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小坂国務大臣 ただいま
委員長のお話のごとく、十一月六日「
労働関係における不法な実力の行使の防止について」という
次官通牒を各
県知事あてに出したのでございますが、この内容につきまして若干説明を申し上げたいと思います。
まず概論的に申しまして、今日
わが国は、社会各方面において重要なる転換期に立つておるということが言われると思うのであります。これは占領が解除せられまして以来、実態的にも経済諸関係においても、日本が独立の実をあげるために、種々今まで惰性的、慣性的に
行つておつたところの
占領時代の遺物というものは、漸次これを清算せねばなりませんし、また世界的にも、各国の動きが御承知のごとくに種々複雑微妙なる関係を呈しておりますので、これに即応して、
わが国においても、
自立体制を強化するということが必要でありますので、そうした面におきまして、日本が
経済自立との関連、また
輸出増進との
関係等において、国内の経済諸情勢の整備を要請されておることは申すまでもありませんが、
労働運動、
労使関係の面におきましても、これはまた例外的とは言えないと思うのであります。今日の
労働運動、
労使関係は、多くの困難なる問題と取組み、かつ険しい道を歩みつつ、これを克服して進まなければならぬのであります。これがためには、健全な良識のもとに、真に民主的にして合理的な
労働運動、
労使関係の慣行を守り育てて、これを確立して行くことこそ、何よりも必要なことであると考えられるのであります。
数年前の
わが国の
労働運動、
労使関係について見まするに、独裁的な
組合指導、
暴力的労働運動の横行する傾向が顕著に見られましたことは、周知の通りであります。しかしながら、かかる傾向は世のはげしい指弾をこうむり、また
組合員大衆の強い反発を受けまして、やがて衰退して、これにかわつて
民主的労働組合が、
わが国労働運動における圧倒的な
主導権を握るに至りましたことは、御承知の通りであります。しかしながら、今日なお、
わが国の
労働運動、
労使関係は、そうした歴史が浅く、まだ未成熟な点の多いことは御承知の通りであり、またしばしば指摘される通りでありますが、民主的な
労働運動は今後ますます強力く育てられなければなりませんし、
労働関係における民主的、合的理な慣行の確立と遵守のための努力は、いかなる情勢のもとにありましても、瞬時もゆるがせにすることなく推進せられなければればならぬと考えるのであります。
しかるに、最近
労働運動、
労使関係において、暴力その他の不法な実力の行使という非民主的、
非合理的手段に訴えようとする傾向が、再び見られるようになりましたことは、いかなる原因があるにせよ、はなはだ遺憾であります。かかる傾向は、
ひとり労使関係を悪化せしめるにとどまらず、民主的な
労働運動、
労使関係のよつて立つ基盤を否定し、また結局においてみずからその墓穴を掘るにひとしいことになることは、明らかであると考えるのであります。
もとより
労働運動、
労使関係におきましていわゆる
行き過ぎの行為が行われますことは、それぞれの原因があり、特に
労働者側のかかる行為は、
使用者側の不当な態度や
挑発的行為等に基因する場合も多いのでありまして、これらの点の是正につきましては、わが労働省におきましても、今後とも一段と努力するつもりでありますが、しかしながら、いかなる事情があるにいたしましても、暴力その他の不法な実力の行使に出ることは、絶対に避けなければならぬと考えるのであります。このような行為の許されないことは、
現行法上にもすでに明らかなことでありますし、またかかる限界を厳守することは、
法治国における
民主的労働運動、
労使関係における
最小限度の要請であるのであります。またかかる限界を明らかにすることは、
労働者の正当な
団結権、
団体行動権に制限を加えるものでないことは言うまでもなく、むしろこの点に関して、法の許容する限界をでき得る限り明確にいたしまして、これを周知徹底せしめることによつて、不法な実力の行使を防止し、
労働関係における民主的、
合理的慣行の遵守、確立の必要を徹底せしめることは、
労働教育をその最も重要な使命とする
労働行政機関として、当然の責務であると考えるのであります。
そこで、その内容につきまして、以下御説明を申し上げるのでありますが、まず基本的な考え方について申し上げます。
第一点は、
労働関係におきまして、労使が法令に
従つて行動し、他人の権利を尊重すべきことは
法治国の国民として当然の責務であります。なかんずく、人の身体または行動の自由や住居、
私生活の不可侵ということは、最も尊重されるべき権利でありまして、
労働組合の団結に基く統制や、
労働契約に基く
使用者の指揮、管理によりましても、これをまつたく否定したり、その意に反して不当に拘束または侵犯することは許されないところであります。
労働者の
団結権、
団体交渉その他の
団体行動権は、法の保障するところでありますが、暴行、脅迫その他不法な実力の行使によりまして、他人の行動、意思に強制を加えますことは、
団結権、
団体行動権を保障した法の限界を逸脱するものであります。
第二点について申し上げますが、
労働組合の団結は、
組合員の
自発的意思にその基礎を置くものでありまして、脅迫や
暴力等による統制を許すものではありません。統制を乱す者に対しては、
組合規約に基きこれを除名その他の
懲戒処分に付し得ることはもちろんでありますが、最終的に団結を離脱しようとする者を暴行、
脅迫等によつてその意に反してこれを阻止することはできないのであります。
労働者の
自発的意思に基かない強制された団結や統制は、たとい表面的に一時の功を収め得たように見えましても、結局、真に強力な団結を確保するゆえんではないのであります。
第三に、
労働組合の団結に基く
統制力は、原則として、
組合員の範囲にしか及ばないものであることはいうまでもありません。
統制力の
範囲外にある者に対しては、その理解と協力を要請し得るにとどまり、通常、
労働組合は、これに対し何らの強制をも加え得る立場にはないのであります。
争議行為は、
労働者の団結と統制によ
つて使用者に圧力を加えるものでありますが、その際、
ピケツト等において暴力その他
行き過ぎの行動に出るのは、
争議目的追求に急なる余り、右の団結、
統制力の
限界外のことをしいて行おうとする場合に多いのであります。
労働者の団結が不十分であつたために、争議において不利になることは、まことに残念ではありましようが、それだからといつて暴力その他の
行き過ぎの行為が正当化されるものではないのであります。
第四に
使用者が
労働組合の団結に対して支配介入することは、法の厳に禁ずるところであることは言うまでもありません。
組合分裂策のごときは、長く禍根を残し、最も忌むべきものであります。また、
暴力団を雇い入れて争議中の
労働者に対して暴力を振う等の行為は、とうてい許すべからざるものであります。
労働組合または
労働者をして正当な行為の範囲から逸脱せしめる原因は、しばしば
使用者の非合理的ないし
封建的労務管理とか、無理押し、
挑発的態度ないし
行為等にあるのでありまして、かかることは、
不当労働行為その他の法規に触れるといなとを問わず、厳に慎むべきであります。
第五点として、しかしながら、
使用者の右のごとき態度は、必ずしも
労働側の暴力その他の
行き過ぎの行為を正当化するものではありません。
労働側が、
争議目的自体は正当であるにかかわらず、
使用者側の挑発に乗
つて暴力的手段に出で、ために
争議そのものにも惨敗し、組合は壊滅し、幾多の
犠牲者まで出した事例は、決して少くないのでありまして、厳に戒心すべきであります。
次に
ピケツトについて申し上げます。
ピケツトの方法、態様は、その対象なり状況によつて、若干の差異がありますが、
わが国におきましては、
事業場の
出入口付近に多数の者が集合していること自体では、
ピケツトとしては違法とはなりません。しかしながら
ピケツトは、
平和的説得の範囲にとどまるべきものでありまして、たとえば、
工場事業場に正当に出入しようとする者に対して、暴行、脅迫にわたることはもとより、一般に、
バリケード、厳重な
スクラムやすわり込み等により、物理的に
出入口を閉塞したり、説得または
団結力の誇示の範囲を越えた多衆の威嚇や、はなはだしい
いやがらせ等によつてこれを阻止するごとき
ピケツトは、正当ではありません。
これを
対象別に
使用者または
利益代表者に対するものについて申しますと、
使用者または
労働組合法第二条第一号に定める
使用者の利益を代表する者は、本来、
当該労働争議の
相手方に属する者であ
つて争議行為中においても、就業し、
会社施設の
管理等に当り、また、争議の解決に努める等の義務と責任を有する者であつて、これらの者の正当な業務のための出入を、
ピケツトによつて妨害することは許されません。なお、
労働協約等において協定された
保安要員等の
争議不参加者についても、その
協約等に基く就労のための出入を妨げることは許されないのであります。
次に
第三者に対するものでありますが、
従業員以外の
出入商人、
顧客等の
第三者に対する
ピケツトについては、
当該争議行為についての理解と協力を穏和に要請し得るにとどまるのでありまして、これらの者の出入や正当な業務を妨害することは許されないことは、言うまでもありません。
次に
組合員以外の
労働者に対するものについて申し上げますと、
労働組合の
統制力は、原則として、
当該労働組合の
組合員以外には及ばないから、
組合員以外の
従業員に対しては、
当該争議行為についての理解と協力を要請し得るにとどまり、その正当な就労を妨げることはできないのであります。なお、
労働協約等において
代替要員雇入れ禁止の条項が規定されていない限り、
使用者が争議中必要な
業務維持のための
代替要員を雇い入れ、その業務を続けることは、
労働組合の
争議行為に対する
使用者の
対抗手段であつて、そのことが妥当かどうかについては、状況によつて異なるのでありますが、それ自体は違法とは言えないのであります。
ピケツトにおいてその就業を阻止すべく説得することは、もとより自由でありますが、
労働組合は、暴行、脅迫その他の不法な
実力等をもつてこれを阻止し、その就業を妨げる正当な権限を有するものではありません。
次に争議中に組合を脱退した
従業員に対するものでありますが、争議中に
労働組合を脱退して第二組合を結成するようなことは、好ましいことではないが、我が国の現状では、かかる事象は往々にして生じております。このような第二
組合員の就労は、
当該争議の帰趨に
決定的影響を及ぼす場合が多く、
ピケツトにおいてこれに対し説得に極力努めることは当然でありましよう。また、第二組合としても、当初より一切の説得に耳をかさず、一挙に
ピケラインを突破するごとき態度は、
労働者としてとるべきでない。しかしながら、この場合でもやはり暴行、脅迫その他不法な
実力等による
ピケツトは許されないのであります。すでに組合の団結に破綻を来した以上、
暴力等によつてその破綻を補うことは、許されないし、また、真の団結の途ではないと存じます。
次に
組合員に対するものについて申し上げますが、
労働組合の
組合員は、組合の統制に服すべき義務と責任を有するものでありますから、
ストライキ中、組合の統制に違反して就労しようとする
組合員に対しては、組合の統制を紊した場合は除名その他の
組合規約上の懲罰に付されることがあるべき旨を告げて、その反省を求め、統制に服すべきことを要求し、情理を尽して説得に努める等の行為は当然正当であつて、
組合員でありながら説得に全然耳をかさずに実力で
ピケツトを突破するごときことは、なすべきではありません。しかし組合としても、説得に名をかりて不当に自由を拘束して、多数の威嚇によつて、いわゆる
つるし上げ等を行い、またはあくまで説得に服さない者に対して暴行、脅迫その他不法な
実力的手段によつてなおこれを阻止する等のことは、
平和的説得の範囲を逸脱し、正当な行為とは解しがたいのであります。
次に特殊な
ピケツトまたは
ピケツトに関連して生ずる問題について申し上げますが、まず業務の妨害、
出荷阻止等の場合であります。
労働者が
争議行為として
使用者の意に反してその施設、
設備等を占拠し、損壊し、もしくは除去する等のことによつてその業務を妨害し、または
使用者もしくはその指揮を受けて正当に就労中の者のなしつつある業務を暴行、脅迫、すわり込み等によつて妨害することは、正当なものとは解されないのであります。
また、
出荷協定等のない場合に、
使用者または
使用者の命を受けた非
組合員、
第三者等が製品の出荷、
原材料の
搬入等を行うのに対して暴行、脅迫はもちろん、
スクラム、すわり込み、
バリケードその他不法な
実力等を行使して阻止するごとき行為も正当ではありません。買手が買い取つた製品を搬出するのを実力で阻止する等のことも、もちろん許されないのであります。しかし、たとえば、買手や出荷または
搬入作業に従事するトラツクの
運転手等の者に対しまして、
当該争議行為についての理解と協力を要請する等の行為はもちろん正当であります。
次にピケ破り等について申し上げます。
ピケツトに対して暴力を振い、あるいは
平和的説得をする者を実力をもつて排除し、
ピケラインを突破するごときは、もとより正当ではありません。特に
使用者において
暴力団等を
使つてピケ破りを行うごとき行為は論外であります。
組合員が
ストライキから脱落して就業し、または組合から脱退して第二組合を結成する等の行為は、その者の責任と判断に基いてなされることのあるのはやむを得ないのであります。しかしながら
使用者がこれを強制するがごときは
不当労働行為になり、許されないことは言うまでもありません。
次に
ピケツトに伴つて派生する問題について申し上げますと、
ピケツトの場合、特に第二組合が発生したようなときは、
感情的対立が尖鋭化し、両者の実力による衝突のおそれが多いのでありますが、いかなる時、所を問わず、第一組合と第二組合とが対立して、乱闘その他の暴力ざたに及ぶようなことは、絶対に避けるべきものであります。第二
組合員ないし
脱落者に対してでも、監禁、暴行、脅迫あるいはこれらに準ずるいわゆる
つるし上げ等にわたる行為をなすことは、正当ではありません。また、いかなる場合においても、
就労者に対する
食糧搬入の制限、家族に対する
いやがらせその他個人の
私生活を不当に脅かすような行為は、なすべきではありません。
第三点、
団体交渉について申し述べますが、
団体交渉は、
労働組合の
代表者が、
労働者の団結による
社会的経済的威力を背景に、団体の意思を代表して
使用者と交渉するものでありまして、現実に交渉の場に多数の
組合員が集合して行うものではありません。
従つて、
社会通念上、首肯されるに足りる程度の平和的かつ秩序ある方法によつて行うことを要するのでありまして、必要以上に多数の
組合員を動員し、または著しく喧騒にわたるが、ごときは、正当な
権利行使の範囲を逸脱するおそれがあり、また、
使用者に
団体交渉拒否の正当な理由を与えることになります。
大衆交渉などと称する多数の威迫のもとに、ごく少数の
使用者側の者と交渉するようなことは、正常な
団体交渉ではありません。
相手方に対して、暴行、脅迫、監禁またはこれらに類するいわゆる
つるし上げ等によ
つて身体の自由を拘束したり、正常な時、所において
団体交渉をなし得るにもかかわらず、
団体交渉と称して
使用者の制止する場所または
部屋等に侵入したり、すわり込んだり、あるいは
使用者の私宅に押しかけたり、またはその家族に
いやがらせをする等、その
私生活を不当に脅かすような行為は、正当な行為とは言いがたいのであります。
なお
使用者も、
労働者の
団体交渉権は、最大限に尊重すべきでありまして、
団体交渉を忌避してその所在をくらましたり、不当に回答を遅延させたり、その他
団体交渉権を無視するが、ごとき行動をなすべきでないことは、
労働組合法第七条第二号の趣旨に徴しても明らかであります。
団体交渉権こそは、正常な
労使関係の基本をなすものでありますから、
使用者は、常に誠意をもつて交渉を行うように努めなければなりません。
次に第四点として、
工場占拠、
生産管理、
強行就業等に関して申し述べます。
労働者が
使用者から明示の、かつ、存続する意思をもつて正当に退去を要求されたにもかかわらず、なお、不当に工場、
事業場内にとどまつて占拠をなし、またすわり込みをする等の行為は、
違法行為となることは明らかであります。
次に
生産管理が一般に違法な
争議行為であることは、確立した判例でありますが、
生産管理の程度までに至らなくとも、
争議手段として、
使用者の意思に反して、ほしいままにその施設、設備、
原材料、
製品等を管理、使用、処分する等のことも、一般に正当な行為とは解しがたいのであります。
次に工場、
事業場において有効に
ロツクアウトが行われております場合、
労働者が
使用者の意思に反して工場、
事業場に侵入し、あるいは就業を強行することは、正当な行為ではありません。
また
労働組合がその
団結力を誇示し、その主張を社会に訴えるため、
ストライキ中または就業時間外等にデモを行うことは自由でありまするが、これによ
つて使用者またはデモや
ストライキの
参加者以外の者の正当な業務を妨害したり、
使用者の意に反して会社の建造物の中を行進する等のことは正当な行為ではありません
第五点
ロツクアウトについて申し上げます。
使用者は、一般に
争議行為が現に行われているか、または行われようとするおそれが明白かつ逼迫して存する場合には、
労働協約に定められた
平和条項等に違反しない限り、
ロツクアウトをすることができます。しかしながら、
ロツクアウトによ
つて組合事務所への出入を遮断する等のことは、正当ではありません。また、
労働者の生活の根拠となつている
寄宿舎等から、
争議手段として
労働者を締め出すことは、個人の
私生活を不当に脅かすことになり、正当な行為とは解しがたいのであります。
第六点、
公務執行妨害について申し上げます。いかなる理由があろうとも、
裁判所の判決、決定のあつた場合において、その判決、決定の
執行吏による執行を妨げる行為は許されません。
裁判所の
決定等に不満がある場合であつても、法律に定める手続に上つて争うべきものであります。これを否定して実力をもつて執行を妨害する行為は、
法治国の根本を否定するものであつて、とうてい許しがたいのであります。また、警察官の正当な権限の行使を妨害することも同様であります。
第七点、
応援団体その他争議中、
友誼団体その他の外部の者が
当該争議を応援することは、しばしば見られるところでありまするが、この場合においても、以上において述べた
労働関係上の秩序が守られなければならないことは言うまでもありませんが、さらに外部の者は、
当該企業に対する関係が
従業員とは異なるのであつてその行い得る行為の限界についても、おのずから差異があるのであります。これらの者が、争議の主体である
労働組合の意に反し、またはその統制に従わないで
暴力行為等に出でる等の事例がときに見られるのでありますが、かかることは厳に慎まなければなりません。
未
組織労働者が、
お互い同志だけで、または
労働組合と一緒になつて、
争議団を組織し、
団体交渉または
争議行為を行い、
ピケツトを張る等の場合も、その
統制力その他については、
労働組合の場合と若干の差異があるでありましようが、おおむね今までに述べたところに準じて考えられるべきものであります。
第八点、
相手方の
違法行為等に対する
対抗的行為について申し述べます。
相手方が法令または
労働協約違反等の行為に出た場合にも、原則としては、法の定める手続に
従つて救済を求めるという方法によるべきでありますが、
相手方が争議のルールを無視するような法令、
協約等の違反行為をなす場合、たとえば、
代替要員雇入れ禁止条項違反、争議不参加要員協定違反等の場合には、それに対応する必要
最小限度において対抗的手段を講ずることが正当化される場合があります。かかる対抗的手段が、いかなる場合にいかなる程度、態様において許されるかは、その時、所における具体的状況に応じ、一概には言いがたいのでありますが、
相手方の違反行為に対抗するものであるがゆえに特にその行為が正当と認められるためには、
相手方の行為が、単に主観的にけしからぬとか、争議戦術上こちらが不利益をこうむるというような程度でなく、
相手方に争議のルールにおいて、客観的に明白重大な法令、
協約等違反の行為が現実に存することを要し、また、
相手方に違反行為があればいかなる実力的
対抗手段をとつても必ず正当化されるというのではなく、
相手方の違反行為に対抗するために直接に必要やむを得ないと認められる場合に限られ、かつ、その場合でもその方法、態様において
社会通念上妥当とされる
最小限度のものでなければなりません。特に、暴力の行使または
脅迫等の行為は、いかなる場合においても許されない、という趣旨でございます。