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1954-10-19 第19回国会 衆議院 農林委員会 第75号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十九日(火曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       田子 一民君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       伊東 岩男君    本名  武君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       片島  港君    中澤 茂一君       中村 時雄君    久保田 豊君  委員外出席者         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月十九日  委員本名武君及び井手以誠君辞任につき、その  補欠として伊東岩男君及び片島港君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度農業災害対策に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  先般の理事会申合せによりまして、午後三時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ————◇—————     午後三時三十三分開議
  3. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  農業災害対策について議事を進めることにいたします。本委員会は先般来数次にわたり委員会を開き、稲作その他の農産物、農林業施設被害状況について当局説明を求め、また現地につき委員を派遣いたし、その実情を調査して参りましたが、すでにこれが対策について早急に措置を講ずべき段階に達しておると思うのでございます。本件については、農林省当局においてもそれぞれその措置に対する対策を講ぜられて参りまして、二十九年災害対策要綱と称するものができておるように承つておるのであります。本日はまずこれについての説明を聴取いたしまして、順次議事を進めて参りたいと考えます。それでは羽田農林政務次官より御説明を願いたいと存じます。羽田農林政務次官
  4. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 二十九年度災害につきましては、農林省といたしましては、去る十六日に農林省としての案をきめまして、これを災害対策本部官房長より提出をいたしまして、目下その提出と同時に大蔵省に対してはこちらの独自の立場から連絡をいたしまして、この農林省が立てました対策をぜひ実現をいたしたい、こう言つて日夜努力をいたしておるような次第であります。お手元に配付を申し上げましたその対策要綱について大筋の御説明を申し上げまして、なお事務当局より、御質問がございました場合にまた詳細に申し上げたいと存ずる次第であります。ちようど一から十七までございますが、逐条的に大体のことを申し上げたいと存じます。   まず第一に、公共施設災害復旧は三五二の復旧率により速かに着手するものとし、早急にこれに必要なつなぎ融資予備費支出をすること。  この三、五、二につきましては昨年も問題になつて大蔵省財政状態からなかなか同意してくれませんが、これについてはこの委員会皆様方の特に御支援をいただきまして、三、五、二の復旧率によりましてこの本年度災害につきまして早急なる、計画的なる復旧をするようにいたしたい、こう存じておりますので、何分の御支援をいただきたいと存じますが、われわれ農林省としては、しつかりと大蔵省折衝を進めておるような次第でございます。なおつなぎ融資予備金支出の問題でございますが、従来までに五号台風までの数字がはつきりいたしておりまして、以後の災害につきましては、今月の二十日に各関係県から数字申達をして来ることになつておりまして、従いましてこのつなぎ融資の現在大体きまりかかつているのは五号台風まででございますが、その金額は大体一億円のところで大蔵省との間に話が固まりつつあるような状態に相なつております。  二、農林水産業施設漁船漁具を含む。)の被害については農林漁業金融公庫融資によるものとし、これに必要な資金確保するため投融資節約中止農林中金に対する肩替りの見送り増資等を行うこと。  この農林水産業施設、つまり施設資金でございますが、この農林水産業施設の内容といたしましては、従来皆さん承知のように、協同組合の倉庫とか建物、それから養殖の施設、畜舎、農舎、それにここに書いてあります漁船漁具、こういうようなものが農水産業施設として考えている対象でございます。こういうものに対する施設被害に対しましては、農林漁業金融公庫融資によりまして対策を立てて行きたいと考えている次第でございます。それに必要な農林金融公庫資金確保するために投融資節約中止、つまり今年の緊縮予算のおかげといいますか、緊縮予算のために、皆さんの御協賛を得ました予算をさらに五分ないし一割節約するというようなことが、予算通過後に行政措置として行われたことは御承知通りであります。そういうようなために大体農林中金から十億ばかりを節約するということになつておりましたが、この節約は前通りに返して、この対策として使えるようにしたい、こういうことで大蔵省と交渉を強力に進めているような次第であります。そのほか、農林中金に対する肩がわり見送り増資等を行うというようにいたしまして、資金源確保いたして、そうしてこの施設災害に対する資金に充てたい、こう考えておる次第であります。   なお公庫融資増額によりなお資金不足するときは三、に準ずる立法措置を講ずること。  この次に三がございまするが、公庫融資で足りないというような場合が生じました場合においては、系統金融機関を動員いたしまして資金をまわして行きたい、こう考えておるのでございます。そのためには、どうしても損失補償並びに利子補給というようなものについての立法措置が必要でありまして、こういう点については、今後皆様方立法措置のお願いをいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。それから次の   開拓魚田開発を含む。)者住宅等入植施設復旧については補助特別措置を講ずること。  開拓民方々住宅が今度は相当深刻にやられました。お気の毒にたえない次第でございまするが、なおまた水産方面におきましても、北海道内地から移民をされた水産移民諸君住宅が相当やられたのであります。こういう農業開拓民並びに水産開拓民で住居をやられたものに対しましては、何とか政府としても特別なる措置を講じまして善処したい、こう存じまして、この住宅災害復旧につきましては、二分の一国庫補助をいたして行くということで、目下大蔵省要求をいたしておるような次第でございます。  それから第三のところをごらんいただきたいと存じます。  三、被害農林水産業者経営資金については、利子補給損失補償補償率引上げる。)等の立法措置を講じ、系統金融機関から融資を行わせること。これがため必要により農林債券資金運用部引受け枠(来年度)を増大する等の措置を講ずること。  これは先ほどの施設資金に対しまして、今度はいわゆる営農資金と申すべきですが、ここに水産がありますので包括して経営資金と申しておりまするが、いわゆる営農資金並びに水産業者経営資金につきましては、利子補給損失補償をいたしたい、こう考えて、去年と同様に考えて立法措置を講じなければならない。そしてそれは農林中金あるいは県信連農協等系統金融機関から融資を行わせまして、営農資金水産経営資金に充てたい、こう存じておる次第でございます。補償率につきましては、開拓者方々、ことに岩内の火災にあつた漁業家方々に対しては、まことにお気の毒な状態にございますので、従来政府補償率は四割でございましたが、特に開拓者なんかにどんどんと金がまわつて行けるようにするためには、ある程度補償率引上げて行かなければ、金融機関が危険がつてなかなか金を貸さないというおそれがございますので、開拓者については補償を六割程度にまで引上げたい、こう考えておるのでございます。また岩内の漁村の方々経営資金につきましても、六割ぐらいをめんどうみるというように補償率引上げまして、そうして系統機関安心をいたしてこれらのお気の毒な方々融資できるようにはかりたい、こういう考え方をいたしておるような次第であります。これがため必要により農林債券資金運用部引受けわくを増大する等の措置を講ずるようにいたしまして、できるだけ親切なる方法でどんどんと系統機関が金を貸して行くようにする。そのために資金わくもまためんどうを見てやるというような方法をとりたいと考えておるような次第であります。   前年に引き続き被害甚大な地域開拓者に対する右の融資については、三年以上の据置期間を設ける等特別措置を講ずることとし、これがため必要な資金について財政措置をすること。  昨年も冷害があつたり、あるいは台風を受けたりしたお気の毒な開拓者があります。こういうような方につきましては、ことしさつそくこの資金を返すというようなことは再び続いてのことでありますから、ますます困難でございます。そこで、従来の営農資金にはすえ置きということがなかつたのでございますが、今度は二度も引続いて災害を受けておる特別な開拓者の人々に対しましては、三年以上のすえ置き期間を設ける等の特別措置を講じまして、これらの方々安心をして、今後勇気を奮つて営農にいそしんでいただきたい、こう考えておるのでございます。   二十八年災害に関する特別措置法により融通を受けた農林漁業者で再び災害を受けたものについては、本年度償還分について延期しうるごとく措置すること。  昨年の冷害あるいは台風、風水害のために特別措置法によつて融資を受けた農林漁業者で、再びまた今年も受けたという方に対しましては、今年の償還分をもう一年延期をいたす、こういうふうにいたして行きたいという考え方でございます。従つて、この営農資金は、従来二年で返すというものが三年に結局なるわけでありますが、一年延びた本年分の利子だけは、この際関係者に支払つてもらいたい。これは、この間農林大臣北海道へ参りましたときにも、開拓民諸君が非常な責任感を持ちまして、われわれは利子だけ払うから、また延期をしてもらいたい、こういう熱烈なる誠意こもれるお話を承つて、涙をこぼして参つたのでありますが、こうした開拓民のお気持もありますし、また一般農家としても、借りたいものは利子だけ払つてやる、但し元金だけは延ばしてもらいたい。こういうようなお気持をお察しして、利子だけはこの際払つていただいて、そのかわり一年分延納するというようにいたして行きたい、こういう次第でございます。  四、被害農家の食糧不足するものに対しては、政府手持主要食糧払下げ代金延納等特別措置を講ずること。  これは昨年の冷害のときにいたしたようなのでございまして、主要食糧を払い下げて、代金は無利子で来年の出来秋のときにいただくということに今年もやつて行きたいと存じておる次第ございます。ただ去年も悪い、また今年も悪いというように二重に重なつておるお気の毒な農家方々に対しましてはどうしたらよいかという問題については、特別措置を講ずるようにいたして行きたい。よく実績を調べてみますとすぐに米を借りておるわけではないようでありまして、四月なり五月なりあるいは端境期なりに借りておるのでございますから、従つて出来秋の米をすぐそのまま返さなくても、あるいは代金を払わなくても、まだそのときまで一年間借りておるわけでありますから、月別にずつと遅らして行くことができるわけでありますが、こういう問題については、二重に重なつた被害農家のために最善を尽して行く、こういうような方向農林省としては考えておるような次第でございます。  五、被害農家水陸稲雑穀種子不足のため再生産に支障を来すものについては、特別の措置を講ずること。  これは昨年もいたしたのでございますが、水陸稲種子については十割の補助をいたして行きたい、雑穀については、開拓地については三分の二、それから北海道及び内地については二分の一の補助をいたして行くというようにして、種子確保のために農家皆様の御心配をなくしたい、こういう努力をしたいと考えておる次第であります。  六、農業災害の甚大なる地域については、実情に応じて救農土木事業開墾作業等を実施すること。  これは昨年もやりまして非常に好成績をあげたのでございますが、今年もぜひともこれにできるだけの力を入れまして農家金銭収入の道を講じて、同時に将来の営農の上に二重の利益をはかりたい、こういうことでこれは特に力を入れて行きたい、こう考えておりまして、現在予定しております金額は二十八億円でございます。北海道に対しましては十四億九千万円、残りを内地関係のところにやりたい、こう存じておるのでございます。少しく内訳を申しますれば、土地改良に、内地に対しては七億五千万円、北海道に対しましては四億円、それから開拓事業に対しましては北海道に四億三千万円、内地に一億六千万円、それから林道内地に一千万円、北海道に四千万円というような方向救農土木事業をいたしまして、土地改良開拓あるいは林道というようなもので金銭収入を得て、同時に将来のものをやつて行く、なおこの委員会でもずいぶん問題になりました過年度災害の繰上げ施工につきましては、ただいまの二十八億円をできるだけ繰上げる方向にまわしまして、そうしてすみやかに工事の完成を期するというように差向けて行きたい、こういうような考え方を持つておる次第であります。  七、災害に伴う異常発生病害虫防除については、特別の措置を講ずること。  これは大体予備費の中から九億円くらいの予算要求する考え方で今大蔵省折衝を始めておるような次第でございます。  八、冷害の甚しい地域については、耕地防風林設置すること。  これはさしあたつての問題ではなくして、恒久施設でございますから、農林省の来年度予算の中にこの予算を計上しまして、耕地防風林設置を進めて行くようにいたしたい、こう考えておるのでございます。  それから次の、  九、冷害の甚しい地域については、水稲健苗育成、及び耕土培養事業を実施するとともに水温上昇施設設置を図ること。  でございますが、これもまたさしあたつてというよりも、三十年度農林省予算にこのことを強く主張をいたして実現をはかりたい、こういう次第でございます。水稲健苗育成保温折衷苗しろあるいは温床苗しろ等奨励措置でございますが、これについては北海道に一億円、それから青森岩手等に一億一千万円くらい、合せて二億一千万円くらいのものを要求をいたす考え方でおるのでございます。ただここに委員各位の御留意をいただきたいことは、全国水稲健苗育成のために保温折衷苗しろ並びに温床苗しろの要求をいたしておりますので、今回の災害地北海道並び青森岩手等の問題を上手に大蔵省折衝いたしまして実現を期したいと存じておりますので、これだけやつたらほかの県はいらぬじやないかというような問題が起つては困りますから、こういう点につきましては特に委員各位の御留意を願いまして、大蔵省方面にもよくお話を願いたいと存じます。農林省としては、あくまでも水稲健苗ということが冷害のみならず多収穫の上にも非常に貢献しておると存じますので、あした来年度予算説明を申し上げまするけれども、この際の問題とあわせまして皆様の御記憶と御協力とをいただきたいと存ずる次第でございます。耕土培養事業を実施するとともに、水温上昇施設設置をはかること、耕土培養は大体冷害地に四百万円くらいの耕土培養をやりたいというふうに考えておるのでございます。それから水温上昇施設は、これは恒久のうちの特に恒久でございますが、これは温水ため池の問題でございまして、恒久の三十年度予算の中にこの点を、特に冷害にかんがみて温水ため池に力を入れるべきであるという方向のもとに、予算獲得に邁進をいたしたいと考えております。ちよつと私感違いをいたしましたが、北海道並び青森水稲健苗育成及び冷害地耕土培養はさしあたつてのものでありまして、水温上昇施設を三十年度予算にいたして、前の二つは今度の臨時国会等予算を獲得いたしたいと考えておる次第でありまして、この点訂正をいたしておきます。  十、国有林風倒木処理等のため特別の措置を講ずるとともに、国有林野事業において極力被害農家の労力を吸収すること。  今回の台風におきまして国有林風倒木がたいへんできました。北海道において五千万石も風で倒れました。それから内地国有林において五百万石というような数字が数えられておるのでありまして、これらの処置に対しては、林野庁の特別会計だけではこれらの取片づけの予算不足をいたす点もございますので、こういう点については特別の措置を講じまして、これらの取片づけ、処理という問題をやつて行きたい、こう考えておるのでございます。なおこれらの取片づけにつきましては、できるだけ被害地農家方々の御協力を得まして、金銭収入の道をはかつて行きたい、こう考えておる次第でございます。  十一、林業者に対する伐採調整資金増額措置を講ずること。  御承知のように、森林法において幼齢林を切りたいというものを押えるために、年々調整資金を与えておりますが、本年は引続く冷害あるいは災害等で、森林所有者が早く、樹齢に達しないものを切りたいというような方も相当あるだろうと想定をいたしまして、この増額をいたして行きたい、昨年はちようど調整資金が二十五億ということでありました。本年は二十一億円の予算になつておりますが、これに三億二千万円ぐらいを増額いたしたいという考え方であります。二十一億と三億二千万円ですから、二十四億二千万円くらいの総額に持つて行きたい、こういう考え方でおる次第であります。  十二、農業災害補償法及び漁船損害補償法による保険金については速かに本払又は概算払を行うこと。  従来の例によりますと、ほつておくというと、こういう保険金の支払いが来年にもなつてしまうというようなおそれもありますので、地方庁、町村を督励してもらいまして、こういうような災害金額至急申達をしてもらいまして、できるだけ早く本払いをする、ことになかなかそれの数字が出て来ないというような被害額の非常にはげしいものに対しましては、できるだけ概算払いによつて、さしあたつて農家並びに漁業家金融の道をつけたい、こう考えておる次第であります。   漁船災害保険義務加入制度対象を現行二〇トンを一〇〇トンまで引上げるよう法的措置を講ずること。  これは御承知のように、十九国会でもつて補助金の整理に関する法律によりまして、実は一〇〇トンまで義務加入になつておりましたのを二〇トンに大蔵省の原案で引下げられてしまつたのでありますが、今度の災害にあつてみますと、やはり一〇〇トンまでを至急にやる必要がある、さもなければ漁家の回復がなかなかできない、だから保険義務加入は一〇〇トンまですることの必要があることを痛切に感じておるのでございまして、この措置至急講じたいと考えておる次第であります。  十三、冷害による災害の甚大な地域については、薪炭林特別払下げを行うとともに、炭がま設置国庫補助を行うこと。  これは昨年度冷害地において実施してたいへん成績を上げて、被害農民の方から喜ばれたのでありますが、今年も国有林薪炭林払下げを施業案以外に行いまして薪炭林を提供いたしたい、こう考えておるのでございます。  それから炭がまにつきましても、昨年の補助をいたしましたものは二年間くらいは使えそうでございますが、さらに本年度において八百七十基を増置をいたす。これに要する予算は千二百万円になりますが、この八百七十基は北海道だけといたしたいと存じております。そういうふうになりますから、昨年の分とこの八百七十基とが補助せられるということになれば、被害者方々に対しては冬の仕事ができて、相当なる金銭収入になる、こう存じておる次第でございます。  十四、畜産の飼料確保のため、特別措置を講ずること。  まず飼料の種でありますが、種子についてはやはり助成金を出す必要がある、こう考えておるのでございます。ほかの農作物雑穀等と同様に一部補助したい、青刈大豆とか、飼料用のとうもろこしの種、レツド・クローバーこういうような飼料種子に対して三分の一を北海道に対しては補助して行きたい、こういう考え方で、大蔵省並びに災害対策本部に対して強く要求をいたしておるのでございます。  なおこの際申し上げておきたいのは、すでに実施しておるところでございますが、北海道は、今年はささがちようど六十年で、花が咲いて枯れておることは、農林大臣も見て来られたのでありますが、そのため飼料作物が非常に不作でございます。そういう関係から、国有林の下草に対しましては、従来一束八円くらいで払下げをしておつたのでありますが、今年は無料でこれを刈らして、そして飼料作物に間に合わしてもらおう、こういうことで、これはもう十日か十五日くらい前に、まだ草の枯れない、秋の深くならぬ前に、処置をいたしまして、すでに実行をいたしておる点でございます。  十五、供出割当の適正と公平、災害対策適正迅速を期するため災害時における農作物被害調査施設整備拡充こと。  この委員会においても先般来統計調査事務所数字等についていろいろの御議論も承つたのでありますが、どうしても今の統計調査事務所人員等では、十分に迅速果敢に被害の報告をしてもらうというだけの人員もございません。そういう意味で今後のことに対処いたしまして、こういう点を考えておるのでございます。  十六、農業気象観測及び試験研究の  充実化を図ること。  これはどうしても災害を防除して行くためには科学的な動員をすることが必要でございます。農業気象観測と申しましても、農林省自身気象観測をいたすという意味じやございませんで、要するに、気象台その他の末端機関の過去における気象データーがございます。こういうデーターを、気象台と連絡いたしまして十分出していただいて、冷害観測の資料として行くというような考え方を持つておるのでございます。それから冷害試験研究所充実をはからなければならぬ、そして冷害等の対処の道を講じて行くということは当然のことでございまして、こういう点についても予算要求いたして充実をはかつて将来に備えたい、こう考えておるような次第でございます。  十七、麦類緊急増産を図ること。  これは昨年実行をいたしまして、部落単位に麦の共進会を開いて非常に成績のよかつたことは皆様の御承知通りでございますが、農林省としては来年度も本予算にこれを引継いでやつて行くようにいたして、その賞品としては噴霧器等の、皆さんが共同に使えるようなものを出して行く、そして麦類増産奨励をはかつて行きたい。  これらの十七項目にわたりますものを総合いたしまして対策本部に出してあるのでございまして、これの実現のために特別なる御支援等をいただきたい、こう存じておるのでございます。  なお、本日は農林大臣がお伺いをいたしまして北海道の話をしたり、これらの説明を申し上げたりすべきでございますが、本日は米の供出割当全国知事会議が一時半から開かれておりまして、ちようどこの時間に折あしく参れないので、まことに恐縮でございましたが、以上はなはだ雑駁でございますが、一応の御説明を申し上げまして、こまかい点についてはまた皆様の御質問に応じて、事務当局より詳細に御答弁いたしたいこう考えておる次第でございます。
  5. 井出一太郎

    井出委員長 政府当局は補足説明がありますか——それでは質問があればこれを許します。
  6. 川俣清音

    ○川俣委員 それではちよつとお尋ねいたします。去年収用植物等の対策があつた、それから植物防疫に関して相当広汎な対策が講ぜられておりますし、食生活改善についても対策が講ぜられておりますが、ことしこれを抜かれた理由が明確じやないのです。もし官房長から説明ができますならば、これは対策を講じないという意味なのか予算措置を伴うために今提出をしないという意味なのか、その点を伺いたい。
  7. 渡部伍良

    ○渡部説明員 ただいま検討中でありまして、実は昨年度相当こまごました助成金を出しました。ところが会計検査の結果なかなかうまく実施されていないので、大分批難が出ておるのであります。従いまして実行ができるようにするのには、どういうふうな形でやつたのが一番いいのか。ただ金額をつかんで出すというふうな結果になると、たとえば去年一戸当り二円とかあるいは二十円というふうな金が出ている。それでもある意味においては、大きい意味からいえばいいのかもしれませんけれども、ただ行政としては、相当検討しなければいけないと思いますので、ただいまそういう点については、検討を加えておるのであります。もう少し検討を加えた上で、はつきりした施策を打出したい、こういうように考えております。
  8. 川俣清音

    ○川俣委員 特に北海道青森等の特産果樹につきましては、甚大な被害を受けておりますので、樹勢回復等の処置が必要になつて来ておると思います。また北海道青森、岩手の畑作地帯についての冷害並びに十五号台風対策としての何らかの考慮が必要であろうと思われます。今十七項目も並べられたとしまするならば、これと同列に並べなければならぬ問題がまだ残されておると思いますので、研究を願つておきたいし、当委員会におきましても具体的な問題が出ることを、あらかじめ御承知おきを願いたいと思います。
  9. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君。
  10. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの羽田次官から非常にすらすらと御説明がありましたが、まずお伺いしておきたい点は、これは農林省当局の希望的な要綱であるかということであります。この点をお伺いしたい。
  11. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 ただいま御指摘のように、農林省としてはぜひこういうふうにいたして行きたい、それで対策本部に出したのでございます。もちろん希望的といえば希望的かもしれませんが、ぜひ実現したい、皆さんの御協力をいただきたいと思つております。
  12. 芳賀貢

    ○芳賀委員 希望的かどうかということをお伺いしたのは、少くとも農林省当局においては、省議を経て、これはどうしても実現しなければならない、連絡本部に送り込む、そういうような段階まで行つて、それを経られておるかどうかということを申しておるわけです。
  13. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 ちようど大臣が帰られまして早々でございますが、事務当局で大体検討して、大臣にも了承を得てありますから、省議を経ているといつても間違いないのであります。手続的には大臣がちようど北海道に旅行されておつたという点がございますが、大臣には報告して了承は得ております。
  14. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、農林大臣が主として北海道災害地域を視察して帰つて来た、現地における災害実情をおそらく十分に認識して来られただろうと思いますが、留守中につくつたものですから、それらの意見はこれにまだ入つておらないのですね。その点はいかがですか。
  15. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 大臣に会いまして、その報告を聞いて、大臣の所見も聞いてそれから文章をこしらえてやつたわけでありますから、入つております。なお当委員会におきまして、先般佐藤小委員長皆様の貴重なる御視察も織り込みまして、こういうような処置を講じたのであります。
  16. 芳賀貢

    ○芳賀委員 織り込んであるとすると、問題はもう少し具体的になりますが、この要綱の十七の中において具体的な数字は非常に欠除しているわけであります。そういうことになると、実質的な中味はどの程度のものであるかということが非常にあいまいであります。少くとも実質的には省議を経られたという場合においては、十五号を中心とした台風災害対策あるいは冷害対策等に対して、農林省当局としては一応対策費の総額をおよそどの程度に線を置いて、あくまでもこれを実現するということが一番大事な内容でないかと思いますが、ただいま農林次官の御説明によりますると、ただ単に臨時救農土木に関係のあるような問題の二十八億、その他は北海道青森、岩手県下における水稲健苗育成の費用あるいは若干の耕土培養費等が金額として計上され、さらに炭がま等の設置に対して幾ばくかの数字が計上されておるという程度で、それ以外の点に対しましては、まつたく予算関係のある内容が欠除されておるわけであります。そういう点に対しましても、もう少し詳しく御説明を承りたいのであります。
  17. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 実は私の説明が飛び飛びと数字をあげましたために、誤解を受けましてまことに恐縮であります、実は大体の数字については各項目ごとにあげておるのであります。なお一線の方からの報告がまだ漏れておる点もございますし、数字の最後的決定が、今ここに御報告できないことをまことに遺憾といたしますが、今週一ぱいには大体これについての見合うところの数字は全部決定をいたしまして、そうして災害対策本部提出をいたして折衝いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  18. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお伺いいたしたい点は、数字の出ておらぬところはいいわけでありますが、具体的に数字が表面に現われるということになると、当然予算面に関係が出て来るわけであります。これを行う場合においては、限られた範囲内における行政的な措置はとられると思いますが、その要綱の中においても結局立法的な措置を講じなければならぬ点が非常に多いのであります。それで将来政府の責任においてこれを立法化するという一応の見通しのもとに、つなぎ資金あるいはつなぎ融資等の緊急的な措置を講ぜられることは当然でありますが、それはあくまでも経過的な緊急措置として講ずべきものであつて、一定の段階に到達した場合においては、これを当然正しい形にしなければならぬと思うわけであります。その場合に、大臣の現地視察等もあつたわけがありますが、速急に臨時国会を召集する必要があるとかないとかいう判断は、農林大臣等の視察の中から生まれて来たかどうかという点であります。これは今後臨時国会を召集する場合の時期の問題と非常に関係が深いので、それらの点もあるいは農林当局を主体とし、あるいは今後対策本部を通じて、臨時国会召集の時期いかんということは非常に重大な点であると思います。その点に対する解釈はどの程度にいたしてよろしいか、お伺いします。
  19. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 これは農林省だけの問題でありまするが、なお建設省やあるいは文部省の学校の災害なんかもございまして、総合的に対策本部数字が集まり、対策が練られまして、そうしてやはり臨時国会は必要だと存じますので、適当なときに数字もそろえ、対策も十分でき、応急措置は応急としてやり、法律措置を要するものは臨時国会ということになりましようから、対策本部において農林省以外の各省のものが出そろつて、それを十分検討いたして、必要なる法案も用意いたして、臨時国会という順序で行くものと存じております。
  20. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に要綱の中で若干の点に対してただしておきたいと思います。この農林、水産施設災害に対する融資等の問題でありますが、この場合施設災害は、結局台風に付随しておるわけであります。この施設災害の中に、農業者の住家以外の非住家の損傷は非常に甚大であります。これは開拓者とまた違いまして、一般既存農家に対しましては、かかる住家以外の建物の災害等に対しても、これを補償する等の措者は、今までの前例としてあまり講じられてはおらないわけでありますが、十五号台風あるいは十二号台風等によるところの農業者の非住家建物の災害が非常に大きいということが、一つの今度の特殊性であります。この場合の復旧費等に対しましては、農林当局としてはどのような措置を講ぜられようとしておるか、その点はいかがでありますか。
  21. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 ここにも書いてございましたように、融資の建前で参りたいと存じております。
  22. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは金額に計算した場合は相当多額なものになると思います。一例を北海道にとりましても、この非住家の損失は約二万八千戸くらいに及んでおるわけであります。そうすると金額においても相当大きな数字になると思いますが、それらを今次官の言われたように、まつたく融資だけに依存した場合において、その建物の災害等が速急に復旧できるかどうかという見通しでありますが、この点は間違いないでしようか。
  23. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 国家財政もございますので、融資方向でやつて行きたいと考えております。
  24. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なおこれに関連して、この国有林の風倒折損木が、今の報告によつても五千万石以上あるわけであります。これらは前例はありますが、速急に処理しなければならぬわけでありますが、現地における災害者の建物等の施設復旧の場合において、その近隣の国有林の風倒折損木を政府が特別の措置を講じて払下げをする。場合によつては、これは前国会等におきましても、国有財産の一部を無償で供与することもできるというふうに法律の改正が行われておるわけでありまして、かかる被害の甚大な地帯、たとえば災害救助法を発動したような地帯に対しては、地方公共団体あるいは農業協同組合等を通じてこの被害木の払下げ、あるいは無償の供与を行うという措置は、当然講ぜられてもいいんじやないかというふうに考えておるわけであります。林野庁長官お見えになつておりませんようですが、こういう点に対しましては、ことしの五月の暴風雨のときの前例もあるわけでありますが、当然そのような措置は講ぜられるべきであると解釈してよろしいかどうか。
  25. 渡部伍良

    ○渡部説明員 風倒木の問題は、今までのお調べと五千万石以上という数字が出ておりますが、お話にありますように、先般の法律の改正で無償または廉価で払い下げることができますので、公共施設に対してはやりますが、一般の個人の倒壊家屋等の復旧のためには、今の法律では無償でやることができないのであります。そこで今までの研究の段階では、無金利、無担保で相当長期間の償還で払い下げる。災害救助法の発動されたような地帯を限つて、すなわち被害甚大な所を限つて、そういうふうな特別な措置を講ずるというところまで研究しておりますが、これは長官がこの間大臣と一緒に参りまして、相当思い切つた対策を講じたいというのでなお研究中でありますが、現在の段階ではそこのところまで結論が出ておりません。
  26. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 関連して、私はきようは質問はしないということになつておりますので、質問ではなくてお伺いをするのでありますが、芳賀君の質問に関連をいたしまして、先ほどの政務次官のお話では、臨時国会は大分遅れるやにうかがわれるのでありますが、お話の様子から私が想像いたしますと、どうも十一月の末になるのではないかと思われるのです。そうなりますと、この対策要綱の第十七の麦類緊急増産をはかることというのは、来年度麦類増産をはかる御計画なんですか、この秋まきの麦の増産をはかるのだとすれば、これはもう今まいている地方もあるのですが、そういう具体的な問題について、何か具体的な方策を立てておいででなくてはならないと思うのですが、この点はどういうことになつておりますか。
  27. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 これは御指摘のように、実は来年度予算要求をいたしておる項目でございまして、今さしあたつての問題として、秋麦をまいていますけれども、それの結実したときの奨励の方策を立てたい、こういう意味でございます。
  28. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 そうするとこれは災害対策でなくとも、食糧増産施策として、当然それは政府としては考えなければならないことで、こういうものをたくさん並べて一応国民の目を、——災害に対してこのようなことをしているというごまかしにすぎないことになつてしまうのです。ですから緊急対策とそれから恒久対策とにわけてこれを表示される必要があろうと思うのですが、それは別として、とにかく緊急対策として、この災害地に対して麦の増産施策を打ち出す、これは当然なんです。それを全然これは来年度の分であるということならば、これは削除なすつた方がいいと思います。もし具体的な計画が立つているならば、その内容を伺いたい。
  29. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今の政務次官の説明ちよつと補足して申し上げます。これは昨年の冷害対策でも取上げてやつたわけです。二十九年度予算には計上されていないので三十年度予算に計上しよう、こういうことを今政務次官が仰せられたのであります。その同じ項目をもう少しく広げて、この災害の緊急対策として打出したいこういう考えであります。
  30. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 来年の麦秋のものを今から大体の方向を示して、奨励をさせて、その場合にはこういうことがあるのだということを知らせて激励をしたい、こういうことで、今まくときに、そのことを出して、食糧増産をやつてもらいたい、こういう考えです。
  31. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 一応方向を示すのならば、作付の奨励でもいたしますか、麦価の問題について、大体の見通しを指示されますが、そういう点はどうなんです。それでなければ来年の奨励にならない、しかも緊急の問題です。
  32. 渡部伍良

    ○渡部説明員 この緊急増産の内容は部落別の生産力向上のための供進会などをやることによつて、麦の増産をはかりたい。去年相当効果が出ておりますので、今年もこれに必要なものをさらに範囲を広げてやりたいこういう考え方であります。
  33. 井出一太郎

  34. 伊東岩男

    伊東委員 この対策要綱通りに実施してもらうことを特に希望いたしますが、しかしこの要綱によると、大半は特別措置をするという意味であります。特別措置は多くは立法化が必要だと思うのでありますが、農林省はこれらのことについて立法化するという信念があるのかどうか。立法化するということになれば、先ほどから質問のあるように、至急に臨時国会を開く必要があるが、その点いかがでありますか。
  35. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 必要なものについては立法化をいたす、こういう考え方でおります。
  36. 伊東岩男

    伊東委員 農林災害の査定は大体済んだのでありますか。もし済まぬとするならば、いつまでに済みますか。
  37. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 今月一ぱいに済ませたいと思つております。
  38. 伊東岩男

    伊東委員 大体災害の査定が終りまするならば、つなぎ資金を供給するということも、営農資金を出すということも、大よそ見当がつくのでありまするが、特に急ぐのはつなぎ資金であります。このつなぎ資金は、大体どの程度に至急に出し得るのでありまするか。なお営農資金を出す内容についてただいまでも説明ができれば説明を願います。
  39. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 先ほども申しましたように、つなぎ資金で各関係県から正確に出て参つておりまする被害状態は、五号台風まではもう来ております。従いまして五号台風については、先ほども申し上げましたように、一億円くらいが大蔵省との了解がほとんど固まりかかつて来ておるという状態でございまして、ほかのものについては、今月の二十日までに県から出してもらつて、そうしてこれを集計してつなぎ資金対策を講じて行く、こういう考え方で今進めて、各県を督励しておるところであります。
  40. 伊東岩男

    伊東委員 先般対策本部長は、私への答えに、建設省は二十五億をつなぎとして出した。しかし今日、あとで聞いてみるというと、それが全部建設省関係のつなぎ資金であるようでありますが、建設省方面はすでに出しておるのに、農林省だけどうしてそんなに遅れるのでありますか。もう少してきぱきやつていただけませんですか、どうですか。
  41. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 御承知のように建設省の被害というものは固形物といいますか、堤防とか橋とかという一定のところできちつとつかむことができますけれども、農林省の方は全面的にずつと広くございますから、その計算や何か県がなかなか出して来ないので、今督励をしておる、こういう状態でございます。
  42. 伊東岩男

    伊東委員 それは今月中に大体きまると見てよろしゆうございますか。
  43. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 そうでございます。
  44. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま農業者の住宅は除くとしても、納屋あるいは畜舎等の倒壊、大損傷、これらの点に対して、二、の後段の方には、開拓者住宅等あるいは入植施設復旧に対しては、今回の場合においても二分の一の補助政府は出す腹構えをしておるということでありますが、既存農家の場合においても、こういうような異例の災害があつたような場合においては、あるいは住宅の場合では農業関係施設と言うことはできませんけれども、納屋畜舎のような場合においては、これは当然農業用の施設であります。ですからこういう場合においては、当然農業者の被災施設に対しては補助措置を講ずるということが当然になつて来ると思いますが、どういうわけで要綱の中からこれが落ちておるのですか、その点に対しては検討の余地がなかつたのですか。
  45. 渡部伍良

    ○渡部説明員 御承知のように、開拓者住宅はそもそも補助金を与えて入植させておるのでありまして、入植後まだ営農が確立しておらないのでありますから、これに対してはどうしても補助金をやらなければ処置がない。しかるに一般の農家については、とにもかくにも長年営農を続けて来ておつてここで災害を受けたのでありますから、この分は納屋、畜舎について低利資金を融通しよう、こういう考え方をしておるのであります。
  46. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この場合官房長に対して認識を深めてもらいたいと思いますが、大臣もおそらく災害地域をまわつて来て、建物等の倒壊の状態を見て来たと思いますが、倒壊しておる場合は、これはすぐ自力で復旧できないような家屋とか建物が倒壊しておるのです。完全な、どのような台風が来ても倒れないような建築物は、やはり内容が充実しておるところの農家等の建物である。非常に農業は零細化して、力が足らぬ。常時建造物を復旧補修のできないような力のない人たちの建物が不幸にして倒壊しておるわけです。ですからかかる被害農家の建物というものは、やはりその経済力の面においては、開拓者とやや同列にあるような人たちが非常に多いわけであります。ですからこういう点に対しましては、やはり現状に即した配慮というものが必要であるというふうに考えておりますので、この点を指摘して申し上げたわけでありますが、これはどうしても一考を要するのではないかと思いますが、いかがですか。
  47. 渡部伍良

    ○渡部説明員 その辺の区別が非常にむずかしい問題だと思います。既存農家でも、非常に零細で生活に困つておる人があることはもう事実だと思います。従つてそういう人は新規入植者とあまりかわらぬじやないかという説ももつともなんでありますが、どこでその点を打切るかという点は、不親切というそしりを受けると思いますけれども、一応新規入植者と既存農家というので区別せざるを得ぬ、こういうのが現在までのわれわれの考え方であります。なおよく研究したいと思いますが、今まだお話を聞いたりあるいはたくさんの写真を見たりしておりますので、むしろ北海道については、もつと根本的に、北海道に適するようなブロツク住宅とか何とか、そういう方面から入つて行くべきであつて災害のときに一挙にそれを片づけるということはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えておりますが、なお研究したいと思つております。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど委員長のお言葉があつたので、二、三点についてきようはとどめておきますが、次に出て来る問題は、この営農資金関係であります。これは冷害関係等に対しては、特に昨年冷害を受けた所がまた今年被害地になつて、おるわけであつて、当然これは前年度災害資金の返済の問題と今後の経営資金の貸付の場合と二重になつて来ると思うのでありますが、この資金措置を講ずる場合においても、その基本になるのは、台風によるところの災害は、先日の農林委員会においてその被害額というものは大よそ作報の方から説明があつたわけでありますが、ただこの冷害の場合においては、その冷害による農作被害というものはどの程度であるかという認定がまだできて来ておらぬわけであります。これはもう速急に統計調査部等を鞭撻して、一日も早くこの冷害等によるところの被害額を報告させないと、農林当局においてもその具体的な計画が立たないのではないかと私は考えておるわけであります。昨今政府は、各府県に対して供米の割当をやつておるようでありますが、この冷害関係の減収額というものは全然出ておらぬのです。こういうところに割当の問題が停頓しておる一つの原因があるとも考えますが、政府は大よそいつまでにこの冷害関係被害額、の把握を行うかというその点に対してお伺いします。
  49. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 政府としては、先ほど言つたように今月の二十日のところでもつて集めておりますから、近くすつかりできると思います。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 災害融資関係で明確にしておきたい点は、昨年の法律によりますと損失補償措置が講ぜられるようになつておる。ですから今年の冷害あるいは台風災害等によつてまつたくその収入の道がとだえたという場合においては、これは当然その返済の能力を失つておるわけです。ですからかかる被害農家に対しましてはなまぬるい。また延納するというようなことでなくて、この場合、そういう減収のはなはだしい被害農家等に対しては、むしろ一部損失補償のこの項目を適用する必要が生じて来るというふうに私は考えておりますが、この点に対して当局はいかなる考えを持つておりますか。
  51. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 やはり大蔵省との交渉におきましても、今後永久にずつと農村経営をやつて行くにつきましても、借りたものは返すという観念は責任ある立場において持つて行く態勢、また実際農家方々もそのつもりでおられますから、その気持を害さないようにして行くことが独立国民としての方向ではないか、実はこう考えております。そういう意味において、今さつそく損失補償で埋め合せてしまうというようなことになると、また大蔵省がなかなかこつちの言うことを聞いてくれませんし、やはり農家の借りたものは返すという精神を生かして、延納してそうしてやがては返していただく、こういう考え方で進んでおります。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林次官、この点は非常に重大なのです。あなたは去年は農林次官をやつておりませんが、昨年のああいう特別立法ができた根本的な精神、この善意なる努力をして皆無であるという場合において、そこから今年度の返済が行われないのは当然であります。これは努力が足らなかつたということではないわけですね。だから予測されない災害等によつて返還の能力を喪失しておるというような場合においては、当然この損失補償というものはここから生きて来ると思うのです。ただそれを貸したものを返させるということ、何年たつてもこれを返せというような場合においては、損失補償の道を講ずるということは、あなたの思想から言うと必要がないと思いますが、いかがですか。どういう場合にしからば損失補償はこの法律にある項目を生かすかという問題です。
  53. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 ただいまの問題でございますが、去年のものをことしになつて第一年として返すというところに、ことしの収穫がないというまことにお気の毒な状態でありますが、これは延ばすことによつてやがて自分の責任を果せるという方が大部分の気持でございますので、その場合でも、どうしても法律によつて延期をしたにもかかわらず返すことができないという方においては、損失補償政府がめんどうを見る、こういうふうに考えておる次第であります。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、原則的には去年のものは一年延期する、しかる後に一年後に返済の能力がどうしても出ないということが判断された場合においては、これは損失補償である程度整理して行く、そういうお考えですか。
  55. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 全部の償還期間が来たときに返し得ない人に対しては国家が補償する、こういう建前であります。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体その点はわかりました。そういうことになると被害農家に対しては、結局政府融資だけで逃げておるわけです。金だけ貸してやる、それも政府資金を貸すのじやないのですね。農民自身の系統機関の金を使わして、ただ若干の利子の補給とそれから損失補償をやるということだけで責任を持つておらぬです。そういう場合において、ことしもまた中金あるいは信連を中心としたところに資金源を求めて、そこから融資させる、しかもその返済年次というものは短くとも三年あるいは五年ということになつた場合には、昨年は四百八十億のわくで四百十億くらいしか使わなかつたかもしれませんが、ことしもまた二百億くらいは必要であるということになると、系統機関の自己資金がほとんど枯渇してしまうようなことになると思います。ことしもこの要綱を見ると去年と同じように中金あるいは信連等の資金だけに依存しているというような形でありますが、こういうところから非常に今後農村における金融機関の危険な様相が出て来ると思いますが、この点に対してはどういうようなお考えを持つているか、その点を聞かしてもらいたいと思います。
  57. 渡部伍良

    ○渡部説明員 資金源お話通り系統機関資金が主になつております。しかしここにも書いてありますようにお話のようにそれでは足らなくなるおそれがありますので、二の方では公庫の増資すなわち財政資金増額、三の方では資金源として資金運用部の引受けのわくを拡大する、そういうふうな考慮をめぐらしておるのであります。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に種子対策の問題に関連してお伺いいたします。水稲災害地域に対する種もみの確保あるいは雑穀地帯等における大豆、小豆あるいはその他雑穀等種子確保というものは非常に重大な問題であるし、どうしてもこの種子確保せられなければ、来年度の再生産というものはできないわけであります。この要綱の中にも出ておりますが、今年度種子に対する考え方というものは、政府が一定所要量を買い上げてそれを無償のような形で被害農家に与えるというような形をとるのか、あるいは実質的には無償で与えると同じような形の助成政策をとるか、そういう点が本質的な問題として非常に重要であると思いますが、これはまた緊急を要する問題でありますので、その点に対すを対策はどうでありますか。
  59. 渡部伍良

    ○渡部説明員 種子の点につきましては、米の種子は食糧庁で買い上げましてそれを配給するという方式をとることにきめております。雑穀種子につきましては、これは非常に困つた問題でありまして、稲の場合は供出の中へ含めていろいろな奨励金をつけて買うことができるのでありますが、雑穀種子不足状況は水陸稲に比べて非常にひどい。従つて食糧庁が買いに出ても食糧庁に売りに来ないだろう、こういうことが予想されますので、今頭を悩ましておるので、まだ結論は出ておりません。もう少し研究させていただきたいと思います。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の官房長お話によると、種もみの場合は食糧庁が食管によつて買上げをして、そして無償でこれをやつて、その次がはつきりしない。それともう一つは雑穀種子確保ですね。雑穀地帯は御承知通り、畑作農家麦類以外はほとんど共済の対象になつておらぬ。ですから大きな災害を受けても、この救済の道というものはまつたくないわけです。ですからそういうことをともに考えて対策を講ずる場合においては、実質的にはやはり雑穀地帯における種子の問題が非常に大事になつて来ると思うわけでありますが、昨年の場合には、これが非常に軽視されて取扱われておつたわけであります。ことしはそういうことのないようにしていただきたいというふうに考えておるわけですが、考慮中であるということになればこれは今結論は出ないかもしれませんが、この問題に対しては特に力を注いでやつていただく必要があると考えるわけであります。  まだいろいろただしたい点はありますが、きようの申合せもありますので本日はこの程度にして明日継続いたします。
  61. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今の水陸稲種子は、無償では差上げることはできません。今の集め方、それから確実な確保の面について食糧管理特別会計を使う、こういうことに御承知を願いたいと思います。雑穀種子については、むしろ手がないというのが今までの研究の結果でありまして、昨年のように補助金をやつて補助金がうまく種子にまわらなかつたというふうなことがあつたのでは困りますので、どうすべきかということをもう少し研究させていただきたいと思います。
  62. 井出一太郎

    井出委員長 まだ順番であと三人ありますので、大体委員長は五時くらいをきようは目途にしておりますし、簡潔に願います。中澤茂一君。
  63. 中澤茂一

    ○中澤委員 この対策は、なくなられた金子委員などが熱心にやられて、去年当委員会で決定して、農民に非常に感謝されたものを踏襲したもので、ここに並んだものは非常にけつこうです。けつこうですが問題は資金源の裏づけになるんだ。資金源の大わけは、二十日にそれをとつてまとめても、二十二、三日になるだろうから、今週一ぱいかかるだろうと思う。そこで、緊急の問題として十一月十五日に返す飯米の処置がある。去年の飯米処置を、無償貸付を受けたものを、十一月十五日に返さなければいけない。とすると立法措置が必要になつて来る。行政措置ではこれは困難じやないかと思う。この問題が立法措置として一点出て来るわけです。  それから営農資金延期の問題も立法の問題になるわけであります。そこで今度の対策に対する問題の項に、施設災害については大体農林漁業金融公庫でまかなわせる。経営資金については中金の金を使う。去年は中金が施設まで引受けたが、ことしはわけたわけです。そこはいいんです。しかし農林漁業金融公庫に金がありますか。ない。そうすると増資というしまいに書いてある文句が問題になつて来る。この増資というものは立法措置でないとできない。こうなると、どれもこれも資金源の問題についてみな立法措置が必要になつて来る。差迫つた飯米の処置については十一月十五日に——私は期日を正確に覚えていないが、たしか十一月十五日に返納しなければならぬ。それから農林中金資金運用のわくの増大、これも立法措置なんです。そうすると、立法措置ができなければ、今年の災害対策は全然身が入らないということになる。このごろ加藤対策本部長を呼んで聞いてみると、臨時国会を開く気はありませんと言う。吉田さんの帰るのは十一月十五日か二十日でしよう。そうなつて来ると、われわれ委員会でいくら一生懸命にやつてみたところで、身が入らないことになつて来るそして行政措置として一体そういう立法の可能性があるかということ、公庫へ何らかの資金源の手当ができるのかどうかという点が一点。  いま一点は、中金の資金が枯渇している、もし今年の償還分を見込んでやるとすれば、今年の償還分は、まだそれが全部すぐ入つて来るわけじやないんだから、その足りない分は緊急措置をしなければならないが、一体中金のどこから出すつもりか。これも日銀の資金わくの増大によつてまかなうんだという御答弁ならば、これも立法措置になる。これに対して、われわれ身が入らないものをやつたつてしようがないんだが、行政措置でどの限界の認定ができるか。これはさつきゆうに差迫つたものはできないが、こういうふうに打つてという納得できるある程度の解明をしてやつていただきたいと思います。
  64. 渡部伍良

    ○渡部説明員 ごもつともでありますが、私の方では資金の必要額が計算できますれば——一応今は腰だめで大蔵省へ話しておりますが、法律措置はあとで通常国会ででもやつていただいて、実際上の貸付はやつて行きたい、こういう考え方をしております。すなわち二の農林漁業金融公庫の分では増資等政府資金、財政資金が間に合わなければ、一応預金部で借りておいて、預金部で借りておけば今の公庫のコスト計算で行くと不利になるわけです。しかしそれはあとでカバーしてもらうということでできるわけですから、要するに公庫の分についてはどれだけの金が必要であるか、それを今のような公庫のコストからいつて、どういう財政資金と預金部の資金との割り振りでやればコスト計算上いいかという勘定ができます。それができますれば、それによつて法律の改正をやればいいので、その場では今言つたように預金部等から資金を借りてやつて行きたい。これはそのあとの経営資金の問題についても同様でありまして、春の冷害対策、その後東北等の凍霜害等を追加することになつて法律が継続審議になつております。その法律を改正していただくという前提で、今必要資金額をはじいておるわけであります。あらかじめ中金から流しておいて、それを今の冷害あるいは風水害対策で、どういうふうな基準で貸したものはさかのぼつて、この法律に基く資金利子補給損失補償対象資金であるというふうにさかのぼつて法律で認めて行くという手続をとつていただきたい、こういうふうに考えております。  それから資金源はあるかどうかという問題は、御承知のように中金の資金はこれからどんどんふえる一方でありまして、問題は来年の端境期の六、七、八月にどういうふうな資金繰りになるかという問題であります。そのときには先ほど説明しましたように、資金運用部の引受け額の拡大とか、あるいは日銀からのことしやつたと同じようなやり方をやつたらいいのでありまして、現在資金源がないということは全然ないのであります。これから三月まで、はむしろ中金の方では金が余つて困るという状態でありますので、端境期の処置を——これは中金にも話しておるのでありますが、これは政府と中金の間で片づけるという問題です。そのときに政府が手の打ちようが足らなければいくらでも責めてよろしい、その点の手だけは、端境期にどういう手を打つて切抜けるかということは、あらかじめ政府部内で相談して行こう、こういう話をしておるのであります。法律の裏づけがあとになるということだけがちよつと変則になりますけれども、緊急やむを得ざる場合でありますので、その点は御了承願いたいと思います。
  65. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたの言うように、中金の方は弾力性があるのですが、これは資金繰りは非常に苦しいんだ。百億くらいの一般資金のしわ寄せが来ておる。四百十一億を出しているから、資金繰りは苦しいんだが、中金の方は弾力性があるから、これはなんとか方法を講じられる。問題は、一体公庫施設災害の方をどうするかということです。これは立法措置がなければ、預金部の資金をもつてごまかしてやるというわけにはいかぬでしよう。その点はどうですか。
  66. 渡部伍良

    ○渡部説明員 お話のように預金部の資金を一時借りて、あとで公庫のコスト計算、経費の計算——預金部の資金だと金利を払わなければいけませんので、それだけ悪くなりますが、それはあとで埋め合せすればということになります。預金部の金を借りて、法律によつて増資をするまでつなぎはできるのであります。
  67. 中澤茂一

    ○中澤委員 いま一点。あなたの答弁の中で、この前参議院でひつかかつてとうとう乱闘でだめになつたあれを通じて、法律的な改正をして行くという答弁をあなたはしているが、これはあれだけでできると思いますか。
  68. 渡部伍良

    ○渡部説明員 あれは、ここに書いておりますが、必要な条項を追加することになると思います。
  69. 中澤茂一

    ○中澤委員 あれだけか。
  70. 渡部伍良

    ○渡部説明員 ですから、あれにたとえば開拓の分とか、あるいは今の貸付限度の拡大、あるいはすえ置き期間を置くというような、そういう条項をあの法律の中に入れるということになるのじやないかと思います。なお廃案にして新しい立法をしてもいいわけなんです。どつちにするか、法律的な手段は——私の今までの考えでは、あれに必要な条項をいろいろ追加して行けばいいのじやないか、こういうふうに考えております。なおよく研究してみます。
  71. 中澤茂一

    ○中澤委員 いま一点だけ……。実は資金源の問題がまだ納得行かないのであります。いま少し質問したいが、きようは何か時間に申合せがあるそうでありますからよします。ただ温床苗しろ、病虫害助成という問題は、全国のあらゆる農村、農民団体の陳情等にこれが入つており要望している。これに対して政務次官は、八億を予備費から増額すると言う。今予算に八億あるのですから、予備費から八億増額して十六億にするというわけですか。これが一点です。  いま一点、温床苗しろの問題ですがさつき政務次官は、北海道一億、それから内地一億一千万、合計二億一千万ということを説明していますが、それ以外に三十年度予算ともかみ合せて考えて行かなければいかぬが、全体としてどう考えているのですか。予備費から出す八億を加えて、本年度予算の分と両方病虫害防除に出すのか。それから北海道のヒメハモグリバイが入るのかどうか。今の八億を本年度予算と加えて十六億になるのかということと、温床苗しろ全体に対する二十一円五十銭を、この前のように強引に大蔵省に食い下つてとつた方がいいか、冷害で五億とつた方がいいか、三十年度予算で正規要求をしてとつた方がいいか、これについて政務次官の政治的な御見解を承りたい。
  72. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 先ほどの説明の八億というのは、消毒薬の問題を入れないで、温床苗しろの問題を申しまして、二億一千万円ということを申したのでありますが、これは実は来年度の温床苗しろと保温折衷苗しろと両方のものを実は来年度予算要求する方が賢明なのか、農民のためにいいか、今この際やつた方がいいかという問題は、むしろこの際やるという方が賢明ではないか、こう政治的に考えますけれども、これはまたよく皆さんと御相談いたしまして、一番いい方法をとりたいこう思つております。
  73. 中澤茂一

    ○中澤委員 第二点の方は今の答弁でいいのです。しかしあなたはさつき、病虫害の異常発生防除の第七について予備費から八億を増額するということを言明しているのです。本予算の当初四億円のものをわれわれはたたいて八億にふやした。本予算の八億に予備費八億をプラスして、十六億を今年の防除費に出すか出さないかということをあなたにお聞きしているのです。
  74. 羽田武嗣郎

    羽田説明員 この災害に伴う異常発生の病虫防除につきましては、本年度の本予算を今ここに正確に記憶しておりませんから、お答えすることができないのは遺憾でありますが、今度予備費から九億円の予算要求いたしたい、こういう考えです。
  75. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今の植物防疫関係のものは、農薬で二億農機具でたしか二億、いろいろなものを合せて八億かれこれになつておる。農薬代だけは二億だつたと思いますが、そのほかに今の八億ないし九億をプラスする。今度は農薬代だけです。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 その問題を私聞きたかつたのですが、それは政務次官でなくてもよろしい。官房長に伺いたいのですが、九億内外のものをふやされる場合今のこうした方法は、羊頭を掲げて狗肉を売るような形になつておる。大蔵省の方針かどうか知りませんが、これを是正してもらわなければならぬ。なぜかと言うと、今まであまり病虫害の防除をしなかつたところで今度大発生をしたところは、その発生した額に対しての半額の助成、今まで非常に精励して病虫害防除をやつたが、さらに大発生したときは、その発生した差額に対して半額をやるという規定になつておるでしよう。そうすると、怠慢な地帯に対しては非常に奨励補助が行き届き今までがんばつた地帯に対してはごくわずかな補助しか行かない、こういうやり方は、私は金額を九億円ふやされた趣旨は了といたしますが、その内容に至つて非常に矛盾を感ずるのです。これをどういうふうに是正をされて行く方針であるか。これはただ単に予算の九億を予備費から流用したことだけで私は満足することはできません。今の内容があまりにインチキきわまるものでありますから、この点を是正する意思があるかどうか、これをはつきりしていただきたい。
  77. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今度の建前は異常発生の分について出すという建前になつておりますから、その異常発生のとり方によつてお話のように極端なところが出ておるのじやないかと思いますが、今具体的な例をあげられたようなことをまだ聞いておりませんから、なおお話の趣旨を体して、私よく研究したいと思いますが、とにかく異常発生に見るというので今度予備費から出すことといたしたいと思います。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたはよくわからぬとおつしやるが、はつきりしているんですよ。たとえばこれが今度の異常発生を全部含めた発生総額とする。そうすると、従来助成をこの程度やつておつた。しかしこれだけ異常発生をしたからこの半分をあなた方は助成すると言うのでしよう。ところが従来非常に精励をしてここまで防除をしておつた。しかし異常発生によつてさらに被害が増大したという場合、この増大分の半分しか行かない。こういうでたらめなことはないと私は思う。そういう率をあなた方はちやんと大蔵省としめし合せてきめている。ですから、なまけものを奨励して、従来の精励した者に対しては冷遇をするということになりますから、異常発生部分にとかいう、そういう手品みたいな言葉を使わないで、投下した農薬料そのものに対して半額助成をするという行き方が一番公平だと私は思う。今まで使つた分以外に出したものの半分というような、そういうややこしい計算方法でなしに、防除をやつてもさらに異常発生をするのであるから、従つて今までは補助があろうとなかろうと精励したがさらに異常発生が出たという地帯に対しては、その防除総額の半分というふうにやるべきじやないですか。これを機会に私は交付率を改めてもらいたい。元来こういういろいろな項目を並べておりますが、いざこれが具体的に末端へ浸透して行く場合には、今の農薬助成の一例をあげたように、すべてがしつぽへ行くと、だんだんだんだん通行税やいろいろなものがかかつて来て少くなつて来る。それを私は言うのです。それを私はやつてもらいたいと思う。だからその点については、私はよく知らぬのだということでなしに、知らないでおつて査定するということではだめです。ですからそれははつきり、使つた防除費総額の半分にやる、こういうような方針に改めて行つてもらいたい。これは一つの実例でありますが、今まで同僚委員からいろいろな点について指摘されましたが、この災害対策要綱をわれわれがここで論議している間はまことにもつともでありますが、末端に行く場合におきましては、また後の機会に申し上げますが、これに似たような事例がたくさん出て来ますから、それらの点については、昨年の実績にかんがみて十分是正をしてもらいたい。今の病虫害の点だけもう一ぺん答弁してください。
  79. 渡部伍良

    ○渡部説明員 お話の趣旨をよく研究いたします。正直なところ、今の通常発生の場合で普通発生しているときは、これは従来やつているのであるからよい。異常発生したところのものが、足鹿委員のおつしやるように、なまけものを奨励するということになつているか、なつていないか、そういうところの区別が私にはちよつとわからぬのですから、もう少し研究させていただきたいと思います。
  80. 中澤茂一

    ○中澤委員 いま一点だけでやめます。二億農薬があつて、今度で九億予備費から出すと政務次官は言つておるから、十一億ある。そうすると前のわくはどうするつもりですか。しかし農薬の助成についてのいもちとあれについてわくを設けただろう。二回以上やつたあれというのは、十一億あればそのわくをはずしてもいいと思うんだ。それの点についてはどうだろうか。十一億あるんだから、相当行けるだろうと思う。
  81. 渡部伍良

    ○渡部説明員 一回防除費になつております。一回分になつております。
  82. 中澤茂一

    ○中澤委員 十一億あれば一回防除費じやなくたつていいだろう。去年あれだけ出して二十二億だつたんだから、十一億あれば一回防除というわくをはずしたつていい。足りなかつたら、政務次官、政治性があるんだから、十一億ぐらいは……。そうしなさい。
  83. 渡部伍良

    ○渡部説明員 そのわくをはずすということは私ははまだ考えておりません。
  84. 井出一太郎

    井出委員長 松岡俊三君。
  85. 松岡俊三

    ○松岡委員 第十六に関係する気象の問題であります。実は気象学界には二つの議論があつて、北方の定点に関する深刻な争いがある。しかるに今度の洞爺丸の遭難事件以来、世論に動かされてややともすると、あるいはどこに行くかわからないという状態になつている。この点に関して、われわれ冷害を常に憂えるところの東北方面としては、予算の配分上に重大なる関心を持つている。ことにわずかに一つの県内において二つの測候所があるけれども、この二つの測候所が全然役に立たないところに、やや規模の大きい山林計画の畑地改良、土地改良をやろうとして、今年から着手しようとしておる。こういうあんばいで、もし農林省の計画の国営の畑地改良、土地改良が不成績に終るようなことがあつたら、将来の全体の土地改良に重大なる関係がある。それが今の気象観測とマツチする。これが北方定点としての問題になつて来る、北方定点の問題で、何だか東北方面冷害予算をこの方面に食われるおそれがはなはだ多いように私ども思うので心配しておる。この点について農林当局の特に御関心を私は要求したい。今までアメリカのためにのみ気象観測予算上に具体化するようなことがあつて、関西方面気象観測がやや充実し、今度は冷害地方の気象観測予算を持つて行こうとする。この機会に洞爺丸の遭難事件が起り、この事件が起つたために、世論によつて議論が二つにわかれて、どこに行くかわからないようなことを、もし農林当局が看過するようなことがあつたら、冷害地としては容易ならざる問題となるのでありますから、どうか委員長においては、次の機会にぜひ気象当局をお呼出しを願いたい。これを究明して行かなかつたならば、私は東北の畑地、土地改良の将来に関する重大なる問題が起ると思う。もしこれが失敗したらたいへんなことになる。この国営の畑地改良が今年から始まれば、東北全体に将来これが影響する。その土地改良をするところに、同じ県内で全然測候所の観測が及ばないということは、これは当局もよくおわかりのことと思います。私のこの要求委員長においてしかるべく御考慮願つて、究明しなければならぬ。北方定点の問題に予算、全部をとられてしまつて、東北の冷害方面が閑却されるようなことがあつたら、とても許すことのできない事態である。これを特にお願いして、また農林当局予算配分上についての多少に関係したことですけれども、重大なる御関心を私は要求しておく次第であります。
  86. 井出一太郎

    井出委員長 わかりました。  本日はこの程度にいたしまして、明日さらに続行いたします。これにて散会いたします。     午後五時十七分散会