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1954-03-17 第19回国会 衆議院 労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十七日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 池田  清君 理事 鈴木 正文君    理事 丹羽喬四郎君 理事 持永 義夫君    理事 多賀谷真稔君 理事 井堀 繁雄君       木村 文男君    黒澤 幸一君       楯 兼次郎君    大西 正道君       日野 吉夫君    中原 健次君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         労働事務官         (労政局長)  中西  実君  委員外出席者         議     員 青野 武一君         議     員 山口丈太郎君         議     員 館  俊三君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道監         察役      山田 明吉君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  井上 正忠君         日本国有鉄道         参     事         (職員局労働課         長)      中畑 三郎君         日本国有鉄道参         与(厚生局長) 吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (広島鉄道管理         局長)     磯崎  叡君         参  考  人 歌崎 藤作君         参  考  人 高田 正雄君         参  考  人 本間 大英君         参  考  人 横手 真夫君         参  考  人 横山 利秋君         専  門  員 浜口金一郎君     ――――――――――――― 三月十二日  委員庄司一郎君、坪川信三君、中川俊思君、橋  本龍伍君、渡邊良夫君、喜多壯一郎君、須磨彌  吉郎君、黒澤幸一君、島上善五郎君及び多賀谷  真稔君辞任につき、その補欠として安藤正純君、  田中伊三次君、大橋武夫君、篠田弘作君、池田  勇人君、荒木萬壽夫君、佐藤芳男君、楯兼次郎  君、青野一武君及び山口丈太郎君が議長指名  で委員に選任された。 同月十三日  委員大西正道君及び館俊三辞任につき、その  補欠として小林進君及び中原健次君が議長の指  名で委員に選任された。 同月十五日  委員小林進辞任につき、その補欠として大矢  省三君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員大矢省三辞任につき、その補欠として大  西正道君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員青野武一君及び山口丈太郎辞任につき、  その補欠として黒澤幸一君及び多賀谷真稔君が  議長指名委員に選任された。 同日  理事黒澤幸一君の補欠として多賀谷真稔君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 三月十二日  けい肺法制定に関する請願淡谷悠藏紹介)  (第三四九七号)  八鹿公共職業安定所和田山詰所を出張所に昇格  の請願赤松勇紹介)(第三四九八号) 同月十六日  高橋簡易旅館街公共職業安定所復活請願(  本多市郎紹介)(第三五三六号)  けい肺法制走に関する請願辻文雄紹介)(  第三五三七号)  同(安平鹿一君紹介)(第三五三八号)  同(古屋貞雄紹介)(第三五九六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十三日  労働基準法改正に関する陳情書  (第一八〇二号)  福井県に労災病院設置陳情書  (第一八〇三号) 同月十五日  労働基準行政地方移譲反対陳情書  (第一八一〇号)  同  (第一八一一号)  同  (第一八一二号)  同  (第一八七  五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  参考人招致に関する件  仲裁裁定実施に関する件     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。理事黒澤幸一君が去る十二日委員辞任され、理事が一名欠員となつておりますので、その補欠選任を行わなければなりませんが、これは前例により選挙の手続を省略して委員長より指名いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認め、それでは多賀谷真稔君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 赤松勇

    赤松委員長 次に小委員補欠選任についてお諮りいたします。去る十二日、委員佐藤芳男君、黒澤幸一君及び中原健次君がいずれも一旦委員辞任されましたので、けい肺病対策小委員欠員を生じております。また去る十二日、多賀谷真稔君、十六日に大西正道君がいずれも一旦委員辞任されましたので、港湾労働に関する小委員欠員を生じております。この際両小委員補欠選任を行いたいと存じますが、これも前例によりまして委員長より補欠小委員指名を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認めて指名いたします。   まずけい肺病対策小委員に    佐藤 芳男君  黒澤 幸一君    中原 健次君  港湾労働に関する小委員に   多賀谷真稔君  大西 正道君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  6. 赤松勇

    赤松委員長 次に仲裁裁定実施をめぐる紛争問題について調査を進めます。  本件につきまして、前々回の委員会におきまして決定いたしました参考人横山利秋君、歌崎藤作君、横手真夫君、本間大英君、岩井章君のうち、岩井君は欠席しておりますが、岩井君を除くほかの方々が本日御出席になつております。なお国鉄当局からは吾孫子説明員山田説明員井上説明員磯崎説明員中畑説明員植田政府委員出席いたしております。長崎総裁も間もなく出席すると思います。  なお、この問題につきまして、青野武一君、山口丈太郎君、館俊三君から委員外の発言を求められておりますが、これを許すことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  長崎総裁出席するまで暫時休憩いたします。     午前十時四十五分休憩      ————◇—————     午前十時五十六分開議
  8. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際国鉄当局より説明を求めます。長崎国鉄総裁
  9. 長崎惣之助

    長崎説明員 昨年末におきまして、ベースアップあるいは年末手当等に関しまして、私ども労働組合員諸君の間に意見相違がございまして、その意見相違の結果、闘争の動きがあつたわけであります。この詳細につきましては、元の職員局長から詳細な説明をさせたいと思います。
  10. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま総裁から申し上げましたように、昨年の末国鉄におきましては、賃金問題をめぐつて紛争が起つてつたわけでございますが、この賃金問題をめぐる紛争に際しまして、職員側の方で十一月下旬運転保安規正運動荷物愛護運動等と称するいわゆる遵法闘争を行い、さらに十二月の上旬にはいわゆる休暇闘争実施いたしました。この実施を確保するために厳重なピケットラインを引く、このピケットラインめぐつていろいろな紛争が起つて来るというような状態でございまして、全国各地の多数業務機関において、列車運転休止あるいは列車遅延、その他業務の正常な運営を阻害する事実が各所に発生いたした次第でございます。これらの事実は、いずれも仲裁裁定完全実施と年末手当に関する要求貫徹ということのために発せられた国鉄労働組合の各機関指令によつてつたものでございまして、これらの行為、ここに行われました事実というものは、まさに公共企業体等労働関係法第十七条によつて公共企業体職員及び組合に対して禁止されておる行為であるということが明白でございましたので、同じ法律の第十八条によつて解雇の発令をいたした、そういう経過でございます。  こまかく申し上げますと、一つ一つのいろいろな事態について御説明を申し上げなければならぬことになるのでございますが、概括的に、昨年の暮れ行われましたところの争議行為によつて、どのような影響があつたかということを、かいつまんで申し上げますと、まず十一月二十五日から二十九日まで全国百箇所の駅、操車場を指定して、いわゆる運転保安規正運動というものを実施されました結果、運休なつたものが電車で十六本、貨物列車で五十本、遅延いたしましたものは旅客列車が二百五十一本、貨物列車が六百十四本、電車が百四十五本というような影響を受けております。  さらに十一月の二十五日から二十九日までの間、札幌の鉄道管理局外八局で手小荷物積載制限荷物の積みおろしまたは現品対照等を特に入念に行う戦術がとられましたために、旅客列車が五十二本ほど遅延いたしております。そのほか長勤拒否闘争に関連いたしまして、鳳の電車区において、臨時ダイヤ乗務超過労働であるというようなことを主張いたしまして、乗務を拒否いたしましたために、電車が二本運休したというようなことも起つております。  それから休暇闘争におきましては、まず十二月の一日から三日間、駅十八箇所、車掌区十二箇所、機関区四箇所、電車区一箇所、計三十五箇所において延人員約四万四千人を動員いたしまして、ピケットライン張つて職員の出勤または就業を妨害されたのであります。その結果旅客列車が九十八本、貨物列車が四百三十四本運転を休止いたしております。遅延いたしました列車は、さらに数が多いのでありまして、旅客列車で百七十九本、貨物列車で二百四十四本、こういうような影響を受けております。  その後十二月の八日に十割休暇戦術というのが全国の三十三箇所の客車区、貨車区、客貨車区というようなところで新たに行われまして、その結果貨物列車七十八本が運転休止となり、また列車遅延といたしましては旅客列車が三十一本、貨物列車が九十五本というような列車遅延の事実も発生いたしたような次第でございます。  以上のような闘争経過において、場所によりましては列車に対する直接の妨害、職場不法占拠あるいは業務管理というような行為各地で行われました。さらに一部では職員の拉致あるいは暴行事件等が派生的には発生したようなわけでございます。  そういうような状況でございましたので、これらの行為は公労法の禁止しておる違法な行為であるということが明白でございます。明瞭に法律違反が行われておるのに、それを放置しておくことは許されないというので、好ましいことと思わなかつたのでありますが、いろいろな事情を勘案いたしまして、それらの関係者のうち、特に責任が大であると思われた人たちに十八条を適用いたしまして、解雇処分行つたというのが大体の経過でございます。  なお、あまりこまかくなつても恐縮でございますから、お尋ねでもございましたらまた御説明申し上げることにいたします。     —————————————
  11. 赤松勇

    赤松委員長 この際お諮りいたしますが、本日出席予定岩井参考人は、病気のため出席できませんので、高田正雄君に岩井君のかわりに参考人として本委員会において発言していただきたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 赤松勇

    赤松委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  13. 赤松勇

    赤松委員長 それでは次に参考人の御意見を承りたいと存じます。横山参考人
  14. 横山利秋

    横山参考人 本日は私ども関係のために、非常に忙しい中御審議いただきますことを、厚くお礼を申し上げます。  ただいま国鉄当局側からお話がございました点については、われわれとしては大いに異議のあるところでございます。私どもが、何はともあれ、各位の十分なる御検討をいただきたいと思いますのは、どうしてこういう事態が起つたかということが第一の問題でございます。いろいろ申し上げたいことがございますが、時間も勘案いたしまして、きわめて要点的に私ども闘争に入つた理由を項目的に申し上げたいと思うのであります。  第一には、私ども賃金がここ数年来非常に低下をしたという事実であります。それはかつて二千九百二十円といわれた時代もございましたが、それ以来国鉄賃金は、同じ公社関係と比較いたしまして、今日質的に最も低位にあるということが第一であります。これは私どもが申し上げるばかりでなく、大蔵省の岸本給与課長公務員読本で、国鉄賃金が一番低位にあるということをみずから立証されておるのであります。加うるに、かつて六十二万といわれた人員は、現在四十四万と約十八万の削減になつております。また労働実情といたしまして、きわめて労働が強化されております。この点は、昨年の仲裁裁定趣意書におきましても明白なところでございます。こういう労働条件低下に相伴いまして、仲裁裁定が三回にわたつて、完全な履行がされることができませんでした。これが積年の国鉄労働者不満なつたところであります。かてて加えて、直接労働条件の問題ではございませんが、こういうふうになつて来るそもそもの根本ということについては、職場で働く国鉄労働者として、国鉄の経営というものがもう少し健全に充実されなければならぬというところに背景もあつたわけでありまして、国会でいろいろ御審議をいただいておる中で、私ども特に痛感するところでございます。  昨年、政府ベースアップをしないということを決定いたしましたときに、国鉄労働者の憤激はその頂点に達したわけであります。こういう中で、政府の最終的な決定が一月からというふうに決定をいたしましたが、なおかつ国鉄労働者として不満のありました点は、約五点ございました。一つは、八月からと一月からとの相違であります。四回にわたる仲裁裁定か蹂躙をされたということであります。  一つは、昨年の年末の手取りが、一昨年に比較して非常な減収を見ておるということであります。一昨年は約二万円見当でございましたが、昨年十一月三十日現在における政府案によりますと、約一万四千円——物価が一割一昨年より上つていましたから、ほんとうならば二万二千円が一昨年と比較して妥当なところであつたのでありますが、一万四千円の案で、一昨年より約八千円の減収を見ておる、こういうことが第二の原因であります。  第三番目は、公務員国鉄労働者に、年末手当〇・二五の差があるということでありました。この点は歴史的な背景があるわけでありまして、ようやく昨年の春、各位の御了解をもちまして、公共企業体公務員とが一緒であつたわけでありますが、それが年末になりまして再び〇・二五差があるという案が提示されましたことも、どうしても納得できなかつた第三番目の理由であります。  第四番目は、ベースアップが公称約千円——実質は約五百円ぐらいでありましたが、物価政策によりまして、一月以降の物価の値上りを見るならば、とうていこれではベース・アツプにならないという計算を緻密にいたしまして、これでは話にならぬということが第四番目であります。  第五番目は、すぐに賃値金上げと首切りとが一緒になるような背景を見せておりました。これらの点からして、国鉄労働者としては、あの段階におきましてどうにも納得ができないというところであつたわけであります。  そこで、私ども遵法闘争なり、あるいは休暇戦術というものを採用いたしました。しかし、この戦術それ自体を考えてみますときに、私どもは平素の基本的権利ないしは業務上、国有鉄道から平素やれといつてつたことを、そのまま実行したということが言えるかと思うのであります。たとえば、遵法闘争をかりに例に引いてみましても、常に国有鉄道側から規定達等の完全な実施というものを要求されておりまして、この規定、達の完全な実施、法規の完全な実施というところに、私どもが平素やはりしいられ、かつ闘争の最中においても、その意味ならば何らさしつかえないというふうに考えられるところであります。国鉄当局側から、その結果としての運休なり、いろいろな数字についてのお話がございました。あとで技術上の問題についてはお話をいたしますが、総体的に申しますならば、運休とか遅延というものの直接的な原因と、それから当局側としてこれは運休する、これは遅延にするというような措置も、当局がみずから打たれたようでありまして、これらの数字が直接に国鉄労働者責任とされる点については、大いに異論があるわけであります。  そのほか、この十八人の該当者が、一体どういう理由でなされたかという点については、きわめて明白を欠いておるわけであります。御審議くださるならば、あるいはわかろうかと思うのでありますが、地方におきまする責任者は、一体労働組合としての団体行動権並び団結権とどういう関係があるのか。また地方において、ある地方本部においては委員長、ある地方本部においては書記長というまちまちな措置というものは、一体どういう意味があるのかという点についても、きわめて明白を欠いておるところでありまして、御審議をお願いいたしたいと思います。  なお、直接組合員馘首の通告を受けておるところもあるのでありまして、中央本部地方本部、それから組合、その関係がどういう点に馘首の根拠を求めておるかという点についての、われわれの説明要求についても、当局側としてなかなか明白な回答がないのでございます。従いまして、国鉄労働組合としては、今日東京大阪広島、新潟の四つの法廷に対しまして御審理を求めておるわけでありますが、しかし労使関係としてこれが円満なる解決のためには、当局側と十分にさらに馘首の問題について団体交渉し、これが撤回されることが正しい措置であると考えまして、今日なお不当馘首反対闘争を展開し、当局側に善処を要望いたしておるのでありますが、なお当局側としては、これについての交渉に応じようとしていないというのが実情でございます。  そのほか、本日は地方からも国鉄労働組合の幹部が参つておりますから、御質問にお答えいたすことによりまして、私ども不当馘首反対というこの闘争について、十分なる御審議を煩わしたいと考える次第であります。
  15. 赤松勇

    赤松委員長 この際念のために委員皆さんにお知らせしておきますが、ただいま当局から御出席されておるのは長崎総裁、それから当時大阪鉄道局局長でありました井上職員局長、それから前職員局長吾孫子厚生局長、元の東鉄次長山田国鉄監察役、それから磯崎広島管理局長、以上の方々でございます。  参考人の方は、国鉄労働組合書記長横山利秋君、それから国鉄労働組合東京中央本部歌崎藤作君、国鉄労働組合大阪地方本部横手真夫君、それから国鉄労働組合広島地方本部本間大英君、南近畿地方本部高田正雄君というような方々でございます。  なお私ども組合側資料提出要求しておきましたが、まだ出ておりません。それで至急御提出を願うようにただいま督促をしておきました。当局側資料はただいまお手元にまわつておると思います。  それではどうでしようか、各地方の問題も当然からむと思うのでございますけれども、これは参考人に一々地方事情等につきまして御説明を願うか、それとも委員皆さん質疑過程で聞くか、どういうふうにしますか。——質疑過程で聞くということでよろしゆうございますか。
  16. 井堀繁雄

    井堀委員 今私の手元当局から出されている資料では、大阪管理局のものだけでおりますが、解雇処分をした各当局のそれぞれの資料提出委員長から要求してもらいたい。
  17. 赤松勇

    赤松委員長 わかりました。それでは国鉄側で各地方の分と、それから国鉄としてのそれと、至急本委員会提出していただくようにお願いいたします。  それでは質疑によろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 赤松勇

    赤松委員長 それではただいまから国鉄当局並びに参考人に対する質疑に入ります。楯兼次郎君。
  19. 楯兼次郎

    楯委員 ただいま概略の説明を承つたわけでありますが、井堀委員からも御要求がありましたように、各地方本部の詳細な資料提出されましてから総括的に質問をするのが、妥当と考えまするが、特に大阪資料が出ておりますので、大阪資料について、まだ私十分検討はしてありませんけれども、この点について二、三質問を申し上げたいと思います。  ただいまの御説明によりますと、大体解雇理由の主体が、中闘の指令に基くものである、こういうように御説明伺つたと私どもとれるのでありますが、各地方本部役員処分されておるという点について、先ほど横山参考人も言われましたように、労働組合法によつて、あるいは憲法によつて団体行動権が保障をされておるということならば、中闘の指令に基いて行動をした地方本部役員といいますか、組合員も入つておるわけでありますが、これらが処分をされるということについて、非常に疑惑を抱くわけであります。これらはどういう理由によつて地方役員処分されたか、その抽象的なと言いますか、概念的な理由をまずお聞きしたいと思います。というのは全部資料が出ておりませんから、地方職員処分をなぜしたか、お聞きしたい。
  20. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 それでは概括的な考え方というものをまず申し上げるのが、一番よく御理解いただけると思いますから、考え方を申し上げます。  公共企業体等労働関係法第十七条が禁止いたしております対象は、条文の一番初めに書いてございますように、単に労働組香に対してこれらの行為を禁止しておるだけではないのでございまして、いやしくも公共企業体職員である者は「同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する切の行為をすることができない。」と、こうあるわけでございまして、労働組合も、もちろんこういうことはやつてはならないのでありますが、組合組織というものは必ずしも頭に置かないでも、個個の職員がやはりこういう行為はやつてはならないそういう責任を負わされておるわけでありまして、共公企業体職員は一人一々が自分たちのやつてよろしい行為であるか、あるいは非合法な行為であるかということは、それぞれ自己の判断において責任を持つて行動をしなければならないものであるということが、この法律規定の精神であるというふうに私どもは考えておるわけでございますので。従いましてこの十七条に該当するような、業務の正常な運営を阻害するような行為に参加した職員は、その者が組合役員であろうが、あるいはなかろうが、すべてこの十七条に違反した行為責任はとらなければならない筋合いのものである。しかしながら、先ほど横山参考人も申されましたように、現在国鉄労働組合のこれらの関係者は、処分についての無効確認ですかの訴訟を提起しております。     〔委員長退席持永委員長代理着席〕  こういうようにおそらく訴訟問題にもなるであろうということは、私どもとしても当然予想されておりましたので、いたずらに処分者をたくさん出すということが何も目的でございませんし、かつまた、いやしくも一人々々にとつては大きな問題でございますからして、間違いがあつてはならないので、十分にそれぞれの処分されました方々については事情調査いたしまして、調査の結果、関係所属長であります管理局長ともよく相談をいたしまして処分決定した。従つて十七条の考え方から今申し上げましたような考えでおりますので、私どもとしては必ずしも組合組織にすべて結びつけて考えなければならないような、そいうう規定ではないというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、労働組合そのものに対しても、もちろんこの行為は禁止されておりますので、先ほど申し上げましたように、これらの行動組合闘争指令原因として大部分が起つておることは、これまた争えない事実でございますので、組織上の責任者と思われる方々に対しても、その責任を追究したということになつておるようなわけでございます。なおほかの御質問でもございましたら……。
  21. 楯兼次郎

    楯委員 今御回答をいただいたわけですが、そういたしますと、大体において私は三つにわけられると思います。といいますのは、中闘の指令責任者云々という点は、あとでお伺いをいたしますが、これに基いて行動をしたのであるという点に立てば、これは当然全国地方本部がこの指令に基いて行動をしたのであるから、たとい本部の指令によつて行動をしたとしても、今吾孫子説明員の話によりますれば、これは一人々々が自己の責任において云云、こういうことを言われておるのでありますから、当然全国のこの指令に基いて行動をした人たちが、いわゆる十七条違反として処分されなくてはならないというふうにとれるわけですが、あなたの方の解雇をされました人たちを見ますと、四つの地方本部解雇十四名でありまするか、処分をしておる。ここにはどういう大きな相違があるのか、この点についてはひとつお伺いしておきたい。
  22. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまのお尋ねは、形式的に見ればみな同じようなことが、よそでも行われておるんじやないか、それなのに特に十八名だけが選ばれたのはどういうわけか、こういうことに結局お答えすればいいのじやないかと思うのでありますが、なるほど単に形式的にだけ物事を見ますと、実はこれは国鉄部内だけに限らず、昨年暮れの年末闘争というものは、全官公労の共同闘争という形で行われておりました。よそでもやはり二割休暇とか三割休暇ということはあつたのであります。そこにも公労法違反があつたのではないかということは、やはり言えると思います。しかし、これはやはり事態の内容をよく見ないといけないのじやないかと思うのでございます。少しおしやべりが長くなつて恐縮でございますけれども、同じ闘争指令にいたしましても、たとえば休暇闘争指令に例を引いて申し上げるのでありますが、あるところは三割の休暇をとれ、こういう形の指令であります。ところが、国鉄労組等の場合には、三割の休暇をとれという指令ではないのであつて、三割出勤できないようにしろという、出勤阻止の指令であります。そういう点で指令の題目だけは二割休暇とか三割休暇ということで同じかもしれませんけれども、片一方は休暇をとれ、片一方は三割出勤できないようにしろ、あるいは五割出動できないようにしろという指令でありまして、指令の形式において非常な違いがあると思います。さらにこの指令に基いて行われましたところの指令の実行方法が、これまた場所により組合によつて、非常に違つておるのでありまして、あるところは単に指令をして、その指令に個々の組合員が従うという形をとつたにすぎないところもありますが、国鉄関係の場合には、先ほども申し上げましたように、厳重なピケットラインが敷かれたわけであります。また、率直に申し上げますが、ピケットの敷き方にいたしましても、形式的にピケットを張つて、よそから抜けようと思えば抜けられるというような張り方のところもあつたのであります。また時間的に見ましても、割合短時間のうちに切り上げて、実際にはどうにか仕事に支障を与えないような形において行われた、こういうようなところもございます。指令の実行方法が、そういうように場所によつて非常に違うのでありまして、特に国鉄の場合に厳重なピケットが張られたということは、他の組合と非常な違いのあつた点であろうと思います。  元来ピケットというものは、ストライキ破りを防止するためのもので、指令に従わないで出動して来ようとする人を防ぐ、これがピケツトであろうと思うのでありますが……。
  23. 楯兼次郎

    楯委員 私の質問は、中央闘争本部の指令に基いて、全国一斉に、先ほど参考人が述べられたような運動がとられた、それにもかかわらず、四つか五つの地方本部のみに処分者を出したのは、どういう理由であるかという点をお伺いしておるわけすで。だから、あなたの答弁は、私の質問と大分違う。簡潔に、私の質問する点についてのお答えを願いたい。
  24. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 まことに冗長な話をして恐縮でございました。指令の実行の方法が、全国的に見た場合に、違つておるところがあつたので、その指令の結果発生した業務の阻害された事実、これがやはり非常に違いがあるわけであります。ほんとうに形式的な、名目的な争議行為は行われたが、重大な結果が発生しなかつたというところもあつたわけであります。その反面、先ほど申し上げましたように、多数の列車運転休止となり、あるいは遅延し、さらにそれに随伴して、いろいろな暴力的な行為まで起つておるというようなところもあつたわけであります。そういうわけで、看板は同じでありましても、中身を見ますと、指令の形式も違えば、この実行方法も違う。さらにそれによつて惹起された結果には、なお大きな相違がある。そういう場合に責任者処分するということになると、それぞれの事態をあらゆる角度から見まして、あまりにも事実が明白である、こういう行為がもし不問に付されるならば、法律の存在意義もなくなつてしまうというように考えられる方たちの中で、特に顕著な動きを示しておられた方々責任を、それぞれの所属長である管理局長調査もよく確かめて、その上で決定した、こういうような事情でございまして、今さつき大阪お話が出ておりましたが、個個の事実については、また別の説明員からお話いただくのもよろしいかと思います。
  25. 楯兼次郎

    楯委員 どうも私の質問にはつきりお答え願えぬので、非常に心外でありますが、私は具体的に一々事例をあげてお聞きしたいと思います。今大阪資料をいただいたのでありますが、特に大阪地方本部の方が処分をされておりますのは、組織上の責任というのと、野村、北川という方についてはいわゆる梅田の第二信号扱所における三割休暇、それから荷物の積込み妨害行為というように、具体的に理由があげられております。この行動は中闘の指令に基かず、単独に行動したものであるかどうか、お伺いいたします。
  26. 井上正忠

    井上説明員 お答えいたします。中闘の指令に基いてやられましたか、やられませんか、当時の大阪局長といたしましてはつまびらかにいたしません。ただこれらの荷物愛護運動といいますか、あるいは三日間にわたります梅田の駅並びに梅田機関区のピケットラインによる業務妨害、これは当時の組織責任者としての名義で指令が出ていることは確実であります。結局われわれとして判断いたしまして、少くとも現地の責任者としての立場で指令が出て、その指令の結果荷物の積込みの妨害行為が行われた。あるいは貨物列車運休あるいは滞貨を生じたという答えが出ましたときに、責任をとつていただいたわけであります。
  27. 楯兼次郎

    楯委員 それではその問題の詳細については、あとで大阪組合の方の参考人にお伺いしたいと思いますが、大阪地方本部としては、中闘の指令とこれら二つの問題については、どういう関連があるかという点をお伺いしたいと思います。私どもは、中闘の指令が出て、その範囲内と申しますか、その指令に基いてこうした行動がなされたのではないかというように考えておるのでありますが、大阪地方本部としては、中闘の指令との関連についてどういうふうに判断されたか、伺いたい。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 横手真夫

    横手参考人 ただいま当局側から言われました組織責任者の名義として指令が出されておるという解釈は、十分わからないわけでありますが。私たち地方本部といたしましては、当時の中闘指令に基きまして、具体的に大阪の駅において梅田を指定してやつたというだけであります。従いまして、指令の内容、性格、これについては、中闘指令をそのまま遵奉してやつたということ以外に何ものもないのであります。そういう点だけは、後日中闘からも明らかにしていただけるかと思います。
  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連して——吾孫子さんにお聞きしたいのですが、先ほど組織責任者云々と言われました。また十七条は、必ずしも組織だけのことを書いているのではなくて、職員それ自体の判断をやはり入れる要素があるのだ、こういうお話でしたが、この国鉄労働組合というのは個人加入の組合であるかどうか、まずお聞きしたい。
  30. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄職員労働組合に加入するかしないかということは、本人の自由意志によつて加入してもよろしいし、加入しないでもよろしいということが、公共企業体労働関係法第四条に規定してございます。
  31. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国鉄組合は、いわゆる単一組合で、地方本部の集合体あるいは連合体でないと当局は考えられているかどうか、その点についてお答え願いたい。
  32. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄労働組合というものの性格は、むしろ組合の方に聞いていただいた方がよくわかりますので……。
  33. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 当局の認識はどうなんですか。
  34. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 単一の労働組合であるように承知いたしております。
  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 俗に単一組合とは言つておりますけれども、事実は組合単位で加入しているのが、最近の民間の大体の実情であります。あるいは違うところもありますけれども、そういう実情である。でありますから、その単位組合責任者は、かなりその単位組合としての独自性の要素、たとえばストライキの指令を流しましても、その単位組合において判断をしてそれを拒否するという一つの団体の行動権を持つている。ところが国鉄労働組合は、個人加入の組合である。なるほど、その本人が組合から出て行くことは自由でしようけれども地方本部をまとめて意思決定をすることはできないという組織になつている。この組織上の観点を、当局はどういうように認識されているか。たとえば指令が流れる。そうすると、地方本部としてはこれを拒否して独自な行動に移るということが、現在の国鉄の規約の組織から許されているかどうか、この点当局はどういう認識であるか、お尋ねをいたしたい。
  36. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほども申し述べましたように、公労法の十七条は、組合に対しても争議行為を禁止しておりますが、同時に、職員に対しても禁止しているわけでございます。上部から違法な指令が流された場合に、その違法な指令であることを承知しながらさらに下部に指令をするというようなことは、この規定に違反することになるのでございます。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 違法の認識というのは、今すでに問題が係争中であり、法律問題として法廷で争つているほど、きわめて認識が困難な問題である。ですから、組合員はもろろん、その団体。意思決定に参加しない下部の組合員は、それがいいとか悪いとかいうことによつて十七条の適用を受けるということは、十七条いな憲法の精神を蹂躙したものと考えておりますが、当局ではどういうように認識されているか。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お話のようには考えておりませんので、やはり公共企業体職員には、一人々々が自分たち行動が法にかなつたものであるかどうか、違法なことになるかならないかということを判断しなければならない責任を負わされているんだというふうに考えておるのでございます。
  39. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では一般の労働組合が違法な争議をした場合の責任の問題と、公労法十七条の規定とは違うという認識であるのかどうか、お尋ねいたしたい。
  40. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一般的な法律問題というようなことになりますと、幸い労働省の労政局長もお見えになつておられますから、労政局長にでもお尋ねいただきたいと思うのでありますが、われわれとしては、国鉄の労使は公共企業体等労働関係法の適用下にありますので、公共企業体等労働関係法の解釈を、ひたすら誤らないように注意をいたしておる次第でございまして、いろいろわからないことについては、政府その他関係方面にも御意見をお伺いして、御指導をいただいているというようなありさまでございます。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の通説としては、下部の組合員に中央指命が来る、そうすると、普通の組合員では判断のつかないようなものは、当然組合の指命は正当なものとして行動する、それに対する民事上の責任あるいは刑事上の責任はない、こういうことが通説であります。ほとんどそのように解釈をされている。私はほかに異議のある解釈を見ないのです。ほとんど大多数のそれに触れている本には、そういうふうに解釈されている。そこで公労法の十七条の規定が、特に公務員には争議行為の違法性の認識について、特にそういう義務を課している点がどうも発見できないのですが、何かそこに当然差異があるべきであるという必要性があるのかどうか、それだけの差異があるべきだということがほんとうであるかどうか、その点についてどういうように御判断になつているか、お尋ねいたしたい。
  42. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまのお尋ねがございました点は、やはり公共企業体等労働関係法の第一条に書いてございますようなこの法律の目的から来ているのではないかというふうに考える次第でございまして、やはり公共の福祉擁護のためには、公共企業体の中において社会公共に迷惑をかけるようなことが起らないようにさせる必要があるというところから、この規定が置かれているのであると考えております。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労政局長はどういう認識でおられるか、お尋ねいたします。
  44. 中西実

    ○中西政府委員 こういいつた制限がございますこと自体の立法につきましての可否は、しばらくおくといたしまして、この公労法は多分に沿革的なものがございます。公務員法、地方公務員法、すべてこれらの労働関係につきましては、身分法的にいろいろと制約を加えている。公労法におきましても、その方式が一応受継がれておりまして、従つて組合だけでなくて、職員個々人につきましても、やはり十分に認識を持たなければならないということになつておりますので。ただいま吾孫子局長の方から話されましたように、個々人が違法性ということを十分に認識しなければならない。個々人の行為につきまして、責任が問えるというふうに考えております。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 なるほど十七条は、組合だけでなくて、職員の禁止も入つておる。しかし組合の団体行動としてやつた場合に、その遵守した組合員が入る、こういう考え方ではないと思う。これは職員のグループとかその他のものがそういう行為行つた、こういうことにも関係をするのではなかろうかと思うのですが、いやしくも意思決定をして、それに対して下部が自分の意見をはさむ、また地方本部として意見をまとめて行動することのできない状態において、それを下部に伝達したというだけで地方本部責任を受ける。つまり行為者でなくて、その伝達した者が責任を負うということは、どうも理解できない。十七条からは来ないと思うのですが、一体どういうふうに考えられておるか、再度お尋ねしたい。
  46. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 同じようなお答えを申し上げて恐縮ですが、十七条は、職員の個々人に対してこういう行為を禁止しておるのだ。いやしくも公共企業体職員はこういう行動に参加してはならない、そういうふうに解釈いたすわけでありますが、その場合に、地方本部委員長とかあるいは副委員長というような処分の対象になられた方々が、そういう行為に関与しておられることは明白であろうと思います。まさか地方本部のそういう役員の方が、全然自分は関与しておらないということはおつしやらないだろうと思いますが、いやしくもこういう禁止された行為に関与しておるということが明らかであれば、処分の対象になつてもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関与しておるというのですが、これは中央の意思決定に関与しておるという意味責任を問われたのですか。
  48. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 中央の意思決定に関与したか、しないということでなしに、十七条に禁止した行為に関与し、その行為に参加しておる、これは間違いないのじやなかろうかというように考えるのでございます。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 参加しておるのは、全部参加しておるのですから、これは間違いないと思いますが、関与しておるということについて組織上の責任を問うておられるのですから、これは行為じやなくて組織上の責任である。しかも関与しておるということになると、当然何か中央の意思決定に関与しなければならないと思うのですが、中央の意思決定に関与されておるかどうか。
  50. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その点は、先ほど横手参考人がおつしやいましたけれども業務機関の指定をしたということをさつき述べておられます。中闘の指令を受けて業務機関の指定をする、そうしてそこに張るべきピケツトの動員計画を立て動員をやる、そういうようなことは中央の意思決定に参画したというふうに考えるのがよいのか、あるいはそういうふうに考えないのがよいのか、問題はあるかもしれませんが、いずれにしても単純に関与したということだけよりは、非常に強い関与の仕方であるということは言えると思います。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 地方本部委員長というのは、四つではないと思う。地方本部は相当あると思います。一体その委員長は関与しなかつたかどうか。どういう判断を下されておるのか。
  52. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 業務機関の指定というようなことは、単なるお取次というような伝達とは、実質的に違うというふうに思いますが、それぞれの全国の他の地方本部なり支部なりの委員長あるいは幹部がとつた行動を見ておりますと、実際にはいろいろその間に違いがございますので、今回処分の対象にせざるを得なかつた箇所の幹部の方たちは、その中でも特に事実が明白で争えないものであるという方々について責任を問うたというのでございまして、私ども考え方としては、処分の対象としなかつた職員は全部合法的な行為をやつてつたのだというふうに万一にも考えられては困ると思いまして、そういう意味のことを、職員一般に対しても、いろいろな機会を通じて徹底するような方法を講じておるのでございます。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の地方本部委員長の関与の仕方は、指令の伝達でしかないと考えるわけであります。意思決定に関与しておるかということになりますと、そういうことではなくて、単に梅田駅なら梅田駅を指定した、これは重大な意思決定の参画である、こういうような認識に立たれておると思うのでありますが、これは地方本部委員長としては、その指令実施するにあたつては、中央で決定したことを単に実施に移す、こういうだけの使命だと思う。梅田駅が悪くてほかの駅ならばよかつたであろう、ほかの駅でそういう事態が起つたならば責任を問わないけれども、梅田駅を選んだということによつて責任を問われておるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  54. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その最後の点の梅田駅を選んだからその責任を問うたので、ほかの駅を選んでおれば責任を問われなかつたというようなことは、もちろんございません。特定の業務機関に十七条違反の行為をやらせるというようなことが行われた場合には、やはりその責任は追究しなければならないと考えております。  それからまた、これは何も大阪に限つた話ではないのでございますけれども、今回の年末闘争に際して、組合側地方本部自身が、それぞれ現地の当局側に対して、現在行われている行為地方本部責任なんだということを言明されたようなところも、相当あるように伺つておるような次第であります。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 地方本部責任だということは、組合が言明したのですか。
  56. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その通りでございます。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この問題につきましては、私はまた行為者の問題とともに、一応総括して議論をしたいと思います。しかし、どうもふに落ちない。普通の組合法で行きますとこれは処罰の対象にならないと思う。行為者が特にその指令を逸脱して破壊的行為をやつたかどうかということは、また別です。単に中央で意思決定をしてしかも炭労のごとく組合が加入するという方式であるならば、これはまた問題があろうと思う。しかしながら、これは個人加入であつて、全然その機関は意思決定のできない機関である。その機関の長が意思を伝達しただけでやれる、こういうことはどうもふに落ちない。どうも当局は、そういう点を明確に分析されて、責任の所在を明らかにされていないように思う。ただ漠然として、ここがひどかつたらこれをやろうというようなことで、法理論上どうも根拠が薄いように思いますが、まだほかの委員からこれに関連して質問したいということでありますから、私は一応保留いたしまして関連質問を終りたいと思います。
  58. 赤松勇

    赤松委員長 参考人側で、何か今の問題について発言がございますか。
  59. 横山利秋

    横山参考人 先ほどの御質疑の中でひとつ申し上げたいことがございます。これは単一組合論の議論の中で発展したお話でございますが、国鉄労働組合は、御存じの通りの単一組合であります。御答弁なされました吾孫子職員局長も、すでにこれを認められて、国鉄労働組合の単一組織並びに中央としての統制をしばしば要望されておるところであります。従いまして、今回の年末闘争に際しましても、中央闘争委員会が十分に統制をとつてくれるようにという要望を、しばしば受けたものであります。たとえば、この点は十一月の三十日でございましたが、いよいよ交渉が最後の段階で幕切れになりました際にも、長崎総裁は、この際やむを得ない、やるならばひとつ堂々とやつてくれ、こういうような発言を組合側にされたわけであります。われわれとしては、その言葉をすなおに受取つて組合本部の統制ある行動のもとに、やるならば堂々とやつてもらいたい、こういうふうに受取りました。また十二月四日、三日間の三割が済みましたあと、職員局長と交渉いたしました際に、職員局長は、いろいろなことがあつたけれども、一応大過なく終つて同慶にたえないというような発言を組合側にされたわけでありまして、これらの点から推しまして、私ども当局側の十八名の首を切るというような態度と、前後を通じまして、相矛盾を感ずるわけであります。組合本部といたしましては、地方におけるいろいろな問題につきましても、常に電話をもちまして、あるいはいろいろな手段をもちまして、統制ある行動をするようにいたしたわけでありまして、現場の選定については、地方本部の判断を求めましたけれども、これらの点につきましても、中央闘争委員会としての指令のもとに行動が行われたというふうに御理解を願いたいと思います。  なお一部の地方本部で、かかる問題については地方本部責任であるということを当局側に言つたことがあるかとは存じますが、これらの点は、地方本部責任者としての道義的な気持から言つたものでありまして、これらのすべての責任は、中央闘争委員会指令より起つたものである、こういうふうにわれわれは判断をいたしておるわけであります。
  60. 赤松勇

  61. 館俊三

    館俊三君 私方面を異にしてお聞きしたいのです。今多賀谷真稔君の質問に対する吾孫子さんのお返事を聞いての考え方が、非常に不明確であるということがわかつたのであります。そういう意味から、公労法十七条違法であるという決定をなさる資格が、厳密に言つて、あまりないのじやないかという判断を持つたのであります。もう一つ言いたいことは、吾孫子さんのお話の中に、この公労法下にある私たちも人間だということがある、まさしくその通りなんです。公労法下にあつて、公労法に従わなければならない当事者は当局であり、また組合そのものなんです。これが両当事者として紛争を起した。その紛争が是か非かということを、当事者の一方が判断をして、そうしてこれは悪いんだという裁断を下して、しかも処断をしてしまう、これは実に変なことだと私は考える。私は法律家ではありませんけれども、常識的にそう考える。東京裁判に対していろいろな批判があるのは御存じの通りです。ことに文部大臣は何か変なことをおつしやつて、失言問題を取上げられておるのですがあの問題をお考えになつても、あなた方はよくおわかりのことと思う。けんかをして相手をたたきつぶした者が、これを裁判をして縛り上げたというのが、今のあなた方の言う十七条違反であるとして十八条を適用した姿なんです。そういう常識的な考え方に対して、長崎総裁はどうお考えになつているか。もつともだとお考えになるかどうですか、ちよつと御意見を聞かせていただきたい。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は御承知の通り公労法その他の法律が出た経緯等につきましては、当時追放でございまして一切わかりません。どういう事情でできたしたかわかりません。しかし、一旦法律がある以上、その法律の精神というものを守らなければならぬという考えでおります。
  63. 館俊三

    館俊三君 今の総裁お話は、きわめて遺憾であります。公労法制定当時に私がいなかつたからわからないということでは、いけない。いやしくも総裁におなりになつた以上は、公労法をつくつた当時の沿革からも十分研究をなさつていなければならぬはずだ。その当時いなかつたから、それを知らないということはいけない。それから、私の聞いておるのは、そういうことでなくて、今文相が、極東裁判に対して一方的なやり方をやつたと言つたということで、いろいろ問題になつておる。端的に言いますと、勝つた者が負けた者を裁判する、それを文相はきわめて野卑な言葉で言つて笑われておるのですが、しかしその中に、やはり勝つた者が負けた者を裁判することが悪いという意味が含まれておる。文相としてあるまじき下品な言葉で言つて、閣僚の品位を、あるいは国会の品位を落したのですが、それはとにかくとして、両当事者間に、もしかして紛争がいろいろできたときには、関係者以外の者が判断してこれに裁断を下すべきではないか。ところが現状は、けんかの相手が当事者であるもう一方の者を処断をした、こういう形がいいか悪いかと私は聞いておる。これは常識論です、どうですか。
  64. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 文部大臣さんのお話は、私にはむずかしくてよくわかりませんけれども、公労法の第十八条というのは、別に戦争して勝つたとか負けたとか、そういうあれとは全然違うのでありまして、こういう事由のある場合に、十七条に違反した職員があつた場合はその雇用契約を解除するというだけのことではないか。裁判というようなことじやないので、契約の解除ということになりますれば、契約の一方の当事者である国鉄当局側が判断をするのは当然ではなかろうか。ただしかし、その判断の仕方がいいか悪いかということは、今裁判所に問題がかかつておりますので、もし私どもの判断の仕方が間違つておりますれば、裁判所でお前たちの考えはいけないとおつしやるだろうと思つております。
  65. 館俊三

    館俊三君 そこで公労法の沿革については、長崎総裁は知らないと言うのだが、知らないわけはない、勉強していらつしやるだろうと私は思う。そういう白々しいものの言い方はなさらぬ方が私はいいと思うのですが、よくそういう発言をなさる。さつき大阪管理局長のお返事の中にも、中闘の指令で動いたかどうかを私は知らないという白々しいことをおつしやつておる。局長は知つていらつしやるはずだ、私はそういうふうに思う。私はそういうお返事をこれから皆さんから承りたくないと思う。裁判所に行つて、それでいいものならば、それで片づくものならば、公労法の建前を沒却しておる。公労法というものは、調停委員会で納まらないでしかたがなければ仲裁まで行くという建前で、なるべく和解のうちに解決をしようという建前だ。それを裁判所まで行くということになると、すでに調停委員会あるいは公労法そのものの本質を沒却しておるのであります。ところが、幸いにして仲裁委員会その他があるのでありますから、そういうところへ公労法違反であると思うがどうかという、少くとも相談をするとかあるいはそれの判定を待つとか、中立者の判定を求めるような形で行かなければならぬ。そうやれと法律には書いてありません、だから私はやれとは言わぬが、そういうことでなければならないものであると私は考えるのですが、そういう考え方に同意できませんか、できますか。
  66. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 たいへんむずかしいお尋ねでございまして、法律の立法論としてはいろいろな考え方もあろうと思いますが、ただ公労法の精神を沒却したような仕事のやり方を、もし私どもがいたしておりましたならば、これはやはり私どもは運輸大臣さんからも御監督を受けておりますし、労働大臣さんからも御監督を受けておりまするし、そういう方面から、お前のやり方はいかぬぞというおしかりを受けるだろうと思うのでありますが、大体そうひどい間違いではないというふうにお認めいただいているように考えております。
  67. 館俊三

    館俊三君 私は、あなたの方でそういう不都合があつたかなかつたかということを吟味しておるのではないのです。一つの事象を考える場合に、今の場合だと、組合から考えてのものと、その相手である当事者であるあなた方の立場で考えるものとは相反しておるので、ここで裁判所という問題も当然出て来るのですが、私の言うのは、そういう裁判所に出すこと自身が、公労法の精神に反しておるんじやないかということを言つておるわけです。そうでなくて、建前上円満に和解させる一つの方法としての公労法であるならば、仲裁委員会その他別の機関で、当局の主張する十七条違反であるというのが正しいのか、違反でないと組合がいうのが正しいのかということを決定すべきである。当局の立場からのみこれを決定することが、ことに今日の問題を激化させることになるだろうと思う。そういうことがおわかりでないかというのです。これから公労法の改正ということも考えられなければならないが、かつてに一方の当事者が、公労法違反である、また組合としては違反でない、こう言う際に、公労法の精神をくんでどういうふうにしなければならないかということについては、私はそういうふうに考えておるのです。  そこで、そんなことをやりとりしておつてもしようがありませんが、いろいろの遵法闘争が公労法違反であるということを言われておるのですが、しかし組合で言つておる遵法闘争を見れば、大体平生から当局が何々週間、何何運動といつてやらせておることをやつておる。それをやつてどこにどう悪いのかということなのです。一例をあげれば、荷物の愛護週間あるいは愛護月間、そういうものを当局はやつておる。荷物を愛護するために当局がきめた諸規定についていろいろ平生から訓練されたりあるいは厳重に守ることを言つておる。それを組合がやつた。これが十七条違反だということでありますが、私は進んでそういうことをやるように組合みずからがなるということが正しいと思うし、またそれをやらざるを得ない状態に現場の作業状況がなつておるということもよくわかります。そういうことが十七条違反であるという頭からのきめつけ方は、非常にわがままかつてなきめつけ方と私は思ういうわけで荷物に対する運送保険の経営も成り立つておるのが実際なのです。これについて大阪及び広島あたり、少しもんちやくがあるらしい。大阪及び広島局長さん方から、どういう事柄があつて、それがどうして法規に違反しておるかという現実に起きた問題について、当局側の御意見をまず最初に聞きたい。
  68. 赤松勇

    赤松委員長 館君、この事実調査の件は、現場の調査にも参りましたから、後ほどその結果も報告しなければなりませんし、それに基いていろいろな質問が行われると思いますので、それはちよつとあとまわしにしていただきまして、あと関連質問がございますから、これを許したいと思いますので、御協力願います。井堀繁雄君。
  69. 井堀繁雄

    井堀委員 ただいま館君並びに他の委員から質問されております中で、非常に重大な点が一、二ございますので長崎総裁から明確な見解を伺つておきたいと思います。それは柴谷要君を初め十八名の解雇通達を出しておるこの事実であります、御案内のように、労働者解雇ということは、死刑執行に値する。われわれ労働法また労働問題に関係いたした者といたしましては、かくのごとき処分が行われる際には、輿論はもちろん、当事者の真にそれぞれ納得のできる理由がなければならぬことは申すまでもないのであります。そこで、こういう解雇が行われる理由が、われわれのところに報告されました資料は、大阪管理局における解雇理由のごく簡単な報告資料しかいただいておりませんので、他の場合を十分知ることはできませんが、ただいま答弁されております中で、きわめて不明確なのは、公企労法の十七条により、さらに十八条を受けて立つて処分したということを言つておることは明らかなようであります、そこで十七条には、罷業、怠業、その他正常な業務運営を阻害するという抽象的な文字と、やや確定的な事実をさして、処分の対象を明らかにしておるようであります。このうち大阪の場合では、正常な業務を阻害したという理由があげられておりますが、十八人の解雇理由がこれとまつたく一致したものであれば、そこで明らかにされるのでありますが、資料をいただいておりませんので、当局といたしましては、かかる解雇処分をいたすのについて、ただ十八条の今あげました法律の中の三つのうちどれをさしておるのか、この点をまず明らかにしていただきたい。
  70. 長崎惣之助

    長崎説明員 個々の場合につきましての詳細な説明は、吾孫子説明員から説明いたさせます。
  71. 井堀繁雄

    井堀委員 私がお尋ねしておるのは、少くとも総裁といたしましては、十八名の解雇について、確固たる見解を持たなければ、こういうことの処置を許しはしないと思うのであります。その十七条とおつしやるなら、十七条のどこかということをはつきり言つていただきたい。
  72. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は概括的に申しまして業務の正常なる運行を阻害したということに当ると思つております。
  73. 井堀繁雄

    井堀委員 そういたしますと、ここに罷業、怠業、正常な業務を阻害するとありますうちの、正常な業務を阻害したという理由で、十八人を解雇なさつたということになりますか。
  74. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま申し上げましたように、少くともこれには該当いたします。
  75. 井堀繁雄

    井堀委員 十八名のうち全部正常な業務を阻害する行為があつたから、あるいはそういう行為を、組織責任者の立場から処分に値するような処置をしたという見解があるわけでありますが、そういう見解については、よも総裁としてはただ単に報告を受けたから承認するというたやすいやり方ではないと思うのでありますが、この辺の見解をただしておきたいと思います。はつきり御答弁を願いたいと思います。
  76. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 総裁が今申し上げましたように、先ほども解雇理由を私冒頭に申し上げたのでございますが、その際に昨年の十一月下旬以来いろいろなことが行われた、それらの行為が、いずれも業務の正常な運営を阻害する事実を発生せしめておるというようなことが、今回の処分原因になつておるのだということを申し上げたのでございますが、法律の条文の適用という問題になりますと、第十七条が該当することになるのでございます。第十七条の第一項に、ほとんど全部のものが該当いたしますが、同時に第一項後段の規定にも該当するものがあるというふうに、事実調査の結果なりましたので、総裁の御決裁を仰いだ、こういういきさつでございます。
  77. 井堀繁雄

    井堀委員 このことは、冒頭申し上げましたように、解香ということについては、雇い主側はもちろんのこと、特に公労法の精神は十分御承知のことと思うのであります。公共事業でありますから、その公共事業に従事する関係者といたしましては、その職員処分をするときには、世間を納得するに足るだけのりつぱな理由が、しかも明確になつていなければならぬ。総裁は十七条のどの項にどの人が該当するから処分をしたということを、ただちに答弁ができなければならぬはずである。また当時の職員局長であられた人が、ほぼ説明をされておりますけれども、これもまた不得要領であります。十七条の一項のどこがどれに該当するかということは、きわめて漠然たる答弁であります。これはあとでだんだん委員会において問題が調査され、事実が明らかになつて来ることにおいて、結果はきわめて重大だと思うからお尋ねをしておるのであります。こういう解雇処分をする前提が、問題になるわけであります、何でもないものを首を切るはずがないわけであまりすから……。どうして正常なる業務が行われなくなつたかということが、この十七条の裏にあることを忘れてはならないのであります。ぱかんと十七条がここに書かれておるのではなくて、少くとも公労法の第十条の精神を受けて、こういう条文がそれぞれまとまつて来ることは、私がつたない説明を加えるまでもないのであります。でありますから、公企労法にまつまでもなく、労働者を首切るときには、その労働者自身が納得することも必要であります。その人々が組織している労働組合を納得させるということも当然の義務であります。ましてや公共企業体である場合におきましては、これにはそれぞれ直接間接の利害関係を持つ一般の人々が、十分な了解をなし得る処置でなければならないことは、公労法を熟読されれば明らかなことであります。その当面の責任者である総裁が、このような大切な場所に臨まれて、議員から質問を受けて明確なる答弁ができないというようなことは、もつてのほかである。もし御承知であつてとぼけておるとするならば、まことにこれは不手ぎわな態度である。こういうときには、積極的にあなたの方から議員に了解を求めて、協力を求めるという態度でなければならぬ事柄なのである。十七条のどれかわかりませんなどというようなことは、不見識きわまることでありまして、その責任がまず問われることになるのであります。でありますから、もう一度はつきり総裁から、他人の口を借りるまでもなく、みずから進んでこういう確固たる信念と、こういう事情に基いたものだという、何人から問われても十分申し開きのできる用意があるはずであります。その所信をこの際明らかにしてほしいと思う。
  78. 長崎惣之助

    長崎説明員 重ねて申し上げますが、先ほど申し上げましたように、少くとも業務の正常なる運行を阻害した、そういうような条項に該当しておるという事情がはつきりして参つたから、遺憾ながらその処分をしなくてはならぬということになつたのであります。
  79. 井堀繁雄

    井堀委員 これは後日あなたの方から正式に解雇理由を文書にして出していただくなり、あるいは説明していただいてから質問すれば、明確になつたのでありますが、しかしその必要はないのであります。なぜならばというと、先ほど来それぞれ説明が行われておりますように、この十七条によつて処分するということは、大阪の例にならいましても、その前提条件としては  「賃金問題をめぐる紛争に際し」と、こう前提しておるわけでありますから、何でもないところに正常な業務を妨げるような行為行つたのではないことは明らかだ。また公労法の十七条というのは、争議行為規定してあるところなんです。ここの解釈が、法理論としてもきわめて重要でありますが、私ども議員は法理論を展開する前に政治的にこの問題を処理しなければならぬ義務があるわけなんです。そこで前提条件になつて来る賃金問題は、われわれも一半の責任を持つておるわけです。すなわち仲裁裁定をめぐる予算措置の問題については、国会が意思表示をしておるわけであります。かかる処置が労働者を納得させることができなかつたことが、紛糾の原因をなしておることは明らかなんです。こういう責任の所在は、ただ単に労働者行為が正常な業務を誤つたからという端的な事実によつて処分をされますならば、われわれはとやかく言わぬのであります。この関係が前提になつている以上においては、総裁としては、国会に対して事前に、こういう事態であるから、こういう処置をしなければならぬ状態になつたからということで、ただ予算措置のときだけに関連を持つのではありません。公労法をよくお読みください。こういう極刑をもつて処置しなければならぬ事態には——少くとも調停なり仲裁というような機関を公労法が設けておるということは、団体交渉だけでは問題の処理ができない場合に、二重、三重に第三者の公正な意見に基いて紛争問題を処理することを命じておるわけでございます。こういう公労法の精神に基いて処分をする場合においては、公労法の手続を誤りなく行わなければならぬ義務があり、当事者にとつては何よりその責任を責められることであります。そういう措置は、もちろんとつていないことは明らかであります。のみならず、解雇理由が議員に問われてもなお不明確である、こういうようなことであつてはならぬことは申すまでもないのです。まことに遺憾しごくでありますが、本日は時間の関係もあるようでありますし、関連質問でありますので、この問題は後日輿論の納得できるように、われわれとしては努めなければならぬ義務を感じております。従いまして、徹底した質疑を行つて当局の態度をただしたいと思つておりますが、私の関連しての範囲内におきましては、十七条の最初の項にある正常な行為を怠つたというだけで十八名の解雇が行われたということが確認されました。これを拡大して、あとでわれわれの質問に対して答えるようなことは、おそらくなかろうと思います。この点を、この際くどいようですが、明らかにしておきたいと思います。もし総裁が自信のある答弁ができなければ、係員と御協議なさつてもけつこうでありますが、十七条の怠業、罷業いずれでもない、正常なる業務を阻害したというだけで十八人の首を切つたということについて、この際ここではつきり回答してもらいたいと思います。
  80. 長崎惣之助

    長崎説明員 繰返して申し上げますように、少くとも正常なる業務の運行を阻害するという行為に該当するものと考えております。
  81. 赤松勇

    赤松委員長 木村文男君。
  82. 木村文男

    ○木村(文)委員 私の質問は、あるいはきようの議題に沿わない質問であるかとも考えますが、こういうそろつた政府委員出席はなかなか得られないので、私から一、二お尋ねいたしたいと思います。  第一点は、きわめて端的に申し上げますが、各駅であるとか、あるいは諸官衙等、そういうような公共の建物について、ことにきようは国鉄総裁が参つておりますから、特に私は上野駅とか、あるいは各駅のことを申し上げたいと思います。駅等の公共的な建物に、しかもああいうような大衆が出入りする建物に、公然と、いわゆる労組等の、しかもそこに職場を持つている職員組合が、政府打倒のスローガンを掲げたり、あるいは列車にそういうようなビラとかいつたものを公然と張ることが、組合員としても、組合自体の行為としても、許されるべきことであるかどうか。あるいはまたもう一つは、公務員としての立場からいつて、そういうような行為をとることが、当然行われてさしつかえないことであるかどうかというようなことについて、国鉄総裁である長崎さんが、みずから管理を委託されている建物であり、みずからが監督権を持つている職員に対してとるべき態度はどんなものであるかということを、私はお尋ねしておきたいのであります。これが第一点。  しかして、これと相まつて、私は法律をまだ調べておりませんので、お聞きしたいのでありますが、これを完全に取締るところの公労法であるとか、あるいは労働基準法によるものであるとか、あるいは公共の建物に対するところの取締りの法規がないものであるかということ、この二点をお伺いしたいのであります。  もう一つは、これは国鉄総裁に対して、私は苦言を呈したい。私、所属は自由党であります。従いまして、現政府の支持者であります。しかしながら、政府当局が不勉強であつたり、あるいはまた研究が足りなかつたりするために、われわれ自身の身の上にまで影響を及ぼすことが多々ある。今日私はなぜこれを言うかというと、先ほど井堀さんと館さん、同僚の人たちから質問が出た。その際に総裁ともあろう人が、自分が追放されているときの法律であるから、内容も沿革もわからぬというような答弁をされた。いやしくもその職にあつて関係の法規である以上は、あなたがもしわからなかつたら、正確なところをあるいは誤つて答弁するようなことがあつて迷惑をかけてはいけないから、他の者に答弁させますという程度は見のがせるけれども、いやしくも祿をはんでいる者がわからないなどと言うようでは、この席に出ない方がいい。私は自由党だから、あるいは社会党だからといつて、いいことはいいし悪いことは悪いと思う。私も十九年も役人生活をして、聞き捨てならない言葉だと思つて、うちの党の理事諸君からお許しを得て今発言をしている。この点はあなたばかりではない、前に内田農相にもこういうことを言つたことがある。ほんとうの話が、私はどなりつけてやつた。こういうことでは国民に納得が行くものじやない。現在の政府だからといつて、そういうことを言うのは、考えようによつては暴言なんです。そういうことを言うと、反対党の諸君はいい機会だというので、攻撃して来る材料を与える。自由党がもつぱら迷惑をこうむることになる。ですから、いやしくもそこに並んでいる諸君は、十分研究して、反対党の諸君が束になつてかかつて来たつて、われわれは自由党を背景にして正々堂々と闘うというだけの資料をそろえて来てもらいたい。これだけは私が非常に遺憾に思つた。そういうことから、いろいろ国鉄に問題が起きて、反対党の諸君に足をひつばられるようなことになるかもしれぬ。だから、こういう点は十分御注意を願いたいと思う。これに対して、今後はそうしないとか、もつと勉強しますとかいうことを、はつきりここで反対党の諸君に明示しなさい。
  83. 長崎惣之助

    長崎説明員 最初の争議の問題は、手続上の問題でございますから、職員局長が答弁いたします。  最後の問題について、私は詳細なことはわからない。しかし当時の問題あるいは公労法の精神というようなものについては、十分勉強をいたしているつもりでございます。従いまして、これに対してお答えすることはできるわけでございますが。今木村さんのおつしやる通り、間違つたことを申し上げては相ならぬと思いましたから、ああいうことを申し上げたのでありますが、仰せの通り、詳細なことはわからぬから云々と申し上げた方がよかつたと思います。この点については、御注意を十分尊重いたしまして、今後気をつけるつもりであります。
  84. 青野武一

    青野武一君 私は総裁吾孫子さんに大切なところを四、五点関連質問申し上げたいと思います。私はこの間ちよつと大阪に同志諸君とともに行つて参りましたが、現地報告を兼ねた具体的なことはまたの機会にいたします。  長崎総裁には運輸委員会、予算委員会等で、かなり基本的な問題の質問を通じて御答弁を得ておりますので、重複しないようにお尋ねを申上げたいと思います。  ほかの委員の方からの御質問で、大体公労法第十七条、十八条によつて解雇したということはわかる。これは先ほど多賀谷君から法理論もございましたが、大体公労法第十七条で解雇したという点だけは、各委員に明瞭に納得をしてもらつたと思います。それでは解雇をするについて、最後はだれが処断を下したか。長崎総裁がやられたのか、運輸大臣の手に渡つたのか、あるいは幹部が協議したのか、そういうこまかい点は長崎総裁は御存じないような御答弁でございました。そういう具体的な公労法違反行為をよく御存じになつた上でないと——先ほど井堀君も言つておりましたが、労働者解雇せられるということは、生活の破綻、言いかえれば失業者になる。これは一大臣が疑獄事件等で、質問戦を通じて急所をえぐられて社会的に生命を落すこととはまた趣の異なつた、生活不能の段階に落されて行くことですから、公労法第十七条によつて解雇するなら、具体的にどういうことをしたからということが明瞭にせられて来なければなりません。その具体的なことを長崎総裁が御存じないでは、今日の労働委員会の御答弁は三文の値打もない。そこで最後はだれがこの解雇決定したか。それについては全国二十二の管理局から、中闘を通じて斉に賜暇戦術その他遵法闘争指令が出たはずです。それを、たとえば新潟、広島東京組合本部、あるいは天王寺管理局等一部に限定をして、たとえば門司の鉄道管理局であるとか、熊本であるとか、北海道であるとか、四国であるとかいうところは、あなた方が解雇をしなければならないようなことをしてなかつたと御認定になつたのか。二十二の管理局の中の一部を限定したことは、どこに基準を置かれたか。それからもう一つだれが最後に解雇の処断を下したか、これを承つておきます。
  85. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 解雇処分について、最後的にだれが決定したかというお尋ねでございますが、この点はそれぞれの各地方において発生いたしました事実をよく調査確認いたしまして、国鉄の本庁と各所属長である管理局長、工事事務所長等と相談の上、総裁の御決裁を得て決定した、こういうことでございます。  それからほかの管理局の中で処分のなかつたところもあるが、それはどうかということでございますが、その点は先ほども実は簡単には申し上げたつもりでございましたが、それぞれの事実の内容を見まして、あらゆる角度から見て十七条違反の事実が明白であるというもの、特にそういうものに限定して発令を行つた、こういうことでございます。
  86. 青野武一

    青野武一君 国鉄労働組合からいただきました解雇名簿の中に、東京組合本部、東京工事事務所、東京鉄道管理局、広島大阪、新潟、天王寺、こうなつております。そのほかは解雇に値しなかつたという今の御答弁でございます。私はそれを厳重に調べて——もつとよけい解雇したらどうだという前提のもとに質問するのではありません。解雇する人と解雇しない者、その基準をどこに置いたか、具体的にどういうことをしたのが公労法十七条違反であるか、これを私は聞いている。あとから大阪の実例を一つ二つ申し上げたいと思うが、そこを明瞭にしていただかぬと、管理局が二十二あり、その中で七つだけを限定して、あとは問題じやない。問題じやないのと問題になる点はどこにあるのか。ピケを引いたのが悪いのか、荷物の積込みの妨害をしたのが悪いのか、作業をしている同志をひつぱりおろしたのが悪いのか、そういう具体的な実例がほかには全然ないのか、そういうものがあつたところだけを解雇したのか、これを聞いておきたい。
  87. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その点は、これも先ほど申し上げましたように、公労法十七条は、個々の職員に対してこういう行為を禁止しておる規定でございますので、十七条違反者は、処分者以外にもたくさんあつたのでございますが、その中で特に行動の顕著であつたと申しましようか、結果が大きかつたと申しましようか、十七条該当の事実が特に明確な要素の多い者を限定して処分をいたしたということでございまして、一人々々についての理由はそれぞれあるわけでございます。しかし、それを一々ここで述べておりますと、あまりに時間が長くなるかと思いまして、実は先ほど申し上げましたように、十一月下旬以来いろいろ行われて参りました運転保安規正運動とか、荷物愛護運動というような遵法闘争もございましたし、また十二月上旬には休暇闘争というようなこともございましたし、その他休暇闘争実施するために厳重なピケツトも張られましたし、また多数の業務機関において列車運転休止であるとか、遅延であるとかいうような正常な業務命令を明白に阻害するような事実が発生しておる。そういうことに関連して、その中で特に事態が重いと思われるような者だけを限定して処分をいたした、こういういきさつでございます。
  88. 青野武一

    青野武一君 一昨年の年末でしたか、年末手当の問題で組合が公社側と闘争しておるときに、衆議院正面玄関の真上の部屋で労働委員会を開いたとき、各党各派の労働委員二十五名がほとんど全員出席して、今度の賜暇闘争に対しては一名の犠牲者も出さざることを強く要望して決議した。それを持つて長崎総裁に面会した。それは大和与一君が委員長のときで、昼の十一時近くであつた。そのときは二十四、五名の諸君が解雇せられるであろうと新聞記者あるいはラジオのニュース等で報ぜられた。そこで労働委員会は衆議院の縮図として、これは労働組合だけの罪ではない、労働組合だけが列車の運行を遅延させて国民に迷惑をかけたのではなく、国鉄経営者側の幹部諸君も重大な責任があるはずだから、これは今回に限り解雇者を出さざることという衆議院の労働委員会の決議文を持つて行つたが、衆議院の意思を無視せられて、この前のときは三役が結局解雇せられたのでございます。そのときの理由も、やはり社会を納得させるに足るような内容ではなかつた。今回もまたそうであります。公労法十七条、十八条によつてこれを解雇するというが、はたして解雇に値するかしないかは、あなた方の独断的な判定だけでは、社会を納得させたり、われわれが納得するわけには行かない。これは裁判の問題になれば、最後の判定は下るでありましようが、国鉄の経理内容が悪いとか、大蔵省に押えられて予算がとれないとか、仲裁裁定が下るたびに、政府と折衝しても予算上資金上支出不可能とか、予算総則や給与総額でもつて縛られてしまうとか、こういうものが至るところにおいてじやまをしておる。四十五万国鉄従業員諸君は、みずからの力によつて最低生活を維持しなければならぬのに、いくら平和的に交渉してもだめだ。争議権のない団体交渉権は三文の値打もない。国鉄運営を正常にやつて行こうとすれば、まず自分たちの最低生活権を確保しなければならぬ。そのために団体交渉をするのだが、しても聞いてくれない。しかたがないから、法律のわく内で一年間何日かの賜暇がもらえるのを集中して一定の期間内にそれをとろうとすることは、厳密に解釈すれば法律違反ではないと思う。それを公労法によつて得たり賢しと人の首を切つて行くことは、失業から死を意味する問題を起して来る。そういう意味から申しますと、あなた方の今回やつたことは、前年の例から見ても軽率のそしりを免れない。そこで私はお伺いしたい。この解雇をするにあたつて、十八名のそれぞれの人に対して、最後には長崎総裁が処断をする権利を有して、そこまで来たという御答弁だが、それだつたら十八名の人に対して、一身上の弁明を聞くとか、こういう報告書が来て自分は判断する直前だが、こういうことははたして事実かどうかということを、あなたはお目にかかつて話合いをしたか。そういう話合いをされずに、一方的な管理局長の報告文だけを基礎にして首を切つたということになつたら、私どもは考えざるを得ない。裁判でも、本人の言うことを無視して、かつてにやることはできません。あなた方はそういう手続をふんだか。江藤さんという方は、自分はそのとき管理局長でも総務部長でもございませんで、その後転任して来たのでありますが、解雇書を渡したけれども拒絶されたが、こういう事実があるかないかという話合いなどはおそらくないと思うと言つておる。一片の書類を突きつけて、一月二十三日付で解雇するなどというのは越権だ。本人の弁明も聞かないうちに一方的にやつてはいけない。鉄道会館事件で、君たちは不正なことをやつ、ておるのではないか。天坊副総裁か何かが、有田君に二十五万円やつたとかやらぬとか言われておる。それを本人の言い訳を聞かずに、国会が、副総裁辞任させろという決議をされたら、あなた方はどうしますか。十八名の諸君を一人々々呼んで、はたして解雇に値するかしないかということお聞きになつたか、この点を伺います。
  89. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 解雇するにあたつて、一人々々に対して、こういう理由だから解雇するのだという話は、それぞれ御本人に話はしてございます。しかしながら、公労法の十八条による解雇というのは、私どもといたしましては、日本国有鉄道法による懲戒処分とは事をわけて考えております。日本国有鉄道法による懲戒処分としても、免職処分とか停職処分とかいろいろ処分があるわけでありますが、そういう懲戒処分をいたします場合には、現在組合との間に労働協約も締結しておりますし、御指摘のような本人の申立てなり、また関係者の弁護の措置なり、そういう機会を持つように定めており、またその協約に従つて懲戒手続をやる場合には、その通りやつておるわけでございますが、公共企業体等労働関係法性質の異なるもののようになつておりますけので、この場合には、個々人に対してよく理由説明してございますが、その本人の陳情を聞くとかいうような、そういう形の取扱いはいたしておりません。
  90. 青野武一

    青野武一君 これは大体国鉄が先頭に立つて、三公社五現業のベース・アツブの問題、年未賞与の問題が中心になつてつたのであります。公共企業体等労働関係法の適用は、最初は全専売と国鉄労働組合だけでありましたが、御承知の通り三公社五現業に増加された。そこで、国鉄以外には、解雇者が出たということをまだ寡聞にして私は聞いておりません。そうすると、それはやはり業務の種類は違いましても、国鉄以外の二公社五現業においても、あるいは国鉄の労組諸君のこの闘争よりもつと熾烈に、もつと効果的にやつたところも私はあるのじやないかと思う。同じような三公社五現業が同じ目的のために歩調をそろえて共同闘争をやつているときに、なぜ国鉄労働組合の諸君だけを十八名首切らなければならなかつたか、それはどういう内容になるのですか。国鉄以外のことについては、あなたたちはどういう判断を下されておつたか、これをひとつ具体的にお示しを願いたい。
  91. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 昨年末の闘争が、全官公労の共同闘争というような形で行われましたことは、ただいまお話のございました通りでございます。従いまして、国鉄以外の公共企業体あるいは現業官庁等についても、いろいろなことが行われたやに伺つておりますが、それぞれの現業庁なり、企業体なりの中で、実際にどのようなことが行われたかという詳しいことは、やはりそれぞれの関係の方にお尋ねいただきたいと思うのであります。概括的な考え方といたしまして、実は本日初めのころに、一つの例として私述べさせていただいたのでありますが、たとえば休暇闘争という闘争一つ例にとりましても、二割賜暇とか三割賜暇という題目だけは同じでありましても、実際の指令の形式を見ますと、一方は休暇をとれといつた指令であり、一方は三割出勤できないようにしろという指令である。形式が違う。さらにその指令の実行の方法は、一方は単に休暇を要求して休むという方法であるのに、他方は厳重なピケツトを張つて出勤の阻止をはかるというので、方法も違う。それによつて起された結果というものは、御承知の通り衆目の見るところでありまして、非常に大きな結果が発生しておる。こういうふうに、表面的と申しましようか、題目だけ見れば、同じようなことがほかにもあつたと思いますが、中身はやはりいろいろ違つております。国鉄で特に処分をいたしましたのは、やはり私どもが事実を調査いたしました結果、明白に十七条違反の事実が発生してりますので、それによつてその責任を明らかにした、こういうことでございます。
  92. 青野武一

    青野武一君 最後にもう一つ。現地調査の内容の具体的なことは、またこの次にいたしまして、今私は楯兼次郎君の質問に関連してでございますから、公労法第十七条違反の限定された内容の質問をしているだけであります。その他にいろいろ質問がございますけれども、最後に一点これは大切なことでございますので、大きな国鉄の世帯を切りまわしておる責任者の諸君の頭に常に持つておいてもらわなければならぬ点を私はお聞きしたい。  占領政策のために公労法が生れて、国鉄の諸君その他の労働組合は、その当時は全専売と国鉄でございましたが、これが一部の共産党の指導者がおつたというような、アメリカ側が色めがねをもつて、そうして名前は国民に対する公僕である、公共の福祉を守らなければならぬ。そうして結果は、自分たちがつくつて押し当てた憲法の条章に違反するような内容の公共企業体等労働関係法といつたような単独立法で、憲法を無視して占領政策を自分たちの思うままにやつて行こうという、これがおみやげなんです。独立国になれば、こんなべらぼうな法律は廃止して労働三法を適用するのが、私は当然だと思うが、国鉄労組、全専売、そのほかに一公社五現業まで拡張して行つた。これがいかに反動的であるかということもよくわかるけれども、団体交渉権だけは与えられておるこの三公社五現業の諸君は、最後に残されたストライキをする権利をとられておるから、あらゆる手段を尽して自分たちの生活を守らうとするのです。物価が上つたからというて、あなたたちは平和裏に団体交渉を続けてよろしいと、ただの一ぺんも言うたこともない。かりにそういう気持を持つてつても、政府の威力を恐れて、結果においては、ただの一ぺんも完全な裁定の実施をしたことはありません。私は二十四年から労働委員を四年半やつている。そのたびにこの裁定の問題を扱つて来ております。ただの一ぺんでも公労法の精神を尊重し、裁定を尊重した態度をとられたことは 国鉄に関する限りはありません。そうして自分たちの不明、冷酷無情の態度をたなに上げて、何か事があればすぐに労働組合の幹部諸君の首を切る。自分たちが世間を騒がし、国会の大問題になつたようなことでもほおかむりをして平気な顔をして、知らぬ存ぜぬの顔をして通す。そういうことでは、世間は通用しません。ストライキとは、一方の働く諸君が生活を守るための力と力の闘いである。力がなければ勝てないのです。相手がどうしても納得してくれない、要求を聞いてくれない場合は、力と力の対決が世界的な労働関係の定評になつている。そうすると、その上に立つて、どうしても自分たちの目的が達せられないということになれば、今問題になつたくらいのことが起るのは当然なんです。だれが問題を引起したか、だれがこういう問題を提起したか、責任はどこにあるかというような将来を考えるならば非常に大切な問題である。この点について、どのようなお考えを持つているか。  それと、もう一点聞きます。人間は生れながらにして憲法に保障せられている基本的人権は尊重されなければならない。相手の権利を認め、自分の義務を認識しなければならない。これが民主主義の基調になつている。ところがあなた方のやり方は、先ほどから私が申し上げるようなことばかりを平気でやつている。私の最後に問わんとするところのものは、遵法闘争だ、賜暇闘争だということが、公労法の精神にひつかかるから解雇する。そういう個々の法律よりも、人間は男でも女でも、小さくても年寄りでも、自分の意思で働くのがいやだということを、何者といえども働けと押つけることはできないのです。法律は何ときめておつたつて、そうなんだ。だから国鉄の諸君は、一年間に二十日間の休暇をもらえるのを、五日間固めてそれをもらつた。それがベース・アツプの交渉中だ、あるいは年末闘争中であつても、それは人間生れながらにしての権利なんだ。それを頭ごなしに押えつけるということは、これは国際的に通用しない暴論なんだ。それを単なる公労法の一つの条文によつて、さも鬼の首でもとつたかのごとくに得々としてあたりまえのことを言つておられる。あなた万は、今私の申し上げた二点についてどういうお考えを持つておるか。これは労働関係における将来のいろいろな紛糾に役立つて来る。あなた方の、心がまえと、それらに対する解釈はどうですか。それで私は、ほかの委員方々の御質問もありますから質問を終ります。
  93. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法が占領政策のおみやげであるというようなことに関連してのお話がありましたが、占領政策のおみやげは、公労法ばかりではないのでありまして、ほかにもたくさんあるように承知いたしております。ところで、確かに御指摘のように、今まで仲裁裁定が、賃金に関する裁定が完全に実施されるように、国会の御議決をいただけたことは、一度もございませんでした。その点は私どもも非常に残念に思つております。  最後に、遵法闘争とか休暇闘争とかいうようなことが、十七条にひつかかるのはおかしいではないかということでございます。この点は、端的な例で申し上げたいと思いますが、当然与えられた休暇を要求するのではなくて、ピケによつて一定の数だけの出動を阻止するということが、今度行われたことでありまして、大勢の中には、どろまみれになつてピケを突破して、職場に来て働きたいというような行動をとつてつた職員も多数あつたということを申し上げまして、お答えにかえさせていただきたいと思います。
  94. 赤松勇

    赤松委員長 この際御相談申し上げます。ちよつと速記をやめて…。     〔速記中止〕
  95. 赤松勇

    赤松委員長 速記を始めてください。
  96. 楯兼次郎

    楯委員 それでは、せつかく参考人の方が来ておりますから、先ほどの青野議員の質問に対しまして、少し関連していると思いますが、二点ばかり参考人の方にお聞きしたいと思います。  まず第一にお伺いしたいことは、いろいろ運動の中で、いわゆる超過勤務拒否というような問題が起つたということを承知いたしております。従つて、これらに対する基準法違反等の問題が、相当あるのではないかというふうに、私どもは了承いたしておるわけでありますが、先ほど来より論議されておる点、あるいはここに出されましたいろいろの理由書につきましては、いわゆる当局側の十七条違反といいますか、これらの問題が少しも出ておらない。先ほど横山参考人から、当局みずから運休措置行つた、こういうような言明もございますし、われわれ現地調査に参りましても、当局は三十六条の協定を無視して超過勤務をしいた、こういうような問題も少し聞いておるわけでございますが、この点について、組合側参考人の方にお伺いしたいことは、いわゆる事業所閉鎖といいますか、あるいは当局みずから運休措置行つた、あるいは基準法違反等の点があるかないかという点を、各参考人を通じまして、自分の箇所にございましたならば、ひとつ御説明願いたいと思います。
  97. 本間大英

    本間参考人 ただいま基準法違反その他に関連するところの御質問がございましたので、広島実情をかいつまんで御報告申し上げたいと思います。一般的な三十六条協定の違反事項等につきましては、一応いろいろな事情がございますが、それは別といたしまして、特に今度の闘争に関連して問題になりました休暇の手続上の問題について、広島には以下申し述べるような当局の基準法違反の事実があるのであります。  それは第一番に、私たちが十一月の三十日におきまして、中闘指令に基きましておおむね三分の一の休暇届出を広島駅長並びに広島車掌区長に提出をいたしたわけであります。しかしそのときに、広島駅長並びに広島車掌区長は、全面的にその休暇の申請を拒否をした。これが率直な実態であります。このことは、申し上げるまでもなく、基準法の三十九条によりまして、当日休暇の申請があつて、正常なる業務運営を阻害するということの理由が明確にされ、あるいは客観的にそのことが立証されて後日に変更するということは、基準法で認められておると私は思うのでありますが、そういう手続を一切ふむことなく、頭から全面的にわれわれの休暇申請を拒否いたしました。このことは、何と言つても私は基準法三十九条の重大なる違反だと考えておるわけであります。  その他関連する問題につきましては、御質問に基いて御答弁申し上げたいと思います。
  98. 横手真夫

    横手参考人 基準法違反の事実に対して、簡単に申し上げたいと思います。十二月二日梅田における三割休暇闘争の際、九時を過ぎましても第二信号所で超過勤務をやらしているという事実がある。すなわち信号取扱所の職員で、昨夜から勤務をしている職員が、目を赤くしてさらに運転てこをいじつているという情報が、実は入つて参りました。それ以外にも、本局の組合員である多数の人間とか、あるいは現場の職員を多数業務命令をもつて超過勤務をさせて、そしてこの組合闘争に対する反対行動をさせているという事実も、まだたくさんあるのでありますが、それはさておきましても、第二信号所における問題については、一昼夜勤務の者を、さらに交代もなしに勤務をさせているということについては、非常に重大な問題と考えまして、私の方から闘争委員を派遣いたし、その事実を確認いたしたのであります。私自身も、委員長の命によりまして、現地に参りました。現地に参つて見ると、まさに情報の通りに、昨夜から一昼夜勤務をした職員が、目を赤くして勤務している。そこで私は、当時当局から派遣された運転課の連中に、超過勤務をさせているかどうかということを聞くと、勤務をさせていると言うから、それを確認するかと言うと、確認をする。それじやなぜさしたのかと言うと、業務命令が出たから超過勤務をさしている、違法じやないということを、当時の当局から派遣された運転課員が私に申し述べました。それじやどういう理由業務命令が出たのか、基準法は二十六条協定が今破棄されている、従つて超過勤務ができ得ないことになつているが、一体どうなんだということを聞けば、そういうことはわからない、とにかく業務命令が出ているので超過勤務をさしている、絶対違法ではないということを私に言つたのであります。従つて、その状態につきましては、当局から派遣された運転課員も、基準法違反ではない、超過労働をさせているけれども、これは業務命令によつてつたという以外は、全然その態度というものは明らかにされませんでした。そういうことで、これは後ほど問題点にもなると思いますけれども、明らかに基準法違反をやつた。前夜から一昼夜勤務で、交代の者を交代為させずに、目を赤くさせながら、業務命令をもつて勤務をさせたということは、大阪においても起つたのであります。  それ以外に、たとえば荷物愛護運動を私の方で実施をいたしました。その場合においても、本局勤務の人間——これは当然組合員でありますから、業務命令をもつて参加出動したと言つても、やはり基準法を無視さるべき性格じやないと思う。そういう多数の人たちに対しても、超過勤務をさせているというような事例がたくさんあるのでありますが、そういう点については、御質問に応じてお答えいたしたいと思います。
  99. 歌崎藤作

    歌崎参考人 東京における場合といたしまして、基準法関係につきましては、今広島参考人から言われたと同様な処置がとられておりました。個々の問題といたしましては、特に東京機関区の乗務員に対して、基準法違反をやつてつた。すなわち一つの交番を終了した者に、当日さらに沼津まで乗務させ、数時間にわたる基準法違反をやつてつたという事実があるわけであります。それらの具体的なこまかいこと、何のだれそれがどういうふうに使われたという点については、もし必要があれば後日私の方から資料として提出をいたしますが、そういう事象はたくさんあつたわけであります。  以上簡単ですが申し上げます。
  100. 楯兼次郎

    楯委員 国鉄当局にお伺いいたしますが、組合参考人方々が述べられました事実を認めるかどうか。あなたの方では、こうした基準法違反があつたという事実を調査されたことがあるかどうかお伺いしたい。
  101. 磯崎叡

    磯崎説明員 今楯先生の御質問でございましたが、先ほど私の方の組合員本間君から申しました、休暇の申込みにつきましての私どもの処置のいたし方でありますが、国鉄部内におきましては、休暇を請求いたします場合には、どういう手続によつてやるかということが、すでに一定されておりまして、長い間の慣例になつております。従つて、突然現実に多数の休暇願いを持つて来る、しかも一括して持つて来るということは、当然翌日の業務の正常な運営を阻害することが明らかでありますので、一括した休暇請求に対しましては、これを拒否いたしたことはございます。しかしながら、私どもといたしましては、十一月三十日に現場に通牒を出しまして、集団的な休暇取扱いについては、これを拒否して平常通りの取扱いをしろ、しかし各個人からの請求に対しては正常な業務運営影響を与えない範囲の休暇許可はさしつかえないという通牒を明確に流しております。従つて全員に対して一切休暇をとらせなかつたという事実はございません。  労働基準法三十六条による超過勤務の拒否、すなわち労働協約のないという際には、もちろん三十六条による超過勤務の命令はできませんが、御承知の通り労働基準法三十三条並びに日本国有鉄道法の三十三条による超過勤務はできることになつております。私の関知する限りにおきましては、この両法による超過勤務の命令以外は、出したことはありません。
  102. 楯兼次郎

    楯委員 簡単に今のお答えにお伺いしたいのでありますが、集団的なものはいけない、個人的なものはよろしいという指令を流された、こういうように御回答になりましたが、個人的なものとして当日とつた方があるかどうか御発表を願いたいと思います。
  103. 磯崎叡

    磯崎説明員 根本的なものと申しますと何でありますが、各個人からの請求という意味で、大体今まで毎日平均して普通の休暇をとつておりますその普通の休暇をとつた限度においては、許可してよろしいという通知を流しております。(楯委員「実績はあるのですか」と呼ぶ)実績は、たとえば親が病気だとか、自分が郷里に帰るとかいう普通の意味の休暇付与はあつたはずであります。
  104. 本間大英

    本間参考人 今私の方の局長の、個人的な申請に基いて休暇を付与した、こういうことは広島鉄道局管内の一般の一つの取扱い方として、闘争している業務機関以外には、確かにあつたということは事実でありましよう。しかしながら、広島車掌区ないしは広島の駅、あるいはまた十二月八日の幡生貨車区並びに小郡客車区におきましては、われわれが集団的に休暇の申請を出したものについては、これを全面的に拒否し、実際に休暇を与えたという事態はなかつたのであります。通牒としては、なるほど十一月三十日に平常通りの行いをせよ、個人の取扱いについては、業務運営に支障のない限りはやれということは、結果からすれば、一つの脱法的な行為としては言い得ると思うのでありますが、先ほども吾孫子さんが言われておりましたように、形式より具体的な内容が問題でありまして、具体的に休暇を付与したということは、業務機関に関しては一切ないということは明確に申し上げることができると思います。
  105. 井上正忠

    井上説明員 大阪の例を申し上げます。休暇につきましては、各局大体同じ歩調でやつております。広島の方は前日休暇の申入れがあつたようでありますが、大阪におきましては、実は十二月一日から始まります、焦点になつておりました梅田駅の三割賜暇闘争、これに対する休暇要求が、当日の十二しかも、それが組合員各個人からではなしに、三割の休暇申出がございました。大体慣例といたしましても、ある程度の休暇の見込みは前の日にわかつております。腹痛とか、突然の不幸の場合には、朝でもよろしゆうございますが、そういう三割もの大勢の休暇に対しまして、しかも十二月一日朝ということに対しては、訳長といたしましても、機関区長といたしましても、当時の輸送の逼迫しておる時代におきまして、どうも申出に応じられないということで拒否したわけであります。それから十二月五日の梅田の第二信号取扱所における労働基準法違反のお話がありましたが、十二月二日の当日は、早朝よりピケが張られ、また当日は構内関係に対して組合の入場証の出し方が少かつたようであります。これは数字は調べてございますが、特にあの第二信号扱所における五人の執務者に対しては、当日の出勤者に一枚も出ておらなかつた、こういう状況でございました。そこで広島局長の話と同じでありますが、やむを得ず労働基準法第三十三条によりまして、前日からの非番者の執務指令を出したわけでございます。
  106. 横手真夫

    横手参考人 今大阪井上さんが言われた通りに、私たちが三割休暇をお願いする場合に、代請求をしたということと、当日朝届をしたという点が強調されておるのであります。そこで従来休暇の取扱いは、一名であろうが二名であろうが、言いかえれば個人であろうが集団であろうが、慣行としてやられた点は、当日あるいは当日出動時間を過ぎて電話で代理が連絡する、あるいは本人でなくして同僚が、本人が腹痛あるいはいろいろな事情で休むということを通告されれば、それがそのまま賜暇請求という形によつて認められておつたのであります。そういうぐあいで、私たちは従来からそういう慣行でやられておるということを確認し、しかも代理請求という形も従来の慣行によつて認められておるので、その実情に沿つて、実は当日代理請求を朝一括してやつたということであります。  それから基準法の三十三条を適用したから違反ではないということを言われておるのでありますが、十二月七日でしたか、私は労働基準局に参りまして、国鉄関係の小笠原監督官にいろいろお話を承りまして、事情を申し上げました。その結果まだ大阪から梅田の問題について、何条適用で超過勤務をさせたという事後報告というか、事後承認の形が出ておらないということを小笠原監督官から聞いたのであります。書類がまだ出ておらないということであります。そこで私は小笠原監督官に軍情をいろいろ説明を申し上げましたが、その認定は実は私個人ではむずかしい。従つて局長である松崎さんにお会いをして話したらどうかということでありました。当日松崎さんがお忙しいから翌日十時に来てくれというので、翌日十時、私また出頭いたしまして松崎基準局長とも話しましたが、この問題については簡単に許可するとか許可をしないということは言えないということを言つておりました。それがそのまま継続されて、いまだに三十三条適用であるから超過勤務はさせてもよろしいという事後承認が出ておらないように私は聞いておるのであります。十二月から三箇月有半を越えても、いまだにその許可承認が出ておらないというぐあいに聞いておるのであります。それを一方的に三十三条でやつたということが、はたしてその範疇に属するかどうかという点も、きわめて私たちは遺憾に考えます。  なお当局が、大分日にちがたつて、十五日過ぎに実は事後承認という形で基準監督官に出したということも聞いておりますが、その内容といたしましては、組合がこうこうで賜暇闘争をやるというので超過勤務をさせましたという報告を出したというぐあいに聞いておるのであります。三十三条だというその三十三条の的確なる内容を指摘して許可を受けた事後報告ではないというぐあいにも、私は聞いておるのであります。  以上参考のために申し述べたわけであります。
  107. 赤松勇

    赤松委員長 ただいま文部委員長と打合せして参りましたその結果、三時から開かれます文部、労働の両委員会の連合審査につきましては、時間の制限をしないという話合いをして参りました。それで、あまりおそくなれば適当にまた委員皆さんにも相談して処置すればよろしいから、私と文部委員長におまかせ願つて運営の面ではできる限り皆さんに協力して行きたい、こう考えております。発言の順序は自由、改進党からの申出がありませんので、一応議員の数に合せて割振りをしました。但し自由、改進を除く残り三派、たとえば左派社会党、右派社会党、労農党というようになつて参りますと、左派社会党が三人最初にやるということになりますと、右派社会党や交互にやつて行こう、こう考えまして、特に労農党の中原健次君はお一人でございますが、これはひとつ御協力を願つて五番目にいたしました。まず最初に多賀谷真稔君、その次に井堀繁雄君、黒澤幸一君、大西正道君、中原健次君、楯兼次郎君、日野吉夫君、こういうふうにきめて参りましたから御了承を願います。  それでは質疑を続行してください。
  108. 楯兼次郎

    楯委員 私は、今資料を見ておりますと、今の基準法違反の問題と関連をして来るのが一つありますので、お伺いいたします。先ほど青野君が、総裁の方は首を切つた処分はしたけれども実情を知つておるのかと言われた。その答弁は非常にあいまいであります。この点については、私どもも非常に不可解に思つておるわけでありますが、大阪管理局の野村、北川両氏が馘首をされました理由といたしまして、第二信号扱所の実力行為について責任をとつたものである、こういうことが載つております。この文面から行けば、私はこれはまず刑事上の問題が起つてから、その方において処理をされるべきものではないかと考えますので、まず第一に、なぜ公労法十七条によつてこの二名が処分をされたかという点についてお伺いしたいと思います。
  109. 井上正忠

    井上説明員 今の楯さんのような御意見もあると思いますが、当局といたしましては当時の実情を見まして、あの信号所に進入しましたのは北川、野村両氏だけではないのでありまして、結局北川、野村両氏のさしずによつてああいう結果が起つたのだというふうに考えております。こういう点で北川、野村両氏が直接手を下した、下さないという問題よりも、北川、野村両氏が主導者であつたという点に、お二人の責任を十七条の前段に求めたのであります。
  110. 楯兼次郎

    楯委員 ついでだから申し上げますが、私ども大阪行つたときに、当時の実情を聞きました。ところが、当局自体の答弁が非常に違うのです。最初は、超過勤務は少し預けておきますが、勤務しておる信号係の手や肩をつかんで、両三名、特に横手君が入りまして下に引きずりおろした、こういうようなことを言つておるわけです。それからしばらくたちましてから、いやそうじやない、指揮をしたのだ、こういうことを言つておる、いずれが真であり、国鉄総裁の方へどういう報告が来ておるかということも、非常に私どもは不可解に感じました。それから、如実にそういうことがあるのかと言つたところが、駅長初め運転掛、助役がおりまして、あります。あなたはそのときにここにおられたのか、こう聞いたところが、おりましたと言う。ではどういう実情であつたか、話がそこまで進みますと、いやおるにはおつたが向うの方におつた。いわゆる詰所でありますか、この信号所にはおらないのだが、向うの方におつた、こういうようなことで、これは一つの例でありますが、きわめてあいまいである。だれが報告したか知りませんが、こういうあいまいな筋の上に立つて処分をされておるということはいけない。これはひとつ何とかしなければならないと思つて、私どもつて来たわけでありますが、これらの二、三の例からいたしましても、当局が主張をなさつておるのと組合側の主張とは、非常に食い違うのではないかと私ども考えておるわけです。あなたの今言われましたのは、結局指揮をされておつたから十七条で処分をしたのだ、こいうふうにおつしやるわけですな。
  111. 井上正忠

    井上説明員 当時の局長は私でありますし、それから当時の総務部長は、ちようど楯先生が大阪にいらしたときに病気で寝ておりましたので、責任者が二人おりませんので、御答弁が御趣旨に沿わなかつと思いますが、少くとも当時二十五人というピケ隊がおりました。それのほかに、いろいろな目撃者も現場にはたくさんおつたわけであります。そういう目撃者の話をいろいろ総合いたしまして、からだに触れた問題もございますが、われわれとしては北川、野村の両氏につきましては、指導者ということで第十七条第一項を適用したわけであります。
  112. 赤松勇

    赤松委員長 あなたはその当時現場に行かれましたか。
  113. 井上正忠

    井上説明員 私は責任者でありますから、当時局長室におりました。
  114. 赤松勇

    赤松委員長 では現場は……。
  115. 井上正忠

    井上説明員 今申しましたように、目撃者がたくさんおりますので、その目撃者のいろいろな話を総合いたしまして、ということであります。
  116. 赤松勇

    赤松委員長 総裁、これは聞いていていただきたいのですが、この間衆議院の労働委員会行つたわけです。私も現場を見ました。暴力を振つて下へおろしたという。ところが暴力を振つて下へおろし得るようなそういう階段でないのです、人ならば一人しか通れない。そういうところで暴力を振つて下へおろし得るはずがないのです。それで、当日勤務しておつた、暴力を加えられたという人がやはり勤務しておりましたので、私みずから聞いたのですが、暴力を振われた覚があるかと言つたら、ない、同じ国鉄の従業員で、そんな暴力を振う必要もなければ、また振うこともできぬと言うのです。その場におりました助役、駅長は、初めここにおりましたと言うから、それならそれを責任をもつて証言できるかと言うと、いや実は私は向うの方におりましてよくわかりませんと言うのです。それで目撃者はだれかということをずつと調べましても、その目撃者がいないという状態なのです。そういたしますと、第二信号所でピケを張つた諸君が、暴力を振つてその連中を下へおろして、業務の正常なる運行を阻害したこれは私は現場を見まして、その当時居合せた人に確認して来た事項です。
  117. 井上正忠

    井上説明員 私先ほどから申しているのですが、暴力という言葉は妥当でないと思います。但し、あの当時ピケ隊により、あるいは信号扱所の上に五人おりましたところへ、二十数人が上つて連れ出されたという、いわゆる実力行使的なという言い方はできると思うのです。それが暴力であるかないか、それは私は目撃者でもありませんし、また本人でもありませんので、はつきり言い切れないと思います。但し、五人に対して、二十数人の人が信号扱所に上られて五人が連れ出されたということに対する実力的な行使といいますか、実力的な事態が起つたということについて、私は申し上げておるわけであります。
  118. 赤松勇

    赤松委員長 それなら、もう一点あなたにお聞きいたしますが、その場合に、それらの諸君は勤務に服しておりましたか、あるいは勤務時間が終つた後に休憩していなかつたかどうですか。はつきり速記録に残しておきますから、お答えください。
  119. 井上正忠

    井上説明員 それは日によつて違いますが、二日の日には見張り、それからてこ扱いというものは勤務に服しておりました。但し、それは前日からの非番者が残つたわけであります。当日の出勤者が一人も入門を許されなかつたような状態で、やはりてこ扱いは続けていたわけであります。
  120. 楯兼次郎

    楯委員 あなたは、先ほど組合の方が人が多いということを言われましたが、われわれには大阪事情が入つたわけでありますが、例の月光事件のときには非組合員の方が倍以上も多くて、組合員の方が少なかつた。なおかつ、あなたの方の資料は、はつきりとは言つてありませんけれども、妨害行為を実力をもつてつたというような文面をにおわしておる。数から言うと、月光事件の場合には逆になる。こういうことを一つ申し上げておきます。  それから信号所で、下へおりて来てもらつたというのは、先ほどの超過勤務ということを、いわゆる基準法違反に関連をして私はお伺いしておるわけですが、当日出勤者が一人もおらなかつた、おつたということは別として、あなた方の方で基準法を犯して勤務しておるのを、組合側が話をしておるというのなら、これについては私は違法ではないと思う。この点についてはどうですか。
  121. 井上正忠

    井上説明員 今申しましたように、当時の状況として非番者が——時間を過ぎておつたと思いますが、但し交代者が出るまでそれが職場を離れますと、やはり職場離脱という形になるわけであります。非番者としましては、交代者が現われるまでその仕事を継続しておる、自分の職場を守つておるのは、これは当然なことであろうと思います。なお、基準法の違反であるかないかということは、当局側としましては基準法三十三条による非常事態ということで、監督官庁の許可を受けるひまがございませんので、事後承諾をいたした次第であります。
  122. 楯兼次郎

    楯委員 私は今これで論争をしようとは思いませんけれども、あなた方の答弁はこじつけだ。というのは、最初からそういう意図があるならば、当然ただちに監督署に許可を受けるように届出の手続をとらなければならぬ。ところが先ほどの組合側参考人お話を聞けば、相当日にちが遅れて、しかも十日もさかのぼつて監督署に届出をして、なおその監督署ではそれの許可について逡巡をしておる、そういう状態ではないですか。だから、あなたの方で違反でないとおつしやるのは、どう好意的に私どもが考えても、これはこじつけである、こういうふうにしかとれないこの点について話がここまで入つて来ましたので、時間もございませんけれども、ひとつ組合側参考人意見を聞きたいと思います。
  123. 横山利秋

    横山参考人 先ほど問題になりました、暴力で引きずりおろした、暴力で強引におろしたということを主張されておりますが、当日現地には、当局の幹部の方は一人もおりません。駅長、信号係主任並びに助役といわれる人も、実は現地におりません。私が現地に行つたときは、そういう責任者がおらず、その中で基準法違反あるいは基準法違反ではないという論議がかわされました。そのあと私は、業務命令による基準法違反でないということを的確に表わしてもらいたいということを申し述べましたら、運転課から派遣されておる人は、この点について、何ら解明を与えなかつたのは、先ほど申し上げた通りであります。従いまして私は、目を赤くして作業をするということは、これは基準法の精神にも反しますので、説得をしておりてもらうことを北川、野村両闘争委員に話したら、北川、野村両闘争委員も、ただちに、私が伝えたことによりまして、第一この作業場ではじやまになるし、基準法違反だ、帰つてもらいたい、このことを十分に話をするから下におりてもらいたいということを二人が言うと、上にいた人たちも順次おりて行つたというのが実情であります。お話によりまして、今私は聞いたのですが、当局の主張の中にも、暴力行為ということを言われておるのでありますが、まつたく私たちとしては及びもつかない、むしろこういう状態で、責任者は現地に全然おらない。と申しますのは、駅長主任、助役という人たちが全然現地におらない。それ以外の人間が単に情報として報告する。その情報が、たとえば横手、野村、北川に対するきわめて個人的な感情を強く持つているということがあるとするならば、そういう人たちがとつた情報を真に受けて、これが暴力行為だということになされる労働行為に対しては、私は遂わめて残念だと思うのであります。現地視察をされたときも、今楯先生から言われた通り、当初、確かに知つておる、おつたということを所長も主任も言つておりました。しかし、たまたま私の顔を見て、実は私はここにおりません、駅長室におつた、あるいは運転主任室におりましたということで、その部屋を指さして、はるかかなた遠いところにおつたということを言つておる。従いまして、現地の情報は、駅の職制による的確なる責任者からどういう報告がされておるのか。報告がされておるとするならば、私はそれは見てのものではない、人の話によつてそういう報告がされたんじやないかと思うのでありまして、はなはだ遺憾に考えておるのであります。
  124. 楯兼次郎

    楯委員 この問題は、ほかの問題とも関係して、またあとでいろいろ論議と申しますか御質問いたしますが、総裁に最後に一言お伺いしておきたいことは、大体われわれのやりとりで、こういう事実がないというような空気であることが了解できると思います。従つて、今ここでこれが白か黒かということは、はつきりさせませんけれども、もし、そういう事実がないということになつたならば、総裁としては、この両名に対してどういう態度をおとりになるか、言明を願いたいと思います。
  125. 長崎惣之助

    長崎説明員 この事実問題については、目下組合側が法廷闘争をいたしておりますから、それによつて明らかになると思います。
  126. 赤松勇

    赤松委員長 総裁、こういうことななんです、楯君の言うのは。裁判の結果を持つて問題を処理するというのでなくて、労働委員会としても現地へ行つて見て来たんですから、その報告が、たとえば誤つてつた、それは意識的にしろ無意識的にしろ善意にしろ、悪意にしろ、とにかく誤つておるというのが明白になつた場合には——首切りだけが目的じやないのですから、そういう場合には考慮するということは言つていいんじやないですか。当然のことじやないかと思うのです。つまり、公労法違反じやないということが明白になつた場合には解雇を取消すということは、あたりまえのことじやないか。その場合でも、なお解雇する、その理由が消滅した場合にも、なおかつ首にするのだ、こうおつしやいますか。
  127. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは当委員会の判断でございまして——しかし事は法廷闘争になつておりますから、最高の判決をするんじやないかと思います。
  128. 赤松勇

    赤松委員長 総裁に重ねて言いますが、この委員会だけの問題じやないのです。あらゆる方法で客観的にその報告が誤りであつたということが明白になつた場合は、善処するという御答弁ぐらいはできるでしよう。ぼくは当然だと思うのです。誤りであつても、なお首切るという答弁はできないと思うのです。
  129. 長崎惣之助

    長崎説明員 しばしば申し上げた通りでございまして。組合側においても法廷闘争をいたしておりますから、やはりそれを待たなければいけないと思つております。
  130. 赤松勇

    赤松委員長 それじや組合側横山書記長にお伺いしますが、あなたの方が裁判所に提訴なさつた理由というのは、そういうことも含んでおるわけですか。対地調査も全部やつてもらいたいということですか。
  131. 横山利秋

    横山参考人 もちろん含んでおります。けれども、冒頭に私がお話をいたしましたように、今日の国鉄におきまして、不当処分の問題をめぐつて労使の間に、法律論を抜いて——国鉄の経営がいろいろな問題から社会に対していろいろな好ましからぬ悪影響を及ぼしておることは事実でありますから、法廷闘争をすると同時に、一刻も早く労使関係の解決されることを私たちは衷心より望んでおるわけであります。従いまして、今回労働委員会が御審議くださることも、その一助であるというふうに、四十万労働者並びに家族は期待をいたしております。その点を御考慮願いたいと思います。
  132. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 最後にお尋ねいたしたいのですが、今法律問題では片づかない問題として、紛争が起きておるわけです。法律法律だというわけですけれども、これは刑事罰じやないんです。国家権力が発動されて罰則の適用を受けておるのじやないのです。これは労使双方の関係でできるわけです。そうしてそのことから今紛争が起きている。それを今あなた方は、法律問題として片づけようとしている。事実問題として紛争が起きている。でありますから、私は事実問題として今起つておる、あるいは起らんとする紛争を片づける意思はないか、こういうことをお尋ねいたしたいと思います。
  133. 長崎惣之助

    長崎説明員 私はあえて紛争を好むものではございません。今後起るべき紛争については、現に起りつつあるいろいろな紛争については、極力これを阻止したい。そうして国民各位に御迷惑をかけないようにしたいという念願を持つております。
  134. 楯兼次郎

    楯委員 この当局が出された解雇理由を見ますと、野村、北川両人は、第二信号扱所問題等、実力行為についての責任上から解雇するというふうにうたつてあるわけであります。今いろいろお話を聞いていただけたと思いますが、この問題が事実と相違しておる、あなたへの報告と相違しておる、間違つておられたということがはつきりすれば、当然第二信号扱所の問題で解雇した両人に対する処分は撤回すべきものである、こう考えますが、あなたのお考えはどうですか、私はこういうことを言つておるのであつて、公労法の法解釈上から裁判所の結論云々ということを言つておるのではない。これは当然じやないですか。とにかく両人の処分については、総裁としてはこれを取消すのが当然だと思う。これが答弁できないようでは、先ほどの木村さんではないけれども、あなたの総裁としての立場はおかしいと思う。はつきり答弁してください。
  135. 長崎惣之助

    長崎説明員 今の楯さんのお話は仮定に立つて、もしそうなつたらということでございますから、私は答弁いたしません。
  136. 館俊三

    館俊三君 私はさつきの質問の冒頭で、あまり白々しいお返事はいただきたくないということを申しました。ところが、われわれの絶対相いれない自由党の人が私に同調して、まじめな返事をしてくれろということを言われた。そうでなければ、自由党の立場が困るという話だつた。今あなた方がお返事なさることを聞いておつて、私はこう思いました。今の楯君の質問その他を通じて、第二信号扱所の問題は、取上げるべき筋でなかつたのじやないかという不安な気持が、あなた方に起きて来たんではないか。どうも今現地の闘争本部の人の話、あるいはまた大阪管理局長の話を総合して、そうしてその中へ入つて行く楯君の話の筋合いから見て、あなた方、この問題について確信を失つて来たんじやないか。確信を失つて来たものだから、楯君の追究するごとく、ほんとうはそうでなかつたということが立証されるような気持になつて来たんじやないか、自信を失つて来たんじやないか。あなた方が、これはほんとうにそうなんだ、だから、いくら私たちの方でこれを立証しようとしても、立証できる道理はないという確信があつたならば、それならばそういうものを取消せないと言えるはずだ。そうでなければ、首切りをやつたのが間違つてつた、撤回をいたしますということが言えるはずです。これが言えないというのは、今の追究で、そういう措置をとつたことに対しての自信がなくなつて来たのではないかと私は疑いたくなる。あなた方も、これを疑われてはいけませんでしよう。確信があつたならば、委員会に向つてこれを取消せないと言つてごらんなさい。それでなければ、首切りは撤回しますというくらいは言えるはずではないか、私はそう思う。すなおにものを考えて、確信がないならば取消しますということが、常識から考えて言えるはずです。仮定であろうが何であろうが、そう運んで来た場合には、そういう筋道が立つならば、私らが間違つてつたのだから取消しますということが言えるはずです。しかし、間違つておらぬからそういうことはできません、確信を持つておる、そういう御返事ならよろしい。だから、私は最初から言うように、親切な御返事を承りたいと思つておるのだが、諸事万端私はいつもそういう御返事を聞くのです。単に責任をのがれるのでなく、あとで責任をつかまれないという確信があつたならば、そう言われてもいいのではないか。どうもその辺はあなた方の御答弁に対していつも不満を感ずる。絶対にこれは間違いないのだと思う確信がおありでしたらいいが、楯君の言うような順序になつて来た場合には、取消しますと言えない道理はないと思う。言えないことは、あなた方は確信を失つて来た、こう私は思う。このことについて、どうお考えですか。
  137. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は決して不親切な答弁とか、ふまじめな答弁をしておるつもりはございませんけれども、私の言葉の使い方その他において、そういうふうに受取られることはきわめて遺憾でございます。しかし、前から申し上げた通り、そういう仮定的なことに対し、私は答弁するつもりはございません。
  138. 館俊三

    館俊三君 私が最初言つた通り、私は法律家でも何でもない。よく自由党の言うことですが、汚職問題でも、裁判所がやつているから、それで置いておけというか、かまわないで置け、議会では扱わない方がよろしいということ、いかに国民の憤激を買つているかということは明らかである。私はそういうことを今ここで言うのじやないのですが、すべてそこへまかせてしまつているのです。私らは法律家でないから、順序通りにものを言つてつて、そういう場合にどうするといつたら、これは常識論です。常識としては、私は取消すのが当然だと思う。しかしながら、確信を持つているからこれは間違いないのだ、こういうお話ならわかるのです。どうも官僚というものは、いつも言葉じりを何かしらつかまれぬかという心配をして、警戒これ努めての返事であるが、なぜざつくばらんに腹を割つて話ができないか。それだから議会の運営もうまく行かぬ。真相を伝えない、これは非常に遺憾と思う。これは官僚の通弊だ。多年それになれて来ておつて、その習い性が身についてしまつて自分たちがそれを反省することさえできなくなつているのじやないかとさえ私は思う。常識論に対して、なぜ返事ができないか。私たちはその返事をしてもらえば、一生懸命になつてあなた方に対する反証をあげるように努める。しかし確信があつたら、あなた方は平気じやないですか。そういうことから考えるとあなたの方は確信を失つたのじやないか、私はそう思う、すなおなものの考え方をして述べていただきたい。
  139. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 せんだつて労働委員長初め、大勢の委員の方が現地におい芝でにりまして、いろいろ関係者にお尋ねになりましたが、事実でないとは申し上げませんが、やはり総裁も申されますように、この事件が裁判所に係属いたしております。裁判所において宣誓をして証言をしたというのとは、やはり違うのではないか。またそのように問題が裁判所に係属している以上は、私どもとしてはそういう考え方に立たねばならないのじやないかというふうに思うのでございます。  それから、先ほど来しばしば申し上げましたように、公労法十七条というのは、あの十七条に該当するような行動に加わつた着すべてがその対象になるのだという解釈であるということを申し上げておりましたが、今問題になつております第二信号扱所における事件というのは、これはこの人たちが非常にアクテイヴに働いたという一つの証左としてあげられているのでありまして、問題は、この人たちのアクテイヴな行動によつて、正常な業務運営を阻害されるような事実が発生しているというところに問題があるわけでありまして、この第二信号扱所の事件というものは、この人たち行動を立証する一つの材料であるというふうに、私どもとしては考えている次第でございます。
  140. 楯兼次郎

    楯委員 今言われた裁判所で明白になるからという御説明ですが、これはあなたの方で裁判所に出されているのですか、組合側が出しているのでしよう。そうすれば裁判所で云々ということは、私はあなたの方には関係がないと思う。しかしあなたの方がどういう付言説明をされようとも、あなたの方からいただいた解雇理由には、はつきりこのことがうたつてある、従つてこの際、私は現地に参りまして相当自信がございますので。この際動議を提出いたします。本問題につきまして、次のような決議文を本委員会の決議といたしたいと存じますので、諸君の御賛同を得たいと思います。案文を朗読いたします。   日本国有鉄道当局は、昨年末における賃金問題をめぐる紛争に際し、国鉄労働組合中央執行委員柴谷要君外十七名に対し公共企業体等労働関係法第十七条第一項に違反する行為があつたとして、本年一月二十三日付同法第十八条に基きそれぞれ解雇の通告を行つたが、右に関しては被解雇者中に当局解雇理由の事実と相違すると認められる者が含まれている疑いがあるので、日本国有鉄道当局はさらに厳密なる調査を行い、解雇理由の事実と相違することが明らかとなつた場合は速やかに解雇取消しの処置をとることを要望する。   右決議する。 以上であります。  委員長は諮つていただきたい。
  141. 赤松勇

    赤松委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  142. 赤松勇

    赤松委員長 速記を始めて。  館俊三君。
  143. 館俊三

    館俊三君 私はさつきから長崎総裁に返事を求めておりましたが、御返事がありません。そのかわりのごとくに吾孫子さんがお話なつたさつきの言葉で、第二てこの問題だけで十七条にひつかかつておるのじやない、従つて第二てこの問題について、あなた方に対しての反証がこつちにあがつても、これはいけない、十七条があるのだ、こういうお話です。しかし、その十七条にひつかかつておるかどうかということについても、私たちはまだ疑問を持つておる。もし十七条にひつかけたということをおつしやるならば、その十七条のことについても、ここで十分に吟味することが必要になる。まだ吟味が尽されておらない。だから、要するに第二てこの問題が十七条にかかつておるだけではないとおつしやるのですけれども、十七条の問題についてもわれわれは反証をあげたい。そういう問題を含めて、第二てこの問題は例として言つたのである、それが間違つてつたという反証があつた場合、そしてそれが確実にきまつた場合には、長崎総裁はどうなさるかということなんです。例として第二てこの問題があがつた、そういうことを聞いておるのです。これに対して、すなおな返事がありそうなものだと私は思う。そういうことがなかつたということが立証されるならば、さつぱりと私は首切りを取消しますという言葉の言い順になるのが常識なんです。それをおつしやらない。しかし私たちは、あなたが取消しますと言つたことを根拠にして、ここで私らの考え通りの反証があがつたとして、その反証をあなたが承認されるかされないかということは、また別問題です。そういうすなおなものの考えで、私たちの質問に対して応答される態度がないということが、きわめて残念です。これではものは進まぬのです。楯君から動議が出るのも当然なんです。まだ御返事を承れませんか。なければそれでけつこうです。
  144. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来、お前は官僚的態度であるとか、いろいろな御意見がありましたが、これはきわめてありがたく拝聴いたしておきます。  最後の、仮定的な御質問に対してはお答えができないことは、先ほど来申し上げておる通りであります。
  145. 赤松勇

    赤松委員長 それでは楯兼次郎提出の決議の取扱いにつきましては、次回の委員会において遂めたいと思いますから、御了承願います。  本問題につきましては、なお調査を続行する必要があると思われますので、本日御出席参考人各位には、明後十九日の本委員会に再び御出席を願いたいと存じます。  次会は明後十九日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十七分散会