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1954-09-17 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十七日(金曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員の異動 九月十一日委員相馬助治君、森崎隆君 及び小笠原二三男君辞任につき、その 補欠として天田勝正君、三輪貞治君及 び藤田進君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事      海野 三朗君    委員            大谷 贇雄君            加藤 武徳君            西川彌平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            河野 謙三君            山川 良一君            武藤 常介君   説明員    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    通商産業省軽工   業局日用品課長  高見澤二郎君   —————————————   本日の会議に付した事件参考人の出頭に関する件 ○通商及び産業一般に関する調査事件  (電気料金に関する件)  (電源開発に関する件)  (中小企業問題に関する件)   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より通産委員会を開会いたします。  公報で御通知申上げました通り、本日は電気料金問題と電源開発の問題、それから中小企業問題を議題といたします。  調査に入ります前にお諮りいたしますが、明日午前はこの電源開発に関する意見聴取のため電源開発株式会社総裁小坂順造君及び副総裁藤井崇治君を参考人として出席を要求したいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、小坂総裁及び藤井総裁参考人とすることに決定いたしました。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 小坂さんを呼ぶことは結構ですが、この際電力の値上問題、政府値上げじやないと言つておるかも知れませんが、実質的に値上げでありますが、電力の値上問題と、これが産業界に及ぼす影響について経団連会長をこの際参考人として呼ぶことを一つお諮りを願いたいと思います。
  5. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) お聞きの通り只今河野委員より、経団連会長石川一郎君を電気問題に関係いたしまして、参考人として呼びたいという御意見でありますが、如何でありましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 賛成はお一人のようで……。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 私も賛成ですよ。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 皆さん御賛成でしよう、きつと。
  9. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじや速記を始めて下さい。  それでは一応先方の御都合も伺つて見まして追つて決定することにいたしたいと思います。  なお小坂総裁及び藤井総裁参考人として出頭願うことでありまするが、先方と下打合せの結果は明日十二時以後はいろいろ電発会社として行事があるそうでありまして、参考人に対する意見聴取は正午までということにいたしたいと思います。従いまして若し本日の議事が残りました場合には、明日午後に繰越すことになりまするからあらかじめ御了承願います。   —————————————
  11. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に電気料金調査に入りまするが、本件につきましては、新聞の報道するところによりますると、政府はこの事項に条件付で認可をしたということでありまして、これは誠に唐突であつたので、我我としては極めて遺憾と思うのであります。併しながら今回の決定の取運び方が余りにも秘密といいまするか且つ急速でありましたので、その内容が甚だしく一般の理解を欠いていることは争われん事実と思います。つきましては前回の委員会におきまして通産大臣より一応当時の政府方針は承わつたのでありますが、詳細なる補足説明もなく、又質疑も交換いたしておりませんし、それから今日となりましては当時とは若干情勢も変つておりまするので、改訂内容について一応政府当局から詳細な説明を求めまして、それから質疑に入りたいと思います。
  12. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 只今お手許に五種類資料を配付いたしました。この資料に基きまして今回の料金改訂のあらましを御説明いたします。  先ず電気料金改訂要綱という資料、これが基本的なものであります。この改訂要綱におきまして、大体今回の考え方及びその要点を書いてございます。第一に基本方針といたしましては、先般当委員会で大臣も御説明いたしたと思いますが、本年度の二十九年度の上、下に対しまして電力会社からは改訂の申請があつたわけでありますが、本年の上は一般デフレ政策もありましたが、特に豊水に恵まれまして、比較的初めの予想と違つて経理も割合に好調を続けましたので、一応見送ることといたしまして、二十九年度の下とそれから来年の上と、この一期ずれました上、下の一カ年間でいろいろな計算をするということにいたしたわけであります。その際に先ず本年の下期にきましては、全体の物価政策等から考えまして電気料金のレベルは上げない。で、今日の制度におきますというと、電力料金種類によつていろいろ違いますけれども、夏と冬との料金の多少の違いがあるわけであります。本年下期の料金ベースを据置きまして、これで新らしい料金制度を作ると、こういうことにいたしますというと、今度の制度には夏冬の区別がございませんから、このまま放置いたしますというと、来年の上期に至りまして、今年の上に比べますというと料金が上ると、つまり、夏は下るべきものが下らないと、こういうふうな結果になるわけでありますので、そこで一応今回は二十九年度の下期というものを目標にいたしまして料金をきめまして、四月以降におきましてはそれまでに原価の低減を図るような措置をいろいろいたしまして、更に検討を加えまして、できれば引下げの方向に向つて改訂をすると、こういうふうな条件がついておるわけであります。  先ずこの下期ベースの据置きということでありますが、これには条件がございまして、第一に現在各社がそれぞれ自分の地域内におきまして電源の開発を行なつておりますが、その開発進捗度如何等によりまして、現在の料金ベースになつておりますときの各社原価と比べて、今日の原価各社ごとに非常に違つております。従つて、下期全体の料金ベースを据置きにいたしましても、各社ごと料金を開き直すというのは、違つた原価に比してやらなければ非常に不公平が生じますので、そういう点につきましては相当調整を加え、従つて全体は一定といたしましても社ごとには上下がある、こういう結果になるわけであります。  それから、その次には現在の料金ベースに比べまして、今日では炭価がかなり下つておりますので、この石炭費値下りに応じます燃料費調整によつて料金の一部を割引いておるのであります。これはこの際は一時停止をすると、その理由は電源開発の進捗に応じて電力原価というものは上る傾向であるにもかかわらずたまたま下つたという現象を捉えて石炭の面だけでそれを一部の需用家に返すということは適当でないと、こういうふうな理由から燃料費調整というものは一応ストツプするという方針をとつたわけであります。その結果、燃料費調整によつて引下げられておりました分だけの下期におきましても加算されるということになりますので、その分は若干下期ベース据置きというものにもかかわらず上るわけであります。併しいわゆる料金表にありますそのままの料金から比べますと全然上らないういうことであります。つまり現在の料金表にあります料金によつて電力社が下期に収入を予定しております総金額というものは、今般の改訂によつても全然上らない、むしろ若干下ると、こういうことになるわけであります、それが基本方針であります。  それでは新らしい料金制度というものはどういうことであるかと申しますと、只今申しましたように、各社別原価に応じて料金を開き直すということのほかに、現在大口に対しまして割当制度を行なつております、いわゆる特別大口に対します政府一段料金分に対します数量が違つて来るわけであります。こういう割当制度はいろいろな欠陥もございますので、これはこの際に全廃してしまう、これが第一の点でございます。で、割当制度を全廃するということは、結局現在小口以下においてとられておりますような二段料金制を存続する以上は、一段料金使つた電気の量というものに或る基測が与えられなければならんわけでありますが、その基準を割当でなくて過去の実績等から算出した一定の方式によつて計算できるような恰好にいたしたのであります。そういうふうな趣旨の算出計算方式を作りまして、人為的な割当をやめるということにするわけであります。但し東北地区と北陸、この両地区におきましては需給関係の改善の程度も非常に著しいので、この両地区におきましては二段の料金制を全部やめまして一本料金化いたしたのであります。これで以て一段料金分割当ということも必要なくなりますので、これにつきましては今のような計算方式等の問題もないのであります。それから、それでは一段料金の算出の方法でございますが、この資料の第一枚目の左側から右側にかけてちよつと書いてございますが、昭和二十七年と八年の二カ年のそれぞれの需用家の実績を調べまして、それぞれの需用家契約電力に対しまして、どれだけ使つてつたかということを算定いたしましていわゆる負荷率を出すわけであります。これを基準負荷率といたしまして、その負荷率に応じて今後の各地区に応じまする一段料金制を採用し得る正しい料金をきめる、この負荷率に対しまして一定の計数をかけて一段料金分を算定する、そういうふうにするわけであります。これは従来こういうふうな一応の考え方というものは大口の乙及び小口に対してはとられておつたのでありますが、その過去の実績というものはいろいろな面におきまして非常に古くなつており、それを全般の改訂におきまして二十七年度と二十八年度の最近の二カ年を寄せましたことによつて実情相当近いものが出て来るということが言えると思うのであります。  それから電力種類といたしまして、これは戦前にはいろいろなものがあつたのでありますが、一時こういうものはなくなつておりましたが、今度全般の供給力の増加にも鑑みまして又できるだけ一本料金化に近付ける、そういう趣旨にも鑑みましていろいろの電気種類を設けたわけであります。例えば一般使い方といたします場合には、常時電力のほかに期間常時と申しまして或る一定の期間、つまり豊水期間だけ使うという電気種類を設けて、これは豊水期でありますからその電気比較的安く供給できるように割引をするわけであります。それから又特殊電力というものは、これは従来もあつたわけでありますが、つまり水が急に出た場合にその電気をすぐに使つてもらえる実用家でありますから、これは比較的安く供給できます、そういつた特殊電力があつたわけであります。それからそのほかに深夜は比較負荷が下りますので、深夜に電気使つてもらうことは電気事業といたしましても非常に好都合でありますのでそういうものに対する割引き、更に東北等におきましては調整電力と申しましてそれぞれの実情に応じて負荷調整をいたします。負荷調整をいたします場合には電気事業者供給者側にとつてもそこにいろいろな便利の点もございますのでこれに応じてこれを割引をする、こういうふうな電気使い方、或いは、性質によつて各種の値段を設けてできるだけ安い値段で以て供給できる、こういうふうな種類のものをたくさん作つております。これが一つの改正の要点でございます。それから現在今のようなことのほかに、契約電力に対しまして負荷が非常にいい場合負荷割引というものを行なつておりまするが、これを更に強化するということも一つの改正点でございます。制度全段としての主な点はそういう点でありますが、こういうふうに制度が大きく変りますというと、その間におきまして非常にこの過渡期においては大きな影響を受ける部分があるのでありますが、そういうものをできるだけ緩和するという措置を別途に考えたわけであります。先ず一番国民生活影響の大きい電燈に関しましては、少くとも中流以下の家庭電燈は上げないという方針の下に、先ず定額電燈現状通り、或いは現在よりも多少下る、こういう方向で進めております。それから従量電燈につきましては、特に少額需用家に対しまして影響が大きく出ないように、少くとも七燈以下程度家庭に対しましては現在の旧料金から上るということは絶対にないように配慮を行なつております。すべて電燈につきましては、これはもう各地区とも従量電燈について従来ありました標準料金制限料金を撤廃いたしまして、一本料金化したわけであります。こういうふうに一本化いたしましたために、この影響の出方が非常にまちまちになりまして同じような率で出て参りませんので、その辺の調整には相当苦労したわけであります。  それから産業関係におきましては、特に硫安等肥料工業に対しまして、この種の工業は従来割当の面におきまして相当に優遇されておりました。今度只今のような計算方式による一般料金分のような料金決定ということになりますというと、非常に大幅な影響を受けるわけでありまするので、この点につきましては特別にそういう影響のないように、先ほど申しましたいろいろの種類電力を組合せまして特約をするということによつて影響率を極力小さくするというふうなことをいたしております。で普通でありますというと硫安工業等は今までの非常に優遊されておつた時期に比べまするというと、五割も七割もというふうに出て来るわけでございまするけれども、特約によりまして少くとも一般の水準以上にはならないように、又できるだけそれより下げて、硫安化学に対しまする影響がないようにということを考えております。  それから同じく農業関係に対しまして、農業用電力についても同じような考慮を払いました。これも硫安と同じように、農事用電力については従来相当大幅な割引を行なつておりますが、そのために今度の原則を一律に適用されますというと、これ又相当に大幅な値上りになりますから、これもできるだけその影響を小さくするようにいたしまして、これは各地区それぞれこの料金の変化の率が違いますので、一律にするということは非常に困難の点もございましたけれども、一番影響の大きい、つまり値上り率の大きい地区におきましても、五%以上の上りにならないようにということを、これはいずれも年間のことを言つておりますが、そういうふうなことを考えて考慮を払つております。  それからその他の公共事業等につきましては、従来も或る程度措置をいたしておりましたけれども、頭打ち制度というようなことを今回も更に強く採用いたしまして、公共事業に対します影響をできるだけ少くする、こういうことをいたしております。  それからその他こういつたような頭打ち等制度につきましては、まだはつきりした方針はきまつておりませんけれども、できるだけ止むを得ないものに対しまして、つまり非常に影響が大きくて、而もどうしてもこのままでは放置できないというような需用に対しまして、頭打ち等制度を適用できるような途を残しております。併しこれは余り濫用いたしますと便乗が多くなりますので、その点、運用方針は十分慎重を期さなければならんと思つておりますが、そういうような制度を一応まだとつておるわけであります。これが大体の改訂の構想でありますが、只今申しました硫安、或いは農事用電力についての値上り率というものは、仮に下期だけをとりました場合には、いずれも上るということはないわけでありますけれども、農事用電力については一番需用の多い夏を考えないということは無意味であります。又肥用につきましては特約をする関係で、どうしても一年間の特約ということでなければこれは特約にはなりませんから、一応想定として一年間を考えておるわけであります。ところが四月以降につきましては、更に減税その他の措置によつて原価が下りますというと、再検討の上改討するということになつておりますから、その際若し値段の変更がありました場合、特に値下りの場合におきましては、この特約内容も当然それに伴つて変ります。農事用電力等も更に割引率が下るのではないかと思います。一応現在のままの料金が七月以降も適用されたという場合を想定いたしまして、只今のような配慮を出したわけでございます。  あといろいろな資料がございますが、その内容につきまして簡単に御説明申し上げます。  その次に現行及び改訂料金収入比較表というのがございますが、これは現行収入と申しますのは、現在の料金制度そのままを適用した場合におきまして今年の下期に予想される収入額と、れから改訂収入は、今回改正いたしました料金制度によりまする予想収入額であります。その三つを比較しますというと、改訂収入のほうが十億ほどマイナスになつておる。収入といたしまして九九%の収入になつておる、これは一〇〇%でいいわけでありますが、計算の都合上こういうふうになつております。これはこの二つが違うところは、この現行収入改訂収入比較においておわかりになります通りに、各社別現行より高いところと、それから現行より下つておるところといろいろございまして、こういうふうに原価の差異に応じてすべて一定収入の割振りをやり替えたということになつておるわけであります。  それからその次に特定業種影響調書というのがございます。これは今度新らしいレートによりまして電鉄、水道、製氷冷凍、こういつたように比較的問題の多い需用に対しましてどういうふうな影響があるかということを公益事業局のほうで算定いたしたわけであります。非常に値上り率が大きいというふうな心配をいずれもされておりましたけれども、この表を見ますというと、それほど大きな影響はないというふうに我々は考えております。無論これは下期だけのものでありまして、従つて中には相当に下るというところも出て来るわけであります。  それからその次に特定需用家影響調書、これは比較国民生活関係の深い手近な需用に対しましての影響を調べたものであります。つまりこういつたものに対しまする原価値上りというものがすぐに私生活にはね返つて来るというふうな性質のものを一応調べたわけでありますが、パンでありますとか、麺類、それからパーマネント、大衆食堂一般小売商店中小企業工場というようなものでありまして、これも影響率が非常に大きいというものは余りありません。一割何分という程度のものが一番大きいところでありまして、マイナスがございますし、大体一〇〇%前後を挾んでおるということでありますが、仮にこれが一割なり一割五分なりこのために上つたといたしましても、それが我々の生活にどういうふうにはね返つて来るかということになりますと、その次に表がございますが、それらのものの市販の価格、或いは原価と申しますか、その中で電気代がどの程度占めておるかという比率をとりました場合に、三%とか〇・何%とかいうふうな極めて低率のパーセンテジでありますので、そのものが仮に一割上つても全体としてそんなに影響を及ぼすほどのものは殆んどないじやないか、こういうふうな趣旨の資料でございます。  それから次に定額電燈の調書でございます。これは各地区別に左にありますように、二〇ワット一燈一個を使つた場合の家庭、それから四〇ワット一個の場合、それから二〇ワツト一燈と二〇VAラジオ一台ずつ、その二つある場合、こういうふうな種類別にそれぞれの影響を調べたわけであります。これで御覧になります通り、これはいわゆる現行冬料金計算しておりますが、二つの地区を除きましてはいずれもすべて現行より下つております。下る程度は余り大きくありませんけれども、いずれも下つておる。これは定額電燈の場合はここに左のほうにあります、この種類別に上から並べてございまするが、この順序に件数が多いと、こういうことになつておるわけであります。従つてこれ以上下に……余計使う定額電燈もあるかも知れませんが、全体といたしまして定額電燈に関する限りは値上りに絶対ならないということがこれで言えるわけであります。  それからその次に従量電燈でございます。従量電燈は、これはそれぞれの使いますキロワット・アワーに応じまして新規料金比較をいたしておりますが、これは新規料金算定方法は現在と若干違つておりますけれども、その結果だけをここに出しております。この表に、先ず中ほどに黒い線が上つたり下つたりしてついておりますが、この黒い線から上が件数にいたしまして全需用の六〇%を占める線でございます。この以下の、以下と申しますか、これ以上のものが多くて大体現行より六〇%我々としては推定できる、こういうことになるのであります。特にこれをいたしましたのは、ほかの地区は余り問題ございませんが、九州、四国におきましてレートメイキング上どうしてもこの従量電燈を上げないようにというふうな料金の作り方が非常に困難であります。ところが九州、四国におきましてはここにありますように十八キロワット・アワー以下、或い十九キロワット・アワー以下、これが全体の六〇%を占めております。これはその位置の関係等によりまして西のほうでは比較使用単位が小さいのでありますが、そこまでは少くとも一〇〇%以下に抑えるということで、そういうレートを作りまして、それ以上のものはここで御覧になりまする通り、若干四国では九円、九州では三円と上つておりますが、少くとも六〇%以下のものは上げない。それ以下は上つてもほんの少しだと、こういうふうなことになるわけであります。北海道から中部まではこれはいわゆるアンペアー制というものをとつておりまして、五アンペアーまでは九十円という基本料金をとられております。これは七燈以下需用家に対しましては初めにちよつと申上げましたように、その影響を及ぼさないために七燈以下需用家に対しましては基本料金はとらないということになつております。それでこの表は北海道から中部に関しましては七燈以下家庭だけの需用をここに書いたのであります。従つて八燈以上の場合におきましてはこれにアンペアー料金が加わるということになりまして、それで若干の相違が出て来るということを申上げておきます。  それからその次の表はこれは見方を変えまして電力種類別影響調であります。これは電燈につきましては只今ありましたので省略いたしまして、大口電燈から大口電力までの種類別による地区別影響を調べたものであります。地区別にいろいろ需用内容といたしまして数字が書いてございますが、例えば北海道の一番上にあります一〇キロワットそれから、キロワット当り八〇キロワット・アワー、これが追加率と申しますが、追加率が三十%第二段料金が三割入つておる、これが現在の普通の姿であります。一番その地方、通常の姿を例にとりましてそれを比較したわけであります。この料金は各地区違うのでございますからいろいろございますが、それに応じまして今回の影響の率を出しておりまして、大口電燈につきましては比較的大幅に値上りになるのでありますが、平均いたしまして、一割余り、一割四、五分になりましようか、北陸等におきましては二割二分上るということになります。小口電力及び大口電力のほうはそれに比べますと影響はそう大きくございません。小口におきましては下がるところも若干あります。上つても一割か或いはそれ以下ということでありまして、この全体の傾向といたしましてはその次の項にありますが、大口電力乙、丙とございますが、これと大体見合つておるということが言えると思います。  それから業務用電力というには、これは電燈と動力を併せ使います主としてビルデイング等のような需要でありますが、こういうところは今度の料金では劇合に上り方が大きいような恰好になつておるわけであります。全体としましては一般の市民生活及び産業用に対します影響をできるだけ抑えたというふうな気持がここで出て来ると思うのであります。  それからその次に一般大口丙の影響というのがございます。これは現行改訂の単価を比べましてその率を最後のA分のBという欄に出しておりますが、ここに上つておるものはいずれも特約をいたす場合を除いております。従つて特約のできない需用家でありますが、例えば化学肥料等におきましてここに上つておりますのは殆んど特約に入ります。硫安のごときは全然入つておりません。そういう趣旨の表であることをお断りいたしておきますが、これが地区別にいろいろの数字があるわけであります。全体の傾向は只今までの数字とそう違いはございませんけれども、ときどき非常に大きく上るところ、或いは又非常に下るというようなものがございますが、これはやはり個々の需用家によりまして、従来非常に多く追加を使つてつた場合には今月は非常によくなる、従つて下る、ところが従来何かの関係で殆んど標準料金だけでやつてつたというようなところは上る、こういうふうに制度による影響相当響いておりますが、そういつたような関係で、個々の需用家はいろいろな違いが出て来る、全体としてどちらが公平であるか、現在のものが公平であるか、それとも新らしいものが公平であるかということになりますというと議論はありましようが、やはり新制度のほうが長い目で見ればいいのではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。  それかその次に三枚ほどありますのが改訂料金率でありまして、これがまあ今度の改訂料金の基本でございます。この表によりまして計算をするわけでありますが、供給規程というものはこれも含めて相当分厚な印刷物になつております。従つてこのほかにこの裏にいろいろな条件が隠されております。それを全部了解しないというと、実際料金の算定というものはどうなるかということはわかりにくいわけでございますが、これは余りに詳し過ぎますので、一応この料金の基本になる数字だけをここに挙げたわけであります。  それから二枚おきまして、灌漑排水用電力料金比較というのがございます。これは先ほどちよつと説明に触れましたが、各地区別にこれもそれぞれのケースに応じましてその地区で一番多い需用を捉えてその影響を調べたのでありますが、いずれも多いところで五%、或いはまあ大体二・三%が普通で、下るところもちよつとあるという程度で灌漑排水用電力料金を抑えております。これは特別の夏に使うというとに着目いたしまして、比較的大きな割引をしたわけであります。  大体これが現在の新らしい電力料金制度と、それからそれによります一応私どものほうで調べました影響の調書でありまして、今後もつと詳しいことは、殊に特約等に関するものにつきましてはなお具体的に調べませんというとはつきりした影響は出て来ないわけであります。  それから一枚刷りというもので三つございますが、需要計画というものと、会社申請額並びに査定額が二つございます。需給計画のほうは今度の原価計算の基礎となります需給のほうの表でございまして、この需給計画に基いて原価計算をするわけであります。例えば石炭を幾ら使うかということはこの供給力の欄の左から三行目の下から三番目にあります九百五十万トンというのが今度の下上の石炭の消費量ということになつております。無論この中には重油も入つておりますから純石炭といたしとまして八百九十万トンでありますが、これだけの石炭によつて火力を補つて全体の供給力を出す。それがそれぞれの需用部門にどういうふうに使われるかということを想定いたしまして電力料金を作るわけでございます。  それからその次の会社申請額並びに査定額というものは、これは大体通産省の査定がどういうふうになつておるかということを比較するための表でありまして、二つありますが、この白いほうのやつ、これが本式のものであります。これは会社申請額は二十九年度、今年の上下で申請をいたしておりますので、その哲学をそのままとつて従来査定か行われておつたわけでありますところが最終決定いたしましたのは十九年の下と三十年の上でありますので、この下欄にありますような形で出て来た、従つてここに半期のずれがありますから、実際の同じ時期においてどの程度査定されたかということがわかりませんので、別に黄色いほうの組によりまして二十九年度で比較するとどういうふうな査定をしたかということがこれでわかるわけであります。先ず合計、純原価といたしまして会社の申請が計二千百一億幾ら、こうなつております。これは表とも変りませんが、これに対しまして黄色いほうの、つまり二十九年走で行きますというと、査定額千九百十九億、ところがその半期ずれた下上のベースで見ますというと二千十七億。こういうふうに上つておるわけであります。これはなぜかと申しますと、来年の上期が入りましたために、上期に新らしく稼働いたします発電所の原価というものが入つて来る、そのために原価が上る、こういうことであります。個々の費目別の内容はこの黄色のほうの表で一応御比較になればいいわけでありますが、大体この際の査定の率というものが会社の申請がいわゆる一割四分四厘ということに対しまして、この査定が四分六厘ということになつております。この四分六厘に査定したべースを来年の上期に半期ずらしまして適用いたしたものが次の白いほうの下段の査定額、こういうことになります。この査定の内容をいろいろ細かく申し上げますといいのでございますけれども、例えは人件費等におきましては、どこのいつの人員をとるかというような点につきましてできるだけこれを低くいたしますために査定のほうにおきましては今年の四月一日現在の人員をそのままとる。それから燃料費におきましては昨年の実績から四百五十円だけ安くなる、こういう見込みで査定をするというふうにいろいろな点を査定いたしておりますが、石炭の消費率にいたしましても、それから途中の損失率にいたしましても、会社側の申請に対しまして相当な査定を加えております。それからそういつたようなものがいま一つありますが、厚いほうの表があると思いますが、租税軽減額内容というのがこざいます。これは前の資料に対しまして衆議院のほうにおきまして更にいろいろな追加の要求がございましたのでこれをまとめたわけでございます。従つて全体の体系がございません。第一にありますのが今度の減税措置等によりましてどれだけ地区別に減つたか、こういう表であります。それから申請額並びに査定額とありますのは、只今の表と大体一緒でございます。その次に損失率比較表というのがございます。これはまあいわば現在までの合理化の表でございまして、損失率は発電所から需用家に行くまでにどの程度のロスがあるかということは、再編成当時のものは二五・八で、申請では二四・六というのものを二三・五に下げるように査定した。それから従業員におきましては再編成当時の十三万六千が申請では十三万八千と、供給力の増加に応じまして人数を殖やしておりますが、これは査定によりましては十三万五千というふうにむしろ再編成当時よりも減らした査定をしたということでございます。それから一番最後に石炭の消費率がございますが、これも逐年向上いたしておりまして、初めに〇・八でありましたものが今度は〇・七六という消費率で以て査定をいたした、こういうような表であります。  それからその次には貸借対照表がございまして、その次に二十九年下と三十年上収支見透というのがございます。これは下期、それから来年の上期まで加えました収支の見通しでありまして、原価は当然下上通算いたしました一年間を算出いたしますが、従つて収支もこの一年間に合せて算出せざるを得ないわけであります。併し上期のものは今後いろいろな変動の要素がございますので、この数字そのままということには当然参らないわけでありますので、一応そういう想定上上期を出せばこういうふうな数字になるということであります。例えばこの表の右下に下期十五億六千九百万円というのがございますが、これだけ下期においては現在の新らしいレートで行きましても各社総計して赤字が出るわけであります。ところがその赤字は来年の上期にこれだけのものを回復するというこういうふうな計算で年間の原価が上るということになつておるわけであります。それから配当率の実績或いに株価の傾向、資本金の増加率といつたようなものがありまして、開発状況等も図表になつております。それから工事資金の使用状況、そういつたようなものもあとに詳しく載つておりますが、そういうものを御参考までに御覧を願いたいと思います。  資料の説明と全体の料金改訂の構想につきまして簡単でございましたが御明申上げました。
  13. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 質問に入る前にちよつと……大臣は午後の委員会出席される予定になつておりますので、お含み願いたいと思います。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 以下いろいろお尋ねすることは当然大臣からの御答弁に該当するものがあると思いますが、それは局長からお伝え願つて午後大臣出席のときに進んで御答弁を頂きたいと思います。  私が先ず伺いたいのは、今度の料金改訂の基礎になるのは原価主義に基いて通産省といろいろ計算した結果百八十億の赤字が出て来るという前提に立つて行われたやに聞いておりますが、そうですか。
  15. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 当初向うが出して来ましたのは、二十九年度現行で行きますとこれだけの赤字が出るということで来てお言つたわけであります。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 そうするとそれに応えていろいろ作業をしたわけですか。
  17. 中島征帆

    説明員中島征帆君) その赤字というものは、現在の料金のままで行きますと、これだけの収入がある、ところが原価はこれだけ殖える、こういうふうな計算でその差額が出て来る。現在の料金のままで行つた場合の収入計算というものは、これは会社のほうの計算と我々のほうの計算とそう違いませんが、原価に関しましてはやはり当然査定の問題が起きますので、そこで原価の査定ということで作業したわけであります。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 簡単に御答弁願いたいのですが、結局この百八十億の赤字を前提として作業をされた、こういうことですか。
  19. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そういうことになります。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、これは局長から伺つたほうがいいと思いますが、局長も今度の場合私と同じ立場で人に聞いていろいろやつているじやないかと思いますが、私が聞いておることはあなたも聞いたと思いますが、この百八十億はコール・クローズによつて百八十億、夏料金の一本化によつて百億、大体こういつた大ざつぱな計算で埋めるということですか
  21. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そのほかに原価の査定額があると思います。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 私が言つたことも数字的に多少の言い過ぎがあるでしようが、大体内容になつておるわけですね。
  23. 中島征帆

    説明員中島征帆君) コール・クローズと夏料金の一本化、そういうことも含まつておるということであります。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 ところで現実の問題として昨年の豊水に続く本年の超異常豊水、こういうものを眺めて百八十億というものは大体現実の問題ですよ。観念的な計算の問題ではなくて、現実の電力会社の姿として百八十億の赤字はあなたがた予想されますか。
  25. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは現在御承知のように渇水準備金制度というのがございます。渇水準備金をきちんとつみますと豊水期にはそこに赤字が出ますが、併し渇水準備金を積まないで、一応収益を考えました場合には相当の黒字になります。そういう赤字は出て来ない。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、渇水準備金は本年もこれは崩さなければ別ですが、崩せば十分経営が立つわけですね。
  27. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは総額においては相当余裕があると思いますが、併し各社別相当つている場合準備金をとりますということがあつたとしても、単にこれをとりますということだけでは片付かないと思います。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと各社別には問題がない、各社別に扱えば扱えるわけですね。
  29. 中島征帆

    説明員中島征帆君) つまり赤字が出た会社はたまたま渇水準備金をたくさん持つてつた、そこでそれを崩すということをやればその会社は助かるわけでありますが、併し渇水準備金をそういうふうに損失準備金としての使い方をするということは本来の趣意に反しますので、そういうことは方針としてはしたくない。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 渇水準備金は何年間崩していけないという規定があるのですか。
  31. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはございません。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 それならばこの非常にデフレ政策を遂行しておるときに昨年に続く本年の超異常豊水ということで、現実の問題として今月あと十日もたてば決算になるのです。決算して見ればわかるのです。なぜ現状の日本の産業界の窮状と睨み合せてこれを私は崩さないかと思うのです。これは大臣の答弁によるものと思うが、ここで局長からも、あなたたち直接の担当の局としてどういうふうにお考えになりますか。
  33. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは第一には渇水準備金の制度趣旨そのものがそういうようなものでなくて、渇水に対しまして積立てる、そのために免税等の措置もとられているのでありまして、制度趣旨に背くということが一つと、仮にそうやりましても、会社によつては非常に事情が違いますので、むしろとり崩して、使わなければならないというようなときに準備金の金額が少いということになりましては準備金の趣旨に反するということになり全面的な解決にはならない、こういう趣旨であります。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、局長としては渇水準備金の本年のものを、殊に昨年のものを崩すということにこの際反対だ、こういうわけですか。
  35. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そういうわけです。
  36. 河野謙三

    河野謙三君 わかりました。  次に伺うのですが、あなたのほうの料金改訂の認可と前後して各社が、数社が抱合せの増資をやりましたが、これはあなたのほうは事前に相談になつたのですか。
  37. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは、増資は前から我々のほうも原価計算のほうで予定をいたしております。それから各社ともそういうふうな意向は漁らしております。
  38. 河野謙三

    河野謙三君 この抱合せ増資の姿と、今度の料金改訂というものと矛盾したように思いませんか。
  39. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 我々のほうは現在の三分の一増資の二割無償という計算原価をいたしております。それで今回の各社の発表は、二割五分の抱合せで、増資の率が各社によつてつておりますが、半額或いは四分の一、或いは三分の一といろいろとありますけれども、それだけの食い違いはございますが、併し当時我々の原価査定いたしますときの状況というものと、それから現在におきまする状況というものが違いがありますので、こういう点は止むを得ないと、こういうふうに考えております。
  40. 河野謙三

    河野謙三君 まあこれも私は午後に大臣から伺います。  次に先ほど来いろいろ御説明がありました、今のこの作業の基礎は二十九年の下と並びに三十年の上というものを通計しての計算になつておりますが、ところが過日来大臣なりあなたからの説明では来年の四月以降は白紙だと、こういうことなんです。ただいろいろ希望は持つておるけれども白紙だと、こういうことなんです。白紙のものを現実には料金改訂の基礎に四月から九月まで入れているのは、これはどういうわけですか。これは責任を持てますか。
  41. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 四月以降のものは白紙だというふうには言つたつもりはないのでありますが、要するに原価計算をしますには、どうしても年間をとらざる得ない。年間をとりましてその結果において一応今度はレートも開く。その場合にはやはり年間の原価において年間のレートということになりますが、併し来年の四月以降に対しましては特別の措置を行なつて更に又夏料金に戻すような措置をするということになつておりますから飽くまで先ず当面の問題として時期を置くと、併し全体を見通すためには原価にいたしましても、料金にいたしましても来年の上からやらざるを得ない、こうい状態になつております。
  42. 河野謙三

    河野謙三君 四月以降は努力目標でしようが、これはあなたたちの勝手にできるものではない。それぞれ手続を踏まなければならん。手続を踏んでやらなければならない。四月以降というものを既定事実として料金計算の基礎の中に入れたのは違法じやありませんか。そうじやございませんか。
  43. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは若しその原価の中に四月以降に低減を予想するような減税、その他を入れておると言えばそうでありまけれども、むしろ逆に今までのままの状況で、このまま推移したらどうかということで原価を推定しております。
  44. 河野謙三

    河野謙三君 夏冬一本化ということが前提でしよう。
  45. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そうでございます。
  46. 河野謙三

    河野謙三君 それはもうあなたたちは要するに四月以降のことは夏冬一本化ということを予想しておるわけですね。
  47. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そうじやなくて、一応夏冬一本化のような恰好の料金表になつておりますが、四月以降の料金につきましては、これからの努力でそれぞれ改訂しようと、こういうふうになつております。
  48. 河野謙三

    河野謙三君 努力によつて改訂しようという努力目標はよくわかるのです。併しそれは飽くまでも努力目標であつて、あなたたちがそれをとつて以て計算の基礎に入れるというのは時期がまだ早いのじやないですか。
  49. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは誤解でありまして、努力目標は全然その計算の中に入つておりません。つまり料金は現在のまま、下期の料金ベースがそのまま形の変つたものができた、それはそのままで行けは来年の上期にも施行になりますけれども、それまでに何とかしようと、こういうことであります。従つてそういう条件の下に今後の料金がきまつておるわけです。
  50. 河野謙三

    河野謙三君 それまでに何とかしようと、何とかならん場合もあるでしよう。あなたは何とかなるということをきめているわけです。それをあなたはすべて計算の基礎にしておるのはこれはどういうわけですか。
  51. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 何ともならん場合を一応前提といたしました姿がこの計算表であります。
  52. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、夏冬一本化という前提には立つていないのですか。
  53. 中島征帆

    説明員中島征帆君) この形の上では、夏冬一本化になつております。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 それは来年の四月以降は夏冬一本化の料金にするということなんでしよう……。そうじやないでしようか。
  55. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 形の上では、そうなつておるわけであります。それを四月に再検討して変えようというのが趣旨であります。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 変えようということは、一体希望であつて、現実の問題ではないわけです。その希望を現実の料金計算の基礎に織込んだというのは、私はどういうわけだと、こう言うのです。
  57. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは先ほど申しますように、そういう希望の点は、全然計算に入つておりません。入つておりませんから、若し希望が実現すれば、それに応じて計算を変えるというのがこの狙いであります。
  58. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつとおかしいのですが、まあ……。ところでね、聴聞会に、この前聴聞会をやりましたね。その後においてコール・クローズの停止とか夏冬料金の一本化、こういう問題も聴聞会に当然第六十条ですかに、これによつて聴聞会にかけなければならん義務付けられたものだと、こう思いますが、これはどうです。
  59. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは当然の問題だと思いますけれども、当初出された申請の内容と非常に違つたものを行わせる場合において、これは事案の本質を損いますから、やはり聴聞にかけるわけであります。ところが今回の改訂趣旨は、この前に聴聞いたしました申請の内容につきまして、各方面からいろいろな意見が出たわけでありますが、それを十分斟酌いたしまして、殊に値上りにならないようにという趣旨も入れまして、それで新らしく作り直したわけであります。従いまして全体に若干変つた点はありますけれども、大筋といたしましては、初めの申請の内容にプラス聴聞会の趣旨も加えたものに違反していないと思います。従つてそういう意味においては聴聞をする必要はない。こういうふうに我々は考えました。又その筋の専門家のほうもそういうふうに考えておるのであります。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 この前の聴聞会のときは、来年の三月までには聴聞する。今度のものは来年の四月以降が入つておるわけでありますが、これはどういうわけですか。これは聴聞会は来年の三月末ででしよう。その点矛盾を感じませんか。
  61. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは時期はずれておりますけれども、ずらしたことが消費者の利益ではないか。それから内容が少し変つたために、聴聞するということになると、すでに聴聞にかけまして、その意見に入れ得るものがある限りにおいて、変える場合には又聴聞しなければならん、そこで又意見が出れば、又変えるということでいつまでも切りがありませんから、やはり或る程度のところで聴聞を打切つて行く、そういうふうに考えますと、今度の春に出ました意見が又変わつた形で出て来るとは考えられませんし、又その当時の意見を容れて、その線に沿つて改訂でありますから、差支えないのじやなかろうか、そういうふうに考えております。
  62. 河野謙三

    河野謙三君 あなたは消費者の利益になるとか何とかおつしやる。それは利益になるかも知れませんが、そういうことであなたたちが仕事を進めて行く上において拳々服膺しなければならんという法律の規則があるわけです。この聴聞会の事項に料金算定の基礎というものは聴聞会にかけなければならんと書いてある。あなたは吉田さんと同じように法律がどうあろうとかまわないというようなことを言うことは私はいかんと思うのですが。どうですか。書いてあるのじやないですか、ちやんとこれに……。
  63. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは十分法律の文句を研究した上での結論であります。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、ここに「異議の申立及び聴聞」という条項ですね。六十条ですね。「第三十九条第一項第一号(料金算定の基準)」これは聴聞にかけなければならないと書いてある。「この章に定めるところに従い、聴聞を行わなければならない。」と書いてある。料金の算定の基礎には関係ありませんか。今のことはこの算定の基礎になる。ここであなたがお示しになつたことは、すベて、挙げてこの前の聴聞会にかけられましたか、かけてないじやないですか。
  65. 中島征帆

    説明員中島征帆君) ここにいろいろ書いてございますが、これは、こういうものを定めようとする場合は、ということでありまして、今度の場合は料金規程の改正でありますから、その意味で書いてあります。例えば、今お話がありましたような算定基準といつたようなものは、これは別に、もうすでに定まつておりまして、すでにかけて決定した基準があるわけであります。
  66. 河野謙三

    河野謙三君 まあ、私は局長にこういう質問をするのは、今度改訂までに至る、この経緯の実際を私は聞いておりますから、あなたを私は責めることは非常に不本意なんです。不本意なんですけれども、一応私はあなたがここにおいでになつたから伺うのですから、ここで私はあなたを決して責めるとか何とかいうのじやありません。内心非常にあなたに同情しておる。ですから、そういう意味合いでお聞き願いたいのですが、そうすると、料金査定の基準という中には、コール・クローズの廃止とか、夏料金の一本化ということは、算定の基準になりませんか。
  67. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは料金規程の問題ございます。算定基準じやありません。
  68. 河野謙三

    河野謙三君 それは関係ありませんか。
  69. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 全然関係ございません。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 それじや結論だけ聞いておきます。そうすると、あなたは聴聞会にこの前かけたことによつて、今度の料金改訂には改めて聴聞会を開くような条項は一つもない、絶対ありません、法律規則に照らしてそういうことは絶対ありません、こういうことですね。それならいいのです。改めて私は聞くところで聞きますから。
  71. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 法律上かけなければならんという必要はないのだ、こういうふうな結論ごでざいます。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 次に伺いたいのですが、先ほど百八十億内外のものの赤字を埋めてやらなければならん、こういう前提に立つて、いろいろの作業をされた。そうすると結局電力会社のほうにすれば、百八十億の赤字が今度の改訂によつて埋めることができる、そうすると、この百八十億というものは、消費者の負担が殖えたと、こういうことになるね。そういう解釈に間違いないと思いますが、どうです。
  73. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは百八十億全部を埋めるのでなくて、これはこちらの査定によりまして、この収入差額というものは減つておるわけであります。それに先ほど御指摘になりましたように、コール・クローズの廃止であるとか、それから夏冬一本化ということで埋めるわけです。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 あなたの査定よつて百八十億は幾ら減つたのです。
  75. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは半期ずれましたので、むしろその差額が殖えまして、二百三億でございます。
  76. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると二百三億というものは、電力会社のほうから見れば、内容的には赤字を生んだということに計算上なるのだが、とにかくそれは電気料金のほうが殖えたということですね。消費者がそれだけ負担が殖えたということですね。そういうことになりますか。
  77. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 年間取ればそうでございます。
  78. 河野謙三

    河野謙三君 そこで、私はまだ素人ですから、伺うことがちよつとピントが外れるかも知れませんけれども、只今説明頂きました表の、現行及び改訂料金収入比較表において、この九電力会社の総平均では、今度改訂することによつて、九九%、一%減るようになつておりますが、一%これでは減るようになつているにかかわらず、今のあなたのお話によると、二百三億今度増して来たのだ、この関係はどうなんですか。
  79. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは第一に下期だけの数字を書いております。それから第二に燃料費調整前の数字を書いております。従つて燃料費用整後におきましては、それだけの増加でございますから、これを上期まで引延ばした場合には、今のより更に殖える、こういう計算になつております。
  80. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、先ほど来影響力は極めて少い、値上げにはならない、値上げになつても極く僅かだとおつしやいますけれども、結局内容的には、あなたのおつしやる通り、額面通り受取つても、二百三億は電力料金上つたということですね、上るということですね。
  81. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは一年間を想定した場合、而も来年の上期におきまして、原価の低減がなかつたというときにおきましては、その通りでございます
  82. 河野謙三

    河野謙三君 それならそのように初めから話してもらえればわかるけれども、如何にも何か数字の、マジックで上らないと言つて、我々素人を捉えてやかましい表を作つて説明されるからわからなくなるのです。上るのです。今度のやつは、現に各業態に、それぞれ自分の関係であるから、自分のところがどうなるか調べて、我々不思議に思うのは主婦連合まで騒いでいるのです。我々考えるのに二百億や三百億のことで全国挙げて各産業は騒がないと思うのです。あなたより各消費者のほうが計算しているからぴんと来るわけです。電力料金は今度の改訂によつて、各業種別にお前のところは一円が一円二十銭になるとか、一円三十銭になるとか、一円五十銭になるとか、全部業態別に現実に出ているのですが、そういうものが出なければ収支の計算はできないでしよう。
  83. 中島征帆

    説明員中島征帆君) レートはそれぞれの数字においてレート表というものはできております。併しそれぞれの需用家電力料金の単価はどうなるかということは、過去に電力をどういうふうに使つておるか、今後どういうふうに使うかということによつて違うので、一人々々の単価は出しておりません。レート表としては大口の場合幾ら、小品の場合幾らと、こういうふうにはつきりきまつております。
  84. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、この間問題になつておりました硫安工業は幾ら上る。
  85. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 硫安は先ほど申上げましたように、特約であります。つまり工場が電気会社のほうと相談いたしまして、自分のほうはこういうふうな電気をいつ使うということの、いわゆるロードカーヴを想定するわけです。それに応じて安い電気を余計入れまして、値下げするわけでありますが、従つて個々の工場の実情に応じて協定いたさなければなりませんので、全体の電力会社としては結論的にどういうふうな率になるかということは出ておらないのであります。そうすることによつて硫安工業に対します影響は非常に緩和されるということは一応考えられると思います。
  86. 河野謙三

    河野謙三君 私は、硫安工業つて各社別にまだわからんわけですね、特に特約の問題が、協定ができて、あなたのほうの認可をとつてないから、而もこれは非常に大口消費者です。これがわからん前に、私どもこういう特約の場合がたくさんあると思うのです、そういうものがわからんうちに、電力会社が収支計算をして、今度九九%になる、一〇〇%何%になるという、どうして出るのですか、それがわからんのです。
  87. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはむずかしいことではありませんので、先ほど需給計画のほうにございましたが、大体この電力会社には電気が幾ら出る、供給力が幾らで、そのうち常時的に出るものが幾ら、それから特殊はどのくらい出るか、こういうものが、供給の種別による数量が年間想定できるわけです。そうしますと、その場合に、特種は単価は安いのでございますから、特殊は幾ら、常時は幾ら、こういうふうな計算をいたしますので、その特殊と常時をどう噛み合せるかということによつて変りますが、特約料金の結論が出ませんでも電気会社全体としての収支計算はできるわけです。
  88. 河野謙三

    河野謙三君 私はおかしいと思うのです。例えばお前のおころは特約で、冬には一円十銭なら一円十銭でやると言つておきながら、実際にはそういうふうにやらないで、北陸なら北陸で、東京に売らないで山陰に売るというような、そうやらないで、東京に現に売つているのです。そういう実際の供給の実態というものからいつて出るものではないと思うのです。特約つて思う通り動くものではないのです。そうそういう非常に複雑なケースがあるのです。そういうものを基礎にすると、私はあなたの計算は大ざつぱでなければならんけれども、大ざつぱにしても、今から東北電力が一体幾らになる、北陸が幾らになる、東京電力が幾らになる、改訂後の今日は幾らになるというようなことが出るのが私は不思議だと思うのです。電力の供給量はわかるでしよう。供給量はわかるでしようが、その内訳というものはわからんでしよう。これは又非常に大きく響くのですよ。そうじやないですか。
  89. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それはお説の通りに、幾ら契約を精密にやりましても、実際は水の状況或いは需用の状況によつてつて参ります。併し従来の経験によりまして、今年はこのくらいの水が出る、それに対しまして需用の伸びはどうだとか、特殊、常時その他の電力種別に応じまする需用の内訳はどうだということは推定ができるわけです。それに基いて一応我々は計算をいたしまして、それを基にしての特約等も行われるわけであります。実際に特約をやりましても、これは又発電状況等によりましてそれだけ送れないときもありましようし、又それ以上に送れるときもありましようし、そういうことも特約内容一つになると思いますが、それによつて結果的に多少形が変つて参ることはあり得ると思いますけれども、だからといつて全体の想定をしないというわけにも参りませんし、又個々の特約内容が仮に確定いたしましても、そういうふうな実際面におきましては変りますから、一応全体的な見通しの下に逆に想定するということは止むを得ないことではないかと思います。
  90. 河野謙三

    河野謙三君 他のかたからも御質問があると思いますから、私はあとは大臣に御質問をすることにしますが、ちよとついでに伺いますが、供給余力のあるにかかわらず、特約契約に基いてやると、それは非常に安い料金だと、ところが隣の電力会社へ売ればもつと高く売れるという場合に、こつちの供給余力というものをあたかも供給余力がないような形においてもつと高いところの隣の常力会社に売るというようなことは、これはあなたのほうで取締りはできますか。
  91. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは十分監督できます。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 過去においてそういう例があつたことは、あなたはお認めになつておりますか。
  93. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは各社間におきまして融通契約がございますが、それとそれからそれぞれの社の内部の販売契約との噛み合せの問題になると思います。いずれも契約でありますから、尊重すべき点は尊重しなければなりませんけれども、その地区におきまして水が減つた場合には、むしろ他の地域に融通するものを先ず切るというのが常識でありまして、大体今まで電力会社はそういうふうな縁でやつております。
  94. 河野謙三

    河野謙三君 最後に、この表に一般物価に及ぼす影響というのが出ておりますが、これは私は通産委員会で冒頭に申上げたのですが、一般物価に及ぼす影響なんて、こういうことで出すのは、私は非常にナンセンスだと思う。これはその業種が直接電力を消費する場合の影響力だけを出しておるわけなんです。米の値上げになつた場合、我我が自分の家庭だけで食う米の値上りだけが影響力ではないわけです。米が上れば、賃金が上る、物価が上る、それを全部かぶつて米の値上げ影響力ということになるわけです。電気つて同様じやありませか。パーマネント屋が自分のところで消費する電力料金だけが電力料金値上げ影響じやないのですよ。そうでしやよう。ところがこの計算は、そういうような総合的に物価に及ぼす電力影響というものを計算して出したものじやないでしよう。若しそうでなければ、私は当初に要求しておきましたが、そういうふうな間接に来るところの影響力というものを計算したものを出して頂けますか。こんなくだらんものを出してもらつても問題になりませんよ。パンが幾らかになると。パーマネントが幾らになるとか……、そうでなくて、電力一般物価に及ばす影響というものは直接よりも間接のほうがもつと大きいのです。そういう問題は計算できませんか。
  95. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはこの前もそういう御意見があつたのでありますが、御趣旨は結構であります。併し仮に計算できたといたしましても、電気は例えば五%なら五%上つたと、そうすると家庭の生計費が殖えるから、そこの家で売りますものに全部それだけのものをぶつかけて行く、或いは工場等におきましてもそれだけのものをかける、それがだんだん積み重なつてつて最終的に来ます場にどういうふうになるかというと、これは非常に厖大な額に及ぶのでありまして、そういうものを出すということ自体が、むしろそれだけ積み重ねてよろしいという感じを与えることもありますし、又実際面におきまして、仮にそれだけのものが次々に反映するといたしましても、それを計算するということはちよつと我々の手では不可能でありますので、大体直接のものだけを出しまして、その程度が小さければ、それぞれのもので吸収してもらえるだろうというふうに期待することがこの際においては妥当であろうと、どうしても出せといつても、私どもの手では出しにくいので、別に統計機関が何が作らなければむずかしいのではないかと思います。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 私は通産省を鞭撻する意味で申上げますが、あなたの今のようなお考え方で、そういうことをしなければ出ない、又やれないと言う。それならば、今日の新聞に出ておる米はどうですか。農民の言うことが本当か嘘か知らんけれども、生産費が一万二千円はしなくても一万円以上であることは間違いない。ところが、農民の生産する米が一万円であろうが、一万一千円であろうが、これの国民経済に及ぼす影響が非常に大きいということで基本米価八千九百何円ときめる。米のほうはそういうふうにやつておる。通産省が電力会社に対して抑えが弱いからこういうことになる。これは一電力会社の問題ではないので、大きな問題です。これに特に愛知さんに伺いたいところなんだが、あなたもよく聞いておいて下さい。米の問題と電力の問題とどこが違うか。場合によつてはこれは電力会社に対する政策論になるけれども、別な意味においても、電力会社値上げをしてその値上げによつて国民経済に及ぼす影響というものを最小限度にとどめる努力というものは何もしていない、而も、これはどこか闇から闇に案を作つてあなたのところに持つて来て、これでやるから作業しろということでは、全くあなたを馬鹿にしている。私はあなたに同情する。併し同情ばかりしたつてしようがない。あなたは局長なんだから……。十分僕の言うことは筋が通つておると、共鳴されると思う。それにしては余りに簡単に扱い過ぎているのじやないですか。そうして、それを出さなければいいけれども、一般物価に及ぼす影響……、これじやないですよ。パン屋に及ぼす影響ならいいけれども、それでもまだいけないくらいだ。表題が一般物価となつておる。それならば、物価に及ぼす影響というものは間接のものを出さなければいけませんよ。いろいろ意見になりましたからこのくらいでやめますけれども、私は結論として、極めて今度の料金改訂というものは闇討的行為であつて、遺憾であります。これはただ遺憾というだけでなくて、今後これが非常に大きく産業界をゆさぶるということは必至であります。これだけを私は特に申上げて、あなたから大臣にもことずけてもらいたい。私は愛知通産大臣にも、今度の電気料金値上げというものは愛知さんのために惜しむと言つたのだけれど、遺憾ながらこれは愛知さんの大黒星で、愛知さんの将来の政治生命にひびが入つたことを非常に遺憾に思います。それをことずけて下さい。これで私は終ります
  97. 海野三朗

    海野三朗君 大臣がまだ出られませんから、その前に政府委員にお尋ねいたしますが、この電力料金については公聴会を聞きその意見は殆ど値上げには反対であつた。又通商産業委員会といたしましてもことごとくが反対であつたにもかかわらず、知らないでおる間に抜打的に値上げを発表したということは、私は議員の一人として納得がいかない。局長は上からの命令によつてそういうことをしたのでありましようけれども、初めは岡野通産大臣は上げなければならないと言つてつたが、愛知通産大臣になつては、今その時期ではないというようなことを言つてつて、だんだん今度は変つて来て、そうして通商産業委員会でも反対しておるのに、今になつてぽかつと上げるということは、通商産業委員会を無視したものであると考えるので、政府当局は如何なる経路を辿つてこの値上げの段階に到達したのであるか、そのいきさつを率直に伺いたいと思います。
  98. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは又後刻大臣からもお聞きになつたほうがよいかと思いますが、私の立場から申しますと、今年の一月に申請書が出まして、三月に聴聞をいたしまして、その後聴聞等の意見を参酌しつつ、原価の査定を非常に慎重にやつてつたわけであります。原価の査定がおよそできた頃、レートも一応それに合せて開いて見まして、一応の中間案ができましたのが七月頃でありましたが、いわゆる六分八厘案というものができました。それでまあ我々は、一応の原案者といたしましてはその案で以てできるだけ速かにこれを実施したいというような気持を持つておりましたけれども、諸般の情勢でなかなかそう簡単にも参りません。又我々の原価の査定のやり方につきましていろいろな批判もありましたし、それやこれやもいろいろ勘案いたしまして、更に検討を加えて先ほど説明申しましたように四分六厘案が出て来た。これを査定といたしましては最終案に考えておつたのでありますが、そのうちに八月、九月とずれて参りまして、大体もう上期の見通しをつけますというと、相変らず上期は豊水が続いております。従つて上期一ぱいくらいは抑えてもそう電力会社も総体的に困るまいということで、当初大変急いでおりましたが、上期一ぱいは抑えるという方針には我々も承知したのであります。で下期になりまして今度の案を作つたわけであります。それが先ず下期につきましては、下期から、正確に申しますと、十月乃至十一月から冬料金に入りますので、冬料金は当然従来よりも余計の電力料金を支払わなければならん、従つてそれだけのものが上るから、そこでその上つたペースで一つずつと据置いて夏まで入るという計算でやつて見たらどうかということでやつて見たわけであります。そうしますと、丁度たまたま来年の上期までの想定をいたしますと、我我の査定しました原価、これでよかろうということで下期のレートを開いたわけであります。併し下期のままで滑り込むということは来年の上期にとつても困りますから、それまでの間に企業努力のほかに税金、金利ともできるだけ軽減して、更に又夏の姿にできれば戻したいというのが今度の答申の認可の条件になつております。
  99. 海野三朗

    海野三朗君 聴聞会をやはりあなたもお聞きなさつていたと思いますが、この委員会においても激しく反対の意思を表明しておつたのでありますが、それはどういうふうにあなたはお考えになつているか。この電気料金値上げは行政に関することであるから行政官庁の考え通りに行くのだというお考えであるか、大衆が挙げて反対しておるのに、それは御承知のはずだと思うのですが、その辺は如何にお考えになつたのでありますか。聴聞会を開いても、又婦人団体にいたしましても、あらゆる方面からして電気というものは公共事業であつて営利事業ではないのだと挙げて反対しておるのにもかかわらず、その値上げをすることにあなたは協力して来られたと私は考えるのでありますが、そういうふうなあり方についても私は非常に疑問を持つておる、つまり大衆が挙げて反対しておる、それで上らないものだと思つてつたところが、電力会社のほうから猛烈なる運動が在つたと私は思う。そこで知らず識らずの間にこういう案を作つて出されたということに対しては私は非常に遺憾に思うのでありますが、そういう点については、如何なる御信念を打つていらつしやるのであるか、それを私はお伺いしたい。
  100. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはデフレの時期如何にかかわりませず、およそものの値段を上げる場合には反対意見が強いのは当然でございます。従つて我々はこれは当然予想しておつたわけでございますが、今度の料金改訂はいわゆる値上げのほかに制度改訂も両方含んでおります、値上げの率は当初業案の一割四分四厘というものにつきまして聴聞をいたしたわけでありますが、それに対しましても殆んど全員が反対であつたということは御報告申上げたと思いますが、それをこの原価を十分査定いたしましてその約三分の一程度まで圧縮したということはこれはやはり反対の意見相当にこたえたということになると思うのであります。  それから三月の聴聞のときでもそうでありましたが、更に八月でありましたか、この新らしい料金制度に併せまして需給調整規則の改正案の聴聞をいたしております。で、これはこの新料金規程と供給規程と裏腹をなす規則でありますが、その改正は現在のような割当制度をやめまして新らしい制度に移行するということを骨子としておるわけでありますが、その新らしい料金制度に対しましては殆んど大部分が賛成であるということは特に八月においてはつきりいたしております。無論中には反対のものもありまして大体従来の制度によつて優遇をされておつたところはまだ時期尚早であるというようなことで反対いたしておりますが、大部分の意見というものは制度改訂については反対いたしておりません。従つてその二つの意味におきまして、決して我々は一般の国民の声を無視せずに、できるだけその声を尊重して新しい料金制度をきめたというふうに考えております。又国会等におきまする意見も我々はたびたび拝聴いたしております。いろいろ御尤もな御意見もありまして、この査定或いは新らしい料金制度につきましては、十分これは考えております。ただ時期的に申しまして、十分国会が御納得の行くときまで論議をして頂いてからきめるということでは、これは又行政的には甚だ困る点がございますので、そこまで国会の審議権というものを尊重しなければならんかということにつきましては、これは行政上の認可処分に対する限りにおきましては別問題ではないかと我々は考えております。従つて委員会におきましての御疑念に対しましてはできるだけ解明もいたしますし、又審議会におきまする取極めにつきましては、十分に尊重いたすつもりでございますけれども、行政措置における段取りというものにつきましては十分我々は考えてやりたい、こういうふうに考えております。
  101. 海野三朗

    海野三朗君 只今のお話では制度改正ということを強調されましたが、値上げを目的としたのではないというお話のように私はとれるのでありますが、結果において二百億幾らの金が電気業者に余計入つておる。制度もありましようが、結局において大衆にしわ寄せしたという結果になつておるのではありませんか。
  102. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはむしろ逆でありまして、今度の下期におきましてはむしろ一般電燈、特に少額の需用家に対しまするその影響を抑えますためにこれを上げないというふうに、はつきりこの線を守つたわけであります。でむしろそのしわ寄せというものは業務用の電力でありますとか、或いは大口電燈というふうな比較的ゆとりのある事業のほうに持つてつたというふうな結果になつておりまして、大衆負担によつてこの不足をカバーしたということにはならんわけであります。但し来年の上期にこのまま行きますと、夏分の料金が上りますから、そのためにこれを下げるだけの努力は何としても私どもといたしましてはいたさなければならんと考えております。
  103. 海野三朗

    海野三朗君 企業努力が足りないというお話はこの前盛んに言われたのでありますが、その企業努力に対しては如何なる措置をされたのか、それも伺いたい、これが一つ。  それから「現行及び改訂料金収入比較表」におきましてこれを通覧いたしますというと、北海道、東北、それから北陸及び四国、この方面は皆料金が増しておる。在来北海道、東北、北陸というのは全体からいうて安かつたように私は思うのです。でその安いところが不公平であるからというてここに肩を並べて来たわけです。この考えがそもそも私は間違つておると思うのです。なぜ東北とか、北陸とか、北海道というものはこうであるかというと、天候に恵まれない地方なんです。天候に恵まれない地方であるから、電気くらいで安くしてもらわなければ事業が起りつこない。それを東京とか、それから中国、九州、そういう方面と足並を揃えるようなこのあり方を見ると、今まで安かつたところを高くして行く結果になつておると私は思うのです。このあり方についても一つ伺いたい。それから全国の平均九九%と、こうしてあるのでありますが、この九九というのはこのB対Aの平均ですか。現行及び改訂収入から来た九九なんでしようか。この三点をお伺いしたい。
  104. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 先ず一番最後の簡単なところから申上げますが、九九%というのは現行収入改訂収入総額の比でございます。  それから最初の合理化をどう考えるかという点でございますが、これは先ほど最後に説明いたしました租税軽減内容という資料の三枚目に損失率等比較表というのがあります。ここにありますように、再編成当時からどういうふうになつて来て、今度の申請ではどういうふうな値いで申請して、最後に査定はどうかということが、ロス率、それから従業員の一人当りの発電量、それから石炭の消費率といつたような、いわゆる企業合理化の主なる点につきましての数字がございますので、これによつて御覧願いたいと思います。要するに査定というものはできるだけ能率を上げた点できめておりまして、更にこれが下期については一層下るように努力するような申入れを私どもはいたしております。  それから東北、北海道北陸といつたようなところが比較上つておるという点でございますが、もともとこれはお話のように東北、北陸におきましては現在の単価は安いわけであります。安いということはなぜかというと水力の設備が多い。水力の設備が多いということは、要するにその地区におきまして発電水源が豊富だということを物語つておるわけであります。従つて電源開発をします場合には、水力電気に関しましてはどうしてもこのような地区で最も盛んに行われるというのがこれは当然のことでありまして、その結果東北、北陸等は昨年から今年にかけましてほかの社に比べまして比較的大きな開発をいたしております。新らしい開発をいたしまして、それが現実に稼働いたしますというと、それの非常に高い原価というものが入つて参りますので、どうしてもその地区原価というものはそれのために影響を受けまして上がる。その結果率から申しますというと原価の高騰率が比較的大きい、こういうことになります。而もそれにもかかわりませず、単価を見ましたときには他の火力地区に比べまして安いわけでありますが、そういうふうな傾向がございますので、今回は現在行なつております水火力調整金を大幅に軽減いたしております。これは再編成当時きめましたものを昨年までに二割だけ減らしておりまして、八割が残つております。今般の電力会社の申請によりますとその八割のうち更に二割五分を減らしまして五割五分残すというような案でありましたが、それを半分にいたしまして、四割だけ減らして四割残すというふうなことをやつております。それによつて水力地区の負担がそれだけ軽くなつた勘定になるわけでありますが、そういうふうにいたしますと残つた四割というものはこの次の改訂、これはいつになるか知りませんが、そのときには又全廃にすることができるのじやないか、今一挙に廃しますというと九州方面で非常に大きな急激な影響をこうむりますので、やはりこの程度のところが妥当だと考えましてそういうふうにいたしたのであります。  それから只今のように地区別開発した状況がどういうふうになつておるかというのは先ほどの資料の中ほどより少しあとにこういう図表がございますが、これによつて大体の傾向はわかると思います。図の真中の線から左側が既設、つまり二十七年現在までに作つてありました設備で、出力及び価格と両方の姿で出ております。これに対しまして右側のものがその後開発したものを出力と価格で出しておきまして、その右左の比率というものが要するは右のほうのウエイトが大きいところは既設の設備に対しまして開発したものが大きかつた、特に水力の部分が多いところが東北或いは北陸であるということがこれでわかるわけであります。
  105. 海野三朗

    海野三朗君 ここの現行及び改訂料金収入比較表というものは北海道東北地区別に分けてありますが、これは全部料金になるのですか。
  106. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 全部の料金と申しますと、電燈料、大口電力料金全部を入れたものであるという意味であればそうであります。
  107. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、ここの九九%であるならば却つて収入が減らなければならんことになるのじやないですか、どこで増しておるのですか。
  108. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは今年の下期分だけの数字でございまして、而も現行収入には現在行なつております石炭割引をしなかつた場合、料金表通りつた場合の収入を総計したわけであります。改訂収入も同様でございます。ですが実際にはこのままで行きますと、石炭クローズを撤廃しない限りは現行収入はこれだけまるまる入りませんから、従つて現実の姿と比べるというとこの表に対しまして逆に石炭費の値下げの分だけは増収して入つて来る、こういうことになります。
  109. 海野三朗

    海野三朗君 それからもう一つつておりますが、電力会社は独占企業であるために一般企業者に比べて企業努力が足りないという評判がある。その企業努力に対しましては通産省としてはどういうところを改訂すべく忠告されましたか。
  110. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 先ほどの表にございますように、一番企業努力で効果の挙りますのはロス率を低減するということ、それから石炭の消費率を減らすということ、更には従業員が徒らに殖えることを抑える、この三つが一番大きいわけであります。それを今回の査定におきましてはこの表にあります程度にまでいずれも向上させましたもので査定をいたしておりますが、今後更にこれを一層又努力いたしまして、ロス率にいたしましても或いは石炭消費率にいたしましてもこれを改善してもつと効果の挙るようにしろということを今般の機会におきましても申しておるわけであります。
  111. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど河野委員ちよつと触れられましたが、僅かの値上げのようでありますけれども、それが製品に及ぼす影響が非常に大きいのであります。製鉄事業なんかにしてもそうですが、非常に影響するところが大きい。従つて物価を安くしよう、安くしようなんというのは弱いものいじめであつて、そのほかのところは是非ともなくちやならんところのものはびりびりかけられておる状態です。デフレ政策なんというけれどもここに電気料金値上げというものはすべての方面に響いて来て、結局あらゆるものが値上げ方向へ進むとは私は考えるのでありますが、局長あたりはそういうことに対しては何らお考えがなかつたものであるか、その影響するところが甚大である、それが延いては一兆円予算でぎりぎりやつておるけれども、弱い者がいじめられておる形になつて、それから鉄材なんかは国際収支に釣合わないので今これを下げようとしておるときには、特に電力なんかも下げてやらなければ国際価格に到達しない状態、そういうような点については局長あたりはただ要求があつたからこれを合理化して考えたのだという簡単なお考えであるか、もう少し深くお考にならなければならないのではないかと、こう私は思うのでありますが、その点に対しては局長あたりはどういうふうな御所見を持つていらつしやるのですか。
  112. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは海野先生と少し反対な意見になるかも知れませんが、私は実は電力料金のあり方としてはむしろ現在のような日本の状況におきましてはできるだけ産業を振興して、一層望ましいのはむしろ電力料金比較的に安くしまして、そのマイナスになつた部分は電燈にかけるべきだという考え方を持つております。一例をとつて見まして、例えば我々の家庭が払つております電燈料金というものは三百円か五百円かせいぜいそんなところだと思います。それが仮に五十円か百円上りましても、普通の家庭では先ずそう大きな影響はないのじやないか。むしろそこで我慢してもらつて、それだけのものをほかのほうで切り詰めてもらつて、それで上るべき大口電力なり小口電力なり、要するに産業用に向けられますものの値上り率を下げる、或いはむしろ引下げにするということが適当であると思うのでありますが、やはりそれが簡単にそういうふうになかなか参らない、殊に現在までこういうふうな姿で料金制度ができております以上は、今更急に電燈料金を上げて大口のほうを下げるということもできませんし、やはりこの姿で以てできるだけ一般影響が少くなるようなふうに考えざるを得ないのであります。まあこういうふうな考慮をいたしましてでき上りました料金制度というものが非常に最上のものとは決して考えておりませんが、結論的に見まして今回の改訂程度では影響が勿論ないではございませんけれども、全般的に言つてそれほど甚大な影響があるというふうには私どもは考えない、特に家庭方面等につきましては先ほど申したようにいろいろ考慮いたしておりますから一般国民生活を脅すということは少くとも起り得ない、むしろ産業方面に対して若干の影響があるということを心配しておるのでございます。
  113. 海野三朗

    海野三朗君 只今のお話よくわかりましたが、それは勿論そうでしようが、この金利に対してはどこまで下げるようになつたのですか。私はこの前も言つたのですが、造船のほうは三分五厘に下げて、このほうは六分五厘、こういうような金利のあり方、それから税金のほうは十分政府がつまり電力料金を上げないでもそういう方面からして相当電力会社が助かる、これはこの前も私はちよつと触れたのでありますが、そういう方面に対してはどういう御努力をなさつたか。船のほうは三分五厘、電力料金のほうは七分五厘を六分五厘に下げたが、何故に電力料金の金利をもつと下げないのか、これを下げれば私はここに何億という数字が出ると思いますが……。
  114. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 昨年の丁度今頃から料金問題、値上問題が出て参りましたときからできるだけ値上げを避けますために減税或いは金利の引下げをやるべきだということは私は微力ながら当時から主張いたしまして折衝を続けておりました。それがいよいよ現実の料金改訂の問題になりましたので、漸く国会方面の御援助もございまして、この表にあります通りに租税につきましては約四・五十億程度の減税になるような法律になつたのであります。それからこのほかに従来七分五厘でありましたが、開銀の金利を今年の二月から一分下げまして六分五厘というふうに只今つておりますが、これは当時この負担軽減が実現しました当時におきましても我々はこれは減税の第一段階であつて更に減税或いは金利に関しまして一層又続けて努力するということをかねて申しておつたわけであります。いよいよ今度改訂を実施するに当りましても四月までに何とかするという条件もついておりますし、今後更に今度の予算編成に当りましても、これから又一層この点につきましては十分努力するつもりであります。まだ具体的にはつきりした数字は出ておりませんが、例えば税金等に関しましてまだ更に四・五十億程度の減税がこの際できるのじやないか、又金利につきましても一分乃至一分五厘程度軽減したい、三分五厘ということになりますと、そこには一分五厘程度の補給金が入つておりますから予算面で補助金の形でこれを裏付けしなければ無理でありますが、我々はできるだけ国家的な干渉を避けるという意味もありますが、国の予算の枠もございますので、一応金利面で資金コストの程度までという考え方からいたしまして六分五厘を五分五厘或いは三分というところまで下げたいと思つております。そうして合せますと五・六十億程度の負担軽減が期待できる、又これはこの程度考え方で行くか、もう少し徹底的にやるか、これは今後又折衝の途中におきまして逐次考えて参ることになりますが、その必要が現在あります。  それからコストの関係ではありませんが、電気ガス税でありますが、この料金改訂に伴い電気ガス税の一部が免除されます。この税はとり方が非常に簡便であるということで各市町村では非常に重宝がつておりますが、こういうものをもつと考え直す必要があるのではないかということを考えております。
  115. 河野謙三

    河野謙三君 資料の要求ですが、今日手許にもらいました料金比較表その他、これは来年三月までの料金を基礎に刷つたものですね。これを更に延長して、来年の九月までの一年間の表を頂きたいと思いますが、頂けますか
  116. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはできないことはございませんが、今までは下期だけを目標にしてやつておりましたから、これから調製いたしますと、時間が大分かかると思います。
  117. 河野謙三

    河野謙三君 時間がかかつても結構です。これでは何だか上らない、上らないということを作為的にいつているような気がするのです。やはり来年の九月までのを作つて出してもらいたい。  それからもう一つ、この間の聴聞会の速記がありますね。あれを頂きたいのです。
  118. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 聴聞会のときには、速記はつけておりましたかどうか、これをつけておれば厖大になりますが、要旨がございます。それでよろしうございますか。
  119. 河野謙三

    河野謙三君 結構です。
  120. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は今回の電力料金改訂に関連しまして、各電力会社間の問題について三点伺いたいと思いますが、一点は、先に九電力会社に分割いたしました際に、それぞれ電力料金等の点も考慮に入れておつたと思いますが、例えば北陸電力、東北電力等において、相当コストの安い非常にいい発電所を東京、又は関西等に所属せしめたという事柄があるのでありますが、その結果その都市としては相当安い電力が得られたにもかかわらず、高い電力を供給しなければならないという、いわば発電所の所属の関係からそういう結果が起つておりますというのは、否定すべからざる事実だと思いますが、こういうような点について、今後料金改訂をする際に、何らかの措置をせられる意思はないかどうか。特にこれは冬料金の際におきましても、東北、北陸電力につきましては石炭問題がございません。夏冬料金が同一でありますので、冬料金の際には、その程度値上げは大したことはないが、夏料金の際になりますと、その差が相当大きく、顕著になります。そういうような点から、その点の考慮をすることが絶対に必要であると考えておりますが、その点について当局は如何なる見解を持つておられますか。  それから第二点は、今回の料金改訂に当りまして、値上りをするのはやはり東北とか、北陸とかいう方面であります。それにつきまして先ほど水火力調整金についてはこの際四割やるという御説明があつたのでありますが、その残りの六割についてはいつやられる計画であるか。その点こういうようなものを残すことによつて、そういうような大きな問題を解消しようというような、そういうこじれたものの考え方をするわけではございませんが、何かそういうような感じもいたしますので、その点も明快にして頂きたいと思います。  それから第三点は、東北、北陸等でなお余裕電力があります際に、余裕電力を東京、関西等に売電をいたしております。その売電のコストは単価などの計算の仕方によつてこれは相当影響を来たすのでありますが、その売電の原価並びに売渡価格については如何なる方針をとつておられますか、この三点について一つ伺いたいと思います。
  121. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 第一点でございますが、発電所施設等の帰属移管によつて今いろいろな抗議が出ているということ、或いはそういう問題があるかも知れませんが、将来におきましては、その融通されております電力の量、或いは価格というものを調整することによつて、できるだけ公平な結果になるというようなことは考えられると思います。それが料金改訂のときにわかつておれば、そういう前提の下にやります、又途中において改訂いたしました場合においては、それはその次の改訂時期まで放置せざるを得ませんけれども、特にそれを考えに入れて高い料金を作るということは、ちよつとむずかしいのじやないかと思います。むしろ融通の面のいろいろな条件というものが、既定のものとして料金の中に入つて来ますけれども、料金調整するために、融通の条件の変更を予定したような料金決定というものはむずかしいと思います。お尋ねの点に当りますかどうかわかりませんが、一応そういうふうに考えます。  それから水火力調整金は四割、六割とおつしやいましたが、現在残つておるものが四割、つまり昨年までに二割を減らして、今回更に四割減らして、残りは四割、従つてこの四割が今後の改訂の時期において今後一挙に廃止できるだろう、こう考えますが、ただ業者の申請の二割五分を四割にしましたために、特に九州地区におきましてはかなり原価に大きな影響を受けております。そういう関係もありますので、仮にこの下期のいろいろな施策が実現いたしまして、来年の春に改訂いたしますということがありました場合にも来年の春には更に追つかけて四割を全廃するということは或いは困難じやないか、次のチャンスとは申しますもののやはり来年の秋、或いは冬以降の改訂の時期ということになるんじやないかと思われます。  それから余剰電力を融通します場合の値段でございますが、これは一応原価主義に基きます余剰電力が安うございますから、そういう原価の原則に基いて計算するわけでございますが、そういう原価主義の原則に基いて一応は関係の会社間の改訂によりますそれを認可をいたしますけれども、大体そういう原則がございますから、お互いの協定で以て適当な値段が出るわけであります。どうしてもそこで改訂がつかない場合におきましては通産省が中へ入つてきめてやるということも起り得るわけであります。
  122. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの第一点に対するお答えは、料金改訂に関連してと申上げましたので、又料金改訂の際にそれを予定して改訂を考えることができないという御答弁は誠に御尤もであると思いますが、私のお尋ねしたいのは、これに関連がある問題でありますから、この際それを含んでお考えになつたというのではないということは承知しておるのでありますが、今後そういうふうな方向にやはり合理化を図るということが私は必要であると考えるのでありますが、その点についてどう考えておられるかという点をお伺いいたしておるのであります。  それからいま一点、先ほどの残つた四割をいつという問題についてはやはりいわゆる今後その他の条件をいろいろ検討された上、四月以降の分について更に検討したいというお話でありますが、その際には当然考慮の中にお入れになつてお考えになるのが私は然るべきであると考えるのでありますが、その点もあらかじめそう急にはできんものだというふうな考え方でなしに御研究願いたいと思うのであります。
  123. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 第一点は、今後やはり、これはいつも改訂の時期に前後いたしまして融通電力条件問題が起きます場合には、或る程度両者睨み合せながらきめますので、今後又改訂のチャンスが起きました場合にはそういつたようなことも考えてそちらのほうも或る程度の見通しを得た場合にはこれを入れる。又そういうふうにときどき公平化するように指導するということは可能でございますから、そういうふうにいたしたいと思います。  それから残りの四割分につきまして春はむずかしかろうということを申上げましたが、これは一応そういうことが考えられるということでありまして、無論この改訂の時期におきましてこれを又どうするかということはその際に再検討することは勿論でございます。若し仮に例えば来年の四月に改訂をいたしまして、四月から更に一カ年間の値段をきめるということになつた場合に、九州のほうは来年の下期におきましてはそれほど原価が上らないというようなことがあつた場合には、或いは更にその際にやめてしまうということが不可能ではないかも知れませんが、無論考慮に入れて検討するわけでございますが、一応私の感じとしましてはむずかしいんじやないかということを申上げただけでございます。
  124. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後大体一時半頃から、最初電源開発の模様を局長から承わりまして、それから大臣に対して全体の質問を始めたらどうかと思います。  それから午前御意見がございました経団連の石川会長参考人として呼ぶという問題でありますが、連絡をとりましたところ、明日は前々からの日程で東京にいないのだそうでありまして、明日の午後の出席ちよつと困難という御返事がありました。代理ならばということもございましたが、代理は如何かと考えますので、又別の機会にしたらどうかと思います。
  125. 河野謙三

    河野謙三君 代理という場合は委員長ですか、理事長ですか。青木某という者なら私は代理でいいと思います。
  126. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 代理は又別に交渉して見なければなりませんがどうでしよう、別の……。
  127. 河野謙三

    河野謙三君 午後までに聞いて下さい。
  128. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 誰ならいいというのですか。
  129. 河野謙三

    河野謙三君 青木という経団連の理事長がおります。
  130. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではこれで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後二時十六分開会
  131. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より委員会を再会いたします。  先ほど申し上げましたように、先ず政府当局から本年度の電源開発計画に対する説明を承わりまして、それから全体の質疑を続行いたしたいと思います。
  132. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 今朝ほどお手許に「電源開発計画について」という扉のついております五、六枚の資料を差上げてございますが、これが五カ年計画を基礎といたしまして、本年度の場合にどういうふうに実際的に行うかということをあらまし書いた資料でございます。初めのほうに説明書きがございますので、大体これに基いて御説明申し上げます。現在の電源開発五ケ年計画は昭和二十七年の秋に決定いたしたわけでございますが、当初二十七年度着工の分も含めまして、三十二年度までに、五百四十万キロワットを開発する、こういう基本的な計画を立てたのであります。その後昨年の秋にその計画の一部を修正いたしまして、全体の構想は基本的には全然変つてはおりませんが、二十七年度はすでにもう既設分といたしまして除きまして、二十八年度以降文字通り五か年間の計画を審議会におきまして決定したわけでございます。それが二十八年度以降におきまして総計九百十二万キロワットと、こういうふうな開発計画になつておりますが、その内訳は大体水力と火力が三対一ぐらいの形になつております。無論この中には九電力会社のほかに電源開発会社、公営の電気及び自家発も含んでおります。これが現在の状況におきましてはその後昨年今年とすでに着手に入つたものがありますので、現在着工いたしておりますもの全部を含めますというと、すでに四百六十万キロワットに上るわけであります。従つて五カ年計画の五百十二万キロワットに対しましては今後五十万キロワットの開発を来年度以降としてする、こういうふうな状況になつております。この四百六十万キロワツトの中にはもうすでに完成いたしておるものもございますけれども、現在におきまして工事を進めております発電開発計画は四百万キロワット、第一頁の中ほどのすぐ下に書いてございます。このうちで非常に工事が長くかかりまして、昭和三十一年度以降に亘りますものもございますが、その六十万キロワツトの分を除きますと、もう三百四十万キロワットが三十二年度まてに完成すべき工事として現在進行中である、こういうふうになるわけであります。これはこの五ケ年計画の枠外におりますものも含めまして現在の工事中のものに対しまする所要資金は一千二十億円、そのほかに送、変、配電関係の施設費、それから改良工事費というものがそれぞれ四百三十億円及び百六十億円ほどございますので、合計いたしまして本年度の総所要資金が千六百億近くになる、こういういうことになつておるわけであります。ところが本年度の初頭から金融引締政策によりましてかなり各方面ともこの面では圧縮をこうむりつつあるのでありますが、できるだけその影響を緩和するような措置を伴う部面において努力いたしたいと思います。  なお各会社別の内訳がその次にございますが、先ず電源開発会社に関しましては、当会会社は一昨年の九月に発足いたしまして丁度一年たつております。現在までにし着工地点といたしまして予定しておりますのが、総出力で百三十万キロワットに及んでおります。で、これに当然に関連する若干の送変電設備も工事を行う、こういうふうになつておるわけであります。で今年度の、二十九年度の工事量につきましては、当初すでに着工いたしました分と、それから本年度に新たに着工いたします分を含めまして四百億余りのものを計上いたしておつたのでありますが、昨年の暮の予算の査定のときにおきまして、政府関係の出投資が二百六十億円に圧縮されております。二百六十億円の内訳は、政府の出資が百億で、運用部資金の融資が百六十億、こういうことになつております。で、それに関連いたしまして、当初の計画を圧縮せざるを得なくなりました。従つて、工事は一部分繰延べております。で、その結果当初の計画に対しまして約四十万キロワツトというものの完成がずれたというふうな関係になつております。それから、この二百六十億が更にその後実行予算の節約の趣旨に従いまして約一割、二十六億円を削減されております。従つて、実際には二百三十億円というものが、今年度の投融資額になるわけであります。これに前年度からの繰越金を加えますと、これは当初の予定に比べまして約二十億円だけ繰越金が増加いたしておりますので、その分だけはプラスになる。それからそのほかに、今短期の融資といたしまして、佐久間及び秋葉に関係いたしまする設備を外国の銀行から融資を受けております。そういうふうな外資もこれはそう多額ではございませんが、それも入れまして只今の繰越金の増と加えまして、大体第二次的にきまりました二百六十億円に相当する工事は着工したい、こういうふうに考えているわけであります。内訳といたしましては、電源開発に二百四十億円、送変電関係で三十二億、大体この程度の工事は本年度といたしましても実行できると、こういうふうに考えておるわけであります。  それから次に、電力会社におきましては、九会社におきまして五カ年計画によりまするというと、約千百七十億というものが予定されております。そのうちには手取百三十億円、即ち大体昨年程度の増資も考え、その他、債券発行銀行、市中銀行等の借入も予想しておりましたが、それが本年に入りまして予期通りつて来ないというふうな結果になつております。即ち、開発銀行に対しまして四百五十億円を期待しておりましたが、緊縮予算の結果五十億円だけ削減されました。それから債券発行銀行等の借入も、一般の金融政策に順応いたしまして、当初の期待額を相当大幅に下廻るというような結果になりまして、その結果工事量千百七十億を千八十一億まで圧縮せざるを得なくなつたのであります。更にこういうふうな事態になりましたので、できるだけ工事費の節約をするという趣旨の下に、当初の予定に対しまして二割だけの節減をしろということを各社開発銀行を共同いたしまして申入れをしたわけであります。その線に沿うて各社ともできるだけの努力をいたしております。併しながらこういうふうな関係になりますので、本年度といたしましては、電源関係におきましては、新規は極力抑えまして、大体継続工事に重点を置く、それから当初は送変配電関係及び改良工事も、本年度から相当力を入れて、この方面からの合理化を行う、こういうふうな考えを持つておりましたけれども、これも資金の都合上、最小限度に切詰めたわけであります。現在におきましては、工事中の開発の出力が総計百九十四万キロワットでありまして、これに対しましては外資も含めまして六百二十九億円を予定いたしております。それから送変配電関係の三百四十七億、これは当初の計画より減つておりますけれども、昨年と比べると、かなり増加いたしております、それから改良工事として百六十億円、これだけのものを現在計画して実行に移しております。ところが更にその後の金融状況を見ますというと、更に圧縮を余儀なくされまして、開発銀行の三百五十億の中から更に二十五億円の節約をされております。それから一般の金融機関のほうも社債或いは信託、債券発行銀行等、それぞれいずれも十億から二十六億程度の大幅な減額が予想されておりますので、このままで参りますと、非常に大きな影響を受けることになりますが、電力会社側におきまして、別途生命保険団からの約四十億の融資を図りまして、そのほかに前年度からの手持資金の融通というものを含めまして、合せて八、九十億程度の別途調達をいたしまして、大体千八十一億の計画には余りこの影響は与えないように、差引いたしまして約二十五億程度の減少は免れませんが、その程度の範囲内で当初の計画通りのものは何とかして達成したい、こういうふうな目標を以て今努力いたしております。  それから公営関係は昨年百億の融資の枠がございました。今年も全然同額の百億ということになつております。ところが昨年の百億の中には、昨年度着工分といたしまして、ほんの少額だけつけたところがございます。そういうところが今年におきましては、当然に相当な工事の進歩が行われますので、増額を予定しなければなりませんが、従つてそのために当初公営に対しましては、少くとも百二十六億程度は必要であるというふうに考えておりましたが、結局においてこれが百億に圧縮されましたために、本年度は実質的には殆んど新規のものは手が着かない。それから昨年度着工の分のものにつきましても、十分の資金がつかないというふうな、極めて中途半端な結果になるというところも一部でてきておるわけでございます。併し、全体の配分につきましては、相当工事が進んでおります古い着工分につきましては、できるだけ順調に工事が進みますように考えて配分をすることになつております。  それから自家発につきましては、更に圧縮をこうむりまして、殆んど今年におきましては新規分は認められておりません。現在継続分につきましての極く少数のものについて、若干の資金を受けておる、こういうような状況でございます。  以下表につきまして簡単に御説明を加えますと、第一表は昨年の十月に一部修正をいたしましたいわゆる五カ年計画の総括表でございます。即ち右下に五百十二万四千五百十三キロワツトというのが、昨年二十八年度以降五カ年間に開発すべき総出力でございまして、その上枠の一番下に四百四十四万四千五百十三キロワツトとございますのが、これが現在までにすでに着工いたしまして、すでに完成をし、或いは工事進捗中のもの、それの合計がこれだけになるわけであります。従つて今後二十九年度以降におきまして、六十八万キロワツト着工する必要があるというような数字が、その下に括弧で出ておりますが、これが昨年の十月現在の数字でございまして、これがその次の表で修正になつておりますが、今年の八月現在の状況を見ますと、この間に若干のズレがございまして、只今の六十八万キロワツト開発すればよろしいという数字が、それに対しまして二十八年度から三十二年度までの着工分が四十六万六千キロ、こういうように殖えておりまして、従つて二十万キロ分だけは六十八万から差引くことができるわけであります。そういう関係から現在におきましては残つておるものは約五十万キロと、先ほど申上げましたのは昨年の見通しと今年の見通しとのズレによるわけであります。この第二表を見ますというと、二十八年度の実績が総計におきまして百十六万八千キロ、こういうことになつております。ところが前表におきましては百二十四万九千キロ、こういうふうに二十八年度の実績は当初昨年度の計画に比べるというと若干下廻つたというふうな結果になつております。ところが二十九年度に出ますものは昨年度のズレを回復いたしまして、昨年度の計画において約百万キロ、百六万九千キロというのが、今の計画では百十四万キロというふうに殖えるわけであります。以下三十年度以降、三十年度がピークになりまして百四十八万キロばかりに殖えております。それから三十一年度、三十二年度と、これは急激に下るわけでありますが、これはこの間におきまして完成いたしますものを今後五十万キロほど追加いたしますと、大体三十一年、二年におきましても七、八十万から百万くらいのものが出ると、こういうわけであります。それからその次の表は現在の計画に対しまして資金を入れた表でございますが、第三表に昭和二十九年度電源開発計画、(イ)といたしまして水火別の発電施設の最大出力及び開発所要資金と、こういうふうなことになつております。この所要資金を見ますというと、現在この計画中の最大出力の合計を見ますと、全体で三百六十一万キロワツトということになつておりますが、それに対しまして総所要資金が三千六百四億ということになります。これだけのものが現在工事中のものを完成いたしますために要る全体の資金額でありまして、その中で二十九年度におきまして支出を要する額が一番右の欄にありまする通りに合計千二十億、こういうことになつております。それからこの総所要資金を更に内訳して見ますというと、(ロ)にございまする通りに施設部門別の所要資金というのがございます。これは各施工者別に発電部門と送配電部門、それから改良工事と、こういうふうに三つに分けまして、それぞれの数字を出したわけでございます。  それからその次の表は昭和二十八年度の資金関係実績と、それから二十九年度の資金計画、これを対照いたしましたものでございまして、この大きな表の上のほうが収入実績乃至は計画であります。下の支出であります。これは第一表はすべて電源開発会社の分でございますが、ことにあります通り昭和二十九年度におきまして二つございまして、二十九年三月三十一日通産省認可という欄と、八月二十八日会社変更申請と、こういう二つちよつと違つた数字がございますが、これは三月認可いたしました以後、若干この計画の変更或いは資金の見通しの変更等によりまして、少しばかり実態に応じた計画に変更したわけであります。最近出ておりまして、只今審査をほぼ終るところでございますが、この数字が全体で三百七億域いは三百六億ということになつております。それの内訳が下にあります通り発電関係におきまして二百四十一億、それから送変電関係で三十四億、そういうふうな数字が出ております。ここにあります佐久間以下各地点がいわゆる開発着工地点ということになつておるわけでありまして、この中にまだ例えば今一番下にあります瀬戸石地点のごときものは極めてまだ工事が進んでおらん、金額の小さいものは余り工事が進んでおらないという地点でございます。少くとも十億以上のものが、比較的本格的な工事段階に入つたということが、見られるわけであります。  それから次に(ロ)といたしまして電力会社関係がございます。これは九会社全部合計いたしましたものでございまして、内部留保から自己調達、それから開銀、これが調達の内訳となつております。この中には増資も百二十億程度のものを見込んでおるわけであります。それから開銀は先ほどの説明にありました通りに三百五十億のものが二十五億減つて三百二十五億、こういうふうな見通しで計算をいたしまして総計千四百三十七億というのが調達の合計見込でございます。それに対しまして工事の内訳は、次にあります通りに総工事費といたしまして千五十五億、それから償還その他両方を使いまして結局バランスいたしまして千四百三十七億というふうなことになつております。当初の計画との差額、つまり圧縮された部分が一番右の欄に三角に出ております。  それから公営のほうは総額百億、先ほど二十八年度百億と申しましたが、これは九十五億の間違いでありましたので、数字を訂正いたします。今年が百億でありまして、昨年は運用部引受の分が八十億、公募が十五億と言つておりましたが、今度は運用部引受のものが五億ほど殖えまして、公募は昨年度と同じく十五億、こういうふうになつております。それから枠としまして五億ほど殖えておりますが、全体の今年の実績から見ますと相当に公営に関しましては辛いと、こういうことになります。  自家発関係は七億程度か今後新規工事がない、こういうことでございます。  要するに開発関係につきましては本年度の金融政策その他によりましてかなりの影響を受ける見通しもありましたけれども、その後計画を調整し、更に資金の調達にも努力いたしまして、或る程度のズレはございますけれども、それほど大きな影響はないようにということでできるだけの努力はいたしております。特に電力会社関係におきましては、もともとそう大きな工事を最近において着手いたしておりませんで、大体当初計画程度に近いものができるのではないか。開発会社関係のものは資金関係からして相当に大幅なズレが出ておりますけれども、併し工事の進捗状況自体が補償問題その他の関係から必ずしも円滑に行つておりませんので、大体この程度の計画であればそう無理はないところではないかというふうに一応考えられるわけであります。なお電源開発会社に関しましては、特に最近におきましていろいろ問題の結果きまりました只見川につきましても、補償問題の解決の遷延のために着手が遅れておるという印象がございましたけれども、それも最近事態が大分好転いたしまして、近く解決されるんじやないかというふうな程度の見通しになつております。これにつきましては又会社側からも説明があると思いますけれども、併しながらこういうふうに補償問題が電源開発問題の非常な大きな障害となつておる事情に鑑みまして、以前から何らかこれに対しましては方法を考える必要があるだろうということは各省関係におきましても意見が一致いたしております。ところがこれに対しまして特別の立法をするとか、或いは特別の施策をするということは非常にむずかしい問題がございまして、そう軽々に案を作るというわけにも参りませんので、今各省におきましてそれぞれの立場で一応の案を研究いたしまして立案いたしております。無論通産省におきましても、一案を作つておるわけでございますが、これを一応練りました上で経済審議庁に持ち寄りまして、審議庁を中心に各省の案を十分検討して最終案を得たい。その根本的な考え方といたしましては、やはりこの補償問題を、現在よりどころとして単に土地収用法の運用だけが残されておりますが、何かそれ以外に多少もう少し便宜的な方法で解決できるような立法が必要じやないかということで、そういう趣旨においていろいろな法律関係等も研究の上で立案を進めておる。こういう状態でございますが、併しながら、これが果して通常国会までに案といたしまして出て来る姿となるかどうかということはちよつとまだ見通しがついておりませんが、我々の気持といたしましてはできるだけこういうものを作りたい、こういうふうな状況でございます。
  133. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今までの説明に対して御質疑ありましたならばお願いいたします。大臣只今通産省で炭労の代表が大勢押しかけて面会中のようでありまして、もう少しかかりますが……。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  134. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記を始めて下さい。
  135. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 ちよつとお尋ねいたしますが、この四百四十万着工分が載つておりますが、そのうちには佐久間以下の奥只見、田子倉百二十九万八千、これが含んでんおりますか。
  136. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 含んでおります、
  137. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 そうすると、今後六十万キロの未着手の分、これは開発会社の分でありますか、各電力会社の分ですか。
  138. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはまだ工事施行者の区分もないわけでありますが、両方あり得るわけであります、例えば開発会社が熊野川をやるといたしましたらその分が六十万から減るわけであります。それが現在の開発会社の着工分には入つておらないわけであります。
  139. 海野三朗

    海野三朗君 ちよつと伺いますが、お金は政府の金ですか、電源開発に注ぎ込んでいるお金ですか。
  140. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは電力会社のものと、それから公営のものと開発会社のものといずれも違うわけでございますか、電力会社の分につきましては、従来大体所要資金の半額を開銀融資の対象といたしておりまして、あとの半額を自己調達、こういうような大体の比率になつております。それから開発会社は全額が政府の出資という形或いは運用部資金の融資という形、形は違いますけれども、いずれも政府資金です。それから公営の場合は、これは預金部引受けの分につきましてはこれは政府資金です。一般公募の場合には無論一般国民の出資ということになりますが、その比率は先ほどの数字がございました通り政府資金のほうがずつと多くなつておるのであります。
  141. 海野三朗

    海野三朗君 この政府資金、つまりその金利というものはつまり国家の収入になるわけですか。
  142. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 預金部の場合は預金部の収入であります。それから開発銀行の出資の場合は開発銀行の収入になりますが、それが更に投資の財源として使い得るということになります。それから開発会社の場合に今政府も投資いたしておりますが、これに対してはまだ配当いたしておりません。若し配当いたすようになればこれは政府の、大蔵省の収入ということになります。
  143. 海野三朗

    海野三朗君 そこで利息ですが、利息は、つまり国家の収入になるわけでしよう、それが予算に計上してありましようか
  144. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは資金計画には計上してございます。従いまして開銀の金利を下げるということはやはり予算にも直接或いは間接に響いて来ることになります。
  145. 海野三朗

    海野三朗君 この利息はどれくらいになるのですか。
  146. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 開銀が今まで七分六厘でありましたのが六分五厘です。それから預金部の分も現在では六分五厘になつております。
  147. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつと速記をとめてください。    〔速記中止
  148. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記始めて下さい。
  149. 河野謙三

    河野謙三君 午前中お伺いしました、ここで数社が抱合せ増資をいたしました、これも増資分も含めて勿論一割二分の配当は保証すると、こういうことですか。
  150. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 我々のほうの原価査定では三分の一増資の二割無償ということで、その無償分に対しましても一割二分の配当金を算定いたしております。
  151. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと増資された分については勿論従来の資本金からプラスされたものは一割二分の保証というものは、株主のほうは保証されるわけですか。
  152. 中島征帆

    説明員中島征帆君) さようでございます。
  153. 河野謙三

    河野謙三君 そういたしますと、従来電力会社使つておる金は六分五厘ですね。使つておる金は六分五厘で済む金を一割二分の配当を保証する金に置換えたということについては、それによつてどのくらいの負担が殖えますか。
  154. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 六分五厘ではなくて、実は開銀と市中借入れと全部引つくるめまして借入金の金利の総合利率が約九%くらいになつております。九分くらいの金を借入れて使つておるわけでございますが、それに対しまして今のように増資に振替えますと、当然に一割二分の配当と、それからそれに対しまして、税金がかかりますからかなり殖えるわけでございます。その差額はちよつと宙に覚えておりませんけれども、そういう関係になつております。
  155. 河野謙三

    河野謙三君  そうしますと私はそこで疑いを持つのです。電力を何とかして値上げしないで安く供給しようという意図が言葉の上ではある。ところがそういう言葉とは違つて実質的には今のこの六分五厘の金が平均して九分の金で、政府ちよつと面倒を見てやれば廻つて来るものを、増資をさしてわざわざそういう一割二分、それにプラス税金という高い金を電力会社に持たしておるということは、これは私は電力を如何にして安くして供給してやろうかというあなたの意図とは非常に相反するのだと思うのです。然るになお且つそういうふうなことをやらせるのですか。それが非常に矛盾があると思うのです。
  156. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは一応御指摘の通りでございますが、ただ現在電力会社の資本金というものは約四百五十億でありますが、これに対しまして資産は五千億くらい、結局その差額というものは再評価積立金というものがございますけれども、非常に厖大な二千六百億程度の借入金をしておるということで賄われておりまして、非常に資本構成を見ました場合にはどうしても自己資本というものをもう少し増資をしなければ資本ができないということであります。例えば先般問題になりました世界銀行の借款の場合におきましても、要するに現在の各電力会社の自己資本率というものが非常に小さい。これが合理的な形になるように、増資ができるように料金というものを考える。こういうふうな条件がついておるわけでございます。これが一般の普通の会社のあり方ということを考えました場合には、どうしてももつと資本金を殖やさなければ借入金すら実際に入つて来ない、こういう関係になりますので、資金構成というものが、若干高くなりますけれども、止むを得ず借入金というものをやらなければならない、こういうことになつております。
  157. 河野謙三

    河野謙三君 それは一般論としてはまさしくあなたの言う通りです。ところが電力会社一般公社と違いますからね、非常に政府の保護援助の下にでき上つておる非常に公共性の強い会社ということはもう間違いない。そういう会社に対して一般の会社の資本構成と同じような資本構成に持つて行こうということは非常に私は大変な間違いだと思うが、今後機会を捉えて次から次へと増資をして一般の会社並みの資本構成へ持つて行こうという、こういう意図があるのですか。又政府がそうでなくとも世界銀行のほうからそういう注文をつけられておるのか。
  158. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 世界銀行はどの程度まで資本構成を持つて行くという希望は全然つけておりません。ただ私常識的に見まして急に一般の産業並みに持つて行くいうことは不可能でございますけれども、できるだけそれに近付くようにしたい。更に実際の資金調達面を考えましても全然増資はほつたらかしにしてその分だけ借受けられるかということになりますと、それも甚だ困難でありますけれども、最小限度所要資金の調達ができるためにはこの程度の契約もし、増資もし或いはこの借入をするということにせざるを得ません。大体そういうような最小限度必要な計画に従つて増資をするというような考えでございます。
  159. 河野謙三

    河野謙三君 そうするとまあ別の言葉で言えば、少しは電気料金上つてつて一般国民の負担が殖えても、それよりも優先的に重点的に電力会社の資本構成なり、その他の面で健全な方向へ持つて行こう、国民の負担において電力会社はもつとより一層平常な運営ができるようにしよう、こういうことですか。私はそのウエイトをどつちにするかということです。
  160. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは或るいはそういうふうにお取りになるかも知れませんが、併し全体的に言いまして値段を上げてそれで必要な開発資金の調達をする、若しその必要がなければコストを抑えられる、こういうふうな状況に現在あるわけでありますが、その場合に勿論上げることはよくありませんけれども、半面におきまして供給力の増強とか或いは電源開発の促進というものが又一面において供給面から国民の一つの要請であるとすればやはり要請も満たさなければならん。その両方を考えた場合には、やはり若干の原価上の犠牲を払つて開発をすべきだというのが今日の結論じやないかと思う。その線に従つて考えますというと、やはり増資ということで或る程度自己資本の増強をしなければ一般の要請に合う電源開発ができないということであれば、これも又止むを得ないのじやないか。要するに犠牲と、それから要求されておる利益というものの考量において結局我々が判断いたしました最小限度の必要というものがこういうような形で現われれておる、強いて段階をつけて先ず料金値上げを抑えてその結果が仮に開発面に支障を来たしてもかまわんということであればそれは差支えございませんけれども、そういう結論が出なかつたということになるのであります。
  161. 河野謙三

    河野謙三君 いろいろお尋ねして行つてももうちよつと突つこもうということになればやはりあなたの今までの、不本意ながらここまで来たということは私はよく知つておるだけに、これ以上質問するのは何か私は罪を犯すようだからここらでやめますが、言葉をどういうふうに用いられようと今度の場合は九分の金で済むものを一割二分の配当を保証する、更にそういうものがかような金に置換えたということは何と申上げても消費者に対して全然考慮を払わなかつたと言われても私は仕方がないと思う。その時期じやない。私はこれ以上は言いません。  もう一つ次に伺いたいのは、午前中赤字二百三億というものを前提にして計算した。ところが、来年の三月まではこれは九九%ということになつておるから一%これは電力会社収入が一応減るという計算になつておる。ところが二百三億というものは四月以降九月までにおいて全部埋めるということですか、そういう計算になりますね。二百三億というものは四月以降九月までに更にこの十月から三月までの収入一%減というものを更に埋めた、これだけのものが電力料金値上りになる、こういう計算になりますか。
  162. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そうではございませんで、二百三億に対しまして今年下期はマイナスだという数字が先ほど出ておりますが、あれは燃料費調整によりまして、石炭割引をしなかつた場合の収入を想定しておりますから、現実にそれを考えました場合にはむしろその面で約三十億くらいのプラスになる、下期におきましては……。ですから下期に三十億のプラスがあり、更に上期において百七十億くらいのプラスによつて両方の辻褄が合うようになる、こういうふうな計算になるのであります。
  163. 河野謙三

    河野謙三君 私は非常にうつかりしておつたのだが、先ほどもらつた対照表ですが、これはコール・クローズというものを停止するという前提で作つたものじやないのですか。
  164. 中島征帆

    説明員中島征帆君) この初めの資料にあります一番上の表はこれは勿論そういう前提でありますが、現在の料金表通りにコール・クローズを停止してとつた場合は、今年の下期がこうなるというのが現行収入でありまして、従つてコール・クローズを全然適用しないままの姿で計算するというとむしろマイナスになる。つまり今割引いておりますけれども、今年の十月から割引かないということで行きますと、今のレート通りとりますというと、むしろ今度の改訂収入のほうがトータルにおいてはマイナスになる、こういう計算をここでやつておるのであります。
  165. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど資料の追加の要求をいたしましたが、それをもらえばよくわかるのですが、あなたのおつしやることは、二百三億のうち十月から三月の間にあなたの計算では三十億プラスになる、残りの百七十三億だけは四月から九月までの間においてプラスされる、こういうことですね。そうすると四月から九月までの間には非常に大幅な電力料金値上げというものが考えられるというわけですね。
  166. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 百七十三億と三十億は若干の狙いがございますからその点は御了承願いたい。そのほかに先ほどの資料にもございますけれども、三十億の収入増がございましても下期には全国で十五、六億のマイナスが出る、従つてそれを合せますというと四十五億か五十億くらいのものが下期としては残されて、それだけのものが来期に残れる、こういうことであります。従つて来期の上期は百七十億でなくして、百五十億程度のものになるのじやないかと思います。それはなぜかと申しますと、要するに来年の上期にそれだけの新らしい発電が入つて参ります結果原価が急に殖える、こういうことになります。
  167. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 私からも一、二点お尋ねして見たいと思うのですが、今回の電気料金改訂については、農村関係については農事用電力、或いは硫安価格に影響を及ぼすなどいろいろ考慮され、一般家庭等についても考慮が払われているようでありまするが、この中小企業に対して電力料金の増大を来さないようにとかいうようなことで何か特別に配意を加えたようなことがありましようか、どうか。
  168. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 中小企業に関しましては、一般的に申しましていわゆる小口電気が多かつたわけであります。従来は小口電気に対しまして二段料金の使用料というものは昭和二十六年くらいのベースに抑えられております。非常に古い数字で行われておる。ところが実際はその後需用が伸びておりますので、概して相当大幅な追加率をとつたというのが実情でございます。それが今度はずつと近くに算定の基準を引き寄せられました結果実情に合つた二段料金がきまり、従つて前とあとと比べますというと、その面におきまして非常に中小企業には一般影響が及ばない、ただその半面におきまして小口のほうは今度はいずれにしても一本料金になりましたので、一本化いたしました結果の影響というものが現われます。と申しますのは、従来は一段目と二段目の開きは相当大きく離れておりましたが、それがその中間で一本料金ということできまりますというと、今まで一段料金使つてつた所が割合に大幅に上るという面が出て来る所があるわけであります。その結果そういうことかできるだけ起らないようにという趣旨におきまして小口料金ベースというものの全般を考えまして、できるだけ初めの標準料金に近いようなところできめたという点で影響緩和を考慮した。
  169. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) そうしますと、従来は非常に追加料金というか、追加の部分が多かつたのが、今度はその基準をとるのが古いのでなしに少し前、直前に持つてつたものだから追加分が少しであるということが一つ、それが一つですね。それからあとで言われた一本化の場合の影響率を少くするためにも調整をとつたと言われたのですが、それはどういうところに現われておりますか。
  170. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは電燈或いは小口に比べましていわゆる大口電燈でありますとか、或いは業務用というものが比較的高くなつております。そういう点で小口のものは業務用と相通ずるものがございますので、どちらかというと業務用のほうにできるだけのものをしわ寄せをしたというふうな恰好になつております。
  171. 河野謙三

    河野謙三君 午前中伺いました渇水準備金ですね、これは監督規定があるのか、私はまだ調査しておりませんが、例えば昨年の渇水準備金というものはいつになつたらどういうふうな状態で整理なさるのか。
  172. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは積立ととり崩しに関します準則があります、規則になつております。こういう場合にはこういうふうな方法で積立てる、それからこういうような場合にはこういうような恰好でとります、それは要旨は要するに豊水によりまして得た利益を積立てて、今度は崩すときには平年より渇水いたしました場合にマイナスが出たらそれで以て埋めてよろしい、それが積立て、とり崩しの原則でございます。細かに計算はいろいろございますけれども、大体大綱はそういうふうになつておりますので、そのやり方につきまして、多少の批判もございますから、来年度以降におきましては若干考えなければならぬ点があるかと思います。
  173. 河野謙三

    河野謙三君 これは常識論ですが、昨年渇水準備金を百何億積立てた、これは莫大なものです。ところが、非常な豊れだつた、本年又続いて規定によつて渇水準備金を積立てた。本年は渇水準備金の積立をやる場合に昨年豊水であつて渇水準備金が浮いたわけです。こういうものは本年の渇水準備金を積立てる場合には何か考慮が入るのですか。私の聞いているところじや昨年は昨年で計算し、本年は本年で昨年と同様な計算をして同じことをやつている、これはどういうわけですか。
  174. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは昨年は昨年、今年は今年というふうに一応なつております。併しそうしますと豊水が仮に二、三年続きまとやたらに積立金が殖えますので、或る程度の頭打ちということもあるのじやないかと思います、というふうな考えをいたしております。
  175. 河野謙三

    河野謙三君 明年度は今までの規定によりますと、やつぱり渇水準備金をするわけでしよう。そういたしますと、その場合に二年続いて豊水になつた、而も二百何億からの渇水準備金ができておる、これを全然考慮に入れないで明年は明年で渇水準備金の積立をすると、非常に私は電力会社がこういうふうな値上げまでしていろいろ措置をとつており、一方においてそういうふうなかくし金じやありませんが、非常に余裕金を持つておるというのはおかしいと思いますが、来年は渇水準備金の積立に対して何か特別な考慮を払われる準備をされているのですか。
  176. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは大変御尤もな御意見でございますが、一応私どもは一案として考えておりますのは、一割豊水の一年分くらいの準備金が溜まればその辺で一応頭打ちをしておいていいのじやないか、これが一割五分でいいのか、一割でいいのか、その辺はまだ研究を要しますけれども、大体その辺で頭打ちをして行こう、併し豊水が二年続いてもその次に渇水が二年続くと、全然一年分では足りませんのでちよつと心配な部分がありますけれども、大体今までの日本の傾向から見ましてそのくらいのところで一応いいのじやないかと思います。
  177. 河野謙三

    河野謙三君 二年続こうが三年続こうが、毎年毎年準備金というものは積立てるのでしよう、だから私はそれは差支えないと思うのだが、今あなたのおしやつた考え方で行くと、準備金というのはどのくらいの額になりますか、今のあなたのアイデイアーですと。
  178. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 大体これは各社別に考えなければなりませんが、総額においては百億か百五十億くらいのところでいいのじやないかと思います。
  179. 河野謙三

    河野謙三君 前段の私のお尋ねした、一年続こうが、二年続こうが、三年続こうが、その年その年の計算において準備金をやつておるのだからいいのじやないですか、前の過ぎ去つた渇水準備金というものは、これは全然崩して行つていいのじやないですか
  180. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それはそうは行かないと思います。つまり豊水が二年続いた場合に、そのあとで又更に同じ程度の渇水が二年続けば、やはりその二年分の豊水の積立金がなければあとはやつて行けないから、それが何年くらい続いてカーブになつているかわかりませんので、やはり豊水の場合は何年続こうが積み立てておいて、あと何年続くかわかりません渇水に備えるというのが本来の趣旨でありますが、併しそうまとまつて渇水と豊水が交代するわけでもありませんから、……大体一年か或いは一年半、これも一割豊水というのは非常な豊水でございますから、一割豊水を一年と見るか、或いは五%豊水を二年と見るか、そういうふうな考え方でありまして、或る程度の頭打ちをするということもいいのじやないかと思います。併しこれも逆に豊渇水の波がありまして、渇水面が相当数年間も続くということになれば、相当積立てておりました渇水準備金も二、三年には空になつてしまうという状況も考えなければなりません。
  181. 河野謙三

    河野謙三君 これは私の意見になりますけれども、どうも私はおかしいと思うのです。今年の渇水に備えて今年渇水準備金を出すのでしよう、二年続いても又第二年目にはその年の渇水準備金を積立てするのでしよう、若しもその次が異常渇水であつた場合にはその翌年において渇水準備金の積立てが少くなつたからそれを殖やすということはわかりますよ、過ぎ去つた、もう無事に経過した年の浮いている金を、これをいつまでも将来に備える……将来に備えておくならば来年渇水準備金をやらなければいいでしよう、今あなたのおつしやるのには、一年、二年と溜まつた、溜まつたけれどもこれとは別に来年は来年で渇水準備金をやるのだ、これは私おかしいと思うのだが、極めて常識論なんですが、どういうのですか。それほど人様に迷惑をかけないのならいいのですよ、一般の国民に全部逆惑のかかる電力料金の問題なのだから、過ぎ去つて浮いたものは浮いたもので崩してしまつたらいいじやないでしようか。そうして又少し、二年豊水が続いたから今年は渇水が来るかもわからんから、従来一割だつたから今度は二割積立てて行こう、これはいいのですよ、それはどうなんです、それはどうも私にはわからん。
  182. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 少し違うのですが、渇水準備金は今年の分に対して今年積立てるというのではなくて、例えば今事業年度においては相当豊水であつた、そのために利益が出た、併し今期が豊水であれば来期は或いは渇水になるかもわからん、或いはその次も渇水になるかもわからんから、今期の利益というものは外へ使つてしまわないで積立てて行く、その年、或いはその次に渇水した場合には料金を上げないでその分をとり崩して経理を賄う、こういう性質のものでありますから、それはやはり相当長い年限を見てやらなければならん。ただ私どもが一年か二年の程度でよろしいというのは、これは大体二年くらいすれば、二、三年のうちには料金改訂もございますから、その辺のところを考えればいいのじやないかということも考えております。本来から言えば、渇水準備金がいつもすれすれのところにあつて、渇水になつてもその分でやらなければならない、とんとんにななる、マイナスになるという時分に又豊水が来るというのが一番いい姿でありますけれども、豊水が長くなると、どうしても準備金というものは或る時期には非常に余計出て来るということは、これは止むを得ないのじやないかと思います。
  183. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、その積立は過去何年の統計ということになるのですか。統計の基礎はどういうのですか。
  184. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これは豊渇水、或いは平水という考え方は、一般には三十年くらいの実績平均をとるべきだということになつておりますが、日本ではまだ三十年の正確な数字がございませんから、現在では過去十一カ年の平均をとる、これを平水と見ております。
  185. 河野謙三

    河野謙三君 その過去の十一カ年の統計によつてつているというのは何年前からやつておりますか。
  186. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 昭和十七年からでございます。
  187. 河野謙三

    河野謙三君 それをやつてからの実績はどうですか。
  188. 中島征帆

    説明員中島征帆君) これはカーヴを以て御覧に入れるとよくわかるのでございますけれども、やはり非常に年によつてつております。例えば最近は非常に豊水ばかり続いているじやないかという意見がよくございますが、成るほど最近はちよつと豊水が続いております。ところが少し過去の数字を見ますと、非常に今度は平水から落ちた渇水のベースで二、三年続いておる、それが大きな渇水であるという年がございまして、大体何年くらいで週期になるかということはまだつかんでおりません。いろいろ言う人がございまして、十五年とか三十年とかいう者がございますが、これは相当な長い年月をとつて統計を調べて見ますと或いは週期が出るかも知れませんが、今のところ出ませんので、やはり累年累積いたしました過去十何年の平均をとつて平水を見るというよりほかないのであります。
  189. 河野謙三

    河野謙三君 さつき将来考慮するというのは、そういう統計のとり方等も含めて考慮するのですか。
  190. 中島征帆

    説明員中島征帆君) それは今の段階におきましてはいろいろな関係者の意見を総合いたしましても、その統計のとり方自体はそのほかの方法はなさそうでございます。いろいろな意見もありますけれども、結局現在のところではできるだけ長い期間を総合いたしまして、その平均をとる以外にない。従つて平水のとり方自体につきましては、少くとも五年とか十年くらいの間の程度でいいのじやないかと思います。
  191. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 軽工業局の日用品課長が出ておりますから、海野君。
  192. 海野三朗

    海野三朗君 カーボン・ブラックのことでありますが、国内にたくさん余つておるのにかかわらずカーボン・ブラックの質がいいからというので輸入に相当力を入れておられるようでありましたが、その後如何なる処置をとつておられるか、お伺いしたいと思います。
  193. 高見澤二郎

    説明員(高見澤二郎君) 大体我々のほうの予算といたしまして年間八百トンくらいの輸入を考えておつたわけでございますが、その後国内の生産も殖えておりますし、下期において減らしたいと考えております。
  194. 海野三朗

    海野三朗君 下期は何トンくらいお入れになるお考えでしようか。
  195. 高見澤二郎

    説明員(高見澤二郎君) カラー用のカーボン・ブラックについて申上げますと、まだこれは実は省内で予算編成の関係部課と相談をしておりまして、最終の結論は出ておりませんが、本年度の当初の計画に比べまして下期においては上期の三割強かそれ以上減らそうと日用品課としては考えております。
  196. 海野三朗

    海野三朗君 このカーボン・ブラツクにつきましては、内地品は品が悪いということは私も承知しておるのでありますが、今業者は操業短縮をやつて非常に苦境に陥つているわけでありますが、なお現在の五百余トンも持つておるのでありますから、内地品を何とか消化させてもらわないと、日本人が食つて行けないという結局問題になります。私は何としてでもそういう方面のものを救うという意味も多分に考えて行かなければならないのじやないか、品質のいいやつを入れられる、それは必要なことではありますけれども、国内の業者が参つてしまう、そうすると結局出本人が食うて行くか、外国人が食うて行くかという問題でありますから、この際政府が強力な施策をとつて、そうして成るべく輸入を一時局限してでもらわなければならないというふうに私は思うのでありますが、課長はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  197. 高見澤二郎

    説明員(高見澤二郎君) 只今海野委員の御意見は、原則といたしまして我我もその通りだと考えておりますが、但し今先生のおつしやつた在庫五百何トン何がしという数字は我々のほうでは八月末のメーカー在庫二百六十二トンだと承知しております。それで今お話にありましたように、品質が悪く値段が割高の状態であります。過去におきましては、戦時中乃至終戦後非常にカーボン・ブラツク工業は順調に伸びたようでございますが、その後消費者からその二点につきまして非常に強い要求がありました。それはいわゆる新聞業も入りまして国産のカーボンを使うと非常に印刷上いろいろな点で支障があるというような問題もございまして、我々のほうといたしまして、メーカーには至急品質の研究を命じております。それから値段のほうも、勿論操業度が上つたりすれば値段も下るわけでありますが、そういう点につきましてメーカーに勧告しておりまして、先ず品質については或る程度見通しが実験室なり研究室でつきますれば当然輸入品と同じになるわけでありますから早急に輸入量を変えようと思つておりますが、現実におきましては除々に数量をしぼつてつて、その間に品質、価格を需要家の要望に少しでも接近させるようにすべきだと考え、業界にもその趣旨でいろいろ話をし、政府といたしましてもできることはいろいろな点で援助したいと、かように考えております。
  198. 海野三朗

    海野三朗君 自動車などにいたしましても、国産品は遥かに及ばないのです。で、使うほうから見ますと、アメリカ物やイギリス物は遥かに使つて得なんです。ですけれども、得だといつてそれをやつていると我々の仲間が、日本人が困つてしまうのでありますから、ここに強力なる施策を以て、丁度西独方面におけるあらゆる方面からしてその国の産業を擁護するという立場、そういう立場を強力にとつて頂かなければならない、こういうふうに私は思うのです。そこで外国の品物は確かにいいことはいいのです、使つて見て得なんです、得だからといつて一部の業者が儲ける、ところが一方においては国内の産業の機構が崩れかかつておるということでありますから、ここに一大決心を以てこの化学工業の、今カーボン・ブラツクを一つ例に挙げましたが、これに類似したものが多々あるようでありますけれども、とにかく政府当局考え方ももう少し大衆を救うという方面に差向けてもらわなければいけないのじやないかと、こういうふうに考えるのですが、当局におられます課長としては、業者が要求するということは、いい品物で値段が安ければそれに限る、ところか使うほうはそれでいいかも知れないが、同時に国内産業が発達しないということではいかんのじやないかというふうに思いますので、それに対しての課長の御信念を一つつておきたいと思います。
  199. 高見澤二郎

    説明員(高見澤二郎君) 只今の先生の御意見は全く我々と同じでございまして、実は局内におきましても生産業者を代表する生産担当原課と需要者を代表する需要原課とありまして、そこでは終始それぞれ立場を変えましていろいろな議論をしておるわけでございまして、我々生産担当原課といたしまして、先ほども御説明申上げましたように、或る程度の需要家も堪え得る品質の程度になりますれば、私は今より更に大幅に減らすべきだと、かように考えております。勿論値段も現在実は六、七割ぐらい高いので、使うほうの業界は中小企業でございまして、売るほうの値段一定しておるのに急に高いものを使わせられてはということで非常に苦情が来るのであります。そういう苦情を無視してもじわじわと減らして行く、そして品質が輸入品と全く同等のベルとまでは行かないといたしましても、或る程度踏み切つていいという段階になりますれば、現在より大幅に減らすつもりであります。
  200. 海野三朗

    海野三朗君 有難うございました。
  201. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじや本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会