○
一松政二君 それでは私から御
報告を簡単にいたします。
四国と九州に当
委員から派遣されましたのは私と
加賀山委員との二人でございます。私が特に前の
国会でいろいろ陸運、海運に対して、或いは
港湾関係の
法律案がたくさん審議されて、その経過中に私みずから発言したこともありますので、特にそういう
関係の
法律の実施、或いはそれに対する
意見等をも詳細徴して来たのでありますけれども、そういう詳細なことは速記録のほうを御覧をお願いすることにいたしまして、ここでは単にアウト・ラインだけの御
報告にとどめさして頂きたいと思うのであります。
去る九月の十九日から二十八日までの間に、香川、高知、愛媛、それから大分は通過いたしましたけれども、
関係の者のも会
つていろいろその
事情を伺うし、それと福岡各県における
運輸事情を
調査したわけであります。今
重盛さんから北日本が忘れられた
ような感じがされたそうでありますが、私が四国に参りますというと、四国は一応私は本州に比べて交通機関その他或いは産業の点においてもかなり遅れておる面がある。殊に
入交さんのいらつしやる高知県においてその感を特に交通問題において深くしたわけであります。四国のいわゆる産業はまあいろいろありますが、全体に調べると農林と水産が主な
ようであ
つて、いわゆる資源の開発はまだ十分でない。そこで四国総合開発計画というものがあ
つて、今後それに伴う、この
委員会の
関係しておる
運輸交通の整備が必要に
なつて来るであろうと、か
ように考えるのでありますが、先ず順序を追いまして、第一に海運のことでございますけれども、四国はいわゆる面積及び人口に比較して島数や海岸線の長さが九州に次いで第三位と
なつておるが、この島内の住民の生活は、いわゆる日本それ自身が四つの島でありますが、その島の中の四国は四つの県の、昔から言われる四つの国の四国でありまして、それが本州、九州の間に挾ま
つておるわけでもございませんが、御承知の
ような状態で、海運に対する依存度が極めて強いということを感ずるわけであります。即ち四国は阪神工業地帯と
北九州工業地帯に近接して、自然産業はこれらの近代産業と経済的に相互依存の
関係に立
つておる。それからその島外との輸送、いわゆる四国と本土との輸送は、宇高
鉄道輸送が年間百五万トンのほかは、海上輸送年間五百十万トンに依存するのであ
つて、物資の八割が汽船か或いは機帆船によ
つて輸送せられておるという状態でありますから、自然海運というものは非常に重要性を認められておるわけであります。
昭和三一十七
年度における機帆船の船腹及びその輸送量は、全国海運局別に見ても、四国は船腹では全国第三位であるにもかかわらず、輸送量は九州に次いで第三位であるということは、海送の施策上、機帆船は四国の場合特に留意すべきものと思われる次第であります。離島航路のことは、今
重盛さんからの御
報告もありましたが、四国においても、いわゆる四国の更にその先に連らなるいわゆる豊後水道或いは瀬戸内海方面におけるその離島航海は、その経営も約四〇%のやはり赤字経営に喘いでおる。従
つてやはり航路の
補助とか
融資、或いは
港湾施設整備促進等、いずれをと
つて見ても、いろいろ国の
補助或いは
融資等のこれまでの枠で満足すべき状態に
なつていないので、何らかの措置が必要であろうかと考えられる次第であります。
第二番目に、
港湾関係についてでありますが、四国は海岸線が非常に屈曲し、その間のいわゆる
港湾数が、重要
港湾が七つ、公有水面埋立法による指定
港湾が二百十四港、その他の
港湾が四百三十で、海岸線のいわゆる五・五キロに一港の割合で大小の
港湾が存在しておるわけであります。これらの
港湾はいわゆる四国の総合開発計画によ
つて漸次その重要度が認識せられ、今後これらの
港湾設備は着々と順を追
つて整備されておるわけでありますけれども、至る所で
港湾の問題は陳情を受けておる次第でありますが、それはいわゆる速記録に譲りたいと思います。第三は、陸上の輸送の
関係でありますが、先ほども申上げました
ように、四国は、陸上は
道路におきましても、或いは
鉄道におきましても、非常に本土よりも遅れておる。それで熾烈なる
鉄道敷設の要求がある。殊に高知県の場合でありますが、まさに地図の上では繋りそうに見えてまだなかなか繋らない。その上に持
つて行
つて迂回線路の敷設の問題もあ
つて、相互で場合によ
つては相牽制しておる
ような感じも見受けられたので、私どもはこの四国循環
鉄道は、いずれにしてもともかく最も早く経済的な見地から、一応国家的な見地から見て、これの循環を完成して物資の移動及び
車両、機関車等の効率をよくして、そうして一日も早くこの循環
鉄道の完成をさせなければならんということを痛感した次第であります。なお殊に高知の室戸岬及び足摺岬のほうのいわゆる迂回線路ですが、これの建設の要望が非常に強いのでありますけれども、それらの点については、一応又速記録に譲らして頂きたいと思うのであります。
なお、いわゆる電化計画が非常に強く要望されておるいわゆる土讃線の電化計画であるとか、又いわゆる高松から高知に連らなるあのトンネルばかりの
鉄道は、これはどうしても電化してもらいたい。或いは電化が早急に行かなければ、デイゼル・カーでも動かしてもらいたいという要求は実に熾烈なものでございました。
鉄道のほかに
道路の幅が非常に狭いということも殆んどの、四国全体の問題である。或いはこれは日本全体の問題であるかも知れませんが、特に痛感されることは、いわゆる狭いならば狭いなりに自由に離合のできるいわゆる待避の
場所をもつとたくさん作
つてやればいいということを私どもは特に痛感しておるわけであります。非常に狭いために、一々とま
つてそうして辛うじて交換をしておるという状態が随所に見受けられた次第であります。
次に、高松と宇野との航路の貨物輸送についてでありますが、全国にまあ比類がないというほどいわゆる輸送量が
鉄道でたま
つたのでありますけれども、今年の五月一日からいわゆる国鉄の第三宇高丸が就航して、そうして一日平均八十両の貨車輸送が増強されたので、四国対本土間の輸送が大幅に緩和されて、むしろ今日ではその能力ほど輸送量がないというほどの実情にまで来ておるとのことでありました。こういう状態で、機帆船或いは汽船及び陸上の
鉄道との競争
関係といいますか、四国はいわゆる大阪或いは中国、九州に対して汽船又は機帆船の輸送があり、そこに今度は
鉄道が直通しておる。そのほか更にもう
一つは、鳴戸と淡路と、淡路から明石に出る明石
鉄道及び鳴戸
鉄道の
自動車輸送、
自動車をそのまま載せて走る、いわゆる構想が始まりましたので、これが完全にその能力を発揮する
ようになると、又その交通分野にかなりな変化が起
つて来るだろうと考えるわけでありまして、これらは相依り相待
つて交通は激しくなりますが、輸送機関それ自身の問題は、今後ますますお互いにどうすればいいか、お互いの経営の困難を訴えるものもありまし
ようし、その変化によ
つて打撃を受けるもの等がそこに相当の…丁度汽車と
自動車が常に輸送の競争をしておる、或いは船と競争をしておるということが、四国において特に強く感じられた次第であります。
第四番目に、海上保安
関係でありますが、当管内においては、地理的にい
つて島嶼間に生ずる海難事故が多く、又小型船舶を利用した密漁がかなりありますので、いわゆる海上の犯罪がかなり多い。従
つてその海上の犯罪は全国一だということでありますが、現在の海上保安片の人員及び
予算では業務の円滑は期しがたいという陳情でありまして、その機能の充足或いは船艇の増強、通信
施設の整備等を必要とするのではないか。又は第十六
国会に提出の政府
予算中、行政費が非常に減少されて、それが非常に困
つておるという
ような陳情があ
つたのでありますが、尤も
経費節約による業務遂行上の困難は、これは
運輸省の出先機関で、我々への至る所における陳情であ
つたわけであります。これはその
程度にいたしておきたいと思うのであります。
第五に、門司港及び苅田港について簡単に申上げますと、門司港は
昭和二十四年十月掃海の完了によりまして、世界に航路の安全宣言を行
なつて国際貿易港として漸次役割を果しておるのでありますが、朝鮮動乱を契機として、港の勢いは急速に進展を示しまして、
昭和二十七
年度の
港湾取扱貨物量は四百三十三万トンに達しまして、戦前の水準に迫ろうとしている勢いであります。併しながら本港の荷役能力はまだ
復旧の途上にありまして、遠く戦前に及ばず、嘆かに九バースの内、外貿易岸壁によ
つて維持されておる。その上に朝鮮動乱により二つのバースが米軍の接収によ
つて荷役力が著しく阻害されておるわけであります。でありますから
運輸省においては日米行政協定に基く接収
施設の代替といたしまして、
昭和二十八
年度門司市の田ノ浦地区に一万トン級の岸壁一バース及び附属
施設を総工費三億三千万円を以て、これは是非とも本年中に建設せなければならんというので昼夜兼行でや
つておるわけでありまして、これが完成の暁には門司港の輸送力に一大寄与をするわけであると思うのであります。ただその陸上の
施設においては、門司、いわゆる門司港駅から、門司築港株式
会社か何か、名前は
ちよつと存じませんが、ただ軌道だけを以て田ノ浦港に行
つておる。その先には農林省が倉庫を持ち、農林省の
鉄道があ
つて、そうして今度はその先に今の田ノ浦港を作
つておる。それは今度は
運輸省のまあ
鉄道或いは国鉄になりますか、ともかく
一つの港に途中で
三つの各別の線路が相連
つておる。これは早晩早く何とか一本にせなければならんという
ような問題があ
つたわけでありますが、附加えて申上げておきます。
次に、苅田港でありますが、本港は若松港の関西向け石炭輸送に当
つて関門海峡のいわゆる通過にかなり潮待ちをせねばならん。普通の天気でありましても潮待ち時間が上り下り共にありますので、これを避けて、そうして輸送力を合理化し
ようというので、戦前から南筑豊炭約六百万トンの輸送合理化と石炭の増産を目途として考えられたものでありまして、埋立岸壁を完成したところで終戦に至
つたわけでありまして、その後
港湾施設作業は一応三百万トン計画に縮小して岸壁三百メートルが完了しておるのが現状でございます。現在輸送
実績は、月間最六十万トンに及んでおるのでありますけれども、常に輸送量のほうが設備能力を凌駕しておるために、まだいわゆるシュートで落すというだけでは七万トンより扱えない。従
つて約あとの三万トンばかりはまだいわゆる肩荷役によ
つて、折角の近代設備でありながら若干の肩荷役がある。それで苅田港の今後ますます発展するというとは、若松港に比して設備が能力的であるということと、いわゆる今申上げました
ように関門海峡の潮待ちをしない。そうして距離的にも近い。且つ、いわゆる天候に左右されないでそうして荷役ができるという
ようないろいろな条件を備えておるので、今後ますます発展するでございまし
よう。ただ陸上の輸送が非常に現在の
鉄道の線だけでは能力的に足りないので、どうしてももう一本あそこへ線路を引いてくれという要望がかなり熾烈に
なつておるわけであります。いわゆる輸送の問題にいたしましては、
北九州は今その輸送の合理化に対して小倉駅が今改築の殆んど四割に達してお
つて、そうしてあそこの合理化を頻りに今や
つておりますが、いずれにしましても非常に窮屈に
なつております。従
つて日豊線の門司から少くとも行橋或いは柳ヶ浦という方面までこれは荷物と人の輸送が非常に今混雑しておりまして、どうしてもこれを一日も早く復線にする必要があると考えるわけであります。なお、いわゆる
港湾運送
事業法の一部改正で、特に苅田港は議論に私はしたつもりでありますが、これはほうぼうへ行きましても、私が
委員会において論じた点は、私はどこへ行
つてもそういう問題がある。そうして例えば福岡に行きましても、私は大分港においても、或いは苅田港においては特に業者からたくさん聞きましたが、幸いにして荷主
関係が来ておりまして、その荷主側の
意見も聞いたのでありますが、数量が多ければ多いほど、なかなか規定したいわゆる公示運賃も一本では到底行かない。やはり荷主によ
つていろいろ案がありますから、公示運賃があ
つても何らかの方法によ
つて必ず競争はや
つておるというのが実情であります。
なお、
道路運送その他につきましても、いろいろ
意見あり、或いはほうぼうにおける陳情がございましたが、それらは挙げて速記録にお願いしまして、以上だけ簡単に御
報告申上げる次第であります。