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説明員(村田繁君)
只今の二つの御
請願についてお答えいたします。
先ず第一に松尾鉱山の問題でございますが、
只今専門員のかたから
お話のございましたごとくに、松尾鉱山はほかの硫黄鉱山に比べまして非常に坑内の排水が多うございまして、而もその排水は酸性が強いという点で、とかく鉱害の問題につきまして従来とも非常に問題の多か
つた点でございますが、山といたしましてもこの坑内水の中和
処理施設、それから灌漑用水の水路の設置と、いろいろとその対策に腐心して参りました。鉱害地の防止につきまして相当
程度の効果を挙げて来たのでございますが、先ほども
お話のございましたごとくに、二十四年以降におきまして、これが抜本的な対策といたしまして、この坑内水並びに沈澱池の浸透いたしました水と、両方につきましてこれを井戸を掘りまして地下にくぐらせる。地下水化しよう、こういうことを
計画いたしまして、取りあえず沈澱池の浸透水につきましてはこれを試験的にやりまして或る
程度の成果を得ましたのでございますが、次いで坑内排水自体につきましてもこれが地下水化を図ろうということを意図いたしました。これの実施につきまして今
検討中でございますが、何分にも一分間に二十五立米という大量の坑内水が出るものでございますから、果して技術的にこれだけの大量の水を全部地下水化することができるかどうかという点につきましては、相当技術的に、その地質の影響等も相当ありまして、技術的に研究する必要がありますので、実は
昭和二十八年度の工業技術院から出ております鉱工業技術研究補助金約四十万円出しまして、これが今試験研究の実施の
段階と、こういうことにな
つておりますので、その研究の結果に基きまして、
只今の御
趣旨の点につきましては改めて善処したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
次に八ケ岳硫黄の問題でございますが、八ケ岳は硫黄鉱山といたしましては古く明治二十六年くらいから採掘をや
つて来ておるのでございますが、極く最近に至るまでは個人が焼取精錬をやる
程度において小規模にや
つて来てお
つたわけでございまして、それが最近二十六年になりまして
只今お話の八ケ岳硫黄鉱業株式
会社が個人から鉱業権を譲受けまして本格的に採掘しようとして目下ボーリングを実施中でございます。従いまして地元
関係におきまして、特に山元の
方面を湯川という非常に小さな川が流れておりまして、それが更に下流のほうに行きまして千曲川に合流するというようなことにな
つているのでありまするが、山元の湯川近辺のかた、又千曲川の近辺のかたから鉱害の問題につきましていろいろ陳情がございまして、問題にされておるのでございますが、
只今申上げましたようにまだボーリング中で、まだ全然稼働しておりません。従いまして
只今掘ることをやるがためにそういう酸性が強くな
つて鉱害を与えるということは現在の事態においては全然考えられないことでございます。ただ、もともと湯川の水は非常に酸性が強うございまして、いわゆる酸性度のなにを計りますのに、大体普通の中和された
状態を七というのに対しまして湯川の水は二・五と、数が少くなるほど酸性の度が強くなるという計算であります。それで行きまして二・五ぐらいでありまして、相当強度な酸性を持
つておるということが言えるのであります。これは今の自然の水自体がそういうように強いのであります。ただ、非常に水量が少いということで大した問題にならないという現状でございます。それがだんだん流れて行きまして、下流の千曲川に行く時分には現在の
程度でもかなり中和されておりまして、先ほど申上げましたペーハー七という
程度の水準にな
つておるというような
状態にな
つておりまして、このぺーハー七
程度であれば殆んど鉱害というような点での問題はないわけでございます。将来それなら鉱山が稼働した場合に、今のような
状態が更に悪くなるかどうかという点がまあ今後懸念される問題でございますが、
只今ボーリングしておる
会社といたしましていよいよ掘るという段になりました場合には、今のところの
計画としては硫黄を露天掘いたしまして、そうして掘
つたあとには普通の土壌で以てその穴を埋めてしまう。而もその埋めた
あとが雨やその他で流れるというようなことのないように植林等をいたすことによ
つて、掘
つた結果の影響によ
つて水質を悪化させるというようなことのないように十分監督させてや
つて行くつもりでおりますので、
只今のようなやめなくちや今の千曲川周辺のかたがたに御迷惑をかけるというような事態は起らない、こういうふうに考えておる次第でございます。簡単でございますが……。