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1954-04-28 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十八日(水曜日)    午前十時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   委員外議員    建設委員長   深川タマヱ君            田中  一君            海野 三朗君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法御案を議題に供します。本日は同法案の逐条審議に移ります。先ず逐条審議に入りますにつきましては、各章ごとに審議して行きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは各章に亘りまして、奥野君から一つ説明をして頂きます。
  4. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この全条文の入つております条項に従いまして、詳しく御説明申上げておりますので、それらの改正点がどこにあるかというふうな意味合いで申上けさして頂いたほうがいいのじやないかと思います。若し私の説明が簡単すぎましたり、詳しすぎましたりいたしました場合には御注意頂きまして、それに従いまして又説明の仕方を改めたいと思います。  九頁の最初のところに書いてありしまするのは、地方団体相互間におきまして、課税権帰属等について意見を異にした場合の改正であります。  その次が十一頁、第十八条の第三項の規定は、還付加算金をつけます場合の時期につきまして、法律又は条例規定によつて変更又は消滅がありました場合の措置を明確にいたした規定であります。  十二頁に道府県民税規定がございます。第二十三条に道府県民税に関する用語の意義が書いてありますが、市町村民税の場合と同じでございます。十四頁を見て頂きますと、四号で「所得割市町村民税所得割額課税標準として個人に対して課する道府県民税をいう。」ということにして、附加税的性格を明確にしておるわけであります。第二十四条は道府県民税納税義務者等に関する規定でございます。十九頁に道府県民税納税義務者規定を置いております。第二十四条の規定であります。道府県民税個人につきましては市町村民税納税義務者と全く同じであるという趣旨規定をこの本文に書いてあるわけであります。なお、法人につきましては、その県内におきましては納税義務一つでございますので、特に独立した規定の設け方をいたしております。市町村民税規定してありまする考え方と同じでございますので、省略いたします。十六頁のところの二項で、今申上げましたような趣旨から「前項第二号に掲げる者については、市町村民税均等割によつて課する市町村ごとに一の納税義務があるものとして道府県民税を課する。」従いまして、家、屋敷を持つておりまする場合には、家、屋敷の所在する市町村が一府県内に二以上ありますれば、二以上の納税義務を負うということになるわけであります。これに反しまして、法人の場合には一つ納税義務しか負わないということでございます。  第二十五条は非課税の範囲でありますが、十七頁の三行目のところへ衆議院の修正で水産業協同組合共済会か加わつております。  第二十六条は質問検査権例文でございます。二十七条、二十八条以下も例文でございますので、これは省略いたします。   二十三頁の第三十二条、所得判課税総額決定方法であります。「道府県知事は、道府県民税所得割納税義務者当該年度の初日の属する年の前年における所得税額合計額として、当核道府県条例で定める方法によつて算定した額に、当該道府県条例で艇める率を乗じて、当該年度において課すべき道府県民税所得割課税総額を定めるものとする。」要するに課税総額所得税額総額一定の率を乗じた額なんでありますが、その所得税額は国税は勤務地、或いは支払地徴収いたしますが、府県民税住所所在団体で課するので、国税徴収額たけを見たのでは所得税額総額がわかつて参りません。そこでその算定方法当該通府県条例で定める方法によらしめる、こういう考え方をとつておるわけであります。実態につきましては、この前に御説明申上げた遡りであります。二項で「前項の率は、自分の五を標準とするものとする。」更に三項で市町村民税との関係がございまして、府県が勝手に何することは適当じやございませんので、「前項の率と異なる率を定めようとする場合においては、あらかじめ、自治庁長官に対してその旨を届け出なければならない。」場合によつて自治庁から勧告助言機会会を持ち得るようにしておきたいというふうに考えておるわけであります。  第三十三条は所得割課税総額配賦規定でありまして、「道府県知事は、前条規定によつて定めた所得割課税総額を、当該道府県内の各市町村ごと当該年度分市町村民税所得側額課税標準とすることができる所得税額合計額として当該道府県条例で定める方法によつて算定した額にあん分して、これを毎年四月三十日までに各市町村配賦しなければならない。」、要するに課税総額を、市町村ごと所得税額に按分して配賦するということであります。先に申上げましたように、この所得税額支払地じやございませんで、住民の所得税額として考えなければなりませんので、その算定方法はやはり条例の定める方式に委ねるという規定を置いてむりまするために、かなり複雑な規定になつておるわけであります。「但し、所得税額課税標準として市町村民税所得割を課する市町村に対してに、当該配賦願に代えて当該市町村当該年度分市町村民税所得割課税標準となるべき所得税額前条第一項の率を乗じた額をもつて当該市町村に対する配賦額とすることができる。」市町村所得税額課税標準としておりまする場合には、その市町村所得税額府県総額算定する場合に用いました率をかけたものだと、こういう抽象的な示し方をすれはよろしいのだという趣旨規定であります。二項は「道府県知事は、天災その他特別の事情に因り、前項規定によつて配賦すべき市町村ごと所得割課税総額配賦することが不適当と認める市町村に対しては、当該道府県条例の定めるところにより当該市町村に係る所得割課税総額を減額して配賦することができる。」前年の所得税額としてはそれだけ支払い得る能力があつたといたしましても、その後に災害等が起きました場合にはそのまま配賦額決定してしまいますることは苛酬に失しまするので、こういうような減額配賦規定を置いておるわけであります。  第三十四条は「市町村長は、前条規定により所得割課税総額配賦を受けた場合において、当該市町村配賦された所得割課税総額算定について違法又は錯誤があると認めるときは、その配賦を受けた日から三十日以内に、道府県知事異議申立をすることができる。」総額配賦額が違法であつたり算定に錯誤があつたりした場合は、争いの途を市町村長に認めておるわけであります。  第三十五条所得割課税総額の減額の方法であります。「道府県知事は、前条規定基ぐ決定若しくは裁決又は判決に因り市町村に対して第三十三条の規定により配賦した所得割課税総額を減額する必要が生じた場合において、当該市町村配賦を受けた所得割課税総額に基きすでに道府県民税を課したとき、その他当該年度道府県民税についてこれを減額することが困難であると認められるときは、当該決定若しくは裁決又は判決のあつた日の属する年度の翌年度において当該市町村配賦すべき所得割課税総額から当該減額すべき額を減額するものとする。」総額配賦を受けました場合に争いが起きたり、その結果減額しなければならないことになりましても、すでに各納税者に対しまする課税措置が終つておりまする場合には、又それを改めるとなつて参りますると困難が起きて参りまするので、そういう場合には翌年度で調整してもよろしいのだという趣旨規定を置いておるわけであります。  第三十六条、所得割税率であります。「第三十三条の規定によつて所得割課税総額配賦を受けた市町村は、当該配賦を受けた所得割課税総額当該市町村当該年度分として決定した市町村民税所得割額合計額で除して当該市町村における道府県民税所得制税率決定するものとする。」先ほど申上げましたように、道府県民税所得割市町村民税所得割附加税であります。従いましてこの附加税税率はこのようにして算定するのだということをここに書いてあるわけであります。二項は「前項所得割税率決定する場合において、小数点以下第二位未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。」余り細かい計算を強いますことは適当じやございませんので、府県の犠牲で計算を簡素にしよう、こういう考え方で第二位未満の端数を切り捨てようという規定を置いたわけであります。三項は「第三十七条及び第四十条第三項の規定によつて所得割額変更されたことに因つて所得制課税総額変更されることとなつた場合においても、第一項の規定によつて定めた所得割税率は、変更しないものとする。」第三十七条と第四十条の第二項と言いますのは、先にそれを御説明いたしますと、第三十七条は所得割賦課制限額であります。市町村民税について所得制課税限度額を定めておりますが、この課税限度額市町村税府県民税とに分けておるわけであります。一号では課税所得金額の百分の二・五、市町村民税の場合にはこの数字が百分の一〇であつたのでありますが、この百分の一〇を市町村民税のほうを百分の七・五に引下げ、同時に府県民税のほうを百分の二・五といたしました。これを超えます金額は減額することになるわけであります。その次の第四十条のほうを先に見て頂きますと、第四十条で、道府県民税所得割額決定及び変更、「第三十三条の規定によつて所得割課税総額配賦を受けた市町村の長は、当該市町村における個人道府県民税の各納税義務者市町村民税所得割額に、第三十六条第項及び第二項の規定によつて決定された所得割税率を乗じて道府県民税所得割額決定するものとする。」附加税なのでありますから、市町村民税所得割の額に、先に申上げました附加税税率をかけて決定するのだと書いてあるわけであります。「但し、所得税額課税標準として市町村民税所得割を課する市町村にあつては、当該所得税額当該市町村に対する所得割課税総額配賦額の基礎となつた第三十二条の規定により定められた率を乗じて道府県民税所得割額決定することができる。」と言いまするのは、所得税額課税標準としておりまする市町村につきましては、府県は率を示すわけでありますので、その率をかけて計算すればよろしいのだ、こう書いてあるわけであります。第二項は「市町村長は、道府県民税所得割額決定した後において、当該道府県民税所得割額課標準である市町村民税所得割額が、第三百二十一条の二の規定による不足税額の追徴又は第三百二十八条の規定に基く決定裁決若しくは判決に因り楚更されることとなつた場合においては、」要するに市町村民税の額について争いがあつた場合、その争いについて決定判決があり、変更されました場合においては、「当該変更された後の市町村民税所得割額課税標準として当該納税義務者に係る道府県民税所得割額変更しなければならない。」市町村民税が変れば、おのずから道府県民税も変るのたと書冊いてあるわけであります。全くそれに乗つかつて行くのだということを書いてあるわけであります。そうしますと、このような関係から道府県民税が減つて来ることがございます。それが二十八頁の第三項の問題なのであります。減つて参りますると、市町村配賦いたしましたのが全部課税されないということになつてしまうわけであります。こういうようになつても、最初にきめた附加税税率というのは変えないのだ、そうして混乱を避けようと考えているわけであります。二十九頁の終り二行から、第三十八条「個人均等割標準税率は、百円とする。」これだけのものは、市町村民税均等割から減額いたしております。  それから四十条に行きまして、「個人道府県民税賦課徴収は、本目に特別の定がある場合を除く外、当該道府県の区域内の市町村が、当該市町村個人市町村民税賦課徴収均等割税率の軽減を除く。)の例により、当該市町村個人市町村民税賦課徴収とあわせて行うものとする。」一つ徴税令書で一緒に課税をしてもらう。全く同じような方式でやるのだということ、この賦課徴収の例によつて併せて行うのたと書いてあるゆえんなのであります。「この場合において、第十八条の規定に基く還付若しくは充当加算金、第三百二十条の二若しくは第三百二十七条の規定に基く延滞金又は第三百三五条の規定に基く延滞加算金計算については、道府県民税及び市町村民税の額の合算額によつて当該各条の規定を適用するものとする。」端数計算なんかもみんな一つにして行くのだ。要するに台帳も府県民税市町村民税の一本の台帳で経理して行くのだというような考え方の下にこのような規定を置いているわけであります。二項は「前項規定によつて市町村行つた個人道府県民税賦課徴収に関する異議申立及び出訴については、個人市町村民税賦課徴収に関する異議申立及び出訴の例によるものとする。」それから四項に行きまして「道府県は、市町村が第一項の規定によつて行う個人道府県民税賦課徴収に関する事務の執行について、市町村に対し、必要な援助をするものとする。」お互いに協力をし合うという趣旨規定を置いているわけであります。  第四十二条に参りまして「個人道府県民税納税義務者又は特別徴収義務者は、その道府県民税に係る地方団体徴収金を、個人市町村民税に係る地方団体徴収金納付又は納入の例により、これとあわせて納付し、又は納入しなければならない。」特別徴収をとつておりますものにつきましては、やはり府県民税特別徴収の例に乗つかつて行く、わけでございますから、同じ納付の仕方で納付しなければならないのだという規定を置いているわけでありにはす。第二項は、「個人道府県民税及び市町村民税に係る地方団体徴収金納付又は納入があつた場合において、その納付額又は納入額がその納付し、又は納入すべき地方団体徴収金総額に満たないときは、その納付額又は納入額から督促中数料及び滞納処分費を控除した額を道府県民税及び市町村民税の額にあん分した額に相当する道府県民税又は市町村民税に係る地方団体徴収金納付又は納入があつたものとする。」要するに個人の納めましたものは、道府県民税市町村民税の額に按分して納められたものとみなしてしまう。選択は認めない。そうすることによつて簡素にこの仕事を進めて行きたいというふうに考えているわけであります。第三項で、「前二項の規定により個人道府県民税に係る地方団体徴収金をあわせて収納する場合号における国庫出納金筆端計算法第六条の規定の適用については、道府県民税及び町村民税は、一の地方税とみなす。」第四項で「市町村は、個人道府県民税に係る地方団体徴収金納付又は納入があつつた場合においては、当該納付又は納入があつた月の翌月十日までに、これを道府県に払い込むものとする。」  四十三条で、「第四十一条第一項の規定によつて道府県民税賦課徴収する市町村が当該道府県民税賦課徴収に用いる徴収令書納期限変更告知書特別徴収義務者及び特別徴収義務者を経由して納税義務者に交付する特別徴収方法によつて徴収する旨の通知書督促状その他の文書は、当該市町村市町村民税賦課徴収に用いるそれらの文書とあわせて、総理府令で定める様式に準じて作成するものとする。」一つ徴税令書で済まして行くのだという趣旨であります。附則の四項のほうでは、今までの徴税令書に二十九年度分だけは道府県民税を記載すれば足りるのだということにいたしております。過渡期の混乱を避ける趣旨規定を置いております。  第四十四条で、「市町村長が第三百二十二条の規定によつて個人市町村民税納期限を延長した場合においては、当該納税者又は特別徴収義務者に係る個人道府県民税納期限についても、同一期間延長されたものとする。」納期限の延長でありましても、納税義務者市町村民税道府県民税と、個々について請求する必要はない。市町村民税に対して納期が延長されたら当然道府県民税納期限も延長されたものたとしているのであります。  第四十五条は、「市町村長が第三百二十一条の二第正三項、第三百二十三条又は第三百二十七条第二項の規定によつて個人市町村民税又は延滞金額を減免した場合においては、当該納税者又は特別徴収義務者に係る個人道府県民税又は延滞金額についても当該市町村民税又は延滞金額に対する減免額割合と同じ割合によつて減免されたものとする。」市町村民税が減免されました場合には、別の手続を用いないで、おのずから道府県民税も同じ割合正で減免されたものとしてしまうのであります。全く減免の権限も市町村に委ねてしまうことにしているわけであります。  第四十六条で、「市町村区長は、第四十条の規定によつて所得割額決定し、又は変更した場合においては、当該道府県条例の定めるところにより、道府県知事に対し、個人道府県民税納税義務者の数、所得割額総額所得割税率その他必要な事項を報告するものとする。」報告の責任を与えているわけであります。二項で、「市町村長は、毎年六月三十日までに、道府県条例の定めるところにより、道府県知事に対し、毎年五月三十一日現在における」、要するに出納閉鎖期限であります。「現在における個人道府県民税に係る滞納の状況を報告しなければならない。」要するに一年の総決算をするということであります。あとは書類の閲覧等規定でありまするので省略いたします。  第四十七条は個人道府県民税に係る徴収取扱費の交付で、「道府県は、市町村個人道府県民税賦課徴収に関する事務を行うために要する費用を補償するため、左の各号に掲げる金額合計額を、徴収取扱費として市町村に対して交付しなければならない。」一が、「個人道府県民税に係る徴税令書及び第三百二十一条の四第一項の規定によつて特別徴収義務者を経由して納税義務者に交付する通知書の数を、」言い換えれは納税義務者数ということであります、「それぞれ、政令で定める金額に乗じて得た金額合計額」、これは昨日問題になりました点でありまして、二十円程度の規定を設けたいと思つているわけであります。二号が、「個人道府県民説に係る地方団体徴収金当該道府県に払い込まれた金額に政令で定める率を乗じて得た金額、」二%乃至三%の規定をしたいと思つているわけであります。三号が、「第四十一条第一項の規定によつて市町村徴収した個人の道府農民税に係る地方団体徴収金を第十七条の規定によつて市町村が還付した場合における当該地方団体徴収金に係る過誤納金に相当する金額」、四号、五号以下は当然のものでありますので省略いたしますが、これらの合計額府県から市町村に交付するわけでございます。  第回十八条は個人道府県民税に係る徴収及び滞納処分の特例で、徴収は全面的に市町村に任せるわけでございますが、年度を経過いたしまして滞納の段階に入りました場合に、例外的に府県滞納処分ができるという規定を置いているわけであります。第一項が、「第四十六条第二項の規定によつて市町村長から道府県知事に対し、道府県民税滞納に関する報告があつた場合においては、道府県知事市町村長の同意を得て、毎年十二月三十一日までの間において」、即ち二十九年度分でありますと、三十年、来年の七月一日から十二月三十一日までの間においてということになるわけであります。「各市町村ごとに三月をこえない範囲内で定めた一定期限に限り、道府県徴税吏員は、当該滞納に係る道府県民税に係る地方団体徴収金について、個人市町村民税徴収の例により徴収し、又はこれについて国税徴収法規定による滞納処分の例により処分することができる。」、期間を限つておりますし、市町村長の同意を条件にしておるわけであります。市町村として非常に困つている場合には、或る意味においては府県がこれに対しまして強力な援助の手を差延べる結果にもなろうかと思います。「但し、当該一定期間中に滞納処分に着手したものについては、当該一定期間経過後においても滞納処分をすることができる。」、二項以下の問題は省略をさして頂きます。  第四十九条は道府県が行う滞納処分の救済で、原則的には、府県民税に関しまする個人からの異議申立市町村に持つて行くわけでありますけれども、府県滞納処分を行います場合には府県知事異議申立をするんだという趣旨規定をここに置いておる次第であります。  第五十条は道府県が行う滞納処分に関する罪等で、これは例文でございます。  第三款が法人等道府県民税でございまして、四十四頁の第区五十一条は、「法人税割標準税率は、百分の五とする。」、従いまして市町村民税標準税率がこれだけ引下げられておるわけであります。「但し、標準税率をこえる税率で課する場合においても、百分の六をこえることができない。」  それから第五十二条は、「法人等均等割標準税率は、年六百円とする。」、これは別に市町村民税のほうでは減額いたしておりません。それから第三項で「第一項の年六百円の額は、六百円に法人税額課税標準算定期間又は均等割額算定期期中において事務所又は事業所を有していた月数を乗じて得た額そ十二で除して算定するものとする。」と言いますのは、府県民税は、個人に対する分と法人に対する分とは全く別個な取扱方に立つておるわけであります。個人の分は全く市町村民税に乗つかつて行く、法人の分は完全な独立税の形式を以て、均頭割であろうと法人税割であろうと、皆申告納付の手続にいたしております。従いまして六カ月決算の場合には、法人税額に百分の五を乗じました法人税割の額に六百円のうち六カ月分を添えて納めるんだという趣旨であります。  第五十三条は、法人等道府県民税申告納付であります。一般の申告の場合と同じような趣旨規定でありますので、これも省略いたしておきます。  それから五十頁へ行きます。第五十四条は法人道府県民税に係る虚偽の申告に関する罪で、五十五条は、法人等道府県民税の更正及び決定、いずれも例文であります。第五十六条は法人等の量府県民税不足税額及びその延滞金徴収、それから第五十七条は二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人道府県民税申告納付、二以上の府県に跨つておりまする場合には、分割等の修正は主たる事務所所在地道府県知事にその権限を与えることにいたしておりますのも、事業税等の場合と同じ考え方であります。第五十八条にその趣旨規定を置いております。それから第五十九条の関係道府県知事に不服がある場合の措置、府県知事その他に不服がありまする場合に、自治庁長官が裁定をするんだ、これも事業税の場合と同じであります。  第六十条は法人等道府県民税納期限の延長、第六十一条は法人等の道府民税の減免、第六十二条は法人等道府県民税の脱税に関する罪、第六十三条は法人税に関する書類の供覧等、これは国の税務機関の書類等を閲覧するわけであります。ここで第二項を見て頂きますと、第六十三条の第二項であります。「政府は、法人税法第三十二条の規定による更正又は決定の通知をした場合においては、遅滞なく、当該更正又は決定に係る所得及び清算町得の金額並びに法人税額を当該更正又は決定に係る法人税額課税標準算定期間の末日における当該法人事務所又は事業所所在地の道府県知事に通知しなけばならない。」、国の税務機関が法人税を更正或いは決定をいたしました場合には、主たる事務所所在地道府県知事に国の税務機関から連絡しなければならないという規定を置いております。国の税務機関から連絡を受けました場合には、これを関係道府県知事に、主たる事務所事業所所在地の道府県知事から連絡をするわけであります。それが三項の規定であります。「前項の通知を受けた主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事は、遅滞なく、当該通知に係る法人税額等を関係道府県知事に通知しなければならない。」、而もこれを関係市町村の区長にも通知せよというのが第四項であります。「前二項の通知を受けた道府県知事は、遅滞なく、当族通知に係る法人税額等を当該道府県の区域内の関係市町村長に通知しなければならない。」、これは市町村民税法人税割の基礎になつて参るわけであります。こうやつて国と府県市町村とが密接に連絡をし合うという趣旨規定を置いておるのでありまして、新らしい考え方でございます。協力関係を強化して行きたいと考えておるのであります。  第六十四条は納期限後に納付する法人等道府県民税に係る延滞金、これは例文でありますが、ただ六十頁の終から同行目のところを見て頂きますと、延滞金計算の場合に、六十頁の終りから四行目の括弧の中に入つておる規定であります。「法人税法第二十四条第一項若しくは第二項の規定によつて法人税に係る修正申告書を提出し、又は同法第三十二条の規定によつて更正又は決定の通知を受けたことに因り第三百二十一条の八筋四項の規定による申告に係る税金を納付することとなつた場合において、法人税法第四十二条第二項又は第七項の規定によつて法人税に係る利子税額の計算の基礎となる期間から控除される期間があるときは、当該控除された期間を除く。」大変細かい規定でありますが、これはこういうことであります。法人税を更正決定をする、一年以上もたつてから更正決定をしました場合には、延滞金は一年分しかとらない、こういう規定があるのであります。今回の改正で国会に提案されておるわけであります。同じ考え方府県民税市町村民税、事業税に持ち込んでおるわけであります。要するに、更正決定を遅らせておきながら、延滞金だけはまるまる取ろうという考え方は妥当ではない。だから一年もたつてから更正決定をした場合には、一年を越えた期間延滞金計算から除外してしまう、こういう趣旨であります。要するに一年分しか延滞金は取らない、こういう考え方であります。  第六十五条は違法又は錯誤に係る法人等道府県民税に関する更正又は決定の救済、これも例文であります。  第三日、督促及び滞納処分法人等道府県民税に係る督促が第六十六条、それから第六十七条は法人等道府県民税に係る督促手数料、第六十八条が法人等道府県民税に係る滞納処分、それから第六十九条が法人等道府県民税に係る滞納処分に関する罪、それから第七十条が国税徴収法の例による法人等道府県民税に係る滞納処分に関する検査拒否の罪、第七十一条が法人等道府県児税に係る交付要求、第七十二条は法人等道府県民税に係る延滞加算金、いずれも他の税目と同じ趣旨規定でありまして、例文であります。  第四日が犯則取締、これも例文であります。この税目につきましても大体同じ視定を置いておるわけであります。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) そこまでやつてもらいましようか。御質疑のあるかた………
  6. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これは一般質問のときにも相当論議された問題であるのでありますが、私その後又考えまして伺いたい点は、どうしても税としては我々として考えてみて変則的なものと考えられる、いわゆる市町村民税から府県民税のほうに委譲しておるということはどうも……。而もその徴収市町村に行わせるということについては正常な形でないと、これは自治庁のほうでもそういうふうに考えられるでしようが、何か、直接府県において徴収しなければならないという、何かそういう規定があるんじやないですか。それが市町村に第一やらせるということが変則である。だから正常なものでないというふうなことを我々考えられるが、その点どういうふうにお考えですか。
  7. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この点は昨日もお尋ねがございましたように、各地方説はそれぞれの地方団体が取るというのがこれは勿論原則でございますけれども、併しさような責任の明確化は、余りに強調する余り、各地方団体の間、或いは国と団体の間におきまして、全くほかのことは知らない、こういう恰好で徴税機構を作る、或いは徴税事務を考えるということは、どうしても不経済でございまするので、殊にこの市町村民税と同じこの所得課税標準にとります道府県民税につきましては、曾つて市町村民税道府県民税というのがあつたわけでございますが、その場合言でも同じような方式をとつておつたわけでありまして、両者の間の協力態勢で徴税をするということは、私どもむしろ実情に即する方法であろうと考えております。
  8. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、これは実情に即するとにろの方法であるということになれば、これは一つ税の体系、原則というふうなものをこれは超えてもやるというふうな意図が考えられるんですが、これは実際税体系というふうなものから言つたれば、この考え方は妥当な考え方でしようか。どうもその辺がそのときの御都合主義で、何かまあ今度警察法を改正するとか、そういうようなことが出て来ると、原則を越えてそういうことをやろう、こういうことに我々考えられるんですが、その点如何ですか。
  9. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これはやはり例えば入場税について特別徴収義務者の制度をとり、遊興飲食税についてその料理店の人に特別徴収義務者になつてもらう、こういうことはやはり一つの徴税の便宜からそういうふうにいたしておるわけでございますが、これも本来から申しますならば、或いは府県が直接徴税機関で取るというほうが、ただ理窟だけから行けば筋だと思うのであります。併し飽くまでも理論倒れになつてはこれは実情に即さないわけでありまして、税金から言えば徴税費を最小にすませるということが又徴税上の一つの大きな原則でありますから、そういう徴税費を最小の限度にとどめるという点から申しますれば、どうしても同じ課税標準で押えておるのでありまして、かような方式のほうが却つて実情に合う。又金も少くてすむと思うのであります。
  10. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その次に、これはまあ一つの増税の問題になつて来るんですが、政府としてはこういうことによつて増税にならんというふうなお話もあつたようでありますが、今の御説明でも法人税割均等割のほうが六百円というふうなものを取られる。個人の場合には百円は取るのであるけれども、これは市町村民税のほうからで、減額する、これは相殺するというふうに聞えたんですが、現に六百円なら六百円というものを法人税のほうで新たに均等割を取るということになつたら、これは増税の要素がちやんとそこに含まれておるんでございましよう。どうでございますか。
  11. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この法人税割でございますが、これは一事業年度について六百円……、いや十二月分として六百円でございますから、月に直しますと五十円ということでありまして、而もそれは各市町村ごとに取るわけではありませんで、都道府県の単位に一つということになるわけでありますから、額といたしますと非常に少いものであります。それはたしかにそれだけはネツト増額になりますけれども、法人に対してその程度のことはこれはそう大な負担ではないたろうというふうに私どもは考えております。
  12. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、先般来まあ増税にならんというようなことは、実際は少額であるけれども増額になる、原則はやはり増額になるということになりますね。そうしてこれは将来について考えてみる場合に、将来においてはいよいよその点が場合々々によつて増税されて来る、こういうことが懸念されるのでありますが、これはどうですか。
  13. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この均等割につきましては、今申上げました通りこれは増税と申せば増税でございますが、今申上げたように非常に額としては軽いものであろうと思います。半面中小法人につきましては税率を百分の十二から十に引下げてございますから、所得五十万円以下の中小法人、従つてその面、総体を通じて考えますならば、これは決して増税ではない。やはり負担の軽減になるというふうに考えております。
  14. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは増税にならんという御答弁なんですけれども、大体理窟から言つても、又経験上から言つても、新税を創設するということがもう第一増税の緒を切開くものだということは、これはまあ常識なんですが、この道府県民税につきましても、どうせ今後国家財政の見通しを考えてみた場合、まあ防衛関係費を初めとして今の方針で進んで行く限りは、地方財政に対して今後これ以上更に地方財政に国のほうから持ち込むという余地は余りないんじやないか、そういつた期待を持てないんじやないか。而も地方財政はますます苦しくなつて赤字が嵩んで来るということになると、赤字対策をも兼ねて、今度折角道府県民税という新しい税金ができているのだから、これを少し手加減したらどうだろうというように安易な途を選ぶということになりやすいのではないかと思うのですが、その点如何ですか。
  15. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この道府県民税は特に市町村府県としては取つてもらうという形になるわけでございますから、従いまして市町村の各議会等における批判がありますのはもとよりでございますけれども、都道府県の議会それ自体においてやはりこの増税ということにつきましては、相当慎重な民主的論議が行われることは当然であります。そういうような各種のいろいろな手続を経てどうしても増税しなければならないというような事態があれば、或いはそういうふうなことがあろうかと思いますけれども、併しこれはやはりなかなかよくよくのことではないかと考えられるのであります。客観的な条件において今日と変りない地方財政の状態でありまするならば、私どもはかような税を新しく設けたからと申しまして、そう増税というふうにはならないのではないかというふうに考えるのであります。
  16. 秋山長造

    ○秋山長造君 地方団体内部での議会がどうだとか、理事者がどうとかいうことは、これはまあ一応別問題として、私がお尋ねするのは国対地方という関係において、国のほうがややもすればこういうものへ尻を持つて行く、政府が当然交付税を殖やすなり何なりによつて埋めなければならない穴を、道府県民税なんかをいじくるというほうに尻を持つて行きやすくなるのではないか。特にこういう問題についてもやはりこれは、自治庁は成るほど只今おつしやるような固い決心を持つて進まれましても、入場税なんかのいきさつ一つつてみても、又国の財政を握つている大蔵省あたりの考え方というのは、一層そういうほうへ走りやすいのじやないか、とにかく道府県民税が余り少な過ぎるんじやないが、もう少し道府県民税を取つたらどうかというようなことに尻を持つて行きやすいんじやないか。そうするとそれがやはり或る程度の強い力を以て自治庁あたりへものしかかつて来るというようなことになるのじやないかということを非常に懸念されるわけなんですが、そういう点の心配ありませんか。
  17. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 政府の考え方といたしましては、今側平衡交付金制度を改めて交付税制度に切替えるという形にいたしておりまして、これはすでに御説明申上げましたごとく、地方のいろいろの徴税財源というものは法人税所得税、酒税の一定割合に求めるということで、独立的な性格を強くし、国に対する依存をできるだけ少くしておるわけでございまして、そういう点からも今の国がしわを寄せるという寄せ方については若干困難になつて来る。地方のほうも又同様に自主性を持たなければならんような形になると思うのであります。そういう根本の建前の考えか変つて来ておりますのと、又交付税等を計算をいたしまする配分の際の算定方式としては、御承知のように標準税率によつて道府県民税が幾ら入るかということを算定するわけでございますから、仮に標準税率を超適した課税を行なつても、それだけ余計収入があるという建前で配分がされないことになるわけであります。そういうようなこともあり、先ほど申上げましたような各種の民主的な徴税の方式もあるのでありますから、やはりよくよくのことでなければこれは増税ということは相当困難ではないかと思うのであります。勿論そういう止むを得ない場合において増税を行う、それが民主的な手続によつて行われるということなら、これはむしろ地方自治の制度としては当然でございますから、増税がいかんとは私ども考えておりませんが、併し通常の状態においてならば、私どもは特に増税という方法によらないで処理できるような形に持つて行けるものと考えております。
  18. 加瀬完

    ○加瀬完君 今のと関連しておる問題でありますけれども、三千二条の二項と三項ですが、二項において「百分の五を標準とする」ということにいたしまして、三項においては「前項の率と異なる率を定めようとする場合においては、あらかじめ、自治庁長官に対してその旨を届け出なければならない。」ということでありますから、届け出まして増減を許されるならば、この標準というものは若干変更になるということも考えられるわけでありますか、只今の次長さんの御説明によりますと、三項か何かそれならば要らないようなことにもなりまするし、三項を付けてあるということによりますと、これは当然少しでも独立財源というものが欲しい府県といたしましては、この百分の五の標準税率変更方ということをいろいろ注文を付けて来るんじやないかと思われるのでありますが、そういう点で二項と三項の関係をもう少し御説明頂きたいのですけれども……。
  19. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二項と三項の関係は、やはり標準税率を超えて課する場合があるということは想定しております。その場合であつてもできる限り抑えて行きたいという趣旨が第三項の規定でございます。現在市町村民税所得割につきましても標準的な税額にとどまつておるところもございますし、又これを超えて課しておる場合もあるわけでございます、一部か府県足税に移りまして、府県民税標準税率にとどまつております場合は、その程度負旧が下るということになりまして、言い換えれば府県民税の場合に標準税率の場合でも、或いは若干の団体標準税率を超えて課する場合がありましても、全体としての負担が直ちにそれで殖えるということにはならないということになると思います。
  20. 加瀬完

    ○加瀬完君 併し今おつしやつたようにこの三項というものを許して行くということになりますれば、標準税率よりも三項のほうにだんだんと税率が動いて行くということは考えられるわけであります。交付税というものがありまするから、結局そういうことをやつても交付税が減ることになつて意味がないという次長さんの御説明があつたわけでありますが、交付税というものか一応あるにいたしましても、だんだん地方財源がますます府県なんかにおきましては困つて参りますと、こういうものが書かれておれば、百分の五の変更は当然希望して来るというふうに傾向としては動くと思うのです。こうなつて参りますと、この百分の五という標準はやがて変えて行かれるというようなことにならないか。
  21. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 今先ほど申上げました説明についてちよつとお話がございましたが、私交付税との関係で申上げましたのは、交付税の算定の場合にその道府県にどれだけ道府県民税が入つて来るかという算定をいたします場合にはこの百分の五を使うと、従つて仮に百分の六というものが入つて来るといたしましても、その百分の一だけは収入がないものとして計算をして交付税をもらえると、こういうことになるわけであります。ですから百分の一余計取るということを余りこう強く考えないでいいのではないかと、こういうふうに今申上げたつもりであります。  御指摘のようにこの第三項の、あらかじめ自治庁長官に届け出るということによりまして、今税務部長が申上げましたように、相当程度私どもはチエツクできると期待いたしておるのでありますが、併しそれよりもむしろ先ほど申上げましたような、市町村が実際これを代つてとるのだ、或いは道府県の議会、市町村の議会というようなもののやはり実際上の情勢ということが相当大きな力になるであろうと思うのてあります。大体客観的な条件について大きな変更がないならば、そう私どもはこれが増税の糸口になるというふうには考えないのであります。
  22. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局この問題は、県といたしましては三項があれば百分の五の標準以上に取つて行きたいという、これは自然の勢いになると思うのです。そうなりますると、市町村との今度は対立といいますか、そういう関係も生じて来るわけでありますし、どうもこの三項を設けるという意味が私にはそれらの関係からあとで問題を残す項目になるのじやないかというのが質問の一つであります。  もう一つは、三項を設けることによりまして、だんだんと百分の五の標準ということが百分の六、或いはそれ以上に動いて来るという懸念もある。そういう点心配かないのか、こういう点もう一度御説明頂きます。
  23. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 二項で「百分の五を標準とするものとする。」と書いてありまするのは、要するにこれが標準税率であるということでありまして、煙準の税率というのは上下動き得るということであります。固定定率ではないわけでありますから、標準でありますから上下動いてよろしいという意味でありまして、三項はその上下動く場合に下のほうはよろしいけれども、上のほうに動く場合にはあらかじめ自治庁長官に届け出なければならないということで、むしろ二項の弾力性をそれだけ制限しておるというのが三項の規定であります。ですからむしろ御心配のようなことがないように三項があるというふうに考えております。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは法の制定の精神というものはそうでありましようけれども、これを運用するほうにとりましては、百分の五ということにぴたつときまつておらないで、これが標準という言葉で表わされておりますし、それが若干動き得るということであれは、百分の五以上の税率府県としては動かすような傾向が当然出て来るであろう。そうなつて参りますれば、先ほどから問題にもなつております増税といいますか、府県民税というものが作られたことによりまして、個人の負担が過重になるというふうなことも考えられるのじやないか。でそういう点一体「あらかじめ、自治庁長官に対してその旨を届け出なければならない。」と、その判定とか決定というのが自治庁にあるわけでありますから、交付税の制度というものが仮に現状のように措置されたといたしましても、府県の財源を更に強化させるためにはこの緩和規定というものが働きを大きくして行くということに将来なつて行くのじやないか、そうなるとこれは増税ということにもなつて行く。そういう心配がないか、こういう点であります。
  25. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県民税税率のきめ方の問題よりも、或いは市町村民税から府県民税を分けることによつて将来負担が殖えるのじやないかという御心配をされておるようにも思うのでありますが、第一に府県税率をきめます場合には、自治団体でありまするので、やはり一定税率をきめてしまわないで、府県が必要があれば税金を余計取つて仕事をする、又場合によつては税金を下げて仕事をやめて行く、その辺の中は持たせて行きたい、そういうことで標準税率のきめ方をして行きたいのであります。ただ事業税でありますと、ものによつて標準税率のきめられつ放しにしております。ただ府県民税の場合には市町村民税との関係がありますので、調整役を自治庁が買つて行こう。成るたけ上げさせないように持つて行きたい。こういう気持が三項の規定でございます。そのような意味で特に増税が行われがにいんだということを次長からたびたひ説明を申上げたわけであります。それでは現状は一体どう運営されているんだということを事業税について申上げますと、府県の財政が因つておることは御承知の通りであります。事業税も標準税率でございます。ところが標準税率を超えて課しておりまするのが福井県と徳島県二県であります。而もいずれも一割だけ増税をいたしております。ですから、だからそういうような事情を考えて来ますと、なかなか増税されるということにもならんのじやないだろうかというふうにも思う。殊に特に逆に府県民税の結果、市町村民税でかなり大巾な増税々しておる団体が増税をしにくくなるという結果を来たすと思います。と言いますのは、市町村民税の重いか軽いかということが府県民税一つのバロメーターになるのであります。配賦されますところの府県民税というものが所得税額標準にして配賦されておりますので、府県民税がこんなに少いのに市町村民税がこんなに多い、これでは増税がひどすぎるのではないかということになります。府県民税が出て参りますと、市町村民税がほかの町村に比べて多いか少いかということが比較的よくわかつて来るのであります。その結果今の市町村民税課税方法というものがかなり合理化されるのではないか。その点において負担の関係につきましてはかなり適正化されて来るのではないかという期待も持つのであります。加瀬さんのおつしやいます問題もあるのでありますが、逆に負担がかなり合理化されて行くという問題もあるのであります。逆に負担がかなり合理化されて行くという問題もあるということを御了承願いたいと思います。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 では、これをよりどころにして道府県民税がだんだん強化され増税されて行くと、こういうような心配は今のところないということになりますか。
  27. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) さように考えております。
  28. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今のに更に関連しまして、今の加瀬君の御質問に対してまあ増税されて行くことがないというふうな答弁であつたようでありますけれども、その点については非常に疑問がある。それでまあ普通考えられた場合は、こういう面からも一つ私は考えが出て来ると思うのです。というのはですね、市町村民税府県民税の方面に委譲すると、そういうふうになればですね、府県民税のほうが殖えるということになれば、委譲した分だけ結局市町村民税のほうが減らなければならない。こういうことは一応常識として考えられる、そこでその減り方とそれから殖え方のバランスですね、それから考えて見た場合に実際どうなつておりますか。二十八年度に比較して先ず市町村民税のほうは相当減つて来ることになつておりますか。府県民税のほうは百六十九億が吸い上げて行くことになりますが、その実際数学的な面はどうなりますか。
  29. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私たちの財政計画を立てます場合の見込みにおきましても、府県民税に譲られた額だけは市町村民税が減つて参る。こういうような計算でお示しをいたしておるわけであります。実際の扱いにおきましても、府県民税市町村民税とは従来通り一つ徴税令書で税額を示すことにいたしてあります。そうなりますと、府県民税ができたら、若し仮に殖えました場合には、個人々々が増税されたという感じを持つわけでありますので、やはりそれによつて増税をするわけにはいかんのじやないかというふうに考えております。徴税令書一つにしまして、両方併せて記載して行くというような形式にいたしております。だからかなり御心配の点は抑制で、きるのではないかと考えられます。
  30. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の聞いておるのはその実際の数について開いておるんです。二十八年度に比較してこの市町村民税は何億くらい減額になるのかどうかという問題。片一方はわかつておる。百六十九億増税される分が出ることになつている。その点なんです。
  31. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 市町村民税の二十八年度分と二十九年度分とは、所得税額そのものが二十七年度所得についての額よりも二十八年度分の所得についての額が殖えて参りますから、現行法で行きました場合には九十二億三千二百万円の増であります、二十八年から二十九年にかげまして。ところが、改正後の分と二十八年度を比較いたして見ますと、八十一億七百万円減であります。だから九十二億円殖えますが、八十一億円だけ減つて参るわけでありますから、実質的には百七十数億減るという結果になるわけであります。
  32. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでバランスがとれるというのですか。
  33. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そういうことです
  34. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それは実際計画通りになるわけですか。
  35. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 従来の見込みの経過から行きまして、先ず大差はないだろうというように思つております。
  36. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこで結局理論上から減つて行くところのものは八十一億、それは動かない、あとの九十何億というのは自然増収かなんかで以て、そうすると根本においてはやはり八十一億しか減らんということになる。自然増収というものは当てになりませんから、そういうことになりますと、そうすると、結局百六十九億移讓されておつて、そうして八十一億しか減らんということになります。その差額だけが私は増税されたものと原則的に考えなければならない、こう思う。そこが将来の私は問題になつて来る。あなたがたの考え方としては、自然増などがあるから、実際においては減額にならないというふうに、バランスがとれているというふうに考えられるかも知れませんけれども、原則の上から言えば、そういうことが成立つ。そうすると、これは何といたしましても将来一つの増税の要素を持つておる。住民の負担がそれだけ殖えて来るということは動かされない事実であると私は考えます。その点如何ですか。
  37. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今おつしやつておる問題は、府県民税を設ける問題から起る問題でなしに、国民所得が増大して来ている。国民所得が増大して来たのだから、税率を下げたらどうかという、こういうような御議論ではなかろうかと思うのであります。府県民税を設けることによつて住民の負担が殖えないようにいたしたい。この点につきましては、すでに御承知のように最高限は、課税所得金額の一〇%であつたものが七・五%と、二・五%に振り分けまして、均等割の面におきましても、新たに府県民税に設けました分だけは、市町村民税を引下げるというような措置をいたしておりますので、一応制度的にはこれで保証されておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  38. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点は私どもどうもまだはつきり了解できないわけなんですが、まあそれはそれとして、将来更にこの問題について、市町村のいわゆる事業の上から、やはり府県民税のほうへ委譲するために、どうしても増税して行かなければならないようなことができ得るのではなかろうかというような点も考えられるのですが、その点は……。
  39. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 市町村民税から府県民税に財源を譲りまして、取り放しで行けばそういう問題になるかと思いますけれども、一応たばこ消費税を設けたりいたしまして、穴埋めもいたしておりますので、制度的に御心配になることはないのではなかろうかと考えております。ただ将来、市町村に財源が十分であるかどうかという問題は別途の問題としてあるかと思いますけれども、この制度改正については御心配になる点はないというように私たち考えております。
  40. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点は私は見解を異にしています。恐らくそういう事態が発生して来る。それが住民の負担に必ずかかつて来る。こういうことが私はこの問題について考えられる。その増税の問題はそれだけにいたしまして、次に徴収方法ですね。具体的に言つたならば、私なら私が税金を納めるという場合において、実際の手続きとして徴税令書というものはどういう形に来るのですか。
  41. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 納税者については従来と何ら変更はございません。従来と全く同じように考えて頂けばよろしいと思います。ただ徴税令書の中に、今までは市町村民税の額しか書いてないものが、府県民税が幾ら、市町村民税が幾らという内訳が書かれるわけであります。納める場所も同じ所であります。納める時期も同じように納めて頂くというふうになつております。
  42. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、一つ徴税令書を以て二つのものが取られるわけですね。納める場合は、納める者の都合によつてこつちの市町村民税のほうを先に納めるとか、府県民税のほうをあとにする、そういうふうな自由があるのかどうか、これはどういうふうになつておりますか。
  43. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) それは認めないようにいたして行きたいというふうに考えております。
  44. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 認めない。そうするとその次に伺いたいのは、まあ私なら私がその徴税令書に従つてその通り納めた。それが今度は市町村府県との間にどういうやり取りになるか、この具体的な点について……。
  45. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県民税市町村民税との課税総額割合はわかつているわけです。この割合で毎月徴収されました総額を按分して県に払い込んで行くというふうにやつて行きたい。個人々々について整理する必要はない、全体について一本にして整理して行けばよろしい、こういう考え方をいたしているわけです。
  46. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 まあ個人々々について仕分けはしないけれども、個人々々について計算して行つて総額についてよるということを考えられるのですね。そういうことになると、町村の徴税事務は非常に繁雑になつて来る。手数がかかつて来るということが考えられるが、非常に府県民税のために町村のいわゆる徴税事務の面からみましたならば、これは町村が莫大な犠牲を払わなければならない、こう考えるが、その点はどうですか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在は市町村民税だけを徴税令書を書けばよろしかつたわけですけれども、今度は府県民税の額も徴税令書に書かなければなりません。これは新たに市町村に加わつた事務だと思います。又集められました金額を両者に按分して府県に払い込まなければなりません。これも市町村に加わつた事務でございます。併しこれらの事務は特に繁雑だというほどの事務ではなかろうと思うのであります。それ以外は全く従来と同じように、帳簿の関係一つの帳簿をそのまま使つてもらえばよろしいのだというふうに考えているわけであります。従いまして、市町村が当初予想しておつたような繁雑なようなことを私たちは考えているわけじやございませんし、だんだんわかつて来ると思うのであります。若しだんだん仮に繁雑だと思われるということがありましたならば、それを見出して、むしろ繁雑でないようなやり方を工夫して行きたい、できる限り簡素にやれるようにこの制度を持つて行きたいというふうに考えております。
  48. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それは誠に結構な考え方です、工夫するということは。併し事実の問題としまして、そういうことのために町村のいわゆる徴税事務に携わる人員を増加して行くという面があり得ると思います。これはどうですか。
  49. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先に申上げましたように、徴税令書市町村民税だけ書けばよかつたものを、二つ書かなければならない、そういう点については事務は加わると考えております。併しながらこれは県民税を作ることによつて府県の行政に対する住民の関心を喚び起して行きたい、そういうふうなまあ民主政治の充実といいますか、そういうような政治的な意図を持つておりますので、或る程度の代償を払わざるを得ないと思います。併しその代償或いは徴税費の増加というものは、趣く小さいのじやないかというふうに私どもは考えているわけであります。
  50. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 部長はなかなかうまいことを考え出している。民主主義にまで持つて行つた。併し実際その事務に当る者から見れば、あなたの今のような考え方ではないと思う。又この面倒くさいものをこれだけ加えて来る、この人員を増せ、当然そういうことが出て参ります。まあその程度にしておきますが、あなたのような考え方で皆さん税の事務のかたも当れはいいけれども、なかなかそうは行かない。今でも当等当事務の負担が多いというときに、更にそういうふうなものを附加されたということになると、公務員の気持も又変つて来る。これは人員を増してくれなければ困るということは必ず上に向つて放たれる問題だと思います。まあその程度に……。
  51. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の問題なんですが、この税務部長のおつしやるほどこの機械的に税務事務が簡素化されるということは、私は案外期待できないのじやないかと思う。併しまあその点については、いろいろ、これはいずれ見通しの問題ですから、見解が分れることは止むを得ないと思います。併し具体的にこの道府県民税賦課徴収事務市町村にやらせることによつて浮く経費というものと、それから以前のように道府県自身が賦課徴収事務をやる場合の経費というものとどういうことになりますか。その点ちよつと具体的に知りたい。
  52. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 道府県がみずから府県民税徴収するといたしました場合に、根本にどんな形で徴収するかという問題があるのであります。国税所得税額というものは給与等を支払ううちで全部徴収いたします。今度道府県民税を起します場合に国のような行き方をとるか、市町村のような行き方をとるかということによつて非常に変つて来るわけであります。仮に市町村民税のようなやり方をするといたしましても、市町村民税の場合には各市町村民税ごとに課税方針が違つております。又違えたほうが市町村民税の性格に合うんだろうと思うのであります。そうしますと、いずれにしても今度設けられる府県民税につきましては全く新らしい課税形式をとらなければならないだろうと思います。そうしますと、徴税経費というものは非常に大きな額になるんじやないだろうか、少くとも六、七%は越えるだろうと思います。半面市町村民税の額が減りましても、徴税費全体は余り減らないだろうと思うのであります。市町村民税が額が減りましても、徴税額の実額というものは余り減らないたろうと思うのであります。そういうことを併せて考えて行きますと、別途の徴税方式をとりまする関係から起きまする徴税費というものは非常に大きいというふうに結論的に言えるんじやないかと考えております。
  53. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  54. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとつて下さい。  それでは深川建設委員長から発言を求められておりますから、これを許します。
  55. 深川タマヱ

    委員外議員深川タマヱ君) 貴重なる御時間を拝借いたしまして、委員長として発言をさして頂きますことは、只今建設委員会で委員長、理事打合会の結果決定いたしたことでございますが、只今この地方行政委員会で御審議中の地方税のうちの不動産取得税の問題につきまして、丁度建設委員会と関連いたした問題がございますので、連合審査のお許しを頂きたいということでございます。若し希望の日を申さして頂きますならば、丁度来月六日の日にもう一つ揮発油譲与税のことで連合審査の申入れをいたしておりましたのをお許し頂いておりますので、それと御一緒にさして頂きますならばなお結構だということでございます。何とぞよろしくお取計らい下さいませ。
  56. 内村清次

    委員長内村清次君) どうです、御意見を一つ
  57. 小林武治

    ○小林武治君 今のお話は、地方税に関する限りは六日に持ち越すということはもう我々のほうの話合いではできないと、こういうふうに思いますが、委員長適当にお諮り願いたいと思います。
  58. 堀末治

    ○堀末治君 今の建設委員会のほうからお申出のことは、私は御尤ものことだと思うので、了承してこれは当然地方税のほうに入るべきものだと、かように私は思つている。丁度私どもの党内のほうの委員諸君からもそのお話があつて、是非地方税に入れてほしいということでございますから、私どもはこれを修正の中に入れたほうが正しいと思つて、すでに修正の中にそれを入れようと思つてそれぞれ下相談いたしておるのでありますから、その点に関する限りは別に連合委員会の必要はない。私はかように思うのでありますが……。
  59. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今の深川委員長のお申込みは、先般委員長から報告いたしました住宅金融公庫法の問題ですね、この問題につきましても一応申込みをされておりまして、この委員会に諮つたわけでございますが、その問題以外に不動産取得税の問題に関連があるから合同審査をしてもらいたい、こういうお申込みのようでございますが、それでいいですか、そういうようなことですが……。
  60. 堀末治

    ○堀末治君 不動産取得税のほうに対しましては、すでにそういう御意見があつたから、それは御尤もなことだから修正の中に向うさんの御意思を入れようと実はかように考えているわけですから、その点においては別に連合審査を持つほどのことはないじやないか。揮発油税のほうのことはいろいろ又関連も多いことだからその点よ……。
  61. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと深川委員長にお尋ねしますが、先般の当委員会に申込まれました住宅金融公庫法の改正でございますが、これに対する不動産取得と、こういうような問題に限定したものではございませんか。そのほかに関連する問題でございますか。
  62. 深川タマヱ

    委員外議員深川タマヱ君) ほかの問題でございます。
  63. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の点に小林委員や堀委員のおつしやることもよくわかる。全くその通りで、こちらの委員公の日程ということもやはり考えなければなりませんから、その点はよく皆さん相談をしてどうするかということをきめて頂かなければいけませんけれども、併しその前に今深川委員長のお話によりますと、この前私どもの頂いている修正案に関する申入という問題でなしに、その他の問題だということなんですが、この前の修正の申入についてもただ我々この刷物を受取つただけで、別にこれについてどうという説明も何にも聞いていないし、それから又只今の御要求はこの申入書以外の線に亘つているようですが、まあどつちになるにいたしましても一応簡単に、まあどういう点についてこの連合審査をしたいのだというその内容をちよつと承わつてから、どちらかにきめるということのほうが、やはり建設委員会に対するこちらの委員会としての礼儀じやないかというように私思うのですが。
  64. 小林武治

    ○小林武治君 お話は今日お聞きするならいいが、ともかく我々のほうは我校のほうのあれもあるし、もう少し早くお申出願うと大分好都合だと思うのですが、余り差迫つてのお話ですが、その点はどうも私ちよつと遺憾に思うのであります。とにかく日も差迫つていることでありますから、そのつもりで一つ処理せられたい、こう思います。
  65. 内村清次

    委員長内村清次君) 実は先般申込んで頂きましたこの住宅金融公庫法の一部改正に対しましてのあなたのほうの委員会の申合せにつきましては、一応委員長からも報告いたしておりましたが、実はまだ委員長から発言を求めるという要求もあつておりましたもので、それで当委員会の理事会におきましては、今日の午後に委員長からのこの問題に対する御発言を聞いて、そうして各委員のかたがたの御意見も述べて頂こう、又質疑も展開して頂こうということと、それから通産委員会と先般合同をやりまして、この電気税の問題につきましての合同が打切られておりません、実は……。併しまあ通産委員会のほうでも、その後委員会で申合せがありまして、合同審査を省略して委員外の発言を要求されておりますからして、先ほども海野先生が来て言われましたけれども、これも又先生のほうと一緒に午後の冒頭に委員外発言をしてもらつて、当委員会といたしましては十分お説を聞ごうという委員長としては心組にでおつたわけでございますが、只今委員長からのこれは新たなる申込みと、合同審査はこういうよりなことになつたわけでございます。そこで、今秋山委員場からも申されましたように、まあただ不動作取得税等の点についての合同審査、これとあなたのほうの建設委員会とどういう問題で関連をいたしておるか、勿論関連した点がたくさんあるだろうと思いますが、主なる関連性、これを一つここで言つて頂けますならば、非常に好都合だと思います。
  66. 深川タマヱ

    委員外議員深川タマヱ君) これは前にすでに六項目を基本法のほうの処置を申入れておきましたので、これを別にいたしまして、新らしい申入れをした分なんでございますね、これはたで古い家を買いますとき、及び土地を買いますときに、百万円までは古いのは免税にして頂きたいという申込みであつたと存じます。大体こういうことで委員会合同審査をして頂きたいというようなことでございます。新らしいのはこちらさんでなさるのですから。
  67. 小林武治

    ○小林武治君 私に希望を申上げるわけでありますが、今のようなお話ですと、合同審査というような形をとらんでも、建設委員のほうで委員外の発言で、この御説明を願つて質疑して頂けば大体用は足りんと思うのでありまして、ともかく我々の審議日程の都合もありますからして、それがまあ著るしく重要問題であれば又格別でありますが、今の程度のお話であるならばそういうふりにして頂きたいと思います。
  68. 島村軍次

    ○島村軍次君 只今お話のように、委員長の御提案のように、今日牛後建設委員会のほうの申入れを聞かれることになるのですから、それに併せて新らしい申込みも御発言を願つて、そこで承わつた結果、進行して行くという、従つてまあ審査の都合もありますから、午後の発言の結果によつてということに、成るべくなら合同審査をやるということはこちらの審議の都合もあるのですから、そういうふうに建設委員会のほうもお諮りを願えれば結構だと思います。そういうことを希望します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  69. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今聞かれましたような通りでございまして、委員長といたしましてもそのように希望いたしますが、審議のこともございまして、当委員会の午後に、あなたのほうの委員会の理事会で御決定頂きまして、委員外質問で済まされますならば、そのような取扱いをして午後に発言をして頂く、こういうふうに特にお願いをしたいわけであります。
  70. 堀末治

    ○堀末治君 成るべくならば、それに対してあなたのほうで書類で一つお出しを願つて、それについて御説明願うと大変結構だと思います。
  71. 深川タマヱ

    委員外議員深川タマヱ君) かしこまりました。
  72. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほどの税務部長の御答弁で、道府県が自分で賦課税徴収事務をやる場合の経費というものは、大体税収の六、七%ぐらいかかるというお話があつたのですが、で、今度の改正によつて市町村にやらせる場合にどれくらいかかるかという点ですが、それは四十七条によりますと、ずつと項目が並べてあつて、それらの金額合計額徴収取扱費として市町村に交付するということですから、結局この合計額というものが、市町村にやらせろ場合の経費ということになるわけです。そうなるわけですね、でこの合計額というのは大体どのくらいになりますか。
  73. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大体六、七%ぐらいだと考えております。
  74. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、税務の簡素化ということは、或いはこのこと自体はおつしやる通り期待できるかも知れませんけれども、少くとも経費の面の簡素化ということは期待できない。大体同じことだということになるのですね。
  75. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県市町村を通じて考えました場合には、これによつて徴税費が増大するということは極く微々たるものじやなかろうかというふうに考えております。
  76. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、やはり今度この賦課徴収事務市町村にやらせるという目的は、経費の節約ということではなくて、むしろそれ以外の、例えば抽象的に税務行政について道府県市町村とがよく連絡協調をして行くというようなところにむしろ重点があつて、具体的に経費の節約になるとかならんとかいうようなことではないわけですね。その点はどうなるのですか。
  77. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 道府県民税を新たに作るわけでありまするので、それだけその面における徴税費が元来ならば殖えるわけであります。殖えるのを、市町村で従前のやり方で以てやつて頂くことによつて押えることができる。それによつて、そういう意味でやはり徴税事務が簡単になるということは言えると思うのであります。将来増大すべきものを府県民税で押える。こういう形かも知れません。それからもう一つ納税者の立場から考えました場合に、府県民税市町村民税とを別途に扱つて行かなければなりませんと、両方の徴税令書を別々に大切にしまつておいて、或いは市町村関係の金融機関に納めに行く、或いは府県関係の金融機関に納めに行く、或いは時期がそれぞれ違つて来るというと、大変繁雑になつて参るのじやないかと思います。国民の立場から考えましても、同じような性質の税金は同じように扱つたほうがいいのじやないかというふうに考えているわけてあります。
  78. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点か、私ちよつと勘違いしているのかどうかよくわかりませんのですが、取る側の問題として、道府県が独自で取る場合に、徴税費が六、七%くらいはかかるとおつしやるのですね。それから市町村に代つてやらせる場合にもやはり道府県市町村に徴税君として払うべきものはやはり六、七%だと、こうおつしやつている。そうすると、別に独自で取つて市町村にやらしても同じことだと思う。ちつとも経費の節約にはならんし、むしろ今おつしやるように、或いは一枚の徴税令審でやつたほうが便利であるという程度のことであつて、むしろ便利がいいということは県のほうからは言えるかも知れないけれども、市町村のほうから見れば、自分の懐にも入らんものを自分が代りに取るのだというのは、面倒くさいという少くとも気分だけでもそういうふうになる。これを特に基本方針に謳つてまで市町村にやらせなければならんというほどの意味はないと思う。又それからもう一つは、取られる側からの便利がいいとおつしやるけれども、これは相対的なものであつて、そう絶対に便利がいいかどうかわかない。むしろあとからお尋ねしたいと思つているのですけれども、成るほど取る側から見れば、同一市町村内の均衡はこれでとれるということはわかりますけれどもね、市町村相互間の均衡というような点は大いにそこなわれて来ないとも限らない。そういうことから言いますと、成るほど取る側のほうは簡単かも知れないけれども、取られる側の負担の公平ということから考えると不均衡というように思う。もう一つさつき若木委員に御答弁になつた中で、結局通府県民税を設けるということは、道府県自治に対する住民の関心を喚び起すということも又一つの狙いになつているということもおつしやるのですけれども、これも併し考えようだと思うので、必ずしも税金をかけるということが道府県自治の関心を喚び起す有力な方法になるかどうかということなんです。仮に何としても独自で道府県が税金をかける場合には、成るほどこれは道府県というものが非常に住民の頭の中に浮き彫りして印象付けられる、ところが町村民税の令書の尻のほうへ附け足しで県の令書が食つついて行くわけでしよう。そうすると考えようによつては、道府県なん今市町村の附け足しじやないかという感じも与えるわけなんでね。ちつとも道府県自治ということを特に住民に印象付けるということになりやせん。附足しじやないか、市町村の尻に食つついているだけじやないか、便乗して食つついているだけじやないかということで、却つて道府県を軽んずるような印象を与えることも考えられるわけです。とすると、一体特にこういうはつきりした理由があるからこうしたほうがいいのだという、納得できるような説明を聞かして下さい。どうもわからん。
  79. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一に徴税費の問題につきましては、府県だけの立場から考えて参りますると、市町村に徴税の取扱費を交付するわけでありますから、県がやりましても市町村がやるにしましても、それほど大きな差はないだろうと思います。併しながら市町村の場合を考えて参りますると、府県民税に譲つたからといつて徴税費の総額というものは余り変りないのであります。変りがないにかかわらず、府県から六、七%の財源をもらえるわけでありますから、市町村としては非常に助つて参るわけであります。私は徴税費の節約ということを、府県市町村とを通じて申上げておるわけでありまして、若し府県税が府県で別個に徴収するということになりますと、更に徴税費がそれだけ増加して来る、国民負担がそれけ加わつて参る、こういうような形になるわけであります。  第二に、協力態勢の問題はこれだけじやございませんで、或いは又税務行政の簡素化の問題もこれだけじやございませんで、固定資産税、自転車税、荷車税、いろいろなところに打出しているつもりでございます。  第三に、府県民税市町村相互間に均衡を欠くじやないかという御趣旨でございます。御説の遡り若干市町村内においては均衡が保たれておりましても、市町村相間においては均衡を欠くと思つてはおります。併しながらもともとその市町村配賦されました額は、所得税額課税標準として配賦されて参りますので、変るといたしましても市町村相互間においてそう大きな逢いはない。まあ大体大同小異じやないかというふうに思うわけであります。ただ違いますのは、市町村民税府県民税との割合市町村を異にすることによつて大きく違いますが、又大きく違うことによつて市町村の税務行政が合理化されるだろうということを期待しておるわけであります。御説を否定するわけじやございませんが、均衡が欠くという点は非常に小さいものじやないかというふうに私たちは考えているわけであります。  第四に、自治の充実ということを非常に強調するけれども、逆に府原というものは軽視されるのではないかというような御心配でございます。併しこれは府県民税市町村民税徴税令書一つにするということは、府県民税が付け足しになるということじやございませんで、市町村民税道府県民税が食つついて行く徴税令書、こういうことになるわけでございます。そして府県民税が幾ら、市町村民税が幾らというふうにやつて参りたいのであります。昔附加税制度をとつておりました場合にも、そういうようなやり力をする場合もあつたのでありますけれども、又昔の府県民税市町村民税関係におきましても、そういうやり方をしたこともあるわけでありますけれども、これによつて府県が軽視されるというような問題は起きないというふうに思つているわけであります、何と言いましても、自治を進めて行く、或いは住民が政治行政を自分たちでやつて行くのだという気持を持とうとします場合には、自分たちが金を負担しているということでなければ本心が入つて来ないわけでありますが、そういうようなことはいろいろな団体の例を見ましても、つまらんことを言うて恐縮でありますからやめますが、何と言いましても、基本的な問題はやはり自分たちが負担して、その金で仕事をやつて行くのだという形を現わして行くということが、住民たちによつて仕事を進めて行きます場合の基本的な態度でなければならないということを強く感じておるわけであります。
  80. 秋山長造

    ○秋山長造君 成るほど徴税令書には附加税とは書いてない、道府県税とはつきり書いてあるわけですから、これが道府県独立税であるという性格をはつきりしているわけなんですけれども、これは税を専門にやつておられる玄人の人は、食つついていようと別に一枚の紙になつていようと、そんなことにかまわすに、そういうような文字をよく読んで、これはどうだこうだということで御判断つくわけですね。併しやはり一般の住民というものはそんなことにまで頭を働かさないので、やはり町村が町村民税をとるついでに府県民税をとるのだという形になつて来れば、附加税と書いてなくても附加税と同じような考え方になつて来る。附加税ということがそもそも市町村のほうが主であつて道府県のほうは附け足しだという、極端に言えばそういうことになるのではないか、私はそのように考えるのです。  それから経費の問題ですが、昨日の税務部長の御説明によりますと、余り市町村へ余分な徴税費をやると無駄に使うから、とにかく最小限度ぎりぎり、道府県民税徴収事務にかかつた経費ぎりぎりのところだけ市町村にやるのだ、いわば実費弁償というような意味のことをおつしやつておつたのですが、只今の御説明によりますと、必ずしもそうではなくて、道府県民税徴収事務市町村にやらせる代りに、むしろ市町村民税の徴税費までも道府県のほうで負担してやるのだ、だから経費は殖えないし、むしろ市町村のほうは負担か軽くなるというふうなお話なんですが、その点はどちらが本当なのですか。
  81. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私の昨日申上げましたことについて少し誤解されているのじやないだろうかと思うのであります。別扱いにするというようなことじやございませんで、府県民税市町村に徴税してもらうから取扱費を交付する、その取扱費が何パーセントくらいになつているだろうか、それは費用弁償するために交付される金額なんだから徴税費というものはその程度であつて然るべきなんだ、こういう感じを市町村全体が持つであろうと思うのであります。私たちは徴税費をできる限り少くして行きたいと考えているものでありますから、余り高いところでそのものをきめて行きますと、何も府県民税市町村民税だけの問題に限りませず、徴税費を更に合理化して行こうという気構えに対しまして悪い影響を与える。その程度でもまだ下げて行きたいという努力をしななければなりませんにかかわらず、それだけでもいいのだという感じを与える、これを恐れるということを申上げたわけであります。徴税費にその税度の割合がかかつてもいいんだという、国のほうで第一そういうふうに取扱費の計算をして来ているじやないか、こういう誤解を与えることを恐れる、かように申上げているわけであります。
  82. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は市町村民税道府県民税とを別々にやつても、一緒にやつても余り徴税費が総体としては変りがない、むしろ一緒にやつたほうがいいということなんですが、ところが市町村だけについて考えてみますと、市町村自身だつてそういう論法で行けば、別に市町村民税を取つても取らなくてもどうせほかに固定費産税だとか自転車税だとかいろんな市町村税がある、だからそういうものと一体のものであるから、市町村民税を取つても取らなくても、特に取つたからそれだけ徴税費が殖えるとか、取らないからそれだけ徴税費が減るとかいうものじやないだろう。まあこれは程度のものだけれども、そう截然と個々に区別はできない問題じやないかと思うのですがね。で、さつき最後に税務部長がおつしやつた市町村相互の不均衡というものはとるに足らないというお話なんですけれどもね、これは成るほど金額にしたら具体的に或いは非常に隔りのある場合もあろうし、又おつしやる通り大多数の場合には僅かな隔りしかないという結果になるかも知れない。なるかも知れませんけれども、これは金額の多少ということよりも、建前としてやつぱり道府県民税である以上は、少くともその道府県民に対する負担ですから、それはもうぴつしり均衡のとれたものでなければ、市町村ごとに多少程度はこれはあるかも知れませんけれども、同じ所得について道府県民税が高低ができるというようなことになるならば、自治体としての道府県の一体性というものはそういう面から案外損われる。だから片一方ではこの税を創設することによつて府県自治に対する住民の関心を高めると言いながら、実際にはそれによつて道府県民の道府県自治というものに対する関心をむしろ損うと言いますかね、曲げると言いますか、そういう逆な結果が招来されるのではなかろうかというようなことも気遣われるわけなんですがね、その点は如何ですか。
  83. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の点でございますが、これは府県というものの性格とも若干結付けて考えられる点があると思うのであります。府県は御承知のごとく市町村を包括する、こういう自治法上の建前でありますが、そういう点から考えますと、この府県民税のような一番府県の性格として、従来普遍的な税種がなくて非常に工合が悪いと言われておつた、この新らしい税種を新設しようという場合にはやはりそういう性格を若干考えでいいのじやないか、この点は昔の府県民税におきましても或いは市町村民税におきましても、賦課総額市町村ごとにきめて、その中でかける場合はやはり税額の具体的な決定市町村がやつておつたわけでありますから、そういう点から考えてみますと、今回のやり方も市町村配賦する場合は均衡のとれた形で配賦して、市町村が今度それをどういうふうに取るかということは現に当該の市町村市町村民税としてとつておつたその方式にそのまま乗つかつて取る。この府県民税だけを従来とつて来た方式と別個の方式で取るということになりますと、却つて今までと負担関係が非常に変つて来るわけでございますが、今までとつて来た第一方式、或いは第二方式、第三方式、これにそのまま持つてつて取るということのほうがむしろ当該市町村の住民に関しては負担関係の激変も生じないのではないかというふうに考えられるわけでありまして、やはり或る申の市町村では所得割第一方式をとつておるというような場合においては、所得税を納めていない者から取らないわけでございますから、結局所得税を納めている者に府県民税が皆かかつておるということになるので、所得税を納めない者が比較的税が軽い、所得税を納めておる者が税が重い、こういう建前をとつておるわけでございますが、そうでない所得判の第二方式の所では、これは広く所得税を納めていない者からも税を取つておる。そういう場合に逆に府県民税だからと言つて一律に一定方式で取るということになりますると、やはり従来とそれは非常に違つて来るわけでございますから、やはりそれぞれの市町村の村柄と言いますか、市柄に応じた従来の方式をそのままとるというようにしたほうがいいのじやないか、或いは市町村としてそのほうが却つて実際に即する徴税の方式になろうと思うのであります。その点先ほど来御指摘のように、そうすると或る市町村と或る市町村とでは同じ所得のものが違うということになるわけでございますけれども、それはやはり府県の性格が、単に市町村のような基礎的な団体ではなくて包括的な、複合的な団体であるという点から考えて参りますならば、そういうこともあながち一概に否定してしまわないでもいいじやないか、そういうような税種が府県税の中に一つぐらいあつても差支えないじやないかというふうに考えるわけであります。
  84. 秋山長造

    ○秋山長造君 その今の、以前には各市町村で割当して課税しておつたということを言われるわけですが、そういたしますと、自治庁のほうは道府県民税の割当課税ですね、いわば。割当課税というものが正しいというお考えなんですか。例えば事業税なんかの問題でも国税決定額を標準にするという場合、我々一番恐れるのはそれなんです。要するに税務署が、大蔵省自身は割当課税ということではないということを言うのだけれども、実際には各税務署が税の割当課税ということをやつているのです。そのために非常に中小企業なんかは苦しめられているのですが、丁度それと同じようなことを道府県民税について自治庁が認められるのですか。
  85. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 割当課税ということをやるわけではないので、元来割当課税が非難されますのは、いわゆる腰だめで以て一定の額を割当てるというところに問題があると存ずるのでありますが、この道府県民税市町村配賦いたします場合には、所得税額に対する一定割合、或いはその総額を以て割当てるわけでありまして、各市町村を通じて一定の基準で配賦いたすわけでございますから、そういう腰だめの割当は絶対ないわけであります。従つて市町村相互間において市町村所得税額総額が一千万円でございますならば、甲の市町村であつても乙の市町村であつても同額の道府県民税額が割当てられるわけであります。その間には何ら不均衡がない、割当てられた一千万円の所得税額を基準として定められたその道府県民税所得割額というものを各市町村の中心でどういう式で取るかという場合には、これを今まで市町村民税所得割として取つておつたものに比例して取る、こういうわけでございますから、そういういわゆる腰だめ的な要素は全然どこの段階にもないわけであります。
  86. 秋山長造

    ○秋山長造君 併し少くとも結果において今度のようなやり方をすれば、結局割当課税をしたと同じような結果が出て来る場合があると思うのです。場合があるのじやなしに、そういう場合が、割合多いのじやないかと思うのです。市町村間のでこぼこというその隔りは、差は或いは税務部長の言うように極く僅少のものかも知れません。併しそれにしてもいずれにしても公平には行かない。やはり市町村による差が出て来ると思うのですよ。それでこの長官の提案説明を読んで見ましても、そういう不均衡が出て来るということは認めておられるのです。ただ併しそうい不均衡は出るけれども、併しその半面から同一市町村内での均衡という点ば保障される、そこで同一市町村の内部における負担の均衡が保障されたほうが市町村住民間の負担の均衡が保障されないということよりもよりいいのですから、だからあえてこういう方法をとるのだ、こういう考え方なんです。その点が只今も府県の性格ということを自治がおつしやるのですけれども、成るほど府県というものは市町村は包括する団体ですから、これはおつしやる道りなんです。併し住民のほうから考えれば、何も我々の生活が市町村内だけに限られたものではないので、ただたまたまいろいろな関係でどこかの市町村に従腐しているということだけで、少くとも府県対一個人という関係で考えた場合には、我々は成るほどどこかの市町村の住民であるかも知れないけれども、同時にどこかの府県の住民でもあるわけなんで、その場合の府県の負担をどこの町村だから高いとか、どこの町村にたまたま住んでおるから安いとかいうような、この不均衡を背定する理窟には私はならんのじやないかと思うのです。
  87. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 先ほど来府県の性格のことに関連をして申上げたわけでございますが、それは今御指摘のように勿論府県が直接住民に繋がるという行政の面もあるわけでございまするから、府県が直接個々の住民を対象にして例えば事業税を取るということは無論あつて差支えないし、そういうことが或いは本体というふうな考え方に立つてもいいと思うのでありますけれども、併し市町村の複合体であるという姿のこの府県の性格から考えて参りますれば、それは今申上げましたような形の直府県民税というものがあつても一向おかしくないのではないかというふうに思うのであります。で、結局甲の市町村と乙の市町村との間で同じ所得のものであるのに税額が違うということは、府県民である以上はおかしいじやないかと、こういう点が御議論の点だと思うのでありますけれども、併しそれは一つの御議論としては確かに議論と存じますが、今の性格から申しまして、一応市町村というものの建前を考えて、その市町村の内部において今まで市町村民税で取つておつた或る部分のものが府県民税になるのでありますから、その部分が全然別個の課税方式になるということになりますというと、やはりそれだけ負担も激変を生ずるわけであつて、やはりそういうようなことがないようにむしろしたほうがいいのではないか、そのほうがやはり道府県民税市町村民税を飽くまでも賦課徴収方式の上において、負担の均衡の上においても一本の税として取るような形に立つております立て方からいたしまして、適当ではないかと思うのであります。この同じ所得のものが甲の市町村と乙の市町村とで税金が違うということは、要するに第一方式をとるか、第二方式をとるか、第三方式をとるかということの結果そうなるのであつて、そういうことを今の市町村民税課税方式として自主的に制定することを認めておりまする以上は、そういうことが生じてもこれはいたし方ないと思うのであります。道府県民税はただそれに乗つて行くだけであるというふうに考えるのであります。
  88. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは第三款の法人等道府県民税まで、質疑は終了したと認めてよろしゆうございますか。
  89. 秋山長造

    ○秋山長造君 もうちよつと聞きたいことがあるから、今の点だけは保留さして頂きたい。
  90. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後二時四十八分開会
  92. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは休憩前に引続き、地方行政委員会を開会いたします。地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。  委員の皆様にお諮りいたします。建設委員会の深川委員長及び通商産業委員会海野委員委員外質問を許可してよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取計らいます。  それでは先ず建設委員長の深川委員長から。
  94. 深川タマヱ

    委員外議員深川タマヱ君) 毎度お邪魔をいたします。建設委員会を代表いたしまして、申上げさして頂きます問題は二つでございます。  そのうちの一つは、貴委員会において御審議中の地方税改正法案に関連いたしまして、去る二十日付貴委員長宛に書面を以ちまして、又その前にも口頭で御配慮方をお願い申上げましたことは皆様御承知のことと存じます。今回の地方税法改正によりまして不動産取得税が設定されるにつきまして、これが非課税及び軽減に関する規定が、建設委員会に付託されておりました住宅金融公庫法改正案附則第六項にあつたのでございます。建設委員会といたしましては、貴委員会の御決定に先行いたしますことを避ける趣旨から、同項を削除決定いたしました。併し同項の規定は住宅政策上、若しくは耐火建築促進上緊要なものでございますので、これを地方税法中に取上げられる御措置方を御配慮願います次第でございます。  同規定の内容を極く簡単に申上げますと、第一は住宅金融公庫が業務上取得いたします不動産につきましては不動産取得税を非課税とすること。  第二は、公庫融資による住宅賃貸事業、住宅又は土地の譲渡事業が円滑に行われるよう公庫の貸付にかかる住宅又は土地については、不動産取得税の課税標準算定において、公庫貸付決定の基礎となりました金額を取得価格から控除することとでございます。  第三は、公庫の貸付有受けて防火建築帯に耐火建築をいたします場合には、課税標準算定については雑設大臣が別に定めております標準建築費によつて算定いたした木造と耐火構造との差額の二分の一に相当する額を取得価格から控除することでございます。なお、この場合耐火建策促進法による補助があります場合には、その補助額を控除することとなつておりますので、二重に控除されることがないように規定されております。次に、今回更に申入れました事項は、別紙書面で御承知を願いますが、その趣旨を簡単に申上げますれば、  一、住宅の譲渡取得の場合における課税については、公営住宅等の分譲について軽減措置が行われましたが、その他の住宅についても課税標準から五十万円を控除して軽減することは庶民住宅の対策として、新たに住宅を建設する場合に対応して緊要なことでございます。  二、土地つき住宅を取得した場合の課税につきましても、新たに住宅を建設する場合、即ち土地取得後一年以内に住宅を新築する場合と同様、住宅については五十万円、土地については六十万円それぞれ控除軽減を図ることは、前同様緊要ことでございます。  大体以上のような趣旨でございますので、現下の住宅対策上これが実現に格段の御配意をお願い申上げる次第でございます。  何とぞよろしくお願い申上げます。
  95. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは委員のおかたがたの御質疑を願いますが、お諮りいたしますことは、建設委員会の田中委員が見えておられまして、答弁その他につきましては田中委員からも答弁されることになつておりますから、その点御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。
  97. 田中一

    委員外議員(田中一君) ちよつと塚田さんに伺いたいのですが、一応その新築部分に対する免税措置は結構と思うのですけれども、少くともまあ五十万円程度までの古い住宅ですね、これに対する免税措置をどうしてお考えにならなかつたか、伺いたいのですが。
  98. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはいろいろ考え方がおありだと思うのでありますが、私どもは当初の考え方からすれば、この税を考えた考え方は、一方にこれを新しく課税することによつて、その財源で以て固定資産税をこれを減らして行くということ、而もこういうこの土地、家屋を買うという状態のところには相当な担税力があるということを睨み合せて、特別なものにもこの免税の措置をしないという考え方で行つたのでありますけれども、まあいろいろ検討いたしまして、住宅が非常に不足しておる際であるから、まあ新しくできるものを、これも税によつて抑えてしまつては何もならないということで、あれについてだけは、新しいものだけについては免税措置を考えるというこういう考え方が逐次進展して行つたのであります。従つてもう一歩先になる只今御提案のような考え方というものは、一応考えてみましたけれども、まあそこのところまではこの税で考えないで、最初の固定資産税と振替というものを考えれば、お買いになるときに担税力のあるかたに負担願つて、先に固定資産税を減らすということのほうがむしろいいであろう、こういう考え方になつておるわけであります。
  99. 田中一

    委員外議員(田中一君) 一体この限度といいますけれども、五十万円以下程度の家屋の売買というものの税収は幾らぐらいになるとお考えですか。
  100. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 五十万円以下であるとか上であるとかいうふうな区分はございませんが、調べてはおりませんが、家屋の売買によりまする固定資産税、不動産取得税の見込額は、売買と建築と一緒にしまして三十二億五千九百万円でありますが、売買の分だけなお資料を調べまして後でお答えいたします。
  101. 田中一

    委員外議員(田中一君) 御承知のように五十万円程度のものはバラックぐらいのものなんです。而も住宅と店舗を併用のものが多いから、そこで一応公営住宅に対する免税措置衆議院で恐らくこれは修正して通つたわけですけれども、少くとも庶民住宅、とにかく五十万円以下のものは、私は実際の税収としては微々たるものだと思う。従つてこれはもう一遍私は本委員会の良識に訴えて修正された場合、政府としてもそう痛痒は感じないと思うのですが、その点はどうですか。
  102. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは考え方としてはいろいろあると思うのでありますけれども、私どもの気持とすれば、一つはこういうものの価格、殊に土地の価格が非常に高騰して参りますのは、現実に必要な人たちが売買をするということのほかに、そういう上ることを目指してやる者もあるということで、これはやはり抑えたほうがいいという気持を持つてやつたわけであります。御修正になつておるお考え方からでも、自己の居住の用に供するという点は制限をされておりますので、相当範囲は狭められておるわけでありますけれども、考え方としては先に申上げたように、私どももそのような考え方もあり得るとは思いますけれども、こういう形のものについては是非そのままでおきたいという感じを強く持つておるのでありまして、恐らく税務部長も申しました総税収の中に相当大きな割合をこういうものが占めておるのじやないかとも考えられるわけであります。
  103. 田中一

    委員外議員(田中一君) 今の細かい数字がないからとおつしやるから、私もはつきり強い質問もできませんけれども、考え方としておおむね五十万円以下のものは、長い間それの家賃を払つて借りておつた、併しどうしても貸してくれない、それじや月賦なり何なりで、或いは安い値段で買おうじやないかというものが多いと思う。新しく古家を買つて云々というより新築したほうがいいが、そうはしないと思う。恐らく住みついておつて、引越したくても引越し切れないから、家主のほうもお前買つてくれということになるのじやないかと思う。公営住宅は御承知のように四年たちますと、管理者がそれを売買できるようになつております。それと同じケースが多いと思う。こういうような場合はどれくらいの額で税収を見ているか、私は大して違いはないと思う。若しも衆議院が公営住宅の分譲に対して免税措置とつたというのと同じケースで、参議院において、五十万円以下の古家に対する譲渡というものに対しては同じような措置をとつて頂きたいのであります。私はもうこれで結構ですが、ただ当委員会のかたがたに申上げたいのですが、今奥野部長から細かい数字をお出しになるそうですから、従つてお願いしたいのは、公営住宅の譲渡というものは法律で確か四条だと思いましたが、四年を経過してから分譲できるのです。この徴税の見込みがどのくらいであつたか、そうして公営住宅の年限が来て分譲できる部分がどのくらいであるかということの税収と、それからこうした五十万円以下の古家の売買に対する税収の見込みがどれくらいであつたか、こういう資料を一つ委員会にお出し願つて、それによつて委員会の皆さんがたの審議をお願いしたい、こう考えております。
  104. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) この地方税法につきまして、この前塚田長官にお伺いしたのが半分になつて、丁度本会議が始りましたからやめてしまつたのでありますが、この税法を見ますというと、実に微に入り細に亘つて設けられてありますが、この地方税法に入る問題ではなくて、関税の面で大きな穴がある。その大きな穴とはこの前申上げました原油の関税であります。一割の関税を課するという法律になつておるにもかかわらず、一年々々延期してその関税を免除しておる。その額たるや二十八年度においては約六十億の税金がかけられずに行つている。それとこの地方税法を見ますというと、随分やかましく述べられておりまするが、あなたは閣僚の一人として片手落になつておるこの地方税法で関税の問題を如何ようにお考えになつておりますか、それを私は長官にお伺いしたいのであります。
  105. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは先般もちよつとお答え申上げたように、自分の所管の仕事でありませんので、どういう理由でああいう措置が例年繰返されて行われておるか、私も責任を持つたお答えはできませんのでありますが、ただ大蔵当局におきましては、恐らくそれは尤もな事由によつてそういう措置をしておられると思うのであります。ただあなたの趣旨は、ああいうものをあのままに放つておいて、取れれば取れる取入を上げないで、こういうところで税収を上げることは片手落じやないかというお尋ねのように承わりますが、結局おのずから収入する主体の違いがあるのでありまして、地方税は自治団体の収入、関税は国の収入ということになつておりますので、相互の間には直接の関係はないと考えるわけであります。従つて問題は原油の関税についてのああいう措置をすることが適当でなければ、それはそれとして是正する、それは別個にして、自治団体の立場、自治団体の住民の立場、そういうものを総合勘案して考えるべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  106. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 今のお話は御尤のようには思いますけれども、あなたは閣僚の一人として、国全体を見なければならのじやないか、そこを私は申上げたのです。閣僚の一人として考えるときに、私の担当部分がそうであるからとおつしやるけれども、それはそれでありましようけれども、閣議に列席しておられるあなたが、そういうことを見落していらつしやるところに私どもは何としても納得がいかないものがあるのです。この原油の一割というものは、例えば農林のほうにしましても、或いは造船のほうにしましても、この油が高いと困る、一割の関税を課けると困るから、安くするために関税を課けないのだという表面上の理由でありますけれども、例えば魚をとる場合に、油がどれだけ消費されて、どれだけの魚の収獲があるかと申上げますと、その収獲から見れば、消費する油量というものは実に微々たるものであります。その微々たるものに一割の関税を課けないということは、よく内容に入つて考えてみるというと納得がいかない。二十六年度から今年一年、今年一年というので、この自由党内閣になつて来てから一年々々延期している。一年々々延期しておるぐらいであるならば、むしろその法律をやめたらいいじやないかと私は考える。ところが大蔵委員会においては、まだ二十九年度もこれを関税免除なんです。ところが三十八年度末におきましては、実に百五十億という関税を免除しておる。その免税されたる会社、いわゆる輸入しておる会社を調べて見ますると、いずれも二十億、二十二億という大会社、資本金をたくさん持つている大会社なんです。そういう会社が約五、六カ所の会社で以て輸入している。そこで私どもは納得行かないというところは、そういうところに大きな穴をあけておいて、そうして地方税に対して税金をやかましく取り立てておるわけでありますが、そういう点を考えると、私どもは納得が行かない。そこであなたは閣僚の一人としてそういうことがお気付きになつているのか、ただこの方面の長官であられるから、このほうさえ私はやつて行けばよいのだとおつしやるけれども、それはそうでありましよう、担当の部門としては……。併しながら閣僚の一人としてはそれではいけないのじやないか。それであなたの御信念を私は承わりたいと思う。今後これに対するあなたの御所見、御信念のほどを承わりたい。(「議事進行々々々々」と呼ぶ者あり)
  107. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 勿論閣僚の一人として国の政治全般、従つて私の所管以外の事柄についても十分注意を払うべきでありますが、ただ私の記憶にありますところでは、こういうことが閣議ではつきりした形で議題になつたという記憶がありませんので、今まで十分承知しておらなかつたのでありますが、なお御意見はよく頭に置きまして、今後こういう問題が問題になりました機会に十分善処いたしたいと考えます。
  108. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) もう一つ私はお伺いいたしたいのは、この日平産業の下請工場でありますが、この日平産業は過日新聞で御承知の通り、この下請工場の代表者を過日参考人として呼んでいろいろ調べたのでありますが、この下請工場、いわゆる実に危殆に瀕している下請工場が約二百ほどございます。この工場に対しまして、事業税とかそういう方面の税金に対しては、政府はどういうお考えでいらつしやいますか。これはまあぎりぎりに課ければ皆ぶつつぶれてしまう中小企業の工場がたくさんございますが、そういうものに対して税金の取立てに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  109. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 先般ちよつとお答え申上げたのでありますけれども、今別に或る会社がつぶれそうになつておるから、それの下請についてどういう工合にするというような、抽象的なものの考え方は原則的には何もいたしておりません。併し現実に問題が起きましたときに、それぞれの課税を持つております府県なり市町村が適切な処置をいたすでありましようし、又そういう措置自治庁として、私どもが十分関心を持つて指図をして善処してもらうというような事態が起きますならば、そのように措置をしたいとも考えるわけであります。ただ一般的に申上げますならば、先般もちよつと申上げましたように、要するに、過去の業績について課税のすべき事態が発生をしておるということであれば、それに対して課税権が発生し、従つて、その税をそれぞれの自治団体が取立てるということは、これは当然の成行きなんでありまして、ただそうはいつても、廃際には取れないという現実の状態であれば、今申上げたように個々の具体的な事案ということで、それぞれの自治団体が善処するであろうと考えますし、又その方向に向つて指導して参りたいと考えるわけであります
  110. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 次に電気の税金のことについてお伺いいたしたいのでありますが、大口の電気量を使つておるところと、小口、つまり我方の家で電燈を使つておる、そういう方面の税金の課け方については、どういう基準を以てこの税金をお定めになつておりますか、部長にお伺いいたします。
  111. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御質問は電気ガス税の問題ではなかろうかと思います。電気ガス税につきましては、消費税の本質に従いまして、支払うべき料金額課税標準にいたしております。
  112. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 将来この電気についての税金は免税するように持つて行かれるお考えがありますかどうか。
  113. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在電気ガス税の中で、電気の消費分のうち三一%くらいは非課税になつております。要するに原料課税はしないというような考え方に立つております。今回の改正によりまして三%内外非課税分が殖えております。従つて三十四、五%くらい分は課税されない。財政の状況が許しますならば更に工業課税的な部分はなるたけやめて行つて、純消費的なものに持つて行きたいという考え方に立つております。
  114. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) ここで私は納得が行かないのは、この税金が消費税とおつしやるけれども、大衆につまり税金を課けて行くというその方面にこう力を入れておられるように見えるのでありますが、一般大衆のところ税金を課けて、そうしてつまり大口のほうには税金が非常に軽いように考えられるような、そういうことはありませんですか。
  115. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大口とおつしやつていることがよくわからないのでありますが、工場で使つている大口という意味でございますと、大体工業原料的な要素になつております電気に対しましては電気ガス税を課さないという方針で、非課税規定地方税法の中に入つているわけであります。又大衆とおつしやいますことが非常に数が多い、納税者の数が多いとおつしやればその通りであります。併しながらいわゆる大衆課税所得の少い人に対して却つて苛酷なる負担になつておるということでございますならば、私たちは電気の消費量というのは大体仕事に比例をいたしてきめる、所得の少い人たちは使用する電気が非常に少いし、所得の多くなるほど電気の使用量が非常に多くなつて行くんだから、消費税としてはむしろ電気ガス税というような適当なものだというふうな考え方を持つているわけであります。
  116. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) どうも……。じや次のほうに参ります。自動車のこの税金ですね。自動車、三輪車、そういうものの税率はどういう基準からしてお定めになつたのでありますか。自動車それから三輪車、それからトラツク、そういうものに対してのこの税率は何を基準にしてお定めになつたのでありますか。そのいわゆる基本と申しますか、ファンダメンタル・フトーミユラーを一つ承わりたい。この辺でよかろうというふうな至つて漠然たる定め方のように私は考えられる。例えば現行は一万四千円のやつが今度は年額一万八千円にした、三万円のやつを一方は六万円、一方は三万六千円にしたとか、こうずつと拝見いたしますというと、軽自動車のところまでこの率がいろいろに変つているんですが、その変り方は何を幕準にしてこれをお定めになつたのでございましようか。
  117. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 自動車税につきましては、固定資産税の関係もございますので、自動車の価格に固定資産税的な課税をするとすればどれくらいの税額になるだろうか、これが基本的な態度であります、これに対しまして道路の損傷、それから第二には奢侈度、第三には揮発油税の負担との関係、この三つを織込みまして現在の税額をきめているわけでございます。
  118. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) そうしますと、その営業用、それから自家用、こういうふうなのはやはり同一の考えからお定めになつたものですか。
  119. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 奢侈度を加えるというような意味から自家用の乗用車につきましては、高い税率をかけているわけであります。
  120. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 今その三つを基準とお考えでありましたが、それをただ勘案してこの数字をお出しになつたわけでございますか。
  121. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りであります。
  122. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) それでは至つて漠然としていて、私はどういうフアンダメンタル・フオーミユラーを以ておやりになるかということを聞いた。三つ勘案してきめたとおつしやることは、三つを考えて大体これぐらいの数字でいいじやないかというお考えなんですか。計算でお出しになつたのは。
  123. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 自動車税は長い沿革を持つておるわけでございます。それぞれの考え方から税率がきまつておつたのでありますが、今回五割程度増税を図るという機会に、今申上げましたような考え方を入れまして税率決定いたしました関係から、上り方が区々になつておるということになるわけであります。御指摘になりました乗用車の面につきましては、自家用は営業用の二倍にする、こういう考え方を持ち込んでおります。又揮発油を使う車と揮発油以外の燃料を使います車との関係におきましては、政府原案では七割程度の負担を余計してもらう、衆議院修正案では五割程度余計負担をしてもらう、こういうふうな考え方が入つておるわけであります。なお三輪車のような場合には零細な中小企業者の使用しております場合が多いものでありますから、固定資産税的な金額よりも若干小さいところで考えて行きたいというふうな気持が働いておるわけであります。
  124. 小林武治

    ○小林武治君 議事進行について。今私どもがまだ各条のその辺まで入つておらんが、委員外の質問はそういうふうに優先的におやりになるのかどうか委員長から伺つておきたいと思います。
  125. 内村清次

    委員長内村清次君) この点は、この前実は通商産業委員会との合同審査がなされておりまして、通商産業委員のかたがたはそのとき四名の発言通告がございましたが、海野議員が二番目でしたか三番目かで、御発言中に本会議に行つた。こういう経緯もありまして、そのときの合同審査の質問内容の点につきましては、大体まあ通産関係で取扱つておられることと関連した地方税法から言いますと、一般税法の各種に亘つた通商産業委員会との質問が展開されておつたようでございまして、順序等は明確になつておらなかつたようでございます。そういう関係委員長はまあ通商産業と関連のあるような問題については当委員会の審議状態とは合わないけれども、発言を許しておつたというような事情でございます。
  126. 小林武治

    ○小林武治君 わかりましたが、とにかく一つ甚だ失礼な申しようですが、どうぞ一つ……。
  127. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 今の三輪車の小型の場合、商売を営んでおるもの二千八百円が四千二百円、それから現行千四百円が二千五百円というこの率をきめなさることは、私はもう少しこれは将来研究して行かれなければならないのじやないかと、私はこういうふうに考えるから今の質問をいたしたわけであります。  で、私はもう一つ次のことをお伺いいたしたいのでありますが、この事業税、今民間の会社で少しでも儲けが上るというと、ことごとく税金に持つて行かれるから殆んどその仕事の伸展と言いますか、それができ得ないというところの声を非常に聞くのであります。この事業税についてはそういう方面は産業の発展と睨み合せてどういうふうにお考えになつておるのでありますか、そこを私は伺いたい。
  128. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 所得課税標準にしまするような税額が多過ぎますと、企業の発展意欲と言いますか、そういうものを阻害するだろうというふうに私たちも考えております。そういう意味におきましては、事業税などは成るたけ外形課税の方向をとつて行く。従いまして、又現行法では本年度から附加価値税を実施することになつておるのでありますけれども、この附加価値税につきましてもいろいろ異議がございますので、止むを得ず従来の事業税をそのまま踏襲するごとにしております。併しながら中小企業の負担等を考えまして、個人事業税の税率は従来の一二%が八%に大巾に軽減いたしますと同時に、基礎控除額を若干引上げるというような方法をとつておるわけであります。法人事業税につきましても若干軽減措置をとつております。
  129. 海野三朗

    委員外議員(海野三朗君) 終りました。
  130. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは委員外発言はこれで終了いたしましたから各委員の御質疑を……。
  131. 秋山長造

    ○秋山長造君 午前中市町村相互間における道府県民税の不均衡という問題についてお尋ねしておつたのですが、どうも午前中の次長なり税務部長の御答弁では納得しかねるのでありますが、更に然らば同一市町村の内部においては本当におつしやる通りに負担は均衡化されるかどうかということになりますと、これについても多少の疑問がある。と申しますのは、合併町村ですね、合併町村においてあの町村合併促進法の特例によつて同一町村内で負担の不均衡がある場合が考えられる。その場合には結局道府県民税もそれに並行してやつぱり不均衡になる場合がある。そういう場合を考えられておるのかとうか。
  132. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 秋山さんのお考えになつておりまする本筋は、私たちはその通りだと思つておるのであります。道府県民税を作る以上は純然たる独立税にしたほうがその本質に合うのじやないか。全くその通りなんであります。ただ徴税費の節減を図らなければなりませんし、国民といたしましても、あちらからもこちらからも納税の手続を求められるということは煩瑣に堪えません。そういうようないろいろなことを総合的に判断いたしました結果、やはり政府案にいたしておりますような課税方式が一番適当であろう、こういう結論に達しておるわけであります。合併いたしました場合に不均一課税の方途がとられました場合には、不均一課税方式をとります結果おのずから負担が地域的に違つて参ります。これは併し不均一にするということは一つの意味があるのでありまして、市町村民税だけにとどめたほうがいいのじやないかという考え方もあろうと思いますけれども、府県民税というものを市町村住民が全体として分担して行くのだ、こういう考え方をとりますから、市町村民税について不均一にされたそのままの仕方で府県民税も不均一にされて行く、それでやはり一つの意義があるのじやないか。こういうふうな考え方を持つておるわけであります。
  133. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点が、おつしやることがよくわからないので、やつぱりこの場合は飽くまで府県の住民として当然負担しなければならないものを課けて行くという建前で行つているわけですからね。その場合にたまたま住んでいる町村によつて、同じ府県民税でありながら、その負担が違つて来るとか、或いは同一の町村に住んでおつても、たまたま住んでいるその部落なり何なりによつて又更に府県民税の負担が異つて来るというようなことになりますと、一体府県民税というものは、一つ独立税として認められるがつちりした性質のものかどうかということが甚だ疑わしくなるのじやないかと思うのですよ。やつぱり今朝ほどおつしやるように、府県自治ということを主眼に置いて、そうしてそのための負担分担ということであつた以上は、やつぱりその府県民税であるからには、その負担は少くとも同一府県民である限りはこうでなければいかん、それで均衡が保たれなければいかんということが私はやつぱり本当の筋じやないかと思うのです。それは又或いは町村税ならば、町村民税その他の町村税ならば、それは住んでおる町村によつて若干でこぼこがあつたり、同じ名前の税金でも隔りができて来ることは、これは止むを得ないと思いますが、少くとも同じ府県に所属する府県民が、ただ、たまたま住んでいる場所が甲の地であり、乙の町であることによつて負担が相違して来るということは、どうもこれは額の大小でなしに、理論として私は筋が通らん理論じやないかと思うのですか。
  134. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県民税府県独立税でありますけれども、従来の方式独立税とは違つております。それは御了承の通りだと思うのであります。なぜそれじやこういうふうな形に書いたか。それは徴税費の問題、納税者手続の問題という、そういうことを総合的に判断した結果こういうふうに書いたわけでありますから、従いまして、従来の独立税という考え方で御議論なさつて行きますと、おつしやる通りいろいろ違う面が出て参るわけであります。併し総合的に考えて、やはりこういうふうに個々の納税者に対しては府県の経費を分担してもらうのだ、負担分任の精神というものを強調して参りたい。併し又それを強調する余り、従来の方式通りの独立税の形式を持つて行きました場合には、いろいろ不都合が出て参りますので、多少根本の点に亘らない程度のものならば、従来の方式独立税の姿であつた場合に達せられる目的が多少ゆがめられても止むを得ないじやないか、こういうふうな考え方を持つているわけであります。言い換えれは、市町村には府県からの経費を分賦するというような形になつております。市町村全体に配賦するという形になつております。市町村から個々の納税義務者に対しましては完全な独立税のような形式になつております。そこに御指摘になりますようないろいろな問題が出て参るわけであります。併しそれが府県民税を設ける趣旨というものを根本的に破壊する程度のものだとは考えていないわけなのであります。総合的に判断をして、むしろ市町村民税減免する場合には、同じ割合府県民税減免される。府県民税減免するのは、府県住民全体の、府県議会の議決がなければならない。それを市町村の議会の議決でやるのはけしからんじやないか、これも今申しましたような意味合いから、当然市町村民税に右へならえをするような形で府県民税減免したいというような考え方をしているわけであります。
  135. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは併し従来の独立税の観念では困るのですけれども、やつぱり併し独立の税金である以上は、何よりもかによりもその税自体が首尾一貫した姿を先ず整えるということが私は先ず第一だと思います。その上で今おつしやるようなことも加味する余地があれば加味することも或いは必要な場合もあろうかと思いますけれども、一つの税金が、たまたま住んでいる場所によつてつていいというようなことを初めから法律で予想することは、どうも筋が通らんように思うのですがね。
  136. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほども申上げましたように、府県民税市町村住民全体に分賦すると言いますか、総額配賦するという形をとつているわけであります。配賦された府県民税をどのようにお互いに分担し合うかということを市町村住民全体に任しているわけであります。従いまして、市町村がそのことを考慮に置いた上で不均一課税をとるかどうかということになつて参るわけでありまして、或る程度市町村が意思を決定します場合に、府県民税も同じように右へならえされるのだ。従つて市町村民税にはいろいろな方式をとります場合に制約を受けるというような問題も生ずるかも知れませんけれども、その点もやはり或る程度このような関係から市町村にも協力をしてもらい、半面又府県民税の姿が或る程度はゆがめられる、併しそれも全体として考えた場合には止むを得ないことじやないかというふうに考えているわけなのであります。
  137. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、やつぱり最初おつしやつたように、この府県自治という建前からこの府県民税を設けるという趣旨とは多少矛盾しているのではないかと思うので、やつぱりその実際の府県民税の扱いというものは、飽くまで市町村民税に附随しての府県民税であるという扱いになつて来ると思う。考え方もそうなつて来ると思うのですよ。そういたしますと、そうでなくてもこの知事官選だとか何とかいうようなことで、府県の自治体としての性格というものがぼかされやすいような現在の情勢だ。その情勢の中で、あえてこの際特に府県民税独立税として設けるということは、ややもすればぽかされんとする府県の自治体としての性格をこの場合画認識すると言いますか、そういう強い狙いだと思うのですけれども、にもかかわらずその実際の税の扱いというものは、市町村民税の附け足しのような扱いになつて来るということになると、その間にどうも狙いと言いますか、建前というものと、それから実際の賦課徴収事務の扱いというものとの間に種々の矛盾を来たすのではないかということを疑わざるを得ないわけです。しつこいようですけれども、もう少し長くよくわかるように説明して頂きたいと思います。
  138. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほど私が府県から市町村へは総額配賦するのだということを申上げました。市町村から個々の納税義務者に対しましては、府県独立税として課税をして行くわけであります。この段階に我々は非常な意義を認めているわけなんであります。又府県市町村との関係におきましては、総額配賦するような形をとることによつて、できる限りとの税務行政を簡素にしたいというまあ一つの新らしい工夫というものをここに加えているつもりなんであります。問題は所得に対する課税は、成るだけ国税府県税、市町村税は完全なる税源分離が行われる独立税の形式のほうがよろしいと思うのでありますけれども、やはり税源の基本は所得でございます。従いまして、成るだけ広く税金を負担するという形になつて参りますると、どうしてもこの所得という税源だけは共通に持たざるを得ないのじやなかろうか、国税所得税を課する、市町村市町村民税を課する。現在の府県におきまする税金は、住民の三、四%しか負担いたしておりません。ここに府県の行政を民主的に行なおうといたしましても、致命的な欠陥があるのじやないか。かように私どもは考えているわけであります。広く税金を負担するようにいたしますと、どうしても所得に税源を求めざるを得ないのであります。所得に税源を求めまする場合に、所得税は御承知のように給与でございましても、支払地課税しております。この方式をとつて参りますと、言い換えますれば所得税の附加税方式をとつて参りました場合には、ますます収入が片寄つてしまうわけであります。それでは自分が独立して課税をして行くということになりますと、非常な徴税費を要しまするし、税務の事務所も強化して行かなければならんわけでありまして、これは現在の国民の要請している、できる限り徴税費を少くして参るという大方針には反すると思うのであります。その結果、所得を税源にする税金が市町村民税としてございますので、これに乗つかつて行きたい。だから徴税費を節約するならば国税所得税に乗つかつて行くか、或いは市町村税市町村民税に乗つかつて行くか、どちらかによらざるを得ないと思うのであります。国税所得税に乗つかつて行きました場合には非常に偏在してしまう、それよりは市町村税市町村民税に乗つかつて行つたほうがよかろう、こういう考え方とつたわけなんであります。その結果御指摘になるような点が起つて来ておりますけれども、これは併し道府県民税としての絶対に呑めない程度の欠陥ではないんじやないか、而も又このような形をとつて道府県民全体に経費を負担しているんだという気持を植付けて行くことができるんじやないか、かように考えておるわけであります。
  139. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点は私ども納得できないんですけれども、併しこれは水掛論になるかも知れませんからその程度でやめておきますが、結論的に率直にお尋ねするんですけれども、結局今度の道府県民税の創設という問題は、直接には警察制度の改正という問題と裏腹をなして考えられたことじやないか。つまり警察が府県に移るために、そのまあ費用の引当として府県民税を設けられたということがそもそもこの問題の起る直接の動機じやなかつたかというように考えるんですが、如何ですか。
  140. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 道府県民税の創設が警察制度の政府の改正案と何か関連を持つているのではないかというお尋ねでございますが、これは全然そういうような関係を考えて立案をいたしたものてはございません。かねてこの道府県民税の創設ということは地方制度調査会以来強く要望されておつたところでありまして、府県の今の財源でありますところの事業税、或いは遊興飲食税、或いは入場税というようなものをとりましても、いずれもこれは都市にいわゆる財源を持つような形の税でありまして、然るにもかかわらず、都道府県の性格が、やはり財源を都市、農村間に調整的に配分をいたして都道府県行政全体の水準を高めるというのが使命でございますから、さような使命があるのにもかかわらず、その使命を充たすための財源というものは、さような都市に主としてあるところの財源に求めなければならないというところに非常に都道府県行政の従来の苦衷があつたわけでありまして、その点から何らか普遍的な道府県民に関係のある税種をとるべきであるという意見が強くあつたわけでありまして、たばこ消費税もその一つではありますが、道府県民税は最もその要望に合うわけでありまして、その結果約二千万円近くのものが道府県の行政を直接負担するという姿が現われるわけでありまして、これは道府県自治という建前から申しますと、やはり一歩進めるものであると私ども考えるのであります。
  141. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、この道府県民税の創設ということは、飽くまで道府県の完全自治体としての性格を確認した上で考えられておるということには間違いないわけですか、
  142. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の地方制度を前提といたしまして立案をいたしたわけでございますが、同時に政府といたしましては地方制度調査会の先般の答申がありまして、地方自治法を中心とする地方行政制度についても改革をする、こういうことで今鋭意案を進めているわけでございますが、併し道府県民税はそういうような地方制度調査会において地方行政の制度について検討加え、そうして改革案というものを答申しているわけでございますが、そういうような答申の下における他方制度の下におきましても、道府県民税というものはそれと両立して存し得る改革案として答申されているわけでございまして、現行制度においては勿論でございますが、仮に今考えておりまするような地方制度改革案が通りました場合におきましても、この税の創設ということは矛盾するものではない。調査会の答申においてはそういう点も含めて並行的に、総合的に答申されたものと私どもは考えているのであります。
  143. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は私は非常に重要な点だと思うんですが、あの地方制度調査会の答申によりますと、府県の性格というものが現在の制度よりはかなり違つた方向を、少くともその萌芽を示しているということは間違いない。而もそれがいわば昔の官治行政時代への逆戻りのきつかけになるという虞れが多分にある。ところが更にその後あの答申が出てから今日までのいろいろな政府筋の動きを見ておりますと、明らかにこれ再び府県の自治体としての性格を否定する、そうして昔の国の出先という方向へ持つて行かれる虞れが大いにあるわけで、現に長官御自身にしても、府県知事の公選ということを再三言つて来られたようなくらいでありますから、その点は御否定にならんと思います。そうなりますと、これは何回も繰返しますけれども、この際税務部長の説明のように、府県自治を振興し、又この府県民自治の観念を大いに高めるために、府県民税を創設するんだという、少くとも今の現行法の下で議論をしておるから、それでいいじやないかということも成り立ちますけれども、併し少くとも現在この現行法で議論をしているんだと言いながらも、その裏では現に自治法の改正案ということも、遅れ遅れになつているわけだけれども、やつておられる。それなら完全自治体としての府県の性格を飽くまで強調してこういうものを作つて、作つたそのすぐあとから自治法改正によつて、仮に府県の性格をうんと官治行政のほうへ切替えたようなものが出て来た場合には、この府県民税というものをどうされるかということについて、もう少し自治庁としての大方針を一応承わつておきたい。
  144. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはこの基本の方針はしばしば申上げておりますように、自治庁といたしまして、そうして、又政府といたしましては、今度国会に御審議願つてありますものは全部一つ考え方から出ておるわけでありまして、税法にいたしましても、交付税法にいたしましても、それから又未だ御審議を願う段階に至つておらない自治法の改正にいたしましても、これが仮に御審議を願う段階まで意見がまとまるということになりましても、今まで出してあるいろいろなものと考え方が矛盾して来るというようなものはないと私は確信をいたしており、又そのようなものは御審議を願う考え方はございません。従つて現在の段階におきましては、政府が考えます考え方は全部統一のとれた一つの基本の方針に従つて構想されておるものであると御了承を願いたいと思うのであります。ただしばしば府県の性格そのものをどういう工合にするかということにつきましては、これは私もいろいろと自分で経験をしてみ、又各方面の意向も聞いてみた上で、やはり相当考え直す余地があるんじやないかという考えを持つておるということはしばしば申上げた通りであります。ただ併し、これは今後そういう考え方、或いは又その他の考え方もろもろ、それから又国会におきましても、又その他の関係者の圏におきましても、又一般学識経験者の間におきましても、十分こういうものを問題点として提起することによつてお考え願つて、その上で私ども結論を出しますので、今日の段階におきましてはそういう考え方は、制度そのものの上には何ら考慮されておらない、こういうふうに御了解を願いたいと思うのであります。
  145. 秋山長造

    ○秋山長造君 だから長官のおつしやるように、今我々に提出されておるこの府県民税の創設という問題は、飽くまで府県を完全良治体として認めておるところの現在の制度の下という前提の下にこれは出しているということですね。その点ははつきりしたわけなんです。それははつきりしたのですからいいのですけれども、併し我々がこの税法の問題を審議する場合にただ目前目下の、今月今日の状態でただ論議するだけでは十分でないと思う。やはり府県の今後の運命ということを飽くまで考え合せつつ、この道府県民税の問題は考えなければ十分でない。その場合に、例えば従来府県は完全自治体であり、而も今後ますますその自治体としての性格を育てて行くという建前に立つてこの道府県民税というものを設ける、そういうことであれば了承はできるわけなんです。ところがそうではなくして、今はこうだけれども、将来の方向としてはやはり府県はどうも勝手にやらしておるとでたらめなことばかりやつて赤字ばかり出す、だからこれは何とかもう少し中央の監督の下に、中央の出先としての扱いに切替えて参つたほうがいいのじやないかというような考え方の下にこれを出すというのとは、これはよほど意味が違つて来るのじやないかと思うのです。その点をはやり長官のお言葉でありますけれども、今後一層府県の自治体としての性格を守つて行くのだ、育てて行くのだというお考えか、それともそうではなしに、府県の自治体としての性格を何らかの意味において弱めて行つたほうがいいのだというお考えか、その点をもう一度お尋ねしておきたい。
  146. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあいろいろのお考え方があると思うのでありまして、私も繰返して申上げるように、ただ個人の意見を申上げて問題を提供しているという程度のものでありますので、いろいろ今後皆さんがたのお考えも併せて検討さるべき問題であつて、今の段階で取上げるべき性格の問題ではないと、こういうふうに考えております。ただ仮にそういうことを考えるにいたしましても、私どもは非常に問題にしておりますのは、これは自治団体の首長の選び方をどうするということに非常に重点があるのでありまして、私はそういうことがこの府県という自治団体の、又その自治団体を運営して行く上の財源をどこからどういう形で見付けて行くかということとは、そう大きな関係は出て来ないのじやないかというような感じがしておりまして、私はかたがた今度の改正はやはり適当なんじやないかという考え方を持つているわけであります。
  147. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうおつしやると、こればやはり私は道府県民税の創設ということは絶対に承服できないのですよ。関係はないとおつしやるけれども、やはりそれは大いに関係があるのです。第一名前からして道府県民税ですから、だからこれを府県が国の出先に過ぎないのだつたら、何も府県で特に府県民税というものを取る意味はないので、所得税なり何なり国民の一人として負担する税金で十分であると思う。これを特に道府県民税というものをここで新たに設ける以上は、さつきこの提案説明にもあり、又税務部長も口をすつぱくして強調されましたように、府県自治に対する住民の関心を高めるということが中心であるべきであつて、今おつしやるように府県の知事が公選であるとか、官選であるとかいうような府県の制度としての扱いと、それからこの法律関係とは別問題だとおつしやるのは私はちよつと異議がある。これは飽くまで一体のものじやないかと思うのです。
  148. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは恐らく秋山委員のお考えの中には、自分の形で画かれた将来の改正されようとしておる姿というものを頭に置いておられると思うのです。私どもはどういう工合に将来これを構想するかということはこれから先の問題である、とにかく問題になるのは、今のようなああいう公選の知事の形というものが適当であるかどうかということを問題にしておるだけでありまして、どういう工合にそれを直して行くかということもいろいろの形があると思いますし、昔のように完全な官選の形があるし、又間接な選挙の形というものもあるかも知れません。仮に昔のような官選の形になりましても、私は昔のやはり府県というものは県民の負担になる府県民税というものがあつてつておつたのでありまして、私はそういうものが決して矛盾するとは考えないのであります。
  149. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は私は自治長官のお考えには絶対に承服できない。併し又そういう考え方で行かれた場合、明らかにやはりいろいろな面において中央集権へ持つて行こうとする現在の情勢からして、府県制度というものを又昔の形に引戻されて行くであろうということはこれは決して邪准じやないと思うんです。で、そういうやり方とこの道府県民税を新設するというこの行き方には非常に矛盾があり、そうして首尾一貫せざるものがあると考えざるを得ない。併しまあその点についてはどこまで議論いたしましても長官の御見解と一致しない。まあやはり私としては少なくとも現在この税金を創設される以上は、昨日税務部長がおつしやつたように、飽くまで府県自治というものを育て強めて行くんだということを前提としてこの税金を扱つて頂きたいということを、これは私の一方的な希望なんですけれども、お願いしておきます。
  150. 加瀬完

    ○加瀬完君 三十三条の所得割課税総額配賦の問題についてお伺いいたします。当該道府県条例で定める方法つて算定した額に按分して市町村配賦するという形になるわけでありますから、従つて秋山委員の質問の中にありましたように、この市町村内の個人の間におきましては公平でありましても、町村を別にする同一所得の個々人の間におきましては、必ずしも公平でなくなるのじやないかという問題が出て来ると思うのであります。これに対しては税務部長のほうから市町村議会が中心となつて市町村民税というものが先にきまつて、それに右へ倣えの形で県民税がきまるので、そういう差はないという御説明があつたわけであります。併し午前中の鈴木次長の御説明の中には、今現在においては市町村間に相当課税方式の一、二、三種によりましてでこぼこがある、併し今度の府県民税の新設によりますと、一定標準率によつて府県民税が生れるわけであるから、却つて市町村間のでこぼこはこれによつて是正されるのじやないか、こういう御説明があつたわけであります。そこで私お伺いしたいと思いますのは、これは納税者の側からいたしますれば、確かに市町村間の現在あるでこぼこというものが是正されるということは結構なことでありますけれども、市町村側からすれば今度の府県民税というものは既得権の一部を割譲するような形になりますので、或いは又現実においてこれが賦課された場合、各町村間の同一所得個人の間においてははつきりと一定標準と上いうものが出るわけでございますから、でこぼこというものが明らかになるわけでございます。そうするとその不平というものも今よりも激しくなるのじやないか、そうすると好まなくても市町村間は或る程度でこぼこを是正しなければならないことになる。そうするとこれが市町村側からすれば収入が少なくなるというようなことになりまして、この府県市町村、特に府県とこの貧弱町村との取り分の対立というものが生まれるのじやないか、こういうふうな疑いを持つわけであります。と申しますのは、昨日総括質問の場合にも私は町村民税が非常に減りまして、その補充として与えられたところのたばこ消費税と見合せましても足りなくなる現象が生ずるのじやないかという質問をいたしましたところが、本日自治庁のほうから昭和二十五年度における改正案に基く人口段階別市町村民税及びたばこ消費税収入見込額調というのが御配付になつたわけであります。これによりますると、人口三千程度の町村におきましても見込額はプラスになつておるわけでありますが、過日の公聴会の折に町村長会の代表のかたから出されました御意見によりますると、全体の数字では府県民税創設分百六十九億と、たばこ消費税市町村分百九十四億では差引き二十五億円のプラスが出る計算でありますが、実際はたばこ売上高は都市と農村に甚だ差違があり、町村は都市ほどの収入を見込めないことは自明であります。今回では抽出調査した結果でも町村百十七のうち事業税の差引きで減収となるもの三十二、増収となるもの八十五カ町村で、三割近くは減収となり、額で見ると減収分が一町村平均二十万円、増収分三十万円弱であります。減ることが大きく殖えることが少いということは一面地均し的効果はありましても、結局究極に弱体な町村を出す、生み出す心配があるのではないか、こういう公述があつたわけであります。でこれをこのまま信ずるわけではありませんが、こういう心配というものは私は非常にあるのじやないかと思いまして、昨日資料の提供を御依頼をしたわけであります。そうすると本日出されました資料によりますと、そういうことが一つもないということでございますが、その備考の二のたばこ消費税については昭和二十八年度分の町村分の人口一人当り税額推定百四十八円五十七銭を基礎として算定したということになつておりますが、この推定の夜川十八円五十七銭というものを確実なものと押えて差支えないか、或いはいろいろの抽出調査に出ておりますように、確実に町村民税の一部を府県民税に移しましても、貧弱町村でもたばこ消費税の補償によりまして心配ない、そういうことは町村長会の心配しておるような問願は起らないか、こういう点を心配しておりますので、若しこういう点が若干でも起るということであるならば、としても府県と特に貧弱町村間との取り分の対立というものができて参りまして、もう府県民税というものを何か別のものから取れとか、或いは我々の貧弱な財源の中から府県民税を持つて行かれると困るというような問題がこれを施行したあとに残るのじやないか、こういう心配がないかどうかという点を先ず伺いたいと思います。
  151. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今日お渡しいたしました資料の中で、百四十八円五十七銭のところへ推定という言葉を入れており求すのは、この税法立案当時は二十七年分しかわかつていなかつたわけであります。そこで日本専売公社に調査を依頼いたしまして、大都市、都市、町村の売上金額の数字を頂いたわけであります。この二十七年分を基礎にいたしまして二十八年分の見込みを出したものでありまするので、推定という言葉を入れたわけであります。  なお公聴会のときの説明の基礎を知らないのでありますが、昨日も申上げましたように、市町村によりましては工場等が所在いたしまして、法人税割の収入の非常に多い所がございます。こういう団体におきましては、やはりたばこ消費税のほうが少いだろうと思うのであります。総体的にはたばこ消費税の多いといことはこれも数字的に御説明申上げた通りでございます。殊に貧弱な町村でありますと、府県民税市町村間の配分が所得税額を基礎に使いますので、当該町村が予想しておるよりは逆に少いのじやないか、基礎がわかりませんのではつきりしたことは申上げられないのでありますが、或いは多少間違つた計算をしておられるのではないかという疑いを私は持つておるわけであります。
  152. 加瀬完

    ○加瀬完君 総体的に見て、これは町村の財源が殖えて来るということは一応わかるのであります。で町村長会の心配しておりますのも、総体的に殖えるということはわかるけれども、三割くらいの貧弱町村の減収分というものが見込まれて、この貧弱町村に対する点からは財源の補充ということにはならないし、府県民税を作るということによつて町村財政がますます貧窮するということになるのじやないか。この問題の解決をどうして頂けるかというところが問題だろうと思うのであります。総体的にはわかるけれども、貧弱町村三割、或いは二割になりますか、こういう町村が出ないと、こういうことが府県民税を取つてしまつても言われるのでありますか。
  153. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように税収入が減れば基準財政収入が減つて参りますから、地方財政平衡交付金の額が殖えるという問題がございます。こういうことで現に地方財政平衡交付金受けております団体の受けます影灘というようのは、仮にたばこ消費税が少い場合でありましても、必ずしも深刻なものではなかろうというふうに思うのであります。半面地方財政平衡交付金を受けていない団体であります場合には影響は割合に深刻であろうと思います。ところが長い期間に亘つて考えてみました場合には、法人税制のような収入は年度間において安定性を欠いているのであります。たばこ消費税の場合はその点は年度間においても安定性が得られます。そういう意味で町村の税制の姿そのものがよくなるのじやないか。仮に市町村民税を取り過ぎました結果、非常に困るような団体につきましては、激変緩和の意味において或いは特別交付金の制度、或いは地方債の制度を考えまして、お困りにならないような措置はとらなければならない、かように考えております。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 事後の方策ということはわかるのであります。併し問題は市町村というものを自治体の中核と考えている自治庁の今までのお立場からすれば、たとえ二割であろうと三制であろうと、平衡交付金に見合うようなもの交付してそれを殖やさなければ、新らしく特別な何か配付金というものを考えなければ、地方の貧弱町村の財政が立ち行かないことが予想されるにかかわらず、その独立財源の一番有力なものでありますところの住民税の一部を府県税に割いて持つて行くということに問題はないのか。これでも一体小さい町村というものに対して考慮が万全に払われているということが蓄えるか、こういう問題について御見解を伺いたい。
  155. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私たちは市町村の税制の上で或いは偏在をしている、或いは安定性を欠いている、そういうよりな地方税として考えた場合に一番欠陥を持つているものが市町村民税じやないか、かような考え方を狩つているのであります。非常に有力なものであるが半面欠陥が多い。だからこの分量を少くしてたばこ消費税を補つて頂く。仮に市町村民税を減らしませんで、国から所得税の税源を持つて来る、そうして府県民税を作ることも一つの行き方でありますが、それよりも、国からもらうよりは、所得税の耕源の委譲を受けるよりも、たばこ消費税の委譲を受けて税制を改正したほうがよりいい税制ができるのじやないか、かように考えております。
  156. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは三十三条からちよつとはずれるかも知れませんが、秋山委員からも問題が出たのでありますが、私ども非常に憂慮されるのは、府県というものと市町村という二つの自治体、これの単位というものがこの府県民税市町村民税というものの取り合いによりまして対立するようなことがありましては、非常にまずいのじやないかということが先ず心配されるのであります。そういうふうな心配のされるようなことについて何らの適切な措置も考慮しないで、府県民税を作るということに問題はなかつたのか、こういう点であります。
  157. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 御心配になつております問題は、府県市町村とが取り合いつこするのじやないかという点のようであります。これにつきましては、制度的に取り合いつこのないようにしているというふうに私たちは考えているわけであります。例えば地方財政平衡交付金の計算に当りまして、基準財政収入額を算定いたしますその際に、従来ありました市町村民税というものは研得税額の一八%を基礎にして個人分の所得割算定しております。法人割につきましても大体似たような考え方で刈ります。今度はこれを所得税額の一三%で計算をしようとしておるのであります。半面の府県の場合には、府県民税につきまして所得税額の五%を基礎において計算をしよう、かような考え方を持つておるわけであります。市町村の税金が市町村民税の場合にはそれだけ減額になつておるということを建前にして地方財政平衡交付金の配分を行うわけでありますので、取り合つこになるということはないのじやなかろうか、かような考え方を持つておるわけであります。お互いに分ち合つて行く、又分ち合つた姿において地方財政平衡交付金も計算され、又課税の最高限度も従来の課税所得金額の一〇%であつたのを七・五と二・五に分ける、こういう考えを持つておるわけであります。
  158. 加瀬完

    ○加瀬完君 その三十二条の二項によりますると、「天災その他特別の事情」ということによりましては課税総額減額するということができるわけであります。「特別の事情」というものがどういうものかわかりませんが、いずれにいたしましても、市町村府県に対して、府県分だけの枠の中での減額に当るといつたようなものの陳情が盛んになつて来るのじやないかということも憂慮されるのであります。そういう点は如何でしようか。
  159. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 災害がありました場合に、やはり府県がいろいろな面において従来も協力をしております。又君に対しましても、所得税額減免等の問題につきまして市町村当局が国の税務機関に申出る場合もたくさんあると思いまして、そういう場合にこの府県民税につきましても同じような事例が起るだろうと思います。そのことは併し別に府県市町村との関係が悪くなるということではないのであつて、むしろいろいろな面において府県も災害を受けた市町村の面を見て行くという点ではいい面がむしろあるのじやないだろうかというふうに思つておるわけであります。
  160. 加瀬完

    ○加瀬完君 災害などというこれははつきりしたものはいいですけれど、その他の事情というものは、特別の事情ですか、特別の事情ということにいろいろ仮託をいたしまして、町村が府県に対して減廃刀をいろいろ要求して来るということはあり得る筋道だと思う。そういう点になつて参りますると、全然府県税というものだけ考えましても、府県税というものには非常に減収の危険性というものが内蔵されておるんじやないか、そういう点から御出説明頂きたいんですが。
  161. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在事業税としては所得課税標準に使つております。この事業税につきましても、或る市町村の特殊な廃業が危殆に頻しておる、そういう場合には市町村長が先頭に立ちまして府県に交渉いたします。企業が非常に困つておるから事業税の問題について減免をしてもらいたい、或いは融資の問題について協力してもらいたい、こういう話合いは常にあることであります。それに道府県民税が加わるという問題が起るかも知れませんが、むしろ府県市町村の実態というものを十分把握いたしまして、むしろいろいろな面におきましてお世話をする、そういう形において実情を的確に常に明らかにして行くということが必要なんであつて、この点が非常に弊害をもたらすんだというふうに私たちは考えていないんです。
  162. 加瀬完

    ○加瀬完君 弊害をもたらすという意味じやなく、府県税というものが純粋な技術的な点から考えまして、府県民税として一応の額を予算に上せるわけであります。併しそういうふうな事情によるところの減加州といことが激しくなつて来ると、その予算というものは実際の計上額よりも下廻るわけです。それが今度に逆に取れないんだからというので、百分の五という標準を百分の七なり百分の八なりに上げるという逆作用にもなると思う。そういう点を心配しておるわけです。
  163. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お説のようなことにたつてはいけませんので、特に標準税率を超えて課す場合には自治庁長官に届けなければならない、こういうふうな規定を置いているわけでございまして、運用の面におきまして十分取締つて行かなければならないし、努力して行きたいと思つております。
  164. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは暫時休憩……。
  165. 小林武治

    ○小林武治君 議事進行……。MSAの採決がすんだら、引続き一つこの委員会を再開して頂きたいと思います。
  166. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 予算の採決がある。補正予算……。
  167. 内村清次

    委員長内村清次君) それはまず本会議場で相談いたしまして、大体小林委員趣旨のような取扱いをやつて行くようにいたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後四時十五分休憩    —————・—————    午後八時十七分開会
  168. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは只今から休憩前に引続いて、地方行政委員会を閉会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。逐条質疑を続行いたします。
  169. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 午前の質問で私は市町村民税府県民税の徴税のことについて、聞いたんだが、個人関係のものについても私の場合の例を挙げて詳しい説明を聞いたわけなんですが、結局まあ徴税令書で以て両方ここに善かれて来る。それで以て市町村でそれを徴収するということのお話があつたわけたつたんですが、そうなりますと、私は今朝言つたように事情によつてに両方一ぺんに納められないというふうな人も出て来るだろうと思う、そういうときに滞納の処分はどういうふうになるかということなんです。これはどこで一体滞納処分をするか、その点について……。
  170. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 例えば府県民税が三百円で市町村民税が七百円とします。その場合に七百円しか納めません場合には、どちらも七割しか納めなかつたことにするわけであります。徴税は全面的に市町村が行いますし、滞納処分も全面的に市町村が行うわけであります。ただ翌年度になりましてから、市町村から府町が報告を受けまして、七月一日から十二月三十一日までの間において、府県市町村同意を得た場合に限つて滞納処分ができます。その場合に市町村徴収はできません。而も文府県府県民税の潜納処分をいたします場合には、同時にそれに関連する市町村民税滞納処分をしなければなりません。そうして徴収したものは、市町村民税相当分を含んでおるから、逆に市町村へ払込む、こういうことにいたしております。
  171. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういうふうになつて参りますと、いよいよこれは滑稽千万な税金だと思うのだね。一体府県民税というは徴税令書に一緒に書かれるけれども、府県民税としての独立税なんだ。課税権府県にある。その滞納処分市町村で以てやるということにしたら筋が通らないのではないか。その逆の場合も又その通り、市町村民税滞納をその当面の課税権を持つている市町村がやらないで、府県で以てそれを滞納処分をするということになつたらおかしなことになる。その点はどうですか。
  172. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県民税滞納の処分は府県が行う、市町村民税滞納処分市町村が行う、これが従来の独立税の形でございます。秋山さんの御質問に対しましても、その点は府県民税につきましては、税務行政の簡素化という点から違つた形をとつておるために、従来の考え方から言えばそぐわない点がある。併し全体から考えた場合に、こういう方針をとることによつて徴税費もかからないようにしたいし、納税者につきましても二重の手続に煩わされることのないようにしたい、総合的に考えてさような新しい構想をとることが適当だ、こういうふうに判断をいたしているわけであります。
  173. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その新しい穂想なるものが私らから言えば筋が通らない。どこまでも課税権を持つているものが滞納を処分すべきであつて、それを何ら課税権も持つてない市町村で以てそれをやらせるということは、これは一体府県民税というものは独立税であるが、極めてあいまいなものになつて来る。そういうところは税制の体系から一つの筋を立ててやらなければ将来非常に誤りをなすものではないか、そういう点を考えます。だけれども、あなたがたはどうしてもそういう方法で以て行かなければならないということになれば、それは見解の相違ですけれども、私は原則的に考えて、本質的に考えてそう行くのが本当ではないか。そういうところにも又余り徴税事務の簡素化とか何とかいうところから趣旨を違えて、今そういうことによつて便宜的にやつて行くという点で非常に我々は不満がある。こう思います。
  174. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昔も市町村府県税を徴収いたしておりました。又所得税も徴収いたしておりました。市町村府県税の徴収の委任を受けました場合に、滞納処分市町村自身が府県の委任を受けたものとしてやつておつた例もあるわけであります。今回の場合にはやらなければならない、こういうふうに義務付をしている点が違つておるわけであります。又そうすることによつて、私たちから言わせれば、むしろすつきりした形に持つてつて府県がやるか市町村がやるか、どちらか全面的に責任を負うように持つて行きたい。そのほうが納税者の立場から考えた場合には、両方から滞納処分で差押えて来られるよりか、どちらか一つだけを相手にしたほうが却つて簡素になるのではなかろうか、こういうふうな考え方を特つているわけであります。これはそうすることによつて税の本質がゆがめられておる、そこまで極論されるのは少し考え方が過ぎているのではないかというふうに私たちは考えておるわけであります。
  175. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 冗談でない。考え方が行き過ぎておるのはあなた方でないかと思うのだな。一体何でもそういうふうに便宜的に片付けてしまう、併しこれは税制の体系というものはそう簡単に行くべきものではないと思う。だから私のほうの行き過ぎであるということになれは、これは大いに怒らなければなりません。こちらに理がある。法人の場合にはどういうふうになるのですか。
  176. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 法人の場合には現在でも法人税割の部分は法人から市町村申告納税しておりまり。これはそのまま府県法人から申告納税をして頂く、こういうふうにしております。
  177. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今の府県民税の問題ですが、ほかの委員からも御質問あつたと思うのでありまして、これがきつかけになつて将来非常に増税される心配はないか、負担分任ということで始まつた住民税というものは、今まで相当市民なり或いは住民の負担限度を超えたような状態になつておるわけなんで打けれども、今度きつかけとしまして、従来の市町村民税の枠の中で取るということになつておりますけれども、併し将来はやはり府県財政が非常に苦しくなつて来れは漸次こういうところに財源を求めるということが始まつて来て、現在自治庁で考えているよりも非常に重い負担が住民にかかつて来るという心配があると思うのです。この点は絶対に将来現在住民が負担している以上には増額しないのだというはつきりとした言明ができますか。
  178. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 道府県民税を創設したことの結果として、将来それが負担を増すというようなことがあるんじやないかというお話でございますが、これは条文の中にも、今朝ほど御指摘がございましたように、百分の五というものを所得割課税総額にしているわけでございますが、それと異なる税率を、それを超えて課税しようという場合には、自治庁長官に届出なければならないというようなことで一つチエツクの方式がございまするし、又単に道府県の議会が議決しただけで事がきまるのでなくて、実質的には市町村が、取るわけでございますから、市町村の方面の実際上の了解がなければできないというようなことで、この増税ということはなかなかむずかしい。むしろ相当民主的にいろいろのチエツクの機会があると思うのであります。又個人の負担の上から申しますならば、現在百分の十という制限が市町村民税についてあるわけでございますが、それを今回は道府県民税としては百分の二・五を超えてはならない。市町村民税は百分の七・五を超えてはならないというふうな制限税率をそれぞれ分けてございますから、従いまして両方からしても百分の十を超えるということはない恰好になるわけでございまして、そういう点をいろいろ考えて見まするというと、そう増税というような、或いは負担の増加というようなことはないであろうというふうに考えられるのであります。
  179. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現在の法律の建前から言えば、そういうことになつて来るわけです。おのずから制限があつて、それ以上徴収できないということになつて行くことはよくわかるのです。併し将来まあ地方財政計画を立てるという場合に、又法律改正してやつて、現在の負担以上のものを府県民税として新らしく取るというようなことは従来もやつていたことでありますから、その危険が非常に大きいと思うのです。そもそもこういう住民税というものは、今まで所得税も何も収めていなかつたやつをまあ負担分任というようなことで、五十銭だとか一円だとかいつたところから始つて来たんだろうと思いますのですけれども、それが現在になれば地方財政の最も有力なる税収入となつている。最初の負担分任という精神から非常に僕は変つて来ていると思う、性格が……。これがなければ市町村、或いは府県の実際の財政というものは成り立つて行かないくらいに有力な財源になつている。府県の場合で、も今度は制限がありますけれども、将来やつぱり財政上の都合とか何とかいうことになつて来ると、これが法律上変えてでも増徴されるという心配が非常に多いのであります。将来とても現在以上に増徴しないのだと、そういうことは言えるかどうか。そういうことは私は絶対に言えないと思うのです。そうすると、現在の法律の建前から言えば、住民の負担は従来よりも増加されない。併し将来これがきつかけとなつてだんだんと現在以上に市町村民税府県民税と合せたものが現在以上になるという危険が非常に多い。この点はつきりと、将来もどんなことがあつても増加しないのだというような御言明ができますか。
  180. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 個々人の負担の問題といたしましては、先ほど申上げましたように、百分の二・五、百分の七・五、合せて百分の十というのが制限税率になつているわけでございますから、従いましてそういう点から考えまするというと、その点を直さない限りはそれ以上になるということはないと思うのであります。ただ将来いろいろ今日と客観的な条件が変つて参る。国の財産の状態、或いは地方の仕事がもつと殖えて、更に多くの財源を要する、その場合に全体の財源をどういうふりにするかというような問題が起つて来るだろうと思うのでありますが、併しこれはひとり道府県民税という問題ではなくつて国税なり地方税なり、総体の枠をどういうふうにするか、或いは税以外の歳入をどういうふうにするかというような問題になつて来ると思うのでありまして、只今提案をいたしましておりまするこの道府県民税の建前といたしましては、先ほど申上げましたように、総額につきましては百分の五を超えるようなことになります場合には、自治庁長官がチエツクする機会会がございまするし、個々の負担といたしましては、只今申しましたような制限税率の問題もございまするので、先ず心配はないというふうに考えておるのでございます。
  181. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは求あ先ほどもお話かあつたようでありますけれども、府県市町村と同じ性格のものと見るかどうかということに私は非常にまあ疑問があると思うのであります。市町村民から市町村民税を取るというのと、府県から府県民税を取るということては考え方が全く同一であつてはならない。やはり地方団体の性格の相違というものを主として考えれば、住民から負担分任の精神によつて同じような住民税を取るということであつてはならないと思うのです。で、漸次こういう方向をとることは、府県の性格をいわゆる市町村と同じような性格に持つて行くお考えがあるのか、或いは塚田国務大臣が考えておるように、この問題は住民税とは別個に、府県の性格というものは市町村とは全然別である、又別のほうに持つて行きたいというお考えであるのか、で、府県の性格というものと市町村の性格というものとが、どういう違いがあるのかということを一応御説明願いたいと思います。
  182. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 特来仮に府県を行政機関にする、要するに国の出先機関にするというようなことが若しあるといたしまするならば、これはもう税制という問題が全然なくなつてしまうわけでございますけれども、これは少くとも先般答申のありました地方制度調査会のあの考え方を基礎にして考えておりまする地方制度改革案においては、府県をさような形のものにするということは全く考えておりませんのでありまして、そういう意味から申しまするならば、府県の性格が若干変るような案が仮に実現いたしましようとも、いやしくも府県が自治体という点においては変りないと思うのであります。府県が自治体でありまする限りにおきましては、かような形の道府県民税というものは十分存立の意義かある。これは曾つての戦時中の府県という制度を振り返つて見ましても、国の地方長官が同時に自治体の執行機関をしておつたわけでございますが、そういう際においてもやはり府県民税というものの必要性があり、又そういうものが制度として創始されたわけでございまして、そういうような点から考えましても、こんなふうな道府県民税を創設するということは一向府県の性格に相反するものではない。又将来も少くとも今から予測し得るところでは矛盾することはないであろうと考えられるのであります。
  183. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 塚田国務大臣の府県に対する考え方を伺いたい。
  184. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは余り率直にものな言いましたので、いろいろに府県の自治団体としての性格についてお尋ねを頂つておるのでありますけれども、繰越して申上げますが、この考えております考え方というものは、今までの経過から照らして、どうも現在の制度ではうまくないんじやないかというところに重点があるのでありまして、これをどういう工合に持つて行くかというようなことは、これはむしろ多分に私が抱いておりますそういう疑点を併せてお考え頂いて、皆様方に将来どういう工合に持つて行つたらいいかということをお考え願うという考え方なんでありまして、従つて政府が或る構想を持つておるのにかかわらず、それと全然別なことを今度の改革にしておるとか、若しくは或る構想を持つて、その下心があつてこういう改革をしておるとかということは毛頭ないのでありまして、現在のいろいろ御審議願つておりまする考え方というものは、一応現在の制度というものを前提に置いて問題を、殊に形式的には地方制度調査会の御意向の線に従つて改革案を提出しておるわけであります。
  185. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 塚田構想というものを一つ御披瀝願いたいんです。
  186. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはもり繰返して申上げますように、自分として現在の制度に疑惑を持つているというだけで、まとまつた考え方というものは何もありませんのでありますから御了承頂きたい。
  187. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どういうところに疑惑を持つているのですか、もうちよつと話して下さい。
  188. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) もうしばしば申上げておるのでありまして……(笑声)
  189. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 僕は塚田君にもうちよつと疑惑のあるところを……。
  190. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 今まで考えております考え方はしばしば機会あるごとに、恐らく本委員会においても申上げておるように記憶いたしております。
  191. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 余り言わないから聞きたいと思つておるのですよ。まあそれで今塚田大臣は府県制をどうしようという考えは全然持つていない、こう承わつてよろしゆうございますか。
  192. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 具体的な構想は持つておらない、こういう点で御了承頂きたいと思います。
  193. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この問題は重要でもありますし、又直ちに府県知事といつたような官選の問題と関連して来るものと思う。知事の官選という問題についても塚田国務大臣は現在のところ何も考えていない、こう了解してよろしゆうございますか。
  194. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 官選と言いますか、要するに現在の公選制度はこのままでいいだろうかという疑惑を持つておりますが、これをどういう形に変えるかというような具体策は、知事を選ぶ方法についても何ら持つておりません。
  195. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この問題については塚田国務大臣は地方制度調査会に又諮問をして、その答申によつてというようなお話だつたと思うのでありますが、これはいつ頃そういう問題について諮問し、決定が出るという日程をお持ちでございましようか。
  196. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 地方制度調査会には御水知のごとく国会議員のかたがたの参加を願つているわけでございまして、先般任命しました委員のかたがたの任期が昨年の十二月で切れたのであります。その後特に国会の開会中になりましたので、国会の会期の終りましたところで直ちに一つ国会議員のかたがたの御推薦を願い、又その他の委員の任命をいたしまして、只今大臣が申上げましたような問題の審議に入りたいというふうな段取りで考えている次第でございます。
  197. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう少し具体的にお話し願えませんか。この国会が済んでからとか何とかいうような……。
  198. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) まあ五月八日が国会の会期の終りであるわけでございますが、その前ぐらいに政府のほうから、要するに内閣のほうから両院のほうにお願いをいたしまして、国会議員のかたがたの御推薦を願い、又地方団体の代表者、学識経験者、官庁関係のもの、大体今までの委員のかたがたをそのまま再任するような形にして参りまして、それでまあ具体的の審議に入りたいと考えております。審議いたしまするべき事項は昨年の最後の地方制度調査会の総会の際におきまして、只今御指摘のございましたような地方公共団体の首長の選任の方法、或いはいろいろな大都市の制度でございますとか、或いは道州制、府県の廃合と言いますか、そういうような問題でございますとかいうような、第一回の地方制度調査会におきまして最後的に決定できなかつたような根本的な問題を今度はやる、こういう形にいたしておるわけであります。
  199. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますと、若し地方制度調査会でお話のような未解決の問題に対して答申が出れば、それがいつ頃法制化されるお考えでございますか。
  200. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まあ私の希望といたしましては休会になる、それから制度調査会を開会する、そうして答申が頂けれは、次の通常国会あたりまでにそういう提案ができれはという気持は持つておるのでありますが、併し何にいたしましても問題が非常に重大でありますから、果してそれがそのように調査会あたりも運べるかどうかということにつきましては、非常な懸念がございますので、今のところその先の見通しというものは十分立たないという状態でございます。
  201. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますと、今希望としては通常国会にまあ法案をお出しになるということになる、来年の春の選挙は官選と言いますか、或いは公選と言いますか、新らしい構想によつて行われる、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  202. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まあ非常に理想的にスムースに運んだ場合に、或いはそういうことになるかも知れんとけ考えられますけれども、併しなかなか問題が重大でありますから、結論が出るか出ないかということも疑問でありますし、仮に結論が出ましてもいろいろな準備段階というものがあると思われますからして、来年の四月に予定される選挙までにはやれたいというのがむしろ常識的な判断、はなかろうかと考えております。
  203. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 希望的な見通しとしては、通常国会に法案が出るということであれば、来年の四月の首長選挙は当然その新らしい構想によつて行われるということになるだろうと思うのですが、今の御答弁によりますと、非常にむずかしいから来年はこのままの形で行くのじやないかというようなお答えのように思うのです。可能性から言いますと、やはり現状のままで行くということのほうが可能性が多いわけですか。
  204. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 大体そのように見通されるわけであります。
  205. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこでもう一度府県の性格の問題でありますが、そういうことになれば、府県というものは現在でも国の事務を非常に大きくやつているということで、その府県の財源としては府県民税を取るよりはむしろ国からの財源的な措置をやるほうが府県の性格にも合うし、又多少とも町村の性格と異つた性格を持つている府県の性格から言つても、国の財源措置によつてその面倒を見るほうがいいのじやないか、こう考えられるのですが、特に府県民税を復活するという形をおとりになることは、国から面倒が見られないから府県民税々復活しておやりになるのだという考えでありますか、或いは市町村と同一の性格であるから府県民税を復活するのだというお考えでありますか、その辺のところ……。
  206. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 道府県民税を創設いたしました根本の理由は、お話のような意味と申しますよりも、やはりこの府県行政が郁市部、農村部を通じて府県全体の行政を調査的に行うわけでございまして、而もその行政の財源になつているものは現行の税制でございますと遊興飲食税、入場税、或いは事業税というようなものがいずれもやはり都市が重点になり、主体になつている税でございまして、そういう一方から取つた税で一般的な行政をやるということはなかなか辛いわけであります。そういうところからやはりもつと普遍的な税種が府県に必要であるということがかねて言われておつたわけでございまして、そういう見地から地方制度調査会でも道府県民税を創設せよ、こういう答申があつたわけであります。そういう答申を尊重して今回はかようなことを考えておるわけであります。
  207. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 前にまあ府県民税というものがあり、それが市町村民税一本となつたということにも私は理由があつたと思うんですが、今度は逆に市町村民税のほかに府県民税を特に取らなければならないというての事情の変化、この点は以前の府県民税をなくした場合と、新たに府県民税を又復活させるということの理由と、その点はどういうことになりますか。
  208. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 二十五年のシヤウプ税制改革が現行税制の基礎であるわけでごごいますが、それにおいてこの道府県民税という形のものを廃止して、府県には入場税、事業税、遊興飲食税というような三大税目を配分する、市町村には市町村民税、固定資産税という二つを基幹にして税制を組立てる、こういう形にいたして、それぞれの府県の三税目、市町村の二税目が眼目になつて、戦後の市町村の自主財源というものはそれでうまく調整がとれるであろうというのが根本の考え方であり、この場合において特に市町村に優先的な考え方を置いて、市町村に対しまして市町村民税或いは固定資産税というような有力なる財源を与えたわけでございますが、そういうよりな改革に対してやはり一つの欠陥として指摘せられておりましたのは、やはりこの府県というものの実態が相当多くの財政負担をしておるのにかかわらず、先ほど申上げましたように非常に一方に偏した都市的な税種しか与えられていないというところに非常な問題があつたわけでございまして、それを打開する方法として普遍的な税種を如何にすれば然らば府県に与えられるか、これはまあ動府県民税或いはたばこ消費税というような案があつたわけでございます。或いは固定資産税を分けるというような案も一つの案と考えられたわけでございますが、併しそれらのものを総体的に観察をした結果、やはりこの道府県民税という形のもの、配するにたばこ消費税を以てするという今回の政府改正案が従来の現行税制の欠陥を品正し、且つ府県の行政の上に実際にも合致するものと考えて、かような案を政府としては立案したわけでございます。
  209. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は、自治庁として従来の府県民税々廃止するということにも、やはり自治庁としての見解と申しますか、主張というものがあつたはずだと思うのですが、そこで今度は又府県民税を復活するということには、よほどの理由がなければ自治庁としてこれを軽々に府県民税を復活するということは主張できないんじやないかというふうに考える。で、もつと重要な理由がなければ、私は自治庁として前の主張を今度の主張との間に非常な隔りがあるわけでありますから、納得のできるような理由というものがなければ私はやはり前の方針は前の方針として自治庁の立場から踏襲さるべきであつて、まあ朝令暮改と申しますか、或るときにはやめる、或るときにはとるということでは、首尾一貫しないのではないかといいうふうに考えるのですが、本当に納得の行けるような理由というのはどういうところにあるのでございましようか。
  210. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 現行税制の基礎は、やはり府県市町村というものを明確に分離しまして、責任を明らかにすると同時に、例えば税制の上におきましても税源を分離する、又事務配分を明確化する、そうしてそれぞれの責任において行政を行わしめるといういわば非常に極端な独立主義と申しますか、それぞれ自己で充足をして行くというような形の自主性を飽くまでも強化する方式がとられておるわけであります。そういうことは確かに責任明確化或いは自治という点から申しますといいのでありますけれども、併しそれば却つてまあ実情に即しない面がある。例えば徴税の面におきましても、やはり府県市町村、或いは国というものが相互に協力して行つたほうが経済的にもできるし、又実際にも合うようになる。それと同じようにこの税源の問題につきましても、府県は先ほど申上げ士1たように、シヤウプ税制では附加価値税と遊興飲食税或いは入場税というような、こういう形のものを府県は税源としてつかまえる。市町村のほうは市町村民税、固定資産税というものをつかまえるということでこれを分離した姿になつておつたわけでございますが、仮に附加価値税というようなのがそのまま実施されておりまするならば、府県としては相当の有力な、而も担税力のある財源が、而も安定した財源が或る程度与えられておつたことになつたろう思うのでございますけれども、これは日本の経済の実情から実施できないという段階になつて来ておるわけでございまして、これらのこともあり、結局府県におきましては適当なる、先ほど申したような必要に応じる税種が現在ない。そこに何らか現行の税制を補うような普遍的な税種がどうしても必要であるということを考えたわけでありまして、それがまあ道府県民税というような形になつて来たわけであります。
  211. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 入場税が国税に移管にならない場合、ならなかつたとしても、やはり府県民「税というものは当然とるべきであるというお考えでございますか。その代りと言いますか、入場税が国税に移管になつたということが重要な府県民税復活の理由になりますか。この入場税との関係は……。
  212. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 必ずしも御指摘の両税は直接関係にないと考えております。併しながら入場税というものがああいう形になりますと、やはり府県の税制の体系としては若干一つの寂しさというものがあることは(笑声)否定できないわけでございますが、併し仮に入場税がそのまま残つておりましても、やはりこれは先ほど来申上げまするように、府県の行政と、それへの裏付けとなる自主的な財源というものとの間のアンバランスというものは、これはどうしても是正しなければならんわけでありまして、そういう意味でやはり入場税が今回の改革案のような形でない場合においてもやはりかような税種は必要である、又そういうことがかねて論ぜられておりたわけであります。
  213. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 市町村民税の場におきましては、よく源泉徴収で的確に把握できるから労働組合のほうなどにおいては払い戻す、リベートということは変な言葉ですけれども、組合側から市町村側にいろいろ話をして直接払い戻すということはできないにしても、何かでそういう面のカバーをすると、例えば労働会館を建設するとか、或いは勤労会館を作るとか何とかいつたような、或いはリクリエーシヨン的な施設をするとかというようなことがまあ直接、間接の繋りとして市町村において考慮せられておるところがあるよう、に思うのですが、府県民税の場合にもやはりそういうようなことは考えられますか。
  214. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 府県民税ができてからは、特に労働行政の面において力を入れるとか、力を入れないという問題は起きないのじやないかというふうに思います。併し御指摘になりましたような労働会館とかいうような問題、或いは労働者の福利厚生というような問題になつて来ますと、市町村というよりはむしろ府県のほうが積極的に力を入れる問題じやなかろうかというふうに考えております。
  215. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちよつとそれに関連して。今のまあ払戻すということは当るかどうか知れないけれども、市町村で納税組合な盛んに作らしておりますね、それで納税組合を作らして市町村民税を納税すれば五%なり、一〇%なりをその組合に割戻しするというようなこと、これは全国的にやつていると思うのです。  それでこれはやつぱり一割なら一割納税組合へ市町村が割戻しをしているということならば、やはりその一割というのは市村民税だけでなしに、一諸に徴税するわけですから、府県民税の場合にもやはりそれは同じような率で割戻しをされるのかどうか、その点ちよつと。
  216. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 秋山さんが御指摘になりましたように、市町村民税等につきまして、割戻し的な奨励措置と言いますか、そういうやり方をしておる所があることを承知しております。これは併し少し行き過ぎだと私たちは考えておりますが、やはり税であります以上は義務として納めてもらいたい、ういいう考え方を持つております。ただ徴税の成績を確保して行きます意味において納税組合を支持して行く、こういうことに努力しておるわけでありまして、この納税組合がある地域におきましては、国税府県税、市町村民税を通じた納税組合である、或る地域においては市町民税だけの納税組合である、これは面白くないじやないかという考え方を持つておりまして、国税庁と話合いまして、できるだけ三者に共通した納税組合にして行こうじやないかということを今話合いしております。ただ納税組合に対しまして成る程度補助金を交付することになつておりますが、これは税金の払戻し的な補助金であつてはならないのであつて事務費を弁償するという姿に補助金を出して行きたい。若干行ぎ過ぎた面がありましたので、これは私たちとしては是正して行きたい、かように考えております。
  217. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点にまあ大都市のことよく私わからんのですけれども、大体帯町村あたりでは非常に市町村民税滞納が多いわけなんで、そこでまあ一つには滞納整理ということを考えなければならんのですけれども、なかなか先祖伝来同じ所に住んでおる狭い町村あたりで、役場の吏員が滞納整理といつても余り積極的にこれはやれない、実際問題としてやろうとしても。そこで一つ方法としては県庁の税務課などに長印勤めで行政整理で首になつた人を数カ町村で共同して雇つて、そういう人に大いに腕によりをかけで滞納整理をやつてもらうというようなことを一面やつている。併しそれはなかなか滞納整理ということは実際問題として町村ではむずかしい。そこで今度は第二の方法として、完納すればまあ割戻すという形でないけれども、まあ実質的には割戻すというような形でこの税金の完納を奨励している、これは一部ではなしに相当広く行われていることじやないかと思うのです。で、やはりそういうことが自治庁のほうの立場から見れば適当なことでないとお考えになつても、事実やはり町村としてはそうでもしなければ税金が取れないといことから、やはりそれもその町村の実情に即した一つのやり方だとこう思うのです。そういたしますと、全脳来税務部長は、今度の府県民税考え方というものは飽くまで町村の考え方、或いは町村民税の建前というものを尊重して府県民税をもそれと一緒にされて行くのだとい建前であるならば、やはりその実質的な納税組合に対する割戻しというような面は、ただ町村民税だけに割戻すということでなしに、その割戻しによる町村民税の完納ということには当然府県民税も均霑するわけですから、府県民税においてもやはり同じ率で割戻しと言いますか、そういう点た府県民税にも及ばすべきではないか、又それは認めることが税務都農のおつしやる町村の実情に即し、又これを尊重すべきではないかというように考えるのです。その点如何ですか。
  218. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほどもちよつと答えましたように、納税者は税金を義務として納めるのであつて、納めたら御褒美をもらえる、御褒美なもらえなければ税金を納めない、こういう観念が瀰漫して行つたら困るというふうに私たち考えでおります。併し、御指摘になりましたように相当多くの団体で割戻し的な奨励方策を講じている所があります。これはむしろ是正したいわけでございます。現行法で三百二十一条に、市町村民税を納税期荊に納まました場合には一月百分の一の計算で報奨金を出すことにして、おります、これはやはり市町村民祝について報奨金を出しております場合には、同じ割合府県民税についても報奨金を出し、それだけのものは府県から市町村徴収取扱費として交付して行うという、こういうような法律制度として提案いたしておるわけでございます。徴収確保の面につきましては、先ほども触れましように国税府県税、市町村税を通じた納付組合を育成して行きたいし、こういう組合に対する補助費は府県側が積極的に経費を負担して行くよりに持つて行きたいというふうに考えております。
  219. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 都市の労働組合の方面におきましては、一般の勤人でない人人の市民税の納付割合というものが非常に低い、併し一定の職場を持つてそこで働いている人は源泉徴収されてしまうということに対する不満が非常に強いようであります。そこで割戻しといいますか、或いは又払戻しをしてもらいたいということを言つているわけでありまして、この点は私は十分に考えなければいけないと思うのですが、如何なる事情がありましても、会社なり工場なりに働いている人は的確に市民税が取られている実情であります。でそうでないまあ一般の商売人の人たちの市民税なるものは、どうもなかなかその徴収ができない、で結局納税者として勤労者は非常に不利であるということの不平といいますか、或いは不満といいますか、相当に強く出ております。そこで前に申しましたように、労働者の福利や或いは厚生のための施設を作つてくれと、さもなければそれぞれの勤労者の源泉徴収のどのくらいの割合というものを払戻してもらいたいという強い要望があるわけであります。最初は払戻しといいますか、或いは報奨金といいますか、そういうものの闘争に都市の労働組合はまあ集中していたわけでありますが、このほうが余りうまく行かないということで、それでは福利厚生的な事業を市長に交渉して、そしてそういう仕事をやつてもらうということに成功しておるわけであります。こういうことは単に税金を納めたから何か仕事をしてくれ、或いは又報奨金をもらいたいという考えじやなくて、一方において一般の市民の人たちの市民税というものの納付の比率というものは非常に悪いのだと、おれたちだけが的確に市民税を徴収されているのだということの不平なり不満なりというものが非常に強く出て来る一つの理由であろうと、こう考えます。そこでそういつたような考え方が、若し府県民税をまあ今度やるとすれば、やはり同じ要求がそこに出て来るのじやないかと、こう思うのです。そこで一般の府県民税の把握というものが十分でない場合、源泉で徴収せられる人々にとつてはやはりそこに不満が出て来る、従つてまあ源泉徴収をされておるところの人々に対する何かの仕事を府県は考えなければならないという要求になつて来ると思うのです。そういう場合市町村民税に対して現在市なり或いは又は市長なりが考慮しておるようなことは府県民税の場合府県知事が当然考慮しなければならんと、こう思うのです。そういう関係について自治庁として何かお考えがありますかどうか。
  220. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今御指摘の点は、要するに源泉において徴収せられるものと然らざるものとの間において実際のこの徴収の度合、程度、強度等において違いがある、それを何か実際の行政面においてそれに応ずるような措置をやれないかとまあいうようなお考えのようでありますが、源泉徴収されますものとそうではないものとの間の不均衡ということは確かにあろうかと思うのでございますが、これは国税所得税の問題でもあり、又地方税の問題でもあると思うのでありますが、仮にその建前が今のままの建前であるといたしまして、それに応じて何か若干このリベート的に行政の重点を考えて行けというまあ気持は私どもわかるのでございますが、併し税としましては要するに一般の財源でございますから、その他の各種の市税或いは府県税と応じまあ財布の中に入るわけでありまして、その財布の金をどういうふうに行政の上で配分して参るかということか、知事なり市町村長なりが予算を編成し、議会がこれをきめるということでございますから、その場合に只今御指摘のようなことが、恐らく大都市等における現在の実例を指しての話と思いますか、そういうようなことか大都市等においては比較的まあ行われやすい環境であると思いますけれども、道府県におきましては、やはりこの都市部、農村部相当広大なやや性格の違う地域を基礎にして成立しておるわけでございますから、直ちに同じような結果が期待されるということにはならんと思いますけれども、併しこれはまあ予算の編成等の問題として実際上あるそのようなる点が考慮せられて、全体としてまあうまく調和のとれた予算が編成されるとが望ましいと思いまするが、併しこれは何分自活の問題でございまするので、ただそうい予測をいたすのほかないと思うのであります。
  221. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次に進んでよろしゆうございますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次に進むことにいたします。事業税の項に移つて説明を願います。
  223. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 事業税に附加価値税を取りやめまして、従来の事業税を存続するという形をとつておりますので、特に従来の事業税に改正を加えました点を中心に御説明をいたしたいと思います。  第七十七条に事業税の納税義務者等関係規定がございます。「事業税は、法人の行う事業費並びに個人の行う第一種事業、第二種事業および第三種事業に対し、法人にあつて所得及び清算所得又は収入金額個人にあつて所得課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において、その法人及び個人に課する、」で、事業税は所得課税標準にするのが原則だとか、収入金額課税標準にするのか原則だとかいうふうにきめてしまいませんで、それぞれの実態において所得課税標準に用いるものもあれば、収入金額課税標準に用いるものもあるという趣旨を現わしているつもりでございます。四項のほうで新らしく加えましたものは、五号に書いてあります「競技場、遊戯場、集会所等付業」でございます。これも従来は政令で以てしておつたのでございますが、今回法律の上に挙げることにしたわけであります。  ずつと進みまして七十六頁の五項のところに「第一項の「第二種事業」とは、左の各号に掲げるもので政令で定める主として自家労力を用いて行うもの以外のものをいうといたしております。要するに原始産業で課税されるものでございますが、そのうちで、一の「畜産業(農業に附随して行うものを除く。と書いてあります。従来はこのほかに主として土地を利用して行うものも除くと書いておつたのでありますが、これは当時固定資産税がかなり重いものになりましたので、その関係で除外しておつたわけでありますが、非課税規定の整備に関連をいたしましてその字句を外したわけでございます。それから六項の五号でありますがが、「あん摩、はり、きゆう、柔道整復その他医業に類する事業、このうちから括弧に書いてありまする「(両眼の視力を喪失した者その他これに類する政令で定める視力障害のある者が行うものを除く。)」とこれを新らしく挿入したわけでありまして、おめくらさんのあん摩には課税をしない。こうい考え方とつたわけであります。  それからずつと飛ばしまして第八十条、八十頁でありますが、ここに事業税の非課税範囲規定を入れております。その二項におきまして衆議院修正が行われております。二号の「学術研究、学校教育、社会教育等に関する出版物を発行する出版業で政令で定めるもの」、これに追加されまして、「及びもつぱら教育の用に供する映画を製作する事業で政令で定めるもの」、それからその次に「新聞に広告を掲載することを取り扱う事業で政令で定めるもの」、更に「教科書の供給を行う事業で政令で定めるもの」、これだけが追加されております。映画製作する事業は従来になかつた非課税事業でおりますが、広告取扱いと教科書の供給は従来あつたものが復活して参つたわけであります。ただそのまま復活したのではないのであつて、政府のほうで範囲は十分絞つてもらうという意味で政令で定めるものというふうに規定されたわけであります。  それから八十一条の一条のほうで法人の事業局の非課税所得範囲を書いてありますが、その中で四号に衆議院修正水産業協同組合共済会が加わつております。  それから八十一条は公益法人等の清算所得の非課税、八十三条事業税に係る徴税吏員質問検査権、この辺はずつと従来からある規定でございますの、省略さして頂きます。  それから八十八頁の第八十八条でございます。法人の事業税の課税標準規定を置いでおります。第八十八条は、「法人の行う事業に対する事業税の課税標準は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄道事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業及び生命保険業にあつては各事業年度の収入金額、その他の事業にあつては各事業年度所得及び清算所得による。」、これがが外形課税の存廃をめぐつて非常にやかましく論議されている問題でございます。従来ありました外形課税からはずしましたのは、ここに書いてあります一般乗合旅客自動車運送事業一般貸切旅客自動車運送事業以外の運送事業をはずしました半面に、生命保険業を新たに加えたわけあります。それらの事由につきましては、たびたび御説明をいたしておりまするので省略さして頂きます。  それから第九十条でありますが、法人の事業税の課税標準算定方法、「第八十八条の各事業年度所得は、各事業年度の総益金から総損金を控除し金額によるものとし、この法律文は政令で特別の定をする場合を除く外、当該各事業年度法人税課税標準である所得計算の例によつて算定する。」要するに二重の調査はいたさない。国税決定にそのまま乗つかつて行くという趣旨を出しておるわけであります。法人税課税標準である所得計算の例によつて算定をいたしますが、但書きに書いてありますものは、法人税とは違つた計算をする種類であります。その最初衆議院修正が加わつております。即ち「法人税法」第二十五条第一項の規定による青色申告書を提出する法人所得算定については租税特別措置法第七条の七の規定の例によらないものとし、」となつております。これはいわゆる輸出所得の免税を法人税の場合には行うわけでありますけれども、事業税の場合においては行わない。そういう趣旨で入つておる規定でございます。輸出所得、輸出業者につきましては、輸出金額一定割合を損金に算入する等の規定が行われておるわけでありますが、国の政策によつてそういうことが行われるというのはそれでいいけれども、それを個々の府県の負担において行うことは穏当ではない。たから府県の税である事業税については、やはり一般の所得計算の例によるのだ、こういう考え方でございます、更に医療法人が健康保除法等の社会保険診療を行います場合には、これらの所得は算入をしない。法人税の場合には社会保険診療でありましても、所得があります場合にはそれは課税されるのでありますか、事業税につきましては、国会修正で課さないということに先年されましたので、それをそのまま踏襲いたしておるわけであります。ごたごた書いてございますが、社会保険診療の種類をずつと列挙しておるわけであります。そういうものは経費は損金に見ないで、又支払いを受けた金額は利益金にも見ない、こういう趣旨で書いておるわけでございます。  次に二項の場合は、清算所得の場合でございまして、これも国税に乗つかつておるという趣旨を明らかにいたしております。  それから九十三頁の三項のほうには、外形課税の場合の収入金額規定を置いております、即ち「第八十八条の各事業年度の収入金額は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄道事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送事業及び一般貸切旅客自動車運送事業にあつては、当該各事業年度においてその事業について収入すべき金額総額から当該各事業年度において国又は地方団体から受けるべき補助金、固定資産の売却に因る収入金額その他政令で定める収入金額を控除した金額による。」といたしております。  その次に四項の規定、これは新らしく生命保険業に対しまして外形課税方式を採用することになりましたので、その計算方式を書いておるわけであります。「第八十八条の各事業年度の収入金額は、生命保険業にあつては生命保険業を行う法人が契約した左の各号に掲ける生命保険の区分応じ、それぞれ当該各号に掲げる金額による。」、一、「保険期間が五年をこえる生命保険(普通保障約款において、団体を保附契約者とし、その従業員を被保険者とすることとなつている生命保険を除く。)にあつては、各事業年度の初年度収入保険料(保険契約により最初の一年間の保険料に充当されるべき収入保険料をいう。以下第三号において同じ。)に百分の四十二を乗じて得た金額」、乗じて得た金額に、これは二つ問題がございます。一つは初年度収入保険料を課税標準にとつて行くということでございます。五年の生命保険でありますと、最初の一年の収入保険料だけを課税標準にするわけで、次年度以降の収入保険料は課税標準にはいたさないわけでございます。最初保険の契約を得ますことが、保険事業を行なつております者としては努力を要する問題でございまして、又保険業が発展しているかどうかということは、この初年度収入保険料の増減になつて判別することができるわけでありまして、公益的な面を考えますると、この初年度収入保険料を課税標準とするのが、穏当であろうというふうに考えられるわけであります。これに百分の四十二といたしておりますのは、附加保険料に相当するものがこの程度だというふうにいたしているわけであります。要するに積立金に相当するものにまで課税をすることは穏当ではない、銀行の預金には課税をいたしません。それと同じように保険料の中に積立金に相当するものがありますので、その部分には課税しない。要するに附加保険料に相当するものだけ課税する、こういう考え方から、附加保険料に相当するものを百分の四十二と算定しているわけであります、  二号は「保険期間が一年である生命保険にあつては、各事業年度の収入保険料(再保険料として収入する保険料を除き、団体を保険契約者とし、その従業員を被保険者とする生命保険で、被保険者が団体から脱退した場合に保険金以外の給付金を支払う定のあるものにつき収入した保険料のうち、当該給付金に対応する部分の金額を控除した金額)に百分の八を乗じて得た金額」、保険期間が短かくなつて参りますと、附加保険料の分量というものがそれだけ少くなるわけであります。保険期間が五年のものでありますと、最切の分についてだけ四十二でございますから、これを全収入保険料についてみました場合には、これの五分の一だというふうに考えて頂いても大差ないと思うのであります。その結果このような四十二と八の開きが出て来るわけであります。  三号は「前二号以外の生命保険にあつては、各事業年度の初年度収入保険料に百分の五を乗じて得た金額」ということにいたしております。附加保険料がこういうものについては少くなつて参るわけであります。  第九十一条は内国法人でこの法律の施行地以外に事務所又は事業所を有するもの課税標準算定、それから第九十二条は個人の事業税の課税標準、第九十三条は個人の事業税の課税標準算定方法、即ち「前第一項の当該年度の初日の属する年の前年中における個人の事業の所得又は同条第二項の当該年の一月一日から事業の廃止の日までの個人の事業の所得は、要するに前年所得を取つているのでありまして、これは「それぞれ当該個人当該年度の初日の属する年の前年中における事業又は当該年の一月一日一から事業の廃止の月までの事業に係る総収入金額から必要な経費を控除した全額によるものとし、この法律又は政令で特別の定をする場合を除く外、当該年度の初日の属する年の前年中又は当該年の一月一日から事業の廃止の日までの所得税の課税標準である所得につき適用される所御税法第九条第三号及び第四号に規定する不動産所得及び事業所得の計算の例によつて算定する。」ここで所得税に乗つかるんだという趣旨を現わしているわけであります。事業所得と不動産所得、この二つに該当いたしまするものが事業の対象になる所得ということになつて参るわけでございます。但書でやはり衆議院修正で「所得税法第二十六条の三の規定による青色申告書を提出する個人所得算定については租税特別措置法第七条の六の規定によらないものとし、」となつております。これはやはり輸出所得の免税規定は事業税には適用しないのだという趣旨でございます。あとここに書いてありまする問題は、やはり社会保険診療に関しまする所得は事業税の対象にいたさないという趣旨規定でございます。  それからずつと飛びまして、九十八頁の第三項へ、第一項の規定によつて所得税法第二十六条の三の規定による青色申告書を提出する個人所得計算する場合において、当該個人の前年以前三年間における所得計算上生じた損失で前年以前に控除されなかつた部分の金額は、当該損失の生じた年に当該青色申告書を提出し、且つ、その後の年分の申告につき連続して当該青色申告書を提出している場合に限り、当該個人所得から控除するものとする。」要するに損金は三年間繰越しを認めて行く、こういう規定でございます。所得税の場合には所得税額の繰戻しが認められるのでありますけれども、地方税の場合には税額の繰戻しはいたしませんで、その代り損金の繰越しをして行く、こういう建前をとろうとしておるわけであります。第九十四条は事業税の課税標準の特例、これは一般の外形課税標準以外に特別の外形課税標準を用いることができる趣旨規定でありまして、従来あつた規定と同じであります。  二項は「地方鉄道軌道整備法第三条第一項第三号に該当するものとして運輸大臣の認定を受けたものの当該認定を受けた日の属する事業年度から当該認定を受けた日後三年を経過した日の属する事業年度の直前の事業年度までの各事業年度の事業税の課税標準は、第八十八条の規定にかかわらず、当該各事業年度所得による。」これはこのような放つておいたのでは、その田舎の鉄軌道の事業が成立たない、そこで国が補助金を交付してその事業を継続しなければならないようた鉄軌道につきましては、きめられた料金によつて転嫁を期待して行くということを主張いたしましても無理でございますので、そういう国が特別に認定をいたしまして、そうして解散しなければならないような法人であるが、国の必要上補助金を交付する、こういう場合には所得によるのだ、こういうことを書いてあるわけであります。  次に百頁三項であります。出資組合である農業協同組合等でありまして、五行目のところに「各事業年度の初日において当該事業年度の面前の事業年度の末日までに積み立てた法律規定による準備金の額が出資総額の四分の一の額に達しないものの事業税の課税標準である所得は、第九十条第一項の規定にかかわらず、その者の各事業年度法人税課税標準である所得計算の例によつて算定した金額から当該金額のうち当該各事業年度分の出資者に対する剰余金の配当として配当する金額以外の部分に相当する金額を控除して算定する。」、要するに農業協同組合等でありまして、積立金がまだ出資総額の四分の一に達しておりません場合には、従来は事業税を課さないとしておつたのでありますが、この改正によりまして、配当に充てた以外のものはみんな損金に見る。言い換えれは、配当すれば配当部分だけは課税標準にとつて行く、こういう趣旨規定でございます。  第九十五条は二種以上の事業をあわせて行う個人課税標準等の算定、それから第九十六条は鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業とを一貫して行う者の所得算定、これは新しく入れた規定でございますが、「鉱物の掘採事業と精錬事業とを一貫して行う者が納付すべき事業税の課税標準とすべき所得は、これらの事業を通じて算定した所得課税標準算定期間中におけるこれらの事業の総益金又は総収入金額で除して得た数値に当該総益金又は総収入金額から課税標準算定期間中において掘採した鉱物について法人又は個人納付すべき鉱産税の課税標準である鉱物の価格を控除した金額を乗じて得た額とする」、要するに鉱物の掘採の部分につきましては、鉱産税との関係から事業税を課さないことにしております。一貫して行なつております場合には鉱産税の対象になりまする部分については課さないという趣旨から、売上金額のうち鉱産税の対象になつ金額とそれ以外の金頭とを振り分けるわけでもりまして、それに按分して事業税を課する部分々きめよう、こういう考え方であります。  第九十七条は基礎控除の規定でありまして、「事業を行う個人については、その課税標準である所得から年七万円を控除する。」これが衆議院修正で十一万円になつております。附則のほうで実施の時期は政令できめることになつておるわけであります。  それから第九十八条は事業税の標準税率等の規定であります。一法人の行う事業に対する事業税の標準税率は、左の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるものとする。」そうして第一号では、電気供給業等の外形課税をとる部分につきましては収入金額の百分の一・五、従来はこれが百分の一・六であつたのであります。二号はその他の事業を行う法人でありまして、特別法人所得及び清算所得の百分の八、これは据置いております。その他の法人所得のうち年九十万円以下の金額の百分の十、これが従来は十二であつたわけであります。それから所得のうち年五十万円をこえる金額及び清算所得の百分の十二となつております。それから第2項で、「二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人に対する前項第二号の規定の適用については、当該法人所得は、第四百十条の十五の規定により関係道府県に分割される前の所得によるものとする。」、だから二以上の府県で事業を行なつている場合には、百分の十の軽減税率々適用しますのは、やはりその五十万円を両者に分けた部分について適用するわけであります。府県ごとに五十万円ではなくて、事業を一つにしてみて五十万円分だけであります。  それから百五頁の終りから二行目の第5項は、個人の行う事業に対する事業税の標準税率を書いてあります。百六頁に参りまして、第一種事業を行う個人については百分の八、第二種事業又は第一種事業を行う個人については百分の六、第三種事業については百分の四、この第三号の中で「第七十七条第六項第四号、第五号、及び第七号に掲げる事業を行う個人」とあるのは、あん摩、はり、きゆう等の事業であります。従来も百分の四に引下げておりますので、これをそのまま踏襲して参るわけであります。一号の百分の八は従来は百分の十二であつたわけであります。二号の百分の六は従来は百分の六・四乃至百分の八であつたわけであります。  それからずつと飛ばしまして、第九十九条法人の事業税の税率の適用区分、第百条が事業税の徴収方法、第百一条が中間申告を要しない法人の事業税の申告納付、いずれも従来からの規定でございます。  第百二条は事業年度期間が六月をこえる法人の中間申告納付、それから百十四頁に第百三条の規定がございます。新たに設立した内国法人等で事業年度期間が六月をこえるものの中間申告納付、従来と考え方が変つておりませんで、技術的な規定でございますので、説明は遠慮いたします。  第百四条は、中間申告を要する法人の確定申告納付、それからずつと行きまして第百五条、百十八頁でございます。清算中の法人の各事業年度申告納付、いずれも申告納付の仕方を書いた規定でございます。  それから百二十頁へ行きまして、第百六条は残余財産の一部を分配する場合おける清算所得に対する事業税の申告納付、第百七条は解散法人の清算所得に対する事業税の確定申告納付、それから第百八条は合併法人の清算所得に対する事業税の申告納付、第百九条は法人の事業税の期限申告及び修正申告納付、特に申上げることはありません。  それから百二十五頁へ行きまして、第百十条、財産目録等の提出、これは「事務所又は事業所所在地の道府県知事は、所得又は清算所得に対する事業税を申告納付すべき法人が第百一条第三項の規定若しくは第百二条第三項の規定による申告書若しくは前条第二項若しくは第三項の規定による修正申告書を提出する場合又は当該申告書若しくは修正申告書を提出した後において、事業税の賦課徴収について必要があると認めるときは、当該法人に対し、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他の事業税の賦課徴収について必要な書類の提出を求めることができる。」、従来でありますと、申告納付いたします場合に、必ず財産目録や貸借対照表や損益計算書を付けろと、一々こういうふうに義務付けておつたわけであります。今回は法人税の、或いは又所得税の計算の基礎をそのまま使つて行くことにいたしましたので、申告事務をうんと簡素にしたい、こういう考え方から府県の自主決定をする必要のありまするものは別でありますけれども、それ以外は財産目録も要らない、貸借対照表も要らない、こういうふうにいたしておいたのであります。併しながら場合によつては必要なこともございますので、そういう場合には府県のほうから特別の法人に対しましてだけ、財産目録や貸借対照表を出して下さい、こういう提出を求める権限だけを規正しておいた、こういうふにいたしたわけであります。申告手続というものをずつと従来よりは簡素にいたしております。第百十条の二は、法人の代表者等の自署及び押印の義務、これは従来からある規定でございます。  第百十条の三は、法人の代表者等の自署及び押印の義務違反に関する罪、第百十条の四は、事業税に係る故意不申告の罪、それから第百十条の五は事業税に係る虚偽の中間申告納付等に関する罪、いずれも従来からある規定でございます。第百十条の六の税務官署の決定、更正等に係る課税標準を基準とする法人の事業税の更正及び決定、これに事業税は法人税の基礎に乗つかつて行くことにいたしておりまするので、従いまして法人税課税標準につきまして税務官署が更正をいたしました場合には、それに基いて府県知事が更正をして行くのだ、更正決定が国の税務機関において行われないのに府県が勝手に更正決定して行くことはないという趣旨規定をここに置いておるわけであります。国が更正又は決定した場合にはそれに乗つかつて府県が更正、決定をして行くということを書いてあるわけであります。大変技術的な規定でありますので、遠慮いたしておきます。  第百三十二頁の百十条の七の規定、これは「道府県知事は、左の各号に掲げる場合においては、税務官署に対し、法人税法第二十九条から第三千一条までの規定による更正又は決定をすべき事由を記載した書類を添えて、その更正又は決定をすべき旨を請求することができる。この場合において、正当な事由がなくて当該税務官署が当該更正又は決定の請求を受けた日から三月以内に更正又は決定をしないときは、道府県知事は、当該税務官署を監督する税務官署に更正又は決定をすべき旨を請求することができる。」、税務官署の更正、決定いたしましたもの、或いは法人申告納付いたしましたものが府県から見ましてどうも少な過ぎる、こういうふうに認められます場合には申告期限から一年を経過した日後におきまして、国の税務機関に更正を求めるわけであります。而も三月以内に正当な事由がなくて更正、決定をしない場合には更に上級の国の税務機関にその請求をする、税務署のやつておりまする場合には国税局に申出をしますし、国税局のやつておりまする場合には国税庁の長官に申入れをして参るわけであります。その場合に同町に、百三十四頁の三項に書いてあるわけでありますが、百三十四頁の三項に「第一項後段の規定によつて道府県知事が税務官署に更正又は決定の請求をした場合においては、遅滞なく、その旨を自治庁長官報告するものとする。」、国の税務機関の決定にそのまま府県が乗つかつて行く、そのまま乗つかつて行くが、併し国の税務機関のやつていることが当を失していると思われます場合には、国の税務機関自身において直しなさいという請求を府県側からするわけであります。しない場合には更に上級の税務機関に言うと同時に自治庁長官にそのことを報告して来るということによつて、制度的に国の税務機関が公正な決定手続を行うように持つて行きたいという配慮がそこになされているわけであります。  第百十条の八は国の決定にそのまま乗つて行かないで、府県が自主決定しなければならないような種類のものについて規定を設けているわけであります。即ち「道府県知事は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄業事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送業、一般貸切旅客自動車運送事業若しくは生命保険業を行う法人法人税法第六条第一項に規定する法人で事業税の納税義務があるもの」、これにいわゆる重要物産の生産業でありまして、三年間は法人税を課さないとされている種類のものであります。事業税に課さないわけではございませんで課税にいたしますので、自主決定をするという部類に入るわけであります。この次に衆議院修正で「第九十条第一項但書の規定の適用を受ける法人又は第八十条第二項各号に掲げる事業とその他の事業とをあわせて行う法人」が加つております。輸出所得の免税を受けておりますような場合には事業税は課されますので、自主決定をするというふうになつているわけであります。  それから百三十六頁へ参りまして、第百十条の九の規定は、更正又は決定の通知義務を府県に課しております。第百十条の十は、同族会社の行為又は計算の否認の規定であります。これも従来と同じであります。  その次に百三十十八頁に参りまして、百十条の十一の法人の事業税の不足税額及びその延滞金徴収、これも従来からの規定でございます。ただ三項のところに府県民税について申上げましたことと同じように、更正決定が一年以上たつてから行われました場合には、延滞金計算に当りましては、年を超えた期間、これは税務機関が責を負うべき部分とも考えられますので、延滞金期間計算に入れないわけであります。  第百十条の十二は納期限後に納付する法人の事業税の延滞金計算を書いてあります。これも従来と同じ規定であります、  第百十条の十三は法人の事業税の過少申告加算金及び不申告加算金、これも別に変つておりません。  ずつと行きまして、百四十六頁、百十条の十四に法人の事業税の重加算金の規定がございます。これも従来と同じでございます。  それか百四十九頁に百十条の十五、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人申告納付等、先ほど申しましたように五十万円を超える所得がありまする場合には、先ず五十万円の部分を関係府県に分割いたしまして、それぞれに軽減税率を適用して税額を算定した計算の仕方をするという趣旨規定を置いているわけであります。  それから百五十頁の三項でありますが、事業税の分割方法を若干改正しておるわけでありまして、「第一項の規定による関係道府県ごとの分割は、申告書又は修正申告書に記載された関係道府県に所在する事務所又は事業所について、課税標準額の総額を電気供給業、ガス供給業及び倉庫業にあつては当該事務所又は事業所の固定資産の価額に、」、従来は半分は従業員数に按分しておつたのでありますが、全額固定資産の価額に按分するわけであります。  地方鉄道事業及び軌道事業にあつては当該事務所又は事業所の所在する道府県における地方鉄道及び軌道の延長キロメートル数に」、これも半分は固定資産の価額に、半分は従業員数でおりましたのを、地方鉄道、軌道の延長に按分するわけであります。「銀行業及び保険業にあつてはその二分の一を当該事務所又は事業所の数に、他の二分の一を当該事務所又は事業所の従業者の数に、」按分いたします。従来は従業員数だけであつたわけでありまして、こうして事業税の分割を合理化するように考えているわけであります。  それから百十条の十六で、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人課税標準額の総額の更正、決定等、これは主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事が行うことにいたしております。これらを更正いたします場合には従来の規定自治庁長官に指示を求めるということにしておつたのでありますが、今回改正をいたしまして、三項のところに上つておりますように、先ず関係府県知事が相互に協議してやりなさい。今までは一々自治庁の長官の指示を求めさしたのでありますが、それはやめてしまいまして、お互い府県同士相談し合つてやりなさいというふうにいたしたわけでございます。  それから百五十七頁、第百十条の十七、個人の事業税の賦課の方法、それから百六十頁で[百十条の十八、個人の事業税の納期、百十条の十九、個人の事業税の徴収手続、百十条の二十、納期限後に納付する個人の事業税の延滞金、百十条の二十一、二以上の道府県において個人の行います場合の問題、いずれも従来と同じでありまして、指示を求める問題がお互いが相談し合うようにいたしておるだけのことでございます。  百六十三頁の百十条の二十二、個人事業税の賦課徴収に関する申告又は報告の義務、これも同じであります。  百十条の二十三は個人の事業税に係る虚偽の申告等に関する罪、百十条の二十四は、個人の事業税に係る不申告等に関する過料、それから百十条の二十五、道府県知事の通知義務、これは新らしく入れた規定でありまして、「道府県知事が第百十条の十七第一項但書又は第四項の規定によつて個人所得決定した場合においては、当該府県知事は、遅滞なく、当該決定に係る個人所得を税務官署に通知するものとする。」国のほうから通知を受けます半面、府県が自主決定を行います部分で国に参考になり得ますような部分は、府県のほうから逆に税務官署に通知するということで協力関係を出しておるわけであります。  百十条の二十六は法人税又は所得税に関する書類の供覧、適府県知事が国の事務機関について書類を見ることができるという権限を書いておるわけであります。  百十条の二十七は、事業税の脱税に関する罪、それから百六十九頁、百十条の二十八は、事業税の納期限の延長、百十条の二十九は事業税の減免、第百十条の三十は事業税に係る自治庁の職員の質問検査権、いずれも従来からの規定でございます、百十条の三十一は自治庁の職員の行う検査拒否等に関する罪であります。  第四款は更正、決定等に関する救済、これも従来の規定と同じでございます。  それから百七十御頁の第五款、督促及び滞納処分、これも従来からの規定と全く同じでございます。ずつと同じでございます。  百八十二頁の第六款の犯則取締も従来の規定と全く同じでございます。事業税の関係はそこまででございます。
  224. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    午後九時五十三分速記中止    —————・—————    午後十時五分速記開始
  225. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。  それでは地方行政委員会を散会いたします。    午後十時六分散会