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1954-05-15 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十五日(土曜日)    午前十一時十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁選挙部長 金丸 三郎君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (館哲二君外二名発議) ○市町村職員共済組合法案(内閣送  付) ○日本国における国際連合の軍隊の地  位に関する協定の実施に伴う地方税  法の臨時特例に関する法律案(内閣  送付)   ―――――――――――――
  2. 堀末治

    理事堀末治君) それでは只今から地方行政委員会を開会いたします。  今日は午前中内村委員長ちよつと事故がございましてお見えになりませんので、私が代つて委員長の役を務めることといたします。  先ず公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)を議題といたします。これから質疑に入ることにいたします。
  3. 秋山長造

    秋山長造君 質疑に入る前に、この間の話合いでは、この緑風会から出された法案委員会としての扱い方について先ず話合いをしようということになつていたのですが、やはりそういうような運び方をして頂いたほうがいいのじやないかと思いますが……。
  4. 堀末治

    理事堀末治君) 如何でございましようか。今秋山さんから、質疑に入る前にこの扱い方について懇談をしたらどうかという御発言がございますが、如何でございましようか。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体この間の委員会でも、私ちよつと遅れて出席したのですが、提案理由説明なんかもあつたそうで、あとこの扱い方について懇談しようということで別れたのですが、今日はそのほうをやつたらどうでしようかな。そういう点で私は今の秋山君の動議に賛成するのです。
  6. 堀末治

    理事堀末治君) 如何です、それでよろしゆうございますか……それじや速記をとめて懇談に入ることにいたします。    午前十一時十八分懇談会に移る    ―――――・―――――    午前十一時五十二分懇談会を終る
  7. 堀末治

    理事堀末治君) それではこれで懇談を閉じまして、只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)についての質疑を行うことといたします。
  8. 石村幸作

    石村幸作君 これは先に提案理由説明、いわゆる型のごとき説明はあつたんですが、法案の内容の御説明はまだのように思うのですが……。
  9. 小林武治

    小林武治君 もうこの問題は大分論議されて来ている問題だから、特に逐条的に説明申上げるという必要もあるまい。又この前の提案理由説明の中でも一応の説明はいたしておりまするから、特に一つ質問があればお答えする、こういうことにいたしたいと思います。
  10. 堀末治

    理事堀末治君) 金丸選挙部長にお尋ねするのですが、緑風会さんの御案の中の小選挙区制というものに対する要するに当局のほうの見方はどうですか。あなたの御見解をここで聞かして頂くと大変結構だと思います。
  11. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 只今の御質問はこの案に対する私ども考えというわけでしようか。それとも小選挙制度そのものに対する考えという御質問でございましようか。
  12. 堀末治

    理事堀末治君) 両方併せてのほうがいいと思います。この案を基礎とする小選挙区制というものを、要するに当局はどういうふうに考えておるかというようなことです。
  13. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 実は自治庁といたしまして、まだ小選挙区制に対する正式の考えをきめているわけではございません。まあ選挙部と申しましようか、事務当局といたしましては、いろいろ小選挙区制の可否についての論議はございますが、小選挙区のほうがよろしいという見解を持つております。ただ現実の問題といたしまして、すぐに理想的な一人一区ができるか、実現するためには二人区を相当認める、或いは場合によつたら一人区、二人区、三人区というようなことも考え得るのじやないか。これは現実に即してできるだけ小選挙区制に近づいて行くための方法としてはいろいろとあり得ると思いますけれども、まあ私ども事務当局としては、でき得るならば原則として一人一区の小選挙区制が実現されることが望ましい。そういう点から考えまして、この緑風会の御提案の小選挙区制は、私ども自治庁事務当局としては非常に結構だと考えている次第でございます。ただ選挙区の割り方につきましては、まだ全体の検討を詳細に終えておりませんので、これは又御質問等でもございますれば、私どものほうで検討いたしました結果は御説明を申上げるようにいたしたいと思います。大体その程度でございます。
  14. 堀末治

    理事堀末治君) 金丸君にもう一つお尋ねいたしますが、今の御説明ですというと、自治庁自体はまだ何も小選挙区制という問題について取上げておりませんか。
  15. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 正式に自治庁として、いわば政府見解としては取上げておりません。
  16. 堀末治

    理事堀末治君) そうすると事務当局では、要するに研究もなつておらないと、こういうわけですか。
  17. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 事務当局としてはもう随分前から研究はいたしております。
  18. 堀末治

    理事堀末治君) それからもう一つお尋ねしますが、これをするというと費用が大いにかからないし、人材が得られるということを言われるのですが、或る人が私の所にやつて来て、とてもそんなことに行かんぞ、費用却つてうんとかかるし、買収などが隠密のうちにうんと行われやすいからよくないというようなことを頻りに言われた人がありますが、その辺は今までのあなたがたの研究では如何ですか。
  19. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私は金は全体的にはかからないと思います。それは普通に選挙運動をやりましてもかからないと思います。それから選挙公営効果を挙げて参りますし、選挙公営を拡充するにいたしましても、小選挙区制でなければ本当の効果は挙らないと思います。又拡充するにしましても拡充しやすいということが言えると思います。その両面から費用はかからない、総体として私はそう言えると思います。まだいろいろ理由はございますが、結論的に申しますとそういうことが言えると思います。それから買収が殖えるという御意見も随分承わります。恐らくそういう面もございましよう。選挙区によりまして、或いは候補者によりまして、そういう場合も私はあり得ることは否定できないと思いますけれども、小選挙区になりますと、候補者同士監視が厳しくなり、選挙民監視も又行届いて来る。取締の面もそのほうが又徹底しやすいというようないろいろな面から申しまして、買収等も或る意味ではやりにくくなるんじやないか。殊に通産制が併せて強化されることになりますと、やりにくくなるんじやないか。そういう面から言いまして、私はやはり全体としては選挙費用はかからないし、買収のことをそう心配する必要もないんじやないか。従つて人物が小さくなるということは、外国の小選挙区制に徴してもあながち心配する必要はないだろうというふうに考えます。
  20. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 その点に関連してお伺いしたいんですが、買収とこう言うんですけれども現実に本当に一票幾らで買うという買収なんというものは今あり得ないので、恐らく弁当代とか交通費の問題だろうと思うんですが、現実買収というようなことが果してどのくらいあるのか、私どもはどうも自分たちがやつた経験でもそういう感じを持つているんですが、部長買収という今言われた範囲というのはどの程度にお考えになつておるか。要するに公職選挙法に基く費用を超過したものはすべて買収と、こういうことでしようか。
  21. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 最近の買収は今伊能委員からおつしやいましたように、大体運動買収であると言つてよろしいと思います。運動員に実費二万円で済むところを五万円渡したとか、それから票を或る地域々々をまとめてもらうために或る程度のまとまつた金を渡すとか、まあつい運動員等の労をねぎらうためにいわめる飲食物の提供と申しましようか、そういう形の買収が多かろうと思います。ただ小選挙区制になりますというと、票をいわゆる買うというふうの買収は現在よりも先ず少くはならない、現在でも実際に票の買収がないかと申しますと、私はやはり絶無ではないと思います。この点は私どもよりも法務省なり国警当局をお呼び頂いたほうがよろしいと思いますけれども、やはり人口が十四、五万というような選挙区ができて来ました場合、且つ、両方の候補者の勢力が伯仲しているというような場合になりますというと、全然投票の買収がないとも言い切れんのじやないかというような感じもいたします。ただ総体といたしまして、最近は選挙民自党も高まつて参りましたから、まあ買収と言います場合には、いわゆる運動買収が主になろうという点は伊能委員と私も同じように感じております。
  22. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 それからもう一つ伺いたいのですが、映画会社映画の切符なんかをばらまくという問題ですね。これは平素でも若干はまあ映画会社のことでして、劇場のことですから、まあ招待券等は月に何百枚かやつているでしよう。ところが選挙に対して数千枚、とさにはそれ以上にばらまくというような場合、従来私の経験では、それは買収になつていないんです。こういう点どうお考えですか。
  23. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私は実質上買収犯が成立し得ることがあるんじやないかと思います。全然買収にはならないとは言い切れないと思いますが……。
  24. 秋山長造

    秋山長造君 選挙違反のうち、特に買収、饗応が悪質違反だということになつておりますが、統計的にみて国会議員選挙によるまあ買収と、それから地方選挙による買収と、数はどういうことになつておりますか。
  25. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 只今手許資料を持つておりませんので、できましたら次回にお答えするようにさせて頂きたいと思います。
  26. 秋山長造

    秋山長造君 そういう質問をする理由は、今ここで問題になつているのは、主として衆議院なり参議院選挙にからむいろいろな問題なんですが、やはり同じような問題が地方選挙においてもある。特に選挙区なんかが大きいとか小さいとかいうことが問題になる場合に、やはり現在にしても地方選挙は、国会選挙で言えば非常な小範囲で小選挙区みたいなことでやつているわけです。だから小範囲にした場合にどれだけ違反が少くなるというようなことの参考にしたいと思います。その資料一つお願いしたいと思います。  それからもう一つお尋ねしたいのは、緑風会案高級公務員立候補制限ですね。高級公務員立候補制限について、先ほどもらつた資料で、何か諸外国の例なんかもあつたようですが、一々この場で検討を詳細にする余裕もないのでお尋ねするんですが、この諸外国の例はどういうことになつておりますか。
  27. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) これは私どもよく調べておりませんで、これはたしか参議院でお調べになつ資料かと思います。
  28. 秋山長造

    秋山長造君 専門員室から出たのは又後ほど検討してみたいと思うんですが、諸外国の例、大ざつぱでも結構なんですがね。
  29. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) よく調べておりませんのでわかりませんか、余りないんじやないかと思つております。ここにも出ておりますように、フランスは非常に厳密な規定がございます。
  30. 秋山長造

    秋山長造君 諸外国余り例がないということは、一面では諸外国の官僚というものが、日本のように猫も杓子も皆政界へ行く行くは進出するというような習慣が余りないということじやないですか。その点如何でしよう。
  31. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) どうも私その点はお答えするほどの自信がございません。
  32. 秋山長造

    秋山長造君 そういう点についても我々としては諸外国の例をも少し詳しく知りたいと思つておるんです。専門員室のほうでも調査しておられるようですけれども自治庁のほうでもそういう点もやはり詳しい資料を整えておいて頂きたいと思います。
  33. 石村幸作

    石村幸作君 提案者ちよつとお伺いしたいんですが、この連座制の強化、これはまあ今の世論から見て尤もなことなんですが、違反の多くは現在の選挙費用、これが実態に即しないことは明らかなんで、そこでこの第二百一条の四で、運動費用制限額倍額に直してあります。これは非常に結構なことだと思いますが、この連座制とこの選挙費用の額というものは、これは非常な関連を持つておるものと思います。連座制を強く推進して行くなら、どうしてもこの選挙費用というものの拡大を図らなければならん。この「四円」を二倍の「八円」にしてありますが、倍額ならはこれで事実の選挙運動費用に即応しておるか、これを御研究なさいましたか。
  34. 小林武治

    小林武治君 選挙費用というのは、要するに最大公約数をきめる、こういうことになるのでありまして、上は限りがない。従つてその最低の選挙費用がどの程度でやれるか、こういうようなことの一応の見当でこれをきめる。併しこれを結論的に実際これだけかかるからというふうなきめ方もこれは如何かと思うんです。一応現在の物価の値上りとか、或いは労賃の値上りとか、そういうものから推算いたして、この程度上げればまあまあやれるんじやないかというふうな考え方、無論これでは足りないという意見が多数であろうというふうに思いまするが、これもただ実際からすぐに割出して幾らにするということにもなりかねると思うのでありまして、現在の選挙費用から見てこれでは無理だ、どの程度まで上げ得るかというふうな考え方を持つて行かなければならん。そういう趣旨でこれは出ておるのでありまして、これで十分というわけには行きません。要するに理屈が筋が通つた程度の数字はどこまで行くかということからこれを出した、こういうふうに御了解願いたい。
  35. 石村幸作

    石村幸作君 御尤もな御意見ですが、この連座制を本当に実行して行くとするならば、同時に選挙が、これは連座制を実行して行くということは強化させて罪人を作り、又この候補者が当選しても無効になると、これを殖やすのが目的でなくて、選挙違反を起させないようにするのが目的であることはこれは当然であります。そうすると、やはり立案者の親心として選挙費用を最も適当な適正な制限まで引上げて、そして選挙違反が、つまり悪質なものは別でであるが、普通の正しい選挙運動が正しくできるようにやはりしてやらなければならんと思います。そこで私専門員ちよつとお願いしますが、これは我々まあ勘ですが、自分身廻りのことが一番よくわかるのですが、例えば神奈川県の場合として四円と八円、これは参議院の場合だとどうなるか、ちよつと調べて下さい。
  36. 小林武治

    小林武治君 今の問題ですが、これは要するに選挙費用というものは一応限定してあります。それでいわゆる連座制などで問題になるのはその選挙費用以外の問題が主として問題になつておる。従つてここへ掲げてあるものはいわゆる法規上選挙費用として種類が限定してありますから、それだけの話であるからして、従つてどうもいわゆる実情に適するように上げるということはなかなか困難なわけであるというふうに一つ考えて頂きたい。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 提案者に二、三伺いたいと思うのでありますが、まあ選挙区につきまして、小選挙にするとか中選挙区にするとか、或いは大選挙区にするとかということは年来非常に議論のあつたところであるというふうに私は考えている。それを提案者のほうにおかれて小選挙区というふうなものを採用されることをとられたことは私は一つの勇断であると思うのであります。それのためには相当の理論的な根拠なり、或いは諸外国の例なり、非常に検討を要したものであると思うのですが、まあ小選挙区については常識的にはボスの出る機会を多くするとか、或いは新人がそのためにさつぱり出るところの機会がなくなるとか、或いは先ほどお話があつたようないわゆる買収とか闇の選挙が行われやすい、こういうふうな点も指摘されておるのでありますが、それらに関しましていろいろ研究された結果、それらを越えて小選挙区にすることが最も過当であるというところの結論に達せられたと思うのですが、それについて御意見を伺いたいと思うのです。
  38. 小林武治

    小林武治君 我々は無論どういう選挙制がいいかというようなことは、すう一ぱい雑誌にも新聞にも書いてありまして、これらはそれぞれ議論がありますが、常識として我々が考えて、今の時代には、このような現在の政界の状況から行けば小選挙区制にするほうがこれらの腐敗を防げると、こういうふうに見地に立つてこれを提案しておるのでありまして、その利害得失というものも殆んどどなたも御存じのことで一応出尽しておるというふうに思つております。而してその議論の中の小選挙区の利点というものを我々は一つ常識としてこれを出したと、こういうふうに思います。而して先ほどから買収などが起るということは、実際問題として或る程度起り観ると思いますが、これらを理由とすることは非常におかしいのでありまして、そういうもののないようにするので、又さつき自治庁選挙部長お話なつたように買収も或る程度起るかも知れんが、地域が狭くなるために大衆の関心も鋭くなり、又普通のいわゆる選挙費用から言いまして、大きな選挙区より安くなるのは当然でありまして、買収など大いにやろうというなら選挙費もかかるが、普通の選挙公営もしやすくなるし、公独も拡充できるし、公独効果も発揮できる。従つて本当に真面目な選挙をやる者にとつては小選挙区制が一番私は金のかからないことになるということも当然だと思うのであります。而して或いは人物が小さくなるとかいうことも言われておりますが、これらも私は一時的現象としてはそういうことは起り得るかも知れないが、これらを或る程度やればそういつたような弊害もなくなつて来はせんかというふうに思つております。何といたしましても現在の政界の一番腐敗の原因は選準に金がかかる、又ふだんの事前運動等においても広汎に亘つて相当な経費を要する、そういうことが理由になつておるのであるから、私どもとしては普通の場合選挙費用を相当程度軽減できると、こういう方法を尽すことが私は政界の粛正に役立つというふうに考えているのであります、それで例えば現在におきましても、今の中選挙区におきましては、我々聞くところによれば、一体この対立政党との候補者の間の争いよりはむしろ自党内の争いが非常に大きなものがあるということも聞いておりますし、これは又政党の統制その他にも影響を来しておるということも事実であると思うのでありまして、それらの点からして、私は常識的に考えて今は小選挙区制を採用する時であるというふうに考えているのであります。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、大体小林さんの小選挙区制の利点についてのお考えはわかりましたのですが、そういう利点があるとして結局小選挙区にすると、その利点のうちでもさような狙いというものは現在の政界腐敗を防ぐ、或いは選挙腐敗を防ぐということにあるようでありますが、そうしますと、これと関連して連座制処罰規定を相当強めなければならない、強化しなければならないというふうなことにお考えがおありであろうと思うのでありますが、そういう点から見まして、この連座制というふうなことについては、これは一会派並びに各党から意向が出て、これは緑風会のほうから別にその当時は出ておりませんでしたが、こういうような表が出ている、専門員室のほうで作つてくれたのでありますが、一応これらを参酌されたと思うのでありますが、それで大体こういう点から見て小選挙区と関連して腐敗を防ぐということになれば、私から考えれば、ここに提出されているところの連座制というふうなものよりももつと強化するというような立場をおとりにならなければならないのではないかと思うのでありますが、それらについて各党の問題はどういうふうに斟酌されてお作りになつたか、これは一々読めば、参照すればわかることでありますが、手つ取り早く提案者から聞いたほうがわかると思いますので……。
  40. 小林武治

    小林武治君 これは今の連座制についての緑風会の回答がこの案であつた、こういうふうに申上げてもいいと思いまするが、要するに小選挙区の問題と連座制は或る程度関連しなければならないというふうに思つておりまするし、又小選挙区制でなくても今のようなその但書は不適当である、こういうような見地からやつているのでありまして、要するに今いわゆるこれも常識的に言われている例えば免責の強い理由になつている但書を除くというふうなことが主なる観点でこれが編まれている、こういうふうに御了解願いたいのであります。而してこれらの問題も強くするという方法幾らでもあるが、これもやはり程度の問題であつて、そうしてやはり或る程度段階を踏む必要がある。今の段階においてはこの程度でいわゆる世間で一番批判されている但書を除くと、こういうような方向で差向きやる。而してその次の必要によつて適当な方策を講ずる。こういうような考え方をしているのでありまして、而して連座制そのものにつきましては必要がありますが、又一面において選挙においてこれが強く悪用されるというきらいもありまするので、これらも今言いますように程度の問題としてやつて行きたい。こういうふうに考えております。従つてこれに提案してあるものは、今のいう常識的な但書を除くというところに主眼点が置いてある。この程度で先ずやつてみたい。こういう考えであります。
  41. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、まあ今盛んに言われておるところのいわゆる免責規定などを除くと、こういうふうなところに重点を置かれたということになるのでありますが、やがてこれが実施して見て、更に又強化しなければならない面に対しては段階的に進められる。併し今回免責規定の解除のみにまあ重点を置かれたとしても、こういうふうな点もこういうふうな点もというような、やりたいというようなお考えがあつたと思うのでありますが、それらについてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  42. 小林武治

    小林武治君 これは社会党で挙げられておるような点も我々も研究しましたが、いずれにしても順を追うて必要に応じてこれらの点も整備して行きたいという考え方でありまして、今急にこれを馬鹿に強化するというようなことは、これらの規定の成立にも私は相当の妨げになる。従つてどもは成るべく通りやすくて而も相当程度政界の浄化に役立つ、こういう程度に今はとめて行きたい。併して段階を追うて適当な措置をして行きたい。こういうふうに考えております。
  43. 石村幸作

    石村幸作君 提案者ちよつとお伺いいたしますが、今の小選挙区、衆議院における小選挙区を立案に採用ざれたということは飛躍前な措置であつて、これはまあ十分敬意を払うわけでありますが、同時に問題になつております参議院全国区制、これをお取上げにならなかつた理由はどういうところにありますか。
  44. 小林武治

    小林武治君 私の個人的意見とすれば、全国区などというものは無用なものだ、是非廃止したいということを今も確信しております。併し、いやしくも党の了解を得てこれを提出するという際においては、党としましてはまだそれほどの考え会派として熟しておらん。参議院そのもののあり方に関連してこれは考えなければならん。而してでき得れば憲法改正にも関連させたい。従つて全国区というものが非常に不適当な制度であるというようなことは考えが相当瀰漫しておるのでありますが、これを如何に改正するかということはもつと根本的な参議院のあり方にも関連して考えたい。従つて我我の会派においても全国区がよろしいから据え置こうと、こういうことではなくて、もう少し如何にこれを改正するかということを検討さしてもらいたいと、こういう趣旨からこの際保留して、そして会派として引続き検討をして適当な成案を得たら提出いたしたい、こういう趣旨でいたしております。繰返しますが、私ども多くの者がこの制度が非常に現在不適当であるということを考えておることは、はつきりと申上げておきたいと思います。
  45. 石村幸作

    石村幸作君 そうすると、まあ機会があつたならば全国区の問題も大いに検討して手をつけようという御意思がある、こう解釈してよろしゆうございますか。
  46. 小林武治

    小林武治君 機会と申しまするか、できるだけ早い機会に続いて一つこの問題を提起したい。こういうふうに考えております。
  47. 石村幸作

    石村幸作君 それから飛び飛びで恐縮ですが、この連座制に関しまして、出納責任者は現在届出制になつております。そこでこの法律の文句に総括主宰者となつておるのですが、私はこの総括主宰者というものが前には事務長としてはつきりしていて、これは届出制になつていた。ところが今の総括主宰者というのは届出制でなく頗るぼんやりしているのです。そこでまあ選挙をやつている本人及び主たる人たらは誰が総括主宰者であるかということはわかつておるけれども、一般にはどうかと思われる。そこで疑問が出て来る問題が残りはしないかと思うのです。この際総括主宰者を届出制にすることの可否と、こういう問題についてお考えはございませんか。
  48. 小林武治

    小林武治君 この問題はもう種々議論されておるのでありますが、曾つては事務長というものを作つて届出をした。併し実際問題としてはいわゆる名義だけのロボツトの事務長だけを届出て、実際の責任者は他にある。こういうようなもので、届出制というものは極めて意味がない。実際上そういう問題になつて来ておる。従つて私はこれを届出制にしてもやつぱりそういうような結果になると思うのでありまして、出納責任者のごとくいろいろのこの書式その他の出納の関係のいわゆる公式の書面を作るという者については、これは止むを得ずこの届出をしておりまするし、これは当然でありまするか、総括主宰者というものは主として実際上何びとが総括主宰者だということが主なる問題になると、こういうふうに思うのでありまして、これにつきましては、自治庁その他の希望ではいわゆる選挙当選無効の附帯公訴を検事ができると、こういうような規定も作りたいというふうなお話もございましたが、これはまあ勝手に検事に総括主宰者の認定をされては困るという御意見もあつて、一応これは削除しておるのでありまして、やはり従来の慣例によりまして、事実上何びとが総括主宰者であるかということは、常識上実際の選挙をやる上に判断がつくと、こういうふうに思いまするので、実際問題としては何びとが総括主宰者だと問題になつた場合には、裁判所なりその他の認定を仰ぐよりほかないと、こう思うのでありまして、かような状態にしておくことが却つて私は運用に非常にいいところがあるのじやないかというふうにも考えております。
  49. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 知事の二期だけを認めて三期を認めないという趣旨、これは一応わかるのでありますが、地方自治法の建前は地方団体の首長という言葉を使つて、市町村長も同じように扱つておるのですが、なぜこれを知事に限つたか。
  50. 小林武治

    小林武治君 要するにこういうことは成るべくやるべきことではない。従つてなぜこういうことをやつたかと言えば、選挙の公正を害する。或いは地方行政の運用に非常な欠陥を生ずると、こういうふうな要するに公共の福祉に反する心配があるという建前から出ておることでありまするが、併しかような措置は飽くまでも例外的の措置でなければならん。従つてこれをできるだけ狭く適用することを考えるのが当然じやないか。併しその弊害の一番大きなものはやはり私は都道府県というところにあるという見地からこのように限定して、市町村等におきましても無論この弊害はありまするが、府県のような広汎な地域に亘つて広汎な権限を持つておるものとおのずから違う。従つて程度の差において市町村長を除いておると、こういうふうに一つ御了解願いたいと思います。なお私どもといたしましては、その弊害は何も三選に限らず二選においても同様の弊害があると認めておるのでありまするが、私どもは単に理想を追うばかりでなく、如何にしたらこういう法規が成立し得るか、そういう弊害を除き得るかというような或る程度の便宜主義からこの程度にとどまつておるというふうに一つ考えて頂きたいと思います。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 私、自治庁のかたにちよつとお願いしたい点は、先ず選挙区制、それについての諸外国のいろいろ例があると思います。その資料、それから更にその処罰規定選挙一般に対してまあ連座制というようなこともあるだろうし、そういうようなものについての資料を頂きたいと思います。
  52. 秋山長造

    秋山長造君 今の知事、副知事あたりの立候補制限の点なんですが、これらの現在のような中選挙区なり大選挙区制の場合に、知事、副知事の制限ということは、一応提案者の趣旨はわかりますが、今度小選挙区制というようなことに仮になつたといたしますと、むしろ個々の当該選挙区に対する不当な影響力というような面を抜出して考えると、知事、副知事あたりよりも却つて市長或いは区長あたりの不当な影響力のほうがむしろ強い場合が相当出て来るのじやないかと思うのです。でそういう点とこの選挙区制との兼合いというようなことをお考えにならなかつたか。
  53. 小林武治

    小林武治君 今秋山さんのおつしやるようなこともその通りだと思います。従つてまあ小業区制の実施される場合には或る程度この調整ということは考えなければなるまいと思つております。又場合によれば衆議院選挙などから知事、副知事を除くというようなことも考え直さなければならんことがあろうというふうに考えております。これらの問題は一つ今後の検討、この委員会検討に待ちたい。
  54. 若木勝藏

    若木勝藏君 議事進行について。私案はちよつと会議があつて、それで何か今日このほかに請願陳情か何か日程になつてつたらしいようでありますから……。
  55. 堀末治

    理事堀末治君) 時間もないからできないでしよう。もう大体この程度で終りたいと思います。あとは昼から委員長が見えたら……。
  56. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 先ほど秋山委員から御質問のございました買収等のことがわかりましたから、この際お答え申上げておきます、二十六年の四月三十日に行いました都道府県の議会の議員の選挙におきます選挙違反違反者の数が二万一千二百八十六人……
  57. 堀末治

    理事堀末治君) 二十六年度……。
  58. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 四月三十日の都道府県の議会の議員の選挙ですね。これは全国すべての選挙でございます。違反者の数が二万一千二百八十六人、そのうちで買収犯でございます広い意味の買収、饗応から利害誘導まで含めます数が一万八千七十五名でございます。でこれに対しまして、昨年四月の衆議院議員の総選挙における選挙違反者の数が、一万二千九百一人、そのうち只今申上げましたような広い意味の買収が一万九百六名となつております。パーセンテージがよくわかりませんが、まあ大ざつぱに見てみますというと、衆議院のほうが八三%くらいで、都道府県の議会の議員のほうが八八%見当でございましようか、五%前後違つておるのじやないかと思います。この程度でよろしゆうございましようか。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 私もつと詳しい数字が知りたい。でこれは府県議会議員なんですが、同時に市長の選挙も行われておる。又市会の選挙、町村議会の選挙、更に衆議院のほかに参議院も行われておる。そういう選挙別の数字を至急にお願いしたいと思います。で今ちよつと承わつた数字だけ見ましても、ちよつと数字だけ見たところによれば、府県議会選挙のような非常に狭い範囲で行われておる選挙が案外買収、饗応等の違反が多いというような感じを受けるのですが、で却つて国会選挙のほうが買収、饗応などが少い、大きい選挙に少いというような感じを受けるわけであります。そういう点の比較対照をしてみたい。是非お願いしたい。
  60. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 提案者に伺いますが、先ほどこういう制限は成るべく狭くするのがいいという趣旨は当然だと思います。そういう観点から言つて、このうちで一つどうも腑に落ちないのは、知事又は副知事が全国区の参議院議員の候補者に立候補できないような点でありますが、知事、副知事というのは自分の県はともかく、よその県に不当な権力を行使するということはあり得ないことなんであります。この点についてはどうお考えでありますか。
  61. 小林武治

    小林武治君 これは先般の選挙でも実証されたのでありますが、これからの全国選挙というものは、地域が集中されることが当然の傾向として現われて来ております。例えば或る人は全国区と称しながら一つの県で当選しておる。こういうことがあり得るのでありまして、その傾向が強くなる。従つてその県で当選し得るような全国区がある以上は、地方区と全然変らないということ、こういうふうな見地からこれが出ておる。
  62. 堀末治

    理事堀末治君) 私一つ金丸選挙部長にお願いしますが、私ども選挙というものは余りしろうとでわかりませんが、日本選挙は非常に小選挙区になつたり、中選挙区になつたり、大選挙区になつたり変つて来ておるのですが、できればその変遷を一つ知らしてもらいたい。そうして変つたとき、それぞれのその理由があつただろうと思うのですが、その理由がこういう理由でその当時小選挙区が大選挙区に変つたという当時の実情を一つ皆聞かすような何か表を作つて頂けませんか。それをお願いいたします。  それではこれで午前中は休憩をいたします。    午後零時三十八分休憩    ―――――・―――――     午後二時四十六分開会
  63. 内村清次

    委員長(内村清次君) これより休憩前に引続き地方行政委員会を再開いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)を議題に供します。質疑を続行いたします。
  64. 笹森順造

    ○笹森順造君 緑風会のほうから御提出のありましたこの案は、おおむね私どももこの公職選挙法改正に関して必要とせられる要点を含んでおるようにも思つておりますが、更に又ここに加えてほかの要点についてもお考え頂くことがないかというような疑問を持つておるのでありますが、例えばこの政党候補者に関する公認制度というようなものも、この提案をなされたときに深くお考えになられたかどうか、その点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
  65. 小林武治

    小林武治君 議論はありましたが、深くまあ検討したと、こういうようなところまで参つておりません。而して我々としましては、この委員会で又適当な結論が出て、追加修正になられるというようなことは誠に結構であると、こういうふうに考えております。
  66. 笹森順造

    ○笹森順造君 若しもそういうような余裕を持つて考えになつておるとすれば、又私どもとしても考え方がある。つまり政党というものに対する一つの法制的なことを考えて、例えば政党法のようなものでも考えて、そうして一つの公にされたものとして更にこの政党候補者を公認するというようなことも、これに関連した一つの大きな問題ではなかろうかと、それがこの中にちよつと余り考えられたようでなかつたから、その点をお尋ねしたわけです。それで今のお話であれば、又小委員会でそれは議論か出る機会があるとすると、又お作り願うということになると、それで結構だと思います。  次にお尋ねしてみたいと思います点は、先ほど来非常に皆様方も御熱心にお話なされたのはこの緑風会提案の中に選挙区というものが相当大きく取上げられておる。ところがこの選挙区に関することは、各党においてもそれぞれの立場があつて、これはなかなか概念的には小選挙区がいいというような輿論だとおつしやいますけれども、果してその輿論もどこに帰着点をもつて、誰がそういうふうにしたかということまでは、これは輿論と申しましてもはつきりしていない。従つてどの党がどうおきめになつているかはまだはつきりわかつておりませんが、同じ党の中においてもいろいろ考えがあるのではないか。先ほど自治庁の関係の方の言われた、大体小選挙区制のほうに傾いて行つている傾向だというようなことくらいは、私どももそういうような傾向と思つて了承いたしましたが、併し果してそれが一人一区制というようにするならば、これは非常に議論が起つて来るというように考えております。これはのちに論議の対象として将来の皆さん方の御検討になる際に私ども意見を述べたいと思いますが、ここでお伺いしたいのは、この小選挙区というものを仮におきめになりました場合に、誰が一体その小選挙区というものの限界をつけるのかということについてはどういう御検討をなさつているか、お聞きしたいと思います。
  67. 小林武治

    小林武治君 この問題は私どもの希望としては、とてもこの小選挙区問題などというものを政党の党議としてはどうしても決定しがたい。従つてども実は自分の注文を申上げれば、自由問題としてやつて頂きたいというくらいに考えておる問題でありまして、併しこれは論議をしておつても殆んど決定することはあるまい。従つて党議をきめて出すなんということはこれは殆んど不可能であろう。さような意味で、我々の立場は極めて中性的な立場にあり、どちらかと言えば事務的な立場にあるから、比較的公正なものができはせんか、こういうふうな考え方からこれをやつておるのでありまして、而して一人一区制というような問題につきましても、小選挙区ではもともと小さいほうがよいというのが原則であろうと思いまして、これを作るには一応選挙制度調査会等におきましても、一応の基準と申しますものが、こういうものができております。これらを考えて、而も我々としてできるだけ事務的に何らの政治的考慮或いは従来の基盤というようなものにとらわれないで、いわば杓子定規に合わせて作るということが最も利害関係の多い選挙区を作る上においては却つて公正を期するゆえんだ、こういうふうな考え方からして一応の尺度を作つて、その尺度に当てはめてすべてやつた、こういうふうに御了解願いたいのであります、
  68. 笹森順造

    ○笹森順造君 これは、この尺度は一体誰が作るか、こういうことだと思います。私のお尋ねしたのはその尺度を誰が作るか、どういう人が作るかということです。諸外国の例によると、或る地域社会を前提にしてこれをきめようという例を見ても、或る一つのものを作り上げて、それが政党に関係なく、或いは官庁にも関係なく、極あて民主的な一つ委員会制度のようなものでも作つて、それが全く今おつしやつたような尺度を作る基になるものを作る。その基の考え方があつて、これが基準になつているようにも思うのでありますが、そこで、今の緑風会でお出しになりました、尺度を作るといつても、尺度がひよこつと出て来るものではない。何か尺度の基になるものがあつて、それによつて尺度を考えなければならない。そういうことで何かお考えになつているかということのお尋ねです。
  69. 小林武治

    小林武治君 尺度としましては、私としては一応現在の衆議院の定員が四百六十六名ある。これを如何に全国に配当するか、この問題でとにかく定員と人口とを比較しまして、そうして現在の人口は大体十八万が一人の議員の定員になる、こういうことを基にして作つた。こういうふうに一つ考え願いたいのでありまして、この四百六十六人を増員いたしますれば、又如何ようにも相成りますし、現在の人口と現在の定員とも基礎として一応の尺度を作つた。これはお話のように或る機関を作つてやるということも一つ方法でありましようが、これはむしろ一つ常識的な問題でもあろうというふうに思いますし、又これを或る程度多数人の結論を求めるということは、殆んどこれは不可能ではないかというふうにも考えておるのでありまして、特に政党方面においてはこれは非常に困難な仕事だと思う。それで要するに私ども選挙界の粛正、或いは政界腐敗防止というようなことのために、とにかく金のかからん選挙をすることは必要であろうというようなことも言われておりますし、これらの問題が一つの社会の輿論として、輿論は又お話のように何が輿論だという議論もありますが、我々としてはそういう輿論があるということを我々は認定しておるのでありまして、そういうものが必要ならばこれを何とかいたしたい。従つてどこでやるかということを議論をしておつても、殆んど私は議論倒れになつてしまう。従つて我々としてはとにかく一つの具体案を作つてみよう、そうしてこれを出すことによつて一つの小選挙区問題についての論議の基礎を作る、それによつて、これらは無論杜撰な案であろうと思うのでありまするからして、これをどういうふうに扱うかということは今後の国会の問題であろう、国会がもつといい案を作ろうということであれば結構であるし、ただ議論だけでは問題は進捗しない、こういうような建前からして私どもはこの際具体案を作つた。併しこれが無論立派なものであるということは自信を持つておりません。少くとも今後の論議の基礎としていいものができるということを特に希望しております。
  70. 笹森順造

    ○笹森順造君 今のお話は全部わかるので、そのことをお尋ねしておるのではなくして、例えは四百六十六人の定員で現在選挙区があるが、これを小選挙にすればどうなるかというようなことは、これは一通りお話で私もその通りに思うのです。そうして又どなたがお考えになつても問題がない完全な無欠なものを要求する意味でもない。だが、今のお話の小選挙区になりますると非常に細分されて来る。十万にしても十五万にしても、或いは二十万にしてもそのことの非常に困難さをどなたにしても感ずる、ということは、この昔の都単位というものは今は行政区としてないが、併し歴史的なそういう関係にある。ところが郡のうちでも村に分かれている、細かくなると……。そのときにこの案などを拝見しても、実はいろいろ緑風会の案に対してどうして郡をこういうふうに分けたのだろうかということが起つて来ます。その際に一体誰がこの選挙区の境界決定をするかということを実はお尋ねしておるのです。それに対する何かのそういう選挙区境界決定委員会というようなものをお考えになつているかということを実はお尋ねしておるのです。
  71. 小林武治

    小林武治君 これは我々としても一応の案を作つたが、国会が今後処理をされるということになりますが、必要があればそういう問題が起きて来るということで、結局国会が意思決定をするということにならざるを得ない。従つて今後審議の経過の上においていろいろのお考えがあり得ると思います。
  72. 笹森順造

    ○笹森順造君 そうすると、今の細かい点について一つもまだそういうものはお考えがない、今後の審議でいろいろ考えて行こう、そうして国会の意思によつてきめよう、そういう巾の広い御構想を持つて考えなんですね。
  73. 小林武治

    小林武治君 そういうことであります。
  74. 笹森順造

    ○笹森順造君 そう了解してよろしうございますか。
  75. 小林武治

    小林武治君 かような問題が軽々に簡単にできるとは思えない。十分に審議を尽さなければならないから、我々の作つたものがこれでいいというような考え方を持つておりません。十分これは審議を尽して頂いて、そうして国会が適当と認める機関を作るなら作る、そうしてこれを決定してもらいたいというふうに考えております。
  76. 笹森順造

    ○笹森順造君 次の問題で一つ気になることをお尋ねしたいと思いますが、ただ傾向として大選挙区から中選挙区、或いは今日の中選挙区よりはもつと小選挙区に移すほうがよろしい、これはすでに提案者のお述べになつておりますように、この利害得失はお互いにあるのです。ところが非常に気になりますのは、日本においても相当選挙経験を持つておるわけでありますが、小選挙区で一人一区という場合には非常な弊害というものが、私ども選挙の技術の上から見て、或いは結果的にはそれは問題にならんかも知れませんけれども、この選挙技術以外にもこれによつて派生する社会的な副産物で非常に困ることがあるのですが、それはもうすでに御承知の通りです。もう競争が非常に熾烈になる。従つて競争の相手というものがはつきりしておる。二人以上三人でありますると、抱き合せで選挙する、抱き合せという言葉は悪いのですけれども、その人が必ずしも政敵ではない、選挙の相手ではないということがあり得る。従つてその間にやはり選挙の結果どちらが当選されても、その結果に対してまあ余り社会生活の後における副作用の面白くないことが残らない、ところが一人だと、これはもう次の選挙まではこれは非常に目の仇というと語弊がありますけれども、そういうようなことがある。それは過去における日本の一般性会生活における非常な弊害をなした。これは日本人が民主主義によく慣れました諸外国の人がたのように、これは全くスポーツをやつて、フエア・プレーをやつて、勝ち敗けによつて、あとに恨みは残らんようにできておれば非常に結構だが、その点についてはまだ憂えられますのは、これは地方によりましようけれども、過去における非常な熾烈な競争の結果、傷害事件まで起したというようなことが我々のまだ記憶にはつきり残つておる。こういうようなことに対して提案者は何かの救済的な的な途でも考えているか、或いは又そういうものを気にしていないのか、そういうようなことについて若し懸念があるとすれば、何かそれを救うようなことを考えておられるか、或いはそれに対する副作用の軽重に対してどういう認識をお持ちになるのか、この際一応提案者のお気持をお聞きしておきたいと思います。
  77. 小林武治

    小林武治君 その点はもう御指摘のような弊害は無論あり得るわけでありますが、私はまあ選挙制度そのものを従来のような自由選挙にしないで、できるだけ公営選挙というものを拡充して、そうして熾烈な選挙というものを制限して行く。こういうふうな方法をできるだけとつて行けば、昔ほどの弊害は出て来ないのじやないかと思うのでありますし、一方私は今のようなお話は現在においてもとにかく市長選挙、町村長の選挙というものに同様の弊害がもう当然出て来るのであります。国会議員選挙などはもとよりこれは行政機関でありませんで、議決の機関の選挙でありますから、むしろ弊害そのものは非常に市町村長のごとき行政権を把握するものの選挙は、現在のような直接選挙であることのほうがより大きな禍根を現在残しておるというふうに私は思つておりまして、これなども場合によつたら私は間接選挙みたいな方法のほうが今のようなお話の弊害を除去するには却つていいのじや、ないか、即ち市長選挙、町村長の選挙のごときものさえ小選挙区と申せば当然小選挙区で、狭い所でたつた一人のポストを狙つて熾烈な競争をしておるのがあるのでありますが、それさえ今とにかく認められておる。従つて私はこれらの市長の選挙に比べればまだ国会議員選挙のほうが弊害は少いというふうに考えておりますし、それからもう一つは先はど申上げましたように、公営選挙をできるだけ拡充して行けば、若干でもその弊害が或る程度除けるのじやないか、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、とにかく現在選挙民が相当の進歩をいたしております。昔に比べれば私は選挙ことに相当程度選挙民は進歩しておる。こういうことも考えておりまするし、たんだん選挙民の良識というものに期待も持てるのではないか、かように考えております。
  78. 笹森順造

    ○笹森順造君 公営選挙を拡充するということからその弊害を除くという観点は一つのやはり考え方だと思うので、私も同一意見なんでありますが、今提案者お話の中に間接選挙のようなことも考えておるというようなことでありますが、この法案の中にその思想が入つておりますか。
  79. 小林武治

    小林武治君 全然それは入つておりません。それは私は国会議員選挙とかそういうようなものについてはでような考え方を持ちません。今申上げましたのは、市町村長選挙みたいなものにはそういうことも将来考える余地がありはせんかということで、議員の選挙にはそういうことは考えておりません。
  80. 笹森順造

    ○笹森順造君 それからもう一つ主題を変えて簡単にお尋ねしておきたいと思いますが、今まで選挙の弊害を除くために、一方からは金のかからない選挙ということを考えると共に、又金を出す者がない、金を出すことによつてこれが汚職の原因となり、いろいろなスキャンダル、疑獄が起るということがないようにして行かなければならんという方角からのものの考え方として、次に寄附金の制限に関することはどういう場合か、この法案で何かお考えになつておりますかどうか。
  81. 小林武治

    小林武治君 この法案においてはその向きの規定が入つておりません。これらは又別途の問題として是非考えなければならん問題である。今国会内でもそういうことが議論されておりまするからして、これらの問題が、政党或いは政治基金、或いは政治的な寄附というふうな問題に一つ何らかの解決が必要であると考えております。
  82. 笹森順造

    ○笹森順造君 お気持はそれでわかつたのですが、今度のこれは選挙機会において候補者が不正行為をしたとか買収をしたとか、それをどう抑制するとかいうことは午前中にもお話が出ておつたのでありますが、根本的に選挙運動自体というものをもつと明朗活溌な、或いは理想選挙のできるようにお願いしようとすれば、やはりその大元について共に考えなければいかんのじやないかということを考えている。例えは政府関係団体の公社法人等の寄附金はこれは禁止する。こういうことから今度の大疑獄というものが起つて来た。或いは又どうでしよう、従業員組合等からの寄附金があるということも又同じくその因をなしている。こういうことがからまつて日本政界腐敗堕落せしめたということは、これは特にこの法案をお出しになつ提案者としては是非お考えにならなければならんことである。この点を抜きにして、単に金がかからないような選挙をしようということだけでして行くだけでは私は足らんのではないか、やはりこの点は重要なる国策として考えなければならん。この面に基いて選挙の粛正というものをして行くという政治家としての観点がなければいかんのじやないかという気がいたしまして、この審議の過程においてなおこういうものも弾力性を持つて考えて、お出しになつ法案の中に加えることも、その模様によつてはお考え噴けるものかどうかということをこの際お聞きしておきたいというのがお尋ねの点なんです。
  83. 小林武治

    小林武治君 これはもう誠に同感でありまして、先ず選挙には金がかからないということになれば、自然寄附金も、或いはそのほかの汚職事件も防げる。金の入るほうと出るほうと両面から規制する必要があると存じまするし、又今お話のようなことがこの審議の過程において適当な規律ができるということになれば、これは喜んでお話に応じたいと、かように考えております。
  84. 内村清次

    委員長(内村清次君) ほかにございませんか。  それでは一応委員会におきまして公職選挙法の一部を改正する法律案(参第十二号)の質疑を行なつたのでございま子が、これは本委員つ会にあります公職選卒法の改正に関する小委員会に付託をするという取扱を決定してよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
  85. 内村清次

    委員長(内村清次君) 御異議ないと認めまして、そのような取扱をいたしたいと存じます。  ちよつと速記を止めて。    午後三時九分速記中止    ―――――・―――――    午後三時二十一分速記開始
  86. 内村清次

    委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。  それでは次に市町村職員共済組合法案議題に供します。  先ず、同法案提案理由を塚田長官から御説明を願います。
  87. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 只今議題になりました市町村職員共済組合法案につきまして、提案の趣旨及び内容の概略を御説明申上げます。  昭和二十六年二月から施行されました地方公務員法は、人事行政に関する根本基準の一として地方公務員の福祉及び利益の保護を掲げているのでありますが、その第四十三条において、職員の公務によらない死亡、廃疾、負傷及び疾病並びに分娩及び災厄その他の事故並びにその被扶養者のこれらの事故に関する共済制度は速かに実施されなければならないとし、第四十四条では、退職手金及び退職一時金の制度は速かに実施されなければならないとし、更に、これらの制度は国及び他の地方公共団体との間に権衡を失しないように適者な考慮が払われなければならないと規定しております。その趣旨とするところは、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を確保するためには、地方公務員の在職中の疾病、負傷等による出費に対する保障の措置を講ずると共に、相当年限忠実に勤務した職員が退職した場合における本人又はその遺族の生活を保障するための諸制度を確立することにより、地方公務員の職に人材を誘致すると共に、その職にある者をして安んじて職務に専念させることが必要であるというにあると存ぜられます。  政府といたしましては、この地方公務員法の精神に則り、地方公務員全般について速かに共済制度を確立するの要を痛感し、かねて研究を進めて参つたのでありますが、昨年十月の地方制度調査会の地方制度の改革に関する答申においても、とりあえず措置すべき事項の一として同趣旨の答申がなされている次第もあり、急速にこれが実現を図ることに相成つたのであります。  現在、市町村の職員でも学校及び警察職員につきましては、国及び都道府県の職員と同様に国家公務員共済組合法が適用され、雇用人に対しても疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付のみならず、退職年金又は退職一時金の給付も行われております。これに対し、一般職員につきましては、疾病、負傷等に対する給付としては健康保険法が適用されておりますが、退職年金及び退職一時金の制度としては、そのうち吏員については、国の恩給法の準用又は恩給条例による給付が行われているのに対し、雇用人については、清掃、交通等特定の事業に従事する若干のものについて厚生年金保険法が適用されるほか、十三万人に近い大多数の雇用人については何らの措置がとられていないのであります。  なお、疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付についても健康保険法の適用はありますが、同法による給付は共済組合法による給付に比較いたしますと、財政力の豊かな一部特定の市が組織している健康保険組合は格別として、一般的には低い水準にあり、殊に災害時における罹災給付は健康保険によつては行うことができませんので、昨年のような災害に際しては、国及び都道府県の職員並びに同じ市町村でも学校職員及び警察職員と、市町村の一般職員との間に甚だしく権衡を失した処遇をせざるを得なかつた実情にあるのであります。  かくのごとく市町村の一般職員は、他の公務員に比して、甚だ公平を欠く取扱の下にあり、地方公務員法の規定からも、その解決を徒らに遅延することが許されないと存ぜられるのであります。  而して市町村職員の共済制度につきましては、根本的には社会保障制度全般の問題の一環として総合的に考慮すべきものがあり、少くとも中央及び地方を通ずる公務員に関する年金制度全般に関する問題の一として考慮すべきものがあるのでありますが、これらの問題の根本的解決は極めて重大でありまして、その理想と方向とはともかくとして、なお検討さるべきものが少くなく、今直ちに結論を見出し難い状況にありますので、これらの根本的解決の日まで、等しく地方公務員でありながら、市町村の一般職員のみを現在の不合理な状態に放置しておくことができませんので、差当りの措置として、現行の国及び都道府県の職員並びに市町村の学校及び警察職員に関する共済制度を基礎として、これらの者との間における不公平を是正し、その処遇の公平を期することが緊要と考えているのであります。  以上要するに、地方公務員法の定めるところに従い、又、地方制度調査会の答申の趣旨に則り、市町村の一般職員特に雇用人について、国及び都道府県の職員並びに市町村職員中、学校及び警察職員並みの共済制度を設けようとするものでありまして、これにより、第一に、何らの年金制度が実施されていない市町村の一般雇用人に対し、国、都道市県並びに市町村の学校及び警察の雇用人並みの年金制度を確立し、第二に、市町村の一般職員について、同様に他の公務員並みの短期給付を保障し、第三に、短期給付と長期給付との一体的運営により、給付業務の健全且つ合理的な運営を期すると共に、療養施設の整備その他の福祉事業の総合的推進を図り、以て地方自治の基幹をなします市町村の職員の福祉を増進し、地方自治の進展に寄与しようと念ずる次第であります。  次に法案の要点を御説明申上げます。第一に、以上申上げましたように、市町村職員共済制度は、市町村の一般職員について、他の公務員と同様の処遇を確保しようとするものでありますから、組合の給付の種類、額、支給条件算すべて国家公務員共済組合法のそれと同様といたしております。ただ、現に市町村が組織しております健康保険組合のうちには、健康保険法に規定する法定給付の外に付加給付を行なつているものがあり、これらの付加給付の大部分はこの法律案による共済組合の給付に吸収されるのでありますが、これを超えるものも若干ありますので、かかる給付は経過的に共済組合の給付として行いうるものとし、直ちに給付の低下を来たすことのないように措置いたしております。  第二に、組合員の範囲につきましても、原則的には国家公務員共済組合法におけるものと同様といたし、なお、国家公務員共済組合の組合員と市町村職員共済組合の組合員との間に異動が行われます場合には、相互に在職期間を通算することができるようにいたしております。  第三に、組合員の掛金及び市町村の負担金でありますが、この点につきましても国家公務員共済組合法と同様といたしております。但し、従来健康保険組合で、市町村と職員との負担の割合を職員に有利に定めておるものも少くありませんので、経過的に従来の負担関係をそのまま維持できるような措置を講じ得ることといたしております。  第四に、共済組合の組織及び運営でありますが、市町村職員の共済組合については、地方自治の本旨に鑑み、主として国家公務員を対象とする国家公務員共済組合法と同様の制度によることは適当と認められませんので、組合組織の自律性と運営の自主性ができるだけ確保できるように配慮いたしております。即ち市町村職員共済組合は、都道府県の区域ごとにこれを設け、組合の議決機関として組合会を、執行機関として理事を置き、その構成は、使用主たる市町村長の代表者と被用者たる職員の代表者とがそれぞれ同数となるようにし、組合の重要事項の決定、事業の執行が一方の利益に偏することのないように配慮すると共に、組合に監事を置き、自主的に組合の業務を監査できるものとし、業務運営の公正を期することといたしております。又組合に対する監督規定等も必要最小限度にととめることにいたし、国家公務員共済組合はもとより、私立学校職員共済組合又は健康保険組合に比し著しく自主性が強化されております。  第五は、市町村職員共済組合連合会についてでありますが、組合の適正且つ円滑な運営及びその事業の改善進歩を図るため、市町村職員共済組合連合会を置き、組合に対する技術的及び専門的な知識資料等の提供、事務の指導、組合の長期給付及び罹災給付に要する費用に充てるための積立金の管理その他の事業を行うものとしております。連合会の機構としては、単位組合と同様に議決機関として総会を、執行機関として理事を、監査機関として監事を置くことにいたしております。  第六は、この法律案の経過措置についてでありますが、すでに申上げましたように、本法律案の根本の趣旨は、市町村の一般職員に対し、他の公務員並みの処遇が確保されるように制度的に保障しようとするものに外なりませんので、個々の団体において、おのずから、この法律で保障しようとするのと同程度以上の給付を行おうとするものについては、これを強て画一的に本法案による共済組合に加入させるまでの必要はないと考えられます。従いまして、健康保険組合を組織している市町村ば、この法律に規定する給付以上の給付を行うにおいては、その職員の過半数の同意を得て引続き健康保険組合を組織し、共済組合に加入しないか又は長期給付についてのみ共済組合に加入することができるようにいたしております。  なお、この法律施行以前の職員としての在職期間及び厚生年金保険の被保険者であつた期間については、通算の措置を講じ、職員の利益の保護に遺憾なきを期しております。  以上が本法案提案の趣易並びに内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議を頂き速かに本法案の成立を見ますように、お願いいたす次第であります。
  88. 内村清次

    委員長(内村清次君) それでは政府委員のほうで何か補足説明がございましたら……。
  89. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) お手許にお配りしてあります市町村職員共済組合法案要綱につきまして、大体法律案の順序で書いてありますから、それによりまして御説明中土げたいと思います。  第一 目的   この法律は、地方公員務員法の精神にのつとり市町村職員の福祉の増進を図るため、市町村職員共済組合の組織及び業務について定めることを目的とすること。  これは別に申上げます。  第二 総則に関する事項   一 市町村職員共済組合(以下「組合」という。)は、法人とし、都道府県のと区域ごとに設置するものとすること。   二 組合は、その組織及び業務に関する必要事項について規約を定めるものとすること。   三 組合に議決機関として組合公を置き、議員は、市町村長及び市町村長以外の組合員のうちからそれぞれ同数を選挙するものとし、議員の定数及び選挙方法は規約で定めるものとすること。   四 組合を代表する者として理事長を置き、理事長は、市町村長である理事のうちから理事選挙するものとすること。   五 組合に若干人の理事を置き、組合の業務は、理事の過半数で決するものとし、理事は、市町村長である議員及び市町村長以外の組合員である議員のうちからそれぞれ同数を選挙するものとすること。   六 組合に監事を置き、組合会において、市町村長である議員及び市町村長以外の組合員である議員のうちからそれぞれ一人を選挙するものとすること。   七 国家公務員共済組合法に準じて非課税の措置を行うものとするにと。  ここが市町村職員共済組合の行うその事業主体である共済組合について規定いたしたのであります。ここのところが実は国家公務員共済組合と違う重夢な一点てございまして、国家公務員の共済組合、現在府県庁の職員が八つておりますし、市町村でも警察職員及び学校関係職員が入つておるのでございますか、これは国の公務員を建前にして作つておりますので、国全体が各省別に一本になつておりまして、各省のにれぞれの大臣がその責任者になる建前で、極めていわばまあ役所中心に組織されておるのでございます。そうした組織を市町村の自主的な組織である共済組合に使うことは適当でございませんので、それでこの法案におきましては、市町村共済組合を府県弟位に置きまして、これを民主的に組戦いたしまして、組合の運営が民主的且つ合理的に行われるように配慮しようというので、この考え方をとつたのでありまして、これは大体国民健康保険組合の考え方を中心にしてやつておるのでございます。そこで組合は府県ごとに置きまして、そしてその組合の組織その他の問題は規約で定めることにいたしますが、この組合の機関といたしましては組合会を置きまして、組合会の議員は雇用主である市町村長と、それからこの組合員になる一般職員である組合員のうちからそれぞれ同数ずつ選挙してこれを民主的に構成する、こういう考え方をとつておるのでございます。ただ組合を代表する理事長は仕事の性質上市町村長のうちから出たほうがよかろうというので、理事のうちから選挙することにいたしておるのでございます。それから仕事の内容を監査する監事も、これも雇用者代表と共に被用者の代表を共に入れることが必要でありますので、それぞれ一人ずつ選挙して選ぶ、こういう建前をとつております。それからなお共済組合につきまして、各種の非課税措置は国家公務員共済組合に準じてそれぞれ行うことにいたしております。大体以上で次に移ります。  第三 組合員に関する事項    一、市町村に使用される者で市町村から給与を受けるもの(以下「職員」という。)は、組合員とすること。但し、虎に掲げる者は、との限りでないこと。    (一) 常時勤務に服しない者    (二) 臨時に使用される者    (三) 国家公務員共済組合法による典済組合の組合員   二 組合員の資格の取得及び喪失は、国家公務員共済組合法のそれと同様とすること。  但し、退職した場合において退職の日又はその翌日に当該都道府県の、区域内の市町村の職員となつたときは、組合員の資格を失わないものとすること。   三 組合員である期間の計算については、国家公務員共済組合法のそれと同様とすること。なお、この法律による組合員である期間及び国家公務員共済組合法による共済組合の組合員である期間は、退職年金を受ける権利を有する者の場合を除き、相互に通算するものとし、この通算される期間に係る責任準備金の移換を行うものとすること。これは法律の第二章の組合員に当る問題でありまして、組合員の範囲はこれは国家公務員共済組合法と全然同様にいたしております。それで臨時に使用される者、それから常時勤務に服しないいわゆる非常勤の職員だけは、その性質上組合員とすることがおかしいので省いてありますが、一般の事実上常時勤務に服している者はことごとくこれを組合員にいたすのであります。それから組合員の資格の得喪は、これは一般にやめたりなんかする場合でありますから特に問題はありません。この点で特に申上けたいのは、国家公務員共済組合法とこの通算の規定を入れたことでありまして、これはこちらの改正に伴いまして、国家公務員共済組合法も改正をいたしまして、これを受ける規定を設けることにいたしておりますが、それぞれ国家公務員と地方公務員との間に身分の移動が行われました場合におきましては、組合員としての資格を全部通算する。その場合に従来の組合の負担金の問題その他の財源の問題がありますので、これは通算される期間に係る責任準備金を相互に移換して組合財産の処理をいたしているのであります。あとは特に申上げることはないと思います。  それから第四は給付に関する事項で、  第四 給付に関する事項   組合の行う給付は、保健給付として療養の給付、療養費及び家族療養費、分べん費及び配偶者分べん費、ほ育手当金並びに埋葬料及び家族埋葬料、退職給付として退職年金及び退職一時金、廃疾給付として廃疾年金及び癈疾一時金、遺族給付として遺族年金及び遺族一時金、り災給として弔慰金及び家族弔慰金並びに災害見舞金、休業給付として傷病手当金、生産手当金及び休業手当金とし、その給付事由及び内容等は、国家公務員共済組合法によるそれと同様とすること。この場合において、療養の給付、療養費又は家族療養費の支給期間(三年)には、国家公務員共済組合法によるものを含めるものとすること。  これは法律の第三章に当る規定でありまして、この組合決の実体に当るわけでございます。共済組合が行う給付の内容をここに詳細に法律上列挙されているのでございますが、これは全然国家公務員共済組合法と同一の内容にいたしております。そこでこれにつきましては、別に参考にお配りいたしておきました参考資料を御覧願いますというと、この市町村職員共済組合法案と健康保険法と厚生年金保険法との給付額の比較表をお配りいたしてございます。それをちよつと御覧願いたいのでございますが、市町村職員共済組合法案の参考資料というのがお手許にお配りしてありますが、その資料の第一表に市町村職員に対する年金制度適用状況調というのがございます。ここに現在の市町村の職員一般についてこういう関係の運用はどうなつておるかということが書いてあるのでありますが、一般職員につきましては、吏員には恩給条例がありまして、いわゆる恩給組合、市町村恩給組合によつて二十二万人の者が年金を受けておるわけでございます。それからその雇用人のうち交通とか水道という特定の事業に従事する約二万九千人につきましては、厚生年金保険法の適用があります。この厚生年金保険法の内容の比較はあとから申上げますが、二万九千人あります。それ以外の十二万五千につきましては、全然年金制度の適用がこれはないわけでございます。これがまあ完全にブランクになつておりまして、このブランクになつておるものについて速かに年金制度を確立する、こういうことが今度の法案の一番の重点一つになつておるわけでございます。それと共に、それらを合計いたしまして、三十八万人全部でおりますが、この三十八万人の者につきましては、短期給付のいわゆる療養給付の問題がありまして、これは一部の者は健康保険に入つておりますが、全般的に国家公務員なり府県の公務員なりと同様な短期療養給付がありませんので、これらのものにつきまして、一般的な療養給付その他の道を開こうというところが今度の問題の重点でございます。併しながらここにありますところの教職員とか警察、消防職員につきましては、それぞれの道が今まで開かれておるのでございます。  それからその次の表を御覧願いますというと、先ず市町村職員共済組合法案と健康保険法との比較をここに書いてございます。そのうちの主体が保険給付でございますが、病気になつたり或いは子供を分娩したとき等に給付を受けることになつておるのでございますが、そのうちの療養の給付とか或いは家族の療養費というのは健康保険法との関係は同様でございます。それから下の分娩費、配偶者分娩費、保育手当金、本人並びに配偶者、それから埋葬料及び家族埋葬料、これらのものは給付の内容がいずれも健康保険法のほうが低いのでございます。一般の共済組合法のほうがやや程度が高いのでございまして、この高い府県その他の公務員並みの給付を市町村の一般職員に適用しようというところが実質上の相違になるのでございます。それからその下の休業給付というのも健康保険と大分逢うところがございます。特に罹災給付は全然健康保険制度にはないのでございまして、これが昨年の大災害のときに随分罹災を受けた公務員がおつたにもかかわらず、一般の国家公務員なり府県公務員は救済をされておりましたのに、市町村の職員につきましてはこの給付がなくて、特に例の特別立法で一部見ることになりましたが、実はこの開きがあつたのでございます。この罹災給付の制度を伺としてでも確立してもらわなければいかんのは、健康保険法の適用ではその目的を達することができない、こういう実質上の問題が存するのでございます。  それからその次に長期給付の表がございますが、これで共済組合と厚生年金保険法との比較を書いてございます。そこで厚生年金保険法は今度の国会で少し増額になつておりますが、それでも実はその金額が相当違いまして、そのわかりやすい表を一枚めくりましたところに退職年金の表が付いてあります。そこを御覧願いますというと、組合員であつた期間一十年、二十五年でやめたそれぞれの数字を出してあります。その次に市町村共済組合の大体退職年金の額、それから厚生年金保除法によつて今度、そこに衆議院修正というのが、印刷したときはそうでしたが、これは成立した案であります。その間における比較を御職願いますというと、共済制度、年金制度の開きが相当あることをお認め願えると思うのであります。二十年のときは余りありませんが、それから年がたつに従つて相当な開きが出て参つているのであります。それともう一つは備考に書いてあります支給開始の時期が、組合のほうは五十歳でございますが、厚生年金のほうは男は六十歳、女は五十五歳、これは若年停止の範囲が相当違つている。これは実質的に極めて大きな相違になつて参るのでございます。そこで実は厚生年金制度に統一して向うで一本でやるべきじやないかといういろいろ御意見もあつたのでありますけれども、結局国家公務員、府県公務員並みの制度というものと厚生年金の制度がこれだけの開きがある以上、一般の市町村につきましても、警察なり教職員なりと同様な処遇をしてやるのが当然の配慮でなければならないのでありまして、我々といたしましては、現在の段階においては到底厚生年金制度によつて救済することができない。そこにこの法律を提案せざるを得なかつた根本的な理由があるのでございます。  あと退職一時金以下の表を付けておりますが、これは御覧願いたいと思うのでございまして、それぞれ皆相当な開きがあるのでございます。大体これが給付の内容でございまして、それぞれ一般の公務員については保障されておりますが、市町村の職員について保障されていない問題点でございます。そのくらいにいたしまして、次の項に移りまして、要綱の第五の福祉事業に関する事項を御説明申上げたいと思います。   組合は、給付の外、福祉事業として、組合員の保健、保養又は教養に資する施設の経営、組合員の利用に供する財産の取得、管理又は貸付、組合品員の貯金の受入又はその運用、組合員の臨時の支出に対する貸付、その他これらに附帯する事業を行うことができるものとする。  これは法律の第四章に該当する規定でございまして、共済組合は今申しましたような長期給付並びに短期給付を行うほか、福祉事業といたしまして、組合員の保健の面で健康診断をやつたり、或いは結核の療養所を作りましたり、或いは保養施設を作つたり、或いはその他住宅の資金の貸付をやつたり、そういう各種の福祉事業をいたす道を開いてあるのでございまして、これは現に国家公務員なり府県の公務員なりにつきましては、それぞれ相当活溌にこの事業をやりつつあるのでございます。特に私たちの関係しております府県の一般公務員の例について申上げますと、各種の保費施設というものは大体各府県皆持つているほか、最近は結核病棟を設けるためにそれぞれ資金を融通いたしているのでありまして、これは所によつては又鉄筋の恒久的な結核病棟をそれぞれ作りつつあります。それを共に住宅貸付といたしまして個人に貸付すると共に、まとめて住宅を作る場合に資金を融通いたしておりまして、非常に地方の職員にも喜ばれておる事業であります。組合に逐次資金がまとまれば、そうした事業を十分に行い得ることに相成ると存じております。  それからその次は、第六、掛金、負担金等に関する事項で、   組合の給付及び事務に要する費用についての職員と市町村との負担区分は、国家公務員共済組合法のそれと同様とすること。  これは法律の第五章に関する規定でございます。これは全然国家公務員と同様の建前にいたしておりまして、その内容を簡単に申上げますと、いわゆる短期給付の問題、具体的な問題はそれぞれの共済組合できめることになつておるのでありますが、短期の療養給付に対する掛金はそれぞれ市町村と各組合員とが原則が半分々々で持つことになつております。それから退職給付に当てるのは、組合員の掛金が四十五に対し市町村が五十五を持つという建前でできておるのであります。これは皆国と同様でございます。ただこれにつきましては、あとから経過規定がございまして、従来健康保険組合において、それぞれ市町村が組合員との協定で高い率を負拠している場合がしばしばありまして、そういう場合はその率を引続いて認める、こういう建前をとつておるのでございます。これはあとから御説明申上げたいと思います。  それから第七は、市町村職員共済組合連合会に関する事項、  一 組合の業務の適正且つ円滑な運営を図るため、市町村職員共済組合連合会(以下「連合会」という。)   を置くものとすること。  二 連合会は、法人とし、組合に対する技術的及び専門的な知識資料等の提供、事務の指導、組合の長期百給付及びり災給付に要する費用に充てるための積立金の管理その他その目的を速成するために必要な事業を行うものとすること。  三 連合会に、議決機関として、総会を置き、議員は五十五人とし、各組合の理事長及び市町村長以外の理事が互選する者をもつて組織するものとすること。  四 連合会に、役員として、会長一人、理事九人及び監事三人を置さ、会長は、理事が互選し、理事は、総会の議員が4選(理事のうち一人は、組合の市町村長以外の理事が互選した総会会の議員とする。)し、監事は、総会において、学識経験を有する者、組合の理事長及び市町村長以外の理事が互選した総会の議員のうちからそれぞれ一人を選任するものとすること。  この規定は法律の第六重に該当する規定でございまて、それぞれの府県の共済組合の連合組織を中央に全国一本に設けたいと思うのでございます。その意味はそれぞれの府県の組合業務についての専門的な、技術的な援助をするというだけでなしに、この長期給付と特に罹災給付でございますが、これは成るべく危険を全国的に分散いたしまして、中央でまとめて資金をプールして動かすという必要がございまして、特に災害のことをお考えになればわかりますが、災害はもう一地方に集中的に起る事例が多いわけでございますので、そこでこれらの資金たけは連合会でまとめて管理をする、こういうことが適当であろうと存ずるのでございます。そうした仕事をやるために連合会を設けることにいたしまして、連合会の組織は、これも国の共済組合と全く違つておる重要な点でありまして、国の共済組合は中央一本になり、現在の府県の職員の場合でも自治庁一本で作つておりまして、地方には支部があるに過ぎない。そうして中央の運営機構も、これは共演組合法できまつておるのでありますが、運営審議会しいうものがあつて、単に審議機関を置くことになつておるのに過ぎないのであります。これを議決機関といたしまして、民主的に組立てる必要がありますので、総会を置いて、それをそれぞれの下の共済組合から積み上げる方式で以てこれは開く。その場合にも単に雇用者側の市町村長の代表ばかり出てはいけませんので、被用者側の職員代表も加えるように配慮いたして、この職員の構成を考えてあるのでございます。この点につきましては、自治労協その他の幹部の人たちと十分協議をして、この組合の内容と役員の構成等を協議して案を立てたのでございます。そうして共済組合全体の運営を合理的に民主的に動かして行こう、こういう考え方でございます。  それからなお、もう一つ申上げたいのは、この要綱に書いてございませんが、この中央の連合会で管理する資金の運用の問題が一つございまして、これは特に法律の七十五条の四項でございますかに規定を入れまして、「確実で、有利な方法により、且つ、組合員の福祉の増進又は市町村の公共の利益に資するように運用しなければならない」と、この運用の目的を書きまして、これだけの資金がまとまれば相当な金額になるのでありまして、この運用の方法を十分考える必要がありますので、これは専ら組合員の福祉のためか、それともそれぞれ関係しておる市町村の公共の利益になるような形で運用する。それ以外の単に利殖の方法考えたりなんかすることはこれはやめる、こういう考え方で以て運用の方針を法律に書いてあるのでございます。それでこうした大きな、特に厚生年金あたりでもそういう問題が起つておるのでありますが、資金の運用をどうするかという問題がありますが、これはそもそも関係しおる組合員及び団体に還元をする建前で運用する、こういうことを法律で明定いたすことにいたしたのでございます。   それから要綱の第八に戻りまして、   市町村職員共済組合審査会に関する   一 給付の決定又は掛金その他組合員が組合に対して支払うべき金額の徴収に関する異議を審査するため、連合会に審査会を置くものとすること。   二 審査会は、九人の委員をもつて組織するものとし、組合員代表する者、市町村を代表する考及び公益を代表する者各三人の委員は、連合会が推せんする者のうちから自治庁長官が委嘱するものとすること。  この規定は法律の第七章にございまして、この共済組合につきましては、給付の内容をきめたり、或いは掛金その他の問題につきまして、若しいろいろ問題が起ることもあり得るので、問題が起つた場合におきましては、そうした問題を合理的に解決する方法が必要なのでございます。で、そのためにはこの審査会という組織がございまして、これはまあほかのこうした類似の組織には皆考えられております。その審査会を中央、これは全国一つあればいいわけでございますから、置きまして、組合の代表、市町村の代表、それから公益代表者、それぞれ三人ずつでやりまして、而もそれを皆連合会に推薦をさせて、そうして自治庁長官が委嘱する、こういう考え方で公正な審査機関を設けて、そうして論議のあとがないように運用して行きたいと存ずるのでございます。  それから第九は会計に関する事項で、    組合及び連合会の事業年度は、政府の会計年度によるものとし、予算は、自治庁長官に届け出なければならないものとすること。   これは法律の第八章の問題でございます。特に申上けることはございません。ただ、ここで申上げたいことは、いわゆるこれに類似の団体とすれば健康保険組合等がございますが、これにつきましては、実は監督の規定が厳重でございまして、予算、決算その他皆認可事項等になつておりまして、その他いろいろな形で監督が加えられておるのでございます。それから国並びに府県の公務員は、これは役所がやるのでございますから、これは勿論そうした権限が強いのでありますが、市町村の場合におきましては、これは市町村自治体の建前を尊重し、極めて自主的にやるということを考える必要がありますので、そうした意味の規定は最小限度にとどめるという建前にいたしておるのでございます。その点が実はほかの制度と又違つておる一点でございます。   それから要綱の第十、その他、   一 組合及び連合会にその事業の執行に必要な報告徴収等の権限を与えるものとすること。   二 組合は、この法律の定める医療に関する事項については、随時、厚生大臣に連絡しなければならないものとすること。   三、組合及び連合会は、自治庁長官が監督するものとすること。   これは法律の第九章に該当するのでございまして、今少し御説明申上げたことにも関連いたしておるのでございます。二に書いてありますのは、この医療に関する問題につきましては、随時厚生大臣に連絡する。これは健康保険組合制度との調整を考える必要もありましたので、国家公務員共済組合法にも類似の規定がありますので、その建前に従うことにいたしたのでございます。  第十一 罰則に関する事項   療養の給付、療養費及び家族療養費に関する報告及び立入検査について国家公務員共済組合法のそれと同様の罰則を設けること。  法律の第十章にございますが、特に御説明申上げることはございません。  第十二 経過措置に関する事項   一 組合員のうち、恩給法の準用を受ける者、退職年金及び退職一時金に関する条例の適用を受ける者及び六月以内の期間を限つて使用されるものには、当分の間、退職    給付、廃疾給付及び遺族給付に関する規定は適用しないものとすること。  これは法律の附則の十五項でございます。これは当り前のことを書いてありまして、これも国の公務員共済組合法と同様な規定でございまして、恩給法の準用を受ける者とか或いは条例で年金を受取る者には勿論この規定は要らないのでございます。それからいま一つ、六ヵ月以内の期間を限つて使用されて極めて短日月でやめる者を前提にして、これは年金制度をやるということは筋が合わないので、そういう者についてはやらない、こういうことを規定した例でございます。  それから二は、   この法律の公布の際現にこの法律による組合の組合員となるべき者を被保険者とする健康保険組合を組織している市町村かその職員でこの法律による組合の組合員となるべきものの過半数の同意を得てこの法律の公布の日から九十日以内に自治庁長官に申し出たときは、当該申出に従い、この法律の規正の全部又は保健給付、り災給付及び休業給付に関する部分を当該市町村及びその減員に適用しないものとすること。この場合においては、この法律の規定の全部の適用を受けない市町村は、退職給付、廃疾給付及び遺族給付については、この法律に規定する給付に相当するものを行わなければならないものとすること。  これは法律の附則の二十一項でございます。七十五ページでございますが、この規定は実は一つ問題になる規定でございまして、実は先ほど長官の説明にもありましたが、この共済組合法をめぐつて一番問題があつたのは健康保険組合との関係が一つあるのでございます。それで健康保険組合につきましては、一部の市町村の吏員が健康保険に加入しておる者が相当ありますので、現にそれで足りるではないかと、特に健康保険組合によつては、いろいろな先ほどちよつと申しましたように負担率が一般の国家公務員よりも率が、市町村が負担するものと組合員が負担するものとが半分々々にならずに、所々によつては三対三或いは極端なものになると三対一のような割合の所もありまして、そうしたいい負担率を持つておるものを組合に統合されちや組合員が困るじやないか、そういう問題が一つと、それからもう一つは、健康保険組合は先ほど申しました通りいろんな給付のほかに附加給付というものをそれぞれ組合が自由に作り得ることになつておりまして、むしろ附加給付をやつておるものが共済組合になるというとそれは認められん。そういうものがあつて却つて給付の内容が下るからいかんのじやないか。そういう二点が実は中心の問題だつたのでございます。併しながら我々といたしましては、その二点につきましては、それはこれから申します通り、経過措置によつて救済すると共に、この考え方にはそうした一部の富裕の健康保険組合に加入しておる者については、又それぞれ自主的にやつておるのだからそれをとやかく言う考えはない。併し一般の弱小の町村の雇用員はそうした恩典に浴しておらないわけでございまして、そうしたものについては最小限度学校職員や警察職員並みに保障してやる、これはどうしても考えなければならない。そうしたわけでこの法律を作ることにいたしますと共に、単に形式上こういう法律を作るからこれで皆形の上で押し込んでしまうのだということは考える必要は毫もないのでございまして、我々は最小限度法律で保障してやればよろしい、それぞれ自主的にできるところはそれは自主的の意思でやつてかまわない、こういう考え方でこの二項はこの健康保険組合を組織している者が若し組合員の過半数が同意してそれぞれ関係町村がその気になつたならば、この法律による共済組合法に加入しなくてもいいという規定を設けたのでございます。そこで一部の富裕な健康保険組合に参加しておる団体はそれぞれ従来の形をその意思によつて継続して行くことができるのでございまして、これは問題がこれで解消することを我々も考えておるのでございまして、全然御心配になる点はこの規定によつてなくなるのでございます。ただ組合によつては、共済組合の規定の全部を排除したいという場合、或いは最小限度短期給付、長期給付の問題だけを適用しない、こういうようなことを考える場合もこれはあり得るのでございまして、そこらの選択の余地も認めておこうとするのでございます。でありますから、単に形式上制度として統一するということを我々は期待しておるのではないのでありまして、実質的に最小限だけを保障するということだけで以てこの立法が考えられておるのでございます。尤もこの点につきましては、逆に、社会保障制度審議会の答申によりますというと、むしろ作るのならば均一に作るベきだ、例外を認めるのはおかしいのではないか、こういう意味の技術的な勧告も実は我々は受けておるのでございますが、併しながら我々といたしましては、そうした形式よりも地方自治の建前から申しましても、実質的の最小限を確保するということで行つたほうが適当であろうということで、あえてこの附則を設けることといたしたのでございます。  それから第三番目は、   この法律の公布の際現にこの法律による組合の組合員となるべき者を被保険者とする健康保険組合は、第五項により存続する場合を除き、組合成立の日に解散するものとし、その健康保険組合の権利義務は、組合が承継するものとすること。  これは法律の附則の、二十二項でございまして、これは特に申上げることはありませんで、健康保険組合が全部こちらの共済組合に乗り移る場合には、解散し権利義務を承継する、これだけの規定でございます。  四は、   この法律公布の際現に健康保険の被保険者である者が組合員となる組合は、当分の間、健康保険の被保険者で組合員の資格を有しない者を組合の組合員とすることができるものとすること。  これは附則の二十七項でございますが、この点は実は現在健康保険の組合に加入しておる者とそれから共済組合の対象となる者とが百パーセント一致しておらんのであります。と申しますのは、共済組合の対象となるのはそれぞれ市町村の公務員に限られております。ところが健康保険は、ついでに例えば市町村会あたりの事務局の職員などがそのまま健康保険にも入つておりまして、そういう者をこちらへ引継ぐことによつて脱落させてはこれは気の毒でありますので、そこで健康保険の被保険者になつておるような者は皆こつちの組合の組合員にするにとができると、こういふうに考えたのでございます。  それから五は、   この法律の公布の際現にこの法律による組合の組合員となるべき者を被保険者とする健康保険組合は、これを組織する市町村のうちに第二項の申出をしたものがあるときは、組合成立以後においても、その申出をした市町村及びその職員を以て組織する健康保険組合として引続き存続するものとし、その健康保険組合の権利義務で申出をしなかつた市町村及びその職員に係るものは、組合が承継するものとすること。  これも技術的な規定でございまして、健康保険組合に参加しておつた市町村の職員の一部がこちらへ来る、一部は自立でやろう、こういう場合におけるその間におけるその健康保険組合の始末を考える必要がありますので、それとの権利義務その他の承継関係の規定の基礎でございます。  それから六は、前二項により健康保険組合の権利義務を承り継した組合は、五年間は、当該健康保険組合がこの法律による組合成立の際現に行なつていた健康保険法第六十九条の三の規定による保険給付のうちこの法律に規定する給付以外のものをこの法律による給付として行うことができるものとすること。  これは法律の附則二十八項でございまして、これはちよつと今申上げました通り、健康保険組合ではこうした附加給付と申しておりますが、法律で書いてある給付以外に組合のほうできめれは随時いろいろな給付を行うことができたのでございます。例えば家族の療養費は半分だけ出すことになつておるのに、あとの半分も組合で持つ、こういうタイプの附加給付がいろいろ考えられまして、それをやつておる富裕な健康保険組合も実は少くないのでございます。そういうものが健康保険組合として存続すれは勿論その通りやりますが、仮にこちらの共済組合に入つた場合におきましても、そのために附加給付が行えなくなるということはそれは甚だ遺憾でございますので、当分そういうものは附加給付としてやり得るという道を開いてございます。これにつきましても、先ほどの社会保障制度審議会につきましては、やる以上はびしつとやるべきじやないかという逆の意見が実は出ておつたのでありますが、我々といたしましては、組合が現にやつておるものをはずすのは実際に合わんので、ともかくも差当りこういう道を開き、むしろこうした附加給付の制度は共済組合制度全般についても場合によつて考えられ得る、こういう含みも我々としてはあるのでございます。とにかくもこの市町村職員共済組合法案におきましては、これを差当りそのまま認めるということを立法化いたしたいと存じております。  それから七は、   退職給付、廃疾給付及び遺族給付以外の給付については、市町村は、五年間は従前の健康保険の保険料の負担割合によることができるものとすること。  これが先ほど申しました法律の二十九項に該当しますが、健康保険では負担割合がこの半分々々というのが建前でありますが、これは場合によつては事業主と職員との間において負担割合を変えることができる。そこで一部の組合では事業主のほうが余計負担しておりまして、まあ三対二とか、ときにませんが、そういう開きをつけておるものもあるようでございましてそういう場合に共済組合では、国、府県の例はもう半分ずつということがきまつておりますが、ただ長期給付は四十五対五十五でありますが、負担率を変えるということは組合員に気の毒でありまして、現に自治体が余力がある、それぞれ余力があつてそういう意思があるものをそれをひつくり返す必要はない、同じ負担割合を差当り承継することができる、こういう建前にいたしたのでございます。   組合成立前の引き続く職員としての在職期間は、組合員である期間に通算するものとすること。この場合においては、その者に係る給付について、その期間の掛金に相当する額を減額するものと吊ること、  これは特別に申上げることはないと思います  九は、  職員でこの法律施行の際厚生年金保険の被保険者であつたものについては、その被保険者であつた期間を組合員である期間に通算するものとすること。  これも皆引き続き通算の規定でありまして、特に御説明を要しないと思います。 第十三は、関係法律の整理に関する事項、  この法律の施行に伴い、国家公務員共済組合法、厚生年金保険法、船員保険法、厚生年金保険及び船員保険交渉法、厚生保険特別会計法、船員保険特別会計法、日雇労働者健康保険法、結核予防法、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律、印紙税法、所得税法、法人税法、地方税法等の一部の整理を行うものとすること。  これは大体免税その他交渉関係の規定の整理でございまして、特に御説明は要らないと思います。  以上でございます。
  90. 内村清次

    委員長(内村清次君) それでは次に、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律案議題に供します。先ず政府の補足説明をお願いします。
  91. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) この法律は日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基く行政協定の実施に伴いまして設けられました法律と大同小異でございます。この法律の第二条に用語の意義を掲げておりますが、この第一に書いてありまする派遣国、従つて又現在この協定に署名しておりまする国はカナダ、ニュージーランド、英国、南阿連邦、濠州とフイリピンということになるわけでございます。これらの国々の軍隊等に適用されるわけでございます。  第三条に地方税法の特例を掲げまして、これは日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条的に基いて作られました行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律、この規定を準用するのだということにいたしております。従いまして準用されまするところの内容は、一つは軍人用販売機関等が軍隊の構成員等の利用に供するためにのみ行います事業につきましては、事業税を軍人用販売機関等に課さないということであります。又軍人用販売機関等の設けまする施設の中で軍隊の直接管理に係りまするものの利用につきましては、娯楽施設利用税を課さない。又軍隊の所有いたしまする自動車、自転車及び荷車には自動車税や自転車荷車税を課さない。更に又軍隊におきまする勤務により受けまする所得又は軍人用販売機関による雇用による所得以外の所得を有しないものに対しましては、府県民税、市町村民税を課さないということ。更に又軍隊が日本国において所有いたしまする固定資産につきましては固定資産税を課さないということ。或いは又軍によりまする電気及びガスの使用で軍隊の証明がありまするものにつきましては、電気ガス税を課さない。こういうような内容のものになるわけであります。  で第二項におきまして、行政協定特例法の四条の規定を自転車荷車税の賦課徴収について準用いたしておりまするのは、これらのものにつきましては、普通徴収の方法によりませんで、証紙徴収の方法によるということにたしておるということでございます。責任者に証紙で払込ませまして、そうして地方税の徴収に協力をしてくれる。こういう形になつておるわけでございます。  で、附則にこの法律の適用の時期を書いてあるのでございまして、この法律は昭和二十七年の四月二十八日に遡つて適用されるということになつております。併しながら附則に書いてありまする通りに、協定の二十一条の4や二十二条の4において遡及されないものとされる場合には勿論遡及適用はないのだということにいたしております。で遡及されないことにされまする場合は、すでに善意に基いて徴収しておりまする地方税につきましては、それは遡及して徴収を無効とし、これを返還させるというようなことはないと、こういうような趣旨でございます。
  92. 内村清次

    委員長(内村清次君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  93. 内村清次

    委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会