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1953-11-06 第17回国会 参議院 通商産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君            武藤 常介君            團  伊能君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    通商産業省鉱山    局鉱政課長   村田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (火力外資借款に関する件) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会の議決を求  めるの件(アルコール専売事業)  (内閣送付) ○鉱毒対策費国庫負担に関する請願  (第三二号) ○長野県八ケ岳いおう採掘反対に関す  る請願(第七二号) ○茨城県炭鉱地区電気周波数変更に  関する請願(第一一六号)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開会いたします。  本日は先ず最初に火力借款の問題につきまして審議を続けます。公益事業局長に対しまする前回の質疑を続行いたします。
  3. 藤田進

    藤田進君 大臣が後刻見えるようでありますので、その部分を除いて局長にお願いしたいと思います。  現在水力借款についてとかくの報道がなされておりますが、確かに昭和二十八年度予算総則には、外貨にして、ドルに直して四千二十万ドルを引いた残りが一億二千万ドル余残つているので、この一億二千万ドル余の外資というものを水力借款で入れよう、こういうことが伝えられている。その中でお伺いしたいのは、九州上椎葉については既にその借款がきまつたということが言われているわけですが、それが事実かどうか。
  4. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 一億二千万ドルというのは、火力借款がきまります前に日本として大体水力開発を目標にいたしまして、この程度の要請を非公式にやつておるわけであります。従つて仮に世界銀行のほうで、今年度は日本に対して一億或いは一億二千万ドルという枠があるとすれば、その中から火力の四千万ドルは差引かれる勘定になるわけであります。火力のほかにそれだけのものが別にあるというわけではありません。こちらから要望してそういう数字が出ております。  それからその中で上椎葉は、これは当初出しておりましたけれども、一番あとで出しましたときには、来年には上椎葉はでき上りますので、これに対して融資を受けるということは恐らく適当でなかろうということで、こちらのほうとしては落してございます。従つて無論上椎葉について水力借款がきまつたという話は全然違うのであります。むしろ全然上椎葉については、こちらとしては水力に関する借款を期待しておらないということであります。
  5. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、総括的に外資について交渉していたが、具体的に火力が四千二十万ドル決定して、爾余については具体的に話が進んでいないのか、今進みつつあるのか、この点について。
  6. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 実は只今世界銀行の枠が一億ぐらいあるだろうという話がございましたので、火力が大体四千万ドルにきまるということになりましたときに、それらの残りのものは六千万ドル見当で一つ要請して見ようというので資料を作つております。併し当時まだ火力借款交渉中でありましたので、正式には世銀のほうに提出していないようでございますけれども、火力も済みましたので、いずれ大使館のほうから出されると思いますけれども、まだ具体的にこれが進行しておるというところまでは行つておりません。
  7. 藤田進

    藤田進君 今六千万ドルについての腹案というものはやはり水力発電機アメリカメーカーから入れるという、これに主として引当てるべき六千万ドルであるのか、単に外資だけを世銀から借りて、その事業計画実施殊発電機等設備についてはいわゆる国産を充てようとするのか、その点について。
  8. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 設備向うから入れるということで行くとすれば、火力と同じように非常にこれは成立が容易なことになるわけでありますが、こちらの要望といたしましては、水力の場合には全然向うから設備を入れることは期待しないで、すべて機械日本で作るということで、要するにインパクトローンの線で申入を進めております。
  9. 藤田進

    藤田進君 それについて世銀はそれでもよろしいというふうに予想できるのかどうか、見込ですね。
  10. 中島征帆

    説明員中島征帆君) インパクトローンが絶対不可能であるということは言つておらないのでありますが、見通しとして非常にむずかしいということは言えると思います。仮に、これが成立するといたしましても、そういう形で、今度又新らしく話が出るとすれば相当長期間を要する、恐らく一年ぐらいかかるということは言えます。従つてインパクトローンで、金だけ借りるという借款は非常に困難である。又できるとしてもかなり期間を要する。従つてなかなか早急にこの成立というものはむずかしいのじやないかというふうに我々は考えております。
  11. 藤田進

    藤田進君 今の六千万ドルというと、この引当は電源開発会社ですか、それとも九電気事業会社にもこれを分けるのか、その辺の事情を。
  12. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 今は電源開発会社開発地点だけを当てこんでおります。
  13. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、すでに着工しておるものということになりますか、これからの調査のものを含めたものなのか、具体的に若し個所別にわかれば一つ
  14. 中島征帆

    説明員中島征帆君) たしか最後に出しましたのが只見開発がきまりましたあとで、只見川は今着工しております。佐久間御母衣、この三地点であります。
  15. 藤田進

    藤田進君 佐久間只見御母衣、そうすると只見はいろいろ個所がありますね。この間見せてもらつたのですが、計画がずつとあるようですが、これは只見の今の地点ということになるわけでありますか。
  16. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 今度きまりました三カ地点でございます。
  17. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、この外資についてはまた見通しからしてかなり困難である、而もインパクトローンで行きたいというような条件がついておるので、一方佐久間御母衣もそれから只見も着工しなければならん、受入契約もして現地では鍬入れもしようという状態にあるわけですが、そこらがどうも納得が行かないのですが……金のほうもまだきまらないのに……。
  18. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 開発会社の今の地点につきましては、外資と無関係資金のほうは準備をいたしておりまして、仮に借款成立しなくても開発工事はどんどん進められるような態勢で行つております。若しも新らしい借款成立しまして、それだけの余裕ができれば、別の地点開発会社としては開発する余力が出る、こういう結果になると思います。
  19. 藤田進

    藤田進君 この事業計画というものは、やはり今度の開発会社が借りて、火力借款と同じシステムで行けば三つの約定ができることになるので、そういう事業計画から言えば、結局変更するという手続をとらざるを得ないのじやないですか。只見佐久間御母衣、ここに使用するのだという事業計画に入つて六千万ドルなら六千万ドル借りる。併しこれは外貨の決定が相当遅れるという見通しのようですから、その間にまあ手打で行こう、国内資本で行こうということで進めていますと、事業計画とそれから実際の予算実施との間にですね、相当違つて来るので、そこをどう処理されるつもりですか。
  20. 中島征帆

    説明員中島征帆君) この点は別に違つていないと思いますが、工事は現在進めておりますけれども、外資が入つたことによつて現在の工事計画が変るわけではありませんで、結局現在持つております計画をそのまま外資対象とするということになるわけでございます。それから火力借款と違いますのは、機械を入れませんから、直接の結び付きばないわけでございまして、結局仮にこちらの希望する通りインパクトローンということになれば、そういう地点を特定するということは、その地点設備が特に担保対象として、向うとしては関心を持つ、こういうことになるだろうと思います。従つて今度の火力借款の場合のように、直接向う設備を入れるのじやありませんから、事業計画等につきましては今度の場合ほど細かい制約は受けないで行くのじやないか。仮にインパクトローン成立すればの話でございますが、そういうことになります。
  21. 藤田進

    藤田進君 まあこれはまだ全然当つていないということなんで、どうなるかわかりませんが、やはりインパクトローンにしましても相当条件がむずかしいということになると思われるので、開発会社の場合には、従来の九電力会社或いは今度の三電力会社、中部ほか二社のああいつた条件政府会社関係では、その条件というものは増資なり或いは電力料金率の確立なり、こういうことで、その事業運営というものがすでに開銀と政府関係保証というよりも、電気会社に直接政府事業運営について、少くとも外債処理について支障を来たさないように、延いては赤字経営でないように、こういうものがあるわけですが、今度の開発会社の場合はどういう形になりますか、そういう電源開発会社に対する保証というか、政府が拘束されるものですね。
  22. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 電源開発会社の場合は、これはすでに法律上開発会社に対して政府保証できるということになつておりますので、今度の火力借款の場合のように、開発銀行というものを間に一つ置かないで、直接交渉ができるようになりますが、そうしますと借款世界銀行開発との間に直接契約ができることになりまして、それに対して政府保証をするが、それだけ今度の場合に比べまして単純化されるわけであります。従つて政府としましては直接電源開発促進法に基いて監督をいたしております電源開発会社の今後の業務につきまして、世界銀行に対しては政府は或る程度責任を負うということになるわけでございますが、電気事業、現在の三電力会社電気葉関係に対しまするのと違つて、その辺はもつと密接な関係にございますので、政府としての責任のとり方もその点においてはむしろはつきりするということになります。
  23. 藤田進

    藤田進君 電源開襟会社は御承知のように少くとも国策というか、政府資本というものが大半で、その事情は確かに今の九電力会社とは資本的にも無論違います。違いますけれども、国がその電源開発会社に対して保証というよりも政府自身が償還するというか、世銀政府との借款というような恰好にならざるを得ないのじやないだろうか、開発会社はどんどん開発をして行くその資金さえあればあと開発したものは既設の電力会社に譲つたり、電気をそのまま売つたり、こういうことなんで、従つてどうも開発会社自身が償還の担保なり責任というものがむずかしいではないだろうか、こういう点ですね。
  24. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 今度の例から想像いたしますと、仮に電源開発会社に対しまして借款成立いたしました場合には恐らく同様に電源会社の持つております資産の譲渡等につきましては世界銀行としては一応同意なくしてはやれないような契約になると思います。そうしますと現在促進法で予定されております通りに、開発をいたしました設備というものを将来何らかの電気事業者に譲るというようなこともその場合には改めて世界銀行承認を得なければならないということになりますので、承認を得なかつた契約上はそのほかのほうへ肩代りできない、従つて電源開発会社といたしましては開発した設備をすべて自分財産として全体的に世界銀行に対してそれは担保になるという恰好になるわけです。若しも世界銀行がそれを承諾いたしましてこれを電気事業者等譲渡した場合に、電源開発会社といたしましては別段の財産がなくなるわけでありますから、その際には若しも返済能力がなければ政府保証契約がある限りは政府債務を払わなければならんということになりますけれども、そこまで直接来ないで、恐らくは一応はまあそういう関係になれば電源開発会社としては設備をなかなか譲渡せないという恰好になります。それから若し譲渡した場合には譲渡しの代金で以てこれは返済することになりますので、直接そのために政府債務をすぐに背負い込むということにはならないで済むだろうと思います。
  25. 藤田進

    藤田進君 ですから私はこれは言うべくして、実際検討されておるでしようが、大変むずかしい問題があるだろう思うのは、開発されてだんだん完成して電気生産する状態に早晩なつて来ますね。そういうふうになつて来ればその電気そのもの曾つて日発のように直配する、発送電一貫運営をして行かなければこれはどうしてもやつて行けないということで、卸売業になるのではないか、そうしてその際には新らしい開発ですからキロワツト当りコストも相当高いものになります。電力原価が最近の開発は非常に高い。そうしますと新規開発電源会社自身開発コストというものは相当高いものである。これの料金率を確立しろという問題が当然ここに出て来なければならんというようなことがあるのじやないだろうか、そのような事情の反映か、最近通産当局等ではもはや軍備ではないと言つておるのと同じように、開発会社日発とは違うのだ、こういうようなことではもうどうにも説明つかないので、あつさり日発と同じようにこの際切替える必要があるのじやないか、発電所が売るといつたやつを電気会社も買わないでしよう、買わなくたつて安く電気をとればいいのだからというような調子になるものですから、勢いそういう外資との関係もあるのではないかというのが、日発の再現というか、そういう方向に進みつつある、かなり人的な問題にまで移つておるというようなことが噂には出ておるわけです。これがそういう点については外資との関係があるなしの点と、それからそういつた外資に関連してでも今の開発会社そのもの資金的だけでなしに、その開発したものの処理について発電所譲渡はむずかしい、かといつて卸売なり配電なりするということはこれ又なお更むずかしい、コストも高い、こういうことがあるのじやないだろうかと思いますが、それらの点についてはどうですか。
  26. 中島征帆

    説明員中島征帆君) その問題は借款とは必ずしも関係はないと思います。ただ現在だんだん開発が進行いたしておりまして、新らしい発電所もぼつぼつ出て来ておりますので、当然開発会社性格の問題に直面するわけでございますが、電源開発促進法成立当時のいろいろないきさつからいたしまして、簡単に開発会社がどういうふうな形であるべきだということを今からすぐ結論付けるのはまだ時期が早いし、いろいろな問題があるようであります。従つて勿論はつきりしたことは私からも申上げられませんが、個人的な気持といたしましては、やはりお話のように当時はこれは電源開発会社というものを作つた趣旨は、すべて電力会社に売るんだ、要するに開発するだけの会社であるというふうに予定されておりましたけれども、やはり当分のうちは卸売的な性格を持つた会社として、或る程度電気の供給につきましても事業を行う、こういうことのほうが適当ではないかというような気持を私はいたしております。併しこれは一挙に開発会社性格をそういうふうにはつきりするということはむずかしいようでございますが、少くとも最近東北方面で胆沢、猿ケ石方面電気が出て参りますが、それにつきましては卸売的な仕事で先ずスタートさせるということで、だんだん部分的に一つ一つ片付けて行つて将来どういうふうになるか、時期が参りますとはつきりさせなければならんかと思いますけれども、今のところでは出て来るものにつきまして一つ一つそういうようなことで開発会社としての仕事の行き方をきめて行かなければならんと思います。
  27. 藤田進

    藤田進君 確かに今言われたようなそういう傾向は非常に強く出て来ておると思うので、当初の開発会社ができ上つたときよりはおおむね変つておるし、無論私どもはああいつた電源開発会社のあり方では恐らくつまずくだろうということは、具体的に例を挙げて申上げた、その通りが今出て来ておるわけですが、卸売をやります場合でも、これは新潟の三面ですか、県営の場合でも行詰つておるのは、開発コストが高いし、卸売との関係電気会社はそう簡単に買わない。それでは直配させてくれ、いわゆる専用線を有するもの、或いは有しないものについては専用線を県がつけて直配するなり、開発会社も同じですが、そういう傾向にならざるを得ない状態になつて、大きくは電力行政というもの、殊に企業形態なりそういうものについて根本的な検討を加えなければならん段階に又来ておる。曾つて、根本的な検討を加えてそうして合理的な企業形態と且つ運営をしなければならなかつたものが、逆な方向なつたために、却つて再び三たびつまずき。こういう全体の再編成なりそういつたような合理化というものが、この外債によつて拘束されてしまつて、もう借りたものを、四千三十万ドルですか、コンミツシヨンを出して返してしまえば拘束から逃れられるけれども、そうでない限り非常に問題が残されておるというふうに考えるわけです。
  28. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止
  29. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  30. 西田隆男

    西田隆男君 この前の委員会一般鉱害の問題について石炭局長にいろいろ尋ねて見ましたが、その際局長答弁によりますと、大臣大蔵大臣に会われて一般鉱害融資の問題についてお話なつたということを報告されたわけですが、これは非常に大きな問題でして、今朝も早く九時から電話がかかつて来まして、いろいろ事業団連中やら被害者連中が大挙して上つて来るような形勢のようです。従つて大臣大蔵大臣に会われて運用部資金融資についてお話合いなつた経過と結果をこの席ではつきりして頂きたい。
  31. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは石炭局長から詳しく事情を伺いまして、二億七千万円の融資一般鉱害事業団のために融資してもらいたいという話がありまして、いろいろ事情を聞きますというと誠に御尤もに思いまして、早速大蔵大臣に話しましたけれども、御承知通りに、只今預金部資金が非常に枯渇している際でございまして、どうもそれはなかなかむずかしいというような話がありましたけれども、併しこの風水害なんか出ましていろいろなことで困つており、これを何とかしなければほかの冷害対策水害対策なんかしても片手落じやないかという、こういうような話合いから、私のこれは勝手な取計らいでございまして相済みませんけれども、二億七千万円が全部でなくてもいいから、一部でもいいから是非何とかしてもらいたい、こういうことで強く大蔵大臣に要請している次第でございますが、まだ大蔵大臣は御承知通り参議院予算のほうも済みませんものですし、まだそれを十分検討するところまで行つておりません。併し、下のほうに下して事務的に十分これを検討させしまして一つ御返事申上げましよう、こういうことになつておりますから御了承願いたいと思います。
  32. 西田隆男

    西田隆男君 大変お骨折になつたようなお答えですが、もう御承知のように事業団は八月一日に発足いたしまして今日まで何ら二十八年度分の仕事はやつてないという実情なんです。風水害の特にひどかつた九州地区においては非常に問題になつております一般鉱害の問題、特別鉱害の問題がスムースに行かないために、今別の問題として発生している一般鉱害の問題についても、社会問題化して非常に険悪な空気になつております。大臣が今お話なつたことが事実であるとすれば、議会は明日で済むはずですから、議会が済んだらもう一遍大蔵大臣と会われて、二億七千万円ができれば……。一億では余り少いですが、できるだけの金を政府財政資金によつて融通してもらうということをはつきり早急にきめて頂きたい。若しこれができないという段階になれば、事業団としては地方銀行からでも借入金をしなければ、事業団はできたが何も仕事ができないというますます悪い結果になりそうなんですから、政府のほうの考え方を、大臣の御足労を願つて議会が済んだらすぐに会われてはつきりした御返事を、一つ連中が上つて来たらできますように極力お願いしておきます。
  33. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 十分御趣旨を尊重しましてやりたいと思います。今私にお任せを願いたいと申して少し金額が減るかも知れんというところで、一億では少な過ぎるというので、何か自分は図星を指されたような気持がしまして非常に恐縮でございますけれども、できるだけの努力をしまして、できるだけ多くの融資を得るように交渉を進めたい、こう考えます。
  34. 藤田進

    藤田進君 先ほど来公益事業局長の御答弁を総合いたしますと、あとおおむね残されておる外債の枠というものは一億二千万ドルになる。これは二十八年度予算総則に謳われておる議会承認した枠の問題ですが、これに関連して取りあえずは六千万ドル程度世銀との間に外資交渉をやるべくその具体的な内容について検討中であるというようなふうに聞きました。これは今後インパクトローンの形になるのかどうかわからないが、政府としてはやはりこの際火力借款とは違つた、少くとも水力設備については国内における重電機生産力に信頼するというのですか、これに期待する形でやりたい、こういう考えのようであります。従つてお尋ねしたい点は、火力借款のときと同じように、或る時期に至ればアメリカ電気メーカー、殊に重電機水力発電機などの注文を取りあえずやつてしまう、なぜならば、只見或いは佐久間或いは御母衣というように開発はどんどん進んで、発電機を早急に必要とするし、国内発注するか、或いは外注するかということはもう早晩きめなければならん時期的な問題に当面しておるわけであります。土木工事が済んでも発電機が坐らなければ大量の投資をしても電力生産ができないのですから、そういう時間的に非常に追詰められて来ると思うのです。外債交渉とそれから発電機発注との関係、こういうことで、若しインパクトローンが通らないならばその外資は受けないという固い決意を持つて、それを崩さないで行かなければ政府としては苦境に立つのではないだろうか、こういう点を私は心配しております。従つて火力と同じように、取りあえず注文してしまおうというようなことで、遂にいろいろな条件を呑まざるを得ないということに再びなるのではないだろうか、このように考えておりますが、一億二千万ドルの水力措款公益事業局長が言うように少くとも六千万ドルを早急に取極めたいという方向であるのかという点と、それに伴う事業計画即ち発電機などの発注国内なのか、アメリカなのか、こういつたような点についてお答え願いたい。
  35. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。どうも今まで私がいろいろな方面から聞きました情報によりますというと、インパクトローンは不可能じやないか、こう考えております。そういたしますというと、やはりちやんとこちらから品物を注文するとか何とかいうようなことで、その代金支払資金として借りる、こういうことよりほか方法がないと思います。併しその点におきまして既成事実としてもう止むを得ずこの間みたいな調子でやらざるを得ないというような調子には今後物事を取運びたくない、私はそう考えております。
  36. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、私も今のインパクトローンというようなものは、大変水力借款に関する限り特にむずかしいような気がいたしますのでお伺いいたしますが、国内の重電機を見るときに、水力については余り損失がない。殊に日本の重電機については、東南アジアにおいても相当注目しているむしろ状態にある中に、アメリカ日本が注文しなければならんというようなことになると、対外的に技術水準その他、与える影響というものが大きいと同時に、国内の重電機というものは、技術的にも当面非常な問題が起きるのではないだろうかという点をかれこれ総合いたしますと、一億二千万ドルになんなんとする、或いはそれ以上に目されている枠の世銀からの外債というものは断念せざるを得ないのじやないだろうか、こう思うのですが、併し外資を必要とするという見地から、やはり世銀から借入れるということは、もう政府として方針をお進めになるのかどうか、明確にお答え願いたいと思います。
  37. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今のところではお説の通り水力発電の設備というものは、私は技術的に外国に負けちやおらんと思います。でございますから、日本メーカーを助成し、又育成して行く上におきましては、私はそういうものはやはり日本でできるものなら日本で作つて行きたいと、こう考えております。併し借款ができる程度が一億若しくは一億二千万くらいは行けそうだ、そのうちで四千万ドル先般借款しましたから、あと残る六千万ドル乃至八千万ドルくらいの目当ての金は借りられることになつております。併しそれは私といたしましてはほかの方面に、いろいろ日本でできない機械を買うというような方面に使いたい、こう考えております。
  38. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、水力借款については以上のような国内技術水準の重電機の状況から見て、これを活用したい、一方借款はそういう状態ではできないということになれば、結局煮詰めたところ水力借款については断念せざるを得ない。一億二千万ドルという厖大な金を単なる水力設備の部品、或いは銅を買うとかというような程度では収まらないのじやないだろうかというふうに考えますので、水力借款を、今佐久間なり只見川なり御母衣なり、こういうところを一応の対象としておるように事業局長から聞いたわけでありますが、当面これは断念せざるを得ないというふうに聞きとれるわけです。この点如何ですか、具体的にですね。
  39. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。いろいろ只今水力発電の工事をやつておりますが、その中には、或いは日本でできましても、外国のものが非常に能率がよくつて日本向うから入れたらいいような機械がありといたしますれば、私はその点において借款に頼つてもいいだろう、こう思いますけれども、一般の機械とかいう日本で十分できるものは日本で作つて行きたいと、こう考えております。その程度水力借款を断念すると申しまするよりは、水力借款よりはもつと外国の技術を取入れるというような意味に借款が使えれば、私はなお結構だと、こう考えております。
  40. 藤田進

    藤田進君 いや、私お伺いしておるのは、水力借款については、技術水準などがかくかくであるから日本で作りたいということであつたと思うのですね御答弁が……。そういたしますと、水力に関する限りダムだの水路だのというようなもの、こういつたものじやなくて、結局は発電機或いは変電所の設備なり、送電線なり、こういつたような点が面接借款に関連するものだと私は思うのです。その中の殆んど大きな水力発電機、こういうもの、水車も含めてタービンとジエネレーター、こういうものを日本で注文するということになりますと、勢い水力借款についてはもう残されたものは殆んどないのじやないか、こういう点をお聞きしておるのですよ。いいものがあるならばというような不特定なことで言われておりますけれども、すでに交渉しようかという今段階ですから、もつと具体的に御答弁願えると思うのです。
  41. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私あなたより電気のことよく知りませんから存じませんけれども、今まで私が聞いております点におきましては、水力発電所機械とか何とかいうようなものは大体日本で間に合うものと考えております。併しこれが若しもその中にも外国で最も進歩したところの、これはあるかどうか私技術家でないからわかりませんけれども、よい機械があるということであれば、それはやはり向うから買うというために、その借款を利用することは無論したいと思います。それからもう一つは、インパクトローンが情勢としてはできないと私は判断しておりますが、これは池田君が帰つて来ましたらもつと詳しくいろいろ向う事情がわかると思います。若しインパクトローン水力発電機ができるとしますれば、これは勿論水力発電機に対してインパクトローンを利用することも一つの考え方だろうと思いますが、まだその辺のところは向う事情をよく聞いておりませんので、それから後にしたしたいと思います。
  42. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、集約しますと、水力発電機水力借款に関しては水力発電機、或いは水車、こういう水力の主要な設備については国内技術水準も高いし、従つてアメリカを初め外注はしない、爾余の部分的な問題については極めて廉価、優秀なものがあるならば、これは注文する場合もあるだろう、そういう原則を破つてまで借款を進めるということはないと、こう大臣は言明したと考えてよろしうございましようか。
  43. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) その通りでございます。
  44. 藤田進

    藤田進君 次に火力借款に伴う国内電気事業がどうなつて行くかということについて、この間お伺いして、途中で幕切れになつてしまつていたわけですが、通産大臣としては借款の三電力会社、そしてそうでない六社、こういう、外債については特殊な状態が出て来たわけですが、今後の電力料金率の確立、或いは起債なり増資なりという資金的な政府の保護なり、こういう政策については、外資に関連して返済義務の関係等から、三社については特別な措置をせざるを得ないのではないかと考えられるわけですが、これは自動的に他の六社についても同様なやはり条件で措置されるものであるかどうであろうか。わかりやすく申上げると、恐らく今電力会社においては、電力料金率の改訂、電気料金値上げですな、簡単に言えば、これを具体的に進めておる模様に思われるわけです。この中で中部、関西、九州、この三電力会社については、当然外債の関連もあつて、縄を締め直して工事経営という形、この線から電力料金の改訂というものが強く政府に要望をされると思います。ところが他の六社については、そういう政府が直接外債という形において責任を持つていないのでありますから、電力料金率を査定される場合においても、若干そこが違うのではないだろうかというふうに考えられるわけですが、こういう扱いについて、基本的な政府の方針ですね、従来も若干九社についてそれぞれニユアンスは違つていたわけでありますけれども、今後は若干違うであろうと思うわけですが、如何ですか。
  45. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はあの今度の借款につきまして、向うでいろいろの注文をつけておりますが、資金を融通してやれとか何とかいうことでありまして、その意味におきまして、最終的にはやはり政府がその契約上の義務を何かしてやらなければならんというようなところへ追詰められることはないとも限りませんが、まあ普通に営業していれば何でもありませんが、併しその火力借款をした会社が特に有利な立場になつて、ほかのしない会社が不利な立場になるということは、これは公益事業として、又通産省といたしましてもとるべき状態ではないと思います。でございますから、若し今の、端的に申しますならば、三社即ち外国から金を借りておるものが多数いい条件が出まして、その条件の下に裁定いたしますならば、他の六社に対してはやはりそれに均霑して公平な扱いをするのが、これは順当な法じやないか、こう考えております。そういう方針で私は電力料金とか何とかいうほうもきめて行きたい、こう考えております。
  46. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、九社全体についての関連になりますけれども、これからお伺いするのは……。当面新開発に対する原価というものも相当なもので、現在の電力料金に織込まれているもの、基準経費その他ですね、これでは賄い得ないというのが業者のどうも主張のようですね。従つて早晩電力料金の値上げをしてもらいたい、これは恐らく四月乃至五月というようなところが一応実現の目途ではないだろうか、その際に東北、北陸のような水力地帯では一本料金、その他については二本建、水火力調整金については若干今後修正を加える、こういうもので出て来ておるわけで、従来ならば二割の電力料金値上げというものが、これは仮説の数字ですが、二割だといつても諸般の意見も総合されて、公聴会なり或いは広く需用家の声も反映されてか、従来二割のものであれば一割五分なり、こういういわゆる査定があつたわけですね。その査定された結果としてはいろいろな面にしわ寄せされる。例えば今度の借款について事業計画に入つておるような設備の改修ですね、こういつたようなものまで或る程度手加減をする、つまり計画を収縮する、こういうようなことで従来電気会社はやつて来ている。それが一年たてばどうにもならないという形で、再び三たびずつと累年電気料金の改訂という形でやつて来ていたと思うのです。ところが今度の場合には借款というものに関連してもう明文があるのですね、利子補給なり或いは融資なり、銀行からの斡旋なり、そういつたようなことではもう駄目なので電力料金率を確立するのだ、これを政府は合理的に而も速かにやるのだということに明文がなつておるわけですね。こういう点から見ると当然会社の腰も強いでしよう、今度は……。従いまして大臣が言われている、しばしば言明されている今年度内にはやらない、つまりあと三、四カ月ですね。これは事務的にできないと思いますが、三月まではやらないと、こう言われておるのです。その裏面は四月乃至それ以後速かなる時期において相当大幅な電力料金の改訂、つまり電気料金の値上げというものが当然ここに出て来るし、政府はこれに対して今度こそ二割といえば殆んど二割に近いものを認可しなければならない羽目になるのではないか、こう思われるわけです、従来の経過から見て……、それと火力借款の内容、明文化されておるものから見て……。この点先ず第一に四月乃至それ以後に電力料金は値上げしなくちやならん、その点は政府としても止むを得ざるものと見ておるのか、見ていないのか、この点です。  それから査定に対して従来とどういうふうに違うか、違わないか、この点が第二の点であります。取りあえずその点をお願いします。
  47. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私その料金の決定、裁定につきまして十分詳しい事務的若しくは今までの慣行を存じませんが、併しながら料金を上げる点につきましては、やはり第一には私の考えといたしましては、これが一般物価、又生産物価に対して相当な影響を及ぼしますから、その観点から相当考えなければなりません。それから同時に第二点といたしましては、それかと申しましてもその会社そのものの経営というものも堅実でなければいけませんから、それが結局如何なる方法をとつても料金を引上げなくちやならん、こういうような結論になれば、これは料金を勿論上げることにしなくちやならんと思います。それからその裁定の件につきましては私遺憾ながら今までどういうふうな裁定の仕方をしておつたのか存じませんが、少くとも合理的な線で裁定をして行くべきであつて、まけるとかまけんとかいうようなことではないのじやないかと思います。これは一つ事業局長から御説明申上げさせるようにさせて頂きたいと思います。
  48. 藤田進

    藤田進君 そうすると大臣として今年度内は電気料金の値上げはしないと言つておられたわけですが、インフレと言うか、ほかの産業、物価の関係と、一方電力会社の独立採算制と言いますか、こういうような矛盾したことを言われておる。これは矛盾しております。現状は電力会社はやつて行けないとこう言つておる。他の物価を改訂しないという方針を堅持する以上、電気料金だけ改訂するということは大変無理があるというようなことで、今年度内はやらない、改訂はしないと言われたのは、一体四月からどうかということについては何ら触れておられないのです。この際四月乃至その近所でどうされるのか、少くとも他の物価の改訂を出すなり、国鉄なり、通信なり今後総合的な物価改訂の一環として出ない限り、単独に電気料金だけはたとえ四月、五月になつても上げないと、これは止むを得ないとおつしやるのか、そこのところを聞いておきたいと思います。
  49. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お説の通り只今の経済は非常に矛盾しておりまして、各会社も困るという点もありますし、それかと申しまして一般のインフレを如何に阻止するかという大きな国民経済の立場から言うと抑えなければならん。そこにはどうしても矛盾が出て来るので、この矛盾は日本の経済が安定していない以上は相当続くと思います。そうしますと、我々一番に取上げなければならんのは、先ず国民生活を全般的に打壊すような悪性なインフレが起るようなことがあつてはいかんということが先ず根底で、我々の頭を支配しておると思います。併しそれかと申しまして各企業、会社の経営が立つて行かないということになりますと、これ又パニツクが起きるということになりますから、その点のところは非常に苦心していると、こうだと思います。併し私は年度内は料金を上げない、こういうことは言明しております。来年度になりまして如何になりますか、只今のところはつきりわかりませんが、併し私の大きなトレンドから考えますというと、御承知通り先般も申上げましたが、古い設備で固定費の安くなつておるところと、それから新らしく設備をして、そうして固定費がたくさんかかるというようなところは、これ又矛盾でございますが、併し将来発電力をうんと増すために新規の火力発電、水力発電というものをやつて行きますならば、長い目で見れば電気料金は当然上げて行かなければならんと考えておりますが、その上げ方如何がこの現実の経済安定と如何に組合せて行くかということが苦心の存するところでありまして、只今のところいろいろ会社の内情をよく調べて見ないと結論が出ない、私はそう考えております。
  50. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、インフレなりそういつた問題もあるので考慮しなければならんが、一方電力事業運営に関しても、パニツクが起きるということでも困るということで、問題は今後の事情によつて上げるとすれば、何割上げるかというようなところに一応新年度についてはお考えになつておる、こう了解してよろしいですか、上げることは間違いないと……。
  51. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 上げることは間違いないと言い切るわけにも参りませんけれども、併し先ほど申上げましたように、新設備をすれば上げるような状況になつて行かなければならんということは事実です。そこでこれをいつどのくらい上げるかということは、結局問題は十分会社の内容というものを精査した上でなければ只今言明することはできません、こう考えるわけです。
  52. 藤田進

    藤田進君 非常に不明確でありますので、どうもいかんですが……。  次に電源開発を含めた電力事業というものが、すでに今日の段階では今のまま放置できない状態にある。電源開発会社自身が卸売をしなければならん状態が来つある。こういう中にあつて電力事業がかような今の状態で止むを得ない、或いはここで根本的な検討をすべきかということについて一言大臣の所見を承わつておきたいと思います。
  53. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) もう一度質問の御要旨を。
  54. 藤田進

    藤田進君 今の電気事業は、開発会社について見ると、当初開発会社ができたときよりも違つておる、当初できたときは発電所を作ればいいんだ、あと発電所そのものも国は電力会社に譲ればいいということが主体で、いわゆる日発の再現ではないのだということが非常に強調されて、我々は又逆にそうはできんだろう、そんなことじやとても駄目だろう、つまずくだろうと思つていたが、つまずかない、職員も三百人くらいでやるということがだんだん大きくなつて来た。会社ができたものをこれを譲るということになつても、なかなか譲ることができないようになつているので、電気卸売りしようかとこういう状態になつているでしよう。そうすると発電、配電、送電というような一貫運営で九つの会社の再編成をやつて見たところが、料金の一本建、二本建、水火力調整金だ、渇水期における融通調整だということになつてこれはできないというようなことで、一方電源開発会社ができたし、卸売をやろう、卸売もうまく行かないから工場へ開発会社が直配をしようか……、ところが電気会社はそんな値段では買わない、こういうようなことになつておる。それが料金の問題に今出て来ておる。一体現状では私は駄目なんではなかろうかと思う。ここで電力行政については根本的な検討をされるべき時期じやなかろうかと思う。これは火力借款をめぐつて根本的な再検討が非常にむずかしくなつて来たということが心配されるのですが、従来の通りでいいのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  55. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは私は非常に嬉しい御質問で、専門家と全くの素人の私の考えとがほぼ一致したのです。と申しますのは、おつしやる通りなのです。只今電源開発会社があのできたままの状態で一体行けるのか行けないのかということを私は実は心配していたわけです。これは相当研究しなければならない、こうおぼろげながら考えておつたのですが、併し専門家のあなたがおつしやれば私の疑問もいよいよ強くなるから、併せて研究して行きたいと思います。
  56. 藤田進

    藤田進君 電力事業について再検討するというのですか。
  57. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) ええ、しましよう。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) 藤田君にちよつと申上げますが、予算委員会の質問がもう始まつているので一つ……、よろしうございますか。
  59. 藤田進

    藤田進君 止むを得ないでしよう。  それでは局長さんに若干あと答弁を……。
  60. 中川以良

    委員長中川以良君) それではちよつとさつきの御答弁を願います。
  61. 藤田進

    藤田進君 電力料金の査定について相当事情が変つて来たと思うのです。三電力については、これだけ別な扱いはできないから、九つの会社にやはり同じように、まま子扱いもしないようにしなければならないという大臣答弁つたと思うのです。そうすると、外債というものが、約定の中の条文が生きて来るわけだから、電力料金の確立ということは時間的にも迅速にしなければならない。それから査定に当つても今までのような押付けの査定はできないだろう、電力会社では政府から押付けられてはどうにもならない、そういうような事情だと思うのです。そこらについて一つお尋ねいたします。
  62. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 料金問題に限らずでございますけれども、今度の借款によりまして政府の政策というものが別に制約を受けないというふうに結論的に私ども考えるわけでありますが、例えば料金制にいたしましてもああいうふうな条項もございますけれども、要するに世界銀行のほうで要求いたしておりますのは政府が不当に料金政策を歪めることによつて電力会社の経営が困難になり、借入金の返済もできなくなるということを一番心配しておる。要するにそれだけを心配しておるわけであります。特に向うで例にも出されたそうでございますが、アメリカにおきましても公共事業であります地下鉄の料金を大衆の利益のために一時赤字を見ながらも据置いたということもあるのであります。だから日本で若し電気料金についてもそういうふうな政策をとられると困るのだということを心配しておるのであります。ところがいろいろ電力の料金査定につきましては御批判もございますけれども、現在までの政府のとつております方針というものはすべてこれは原価主義でありまして、原価に応じて料金をいじるというはつきりした方針があるわけでございます。それに基く査定の要領もありまして、いわば計算の問題がございますけれども、機械的に料金というものは原価から弾き出される建前になつておるわけであります。従つて若しも原価が上ればそれに従つて料金も上る、又原価が下れば下げなければならんということになるわけでございまして、その間におきまして若しも政策が入るとすればそこに査定の問題でありますとか或いは時期の問題でありますとか起きるわけでございますけれども、併し客観的に見てそういうふうな仮に政策が行われたということは批判の余地があるといたしましても、料金をいじります政府のほうの立場としては先ほど大臣も申上げたと思いますけれども、合理的な原価というものを見まして、それによつてきめておる。従つて電気事業者の要求しております料金と、それから決定しました料金というものが違つておりましても、それは特に政策的に査定を加えた、或いはこれを値切つたということでなくして、やはり公正な原価という立場からすればこれが妥当であるという見地から、こういうふうにきめたのでありまして、その間において特に政策的の考慮を払つておらないということは言えると思います。従つて今後の問題につきましても、そういう立場であります以上別段世界銀行との意見の相違ということは出て来ないのでありまして、政府が正常な原価に従つて料金をきめる以上これに対して世界銀行としても別段の異議があろうはずはないのでありまして、特に政策的にこれを抑えて一時赤字を忍ばせるという政策でもとれば別でございますけれども、そういうことは考えておりませんから、従つて従来の方針通り行つて別段契約によつて何か違つたことをしなければならんということになつて来ないと思います。
  63. 藤田進

    藤田進君 それは実際おやりになつて見ればわかります。見解の相違だと思います。そこで電気事業者のほうから電力料金値上げについて何らか通産省当局に対して要望なり連絡なりがあつておりますか。
  64. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 正式にはまだ申請は無論出ておりません。ただ年度当初から本年度は相当な赤字になるのだという見通しもありましたので、値上げの時期等につきましていろいろ要望はございますけれども、併し正式に幾ら、これだけ上げてもらいたいというふうなまだ手続はとられておりません。
  65. 藤田進

    藤田進君 大蔵省関係のかたは見えておりますか。
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) まだ出席しておりません。要求はしております。
  67. 藤田進

    藤田進君 公益事業局長火力借款については直接の関連があるわけですが、大蔵省との関係で一体どちらが責任があるのか。設備等については通産省、資金関係については大蔵省だというふうに古池政務次官は答えられたと思います。吉田さんが来れば両方の責任を持つてもらえましようが、そういうわけにも行かないから困るのですが、外資導入に関していろいろ言われておる中に、日本の現在の事情から言つて外貨をどの程度、多いほどいいかも知れないけれども、大体日本の取引条件等から見て六億もあればいいじやないか、外貨はそれで十分じやないかとか、或いはいろいろ学者の説もあるし、それから火力借款が行われた当時には十億だの八億だの、この間もらつた資料では八億ぐらいじやないかと思いますが、そういうことならその点についてはどう考えているのですか。八億乃至十億の外貨が当時もあつたと伝えられておるにもかかわらず、こんな無理をしてやらなければならなかつたという点、それから而も無利子で相当高額な資金が外銀に預託されているというような事情、これは大蔵省でないとわからないかも知れませんが、わかつておれば通産省の立場からも一つお答え願いたいと思います。
  68. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 現在お話通りに八億か九億の手持外貨があるようでございます。これを利用したらという意見も当然あるわけでございますが、我々の立場としてはこの手持外貨を使うということも、これは一つの方法でございますけれども、そのほかに又別に借人ができれば、それだけ又日本としては利用する金額が殖えるわけでございます。殊に今度の借款のごとく二十年もの期限で借りられるということであれば、将来どうなるかわからない手持外貨というものに依存するよりそれのほうがむしろ望ましいということで今度の措置をとつたわけであります。
  69. 藤田進

    藤田進君 それ以上は無理でしよう。
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは大蔵省側がまだ出席しておりませんので、一先ずこの質疑は一応ここで中止しておきます。   —————————————
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。  先ず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。
  72. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 只今から昭和二十八年九月二十九日に、公共企業体等仲裁委員会が、アルコール専売事業職員の「昭和二十八年四月以降における賃金改訂に関する紛争」について行いました仲裁裁定第十二号を国会に上程いたし、御審議願う次第につきまして御説明申上げます。  本年四月三十日にアルコール専売事業職員代表は、四月以降の賃金改訂の要求書を通商産業省当局に対し提出いたしまして、両当事者におきまして数次の団体交渉が行われましたが、当局側がこれを拒否いたしましたので、職員側は、五月十一日交渉を打切る旨を宣言し、同月二十日公案企業体等中央調停委員会に対し調停申請をいたしました。同委員会は、七月十七日調停案を提示いたしましたが、両当事者とも八月五日それぞれ受諾困難の旨同委員会に対しまして回答いたしましたので、八月六日調停が打切られ、同日職員側は、公共企業体等労働関係法の規定によりまして、仲裁申請を行なつたのでございます。よつて、公業企業体等仲裁委員会は、これが審議を重ねました結果、九月二十九日これから御審議を頂きます仲裁裁定を行なつた次第でございます。  同裁定の第一項の実施及びこれに関連いたす経費といたしまして、本年度更に二千余万円を必要とすると推定されますが、この追加経費は、昭和二十八年度特別会計予算に含まれておらず、給与総額につきましては、予算総則第八条の金額を超過するものでございますので、公共企業体等労働関係法第十六条所定の手続を以ちまして、裁定を国会に上程いたし御審議を願う次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。
  73. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日はなおこれに関する資料等もまだ出ておりませんので、これらを検討する要がございますので、一応提案理由の説明だけにとどめておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それでは私からお願いを申上げたいのでありまするが、労働組合の当初の新賃金要求書並びに仲裁委員会において要求を変更した際の資料、それが一つ。それから二はアルコール専売事業における労働条件に関する資料。三が職員の生活状態に関する資料、例えば生計費調査、住宅事情、扶養家族等に関する資料等。それから四が民間同種産業に関する資料、これは経営並びに労働等の条件についての資料であります。それから五に一般国民の標準的生活水準に関する資料。それから最後に事業経営に関する資料、以上六つの資料の御提出をお願いいたしたいと存じます。
  75. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の資料に加えて仲裁委員会が裁定をいたしました裁定書の写しをお配り願いたいと思います。
  76. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに資料等の御要求ございませんか。  それではこの問題は本日はこれにて一応打切ります。   —————————————
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) それから次は、お手許に差上げておりまする印刷物にございまする通り請願が三件出ております。以上三件を議題といたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは一応以上の請願三件につきまして専門員よりその要旨について御説明をいたさせます。
  79. 山本友太郎

    ○専門員(山本友太郎君) それでは請願の第三十二号を御説明を申上げます。  本件はここにも書いてございますように、鉱毒対策費国庫負担に関する請願でございまして、紹介議員は川村松助君、請願者は岩手県議会議長でございます。内容はかねて問題になつております松尾鉱山の鉱害対策でございますが、請願の内容といたしましては、岩手県としては、鉱山側と協力し年数千万円の巨費を投じてその被害防止に努力しているが、昭和二十四年初めより鉱毒水の地下水化の方法により、従来の消極的鉱毒水処理の方法を脱し、鉱毒水完全処理について調査研究した結果、技術的にその実施可能なことを確めたが、これが実施に必要なさく井には巨額の経費を要するから、国庫支弁による実施を促進せられたい。こういうのでございます。  それから七十二号も同じく硫黄に関係いたしますものでございますので、両方一緒に御説明申上げますると、七十二号は長野県の八ケ岳いおう採掘反対に関する請願でございます。紹介議員は羽生三七君並びに棚橋小虎君、請願者は長野県議会議長となつております。これは、長野県八ケ岳山系中硫黄岳において八ケ岳硫黄鉱業株式会社が硫黄の採掘を実施中であるが、その鉱毒水のため湯川及び千曲川に合流する地点付近の魚族は死滅する状況にあるばかりでなく、その下流地帯二千町歩に及ぶ水田の灌漑用水に及ぼす被害は誠に多大であつて、住民の保健衛生上、又は農業水利上極めて悪影響を及ぼしている現況であるから、関係地元民の生活に多大の脅威を与えるこの水源地帯での硫黄採掘を停止させるよう措置せられたい。という請願でございます。  両件につきましては通産省鉱山局におきましてとくと研究を進めており、特に三十二号に関係いたしましては、政府といたしましても多少今までも施策を講じておりますので、簡単に現状について政府からも説明をしてもらつたほうが好都合かと存じます。
  80. 村田繁

    説明員(村田繁君) 只今の二つの御請願についてお答えいたします。  先ず第一に松尾鉱山の問題でございますが、只今専門員のかたからお話のございましたごとくに、松尾鉱山はほかの硫黄鉱山に比べまして非常に坑内の排水が多うございまして、而もその排水は酸性が強いという点で、とかく鉱害の問題につきまして従来とも非常に問題の多かつた点でございますが、山といたしましてもこの坑内水の中和処理施設、それから灌漑用水の水路の設置と、いろいろとその対策に腐心して参りました。鉱害地の防止につきまして相当程度の効果を挙げて来たのでございますが、先ほどもお話のございましたごとくに、二十四年以降におきまして、これが抜本的な対策といたしまして、この坑内水並びに沈澱池の浸透いたしました水と、両方につきましてこれを井戸を掘りまして地下にくぐらせる。地下水化しよう、こういうことを計画いたしまして、取りあえず沈澱池の浸透水につきましてはこれを試験的にやりまして或る程度の成果を得ましたのでございますが、次いで坑内排水自体につきましてもこれが地下水化を図ろうということを意図いたしました。これの実施につきまして今検討中でございますが、何分にも一分間に二十五立米という大量の坑内水が出るものでございますから、果して技術的にこれだけの大量の水を全部地下水化することができるかどうかという点につきましては、相当技術的に、その地質の影響等も相当ありまして、技術的に研究する必要がありますので、実は昭和二十八年度の工業技術院から出ております鉱工業技術研究補助金約四十万円出しまして、これが今試験研究の実施の段階と、こういうことになつておりますので、その研究の結果に基きまして、只今の御趣旨の点につきましては改めて善処したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  次に八ケ岳硫黄の問題でございますが、八ケ岳は硫黄鉱山といたしましては古く明治二十六年くらいから採掘をやつて来ておるのでございますが、極く最近に至るまでは個人が焼取精錬をやる程度において小規模にやつて来ておつたわけでございまして、それが最近二十六年になりまして只今お話の八ケ岳硫黄鉱業株式会社が個人から鉱業権を譲受けまして本格的に採掘しようとして目下ボーリングを実施中でございます。従いまして地元関係におきまして、特に山元の方面を湯川という非常に小さな川が流れておりまして、それが更に下流のほうに行きまして千曲川に合流するというようなことになつているのでありまするが、山元の湯川近辺のかた、又千曲川の近辺のかたから鉱害の問題につきましていろいろ陳情がございまして、問題にされておるのでございますが、只今申上げましたようにまだボーリング中で、まだ全然稼働しておりません。従いまして只今掘ることをやるがためにそういう酸性が強くなつて鉱害を与えるということは現在の事態においては全然考えられないことでございます。ただ、もともと湯川の水は非常に酸性が強うございまして、いわゆる酸性度のなにを計りますのに、大体普通の中和された状態を七というのに対しまして湯川の水は二・五と、数が少くなるほど酸性の度が強くなるという計算であります。それで行きまして二・五ぐらいでありまして、相当強度な酸性を持つておるということが言えるのであります。これは今の自然の水自体がそういうように強いのであります。ただ、非常に水量が少いということで大した問題にならないという現状でございます。それがだんだん流れて行きまして、下流の千曲川に行く時分には現在の程度でもかなり中和されておりまして、先ほど申上げましたペーハー七という程度の水準になつておるというような状態になつておりまして、このぺーハー七程度であれば殆んど鉱害というような点での問題はないわけでございます。将来それなら鉱山が稼働した場合に、今のような状態が更に悪くなるかどうかという点がまあ今後懸念される問題でございますが、只今ボーリングしておる会社といたしましていよいよ掘るという段になりました場合には、今のところの計画としては硫黄を露天掘いたしまして、そうして掘つたあとには普通の土壌で以てその穴を埋めてしまう。而もその埋めたあとが雨やその他で流れるというようなことのないように植林等をいたすことによつて、掘つた結果の影響によつて水質を悪化させるというようなことのないように十分監督させてやつて行くつもりでおりますので、只今のようなやめなくちや今の千曲川周辺のかたがたに御迷惑をかけるというような事態は起らない、こういうふうに考えておる次第でございます。簡単でございますが……。
  81. 中川以良

    委員長中川以良君) 以上二件につきまして御質疑がございましたらどうぞ……御質疑もないようでございまするが、今の政府側の趣旨説明を聴取いたしますると、最初の請願三十二号のほうは採択すべきものに存じますが、如何でございましようか。採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように……。
  83. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 これは何でしようか。折角御調査をなすつておるのでございますから、その御調査の結果が出た上で決定をしたらどうでございましようか、この問題は……。
  84. 中川以良

    委員長中川以良君) 今の説明を聞きましても、まあ予算がないものですから、四十万円ですか、そこで、これはやつぱり一応本委員会で採択しておいて政府も鞭撻し、もつと予算もつけて、その試験を速かに一つできるようなことにするほうがいいんじやないかとも考えるのでございますが、如何でございましようか。
  85. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 そういうことでございますれば私は特別差支えないと思いますが、この鉱山はもう非常に古くから開発されておる鉱山でありまして、私の知つておる範囲におきましては、まあ日本の各所の工場に非常に貢献した鉱山であると思うのでありますから、速かに一つのこの問題は解決する意味において採択することに賛成申上げます。
  86. 村田繁

    説明員(村田繁君) 実はこの松尾の問題に関連いたしまして、ちよつとこの際私のほうから先ほどの説明に附言させて頂きたいと思いますが、実はこれは松尾に限らず一般に鉱澤処理場、それから沈澱池といつたような鉱害に非常に関係のある施設、と申しますのはこれは勿論山の選鉱場とか、精錬の設備とはかなり趣旨の違う問題でございまして、只今のような請願によりまして、国で相当補助をしたらというようなこともそういう性質の違う一般に非常に密接な影響のあるというような観点からこういうお話があつたことと考える次第でございますが、実はこの問題につきまして私どものほうでも別に実はこの税制の面で非常に問題がございますので、御承知のように地方税法によりまして、只今一般の固定資産につきまして固定資産税がかかる、こういうことになつておりまして、まあ鉱山関係もその例に漏れず一般の税がかけられておるのでございますが、その税の対象といたしまして、こういう鉱滓の堆積場、沈澱池等も同じように固定資産税がかけられておる。山のほうとしましては鉱害を防止するために大いに金をかけてやりたい。ところが金をかけてやればやるほど鉱滓堆積場について逆に税がうんと取られる、こういうような形になつておりますので、この鉱滓堆積場とか沈澱池とかいうような鉱害防止に非常に直接の関係があるものにつきましては、固定資産税についても特別な扱いをしてもらいたい、或いは減免というような点について御配慮願つたらどうかと、こういうふうに実は考えまして私のほうとしましても、地方自治庁なんかにもいろいろ申入をいたしております。そういう面での補助の問題ということも考えられるのじやないかと思います。御参考まで申上げておきます。
  87. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 賛成いたします。
  88. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは政府側として陳情の願意に副いますように一つ御努力を願いたいと思います。  それでは本委員会では只今請願は採択いたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定いたしました。  次に請願第七十二条でございまするが、これは今の政府側の説明を聞きますると、いろいろ配慮がめぐらされておりまして、大体この請願にあるような地元に対しまする損害を与えないような御説明があつたのでありまするが、政府もそういう努力をしておられるのでありますから、これはもう暫らく成行きを見ることにいたしまして、本請願は保留にいたしたら如何かと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。  それでは次に請願百十六号、先ず専門員よりこの請願趣旨の概要について説明をいたさせます。林専門員。
  91. 林誠一

    ○専門員(林誠一君) この請願は二通の請願を合併して出してあります。紹介議員郡祐一君でありますが、ちよつとこの本文を見まするといろいろ問題がありますので、主要な点だけ申上げますが、一通のほうは東部石炭協会から出ているのでございますが、これによりますと結局周波数変更のために要する金が三億三千万円余りになつておりますが、そのうちですでに済んだものがこの書面でははつきりいたしませんが、件数で七分通り工事の済んだもの、今後やらなくちやいけないのは先ず三分通りじやないかと思うのであります。それからもう一つのほうの前のほうに出ております茨城県会の議長から出ておりますのは、今後全部の仕事は約三億かけなくちやいけない、それでは非常に困るから何とかしてくれという意味が書いてありまして内容的にもちよつと食い違いがあるように思います。それから周波数変更の全体の問題といたしましては、結局電力会社側のものは会社で持つ、それから需用者側のものは需用者側が費用を持つということが従来の慣例になつておりましてその方法でやつているわけです。その分を一部国なり電力会社で助けてもらいたいというのがこの請願の趣意であります。そういうことをいたしますと茨城地区としてこの関係の三億三千万と申しますのは炭鉱関係だけなんであります。ところが日立製作所その他あの地区は相当すでに業者持ちで以て工事が済んじやつておるという状態でもありますので、過去の問題にも波及する、他の地区でもこういう地域が五、六カ所全国的にございますので、そういうものに対しても波及するという非常に関連の広い、この問題だけでなしに地域的に時間的に非常に拡がりのあるという点がちよつと問題だと思います。  それからもう一点申上げますと、九州の例をこのあとのほうの請願では述べております。併し九州の分は九州地区全体の電力が困るために北九州の一部を是非とも変えないと、九州の中国方面からの応援の電力が受けられないという非常に広い意味の変更があつたわけです。そのときはやはり金を出しておりませんが、電力会社のほうで割当の面で援助をして助けるという形をとつたようでございますが、特別の措置をとりましたのはその九州だけであります。その九州の例にならつて処置をして頂きたいというのが本請願の趣意であります。
  92. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは今ののに関しまして、政府側の一つ意向をお述べ頂きたいと思います。
  93. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 只今林専門員のお話通りでございまして、原則としてはサイクル変更の問題は需用家の設備である限りは需用家負担でやるという建前をとつております。で、大体九州を除きましては現在までに相当進捗いたしておりまして、比較的順調に進んでおる次第でございますが、茨城地区はその中でもまだまとまつてつておるというところでございます。で、これはまあすべて電力会社と需用家との話合いでやるべき筋合いのものでございますが、これに対しまして仮に政府が補助をするとか、或いは需用家の負担分につきまして電力会社が持つということになりますと、その筋道としてどう考えるかという問題になるわけです。で、九州の場合は先ほど御説明がありました通り、非常にあすこでは大きな問題でありまして、且つその量も大きい。そういう関係から単に話合いに放任して置けばいつまでかかるかわからん。而も是非ともこれは早急に統一する必要があるという事情に迫られておりましたので、或る程度強行する意味におきまして現在までは割当サイクルを変更した需用家に対しまして割当を殖やすというような報奨的な措置をとつておるわけであります。その割当増加の措置は、これは電力会社負担においてなされたのではなくて、あらかじめ基準分の割当の枠からそれだけ差引いておりまして、保留分として取つてつたものから出したというわけでありまして、これは電力会社がそのため特別な負担をしておるわけじやないわけであります。今後又あすこではまだ相当残つております。特に九州の炭鉱が大きくまだ残つております関係で、これを至急に進めますためには、現在のようなやり方ではなかなか捗らないという見地から、これを特に国としても促進する必要があるという建前をとりまして、一部分国費を以てこれを補助するというふうな考え方で予算も現在請求しております。これはまあ今後どうなるかわかりませんけれども、併し九州に対しましてはそういう考えをとつておりますが、ほかの地区につきましてはそれほどの緊急性もありませんし、これは話合いに任しておいて差支えないかという考えをとつております。従いましてこれにつきましては特別に政府として何らかの助成方法をやる考えもございませんし、又電力会社もこれに対して特別の負担をさせるということに若しするといたしますと、やはりこれは原価主義から申しまして、電力料金にも当然これはこめなければなりませんが、そういうことを実はいたす考えは今のところ持つておりません。ただこれを変更いたしますというと、需用家もそれによつて当然に利益があるし、又電力会社としても或る程度の利益があるわけでございますから、その価におきまして話合いの余地は若干あるわけでございます。従つてそういうようなことをお互いに了解をして今後話合いを進めるということで大体差支えないのじやないか、ただ変更しないために、例えば茨城県の場合にそのサイクルの需用家が将来不利益を受けるということでは困りますが、そういうことが絶対にないように我々は注意いたしております。又実際問題としてそういうことはここに言えません。ただ将来そういうことがサイクルの電気を更に余計使うという場合には若干問題が起るわけでございますが、ただ現在の程度の需用を継続する限りはサイクルの変更をしなかつたために不利益を受けるようなことがないように電力会社も注意いたしております。我々もその点十分監督するつもりでございます。それからこの茨城に対しましては、前に、事前増加の契約をするときに炭鉱のほうから将来サイクル変更をする場合には、すべて国のほうの負担でやるのだという一札をとられておるという話でございまして、それを仮に電力会社が楯にとつて強制的にやらせるということであればこれは甚だ適当でないわけでございますが、そういうことは恐らくまあやつてないと思います。又そういうことはやらないようにこちらとしても電気会社のほうに申入をいたしております。いずれにいたしましてもこれは強制的でありませんから、話合いでスムースに進めるように、特に電気事業者に対しましてその進め方等につきましては円滑にやるように今後とも注意いたしたいと考えております。
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑ございませんか。……御質疑がないようでございますが、実は本請願に対しまして、先般茨城県の陳情の代表者の人が見えまして、紹介議員である郡君も立会いましてお話を伺つたんでありますが、その後専門員室で東京電力のほうも呼びまして、それに関する話を伺つたんでありますが、大分話が食い違いがあるようでございまして、今の政府側の説明を聞きましても、現在六十サイクルであるのに対して、差当りの不便はかけないということははつきりいたしておりますので、一応これはもう少し成行き等も見まして、又請願者側並びに東京電力のほうの言い分も、両方聞いて見なければわかりませんので、この際これは保留にいたしたほうがいいと思いますが、如何でありましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 武藤常介

    ○武藤常介君 只今この問題が保留になりましたようですが、御承知のように茨城東の炭鉱方面は現在非常に不況に見舞われておるし、それに今度の問題の出発は、伺うというと、会社側の企業の合理化に出発しておる、こういうことが請願書に書いてありますので、どうか今後十分慎重に御研究をお願いすることを要望いたしておきます。
  96. 中川以良

    委員長中川以良君) 今の御趣旨に副うように一つ委員会といたしましても十分今後慎重にこの問題は取扱いたいと思います。  それでは只今請願は保留と決定をいたしました。  明日は午前十時より委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会