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1954-03-01 第19回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月一日(月曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 大上  司君    理事 安井 大吉君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       天野 公義君    越智  茂君       田中 角榮君    徳安 實藏君       藤田 義光君    片島  港君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      高橋 俊英君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本開発銀行理         事       松田 太郎君         参  考  人         (日本銀行人事         部長)     篠原 周一君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月二十四日  委員村瀬宣親辞任につき、その補欠として竹  山祐太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員天野公義辞任につき、その補欠として本  間俊一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員本間俊一辞任につき、その補欠として天  野公義君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二六日  昭和二十八年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和二十八年度一般会計災害対策予備費使用総  調書(その1)  昭和二十八年度特別会計予備費調書(その  1)  昭和二十八年度特別会計予算総則第九条に基く  使用調書(その1)  (承諾を求めるの件) の審査を本委員会に付託された     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  政府関係機関の収支(日本開発銀行融資)に  関する問題     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  本日は委員長がやむを得ない事情のため出席できかねますので、理事の私が委員長委嘱を受けまして、その職務を代行いたしますから、よろしく御了承願います。  まず二月二十六日本委員会昭和二十八年度一般会計予備費使用調書(その一)外三件の承諾を求めるの件が付託されましたので、お知らせいたしておきます。  それでは前会に続いて造船融資等に関する問題について調査を進めることにいたします。そこで本日は特に利子補給及び船価決定等に関して基本的検討を加えたいと考えましてさらに先般理事会の意向をもしんしやくいたしまして、次の参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと思います。すなわち日本銀行人事部長、当時資金局長篠原周一君を参考人指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大上司

    大上委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお本日政府側出席者は、運輸省岡田海運局長、同甘利船舶局長、同若狭考査室長大蔵省酒井理財局次長ほか関係者会計検査院からは大沢第四局長がそれぞれ出席されておりますから、御了承願います。  それでは順次発言を許します。杉村沖治郎君。
  4. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは岡田海運局長甘利船舶局長に伺いたいのですが、昭和二十四年当時見返り資金を各船舶会社融資しておるのでありますが、昭和二十四年において融資してやつた会社及び金額等伺つておきたいと思います。
  5. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十四年度の計画造船でございますが、隻数は四十二隻、トン数は二十七万二千総トンでございます。見返り資金として融資いたしましたのが百八億八千八百万円、会社の数はちよつとはつきりいたしませんが、後に調べましてすぐにお答えいたします。
  6. 杉村沖治郎

    杉村委員 この百八億八千八百万円の償還期限はいつでございますか。
  7. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 竣功後三年すえ置きでございます。従いまして各船ごとに違います。
  8. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこで、竣功後三年すえ置きということになつておりますから、大体船ができ上らなければはつきりしたことはわからないのでしようが、ただそういうふうに竣功後三年すえ置きというだけの契約だとあまりにも漠然としておるようですが、それでは何年たつてもかまわないということになりはしないですか。
  9. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 竣功後三年すえ置きでございますから、昭和二十四年に着工いたしたものでございますから、大体昭和二十五年の中ごろまでには竣功しておるはずでございます。従いまして昭和二十八年の中ごろにはその償還期限が来ておるはずでございます。
  10. 杉村沖治郎

    杉村委員 りくつを言うわけではないのですが、それでは竣功を見なかつたならば期間が来ないということになるのですか。竣功はおよそいつというくらいのことはあるのじやないですか。
  11. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは船会社の方から言いますと、見返り資金の許可かありますとすぐに着工するわけであります。着工いたしますと、たいていの船は長くて八箇月あるいは一年以内には竣功するものでございましてその竣功を漫然として遅らしているものは決してございません。必ず着工後八固月なり一年以内には竣功いたしております。
  12. 杉村沖治郎

    杉村委員 わけとか何とか、そういうことでなくて、われわれはそういうことがはつきり聞きたいから聞くのですが、それはそれでよろしゆうございます。そうすると、昭和二十四年に融資したものの償還はどんな状態になつておるか。
  13. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ちよつと先ほどの答弁でございますが、いつ着工していつ竣功したということは、船別はつきりわかつておりますから、あと資料でお出しいたします。
  14. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中ですが、あと資料をどうとか、こまかいことはいいのですから、大体を話してもらいたい。
  15. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ここにはその資料を持つておりませんから、後ほどはつきりお答えいたします。
  16. 杉村沖治郎

    杉村委員 きようは基本的関係はつきり伺いたくて来たのですが…。
  17. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これはごまかしも何もございません。事実はつきりしたものがございますから、あとで間違いのない資料をお出しさせていただきたいと思います。五次船の償還でございますが、これはむしろ開発銀行にお聞き願つた方が間違いがないのじやないかと思います。
  18. 杉村沖治郎

    杉村委員 開発銀行にお聞き願つた方がいいと言われるが、聞く聞かないは私らの方で聞くのですから、あなたの方で答えができないならばほかに聞きますが、あなたの方だつて答えられたら答えてもらいたい。
  19. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私の方で調べましたのでは、大体償還いたしておりますのは、四億二千四百万円余り償還しているという実績が出ております。
  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 その四億というのはばかに少いですね。百八億八千八百万円貸したわずか四億しか償還してないというのは、何か特別の事情でもあるのでしようか。それともそういう四億だけ償還すればいいような時期にあつたのでしようか。それはいつのときにおいて四億の償還になつておるのでありますか。
  21. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この調べは二十八年十二月末の調べでございます。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうするとその余りの分はまだ償還期限が来ていないということになるわけでございますか。
  23. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 償還期限が来ておりましても、船会社経理償還する力がないというところで、それが延滞になつておるのではないかと推察いたします。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 今あなたの答えでは、償還する力がないのじやないかと思われるということになると、何だかよそごとのように私らには聞えるのですが、先ほどのあなたの言葉では、自分に聞くより開発銀行に聞いてもらつた方がいいと言われるところを見ると、あるいはあなたにはつきりしていないのかもしれないが、開発銀行がこれに関与したのはまだ最近ではありませんか。だから少くとも昭和二十四年の融資時分には開発銀行はこれに関与していなかつたんじやないですか。
  25. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開発銀行見返り資金が引継がれましたのは、昭和二十七年の十月ごろと考えております。それ以後は開発銀行がその見返り資金についての債権取立ての義務を持つておられる、かように考えます。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 ですから昭和二十七年以前のことは開発銀行でない方の方が知つておるはずなんだが、昭和二十七年当時はまだ償還期限が来ていないということに伺つてよろしいのですか。
  27. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ここで正確に申し上げかねますが、ほとんど全部がまだ償還期限が来ていなかつた、かように考えられます。
  28. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは開発銀行に伺いますが。
  29. 大上司

    大上委員長代理 開発銀行は来ていないのです。
  30. 杉村沖治郎

    杉村委員 それじや私の伺うことは基本関係は全然だめですね。昭和二十四年、二十五年に貸しつけた分は非常に多いのですが、これに対する償還関係が、昭和二十四年に着手して三年すえ置き、それからという御答弁がさつきあつた。とすると開発銀行肩がわりをしてから後に償還期限が来ているように思う。そうすると昭和二十四年、二十五年当時に貸しつけた金が幾ら償還されて、どういうことになつておるかということはわからないですね。
  31. 大上司

    大上委員長代理 それなら今から連絡いたしましよう。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私の先ほどの答弁ちよつと間違いがございましたので訂正いたします。竣功後三年と言いましたのは間違いでございまして、貸付後三年であります。竣功後の償還期限市中銀行のほうが竣功後三年であります。
  33. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは開発銀行の者が見えないから、岡田海運局長甘利船舶局長に伺いますが、昭和二十六年ごろに見返り資金融資するについての船会社選択等については、どんなふうにして選択したのでありますか、それを聞きたいと思います。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 昭和二十六年でございますか。
  35. 杉村沖治郎

    杉村委員 六年でも五年でも、要するにあなたの関係したものです。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は昭和二十四年の五次船から関係いたしておりますが、五次船につきましては官民の委員会を設けました、その民間の方は、新造船を申し込んでいない船会社、それから造船業者、この中には造船工業会会長なんかも入つてつたと思います。それから役所の方は次官だとか、私ども関係局長、それから海運調整部長、そのほか海運関係学識経験者として船舶運営会理事長とか、あるいは船舶公団の総裁、それから当時復金がありましたが、復金理事、それに経済安定本部建設交通局長、こういう者も入つてもらいまして、十六人で新造船舶建造審査会いうものをつくりました。その審査会申込み船会社採点をしたわけです。採点をするにつきましては、私どもでつくりました詳細なる資料を各委員に渡しておきまして、各委員十分船会社の実情についての予備知識を持つていただき、その結果どの船会社は五点満点である、どの船会社は三点である、こういう記名投票をいたしました。そしてその点数を集めまして一定点数以上のものは無条件合格、それから一定点数以下のものは抽籤、こういう方法をとつたわけです。それできまつた結果を大蔵省日本銀行に推薦したわけです。そのときには、抽籤で入つた船会社の中には部資産状況が良好でないものがありまして大蔵省、日銀の方で二社ほど不適格になつたものがございます。それから二十五年度の船につきましては、これを二回にわけて船主選考しております。最初選考のときには、いろいろのいきさつがありまして、運輸省としては二十二、三万トンつくる予定でございましたが、市中銀行で、それに対して融資の約束をするものを十五、六万トンに押えられたわけです。そこで十五、六万トンの内輪に押えるための船主をどれにするかということを、市中銀行側で相談なさつた従つてその市中銀行融資確約書がついて出たものは、そのまま運輸省もそれを認めて大蔵省に推薦をして、いわゆる銀行が船をつくるという非難を受けたのでございます。それから二十五年度の船の後期のものの建造につきましては、これは私どもとしては、先ほど申しました新造船舶建造審査会使つて船主をきめたいという考えがありましたが、GHQの指令で、そういう審査会使つてはならないというお達しが来たわけです。従いまして、そういう審査会ではやることができない。そこで考えました方法は、いわゆる聴聞会制度をとつたわけであります。みなの来ている場所で、申込み船会社代表者を呼びまして、そして運輸省関係官が一々詳細にその事情を聞くわけです。その聴聞の衝に当りますのも、私ども直接船会社監督に当つている者は、船会社に対してある種の先入観を持つているという疑いがある。従つてども直接船会社監督に当つている者は、その聴聞者になることを避けまして、比較的そういう者と関係の薄い、運輸省官房長あるいは官房会計課長、あるいは船舶局監理課長、そういうふうな者を聴聞者に充てて申込み船会社から一々詳細に事情を聞く、そしてその詳細に事情を聞くうちにおいて、各船会社に共通した定の選考方針というものが出て参るわけであります。そういうものをその聴聞者で一応考えて、そして大臣、政務次官、事務次官あるいは関係局長課長、こういう者の集まつているところで、聴聞者聴聞の結果をひろうして決定するという方法をとつたわけです。それから二十六年度の建造におきましても、これもやはり二回にわけましたが、その前期の方は同様の方法をとつております。それから後期の一方は、その聴聞会でやる方式についてもいろいろの批判があり、マンネリズムに堕するきらいがある。そこで考えました方法が、海運造船合理化審議会——当時造船業合理化審議会と言つておりましたが、造船業合理化審議会選考基準をきめてもらつて、その基準に当てはめて、運輸省が選定するという方法をとつたわけであります。それが二十六年。二十七年度に至りましては、さらに造船業合理化審議会できめた基準だけでやるということは、そこに相当まだ判断の余地が残る。運輸省独善非難を受けるおそれがある。そこで造船業合理化審議会に私どもから提案いたしまして新造船主詮衡諮問審査会というものを設けて、その審査会で選定をしていただきたいということを申し出たわけでございます。ところがそのときの合理化審議会の小委員会意見では、そういうものでは適正な選考というものはできないであろう、海運造船知識のある人はみなどつかの会社ひもつきあるいは深い縁故がある、それから全然そういう関係のない人は、海運造船の面にまつた知識がない、むしろ運輸省でやるべきじやないかという意見が非常に強く出て、それが否定された形になつて、それはお手元に配りました造船合理化審議会議事録を、こらんいただけばその点がはつきりしておるわけです。しかしそれでは運輸省としては困る、何かの形でそういう委員会を設けてもらいたいというので、その委員会ではきめないで、ひとつ諮問委員会程度でいいから設けてもらいたいということを私どもから強く提案いたしまして新造船主詮衡諮問審査会と申しますか、そういう委員会を設けていただいたわけであります。そこでその委員には経団連の会長石川一郎さん、都民銀行頭取、前に復金理事長をされていた工藤昭四郎さん、全国銀行協会会長佐藤喜一郎さん、それから東京銀行協会会長酒井杏之助さん、造船工業会会長加藤五一さん、船主協会理事長山縣勝見さん、なお有識者として米田富士雄さん、こういう人に諮問委員になつていただきまして、運輸省でいろいろ調査した結果をその諮問委員のおる前でいろいろ採点をして船主をきめる、こういう方法をとつたわけでございます。私どもとしてはそのときの情勢において最善の方法をとつて来たつもりでおります。九次につきましては大臣が御説明申し上げた通りでございます。
  37. 杉村沖治郎

    杉村委員 先ほどの、融資額が百八億八千八百万円というのはこれは昭和二十四年度分でございますか。
  38. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 昭和二十四年度の新造船だけであります。そのほかに昭和二十四年度ではA型改造というのをやつております。A型改造は戦時中につくりました戦標船改造いたしまして、外航適格船にするわけでございます。これに対しまして改造費用の七割程度見返り資金から出したのであります。そういうものがそのほかに出ております。
  39. 杉村沖治郎

    杉村委員 昭和二十五年度、昭和二十六年度、昭和二十七年度というように、あなたの関与なさつた年度融資額及び船会社数建造総トン数ちよつと知らしていただきたい。
  40. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十五年度は三一十五隻で百三十二億一千六百万円でございます。それから二十六年度は四十八隻、二百二十三億五千七百万円、二十七年度が三十六隻、百三十四億九千百万円であります。それから九次でございますが、二十八年度、これは一部まだ金が出ておりませんで、この十二月末現在までに出しております金が三十七隻で百八十一億七千万円であります。これは十二月末でございますから、その後多少出ているものがあるかと存じます。
  41. 杉村沖治郎

    杉村委員 そのうちあなたのおわかりになつている分で、つまり二十五、六年、これはまだそうすると償還期限は来ておりませんですか。このうち償還期限が来ておりますものがありましたら、その償還期の来ておるものについてどれだけの償還があつたか御説明を願いたい。
  42. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは開銀の方でお聞き願つたところと多少違うかもしれませんが、私ども調べでは、五次船では四億二千五百万円、六次船六億千九百万円、こういうものが返つております。それ以後は返つておりません。
  43. 杉村沖治郎

    杉村委員 そすると合計が十億一千万円の償還があつた、これだけですね。
  44. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 十億四千万円余かと存じます。
  45. 杉村沖治郎

    杉村委員 先ほどあなたが言われた竣功後三年間すえ置くというのは御訂正になつたので、それは着工後三年間すえ置くということになるわけですね。
  46. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 貸付後三年間、従いまして船の貸付着工の折に契約機構として契約船価の五割が造船所に払われておるわけです。だからその金を借りるわけです。それから進水した折に船価の二割五分を借りるわけです。それから竣功した折に二割五分を借りるわけです。従いまして一番最初に借りたものは、その着工後三年たつたときには、これを返す期限が来るわけです。
  47. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、あなたの方が融資をしておる時分償還ができない——先ほどあなたのお答えのうちに、船会社経理上どうも償還することが困難で、償還できなかつたろうというようなお話があつたのですが、そういうことについてあなたは御折衝なさつたことがございますか。
  48. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 折衝と申しますと、どういう……。
  49. 杉村沖治郎

    杉村委員 延ばしてもらいたいとか何とかいうことについて。
  50. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 それは貸付けておられるのが開発銀行でございますから、開発銀行の方で、これは延滞を認めるとかあるいは、延滞を申し出ても厳重に取立てるとか、これは銀行の方で十分監視をしておやり願つている、かように考えております。
  51. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは開発銀行に移る前は、そういうことはなかつたことになりますか。開発銀行肩がわりするまでは、これは結局大蔵省ですか。
  52. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 それは大蔵省から委嘱を受けて、日本銀行がおやりになつてつたかと存じます。
  53. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは大蔵省に伺いますが、今の私が質問しておりました事項なんですが、昭和二十四年に貸付けておるのが、大分あるのですが、それの償還期は、貸付後三年ということになりますと、償還期限昭和二十七年の初めに来ておるものがあるように見られるのですが、大蔵省ではその償還関係について関与したことがあるかないか、それを伺いたい。
  54. 高橋俊英

    高橋説明員 関与と申しますとちよつと意味がわかりませんが、見返り資金で直接貸しをやつております時代には、私の聞いておる範囲では、延滞はなかつた金額はあまり大きくありませんが、期限の到来したものはあつたのですが、償還期限が到来したものは一応償還になつておる。そういうふうに聞いております。当時私直接その事務を担当しておりませんので、今詳しく金額等について申し上げる資料を持つておりませんが、期限の到来したものは返つておる、こういうふうに了解いたしております。
  55. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、今の答えでは、昭和二十四年に貸し付けた分について、期限の到来したものはあるように思われる、しかしその金額は、きわめて小さいのであると思う、自分はそれに関与したことがないので、はつきりわからないが、償還されておると思う、こういうお答えですか。
  56. 高橋俊英

    高橋説明員 さようでございます。
  57. 杉村沖治郎

    杉村委員 数字上の関係ですから、今のようなお答えではさつぱりわかりません。われわれ決算委員会では、いつ、幾ら償還されたということを聞いて、そしてこの数字で合せて行かなければ、決算委員会の役目にはならないのです。あなたのように、金額は大きくないとか、小さいだろうというような程度では、どの程度が小さくて、どの程度が大きいのかさつぱりわかりません。なかつたらない、あつたならあつた、額はこれこれということにならなければ、決算委員会答えとしては、どうもわれわれは満足することができないのです。
  58. 酒井俊彦

    酒井説明員 昭和二十四年当時のものは、第五次が見返り資金の始まりでございます。その延滞があつたかなかつたかの問題でありますが、今私の記憶では、昭和二十七年に開発銀行に引継ぐまではなかつたのじやないかと思いますけれども、今数字を持つておりませんので、確かに調べましてから、あとお答えいたします。
  59. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは、わからないことを無理に押し問答しても益のないことですから、それはやめます。それでは、開発銀行に引継ぎになるまでに、いわゆる見返り資金貸し付けた海運関係融資総額は、幾らでございますか。
  60. 高橋俊英

    高橋説明員 見返り資金開発銀行に承継するまでに、見返り資金特別会計から融資いたしました総額は、改造その他を含みますが、造船関係全部で、五百四十六億三千六百五十万三千円でございます。
  61. 杉村沖治郎

    杉村委員 これについて、償還額は、先ほど行われたように十億四千万というふうに伺つてよろしいのですか。
  62. 酒井俊彦

    酒井説明員 ただいまの数字は、先ほど申し上げましたが、なお調べましてから御報告申し上げます。今数字を持ち合せておりません。
  63. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこで岡田海運局長及び甘利船舶局長に伺うのですが、あなた方が船会社融資するについては、金を貸すのは後に開発銀行が貸すとしましても、昭和二十四年、五、六、七年というように融資をしておつたのですが、あなた方がごらんになつて昭和二十四年以来融資をしておつたところの会社は、いずれも続いて五、六、七年と融資して行くについて、融資をしてやつても間違いなく償還できる会社であるというような御調査に基いてお貸しになつただろうと思うが、そういうようにとつておいてさしつかえありませんか。
  64. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 さようでございます。それにつきましては、償還計画だけでなしに、担保があるかどうかということを見ておるわけです。もし船会社が返せない場合には、担保物件を処分して取立てる。この担保力があるかどうか十分に調査ずる。見返り資金当時は私どもの方も調べて、そうして適格船主をきめて大蔵省に申請するのですが、その後においては日本銀行開発銀行になつてからは開発銀行が十分調査されて決定されております。
  65. 杉村沖治郎

    杉村委員 開発銀行肩がわりして後のことも、船舶局長海運局長にはおわかりだろうと思うので、開銀が来ていないからその点伺いたいのですが、要するに今日までの一切の融資総額幾らでありますか。
  66. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 融資総額はなかなかややこしい点があるので、その償還とか、利子が元加されておるのであります。そういう面から見まして、当初の融資額を出すというのは、今すぐにという御質問がありましても何でございますが、今開銀融資残高は大体九百五億七千七百万円です。
  67. 杉村沖治郎

    杉村委員 今日までの融資額を出すのはどうとかこうとかいうけれども、元金の総額くらいは出すのにそうむずかしいものじやなかろうと思う。幾ら貸し付けて、さらにどれだけ入つて残がどうでということになると、今ちよつとということになりますが、総額一くらい出していただくのはさほど困難ではないと思うのです。そこで、先ほど申しましたように償還額はやはり十億四千万ということになりますか。
  68. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開銀に対する償還額は、それよりもつとふえるはずでございます。利子補給対象の船会社で、当初借りた金のうち、今までに二十三億八千万円余り開銀に返しております。これは利子補給対象の船会社だけでございます。それ以外の船会社が約九社ございますが、それを加えますと、これより多少多いかと存じます。
  69. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこで伺いますが、要するに昭和二十四年以降今日まで貸付した船会社で、償還期限が来ておつて償還できない会社はどの会社とどの会社か。それから償還期限に満足に償還をした会社はどの会社とどの会社か。それらの点を伺いたい。
  70. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今その資料を持つておりませんので、これはむしろ開発銀行にお聞き願つた方が間違いないのじやないかと思います。
  71. 杉村沖治郎

    杉村委員 そんなことは開発銀行に聞けと言われれば開発銀行に聞けばいいのですけれども、少くとも船舶局長であるとか、海運局長であるとかいう人たちは、その貸し付けた金がどういうふうに返つておるか、また会社の状態はどうであるかということは、将来貸付をするについても調査する必要があるのであつて、そういうことはよその方で、よその方でという答えをされることははなはだどうもあなた方が間違つた答えをするのはいけないからという考えであれば、私どもはそう変なふうにはとりませんけれども、あなた方といえども海運をつかさどつておる以上は、償還期償還できないというのは、会社経理内容が悪いからだと先ほどおつしやられておるのでありますから、そういうことはあなた方としては十分調査しなければならないことでなかろうかと私は思うのです。だからそういうことがお答え願えないというのは調査不十分ということになるので、そういうことが今日のような造船疑獄が起る原因じやないでしようか。船舶局長とか、海運局長であるとかいうような船に関して最も重要な地位にある人は、何年に貸した金についてどこの会社幾ら償還した、あるいは償還期が来ても払えないというのはおかしいのじやないか、何がどうだというようなことを御調査つて、そしてそういつたことが次々と貸付をすべきかすべからざるかというようなことの決定の資料にもなるのだろうと思うのです。どうも何か言えば開発銀行開発銀行と言つて答えを避けようとすることは、私どもははなはだおもしろくないのであります。あなた方の方で、開発銀行でなくてはうまく答えができぬというのであればこれ以上聞きませんけれども、おわかりにならないならないでけつこうです。
  72. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今手元にその調査の何を持つておりませんので、お答えできかねます。
  73. 山田長司

    ○山田(長)委員 聞くところによると、償還期日が来ても返さない金が五百億からあるという話を聞いておりますが、手元にあるとかないとかいうことでなく、あなたは監督の衝に当つておる者として、そんなたくさんの期日が来ても返さない金があるということは漠然とでも知つておるはずだと思うが、知つておる範囲を答えてください。
  74. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 五百億という多額になつておりますかどうか、五次と六次の金は完全に償還期限が来ておると思いますが、これが二百四十億、それに元加を入れますと、二百五十億くらいですが、それに対して約十億だけ償還しておる。従いましてあとのは延滞になつておる、こういうことは言えるかと思います。
  75. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連で次々伺いますが、たとえば償還期日に二百五十億のうち十億しか返していないというようなことは、開発銀行だけにまかしておくべきものではなくて、監督の衝に当つておるあなた方もこれについては当然一連の責任があると思うのです。そういう点について、ただそういう報告を聞いただけで済ましておるものかどうか、そういう場合に催促をするようなことをされておるかということを一応伺いたい。
  76. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど申しましたように、延滞を認めるかどうか、その場合の督促の方法開発銀行に自主的にまかされておるものと考えるのであります。私どもとしては海運、造船政策の面から造船を進めて行きたい、従つて開発銀行融資し得る範囲で融資を願いたい、こういうことを要請しておるわけであります。
  77. 山田長司

    ○山田(長)委員 私たちが過日以来開発銀行の総裁などに来てもらつて話を伺つて、さらに調査してみた結論から申し上げるのですが、開発銀行の総裁は金を貸すときの対象が資力のあるところ、あるいは会社の重役に経営能力のあるもの、さらに担保力のあるものというふうなことを基準にされておるようですが、調査調査してこれはだめだと言つている会社に、審査部でそれに許可を与えて金を貸しておるというような事実があるわけなんです。それから開発銀行運輸省当局とで最後の結論を出しているわけなので、必ずしも総裁と運輸大臣とだけで話をするのじやなくてどう考えてみても実際の仕事に携わつているあなた方が最後の結論を出していると思うのです。その結論を出しているあなた方が、償還期日が来ても返さないでいるところへさらにまた今度は開銀で金を貸すというような場合に、それに何らかの意見をさしはさんで、これをどうするかというようなことが当然検討されていると思うのです。それをされずに次々に金を貸しているということは理解されないのですが、その点についてどういうふうにされて、次々に金をお貸しになられているものか応そういう点についてもう少し具体的にお話願いたいと思うのです。
  78. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御質問の前に、さつきの延滞額について申し上げますが、四十億というのが延滞額のようでございます。もつともこれはその全部の会社ではございませんで、利子補給対象になつている六十四社のうちのさらに四十五社だけについて調べたものでございますから、その倍といたしまして八十億です。従いまして先ほどおつしやつたようなそう大きな額ではないのじやないかというふうに考えます。  それから融資の場合に延滞の状況を考えるのが当然じやないかということでございますが、これは船会社の資産信用を見る場合にもちろんそういうことも考慮に入れて考えておられる、かように私どもは了解いたしております。
  79. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは開発銀行の方に伺います。先ほど昭和二十四年以降今日までの貸付総額がわずか九百五億七千七百万円であるという答えを伺つたのでありますが、それで間違いありませんか。
  80. 松田太郎

    ○松田説明員 残高におきましてはお話の通りで間違いございません。
  81. 杉村沖治郎

    杉村委員 九百五億七千七百万円というのは残高でございますか。
  82. 松田太郎

    ○松田説明員 残高でございます。
  83. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは、先ほどの答えとはたいへんな違いだ、先ほどは総額として私は聞いている体何を答えているのだ。総額が九百五億七千七百万円で、そのうち償還が二十三億八千万円、そのほかにも幾らかあるかもしれないが、こういう答えをしているのですよ。これは、私は決して責めるのじやありません。責めるのではないが、かような重要なことについてこんないいかげんなことを答えていては困るのです。われわれは余興か何かのつもりで聞いているのではないのですよ。ほんとうの数字を聞いておるにもかかわらず、先ほどは確かに総額九百五億七千七百万円、そのうち償還が約二十三億八千万円と、これは約という言葉を、使つてつておるのを私は聞いたのだ。今度開銀に聞けばこれが残高だと言う。こういう答えをされるということは、先ほどから私が申し上げておりますように、どうも海運局長や何かの融資関係に対するところの気構えが、きわめてふんどしがゆるんでいるのじやないかと思うのです。だからこういう問題が起るのです。だがこれはもうよろしいです。  そこで開銀に伺いますが、今日までの船舶建造融資に対する総額幾らでありますか。
  84. 松田太郎

    ○松田説明員 内航船も含めまして、融資総額が九百九十二億一千九百万円であります。
  85. 杉村沖治郎

    杉村委員 このうちの償還額は何ほどになつておりますか。
  86. 松田太郎

    ○松田説明員 今ちよつと償還額数字を持つてつておりませんが、さつそく調べまして御連絡いたします。
  87. 杉村沖治郎

    杉村委員 まつたく困つたもんですね。あなた方には、これの基本的関係を明らかにするためにひとつあなた方に来てもらいたいということで来てもらつておるにかかわらず、こういう重大な疑獄事件が起つているにかかわらず、幾ら金が返つたということを、今これから調べなければわからぬということでは、あなた方は国民に対してそんなことでは相済まぬと思うのですが、これは調べてないというのだからけんかにもならぬ、しかたがない。これはあなた方責任問題ですよ。禄盗人と同じことですよ。  それでは伺いますが、今日までに償還期が来ても償還ができない船会社は何という船会社でありますか、これを教えてください。
  88. 松田太郎

    ○松田説明員 今ここで具体的にどの船会社ということを申し上げられる材料がありませんけれども、五次の船につきましてただいま償還期限が大体参つておりますので、償還期限の参りましたものについて、どうしても元本を償還できないというところは、内容を検討いたしまして、ただいま半年間を限つて償還期限を延長しておる、こういうような措置を講じております。
  89. 杉村沖治郎

    杉村委員 償還期限が来て償還できないものは半年を限つて何とかとおつしやられるけれども、そうすると、むしろ償還期限が来ておつて償還されたものはほとんどないということなんですか。ここに新造船造船主一覧表というものを私らはいただいておるが、このうちどれとどれとが返つていないのですか。幾らもないのだからすぐわかるでしよう。あなた方はちつとも調べていないのですか。われわれはあなた方の帳簿によつて調べているのですよ。あなた方はお手のものだからそんなことをわれわれに聞かれてもわからないはずがないじやないですか。これは恐れ入つたものだな。答えができますか。
  90. 松田太郎

    ○松田説明員 ただいま申しましたように、五次以降につきましては、今のような措置を講じておりますが、そういう関係で、利子補給の対象になつておりますもので、今申しましたような措置を講じたために償還が遅れておりますものが約二十七億ございます。
  91. 杉村沖治郎

    杉村委員 償還が遅れておるものが二十七億ということは総額のことでしようが、そういうことを私は今聞いておるのじやないのだ。それを順々に聞こうと思つたのだけれども、あなた方は償還期が来てもこの会社とこの会社は払えない、それが今わからないのですか。それがわからなくてどうして二十七億という数字が出て来るのですか。ここで名前を言つてはぐあいが悪いのですか。
  92. 松田太郎

    ○松田説明員 その点につきましては、率直に申しまして、金融機関といたしまして、公開の席上でそういうことを申し上げられるかどうかという気持があつたわけであります。
  93. 杉村沖治郎

    杉村委員 とんでもない話だ。ここを何と考えますか、開発銀行は市中の営利銀行と違うでしよう。あなたは開発銀行をどうお考えになつておるか。開発銀行というものは開発銀行法によつて、予算を組んで国会に出して、さらに決算を国会に出してその承認を求めるのが開発銀行の当然の責務じやありませんか。その開発銀行が、償還できない会社がどことどこかと問われて、その名前はここで申し上げるのはどうかと思う、はばかると思う。どこを押して言うのですか。
  94. 松田太郎

    ○松田説明員 そういう意味で申し上げたのじやなくて、金融機関の性格からいたしましてそういう点についてはできることなら秘密会とかなんとかで御返事させていただけたらという意味でございます。
  95. 杉村沖治郎

    杉村委員 それであれば、そういうふうに最初からあなた方が言うならば別ですよ。けれどもわれわれから聞かれてわからないようなことを答弁なさつておるから、われわれが言うのだ。しつこいようにあなた方には聞えるかもしれませんけれども、しつこいのじやないのです。われわれ決算委員とすれば、国民の金を船会社貸しておるのだから、それが返つて来ておるかどうか。そうして今日まで幾ら貸して、幾らつた、返らないのはどの会社だ、そういうことを調べて行くことがこの決算委員会の役目なんです。それにもかかわらず、あなたがここへ来てわれわれの質問することにさつぱり答えることができないということは、はなはだ遺憾千万なんであつて償還できない会社があつたつて、これは秘密会の必要はないと思うのです。秘密会の必要はないと思うが、委員長委員に諮つていただきたい。こんなことは一向さしつかえない。(「さしつかえない、出せよ。」と呼ぶ者あり)
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 議事進行。開発銀行理事船会社造船資金融資延滞分の説明で、船会社の名義の答弁ができないということはこれは実に不穏当な答弁であると思うのであります。秘密会を要求するような問題じやございません。現にわれわれ運輸大臣並びに開発銀行の総裁も、赤坂の借り主の何がし船会社の宴席に列したのじやないかということを名をあげて追究しているのであります。でありますから、さような事態にまで進みつつありますので、そういつた小さなことにこだわることなく、早く審査を進めるために、適当におつしやつた方がいいと思います。委員長、秘密会というようなことでなく、答弁させていただきたい。
  97. 大上司

    大上委員長代理 お諮り申し上げます。ただいま杉村委員の質問、なおこれの関連質問または議事進行面から吉田委員から発言があつたのですが、本委員会といたしまして委員の諸君にお諮りして、その議を得れば、当然開発銀行の建前から、船主の名前を出してもさしつかえないと思います。そこでいかがいたしますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大上司

    大上委員長代理 松田説明員に申し上げます。委員会の取扱いといたしましてただいま杉村委員発言のうち、特に松田説明員が金融機関の建前上から、個々の船会社の名を出すのはいかがかと思うという発言につきましては、ただいまお聞きの通り委員会で満場一致をもつてさしつかえないという答えが出ましたので、その点について詳しく説明を願います。
  99. 松田太郎

    ○松田説明員 実は今日その関係の——正直に申し上げまして、どういう関係か存じませんで呼ばれまして、そういうことを申し上げるのはまことに失礼なんですが、今日その関係資料を持ち合せておりませんので……。(「さつきの発言と違うじやないか」「わかつているような発言があつたから追究しているんだ」と呼ぶ者あり)その点はもちろん私の方の銀行へ帰りましたらわかつております。ただ今日ここへ参りました際は、どういう要件かわかりませんものですから、持つて来ております。わかつているものをどうこう言うんじやなくて、今日ここに資料を持ち合せておりませんものですから、その点おわび申し上げます。
  100. 杉村沖治郎

    杉村委員 それなれば、先ほどあなたが言つたような秘密会をというような、そんなことを言うもんじやありませんよ。それだつたら、まことに相済みません。きようここに調べて来ておりませんから次会に願いたい。こういうふうにもつとざつくばらんに男らしく言つたらいいじやありませんか。それをどうも銀行関係だからここで名前を言うのはぐあいが悪い、秘密会ならという、そんな思わせぶりをして、決算委員会をごまかそうということはよくありませんね。それじやしかたがありません。
  101. 大上司

    大上委員長代理 柴田義男君。
  102. 柴田義男

    ○柴田委員 海運局長にお尋ねいたします。私どもが今の計画造船の問題を記憶しておりますのは、昭和二十二年に戦後の荒廃しきつた海運関係を計画的に建造しなければならぬ。こういう建前で最初運輸省が立案の衝に当つたと考えているのでありますが、それで間違いありませんでしようか。その点をまず承りたいと思います。
  103. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この計画造船はすべて最初から運輸省が計画をして、大蔵省その他に相談をしてやつているのでございます。
  104. 柴田義男

    ○柴田委員 当時の運輸局長はやはり岡田さんでございましたか。その点を承りたいと思います。
  105. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は昭和二十三年の三月から海運局長でございます。
  106. 柴田義男

    ○柴田委員 当初立案の時代の局長は別の方で、ただちに岡田さんがお引継ぎになつた、こういうことであります。その当時の日本の海運状況というものは、われわれは常識的には百万トンぐらいあつたのではないかと思うのですが、どのくらいのトン数の合計額で御出発になつたのでございましようか。その点を承りたいと思います。
  107. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 終戦当時御承知の通り百三十七万トン余りつておりましたが、実際動ける船は六十万トンないし七十万トン、しかもその大部分が戦争中につくりました戦標船、しかも小型のものが多かつたわけでございます。外航船をつくり始めましたときに、外航適格船として私どもが計算いたしましたのは、総トン数が十二万トン余りでございます。一体日本海運の再建の目標をどこに置くかということですが、御承知の通りストライクミッシヨン、ポーレーミッシヨンが来ました折に、私どもはいろいろ資料を出しました。そのときの目標が四百一万総トンでございます。四百万総トンまで持つて行く。今日私ども造船四箇年計画というふうな目標も、やはり四百万総トンに置いております。
  108. 柴田義男

    ○柴田委員 戦前は大体日本の状況から六百万総トンくらいだと記憶しておりますが、そうしてこの戦前のところまで建造を進めよう、最終の目標はそこにあつたのではないでしようか。その点をもう一度承りたいと思います。
  109. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ちようど戦争が始まりますころには六百三十万総トン余りでございましたが、そこまで行くということは考えておりませんで、今申しましたように大体四百万総トンでございます。大体戦前におきましては、昭和十一年が四百五万総トンでございます。
  110. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしまして、その立案された当初の御計画を資料で、私ども拝見しているのでありますが、昭和二十二年から三年にかけましては、たとえば第一次から第四次までの新造船はどれだけつくる、こういう計画が一つく実施の過程に入つて来たわけでありますが、この場合に今問題になつている船主選考方法も、第一次あるいは第二次ということで一回ごと選考委員会がかわつてつているのでしようか。その点を承りたいと思います。
  111. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 大体一次から四次までは同じ方法をやつておりました。それに入札の方法をとりました。財政資金を少しでも少くして自分市中銀行から調達して来る額の多いものから入れるという方法をとつておりましたが、それにはいろいろの弊害もありますし、業者側からも反対の陳情があつたわけです。入札制によりますと、船舶公団等で七割まで持つというやつが、しまいにはその四割ぐらいまで下つて来た。それからもう一つは、入札でありますと、アプレのわれわれが見て変だなと思つているやつが、百万円でもたくさん銀行から借りて来ると、それへ行つちやつて、しにせの会社が落ちちまうという弊害が起きて来る。従いましてその方法をやめまして、五次からは別の方法をとつたのですが、それは先ほど御説明申し上げましたように、毎回かわつているわけであります。
  112. 柴田義男

    ○柴田委員 これは大蔵省関係の方からも伺いたいと思いますが番最初には復興金庫の金が融資された。その次には見返り資金融資された。そうして最後に一切を開発銀行にまとめた、こういう順序のようにわれわれは考えているのですが、そういう順序で進んだのでしようか。
  113. 酒井俊彦

    酒井説明員 おつしやる通りでございます。
  114. 柴田義男

    ○柴田委員 復金時代に貸し付けました金と見返り資金貸し付けた金と、それからこの二つを別個にいたしまして、この引継いだものを除いて開発銀行貸し付けたもの、これらの貸付金の総額はおわかりでございましようか。
  115. 酒井俊彦

    酒井説明員 先ほど申し上げましたように、見返り資金から貸し付けましたものは五百四十六億三千六百万円であります。その前の時代、それから開発銀行になりましてからの金額につきましては、ただいま手元に資料がございませんのでお答え申し上げかねます。
  116. 柴田義男

    ○柴田委員 復金見返り資金と合計しまして五百四十六億三千六百万円でございますか。
  117. 酒井俊彦

    酒井説明員 これは見返り資金だけの金額でございます。
  118. 柴田義男

    ○柴田委員 そうするとこの以外に復金から貸し付けたものも幾らかあるわけでございますね。
  119. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 さようでございます。復金からある程度の額が貸し付けられております。その残高が現在三億五千九百万円、そのほかにいわゆる政府の持分としては船舶公団の共有分としてあるわけですが、それの残高が百十億というふうに私どもは承知しております。これは大蔵省の管財局の方に引継がれておるわけであります。
  120. 柴田義男

    ○柴田委員 これに関連いたしまして会計検査院に伺いたいと思いますが、復興金庫から貸し付けましたものは、ひとり造船関係ばかりでなしに、復金からたくさんの金が出ている。現在これの引継ぎはほとんど開銀がやつておる。あるいは小さな問題になりましては、十六国会以降は、たとえば中小企業金融公庫に引継ぎをやつているようでありますが、これらの回収の状況というものはほとんど進んでおらぬ。こういう現状をわれわれは知つておるのでありますが、会計検査院はこの復金時代の貸付金の回収状況に対して御調査をなさつたことがございますかどうか、承りたいと思います。
  121. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 お答えいたします。復興金融金庫の跡始末は、開発銀行が引継がれたわけでありまして、その回収金の跡始末がどうなつておるか、これは開発銀行の検査のときには当然それも一緒に検査しておるわけであります。見返り資金も同じでありますが、現在一括して回収状況及び債権の保全状況もわれわれは絶えず注意しております。それから債権の保全ということが何分にも大事なことでありますので、その担保の設定状況などが足りぬ点は、たしか二十五年度の検査報告だと思いますが、その際に指摘いたしまして、担保の設定を急いでおります。  回収の点になりますと、何分にも相手方が金のない場合が多いので、最後は担保権の行使ということにも行かざるを得ぬのですが、そこまで行かない先に何とか現金を回収するということで、少しずつ延び延びになつているものは確かに相当あります。件数にしたらまだ相当残つております。特に終戦直後に融資しました引揚者に対する融資とかいうような小口の融資が、現在においても非常にたくさん滞つて、これの回収状況が非常におそいという点がありまして、絶えず調査し、個々の問題に対しては注意して来ておる次第であります。
  122. 柴田義男

    ○柴田委員 どうも開発銀行貸し付けるものでも、あるいはまた見返り資金から貸し付けたものでも、政府関係機関貸し付けたものは、借りた方の観念も、政府から借りたものは、最後はどうにかなつてしまうではないか、こういう安易な気持を持つて、返金が遅れておるというきらいがあるようにわれわれ考えるのであります。そういうことの根本的な原因と申しますものは、やはり復金なり見返り資金、あるいは最近に至つて開発銀行から借り入れるにあたつては、相当莫大な運動費などを使わなければ借り入れることができない。その運動費を使つたということが、今問題になつている汚職事件として発展しておるのでございますが、こういう貸付けの方法が非常にずさんなために、こういう結果になつておるのじやないか。一方中小企業者が地方銀行から借り入れます場合には、借入れが非常に困難であるし、幸い借りることができたといたしましても、今度は返還を迫られるときには非常に辛辣な方法で返還一を迫られておる。こういう現実をわれわれが見ましたときに、政府関係資金というものはあまりにも放漫な形において貸し付けられたのではないかと思われますが、開発銀行の方からその点について、もう少し私どもの納得できるような御答弁を願いたいと思います。
  123. 松田太郎

    ○松田説明員 先に復金に関しての点から申し上げますが、私の方が復興金融金庫から承継いたしましてから、その復金分につきましては約三百億円を回収いたしまして、ただいま五百二十九億というのが本年の一月末の残高になつております。もちろんこの回収の点につきましては、私どもの方といたしましてもできるだけの措置を講じまして、また先ほど会計検査院からお話のような点を十分考慮いたしまして、回収に努めております。なお回収につきまして、従来私の方といたしましては開発銀行が直接貸しておりました分のほかに、特に復金関係については代理貸しというような方法がございましたが、近く代理貸しを全部直接貸しに振りかえまして一層回収に力を注ぎたい、こういうふうに考えております。  なお融資の問題につきましては、私の方でそれぞれの業種につきまして各担当部がございまして、そこで受付けましてそれを審査部という方に移します。審査部ではあらゆる角度から慎重に検討いたしましてその結果をその都度役員会にかけて、そこで決定をいたしておるのであります。開発銀行としては融資についてはできるだけの注意を払つてつておる次第でございます。
  124. 柴田義男

    ○柴田委員 先ほど復金の三億五千九百万円、見返り資金五百四十六億三千六百万円、こういう御説明があつたのですが、私ども開発銀行から資料としていただいておりますものには、見返り資金の残額は十二月末目で四百三十三億八千百四十一万七千円という数字が出ております。それから開発銀行の残額が二百二十七億九千六百九十八万円、合計六百六十一億七千八百三十九万七千円というのが十二月末日の貸付の残額です。そうして先ほど御答弁を承つておりますと、現在の融資の残額は九百五億だという御答弁をされておる、これは非常な食い違いがございますが、この食い違いは何によつて生じたのでございましようか、伺いたいと思います。
  125. 松田太郎

    ○松田説明員 私から申し上げますが、今の少い方の数字利子補給の対象になつておる分だけでございます。それからあとの九百何億とおつしやるのは利子補給の対象外のものが入つておる数字でございます。
  126. 柴田義男

    ○柴田委員 その点は了承いたしましたが、見返り資金からの貸付残額が四百三十三億八千百余万円で、先ほどの御答弁では五百四十六億三千六百万円ということになつておりますが、これでも約百億の相違がございますけれども見返り資金の計算は何か間違いがございませんか。
  127. 酒井俊彦

    酒井説明員 見返り資金の方は見返り資金の台帳から計算いたしておりまして間違いございません。ただいまお話になりました四百三十三億でございますが、これは松田さんがお話ございましたように利子補給対象の分だけだと思います。
  128. 柴田義男

    ○柴田委員 利子補給をされましたのは第何次から利子補給をするということになつたのでしようか。海運局長から承りたいと思います。
  129. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 貨物船は第六次船でございますね。昭和二十五年の十二月一日以降につくりました計画船、それからタンカーは七次後期の油送船で、二十六年の十二月一日以降につくりましたタンカーでございます。
  130. 柴田義男

    ○柴田委員 その点了承いたしました。それから利子補給の問題でありますが、現在の利子補給の状況というものはどういう形になつておるのでございましようか。たとえば十六国会で三派修正案の百六十八億の利子補給額が決定した。その百六十八億の予算をとつておられるのだが、その金を運輸省がどこかにお預けになつておるのか、その点を承りたいと思います。
  131. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 百六十八億と申しますのは、二十八年度以降八箇年間に充てるべき予算でございます。二十八年度はたしか七億幾らつたかと思います。正確な数子を後で調べて御報告いたします。実は利子補給契約を締結いたしておりますのは、昨年の夏に修正になりました前の利子補給法によりまして十二隻ほど契約いたしております。その後のものにつきましては目下計算を精細に検討しておりまして、近く結ぶ予定でございます。従いましてその金は、前に契約いたしましたものもあるいは今契約しようとしておるものもまだ契約ができておりませんから、まだ銀行の方には行つておりません。これは運輸省の予算として成立いたしまして、契約した後に運輸省から各銀行に渡すわけでございます。
  132. 柴田義男

    ○柴田委員 その状況はわかるのですが、その二十八年度分の予算の、たとえば七億なにがしというのは事務的にはどういう形になつておるのでしようか。大蔵省がそのまま持つておられるのか、運輸省が予算としてすでに持つて来られて、日銀の金庫に預けておるのか、その点を具体的に承りたいと思います。
  133. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 まだ運輸省が小切手を切つておりませんから、運輸省予算として成立しておりますけれども、その金はまだ国庫にあると言つていいのでございましようか、金を出します前には運輸省が小切手を切るわけでございます。
  134. 柴田義男

    ○柴田委員 どうも私どももう少し具体的にはつきりと伺つて、世の人もある程度疑惑を持たれているので、疑惑のないように努めたい、こういうことでこまかく段階を追つて伺うのですが、運輸省局長さん初め少し不勉強のような気がいたします。われわれ決算委員会数字を中心といたしまして伺つておるのです。そしてどこに間違いがあつたのかという根本をきわめたい、それがわれわれの目でございますので、単にぱあつと景気のよいようなことを申し上げて、そうして大騒ぎしたいということでは決してございませんから、もう少しはつきりと資料をお整えくださいましてやつていただきたい、こういう関係から、きようはあまり資料が貧弱なようでございますから、この辺で質問を留保いたします。
  135. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について。私も実はきようは十分伺いたいと思つて自分では考えて来たのですが、遺憾ながらどうも政府委員答弁では自分の所期の目的を達することができませんので本日はこの程度で打切つていただいて、次会にはこの貸付関係しておる日銀総裁の一万田さん、開銀の総裁、それから運輸大臣にも来てもらいたいと思います。大体きようは貸付総額についてすらも海運局長はあんな間違いをしておる。これは間違いでしようけれども、きわめてふんどしがゆるんでおる。せめて運輸大臣でもおつたら、あんなことを言つたら問題になりましよう。行政整理にはまず一番に整理になるかもしれない。だから運輸大臣万田日銀総裁、開銀の総裁、それから事務当局もこの次には呼んでいただいてわれわれの質問に対して調べなくちやならぬとかどうとかいうようなことのないようにしてもらいたい。今回造船疑獄としてこれほどやかましい問題になつておるのだから、門外のわれわれの聞くことがお答えできないというのは、私どもから考えるとお答えできないのじやなくて、何とかいいかげんに濁してしまえというような気であるとしか思えない。ということは大体総額幾ら貸し付けて償還幾らつたということは調べも何もいらない。償還期限が来ても返せない会社はどこかということはわからなくちやならぬ。なお本日午後もやりたいけれども、そうも行きませんから、日を改めて次会には日銀の一万田総裁、開銀総裁、運輸大臣、これらの方に出席をしていただいて、そして根本をきわめたいと思うので、本日はこの程度で私は打切られたらどうかと思います。
  136. 大上司

    大上委員長代理 杉村委員に御相談申し上げます。ただいまの議事進行についての御発言ごもつともと思いますが、なおかつ本日は日本銀行の元資金局長篠原君並びに運輸省でおそらくこういう事態を察知なさつたかなさらないかわかりませんが、船主それ自体をいろいろ調査なさつておられる考査室長の若狭君も出席しておられますし、なお質問の通告順として吉田君あるいは藤田君、さらに田中角榮君等もありますので、どうでございましよう、この面からももう少し進めてみたらいいと思いますが……。なお次の委員会に一万田日銀総裁並びに運輸大臣等を呼ぶ問題がございますが、衣委員会の散会後に運営の理事会にはかつて実施したいと思いますが、いかがでございますか。
  137. 杉村沖治郎

    杉村委員 けつこうです。
  138. 大上司

    大上委員長代理 吉田賢一君。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず議事進行につきまして、私は今の杉村君の御意向もごもつともでありますけれども、きようの委員会の目的は、できるだけ基礎的な調査を進める、こういうことに趣意があつたようでありますので、そこで事務方面につきましても、そういつた基本的ないろいろないきさつとか一幕の数字などについてもう少し明らかにする方がいいのじやないか、要するにそういうふうにして、次の大きな政策省、国、その他各方面の方針なり、その辺の食い違いの究明に行く、こういう方が適当だと思います。だからきようは一応は当初の目的通りに進めていただきたいと思います。そういう趣旨でお尋ねしたいと思います。  さきに船舶公団当時の造船融資の残額がなお百十億余りですか、それが大蔵省に引継がれておるという御答弁があつたようであります。そこでその第一次以降、船舶公団の廃止は二十五年三月であつたかと思いますが、その間の造船融資の対象になつた船会社は、この一覧表によりますと、六次以降の利子補給対象になつた船会社とほとんどかわりがないように思われるのであります。そこで公団債務の取立ての事務大蔵省に引継がれておる。その中には現在の利子補給対象になつておる船会社を相当含んでおるのではないかと思われるのであります。これは一覧してもすぐわかるのでありますが、理財局の次長が見えておるようでありますから、ひとつ説明願いたいと思います。
  140. 酒井俊彦

    酒井説明員 実は第一次から第四次までの計画造船につきましては、ただいま所管が管財局になつておりまして私どもその仕事にタッチしておりませんので、管財局の者に連絡をいたしまして御説明させるようにいたします。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 理財局は説明ができなければ、当時の船舶公団の主管庁は運輸省でありますから、運輸省において船会社の名前はおわかりになつておると思いますので、六次以降の利子補給対象の船会社がその中に相当含まれておるように思うのですが、御指摘願いたい。
  142. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 相当含まれております。正確な名前は後ほどにさしていただきたいと思いますが…。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 正確な名前は後ほど文書で出していただきたい。但し大体はあげてください。大体でよろしゆうございます。
  144. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 承知いたしました。正福汽船、太洋海運、大阪商船、関西汽船、乾汽船、中村汽船、三菱海運、東西汽船、日本油槽船、日下部汽船、明治海運、三井船舶、そういうふうな会社でございます。なおその他三、四社あろうかと思います。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 含んでおることは事実ですね。
  146. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 含んでおることは事実であります。ただいま申し上げました会社は、公団時分にも船をつくつております。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それじや私から申し上げますが、大阪商船、東西汽船、日東商船、日産汽船、隆昌海運、協立汽船、菅谷汽船、大同海運等々ありますが、こういうように船舶公団時代の融資が残つてつて大蔵省に引継がれておつて、まだ完済しておらぬという会社の残債務については、これはその後の二十五年以降の融資をする際に、船主選考にあたつてこういうことは考慮をしたのかしないのか、それをわかつておるところで答弁してほしいのです。
  148. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶公団の持分は国の方に引継がれておりますが、国と船主の間は共有になつております。そうしてその共有分は、十年間に船主が買い取るというふうな条件になつておりますが、もちろん船主選考のときにはそういうものも一応考慮に入れてやつておるわけです。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは日銀の当時の資金局長篠原さんに伺いたい。見返り資金造船融資は、開発銀行ができるまで日銀の方でお扱いになつたように聞いております。かつての総計百億円以上なお元利金が残つているような船会社は、今岡田海運局長の御説明によつても、選考に対して考慮をしたというお話でありますが、金融機関と  いたしましては、相当重要な考慮事項になると思いますが、そういうことについての御調査、御所見、当時の事情をひとつ説明願いたいと思います。
  150. 篠原周一

    篠原参考人 私は見返り資金貸付事務をやつておりますが、その当時の船会社の金融については、直接に担当しておりませんでしたからわかりません。ただ海運会社に金を貸す場合において、見返り資金から全部出したわけではございませんで、ある部分市中金融機関から出ている場合に、市中金融機関からも出すという約束を得まして見返り資金は出しておりました。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 造船融資計画造船でありますので、政府の計画でもありますし、またGHQの指示、指令に基きまして昭和二十一年以来発足したと伺つております。そこで見返り資金が相当多額に融資に振り向けられておる。公団が解散の結果、百億円以上の取立てができないで大蔵省に引継いだという御答弁が今あつたが、公団の解散は二十五年の三月ごろであつたかと記憶しております。そういたしますと、二十五年の年末からその後利子補給の対象になる建造が計画せられたわけでありますので、開発銀行が発足したのが二十七年十月でありますから、少くとも二十七年十月以前の船舶公団解散以後のその間における見返り資金の船舶建造融資につきましては、公団の莫大な残額を残しているという船会社は、マイナスの意味におきまして相当考慮せらるべきものであると考えますので、そういうことについては、どういうふうに御検討になり、どういう御所見であつたか、こういうことを聞いておるのであります。その点について御答弁願いたい。
  152. 篠原周一

    篠原参考人 お答えいたします。見返り資金日本銀行が取扱う場合におきまして、やはり適格船主というものがきまりまして、日本銀行の方に名簿が参ります。そして日本銀行は個々の会社につきまして、金を貸しても大丈夫であるかどうかというふうないろいろな項目がございまして、その項目に合せましてこれは可能であるという認定の意見書を大蔵省に出す、そういう仕組みになつておるわけでございます、でございますから、日本銀行はその場合に、適格船主という名簿が来ましたその中に、われわれの意見を付して大蔵省に報告した、そういうことでございます。
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の御説明によりますと、日本銀行見返り資金を扱つて、船舶建造融資をしたのは、適格船主の名簿が送られても、それに対して事務的に金を出すにすぎないように思うのですがそうではなしにやはり金融を実行することは政府にかわつて日本銀行がする、こういうのが当時の見返り資金融資の建前であつたのではないかと思うのです。そうであるとすれば、適格船主が何会社であるというふうな名簿が来ても、同時にその会社の従来国の資金融資に対する返済の実績についても、何らかの資料があなたの方としてはなければ、ただ金庫を明けて窓口から出すというのでは、日本銀行の職能から行つて、どうも合点が行かぬのですが、そういう機械的な金の扱い以上には、当時はあなたの方としてはやつておらないのでしようか、その点いかがでしよう。
  154. 篠原周一

    篠原参考人 今お話の通りに、いろいろな資料を要求いたしまして、その会社の運営その他も全部一応見まして、われわれの意見を付したものであります。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この計画造船に対する建造資金融資は、市中銀行はいざ知らず、国の資金が出される限りは、国に対して過去の未払いがたくさんあるというような場合には応何ゆえに支払わないのかということを究明した上でないと金を出さぬというのがほんとうじやないかと思うのですが応の御検討はあつたかもしれませんけれども、そこまでついて行くのがあなたの方の職責でないかと思いますので重ねて聞いておきたい。
  156. 篠原周一

    篠原参考人 その会社がこれだけの資金の融通を受けて、はたしてこれが返されるかどうか…。
  157. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いや私の聞きたい点は、将来の分として貸そうとするのでありますから、過去において船舶公団がしよい込んで、大蔵省に残務整理として取立て事務の方に引継がれてしまつた、そういう会社は、民間の常識からいえば不良会社であります。その不良会社に貸すのはどういうわけかというのが、私のあなたに聞かんとする点なんであります。不良会社であるか、優良会社であるか調べればわかる。大蔵省が何がゆえに残務整理として引継がなければならないような過去の船舶公団時代の見返り資金の借金が払われていないのかということは、あなたの方としてはお考えにならなければならない。あなたの方としては般銀行業務といたしましても当然そういつたことは考えるべき重要な要件だと私は思いますので、日本銀行が国の金をお貸しになるときに、当然最も重要な調査対象と考えるのでお聞きするのです。古いことですけれども大事なことですから。
  158. 篠原周一

    篠原参考人 過去のことでありますが、私どもはやはり適格船主というふうに参りましたその船主についていろいろな点を考えますから、今御質問になつたような点もある部分にはあつたかもしれませんけれども会社全体としてこの金を借りて、はたしてこれが十分返されるものかどうか、こういう点を中心に私たちは審査上、しかも省令並びに規定にもきめてございますので、その規定通りに審査してわれわれの意見を出しておる、こういうふうに扱つてつたのであります。
  159. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。私の尋ねました過去の残債分については十分に御検討になつておらぬというふうに今承つたのですが、そこで会計検査院の方にお尋ねいたしますが、大蔵省に公団の債権が引継がれてしまつたような船会社の政府資金の借分というようなものは、相当重要な、会社の信用判定の資料と考えるのでありますが、会計検査院の立場からごらんになつてどうなんでしようか。無視していいのでしようか、非常に重要視すべき問題なんでしようか、その点はどうでしよう。
  160. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいま百十億という数字が出ておりますが、これは船会社に対する貸付金ではないのでありまして船舶公団がつくりました船の持分を、まだ国が所有権として持つている、こういう数字が百千億という数字であります。船会社復金貸しました金は、今度船会社の方の持分に対する買取り資金貸したのでありますが、その残高は、先ほど三億数千万というお話がありましたが、私も空に覚えありませんけれども、たしかその程度であつたと思います。新しい貸付の場合には元の貸付金が返還しておるかいないかということは当然考慮すべきことであり、また今まで考慮されて来たろうと思つております。われわれが検査いたします場合も、その会社が旧債権というような債務を持つておるかということを見まして、はたしてこれでよかつたかどうかということは絶えず検討して参つております。ただ百十億の持分の方は、これはいわば国の所上有権でありまして、逐次船会社に譲つてやれる。これがまだ完済されてないからといつて新規の造船に直接危険性云々ということはないのじやなかろうかと思いまして、この持分の買取りの関係と新規造船融資関係に対して今までそう関心を払つては参らなかつたのであります。また船それぞれが担保力を持つておれば、国の持分の買取分が残つてつても新しい船に対して融資することもあながちさしつかえないのではなかろうかというようにも考える次第であります。
  161. 大上司

    大上委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  162. 大上司

    大上委員長代理 速記を始めて。吉田君の議事進行の件について了承いたしますが、なお、さらに田中君または藤田君等の質問の通告がありますので、いま一点で次に譲つていただきたいと思います。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 議事進行について。今日は大体何時ごろまで調査をお進めになる御予定でありますか。
  164. 大上司

    大上委員長代理 お答えします。藤田君の方はまあ二、三分質問したいという事前のお話がございます。田中君も二、三分というような通告がございますので、答弁も入れて合計十分から十五分みてもいいと思います。その意味で通告を受けたものについては全部発言を許して運営して行きたいと思つております。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは私質疑を保留いたしておきまして、今日はこの程度で終つておきます。  そこで今後の運営につきましてひとつ私から発言させていただきたいのであります。今日の運営は、基本的な造船融資に関する各般の事情調査ということになつてつたようであります。それで、これも非常に大事なことでございますけれども、私どもは大体先月の一日にすでに基本的な各事項について資料を要求して、今日は資料は山のように持つておりますので、資料はわれわれ自身委員全部がで、きるだけ精査いたしまして、もちろん政府の方におきましても、運輸省大蔵省その他におきましても、実際の資料によつて即座に数字でも出るような御準備を願つて、そうして基本的事実を明らかにして行くなり、できるだけ早く固めてしまいたいと思います。もう一箇月たつておるのであります。でありますからどんどん中核の方一進んで行つて、六次以後の、ことに昨年の法律二百十五号の修正の前後の事情も私ども聞きたいことがずいぶんありますので、従つて理事会でいろいろと御協議になることはさることでありますけれども、前後一箇月間における過去の当委員会における経過にかんがみまして、できるだけどんどんと進めてい発案い。行つたりもどつたりするようなことのないようにしていただきたい。落選しました船主なんかを呼ぶこともできるだけ早く実行するようにお願いしたい、こういうこうを明確に申し上げて記録にとつておいてもらいたいと思います。
  166. 大上司

    大上委員長代理 吉田君のただいまの御提案了承しました。つきましては大蔵省並びに運輸省、または日本銀行、なお開発銀行等に対する質問につきましてやや資料が整つておらぬかのような感がいたしましたので、次会にはなるべく精査していただきまして特に本委員会は、それを将来の政策上とかいうものではなくして、計数的な国損幾らということになりますから、特に計数に御注意願いたいと思います。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 資料の取寄せを願つておきたいと思います。二十八年法律第一号、それからでき元ら国会における両院の当時の速記録、それから二百十五号の両院の速記録をもとりたいと思います。それをぜひお願いいたしたいと思います。
  168. 大上司

    大上委員長代理 藤田義光君。
  169. 藤田義光

    ○藤田委員 私は簡単に数点だけをお伺いいたしておきたいと思います。  まず第一点に、日本銀行開発銀行関係であります。開発銀行発足後の日本銀行との関係をお伺いしたい。これは非常に漠然としておりますが、日本銀行法に基きまして、日本銀行は、国家使命の達成ということが最大の目的になつておりまして、これは日本銀行法の第二条にはつきりと掲げられております。国家経済の総力を発揮するということも日本銀行法の第一条に明示されております。巷間非常に問題になつております計画造船の問題に関しましては、もちろんこの日本銀行法第一条、第二条の規定をひもとくまでもなく、日本銀行は重大なる責任があるわけでありますが、現在開発銀行資金運用に関しまして、経済総力の発揮のために、また国家目的の達成のために、日本銀行はどういう措置を今までとつて来られましたか。開発銀行発足以来、計画造船融資に関する日本銀行の措置を簡単にお示し願いたいと思います。
  170. 篠原周一

    篠原参考人 私は直接それを現在担当しておりませんけれども見返り資金で従来やつておりましたその資金を、すべて開発銀行が引継ぎましてそして政府の計画造船の際に措置する面と、それから今後は日本銀行としては市中銀行がやはりある程度金融の面をみておりますから、その両方の面を勘案しつつ、今お話の中にありましたような見地から調節をしておるというのが現状だろうと思います。
  171. 藤田義光

    ○藤田委員 数目前の新聞報道によれば一万田総裁が、現状では第十次造船に非常に支障を来すというような意味の発言をされております。この記事を見ましても、日本銀行の総裁というものが、計画造船融資に非常な力を持つておるという印象を受けたのであります。私は過去の見返り資金の処理の問題にあらずして、現在日本銀行一は、本来の使命に基きまして財政資金を運用する、開発銀行融資に非常な関心と責任がある。これは当然でありますが、これは銀行という名のもとに、日本銀行法の使命達成のために全力を上げるべきであると思いますが、その点に関しましてはどういう措置をとられておるかということをお伺いしたいのであります。これはおそらく新聞に散見しております通り、計画造船融資に関しまして万田総裁の刑事責任等が散見されておるのであります。われわれ財政資金の行方を追及する当委員会としてもこの点最も関心を深くしておるところでありましていま少しく具体的にお示しを願いたいと思います。
  172. 篠原周一

    篠原参考人 私実は日本銀行の現在人事部長でありまして、今御質問のようなことについてはまだ正式に…。
  173. 藤田義光

    ○藤田委員 あなたの方でかつて融資斡旋部というものがありましたが、これと資金局の関係はどういうふうになつておりますかお伺いしたい。
  174. 篠原周一

    篠原参考人 これは直接には関係がないと思います。
  175. 藤田義光

    ○藤田委員 時間がありませんから項目だけあげてお伺いしておきます。先般来開発銀行総裁等の答弁によりましても、七割は開発銀行計画造船融資を担当する、残り三割は市中銀行が担当する、市中銀行監督する責任を持つ日本銀行は、少くともこの三割については重大責任があるわけでありますが、開発銀行融資をいたしました残部の三割に関しましてどういう指導をして参つておられますか、お伺いしておきます。
  176. 篠原周一

    篠原参考人 私はその当時その方に直接関連しておりませんから、見返り資金貸付事務だけをしております。それで見返り資金を貸す場合には、その船会社が他の残りの部分の資金の手当がつくかということを、私どもとしてはやはり見定める必要がございます。従いましてやはり当時において計画される財政資金と、市中のそれに対して出し得る資金量というものについて、金融界並び政府当局といろいろな話も盛んにあつたと私は思うのです。要するに造船については計画造船の政府の資金量というものと、それから一般の市中の資金がそれにマッチして行けるかどうかということについては、何次船々々々ともにいろいろやはり研究しなければならない問題はあつたろうと私は思います。
  177. 藤田義光

    ○藤田委員 これは人事部長に対する質問は適当でないということをはつきり認識しながらお伺いするのですが、現在第十次造船の行方ということが国際的に重大な関心を集めておるわけです。特にイギリスの大使館等は、日本の造船疑獄に対しまして非常な喝采を浴びせておる。日本の海運の発展ということがイギリス造船界の脅威であつたことは事実のようであります。特にふらちにもイギリス大使館の商務官のごときは、連日運輸省にスパイに行つておるというよう報道もわれわれ耳にいたしておるわけでありますが、私は第十次造船に対しまして、日銀としよしても相当の責任がある。これは国家的な大問題でありまして、この重要な国策の遂行という面が、疑獄騒ぎに押されまして、非常に軽視されつつあるような寒心にたえない現状でありまして、この点に対しましては日銀の幹部として何か打合せ会等でも持つておりますかどうか。現状のまま放任しておきますると、先ほど海運局長の御発言がありましたように、四百万トン計画造船というものに大きなひびが入つて、国家的な大損失である。疑獄は疑獄でありまするが、あくまで造船目標の達成という国家的な至上命令は、どうしても無視するわけには行かぬと思いますが現状のままでは非常に停頓するということを一万田総裁ははつきり言われております。従いまして日銀は今日これらの問題に対しまして何か具体的な処置を考えておられますかどうですかお伺いいたしたい。この点に関しましては松田理事の御答弁もお伺いしたいと思います。
  178. 篠原周一

    篠原参考人 ただいまの点は、私まだ全然存じておりません。
  179. 田中角榮

    ○田中(角)委員 関連して。藤田君から大体私の質問の要旨の質問がありましたから、あらためて申すまでもありませんが、非常に重大な問題でありますので、重複するかもしれませんが、ちよつと時間を借りて質問をし、開発銀行側及び海運局長の所見をただしておきたいと考えるのであります。  海運行政、なかんずく第十次造船計画の成功不成功についてこう考えております。第九次までにおける造船計画につきましては、現在検察庁において取調べ中でありますので、不法行為があればおのずから明らかになり、将来のこの種の案件に関する国策面について幾多改めらるべきものが出ると考えております。しかし戦後の日本海運界の増強推進もまたゆるがせにしてはならないということは、もう何人も異論のないところであります。特にただいま藤田君が申された通り、日本の造船計画の推進によりまして非常に恐慌ぎみであつた諸外国の造船界、なかんずく英国等は、今次事件の発生によりまして日本海運界の進展が一頓座を来したことに対して希望的な観測を持つており、この事件を利用して日本海運界の一大進展というものを阻止できるのではないかというような形勢にあることも、またいなむことのできない事実であります。その意味におきまして、事件は事件として、日本海運界の増強、伸張というものもゆるがせにしてはならない。その意味におきまして十次造船の計画については、不正を排除する具体処置も当然考究せられなければなりません。造船合理化審議会の運営、利子補給率についてはどういう考えを持つか等々の、今後造船に対して合理化すべきところは勇敢に実施をしなければなりません。そうして少くとも国民の納得する方途を早期に樹立をしていささかでも日本海運の伸張にブレーキをかけてはならない、こういうことを国会としても重大な関心事として見守つておるわけであります。ところがこういう事件が起きますと一般国民も、特に海運界のその衝にある方々でも、事件が解決してから十次造船をやるのがいいのではないかというような俗論に迷わされやすいものであります。正すべきものは正す、しかし国策として取上ぐべきものは勇敢に取上げなければならないはずであります。しかもそれが将来過誤があつて、その責を追究せられる場合には、海運局長でも現職大臣でも、当然負えばいいのであります。少くともこの種の事件に遭遇したことによつてこれら重大なる国策がゆるがせにせられてはならない、こういうふうに考えておるのでありまして、これが具体的処置に関して当局の方針をただしておきたい。特に今までの問題に対して過誤ありと考える場合、立法措置を講ずる意図があるかどうか。しかも十次造船に対していかなる処置をして、このマイナスをとりもどして行くか、国政審議としては最も重要なるポイントであると思いますので、運輸当局の方針をただすとともに、このような問題がありますと、特に開発銀行市中銀行等で、まず危いものには近寄らない、こういう考えが持たれたらたまつたものではありません。これは日本の経済復興に大きなブレーキをかけるもので麦つて、私たちが心配をしておるのはその一事に尽きるのでありまして、正さるべきものは正されるのでありますから、その問題とはおのずから別に、将来の問題に対しては明らかに方針を決定し、ただいまからでも進めなければならぬ問題だと確信をしております。その意味において関係当局の意見をあわせてただしておきたい、こう考えるわけであります。
  180. 大上司

    大上委員長代理 関係当局に申し上げます。田中委員の前の藤田委員の質問にも同趣旨がございますので、あわせて答弁を願います。
  181. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私ども今度の事件につきましては、ただいま御説がありましたように、日本の海運として進むべき道が、非常な誤解その他によつて誤まられやしないか、同時に、日本海運の進展に対して諸外国は非常な関心を持ち、また脅威を感じておる、だから今度の事件についてどういう考えを持ち、見、かつ日本の海運に対して今後どういう態度をとつて来るか、これが一番心配になる点であります。私どもが今までとつた、あるいは関係業者がとつた事柄において、もし間違いがあり、法に触れるところがあれば、これは断固としてやつていただく。しかしそれがために日本海運の進展が阻害されるということは、私どもとしては泣いても泣き切れない気持であります。従いましてさしあたりの問題としての十次造船につきましては、私どもは、こういう事態にかかわらず、既定方針通り敢然として進んで行きたい、かように考えておる次第でございまして先週も市中銀行代表者である三菱銀行の千金良頭取並びに興銀の川北頭取をおたずねいたしまして、十次造船についての市中銀行側の御意向をまとめていただくようにということをお願いした次第であります。十次造船をどういう形で持つて行くか、今度の事態が起りまして——これが起らなくても非常にむずかしい状態でございましたが、今度の事態によつてこれはより一層むずかしい状態になつたのであります。選考方法その他についていろいろ問題もございましようが、選考方法というような技術的な面に入りまする前に解決しなければならないいろいろの問題があるわけでございまして、もうすでに海運会社の持つておる担保力も尽きておる、あるいは市中銀行としてもすでに多額の金を貸し付けて、これがこげつきになつて、これ以上の融資余力がない、そういうふうな点についてどういうふうな考えで進んで行くか。この問題が非常に重大な問題で、さいまして、こういう問題をまず解決しなければならない、かように考えて、それぞれの方面に今折衝を始めておる次第でございます。私どもといたしましては、今度の事件そのものよりも、事件を軽くいろいろのうわさか、あるいは誤つた説が日本海運をほんとうに再び立つことのできない渕へ追いやるのじやないかということを痛切に考えておる次第でございます。私どもといたしましてはこういう事態にもめげず、最善の努力をいたしたいと考えております。
  182. 松田太郎

    ○松田説明員 ただいまの御質問につきましては、私どももまつたく同感でございます。なおただいま政府の方からお話もございましたように、今後の日本の海運政策、並びに造船政策をいかように持つて行くかということは、国の大きな国策でございますので、もちろんその線に沿いまして、開発銀行といたしましても、できるだけの御協力を申し上げねばならぬと考えております。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 関連して……。十次計画造船のお話が出ましたが、今の海運局長の御説明だと、既定方針を敢然遂行するという方針のように伺いましたが、それは省議といいますか、大臣もそういう御意向にきまつておるのでしようか。その点をひとつ明らかにし、もらいたいと思います。  それからしばしば別の委員会等におきまして、大臣は、この重大なできごこと、融資をめぐる各般の疑獄的なできごとにかんがみて、十次造船の計画については、相当別の考慮もしなければはらぬようなことも聞くのですが、あなたのお説は省の方針として承つていいのでしようか。
  184. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 十次造船を既定針通り進めますことは、省の方針としてお聞き願つてさしつかえないと思います。それからそのやり方につきましては、ただいま申しましたように、市中銀行その他の意見を十分聞かなければなりません。市中銀行が絶対金が出ないということになりますと、また別の方法を考えなければならぬ。別の方法ということになりますと、これは国がつくるとか、その他の方法になる。そういたしますと、これは今年中につくれなくなるのですが、そうすると造船所が六月になると全部がらあきになる。先日造船工業会会長の丹羽氏が座談会で言つておりましたが、関連する従業員の四十万が全然仕事がなくなるという問題が起つて来る。そういう問題をどう処置するかということが、われわれとしては非常に気にかかつている問題なんです。従いましてわれわれとしては、まず市中銀行の考え方、それから開発銀行の考え方というものをできるだけ早く確かめましてどういう形で持つて行くか、いずれにしても十次造船というものは早急に進めたいというのが私どもの考えであります。
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたに聞くことが無理かもわかりませんけれども、しかし私どもも疑獄といいますか、融資をめぐる各般の不祥事の追究ということは、国家のために徹底的にやらなければならぬということも考えますが、他面におきまして、また日本の海運政策とか、あるいは造船政策とか、あるいは造船労働者の生活問題とかいつたような問題は、また同時にきわめて重大な問題として考えておるのであります。そこでやはりこの際は、あなたの省といたしましても、このたびの各般の事件について、最も深い省察を遂げねばならぬ幾多の問題があるべきで、これはいろいろ御説明を聞こうとしても、あなたの方も説明できないような点も多々あるわけでありますので、そういつた省察も十分に遂げることなくしてただ勢い込んでやらねばならぬということでは、問題は解決しないように思います。これは一つの省で方針をきめているとおつしやるものの、総体的な各般の関係があるのだから、そう簡単には参るまいと思います。いずれ大臣と問答せねばしようがないと思いますけれども、幾多の検討せねばならぬ問題が、ただに市中銀行のみならず、あなたの方の内部でも選考方法あるいは各般の問題についてあるということはお気つきになつておるのではないのでしようか。
  186. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 選考方法につきましては、これはたびたび御説明申し上げましたように、われわれとしてはそのときどきにおける最善を考えて行きたいと思つておりますが、しかしそうわれわれのやつていることが間違いないとは考えていないので、何かそれ以上の方法があれば、ぜひそれをとりたい、いやしくも疑惑の起るようなことのないように、これはあらゆる方面の知識をかりて考えたいというふうに思つております。そのほか計画造船方式につきましては、これは私どもとしては全身全霊をこめてやつているつもりであります。しかし今日のこういう事態が起りましたので、なお深く反省いたしまして、御期待に沿うような措置に向いたい、かように考えます。
  187. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから開発銀行の方にも伺つておきたいのですが、あなたの方ではやはり今次の各般の事態の推移にかんがみまして、あなたの方の総裁におきましても、相当慎重論が起つておるように伝えられております。もつともなことであつて、あるいは紙上伝うるところによると、日銀あたりにおいても、総裁の言として相当慎重な意見が出ております。これはやはり融資する、しない、あるいは造船計画あるいはその持つて行き方等々につきまして、根本的に検討を遂げねばならぬ問題があるのじやないか、こう思いますのですが、できるだけ協力というふうに簡単な推移にまかすべきほど事小さくなくして開発銀行自体におきましても、融資の仕方について、もつと本質的に検討せねばならぬ問題があるのではないか、こういうことをすら考えられるのでありますが、そういうようなことについては内部的に問題にはなつておらぬのでしようか、あるいは単にやはり協力するという従来の方針が持続されるということになるのでしようか。その辺はどういうことなんでしようか。
  188. 松田太郎

    ○松田説明員 その点はただいま申しましたように、やはり国の政策とせられまして、海運政策それから造船政策、またそれについてどういうぐあいに重点を置いて行かれるかというような点は、国の政策として非常に大きな問題だろうと思いますので、その点につきましては、もちろん政府、国会等でいろいろ御検討いただくことと思いますが、その基本線に沿いまして、開発銀行として今後もこの融資についてこれを実行して行くということが、国の方針としてよろしい、もちろんそういう前提で私申し上げたのであります。そういう際には開発銀行としましても、融資の具体的の方法については、今までのところ、現在の段階でも十分慎重にやつていると思いますが、なお運輸省その他市中銀行等の意向も十分伺いまして、開発銀行としてもさらに広く各方面の御意見を聞かなくちやならぬ点はもちろん十分伺いまして具体的に誤りのないようにして参りたいと思つておりますが、そういう点につきましては、今後運輸省御当局とも十分打合せして進んで参りたい、かように考えております。
  189. 藤田義光

    ○藤田委員 議事進行について……。先ほど来各委員並びに参考人、政府との問答を拝聴しておりまして、財政資金融資の問題に関連いたしまして、経済審議庁で産業別の投資計画等を決定いたしておりまして、またその大わくがきまつたものについて開発銀行が実際上の運営の責任を持つております。従いまして次会の委員会におきましては、経済審議庁、日銀、開発銀行等の、これは国策の重大な一部門でありますから、総合的な質問を大所高所から展開したいと思いますので、なるべく最高責任者に当委員会に出ていただくように、委員長においておとりはからい願いたいことを申し上げまして私の質問はまだたくさんありますけれども、今日は保留しておきます。
  190. 大上司

    大上委員長代理 藤田君にお答え申し上げます。先ほど杉村委員からの話等もございましたので、本日はおそいようですから、明日一応理事会を開きまして、しかもなお発言時間等もあり、なお吉田委員からもこの運営について相当御意見もあるようでございますので、よく打合せをしたいと思いますから、明日の公報にひとつお気をつけ願いたいと思います。では今日はこの程度といたします。  参考人には長時間まことに御苦労でございました。  これにて散会いたします。     午後一時十二分散会