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1954-11-29 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十九日(月曜 日)    午前十一時二十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            宮本 邦彦君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    大蔵省主計局次    長       原  純夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (昭和二十九年災害冷害を含む)  に関する件) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  前回に引続いて昭和二十九年災害冷害を含む)に関する件を議題にいたします。  本日は、前々回の委員会におけるお話合によりまして、第十五号台風等災害対策連絡本部長加藤国務大臣並びに大蔵当局及び農林当局出席を求めておりますので、本件に関し、先日来問題となつておりまする諸般の事項について引続き御質疑を願い、その結果によりまして本件取扱方について重ねて協議を煩わしたく存じます。  この際御報告を申上げますが、加藤国務大臣は他の公務のために出席困難である旨の連絡があり、大蔵当局からは原次長出席を得ております。農林当局渡部官房長が登院をいたしております。ただ決算委員会に今出ておりますが、すぐ出席をすることになつておりますので御了承を頂きます。御質疑のかたは順次御発呼言を頂きます。
  3. 重政庸徳

    重政庸徳君 二十九年度冷害並びに災害対策として、その中の一項目として救農土木を施行するという項があり、なおこの当委員会としてもその点、たびたび要求いたしておつたのであります。大蔵省救農土木北海道のみに限ると、こういう回答委員会に寄越したのであります。加藤国務大臣は当委員会出席せられたときに、これは全国災害地に及ぼすと、こういうことを明言いたされているのでありますが、その後その施行をする地域等如何ようなつているか、一つ答弁を願いたいと思います。
  4. 原純夫

    説明員原純夫君) お答えいたします。救農土木は主として北海道に限ることは勿論でございますが、結論としては、内地においても若干を、先般六月末の閣議決定実行予算節約をいたしております分を解除いたします際に、その相当部分について特に必要な地域に救農の意味を以てそれを使うというふうにいたしております。但し当初から内地ではやらないというふうに申しておりましたのは、要するに当時いろいろ御要望のありました青森岩手両県、その他開拓地について御要望が強かつたわけでありますが、青森岩手の十月十五日現在の作況指数はそれぞれ八四と九八でありまするそのことが悪いのだというお話がございますけれども、その程度作況というものは毎年あるところでありまして、そのためにその都度特に予算措置を講じて救農土木をやらなければならんということになりますと、大変財政の負担も嵩み、勿論結構なことには違いはないのでありまするが、なかなかそういう意味で困難であるということを申上げておつたのでありますが、幸い今年は六月の節約によりまして相当額節約留保してありましたものを、先般の災害が幸い昨年のようなことなしに済んだというようなことで、解除するという際に二億円余りをそういうために特に使う。なお林野の会計におきましても、できる限りそういうような使い方をするということで、節約解除予備費支出乃至補正措置、これらによりまして内地にも若干の金は落ちるようにというようなことにいたすように考えておる次第でございます。
  5. 重政庸徳

    重政庸徳君 救農土木を施行する条件と申しますか、その点に非常に大蔵省としては私ども考えと異つたところがあるのではないかと思う。県全体がどのくらいの減収だとかというような大きい単位でものを考えるべきではないと私は思う。内地でも今年度救農土木を施行するということになつたら、比較的小区域における、例えて言えば瀬戸内海沿岸地方堤防決壊のために何十町歩壊滅に帰したというような場合においては、例えて言えば、例を挙げても五十町歩壊滅に帰したというても、瀬戸内海沿岸では耕作反別が非常に少いのでありまして、例えて言えば五反百姓がおるとすると、百人の農民がそこで生活に窮するということになるので、私はもう少し個々に亙つて、そうして本当に食えん農民を救済するという行き方で行かれば本当の公平ないわゆる行政が行われんのじやないかと、かように思う。その点がどういうところに大蔵省単位をおとりになつたのかということを一つお伺いしてみたい。
  6. 原純夫

    説明員原純夫君) 百戸でありましても十戸でありましても、歴年の災害で困るというところは誠にお気の毒なわけであります。それを何とかしたいという気持は御同感でありまするが、やはりおのずからその辺に国と県と町村という各段階において手を打つ境目というものはあるというふうに考えております。従いまして、範囲が小さくなりますれば、極く小さい範囲でありますれば村なりでやつて頂く、或いは数村がまわりから助け合いをやつて頂く、又若干大きくなつて郡単位というようなところになりますと、郡と申してよろしいのかどうか問題といたしまして、若干大きくなりましても県の段階でやつてもらうというような段階があろうかと思います。そうして或る程度以上に大きいという場合に初めて国がやるということに行かざるを得ない。一般災害に関しまする手当につきましても、そんなような考え方で行かざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  7. 重政庸徳

    重政庸徳君 そうすると、はつきり郡を単位にとつたのか、どういうところを単位にとつて……、内地では同県の何郡、どこまで行つておるかということを一つ説明をお願いいたします。
  8. 原純夫

    説明員原純夫君) 具体的に問題となりました青森県、我々は県で大体考えております。青森県の作況は八四、それから岩手県は実に九八であります。そして昨年は非常な不作でありましたので、大分悪いところがありまするが、八〇台の作況はよかつたと言われた二十七年におきましても一、二見受けられまするし、二十五年、六年というような年にはかなりにあるわけであります。我々は先ずそういうようなところをみて救農土木については措置してよろしいと考えております。勿論農業共済のような制度は相当共済金をとつておりまして全部に亙つてみる。やはり救農土木と申して特に予算を計上して新たな歳出をして処置するという段階になりますと、やはり県段階ぐらいをみて措置するというのが至当であろうというふうに我々は考えております。
  9. 重政庸徳

    重政庸徳君 まだその点ははつきりしておらんですか。ただ大蔵省県段階によつてざつぱにやられるという意向ですが、これは農林省なり、すべてそういうことは決定した問題であるか否か或いはもうそういう調べができて、どこどこにやるということが決定しておるのかどうか、御名答をお願いいたします。
  10. 原純夫

    説明員原純夫君) 先ほど申上げましたように、本年は節約解除という問題がございますので、どうせ解除するならば、困つたところに余計廻るようにということは非常に結構なことじやないかということで、二億二千五百万というものをそういうものに振向けるというふうにいたしております。これの配付に当りましては、おのずから困つたところに集中的に参るということに考えておりますが、私もいろいろと仕事が多いものですから、只今具体的にどういうふうにどう配るというすでの具体案承知いたしておりません。農林当局からお聞き頂ければ、多分そういう点の具体案がもうできておるのじやなかろうかというふうに考えております。
  11. 重政庸徳

    重政庸徳君 この問題は私ども今のお答えで、はあそうですかと満足いたすものではないのでありますが、結局農林当局がまだ御出席なつておらんので、それは具体的にあとで調べることにいたします。なおその財源に私は問題があると思うのでありますが、実はこれはもう済んだことであるけれどもが、先の議会公共事業に対する予算を決議したら、立ちどころに大蔵省節約の線を出して、そしていろんな議論があつたのだが、結局閣議で余り国民が知らない間に一割の節約を保留するというような決定をしてしまつた、その点については私ども非常な反対の意見を持つておるのでありますが、それはさておいて、済んだことであるのですが、併しその後その中で三%は結局還元して、一応先般の議会で決議せられた予算目的使用をするというようなことも承わつてつたのであります。ところが今度は又その三%を救農事業に差し向ける、その中の二億幾らですか、救農事業に差し向ける。而もこれは主として今御答弁なつたように北海道救農事業に主として用いるというようなことになると、全く何のことやら意味がない、私はさように考えるのであります。これはそういう金を前に決議せられた目的のために使用して、私はほかから出して初めてこれは本当救農土木というこになるのじやないかと思うのですが、事実それは私が今申上げましたような財源から出るということですか、明確に一つ答弁願いたいと思います。
  12. 原純夫

    説明員原純夫君) 先ず節約の問題でございますが、いろいろ御議論がありまして、我々も成立いたしました予算を間もなく節約するということは誠に心苦しく思つたのでありますけれども、御記憶の通り予算の審議中に国会で申出されました修正で、予備費が大幅に切られていろいろな支出を増加されるというようなことから節約は必至であつたわけであります。ただその際に五十億だけでなくて若干上廻る節約をしたいということは、修正をされました当時から三党からの申出ででもあり、又いろいろな場合を考えまして、若干それよりも多い節約をしたわけでありますが、その際いろいろ御議論がありまして、三%は非常な災害があつて、特段の措置を講ずる必要がない場合には解除をしようというふうな了解なつておることもお話通りであります。そこで今回只今申しましたように、その分を救農土木に成るべく振向けるということにつきましては、私どもはその了解趣旨自体にぴたりと合うのではないかと思いますし、又その精神は何も節約分に限らず、公共事業その他国の歳出全般に及ぼしてお考え願いたい、大変真正面からお言葉を返すようで恐縮ですが、救農土木であるならばネットプラス追加で出さなければいけないのじやないかという御要望が一応出るとは思いますが、私どもはむしろ救農土木が必要ならば、すでに計上してある予算実行を困るところに集中してやるように工夫して頂きたい。これは決してできないことではなくて、なかなか困難はあろう思いますが、できること。そうして国民の一部に困つておる階層ができれば、新たに追加歳出をするのでなくて、先ず既計上歳出を因つたところに差向けて金を落すということにお考え頂くには、私は先ず第一にそれをお考え頂かなくてはいけないのじやないかと考えます。そういうふうな意味合で、この節約分解除いたします場合にも、幸い節約というような形で特定の場所に結び付きが付いてない、又結び付きの薄いものがあるのを律して、そういうふうにいたしましたので、これは私どもからいたしますれば極めて当然ではないか、そういうふうに万般の歳出についてもお願いしたいというふうに思つておりますので、これをネットプラスではないから、何もならんというふうにお考え頂くと大変私どもは苦しい気持がいたす次第でございます。
  13. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは結び付きのないものと大蔵省はお考えになるけれどもが、地方分とすると結び付きがあつたのを、その結び付きをほどいて大蔵省は取上げておる。その後三%は還元するということで、地方の人はその結び付きが三%でもいいというので、首を長くして待つておるというような状態であるということは御承知だろうと思う。この点については他の議員からもいろいろ意見があろうと思いますので私は次に移ります。  除塩の問題でありますが、これは御承知通り、昨年除塩作業復旧作業の中へ入れて考えたのであります。除塩作業というものは、昨年たまたま問題になつたので、古くはこれは海岸の災害の場合には除塩作業は当然行わねば、作物ができんのはこれは科学的にわかつておるので、元は除塩作業というものは災害の中に包含してやつてつたものであります。ところが昨年はどういう事情か、特に入れるということで、除塩作業復旧の中に入れて施行いたしたのでありますが、次長は昨年近畿地方を、聞くところによると御視察なつて、そして除塩作業は要らんもんだというような考えを深く持たれたというようなことを仄聞いたしておるのでありますが、そして今年度災害復旧には、除塩作業大蔵省は除くというようなことを私は承わつたのであります。先般加藤国務大臣にその点を質したところが、これは必要だ、十分大蔵省及び農林省協議して善処いたしますと、こういう御回答を得ておるのであります。大体今年の瀬戸内海沿岸災害は、御承知通り堤防決潰して、そして沿岸が収穫皆無になつ地方が多々ある。日本で一番雨量の少ないところは瀬戸内海、これはこの点はもう恐らく御承知のことと思うのであります。近畿地方を昨年次長が御視察なつたときは、昨年は災害後たまたま降雨が相当継続いたしたのであります。それがために或いは或る地方によつたらば除塩作業というものをやらなかつた部分があるかもわからないと私は想像するのでありますが、瀬戸内海の今年度の場合は全く異なつておる。そして雨量の点から言つた全国で最も少ない雨量、これは瀬戸内海沿岸塩業が発達しているということをみたら私は素人でもわかると思う。これを糞も味噌も一緒にして、昨年たまたま近畿地方でそういう感じを受けたから除塩作業は要らんというのでは、まるきり素人の暴言だろうと思うのでありまして、この点はその後国務大臣からそういうような意見なり協議大蔵省にありましたか、或いは又どういうような決定をいたされておるか、一つお聞かせ願いたい。
  14. 原純夫

    説明員原純夫君) 私は昨年の九月に主計局に参りましたので、そして非常に忙しいためになかなか現地をみれない、近畿へ参りましたというのは何かの間違いであろうと思います。私は近畿にはまだ参つておりません。今年の夏初めに東北を見せて頂きましたが、それだけであります。何かの間違いではなかろうかと思います。或いは私のほうの下のものが参つて申したのかも知れません。今回、明日臨時国会開会一緒に提案されます予算で、災害関係の何を申上げることになるわけでありますが、実はこの除塩の……、農地のあたりに入る問題だろうと思いますが、私実は非常に申訳ございませんが、そこまで勉強いたしておりませんで、全体の数字が幾らであつたかということは覚えておりますが、除塩がどの程度つて、どうなつておつたかということを記憶いたしておりませんので、後ほど調べてお答えいたしたいと思います。
  15. 重政庸徳

    重政庸徳君 今私が申上げましたように、瀬戸内海沿岸災害については、除塩というものは災害復旧の第一に必要なるものであるのであります。来年の植付けをするという点においてもこれが非常に必要なのであります。どうか一つそういう意味で、若し入つておらねば御研究なつ追加して頂きたいと考えます。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ問題があるのですが、今度の予算、まだ提出されんからわかりませんが、何か交渉の途中で開きましたのでは、災害復旧の率というものが大体二三、四%になるということを聞きましたが、その点は一体どうなつておりますか。農林省というだけでなしに、災害対策本部長である加藤さんの考え方も、復旧の率というものは三、五、二の比率で行きたいのだということを言つておられた。昨年の災害につきましても三党の申合せで三、五、二というものが出ている。まあどこへ行きましても災害復旧については最小限措置として、初年度三割というものは是非出してもらわなければならん。これはまあ一つ常識のようなものになつているわけですが、それが今度三割でなく、二割何がしかということになりますと、一体今後次年度以降においてどういう取扱いをされるのでありますか。その考え方を、伺いたい。大体まあ私どもはこの三、五、二というようなものは一つ常識だと思うのですが、そういう一つ常識というものがあなた方のところで何か変つて来るような印象を受けるのでして、そうすると、災害復旧率についても、或いはその他のことについても一切合財もう万事大蔵省の、特にあなた方のところでおきめになるということになるなら、もうほかの省なんかどうでもいいのじやないかということになつて来るわけです。その点一つ政治の行き方としても奇異な感じを持つのですが、まあそれはそれとして一体本年度においてどういう災害復旧率でやられ、又次年度以降をどうされようとするのか、それを承わりたいと思います。
  17. 原純夫

    説明員原純夫君) 実は補正予算は明日国会に御提案申して、その上で御説明するという段取りで、内閣といたしましても、政府といたしましても、明日の閣議を以て最終きまりましたところを決定されますので、本日私が先だつて申上げるのは実はそういう意味で御遠慮申さねばならんのでありますが、そういう意味で極く大体の気持という点を申上げるということにとどめたいと思うのであります。三、五、二につきましては、我々も是非御要望に副うようにしたいと思うのでありますが、実際はいろいろな各般の他の財政需要が多くありますために、今般も財源総額の中にそれを当て嵌めます場合に、遂に三までは行けないというようなことで、いろいろその間曲折がございましたが、最終的には二割五分を若干上廻るというところで行かざるを得ないというようなことになつた次第でございます。来年度以降の問題は、更に今後只今続けております本予算の編成の作業考えることになるわけでありますが、勿論御要望の線に極力沿つて参りたいと思うのでありますけれども、率直に申しまして財源的な制約というものは更に強いように思います。というのは、来年度歳入見込というものをいろいろ今立てておられますが、どうもそれが只今レベル、つまり一兆というレベルを若干切りそうだというようなことになつて来ておりますので、まあ他の経費につきましても制約が加わるわけでありますが、それらと併せて災害復旧費をどう組むかということは非常にむずかしい問題になりはせんか、ただ率で一律に圧縮するというようなことではいい経費の盛り方というようなことに参りませんので、どこか削つて参らなくてはいかんというようなことになりますると、やはり公共事業費等との関連は相当大きな問題になつて来やせんかというふうに、これは私一個の感じでございますけれども、そんな感じで問題を見ておる段階でございます。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 まあこの三、五、二というものが一つ常識だということはあなたもお認めになると思うのですが、それが財源関係なんかで二割五分しか行かんということになると、それでこの一兆円という体裁を続けて行くというのは、これは私は一つの見せかけの偽わりだと言わざるを得んと思うのです。本来今年災害復旧のために最小限つて行かなければならんものをやらないで、次年度以降へ延ばして行く、次年度において歳入関係、まああなたのおつしやつた歳出関係にいたしましても、いや応なしに殖えるものがあるということになると、又してもその災害復旧というものが妙な形で取扱われる。勿論来年度新らしい災害も起きましよう。そうするというと、バランス・シートのどこかに不良資産を残したままバランスを合わしているだけであつて、これは表面的には一兆円予算であつたところ、その実質というものは不良資産を含むがために不健全な経理というか、財政という形になつてしまうと思うのですが、そういう点でどうも私ども、あなた方はいろいろ御苦労されているということはわかりますけれども、その御苦労の仕方が、何かその公共事業費だけでものを解決しようと、併しその半面にほかのものが残つているのじやないか、国民にしてはやつぱりそういう気持を受けるわけで、例えば防衛庁関係予算使用について、使用しないものがあるじやないか、又使用した分についても、防衛庁関係のは今も決算で問題になるでしようが、適当な使い方と言い得ない使い方をしているじやないかという問題があるわけで、もつと私どもそういう点について御苦労願うのでなければ、余りにもあなた方の行き方がイージー・ゴーイングでないかという印象を受けるのですが、そんな点について、もう少し掘り下げた御検討はもう間に合わんと言えばそれまでですけれども、そういうことでもしてもつと不良資産を残さない、災害復旧だけはきちんとやるというようなことはお考えになりませんか。少くとも本年度補正予算について二五%少々であるならば、来年度予算においてはそういう点を考慮して三、五、二の比率に追いつくというような方針をおとりになるかどうか、勿論それは大臣お答えになることでしようが、どうも近頃大臣がいつやめるかわかりませんで、又やめられんでも、どうもあなた方のほうが実権を持つておられるように外からは見られますので、あえてお尋ねいたします。
  19. 原純夫

    説明員原純夫君) お答え申上げます。非常に大きな問題でありまするから、なお慎重に検討いたさなければならないのでありますが、率直に申して来年度に五乃至三、五と行くべきものの残額を計上するということに行くのには、なかなかむずかしかろうというふうに思つております。併しながらその三、五、二に含まれた気持というのは、この何と言いますか、そういう方向に持つて行かなければいかんということも私は考えます。変な言い方でありますが、なぜそういうことを申すかと申しますと、先ほど言葉は足りなかつたのでありますが、公共事業だけから持つて来るという問題では勿論ありません。他の費目も極力切り詰めなければならんわけでありますが、一方で災害復旧費自体について、私はこれを率直に申しますれば、自体について相当問題があると考えております。それはいわゆる水増しとか何とかいう問題のほかに制度についても問題がある。例えばいつも各省との間で問題になります大きな点は、水増しとか、不正とかいうことは、これはチェックして出て来る、そのままのことでありますが、制度的な問題になりますのは、例の超過工事の問題であります。超過工事に対しまする補助率が、一般改良工事補助率違つて災害並の高い率になつておりますために、いわば何と申しますか、そこに便乗が起きやすい根源がある。同時に国費の使用方法としまして、国土を改良して行くという目から見ますと、災害復旧いや応なし超過工事として載つけられて、それを出して参るというのがよろしいのか、或いはそれは一般改良事業費公共事業費の中にあります改良事業費と込みにしまして、その総額を以て一番効率の高いところ、必要なところからやつて参るかということになりますと、論理は私はあとのほうであろうというふうに考えるのでありますが、そういうような意味超過工事に対する補助の、只今の法制上の制度というようなものは相当問題があろうというふうに思つております。で、実はこの夏の初め以来、関係各省と非常に回数多く研究的な会合を催しまして、いろいろ議論もいたし、研究もいたしております。それらの結果も併せて将来の処置を講じて参りたい。只今申しますのは、つまり災害復旧費自体がそういうような点を反省することによつて、この一部を改良のほうに振替えるというようなことに将来すべきではなかろうかという議論が相当強くなつて来ておるということを申上げたわけであります。それらを併せてこの問題は解決いたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 今のお考えも成るほどと思う点がございますけれども、ただ私どもそういう考えの中に、何もかにも一緒にされては困るということをちよつと申上げておかなければならんのは、例えば瀬戸内あたりの海岸堤防の問題、瀬戸内だけではございません。相当広い海岸堤防の問題ですが、これなんか明らかに地盤沈下をしているんだ、そこで今度の災害復旧のときに地盤沈下に対応する蒿上ということが出て来る。併しこれはもう改良工事では私はないと思うのです。それは地盤沈下を当然やつておかなければならんものが実はできていないんであつて、地盤沈下の対策としてきちんとしてできておらなければならなかつたものができておらなかつたんで、そういうものは一つ改良工事とみなさないで、総括的な災害復旧として見て頂かなければならんのじやないか、その点一つ何もかにも一緒にしないで、そしてまあ今のお話で行きますと、三、五、二というものはやはりそれに近付けて行かなければならんというお話のようですから、その点一つ将来もつと検討すると同時に、ただ公共事業のことばつかり考えないで、もつともつと国民の目にうつつて困るような問題がたくさんあるわけですから、そういう点を考えて頂きたいと思います。  それからもう一つは、今後の災害についてお尋ねしたいのは、例の健苗育成の問題です。どうも健苗育成の問題については、なかなかあなた方のほうでうんとおつしやらないそうですが、これは率直にどうでございますか。
  21. 原純夫

    説明員原純夫君) うんと言わないでおるのでございます。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 それは今度の補正では一兆円という一つ制約があつてうんと言わないということなのですか、或いは将来とも健苗育成の補助というものはしないということなんでしようか、どちらなんですか。
  23. 原純夫

    説明員原純夫君) あとのほうでございます。それは理由を申上げますと、いろいろだくさん補助金がございます。そしてそれを整理しようという声が非常に強い。又検査院あたりの検査の報告等を見ましても、かなりそういう点できつい批難を出しておられます。特に農林関係補助金が非常に数も多く額も多いのでありますが、そういう中でやはり補助金整理の問題としては農林関係補助金というものは厚生関係と並んで一番大頭株になつております。昨年来と申しますか、年来いろいろ考えておるわけでありますが、その中で健苗育成というような、いわば各農家に万遍なく行き渡る、而も事柄が農業経営の経費で賄わるべきものであるというふうなものについては原則としてやめて参りたい。但し経費であつても非常に特殊な営農と申しますか、技術と申しますか、それをやらせるために奨励の意味で金を付けて資材を買つてやる、その一部を補助してやるというようなことは必要なことがあろう。併しそれは奨励が行き渡るに従つて整理して行くべきだいう考えで、この健苗育成もそういう意味では奨励的な補助の最たるもので、極めて顕著な効果を発揮しつつあると私どもも思つておりますが、それももう数年いたしまして奨励的な効果というものが十分に発揮し得るに至つた。もう冷害に備えるためにああいう措置をとるということが必要である、よろしいということは、もうすつかり滲み渡つておるというふうに考えまして、大体先般補助金の整理について考えました場合は、そういう奨励的な補助は原則として三年というふうに考えたわけでありますが、そういうような考えでこの健苗育成の補助を二十九年度から打切つたわけなんであります。従いまして、健苗育成ということが非常に結構なことであるということは考えるのでありますが、もうそういう意味予算的には整理される段階に来ておるというふうな考えからゼロにいたしておりまするし、今後もそれでやつて参りたいというふうに考えております。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 補助金整理というものも、これも真剣に考えて行かなければならんが、ただ健苗育成の分は、これは御承知のようにやつぱり特殊性があると思うのです。全国の農家が必ずあれの恩恵を受けるのでなしに、比較的寒冷地帯の農家がこれによつて恩恵を受けるわけなんです。寒冷地帯農家というものは災害の頻度も多いし、又災害がなかつたところで反収は少いし、恵まれざるところの条件の下でやつておる農業であつて、これは丁度早場米励奨金が、単に米の需給関係からだけ出るのでなくて、或る意味で寒冷地の奨励金と言いますか、援助と言いますか、そういう意味があるのと同じようなものではないかと思うのでして、その点は一般的な農業関係補助金とは少し違つて考えてもらわなくちやならんのじやないかと思うのです。そこでそういうものをあなた方打切ろうとおつしやるのですが、今年の事情というものについてはもう少し深くお考え頂きたいと思うので、特に北海道の場合は、これは籾種の手配はいろいろやつておりますけれども、何しろ北見とか何とか、ああいうところへ行くと収獲皆無ですから、殆んど適当な品種の籾種を適当量集めるということは困難なことである。そこで多少温暖地帯の品種を持つて行くということになるのです。そうすると、それが上川乃至空知あたりから早稲の品種を持つてつたところで、北見に行つても早稲にならないということになつて、これはよほど来年の苗について万全以上の策を講じておかんと、来年又とんでもないことになるのじやないか。来年の気候はどうかというと、いろいろ見方はありますけれども、私どもそう楽観した話ばかりは言えないので、やはり今年の冬は暖かく、来年の夏は寒いのじやないかというようなことは十分に考えて行かなければならん。そこで今年はこの気象条件の中で特に適当な品種がないということから、何でもかんでも健苗育成を北のほうの諸君にはやつてもらわなければならん。ところが私は北海道ではありませんけれども、現地へ行つて見て痛切に感じたことなんですが、こういうところで温床苗代をやつてもらいたいと思うところがなかなかやつていない。やつていないのはいろいろそこに立地条件や歴史的な条件があつて、これはもう一押し、特にこういう災害地帯については何か奨励的な途を講じてやらなければ、多少自主的に温床をやろうというものが殖えるにしても、それは知れているのじやないか、そうすると、来年度又とんでもないことになるのじやないかという印象を非常に強くしたのですが、そういう原則論の問題は、これは今ここで簡単に話合つて結論付けることは私も避けまして、とにかく冷害と関連しまして、この極北の温床苗代については何か特別にお考えになるということはできませんか。
  25. 原純夫

    説明員原純夫君) 折角のお話でございますが、私どもとしては、やはり農民がもうあれだけいいことがわかつている方法でありますから、自分の費えを以てそういうことをやるように指導してもらいたいというふうに農林省にお願いしている次第でございます。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 いいことがわかつていないのですよ。例えば帯広地区に池田というところがありますね。池田なんかは相当水田面積が多いのですが、温床苗代は一つもやつていない、よく話してみても、温床をやつてつても今年は冷害を受けているじやないか、そういう考え方を持つているのですよ。それは今まで指導者が悪かつたということもあるかも知らん。併し同時にあの辺ではこれは土地の凍結する関係からして相当高度の温床苗代の技術が要るわけです。そういうのはなかなかこれは今の調子で、ただ今年の籾種が悪いのだから考えろといつても非常に困難じやないかと思うので、あなたの言われる一般的には温床苗代の効果というものは認識したように見えてもまだそうじやない。而もそうでないところが今年なんか特別な手を打つてやらなければ、来年もう一遍冷害を繰返すという可能性が非常に強いところなんですからね。そう簡単におつしやらんで、どうですかな、もう一遍何か特別な形でお考えになることはできませんか。
  27. 原純夫

    説明員原純夫君) 折角でございますが、私どもはその意見を変えないでやりたいと思います。
  28. 松浦定義

    ○松浦定義君 ちよつと関連して……。今いろいろ聞いておりますと、相当強硬な御意見のようですが、昨年の冷害対策で、二十九年度予算には出ておらないけれども、五億以上のものを見た。それでどうにかこうにか二十九年度はこの温床というもののために相当増産をした、これははつきりしておるのです。ところがときたま東北の一部から北海道全体にかけて今までにない冷害を受けた。併し同じような均霑した制度の下で温床を実施しておるところがあつても、この地帯的に受ける冷害というものによつては、どうしても現在のような成績しか挙げ得なかつたというような事実があるわけなんです。そこで今年はまあ大蔵省として絶対どういう事態であろうともやらない方針だ、こういうお考えのようですが、今、江田委員のおつしやつたように、北海道としてはやはり内地府県と同じような形でやつてつても、なお冷害という人為的にどうにもならないもののためにこういう結果になつしまつたということになると、これは成るほど北海道の一部くらいは不作であろうとも、減収しようとも、今年は全国的にもう普通作以上だといつたような考え方に立てば、これは別だと思うのですが、やはり一々の農家の個々にしてみれば、そういうものじやないと思うのです。特にまあ地帯的にこういうふうに日本のように非常に細長い国で、それぞれの地帯の事情を持つておるところにおいては、これは何としても一遍に、もうこの制度はこうだからということで無視してそれをやつてしまうということは、私はもう絶対にこれはいけないことだと思うのです。それは成るほどできないことなら農家は仕方がないからやめはしましようけれども、やはり結局的にはやはり政府のそういう施策というものに対して、不満の中でやはり食糧の増産をやるということになれば、せめてこういうような、全国的に結果的にこう出て来る地帯において、やはり多少でもそういうことの恩典をなお与えて、そうして次の年から一律にこういうふうにするということにならなければ、私はこの一方的な犠牲をあえて強要をしながら、国全体の考え方がこうだからということで割切るということはこれはどうも私は不満だ。そこでどうしても今のお話のようですと、政府としてはそういうような考えはないと断言されておるようですが、実はまあ我々は農林委員会として、農業政策のいろいろの点について日本の農業というものに対してどうあるべきかということを一応は検討はしておりますが、農林省自体考えとしては、我々委員会がこうして主張しているような、すでに農林省要綱としては是非この点は今年はやりたいということをはつきりつてつて、そういうことを農林大臣以下、そういう農業関係の政府筋から現地を見た場合には、はつきり農民の前にそういうことを誓つておるのです。ところがこれは大蔵省考え方がこうだから、或いは政府がこういう方針にきまつたからといつて農林省はやはり農民に対して仕方がなかつたということを、今、次長の話のような形で答弁するかも知れませんけれども、現実の問題としてはそういうことでは納得しない。そこで我々としては、まあ農林大臣或いは農林政務次官の言明に従つてそういう意思を変えないで主張しようと続けておる。或いはまあ一般農家もそういう形で必ずしも今年も何がしかのものは見てもらえるだろうというふうに考えておる。ところが今のような考えですと、来年度の増産意欲というようなものは全然なくなつてしまつて、結局的にはこれは農家自体の損ではあるけれども、今までの政府がとつて来た方針がそうなのだから、やつばり助成々々で甘やかして来た農家に対して最終段階に来て、或る程度均衡的な恵まれたような地帯においての手配ならいいと思う。ところが今になつて、例えば北海道は全地域に亙つて、或いはその他の東北の一部には、一部であつてもこれを必要とするような時期に、今のような形でぶつ放してしまうということは、これは政府の方針として私は甚だ遺憾だと思う。それならもつと早く、例えば現在の政府が相当長い間この農業政策に対して国民の不満の中に続けて来られたと思うのも、甘やかしたとか、何とかというようなことも今言われるような立場に立たれたからだと思います。従つてなぜそういうことを是非やらなかつたか、なぜ昨年あたり全国的な凶作だから、或いは冷害だからと言つて五億以上の金をなぜ認めたかということ。昨年認めておらなければ今年なんか我々はそういう問題を取上げはしない。ところが昨年は全国的な凶作だから取上げて、今年になつ北海道の一部と東北の一部だからと言つて取上げない。そうして今のようたお話をするのは同じじやないと思うのですが、今いろいろ情勢は変化しておるでしようが、そういうところに行つて、今までとつて来たそういう農業政策に温いためには、北海道の一部であろうと東北の一部であろうと、これは私は先ほど救農土木の問題で、北流道だけに云々というようなこと、或いは全国的にそのうちやるようなお話と同じように、そういう救農土木の点でやられるような、こういう問題に対して同じような形を私はとるべきだと思うのです。どうしてもおやりにならないということであるならば、今日までとつて来た現政府の農業政策、これは私はこのことを以て全部を律するわけじやありませんけれども、こういう問題はそういう冷やかな態度でおやりになるべきじやないのです。従つて政党政府でありますから大臣考え方は別としても、少くともやはり次長としてのお考え方は、相当私は今後にも影響を及ぼすようなことをこの際やつて頂きたくない。そこでどうしても補助金ということになれば、恐らくこれは衆議院のほうとしても私が今申上げましたような点についても相当慎重に考えておるでありましようから、或いは議員立法でこの問題を何がしかの形で予算措置的な立法をするかも知れません。そういう場合には止むを得んと言つておやりになるのか、それでも断固としておやりになるというような覚悟があるのか、こういう点について甚だ僣越でありますけれども、私見であつても結構ですが、お聞かせ願いたいと思います。
  29. 原純夫

    説明員原純夫君) 意見は変りません。変りませんが、議員立法でそれをやれという立法をされますれば、それに応じた予算措置が必要になることと思います。これはいたさなければならないということになりますが、予算上の形をどういうふうにされますか、予算修正をされるかどうかということになるのだろうと思いますが、議員立法でやられる場合は勿論それを尊重していたします。大変くどいようでありますが、私ども率直に申しましてこの農業の営み、いろいろ肥料も要る、農薬も要る、何も要るということでありますが、そういうものの補助は極力整理して参りたい。奨励的な段階における補助は勿論いたさなければならんと思いますが、そういうものは成るべく早く整理してもつと集中的に、本当に因るところに行く補助乃至本当に建設になる補助、例えばそういうものは農地の土地改良というようなものに、而も今のような総花でない形でうんと能率よく注ぎ込んで行くというふうに、予算の中味をだんだんそういうふうな方向へ持つて参りたいというふうに我々は念願しております。農民もいろいろ苦しい条件でやつておるわけでありますけれども、覆いをかけたならば苗がよく育つというようなことは、別途見ております改良普及員その他の指導によつて強力に持つて参るということで、金は付けないでもやつてもらえて然るべきじやないか、まあ奨励的な段階も要るだろうからということで数年やつてつたわけでありますが、他のそういうふうな種類の補助と同じようにだんだん整理する段階に来ておるというふうに我々考えておることを、重ねてで恐縮でありますが、申上げます。
  30. 松浦定義

    ○松浦定義君 今のお話ですと、若し議員立法でそれがまあ実現するように、何か予算的な措置は講じなければならんというお考えはこれは当然だと思う。昨年もそういう形でなつたと思うのですが、先ほど申上げましたように、昨年と今年と極端にそういう手を打たなければならんということは、私は現段階においては非常に不公平だと思うのです。でありますから、まあ繰返して言うのでありますが、最悪の場合はそういうことについて十分一つ予算措置のできるような御考慮を願わなければならんというふうな結果になるんじやないかということを私は附加えて申上げておきます。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 なかなか原さん固い信念なんで困るんですが、その問題は今議論したつて始まりませんが、もう一点お尋ねしておきたいのは融資の特別措置法の内容ですが、これも正式に提案されるということになりましようが、御承知のように短い臨時国会ですから、その前にお尋ねしておきたいのですが、先ず第一はその融資の額ですが、内地七万円、北海道十五万円、それから牛馬を持つているのは更に三万円を加えるというような基準に原案はなつているようですが、これは一体どういうわけでかような違いをつけられるのか。恐らく内地の農業と北海道の農業とは経営規模が違うんだということだろうと思いますが、災害程度ということになると個々の農家ですから、内地でも収穫皆無のところもあるわけですし、北海道でも収穫が半作以上のところもあるかも知れませんから、恐らく経営規模、若しくは牛馬の点なんかを附加えている点なんかから見ますと、経営規模なり、或いは農家の担保能力というようなことを含んで見られているんだろうと思います。そこでいずれにしてもいいんですが、そういう経営規模なり、或いは担保能力によつて差がつくとすれば、ただ一概に内地何ぼ、北海道何ぼという形がいいかどうかということなんです。例えば同じ北海道でも、同じ内地でも、今度の災害の場合に果樹の農家の被害というものは相当大きいということはあなたもよく御承知通りです。例えば北海道の余市あたりに行つて見ましても、「りんご」は収穫が皆無になつておまけに木が殆んど倒れてしまつている。或いは内地の倒れないところでも、「なし」の花が咲いてしまつたというところもあるわけです。そういう「なし」の花が咲いたり、「りんご」の木が倒れたりしたというようなところは、来年度の収穫も又危険になつて来るわけです。倒れた木なんか恐らく三年も経たなければ復旧しないでしよう。そういうようなときに果樹農家の経営規模というものは、面積としてはどうあろうと、質的には非常に大きな規模になつて、投下資本が大きいわけですから、そういうところに対しては七万或いは十五万という枠でなしに、もつと特別な枠を持たして行くわけに行かないか。勿論普通農業を主として、副業的に一反か二反果樹をやつているというところもありましようが、そういうことじやなしに、果樹を主体にする農家に対してはこの額でなしに、もつと特別な額をお考えになるわけに行かんかという点と、それからもう一つ開拓地の融資の問題ですね、去年は特別な措置があつたと思つておりますが、あの開拓地の農家について何か特別な措置をお考えになるわけに行かないか。特に開拓地では御承知のように被害が大きい、而も農業共済の対象にならないというところが非常に多いわけなんで、而もそういう諸君は農業共済の対象にはなつていないけれども、今までも供出はしていると、そういう農家に対しては何か特別なことを考えてやらなければ、供出はしておつて而も農業共済の対象にならない、それが被害を受けている弱い農家が国に対しては御奉公だけはしているのに、弱い農家が又ここで叩かれているのに、利率、利息とかというようなことじやなしに、何かこれは特別な措置が要るんじやないか。この点は加藤本部長も開拓農家については特に考えなければならないと思いますと、開拓農家のあれに補助ということはできないからして、災害補助ということはできないからして、この点について何か考慮すると言つておられますが、その点はどうでしようか。
  32. 原純夫

    説明員原純夫君) 最初の果樹により高い融資限度を設けたらというお話につきましては、実は営農資金の融通関係の法律は、全国民の補償において借りさせる、而も利率も全国民から集めた金で安くするという制度でありますから、企業の規模に従つて必要なものにそれを見るというふうには私は参らないと思うのであります。これは言わば社会政策的な色彩を持つ措置であろうというふうに考えます。何かそれも非常に大きな農家で余計営農資金が要るという場合に、それが全国民の補償で、そうして集めた税金から利息を払つて借りさせることはできない。やはり非常に低い所得の階層、非常に条件の悪い人で非常な打撃をこうむつたという場合に、その限りにおいて見るというのがこの制度の精神でなくてはならないというふうに思いますので、おのずから額には最高限度をそういう意味考えなければならんというふうに考えるわけであります。それから開拓地につきましての災害にいろいろ心を尽さなければならんという点は、もうおつしやる通り考えております。今回もそういうような角度でできるだけのことをしたつもりであります。まだまだというお言葉を頂くのかも知れませんが、例えば全壊家屋の補助にいたしましても、従来はその補助を非常に早くやるという措置、早くというのは自慢になりませんが、繋ぎも確か行つたのではないかと思いましたが、そうでありませんでしたか。というようなこともございましたし、又五年過ぎますと、開拓民は一本立ちになつたというので、この補助が出ないような制度なつておりますのを、五年過ぎたと言いますと、二十三年、二十四年に入つた開拓民は駄目だということになりますが、戦後ああいう混乱した貧しい時代に入つた開拓民は、当時も相当手厚い保護がなかつたのでなかつたかと考えて、そつちの借款の場合には今回新たに七年までの分について全部では、ございませんが、全壊家屋の補助も与えようというようなことにもいたしております。又営農資金の面におきましても、利率、それから弁済期限というような点で一般の農家と相当の段をつけた優遇をするというような措置がしてある。急でございますから、そのほかにも何かあつたも知れませんが、主な点はそういうような点を思いつきましたが、できるだけやつておるということを申上げておきます。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 さつきの果樹の、これは社会保障的なものだから、経営規模によつてということはおかしいと言われるのですが、併し内地七万、北海道十五万、これは地理的条件が違うから最低生活費が違うという説明かも知れません。併し例えば牛や馬を持つておれは更に三万与えるというようなことは、これはやはり最低生活費的な、社会保障的なものでなしに、やはりここに或る程度経営規模とか何とかいうものが私は含まれていると思う。そうであれば、果樹農家に対して見てやるというのは、これは当然あつていいのではないか、これはとにかく果樹の場合は復旧の金というものは大変なものですね。木が倒れて、倒れたやつを起してみたところで、それじや来年なるかといえばなりはしない、三年か四年しなければ本当の木にならない。而も集荷直前にやられたということで、今年の経費はフルに使つて、箱代ともぎ賃は使つていないでしようけれども、殆んど使うべき経費は使い尽したところであの収穫皆無になつておるのですから、これは傷が非常に深いのです。これについては私はやはり特別の枠というものはお認めになつても、もう決してこれは社会保障的な考え方からいつても、そう矛盾したものではないと思う。ただ今日ここで結論を出すわけではございませんが、更にこの問題についてはもう一遍考慮して頂くということはできませんか。
  34. 原純夫

    説明員原純夫君) それは私は国民全部に保証人に立つてもらつて借りるということ、国民から利子を一部払つてもらつて借りるという問題ではない、やはり中金なり或いは公庫なりというようなところで資金が入るか入らんかという問題であつて、保障や利子補給には載つてこない問題であろうと私は考えます。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、そういうような中金その他からの融資ということについては積極的な態度をおとりになりますか。
  36. 原純夫

    説明員原純夫君) そういうものについての融資の資金源がございますから、果樹だけについて積極的にというわけには参りませんが、要するに総体資金のありますものを、もつと有効にできるようにいたすという意味においては大いに積極的にいたしたいと思つておりますが、そのうち果樹だけと言いますと、ちよつと何でございますが、そんな気持でやつて行きたいと思います。
  37. 松浦定義

    ○松浦定義君 それから救農事業の中でいろいろ問題がたくさんあると思うのですが、特に北海道のように非常に広汎な農家がやはり資金を必要とするというような意味で、この冬季間でも何とか働かしてもらいたいということを痛切に言つているわけです。そこで一番大きな事業としては、それは土地改良等でありますけれども、やはり山麓におきまして非常に困つた農家というものは、どうしても山林資源についての救農事業、従つて承知のように北海道でたくさんの倒木があつた、その一部には薪炭用として当然そういう面で就労できるものがあると思うのですが、薪炭に対して営農資金なんかをみますると、薪炭の原料の購入或いは炭がまの構築等についての必要とする資金も入つておるようですが、特にこれだけではどうにもならないので、この事業としてこの炭がま構築についての助成ですが、これはもう農林省としても昨年も実施し、今年もそういうことつにいては相当強い意思表示をしておられたようですが、どうも今度の原案を見ますると、この炭がま構築に対する助成が落ちてしまつておるということに私どもは聞いておるのですが、この点についてどういうわけでそういうふうにおやりになつたのか、どうしてもそういうことはできないとお考えなつておるのか、この点について一つ伺いたいと思います。
  38. 原純夫

    説明員原純夫君) 実は救農土木につきましては、たしか今のお話は予備金で出そうとしております五億円の系統の問題だと思いますが、これにつきましては農林省意見もいろいろ伺つてきめるようにということで、大変申訳ないのですが、私もいろいろあつちこつちしているものですから、細かく承知いたしておりません。よく調べまして何いたしたいと思つておりますが、恐らく炭がま補助になると救農土木とちよつと違いますから、補助が特掲されなければならないのですが、それがないのは、この項目は落ちたのではないかという感じがいたしますが、よく調べてみたいと思います。
  39. 松浦定義

    ○松浦定義君 特に只今の御発言で私も一つ考えを持つておるのですが、是非一つ御調査の上希望するような点について御努力を願いたい。それからもう一つ、被災農家に対する米麦の安売りの問題、これがすでに農林省等では要綱等も発表しまして、従来通りそういう点については売渡しはする、併しその価格の点なんですが、これが昨年は生産者価格ということで相当被災を受けた農家に対しては温かい政策と言いますか、相当感謝をされて結果的に今年内地ではそれが大きな原因となつて増産をされておると、私はこういうふうに見ているわけなんです。ところが再びそういうことを繰返さなければならん地帯があることは非常に遺憾でありますけれども、そういう点について、今回は昨年と違つて価格の点については相当幅があるわけですが、これは従来通り昨年とりましたと同じような安売りということにはならないものかどうか、こういう点について一つお伺いいたしたいと思います。
  40. 原純夫

    説明員原純夫君) 非常に何と言いますか、財政が苦しいものですから、一々渋くなつて申訳ないのですけれども、この場合でも問題は延納が問題であつて、価格が若干上るかどうかという点は、そう割高なものではないという判断で、延納は認めるが価格は普通並に払つて頂きたい。よく供出があるからというような話があるわけでありますけれども、そういう意味では必ずしも配給を受ける農家が全部供出があるとは限らない。必ずしもそういう態様もない、又そういう細かいことを言うておるわけではありませんが、価格を生産者価格にするというまでのことでなくても、延納で十分に目的が達せるのではないかというふうな考え措置をいたしておるわけでありますが、実際には聞きますと、何か卸売価格で配給しておられるということで、一般の消費者価格よりも安くはなつておるようであります。
  41. 松浦定義

    ○松浦定義君 今のお話ですと、全体の予算関係があるということはこれは確かにあると思いますが、昨年から見ますれば範囲も相当狭くなるし、金額も相当少くなると思いますが、そういう意味から言つて、やはり昨年同様の措置をとられることが私は適切でなかろうか、今のお話のように、延納のほうが主であつて価格の点は従であるというようなお話ですが、やはり農家の人はどうしても今の供出もないような農家で、むしろ延納してもらわなければならんと思いますが、やはり延納してもらわなければならんということであれば、金は幾らでもいいといつたような、そういうお考えではないのでありますから、要求としては相当強い要求をしておりますけれども、やはり立場上から言えばどこまでもということはできないので、一部そういう点で非常に弱い意見も出しているかも知れませんが、それはやはり当然昨年とつた御処置をやれないという原因は、ただ、今予算面で縛られておるということだけでは私は解決つかないということで、どうしてもこの点についても再考慮して頂きたい。従つてこれは昨年も同様、これは立法の措置は必要でありますから、どうしてもそちらのほうで、若しどうしてもできないという場合には、今申上げましたような観点からやはり特別立法も必要とするのではないかというふうに考えておりますので、これは先ほど申上げました点と大体同じようですが、そういうような場合がありましたら、又特に予算的な面については私は御考慮を願いたい、こういうふうに考えております。
  42. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言ございませんければ、原次長、他に用もあるようですが、よろしうございましようか……。それでは大蔵省の事務当局に対する質疑はまだ尽きてはおりませんが、いずれ明日からの臨時国会で正式に審議されるわけでありますので、この程度にいたしまして、先日の委員会で宮本委員からも御発言があり、災害冷害等の対策に関しまして、法立案等準備されているものの構想等を聞くというようなことを含めて今日の委員会を開いたのでありますが、関連の案等についてもお手許に御配付申上げておりますが、この審議を今いたしますか、いずれこれは正式に審議を願うことでありますので、農林関係質疑につきましては、明日からの臨時国会で正式に御審議を願うことにいたしまするか。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  43. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。それでは残されております問題につきましては、臨時国会で正式に御審議を煩わすことにいたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後零時四十二分散会