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市川参議院議員 ただいま
議題となりました
公職選挙法の一部な
改正する
法律案につき、そめ
提案理由及び
内容のあらましを御
説明いたします。
政界の腐敗は
政治と金との
結びつきに由来し、そして
選挙のために巨額の
運動費用を調達しようとすることがこのような
結びつきの生ずる大きな原因一の
一つをなしているのであります。そこで、金のかからない
選挙ということが前から唱えられて来ましたが、残念ながらその実が上
つていないのであります。これは根本的には
選挙民の自覚のいかんにかかる事柄ではありますが、ここに
公職選挙法を
改正して、いわゆる
連座規定々強化し、あわせて、いわゆる
公民権の停止をきびしくして、
法律の面から
選挙を公団にし、
政治と金との悪因縁を断ち切る
一大原動力としてようと思うのであります。
御
承知のように、
現行法は、金のかからない
選挙を目ざして
選挙運動費用の最高限度を法定し、この制限額を越えて支出したとき、及び出納
責任者が収支報告書
提出義務違反により処刑されたときには当選を無効とし、また、
選挙の適正を期するため、当選人の
選挙犯罪及び総括主宰者の買収事犯に対しても当選無効をも
つて臨み、さらに
選挙犯罪により処刑された君に対しては
選挙権及び被
選挙権を定期間停止することとしているのであります。しかし、前者の当選無効にはいわゆる免責
規定があり、後者のいわゆる
公民権停止には、裁判所が情状によ
つてま
つたく停止せず、または停止期間を短縮することができる旨の
規定が付されているのであります。
従つて、右の
理由により当選無効は、当選人自身の
選挙犯罪の場合は言いのがれがきかないので別といたしまして、いわゆる連座の場合は、
選挙運動総括主宰者や出納
責任者の
選任監督につき相当な注意がなされていなか
つたこと等が立証されて初めて当選人の当選が無効となるのであり、しかもその立証は事柄の性質上甚だしく困難でありますので、この
連座規定は骨抜きに
なつているのであります。そこで、このいわゆる免責
規定を削除することとにより連座制の
趣旨を実効あらしめるとともに、出納
責任者の買収事犯をも当選無効原因に加えようとするのが
改正の第一点であります。
こうすることによ
つて、実賃的にはみずから制限超過支出や買収をやりながら、
選挙運動総括主宰者や出納
責任者の
選任監督につき相当な注意をしたという言いのがれをすることによ
つて、一切の
責任をこれらの者に負わせて、みずからは免れて恥なしということはできなくなるわけであります。しかし、反面、これらの者の
選任及び監督につき深い注意を払
つていたのに、これらの者により制限超過支出や買収が行われ、その結果当選入がその当選を失うことになる場合もあり、当選人には気の毒なようではありますが、これは、いわばその当選人の
選挙運動のためのチームの首脳部が
選挙運動のルールに違反したものであり、そのチーム々失格とすることは、このルールの遵守を保障するためには許されるべきであると
考えるのであります。さらに言うたらば、これらの違反行為がたか
つたら、当選人は当選していなか
つたかもしれないのであります。
改正の第二点は、いかなる情状があろうと、いわゆる
公民権停止の
規定を適用しないことはできないものとし、また停止期間の短縮についても、
現行法により認められている短縮期間をその二分の一を限度とすることに改めたことであります。もともとこの
公民権停止の
規定は、
選挙犯罪者を一定期間
選挙から遠ざけることにより
選挙の公正の確保に資するためのものでありますが、この
趣旨を徹底させようとするものであります。なお、これまでは、その
選挙以外の
選挙による
公職にある者、たとえば国
会議員の
選挙の際に、地方議会の議員が
選挙違反により処刑されたときにも、裁判所による
公民権停止
規定不適用の宣告によりその
公職の地位を失わないことができましたものを、これによりそのようなときは必ずその
公職の地位を失うことになり、この面からこれらの者の
選挙違反を防ぐ効果も期待しております。
これらの
改正の諸点は、
昭和廿七年の夏結成されました
公明選挙連盟の主張して来たところでありますし、また自治庁が去る十五
国会及び今
国会に
提出しました
公職選挙法の
改正に関する
意見の中にも取上げられておるところであります。また、今次の汚職事件の続発から、一般世論もこの連座制の制化等による
選挙の
公明を強く要望しておりますので、何とぞ慎重御
審議の上すみやかに可決されるようお願い申し上げ。