子

    赤松常子君 私はこういう点に対しましても何らの保護制限がないということは奥に私手落ちだつたと思うのでございます。たとえ成年男子といえども深夜作業ばかり、そればかりを専門に連続いたしておりますと、もう恐ろしい健康の減退を示すことははつきりしているのでございますし、このことに対しましてすでに近江絹糸では昨年の十二月から実施していると思うのでございますが、その後どういう状態であつたか、特に調査なり或いは現状についての御関心をお持ちになつたことございましようか。
  26. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先はど申上げましたように、労働基準法違反に直ちになるという性質のものではございませんが、そのいわゆるふくろう労働を専業といたしおります労働者の健康及び福祉影響がありますことから指導的に見守つておるわけでございます。まだ現実にはそれから来まする影響なり、労働者の肉体に或いは精神的に及ぼします結果等につきましては具体的なものは出ておりません。まだ監視をしておるという現段階でございます。
  27. 赤松常子

    赤松常子君 これは岸和田工場だけでございませんで、私この間三重県の津の工場近江絹糸の津の工場に参つで、何人くらい これに従事しておるかということも一応聞いてみたのでございますが、組合側といたしましても、非常にこの問題については監視いたして行きたいと思つておりますし、どうぞ各近江絹糸工場に昨年の十二月からすでに行われているごとなんでございますので、もう三月も四月もたつているわけでござしいますから、是非とも最近においてどういう健康状態であるか、どういう現象が現われているか正確にお調べ頂いて御報集を願いたいと思う次第でございます。
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでよろしうございますか。
  29. 赤松常子

    赤松常子君 はあ。
  30. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは中西労政局長、それから亀井基準局長、御両氏に関係のあることだと思いますが、近江絹糸労働基準法違反疑いに対する問題はしばしば委員会で取上げられまして、刻明調査をして、資料を当委員会に提出されることに約束ができておるのですがね、ちよつとも出て参らないのはどういうわけですか。
  31. 中西實

    政府委員中西實君) 労政関係では例の中岡という従業員不当労働行為地労委それから中労委で問題になりまして、結局これは不当労働行為が成立するということで復職が命ぜらせ、一応復職をしたのでありますが、その後工場組合のほうで、これを除名いたしました。従つてユニオン・シヨツプ関係でやはりこれは又解雇に繋がるということになりました。この問題は御承知と思いますが、再び地労委解雇不当労働行為であるというのに履行しないというので提訴をされております。更に地裁に向けて解雇無効の仮処分の訴えが出ております。従つて我々としましては、一応地労委なり或いは地裁決定がどういうふうに出ますか、これをまあ見ておる段階でございます。二月の十五日に提訴されまして以来、全然変つた事情がございませんので、従つて実は報告する材料がないこういう状況がございます。
  32. 赤松常子

    赤松常子君 中西局長に私この前ま強く要望いたしておいたのでございますが、その後労働省から面接にその工場にどなたかおいでになつて調査なさいましたのでしようか。
  33. 中西實

    政府委員中西實君) 問題は法律問題でございますし、全く事実認定の問題でございます。三重労働部労働課に十分に調査さしております。ただ労政課員が出ましていろいろ調査したのでございますけれども、何分にもいつかも申しましたように有権的な調査権限がございませんので、或ろ程度まではわかるのでありますけれども、それ以上どうしても突つ込んだ真相がわかりない。従つてこれはやはり地労委なり或いは裁判所が有権的な事実調査なり、それの決定に待つたほうがいいのじやないかというふうに考えております。
  34. 赤松常子

    赤松常子君 私いろいろそこから問題が出ておると思うのでございまして、大体労働組合中岡さんを除名いたしまして、その理由に成績不良なりという一項目を挙げておるのであつて労働組合がそういうことを言う権限はないのでございます。そういうことは会社側が言う範囲であつて、そういうことを理由労働組合除名するということ自体が非常に変な労働組合のあり方なんですが、繰返して申上げますように、地労委でも中岡さんの問題は当然だという、復職が当然だという中労委でもそういう決定をしておきながら、それをひつくり返しただ一片組合決議によつてこの地労委中労委なかなか手数をかけて調査し、いろいろと時日もかかつて決定したことが、一片労働組合決議によつてひつくり返される、こういう事態、これは私非常に憂慮すべき問題を含んでおると思うのでございます。そういうことに対して今までどこかに例があるのでしようか、そういうことに対して中労委はどういう態度をとつておられるのか、中労委労働省がそういうことに対して何か御協議なさつて、飽くまで正しい決定を行わしめるようになすつていらつしやるのか、その辺のことをどうぞおつしやつて下さい。
  35. 中西實

    政府委員中西實君) 先はども申しましたように、三重労政課で、有権的にではございませんが、いろいろと関係者等に当りまして調査いたしました結果を聞きましても、今除名の処分につきましていろいろと手続上、或いは理由内容的にも疑問があるというので組合注意を与えてわります。それにもかかわらず、組合におきましては、やはり更に大会で除名確認しておるようなことをいたしているのでありまして、問題は片付いておりません。そこで中労委におきましても、不当労働行為である、復職せしむべきだということを決定されました。従つてこれが確保さるべきで、あるということにつきまして、三重地労委においてこれを監視する、現に三重地労委にやはりこの履行方についての訴えが出ております。それぞれ調査してやつておるわけでございます。併し何分会社、それからその組合、それぞれいろいろしこりがございまして、結著まで行つていないというのが現状でございます。
  36. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞもつと督励なさつて頂きたいと思うのです。私この間三重の労働基準局ですか、お伺いしました。局長さんやその他二、三の事務官にも御合いしてみたのでございますが、どうも会社に対する態度が弱くて、正しくその法のバツクを持つて何か動いておいでにならないという感じを強く受けたのでございましてその辺のところもう少し御督励願いたいと思う次第でございます。  それからなお御承知でもございましようが、同じ近江絹糸の大垣工場です、それからさつきの岸和田工場にいろいろ暴行事件が起きておることがございます。これも組合側から告訴はいたしておりますけれども近江絹糸の各工場を廻りましていつも、不愉快、それから不合理な問題がこの労使関係の中にかもされておるという実情をどうぞ頭に入れて頂いて、先ほど委員長の言われたようにまとまつた調査を一つお願いいたしたいと思います。早急に調査をしてまとめて頂きたい。
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この問題は中西局長先ほどまだ問題がはつきりしないで報告する段階じやないと言われたのですが、近江絹糸は実に現地の基準監督署でも手を上げるぐらいにしている事件がたくさんあるのですよ。例を挙げろというなら申上げてもいいけれども、あなたのはうがよく御承知だと思いますけれども、そういう問題を労政局のほうでよく一つまとめられて、この委員会に確定したもの、或いは未確定なもの、或いは提訴中のもの、何でもよろしいから分類をして、全貌のわかるようにせられたいというのでお願いをして、中西労政局長が引受けておられるのです。これは前の速記録を御覧になればわかります。
  38. 中西實

    政府委員中西實君) そうでしようか。
  39. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうですかじやないですよ。そんな馬鹿なことはない。
  40. 赤松常子

    赤松常子君 局長それではいけませんね。
  41. 中西實

    政府委員中西實君) 労政局のへほうでは、今の不当労働行為関係ですけれども、これは仮処分の訴えが出ておりまして、県庁におきましても労働委員会におきましても、やはり一応裁判所の決定を見ておるということでございまして、この頃仮処分の決定の出方が、本来仮処分でございますからできるだけ早く出るべきなんでありまして非常にまあ遅れておるということ、これは早く出ませんと、ちよつと有権的に中に入つて調べるわけに行きませんので、その関係で若干結著が遅れてるという事情にございます。
  42. 赤松常子

    赤松常子君 私労政局長に重ねて申し上げますが、裁判に持つて行くまでに労使の問題にいろいろと波勢丈の問題があつて、それでやつと裁判に持つて行くという経過があるのでございますから、私その経過の、その間の時期における問題をもつと指導なさるのが労政局のお仕事ではないのでしようか、ただ放つておいて両方もんで何でもやつておれ、どうせ又裁判にかけてやるのだろうと、そういう放つてあるということが私そもそも解せないのであつてそういう労使関係指導なり調整なりを、そこまで持つて行かない前に御指導なさるのが労政局のお仕事じやないのでしようか。私どうも手ぬるいように思うのでございまして、もう一度ちよつと……。
  43. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私からちよつと、先ほど労政局長から、そうですかという御答弁がありましたが、これは一応速記録を読み直して下さい、そんなでたらめなことはない。而も僕のほうの委員会としては、労働省のほうが処理しない事項をずつと専門員室のほうで書き出しておるのですが、未解決調査案件というものがこんなにあるのですよ。いつまでたつてもちつとも出て来ない。そういうことをもう一遍速記録を整理して、非常に手間のかかることだけれども、やらざるを得ないので、とにかく近江絹糸は一番初め上條君から質問されました、その後ずつと未解決の問題なんです。その点赤松委員から只今熱心な御質問がありましたが、少くともこれは来週の火曜日の定例委員会までに一つ詳細に御報告せられたいと思います。よろしうございますか……。  もう一遍読みましようか。こういうことになつておる。これはまあ一番新らしいほうですよ。二月二十三日の委員会近江絹糸の問題をやりまして、そうして私が最後に委員長発言としてこういうことを申上げておるのです。  赤松君の御質問に関連するのですが、中西労政局長に私はやはり委員長として抗議ではないけれども、それに近いことを申上げておかなければいかんと思いますがね。それは労働基準法違反に関する問題は、全般的に当委員会が先々国会以来ずつと取上げておることは御承知通りであります。近江絹糸の問題は、特に先ほどお話のありましたように、上條君の発言がありまして、労働者側もたしかあなたの発言であつたと思いますが、今まで起きた不当事項について調査をすることは勿論、将来についても厳重な監督をするというお約束があつたと私は思います。これは基準局長もそうだつたと思います。そこで今現地で監督しておるだろうというお話でしたが、それではこの前からこの委員会で取上げた熱意に応える私は答弁じやないと思うのです。特に近江絹糸の滋賀の現地において基準監督署が数件を挙げて告発をしておるはずです。昨年の私であつたと思うのですが、告発をしておるはずです。それが会社側のほうと意見の相違があつてまだ未解決の状態にあると私は思うのですが、そういうものは一体どうなつておるのかも御報告願いたいと思います。それから今の津工場の新らしい問題も提起されたわけですが、成るべく早い機会に政府側から全貌を調査の結果当委員会に報告をせられたい。こういうふうに思います。」こういうふうにあります。
  44. 赤松常子

    赤松常子君 もう一つさつきお尋ねしたことでお答えがございませんのですが、他にもそういう真の労働組合でない、会社の御用組合のような性格の組合があると思うので、そういうところでこういうことが起きた例がございましようか、どうでございましようか。実例があつたらお示し頂きたいと思います。
  45. 中西實

    政府委員中西實君) 御用組合ですかどうですかは実際はわからないのでございますが、組合除名いたしまして、その組合と会社とがユニオン・シヨツプを結んでおります関係上、解雇にまで発展したという事件はたしか一、二列がございました。今具体的にちよつと覚えておりませんけれども
  46. 赤松常子

    赤松常子君 それではそれもどういうふうに扱われたか、どういう解決になつているかも併せて資料としてお示し下さいますようにお願いいたしておきます。
  47. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 要するに実情を御報告願いたいということですから、有権的なのも無権的なものも合わせて、そうして中央労働委員会、地方労働委員会、労働本省並びに出先機関、或いは向うの組合会社側労働組合側、それぞれの間で問題になつておる点をずつと克明に御報告願えればそれでいいわけであります。
  48. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の問題とちよつと離れますが、労政局長基準局長がおられますので一つお尋ねしておきたいと思うのですが、今回御承知のように行政機関職員定員法の一部改正がなされまして同法の第二条によつて各行政機関の新定員が定められたわけであります。で、この改正法を施行する場合に、労働省の各部局の定員とこれに基いて今後の事務執行をやる上におきましてどういうような影響がもたらされるか、この点について一応承わりたいと思います。
  49. 中西實

    政府委員中西實君) 労政局の関係では人数も極く少くありますししますので、私どもに関します限りは従来とさした影響はないというふうに思つております。
  50. 亀井光

    政府委員亀井光君) 私どものほうも、当初の原案は相当高い整理率で示されておりましたが、その後折衝をいたしました結果、非常にまあ数が減つて参りまして、一般の整理率よりもむしろ低い率できまつております。二年間で申し上げますと、五百七名を二年間に整理する、来年度におきましてはその六割に当る三百名を整理するという基準になつております。そこで総体の現定員は七千四百四十一名でございまして、この中から二年間に五百七名、取りあえず二十九年度におきましては三百名という数字でございます。これは結局内部の事務の整理を先ずやりまして、それによりましてできるだけ従来の無駄な労力というものを省くということが一つ。それから事務の能率を上げるための各個人の資質の向上と申しますか、そういう面に重点をおいて再訓練をいたす。これは従来もやつておりますが、これを引続きやりたいと思つております。従いましてこの程度の数でございまするから、行政の上にすぐどうという影響も来ないものと考えておりますす、又来させないように努力をしなければならないというふうに考えております。
  51. 田畑金光

    ○田畑金光君 労政局長の御答弁によりますと、殆んど従前と変りがないと、こういうようなお話でありますが、殆んど変りがないということは現定員に対しまして整理される人員というものは殆んどないという意味なのか、それが一つ。  それから第二点として、基準局長にお尋ねしたいことは、現在基準監督署を現地に視察してました場合に、御承知のごとく非常に仕事の量が多くて、管内の事業場等を実際年間に廻るといたしましても、一巡することが殆んど不可能である。大体三分の一程度しか実情の調査ができていないというのが、現地に見る私たちの調査の結果そういうことが出ているのであります。最近のように法律軽視の気風、殊に労働基準法の軽視の風が強くなつて参りますると、むしろ基準監督行政機関の強化というか、少くとも機能の十分なる発揮ということが要望されて参るわけでありますが、こういう点からいたしますると、今日の事態におきまして基準監督行政については、殊に中小企業等における基準法の実施の点におきましては遺憾の点が多々あるわけでございまするが、こういうような点につきましては今後どうこれを補強して行かれようとする御意思であるか、この点も併せてお尋ねしておきたいと思います。
  52. 中西實

    政府委員中西實君) 労政局は定員が七十八人で、これを二年間で五人減らすということであります。それから外局になつております中労委、それから仲裁委員会、公共企業体等の中央調停、地方調停、合わせて二百三十五人に対しまして十七名くらいでございます。まあさして影響はなかろうというふうに考えております。それから地方は御承知のように府県の労働部、或いはその所管部の下に労政課がありますが、更に又地方労委の事務局、これあたりは府県ごとでそれぞれやりますので、今のところ一応まだはつきりいたしておりませんが、仕事が差支えるほどの削減は、これはされては困るし、又しないであろうというふうに考えております。
  53. 亀井光

    政府委員亀井光君) 労働基準局関係におきまして、先ほど申上げましたように、二年間で五百七名の行政整理が行われることになるのであります。これが直ちに行政の事務に影響が来ないように我々として努力をするということは先ほど申上げた通りであります。と申しますのは、これはやはり仕事と申しますものは数ではなくしてれやはり個人の能力を上げますこと、能率を上げますこと、これがより大事なことだと思うのでありまして、そういう意味で監督官につきましては監督官の能力を向上するために会議等も開いておりまするし、或いは検察当局と協力しまして調査能力の向上に努力いたしております。そのほか一般の事務につきましては、本省に対しまするいろいろな報費等につきまして、できるだけ不要なものを落しで、行つて内部事務を簡素化して行くというふうな方向で、行政能率の低下を来さないように努力いたしております。  中小企業に対する監督のお話が出ましたが、中小企業につきましての監督者は、私ら毎年監督方針を立てまする際に重点を置いておるところでございます。毎月の監督の実例から申しましても、八〇%程度の力を中小企業の監督においておるのでございます。ただ中小企業の監督にしましても、一人、二人というふうな労働者しか雇つていないところまで一々廻りまして監督するということは、これは能率的でございませんので、そういう場合におきましては業者の団体を通じましてやりますとか、或いは一定の場所に使用者の方々に集つて頂きまして、そこで団体的な監督をして行くという、いろいろな方法を考えながら、能率的な監督のやり方をとつておるわけでございまして、従つてまあ三年に一回とか、よくお話を聞きますが、勿論歩き廻りまして監督いたしますことが監督官の生命ではございますが、併し単に廻るだけでは意味がないのでござまして、そごに廻つたと同じような効果を挙げるような監督の方法というものも考えながら我々仕事をやつておるわけでありまして、決して中小企業の監督が今度の行政整理によつて疎かになるということは我々は考えておりません。
  54. 田畑金光

    ○田畑金光君 中西労政局長にお尋ねいたしますが、いつぞや私この点お尋ねしたことがあるわけでありますが、もう一度念のためにお尋ねしておきたいと思います。それは今後の機構改革に当りまして労政局と中労委との関係、或いは中労委の事務局の関係であります。或いは又府県におきましては府県の労働部と府県の労働委員会事務局との関係、この問題についてどういうお考えでおられるか。ということは今後の労働行政の方向というものを考えましたときに、ともすれば行政機関が、労働関係の紛争に直接介入する或いは介入する虞れがある、こういうことが予測されるわけであります。例えば先般当委員会においても取上げられて問題となりました、労働大臣の炭労争議のさなかにおける賃金カットについての大臣としての私見の発表等というものは、如何にこれは釈明しようとも、炭労の争議そのものに大きな影響力をもたらしているわけであります。こういうような傾向というものが、今後の労使関係に時の行政権力からまま加えられる、圧力になるように我々は見ているわけであります。こういう点から見ましたときに、労使関係の紛争の調整機関として或いは仲裁裁定機関としてある労働委員会の機能を尊重し、この機能を充実させるということが最も大事な点だと、こう思うわけでありますが、従来とも労働省は、殊に労政局といたしましては、中労委の事務局等に対しまして、或いは又府県の労働部を通じ府県の事務同等に対しまして陰に陽に行政機関としての介入の憂いが出ているわけであります。この点につきまして労働省といたしましてはどういう方針をお持ちであるか、改めて一つこの際お尋ねしておきたいと思います。
  55. 中西實

    政府委員中西實君) 仰せのごとく争議は原則といたしまして当時者双方の自主的解決によることが最もまあ理想的なことだと思うのであります。併しながら時に第三者の斡旋、調停、或いは仲裁ということも必要になりますので、そのため特に労働委員会制度を設けてあるわけでございます。そこで労働委員会の行います業務は、争議の調停と、それと不当労働行為の判定的な機能が主ででありますが、これあたりはまあ時の政府とか、いろいろとこの政治的な勢力関係に左右されるべきものではないのでありまして、従つてこれらの委員会の行います行き方は、やはり政府の一般の行政とは別に独立性を持たなければいけない。そこでその独立性を確保するために、それに付属する事務局というものが必要だといことで、労政局と中労委の事務局、それから府県の労働部労政課と労働委員会の事務局というものは、やはりそれぞれ別個の建前で行くべきでなかろうかというふうに考えております。  従つて労働委員会は日本の現状におきましてやはり有用な制度である、これを存続するという限りにおきましては、その独立性が保持できるような機構にしておかなければならないというふうに考えております。ただ労調法の三条にもございますように、「政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与え、これによつて争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない。」というふうな規定があるのでございます。なお又争議が公共の利益に関係して来る、公共の福祉関係して来るということになりますれば、時の政権を担当します政府といたしましてはやはり無関心ではおれないということで、法規的にもいろいろと労働大臣なりが行い得る場合が規定してあります。そのほかにも特に連帯的な争議について調整或いは必要な措置をするということは禁じていないところでございます。併しながら従来の例に徹しましても、徒らなる介入は却つて争議を解決というよりは、こんがらかすことが多いのであります。従つてやはり争議の斡旋或いは仲裁は、できるだけ労働委員会という独立性を持つた機関において行わせしめるのがいいのじやなかろうかというふうに考えております。
  56. 田畑金光

    ○田畑金光君 重ねてお尋ねいたしますが、やはり只今局長の御答弁の中にもありましたように、時の政治権力或いは行政権場力から労使間に対しまして不当に一方的なる介入、支配を禁止するためには、或いは予防するためには、現在の制度として労働委員会のこの三者構成制というものを強化し、保障して行くことが大事なことじやなかろうかと、こう考えておるわけであります。ところが私が先ほどから申しましたように、陰に陽に労働委員会或いは労働委員会事務局の業務の独立性に対しまして、労政行政機関を通じて或いは労政当局から相当にこれを弱体化と言つては誤弊がありまするが、相当の介入がなされようとする憂いもないでもありません。  そこで私更に具体的な問題についてお尋ねしたいと思いまするが、地方自治法の百八十条の三によりますと「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体委員会又は委員の申出があるときは、吏員その他の職員を、執行機関の事務を補助する職員と兼ねさせ、若しくは当該執行機関の事務を補助する職員に充て又は当該執行機関の事務に従事させることができる。」即ちこの地方自治法の百八十条の三によりますと、委員会若しくは委員の申出でにより地方部局の職員を委員会の職員として兼務させることができるとありまして、この条文の趣旨は、例えば労働委員会或いは労働委員会委員のほうから知事のほうに対しまして、事務局の職員の不足に対するまあ応援援助方を求める場合には、例えば労働部労政課の職員を地労委の事務局に派遣するようなことができることになるわけであります。併しこれはあらかじめ委員会若しくは委員の申出があるというような工合にその自主性を尊重しておる。自主的な立場に基いて処理するようになつておるわけであります。ところが伝えられるところによりますると、こういうような自主的な規定を改正いたしまして、一方的に知事或いは労働部の責任者がその職員を労働委員会の事務局に派遣することと、こういうふうなことによつて、事実上労働委員会事務局を弱体化する或いは一方的に左右する、こういうような危険が伝えられているわけでありまするが、この点について労政当局といたしましてはどういう考えでおられるか。或いはこういうことについて御存じでないのかどうか。その点を承わつておきたいと思います。
  57. 中西實

    政府委員中西實君) 今のは地方自治法何条でございますか。
  58. 田畑金光

    ○田畑金光君 百八十条の三でございます。
  59. 中西實

    政府委員中西實君) これは当初但書がございまして、政令で定める委員会には影響しないと、こうあつて公安委員会と労働委員会が指定されておつたわけであります。この規定はそもそもどういうことを考えておるかというと、委員会の建物の管理だとか或いはいろいろとそういつたいわゆる庶務的なことでございますね、これは本来は知事がやるということになると、委員会の職員にはやらせないことになるわけです。従つてそういう仕事は委員会の職員にもやらす、その逆の場合もあり得るわけであります。そういうことについて別に労働委員会を除外する必要もなかろうじやないかというので但書からたしか取つてもらいまして、そういうことはそれぞれ双方一任してやり得るということにしたわけであります。そのことはどういうことかというと、却つて労働委員会の自主性といいますか、労働委員会が建物を、その事務局ですね、事務局局長あたりが建物を管理し或いはいろいろとそういつた庶務的なことも委員会事務局としてもやれるということになるわけであります。この点は労働委員会のほうから切なる要望がございまして但書から外してあるのです。ですから決して独立性を害する方向にないのであつて、労働委員会からのそういつた要望に基いて改正しておるということになるのであります。
  60. 田畑金光

    ○田畑金光君 私のお尋ねいたしますことは、その面ではなくしてですね、要するに知事が或いは労働部長がこの百八十条の三の全項を改正することによつてそれぞれの労働部の職員を事務局に派遣するとか、事務局の兼務をさせるとか、こうして労働委員会の事務局の内局化を図る、こういうようなことがなされるならば、それはもう事務の独立性とか、労働委員会の独立性が損なわれて参りまするので、その点についてそのような危険性が伝えられておるのだが、労働省としてはどうお考えになつているか。或いは労政局長としてはそのようなことは絶対にさせないというような考えの下に今後対処なされようとされるのか。この点をお尋ねしているわけであります。
  61. 中西實

    政府委員中西實君) 今の日本の労使間の実態からいたしまして、やはり労働委員会の存続、これの活用ということほ是非必要だと思います。そうだといたしますれば、その機能の独立性保持ということについて考慮しなければならない。そこで事務局というものもやりその独立性を遂行し得るようにきつちりと整理しておかなければならないということが基本の考えでございます。ただもう田舎のほうに行きますと、労働委員会といいましても極めて仕事がない。かたや労政課のほうでも余りそう大して年中忙がしくないというような場合には、例えば労働教育その他の面におきましては、そうあつちの職員だこつちの職員だというように余りセクト主義を発揮してやるよりは、お互いに協力する面もあるのではないかどうか。その程度のゆとりは考えさせていいのじやなかろうか。併し労働委員会の独立性を阻害すべきではない、これが基本でございます。
  62. 田畑金光

    ○田畑金光君 基準局長にお尋ねしておきますが、労災病院の建設につきまして、先般北海道の場合もいろいろ当委員会において議論をなされたことがあります。その他各地の今労災病院が建設される予定の場所において、或いは県におきまして、県の内部における誘致の問題で争いがある場合もありまするが、県と他の県とが又誘致争いをしておる事例を非常に聞くわけであります。而もそういう県内部の場合は別としまして、県と県との場合等を見ました場合に、多く政治的な力関係というものがその背後にある。又県の内部においても、北海道の場合においてもそうでありますが、県の内部の相互の誘致関係におきましても政治的な力関係が非常に介入して来ておる。誠に遺憾なことだと、こう見るわけであります。労働省といたしまして、労働基準局といたしましては、この労災病院の建設のために本年度新設費として四億四千万円も計上されておりまするが、この敷地、場所、予定地等町について明確に決定されておるのかどうか、これが一つと。それからその政治的な力関係というものに非常に動かされやすい危険性があるが、当局としてはその危険性を自覚した、認識した上に立つてこの問題と取組んでおられるのか。或いはこのような政治的な介入につきまして、どういう考え方でおられるのか。これをこの際承わつておきたいと思います。
  63. 亀井光

    政府委員亀井光君) 昭和二十九年度の予算で新設をいたしまする予定のところは、北海道の岩見沢の病院、それから関東の総合的な労災病院、これは京浜地区に候補地を物色中でございます。それから四国に労災病院を一ヵ所、総会的な病院を作りたい。この四国につきましては、香川県を愛媛県におきまして誘致の申入れがございまして、両県下におきましてもれぞれの候補地を選びまして、陳情が参つているのであります。これを私ら事務的に検討いたしますると、愛媛県の側におきましては、労働者の数その他の上におきます長所はございまするが、交通の便利のいい、四国全体の労働者の診療いたしまする点からいいますと香川県のほうが、徳島或いは高知というふうな県から参ります労働者は皆便利である。併しその地元におきましては愛媛県のような多くの労働者が…、おのおの長所短所を持つておりまして、いずれとも決定をしにくい実は事情もあるわけなんであります。  そこで私らとしましてはでき得るならば両県の知事さん同士の話合いでおきめ頂くのが一番望ましいじやないか。と申しますのは私の理想としましては、将来各県に一つずつの労災病院を設置したという考え方を持つておりまするから、ただ時期的に早くなるか遅くなるかという違いだけでございますので、その点も考えて、只今両方の知事にその決定方をお願いをしておるような現段階でございます。  それから門司に港湾荷役関係労働者を主体としまする、小倉にございます九州労災病院の分院を設置をいたしたい。それから長崎県の佐世保地区、あの炭田に一ヵ所設置をしたいと思います。これにつきましては長崎県下に二つの候補地がありまして、まだ最終的な決定に至つておりませんが、これも県内のことでございまするから、知事さんに最終の決定をお願いをいたしているような段階でございます。
  64. 赤松常子

    赤松常子君 時間が迫つておりますから簡単にちよつと基準局長にお尋ねしたいのですが、駐留軍の家族宿舎のメイドさんたちの労働条件が非常に最近悪くなつております。こういうことについて御調査なすつておりましようか。それに対する対策を何か考えていらつしやいましようか。
  65. 亀井光

    政府委員亀井光君) この駐留軍の家族宿舎用員につきましては、御承知のようにLSOから直傭に切換えがありました当時におきましては、我々もそういうふうに労働条件が低下する虞れがあることを懸念いたしましげれ米側に交渉をいたし、労働条件が低下しないようにということで、サーキユラーも実は現地のそれぞれの軍に出して頂いたのでございます。ところがその後それらのサーキュラーが守られないと申しますか、次第に労働条件が低下しているというお話を、実は先般衆議院の労働委員会におきまして公述人の公述も私お聞きしましたし、又昨年八月東京の労働基準局におきまして、現地調査をいたした結果も報告を受けている次第でございます。  ただ現在の労働基準法の適用の問題になりますと、その主たる業務が家事でございまして、従つて家事使用人ということが一応我々の解釈上出て参るわけでございます。そういたしますると、その使用するものが日本人あろうと外国人であろうと、家事使用人であることにつきましては法律上差異がないわけでございますから、労働基準法の適用は現在ないという解釈を今もとつておりますが、ただ問題が言語、風俗、その他習慣等の違いまする外国人に使用されまするためにいろいろな制約を受ける或いは制限を受ける。特に、それが基地内でございまするためにいろいろな制限を受けることは事実だと思いまして、そこで労働基準法を現行法におきましては適用されませんが、何らかそこに保護の途が考えられるのじやないかということで、検討いたしている次第でございまして、最近の機会におきまして現地調査をいたしまして、その結果に基いて何らかの対策を考えたい。併し要は最終的には外交折衝の問題になろうかと思いますので、日米合同委員会あたりに問題を提起しまして、その解決方を図りたいというふうに今考えている次第でございます。
  66. 赤松常子

    赤松常子君 家事使用人ではございますけれども、集団した宿舎にまとまつて働いているのでございますので、監督なり或いはその連絡なり普通の女中さん方と違つた条件にもあるわけでございますから、是非そういう点でお考え頂きたいと思うのでございます。  それからもう一つお尋ねしたいのは、メイドさんたちの寄宿舎にやはり寄宿舎法というものも布かれてない実情なのでしようか、布くことはないのでしようか。
  67. 亀井光

    政府委員亀井光君) 現在只今は先はど申上げましたよりに家事使用人ということに解釈されますし、家専使用人でございますれば労働基準法の適用がございせんから、付属寄宿舎規定の適用はないものと考えております。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ家事使用人云々ということでございますが、メイドさん、それから或いは食堂のボーイさんこういう者、今赤松委員からお尋ねの点は、非常に今仕事が接近をしておるそういう食堂のメイドさん云々……個人一のハウス・メイドの場合は或いはお話のような点もあるかと思いますが、食堂その他集団をいたします場合には個人的な雇用者と言えるかどうか問題のところが相当多いのだろうと思います。それから私どももこの食堂の使用人、まあ女の場合もあり男の場合もありますが、そういうものについて基準法違反の事例を非常に聞いているわけです。私どもに実地調査を依頼された向き等もあるのですが、こういう食堂その他についても全部家事使用人として基準法の適用がないと考えられておるのでありましように、その点一つ承わりたいと思います。
  69. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほど赤松先生の御質問にお答えしましたのは、駐留軍の家族宿舎の用員についてでございます。今御質問のございました食堂その他のところにつきまする直傭の労働者につきましては、具体的な実例を以てお示し頂かなければはつきりいたしませんが、大体におきましては基準法は適用あるものと私は考えております。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 この点一つお調べを頂いて、資料に基いてその論議をしなければ事態が明らかになつて参りませんと思いますので、そういう状況或いは労働者の数、それから労働関係基準法違反事例といつては或いは基準局長のところへ出て来ないかも知れませんけれども調査の方法によりましては実態は出て参ると思います。調査資料を御提出願つて、次の機会に質疑をいたしたいと思います。  なおここで私申し添えますが、この同じしLSOの労働者でありながら組合に入つておる入つておらん、こういうことで法の適用が実際確保されておるおらんということも相当あるように思うのですが、従つて労働組合に加盟の事実もその調査の際に資料の中に一つお加えを頂きたいと思います。これは大変関係があるように私どもは思つております。資料を出して頂いて私は次の機会に質疑をいたしたいと思います。
  71. 阿具根登

    ○阿具根登君 労災病院について局長は四国は愛媛と香川で、双方から陳情があるので非常に工合が悪くて両県に任しておる。こういうお話でしたが、長崎は佐世保と長崎の問題は、これは県知事に……、そういうことを言われるのは当然だと思いますが、北海道の場合で丁度こういう問題が起つたときには局長は、県で、両県からあつた場合には中央としもこれは当然どちらかにきめるべき義務があるのだけれども、北海道ということになつて、これは道知事がきめるべきだ、こういうことで道に持つて行かれて道では分院を作るというような結果で納まつたと思うのですね。そうすれば四国は二つの県が双方から提出しておるのを、二つの県知事にお前たちの県でまとめろと言つてもこれは不可能だと思うのです。そうした場合に、四国の話も聞いてみますれば一応の形ができているよううに聞いておる。例えば愛媛のほうに本院を作つて、そうして香川のほうに分院でもいいから…、こういうような線も出ているということを聞いて、いるが、これに対して基準下局として何か考えを持つておられるかどうかですね。依然として両方の県知事がどちらかでまとめて来いというようなまあ無責任な考え方かどうかお伺いしておきたいと思います。
  72. 亀井光

    政府委員亀井光君) お話通りでございまして、県内におきまして候補地が競争しておりますときは知事の裁断を我々としては待つ、それから二府県に跨がります場合におきましてはそういうことも非常にむずかしいので、最終的には労働大臣がこれを決定して行く、これはそういう方針は従来も変りないのでありまして、先年大阪と兵庫県両方で関西労災病院の設置につきましてもめました場合におきましても、結果的には最終的に労働大臣がこれを決定したということになつております。今回の場合も勿論労働大臣が決定権を持つておりますから、どちらにでも決定する権限はございまするが、まあできるだけあとにしこりが残らないように円満に解決できるならば、そのほうがより望ましいことでありますから、その両者の話合いを我々として見守つている次第であります。どうしても最終的な話合いがつかんということになれば、労働大臣が勿論最終的に決定するという段階になると思います。
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  74. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記始めてさい。
  75. 吉田法晴

    吉田法晴君 質疑じやなくて資料の要求をいたしたいのでありますが、先はど田畑委員質問もございましたが、前から問題にしましたいろいろな点で、職安法の違反事件、これは造船関係等であるということを聞いておりますので、職安法の違反事件をつわかつているだけお出しを頂きたい。  それから基準法関係違反事件、それをお願いしておきます。  それからこれは或いは労政局長になるかも知らんと思いますが、保険関係、労災保険、失業保険は労働省でおやりになつておるのですが、そのほかに厚生省で所管をしております厚生年金或いは船員保険、それから健康保険、それからこれは省が違うかも知れませんが、共済組合関係、いずれも労働者の保険関係の問題でありますが、お願いをしたいのは、その収支と申しますよりも、この運用資金或いは積立金、こういう関係を明らかにいたして、労働者なり或いは労働者のために運用、積立てられます金が、労働者のために使われるようにすることは、これは我々委員会だけでなしに、恐らく労働省としてもお考えを頂いておるんだと思うのであります。厚生年金等については、或いは厚生病院をその資金の中から運用をして建てるという御構想も多少はあることは承知いたしております。或いは労災保険の積立金を引当にいたしまして労災病院が考えられでおるということも承知をいたしておりますが、ほかにも私が挙げ出した以外に保険があるかと思うのでありますが、それらの労働者のために積立てております、或いは運用しております保険の運用資金は積立金の金額、それからその用途と申しますか、どういうような預金、資金運用部資金に廻つてるのもありましようし、それが何分の利子でどういう工合に使われておるか、こういう点について一括して成るべく詳細な資料を頂きたいと思います。
  76. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。
  77. 中西實

    政府委員中西實君) はい。
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではこれで散会いたします。    午後零時三十七分散会