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1954-02-25 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十五日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大平 正芳君       小西 寅松君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    堀川 恭平君       池田 清志君    福田 繁芳君       小川 豊明君    柴田 義男君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         国民金融公庫理         事       最上 孝敬君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月二十四日  しやし繊維品課税に関する法律案内閣提出  第三九号) 同日  揮発油税軽減に関する請願堀川恭平紹介)  (第二三一五号)  同外三件(藤枝泉介紹介)(第二三一六号)  同(稲富稜人君紹介)(第二三一七号)  同(永田亮一紹介)(第二三一八号)  同(中居英太郎紹介)(第二三一九号)  同(小川平二紹介)(第二三二〇号)  同(石橋湛山紹介)(第二三八六号)  同(大野伴睦紹介)(第二三八七号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第二三八  八号)  同(山下春江紹介)(第二三八九号)  同(中村庸一郎紹介)(第二三九〇号)  織物消費税復活反対に関する請願  外二件(天野公義紹介)(第二三二一号)  同(島上善五郎紹介)(第二三九一号)  同(島村一郎紹介)(第二三九二号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第二三九三号)  の審査を本委員会に付託された。 同日  富士山頂払下げ反対に関する陳情書  (第一〇五八号)  生糸課税反対に関する陳情書外一件  (第一〇六一号)  同(第一〇六二  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第三三号)  日本銀行券預入令等を廃止する法律案内閣提  出第三五号)(予)  当せん金附証票法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三六号)(予)  しやし繊維品課税に関する法律案内閣提出  第三九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第五四号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  去る十六日、本委員会に付託されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び同日予備審査のため付託されました日本銀行券預入令等を廃止する法律案及び当せん金附証票法の一部を改正する法律案、さらに一昨二十三日付託されました租税特別措置法の一部を改正する法律案及び食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、また昨日付託されましたしやし繊維品課税に関する法律案の六法律案一括議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。
  3. 柴田義男

    柴田委員 議事進行。ただいま委員長から、国民金融公庫法の一部を改正する法律案以下五法案提案理由説明というお話でございましたが、この六法案を一ぺんに提案理由説明をきよう承るのでしようか。そうでございますると、短かい時間で非常に困難だと思いますので、このうちどれかに限つて、たとえば金融問題の国民金融公庫法日本銀行券預入令等を廃止する法律案というように、金融なら金融に関する御説明を承りたいと思いますが、お諮り願いたいと思います。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 柴田委員の御要求でありますが、大体六法案説明を聞きまして、あと金融法案の質疑をしたいと思います。それで御趣旨のように運んで行きたいと思つております。さよう御了承願いたいと思います。植木政務次官。     —————————————
  5. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま議題と相なりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案外五法案につきまして、提案理由を申し上げます。  まず国民金融公庫法の一部を改正する法律案について説明申し上げます。国民金融公庫は、昭和二十四年六月に資本金十三億円をもつて発足して以来、数回にわたる増資と、資金運用部資金の導入によりまして、昭和二十八年十二月末までに累計約六百四十億円に達する貸付を行い、国民大衆資金需要にこたえて来たのでありますが、この資金需要は、昭和二十九年度においても相当の額に達することが予想いたされますので、昭和二十九年度において、一般会計から公庫に対する出資を二十億円増額することにより、その資本金を百九十五億円とするよう、公庫法資本金規定改正することといたしたのであります。これにより昭和二十九年度におきましては、右出資金増加二十億円のほか、資金運用部からの借入金七十億円、既往貸付金回収金等約二百五十億円を予定いたしますので、合計約三百四十億円の資金が確保されることと相なり、資金運用部への返済金二十一億円を差引いてなお約三百二十億円の貸出しが可能となる次第でございます。  次に、最近における中小企業金融重要性にかんがみまして、公庫の業務の適正な運営をはかりますために、国民金融審議会委員に新たに中小企業庁を代表する者を加えることといたしたのであります。  次に、日本銀行券預入令等を廃止する法律案につきまして説明申し上げます。  この法律案は、さき終戦直後の経済緊急事態に対処するため制定されました日本銀行券預入令関係法令とともに廃止し、あわせて所要経過措置規定いたそうとするものであります。  同令は、御承知のように昭和二十一年三月二日以前に流通していた旧日本銀行券強制通用力を失わせるとともに、これをすべて金融機関等に対する預貯金等とし、一定の制限のもとに新日本銀行券によつて引出させることを目的といたしておつたのでありますが、企業及び金融機関再建整備も一段落いたし、財産税課税もほぼ完了した現在では、その目的をすでに達成いたしておる一わけであります。ただ、終戦後の引揚者の大部分は、その帰国の際に携帯した旧日本銀行券税関に寄託せしめられたまま、現在までこれを新日本銀行券引きかえる機会が与えられていなかつたのであります。昨年九月以降旧日本銀行券税関による保管をとりやめることとなつたのに伴いまして、これらの者に引換の機会を与えることが適当であると考えられますので、この際日本銀行券預入令を廃止すると同時に、経過措置として、これら引揚者及び今後の引揚者の携帯した旧日本銀行券引きかえについて所要規定を設けることとした次第であります。この引きかえにあたりましては、国内におりました者との負担権衡をも考慮いたしまして、その持帰り日本銀行券が五万円以下である場合には、全額引きかえを認めることとし、五万円を越える場合には、そのこえる金額の七割を交換することといたしました。これによりまして、現在までの引揚者について見まするに、その九九・九%以上が全額引きかえを認められることと相なるわけであります。またこの措置を周知されますと、今後の引揚げにあたつて国外において不当に旧日本銀行券を入手して帰国する場合が発生することも考慮いたしまして、引きかえの最高限を二十万円と定めることといたしました。  なお、引揚者の持ち帰つた日本銀行券以外にも、刑事事件について押収または領置されていた旧日本銀行券等、やむを得ず新日本銀行券との引きかえがなされていないものもありますので、これらも引揚者の場合に準じて引きかえの機会を与えることといたしたわけであります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、この法律案が一日も早く成立して新旧日本銀行券の交換が開始されることが、旧日本銀行券を携帯して帰国した引揚者全部のひとしく期待しているところであります。  次に、当せん金附証票法の一部を改正する法律案につきまして説明いたします。  いわゆる宝くじは、当せん金附証票法に基きまして、政府都道府県五大市及び戦災都市にのみその発売が認められてきたのでありますが、この制度は、戦後における経済実情に即応し、浮動購買力の吸収と政府及び地方公共団体財政資金調達のための暫定措置として実施されたものであり、経済正常化に伴い、なるべく早い機会に廃止さるべきものであります。  政府といたしましては、右の趣旨により、最近の経済状勢にかんがみまして、昭和二十九年度から政府による宝くじ発売制度をとりやめるため、当せん金附証票法の一部を改正しようとするものであります。  この法律案におきましては、まず第一に、当せん金附証票法から政府宝くじに関する規定を削除いたすこととしております。  第二に、地方公共団体発売する宝くじに関しては、従来自治庁長官はこれを許可するに先だち大蔵大臣協議しなければならないことになつていたのでありますが、今後この協議を不要とするよう、協議規定を削除いたすこととしております。  なお政府宝くじ廃止後においては、都道府県五大市及び戦災都市のみが宝くじ発売することとなるのでありますが、これらにつきましても、地方村政その他の事情が許す限り、できるだけ早い機会に全廃することを目途として漸減の方針のもとに運営すべきものと考えております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、説明いたします。  政府は、昭和二十九年度予算に関連して税制改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案等提出して御審議を願つているのでありますが、さらに今次の税制改正の一環をなすものとして、ここに租税特別措置法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下本法律案につきまして、その大要を申し上げます。  本改正案につきましては、まず資本蓄積促進に資するため、個人が昭和三十一年三月末日までになした預入期間一年以上の定期預金その他の長期性預貯金等について受ける利子所得につきましては、他の所得と分離して、五%の税率所得税を課することとし、また、今後一年間のうちに支払いを受ける配当所得については、その源泉徴収税率現行の二〇%から一五%に引下げることとするほか、右の期間内に証券投資信託についてなされる期中分配金については、現在その全額配当所得としているのを、その分配実績等にかんがみまして、負担の適正をはかるため、分配金額の三分の一相当額譲渡所得からなるものとして所得税課税しないこととするとともに、分配金額に対する源泉徴収税率を一〇%とすることといたしております。  次に、価格変動準備金について、これを積み立て得る余地を多くして価格変動に対処することができるようにいたしますため、後入先出法等の場合を除きまして、帳簿価額と時価または帳簿価額のいずれか低い金額の九〇%相当額との差額に相当する金額を積み立てることができることとしております。  次に、法人過少資本是正等に資するため、製造業、鉱業、建設業、運輸及び通信業卸売業等一定種類事業を営む法人が、本年二月一日から三年間のうちに増資行つた場合には、資産再評価及び減価償却一定限度以上行つており、かつ配当率が年二割以下であることを条件として、増資後二年間において、その増資額に対してなされる配当金額については、有償増資の場合においては、年一〇%相当額、但し、再評価積立金資本組入れによる増資の場合においては、同族会社以外の法人に限り、年五%相当額限度として、法人税を免除することとしております。  次に、法人交際費等の濫費の抑制に資することといたしますため、資本金五百万円以上の法人が今後三年内の各事業年度において支出した交際費等の額が、基準年度交際費等の額の七割相当額または当該事業年度取引金額一定割合を乗じて計算した金額のいずれか多い金額を越えるときは、その越える金額の二分の一を損金に算入しないことといたしております。  次に、プラント輸出促進及び輸出商社の強化に資するため、輸出所得特別控除制度について、プラント輸出の場合の控除率現行の三%から五%に引き上げることとするとともに、輸出商社輸出所得に対する控除限度額引き上げるための措置を講ずることといたしております。  次に、鉱山業特殊性に顧み、新鉱床探鉱及び取得を容易ならしめるため、新鉱床探鉱用機械設備取得価額及び探鉱費並びに新鉱床買収費については、これらの費用を支出した年度において、当該金額の二分の一相当額を必要な経費または損金に算入することを認めることといたしております。  以上のほか、農地等農地法規定により買収された場合について、土地収用法による収用の場合と同様な所得税軽減措置を講ずることとし、また農林漁業組合に対する現行特別免税措置について、本措置趣旨を明らかにするための改正を加えるなど、所要改正を行うこととしているのであります。  次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  現在、食糧管理特別会計において食糧の買入代金等の財源に充てるため、食糧証券発行限度額及び借入金等をすることができる限度額は、通じて最高二千四百億円となつておりますが、昭和二十八年産米生産者価格引上げが行われましたほか、昭和二十九年度におきましては、米穀の買入れ数量増加が見込まれますので、この会計運営を円滑にするため、その限度額を二百億円引上げ、二千六百億円としようとするものであります。  次に、今国会におきまして、別途御審議を願つております農産物検査法の一部を改正する法律案により、従来収入印紙をもつて納付させていた農産物検査手数料農産物検査印紙をもつて納付させることとしようとするのに伴いまして、食糧管理特別会計法歳入歳出等規定につきまして所要改正を加えようとするものであります。  次に、しやし繊維品課税に関する法律案について、提案理由説明いたします。  政府は、さき租税負担調整及び資本蓄積促進をはかるため、所得税法人税等の直接税について、その軽減合理化をはかることとし、これに伴い、間接税についてはある程度増徴を行い、あわせて、奢侈的消費抑制をはかることとしているのであります。しかし現行間接税増徴だけではその増収額にもおのずから限界がありますし、また最近におきまする繊維品消費状況、さらには現在消費税を課せられる物品範囲相当広汎にわたつている点等に顧み、これらの消費税課税物品との負担権衡をはかる等のため、繊維品のうち奢侈的と認められるものに対して新たに繊維品消費税を課することとし、ここに奢侈繊維品課税に関する法律案提出した次第であります。  以下この法律案について、その大要を申し上げます。  第一に、繊維消費税課税範囲につきましては、大衆負担となることを避け、奢侈品課税といたしますために、販売価格または保税地域からの引取価格一定金額を越える高価な繊維品のみを奢侈繊維品として課税の対象とすることとし、着尺地等小幅織物及び帯地については、一反または一本につき七千五百円、洋服地等広幅織物については、一ヤードにつき四千五百円、メリヤス製品その他の編物及び肩かけ類については、一枚につき四千円、毛布については、一枚につき八千円の免税点を設けることとしているのであります。この案によりますと、たとえば着尺地等小売価格でおおむね一万円程度洋服仕立上りでおおむね二万六千円程度までのものは、いずれも課税されないことになる見込みであり、また小幅織物広幅織物のそれぞれの生産高のうち、繊維品消費税を課せられるものの割合は、数量で七%程度にすぎないものと推定され、従つて本税が大衆負担となるおそれはないものと考えているのであります。  第二に、繊維品消費税納税義務者につきましては、一面消費税負担の適正をはかるためには、なるべく消費に近い段階課税することを適当とする要請があると同時に、他面納税義務者の数をなるべく少くして徴税上の手数を省く必要もあり、これらを慎重に考慮いたしまして、本税は織物等販売業者小売業者以外のものが、小売業者洋服等縫製業者または消費者課税繊維品販売した場合に、その販売価格に応じて納めなければならないこととしているのであります。なお保税地域から引取るものにつきましては、原則として、その引取者を納税義務者といたしているのであります。  第三に、繊維品消費税税率は、さきに申し述べました免税点その他負担程度等を考慮いたしまして、百分の十五としているのであります。第四に、繊維品消費税の納期につきましては、最近における取引実情に顧み、原則として販売の月の翌々月末日としているのでありますが、担保を提供した場合におきましては、さらに一月以内の徴収猶予を認めることとし、その担保種類につきましても、実情に即した便宜な取扱いをすることといたしまして、徴税に無理を生じないように配慮しているのであります。  以上のほか、申告及び記帳義務等について所要規定を設けることとしているのでありますが、申告及び記帳につきましては、納税義務者手数を少くいたしますため、課税される繊維品に関する事項に限定するとともに、商法の規定に基くいわゆる商業帳簿所要記帳がなされているときは、あらためて本税法規定する記帳を要しないことといたします等、できるだけ簡素な取扱いをいたすこととしているのであります。  以上この法律案につきまして提案理由を申し上げたのでありますが、繊維品消費税の税収は、昭和二十九年度におきまして八十五億円を予定しているのであります。なお繊維品消費税は、その創設の趣旨に顧みまして、その実施期間昭和三十一年三月三十一日までとしているのであります。  以上がこの六法律案提案理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 福田繁芳

    福田(繁)委員 議事進行。私は植木政務次官に伺いたいのでありますが、本議会始まつて以来、あなたはお職務柄ことごとくの法案に対する提案理由をいとも懇切に説明なさつておられます。つい過日までは主税局関係法案かと思うと、本日は銀行局関係法案、もちろんそれはよくわかるのでありますが、そこで伺いたいのであります。もうすでに本議会も始まつて今日は二月の二十五日と存じております。しかして今日の政局の院の内外の情勢はあなた御承知の通り。そこで大蔵省は一体今議会に対してどの程度法案を今日の政局段階としてお出しになられる御予定であるかということを、一応伺いたいのであります。
  7. 植木庚子郎

    植木政府委員 今国会大蔵省所管関係提出見込み法律案は、かつてその件名その他について申し上げたことがあるかと思いますが、せつかく審査その他調査を急ぎましてお出ししておるのでありますが、なお若干出ておらない分がございます。この点はなはだ申訳なく存じておるのでありますが、関係の向きとの調整その他協議に若干ひまどつております点がございますので、今日以後なるべく早くすべて提出する運びにしたいと思つております。もつとも最初考えておりましたうちで、もはや一、二出さないことに大体決定しておるものもございますので、当初申し上げた全部には及ばぬかと考えておる次第でございます。
  8. 福田繁芳

    福田(繁)委員 よくわかりました。私らの手元にある昭和二十九年二月九日現在の内閣から出されました十九国会においての提出予定法案の中に、確かにあなたがおつしやいましたごとく、六十一の法律案を出されるという御予定は、われわれはしかとこの通り承つておるのであります。これは今申しましたように、四海波静かな二月九日の当時の御予定であつた政治というものは御承知のように生きものでありまして、ことに先ほど申しましたように、本日の状態といたしまして、依然として政局四海波静かに治まつたときの御予定を今なお遂行される御方針であるかどうか、これを承つておきたい。
  9. 植木庚子郎

    植木政府委員 大蔵当局といたしましては、もちろん今日の政局の推移も頭に入れつつ、しかも来年度財政経済運営上必要な分についてはぜひとも御審議をお願いして、そして早くその成立を期したいと考えておる次第であります。
  10. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はこういつたことをあなたに申し上げるのじやなくて、小笠原大蔵大臣に本日申し上げたい、こういうふうに考えておつたのでありますが、小笠原三九郎大臣は、御承知のように予算委員会で御苦労されておられますので、本日出席してもらうのもどうかと思い、遠慮して副大臣のあなたに申し上げるのです。われわれ野党のものが、今申したように政局不安云々ということを憶測いたしましても、与党であります皆さんたちの方においては、ことに吉田総理はあくまでもこの時局を乗り切るのだ、勢い自由党様におかせられましては、一致結束してこれを押し切るのだということもわれわれはほのかに伺つておるのでありますが、何を申しましても、今日の政党の分野と、そして院一尺外の世間の状態から推しましても、はたしてこの時局自由党様がおつしやられるごとくに乗り切れるかどうかということは、お互いに、なかんずく大蔵大臣なり政務次官は、一面院内において、一面行政府関係におきましても、かけひきなく慎重に考えなければいかぬと私は思う。そこでせつかく今日まで来られたのでありますから、でき得る限りの御協力を申し上げて、そしてあと二月か三月正視をいたしてみたい。こういう意味合いにおきまして、大蔵委員会といたしましても、われわれ改進党の立場を遵奉いたしまして比較的御協力を申し上げておつたわけなんです。  そこで私はあなたに申し上げたいのでありますが、この六十一の法律案をあくまでも四海波静かなときの見解によつてお出しなされて、今日この状態になつて、どうでもこうでも乗り切ろうと思いますならば、大体この六十一の法案でどの程度審議未了になるか、どれが否決になるかということはもうすでにおわかりでございましようから、虚心坦懐な気持で、今日の状態でこの六十一の法案を再検討して、先ほどおつしやつたような、国民金融公庫法案だとかいう中小企業に実際役立つ法案を重点的に通されて、不備きわまる繊維税のごときは撤廃するとか、あるいは入場税を撤廃するとか、大所高所に立たれて、ほんとうに吉田総裁の命令を受け、この時局を収拾する意味合いにおいての再検討を加えんということを、あなたは大蔵政務次官として次官会議においてなり、あるいは大臣に申し上げて、善処される御方針、御意図があるかないかということを伺いたいと思う。
  11. 植木庚子郎

    植木政府委員 私といたしましては、ただいまのお言葉十分参考にはいたしますけれども、本日までに提出いたしました諸法律案につきましては、何とぞ皆様の御協力によりまして成立を期したいと存じます。なお今後提出すべき法律案につきましては、先ほども申し上げましたように、その緩急をはかりまして若干調整いたしまして、出さないで済むものもあり得るかと、かように考えておる次第でございます。
  12. 福田繁芳

    福田(繁)委員 わかりました。私たちもでき得る限り国民の声を声といたして、現内閣に対して協力する点は協力する、苦言を呈するところは率直に呈するということで、これから本会期一ぱいお接しいたしたい、こう実は考えております。  そこで申し上げたいのでありますが、なるほどでき得る限りの法案を慎重審議いたしますけれども、こういう政治情勢であり、余すところ御案内の日数しかありませんので、これだけの法案をやろうと思いますれば、少くとも上程される役所側におかせられて、露骨に言いますならば大蔵大臣なり政務次官を中心にされまして、各局長の思想統一をおとりになられて、この法案上程の合理的方法を検討してもらいたいと思うのでございます。もつと露骨に言いますならば、できれば主税局関係主税局関係で——もう大体今日ずつと見ますならば、大蔵省関係法案は渡辺さん一人で、渡辺さんの所管のみをやつております。そうしてもう数日たつならば、否決するものは否決する、通過するものは通過するという段階になつておるかと思うと、本日ぽかつとこういつたような河野銀行局長関係法案が出て参つたわけであります。こうされて参りますと、法案審議未了なつたり否決されたりすることは、国会の責任ではございません。これはあげて大蔵当局の責任だと思う。この点をはつきりしておいてもらいたい。そこで上程されるならば、なるべくいわゆる思想統一をおとりになられて——ふだんならばようございますけれども、こういつた日数が短かくなつて多数の法案を国家国民のために通さなければいかぬのでございますから、これを合理的、合法的に、もつと円熟した方法をもつて、そうして有効的におやりくださることを、私は冒頭に、大蔵大臣にかわるところの副大臣に苦言を呈しておきたいと思う。
  13. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの御忠言、つつしんで拝聴いたします。今後の提出につきましては、なるべく御趣旨に沿いますように努力いたす覚悟でございます。
  14. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、ただいま御説明を聴取いたしました法案中、銀行局関係の三法案につきまして、銀行局より補足説明のために発言を求められておりますので、これを許します。大月銀行局総務課長。
  15. 大月高

    ○大月説明員 銀行局関係の三つの法案について、条文に即しまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  第一番目は、日本銀行券預入令等を廃止する法律案でございますが、本文は、日本銀行券預入令日本銀行券預入令の特例の件、それから旧日本銀行券の未回収発行残高に相当する金額の一部を国庫に納付するに伴う日本銀行への交付金に関する法律、この三つの法律及び勅令を廃止する問題であります。  第一の日本銀行券預入令は、昭和二十一年の三月二日以前に流通しておりました旧日本銀行券を、その強制通用力を失わせるということを本筋といたしまして、これらの旧日本銀行券をすべて金融機関に対する預貯金等とする。それからその預貯金等となりましたものにつきまして、一定の制限のもとに新日本銀行券によつて引出さす、この三つの点を重点にいたしておるわけであります。  第二の日本銀行券預入令の特例の件は、新日本銀行券が流通いたします間にも、印刷の都合その他もありまして、一部旧日本銀行券に証紙を張りまして、これが新日本銀行券と同様の効力を持つて流通されたわけでございまして、その暫定措置に関する勅令でございます。  第三の法律は、旧日本銀行券を回収して参るわけでありますが、そのうちで未回収残高が残るわけでございます。これは本来日本銀行の利益となるべき性質のものでございませんので、最終的に未回収になりました部分は、国庫に納付せしめるという建前になつておるわけでありますが、暫定的に未回収の分を推定いたしまして、現在七億円の納付金をすでに徴しておるわけであります。これが、かりに未回収残高がそれよりも少くなつたという場合におきましては、国庫へ納付し過ぎということになりますので、その差額は後に国庫からさらに日本銀行へ交付する、こういう意味の調整のための法律でございます。  それからこの附則は、主として現在残つております旧日本銀行券の中で、引揚者が持ち帰つて参りましたものをどういうふうに新日本銀行券に交換するかということを中心といたしました経過措置でありまして、あわせて現在裁判所に領置してございます分が返還になりました場合の交換のことを規定してあるわけであります。  具体的に旧日本銀行券がどういう状況になつておるかということにつきましては、お手元にお配り申し上げてあります旧銀行券の処理状況という表がございますので、これをごらん願いたいと思います。  昭和二十一年三月末の銀行券発行高は二百三十三億あつたわけでありますが、そのうち旧日本銀行券で未回収高が四十五億余になつております。このうち引きかえの措置によりまして引きかえました額が十六億三千万ばかりございますので、その差引二十八億八千三百万幾らという金額が、まだ回収残として残つておるわけであります。その中にはどういうようになつておるかということがはつきりいたしません分がございますので、推定が入つておるわけでありますが、これを分類いたしてみますと、国内関係、国外関係、差引行方不明分、こういうようになつておるわけであります。国内関係では、検察庁に保管されておりますものが五十七万幾ら、税関引揚げ保管いたしましたものが二千四百四十三万幾ら、これが今回御審議をいただきます対象になつております引揚者の持ち帰つた分でございます。その他連合軍が内南洋において接収いたしたものを日本銀行で保管いたしておりますものが四百四十九万幾らございます。それから旧円と新円との交換をやつております間に、日本銀行に対しまして交換をしてくれという要求がございましたが、法令の建前上交換ができないというようなものにつきまして、日本銀行が、できるだけそれはお預かりいたしましようということで無償交付を受けたもの、これが百二十一万幾らあるわけでございます。国外関係においてすでに現物を処分済みのものが、終戦直前北鮮において焼棄されたもの、その他ここに列挙してありますような関係で、全体といたしまして十六億ばかりございます。そういたしますと、差引十二億四千八百万程度のものが行方不明になつておるわけでございますが、その内訳はいずれも不確実な情報によるものでございますけれども、大体沖縄で回収の上焼棄されたといわれるものが二億ばかり、南樺太でソ連に接収されたものが八千万、それから連合軍が焼棄したものが二百万、大体こういうような推定になつておるわけでございます。注にございますように、現在未引きかえ額の二十八億のうちで、七億は国庫に納付済みでありまして、これは後ほど法律調整をするという建前のものでございます。この二千四百万の金の処置でございますが、一項におきましては、公布の日から六箇月以内で、できるだけ早く施行するという趣旨で表わしてあります。現在まで税関に保管しておりましたものは逐次返還をいたしております。しかし従来の引揚者の中で遠隔の地におる者もございますし、これに周知徹底せしめる時間あるいは交換のための準備の時間等をこれは見る処置でございます。  第二項は、旧日本銀行券と新日本銀行券の交換の原則規定しておるのでありまして、従来の法令に基きまして、携帯輸入が認められなかつたために税関に寄託されておりました旧日本銀行券は返還を受けた日から三月以内に新日本銀行券に交換する、それから二十八年九月一日以降は、税関において保管するという措置をやめておりますので、それ以後持ち込んだ人につきまして、この法律の施行日から二箇月を経過した日前に本邦に到着した引揚者が、引揚げの際携帯いたしました旧日本銀行券は、法律の施行の日から三月以内に交換する、それからその後帰つて参りました人につきましては、本邦に到着した日から一箇月以内にする、こういうことであります。第三号に掲げてございます一月という期間は、あるいは短かく考えられるかもしれないのでありますが、具体的な方法といたしましては、税関において、この法律に基きましてその場で交換して渡すという手続をとりたいと存じますので、支障はないものと考えておるわけであります。  第三項は、新日本銀行券に対する引きかえの割合でございまして、一号は、原則といたしまして、持つて帰りました旧日本銀行券の券面金額の合計が五万円以下である場合は、一対一の割合全額引きかえをする。第二号は、もしその金額が五万円を越えておりますときは、五万円超の部分につきまして、一円対七十銭、つまり七〇%の割合で交換をする。しかしその引きかえの最高金額を二十万円とするということであります。この五万円という点につきましては、従来の金融緊急措置令その他の措置によりまして第一封鎖となつ金額、あるいは第二封鎖の切捨率等を勘案いたしたわけでありまして、具体的には、金融緊急措置令によりまして第一封鎖となりました金額が一人につきまして一万五千円、一箇月につきまして三万二千円という金額があつたわけでございます。それから郵便貯金につきましては、第二封鎖の切捨率は一律に三〇%ということにしてあるわけでございます。それから全国の銀行の第二封鎖の最初の切捨率は六九%、これは残つた分でございません。切つた分が六九%、但しこの点は、後ほど逐次整理の進捗するに伴いまして返して参つておりますので、ある金融機関につきましては、全額つておる、ある金融機関につきましては、その後そのままになつておるといういろいろな段階がございますが、そういうような数字を勘案いたしまして、五万円及び七〇%という数字が適当であろうと考えたわけであります。それから二十万円につきましては、引揚者の携帯して参りました日本銀行券の調べというのがございますが、最高十七万円でございまして、今回の措置としては、特に必要のない数字でございます。しかしこの法律施行に伴いまして、海外から今後引揚げる人が不正にかき集めるというようなことをいたしまして帰国することを考えまして、今回の措置としてはさしつかえないけれども、今後の予防的措置として二十万円を考える、こういう趣旨であります。  第四項以下は手続でございまして、特に御説明申し上げることはございませんが、なお刑事事件について差押えられ、また領置されておりました旧日本銀行券につきましても、今申し上げましたと同じ原則に基きましてこれを交換する、こういうことであります。  第九項以下は、現在日本銀行券預入令規定してございますことを、あらためてこの法律で同じ趣旨規定したわけでありまして、従来と趣旨のかわつておるところはございません。その他条文の整理条項を規定したわけであります。  なおこの原則を適用いたしました結果、引揚者の旧日本銀行券はどうなるかという点につきましては、五万円以下の分が全体の九九%以上になつておりますので、事実上大部分のものが引きかえを受け得る、こういうことになると存じます。  第二に、当せん金附証票法の一部を改正する法律案の御説明を申し上げますが、これは提案説明にございますことにつけ加えることは特にないと存じます。政府関係の事項を一切削除した、こういうことでございます。  第三の国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきましても、提案理由説明通りでありまして、出資の増に伴いまして、二十億円の資本金の増を規定する。それから中小企業庁の代表者を国民金融審議会委員に追加することによりまして、委員が八人から九人になる、この二点だけであります。
  16. 千葉三郎

    千葉委員長 大月総務課長の説明は終りました。  次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案日本銀行券預入令等を廃止する法律案当せん金附証票法の一部を改正する法律案の三法案一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。井上君。
  17. 井上良二

    ○井上委員 最初国民金融公庫関係から質問を二、三いたしたいのですが、この法案によりますと、今度一般会計から二十億を国民金融公庫の資本増額のために繰入れる、そして資本金は百九十五億とする、こういうことでありまして、その説明は昨年の貸付状況、運用状況等から考えて、二十九年度においても相当額資金需要は増大する、そういうことから、特に一般会計から繰入れようというのですが、御存じの通り、中小庶民金融の逼迫の現状は、本委員会でたびたび取上げられて論議をして来たことでありますし、またいわゆる町の特殊金融機関が非常な勢いで発展をしたのは、一つには高金利で預金出資等を集めたということもいわれますけれども、、また一方においては、非常に担保力のない、また正常金融機関の信用の対象とならない零細庶民大衆の非常な金融難が、町の特殊金融をさせた大きな原因であります。この点から、中小企業並びに零細金融に対して必要な金融の窓口をもつと拡大強化する必要があるということが叫ばれて参りました。ところが本年の政府の財政投融資の現状を見てみると、昨年よりかえつて引締めておる現状にある。たとえて言いますと、今申す特に中小弱小企業、庶民金融等に対する国民金融の面を見ましても、昨年は四十五億を一般会計から繰入れている。それを本年は二十億に削つている。これは一体どういうことですか。御存じの通り町の金融機関に対しては、全然大蔵省関係がない、われ知らぬといつてほうかむりで来た結果が、非常な混乱と不安を巻き起して、しかもその結果いろいろな疑惑を投げかけるような諸問題が発生して、これに対して政府資金的、金融的何らの対策を持たず、まつたく放任した結果かくのごとくなつたことについても何ら責任を負うてない。こんなことについては、金融行政の責任者たる大蔵省には何ら責任はないのですか。町の金融機関がかくのごとき状態なつたことに対して、何ら責任はないとお考えでありますか。  それといま一つ、町の金融機関がかくのごとくになれば、一層正規な小口金融機関に対して需要が増大をする今日、昨年の半分にも足らぬ金額を振り向けるということは、一体どういうことですか。なつてないじやないですか。政務次官はどうお考えになりますか。この問題に対する責任ある御答弁を願いたいと思います。
  18. 植木庚子郎

    植木政府委員 仰せの通り中小企業金融につきましては、実に大事な問題で、各方面とも皆様御心配のこともよく承知しておりますし、政府当局といたしましても、でき得る限り資金計画全体の面から考えまして、この中小企業方面には金融をつけるように努力いたしておるであります。なるほど仰せのように、前年よりも一般会計から投資、出資いたします分は減つておりますが、当該中小企業国民金融公庫に対しまして預金部から融資します分は、前年よりも相当ふやして、結局先ほども説明のとき申し上げましたように、この会計で来年度の貸出し可能の分が約三百二十億ということになつておりまして、前年よりも相当額ふやしてある次第でございます。この点によつてなお御希望の、あるいは御意見のように十分とは参らぬかもしれませんが、政府の投融資全体の計画の面では、できる限りの努力をここに注いでおるつもりでございます。
  19. 井上良二

    ○井上委員 あなたは投融資の状況をごらんになりましたか。国民金融公庫に対して何を言うているんや。ほんまに、ばかにしたらあきません。資金運用部からは七十億出す。去年は五十億出ておる、ここに二十億ふえているだけでしよう。片一方では去年四十五億出したのを二十億に減らしているでしよう。これでは差引去年よりふえてないでしよう。町の金融機関が閉鎖されたということに対して、その要求はどこに行くんですか。ここへ来るよりほかにありません。町の金融機関が正常に運用されているときは知らぬ顔して、問題が起つたら責任はない、こう言つてあなた方は逃げておるのであろう。不健全な営業をしておるということは、いろいろな面で注意がされ、警告が発せられ、正常な方向にこれを育成指導して行くか行かぬのかということさえいろいろな議論がされて、遂にああいう状態になつて、その零細企業者や庶民大衆は一体どこへ金融の窓口を求めて行くんです。ここへ行かなければしようがないじやないですか。その場合、去年とほとんど同等の資金あつせんしかしてありませんじやないですか。それで中小企業、零細金融に対してはできるだけの対策を講じてやつて来ておりますというけれども、問題にならねじやないか。そういういいかげんな、でたらめなことを言うて、どうもならぬ。一体町の金融機関の閉鎖に対して責任はありませんのですか。全然知らぬというのですか。正常にやつておるときは知らぬ顔をしてほつておいて、いけなくなつたら、火の粉がかかつて来た、かなわぬ、おれの方は責任がない、こう言うて逃げてまわつておる。そんなむちやな話はありませんよ。当然その要求がここへ参りますから、こういう状態では、一般庶民大衆金融の需要に対する十分な対策とは言えないと思う。特に小口の貸付に対して一体どういう対策をお立てになつておりますか、これをあわせて伺いたい。
  20. 植木庚子郎

    植木政府委員 おしかりをこうむりましたが、この金融公庫からの中小企業に対する貸出総額が、なるべく前年よりふえるようにするというのが最終の目標であることは、申すまでもございません。なるほど一般会計からの投資の分としましては、前年より減つております。しかしながら預金部資金からの借入金の方をふやしまして、なおこの金庫におきましての回収金の増額が認められますので、この分を合せて、貸出し可能額が三百二十億に相なるわけであります。この三百二十億に対応します前年の貸出し可能の総額は三百億円程度でございまして、ここに約二十数億円の増額を見ておる。二十数億円では足らぬじやないかという御質問と思いますが、政府の今回の資金計画全体の面では、やむを得ずこの程度にいたしておるのでありまして、政府はこれで十分だと考えるかと仰せられれば、なおでき得るならばもつとふやしたかつたが、やむを得ずこの程度にとどめておる、かように御了解願いたいと思うのであります。
  21. 河野通一

    ○河野政府委員 小口金融の問題でありますが、先般当委員会でも御説明申し上げたのでありますが、昨年の暮れに当委員会からの強い御要望もございまして、国民金融公庫における小口金融、特に短期の小口金融につきまして力を入れて参りたいということで、制度をつくることにいたしました。大体金額は五万円以下ぐらい、期間は大体三箇月程度を考えております。それでできるだけ回転を早くして、これに均霑し得る方々の数をふやして行くようにして行きたいと考えております。総わくと申しますか、これにさき得る資金量は、現在のところでは、実は今政務次官から申し上げましたように、なかなかきゆうくつな資金計画でありますので、さしあたりのところといたしましては、五億円の程度、これを三回転して大体年間十五億ということでとりあえず出発いたしたい、今後の状況によりまして、これに対する需要が非常に圧倒的に多くなります場合におきましては、また別途資金源捻出について考慮いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 福田繁芳

    福田(繁)委員 議事進行について一言申し上げます。この金融問題の質疑応答に入りますれば、おそらく本委員会といたしましても二日、三日で尽きないと私は存ずるのであります。そこで政務次官に伺いたいのでありますが、実はこの大蔵委員会において、どうしましても先般申し上げましたように大蔵大臣並びに政務次官お二方どなたか御臨席願わないと、本問題の質疑応答並びに法案審議に困るということを申し上げておつたわけなのであります。今予算委員会関係がありまして、ことにああいう各般の問題がありますので、大蔵大臣はたいへん御苦労であるというので、われわれの方からむしろ御同情、御推察申し上げて、来てもらわなくして、そしてあなたの御出席のもとにこうして円満に委員会を進めつつあるのです。それを今聞くところによりますと、大蔵委員会はどうでもいいんだ、予算委員会の方に大蔵大臣一人では足らないのだ、あなたも分科会に行かなければならぬのだというので、御退場されんとしておられたことを承つたのであります。そういうことになりますれば、大蔵委員会軽視もはなはだしいと思う。それじや私が先ほど申し上げましたように、時局柄われわれも御協力して法案審議に進むことはできぬ。大蔵大臣並びに政務次官がここにいてもらわないことには、われわれは法案審議することはできません。そこで、これは社会党なり改進党だけが言うのではありません。あなたのひざ元の自由党の幹部諸君すらこの声なんです。言いかえれば、大蔵委員会では各派、各党あげて政務次官大臣かいずれかおさしつかえない範囲で本委員会続行中は御出席してもらわなければ困るということを、今ここで申し合せたわけなのであります。それから、聞くところによりますれば、社会党の諸君も、また私もあなたに多少伺いたいと思つている点があるのでありますが、いかがでございますか、きようの委員会はここはやりたいのでありますが、大分お忙しいようですから、理事会の諸君も御理解くださつて、ほんのあと一時間くらいで委員会は終るのでございますが、それまであなた御臨席を続行してもらうわけに行かぬですか、どうですか、それを伺いたいと思います。
  23. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、大蔵大臣はただいま参議院の本会の方に出ておりまして、一方衆議院の予算の分科会が始まりまして、やりくりをいたしまして、私の分科会での説明をなるべくあとに延してもらつてつたのであります。ちようどその時刻が参りましたので、もしおさしつかえなく、お許し願えるならと思つて実は委員長に申し出ておつたような次第でございます。御希望と申しますか、御意見の大臣か私どちらかここにぜひとも出席するということにつきましては、極力御希望に沿えるように努力いたします。
  24. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それでは社会党の諸君にお許しを得まして、私は一問だけあなたに伺つてあとは社会党の諸君にお譲りいたします。これは私は、実は予算委員会か本会議で伺いたかつたのでありますが、予算委員会か本会議で、大臣政務次官、閣僚にお伺いすると、時局柄より一層政局を混迷に陥れるというようなおそれがありますので、私は紳士的に遠慮を申し上げて、この大蔵委員会において植木副大臣に伺いたいのであります。  それはほかでもありませんが、今井上君からもお話がありました、この庶民金融にも多少関連がある。と申しますのは、御承知の今議会にも前国会にも吉田総理は、少くても占領治下の悪習慣と申しますか、占領政策の是正を適当に調整しなければいかぬということが施政方針にも大きくうたわれたわけなのです。われわれもその点は同感なんです。そこで当大蔵委員会において大蔵省から出されるところの法案なり、あるいは御答弁なりをつぶさに伺つておりますが、どうも大蔵省自身が依然として占領政策と申しますか、あるいは占領治下の風習といいますか、習慣といいますか、観念といいますか、そういつた点が再検討できておらないのじやなかろうかしらというきらいを受ける点がしばしばあるのであります。たとえば今度も問題になつております所得税法案、この所得税法案を見ましても、御承知のように税制審議会の答申書に基いて御立案されたと申しまするものの、ここ約十二、三日間、政務次官もおわかりのように各委員から深刻なる質問がありまして、あまりに国民大衆のとれないものからそうまでしてとらなくても、まだ他に、財源を求める道があつたのではないかという深刻なる御質問があつたわけです。私からもそれに関連しまして、例の外国人で日本に居留しておる連中なんです。これも講和会議が終えまして、もうすでに二箇年もたつておるのでありまするから、外国人の所得に対する税については、もう少し独立国家にふさわしいような観点に立つて、検討を加える必要があるのではなかろうか、これが一点。なおまた外国人に関連して出ておるところの日本人のやみ不当所得、これをいかにして摘発して、いかにして適当なる課税をするか、そうして財源にするところの道を考えておられる点があまりにも遅々としておるというきらいを受ける。これを具体的に申しますならばきりがございません。昨日も社会党の諸君の御質問に関連しました、あの家屋の賃貸料においてもその通り、われわれ日本人が、住宅再建のために、小さい借家をつくつて八百円だ、千円だ、二千円だという賃貸料をとると、どんどん税金をとられる。しかるに三年も五年も外人を相手にして六畳間で二万、三万という所得をとつておるところの大邸宅を構えておるものに対しては、あまりにも税金がかけられていない。あるいは最近の新聞をごらんなすつてもおわかりの通りに、ありとあらゆる汚職の陰には外人がおどつておる。日本人が汚職によつて犠牲にさらされておりますけれども、むしろ実際上のより大きな利益を得ているのは外人だろうと思う。独立回復後においても依然としてこれが放置せられておる。たとえば物品税もそうでございましよう。物品税のごときも、これはもう戦争中の税金なんだから撤廃したらどうか。ことに政府は物価を値下げさすところの方針をとつておるのだから、むしろこの際物価を上げるような意味になるところの物品税のごときは廃止したらどうかということを、しばしば申し上げておるのでありますけれども、どうしても財源の関係でぐあいが悪いのだ、こういうことを言うておるかと思いますと、昨日の新聞に出ておるところを見ますると、人もあろうに大蔵省の官僚と台湾人が共謀して、日本人が外国に売るところの国産カメラ八千台とかいうものを横領して、莫大な物品税をごまかしておるところの台湾人がある。こういう点は、どうしてももう少し独立国家にふさわしいように、いわゆる占領治下の悪習慣というものに再検討を加える必要がある。こういうことを言えば大蔵省所管にも限りがない。今井上君が申しました庶民金融でもその通り、これも人もあろうに朝鮮人に四十余億というような金をだまくらかされるというような金融機関もある。こういうような点を、大蔵省においてもう少し各般にわたつて検討されて、そうして西ドイツのごとく、ドイツの再興はまずドイツ人のためをはかつてこそドイツの再建ができるのだという観点に立つて、少くとも日本人の負担の軽減をはかつて、そうして独立国家にふさわしいような、国際信義に反しないような程度において、外国人からも一応税金をとり、取調べをするということは、大蔵省所管関係だけでもやつてもらいたいと思う。以上申し上げましたことに対しまして、副大臣は何とお考えになられるか、一応御高見を伺いたいと思う。
  25. 植木庚子郎

    植木政府委員 課税上の在日外人に対する取扱いの問題及びこれに関連しての御意見でございましたが、お説の通りこの問題につきましては、今後も機会のあるたびごとに十二分に研究をいたしまして、だんだんこれを是正して参りたいと存じます。今日の制度といたしましては、従来の協定その他のとりきめに基きまして今日の状態に相なつておるので、これを独立国になつた日本としてでき得る限り早い機会に十二分に検討を加え、是正をいたして参るつもりでございますから、さよう御了承をお願いいたします。
  26. 春日一幸

    ○春日委員 植木副大臣にお伺いをするのでありますが、本日租税特別措置法の一部を改正する法律案が上程されましたが、ここの中には大きな手落ちがある。これは昨年十二月の臨時国会において、織物の輸出の場合に第一次加工、第二次加工に特例の及ぶ議員立法が行われた。そのときに私は、国民は法の前に平等でなければならぬという建前において、同様の状態にあるところの陶磁器業、これに対しては当然特例が及ぶように、次の租税特別措置法が上程されるときには同様の趣旨によつて政府から提案されるべきであるという強い要望をし、それを希望条件にして私が賛成討論をいたした。しこうして本会議においても黒金議員から、春日委員からかくかくの主張が行われて、陶磁器の加工についても織物と同様考慮すべきものであるとの強い要望が行われた、委員会はこの趣旨を大いにしんしやくして、これを満場一致でもつて決定した、こういう報告を本会議で行われておる。従つて今次ここに租税特別措置法提案されて来るならば、今までの経緯、特にまたこの十二月に織物に対する特別措置が講ぜられたのでありますから、これと関連して、この改正案の中には陶磁器に関して同様の処置が講ぜられなければならぬ。その後大蔵当局に対して日陶連からも強い陳情が行われ、しかも通産当局との間においてもそれぞれ意見の調整を見ておるところであります。しかるにそれを今回ここに全然提案して来ないということは、これはあまりになまくらというか、食言というか、あるいはこの委員会国会の意思を無視するもはなはだしいものであると思う。本問題については、日陶連から数次にわたつて代表者が上京して、当局に対してほんとうに心からなる陳情をしておるのであるから、その意思を十分に尊重されて、やはり法案の中にそういう措置が講ぜられなければならぬ。そこで私は副大臣に要望いたしますが、本日租税特別措置法が出されたけれども、これは事態を緊急調査をされまして、この問題に対しては、これに対するすみやかなる追加提案が行われることを強く要望いたします。副大臣はあるいはこのことを御存じないかもしれませんので、即刻速記録並びに当時における状況等については、主税局長並びに第一課長等について御調査の上、これに対する政府の追加提案のなされることを強く要望いたしておきますので、よろしくこれを御考慮願いたい。
  27. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの春日委員の御指摘に対しましては、私うかつにも存じておりませんので、取調べの上で、適当な機会に御報告申し上げます。
  28. 千葉三郎

  29. 柴田義男

    柴田委員 大蔵次官に中小企業の根本的な対策に関して伺いたいと思いますが、御承知のように日本の中小企業の現況と申しましようか、たとえば製造業者では、従業員が二百名以下である中小企業事業場が全体の九九%ぐらいあると存じておりますし、商業では、従業員三十名未満のものが九九・六%、こういう統計が現われておりますが、こういう中小企業、あるいは弱小企業が非常に多い、しかもそれによつて日本の経済状況が進んでおるのであります。こういう実態における経済情勢下におきまして、中小企業に対する金融対策の一環といたしまして、本日提案になつておりまする国民金融公庫法の一部を改正する法律案、これで見ますると同僚井上委員からも指摘されましたが、二十億をこれに計上されておる。こういう貧困な政府の考え方は、日本の金融政策といたしまして、まつたく矛盾もはなはだしいと私どもは考えざるを得ないのであります。反面輸出入のバランスを見ましても、御承知のように、たとえば輸出はたつた一億ドル内外で、輸入は二億ドルを上まわつておる。こういう矛盾が現存しておるのであります。反面小売業者販売に大わらわな宣伝をやつておりましても、その日その日の売上げによつては、とうてい生活を保つて行けない。破産倒産は続出しておるという現状であります。またその反面にデパートの売上げを調査いたしますると、増強の一途をたどつておる。こういう現実の経済情勢下にありまして、この二十億をもつて金融公庫に資本を投入するという貧困な考え方は、どういう角度からそういうお考え方になつたのであるか。政府は口を開けば、現在の資金的な措置として満足とは思つていないが、これ以上のことはできないという御答弁をするということは、あまりにも国民を愚弄した御答弁である。もつと誠意のある根本的な御方針を承りたいと思うのであります。
  30. 植木庚子郎

    植木政府委員 当該企業関係しておりますものの生活のためにも、あるいは国内産業の面から見ましても、あるいは輸出品の製造の領域において占める中小企業の分野を考えてみましても、これに対して政府ができ得る限り力を尽さなければならぬことは、十分承知しておるつもりであります、ただいま私が答弁申し上げることは、すでにそちらから仰せくださつたようなかつこうになつておりまして、資金計画全体の上から見ますときに、中小企業にもでき得る限りもつと金をまわしたいと努力はいたしたのでありますが、何分にも総わくの中でのやりくりが、今回の措置としてはこの程度しかできなかつた、かようにお答え申し上げるほかないのであります。なお今後の問題といたしましても、政府としてはでき得る限り善処したいとは存じております。
  31. 柴田義男

    柴田委員 今国民が非常な疑惑を持つて、しかも注視しておりまする問題、たとえば造船に対する利子の補給の問題にいたしましても、百六十数億をこれに投じておるのであります。あるいはまた電力開発等に対する利子補給の問題にいたしましても、その他大企業に対する擁護策は、まつたく私どもの想像もつかないような天文学的な数字をもつてこれに予算を投入する反面、今申しましたような日本の経済を維持しておる、日本の経済がそれによつて保たれておるような中小企業に対する対策は、今回におきましてもあまりにも貧弱過ぎるということは、国民の大きな声であるとわれわれは考えざるを得ないのであります。こういう観点に立ちまして、たとえば今の国民金融公庫にいたしましても、あるいは中小企業金融公庫にしましても、対策は見るべきものはない。これは根本的な予算の組みかえを考えて、こういう国民大衆の基盤となつておる中小企業に対する対策をもつと考えていただかなければならぬ。たとえば大銀行の金融の状況をわれわれは知つております。大銀行にしましても、ほとんどが大企業に対する融資の偏在を見ておるのであります。地方銀行なんかは大したオーバー・ローンをやつておりません。大銀行こそがオーバー・ローン、オーバー・ローンという状況であります。これらのオーバー・ローンの状況を見ましても、ひとり大企業にのみ金融的な偏在を重ねておる。こうしておつて、反面中小企業に対しましては、政府みずからが何らの対策がないといつて過言でないような状況である。まつたくすずめの涙とも言えないような金額をもつて中小企業対策をお考えになるということは、私どもは根本的に考えていただかなければならぬと思うのであります。重ねてもう少し誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  32. 植木庚子郎

    植木政府委員 御指摘のように、造船の利子補給の問題とか、あるいは電力方面への資金のまわし方とかいう問題についての御意見もつけ加えてのお話でございましたが、造船融資の問題につきましては、これは前々国会以来の問題でありまして、両院の院議の定まつておるところを尊重し、また日本の将来といたしましては、国際収支の改善の上で、わが国の海運業の発達をはかることがどうしても必要であるという重要な因子もございます。あるいはまた電力の問題にいたしましても、日本の電源をもつと開発して、中小業者にも、その他国民全般の各方面にも、低廉豊富なる電力を供給して行くということも、これまた国策としてどうしても考えなければならない大切な問題だと思います。それこれの重要性、緩急性を考えまして、その結果、今日われわれの処置し得るところとしては、この程度において納まらざるを得なかつたような状態であります。なおわれわれとしましては、中小企業についてこれからも大いに——ことにことしの経済情勢の推移を想像いたしますと、これについては十二分に考慮を払つて行く必要があることを考えております。
  33. 柴田義男

    柴田委員 銀行局長もお見えになつておりますので、二、三お伺いいたしますが、現在の地方銀行、あるいは中央銀行における貸付の総金額——九月末でけつこうですが、ひとつ御提示を願いたいと思います。
  34. 河野通一

    ○河野政府委員 今手元に詳細な数字を持つておりませんが、全国銀行の昨年九月末における貸出しの総額は、二兆五千億ということに相なつております。地方銀行と都市銀行との区分につきましては、ただいま資料を持つておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
  35. 柴田義男

    柴田委員 ただいまの銀行局長からの御答弁では、二兆五千億ということでありますが、これは銀行を全部ひつくるめたものでございましようが、おそらくこのほかに相互銀行もございましようし、あるいはまた信用金庫、信用組合等、中小企業に対する融資の対象になつておる金融機関もあると想像されるのであります。こういうことを顧みましても、国民金融公庫というものは、企業者だけでなしに、俸給生活者等もこの金庫からの借入れの対象になると思います。こういう場合には、たとえば三十万円、あるいは五十万円というような小口の金融の相手というものは、おそらくこの国民金融公庫を対象として借り入れておるとわれわれは見受けておるのであります。こういう場合に、現在六百四十億を貸し付けておられる。そうして今後この六百四十億の貸付から回収もされるでございましよう。そういたしましても、回収いたしましたものに二十億だけの予算を出してくれて、そうしてこの回収は二百五十億を予定されております。そうしますと二百七十億が新しい貸付の対象になる金額であります。こういう貧弱なものではどうしても承服できない。私どもは少くともこの予算に対して、百億なり百五十億は最小限度考えていただかなければ承服できないと思つておりますが、今の経済情勢からお考えになりまして、この二十億をもう少し考え直すお考えはないか、これを最後に伺つておきたいと思います。
  36. 植木庚子郎

    植木政府委員 中小企業のためにまことに御熱心な御議論でございまして、深く敬意を表するものでございます。しかしながら政府としましては、ただいまのところ、この程度をもつて満足していただくよりほかはないという状態にございますので、この点御了承を願いたいと思います。ただわれわれは今後における経済界の推移を十分見守りまして、そうしてこれについては、もし必要を生ずれば、適切な臨時的な措置も考えなければならぬということを腹に置いて、十分見守つて参りたいと考えております。
  37. 井上良二

    ○井上委員 この資金源の問題でございますが、御存じの通り町の金融機関がことごとく閉鎖されて、庶民大衆の窓口がふさがれた形になつておる。そういう関係から、最も簡易に貸してもらえるのは国民金融公庫であるということになりますので、どうしてもこれに対して相当の対策を講じておかなければならぬと考えますが、ただいま銀行局長は、五億円のわくを設けて、一口五万円、期間三箇月ということで小口の融資をやりたいという計画を発表されたのでありますが、もちろんそういう小口融資についての対策も必要でありますが、問題はその五億で足りるか足らぬかということが問題で、国民金融公庫としましても、それぞれ貸付について一応のわくを予定いたすのでありますから、この分で不足をしたからといつて、他のわくを削つてこつちへ持つて来るということは、そう簡単に行かぬじやないか。そこで資金源を相当ふやしてやるという点について、ここで一つの案を出します。それは農林漁業公庫に本年二百六十億を予定しております。ところが農林漁業公庫は大体長期資金が中心でありまして、しかも実際貸付を開始いたしますのは下半期の一、二、三月ぐらいがおそらく最高でないかと考えます。従つて上半期は資金はほとんど遊んでおるのじやないかと見ております。というのは、公庫予算がきまりまして、それに基いて各地方庁でそれぞれ必要な面の団体と折衝いたしまして、そこで融資の申込みを受付けて、その実態を調査して、それからでなければ貸付を開始いたしませんから、この貸付には相当時間的ずれを生じて来ます。そういう関係で、この漁業公庫資金国民金融公庫の短期資金として一時活用するということは、事務上実際不可能であるかどうかということが一点。  それからいま一つは、資金運用部資金を活用するより方法がないのでございますが、資金運用部資金は、本年は相当増高して行く見通しを私は持つている。というのは、御存じの通りやみ金融、町の金融機関が一斉に閉鎖をし、これに対して非常な不安を持つておる零細預金者は、郵便貯金等に一斉にかわつて参るということが予想されますから、そういう関係から、この方面に流れておつた資金が郵便貯金等に相当つて来るというようなところから、この資金運用部資金の面でも相当増高が見込まれるのではないか。そういう関係から、資金運用部資金をいま少しこの面に増額するような対策を講じてはどうか。こういう点についてどういうようにお考えになつておりますか、承つておきたいと思います。
  38. 河野通一

    ○河野政府委員 お話のように農林漁業金融公庫に対しては、二百六十億新しく出資なり貸付なりを考えておるのでありますが、これも御承知のように、今後租税収入その他の収入が入つて来、また資金運用部資金がだんだん集積されるに応じまして、この資金を投入いたして参るのであります。必ずしも年度初めにおいて二百六十億の金が、そのまま農林公庫さき得るものでは実はないのであります。それらの点からいいますと、やはりだんだんその事業の進むに従つて、これらの資金が農林公庫に投入されるわけであります。従いまして、今お話のような事業の時期的なでこぼこの調整のために、それらの資金を、たとえば国民金融公庫にまわすといつたようなことが実際問題として不可能であろうというふうに考えております。なお技術的には、そういう政府機関たる農林公庫に一時かりに預入ができたといたしましても、この資金国民金融公庫の方に一時まわすというようなことは技術的に適当でないと思います。そういうことがもしかりにできたとしたならば、農林公庫に対する資金運用部等の貸付をしばらく押えて、資金運用部の方で出て来た資金を、国民金融公庫に一時短期にまわすということがむしろ適当であろうと思うのでありますが、全体の資金計画から見ますと、そういつた余裕が年度の初めにおいて出て来るということは、今ちよつと考えられないような状態にありますので、この点は御承知おき願いたいと思います。  それから郵便貯金の点につきましては、今井上委員のお話のような措置を私どもも十分考えて参りたい。ことに資本の蓄積を促進しなければならぬということが、今後財政金融を締めて行けば行くほど必要になつて参ることは申すまでもないことであります。これらの点から、二十九年度資金運用部資金計画におきましても、前年度に比べて相当大幅な郵便貯金の増加ということを見込んで参つております。私どもといたしましては、筒一ぱいに見込んで参つたつもりでおります。しかもそれをできるだけ余裕金として残さないように、これも一ぱい一ぱいに運用するような計画を実は立てて参つております。従いまして、ただいまのところそう大きな余裕が資金運用部に郵便貯金の増加を通じて出て参ることはちよつと考えられない。もつともこれは私どもの将来に対する予測でありますから、事態の今後の推移によりましては、あるいはそういう余裕が出て参るということがあるかもしれませんが、ただいまのところでは、そういうことはなかなか困難であるということを申し上げざるを得ない。
  39. 井上良二

    ○井上委員 それでははなはだごめんどうでございますが、政府関係公庫資金の入金状況、それから貸し付けました月々の状況、その資料をお出し願いたい。
  40. 河野通一

    ○河野政府委員 それは現在までの実績ですか。
  41. 井上良二

    ○井上委員 そうです。  それからもう一つ国民金融公庫関係において聞きたいのですが、今度五万円三箇月というような短期の小口資金を融通する新しい制度を活用いたしますためには、金庫に働いております方々が相当忙しい思いをしなければならぬことになろうと思います。もちろんこれは保証人等によつて対人信用でお貸しになるものと思いますが、そうしますと区域が非常に広くて、またこれは委託貸付はあまりしないことになろうと思いますから、そういう関係で、人員の増強はどういうことになりますか。ふやさないのですか、ふやすのですか、われわれが見るところにおいては、相当ふやしてやるか、それとも給与の改善をもつと積極的にはかつてやる必要がありはせぬか。たとえば他の金融機関との関係において、給与の関係は一体どういう比率になつておりますか。その点を一応この際明らかに願いたいと思います。
  42. 河野通一

    ○河野政府委員 人員の点は、支所も若干増設いたしたいという点も含みまして、二十九年度におきまして、約百三十人程度の増員を考えております。もちろんこの多数の支所等を含めて考えますと、人員として必ずしも十分であるということは言えないかもしれないと思いますけれども、できるだけ経費を節減するという点からも考えまして、ひとつ公庫の方々にも十分お働き願つて、この範囲内でお仕事を完遂していただきたい、かように考えております。給与の点は、一昨年国民金融公庫の職員を公務員の資格からはずしまして以来、私どもといたしましては、きわめて大幅に給与の改善をはかつてつたつもりでおります。現在のベースはここにございますが、大体扶養手当、勤務地手当等も含めて一万九千八百円というベースに実はなつております。そのほかに年度末等についての手当があるわけでありますが、これらの数字から見ますと、私は必ずしも給与が非常に低いとは実は考えておりません。なおこのベースは、大体同じような性質の、たとえば中小企業金融公庫であるとか、あるいは農林漁業金融公庫であるとかそういつた政府機関たる公庫の給与と大体同じようなレベルにおいて考えております。今申し上げましたような数字でありますから、私は必ずしも非常に低いとは実は考えておりません。
  43. 井上良二

    ○井上委員 いま一点、人員はあまりふやさない、こういうことでございますが、たしかあれは昨年でしたか、公庫から政府へ納付金を五億ほど出しておるように記憶いたしておりますが、この機関は別に利益を生まなければならぬ機関ではない。政府納付金を対象にした金もうけの機関ではありませんから、内容をそれだけ充実して行くことに全力をあげるべきじやないか。今申します通り、こういう新しい制度をつくれば、それだけ人は当然ふやさなければいかぬ。もし人をふやすことがいろいろな関係で困難であるとしますならば、たとえば保証人やその他融資先の信用調査の場合、一々電車に乗つててくてく行つておるという状態です。あれを、たとえば最近郵便局等で盛んに使つておりますスクーターなどを使う、あるいはまた小型の自動車くらいは一台各支所くらいに置いておく。そしてそれでどんどんまわれば、どれだけ能率が上るかわからない。そういう施設の改善によつて能率をあげて行くような方式に改めるべきじやないか、そう私は考えますが、そういうことについてお考えになつていますか。そういうようにしてやつてやらぬと、実際申し込んで二月も三月もしなければ金にならぬというようなことになつてつたのでは、わずか三万円や五万円や十万円借りるのに、三月待つてくれ、二月待つてくれと言つたつて待てるものじやない。だから、少くとも町の庶民金融機関が発展したのは、申し込んですぐ金を貸してくれるというところにあつたんです。だから先般も有田君からお話がありましたように、信用の置ける人は電話で、こういう人に判を押したかどうや、押しましたからといえば、すぐ貸してやるというくらいの敏速な貸付方法がとれると思いますが、そういう点についてどうお考えになつておりますか。施設の改善と貸付の簡易化、敏速化の問題について、もつと能率的にやれぬものかどうか。それは何ゆえにやれぬか、どこに隘路があるかということについて御説明願いたい。
  44. 河野通一

    ○河野政府委員 国民金融公庫貸付の事務が非常に遅れるというおしかりは、実は数年来たびたびいただいておるのであります。この点につきましては、できるだけ敏速に事務を処理するように、公庫当局といたしましても極力努力をいたして参つております。今後におきましても、この努力は続けて参らなければならぬと思いますし、またその方法の一つとして、今お話のような施設を能率化するといつたような点も、もちろん考えて参らなければならぬと思います。また人員につきましても、必要なる範囲においてはこれをふやして行くということも考えなければならぬ点であろうと思います。ただ問題は、やはり政府資金を元としておりますから、できるだけ財政の上に大きな負担をかけないで済むように、できるだけそれを少くして行くように努めなければならぬことは当然であろうと思いますので、緊縮をいたしながら、できるだけそういつた能率の向上、あるいは事務の簡素化といつたようなことについて、今後とも努力をいたして参りたいと考えております。ただ、今井上委員のお話の点でありますが、昨年四億の納付金を国庫に納付したのであるから、その四億の範囲内でもう少し経費をふやしてもいいではないかという御意見のように承つたのでありますが、これは私少し見解を異にいたしております。と申しますのは、これは政府の租税なりその他の資金から源を得ておるものでありますから、かりにそこから若干の利益があつたといたしましても、もしほかに充てる必要のないものであれば、これはやはり国庫に納付すべきものであろうと私は思います。独立採算ということはできるだけ建前といたしますけれども、これは決して営利機関でもないのでありますから、その利益というものは一応国庫に納めて、さらに必要な資金は国庫なり、あるいは政府会計から出して行く、こういうことが適当であろうと考えておるのであります。現にそれだけの納付金をするならば、金利を下げたらいいではないかという議論が行われておるのであります。これもまことにごもつともな御意見だとは思うのでありますが、私どもといたしましては、やはり国民金融公庫という政府機関の性格からいたしまして、政府から資金も出す、しかもその金利も一般の金利よりもはなはだしく不権衡に安くするということまで、この国民金融公庫に使命を負わせることが適当であるか、適当でないかといつた点は、十分に考えて参らなければならぬ。もつとも国民金融公庫の利子の中でも、特殊のものにつきましては、特に更生資金とか遺家族の方々に対する資金等は、年六分という安い特別な金利で出しております。そういつた政策的に考慮が許される範囲のことはもちろんやるべきでありますが、ただ利益が上つておるからというので金利をどんどん下げて行くということがいいか悪いか、この点につきましても、十分検討しなければならぬ問題だと考えております。もちろん私どもは、納付金を多額にあげることを目的として国民金融公庫運営をすべきものとは毛頭考えておりません。この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  45. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 関連して銀行局長に伺います。今井上君から話がありましたが、大きな事業をなす人は、税金もうまく脱税いたしまして、そうして資本なしに商売をしておる、すでにそのことが今造船疑獄として現われて来ておる。そうして今の資金の問題ですが、銀行局長に考えてもらいたいことは、多くの国民、また零細な業者からはどうしても税金をとり、金融金庫で金を貸す場合は、あなた税金をどれだけ納めておりますか、政府の金でございますから、税金を納めていない人には金融公庫の金は借りてもらうわけには行きませんよと言う。こういうことからして、いろいろ遅れる点もありまするが、もつと突き詰めてこの問題を私たちが考えてみますならば、その遅れる原因は資金がないということなんです。たとえたら、十万円あなたに金を貸してやる期日が来たつて、ちよつと待つてつてくんなはれ、いまに回収ができて、そのうちもう二時間か三時間したら十万円になるであろうから、もう二時間ほど待つてくれと言う。そういうようなことをして金を貸しておる。こういうのが今の金融公庫のあり方なんです。あなたはそういうことを御存じないが、そういう点から考えてもらうなら、あなたが今いろいろ答弁をされておるようなことは雲の上の答弁である。もつと現実を知つてもらいたい。そういうような意味から、この資金を何とかして金融公庫の方にまわすことを考えるべきである。どこからか持つて来べきである。一兆円予算のうち、その二割が汚職となつて現われておる。今国の予算を見てみて、そのうちの一割、一千億を減税しようと思つたら、なかなか困難であるが、その倍である。私は統計をとつておりますが、悪いことをしておるその金が、一兆円予算のうちの二割である二千億、こういうようなことからして、もつと政府の方々は、次官もよう考えてもらいたい。これについてどう考えておられるか、一応金融公庫の問題、現実の問題をひとつ答えてもらいたい。
  46. 河野通一

    ○河野政府委員 非常に大きな問題でありますから、金融公庫の問題以外につきましては、政務次官からお答え願つた方がいいかと思います。お話のように、国民金融公庫に対する借入れ申込みに対して、融資の実行できますのはやはり三割見当しかできておりません。これはお話のように、資金が十分でないということにも非常に大きな原因があると思います。従いまして今お話のように、末端においていろいろ、資金さえあれば貸してあげたいのだが、資金がないためにお貸しできませんということで、お断りせざるを得ないような事情があることは、私は十分承知いたしております。この点について、それじや資金をふやすべきであるという御議論もよくわかるのでありますが、これは先ほど来政務次官からもお答え申し上げた通りに、できるだけのことはしたつもりでございますけれども、今のような財政状況から、これ以上のことはむずかしかつた、こういうことでございます。  それから今久保田さんからのお話に、税金を納めておらぬ者には金を貸さないというようなことを国民金融公庫が言つておるというお話でありますが、これも今私は実はよくわかりませんが、そういうことは万ないと思います。万ないと思いますが、ただ一つだけ想像できますことは、納めるべき税金を滞納しておるとか、そういつたことでは事業自体の健全性が非常に疑われるから、そういうものについては、やはり事業の健全性を判断する一つの材料として、貸付の対象としては適当でない、こういつたことを申しておることがあるかと思います。これは想像であります。しかし大体租税を納めない人には、国民金融公庫は金を貸さないというようなことで国民金融公庫の運用がされているとは、私はまつたく考えておりません。かりにそういうことがあれば、それは非常に間違つたことであろうと思います。  なお国民金融公庫理事が見えておりますから、もしその辺のことにつきまして必要でございましたら、具体的にお話を願つたらいいかと思います。
  47. 最上孝敬

    ○最上説明員 ただいま銀行局長からお話のありましたと同じような趣旨で、租税の納入状態というようなことを私どもは貸付可否の判断の一つの基準にしております。企業自体が非常に苦しくて納められない場合、これも大いに考えなければならない。もう一つは納められる能力をお持ちになりながら、なお納めておられない、その方の、何といいますか、債務観念が薄弱だ、そう認められる場合がありますので、貸付決定の一つの重要なポイントにはしております。しかし納めない場合におきましては、万やむを得ない事情というようなものもなきにしもあらずでありまして、そういうときは、実際お貸付している例もあるのであります。機械的に租税を納めてないために貸さぬ、そういうふうに言い切れる状態にはなつておりません。
  48. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 今銀行局長から答弁していただきましたが、あなたの答弁を聞いておりますと、これが実情を知らない雲の上の考え方だと言うのです。実際において何年間商売をやつていた、そこで税金を納めていないというなら、今理事の方の答弁のようなこともありましよう。だがまだ税金を納めない、今年途中から商売して事業をやつて、その税金を納める時期が来ていないときに、困つてつて、その金を貸してくれと言うて来たときに、その税金があなたは納まつていない人だからというのが現実にあるのです。その現実にあるものを、あなたは今そんなことをしていないと言うのだが、それはどうなんだ。
  49. 河野通一

    ○河野政府委員 私は久保田さんにおしかりを受けるほど雲の上におるつもりはございません。今お話の問題でありますが、会社を新設した第一の事業年度である、それでまだ税を納めるかどうかわからぬ時期であるが、その途中において、税を納めるための納税資金国民金融公庫から借りるということに相なりました場合には、その納税資金を貸すことがいいか悪いか、これは私は相当の問題だと思います。国民金融公庫といたしましては、納税資金を貸すということは、これは国民金融公庫の性格からいつて必ずしも私は適当ではないと思います。今の御質問をもし私が聞き違えておつたら、またお答えいたしますが、そういう意味の御質問でありますれば、それは適当でない、こう申し上げざるを得ない。
  50. 植木庚子郎

    植木政府委員 先ほどの御質疑の中の、最近いろいろ問題になつております汚職に関連して動いている金が相当大きい、にもかかわらずこうした中小企業等への財政資金のまわし方が少いじやないかという意味の御質問と承りましたが、政府予算の使用の上におきまして、不法、不正なことが行われておるということがあるとしますれば、これはもつてのほかであります。さような事態があることに対しましては、これは十二分に政府当局として今後戒心して行かなければならぬ。また過去の問題についても、これについてその真相を十分明らかにして、責任を負うべきところには負わせるべきであると思います。しかしながら私の考えといたしまして、政府が正当に予算の使用をしておるのにかかわらず、その機会を利用して、そうして不正なことを別途に働く場合があり得るかと思いますが、こうした問題につきましては、その予算の正当な使用が、汚職その他不正なことが行われる原因にならないようにという努力はもちろんしなければならぬと思いますけれども、しかしこの点は、私はよほど考えて行かなければならぬと思うのであります。全体の計画といたしましては、なるほど中小企業その他にできる限り力を尽せという御意見はもつともでございまして、この点はわれわれもまつたく回感いたす次第であります。
  51. 春日一幸

    ○春日委員 金融のことをもう一つお伺いしたいのでありますが、その前に今の久保田君の御質問に関連いたしまして、その税金の滞納者に対して金融公庫が金を貸さないということは、これはただいまの公庫理事さんの御答弁によつても明らかな通り、この問題はなお解明されてはいないと思いますので、重ねてお伺いしたいと思います。公庫理事は、滞納をしておるこの事態は、その企業体が堅実であるかどうかを調査する重要な一つの資料であるということを言われておる。そういうことであれば、やはり滞納者はまず不適格者だ、こういう決定を受けることは必然でございましよう。そうすれば、やはり久保田君が指摘されたように、税金を完納しておるということが公庫の金を貸す場合の一つの条件になる。これは裏を返せばそういうことになるわけであります。そこで問題となつて来るのは、現在の国民の税金の滞納の状態がどうなつておるかということなのでありますが、これは昨日も私が本会議で質問した通り、とにかく八百四十万件、金額において千二十六億というような滞納が現実にある。そうすれば、この滞納がすべて不適格の一つの基礎になるものだとは考えないが、しかし今現実にその八百四十万件というような大きな滞納の件数があるということ、それがすなわち公庫が金を貸すという一つのキー・ポイントで、貸す貸さないになつて来るということであると、これは重大問題であると思う。私は、むしろ滞納者で税金が納められないというものの中には、いろいろ区別もあろう。中には横着で、とにかくずるくて納めれば納められる金があるのに納めないような人々に対しては、なるほど鑑別を願わなければならないが、しかしほんとうに資金梗塞で納める金がない。営々辛苦して経営を堅実にしながらもなおかつ納められない。日歩八銭の滞納手数料というようなものをいろいろ払いながら、なおかつ税金が払えないというような立場にあるものについては、これはまた別の角度から十分検討を願わなければならぬ。金があつてもなまけて払わないのか、ほんとうに金がないから滞納した、苦しさに耐えてなおかつ滞納の余儀なきに至つておるかということを判別するということは、私は今の公庫の若い行員の鑑別能力では的確に区別できないと思う。従つてほんとうに堅実な事業であり、しかもその人も信用に足る人であつても、やはり経営の苦しさから滞納の余儀なき事情にある者、これが横着者と一緒にされて、税金が滞納になつておるから、あなたはだめですといつて、十ぱ一からげに不適格者の中にほうり込まれる可能性は多分にあると思う。だから私が理事さんに申し上げたいことは、現在の公庫がその審査の一つの基準として考えておられる税金完納という条件には、あまり大きくウエートを置かないで、単なる軽い参考資料程度にしておかれて、そうして本年度においては、特に税金滞納が非常に激増しておる現状であるのだし、さらに本年度はデフレになつて、金まわりも悪くなり、滞納はさらにふえて来る。そうなれば公庫に申し込む人たちは、金もあり税金は一銭も滞納しないという人たちだけしか対象にしなくなる。特に融資によつて救済を受けなければならぬ人たちが、その資格を欠くことになるので、この点については十二分に御検討を願わなければならない。なお監督者の河野さんも、その事業計画書に目を通す場合には、強く影響力を与えていただきたい。現実には、久保田君が言われる通り、税金を納めているか納めていないか、納めていない人はだめだというように処理されておる。このことはさらに御検討をいただきたい。今、雲の上にいないと言われたけれども、雲の中におつて、五里霧中で何にもわからないのだ。もう一ぺん上つていただけばいいのだから、雲の中からおりて来て、もう一度十分御検討を願つて、事の真相をきわめていただくことを強く要望いたましす。なお、理事さんもそのつもりで、この問題については実情に即した処理を願います。  それから次は本筋の質問でありますが、金融難の問題であります。昨年の十二月八日でありましたが、今中小企業金融梗塞で非常に困つておるから、インフレの抑制は刻下の急務とは認めておるけれども、急激な金融引締めによる資金枯渇の現状をこのまま放置するときには、多数の中小企業者が倒産を余儀なくされることは必至と思う、従つて政府は、期限到来を相当延期すると同時に、新規の預託をしてくれということは、年末の金融対策として本委員会が決議したところであります。この決議に従つて、何がしの措置は講ぜられた。しかしながら、私どもがここに特に考えなければならないことは、この大企業に対して金融引締めが行われたとしても、大企業は信用力が非常に強いので、二重投資とか過乗投資というようないろいろな非難が加えられておるほど、金融は大企業に一辺倒であります。従つてこういうものが引締められたとしても、彼らは引締められるだけの余裕を持つておる、あるいはまた、この引締めに抗して何らかの資金を調達するところの実力を持つているが、中小企業は、こういうように政策で引締められて行つてしまうと、どんどん投げ出して行くよりしようがないのではないか。その傾向は、手形交換所における不渡り激化の徴候によつて十分看取できるところであります。二月末に到来するところの七十何億、三月末に到来するところの九十何億、この政府の預託が、六月まで延期されたということは、数日前新聞報道によつて私どもは知りましたが、この二つのものを合せたところで、現在百五十億程度のものでしかありますまい。昨年度中小企業の危機がいろいろとなえられておつたが、その当時、一月、二月、三月、四月、五月とずつと平均したところの政府の預託は、四百五十億から五百億を前後しておつたと思う。ところが本年度は、金融梗塞がさらに激化しておる。そして中小企業の危機は、昨年に比ぶべくもないほど深刻な様相を呈しておる。そこであなたの方は百五十億前後しか預託しないのか。新規預託のことについては、考えてもおられないような様子であるが、そうだとすると、結局あなたの方の金融抑制の施策のしわは、中小企業が一身に受けて行かなければならぬ。結局、彼らの破綻をもたらすや必至であります。そこであなたにお伺いしたいことは、なるほどインフレを押えて自立経済に行くためには、いろいろの施策が必要であるが、同時にそれに並行して、金融引締めも必要だという大綱はわかる。しかし、中小企業がもしそういうような破産、倒産というゼネラル・パニックに至るようなことがありとすれば、ただいま柴田君が指摘したように、中小企業は国の原動力である。産業において、大体その本体をなしておる。その本体そのものが非常な危殆に陥つては、自立経済という大目的はなかなか達成されるものではありますまい。そういうような意味において、まず中小企業に対しては、格別の措置が必要であろうと思うが、政府の預託は特に中小企業にウエートを置いて、この機会に、今こそその危機を回避することのために格段の措置が講ぜられる必要があると思う。昨年においては、平均四百五十億ほどを預託されても、なおかつ彼らの危機は解除し得ない。すなわち手形交換所の不渡りは、東京手形交換所だけでたしか五月が八百五十件、これがずんとふえて行つて、九月になつて一千件、十二月になつて千三百件というふうに、昨年はあなたの方が特別のいろいろな配慮を加えても、手形の不渡りがふえて行つたのです。本年度は百五十億という去年の三分の一程度の預託しかされていなくて、さらにこれを将来やめてしまうのだ、六月ごろには何となくやめてしまうのだというような方針が発表されておるが、さすれば、本年度においては昨年度の何倍かの金融梗塞で、これによつて受けるところの中小企業の危機は想像することができると思うのです。そこで何とか中小企業金融機関、たとえば相互銀行、あるいは信用金庫、信用協同組合、あるいは中金等があるでありましようが、これらの預託を少くとも昨年度程度にひとつ考慮してみる必要はないであろうか。これらの金融機関がいうところによりますると、その操作できる金は、大体彼らの総預金量の一割ないし一割五、六分程度のものであつて、大部分のものは長期貸付とか、焦げつきという形ではありませんけれども、それぞれの産業に投資されてしまつて、それが次から次へと操作ができなくなつて来る。新しい申込みがあつて貸し出し得るというのは、大体政府の預託されておるところの金額程度である。これを取上げられてしまうと、新規の申込みに対して貸し付けることができない。すなわち危機を回避するために金融機関に申し込んで来ても、政府がこれを取上げて行つてしまうということになれば、新規の申込みは全部拒絶して、古い人だけ、しかもそのわくが固定しておるので、このわくの操作だけをやるということで、実際金融機関としての円滑なる運営は期しがたい、こういうことを言つておりました。こういうことを言つてつたのは、政府が四百五十億程度を預託しておつた十月ごろであります。ところが現在三百億を徴収されてしまつたから、彼らの運営はもうぎくしやくしたものである。まるでリューマチスみたいなもので、歩くたびに関節がぎしぎし鳴るような状態で、円滑に動いておりません。一万田がどういうことを言つておるか、小笠原三九郎がどういうことを言つておるか知らぬけれども、中小企業に対する金融の問題は、きのうやおととい論じられ始めたことではなく、危機がもたらされてからずいぶん論じられて来ておる。そのために、政府は指定預金によつてこれを何らか緩和すべきであるということで、相当額を受出して、政府がこれに対して預託をして来たのだから、これをにわかにやめてしまうということは当を得たものではない。昨年度においてすら、月間四百五十億の預託をされておつたのだから、本年度も大体そのレベルを確保するために、政府は十二分の努力を試みるべきであると思うが、これに対して次官並びに河野銀行局長から、十分責任ある御答弁を願いたい。
  52. 植木庚子郎

    植木政府委員 政府が指定預金の引上げについて、十二分の考慮を払えという御意見のように承ります。まつたく仰せの通りでございますから、われわれとしましては、当初計画いたしました引揚げの計画よりもこれを緩和し、あるいは延ばしたりしておるのが現状でございます。なおこれが十分でないということも御指摘の通りだと思いますが、政府は財政金融引締めという基本政策とにらみ合せつつ、できる限り善処して参りたい、かように考える次第であります。
  53. 千葉三郎

    千葉委員長 委員長から銀行局長に一言お尋ねしたいのですが、この国会中においていかなる金融関係法案をお出しになるか、またいつごろお出しになるか、その点をはつきりさせていただきたいと思います。
  54. 河野通一

    ○河野政府委員 金融関係法案で今後提出予定いたしておりますものは、一つは外国為替銀行制度の整備に関する法案であります。これは現在法文の整理をいたしておりますから、おそらく来週早々には御提案できるのではないかと思います。それから金融機関再建整備法の相当大きな改正をお願いいたさなければなりません。これは主として外地から引揚げて来られた方々の持つておられる送金小切手、送金為替等のある程度の支払いを中心にした再建整備法の相当大きな改正をお願いいたしたい。これは目下法制局で条文の整理をいたしておる最中でございますが、非常に複雑な法律でありますから、できるだけ急いで出したいと思いますが、まだ数日を要するかと考えております。それからあと、組合保険、協同組合等によつて行われております共済事業等の保険事業を、ある程度一つの独立の法案として監督の規定その他を整備すべきではないかということで、前々国会以来議員提案によつて提案になつております法案に対して、私たちといたしましては、これについて相当大きな修正を加えていただくか、あるいはそれがもし可能でない場合におきましては、政府から別途御提案するか、そういつた問題が現在ございます。これは提案者であられる議員の方々と現在お打合せ中でありますので、その結果によりましては、政府提案として皆様の御審議をお願いすることになるかとも考えております。  さらに根本的な問題といたしましては、これは言葉は非常に悪いのですが、いわゆるオーバー・ローンと言われておることの対策の問題でございます。この問題を本国会法案として御提案申し上げる段階に参りますかどうか、現在いろいろ検討を加えておる最中でございますので、まだはつきりしたことは申し上げられませんが、政府として結論が出ましたならば、なるべくすみやかに御審議をいただくことにいたしたいと考えております。  それから、大蔵大臣が財政演説の中において、今後の経済の推移に応じて、金融機関における預金者の保護についての特別の措置を考えて参らなければならぬということを申し上げておるのでありますが、これは資本蓄積促進して参りますためにも、どうしても必要なことでありますが、この問題についてどういう措置をとるべきかにつきましても、目下検討いたしております。この点は非常に大きな問題でありまして、実はまだ政府部内におきまして結論を得ておりません。今後におきまして、先ほど申し上げましたいわゆるオーバー・ローン対策の問題と同様に、政府の結論が出ましたら、なるべくすみやかに御審議をいただくような運びにいたしたいと考えております。  その他、二、三ごく技術的な点で法律改正を要するものがあるかと思いますが、大した問題でないので、省略いたしたいと思います。
  55. 千葉三郎

    千葉委員長 やみ金融の問題はいかがですか。
  56. 河野通一

    ○河野政府委員 非常に大きな問題を落しましたが、これは現在法制局で最終的な条文の整理をいたしております。政府部内の手続といたしましては、大体来週火曜日の閣議においてこの法案の決定をいたしたいと考えております。それができましたら、すみやかに御提案申し上げたいと考えております。ただこの法案は、先般も金融委員会で申し上げたかと思うのですが、雑多な規定がたくさん入つております。従いまして、法務省と大蔵省の共管で御提案を申し上げることになろうと思います。条文ごとにその主管すべき事柄が、あるいは法務省の所管になるべきもの、あるいは大蔵省の所管になるべきものと、いろいろございますので、御提案を申し上げた後において——これが当委員会にかかりますか、あるいは法務委員会にかかりますか、その点は国会の方でおきめ願うことになると思いますが、来週の火曜日の閣議で決定いたしたいと考えております。
  57. 千葉三郎

    千葉委員長 当委員会としましては、金融関係法案は公聴会を開きまして慎重を期したいと思いますから、なるべく早く御提出のほどお願いしたいと思います。
  58. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は銀行局長に資料の要求をしたいと思います。次会において、中小金融対策について政府の所見を伺いたいと思いますので、それに関連しまして、全国各府県別に相互銀行、信用金庫、できれば信用組合も加えていただいて、その数と、大体の資金量と申しますか、その内訳を拝見できれば非常にけつこうと思いますから、お願い申し上げておきます。
  59. 千葉三郎

    千葉委員長 本日はこれで散会いたします。    午後零時五十八分散会