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政府委員(徳永久次君) この法律は、実は極めて内容的には簡単でございますが、
趣旨につきまして、この提案
理由の中で十分に表明したほうがいいかと思いますので、洗いざらい実は書いてお
つたわけでございます。一口に申上げまして、この法律の経緯は、御承知のように日鉄法の廃止の際に、旧
日本製鉄株式会社が
一般担保権の設定を認められてお
つたわけであります。この日鉄法の廃止に伴いまして、子会社が二つに分れまして、八幡製鉄と富士製鉄とできまして、その両会社に従来から認められておりました
一般担保権というものを、そのまま認めさしておきまして、これが或る経過期間の間に工場財団の組成の準備をさせようということで、従来二度に亙りまして二年ぐらいの時間的の余裕を与えて頂いてお
つたわけでございます。二度目の際には、具体的に申上げますと、政府原案の、実はあと一年あればよろしうございますからということで、
国会に一年の期限で、二度目の際に、延長頂きますようにということをお願い申上げてお
つたわけでありますが、
国会側でこういう問題がとかく起りがちでもありますので一年では不十分ではないか、
従つて念のために二年にしておけというような御注意もございまして、さような修正が行われまして二年に
なつたわけであります。その二年の期限というのは実は本年の八月に到来することに相成
つておるわけであります。で私
どもその間に会社側にも或る
程度工場財団組成のための準備というものもさしてもお
つたわけでありますし、又会社当局としましてもそういう措置を着々進めてお
つたわけでありますが、ところが実はその間に若干率直に申上げまして、別な問題といいますか、が少し出て参
つたわけでありまして、別な問題と申しますのは、債権確保のためにいたしまする
一般担保権の問題は従来ではこういう旧日鉄会社のような特殊会社或いは現在ありまする電力会社等のような、まあ特別法によりまする特別の会社だけにそういう特典と申しますか、担保権設定上の
便宜が認められてお
つたわけでありますが、これも通産省として考えて見ますと、産業金融の
一つの
便宜といたしまして欧米にもありますような
一般担保権の制度というものはむしろ従来考えられてお
つたような特定の会社だけという感じよりももう少し広く考えたほうが適当じやなかろうかということで、通産省部内におきましても
一般担保権の制度につきまして、或る一案を実は草してお
つたのであります。問題がそういう
一つの基礎法的な性格を持ち、極めて法律技術的な色彩を持ちまするので、その点を法務府のほうに相談いたしました結果、法務府のほうでその成案をあずかろうということになりまして、法務府のほうでいろいろと研究頂きまして、現在或る成案が実はでき上
つて来つつある段階に来ておるわけであります。その段階では先ほど申上げましたように、従来はいわゆるゼネラル・モルゲージの
規定というものは特殊会社に認められてお
つたのを或る
程度の規模以上の会社に適用し得るような
一般法を作ろうというようなことででき上
つておるのであります。ところがその法律が実は従来、最近の
状況によりまして法務府では私
どもの今御提案申上げておりまする法律に関連いたしまして、今年の八月この
国会に提案になる予定くらいに進行するということを実は内々承知いたしてお
つたのでありますが、その後法務府のほうでも只今一応の条文の体はなしておるわけでありますが、経済界とのいろいろ打合せと申しますか、金融機関等との相談、事前打合せ、極力実情に即したようなものに仕上げたいということの事前打合せの段階におきまして、私
ども承知いたしておりますところによりますると、主な点二つあるそうでありますが、その第一点はゼネラル・モルゲージを適用する債権の
範囲をどの
程度のものに限定するかという問題が
一つと、それから適用する規模を資本金どの
程度以上というようなきめ方にするか。その規模の問題につきましての産業界との意見調整、いろいろな実情
調査の打合せがまだ熟しておりませんので、さようなことから法案自体の骨組は固ま
つておりますけれ
ども、提案をこの
国会は見合せたい。
従つて次の通常
国会にしたいというような法務府の
お話でございまして、そうなりますと実は私
どもこの八月でこの期限が、従来まあ法律によりまして与えて頂いておりました期限が切れて参りますので、併し次の通常
国会で法案が提案されまして成立いたしました場合には、まあ常識的に考えまして八幡製鉄、富士製鉄両会社はこの
一般法……、一応法律の件名は企業担保法というふうに予定されておるようでございますが、その担保法ができます際には、その法律によりまして従来得ておりましたよな
一般担保制度というものが適用できることに相成ることには一応予想できまするので、この際僅かの期間だけブランクができるということも甚だ常識的でないという感じがいたしまするので、この際又改めまして期間の延長をお願い申上げたいというふうに考えたわけであります。従来二度に亙りまして二年ずつ来ておりまして、今の法務府の案の進行の段取りは只今申上げましたような事情でございますので一応一年でもよかろうかという気もいたしたのでございますけれ
ども、まあこの前羮に懲りたといいますか、一年でよさそうだと思
つたのがなかなか思うように行かなか
つた関係もございますし、又仮に必要以上の期限に
なつておりましてもこれは何ら実害を伴うことでもありませんので、たびたび手違いが起りまして
国会に何度も御審議をお願いするということも恐縮かと思いますので、まあ一年でよさそうだと思いながら更に一年の余裕をとりまして二
年間の延長をお願い申上げる提案を申上げたような次第でございます。会社当局におきましても先般来の改正によりまして先ほど
ちよつと申上げましたように工場財団組成の準備というものも
相当進めて参
つてお
つたのでありますが、その後いわゆる製鉄業の合理化計画の遂行に関連しまして債務も急激に増大もいたしましたし、又それに伴いまして資産も急激に増大いたしました事情もございましたので、そういう工場財団組成の準備というものが資産内容が殖えました
関係で、その
仕事もずつと殖えて来たことにも相成
つておる点もございますが、同時に法務府のほうで進行しておりました企業担保法の進行が
相当具体化しておるということを会社当局も知
つておりまして、なかなか率直に申上げましてこの工場財団組成の手続が無理やりに八月に間に合わすことは、最近に至りまして少しまあスピードが落ちてお
つたといいますか、というような事情もその後進行
状況も見ますと見受けられるわけでございますが、その点企業担保法がこの
国会に出るというふうに私
どもも予想いたしておりましたし、会社当局も予想しておりましたような事情もあ
つて、精神的に多少のゆるみが出ると申しまするか、というような点もあ
つたかと思いますが、この点私
どもとしても少しまあその督促の仕方が不十分であ
つたという点もあろうかと思いますが、併し先ほど来申上げますように、企業担保法という制度は法務府で今
扱つて頂いておりますけれ
ども、通産省といたしましてそういう金融の
一つのまあ進歩の、新らしい制度としまして、是非実現させたい制度とも考えていることでもありますし、それの進行の多少の誤算からもかようなことに相成
つた点があるわけでございますが、その点折角この制度が固まりかけておりまする事情もお酌み取り頂きまして、この際これができるのに、わざわざ工場財団を作らして、又それができたらそつちのほうによりまして、それの適用ができるようにするのも如何にもまあ無駄なような気がいたしますので、この間の事情、今申上げましたような事情から、かようなことに相成
つたわけでございますが、その進行の段取り等は参考資料の中に統計的なもの、若干のものを掲げまして御参考に供しておるような次第でございます。