運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-31 第19回国会 参議院 人事委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月三十一日(月曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   委員の異動 五月二十八日委員岡田信次君及び湯山 勇君辞任につき、その補欠として宮田 重文君及び岡三郎君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松浦 清一君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            北村 一男君            後藤 文夫君            溝口 三郎君            紅露 みつ君   政府委員    人  事  官 神田 五雄君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君   事務局側    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六十七名発  議) ○継続審査要求の件 ○国家公務員給与問題等に関する調  査の件  (勤務地手当支給地域区分に関する  人事院勧告に関する件) ○理事辞任及び補欠選任の件   —————————————
  2. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それではこれから委員会を開会いたします。  日程に入ります前に諸般の御報告を申上げます。前回五月二十人目の本委員会で、昭和二十九年六月に支給されるべき国家公務員期末手当臨時措置に関する法律案に関連をいたしまして、政府に対する要望決議をいたしたわけでございますが、その際委員長理事におきまして大蔵大臣官房長官加藤国務大臣等にこの決議書を手交することが一任されておつたわけでございますが、翌二十九日に委員長千葉理事に御同道願いまして小笠原大蔵大臣福永官房長官にこの決議書を手交いたしました。当日加藤国務大臣は旅行中で御不在でございましたので、まだ手交いたしておりませんが、最近の機会に手交いたすつもりでありますから、御報告を申上げます。  公報に掲載いたしておりまする日程全部を問題に供します。  先ず日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案について提案者趣旨弁明を求めます。
  3. 千葉信

    千葉信君 只今議題となりました「日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案」につきまして、提案理由を御説明申上げます。  昭和二十七年四月、「日本国との平和条約」の効力発生に伴い、連合国軍労務者身分が切替えられて、特別職国家公務員から外され、その後は、日米安全保障条約に基く駐留軍のための労務者は国によつて間接雇用され、英連邦軍のための労務者は軍に直接雇用されて現在に至つておりますが、今回、国連軍協定及び日米相互防衛援助協定の締結、並びに調達庁設置法等の一部改正により、国連軍及び軍事援助顧問団のための労務者も、従来の米駐留軍のための労務者と同じく、国によつて間接雇用され、その給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業従業員給与その他の勤務条件考慮して調達庁長官が定め、その労務費は軍が負担することになつたのであります。  ところで、常にこれらの労務者給与等を定める基準とされている国家公務員につきましては、昭和二十六年以降、行政機構改革に関連し、又は予算実行上の要請による整理退職の場合は、従来の入割増退職手当支給する特例が設けられ、昭和二十久年八月以降は、国鉄等三公社における業務量の減少その他経営上やむを得ない事由による退職の場合も含めて、整理退職手当は、右の支給率が恒久化されており、又昨年の秋以来、特別待命、ついで臨時待命制度考慮されておりますが、他方、駐留軍等労務者は、終戦以来、言語、風俗、慣習を異にする外国軍隊に使用され、しばしば軍の都合により解雇を受ける等、身分の不安定な労働環境の下に、国に課せられた労務提供の責務を果すため協力しており、特に、遠からず、駐留軍等の配備の変更又は撤退その他、国の内外の客観情勢に基き、大巾の人員整理を余儀なくされる運命にあるのであります。従いまして、この際、駐留軍等労務者が、人員整理等自己の責に帰すべき事由以外の事由により、その意に反して退職する場合は、国家公務員等整理退職の場合との均衡上、少くとも現行退職手当支給率の入割増退職手当を保障し、以てこれらの者の身分の不安定を多少とも救済しようとするのが、この法律案を提出いたした理由でございます。  何とぞ御審議の上御賛成下さるようお願い申上げます。
  4. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 只今提案されました本法律案につきましてはいろいろ関連している問題もございますし、多々御質疑があろうかと思いますが、会期も本日を入れまして後四日、これはもう絶対延長されない会期だと想像されまするので、この会期中に質疑を終了することは到底困難だと考えまするので、この法律案継続審査といたしまして閉会中に十分審議をいたしたいと思いますが、御異議ございませんですか。  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  5. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それでは本法律案につき閉会中も引続き審査ができるよう継続審査要求書議長に提出するに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。   —————————————
  7. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それでは国家公務員給与問題等に関する調査に関連いたしまして、一昨日人事院から勧告をされました国家公務員勤務地手当につきまして御質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  8. 千葉信

    千葉信君 神田人事官もお見えになつておられますから、一つ国会としてこの際人事院のほうからこの勧告案内容等について、人事院立場から一応の御説明を承わりたい、委員長においてさようお取計らいを願います。
  9. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 一昨日人事院では国会及び内閣に対して勤務地手当支給地域区分改訂勧告を行なつたのでありまするが、その趣旨を簡単に御説明申上げます。  昨年十二月第十八回国会において、勤務地手当支給地域区分の五区分制が四区分制改訂されましたが、なお地域相互間に非常に不均衡が存在いたしまして、これを是正する必要が認められましたので、調査研究の結果、消費物価地域差指数小売物価地域差指数及び地域別民間給与水準のほか、所在官署都市周辺市町村合併その他の諸事情を総合勘案して勧告を行なつた次第であります。  なお、今後著しい情勢変化がない限り、支給地域区分改訂に関する勧告は行わず、将来この制度の根本的な改革を期したいと考えております。但し最近全国各地市町村合併が盛んに行われておりますのに鑑み、市町村合併に伴うものについては臨機適正な処置をとることが、人事行政上適当であり且つ必要と思われますので、一定基準に従い、予算範囲内において、人事院規則で所要の措置を講じ得る途を開くことが適当である旨が特に勧告中に申添えられております。  この勧告によりますれば、全国市町村のうち約一千三百六十が改訂され、その結果約二千四十が支給対象地域となりまして、又給与法適用を受ける国家公務員の約九〇%が勤務地手当支給を受けることとなつておる状態であります。  以上甚だ簡単でありますが、御説明申上げましたが、なお細部に亙りましては給与局長のほうから御説明いたします。
  10. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 一昨日人事院勤務地手当勧告国会及び内閣に対していたしたのであります。大略の事情只今神田人事官から御説明があつた通りでございまするが、今回の支給地域区分改正に当りましては、この生計費に着目するということは勿論でございまするが、勤務地手当制度が実際に運営されました際に、いろいろと支障があつては、これは人事行政却つて勤務地手当制度の置かれる趣旨に副わない面もございますので、そういう点も十分考慮いたしまして勧告を行なつた次第でございます。  又町村合併等が最近非常に行われておるわけであります。市町村合併促進法に基きまして行われておるわけでございますが、昨年中にも相当行われたのですが、本年の四月一日乃至五月あたりにおきまして、相当多数の町村合併になつておるのであります。町村合併が行われますると、同一行政区画の中におきまして成るべく級地が異らないということのほうが人事行政上工合がいいということは、申すまでもございません。従いまして我々といたしましては、たとえ市町村合併の結果それが市になりませんでも、その中に一つでも一級地があるというような場合には、その行政区面内は全部一級地の扱いにするというような方針を一貫してとつたのであります。又たとえ無給地ばかりが一緒になりましても、市になるというような場合には、これは市町村合併促進法趣旨並びに当時の国会要望もあつたのでありまするが、又おおむね市になるという所は、この生活費の面から見ましても、直接的とは言えないかも知れませんが、やはり高いということが一般的に言い得ると思うのでありますが、そのような際におきましては、無給地ばかりが一緒になつたというような場合においても、これが市であるならば一級地にするという方針をとりました。  それから又これは従来人事院がやつておることでありますが、二段飛びということは、これは一応やらないという原則を立てたのであります。で、三級地以上の市と無給地合併したときはどうであるかということでありますが、このときは無条件に二級地級地というふうに一挙に格上げするということは、只今申上げました二段飛びにも原則的に反しますし、又そういうふうにやることは、合併されない市町村との関係も、又そこに断層を作ることになりまするので、これは同一行政区面内において人事が円滑に行われるということと、又隣接市町村との関係を両者勘案いたしまして、一級地までならばやつたのでありますが、それ以上は特別の事情がない限りはこれをいたさなかつた。それから又上のほうの級地引上げの際におきましても、やはり隣接市町村との関係考慮いたしまして、その限度においてこれを引上げる。でき得るならば、この行政区画を全部同一に扱うということが一方から考えれば好ましいのでありますけれども、又他面他町村との関係考慮いたしまして、区分して取扱つた所もございます。で、我々の改訂におきましては、消費者物価指数というものが根幹をなしておるのでありまするけれども、現在すでに消費者物価というものはないので、従つて小売物価地域差指数というものに、これに代置して使わなければならないということになつております。従いまして、小売物価指数もその限度において使つたのでありまするし、本日お手許に提出しておりまするようなこの各地域における民間給与水準というようなものも調べ上げましてこれも参考に使つたのでございます。国家公務員について申しますならば少なくとも現在地域給支給されておりまするものは国家公務員の中では八〇・六%なのでございますが、この勧告が若しこのまま実現するということでありますればこれは八九・一%程度になる予定でございます。市町村の数だけから申しまするならば、これはまあ五月十日現在の行政区画によりましてもなお且つ全国に八千七百七十三の市町村があるのでありますから、千三百六十上げまして、結果として二千四十三町村がこの地域給支給地となりましても、これはおおむね全市町村の約二割五分程度に当つている、このようなことに相成つております。給与法適用職員だけについて申しまするならば、このような改訂の結果どれほどこの予算の増を要するか、我々のほうは予算専門ではございませんので現わした数字は概算になるのでありますが、おおむね十六億五千万円程度年間予算の支出を要するのではなかろうか、このように考えております。なおもとよりこの地域改訂をやりますれば、これに伴いまして官署指定改訂ということを当然行うべきであるというふうに考えております。まあそれにつきましては早速各省に今回の勧告に基くならばどういう官署官署指定する必要があるかということにつきまして問合せを発して、これを至急調査しよう、尤もこれは大部分はわかつているのでありますが、なおこの作業に十全を期しますためにそのような措置を取りたいと思つております。なお従前官署指定の際には非常に強い内規の基準をいたしておつたのでありますが、これは国立療養所あたりの場合には必らずしもその基準適用することが適当と考えられませんですので、国立療養所の場合にはもう少し別の基準でこれに対処いたしたい、このように考えている次第でございます。市町村合併の問題はおおむね五月十日までのこれで一応解決したことになるのでありますが、その後におきましてもまだ相当他の市町村合併が行われる予定でございます。そのようなものをどういうふうに取扱うのが適当であるか、いろいろ考えて見たのでございまするが、この問題はやはり例外的に一定基準を定めましてまあ予算範囲ということは勿論でございますが、人事院規則でそれに対処し得るような途を開いて頂くことが適当ではなかろうか、地域指定はすべて法律事項でございますが、この問題だけは例外的に取扱わして頂くのが適当ではなかろうか、このようなことを考えてその案等も我々のほうでいろいろ練つている次第でございます。以上が今回の勧告に当りましての作業改訂方針並びにまあ今回の勧告を行われました結果等につきまして御報告を申上げた次第でございます。
  11. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 只今人事院からの御説明に対して質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  12. 千葉信

    千葉信君 神田人事官にお伺いいたしますが、只今の御説明の中にもありましたし、それから同じく勧告の案文の中にもありますが、将来根本的にこれを改革するというお考えは私どもも了承しておりますが、ただこの場合、従つて今後著しい情勢変化がない限り当分の間個々地域についての改訂等については人事院としては考慮する意思はない、そういうお話ですが、情勢変化とは一体どういう点を人事院としてはお考えになつておられるのでありますか。その情勢内容一つお伺いしたいと思います。
  13. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 勿論それはいろいろの条件がありますのですが、やはり物価その他が一番大きな要素になるだろうと思います。
  14. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ちよつと補足いたしまして。  この地域給の問題につきましては、昨年一年間の間におきまして当人事委員会並びに衆議院の人事委員会におきましても、先ず現在の制度についてアンバランスというものがあるからこれを是正した後、段階整理という方向に行くべきであるということにつきましては、おおむね御意見が一致しておつたよう考えるのであります。又この点につきましては、人事院も誠に同感なのでございます。従いまして、まあこの個々地域給問題というものは、これはまあ生計費の差等に応ずるということでございますが、それに細かく応じて行げばこれは又きりのないものでございまするので、おおむね今後はその段階を縮減して行く、そしてその数を少くするということが主でありまするので、そういう状況になりますればこれは少々の物価動き等によりましてはそれを一々取上げるというまあ技術的に必要がなくなるのでななかろうかというようなことを一応考えておる次第であります。従いまして、この個々アンバランス是正ということは、今後何回も繰返してやるというようなことはまあこれはあまり適当でないので、従いまして我々とすれば絶えず調査研究はいたすのでありまするが、非常に著しい物価変動等がその地域に起るということのない限りは、これを一々取上げないで、むしろ段階を整理するという方向に行きたいということを勧告で申上げておる次第でございます。
  15. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、お二人の答弁から言いましてもその条件としては特別に著しい物価変動等が起り且つ又それが地方的な現象として非常にその問題がはつきりと出たような場合には、やはり只今答弁でも或る程度考慮はしなければならんということになると思うのですが、そういうふうに了解してもよろしうございますか。
  16. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 給与法にも明示してありますることでありまして、絶えず人事院はこの制度が適正に維持運営されますように、調査研究をいたさなければならないことでございますので、そういう著しい事情変化ということがありますれば勿論これは給与法従つてやらなければならんことであろうというふうに考えております。
  17. 千葉信

    千葉信君 そうすると、人事院としては根本的な制度改革というか問題の解決を図るという方向に進むつもりであるが、著しい情勢変化が特に地域的に認められる場合にはやはりこれは勧告という点も将来考慮しなければならないと、そういうまあお考えの上に今立つているのだと、こう了解して差支えございませんか。いいですね。
  18. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ……
  19. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 今千葉君の質問に対して滝本給与局長は言葉で返事をなさらずに頭を下げておられましたので、了承していいという意味に(笑声)委員長は解釈して速記に留めておいてもらいたい。
  20. 千葉信

    千葉信君 それから次にお尋ねしたいことは、どうもこれは若し私のひがみであつたならばこれは申訳ない次第ですが、勧告を拝見いたしますと、かなり下位の級の地域については相当広汎に人事院としては英断を振われたようですが、かなり上位の級ということになりますと非常な窮屈な考えでこの勧告案結論付けられておるというふうに私ども拝見いたしますが、そういうことになりますと、若し私のひがみ通りつたといたしますと、勿論人事院としては予算上の問題等を相当慎重に考慮されたろうとは思いますが、併しその結果として出て来たものは折角の不均衡是正、そして又場合によれば格別情勢変化ない限り、ひよつとすると今回がもう終りになるかも知れないというために、そのためにできるだけ公平ということが要請されたのに人事院予算関係寺考慮が若しあつて、そして下位の級についてはかなり広汎に公平に考慮したけれども、上位級等については特に公務員数の多い地方予算の必要の地域については窮屈な考えでこの勧告がなされたということになりますと、不均衡是正という問題、それから又それが或いは今回この勧告が最後になるのではないかという懸念を持つている公務員諸君にとつては、特に直接利害関係を伴つている地域公務員等はかなりこの点では私は不満を持つのではないかと思うのですが、その点はどう人事院としては考慮されるおつもりであるか。
  21. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 先ほども申しましたように我々の方針といたしましては、今回はまあ生計費の点を着目したのでございまするが、そのほか公務員の相当考慮される場合等も考慮いたしまして、官署所在というものも相当念頭におきまして作業いたした次第でございます。先ほどの方針従つてすべての作業は行なつたというふうに思つております。
  22. 千葉信

    千葉信君 まあ必ずしも了承したという意味ではございませんが、大体いろいろな関係がありますので次の質問に入りますが。  次にもう一つお尋ねしておきたいことは御承知のように従来地域給問題等についてはかなりあらゆる地方からいろいろな形において公平に取扱つてもらいたいという要望に基いて陳情が行われたり、或いは請願という形がとられたりしたこともありますし、又直接人事院のほうにもいろいろ話合いをするというような状態があつたようですが、そして又そういう方法を通じてかなり的確に結論の出された地方も相当あつたわけですが、ところがこの制度必然性に伴つて来た弊害というのは相当広汎に而も経費も相当余裕を持つて地域に対して精密に調査を行うことができないという関係から、勢いその結論が必ずしも全般的に公平に常に行われていたとは限らないという状況にあつたわけですが、従つてそういう経過の中で、できるだけ早くこの問題の適正な処置をしてもらう必要があるということで動かれた場合には、今申上げたような割合に公平に扱われている。ところがそうでない場合には、従来閑却されておるという現象もあつて、そういう条件の上に立つて、今回の不均衡是正もそういう不公平をなくするために行われたわけですが、併しそういうふうに今までの実績、それから現行給地区分等関係ではそういう点でかなり不均衡があつた。ところが今度その不均衡是正をやる場合に、思い切つてその不合理や不均衡状態があることを最終的に是正するという方針をとるということになりますと、これはやはり場合によつては飛び給ということも考える必要があつたはずです。つまり飛び給というようなことをやらなければならないのは、半面において飛び給という条件で合理化しなければならんという事実があることを否定したのではなくて、そういう不均衡があるけれどもとにかく飛び給というやり方はいろいろな関係からこの際の方針としてもとらないという立場で行われた。そうすると結論として或る程度その飛び給をするということによつて、初めて公平なり合理化されるという条件地方が多々あつたのに、それをやらなかつた、こういうことになると思うのです。で、人事院としてはそういう地方に対して今後どういうふうにこれを処理されるお考えを持つておるか、これを承わりたいと思います。これは個々地域等を取り上げて、その地域条件等を詳細に取り上げて検討すればはつきりすることなんですが、まあこの際は個々条件は別として、大体の方針としてのお考えを承わりたいと思います。
  23. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 人事院はこの問題につきまして、各地方からいろいろ陳情等を承わり、そうしていろいろな知識を得たということは事実でございます。又国会方面からいろいろ又御注文やいろいろお教えを願いまして、そのためにいろいろの問題を処理して行くための知識を得たということも事実でございますが、併しそういうところだけがよくわかつて、ほかがわからないということでは、これは相済まないわけでございまするし、一方人事院としては、それほどこの問題を現地に参つて調査するほどの旅費もないわけであります。従つてまあこの際にでき得る限り人事院地方事務所を利用いたしたということと、それから府県人事委員会の御協力を願いまして、府県内における状況等につきましては、十分御調査願つたということで、むしろ陳情等のない地域につきましては、よほどより一層の関心を以ちまして作業をやつたと、このように私たちは思つている次第であります。  飛び給の問題でございまするが、確かに御指摘のような面も若干はないではなかろうかと思いますが、これは将来地域給段階整理して参ります際に、おのずから或るものはこの中に吸収されて行くということがあるのではなかろうかと、このように考えている次第であります。
  24. 千葉信

    千葉信君 そうすると私は、現状は必ずしも一段階だげの格上げだげでは救い切れないという条件も多々含んでいるような現行支給区分の上に、飛び給はやらないで一律に上げる場合でも、一級地だげということにしたということによつて残つた均衡地域に対しては、その地域の問題として取上げるやり方ではなくて、全体的に、まあ御説明にありますような根本的な制度の改変というような場合に考慮するだけで、それ以外の場合については、今人事院としては考える御意思はないと、こういうことですか。
  25. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 勧告文にございまするし、神田人事官からも御説明申上げましたように、著しい変化のない限りは、個々アンバランス是正ということを、今後大々的に何回も繰返してやることは如何なものであるか、もうおおむね我々の作業というものは、その面から見れば一応完了したと見てもいいのではないか。今後においては、段階整理とか、或いは地域給を根本的に持つて行く方向をどうするかということで、そういう問題は吸収解決される問題ではなかろうか、このように考えておりますが、飽くまで我々が申上げますことは、著しい情勢変化のない限り、今後個々地域アンバランス是正ということは、まあやらないということを申上げているのであります。
  26. 千葉信

    千葉信君 問題は将来起つて来る変動という問題と関連して来るわけですが、そういう場合に考慮することにして、ただ一点だけ……、今のお答えになつた方針では、まだ相当今後個々地域立場から、いろいろな問題が起つて来ると思いますから、一つもう少し人事院としては、積極的に根本的な方針を打立てるという条件と共に、個々の場合における不平等なり不公平という事実がはつきりするような場合には、只今申上げたように飛び給をやらなかつたというような方針もありましようし、それから引上げに洩れたという地方の中から、そういう問題が出て来るでしようから、一つ今後も十分にこの点については、慎重に人事院として研究しておかれるように、この際お願いしておきます。  次にお尋ねしたいことは、五月十日現在でも、この市制施行地或いは又合併という条件がはつきりした地域については、今回の勧告において十分にこれは考慮した、その通りだと思うのですが、御承知のように、大体町村合併の最終的な段階というのは、今年八月乃至九月頃というのが常識でございます。事実又その方向へ進んでおります。その場合に、先ほどの御答弁では、まあこれは給与法の中で、どういうふうな方法が考えられるか、或いは又その他の人事院規則とその他の関係考慮されるのか、まだ明確にはお話はありませんでしたが、いずれにしても級地の決定等の条件の中に、新らしく合併という事実が発生する地域については、一々国会審議によらずに、何らかの便法を講ずるという方法で対処された、私はこれは人事院としてはなかなか頭のいいやり方だと思うのです。ただそこで問題が起つて来るのは、当初地域給支給区分等について、国会がこれを最終的に決定するという人事院勧告があり、その方針がいいか悪いかという点については、国会でもかなり論議のあつたところです。本当に民主的な方法として考えられることは、これは勿論国会でこの問題を最終的に決定するという方法をとるというのが憲法の建前でもあるし、公務員法の建前でもあるし、これはその通りだと思うのですが、併し問題の性質から考えて、必ずしもこういう非常に絶えず問題の起つて来る条件或いは又広汎に問題が波及する問題であるという条件、絶えず変動を起す条件、こういう条件考えると、まあ方法としては必ずしも法律で、そして国会で、これを最終的に決定するというやり方は、考慮する必要があるということが当時論議されたことは、これは御承知の通りなんです。そういう点から行くと、私は今回の場合、そういう根本的な、一体どこでこれをきめるのか、国会でこれはきめるのか、人事院規則でこういう問題を処理するということで行くか、そういう点については根本の民主的な方法としてはどうかということ、それから実際上問題の性質から考えて、もつと機動的な方法をやるためには、そういうきめ方では可なりの支障も絶えず起り勝ちである、こういう二つの角度からの調整という立場においてこの問題を考慮する必要があると思うのですが、人事院としては、今町村合併に伴うこれから起つて来る問題の捉え方については、人事院規則、その他ということで方針考えられているようですが、私が今申上げたようなもつと根本的な点については、人事院として考慮されているかどうか。これを一つ……。国会答弁するのだから、国会の権限とか、そういう点で遠慮したりしないで、一つ人事院の希望的な意見でもいいから、私ははつきりとこの際言つてもらつたほうがいいと思います。一つそのつもりでお答え下さい。
  27. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 町村合併の問題につきまして、只今千葉委員からお話がございましたことは、誠に御尤もでありまして、我々もその点を非常に考えているのであります。現在地域給関係人事院に委任されているものは何かと申しますると、官署指定の問題がございます。併しこれは個々官署の問題でございまして、町村合併があつたから、その地域を全部支給割合を同じにするというような大きい問題ではないのであります。で町村合併がありました際に、支給区分一緒にするという問題は、地域給本来の問題になろうかと思いまするので、現在の制度の下においてはむしろこれは国会でおやりになるのが適当だという、まあ法理上の結論が出て来るのではなかろうかと我々も思つております。併しながら現実にそう思つてはおりまするけれども、この一定基準を定めまして、そうしてあらかじめ人事院に委任して頂くということであるならば、精神においても大して違わんものになるのじやなかろうかというような点も考えまして、いろいろ考えておりまするが、方向、並びに希望といたしましては、やはりこの問題は人事院に、一定基準を定めまして、委任して頂くことが適当ではなかろうかと思つておりまするが、併し著しい事情変化があつたというような場合だつて、これはあり得るのであつて、むしろそれならばそのようなときだつて人事院に委任して頂いて結構じやないかというような、同種の問題も出て参ります。問題は非常にむずかしいと思うのでありまするが、今後この点につきましてもいろいろ御審議願いまして、適当な方法を考えて頂き、又最も適当な方法をこの問題についてやつて行きたい。このように考えております。
  28. 千葉信

    千葉信君 この問題については、国会としても考える必要があろうと思いますし、一つ人事院としても、その国会審議というか、意思を決定するための条件として十分掘り下げて、もつと人事院として、この問題については研究してもらいたいと思いますから、これも要望しておきます。  それからもう一つはこの点では調査ができているかどうかわかりませんが、只今説明にもありましたように、国家公務員関係では大よそ十六億五千万円の予算を必要とする。まあ地方公務員、或いは公共企業体の関係なんかは、これも全部含めて数えるとすれば、七十億程度大体かかると思いますが、私たちのお尋ねしたいのは、そういう条件の中から、一体一万五千四百八十円という状態になつている国家公務員の場合の一般職の職員の平均給与水準は、この措置を取ることによつて、どの程度になるか、資料から見ればわかるかも知れませんが、これを一つここでお尋ねしたい。
  29. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 一万五千四百八十円というのは、本年一月一日現在の水準でございます。でその後におきまして、定期昇給、或いは昇格等によりまして、これは漸次上つて行くわけでありまして、それもいろいろ推定してみなきやなりません。従いまして、この措置によつてどれだけ上るかということでございまするが、そのような方法で我々この問題を今まで研究いたしませんでしたので、その点につきましては改めて計算をいたしてみまするが、本日差上げておりまする資料を御覧願いますると、この五区分制の場合におきましては……。それじやちよつと申上げます。昨年の十二月末現在におきまして、地域給の部分的な支給割合というものは、一五・六%になつております。これが段階整理の結果一一・六%となつております。今回この勧告が若し実施されますならば、この支給割合は一二・八%、こういう数字になる予定でございます。これは俸給と扶養手当に対しての割合でございます。計算してみればすぐわかることでございますが、間違えてはいけませんので、御質問の御趣旨につきましては又別途研究いたします。
  30. 松浦清一

    委員長松浦清一君) ほかに御質問ございませんか。  ちよつと速記止めて下さい。    〔速記中止〕
  31. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 速記つけて下さい。  それでは地域給の問題につきましては、まだ御質疑があろうかと思いますが、要求いたしておりまする政府委員の中にまだ御出席にならないかたもございますので、本日は残余の質疑の部分は保留いたしまして、これで打切りたいと思います。   —————————————
  32. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 日程に追加して、北村一男君から理事辞任の申出がございますので、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松浦清一

    委員長松浦清一君) 御異議ないと認めます。よつて北村一男君の理事辞任は許可されました。  つきましては、理事が一名欠員となりましたので、その補欠を互選いたしたいと存じますが、互選の方法は、成規の手続を省略いたしまして、委員長において指名することに決して御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松浦清一

    委員長松浦清一君) それでは理事宮田重文君を指名いたします。  本日はこれで散会いたします。    午前十一時五十一分散会