○春日
委員 金融のことをもう一つお伺いしたいのでありますが、その前に今の久保田君の御質問に関連いたしまして、その税金の滞納者に対して
金融公庫が金を貸さないということは、これはただいまの
公庫の
理事さんの御答弁によ
つても明らかな通り、この問題はなお解明されてはいないと思いますので、重ねてお伺いしたいと思います。
公庫の
理事は、滞納をしておるこの事態は、その
企業体が堅実であるかどうかを調査する重要な一つの資料であるということを言われておる。そういうことであれば、やはり滞納者はまず不適格者だ、こういう決定を受けることは必然でございましよう。そうすれば、やはり久保田君が指摘されたように、税金を完納しておるということが
公庫の金を貸す場合の一つの条件になる。これは裏を返せばそういうことになるわけであります。そこで問題とな
つて来るのは、現在の
国民の税金の滞納の
状態がどうな
つておるかということなのでありますが、これは昨日も私が本
会議で質問した通り、とにかく八百四十万件、
金額において千二十六億というような滞納が現実にある。そうすれば、この滞納がすべて不適格の一つの基礎になるものだとは考えないが、しかし今現実にその八百四十万件というような大きな滞納の件数があるということ、それがすなわち
公庫が金を貸すという一つのキー・ポイントで、貸す貸さないにな
つて来るということであると、これは重大問題であると思う。私は、むしろ滞納者で税金が納められないというものの中には、いろいろ区別もあろう。中には横着で、とにかくずるくて納めれば納められる金があるのに納めないような人々に対しては、なるほど鑑別を願わなければならないが、しかしほんとうに
資金梗塞で納める金がない。営々辛苦して経営を堅実にしながらもなおかつ納められない。日歩八銭の滞納
手数料というようなものをいろいろ払いながら、なおかつ税金が払えないというような立場にあるものについては、これはまた別の角度から十分検討を願わなければならぬ。金があ
つてもなまけて払わないのか、ほんとうに金がないから滞納した、苦しさに耐えてなおかつ滞納の余儀なきに至
つておるかということを判別するということは、私は今の
公庫の若い行員の鑑別能力では的確に区別できないと思う。
従つてほんとうに堅実な
事業であり、しかもその人も信用に足る人であ
つても、やはり経営の苦しさから滞納の余儀なき事情にある者、これが横着者と一緒にされて、税金が滞納にな
つておるから、あなたはだめですとい
つて、十ぱ一からげに不適格者の中にほうり込まれる可能性は多分にあると思う。だから私が
理事さんに申し上げたいことは、現在の
公庫がその
審査の一つの基準として考えておられる税金完納という条件には、あまり大きくウエートを置かないで、単なる軽い参考資料
程度にしておかれて、そうして本
年度においては、特に税金滞納が非常に激増しておる現状であるのだし、さらに本
年度はデフレにな
つて、金まわりも悪くなり、滞納はさらにふえて来る。そうなれば
公庫に申し込む人
たちは、金もあり税金は一銭も滞納しないという人
たちだけしか対象にしなくなる。特に融資によ
つて救済を受けなければならぬ人
たちが、その資格を欠くことになるので、この点については十二分に御検討を願わなければならない。なお監督者の河野さんも、その
事業計画書に目を通す場合には、強く影響力を与えていただきたい。現実には、久保田君が言われる通り、税金を納めているか納めていないか、納めていない人はだめだというように処理されておる。このことはさらに御検討をいただきたい。今、雲の上にいないと言われたけれども、雲の中にお
つて、五里霧中で何にもわからないのだ。もう一ぺん上
つていただけばいいのだから、雲の中からおりて来て、もう一度十分御検討を願
つて、事の真相をきわめていただくことを強く要望いたましす。なお、
理事さんもそのつもりで、この問題については
実情に即した処理を願います。
それから次は本筋の質問でありますが、
金融難の問題であります。昨年の十二月八日でありましたが、今
中小企業が
金融梗塞で非常に困
つておるから、インフレの
抑制は刻下の急務とは認めておるけれども、急激な
金融引締めによる
資金枯渇の現状をこのまま放置するときには、多数の
中小企業者が倒産を余儀なくされることは必至と思う、
従つて政府は、期限到来を
相当延期すると同時に、新規の預託をしてくれということは、年末の
金融対策として本
委員会が決議したところであります。この決議に
従つて、何がしの
措置は講ぜられた。しかしながら、私どもがここに特に考えなければならないことは、この大
企業に対して
金融引締めが行われたとしても、大
企業は信用力が非常に強いので、二重投資とか過乗投資というようないろいろな非難が加えられておるほど、
金融は大
企業に一辺倒であります。
従つてこういうものが引締められたとしても、彼らは引締められるだけの余裕を持
つておる、あるいはまた、この引締めに抗して何らかの
資金を調達するところの実力を持
つているが、
中小企業は、こういうように政策で引締められて行
つてしまうと、どんどん投げ出して行くよりしようがないのではないか。その傾向は、手形交換所における不渡り激化の徴候によ
つて十分看取できるところであります。二月末に到来するところの七十何億、三月末に到来するところの九十何億、この
政府の預託が、六月まで延期されたということは、数日前新聞報道によ
つて私どもは知りましたが、この二つのものを合せたところで、現在百五十億
程度のものでしかありますまい。昨
年度も
中小企業の危機がいろいろとなえられてお
つたが、その当時、一月、二月、三月、四月、五月とずつと平均したところの
政府の預託は、四百五十億から五百億を前後してお
つたと思う。ところが本
年度は、
金融梗塞がさらに激化しておる。そして
中小企業の危機は、昨年に比ぶべくもないほど深刻な様相を呈しておる。そこであなたの方は百五十億前後しか預託しないのか。新規預託のことについては、考えてもおられないような様子であるが、そうだとすると、結局あなたの方の
金融抑制の施策のしわは、
中小企業が一身に受けて行かなければならぬ。結局、彼らの破綻をもたらすや必至であります。そこであなたにお伺いしたいことは、なるほどインフレを押えて自立
経済に行くためには、いろいろの施策が必要であるが、同時にそれに並行して、
金融引締めも必要だという大綱はわかる。しかし、
中小企業がもしそういうような破産、倒産というゼネラル・パニックに至るようなことがありとすれば、ただいま
柴田君が指摘したように、
中小企業は国の原動力である。産業において、大体その本体をなしておる。その本体そのものが非常な危殆に陥
つては、自立
経済という大
目的はなかなか達成されるものではありますまい。そういうような意味において、まず
中小企業に対しては、格別の
措置が必要であろうと思うが、
政府の預託は特に
中小企業にウエートを置いて、この
機会に、今こそその危機を回避することのために格段の
措置が講ぜられる必要があると思う。昨年においては、平均四百五十億ほどを預託されても、なおかつ彼らの危機は解除し得ない。すなわち手形交換所の不渡りは、東京手形交換所だけでたしか五月が八百五十件、これがずんとふえて行
つて、九月にな
つて一千件、十二月にな
つて千三百件というふうに、昨年はあなたの方が特別のいろいろな配慮を加えても、手形の不渡りがふえて行
つたのです。本
年度は百五十億という去年の三分の一
程度の預託しかされていなくて、さらにこれを将来やめてしまうのだ、六月ごろには何となくやめてしまうのだというような
方針が発表されておるが、さすれば、本
年度においては昨
年度の何倍かの
金融梗塞で、これによ
つて受けるところの
中小企業の危機は想像することができると思うのです。そこで何とか
中小企業金融機関、たとえば相互銀行、あるいは信用金庫、信用協同組合、あるいは中金等があるでありましようが、これらの預託を少くとも昨
年度程度にひとつ考慮してみる必要はないであろうか。これらの
金融機関がいうところによりますると、その操作できる金は、大体彼らの総預金量の一割ないし一割五、六分
程度のものであ
つて、大部分のものは長期
貸付とか、焦げつきという形ではありませんけれども、それぞれの産業に投資されてしま
つて、それが次から次へと操作ができなくな
つて来る。新しい申込みがあ
つて貸し出し得るというのは、大体
政府の預託されておるところの
金額程度である。これを取上げられてしまうと、新規の申込みに対して貸し付けることができない。すなわち危機を回避するために
金融機関に申し込んで来ても、
政府がこれを取上げて行
つてしまうということになれば、新規の申込みは全部拒絶して、古い人だけ、しかもそのわくが固定しておるので、このわくの操作だけをやるということで、実際
金融機関としての円滑なる
運営は期しがたい、こういうことを言
つておりました。こういうことを言
つてお
つたのは、
政府が四百五十億
程度を預託してお
つた十月ごろであります。ところが現在三百億を徴収されてしま
つたから、彼らの
運営はもうぎくしやくしたものである。まるでリューマチスみたいなもので、歩くたびに関節がぎしぎし鳴るような
状態で、円滑に動いておりません。一万田がどういうことを言
つておるか、
小笠原三九郎がどういうことを言
つておるか知らぬけれども、
中小企業に対する
金融の問題は、きのうやおととい論じられ始めたことではなく、危機がもたらされてからずいぶん論じられて来ておる。そのために、
政府は指定預金によ
つてこれを何らか緩和すべきであるということで、
相当額を受出して、
政府がこれに対して預託をして来たのだから、これをにわかにやめてしまうということは当を得たものではない。昨
年度においてすら、月間四百五十億の預託をされてお
つたのだから、本
年度も大体そのレベルを確保するために、
政府は十二分の努力を試みるべきであると思うが、これに対して次官並びに河野
銀行局長から、十分責任ある御答弁を願いたい。