運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-24 第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十四日(土曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松永 義雄君    理事            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            上林 忠次君           小笠原二三男君            武藤 常介君    委員            秋山俊一郎君            榊原  亨君            横川 信夫君            島村 軍次君            寺本 広作君            千田  正君            鈴木 強平君   政府委員    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局総    務課長     佐藤 一郎君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○補助金等臨時特例等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松永義雄

    委員長松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。  補助金等臨時特例等に関する法律案議題に供します。前回に引続いて農林関係質疑を願います。政府から大蔵省主計局長森永貞一郎君、同総務課長佐藤一郎君、農林省農業改良局長塩見友之助君の三名が出席せられておりまするから、御質疑のあるかたは御発言願います。
  3. 鈴木強平

    鈴木強平君 政府側一つお尋ねしたいのですが、この臨時特例等に関する法律案提案理由の中に、政府は、国の財政健全化及び中央地方を通ずる財政調整見地から、かよう法律を出す。そこで慎重に検討の上、後日適当な措置をとることを妥当と考える、後日適当な措置をとることを妥当と考えるそのために、今臨時的な措置法律案を出すと、こう提案されておりますが、後日適当な措置をとるというのはどんな措置でございますか。
  4. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 補助金が私ども国民生活乃至は経済活動に非常に緊密な関係があることは勿論でございます。従いまして、この問題を如何に処理するか、これは非常に慎重に考えなくちやならない問題だと思います。併し他面補助金制度現状考えますと、まあその量が非常に大きくなつて参りまして、財政上の非常に大きな問題になつております。又その実情を考えますと、率直に申しまして、或いは総花的に流れている虞れもございまするし、又いわゆるマンネリズムの弊に陥りまして、補助金本来の効果を達することにおいて如何かと思われるものもないではないわけでございます。なお又補助金が徒らに政府依存の弊を起しまして、企業の自主性乃至は地方財政自主性の上において如何かと思われるような影響もなくはないよう現状にございまして、これらの点につきましては、私ども補助金制度全般につきまして根本的な検討をして、中央地方財政政策の確立、又補助金本来の目的がより多く達成されるような重点的な補助金制度への移行、まあそういつたようなことで更に検討しなくちやならんと考えているわけであります。で、今般は一部そういつた意味から全般的な検討を開始いたしましたのでございますが、何分にも時間的な余裕がございませんで、検討の結果は必ずしも全般的、根本的なものとは称し得ないことに終つているのでございまするが、財政上の要請から、殊に緊縮予算、一兆円予算というよう要請に迫られまして、本年度は取りあえず必要と認められる措置を講じた次第でございまして、更に今後政府部内は勿論、関係方面民間学識経験者の方方のお知慧も拝借いたしまして、この問題を如何に処理するかということにつきまして、一層慎重な、根本的な検討を遂げたいと、さよう考えている次第でございます。
  5. 鈴木強平

    鈴木強平君 よく御趣旨がわからないのですが、結局他に依存しないで行くためには、負担金或いは補助金ようなものは漸次廃して行きたいのだ、或いは廃すことが目的である。かよう結論なのでございますか。
  6. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 必ずしもこれを全廃するというようなことではないわけでございまして、いわば総花的な補助金制度に陥り勝ちなのを、重点的なもの、最も補助を必要とする部面に強力なる補助をして補助目的を達する、或いは又中央地方との関係におきましても、徒らに中央財政頼り勝ちな点が何とか是正できるように、地方財政自主化に資するような方向でこの補助金制度の問題を検討して参りたい。必ずしも補助金を全廃するとか、大幅に整理するとか、なくするということを最終の目標としているわけではないので、目的を達していない補助金につきまして整理を遂げたい、さよう考えでございます。
  7. 鈴木強平

    鈴木強平君 本日委員長から、今日の議題は特に農林に関することを議題とすると言つておりますが、特に農林に関することにおいて、補助金負担金については重要とお考えになりますか、如何ですか。
  8. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 農林業は、まあいわば原始産業的なところが少くないのでございまして、補助金制度考えます場合にも、すでに農林省関係には非常にたくさんの補助金が出ているわけでございますが、この原始産業という特質は、将来の根本的な検討の際にもこれは一つ考慮すべき大きな要素であるかと思います。他の部門に比較して、補助金制度農林部門におきましては多く残るのが農林業性格から来る一つの特色ではないか。勿論農林業につきましても、できるだけ補助金制度整理して参りたいと思いますが、他のいろいろな産業部門に比較すれば、農林業の場合は対象になるべき性格がむしろ最後まで残るべき分野ではないかとさよう考えます。
  9. 鈴木強平

    鈴木強平君 非常に御多忙中、予算もあるにかかわらず、主計局長に来て頂いて私の質問したいというゆえんのものは、大蔵省関係に、農林省予算について、そのうちの補助金或いは負担金などについて大蔵省はどんなふうにお考えになつているか、今後はどのように処置なさるか、これは重大な問題であると思うのです。衆議院におきましては、この法律案を通すに当りましては、当分の間というのを一年限り、いわゆる時限法に全部改める。これについて大蔵省としても、満場一致でかように決議された以上は何かお考えになつているのではないだろうか。言換えれば一年間の時限法であるが、その一年間の後にはどうするか、補助金はそのまま出すのであるか、或いは提案の中にあつたような、改めて根本的な問題として出すのであるかどうか。これは重要であると思うのですが、衆議院の意思もすでに表示されておりますし、従つてような当分の間ということにつきましては、一年間の期限を付して元に戻すというのが衆議院側意向でございますか、これにつきまして大蔵省側の御意見を承わりたいと思います。
  10. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 政府提案は当分の間ということになつておりまして、これを衆議院で一年ということに修正されたのでございますが、私どもといたしましては、できればこの一年の間に、より根本的に、又は慎重な、関係方面の御意向も網羅いたしました補助金検討を遂げまして、その結論に基きまして来年度以降の制度考えたい、その結論の結果、或いはもう少し広い範囲補助金整理をしたほうがよかろうということになりますれば、さよう趣旨補助金制度整理乃至は予算措置をいたしたいと存じまするし、或いはそれと違つた結論になりますれば、その結論を尊重することになろうかと存じますが、一年間の時限を与えられましたこの期間に、できるだけ慎重な検討を遂げたい、さよう考えております。
  11. 鈴木強平

    鈴木強平君 衆議院側時限法にしたゆえんのものは、政府提案理由と異なりまして、今まで法律によらなければ削減できない補助金、そういうものを取上げたものについてすら、これは妥当でない。併しながら、これを否決することは、同時に本予算関係する。予算の組替をすることは非常に困難を来たすからということで、言換えれば法律によつて補助金削減するものについて適当でないという見地に立つて、当分の間一年にしたよう衆議院側から私は聞いておりますが、そうでなくて、衆議院側修正した意向はそういう意味でなくて、一年の後に根本的な対策大蔵省か出すのだ、かよう意味修正でございましたか、どうか、お尋ねいたします。
  12. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 衆議院修正の御意向の中に、只今鈴木委員がおつしやいましたような点も入つておりますことは、私どもも承知いたしております。併し他面もう少し広い範囲で根本的な検討をしなければならんのじやないか。この法律取扱つただけの問題じやなくて、もつとほかにもいろいろな問題があるのだし、もう一遍根本的に検討をやつてみたらどうかという御意向も存するわけでございまして、私ども衆議院の御意向も、これは十分伺つて尊重をしなけりやならんのでございまするが、もう一度根本的な検討をやらして頂きたい。まあさような希望を抱いておるわけでございます。
  13. 鈴木強平

    鈴木強平君 この法律案を我々が審議するに当りましても、今年だけの審議では補助金などは目的を達しません。さよう意味におきまして根本的な対策を練るとおつしやいますが、そういたしますと、現在ありまする補助金負担金などを来年度においてはどのよう方針をとつて、どの程度に、例えば現在出ておるところの補助金はどの程度削減する、例えば何%くらいはこうして行きたいのだ、或いは農林関係はどうであるとか、厚生関係はどうであるかというようなことを、そうはつきりしなくも結構ですが、重要なものと、重要でないものにつき先ず比率からどう程度にするくらいの予想がなければ、この法律案審議は非常に困難だろうと思うのでありますか、大体の見通しで結構でありますから……。
  14. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 数字的に何%というような目途は立つていないのでございまして、むしろ予算編成上の観点だけからでなくて、補助金制度のあり方が如何にすれば最も効果を上げるか、又中央地方との財政関係からいたしまして、地方財政自主性を強調する面と、それから中央紐付き補助金行政目的の貫徹を期する面と、この両方の問題がございますが、それらの面を如何に調整按配するか、そういつた主として制度的な見方、根本的な見方から、この問題に臨みたい。ただ単に来年度予算編成補助金を何十億節約しなくちやならんというような、そういう予算上の観点だけからでなくて、もつと広い視野検討したいと考えておる次第でございます。
  15. 鈴木強平

    鈴木強平君 この機会に、関係官庁である農林省側で、農林省関係におきます補助金が、今年度も多数削減或いは削除せられておる。農林省側欣然としてこれらの削除に賛意を表しておるのか。又今日私の尋ねたいことは、日本農業政策の将来、これは根本問題でお尋ねしたいのでございますから、例えばこの提案がどうであろうと、農林省関係当局としてはどういうふうにお考えなんですか。かよう補助金を切られても、なお且つ増産もできるし、或いは生活改善もできる。諸外国に対しても劣らない、充実した食糧増産ができるという観点に立つて、これらの法律案の改正を御提出になつたのですか。関係官庁として、その責任のある、この法律案とは関係なくも結構ですが、お答え願いたいと思います。
  16. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私は改良局長でございますので、改良局関係以外のことには必ずしも通じてはおらないので、改良局関係だけ申上げますれば、各種の補助金は、それぞれやはり増産上或いは農業の経営安定上必要なものとして要求したわけでございまして、そういうふうなものの削減というものを欣然として受けているというふうなことは全然ございません。この改良普及員その他の問題につきましても、これは財政上の見地からというふうなことであつて、而もそれは暫定的にというふうなことであつて、そういうふうな広い視野からの判断というふうなものは、私ども判断でなく、もう少し大きい視角から閣議その他で判断が下つたものでございますので、我々としては勿論この農業改良助長法というふうなものを政府提案出したものでございます。その内容等につき改変を加えるということは忍びない立場にあるわけでございます。
  17. 鈴木強平

    鈴木強平君 先ほど大蔵省関係は、補助金などについては、予算的措置或いは財政的関係からは見ない。もつと深く掘り下げて、その補助金によつてどのよう効果が上るかというような点から将来も考えてみたいし、暫定的にしても恐らく考えておると思うのですが、そうしますと、現業の農林省側意見とそこに食い違いがございますが、本年お出しになつたのは、これはただ単に予算的な、財政的な見地からだけお出しになつたのでございますか。特に農林関係と言つちやおかしいが、ここに出ております復旧事業につきましては……。その点についてお尋ねします。
  18. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 将来の検討方針といたしましては、単に予算の面だけでなくて、もつと広い視野考えなくちやならんということを申上げたわけでございますが、本年度予算編成に際しましても、予算の面だけを考えたわけではないわけでございまして、その補助金が果しておる効果或いは中央地方との事務の分担からいつて高率補助の必要があるから、それを中央地方との責任を明確にする意味で、二分の一にする余地はないかどうか、そういうよう観点についても一応の考慮をめぐらしたつもりでございまして、ただ結論といたしまして、何分にも本年は緊縮財政でございまして、農林省その他各省の切実なる要望がございましたものに対しまして、多少御不満を凌いで頂かざるを得なかつたというような点も絶無ではございませんのでございますが、検討は単に予算の面だけではなかつた、その他の面につきましても能う限りの考慮払つたということを御了承頂きたいのであります。
  19. 鈴木強平

    鈴木強平君 この機会に特に主計局長にお尋ねしたいのですが、まあ我々は、日本は敗戦後農地の改革が施行されて以来、例えば今自由党が内閣を持つておりますが、左右社会党内閣をとつても、日本農業政策というものは、そう大した違つた政策をやるまいと思います。私自身の考え方としては、日本農業政策は、これは各政党年次大会を開きまして政策をきめます。併しながら、特に日本の根本的な農業政策に関しては、如何なる政党内閣をとつて農林行政をやつても大差はない、言換えれば五年、十年一つの国是としてやつておるのではないか、かように私は考えておりますが、日本農業政策も、例えば政党が違うとか、総理の地位が変れば、大きな差か出るとか、根本策が変るとか、これについてのあなたの御意見を承わりたいと思います。
  20. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 農業政策というような百年、千年に亘るような大政策が、そう政党政派の相違によりまして根本的に相違すべきものであるとは承知いたしておりません。只今おつしやいましたように、そんなに性格の変つたよう政策はなかなか打出しようがないんじやあるまいか、かよう考えております。
  21. 鈴木強平

    鈴木強平君 若しそういうお考えであれば、この法律案の中にも、特に改良普及事業につきましては、各委員からも意見が多数出ておりますし、この問題については特に審議にも日を要しております。我々もこの点は改良普及事業がまだ所期目的を達しないのに、なぜに三分の二を二分の一にしなくちやならんか、中央地方との財政的な調整から、差額地方にやつたということで三分の二を切つて、そうして所期目的を達せられたかどうか、二分の一の場合と三分の一の場合とどつちがよろしいか。同じ金を出すに当つてもそういう点について補助金というものの性格から見まして、一つどうお考えになつておりますか、お尋ねいたします。
  22. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 農業助長改良法は、施行以来すでに六年も経過いたしておりますし、もうすでに相当普及いたしておるわけでございますが、一方この事業は単に国だけが責任を持つべき事業でもなくて、国と地方公共団体地方団体が力を合わすべきものであるというようなその点も入れまして、補助率は二分の一にいたしまして、その差額平衡交付金のほうで補えると、さようなことにいたしたわけでございます。この種の問題につきましては、実は異つた二つの極端な議論があるわけでございます。一つ議論は、この補助金を完全な紐付にしたほうが行政目的が達せられる。もう一つ観点はできるだけ紐付を廃して地方の自主的な財源を強化し、地方の自主的な責任においてやらしたほうがいい、その異なつた二つの極端な観点があるわけでございますが、私どもは現段階におきましては、そのいずれの極端をも廃すべきであるというよう考え方をいたしているわけでございまして、結局補助の限度といたしましては、国は半分ということで、半分は自主財源ということが現段階に最も即したものではないか、さよう考え方をいたしまして、この結論に到達いたしましたわけでございます。三分の二を二分の一にいたしました場合に、事業目的を達する上において効果が減るじやないかというようなお話もございましたが、これは府県知事考え方によりましては、そういう心配は絶無でもございますまい。併し府県も又自己の管内におきまする農業改良事業につきましては、非常に熱心な積極的な熱意を持つているべきでございますし、又平衡交付金法その他地方団体に対する指導の上におきましても、十分そういう指導ができるはずのものでございますので、この補助率を二分の一に下げましたから直ちにそれだけの効果が減ずるというようなものでもないのではないか、さよう考える次第でございます。
  23. 鈴木強平

    鈴木強平君 すでに施行されて六年になつているから、いい加減でいいのじやないか、それからこれは中央だけで面倒を見なくても勿論地方でやるのがいいのじやないかというように聞えますが、勿論これは実際中央が金を出しても地方でやらなくちやいかん。併しながら、農業改良普及事業が果して所期目的を達したか達しないか、今が重大な時期であるかどうかということは、これは改良局長は勿論でありましようが、大蔵省においても認識されていると思つてつた。若しおらない場合があるかと考えまして、特に主計局長のお出でを願つたのですが、私の調査した範囲では、一体日本農家の総人口は幾らかというと、御存じ通り二十五年に八千三百二十万に対して、農家人口は三千七百八十一万人で、四五・四%でございます。全人口のやや半分を持つている。併しながら日本の総人口は毎年百三十万から百四十万殖えて行きます。併しながら農家人口は二十五年から六年、七年を経て八年に僅かに九万しか殖えていない。二十五年に三千七百八十一万であつたのが二十八年に三千七百九十万にしかなつていない。ところが日本の総人口は八千三百二十万から八千六百三十万に殖えている。農民についてやや気を許せば、農村人口が減つて行く重大な危機があるのじやないかと見ている。而も農家の耕す耕地はどうかと言えば、御存じ通り日本全土に対して僅かに一三%足らずであります。如何なる外国を見てもそんな少い耕地を持つているのは日本だけです。而もこの中には多くの引揚者が入つております。決して都市だけでなく、むしろ農村関係が如何にして人口の過剰、引揚者を包含して行くかという大事なところに来ていると思う。ところが入植関係を見ても、終戦後から今までには入植関係は合計では二十二万三千戸入つております。而も今まで六万二千戸が離脱しております。なぜ六万二千戸も離脱したか、如何にも農業が苦しい、都市との経営関係が非常に苦しい、そういう立場から農業関係に入つても三分の一も離脱している、現在では十六万しか残つていない。そういうようなときですから非常に大事であろうと思うのです、改良普通事業ということは……。そういう観点に立つて、国がもうやや助成の目的を達した、中央地方との財政を一様にする意味において二分の一にして行くということであれば、一般農民及び世間の見方は、普及事業も一旦用を達したのだという考え方になるのじやないか、こんなことで若し農家が安心したら大変なことだと思う。こうした統計の資料から見て、主計局長はなお二十三年に施行された普及事業は六年をけみしたから、もはや十分であるというお考えでありますか。
  24. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 農業改良事業はもうこれでいいのだということを申上げているわけじや決してございません。六年も経ちましてその重要性につきましては一般認識も高まり、各地方団体における重要性認識ももう十分徹底して来た、そこで今までは三分の二の補助紐付き残り地方財源ということにいたしておりましたが、国も地方もこの仕事重要性認識して責任を分つ意味で、国は二分の一、その残り地方財源に任す、これは国も地方団体もこの仕事重要性認識して、この問題に一層責任を感じられ努力をして行く上においてより適等制度ではないか、さよう考え方をいたしておるわけでございます。決して農業改良普及事業重要性を、もうこれでよろしいのだとかというよう考え方はいたしていないことを御了承頂きたいと思います。
  25. 鈴木強平

    鈴木強平君 この機会にお伺いしますが、一体都市における産業の何と言いますか、収入と言いますか、産業関係賃金と、農村における賃金との差は一体どのくらいになつておりますか。補助をするとか、或いは負担をするとかということは、都市農村との経営状態が全然そこに差があるので止むなくやつていると思う。そういう点について、どのようなところへ来ておりますか、都市賃金と農山村の賃金とは……。
  26. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 具体的な賃金がどの程度に開いているかという問題につきましては、只今正確な認識を持つていないのでございますが、先ほどもちよつとお答え申上げましたように、農林業はいわば原始産業でございますし、従いまして農業林業等経済力は、都市関係者に比べればどうしても経済力が低いわけでございます。その意味農林業に対する補助は他の鉱工業に対する問題よりも一層切実な要請である、従いまして補助金制度等の全体を考えます場合にも、農林水産業につきましては重点的に考えなくちやならん、そういう考え方をしていることは先ほど申上げた通りでございます。その認識の基はやはり農林水産業経済力が低いということに基いておることは申すまでもありません。ただこの補助農林に対する補助ではないわけでございまして、申すまでもないわけでございますが、地方公共団体に対する財源紐付補助で見るか、自主財源で見るか、そういう問題でございます。従いまして直接農民に対して補助を打切るとか何とかという問題ではないわけでございますので、その点も併せて一つ御了承を頂きたいと考えるのでございます。
  27. 鈴木強平

    鈴木強平君 ただ先ほどおつしやる通り、あなたの言うのは普及事業がもう六年経つたし、適当な時期に来ているというようなお考えだから申上げるのであつて、我々の調べたところでは、農業と全産業賃金関係は、全産業は二十八年六月が男女平均七百十四円になつております。而も農業男女平均二百五十七円、三六%にしか達しておらない、ここに国家補助政策を当然すべきなんです。しなければ農民はやつて行けない、而もさつき言つた通り全土の僅か一二・七%しか持つておらない。言換えるならば、一農家は今日では一町を耕やすことができないで、八反九畝しか耕やして行かれない、そういう情勢下にあつて生活は困難になる、而も限られた土地を立体的に利用して行かなければならん。これはもう一番大事なことは改良普及事業であろうと思う。そういう一番大事なものを取上げて、財政的見地から或いは緊縮的な予算編成考えから、地方に委譲したつて差額は出るのだから同じではないかという考え方は非常に違つて来るのです。国家がどこにウエートを置いているか、三分の二十したものを二分の一に減らして、将来の調整の上においては二分の一になつてしまうのじやないか、こういう観点に立つておるので、この間なんか、我々のほうの委員会では、関係参考人秦さんが述べた中には、何か若し日本の稲作でこれを割つて見れば、二十九億の各県市町村もまぜた全土の改良普及に対する助成金は、これを稲作に合せるならば僅か百三円にしかならない、一反歩にしまして……。而も一反につきましては千分の五%にしかその費用は当つておらない。そういうように言つております。これを一家の農家なら五百四十五円にしか当つておらない。年間通じまして助成策の全額が、そういう観点から立つて如何にも改良普及事業は二十三年に発効されたということで、今度は中央地方との財政調整で二分の一に減らしている。そうして将来は二分の一という建前をとつて行くということになつたら大変だと思う。この間も農林関係におきましては、海外移民問題につきまして、今度は外務省が移民局を作りたい。去年は参議院に出したが削除された。今年はもう一度出したいというので近く出すそうであります。今までは移民局でなくて、外務省の中に移民課があるだけです、欧米局に……。海外で農業移民が成功しておるが、例えばブラジルのサンパウロにおいては三十五万の人が五億二千万ドルの稼ぎをしております。毎年日本には五十億円の金なり、品物なり、いろいろな意味でそれを送り帰して来ております。何というか、国内への送金であるとか、或いは必要物品を貿易にして買上げるとか、或いは船賃であるとか、あらゆる面で五十億円を送り帰しております。たつた三十五万の人々が……。今大きな政策日本としては食糧増産もありましようけれども、同時に又海外の大きな問題であろうと思う。優れた人格と技術のよい日本農家ができれば世界各国は本当に心から待つているのです。そういうよい人が行つたブラジルのサンパウロあたりが、かように成功して毎年五十億円も日本の助けになつておる。従つて海外に聞えても、今までは日本は苦しい農家へ三分の二の補助をしたが、二分の一になつたというのでは、海外の移民にも大きな影響をもたらすと思う。三分の一が二分の一ということで、これは中央と地分の財政調整というだけで糊塗する問題じやないと私は思うのですが、そういつたことはもつと大きく世間は見ておると思いますが、その点は如何ですか。
  28. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) そういうようなお考え方、そういう見方も確かに一つ見方であろうと思いますが、私どもはこの農業改良普及事業というのは、国も勿論重大なる責任がございますが、国だけでなくて、やはり府県も相当にやはり力を入れて行かなくちやならん問題である。その両方が責任を分ち合うという態勢で臨んだほうが、より一層この目的を達成し得るのじやないかというようなふうに考えておるわけでございまして、そういうよう観点から、国家補助は二分の一、府県補助を三分の二を持ち、その残り等につきましては、自主財源を十二分に考慮する。そういうよう考え方を持つわけでございまして、その間の事情をよく御説明頂きますれば、何も国が農業改良普及事業に対して不熱心なのじやないということがわかつて頂けるのじやないかと、まあ海外移民等に対する影響の問題も話がございましたが、そういう面に対しても、どうかこの真意を十分わからして頂きまして、心配のないようにして頂きたいものと考えておる次第でございます。
  29. 鈴木強平

    鈴木強平君 国が三分の二補助するというのと、国が二分の一補助するというのは、受け方に非常に差があると思う。我々が例えば乞食に金をやつても、たつた一銭ぽつとやつたのじや乞食は取りません。慰めて一銭やれば、これは一銭は十円に及ぶということで、金の出し方によつて精神的な関係が非常に多いと思う。特に農村仕事というのは、星を仰いで出で、月を見て寝るというような、町とは全然生活が違うのです。そこには農民魂というものがある、農民精神がなければいけませんが、これは日本農村だけじやありません。そういう点に立つて、ただ数字上で三分の二から二分の一になつたという関係だけでこれを見たら大変なことだと思う。若しそういうことであるならば、この法律案を作つた当初、二分の一でよかつた。何も三分の二にしなくてもよかつたはずだと思う。例えば地方財政にそれだけの負担を持たせばよかつたので、なぜ三分の二にしたかということ、その点にあると思う。そういう点について精神的な非常に影響を及ぼすことについては、大蔵省はお考えになつておりませんか。
  30. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今おつしやいましたよう考え方をされるかたもあることは、まあそれも一応の考えであることは、先ほども申上げました通りでございますが、この、この補助金政策をとりました私どもの根本的な考え方を繰返して申上げるわけになるわけでございますが、これを周知徹底させて頂きますれば、おわかり頂けるのじやないだろうか、なおその点に関連して、それと初めからなぜ三分の二でなくて二分の一にしなかつたのだというようなお尋ねでございましたのですが、これは初めこの制度の施行当初は、各府県もこの重要性認識について十分でなかつたのじやないか、そういうときには、そういう創設に際しましては、まあできるだけ紐付補助で行くことも止むを得なかつたのだと思いますが、だんだんこの問題の重要性認識も徹底して行くに従つて、国と府県責任を分つというよう考え方になつて行くのが当然だろうと私ども考えるのでございます。実は補助金についての各省の考え方は、あらゆる補助金についてできるだけ紐付範囲を減らしたい。始終そういう要請があるわけです。それに対して府県知事の側、地方自治庁の地方財政面の考え方は、できるだけ自主財源を殖やしたい、その意味から紐付補助金をできるだけ減らして、むしろ財源を見てくれ、その二つ考え方かある。私どもはその両極端のどちらにもくみしないで、まあ中庸を歩いて行くのがいいのじやないかというよう考え方に立つておるわけでございます。私ども考え方につきましては、いろいろ繰返し、縷々申上げた通りでございますが、この問題をこの一年間に再検討するに際しましては、勿論広く皆さん方の御意向も十分承わりまして、全体としての結論を得るにおいて万全を期したいと、さよう考えておる次第であります。
  31. 鈴木強平

    鈴木強平君 今のお話で、都道府県がそういう希望があるということは、今初めてあなたから聞きましたが、都道府県の中には農業県もあれば、産業県もある。だから紐付きで寄越してもらわんほうがやはりよい。まあそれについて県が実際の農協なり、町村などに対して仕事の面倒を見る場合にやりよいのじやないかと思う。勿論県としては三分の二を主張している。それからもう一つ国家の再建、大きな言葉でございますが、日本の再建で一番重要なことは、如何にして人的配置をよくするかという点であろうと思う。この頃は我々が一生懸命になつて自分の子弟を立派に育てて、大学を出てどこに行くか、営利を目的とする銀行とか、或いは貿易会社とか、その会社が少し歴史を持つてつて老舗であるならば喜んでそこに入る。その競争は百人に対して何人しか入れない。苦労してそこに入つてみたい。そこに日本の全産業でゆがめられておる。一番大事な日本人の魂を持つておる農村に立派な技術員が入らなくちやならない。その技術員を入れるには、そういう面で、国の意思で改良事業があるのだということならば一般の人間が入つて行くと思う。社会からも尊敬されますし、本人も精神的な強さを持つてつて行ける。こういう観点からいつて三分の二を少くして二分の一にいたという、而もこれはさよう趣旨であるから説明して頂けばわかるからというが、内閣には広報機関を作ることさえ許さない。私たちそんな細かいことを我々が説明して歩くわけには行きません。国が強い意思を持たなければこれはできません。日本農業政策は十年、二十年同じ政策なんだというような大きな観点に立つてこそうまく行くのじやないかと思うのであります。私はこの間ドイツに参りましたときに、ドイツの目覚ましい産業復興は何から起つたのか、これは農村から起つたのです。決して産業それ自身が興きたのじやなくて、御存知の通り、ドイツあたりは非常に土に親しみたいものが非常にドイツではある、土に親しむうちから人間魂を作り上げて来ておる、そういう点から、だからこの間行つたとき、どうしてドイツは産業復興が目覚ましいかと聞いたところが、これはやつぱり農業魂から入つてきたのである。今、日本で一番大事な農業政策をまさに捨てんとしておるのですよ。あなたは非常に御理解あるようでございますが、かような法案が出ることは、日本農業政策について関心が薄くなつたと見ざるを得ないと思います。ドイツにもあの例のマーシヤル・プランにおいても、四十八年の遅くですが、五十一年までの間にも出た二十億ドイツマルクのうちで以て、そのうちで一四%は農業関係の資金ですよ。一番多く出たのが一七%の電力関係ですが、あとはいわゆる石炭の鉱業、或いは商業関係も遠く及ばないところの金が滲み透つて農業に先に落ちて、それから工業に、いわゆるドイツ魂が入つて来たということを言つております。而もその多額な二十二億のうちから出ておる三億マルクのうちでは大部分が補助金です。而もその補助金のうちで一番大事な補助金は何だというと、改良とか、改良普及とか、教育とか、研究、これに五〇%を補助金のうち使つております。これは我々事新らしく言わなくても、最近はドイツが問題になつて日本にいろいろ資料をとつておりますので、大蔵省あたりのかたも或いは御覧になつておると思いますが、その補助金は今言つたよう指導関係補助が五十%以上を占めている、全補助金のうちで……。そうして一年、二年では役に立たないが、五年、十年のうちに本当に立ち上がるものを作つて行きたい。そういう考え方補助金を重視しております。特に補助金のうちでも指導関係補助金を重視しておる。この改良普及は指導関係法律であるのだ、こういうような重要なものを第一排除する補助金法律の中に入れたということについて私自身非常に不満なんです。入れたこと自身においてこれは何かしら農林省が意気地がないのじやないか、でなければ大蔵省農林政策に御了解がないためにかよう法律が出たのじやないかと私は思うのです。こういう点について大蔵省農業政策をそのようにお考えになつておるか、もう一度一つ本当の話を聞かしてもらいたと思うのです。
  32. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その前に、先ほど都道府県知事のことを申上げたのですが、これは補助金制度一般について都道府県知事の問題、地方財政行政の方面にはそういう考え方があるということを申上げたわけでございまして、それは地方制度調査会の審議の経過にも出ておるわけであります。特にこの農業改良助長法の問題について都道府県知事がどうという話ではございません。一般的な話でございますので、その点を御了承頂きたいと思います。それからその次の問題、これはなかなか大問題でございまして、大蔵大臣でもお出で頂いてお話を申上げなくちやならんところでございますが、私ども農業政策重要性はこれはもう十二分にわかつておるつもりでございます。ここ数年来の予算のできた結果を御覧頂きましても、そのことは十二分に窺えるのではないかと考える次第でございます。本年度予算におきましても、一兆という極めて緊縮した形の苦しい予算ではございましたが、それでも食糧増産予算は前年度を下廻らない、若干極く僅かではございますが、上廻るというようなところへ来ておるわけでございまして、農業政策重要性認識におきましては決して人後に落ちるものではないわけでございます。この補助金整理をやるにつきまして、先ほど農林省が意気地がなかつたのではないかとか、或いは大蔵省が独断専行したのではないかというお話もございましたのですが、農林省はこれは実に切実に現行制度を維持したいというお話が縷々ございました。私どもそれに対して先ほど来申上げておりますよう意見を申上げまして、結局は農林省も非常に御不満ではあつたかと思うのでありますが、緊縮予算の前に当分の間暫定措置として止むを得ないというような形で落着いたわけでございまして、農林省は勿論、私どもといたしましても、決して農業改良事業をないがしろにするつもりはございません。無論農業政策重要性認識におきましては、御心配のないようの十分心得ておりますし、又今後も勉強を重ねて行くつもりでございますから、その点は一つ御安心頂きたいと思います。一々先ほど申上げておりまするように、中央地方との責任の分担、中央地方財政調整というようなことから行なつたわけでございまして、これを以て直ちに農業改良事業を軽視しておるというふうにお考えにならないように是非お願いを申上げたいのであります。
  33. 鈴木強平

    鈴木強平君 我々が質問するときに、むしろ大臣でなくて局長にお願いしたいというのは、大臣は今日でなくても、或いはいつよすかわからない。併しながら大蔵関係の官吏の方々は長年そこに生活の根拠を置いて、腹の中から頭の中まで全部大蔵関係でしみ込んでいるのです。従つて如何に大臣が出て来ても、大臣の政策はなかなか完全に行われるものではない。だから主計局長意見を聞きたかつたので実はお待ちしておつたわけであります。それは今のお話を聞きますと、決して軽視しない、而も重要視しておるという考えであれば、なぜにかような要望が多々あるにもかかわらず、三分の二と単なる地方制度調査会の報告があつたとか、ないとかいうことで、専門でない者の意見を徴して、そうして農業政策に根本的な改廃をする、三分の二を二分の一に減らすということは……。これは如何にして国の意思を地方に滲透するか、又県の意思を町村に滲透するか、その行き方がはつきりしないことになる。ですからこれについては十分にお考え願いたいと思うのです。ついでにこの機会にお尋ねしておきますが、この法律案の中におきまして、都道府県の要する経費について三分の二或いは二分の一を渡すということになつておりますが、「要する経費」ということについて、ほかの同僚議員から再三質問があつたと思いますが、一体「要する経費」ということについてはつきりこれは経理に謳つておるのでございますが、あなたのおつしやる通り三分の二を出すというけれども、実際においては二十八年度においては四三%、二分の一になつておらない。而も出すべからざる町村、それが一一%出しておる。県は国の比率の二分の一以外に二四%余分に出しておる。そこに非常な食い違いがある。これは二十三年、先ほどお話したように二十三年以来六カ年間も改良普及事業については毎年度予算を組んでおつた地方からも資料が集まつている。他の関係はいざ知らず、いやしくもものを研究、教育或いは普及する立場法律案が、その経費については何か大蔵省農林省との間で基準単価を出してやるのであつて、実際問題としては当らないというようなことは何にしても納得ができないと思うのです。従つて「要する経費」というものについては、「経費」とは何を言うのだか、それを先ずお尋ねいたします。
  34. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 「要する経費」という表現でございますが、これはいわゆる予算補助でございまするので、結局要する経費の基準を、何らかの基準をきめなくちやならんわけでございます。その基準でこのぐらいの費用の事業ということを見まして、その経費の二分の一というふうなことで実施して参つておるわけでございます。その場合に員数であるか、或いは給与の単価であるとかにつきまして、一定の基準を設けて積算をいたしておるわけでございますが、現実にはその基準よりも余計の人を雇つておられる、非常に熱心な府県では員数を超えて人を雇つておられるというようなこともございましようし、又予算積算の基準になりました給与単価平均でございますが、その平均よりも高給な人を雇つておられる、余計雇つておられる、そういうようなことからして、実績として都道府県が使用いたします金は、補助金の積算の基礎になりました経費の金額よりも余計になつたがために、補助率が三分の二とか、或いは二分の一にならんような場合もあろうかと存ずるのでありますが、これは予算補助という建前をとつておりまする以上、又予算補助の方法しかとり得ないと思いますが、或る程度は止むを得ないのではないか。勿論その積算の基礎のいたしておりまする基準につきまして、それが今日の事態に適合しておるかどうかということにつきましては、これは私どもも再検討をするに吝かではないわけでございます。現にベース・アツプ等につきましては、これは勿論他の公務員のベース・アツプと歩調を合せまして給与の改善、給与の総額の増額をして参つておるわけであります。但しその基準につきましては、勿論今後の問題として検討をする必要もあろうかと存じます。予算補助という建前をとつております関係上、的確に二分の一とか、三分の二というような場合ばかりではなくて、でこぼこがあるということは、これは法律上止むを得ないのではないかと考える次第でございます。
  35. 鈴木強平

    鈴木強平君 これはまあ衆議院でも大分論議されて総務部長からお答えがあつたことを聞いておりますが、これは提案理由の中にも適当な措置をとるということを言われておる。私は適当な措置をとるということは、かようなものの見方によつて補助金の額が違う、実際額と違うということは、いやしくも緊縮予算を立てて財界初め各界の合理化運動をさせながら、みずからの財政関係においては何らの合理化がないということは許されないことであろうと思います。ですから私の考えでは、後日適当な処置を講ずるというな措置の中には、明らかに地方の要望と相マツチしたところの資料が出ているはずですから、それに則つて大蔵省はその予算額及びその配付額についてははつきりしなくちやならんと私は思つております。これは本当に許されんことだと私は思つております。特にかよう指導関係予算において、これはどなたがその基準をお作りになつたのか知りませんが、何かそれは政令とか、何か出ているのですか、先ずそれをお尋ねしたいと思います。
  36. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 補助金全般に通ずる問題でございまするし、予算補助という建前から申しまして、直ちに実績そのままをカバーするということになりますと厖大な財政需要の問題も起つて来るわけでございまして、又改良普及事業のみを特別扱いにするかどうかということも問題が存するわけでございます。さようにいろいろな問題が存するわけでございますが、来年度予算編成に当りましては、その問題につきまして極力検討いたしまして、一歩でも合理的な線に持つて行けるように努力することに吝かではございません。
  37. 鈴木強平

    鈴木強平君 これがお話の通りが実際と相マツチすればまだ許さるべき問題だと思うのです、そうですね。三分の二が三分の二で、二分の一が二分の一であればいいのです、如何なる基準をお立てになつても……。実際問題では三分の二は二十八年においては四三%にしかならん。而もその四三%にしかならんというのは農林省が認めた経費、言換えれば法律案によつて毎年都道府県は経費の予算書を出すことになつておる。その経費をちやんと謳つたもので四三%にしかならんということでは余りにもひどいじやないか。だからこれは今ここに法律が出ておりますから、改良普及事業について聞くのでありますが、勿論補助金については勿論そうでなくちやならんと思います。ところがそうじやなくて、みずからの官庁を、みずからの仕事を合理化しないで、そうして各界に向つて合理化運動をしろ、日本の貿易も産業界も合理化しなければならないということを大声かけながら、政府みずから何らしていない、だから私どもにいたしましても、今出ています法律案については、これは実際に要する二分の一であるという御答弁があればこれは大いに私どもも意を強くいたします。如何でしようか、この程度のことについてはそう認めるということで、この法律案については如何ですか。
  38. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほどもお答え申上げましたが、これは予算上の補助でございまして、予算上の補助の対象になる経費におきましては、給与単価、員数等につきまして一定の基準を以て臨んでいるわけでございます。これに対しまして各府県様々な実情がございます。その通りその範囲内でやつておられるところもございますし、或いは非常に御熱心なところ、或いは財政力の豊かなところでは、員数も殖やし、高級者も余計抱えるというようなことにもなつているわけでございます。平均いたしまして何パ一セントになりますか、これは各都道府県様様な事情によるのでございまして、これは一律に二分の一というわけには参らないのではないか、予算補助の建前から言つて機械的に二分の一ということにはなかなか参らんのではないか、但しその予算の積算の基礎になりました基準におきましては、先ほども申上げましたように、できるだけこれを検討して、一歩でも合理的な面に近付けるという努力をしたい、さよう考えているわけでございます。
  39. 鈴木強平

    鈴木強平君 その割当基準というやつは、何か法律第十六条の二に、土地に対してどうであるとか、人口に対してどうであるとかというような或る段階が付いて出ている。而も普及員を採用するについては、非常に細かい厳重な普及員採用についての規定があります。併しながら、それらの生活の面倒を見たり、いろいろの普及関係指導をする面については、はつきりした経費、内容が政令にも省令にも載つておらない、そこに大蔵省がいつでもやりいいようにできている、やりいいということは却つてやりにくいのじやないかと私は思うのですが、今度のものには、さつき言つたように合理化運動を大蔵省が先にやつてくれという立場から、経費などについて来年度より遅くなくお考えになることがございませんか。
  40. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今まで縷縷申上げていることを繰返すことになるわけでございますが、予算の要求査定、これは各省いろいろな事情がございまして、まあ非常な複雑な経過を経てきまつているわけでございます。必ずしも各省のほうもまあこれでぎりぎりというようなところでなくて、多少ふつかけた要求をされるというようなところもございますし、そのいろいろな違う状況に処して、できるだけ公平にということでやつてつているわけでございまして、それにはやはり或る程度基準みたいなものも必要になつて来ます。給与単価等につきましても、やはり一定の基準によつて処理しなくちやならんということになるわけでございまして、今後の予算編成に際しましても、多少そういう画一的な基準によつて処理して参るということはどうしても必要だと思いますが、お話のございました点につきましては、来年度予算編成に際しまして十分検討を遂げたいと考えます。
  41. 鈴木強平

    鈴木強平君 いろいろ大蔵省から御意見を聞きましたが、非常に大蔵省側農業政策については御理解があつて私も嬉しく思います。何といたしましても、日本といたしましては食糧の自給をしなければなりません。自立的な自給をしなければなりません。又畜産振興のために今度新らしい酪農振興法も出て参りましたし、或いは有畜農家創設法も去年出ております。只今も横川委員とお話しましたが、日本が単に米を食つて生きる考えであつたら決して日本の食生活もできなければ、農業政策は立つて行けないという観点からもいろいろ問題含まれております。又入殖地が今後なお増進されなければならないし、同時に海外農業移民を考えなければならん大きな問題がたくさんございます。特に改良普及事業につきましては一層の認識を高めて頂きたいと思います。なお、改良局長に望みたいのですが、この間も農林大臣が、自分らは全くできるだけの努力をしたのだというお話がございましたが、できるだけの努力をしたのだが、結論がよくなければ決して農民は承知しません。今度の農業政策の一環をなす大きな改良普及事業について、これらが三分の二から二分の一に訂正される、又関連する法律によらざる補助金や、或いは又負担金の削除なり、削減が相当ある、こういう点について農民は勿論農業関係する人々は、一体農林省仕事をやりながらも、大蔵省のほうで何か遠慮されておるのではないか、緊縮予算の際こそ農業政策は根本が取上げられなければならんと思つております。こういう点について改良局長の御意見をこの際承わりたいと思います。
  42. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農林省としての御返答は私の任でないのでいたしません。改良局として、事務当局としての努力としては最後までこの点については争い続けたわけでございまして、まあ最後の段階財政上の理由で今年は非常に逼迫している、又数年間それが続く見込みであるというふうな意味で、財政上の理由削減を受けておるわけでございまして、事務当局としましては、財政上の見地まで包括した大きな方針を決定するというふうな立場にないわけでございますので、まあ我々のその折衝に関する限りにおいては最後までこれを聞いておりません。
  43. 鈴木強平

    鈴木強平君 これを以て私の質問を終ります。
  44. 上林忠次

    ○上林忠次君 丁度主計局長に久し振りにお目にかかつて少し御質問申上げたいと思います。  今年の査定された予算状況を見ておりますと、試験場或いは試験関係、研究関係、こういうよう方面予算が相当増額されているように見ております。物価の値上りから見るとまだまだ増額してもらわなければならない時代ですが、相当増額された。これに対しましては、私大蔵省が、農林省関係のみならず全般の試験施設に対して相当理解を深めてもらつておるということを喜んでおります。先ずこれはお礼でありますが、この補助金の問題については、相当勿論圧縮或いは削減するものもあろうと思うのでありますが、併しこの今の農業界の現状から申しまして、農業関係補助金、特に今問題になりました普及員の補助金、これは現在の農業の状況、日本食糧増産の急を告げているこの現状から見て、ますます拡張せなければいかんじやないか。先般も千葉へ行きまして普及員の活動状況を見ておりましたが、勿論現在の少数の人間で、あの切詰めた施設でこれを活用して十分な仕事をやつておるところを見て参りましたが、現在の状態はこれらの委員会にもちよいちよい申出ておりますが、今の普及員は十分でない、途中で切れているじやないか、三カ町村或いは四カ町村に対して一人ぐらいの恰好で末端まで行つていない。まだまだ増員せにやいかんじやないかということを感じておるのでありますが、大蔵省としてどういう工合に現在の農業普及員の配置に対して考えておられるか、増員を要すべき時期じやないかと思うのですか。
  45. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 率直に申上げまして、私自身その問題につきまして非常に勉強をいたしているわけではないのでございまするが、まあ今まで農業改良助長法の施行に対しまして、相当熱意を以て成果を望んで参つたわけでございます。その熱意を今後も持続けることにつきましては私どもとしても全然同感でございます。具体的な農業改良普及員の員数を更に増加するかどうかという問題になつて参りますと、まあいろいろな関係がございまして、ここではちよつと即答をいたしかねるのでございますが、今後の問題につきましては、農林省当局とも十分相談をいたしたいと存じます。なおもう一つ観点は、員数を殖やすということよりも、農業改良普及員の質を更に強化して行くという面もあろうかと存ずる次第でございまして、その意味で例えば給与単価等につきましても、先ほど来申上げておりまするように、今後十分なる検討を加える必要はある、さよう考えている次第でございます。
  46. 上林忠次

    ○上林忠次君 それに関連いたしまして、改良局長にもちよつとお尋ねしたいのですが、今の普及員のあの組織をどういう工合にしたらもつと徹底するか、現在の農業政策を末端まで滲透させるためには勿論十分ではない。そうしたらどの程度までやるのが理想かという点、人数におきましても、或いは質の向上におきましても、どの程度やらなければならないかというような目標と、現在のままで行くか、何かもつと現在の員数を活用する方法もあるのじやないか、例えばオートバイを全部持たせる、或いは一部の人間に持たせる、そして活動を強化するという点もあろうと思いますし、或いは講習をやる、研修をやる研修施設をもつと強化するというようなこともあろうと思いますが、その二点を改良局長からお聞きしたい。
  47. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 普及員の活動能力を拡める意味において、オートバイとか、或いはそれに代るような交通機関を持たせるというようなことはいいことだとは思うわけですけれども、すべてがやはり財政との睨み合せの状態になつておりまして、本年度予算等においては、従来から予算折衝上何年かに一遍自転車を買替えるというような話になつてつたものまでが、今年の状態ではその予算も出せないという大蔵省のお話でございまして、それで修理費もほんの一部、こういう形になつているのでありまして、オートバイというようなものに至つては、今の財政状態では到底出せんのではないかというよう財政の状態にあると申しておられる状態でございます。研修施設等については、できるだけの予算を組む必要があろうというふうに思つて、或る程度年度予算については増額をしてもらつている、こういう状態で、これはますます強化する必要があると思いますが、本当のその技術員のレベルを上げるというふうな点から申しますると、単なる講習、講話、印刷物の配布だけでは不十分でございますので、農業については、飽くまで私は現場における十分な技術の訓練というようなものが必要であろう、こう思うのでありまして、現実の土地において、現実の土壌において、現実の土壌においての作物の生育状態というふうなものと関連しながら技術を上げて行く、そういうような点についてはなお予算的には十分でございません。
  48. 上林忠次

    ○上林忠次君 員数として現在まあ一万二千程度の人間でやつておる、而も生活改良普及員のほうは少し足らんのじやないかというような気持もいたしますし、どの程度増員すべきか、この刻下危急の生産状態にあつて、いろいろ施設を使いまして増産の活動をやつておりますが、私この普及員の充実ということが一番簡単な、効果を上げる近道じやないかと考えておりますので、農林省で人数においてどの程度の施設を拡充したらいいか。
  49. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 理想的なことを申しますれば、やはり末端の市町村においてどれだけの仕事ができるかというふうなことになろうかと思います。この改良助長法においては、これは国と都道府県とが協力してやるというふうなことに規定されておりまして、末端の市町村のほうにおける問題は、ここでは規定されておらないわけでございます。末端の市町村段階における受入態勢のほうの整備の状態とこれとが相関連を持つておるような状態にありまするが、現在の末端の受入れるほうの側の力というものは非常に弱くて、例えば主要農作物種子法であるとか、耕土培養法であるとか、その他町村のやるべき仕事というふうなものはかなりな仕事があるわけでございまするが、そういう部分については十分な職員は配置されておらない、こういう形になつております。これは府県の職員でございまするし、町村々々を責任を持つて担当しておるというふうなわけではないものでございまするので、そういうふうな点についてなお欠点はあろうかと思います。そういうふうの部分の職員につきましても、技術的な問題を処理する場合に、果して町村町村に一人おるということが適当であるか。そういう人たちの技術の向上というふうな点から言つて、そういうふうな形が適当であるかどうかということ、そういうふうな点についてはやはり或る程度まとまつておるほうがよかろうというふうに考えられておりまするが、一つの問題としましては、市町村のほうのそれに対する受入側のほうの組織の整備如何という問題があるわけでございます。それからもう一つは、やはり何と申しましても、いろいろな仕事をやつて行く場合に、末端のこういう市町村段階というような問題になるわけでございまするが、それについてはやはり市町村合併というふうなものが今実行されつつあるような状態なので、数字的にはこれらの経過等も見ませんと、はつきりしたことは現在私らのほうでは断定的に申上げにくい、こういう状態にあるわけでございます。
  50. 上林忠次

    ○上林忠次君 現在の施設も十分じやないので、十分な成果を上げるにはまだ拡充しなくちやならんということは、大蔵省のほうも了解されておるし、農林省も勿論計画しておられるということを聞いておりますが、それでは先ほども話が出ました、今の補助金ですら所要経費の四三%で、三分の二には行つておらん、あとは全部村で持つておる分もあるし、県が独自の財政で賄つておるというような状態で苦しい、而も人数の少い組織でやつておるをいうふうになりますと、これを活用するために、まあ活動に要する自転車も買えないということになりますと、質の向上ということになりますが、何とかして質の向上に対して大蔵省はこういうようなことをやつたらどうか、そして技能の優秀な連中を養成したらどうかというようなことをお考えになつておりますか。
  51. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現在は補助職員の給与単価、これはまあ事業の性質を考えないで全部一律に考えておるわけでございます。その同じ補助職員の中でも、高度の技術的知識を要するものと、然らざる事務的、機械的な事務に従事するものがあるわけでございまして、場合によりましては、それを少しくだいて、補助職員のやる仕事の性質に応じていろいろ分けて考えて行く、そうしますと、従来よりもより高度の知識を要する補助職員の採用に不自由が全然ないとは言えないかと思いますが、資するところも出て来ようかと思うわけでありまして、そういう面では早速研究をしてみたいと思つております。
  52. 上林忠次

    ○上林忠次君 普及員の組織がまだ弱体な点から考えまして、普及員の質の向上は勿論必要ですが、員数も必要でありますが、これに補助として農村に中堅の耕作者を作らなければならん、中心となる耕作者を作らなければならん。この普及員の補助となるよう農村の優秀な技術を持つた者を作るということが必要だ、こういう工合になりますと、やはり講習施設というものが必要になつて来る。そういうような連中を養成して、これを中堅として農村の末端の指導をやらせる。これと普及員とコンネクシヨンを付けてうまくやるというようなことが必要になつて来るのですが、それについては大蔵省財源的にこういうような施設をやつてやろうというようなお考えがあるかないか。
  53. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) いずれにいたしましても、来年度以降の問題になるわけでございます。来年度予算のことはちよつと今から何とも申上げるわけに行かないのでありますが、農林省の御意見も十分伺いまして、農林省からお話があれば御相談に乗りまして、来年度予算に適正な態度を以て臨みたいと考えております。今のところはいずれとも即答申上げかねることを遺憾といたします。
  54. 上林忠次

    ○上林忠次君 先般千葉県のほうに視察に行きました際に、今頃の高等学校の状態を見ておりますと、これは農業関係のみならず、一般の実業教育の対策が軽んじられている。それで私PTAの会長にも話をしまして、もつとこの方面の教育を強化するようにお願いしたのでありますが、現在のところ、昔の実業学校が皆高等学校に入つてしまつて、そのうちの一部の部として特殊な実業教育を施しているというようなことで、この特殊な部に入つている連中も余り熱が出ない。特に農業関係の連中はああいうような特殊な実験をしたり、作業をしたりするために、昔のような実業教育が十分滲透しないというようなことでありまして、何とかこの点を変えなくては日本産業が萎靡するのではないかということを私話したのでありますが、農業関係につきましては、とにかく農業というのは生活が苦しいので、幾ら先生に話してもなかなか熱心にやつてくれないし、生徒も熱を出さない。勿論現在の学校がああいう工合に、昔の何々工業学校或いは農学校、商業学校のような工合の学校が少いので、その点も悪いのでありますが、大体農業におきましては、利益が少いから土着して農業に従事するような熱が出て来ないのだという結論に達したのでありまして、日本の零細農業として収入が少い。この点が生活の程度の低下にもなつて来るという点で、現在の農業はだんだん昔よりも衰微して行く状態にあるのではないか、農業に従事すべき第二の国民がそういうような状態で現在ありますので、これをうんと優秀な農業者を作る教育をしなければならんと思うのでありますが、今回の補助法の改正の中にもありますように、実業教育の教科書の補助を切るというような工合で、逆行した今度の切り方にもなつておろうと思うのであります。さよう農村は民度が低くて生活が苦しいという点で、そういうよう農業に対する熱もさめて参りますので、これは国としては大問題じやないかと私は考えておるのであります。それでこそこの補償金或いは補助金農業関係補助金は切られては困る。そうして少しでもこの零細農を守り立てて、収入を殖やす、そうして民度を高くする、生活を楽にするということで、農村を再興させなければ日本の将来は危いのじやないかということで、私は農業関係の普及員の補助金を元へ帰してくれということを申しておるのであります。千葉県におきましては、今では何パーセントになつておりましたか、普及員が年に二十万円程度県のほうへ食込みをやつておるよう現状でありまして、単価が、大蔵省考えておられるような単価では、なかなか実際今の設置はできていないという状態であります。農業の将来、又実業教育の将来、日本全体の産業の将来から考えまして、特に農業の将来を考えますとき、私この今回の三分の二の補助金を減すということは大問題じやないかと痛感するのでありますが、それで農林省におきまして、又政府全体としましても、普及員の員数は減さないのだ、今度の行政整理にもかけないのだというような一貫した方針をとつておられます。又大蔵省のほうでは、交付金でこれは財源的な措置は見ておるというようなことにもなつておるのでありますが、この指導陣の組織というのは、試験場からずつと一貫した指導網というものができておるのでありまして、一年、三年の問題じやないのでありまして、すでに六年間継続して優秀な成績を、この貧弱な陣容ながら挙げているというよう現状から考えまして、今年から下げる、継続すべきこの事業を今年から下げる、又衆議院の決議によりますと、今年一年は我慢せいというような簡単な気持でこれを取扱つておりますが、私はこれはそういうような一年間限りこうせいというようなことではいけないのじやないか。何とか引続いてやらなければならない。特にいろいろな施設が削られる。この際この人的資源で間に合うような、而も少しこれの活動を強化するならば、生産は向上するし、農民の生活は向上するというようなこの施設を削るというのはどうかと考えておるのであります。過般大蔵大臣が来られたときも、そういうような工合に優秀なことは自分は知らなかつた。これは水産関係にもそういう問題がありましたが、そんなものならこれは切つてはいけないのだというような御意向も出ましたのでありまして、私はこの施設はますます強化する必要こそあれ、今ストツプするとか、或いはこれで抑制して将来続けて行くというよう大蔵省の御意向に対しましては、もう少し大蔵省の本当の気持をお聞きしたいのであります。どういう工合にやつて行くのか、紐付でやるか、或いは予算を組替える、すでに出しております地方税の交付金、これを元に帰したらどうか。そしてこれを普及員の補助の縮小を元に帰したらどうかと考えておるのでありますが、長い話になりましたが、そこらをお汲取り下さいまして、大蔵省の御意見一つ聞きたいと思います。
  55. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私ども考え方は、先ほど来繰返して申上げましたように、三分の二を二分の一にしたということは、決してこの改良事業を軽視しているものではないと確信いたしている次第でございまして、国と府県との両方の責任を明確にする点から申しましても、何らこれによつて支障を来たさないと考えているわけでございます。どうも只今の御質問は、これを三分の二に戻した場合に、予算措置はどうなるかというようなお尋ねであつたかと思うのでございますが、御承知のように、予算は二分の一の補助金、交付金の増額というような形で成立をいたしておる次第でございまして、若し只今ようなことになりますと、これは新たな補正を必要とするわけでございまして、現在の予算では何ともそれをしがたいような実情に相成つているわけでございます。まあ今後の問題につきましては、これも申上げましたように、この一年間に全面的、根本的に補助制度を再検討することを是非やりたいと考えている次第でございまして、その再検討の際には、御意見の点も、又広く関係者の皆様方からも御意見を十分伺いまして、最も合理的な補助制度を確立することに十分努力をいたしたいと考えている次第でございます。
  56. 上林忠次

    ○上林忠次君 若しもこの改正法案からこれを除外するということになりますと、まあ予算の改正をやるということになると思いますが、改正せずに今の予備費から出すということはできるかどうか、その点を一つ……。
  57. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予備費から出すことは、ちよつと建前として困るのじやないかと存じます。予見すべき事態であるかどうかという問題もございますし、仮にその問題を解決いたしましたといたしましても、予備費から出しますと、交付税でみているほうとダブるわけでございまして、それだけまあ二重にみる、こういうようなことになるわけでございます。ちよつと予備費から支出することはできないのじやないかと思います。
  58. 上林忠次

    ○上林忠次君 それじや結局予算修正して、地方出している交付金を引上げて、これを組替えるということ以外に手はないわけですか。
  59. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 補助金を殖やせばそれだけ交付税のほうを減らす、交付税のほうは御承知のように千二百十九億という金額だけできまつているわけじやございません。所得税、法人税、酒税の何割……、平年度は二割でございます。初年度は酒税は二〇、所得税、法人税は一九・六六というような細かい率できめられているわけでございます。さようながんじがらめな状態になつておりますので、ちよつと簡単には修正ができないのではないかと考えるのでございます。
  60. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほども話が出ておりましたが、衆議院で幸いに附帯決議が出ておりますが、あれはとにかくこの一年は通そうじやないか、いずれ補助金全体を整理する際に、これは元へ戻すのだというように決議をしておりますが、あれは結局予算も通つたり、この際予算を組替をせん限りは、これはできないのだというような技術的な点からああいう工合に決裁が出たのか、そんな点から出たのか、それとも何かのもつと年内に適当な財源的な措置をとるという点から、あの決議が出されたのか、その点は政府としてはおわかりになりませんか。
  61. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 衆議院に私出席いたしておりましたので、その事情を見聞いたしておりましたから、私のほうからお答えいたします。まあこの決議の文章でございますが、結局衆議院質疑を通じて私どもが窺い知りましたことは、先ほどもしばしば出ておりましたいわゆる補助単価をできるだけ合理的にしてくれという強い希望が特にございました。それから今の補助率そのものを戻すという問題も非常に強い御意見として出たわけです。でありますが、いずれにいたしましても、すでに予算衆議院で成立し、まあその後参議院もすでに成立したわけであります。そういうよう関係でございますので、今直ちに予算修正をするというようなことは、衆議院自体としましてもお考えになつていなかつたものと私のほうは推察いたしております。政府としましては、勿論全体をよく各省とも相談の上検討いたしまして、十分将来に備えなければならないと思います。明年度予算編成も実際問題としてはもう間もなく始まるわけでございます。従いまして明年度予算編成の際にこれを十分考慮に入れる、まあ只今のところといたしましては、この年度内に予算修正をするということは、私どもとしては申上げられない段階でありまして、今後の事態につきましては、財源その他いろいろな点もございますし、相当財源も非常に今年は苦しいという見通しでございますからして、そういう点は今申上げられる段階ではないと思いますが、とにかく能う限りの最近の機会において、一つこの衆議院の決議の趣旨に則つて検討いたしたい、こういうふうに御要求があつた、こう考えております。
  62. 上林忠次

    ○上林忠次君 それじや二点がそれは一緒になつて、あのよう修正がされたように今お聞きしましたが、単価の点或いは施設当りの評価の点が少し少い。これを直さなければならん必要もあるし、予算修正も今はむずかしいという、両方から来ているのじやないか。勿論これを戻すときは三分の二に戻すのだというよう意向も含まつているというわけですな。
  63. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 決議のそういう非常に細かい内容の分析があつたわけではございませんで、御質疑を通じまして我々が承わつたところは、そういうような御希望が強く出ておつたわけであります。それで最後にこういう決議ができ上りましたが、その決議の趣旨の説明のときには、そういう細い説明はありませんでしたので、非常に的確に、そうであるということを私どもからお答えするわけには参りませんが、私どもは御趣旨を推察するのに、恐らく質疑から推してそういう点が要点ではないか、こう考えておるわけであります。
  64. 上林忠次

    ○上林忠次君 とにかく何遍も話が出ますように、全国を通じてこれは三四%ですか、現在は出ておる。現在ですらその残り地方負担になつているような苦しい状態でありまして、而もいろいろな補助施設が削減されるこの際、このままで行くなら政府もこういうような目で見ても、三分の二を二分の一に下げてしまうのじやないかというようなことで、地方の苦しい財政の手前、どうしても員数を減して行くということより仕方がないということが一番恐ろしいのでありまして、現在すでに南のほうから申しまして、熊本県、長崎県、兵庫県、それから千葉県、ここらは相当員数を下げるということにまで来ております。苦しまぎれに出るのでありますが、一つ政府がそれだけ熱がないのだ、たくさんの補助金があるうちに、至急に必要な、ますます必要性が加わりつつあるこの農業改良普及員の員数まで減らすのだと、こういうようなことが地方の大きな精神的な、これを軽視するような気持が出るのじやないかということを私は結論として恐れるのであります。ますます重要視すべき施設をそういうように軽視されて処理されるならば、この日本現状から考えまして、農業生産の必要性、又農村経済の向上という点から考えまして、かようになることが日本の大変大きな問題ではないかというので、元に帰してもらいたいということを考えるのでありますが、これに対してはどういうことを政府でやつてもらつたらいいのか、政府はこの施設に対して補助金は減したが、こういう工合にして実をとろうじやないか、名目はああいう工合になつたが、実はこういう工合にとろうじやないかといういい方法がありますならば、それをお聞かせ願いたい。
  65. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 結局今度の補助金制度改正の趣旨をよく地方団体に徹底いたしまして、この農業改良関係だけではありませんが、そのほかの問題についても同じことが言えるのでありますが、関係各省が各地方団体に十分指導、監督を徹底せられ、かりそめにも農業改良事業が都道府県目的を達しないような事態にならないように十分努力して頂くということによつて只今おつしやいましたよう趣旨を達成し得るのではないか、又政府各省といたしましても、そういう方向で十分努力をしなければならんと考える次第であります。
  66. 上林忠次

    ○上林忠次君 それについてもう少し具体的な内容はないものですか。この施設に限つてはますます将来強化するので、少くとも今年のこういうような暫定的な措置はとるが、決してこの活動をにぶらせるようなことはしないぞというようないい手はありませんか。
  67. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは農林省のほうに具体的にお聞きになつたほうがよいと思います。一般的には今御説明のあつたようなことだろうと思いますが。
  68. 上林忠次

    ○上林忠次君 私はこの点で終りますが、先ほどもお礼の言葉を述べましたようなことで、私農業施設に対する試験研究施設の強化に、従来以上の熱意を大蔵省から寄せて頂いて査定に当つてもらつておるということに対しましては、返すがえす厚く御礼申上げます。勿論この三分の二については、何とか三分の二の現行補助の率を確保したいと考えておりますが、これ又あとに御相談をすることにしまして、本日はこれで私の質問を終ります。
  69. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 一点だけ主計局長にお尋ねしますが、先ほど鈴木委員の御質問に対しまして、この法律案衆議院から修正になつてつておることについて、一年間の時限立法になつておる。それはこの一年間に十分補助整理等について検討をした上で措置したい、かような御説明でございますが、当委員会におきましても、もうすでに一カ月を経過して相当質疑も重ねて参りまして、そろそろ最終の段階に近付いておる。我々もこれに対して十分今後検討しなければならんのですが、若しこの衆議院修正通り可決せられたといたしましても、この法律衆議院通りに可決した通りあなた方はお受取りにならんで、更にこの一年間にこれに対してもう一つ別な法案を出す、例えばこのうちに政府の出された原案に盛込まれておるものを更に生かすとかいうような方向に検討をして、或いは衆議院と共に議決したいわゆる国会の議決というものに対して更に検討を加えて処理されるという御意思でありましたろうか、或いはこのほかにもたくさん法律があり、補助するものもあるから、それらを検討するという意味でございますか、それらをはつきり一つ御答弁願いたい。
  70. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今回問題になりました補助金よりも、もつと広い範囲に亘りまして一層根本的な検討を遂げまして、合理的な結論出し、それに従つてできるだけ早い時期に措置を講じたいという念願でございますが、その場合御決議のありましたような問題につきましては、全体の問題が解決しなければ考慮しないということでもないのでございまして、できるだけ早い時期に、できるものから適当な措置を講じて参りたいと考えておりますが、何分にも全面的、根本的な検討ということになりますと、時間も相当かかりますし、そうすぐには参らないのいじやないとか存じます。併しできるだけ早い時期にできるものから措置して参りたい、さよう考えております。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私のお尋ねするのは、これだけについてお尋ねしているのですが、この法案でこういうふうに決定したものに対して、更に一年間の時限立法であつて、三十年の三月三十一日にはこの規定は効力を消滅する、こういう修正案でありますか、併しその間において又この議決と変つた法案でも出し整理をされるという御意思でありますか、或いはこの国会の議決はそのままお認めになるおつもりでございますか、そこの点、先ほど私はちよつと変に聞えたものですから、それを伺つているわけです。
  72. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) お尋ねの御趣旨は、この附帯決畿についての問題でございましようか。
  73. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私のお尋ねしましたのは、先ほどあなたがこの附帯決議が付いて一年間の時限立法になつているが、まだ期間も相当あることだから、更に検討するというようにお話があつたように思うのですが、そういうふうに私は聞いた。従つてそれならばここでこの法案を通しても、これは生きて来ないのじやないかという感じが私はした。近く結論を出さなければならんときに、よく考えておかなければならなら問題ですから伺つているわけで、我々がここで決議しても、それは生きも何もしないのだ、又それを殺すとか、手術するとかいうことになりますと、今これを審議する過程において十分それを腹に入れておかなければならない、こういうことでお尋ねしたのです。附帯決議ではありません。修正案です。
  74. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 御趣旨を理解しないで恐縮でございましたが、私ども衆議院の決議の御趣旨は十分尊重いたしましては、この附帯決議にもございますように、可及的速かに予算措置を講ずる云々とございますが、予算措置を講じ得る機会が参りますれば、その機会にこの法律案に対して十分検討を遂げて善処いたしたい、全般的な問題についてもできるだけ急ぐことは勿論でございますが、この御決議につきましては、この御決議の趣旨を尊重いたして参りたいと存じております。
  75. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 附帯決議について特に御答弁がありました。よくわかりました。併し私の根本的の質問は附帯決議のみならず、この修正の附則にあるわけです。修正案の附則に、「この法律は、第十八条の規定を除くの外、昭和三十年三月一十一日限りその効力を失う。」とありますから元に戻るわけです。現行法に戻ることにこの規定はなる、三十年の四月一日から……。ところがこの戻る前にもう一遍あなた方が何とかするという御説明のように承わつた。ということは、我々が昨年決議したものが予算も何もせずに陽の目を見ずにすぽつとやられたから、又その手をやるのではないかということが感じられるので改めてお尋ねしている。そういうことであれば我々の考え方もこの点に立つて考えなければならない、こういう意味です。
  76. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) この法律は一年経てば効力を失うわけでございまして、何もしなければ来年から補助金制度の現行法が復活することは勿論でございますが、その間私が先ほど申上げましたのは、補助金制度につきましては、ここに問題になつております問題も含めてでございますが、全面的、根本的に検討を必要とする問題も少くないから、それには一つども役人だけでなく、民間の学識経験者のお智慧も拝借いたしまして、根本的な検討をもう一度やらして頂きたい、その結果或いは現行法が単純に復活するということでなくて、違つた結論が出るというようなことも或いはあるかも知れませんが、それにつきましては慎重に検討をして結論出したい、さよう趣旨を申上げているわけでございます。その間この法案の審議に際して、両院で行われました御論議の趣旨につきましては、これは又極力御意向を参酌しなければならんことは当然でございますし、或いは又委員会等を作るというような場合には、そのほうにも適当なかたに入つて頂きまして、十分そこで御審議をお願いしたいと考えているのでございます。
  77. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私もたくさんの補助に関する法律或いは法律に基かない補助も相当あるそうでありますが、それらのものについての再検討を必要とすることは私も同感であります。どれをどうするということは今考えておりませんけれども補助のうちにはなお検討を要するものもあるのじやないかと考えるので、只今のあなたの御答弁は私も了承できるわけであります。ただここに盛られました二十三カ条のうち一カ条落ちておりますけれども、これらのものが相当衆議院でも検討され、又参議院においても検討されましての議決であると思うのであります。従つてここにも書いてあるように、除くべきものは除き、然らざるものが来年から生きて来る、こういうふうになつておりますので、本年度中に今お話のような全面的検討が行われるお見込でありますか、どうか、その点を伺いたい。
  78. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 本年度中というのでは実は少し遅いかと思うのでございまして、是非とも来年度予算編成期前に御検討を願つて一応の結論を得たいと考えております。
  79. 榊原亨

    ○榊原亨君 非常にたくさんある補助金整理いたしまして、今お話になりましたようなことを、予算措置を講ずるまでに完了すればこれは別でありますが、非常に困難な場合にはそれが実現し得ない場合があると思うのであります。その場合には少くとも本国会に、今問題になつておりますいろいろな案件につきましては特に御考慮を願えるかどうか、そのところを一つはつきりさして頂きたいと思います。
  80. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 補助金の根本的な整理について全面的に結論を得ない場合には、この一年を更にもう一年とか、二、三年とか延ばすことがあるかどうか、結局そういうようなことに帰着すると思うのですが、これは暫定法でございまして、補助金整理について結論が得られない場合に、これだけを更に又目の仇にして延ばすということは不穏当だろうと存じます。できるだけ早く全面的根本的な整理について検討をする努力をいたす所存でございます。
  81. 榊原亨

    ○榊原亨君 これは一年の時限でありますが、我々の検討したところによりますならば、若しも予算的措置が講ぜられる機会がありまするならば、その機会にでも一つそういう措置を講ずるという気持を持つておられるのかどうか。
  82. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  83. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。
  84. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 只今の御質問でございますが、まあ私どものほうといたしましては、国会における審議の経過、これをよく参酌いたしまして、特に質疑その他論議を通じて、強く御希望の出たものにつきましては、特に私どもの参考といたしまして、そうしてこれを明年度予算編成と併せて研究の上で、それぞれのできるだけの実体法において、適当な形で以て恒久的な姿でお出ししたい。できるだけ今回のこの修正趣旨をそこに盛込んで参りたい、こう思つております。ただまあ多くのものについて、ほかの問題とも併せて検討いたしますので、一律に機械的には今申上げられないと、こう思います。
  85. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 他に御発言がなければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後一時三分散会