○
小林(進)
委員 私は
経済安定という
一つの言葉にこだわ
つて言えば、わが
日本の
経済を不安定ならしめている要素としては、今年は凶作対策も重大問題である。災害対策も重大問題である。そこへ持
つて来て、人事院勧告以下すべての仲裁裁定、
政府がみずからつく
つたそうした励告・裁定を
政府が無視しておる。そこにまた社会不安や
経済不安を醸成せしめている大きな原因がある。これが第三です。第四の問題は私はやはりこの凶作に伴う
食糧問題だと思う。こうして
考えただけでも、四つの要素を全部
予算の中に織り込んで、しかも再軍備の
予算を並行せしめて、一兆億を
目標としたその箱の中にこれを全部たたき込むということは、どうした
つて考えられない。それは打出の小づちではないのでありますから、
考えられない。ではどこへその
予算を重点的に持
つて行
つて、どこを
節約するかということは、あなたは先ほどからおつしや
つたけれ
ども、これはとてもしろうとではなかなかできる問題じやない。ここに私は
日本の
経済を不安定ならしめる大きな要素があると思うのでありますが、そういう災害やら、あるいは救農
国会と称して凶作対策の問題などはそろそろ出ておりますから、この問題は私は別といたしまして、
食糧問題について
経済安定
委員会の皆さん方の
考え方をひ
とつお伺いしようと思うのであります。具体的なものはできておりませんけれ
ども、
政府の当初の
食糧の需給
計画、例年度を踏襲いたしました農林省あたりの
考え方では、米が百万トン、小麦、雑穀が二百万トン、ざつと三百万トン、二千万石を
輸入するというのであります。申し上げるまでもなく、
国内の米の配給は、都会で十五日分、それから農村は二十日分でありますが、その十五日分の米の配給を持続する
ためにも、そのほか酒米もいろいろ入りますが、大体三千四百万石の米を
政府が持
つていなければ、十五日分の米の配給はできない。それを二十七年度でいえば、二千八百万石内外の米を農民から供出してもら
つて、百万トン、大体六百有余万石を外米でまかな
つて、三千四百五十万石という手持ち米を持
つて、辛うじて十五日分の米の配給を続けて来ているところが今年度は二千万石の米の農民の供出も、今のところは困難な状態だ。二千八百万石の米の供出を予定している
政府に対して二千万石そこそこ、八百万石の穴ができた。そのほか自由販売を相当引締めて、
政府が三千四百五十万石なければ、とうてい十五日分の米の配給はできない今日において、ざつと
政府の手で持ち得る数字は、二十万石米の供出をして、一千四百万石が今年度は不足なんだ。六、七百万石の米を
輸入するという前年度の当初
予算にしたところで、新しくまたそれくらいのものを
計画し直さなければならぬ。ざつくばらんに言えば、百万トンの米の
輸入でいいと思
つていたものが、この米の不作の
ために二百万トン以上の米の
輸入をここで新しく
計画をしなければ、十五日分の米の配給はできない。これに対して保利農林大臣なんか、二、三日前、百万トンの米の
輸入を、今度は百六十万トンの米の
輸入をしたいというふうに、六十万トンばかりふやして
国会で答弁しております。私は一体百六十万トンではだめだ、二百万トン以上を
輸入しなくちや、十五日分の米の配給はできないと思う。米はただ持
つて来るのではない。ドルを
消費して持
つて来る。しかもこの米を一体
東南アジアから百五十万トンないし二百万トンを集め得る自信があるか、これをまず私はお聞きしたい。これは
経済審議庁としては
日本経済に関する重大問題であります。去年でさえ百十万トン、イタリアまで行
つてあんな臭い米を買
つて来て、しかも一石一万八千円もするようなばかげた値段で買
つて来て間に合している。今日、
日本の米が不作だなんと言
つたら、向うはいい気にな
つて米の値段をつり上げて来るだろう。しかも
市場はビルマとかタイとか限られている米の
市場で、百六十万トンでよろしいとい
つても、一体それを買い集められるか。それを買い集めて来て二重
価格——今までの配給
価格で配給した場合、その補給金がわが
日本の
財政のうち一体どれくらいになるか。そういう面を
考える場合に、この負担問題だけでも新しく二十九年度の
財政の面に占める比率は非常に大きくな
つて来ると思います。こういう問題に対して、一体
経済審議庁は米の
輸入の問題、不足の問題に対する
財政支出をどれくらいにお
考えにな
つていられるか、お伺いいたします。