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1954-03-09 第19回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月九日(火曜日)     午後二時二十七分開議  出席委員    委員長 森 三樹二君    理事 大村 清一君 理事 田嶋 好文君    理事 綱島 正興君 理事 高瀬  傳君    理事 島上善五郎君 理事 竹谷源太郎君       尾関 義一君    羽田武嗣郎君       中川 俊思君    中嶋 太郎君       並木 芳雄君    飛鳥田一雄君       石村 英雄君    加藤 鐐造君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         議     員 中村 高一君         参議院議員   市川 房枝君     ――――――――――――― 三月四日  政治資金規正法の一部を改正する法律案中村  高一君外十九名提出衆法第一〇号) 同月六日  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)  公職選挙法の一部を改正する法律案市川房枝  君外一名提出参法第五号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件政治資金規  正法の一部を改正する法律案中村高一君外十  九名提出衆法第一〇号)  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)  公職選挙法の一部を改正する法律案市川房枝  君外一名提出参法第五号)(予)     ―――――――――――――
  2. 森三樹二

    森委員長 これより会議を開きます。  最初に、去る四日本委員会に付託されました政治資金規正法の一部を改正する法律案中村高一君外十九名提出衆法第一〇号を議題として、提出者中村高一君より提案理由説明を聴取いたします。中村高一君。     ―――――――――――――
  3. 中村高一

    中村高一君 ただいま本委員会に付託されました政治資金規正法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  政治公明かつ適正次を確保するために、政党その他の政治団体に対する政治献金あるいは寄付につきまして適切な規正を行うことの必要なること、今日ほど痛切に感じられるときはないと思うのであります。  現行法規のもとにおきましても、すでに、公職選挙法により、国と請負その他特別の利益を伴う契約当事者が、選挙に関して寄付をすること々禁止し、また選挙に関して匿名の寄付または本人名義以外の名義を用いて行う寄付等を行うことを一切禁止しており、さらに、政治資金規正法におきましては、政党その他の政治団体に対し右のような寄付をすることを禁止しているのであります。しかしながら、これらの規定は、選挙に関しという条件が付せられておりますとともに、特別の利益を伴う契約当事者というような解釈についても疑義なしとしないわけであります。従いまして、これらの点について再検討を加え、さらに国から特殊の利益または援助を受ける等国に対し特殊な関係にある会社その他の法人から政党等に対して行われる政治献金を禁止することが、現下の事情にかんがみ、政治公明化を期する上において特に緊要と考えられるのであります。  右のような理由に基きまして、次の点について適切な措置を講じようとするものであります。  まず、国が直接または間接に補助金助成金等を交付し、または利子補給損失補償等財政援助を与えている会社その他の法人、あるいは国が資本金を出資し、または借入金の元金、利子を保証している会社その他の法人、あるいは国または公共企業体と特別の利益を伴う契約当事者である会社その他の法人等から政党等寄付を受けることができない旨を規定することとしたのであります。  次に、政党等が、右のような会社その他の法人からだけでなく、これらを主たる構成員とする団体またはその連合体からも寄付を受けることを禁止することとしたのであります。  さらに、右の会社その他の法人またはこれ等の団体もしくは連合体から、その禁止に反して政党等寄付を受けた場合において、何人がその責任を負うべきかについて規定を設け、この場合においては、政党等代表者または主幹者会計責任者その他の責任者当該違反行為をした者は処罰されることとしたのであります。  以上のような点につきまして政治資金規正法の一部に所要の改正を加えるため、この法律案提出したのであります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことなお願いいたす次第であります。
  4. 森三樹二

    森委員長 質疑があればこれを許します。綱島正興君。
  5. 綱島正興

    綱島委員 ただいまお読み上げになつておるのを見ると、個人というのは抜けておりますが、個人についてはどういう御趣旨ですか。
  6. 中村高一

    中村高一君 それは出す方ですか。
  7. 綱島正興

    綱島委員 出す方です。
  8. 中村高一

    中村高一君 これは国家から特殊な利害関係を持つたものに限りますから、個人に対する場合はそういうような対象にしておらないわけであります。
  9. 綱島正興

    綱島委員 請負師などは個人がありはしませんか。
  10. 中村高一

    中村高一君 そういう場合にも、公職選挙法とかあるいは政治資金規正法等におきましても、従来も個人に対しては、何らの処罰も、そういう規定がありませんので、今度もそういう個人については対象にいたしておらないのであります。
  11. 高瀬傳

    高瀬委員 これは趣旨はなかなかけつこうでありますけれども、たとえば教員組合とか労働総同盟とか、そういうふうな団体は非常にたくさんの金を擁して、大きく言えばそれこそ一億とか二億。それで、この前の選挙のときに、三千万円ですか左派社会党の諸君に教員組合寄付した、こういうようなことはこれで一体規正できるのですか。
  12. 中村高一

    中村高一君 これは国から特別の金銭的な関係とかあるいは特殊な利益を受ける契約当事者というような場合だけでありますから、労働組合等はそういうような関係がありませんから、これには規定しておりません。
  13. 島上善五郎

    島上委員 今の綱島君の質問に多少関連するわけですが、この御説明では個人は全然入つておりません。たとえば飯野海運社長社長個人名義寄付する。これで行くと会社としては寄付することができない、こういうことになるが、社長あるいは専務取締役ということで寄付するというような場合は、これだと全然抜け道があるように思われますが、その点は何かお考えなつておりますか。
  14. 中村高一

    中村高一君 それは個人についても政治資金規正法の中にも援用してありますけれども、公職選挙法の方には「請負その他特別の利益を伴う契約当事者である者」としてありますから、その場合には法人という関係がありませんから、これではさしつかえないことになつております。――今の御質問の場合は、現在の公職選挙法政治資金規正法の中で、やはり個人はいけないことになつております。それは公職選挙法の第百九十九条第一項第二号に「請負その他特別の利益を伴う契約当事者である者」、これは別に法人とか個人とかいうことになつておらない。現行法では禁止してありますから、今度の改正はその足りない点だけな補充した関係なつております。
  15. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今の百九十九条の「請負その他特別の利益を伴う契約当事若である者」というのは、そういう契約をする当事者会社ないしは団体である場合が多くて、今島上さんの質問せられたのは、そういう当事者である会社主要構成員個人の資格で寄付をする場合にはどうかという質問なのですか、今度の改正でにとうなるのですか。
  16. 中村高一

    中村高一君 ただいまの御質問に対しては、現在の公職選挙法でも、本人名義以外の名義な用いた寄付はいけないことになつておりますから、もし実際は会社の金であるのを、本人の金だというようにごまかして寄付をしたという事実がわかれば、これは処罰対象になると思いますけれども、その会社関係なく個人寄付したものは、どうも今度の法律には対象なつておりません。しかし、社長が実は会社の金を持ち出しておりながら、社長個人寄付をしたとすれば、本人名義以外の名義を用いた寄付ですから、これは処罰できるわけです。
  17. 島上善五郎

    島上委員 それはまさにその通りですが、しかし、会社が、飯野海運社長に、非常に功労があつたから一千万円特別賞与をやるということにして、特別賞与なやつて、もらつたとたんに、もう個人のものですから、その一千万円を献金するということになれば、今の事項に抵触しないということになるわけですね。それはやはり一種の巧妙なのがれ道があるということになるのではないですか。
  18. 中村高一

    中村高一君 この法律ではそこまでは書いてありませんけれども、法律の裏をくぐるようなことを実際にやられる場合があるかもしれませんから、それはよく御審議の上、必要があつたら大いに厳重にしてもらう分にはわれわれ大賛成であります。大いにひとつ厳重にしていただきたいと思います。
  19. 島上善五郎

    島上委員 もう一つ質問があります。政党等という言葉が二、三使われていますが、法律の条文ではどういうことになつているか存じませんが、政党等とは、たとえば、今度の有田君の場合に、おれは知らぬ、有田後援会がもらつたのだ、こう言つておりますが、政党等という「等」の中にはこのような後援会というようなものも含まれるものと解釈してよろしいかどうか。
  20. 中村高一

    中村高一君 政党等の中に、政党協会その他の団体またはその支部を含むのでありますから、後援団体というようなものが政治団体でありますれば含まれると思いますが、後援会というような場合はこの法律には含まれないと思います。
  21. 島上善五郎

    島上委員 後援会政治団体であるかないかということは、これは議論があるところでしようが、私どもの聞き及んでいるところでは、今まで、選挙等に際して、後援会政治団体として届けた実例も聞いたことがないし、政治資金規正法による届出をした例も聞いたことがないわけであります。しかし、実際には、たとえば某後援会は某君の選挙に大いに活躍する、二百五十万円ないし五百万円受けた金はその選挙に使われる、こういう実体であろうと思うのです。(「具体的な名前を出すなよ」と呼ぶ者あり)実際は、そういうふうに、後援会で受けた資金が特定の人に使われるということになりますれば、それをふさがぬことには、大きな抜け穴があけてあるということになりますが……。
  22. 中村高一

    中村高一君 これは現在の政治資金規正法の第三条の第二項に、「この法律において協会その他の団体とは、政党以外の団体政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対し、又は公職候補者を推薦し、支持し、」という言葉があるのです。「公職候補者を推薦し、支持し、」これに当るのだと思います。「若しくはこれに反対する目的を有するものをいう。」と言うておりますから、やはりこの政治資金規正法対象になると思います。後援会というのはやはりこの支持の中にあるから、三条で取締りができると思います。     ―――――――――――――
  23. 森三樹二

    森委員長 それでは、この際小委員会設置についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案審査するため、政治資金規正法の一部を改正する法律案審査小委員会設置いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 森三樹二

    森委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  小委員の数、小委員及び小委員長選任につきましては委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 森三樹二

    森委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  それでは、小委員の数は十一名とし、小委員に    森 三樹二君 大村 清一君    鍛冶 良作君 高橋 英吉君    田嶋 好文君 綱島 正興君    河野 金昇君 中嶋 太郎君    島上善五郎君 鈴木 義男君    竹谷源太郎君以上を小委員に、小委員長森三樹二を指名いたします。     ―――――――――――――
  26. 森三樹二

    森委員長 去る六日本委員会に併託されました公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出第七五号の提案理由説明を聴取いたします。塚田国務大臣
  27. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその内容概略を御説明いたします。  教育委員会委員につきましては、御承知ごとく、二年ごと半数ずつを改選する制度がとられておるのでありますが、このようにいたしましたのは、教育委員会発足の当初におきまして、選挙ごと委員が一斉に交代することに伴つてもたらされる施策の急激な変化を回避することを主眼としたものと考えられるのであります。しかし、今日におきましては、教育委員会制度発足以来すでに六年を経過いたしており、その運用の経験にかんがみますときは、そのような観点から半数改選制度を維持することは、積極的理由に乏しいと考えられるのみならず、現在の地方公共団体選挙におきましては、他に半数改選制度をとつているものがありませんので、これに対する選挙民の理解が薄く、投票の熱意をそぐこととなつて、選挙民の意思を十分に反映することができないうらみもあるように見受けられるのであります。政府といたしましては、これらの事情検討し、かたがた地方財政上の負担軽減一助ともなることを考慮いたしました結果、教育委員会委員半数改選制度を四年ごとに一斉に改選することに改めることとし、ここにこの法律案提出いたした次第でございます。  次に、法律案内容概略について御説明申し上げます。  公職選挙法第三十三条の改正は、教育委員会委員半数改選制度を廃止して四年ごとに一斉に改選することとするためのものであります。公職選挙法のその他の規定改正は、これに伴い、定例選挙の期日、繰上げ補充及び補欠選挙等について技術的な規定整備をいたしたものであります。  附則第二項の規定は、教育委員会の現在委員のうち、任期満了が早く到来する半数委員任期を二年延長するものであります。これによつて現在委員全員任期満了を同一時期となるようにし、次の選挙からは一斉改選が行い得るようにいたしたのであります。  附則のその他の規定は、必要な経過措置及び関係法令整備であります。  以上がこの法律案提案理由並びにその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださらんことをお願いいたします。
  28. 森三樹二

    森委員長 質疑があればこれを許します。
  29. 高瀬傳

    高瀬委員 塚田長官に伺いますが、一体政府は、教育委員会制度に対して、こういう理由任期を延長する、選挙を延ばすということを言われておりますが、教育委員会そのものについて将来存続をするのかあるいはこれを廃止するのか。教育委員会存否についてにいろいろ論議されておりますが、これについて政府の所見を伺つておきたい。
  30. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は、政府の今日の段階においての決定的な意見は、所管大臣である文部大臣からしばしばの機会にお答え申し上げた通りでありまして、これを育成して行くという考え方であります。しかし私は、地方財政担当者といたしまして、教育委員会というものを今後存続さして行くかどうかという点につきましては、個人意見としては、かなり問題点があるというように考えております。しかし、そういう意見ももちろん考慮いたしました結果、ただいまの段階においては、政府としては先ほど申し上げたような考え方なつておる、このように御了解を願います。
  31. 高瀬傳

    高瀬委員 そうすると、この教育委員会制度存否については政府も多少意見があつて、その存否について確たる決定的意見に到達しておらないために、一応来るべき教育委員会委員選挙を二年延ばす、従つて政府としては多少の疑義な勉強しつつ、教育委員会制度というものをあと二年間延ばして、その剛にその存否な研究するという意図もあると了承してよろしいのですか。
  32. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 先ほどお答え申し上げました意味をそのようにおとりいただいては困るのでありまして、ただいまの考え方は、これは提案理由で御説明申し上げたような考え方から、委員任期を延ばすというようにいたしたのであります。そうしてまた、教育委員会そのもののことをどう考えるかということは、先ほどお答えした通りでありますが、ただ、部内におきまして、と申しましても主として私が地方財政という観点からの考え方として異論もある、こういうように御了承願いたいと思います。
  33. 高瀬傳

    高瀬委員 せつかく塚田長官提案理由説明でありますけれども、どうもこれだけの理由では提案理由がすこぶる論拠薄弱で、われわれはとくと納得しかねるのであります。ただいま私が伺つたような、教育委員会制度存続そのものについて政府は多少の疑義を包蔵しているが、まあここでいたずらなる風波を起してもしかたがないから、二年間選挙を処ばして、その間に研究しようとでもいう理由ならばよくわかるのですが、ただいま提案理由にあるような理由では、この重大な選挙法でちやんときまつておるところの教育委員任期な、今度はまた国会選挙法改正して二年延ばすというのでは、はなはだ論拠が薄弱であるように私は了承するのです。これは非常に重大であろうと思います。
  34. 中嶋太郎

    中嶋(太)委員 私は市長をやつてつたのですが、市町村教育委員会昭和二十七年までは処期されておつた。これをどうするかということが問題になつておりましたが、その時分に、当同においても大体これはもう一ぺん考え直そうという意向があつて、その準備をしておられたところに解散になつて、そのままに二十七年の何月何日が来て、期限が来たからそのまま発動して、今の市町村教育委員会発足しなければならぬということになつてしまつた、そこで文部省あたり意見あとから聞きますと、せっかく公選になつて出た人たちがおられるところに、今これをいじるということは当局者としても慎重にしなければならぬので、言い出すことは何だから、そのままこれは存続するという一応の建前として対処するわけである、こういうふうな気持のように一応察しておりましたが、これなまた今度は年限を延ばすということになりますと、これは教育委員会制度市町村のような小さいところまで置くことがよいか悪いかということを議論することもだんだん制限されたような立場になると思います。その辺の、教育委員会制度がはたして市町村に適当であるかないかということにも、私たちはまだ大きな疑問を持つておりますが、その見通しもまだきまらないところにまた延長するというのはいかがなものでありますか。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 いろいろお話を伺つておりますと、私が先ほど申し上げましたように、地方行政担当長官としてやはり若干疑問の点を持つておるとお答え申し上げた気持と非常に似通つている点があるのではないかと考えられるわけであります。問題が非常に微妙な問題でありますだけ、政府部内におきましても、またおそらく国会側におきましても、各人各様にいろいろなお考えがあるように考えられるのであります。しかし、政府といたしましては、どこまでも、先ほどお答え申し上げました通り教育委員会については存続育成、それからその前提に立つて提案理由説明で申し上げましたような理由委員任期半数改選をやめて全部一斉改選にしよう、こういうような考え方であると御了承願いたいと思います。
  36. 島上善五郎

    島上委員 委員の一斉交代をすることによつて施策の急激な変化を回避することを主眼として半数交代にしたものである、ところがその必要もだんだんなくなつて来た、これを理由一つにしておりますが、私は、それはどうも必ずしも適当な理由ではなくて、むろかたがた地方財政負担軽減一助にするということを中心に考えているのではないかという気がするのです。もしそうだとするならば、今中嶋さんの御質問にありましたように、現在の市町村や特別区の教育委員会は、一体ぜひ置かなければならぬほど必要であるかどうかという疑問が相当あるわけです。市町村及び特別行政区の教育委員会はもう不必要ではないか、もしくは任意設置制にして、どうしても必要だというところだけ設置させるようにしたらどうかという意見もあるくらいで、そういう問題に対して根本的な検討々加えないで、長官自身が若干疑問があると言われているくらいの問題に対して、検討を加えないで、単に任期だけを二年延ばして行こうというようなことは、あまりにも一時的な間に合せ的なやり方のような気がしますが、その点もう少しはつきりとお答え願いたいと思います。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは、本質的な御議論になれば、おそらく先ほど申し上げましたように、いろいろな御意見があると考えられるわけであります。しかし、今の政府考え方としては、繰返して申し上げますように、これは育成存続して行くのだ、そういう考え方に一応結論が統一されており、その考え方従つております。従つて、今の段階では、そういうような問題を取上げるというところまでまだ行つておらぬわけであります。なお私としても若干疑問が存しておりますので、今後のいろいろな研究の結果をまつて、おそらく政府においても検討する段階が来るかもしれません。しかし、現在のところでは、先ほどから繰返して申し上げますように、政府意見は一応決定をいたしておるわけであります。
  38. 島上善五郎

    島上委員 地方財政負担軽減主眼のような気がしますが、どうですか。もしそうだとするならば、委員会設置そのものをやめてしまえば負担軽減 はもつと軽くなるわけです。この説明書によると、今まで半数改選にした理由がだんだんなくなつて来た、かたがた地方財政負担軽減、こう言つておりますが、どうも私の感じでは地方財政負担軽減が主であるような気がしてならぬわけですが、その点々もう一ぺん……。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点もここに書いてある通りでありまして、地方財政負担軽減は一半の理由であると、こういうふうに御了承願いたい。もちろん、地方財政担当いたします私としては、地方財政の今日の窮状、ことに町村の財政窮状考えまして、なるべく金のかからないということ々強く望んでおるのでふります。しかしまた国民の立場として考えますと、ある制度があつてほしいという場合には、それに対しては金がかかるということもこれはやむを得ないことじやないか。しかし、その制度存続するにしても、別な方法で幾らかても金をかけないでこの制度存続ができるということがあるならば、それはそうする方が一層けつこうじやないかというような考え方から、この半数改選をやめて一緒にするということになつたわけでありますから、提案理由説明申し上げている通り、これだけの理由でこの考え方が出て参つたのではない、こういうふに御了解願いたいと存じます。
  40. 森三樹二

    森委員長 ではこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  41. 森三樹二

    森委員長 さらに、去る六日本委員会予備審査のため付託されました公職選挙法の一部を改正する法律案市川房枝君外一名提出参法第五号を議題として、提案者より提案理由説明を求めます。参議院議員市川房枝君。     ―――――――――――――
  42. 市川房枝

    市川参議院議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部な改正する法律案につき、そめ提案理由及び内容のあらましを御説明いたします。  政界の腐敗は政治と金との結びつきに由来し、そして選挙のために巨額の運動費用を調達しようとすることがこのような結びつきの生ずる大きな原因一の一つをなしているのであります。そこで、金のかからない選挙ということが前から唱えられて来ましたが、残念ながらその実が上つていないのであります。これは根本的には選挙民の自覚のいかんにかかる事柄ではありますが、ここに公職選挙法改正して、いわゆる連座規定々強化し、あわせて、いわゆる公民権の停止をきびしくして、法律の面から選挙を公団にし、政治と金との悪因縁を断ち切る一大原動力としてようと思うのであります。  御承知のように、現行法は、金のかからない選挙を目ざして選挙運動費用の最高限度を法定し、この制限額を越えて支出したとき、及び出納責任者が収支報告書提出義務違反により処刑されたときには当選を無効とし、また、選挙の適正を期するため、当選人の選挙犯罪及び総括主宰者の買収事犯に対しても当選無効をもつて臨み、さらに選挙犯罪により処刑された君に対しては選挙権及び被選挙権を定期間停止することとしているのであります。しかし、前者の当選無効にはいわゆる免責規定があり、後者のいわゆる公民権停止には、裁判所が情状によつてつたく停止せず、または停止期間を短縮することができる旨の規定が付されているのであります。従つて、右の理由により当選無効は、当選人自身の選挙犯罪の場合は言いのがれがきかないので別といたしまして、いわゆる連座の場合は、選挙運動総括主宰者や出納責任者選任監督につき相当な注意がなされていなかつたこと等が立証されて初めて当選人の当選が無効となるのであり、しかもその立証は事柄の性質上甚だしく困難でありますので、この連座規定は骨抜きになつているのであります。そこで、このいわゆる免責規定を削除することとにより連座制の趣旨を実効あらしめるとともに、出納責任者の買収事犯をも当選無効原因に加えようとするのが改正の第一点であります。  こうすることによつて、実賃的にはみずから制限超過支出や買収をやりながら、選挙運動総括主宰者や出納責任者選任監督につき相当な注意をしたという言いのがれをすることによつて、一切の責任をこれらの者に負わせて、みずからは免れて恥なしということはできなくなるわけであります。しかし、反面、これらの者の選任及び監督につき深い注意を払つていたのに、これらの者により制限超過支出や買収が行われ、その結果当選入がその当選を失うことになる場合もあり、当選人には気の毒なようではありますが、これは、いわばその当選人の選挙運動のためのチームの首脳部が選挙運動のルールに違反したものであり、そのチーム々失格とすることは、このルールの遵守を保障するためには許されるべきであると考えるのであります。さらに言うたらば、これらの違反行為がたかつたら、当選人は当選していなかつたかもしれないのであります。  改正の第二点は、いかなる情状があろうと、いわゆる公民権停止の規定を適用しないことはできないものとし、また停止期間の短縮についても、現行法により認められている短縮期間をその二分の一を限度とすることに改めたことであります。もともとこの公民権停止の規定は、選挙犯罪者を一定期間選挙から遠ざけることにより選挙の公正の確保に資するためのものでありますが、この趣旨を徹底させようとするものであります。なお、これまでは、その選挙以外の選挙による公職にある者、たとえば国会議員の選挙の際に、地方議会の議員が選挙違反により処刑されたときにも、裁判所による公民権停止規定不適用の宣告によりその公職の地位を失わないことができましたものを、これによりそのようなときは必ずその公職の地位を失うことになり、この面からこれらの者の選挙違反を防ぐ効果も期待しております。  これらの改正の諸点は、昭和廿七年の夏結成されました公明選挙連盟の主張して来たところでありますし、また自治庁が去る十五国会及び今国会提出しました公職選挙法改正に関する意見の中にも取上げられておるところであります。また、今次の汚職事件の続発から、一般世論もこの連座制の制化等による選挙公明を強く要望しておりますので、何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決されるようお願い申し上げ。
  43. 森三樹二

    森委員長 質疑があればこれを許します。
  44. 島上善五郎

    島上委員 私はこれはまことにけつこうなものだと賛成しておりまするが、この連座規定のいわゆる出納責任者もしくは総括主宰者が買収、饗応等によつて処刑された場合、こうになつておりまするが、それ以外のことをお考えなつていないかどうか。たとえば、総括主宰者もしくは出納責任者ではないけれども、候補者から金が出て、その金で買収、饗応があつたことが明らかであるという場合には、それも連座する、それによつて処刑された場合には連座するというふうに行くことがいいのではないかと私は考えておりますが、その点はどのように考えておりますか。
  45. 市川房枝

    市川参議院議員 連座の強化という意味の中には、なおいろいろな点があると思うのです。御指摘のような点もありましようし、単に買収等でなく、その他の選挙違反も連座させるということも考えられると思います。しかし、この法案には、現行法を拡張することなく、大体現在そのままを踏襲してその免責規定をはずした、それをやめたということ、ただ拡張したと申しますれば、今お話がありました出納責任者連座規定はいわゆる出納の報告に関する違反だけでありましたのを、買収その他の総括主宰者と同じ選挙違反の場合にも連座せしめるという一点だけが拡大されているのでありまして、あとは現状のままにしたのであります。これは、私個人から言えば、あるいは選挙公明にするという点から見ますれば、なお拡張の必要があるだろうと思いますけれども、最小限度といいますか、なるべく現行法をそのままにしてという立場から範囲を非常に限つたわけでございます。
  46. 島上善五郎

    島上委員 それから公民権停止の件に関してですが、御承知のように、かつてイギリスにおいては、候補者本人がやつた場合は十年間、総括主宰者、出納責任者等がやつた場合でも五年間公民権を停止して、立候補も選挙運動もできないという、かなり峻厳な措置をとつたことがあるように承知しておおります。私も、この際連座規定を強化するならば、期限についてもそのくらい思い切つた措置をとる必要があるのではないかというふうに考えておるわけですが、期限については現行法でよろしいというお考えなんでしようか。
  47. 市川房枝

    市川参議院議員 公民権停止の期間につきまして、今の現行法よりももつと重いくらいにしたいという御意見は私はたいへんうれしく思うのでありますが、現行法は五年と十年になつておるわけでございます。ところが、裁判官の宣告によつて停止をしないことができるということになつて、実際問題としてはほとんど停止をしていないといいますか、かなり重い禁錮の刑なんかに処せられましても、停止をしないのが実情であります。そこで、この案では、二分の一を限度として裁判官が宣告をし得る。ですから五年のは二年半、十年のは五年まで、これは情状によつて裁判官がその期間を宣告する、こういうことにしたわけでございまして、これもある意味においては非常に緩和しておるわけであります。
  48. 島上善五郎

    島上委員 それではもう一点お伺いしたいのですが、出納責任者もしくは総括主宰者が買収、饗応等の事犯によつて逮捕状が発せられても、現在は逃亡しておると、一定期間がたつと時効になつてしまう。現にそのような事例があつて、世間の擬歴を買つておるわけですが、この逃亡期間をもつと延長するということについて何かお考えなつていないかどうか。
  49. 市川房枝

    市川参議院議員 今の御質問のように、私は延長したらいい、この実は考えておりますが、この法律ではその点には実は触れておりません、皆さんの御審議で私の提案いたしましたこの法律よりももつとそういう観点まで加えて御修正をいただければ、なおけつこうだと思います。
  50. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 ちょつとお尋ねしますが、今御説明のありました改正案の趣旨とする金のかからない、きれいな選挙を行うために連座制を強化する。これはむろんわれわれ賛成でございまして、すでに去年の解散前の国会におきまして、この御提出になりました改正案よりもはるかに強い罰則の強化並びに連座制の強化に関する規定を含んだ改正案をわが党が出しましたが、これは少数で否決になつたのでございますが、提案者はこの金のかからないよい選挙が連座制の強化だけでできるとお考えか。その他いろいろ関連した問題もあろうかと思いまするが、そういう点についてこの改正案は全然触れておらないようでありますが、その他の問題に触れないで、連座制の強化だけで公明選挙が期待し得られるかどうか、それについての御意見を承りたいと思います。
  51. 市川房枝

    市川参議院議員 もちろんこの連座制の強化だけでは期待できないと思います。それこそきよう議題となりました選挙費用の問題の規制、政治資金規正でありますか、その問題なども非常に重要な問題だと思いますし、それから前にお質問のありました逮捕期間のもつと延長とか、あるいは選挙運動のいろいろな内容、たとえばトラックを使うことを許すかどうか、トラックを使わないことにすればそれだけ費用が減るわけでございますし、いろいろな点に関連があると思います。しかし、この案は、そういう点に触れますとなかなかいろいろな問題が出て参りますし、少くとも一応この法律の建前としては、連座になつておる、金がかからない選挙をするような建前に現在の公職選挙法なつておりながら、それが、但書といいますか、いわゆる抜け穴によつて実際は行われておらない。この連座規定選挙法に載せられましたのは、大正十四年の普通選挙法が制定されましたときから入つておるそうでございます。そうしてやはり抜け穴もそのときからついておるそうでございますけれども、今日までいわゆる連座によつて当選人が失格したという例はないそうであります。まああつてもなくてもよろしいようなことになるわけであります。この際せひ法律趣旨に従いまして但書を削る、いわゆる連座を強化する、この点だけならば各党派の多くの議員の方々に御賛成願えるのじやないか、この点についてはそう議論を要しないことではないか、こう考えまして、ことに、提案理由でも申し上げましたように、現在の汚職事件の続発によりまして、選挙に対する一般の輿論あるいは国会議員に対する一般の人たちの問題がありますので、きわめて小範囲の、しかもほんとうはかなりゆるいといいますか、法案になつておるわけでございます。
  52. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 提案者は、選挙区制の問題やあるいは選挙の公営といつたような問題についてはいかに考えられておるか。ことに選挙の公営については、金のかからない選挙を期待する上にぜひ必要なものであると考えておられますか。これらの点に触れられていたいのはどういうわけですか。
  53. 市川房枝

    市川参議院議員 今御指摘の点を言い落しましたが、選挙公営を拡張するのは当然のことでございます。それから小選挙区のことについては、公明選挙をするために、やはり選挙区制を小選挙区にすべきだという御意見が相当にあることも存じておりますけれども、私自身の考えとしては、小選挙区制にすればただちに選挙が粛正されるとは、実はまだそれだけの確信がございませんので、その点についてのはつきりした意見を実は申し上げられないのであります。
  54. 森三樹二

    森委員長 他に御質疑はございませんか。     ―――――――――――――
  55. 森三樹二

    森委員長 それでは御質疑はないようでございますから、以上の二法案につきましては、さきに設置せられました公職選挙法改正案起草小委員において審議いたしております公職選挙法改正と非常に密接な関係がありますので、公職選挙法改正起草小委員会であわせて審議をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 森三樹二

    森委員長 それではさよう取扱いたいと思います。   本日はこれにて散会いたします。     午後三時十八分散会