運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-11-15 第19回国会 衆議院 労働委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十五日(月曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 大橋 武夫君 理事 持永 義夫君    理事 多賀谷真稔君 理事 日野 吉夫君       木村 文男君    三浦寅之助君       並木 芳雄君    黒澤 幸一君       島上善五郎君    大西 正道君       辻  文雄君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小坂善太郎君  委員外出席者         労働事務官         (労政局長)  中西  実君         専  門  員 浜口金一郎君     ————————————— 十月八日  委員荒木萬壽夫君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として並木芳雄君及び川島金次君が議  長の指名委員に選任された。 同月九日  委員中野四郎辞任につき、その補欠として佐  藤芳男君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員並木芳雄辞任につき、その補欠として荒  木萬壽夫君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として中  原健次君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として五  十嵐吉藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員五十嵐吉藏辞任につき、その補欠として  川崎秀二君が議長指名委員に選任された。 十一月十五日  委員川島金次君、川崎秀二君及び井堀繁雄君辞  任につき、その補欠として辻文雄君、並木芳雄  君及び中村高一君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  理事井堀繁雄君の補欠として日野吉夫君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人招致に関する件  失業対策労使関係及び労働基準に関する件     —————————————
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  失業対策労使関係及び労働基準に関する件を議題といたします。  まずお諮りいたします。本委員会におきましては去る十九国会の三月三日に、駐留軍家族宿舎要員に対する労働保護の問題について、牛島寿子君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしましたが、その後の事情を聴取するため、再び参考人として明日出席を求めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。  次に、先般労働関係における不法な実力行使防止についての労働次官通達についても、学識経験者及び利害関係者参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤松勇

    赤松委員長 それでは参考人として沼田稲次郎君、有泉亨君、田中和夫君、北岡寿逸君、以上の方々学識経験者参考人として呼びたいと思います。なお労働組合側から高野実君、和田春生君、使用者側から馬淵威雄君、三段崎俊吾君、以上の方々参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  次に失業対策に関する件につきまして、兵庫県中小企業協同組合理事長三木一雄君、同じく熊本県中小企業協同組合理事富家一君、秋田県労働部長森松孝作君を、参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  6. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  次に専売調停の件につきまして、専売労組佐藤新次郎君、遠藤留蔵君、調停委員会より上山顕君、以上の方々参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  なお地公労法に関する問題につきまして、小林義信君を参考人として呼ぶことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 赤松勇

    赤松委員長 ではさよう決します。     —————————————
  9. 赤松勇

    赤松委員長 次に去る十一月六日各県知事あてに出された労働関係における不法な実力行使防止についての労働次官通達につきまして、労働大臣出席されましたのでこの際その説明を求めます。小坂労働大臣
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま委員長のお話のごとく、十一月六日「労働関係における不法な実力の行使の防止について」という次官通牒を各県知事あてに出したのでございますが、この内容につきまして若干説明を申し上げたいと思います。  まず概論的に申しまして、今日わが国は、社会各方面において重要なる転換期に立つておるということが言われると思うのであります。これは占領が解除せられまして以来、実態的にも経済諸関係においても、日本が独立の実をあげるために、種々今まで惰性的、慣性的に行つておつたところの占領時代の遺物というものは、漸次これを清算せねばなりませんし、また世界的にも、各国の動きが御承知のごとくに種々複雑微妙なる関係を呈しておりますので、これに即応して、わが国においても、自立体制を強化するということが必要でありますので、そうした面におきまして、日本が経済自立との関連、また輸出増進との関係等において、国内の経済諸情勢の整備を要請されておることは申すまでもありませんが、労働運動労使関係の面におきましても、これはまた例外的とは言えないと思うのであります。今日の労働運動労使関係は、多くの困難なる問題と取組み、かつ険しい道を歩みつつ、これを克服して進まなければならぬのであります。これがためには、健全な良識のもとに、真に民主的にして合理的な労働運動労使関係の慣行を守り育てて、これを確立して行くことこそ、何よりも必要なことであると考えられるのであります。  数年前のわが国労働運動労使関係について見まするに、独裁的な組合指導暴力的労働運動の横行する傾向が顕著に見られましたことは、周知の通りであります。しかしながら、かかる傾向は世のはげしい指弾をこうむり、また組合員大衆の強い反発を受けまして、やがて衰退して、これにかわつて民主的労働組合が、わが国労働運動における圧倒的な主導権を握るに至りましたことは、御承知の通りであります。しかしながら、今日なお、わが国労働運動労使関係は、そうした歴史が浅く、まだ未成熟な点の多いことは御承知の通りであり、またしばしば指摘される通りでありますが、民主的な労働運動は今後ますます強力く育てられなければなりませんし、労働関係における民主的、合的理な慣行の確立と遵守のための努力は、いかなる情勢のもとにありましても、瞬時もゆるがせにすることなく推進せられなければればならぬと考えるのであります。  しかるに、最近労働運動労使関係において、暴力その他の不法な実力の行使という非民主的、非合理的手段に訴えようとする傾向が、再び見られるようになりましたことは、いかなる原因があるにせよ、はなはだ遺憾であります。かかる傾向は、ひとり労使関係を悪化せしめるにとどまらず、民主的な労働運動労使関係のよつて立つ基盤を否定し、また結局においてみずからその墓穴を掘るにひとしいことになることは、明らかであると考えるのであります。  もとより労働運動労使関係におきましていわゆる行き過ぎの行為が行われますことは、それぞれの原因があり、特に労働者側のかかる行為は、使用者側の不当な態度や挑発的行為等に基因する場合も多いのでありまして、これらの点の是正につきましては、わが労働省におきましても、今後とも一段と努力するつもりでありますが、しかしながら、いかなる事情があるにいたしましても、暴力その他の不法な実力の行使に出ることは、絶対に避けなければならぬと考えるのであります。このような行為の許されないことは、現行法上にもすでに明らかなことでありますし、またかかる限界を厳守することは、法治国における民主的労働運動労使関係における最小限度の要請であるのであります。またかかる限界を明らかにすることは、労働者の正当な団結権団体行動権に制限を加えるものでないことは言うまでもなく、むしろこの点に関して、法の許容する限界をでき得る限り明確にいたしまして、これを周知徹底せしめることによつて、不法な実力の行使を防止し、労働関係における民主的、合理的慣行の遵守、確立の必要を徹底せしめることは、労働教育をその最も重要な使命とする労働行政機関として、当然の責務であると考えるのであります。  そこで、その内容につきまして、以下御説明を申し上げるのでありますが、まず基本的な考え方について申し上げます。  第一点は、労働関係におきまして、労使が法令に従つて行動し、他人の権利を尊重すべきことは法治国の国民として当然の責務であります。なかんずく、人の身体または行動の自由や住居、私生活の不可侵ということは、最も尊重されるべき権利でありまして、労働組合の団結に基く統制や、労働契約に基く使用者の指揮、管理によりましても、これをまつたく否定したり、その意に反して不当に拘束または侵犯することは許されないところであります。労働者団結権団体交渉その他の団体行動権は、法の保障するところでありますが、暴行、脅迫その他不法な実力の行使によりまして、他人の行動、意思に強制を加えますことは、団結権団体行動権を保障した法の限界を逸脱するものであります。  第二点について申し上げますが、労働組合の団結は、組合員自発的意思にその基礎を置くものでありまして、脅迫や暴力等による統制を許すものではありません。統制を乱す者に対しては、組合規約に基きこれを除名その他の懲戒処分に付し得ることはもちろんでありますが、最終的に団結を離脱しようとする者を暴行、脅迫等によつてその意に反してこれを阻止することはできないのであります。労働者自発的意思に基かない強制された団結や統制は、たとい表面的に一時の功を収め得たように見えましても、結局、真に強力な団結を確保するゆえんではないのであります。  第三に、労働組合の団結に基く統制力は、原則として、組合員の範囲にしか及ばないものであることはいうまでもありません。統制力範囲外にある者に対しては、その理解と協力を要請し得るにとどまり、通常、労働組合は、これに対し何らの強制をも加え得る立場にはないのであります。  争議行為は、労働者の団結と統制によつて使用者に圧力を加えるものでありますが、その際、ピケツト等において暴力その他行き過ぎの行動に出るのは、争議目的追求に急なる余り、右の団結、統制力限界外のことをしいて行おうとする場合に多いのであります。労働者の団結が不十分であつたために、争議において不利になることは、まことに残念ではありましようが、それだからといつて暴力その他の行き過ぎの行為が正当化されるものではないのであります。  第四に使用者労働組合の団結に対して支配介入することは、法の厳に禁ずるところであることは言うまでもありません。組合分裂策のごときは、長く禍根を残し、最も忌むべきものであります。また、暴力団を雇い入れて争議中の労働者に対して暴力を振う等の行為は、とうてい許すべからざるものであります。  労働組合または労働者をして正当な行為の範囲から逸脱せしめる原因は、しばしば使用者の非合理的ないし封建的労務管理とか、無理押し、挑発的態度ないし行為等にあるのでありまして、かかることは、不当労働行為その他の法規に触れるといなとを問わず、厳に慎むべきであります。  第五点として、しかしながら、使用者の右のごとき態度は、必ずしも労働側の暴力その他の行き過ぎの行為を正当化するものではありません。労働側が、争議目的自体は正当であるにかかわらず、使用者側の挑発に乗つて暴力的手段に出で、ために争議そのものにも惨敗し、組合は壊滅し、幾多の犠牲者まで出した事例は、決して少くないのでありまして、厳に戒心すべきであります。  次にピケツトについて申し上げます。ピケツトの方法、態様は、その対象なり状況によつて、若干の差異がありますが、わが国におきましては、事業場出入口付近に多数の者が集合していること自体では、ピケツトとしては違法とはなりません。しかしながらピケツトは、平和的説得の範囲にとどまるべきものでありまして、たとえば、工場事業場に正当に出入しようとする者に対して、暴行、脅迫にわたることはもとより、一般に、バリケード、厳重なスクラムやすわり込み等により、物理的に出入口を閉塞したり、説得または団結力の誇示の範囲を越えた多衆の威嚇や、はなはだしいいやがらせ等によつてこれを阻止するごときピケツトは、正当ではありません。  これを対象別使用者または利益代表者に対するものについて申しますと、使用者または労働組合法第二条第一号に定める使用者の利益を代表する者は、本来、当該労働争議相手方に属する者であつて争議行為中においても、就業し、会社施設管理等に当り、また、争議の解決に努める等の義務と責任を有する者であつて、これらの者の正当な業務のための出入を、ピケツトによつて妨害することは許されません。なお、労働協約等において協定された保安要員等争議不参加者についても、その協約等に基く就労のための出入を妨げることは許されないのであります。  次に第三者に対するものでありますが、従業員以外の出入商人顧客等第三者に対するピケツトについては、当該争議行為についての理解と協力を穏和に要請し得るにとどまるのでありまして、これらの者の出入や正当な業務を妨害することは許されないことは、言うまでもありません。  次に組合員以外の労働者に対するものについて申し上げますと、労働組合統制力は、原則として、当該労働組合組合員以外には及ばないから、組合員以外の従業員に対しては、当該争議行為についての理解と協力を要請し得るにとどまり、その正当な就労を妨げることはできないのであります。なお、労働協約等において代替要員雇入れ禁止の条項が規定されていない限り、使用者が争議中必要な業務維持のための代替要員を雇い入れ、その業務を続けることは、労働組合争議行為に対する使用者対抗手段であつて、そのことが妥当かどうかについては、状況によつて異なるのでありますが、それ自体は違法とは言えないのであります。ピケツトにおいてその就業を阻止すべく説得することは、もとより自由でありますが、労働組合は、暴行、脅迫その他の不法な実力等をもつてこれを阻止し、その就業を妨げる正当な権限を有するものではありません。  次に争議中に組合を脱退した従業員に対するものでありますが、争議中に労働組合を脱退して第二組合を結成するようなことは、好ましいことではないが、我が国の現状では、かかる事象は往々にして生じております。このような第二組合員の就労は、当該争議の帰趨に決定的影響を及ぼす場合が多く、ピケツトにおいてこれに対し説得に極力努めることは当然でありましよう。また、第二組合としても、当初より一切の説得に耳をかさず、一挙にピケラインを突破するごとき態度は、労働者としてとるべきでない。しかしながら、この場合でもやはり暴行、脅迫その他不法な実力等によるピケツトは許されないのであります。すでに組合の団結に破綻を来した以上、暴力等によつてその破綻を補うことは、許されないし、また、真の団結の途ではないと存じます。  次に組合員に対するものについて申し上げますが、労働組合組合員は、組合の統制に服すべき義務と責任を有するものでありますから、ストライキ中、組合の統制に違反して就労しようとする組合員に対しては、組合の統制を紊した場合は除名その他の組合規約上の懲罰に付されることがあるべき旨を告げて、その反省を求め、統制に服すべきことを要求し、情理を尽して説得に努める等の行為は当然正当であつて、組合員でありながら説得に全然耳をかさずに実力でピケツトを突破するごときことは、なすべきではありません。しかし組合としても、説得に名をかりて不当に自由を拘束して、多数の威嚇によつて、いわゆるつるし上げ等を行い、またはあくまで説得に服さない者に対して暴行、脅迫その他不法な実力的手段によつてなおこれを阻止する等のことは、平和的説得の範囲を逸脱し、正当な行為とは解しがたいのであります。  次に特殊なピケツトまたはピケツトに関連して生ずる問題について申し上げますが、まず業務の妨害、出荷阻止等の場合であります。労働者争議行為として使用者の意に反してその施設、設備等を占拠し、損壊し、もしくは除去する等のことによつてその業務を妨害し、または使用者もしくはその指揮を受けて正当に就労中の者のなしつつある業務を暴行、脅迫、すわり込み等によつて妨害することは、正当なものとは解されないのであります。  また、出荷協定等のない場合に、使用者または使用者の命を受けた非組合員第三者等が製品の出荷、原材料搬入等を行うのに対して暴行、脅迫はもちろん、スクラム、すわり込み、バリケードその他不法な実力等を行使して阻止するごとき行為も正当ではありません。買手が買い取つた製品を搬出するのを実力で阻止する等のことも、もちろん許されないのであります。しかし、たとえば、買手や出荷または搬入作業に従事するトラツクの運転手等の者に対しまして、当該争議行為についての理解と協力を要請する等の行為はもちろん正当であります。  次にピケ破り等について申し上げます。ピケツトに対して暴力を振い、あるいは平和的説得をする者を実力をもつて排除し、ピケラインを突破するごときは、もとより正当ではありません。特に使用者において暴力団等使つてピケ破りを行うごとき行為は論外であります。  組合員ストライキから脱落して就業し、または組合から脱退して第二組合を結成する等の行為は、その者の責任と判断に基いてなされることのあるのはやむを得ないのであります。しかしながら使用者がこれを強制するがごときは不当労働行為になり、許されないことは言うまでもありません。  次にピケツトに伴つて派生する問題について申し上げますと、ピケツトの場合、特に第二組合が発生したようなときは、感情的対立が尖鋭化し、両者の実力による衝突のおそれが多いのでありますが、いかなる時、所を問わず、第一組合と第二組合とが対立して、乱闘その他の暴力ざたに及ぶようなことは、絶対に避けるべきものであります。第二組合員ないし脱落者に対してでも、監禁、暴行、脅迫あるいはこれらに準ずるいわゆるつるし上げ等にわたる行為をなすことは、正当ではありません。また、いかなる場合においても、就労者に対する食糧搬入の制限、家族に対するいやがらせその他個人の私生活を不当に脅かすような行為は、なすべきではありません。  第三点、団体交渉について申し述べますが、団体交渉は、労働組合代表者が、労働者の団結による社会的経済的威力を背景に、団体の意思を代表して使用者と交渉するものでありまして、現実に交渉の場に多数の組合員が集合して行うものではありません。従つて社会通念上、首肯されるに足りる程度の平和的かつ秩序ある方法によつて行うことを要するのでありまして、必要以上に多数の組合員を動員し、または著しく喧騒にわたるが、ごときは、正当な権利行使の範囲を逸脱するおそれがあり、また、使用者団体交渉拒否の正当な理由を与えることになります。大衆交渉などと称する多数の威迫のもとに、ごく少数の使用者側の者と交渉するようなことは、正常な団体交渉ではありません。  相手方に対して、暴行、脅迫、監禁またはこれらに類するいわゆるつるし上げ等によつて身体の自由を拘束したり、正常な時、所において団体交渉をなし得るにもかかわらず、団体交渉と称して使用者の制止する場所または部屋等に侵入したり、すわり込んだり、あるいは使用者の私宅に押しかけたり、またはその家族にいやがらせをする等、その私生活を不当に脅かすような行為は、正当な行為とは言いがたいのであります。  なお使用者も、労働者団体交渉権は、最大限に尊重すべきでありまして、団体交渉を忌避してその所在をくらましたり、不当に回答を遅延させたり、その他団体交渉権を無視するが、ごとき行動をなすべきでないことは、労働組合法第七条第二号の趣旨に徴しても明らかであります。団体交渉権こそは、正常な労使関係の基本をなすものでありますから、使用者は、常に誠意をもつて交渉を行うように努めなければなりません。  次に第四点として、工場占拠生産管理強行就業等に関して申し述べます。労働者使用者から明示の、かつ、存続する意思をもつて正当に退去を要求されたにもかかわらず、なお、不当に工場、事業場内にとどまつて占拠をなし、またすわり込みをする等の行為は、違法行為となることは明らかであります。  次に生産管理が一般に違法な争議行為であることは、確立した判例でありますが、生産管理の程度までに至らなくとも、争議手段として、使用者の意思に反して、ほしいままにその施設、設備、原材料製品等を管理、使用、処分する等のことも、一般に正当な行為とは解しがたいのであります。  次に工場、事業場において有効にロツクアウトが行われております場合、労働者使用者の意思に反して工場、事業場に侵入し、あるいは就業を強行することは、正当な行為ではありません。  また労働組合がその団結力を誇示し、その主張を社会に訴えるため、ストライキ中または就業時間外等にデモを行うことは自由でありまするが、これによつて使用者またはデモやストライキ参加者以外の者の正当な業務を妨害したり、使用者の意に反して会社の建造物の中を行進する等のことは正当な行為ではありません  第五点ロツクアウトについて申し上げます。使用者は、一般に争議行為が現に行われているか、または行われようとするおそれが明白かつ逼迫して存する場合には、労働協約に定められた平和条項等に違反しない限り、ロツクアウトをすることができます。しかしながら、ロツクアウトによつて組合事務所への出入を遮断する等のことは、正当ではありません。また、労働者の生活の根拠となつている寄宿舎等から、争議手段として労働者を締め出すことは、個人の私生活を不当に脅かすことになり、正当な行為とは解しがたいのであります。  第六点、公務執行妨害について申し上げます。いかなる理由があろうとも、裁判所の判決、決定のあつた場合において、その判決、決定の執行吏による執行を妨げる行為は許されません。裁判所決定等に不満がある場合であつても、法律に定める手続に上つて争うべきものであります。これを否定して実力をもつて執行を妨害する行為は、法治国の根本を否定するものであつて、とうてい許しがたいのであります。また、警察官の正当な権限の行使を妨害することも同様であります。  第七点、応援団体その他争議中、友誼団体その他の外部の者が当該争議を応援することは、しばしば見られるところでありまするが、この場合においても、以上において述べた労働関係上の秩序が守られなければならないことは言うまでもありませんが、さらに外部の者は、当該企業に対する関係が従業員とは異なるのであつてその行い得る行為の限界についても、おのずから差異があるのであります。これらの者が、争議の主体である労働組合の意に反し、またはその統制に従わないで暴力行為等に出でる等の事例がときに見られるのでありますが、かかることは厳に慎まなければなりません。  未組織労働者が、お互い同志だけで、または労働組合と一緒になつて、争議団を組織し、団体交渉または争議行為を行い、ピケツトを張る等の場合も、その統制力その他については、労働組合の場合と若干の差異があるでありましようが、おおむね今までに述べたところに準じて考えられるべきものであります。  第八点、相手方違法行為等に対する対抗的行為について申し述べます。相手方が法令または労働協約違反等の行為に出た場合にも、原則としては、法の定める手続に従つて救済を求めるという方法によるべきでありますが、相手方が争議のルールを無視するような法令、協約等の違反行為をなす場合、たとえば、代替要員雇入れ禁止条項違反、争議不参加要員協定違反等の場合には、それに対応する必要最小限度において対抗的手段を講ずることが正当化される場合があります。かかる対抗的手段が、いかなる場合にいかなる程度、態様において許されるかは、その時、所における具体的状況に応じ、一概には言いがたいのでありますが、相手方の違反行為に対抗するものであるがゆえに特にその行為が正当と認められるためには、相手方の行為が、単に主観的にけしからぬとか、争議戦術上こちらが不利益をこうむるというような程度でなく、相手方に争議のルールにおいて、客観的に明白重大な法令、協約等違反の行為が現実に存することを要し、また、相手方に違反行為があればいかなる実力的対抗手段をとつても必ず正当化されるというのではなく、相手方の違反行為に対抗するために直接に必要やむを得ないと認められる場合に限られ、かつ、その場合でもその方法、態様において社会通念上妥当とされる最小限度のものでなければなりません。特に、暴力の行使または脅迫等の行為は、いかなる場合においても許されない、という趣旨でございます。
  11. 島上善五郎

    ○島上委員 理事会において、質問は十八日ということで申合せをしておりますので、私は本日質問しようとは思いませんけれども、しかし本日大臣の説明を聞きつぱなしで質問をしないということは、暗黙のうちに何か了承を与えたような感じがあつてはいけませんので、われわれは断じて、いささかたりとも了承するという意味は含んでいない。そればかりではなく、この通達に対してま大いに問題がある。一体、なぜにこういうような通達を、今突如として出したのかというその政治的な意図の問題もありまするし、また解釈についても、私どもは、行政当局がかつてにこういうような解釈をして、労働教育に名をかりて、最近ひんぴんとして警察官が、それこそ労働争議に不当に介入している事実を合法化し、さらに今後こういうような不当介入をおびき出すような結果を生むということは、はなはだ遺憾だと思います。私どもは十八日に十分質問して、しかる後に態度を明確にいたしますけれども、このような措置に対しては断じて了承できないということだけは、この際一言明らかにしまして、十八日に質問することを申し上げておきたいと思います。
  12. 赤松勇

    赤松委員長 十一月六日の労働次官通達についての大臣の説明は終りました。本問題についての労働大臣に対する質疑は、来る十八日に行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  13. 赤松勇

    赤松委員長 この際理事辞任及び補欠選任に関する件についてお諮りいたします。本日井堀繁雄理事より理事辞任の申出がありましたのでこれを許可し、その補欠として日野吉夫君を理事指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  次会は明十六日午前十時より開会することといたしまして本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十二分散会