○上原
参考人 私
日本化工従業員
組合の上原でございます。
ただいままでに
経営者が出て参りました経過を申し上げますと、
日本化工株式会社は、もともと防毒面をや
つて相当大きか
つたのですが、そのあと
日本化工がだめになりまして、
日本化工機という第二会社ができました。この
日本化工機という第二会社が、
新聞をにぎわしました詐欺事件の会社なのですが、これがだめになりまして、ただいまの柳本光三という
経営者が出て参
つたのであります。この
経営者が、正式の株主総会をやりまして正式の
経営者に
なつたのは七月二十七日でございます。それからというもの、本日に至るまでの賃金として出しましたものは、当時百八十名おりましたが、現在では従業員は百十名くらいです。それに対しまして、四十七万しか賃金を払
つておりません。この四月からただいままでの未払い賃金は一千百七十万ございます。それで従業員はいろいろと苦しんで、アルバイトなどをやるために、だんだん会社を去
つて行く者もあ
つたわけです。しかし従業員は、
平均勤続年数十二年八箇月くらいにな
つております。会社に非常に執着を持
つておりまして、何とかしてこの会社を再建させたいという
ようなことで、会社にしがみついてお
つたのですが、柳本さんという
経営者は、全然
仕事も持
つて来なく、会社にも出て来ないわけです。それで
日本橋の
日本トラクター株式会社というところにおりまして、大体
経営者を同族でまとめてお
つたのでありますが、そこで取締役会を開いたり何かしておりまして、板橋の
工場の方には全然顔を出さないわけです。それで私たちは
日本橋の方に、賃金をくれ、何とかして
仕事を持
つて来てくれ、工賃
仕事でもけつこうだからやらしてくれないか、そうして食いつなぎをや
つて行かなければならないと言うのですが、今度は都民銀行から何千万円金を借りるとか、あるいは
日本相互銀行から何千万円金を出してくれるとか、そういうことばかり言
つてお
つて、全然賃金も払わなければ、
仕事も持
つて来ないということで、これではし
ようがないというので闘争体形をと
つたわけです。
そうしたところが、
労働協約に七十二時間という期限がきめてあるから、それまで懇談会をや
つてくれないかということで、話合いをしまし
ようというので交渉を続けて、闘争体形をと
つてから実に十八日間、また何だかんだとやり合
つたのですが、一向に金も払わなければ
仕事も持
つて来ないということで、ぜひともこつちの会社に来ていろいろの実情を見てくれという
ようなことで、全員で
日本橋の方に押しかけたのです。そうしたら、明日専務が行くということで、次の日に専務が出て参りました。それで専務が給料でも持
つて来てくれたのかと
思つておりましたら、全員を集めまして、あなた方は闘争体形をと
つたのだ、その闘争体形が宙に浮いておるではないか、なぜ
組合の既定方針にのつと
つてやらないのか、こういう
ようなことを言いまして帰
つたわけです。それに対して
組合の者全体が憤激いたしまして、では闘争をやるのだということになりましたら、次の朝突然に会社の一週間の休業を宣したわけです。その晩これでは全然誠意がないということで、闘争宣言を発しました。そうしたら三週間休業を続けまして、あと何でもなく、回答も何にもなく知らぬ顔をしておるわけです。そうしたところが十一月に二日間休みが続きました。そのときに突然首切りと
組合幹部六名に対する仮処分をや
つたわけです。
〔持永
委員代理退席、
委員長着席〕
二日間の休みの上にや
つたので、幹部は毎日出ておりましたが、幹部が出て来たら、これを暴力団を連れて来て、全部引ずり出してしま
つたのです。それから休みが過ぎまして、
組合員が出動するというときに、これではいけないというので大会を外部で開いたわけです。そうしたら、会社から離脱した者はもう門の中には入れないというので、約三十名くらいの暴力団が門を固めておりまして、従業員を全然一人も入れないわけです。それで、す
つたもんだ押し合いまして、六名の幹部以外の従業員だけが無理やりに入
つたわけです。そうしたら会社側の話を聞け、
組合を離脱して、
組合を脱退するというのに判を押したならば、き
よう二千円ずつ払
つてやる、こういう
ようなことをみんなに
言つたわけです。ところが何も
組合を離脱してもらう金ならいらないとい
つて出た者が七十名、話を一旦聞いてみ
ようじやないかというのが十一名残
つたわけです。それで
組合内部は十一名と七十名とにわかれてしまたわけであります。そうし、たところが、今度は七十名に対しては全然門の中に入れない、十一名だけを入れて
仕事をさせる。それで二千円を払
つて、現在中にいる者には一人
平均八千円の賃金を払
つておりますが、表に出ている者七十名に対しては一銭も賃金を払
つておりません。それから全員に対して首切りを宣告いたしました。これを文書でくれといいましたならば、暴力団が出て来まして、胸ぐらをと
つて、貴様なまいきだとい
つて引きずり出す。そのあと文書もとれずに、首切りの宣旨だけをしておりましたが、
組合側といたしましては、不当
労働行為で都労委に訴える、そして安定所の方から、離職票をもら
つて失業保険をもらうという対策を立てたわけです。そして離職票を出せ、こういう
ように要求しましたら、基準監督署の方に
行つていろいろと相談いたしまして、これを予告期間を置いて出したわけです。ですから、一月十六日までは失業保険ももらえない。それから会社からは一銭の金も出ていない。
組合といたしまして、資金カンパその他をや
つて、現在までに払
つた金が約百七十万くらいあります。ですが、実際にこの百七十万の金も、現在の七十名に対して五日に三万円、一人が
平均二百円か三百円、それで五日間を暮しているわけです。従業員の
平均家族数は、本人も含めて三・七くらいになります。
子供が学校に
行つておりましても、給食費が三箇月も四箇月もたま
つているものですから、子供たちは先生に責められるのがいやだとい
つて学校を休むという
ような児童も出ております。そういう
ような
状態で今日続いているわけです。その点で実はお願いに上
つたわけです。それで基準局の方には、賃金の遅配は十一月五日に提訴しております。そして中の者に払
つておるということを、一部始終基準局にお願いしてあるのですが、現在一箇月半になんなんとしておりまして、いまだに結論が出ておりません。それからこの賃金の問題は、九月分一ぱいで七百八十万の遅配額を裁判所に訴えておりますが、相手方は、弁護士が旅行しているとか、そういう
ようなことで裁判を延ばしております。それから警察の方では、公安主任が
労働組合の者は引きずり出してもいいというふうに会社に内命したと、会社は言
つております。と同時に、
組合側が入るときは、会社から訴えがあれば、警察の公安主任がみずから飛び出して来て、あれが悪いとか、これが悪いとか、ああしてはいけない、こうしてはいけないということで、すぐに干渉を加えて来るわけです。それに対して
組合幹部がとり巻いて公安主任と交渉をしておりますと、会社側から
ちよつと来てくださいといえば、それで、
ちよつと向うに
行つて来ますということで
行つてしまいます。それから交渉のときに女をまじえた
委員がや
つておりまして、暴力団が入
つておりますから監禁されるおそれがあるために、何とかしてくれないかと警察の方に言
つて行きますと、警察はそんなことはないでし
よう、私の方は、お宅のケースはまるきり違うのですから、こういうことにはタッチできませんとい
つて、
組合の方から言
つて行くことは全然受付けません。会社の方から行けばいつでも出て来て、ああの、こうのと干渉を与えるという
ようなことで、
組合員といたしましては中にも入れない。それから門の前に座り込みをや
つておりますが、これは雨が降
つたり何かすると、
労働会館を借りてそちらに集ま
つてもらいます。そうすると、これは無届け集会だという
ようなことを言
つて来るわけです。金はもらえない、警察からは圧迫を受ける。訴えたところが、どんどん遅れてしまう、正月は迫
つて来るというのが現在の
日本化工の従業員の現状でございます。どうぞよろしく……。