○
森永政府委員 大臣の説明を計数的に若干補足いたしたいと思います。「昭和二十九年度予算の説明」という印刷物がお配りしてあるはずでございますが、その
印刷物につきまして御説明申し上げます。
まずこの
印刷物の一ページから二ページにかけまして、
予算編成の
基本方針が五つの項目にまとめてございます。すなわち
財政規模の圧縮、
財源調達の
健全化、すなわち国債は出さない、また過去の
蓄積資金の放出は行わない、そういつた意味の
財源調達の
健全化、三番目には
中央地方の
財政調整、四番目は
経費配分の重点化、五番目は米価その他
公企業料金は極力すえ置く、以上五つの
基本方針によりまして今回の予算が編成されたわけでございます。
その
基本方針につきましては、本会議における大臣の演説、並びにただいまの説明でるる申し上げておりますので詳しくは申し上げませんが、ただ点だけ
財政規模について申し上げますと、今回の
一般会計予算の規模九千九百九十五億円は、
経済審議庁の推計によりますと、昭和二十九年度の
国民所得は五兆九千八百億と推計されるのでございまして、それに対しまして一六・七%に当ります。一ページの右の方に書いてございますが、本年度並びに二十七年度よりも、
国民所得の関係におきましては、
財政規模が相当圧縮せられておることを御承知いただきたいと思うのであります。なお
財政規模を考えます場合に、
財政投融資との純計を出してみますと、その下にございますように、
財政投融資との純計は、一兆二千六百億でございまして、本年度は一兆三千百九十億、約六百億円下まわつております。その
国民所得に対する割合におきましても、二一・一%でございまして、前年度に対しまして約一%下つておるわけでございます。
次に
行政整理でございますが、経費の節減のために
行政整理を実行いたしておりますことは御承知の通りでございます。
警察関係約三万名を含めまして総数六万名の定員を整理することにいたしております。これが実施は原則として二箇年間、
警察関係が若干延びますが、
一般会計、
特別会計につきましては、大体二箇年間に実施する予定でおりますので、
行政整理の関係では、初年度にはただちには経費の節約は出て参りません。
退職金あるいは
待命給与の支給がございますので、初年度はとんとんでございます。平年度におきます節約額は、
一般会計、
特別会計の約三万名によりまして約七十億円、
警察関係によりまして平年度約八十億円、合せて百五十億円くらいになつております。平年度におきましてはその程度の
財政規模の圧縮が可能になるわけでございます。
基本方針につきましては、今の点だけ補足的に申し上げておきます。
次は二ページの
歳出予算のおもな内容でございますが、これも大臣から御説明がございましたし、また後に
重要事項につきまして一項目ずつ申し上げるわけでございますが、大体の予算の骨格を御理解いただく意味で簡単に申し上げますと、
防衛費におきましては、
防衛支出金と
保安庁経費を合せまして百四十億の増額、
防衛支出金は三十五億減少し、
保安庁経費は百七十五億増加いたしております。
次に
経済力の
充実発展の経費でございますが、
財政投融資につきましては、
財政規模を圧縮するため、また最近とかく
財政投融資につきまして
過剰投資、
不急不要投資の弊も見受けられないでもございませんので、大幅に圧縮いたしました。その一覧表が四ページに出ておりますので、四ページの表をごらんいただきたいと存じます。四ページの一番下に合計欄がございます。これは
財政投融資の種類別を示しておるわけでございますが、まず
一般会計は、本年度四百七十一億に対しまして、来年度は二百億、半分以下に減らしております。
資金運用部は、本年度千七百二十三億が千五百八十億に減つております。
簡保資金は、百九十億が四百六十億に増加いたしております。この
資金運用部と簡保との関係は、本年度は
簡易保険におきまして
積立金の半額を運用いたしておりましたが、二上九年度以降は、
積立金の全額を簡保において運用することになりましたための増減が、この増減の主たる理由でございます。なお、詳しくは
理財局長から御説明があると思います。
それから
産業投資会計は、本年度六百十億円が来年度百七十五億円、これも
理財局長から説明があると存じますが、本年度におきましては
減税国債の発行二百億、
所有国債売却二百億を予定しておりましたが、来年度におきましてはかかる要素はございません。通常の
回収金並びに
利殖金だけでございます。ただ新たな要素といたしまして、
緊要物資特別会計を本年度限り整理することといたしまして、その会計の
手持ち現金を年度初めにおきまして
産業投資特別会計に繰入れることにいたしました。それによつていささかなりとも
産業投資特別会計の資金源の充実をはかつたわけでございます。以上の合計、本年度は二千九百九十四億円に対しまして、来年度は二千四百十五億円と減少いたしました。
このほかに公募債につきましては、本年度とほぼ同じ程度の起債を見込みまして三百九十億。それを全部合計いたしますと、本年度三千三百八十九億が二千八百五億と約六百億近く減少いたしたわけでございます。
その二千八百五億の各
機関別の
運用計画は、計の欄をごらんいただきたいと存じます。大きく減少いたしましたのは、
開発銀行におきまして、本年度六百億が三百五十億、また
金融債引受によりまして、本年度三百億が二百億、また増加いたしましたのは
電源会社の本年度二百億が二百六十億ということになつております。
中小企業公庫、国民金融公庫につきましては、
自己資金を加えますと、本年度よりも相当上まわつた計画に相なつております。
政府事業建設投資におきましては、
国有鉄道におきまして、本年度二百三十億が百九十億、
電電公社におきまして本年度百七億が七十億、これがおもなものでございます。
地方債は本年度千二百三十三億が千九十億に減少いたしました。これは後ほど申し上げます
地方財政計画に即応した計画でございます。
財政投融資につきましてはこの程度にいたしまして、
経済力の
充実発展の経費といたしましては、
公共事業費、
食糧増産対策費があるわけでございますが、この経費が相かわらず予算上の重点の一つであることは申すまでもございません。但し、従来
公共事業費及び
食糧増産対策費につきましては、とかく
総花的傾向のうらみを生じておりました。そこで経費の使用をより効率的にするために、今回の予算におきましては、
公共事業におきましては
治山治水対策及び
道路事業に重点を置き、また
食糧増産関係におきましては
土地改良事業に重点を置くことといたしまして、相当厳選いたしております。全般的に二十九年度よりの
新規事業は一切認めておりません。また既着工の事業につきましても、その
経済効果を検討いたしまして、
経済効率の悪いものにつきましては、やむを得ず一時休止するというような措置も講じておるわけでございます。総額におきましては本年度千七百五十億が千六百九億に減少いたしております。
その中で
治山治水につきましては三百九十八億が四百三十一億、これは三十三億の増加、
災害復旧費は六百七十六億が五百三十三億、百四十三億の減少、
食糧増産は三百五十八億が三百六十三億、五億の増加、
道路港湾等におきましては二百七十九億が二百八十二億、三億の増加、
うち道路費の増加は八億でございます。
冷害救農土木事業は今年度は計上いたしておりません。
次は民生の安定のための経費でございますが、まず
住宅対策といたしましてはほぼ本年度と同額を計上いたしております。
一般会計に計上いたしました金額は、百三十七億が来年度は百三十四億円、これに住宅公庫、
資金運用部からの住宅融資等、すべての住宅資金を合計いたしましたものにおきましても、本年度の三百二十億が来年度三百十四億と、ほぼ同額計上いたしております。
次にいわゆる社会保障の経費でございますが、生活保護、児童保護、社会保険、結核対策及び失業対策の諸経費につきましては、合計いたしまして本年度は七百三十六億円でございましたが、来年度は七百七十四億円、三十八億円を増加いたしております。
さらに広い意味の社会保障でございますが、旧軍人遺家族等の恩給費、遺族等の援護費、留守家族等の援護費、その三者の合計におきましては本年度五百億が来年度は六百八十九億、百八十九億円を増加いたしているわけであります。
次に文教関係の経費でございますが、義務教育費国庫負担は来年度以降これを全面的に実施することにいたしまして、七百億円を計上いたしております。その他文教関係の諸費用を合計いたしますと、
文教施設費、国立学校運営費、
育英事業費、産業教育振興費、科学研究費、理科教育振興費、学校図書館其他整備費、以上の合計でございますが、本年度千十五億が来年度は千百四十八億、約百三十億円を増加いたしておる次第であります。
最後に
地方財政の関係でございますが、本年度の予算は地方制度につきまして、
警察制度の改革を中心とする制度の改正並びに地方税制の改正を前提といたしまして、それを織り込んだ予算を提出いたしております。地方制度の改革の骨子は五ページに一覧表が出ております。ちよつと簡単に申し上げますと、まず地方制度におきましては、
国家地方警察及び市町村治体警察を都道府県一本の警察に変革するわけでございます。中央及び管区には府県警察相互の連絡調整等のための維持管理機関を設けることにいたしております。警察官の定員は十一万一千人ということにいたしまして、
一般職員を含めて三万人を減少いたしております。但し一挙に整理することは困難でございますので、当分の間、定員外の職員を置きまして漸進的に整理する方針をとつております。実施時期は七月一日でございまして、平年度約八十三億円の節約をここに期待いたしておるわけであります。
その他地方制度といたしましては、市町村教育
委員会はこれを存置いたします。但しただいまの二年ごとに半数改選という制度を改めまして、二十九年度施行予定になつております選挙は、これを行わないことにいたしました。
その他各種
委員会、審議会等につきましても極力整理統合を行い、また行政機構につきましても極力簡素化するという方針で
地方財政計画を立てることにいたしております。
地方税制の関係でございますが、地方税源の分配の適正化をはかり、いわゆる裕富府県における超過財源の減少を目標といたしまして、次のような措置を講ずることにいたしております。まず附加価値税は、これは形式的にも廃止いたします。事業税及び特別
所得税につきまして税率の軽減、
基礎控除の引上げ等、相当の減税を行うことにいたしております。
それから
入場税はこれを国税に移管いたしまして、その収入の九割を地方に還元する地方譲与税として道府県に譲与する。これによりましていわゆる
地方財政のロスを少くすることをはかつておる次第であります。
同じような目的から以下の諸税の改革を行うわけでありますが、道府県民税を創設してその反面市町村民税を軽減する。また新たに
タバコ消費税を創設いたしまして、その総額が小売価格の総額に対しまして都道府県分が百十五分の五、市町村分が百十五分の十になるように税率を定めるようにする。
また大規模償却資産税を創設いたしまして、大規模の償却資産につきましては、法定額を越える部分を道府県において課税する、さような趣旨の改革を予定いたしております。
さらに道府県税といたしまして不動産取得税を創設し、その反面固定資産税を軽減する。以上のような税制面の改革を予定しておる次第であります。
以上のような地方税制の改革に伴いまして、
地方財政調整制度につきましてもこの際変革を加えることを予定しております。その一つは平衡
交付金制度を廃止いたしまして、それにかわる推置として
所得税、法人税及び酒税のそれぞれに対して、一定の割合を
一般会計から
交付税として地方に交付する。交付する場合には新たに
特別会計を設けまして、その
特別会計から交付するわけでございます。わけ方は大体現在の平衡
交付金と同じようなわけ方をするつもりでおります。
それから揮発油税でございますが、揮発油税収入の三分の一相当額を地方に譲与することにいたし、これを都道府県の道路面積を基準として配分することによりまして、都道府県の道路の保守改良の財源を確保することにいたしております。
さらに
入場税につきましては、国税に移管されましたものの九割を地方に譲与するわけでございますが、その譲与の基準は都道府県の人口を基準として配分する、こういうことを考えておるわけであります。
以上のような制度改革を予想いたしまして、そのほかに二十九年度における経費及び歳入の自然増を加味いたしまして
地方財政計画を設定いたしたわけでございます。詳細は後に申し上げますが、その結果
地方財政平衡交付金がなくなりまして、それにかわるものとして地方
交付金が千二百十六億、それから
地方譲与税譲与金が七十九億、このほかに
入場税の譲与金、これは
一般会計を通さないで
特別会計にすぐ繰入れて配付される分でございます。その分がございますが、
一般会計に関係あるものといたしましては、
交付税交付金と
地方譲与税譲与金、合計千二百九十五億でありまして、前年度の千三百七十六億円に対しまして八十一億円の減少に相なる次第でございます。
以上二十九年度
予算編成の前提と申しますか、基本的骨組みを申し上げたのでございますが、次に歳出面に移りまして、六ページにいわゆる
重要事項別の表、二十八年度と二十九年度との対比が出ております。この各項目に従いまして、特に御説明を要する点だけを申し上げて参りたいと存じます。
防衛支出金は三十五億円減少いたしました。その減少いたしました内訳は、在日合衆国軍
交付金、これは
行政協定によりましてまとまつた金を毎四半期に交付しておるわけでございますが、その
交付金において二十五億二千万、それから施設提供等諸費、これは米軍の使用する施設、区域等の提供に必要な経費を日本が負担しておるわけでございますが、その経費において約十億円、合計三十五億円を減少いたしておるわけでございます。
保安庁経費増加額は百七十五億円でございまして、総額七百八十八億円と相なります。その内訳は、官房各局、統合幕僚会議等、いわゆる中央の経費が十八億、今までの保安隊は
陸上自衛隊に改められる予定でございますが、その
陸上自衛隊の関係経費が四百八十億円、それから
海上自衛隊、これも今の警備隊が改称せられるものでございますが、その経費が二百十八億円、
航空自衛隊、これは新たに設けられる予定でございますが、その経費が七十二億円ということになつております。これら経費の積算の基礎になりました人員の関係を申し上げますと、保安隊改め
陸上自衛隊におきましては、現在の
制服職員十一万人、
一般職員千八百八十人を、それぞれ二万人、八千七百人増加いたしまして、二管区隊の新設並びに方面隊直轄諸部隊の増強を行うことといたしております。
警備隊につきましては、二十八年度予算において建造いたします新造船舶並びに米国より貸与を受ける船舶の乗組員を増加いたすわけでございまして、現在の
制服職員一万三百二十三人、
一般職員三百六十六人を、それぞれ五千四百八十五人及び二百十九人増加することといたしております。
航空自衛隊は練習機による訓練を開始するという段階でございますが、その定員といたしまして
制服職員を六千二百八十七人、
一般職員を四百七十八人予定いたしております。
以上の予算額七百八十八億円のほかに、予算外の国庫の負担となる契約といたしまして、警備船等の船舶建造のために三十三億円、営繕工事等の施設整備のために四十七億円、合計八十億円の国庫負担契約を提案いたしておる次第でございます。
次は
平和回復善後処理費でございますが、本年度は当初百億計上いたしておりましたものが、補正の際に減額いたしまして三十億円になつております。これを二十九年度は百五十億円に増加いたしております。増加いたしました理由は、フイリピン、インドネシア、ヴエトナム等の間に協定いたしました沈船引揚げが二十九年度初頭から本格化いたして参ります。それと同時にこれらの国との問の一般賠償協定も、相当交渉が進むであろうということを考えた結果でございます。
連合国財産補償費は、本年度四億、来年度は二十五億九千九百万———二十六億計上いたしております。この経費は、二十九年度百億が必要なわけでございますが、従来からの繰越しが七十四億余りございます。その分を使うことにいたしまして、それと合せて百億になるような金額といたしまして二十六億を計上したわけでございます。なお二十七年度に計上いたしました予算を二十九年度において繰越して使用いたしますために本国会に別途財政法第四十二条の特例に関する法律案を提出いたしまして、二十七年度の繰越しが翌々年度においても使えるということの特例を開いていただきたいと考えております。
次は
公共事業費及び
食糧増産対策費でございますが、九ページでございます。この経費につきましては
治山治水対策費、
食糧増産対策費、
道路港湾等事業費、災害復旧事業費、冷害救農土木につきましては、さらにこまかく事業種別を掲げ、なお内地と北海道との使用区分を示してございます。
この
公共事業費及び
食糧増産対策費の査定の
基本方針を申し上げますと、この経費が重点的経費であるという点におきましては、むろん従来と同様でございますが、先ほども申し上げましたように、とかく総花的な傾向がございます。工事の経済的な進行が阻害されており、工事の完成が遅れておる。そういう弊も相当顕著になつて参りましたので、極力重点主義的な
予算編成をいたしたのでございます。先ほど申しましたように、
公共事業につきましては、
治山治水、
道路事業に重点を置き、
食糧増産対策事業については土地改良に重点を置いております。
治山治水につきましては本年度三百九十八億円が来年度において四百三十一億、約三十三億を増加いたしておることは先ほど申し上げた通りでございます。なおこのほかに国有林野
特別会計におきまして治山のための経費約三十二億円を計上したことを御記憶いただきたいと思うのであります。国有林野
特別会計は従来利益金を
一般会計に納付しておつたのでありますが、今回の予算におきましては利益金の納付をとりやめまして、その利益金を国有林野
特別会計におきまして、重要河川上流の民有林につきまして、それを必要があるものは買い上げて治山事業を施行する。あるいは荒廃地復旧、水源林造成等の事業を行う、それによりまして国有林野
特別会計におきましても、治山事業の面において重要なる一翼をになわせるという次第でございます。
一般会計の計上額のほかに三十二億円を治山に投じておる次第でございます。
土地改良につきましては百四十一億が百四十五億と、四億くらい増加いたしております。
食糧増産事業は重点を土地改良に置いておるわけでございます。
新規事業は、先ほど申し上げましたように、一切これを認めないということを申し上げたのでありますが、これに対する例外と申しますか、一年度間で完成する小規模な工事あるいは災害復旧に関連して必要となる復旧助成事業、これにつきましては例外的に認めておるものもございます。それから既定の継続工事につきましても、計画の再検討を行いまして、工事の優先順位に従つて集中的に予算を分配し、それによりましてできるだけ早い時期に
経済効果が上るようにという目的を達成せんとしておるわけでございます。その反面
経済効果の少いものにつきましては、手もどり、ないしは浪費を生じない必要最小限度の経費に計上額をとどめた次第であります。なお群小工事をできるだけ集約整理することによりまして、一箇所百万円以下の補助金は原則としてこれを認めないということにいたしております。
大体以上のような
基本方針によりまして、
公共事業の予算を編成したわけでございますが、なお十ページから十一ページにかけまして、各事業別に詳しく査定内容が出ておりますので、あとでお読みいただきたいと存じます。
災害復旧についてだけ一言いたしたいと存じます。昨年はまれに見る大災害でございまして、実は巨額の補正予算を提出いたしたわけでございます。従いまして二十八年度末における未復旧残事業は相当額に上つておるわけでございます。その額に対しまして、最近大蔵省で実施いたしました監査の結果によりますと、相当減少し得る見込みがついたのであります。二十八年災並びに二十七年以前の過年度災につきまして三、四割の査定が可能であるという確信を得た次第でございまして、それに基きまして各事業別に査定を加えて相当圧縮をいたしております。先ほど申し上げましたように、六百七十六億が五百三十二億に減少いたしておる次第でございます。なお残事業に対する二十九年度の復旧率は大体主割ないし四割と考えております。二十八年災につきましては、二十九年度末におきまして大体六割が復旧する、そういうようなことに相なるような査定になつております。但し直轄事業、都市の排土等は事業の性質上、二十九年度中に完成することを予定いたしております。
なお
災害復旧費の査定にあたりまして、もう一言申し上げたいことは、いわゆる原形超過工事が相当大きくなつて参つておるのでございます。この点につきましては、再査定をいたすことといたしまして、原形超過工事の特に著しい部分につきましては、これをむしろ改良工事として処理することにいたしまして、別に改良事業の予算を計上いたしておる次第でございます。
次は
文教施設費でございますが、本年度九十五億が来年度は八十二億、約十三億減少いたしております。この
文教施設費は大きくわけまして国立
文教施設費、
公立文教施設費、
文教施設災害復旧費にわかれます。国立
文教施設費につきましては大体本年度と同額でございます。
災害復旧費は本年度十五億が来年度十一億余り、約三億五千万を減少いたしております。これは
災害復旧費の年度割に基く減少でございまして、特に大幅に減少したということではございません。
公立文教施設費、これは本年度六十億が来年度は五十一億と約九億減少いたしております。この減少いたしました大きなものは、義務教育緒学校の
危険校舎の改築費の補助でございます。本年度は二十二億でございましたが、来年度は十四億を計上いたしております。ここで減少いたしました理由は、本年度
一般会計予算並びに起債等の面におきまして、相当の金額を
危険校舎の改築に充当いたしました結果、
危険校舎の回復は二十八年度において相当進捗をする予定でございますので、来年度におきましてはこの残りの事業を大体三箇年くらいで完成することといたしまして所要額を計上いたしました。この結果約八億を減少いたしたわけであります。その反面
義務教育年限延長に伴う中学校の一般校舎につきましては、従来学童一人当り〇・七坪を基準といたしておりましたが、これを一・〇八坪に引上げ、そのための増加額約四億を増額計上いたしております。
住宅関係でございますが、先ほど申し上げましたように、金額におきましてはほぼ本年度と同額でございますが、戸数におきまして減少いたしております。これは建設単価が相当上つて参りましたための減少でございます。この限られた予算の範囲内で、いわゆる
公営住宅に重点を置くことといたしまして、住宅金融公庫の一般住宅につきましては、相当削減するのやむを得なかつた次第でございます。
官庁営繕費、これは本年度二十五億を半減以下にいたしまして十一億円にいたしました。
出資及び投資、
一般会計の分は先ほど申し上げましたように二百億でございます。これにつきましては先ほど一覧表をごらんいただきましたので、これは説明を省略いたします。
その次は
生活保護費でございます。二十八年度二百六十六億が二十九年度二百八十一億と、十五億増加いたしております。増加の原因は、一つは対象の増加であります。過去一箇年間の実績を基礎とし、人口増加あるいは来年度の予算の影響等を勘案いたしまして、対象人員におきまして五%の増加を見込んでおります。この結果延べ人員百二万七千人、一月当り八万六千人の増加でございまして、ことに下期におきましては、今回の予算の影響が相当出て参ることを考えまして、下期に重点を置き、下期は月十七万程度の人員を対象といたしまして考えております。単価は実績を基礎といたしておりますが、生活扶助につきましては、今般の一月一日から実施されました米価の値上りを考慮いたしまして、八千円から八千二百三十三円に引上げました。また医療扶助につきましては、昨年十二月一日に行われました入院点数等の改訂を考慮いたしまして、引上げを実施いたしております。
児童保護費、本年度五十二億円が来年度は五十六億円、約四億増加いたしております。これは人員が増加いたしました点と消費者米価の改訂、入院点数等の改訂等に伴う自然増でございます。
社会保険費でございますが、本年度九十五億が来年度は九十八億と約三億増加いたしております。増加いたしましたおもな原因は、厚生年金保険におきまして、最近の実情にかんがみて標準報酬を八千円から一万八千円に引上げ、また老齢年金の給付額を大幅に引上げる。その他根本的な改訂が行われる予定でございますが、それに伴つて、従来国庫が一般につきましては一割、坑内夫につきましては二割の給付費を負担いたしておりましたのを、来年度以降、一般につきまして一割五分、坑内夫は二割としてすえ置きまして、保険給付の充実をはかつた次第でございまして、その関係の
一般会計からの繰入れの増加が一番大きな原因でございます。もう一つは、日雇労働者健康保険の給付が本年一月から実行されることになつたわけでございますが、療養給付期間を三箇月から六箇月に延長いたしまして、保険給付の内容を充実することにいたしました。それに伴つて給付費が増加いたして参りますので、新たにその一割を国庫において負担することにいたした次第でございます。以上の関係での
一般会計からの繰入れの増加が、この経費の増加のおもなる原因でございます。
次は
結核対策費でございますが、
結核対策費におきましては、病床の増加は公立その他において約九千床を予定いたしております。国立におきましては、今回はベット数の増加はとりやめまして、そのかわりに施設の整備改善を相当はかつております。百二十六億が百三十二億と増加いたしておりますのは、それらの施設費のほかに人件費等の増加によるものがあるからでございます。
次は
失業対策費でございます。
失業対策費につきましては、対象人員におきまして五%増加いたしまして、一日平均十六万三千人、これを
失業対策費の対象といたしておる次第でございます。その結果百億円が来年度は百十一億円、約十億円を増加いたしたのであります。次に失業保険費につきましても、対象人員の五%増加を見込みまして、失業保険の支給金額におきましては二百七十二億円、本年度に対しまして十億円の増加を考えております。
一般会計の関係におきましてはほとんど前年と同額になつておりますが、失業保険
特別会計の方をごらんいただきますと、約十億円の給付費の増加をいたしておるわけでございまして、それに伴う
一般会計の負担額を計上いたしたわけでございます。
次は遺族等の援護費でございますが、二十八億円が来年度は三十二億円に増加いたしております。これは二十八年度に行われました遺族年金の単価改訂の平年度化に伴うものでございます。
次は留守家族等の援護費二十一億円余りが十八億円に減つております。これは最近における引揚げの進捗等に伴う留守家族の減少に伴う減少でございます。
次は旧
軍人遺族等恩給費四百五十億円が六百三十八億と、百八十八億円増加いたしておりますが、これは二十八年度におきましては三・四半期分しか計上されておりませんでした。それが二十九年度におきまして平年度化いたしますための増加でございます。
次は国立学校運営費でございますが、二百七十三億が三百三億に増加いたしております。これは給与改訂に伴う人件費の増加、学年進行等に伴う増加でございまして、特に申し上げることはございません。
育英事業費、これも対象となる学生数の増加並びに若干の貸与金の引上げに伴うものであります。
義務教育費国庫負担金、これは先ほど申し上げましたように、二十九年度以降義務教育費国庫負担法を全面的に実施することにいたしまして、七百億円を計上いたしました。なお教材費におきまして若干減少いたしておるようなかつこうになつておりますが、これは理科教育振興法及び学校図書館法の成立に伴いまして経費の移しかえが行われた結果で、別途その分が計上されたためであります。
次は警察費でありますが、
国家地方警察費前年度二百十六億が六十億に減少いたしております。これは
警察制度の改正が七月一日から実行されますので、その三箇月分を計上したわけであります。
その次の警察費、これが改正後の九箇月分の予算でありまして、九十三億四千二百万円になつております。
警察制度の改正によりまして、警察職員は三万人を減少する、そのうち国家公務員といたしましては七万一千七百四十九人が七千八百二十八人、六万三十九百人余りを減少する、そういうことになつております。地方と中央との経費の分でございますが、
都道府県警察の警察官等の人件費、被服費等職員の設置に関する経費は都道府県の負担といたしております。その反面教育、通信、鑑識、装備といつたような全国的な統一調整を要する経費、また国家的な警察活動に要する経費、これは直接国庫の支弁といたしまして全額を国が質担いたしております。その他の経費につきましては半額を国庫で補助する、さような建前で今回の予算ができておるわけであります。
次は
地方財政平衡交付金でございますが、これは地方税財政制度の改革に伴いまして、二十九年度以降廃止することになりました。
そのかわり次の
地方交付税交付金が出て参るわけでありますが、その額は千二百十六億円となつております。
地方財政の二十九年度の大体のかつこうな十八ページに書いてございます。すはわち二十八年度の既定財政計画に対しまして、二十九年度に財政需要が増加いたしますのが四百八十九億円ございます。その内訳は、既定
財政規模の是正が百四十九億円、給与関係経費の増加四百十四億円、公債費の増加百三十一億円、臨時事業費の減、これは
災害復旧費等の減でありますが、二百四十五億、
警察制度改正による増加百五億円、その他いろいろございますが、既定経費の節約百二十億円、以上の増加並びに減少がありまして、四百八十九億円
財政規模がふくれるわけであります。
それに対しまして歳入の面におきましては、八百三億円の収入増加になる予定でございます。地方税の自然増が四百十一億円、
タバコ消費税二百九十二億円、揮発油税の譲与税創設によるものが七十九億円、
入場税の譲与税創設によりまして一割が国庫に納付されますための分が十九億円、事業税その他の
税制改正に百四億円、これは減少でございます。国庫支出金の減三十八億円、その他収入の増百八十二億円、合計八百三億円の財政収入増加になる。
来年度の歳入歳出関係では三百十四億円だけ歳入が超過するということに相なるわけでありますが、一方富裕団体の超過財源も十五億増加いたしておりますので、差引二百九十九億円だけ平衡
交付金を減少しまた起債額を減らせる、そういうことになるわけであります。
平衡
交付金におきましては、
地方交付税交付金として百六十億を減少した千二百十六億円を計上いたしております。
地方起債におきましては百三十九億円を減少いたしております。
なお以上のような歳入歳出の増減に伴いまして、二十九年度の地方
財政規模は九千六日五十三億円となる予定でございます。
次は
地方譲与税譲与金でございますが、七十九億円を
一般会計から
特別会計に繰入れまして、道路面積等に応じて地方に譲与する次第でございます。
海上保安費、これはほぼ前年通り。
国債費、本年度四百四十七億が来年度四百三十億に減少いたしております。減少いたしましたのは、国債の償還でございます。これは前々年度の剰余金の半額を国債の償還に充てることになつておりますが、二十七年度の剰余金が四百二億円でございますので、その半額二百一億円を国債の償還に充てておる次第でございます。国債諸費につきましては、援護公債の利子等の平年度化のため、若干増加いたしております。
次は農業保険費でございますが、本年度百九十四億日が百六十億円、約三十億円減少いたしました。これは二十八年度の凶作に伴う再保険金の支払い財減の不足補填を、二十八年度は八十五億円いたしたのでございますが、二十九年度におきましては、残額五十五億円を補填いたします。その補填額が三十億減少いたしましたために、減少いたしたのでございます。
次は在外公館費、本年度三十二億円が三十七億円に増加いたしております。これは在外公館を来年度におきまして十館新設し、また一公使館を大使館に昇格する、それらの関係の人件費、施設費等々におきまして増加をいたしておるわけでございます。
次に輸入食糧価格調整補給金でございます。本年度三百億が来年度は九十億、二百十億円の大幅な減少をいたしております。これは、一つには、外貨収支の改善のために外米の輸入量を極力節減いたしましたこと、もう一つは、海外における米の市場価格が相当低落いたしましたこと、さらには国内におきまして、一月一日から消費者価格が引上げられましたことに伴う補給金の減少でございます。なお外米の輸入数量は百十四万トンを予定いたしておりますが、これによりましてはいわゆる米食率の引上げは必要としない計画でございます。
食糧管理費五十六億円、これは来年度は計上いたしておりません。本年度限りの経費でございます。
次は、外航船舶建造資金貸付利子補給七億円が来年度は三十七億円、約三十億円増加いたしております。これは昨夏立法されました法律に基きまして、来年度において当然支払いを必要とするものでございます。但し昨年度の予算におきましては、国庫が
開発銀行に対しても一分五厘の利子補給をいたしておりましたが、この分は二十九年度におきましては利子補給をとりやめることにいたしまして、今回の予算を編成いたしております。
文官等恩給費、百十五億円が百四十五億円、約三十億円増加いたしておりますのは、昨年十月の恩給法改訂による増加額が平年度化いたしますためのもの、あるいは元南西諸島官公署職員等のための恩給費の増加でございます。
最後に予備費、本年度百七十五億円、これは災害対策予備費百四十五億円を含んでおりますが、これに対しまして、来年度は百三十億円を計上いたしております。
大分時間がかかりまして恐縮でございますが、以下はごく簡単に申し上げたいと思います。
次は歳入でございますが、歳入のうち租税及び
印紙収入におきましては、本年度七千五百六十六億円が来年度七千七百十八億円、百五十一億円を増加いたしております。この内容につきましては
主税局長の御説明によりたいと存じます。
専売益金、本年度千五百八億が来年度は千三百四億、約二百億を減少いたしております。この増減のところに二九とございますが、これは二〇の誤りでございます。この内容につきましては、先ほど大臣からの御説明にも詳しくお述べになつておりますので、省略いたします。
次は
官業益金及び
官業収入、本年度百六十五億が来年度は百三十二億、約三十三億減少いたしております。
この減少のおもなものは、
資金運用部の利益金を従来は
一般会計に受入れまして、
一般会計から郵政
特別会計に赤字補填として出しておりましたが、来年度は
資金運用部特別会計からただちに郵政
特別会計に繰入れることにいたしまして、会計の簡素化をはかりましたので、十六億。もう一つは先ほど申し上げました国有林野事業
特別会計におきまして
一般会計への納付金をいたしておりますが、この納付金をとりやめまして、
特別会計内部におきまして治山事業に使用することにいたしました。その関係で三十二億円減少いたしました。他に増加がございまして、合計では三十三億円の減少になつております。
次は政府資金整理収入でございますが、本年度は百三十八億、来年度は八十三億、合計五十四億減少いたしております。減少のおもなものを申し上げますと、有価証券の売払代におきまして二十七億、これは国際電信電話会社の株を本年度は大きく処分いたしておつたのでございますが、来年度はさような大口のものがございませんので、減少いたすわけでございます。それから回収金の収入におきまして三十億減つております。これは公団等の回収金がだんだん整理がついて参りまして、来年度は十五億くらい減少いたします。貿易
特別会計の整理収入、これは本年度におきましてその整理収入を
一般会計に繰入れましたので、来年度はございません。その分が十億。さような関係におきまして、政府資産収入におきまして約五十四億減少いたしております。
雑収入におきましては、本年度四百三十八億が、来年度は三百五十三億、約八十四億大きく減少いたしておりますが、減少のおもなものを申し上げますと、利子収入、いわゆる指定預金の利子を本年度は四十数億受入れておつたのでございますが、来年度は指定預金の利子はございませんので、その関係で四十数億円減がございます。その他いろいろな項目で増減がございまして、差引八十四億円の減少となつておる次第でございます。
最後に前年の剰余金は四百二億円ございました。二十八年度受入れました金額が四百五十五億円でございますから、そこで五十三億円を減少いたしております。
特別会計につきましては、詳しく申し上げる必要もないかと存じますが、会計の数の増減を申し上げますと、対日援助物資処理
特別会計並びに
緊要物資輸入基金の二つの
特別会計が廃止されまして、そのかわりにふえますものが、
交付税及び
譲与税配付金特別会計、合計会計数は三十二と相なります。
その
特別会計のおもな点につきまして申し上げる次第でございますが、
交付税及び
譲与税配付金特別会計、これは先ほど申し上げましたから省略いたします。
外為
特別会計、これは経費の内容よりも、いかなる国際収支を前提としておるかということが問題になるわけでございますが、予算の積算上前提といたしました国際収支は二十九ページにございますように、輸出によりまして十三億七千五百万ドル、駐留軍関係の収入が七億六千万ドル、貿易外三億四千万ドル、合計二十四億七千五百万ドル、これに対する支払いは、輸入が二十一億四千万ドル、貿易外が四億二千五百万ドル、合計二十五億六千五百ドルでございまして、差引三十九年度中の支払い超過九千万ドル、さようなことに相なつております。なおかように支払い超過に相なります結果、外国為替資金の円資金は三百二十四億円の剰余を生ずることになりますので、借入金の限度は二千億円を千五百億円に引下げることにいたしたわけであります。
資金運用部特別会計、
産業投資特別会計につきましては、後に
理財局長から説明がございますので、省略いたします。
厚生保険
特別会計、これも先ほど社会保険費のところで簡単に申し上げましたので、省略いたします。
失業保険
特別会計につきましても同様でございます。
食糧管理
特別会計でございますが、食糧管理制度につきましては、いろいろ問題がございますことは御承知の通りでございます。政府部内におきましても目下審議会が設けられまして、いろいろ食糧管理制度について審議中でございますが、この予算の編成にあたりましては、とりあえず現行制度を踏襲いたしまして予算を組んでおります。すなわち国内産米につきましては一応統制を前提とし、極力供米を促進して行きたい。また麦等の買上げ数量も、ほぼ前年度と同量と見ております。そのほかてん菜生産振興臨時措置法に基くてん菜糖の買入れ、また飼料需給安定法、農産物価格安定法の関係につきましても、また従来通りの売買を行う前提で、本予算を編成いたしております。輸入食糧補給金が大幅に節約できますことにつきましては、先ほど申し上げた通りでございますので、省略いたします。米麦の買入れ価格でございますが、これは国内産の米麦につきましては、将来の物価水準等を、今日から的確に想定することは困難でございます。従つて本予算の編成にあたりましては、二十八年度の価格と同じような基礎の上に編成をいたしておる次第でございます。ただ米につきましては供出完遂奨励金及び超過供出奨励金は、これを基本価格に織り込みまして一本価格にする。早場米奨励金は別建で八十一億を組んでおりますが、それ以外の諸奨励金は一本化するという前提のもとに、本予算を編成いたしております。米の消費者価格は一応現行の七百六十五を、本年はそのまますえ置いております。以上のような食管会計の予算を組んでおりますが、その結果食糧証券及び借入金収入は、本年度千九百五十億円に対しまして、来年度は二千二百六十億円と、約三百十億増加いたします。但し、その増加のうち百億円は予備費、これは目下のところ使用する見込みはないのでございます。予備費に見合うのでございまして、残りの二百十億が純然たる証券の増加でございます。その発行増加額は、三十八年度末の手持ち食糧が非常に少かつたのが、二十九年度末におきましては正常に復するので、起つて来る発行増加でございます。
国有林野
特別会計におきましては、先ほど申しましたように
一般会計への納付をやめて、三十二億円を治山事業に充当しておるということのほか、別に申し上げることはございません。
郵政事業につきましても、別に申し上げることはございません。いわゆるベース・アップに伴う所要額は、すべて収支の差繰りでまかなつておりまして、料金の改訂は一切行つておりません。
特定道路整備事業
特別会計、これも
公共事業におけると同様
新規事業は一切とりやめまして、既往の分の継続について重点的に処置をして行きたい。
次は
政府関係機関でございますが、まず専売公社、これにつきましては専売益金につきましてすでに申し上げましたので御説明を省略いたします。
国有鉄道について一言いたします。
国有鉄道における昨年末、本年初めの給与改訂、これに伴う来年度の所要額は百五十三億円あるわけでございますが、その財源措置といたしましては、一般的な料金改訂はいたしておりません。ただ一、二等の旅客運賃につきまして通行税二割、これを従来は内わくで処理いたしておりましたが、外わくに振りかえまして、これによつて三十億の増収をはかつております。それ以外は一切料金の改訂を行つておりません。従いまして収入面、支出面におきまして極力合理化をはかり、支出も極力切り詰めましてその財源を捻出いたしておるのでございますが、最後にどうしても捻出ができない部分につきましては、二十八年度におきまして償還を繰延べました
資金運用部からの借入金三十億円を、さらに一年間繰延べることにいたしまして、三十億円を捻出いたしております。
国有鉄道の建設勘定は、
資金運用部からの借入金七十億円のほかに、公募の鉄道債券百二十億円、ほかに利用者負担の分十億円、それらと
自己資金を合せまして五百四十億円ということに相なつております。建設改良も極力重点的に実施することにいたしまして、とりかえ、改良等に重点を置いたのでございます。その結果いわゆる新線建設費は二十五億円を計上するにとどめております。
日本電信電話公社でございますが、この会計におきましては給与改訂に伴う経費の増加額は、すべて経営収入をもつてまかなつております。建設勘定、電信電話施設費は四百一億円、局舎建設費六十数億円、合計建設勘定五百三十一億円でございまして、この分を公募分の電信電話債券七十億円並びに料金値上げの平年度化による収入増加による損益勘定からの繰入れ、減価償却等によつてまかなつておる次第でございます。
国民金融公庫、住宅公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、日本
開発銀行並びに日本輸出入銀行等につきましては説明を省略いたします。
たいへん長時間にわたりましたが、以上で御説明を終ります。