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政府委員(
滝本忠男君) 一昨日
人事院は
勤務地手当の
勧告を
国会及び
内閣に対していたしたのであります。大略の
事情は
只今神田人事官から御
説明があ
つた通りでございまするが、今回の
支給地域区分の
改正に当りましては、この
生計費に着目するということは勿論でございまするが、
勤務地手当制度が実際に運営されました際に、いろいろと支障があ
つては、これは
人事行政上
却つて勤務地手当制度の置かれる
趣旨に副わない面もございますので、そういう点も十分
考慮いたしまして
勧告を行な
つた次第でございます。
又
町村合併等が最近非常に行われておるわけであります。
市町村合併促進法に基きまして行われておるわけでございますが、昨年中にも相当行われたのですが、本年の四月一日乃至五月
あたりにおきまして、相当多数の
町村が
合併にな
つておるのであります。
町村合併が行われますると、同一
行政区画の中におきまして成るべく
級地が異らないということのほうが
人事行政上工合がいいということは、申すまでもございません。従いまして我々といたしましては、たとえ
市町村合併の結果それが市になりませんでも、その中に
一つでも
一級地があるというような場合には、その
行政区面内は全部
一級地の扱いにするというような
方針を一貫してと
つたのであります。又たとえ
無給地ばかりが
一緒になりましても、市になるというような場合には、これは
市町村合併促進法の
趣旨並びに当時の
国会の
要望もあ
つたのでありまするが、又おおむね市になるという所は、この
生活費の面から見ましても、直接的とは言えないかも知れませんが、やはり高いということが一般的に言い得ると思うのでありますが、そのような際におきましては、
無給地ばかりが
一緒にな
つたというような場合においても、これが市であるならば
一級地にするという
方針をとりました。
それから又これは従来
人事院がや
つておることでありますが、二段飛びということは、これは一応やらないという原則を立てたのであります。で、三
級地以上の市と
無給地が
合併したときはどうであるかということでありますが、このときは無
条件に二
級地三
級地というふうに一挙に格上げするということは、
只今申上げました二段飛びにも原則的に反しますし、又そういうふうにやることは、
合併されない
市町村との
関係も、又そこに断層を作ることになりまするので、これは同一
行政区面内において
人事が円滑に行われるということと、又
隣接市町村との
関係を両者勘案いたしまして、
一級地までならばや
つたのでありますが、それ以上は特別の
事情がない限りはこれをいたさなか
つた。それから又上のほうの
級地の
引上げの際におきましても、やはり
隣接の
市町村との
関係を
考慮いたしまして、その
限度においてこれを
引上げる。でき得るならば、この
行政区画を全部同一に扱うということが一方から
考えれば好ましいのでありますけれども、又他面他
町村との
関係も
考慮いたしまして、区分して
取扱つた所もございます。で、我々の
改訂におきましては、
消費者物価指数というものが根幹をなしておるのでありまするけれども、現在すでに
消費者物価というものはないので、
従つて小売物価地域差指数というものに、これに代置して使わなければならないということにな
つております。従いまして、
小売物価指数もその
限度において
使つたのでありまするし、本日お手許に提出しておりまするようなこの各
地域における
民間給与水準というようなものも調べ上げましてこれも参考に
使つたのでございます。
国家公務員について申しますならば少なくとも現在
地域給を
支給されておりまするものは
国家公務員の中では八〇・六%なのでございますが、この
勧告が若しこのまま実現するということでありますればこれは八九・一%
程度になる
予定でございます。
市町村の数だけから申しまするならば、これはまあ五月十日現在の
行政区画によりましてもなお且つ
全国に八千七百七十三の
市町村があるのでありますから、千三百六十上げまして、結果として二千四十三
町村がこの
地域給支給地となりましても、これはおおむね全
市町村の約二割五分
程度に当
つている、このようなことに相成
つております。
給与法の
適用職員だけについて申しまするならば、このような
改訂の結果どれほどこの
予算の増を要するか、我々のほうは
予算の
専門ではございませんので現わした数字は概算になるのでありますが、おおむね十六億五千万円
程度年間予算の支出を要するのではなかろうか、このように
考えております。なおもとよりこの
地域の
改訂をやりますれば、これに伴いまして
官署指定の
改訂ということを当然行うべきであるというふうに
考えております。まあそれにつきましては早速各省に今回の
勧告に基くならばどういう
官署を
官署指定する必要があるかということにつきまして問合せを発して、これを至急
調査しよう、尤もこれは大部分はわか
つているのでありますが、なおこの
作業に十全を期しますためにそのような
措置を取りたいと思
つております。なお
従前官署指定の際には非常に強い内規の
基準をいたしてお
つたのでありますが、これは
国立療養所あたりの場合には
必らずしもその
基準を
適用することが適当と
考えられませんですので、
国立療養所の場合にはもう少し別の
基準でこれに対処いたしたい、このように
考えている次第でございます。
市町村合併の問題はおおむね五月十日までのこれで一応解決したことになるのでありますが、その後におきましてもまだ相当他の
市町村合併が行われる
予定でございます。そのようなものをどういうふうに
取扱うのが適当であるか、いろいろ
考えて見たのでございまするが、この問題はやはり例外的に
一定の
基準を定めましてまあ
予算の
範囲ということは勿論でございますが、
人事院規則でそれに対処し得るような途を開いて頂くことが適当ではなかろうか、
地域指定はすべて
法律事項でございますが、この問題だけは例外的に
取扱わして頂くのが適当ではなかろうか、このようなことを
考えてその
案等も我々のほうでいろいろ練
つている次第でございます。以上が今回の
勧告に当りましての
作業の
改訂方針並びにまあ今回の
勧告を行われました結果等につきまして御
報告を申上げた次第でございます。