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1953-11-03 第17回国会 衆議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月三日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 佐伯 宗義君    理事 小笠 公韶君 理事 加藤 宗平君    理事 武田信之助君 理事 阿部 五郎君    理事 菊川 忠雄君       秋山 利恭君    岸  信介君       迫水 久常君    西村 久之君       飛鳥田一雄君    石村 英雄君       小林  進君    杉村沖治郎君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      平井富三郎君         総理府事務官         (経済審議庁審         議官)    今井田研二郎君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    西原 直廉君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君  委員外出席者         総理府事務官         (経済審議庁審         議官)     渡邊 逸亀君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十一月二日  委員楠美省吾辞任につき、その補欠として吉  川久衛君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員吉川久衛君及び鈴木茂三郎辞任につき、  その補欠として楠美省吾君及び飛鳥田一雄君が  議長指名委員に選任された。 同日  理事山本勝市君の補欠として根本龍太郎君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  日本経済基本的政策に関する件     —————————————
  2. 佐伯宗義

    佐伯委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。去る八月四日理事山本勝市君が委員辞任せられましたので、その補欠として根本龍太郎君を理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐伯宗義

    佐伯委員長 それではさよう決定いたします。  なおこの際一言お知らせいたしますが、同君所属の自由党の本委員会への割当委員数は一名となりましたので、御了承願つておきます。  なおこの際お諮りいたしますが、先国会の閉会中に行いました国政調査に関する報告派遣委員より簡単に聴取いたしたいと存じましたが、委員各位の御要望もあり、本委員会に対する右報告は、口頭にかえて会議録に登載するにとどめたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐伯宗義

    佐伯委員長 それではそのようにとりはからいます。     —————————————
  5. 佐伯宗義

    佐伯委員長 次に、日本経済基本文員会議的政策に関する件について調査を進行ます。  まず政府当局より最近の経済計画に関する簡単な御説明を願いたいと存じます。深水政府委員
  6. 深水六郎

    深水政府委員 長官がちよつとやむを得ない用がございますので、私からかわつて簡単にその後の状況を御説明申し上ます。いろいろ詳細な数字にわたつて説明は、担当の政府委員から説明させることにいたします。前国会岡野試案としてわが国経済自立についてということを長官から御説明申し上げたのでございますが、これも当時御説明申し上げましたときに、一応中間試算であつて、途中でさらに検討を加えるということを申し上げておつたのでございます。その後いろいろと情勢がそうかわつたということもございませんけれども、いわゆる岡野試案におきましては、御承知のように経済自立を中心にいたしまして、いろいろ自立政策を遂行するためにはどうすればいいかという試案をもつて三十二年度までのいろいろな指標を立てたのでございますが、その後どうしても経済の安定ということをまた非常に強く考えなければならぬような必要が大きくなつて参つたのでございます。御承知のように経済動きが若干かわつて来たのではないか、たとえば二十八年度予算の執行上のいろいろな問題、あるいは災害があつたとか、あるいは産業規模拡大消費水準上昇によりまして、物資需要が非常に増して参りました。そうして一方国際収支は相当逆調になつて院参つた。こういうことを大体総称しまして、インフレ要因ありというふうに言われるようになつて来たのでございます。私から申し上げるまでもなく、経済自立には輸出増強をその基本の問題といたしまして、割高物価の是正ということが非常に問題となるのでございますが、こういうインフレになりますと、御承知のように、すべてわれわれが企図しております経済自立あるいは輸出振興ということもだめになつて参りますので、そこでどうしても経済の安定ということが必要となつて参つたのでございます。また今申し上げましたと同様に、自給度向上と申しましても、資源開発ということが一番問題になるのでございますが、これにも相当な資金を要する。これは財政資金を通じて出すのでございますけれども、現在のような安定を必要といたしますときに、資金的にもかなりの問題があるのではないかというふうに考えられるのでございまして、無理に自立一本だけで通そうとすれば、この方面からやはりインフレ的な要因がるるのではないかというようなことも考えられますので、これも安定ということとにらみ合せて行わなければならぬというふうに、非常に強く要望されるような状態になつて来たと存ずるのでございます。それで経済審議会に諮りまして、いわゆる三目標、四原則というようなものをつくりまして、これを経済審議会内閣に答申いたしたのでございますが、この三目標と申しますのは、第一が、御承知のやはり岡野構想でうたいました正常貿易確立、特に輸出振興ということでございまして、第二が国内資源開発による自給度向上、第三が資本蓄積による経済力充実ということを自立経済目標といたしまして、またその基本となる四原則といたしましては、経済の安定、それから各経済主体自立、それから労使協力、あるいは科学技術振興というようなことを基礎として、まず経済の安定という基盤の上に自立経済を持つて行きたいという、両々相まつてそういうふうに日本経済の安定をはかりながら自立経済を進めて行きたいというふうに私たち考えておるような次第でございます。岡野構想と申しますか、岡野試案基本的な考えには少しもかわりはないのでございますが、私たちこの経済の安定という面を強く押し出し、両々相まつてこの自立経済の達成に努めて行きたいというふうに考えておるのでございます。最初岡野試案のときにつくりました三十二年度までのいろいろな実績につきましても、その後のやり方、あるいは私たちの予想も数字的に若干動きがあつたというようなことにつきましては、関係事務当局から申し上げることにいたしますが、とにかく岡野構想そのものには、いささかのかわりもございませんが、ただそれに並行して経済の安定ということを強く打出して、この三目標、四原則というのを経済審議会で答申されたような次第でございます。ただいまのところは、私たちこの三目標、四原則が閣議で取上げられて、各省もこの基本的な考え方に従つていろいろな施策を進めて行きたいというような考え方であるようでございます。これはあくまで基本的な原則でございまして、実行のためには、私たちもこの三目標、四原則の実現にできるだけの力をいたしますとともに、各省ともにこの原則に従つていろいろな施策を遂行して行かれることを私たち衷心から希望して、日本経済の安定、そうして経済自立ということに相ともに力を尽して行きたい、かように考えておるような次第でございます。いろいろ数字的な、あるいはなお足らないところは、政府委員の方から説明させることをお許し願いたいと思います。
  7. 渡邊逸亀

    渡邊説明員 ただいまの御説明に敷衍いたしまして、私から経済自立ための三品標、四原則について補足的説明をいたしたいと思います。  経済自立ための三目標ということにつきましては、過般の国会において岡野試案として御説明申し上げた以後、基本的な考え方についてはかわつておりません。第一が正常貿易確立、特に輸出振興、このため方法としては、まずわが国産業国際競争力強化いたしますと同時に、各般輸出振興対策を樹立いたしまして、あわせて経済外交を推進して市場拡大をはかり、輸出を増大いたしまして、正常貿易による国際収支の均衡をはかることを目的といたしております。  目標の第二は、国内資源開発による自給度向上の問題でございまして、これによりまして国際収支輸入をできるだけ節約いたしたいと考える次第でございます。その手段としては、電源の開発食糧増産合成繊維増産、あるいは外航船腹増強する、そういうふうな方法によりまして、国内資源を合理的に開発利用いたしまして、自給度向上をはかつて、積極的に外貨支払いの節減を期しておる次第でございます。  この二つ目的を実現いたしますためには、資本蓄積、かつその有効な利用ということが絶対に必要でございます。これを第三の目標といたしまして、消費節約し、あるいは資本蓄積を促進し、その有効利用をはかりまして、国民経法力充実いたし、経済力充実強化をはかつて参りたいと思うのでございます。  この三つ目標を達成いたしますためには、わが国物価の国際的割高を是正する必要があるのであります。また財政投資を重点化し、かつ強化する必要がございます。またわが国産業近代化をはかるなど、各般経済施策の効率的な運営をはかることが必要であります。しかしながら、わが国の現在の経済状況を見まする場合に、これらの施策の円滑な運営をはばむような幾多の要因がございますので、これらの点を是正し、わが国経済態勢自立の方向に向うように進めて参る必要があると考えられます。従いまして、これがためにいかなることをまず行うべきかということを研究いたしました結果、経済自立の四原則というものを私どもは列挙してみたわけでございます。  原則の第一は、経済の安定という問題でございます。この経済の安定のためには、三つの面から注意を払う必要があると思います。  第一は財政の問題でありますが、二十八年度予算相当額散布超過を予想され、これが民間の一部において、インフレ要因であるというような声も聞かれたのでありますが、この傾向を今後継続して行きますことは、経済を不安定ならしめるおそれがございますので、この際わが国財政を、中央地方を通じまして、歳出を抑制し、財政規模拡大を防止しまして、財政健全性を堅持いたして行く必要があると思うのでございます。従いまして、歳入補填公債を発行するということを厳に慎む必要があることはもちろんでありまして、また必要やむを得ざる公債の発行も極力これを抑制する必要があると思うのでございます。  次に金融の面から見ますと、現在不要不急投資あるいは過剰設備投資等が行われている面もございますので、こういう面の投資はできるだけ抑制いたしまして、信用の膨脹を避け、あわせて日本銀行への過度依存を抑制する必要があると存ずるのでございます。また滞貨融資救済融資等も、これが濫用されます場合には、経済界に好ましくない影響を与えますので、滞貨融資救済融資などは、原則的にはこれを行わないようにする必要があると考えるのでございます。  次に物価の面から申しますると、生活必需物資及び基礎原料につきましては、極力供給を円滑にする必要があるのでございます。一時輸入割当の減少を予想いたしまして、綿糸、毛織物等が騰貴いたしたのでございますが、その後下期外貨予算において十分なる供給を確保することができまして、価格も安定いたして参つたのでございます。その他の物資につきましても、極力かかる措置をとつて参ることが必要であると考えるのでございます。また米の価格とか、あるいは鉄道運賃電気料金等につきましても、その価格上昇は極力抑止して行くことが、この際必要であろうと考えるのでございます。  以上が経済の安定に対し問題となる主要な点でございますが、第二の原則は、各経済主体自立という問題でございまして、日本の国の経済が、国際的に自立いたしますためには、その構成分子である国家財政地方財政、それから各企業または各個人におきまして、経済自立を達成するということが基本になるのでございますが、現在の状況は必ずしもそのようになつていない点も多々ございますので、これらの点を是正する必要があると考えるのでございます。  まず国の財政につきましては、予算使用につきましても、総花的にこれを使つて効率を低くするということがないようにいたす必要があると同時に、行政面を極力簡素化して、経費の節約をはかつて国民負担を軽からしめるということが必要でありますし、また健全財政を堅持して参るということが、この際必要であると考えるのでございます。  地方公共団体財政の問題につきましては、地方制度改革がもちろん必要でございますが、この改革と相まちまして、中央財政への過度依存を抑止する必要があるのでございます。地方公共団体地方公共団体財政自立をはかるということが、必要であろうと考えるのでございます。  また企業の面におきましては、戦前に比較いたしまして、著しく他人資本依存する程度が高くなつておりますので、この資本構成を是正いたしまして、極力自己資本蓄積に努める必要があるわけでございまして、それがためには、企業経理を健全化する必要がございます。企業過度の濫費とか、極端な高率配当を抑制いたしまして、できるだけ自己資本強化に努めるということが必要でございます。また経営合理化に努めまして、いたずらに政府依存するというような気持を捨てる必要があると考えるのでございます。銀行におきましても、できるだけ経営合理化いたしまして、利子率引下げに努めるとともに、日本銀行への過度依存をやめる、オーバー・ローンを解消するということが必要であると考えます。  個人経済につきましては、現在においては、一部面ではございますが、かなり奢侈的な消費が伸びておりますので、冗費の節約をはかり、同時に貯蓄の増強に努めまして、経済自立協力することが必要であると考えます。  次に第三の原則につきましては、労使間の協力の問題でございますが、労使間の争いを解決するにあたりましては、常に国民経済の実態を認識しまして、広く国民経済的視野で問題を公平に解決されることが望ましいのでありまして、生産性を上まわるような賃金要求を続けて参るということになりますと、日本国際競争力はますます弱体化して来るおそれもあるのでございます。そういう点につきまして、問題を広い視野から見て解決して行く必要があると考えるのでございます。また労働者使用者は、企業の内部における相互の責任と職分とを自覚しまして、労使関係の平和を維持して、生産性向上に努めることが必要であろうと考えるのでございます。  第四の原則は、科学技術振興でございますが、輸出力増強いたしますためには、コスト低下、品質の向上が必要でございますが、この点につきましては、技術利用ということにまつことが多いわけでございますし、また国内資源開発利用につきましても、未開発資源利用する、あるいは現在の利用をさらに効率化するというためには、やはり科学技術の導入が必要でございまして、科学技術振興によりまして、生産性向上して、資源の合理的な開発利用に努めまして、新産業を育成して雇用機会の増大をはかることが、わが国経済にとつて必要であろうと考えるわけでございます。  この四つの原則は、いずれも経済自立を達成するために、あわせて実施さるべき条件のおもなるものを掲げたのでございまして、この原則が実施されることに並行いたしまして、経済自立三つ目標が達成されるよう、さらに今後具体的に内容を掘り下げまして、計画を立てて行く必要があろうと考える次第でございます。
  8. 佐伯宗義

    佐伯委員長 以上で政府当局よりの説明は終りました。  これに対し質疑の通告がありますので、これを許します。小林進君。
  9. 小林進

    小林(進)委員 それではひとつ質問をさしていただきます。いろいろの問題をお尋ねしたいのでありますが、さしあたつてただいま御説明になりました三目標原則でございます。特には、いつも言われておりますが、内閣成立以来輸出第一主義、それから国内資源開発などということはありふれたお題目で、耳が痛いくらいなんでございますが、せつかくの御説明でございますから、まずその方面からひとつお尋ねしたいのであります。  輸出を第一主義とする、それから国内資源開発とおつしやる。この二つ目標はどこかでぶつかつて矛盾をしないかどうか。私どもは常にこういうことを考えるのでございますが、企画庁たる皆様方において、輸出輸出として手一ぱいに御振興できるし、国内資源開発開発で十分できている。その二つ目標は決して交叉して相矛盾していることがないとお考えになつているか。あるいはどこかでぶつかつて矛盾を来すような場合があるのではないか。これをひとつ理論的に解決をしていただきたいと思います。
  10. 渡邊逸亀

    渡邊説明員 輸出増強国内資源開発矛盾する面があるのではないかという御質問と解しますが、全面的に矛盾するとは私ども考えないのでございますが、ある面においては矛盾する面があると私ども考えております。それは輸出振興ためには、わが国の割高な物価を是正する、価格引下げるということが必要でございますが、価格引下げコスト低下によつて一部分は実現することができますが、コスト低下必ずしも物価引下げにただちにはなつて来ない場合もございます。国内需要が非常に旺盛であれば国内物価は下らない、むしろ上る場合も予想されるわけでございます。ところが国内資源開発をいたしますと、かなり資金が散布されますし、また資材が必要とされるわけでございます。その面からは国内資源開発を急激に行いますと物価上昇するという一因を持つておるわけでございます。従いまして、輸出増強をやりながら、しかも国内資源開発も同時に達成するためには、よほどその間の調和というものを考えませんと、国内自給度向上はしたけれども逆に物価上つたという危険性があるわけでございます。また国内物価引下げために、財政面金融面等を極度に引締めいたすことになりますと、国内資源開発ため資金がそちらにまわせないということになるわけでございます。従いまして、その間の矛盾の一部として経済の安定という問題が起つて来るわけでございます。経済を安定し、物価引下げながら、しかも国内資源開発をやつて行こう、その間の調和をどの点に求めるかということに私どもは苦慮いたしておるのでございますが、これをやや長期的に見ますと、漸進的に国内資源開発しながら、一面においてはコストを切下げ、物価の安定をはかり、でき得べくんば物価引下げて行こう、そういうような気持でおるわけでございます。
  11. 小林進

    小林(進)委員 それは一面の御説明をなさつておるのでありますが、その点は了承いたします。最近のわが日本経済に現われておるいわゆる国内消費上昇といいますか、外国に輸出しなくても、国内で十分売れる、むしろ国内に割高の値段で繊維品や鉄鋼、鉄製品が売れるから、あえてそういう出血までして輸出しなくてもよろしい、こういうような一つの風潮も現われて来ておるような気がいたすのであります。この点はいかがでしようか。
  12. 渡邊逸亀

    渡邊説明員 お説のように国内需要が旺盛でございますと、現在の日本物価が国際的に割高である場合においては、輸出するよりも国内に売つた方が利益があるという場合が多々ございます。従いまして物品の種類によりましては御指摘のようなものもあるわけでございます。しかしながら国内需要のほかに輸出の方に向けないと、生産力がフルに発揮できないような産業がございます。そういう産業は多少出血しても輸出しようと努力しておるものもかなりあるわけでございます。現在すでに二、三のものにつきましては輸出価格国内価格との門に差ができておるわけでございます。これはしかし日本だけの現象ではなくして、ヨーロツパ等につきましてもそういうことを行つておる国も若干あるわけでございます。ただ現在の日本経済は特需のような臨時的の収入で支えられておりますために、輸出努力をそれほどしなくとも日本経済が維持されかつ拡大されておるわけでございます。将来この臨時収入がなくなつた場合には非常な困難に当面するわけでございます。そのことを考えますと、現在においては多少の犠牲を忍んでも輸出努力をするということが必要であるわけでございます。経済界におきましてもそういう、見地から少々の犠牲は覚悟でも輸出を続けておるというふうに私は解釈いたしております。
  13. 小林進

    小林(進)委員 今までの御説明は了承いたしましたが、実は私が輸出国内開発との相交叉する矛盾点をお聞きしているのはその点じやないのでありまして、ほんとうにお聞きしたい問題は、実は国内資源で電力の開発とか、食糧増産合成繊維というようなお話がございましたが、特にその中の食糧の問題を考えて御意見を承りたいのであります。わが日本貿易第一主義ということを言う場合に、売り先の市場はどうかといえば、まずアメリカなんということはわれわれの考え市場としては考えられないのでありまして、一般にいわれている東電アジア、特に左派の諸君は中共貿易をおいて日本経済の進展のあり方はないというふうに極言せられているのでありますが、いずれにしても東南アジア中共というふうな、アジアがわれわれの将来伸びて行く市場のただ一つの未開拓地ではないかと私は思う、その東南アジア考える場合、貿易は決して一方的な輸出だけでは立たないのであります。売ればかわりに何かを買つてやらなくちやならない、これは当然だと私は思う。そのときにビルマとかインドネシアあるいはタイというような国々を考える場合に、われわれの軽工業あるいは垂工業あるいは化学製品を持つて行つた場合、かわりに持つて来るものは私は米しかないと思う。大体のところは食糧、その意味において、国家の立場を離れて、輸出を第一に考えるわが日本のいわゆる輸出産業輸出経営者からながめれば、自分たち輸出を確保するためには代替物として買つて来る食糧輸入し得るような態勢にわが日本を置く必要がある。言いかえれば食糧増産ため国内資源開発して、うんと食糧増産運動を督励してもらつて、外米を一俵も買う必要がなくなるようなわが日本食糧自給態勢ができ上つたら、当然東南アジアからは米は買う必要がない。東南アジア物資を買わないような日本には、相手国日本工業製品化学製品はほしいけれども、反対に日本が買つてくれる品物がなくなれば手が出せない、こういう形ができ上つて来るのでありまして、輸出貿易東南アジア市場考えて、あくまでも貿易第一主義ということを押して行つた場合には、わが日本国内には食糧なんというものは増産して自給態勢までつくり上げておかない方が貿易の伸展のためにはよろしいという結論が出て来るじやないか、この点をひとつ、一体いかようにお考えになるか承りたい。
  14. 渡邊逸亀

    渡邊説明員 東南アジア貿易を伸展するためには、将来ますます東南アジアから米を輸入することが必要ではないかという御指摘の点でございますが、経済自立ため国内自給度向上として、米の増産につきましては、私どもは将来日本が米を一俵も輸入しなくても済むような程度まで自給度向上したいという計画は持つておらないわけでございまして、現在の状況におきましては、熟田を改廃するものが相当ございまして、あわせて人口の増加がございます。現在の食糧増産のテンポでは辛うじてそれを償つておる状態でございます。年間百万トンの輸入は、ともすればこれがさらに百二十万トンになり、百五十万トンになるという心配があるわけでございまして、これを最小限度現在の輸入量よりもふやさない程度にしたい、でき得れば若干これを減らして行きたいという程度でございまして、かりに食糧増産かなり効果を発揮いたしたといたしましても、数年後にはやはり数十万トン、あるいは百万トンに近い輸入日本としては必要な次第でございまして、その点から東南アジアから買うものはなくなるという心配はないだろうと思う次第でございます。
  15. 小林進

    小林(進)委員 そこまで結論が行きますると、まつた経済審議庁の、そういう国内資源開発食糧自給態勢などというものは、決して徹底した企画ではない、非常になまはんかな、ごまかしの案であるということを考えているわけなんでありまして、やはり私どもは、刻下わが日本の立場からは、食糧自給度国内資源開発に重点が置かれるならば、あくまでも食糧は外国のお世話にならないというだけの、画然たる食糧自給態勢をこしらえるべきだ、私はそう考えている。今おつしやつたように、わが国の人口は一年間に百三十万ふえるでしよう。それから農地の改廃その他によつて大体百万石減産とわれわれは数字を踏んでおる。人口の増加と農地の改廃によつて二百三十万石、最低これだけのものは私どもは毎年必要だと考えておる。概算いたしまして、平年作の三百万トン、二千万石の輸入のほかに毎年二百三十万石内外の数字が今おつしやるように必要になつて来るが、そういう必要なものも含めて、少くとも食糧の五箇年計画、十箇年計画というからには、やはりそうした農地の改廃と、人口の増加を含めて、一俵も世話にならぬだけの国内開発計画食糧自給態勢でなければならぬと思つておるが、今の御説明ではやはり資本家のため日本輸入窓口というものをちやんと明けておいて、そういう窓口をふさがない程度の、いわば貿易第一主義というものに重点を置いて、それにさしさわりのない程度の食糧増産であり、あるいは国内の総合開発である、こういうふうに私は聞いたのであります。そこに私はいわゆる輸出貿易第一か、国内資源開発が第一かという一つ考え方、二律的でなくて、何といつて貿易が大事だ、その貿易を助長するためには国内資源計画もある程度セーヴしてもよろしいし、またときには飢餓輸出で一般大衆くらい苦しめてもいいというような考え方が、非常にブルジヨア的な、資本主義的な考え方の伏線があなた方の頭の中にあるということを私は判断をしたわけでありまして、ここに経済審議庁なるものの考え方の片鱗をお伺いしたような感じで、私どもは非常に食い足りないような気持がするのであります。  この問題はこれくらいにいたしておきまして、次に先ほどの四原則の中の労使協調ということでありますが、その労使協調の中にもお互いに責任を分担してやるというようなお話があつて、特に労働組合の方で企業の本体をよく見きわめるということが大切である。あまりに賃金の過当な要求をすることはよろしくないという御説明がありましたが、経営者の方では一体どういう反省をすればよろしいか、それをお伺いしたい。労働者の方だけは賃金値上げをしてはよろしくない。企業の本体をよく見きわめなければならぬというような強いお言葉があつたようでありますが、それとあわせて経営者の方の態度を伺いたい。  それからドイツでは限られた産業の中ではありますけれども労働者経営に参加いたしております。そういう形を日本に持つて来て、好ましい姿であろうかというようなこともお伺いいたします。
  16. 渡邊逸亀

    渡邊説明員 労使間の協力の問題につきましては、私ども労働者側だけに責任を負わせるという考え方は毛頭ないのでございます。労働運動の側においても反省すべき点があると同時に、経営者側の方においても反省すべき点が多々あると思うのでございます。四原則の第二の企業自立の場合におきましても、経営者の現在のやり方は企業自立という点についてまだ努力の欠ける点があると思うのでございます。また労働問題につきましても、経営者は単に自己の立場のみを考えないで、経営者として労働者を雇用して行く責任を痛感するということが必要でございます。単に企業の一時のもうけ的な考え方から安易な百切り等をやるべきではない。その点は経営者と労働者とお互いによく相談し合つて、会社の行くべき道を研究して行くことは必要であろうと考えている次第でございます。  ドイツの問題につきましては、私も行つたことがございませんので、知識もあまりないのでございますが、賃上げ要求をするかわり経営参加を労働者は希望している。またそれがかなりな程度に実現をしているということを聞いております。また日本において労使がお互いに協力して、日本経済の発展のために努めるという場合には、賃上げ要求をできるだけ是正するためには、何らかの代償を労働者側としては要求するだろうと思うのでございますが、その場合に経営参加の方法がいいかどうかということにつきましては、斯界の各般の方々の御意見によつて十分に検討されて、問題を究明さるべきであろうと考えている次第でございます。私自身それが唯一の方法であり、それでなければならないというところまでは、まだ考えがきまつておらないわけであります。
  17. 小林進

    小林(進)委員 這般の情勢からながめまして、わが日本貿易規模も輸入はともかくといたしまして、輸出の規模がだんだん小さくなつて来るのではないかという心細い見通しをつける人も多いのでありまして、二十七年度の輸入が十二億、あるいは十一億、十億三、四年後には九億くらいに転落するのではないかという見通しを立てておられる方もある。そういう状態の中でわれわれの目に大きく浮かんで来ているのは、ああやつて岡崎さんが東南アジアをかけずりまわつてはねつけられて来た賠償の問題、これがわれわれの財政問題を通じて、われわれの経済を不安定ならしめる重大なる不安の要素であります。これが日本経済の中で、また財政の中で一体どれだけの比重を占めるか、支払い能力があるか、いわば財政の中に占める最高の限度、これをひとつお示しを願いたい。
  18. 平井富三郎

    ○平井政府委員 賠償の問題に関しましては、前国会におきましても小林委員から御質問が出たのでございますが、御承知のように賠償問題につきまして岡崎外相が、賠償の解決が貿易振興ためにも非常に大きな一つの前提条件的な問題であるというような観点から、いろいろと瀬踏み申しますか、各国との意思の疏通をはかるためにフイリピン、東南アジア諸国に出かけられたわけでありますが、現在のところ賠償要求国と日本との賠償額の折衝の程度がまだ初期的な段階にございますので、経済審議庁におきまして、いわゆる賠償余力としてどれだけのものを出すべきかという具体的な数字をはじく段階に立ち至つておりません。この問題は今後日本財政の問題といたしまして、経済自立の要求からいたしまする問題、その他の問題ともからみ合して出て来るわけでありまして、現在のところこの程度の財政支出が賠償のために可能である、この程度が限度であるというような数字を申し上げるまで固まつておりませんことを御了承願いたいと存じます。
  19. 小林進

    小林(進)委員 日本経済の総合企画をなさる経済審議庁が、今国民の前に一番大きく横たわつている問題をそういうような御答弁でごまかしていられるということは、これは非常に残念だと思うのであります。よしんば貿易の若干や国内総合開発の若干くらいはあとまわしになつたところで、賠償問題の国内経済に占める比重くらいはきつぱりと押えていただかなければ私は何にもならないと思う。特に役務賠償の中でも、もう沈船の引上げですか、そんなことは大分具体的に話がきまつているのであります。それがわれわれの財政一つの面にどのくらいの比重を占めているのか、あるいは製品で持つて行くとおつしやるならば、輸出との兼ね合いで、輸出してこれだけもうけて賠償でこれだけ損して、大体差引これだけくらいの損害になつて国民負担にどれくらいの影響があるかというようなことは、しろうとが考えつて想像がつくくらいのものであります。そのくらいの数字は、一つの仮定の上でお示しくださつてももう時期はおそくないと思う。これは経済審議庁としては非常に遺憾千万だと思わざるを得ない。  次にお伺いしたいのは再軍備の問題であります。何か池田さんもアメリカへ行かれて、十八万だけは請負われたようであります。今の十一万から——実質は十二万ですが、十二万から十八万と六万がふえるわけであります。この前も増原長官にお聞きしましたら、一人最低百万円の金がかかるとおつしやつた。巷聞専門家の伝えるところでは、大体一人百二十万円。増原さんは倹約して百万円と言われたが、その差はわずか二十万円で、大したことはない。ただ池田さんの計画は五年計画でもない。三年計画でもない。一年目に十八万にするというのか、二年目、三年目に十八万にするというのか、その辺の数字がごまかされているのであります。一体再軍備がわが日本経済安定にどれくらいの重さを占めているか、あなた方の純粋な経済安定の立場から、一体どこまで日本経済において可能であるか、ひとつ率直にお伺いいたしたいと思います。まだ質問は幾つもございますが、アウトラインからひとつ……。
  20. 平井富三郎

    ○平井政府委員 再軍備の問題につきましても賠償の問題と同様な状況にございます。池田さんの十八万という数字は具体的に私承知する段階になつておりません。従つて池田さんの十八万の問題につきまして私どもからとかくの論議をいたすことは差控えたいと存ずるのであります。現在防衛費といたしまして国民所得に対する割合は大体二%若干越える程度であるのでありますが、パーセントで防衛費の額をきめることはなかなかむずかしい問題があろうかと思うのであります。従いましてむしろこれは実態の問題から論議して行くべきものではないかというふうに考えておるのでありますが、自衛力の漸増という建前をとりまして、いかにこれを漸増して参るかということが今後の経済全体の見通しとからんで参るわけであります。ことに最近の例を申し上げますれば、来年度の予算の編成におきましてどういうような形をとりますか、これは各年度を通じましてかくあるべしとはつきりきめられるほど明確な経済計画の策定は、理論的にもあるいは実際的にも無理であろうかと思うのであります。従いましてこれらの問題はその年度々々におきまする実情を勘案の上適当にその年度毎にきめて参る。もちつろんおそらく防衛力漸増の目標というものは将来において立てられると予想されるのででありますが、その目標自体もきつちりした年度計画という形になるのか、あるいはそれとも一応の目標という形で参るのか、その点がはつきりいたしませんので、現段階におきましてはむしろ毎年度の財政状況から具体的に決定して行くのではないか、こういう方向をたどるのではないかと考えておる次第であります。
  21. 小林進

    小林(進)委員 今も平井次長は防衛力の漸増ということを言われましたが、漸増は吉田さんの言葉でありまして、われわれは漸増ではないと思う。われわれはまさに漸増計画が急増計画に変更したのだと思う。安全保障条約に基いて日本が帯軍備をすることを期待すると言つたその期待がMSAの援助を受けることによつて今度は日本が再軍備を義務づけられた。期待が義務づけられ、漸増が急増にかわつたところに第十六特別国会以後のわが日本の大きな変転があると思う。それをあなたは吉田さんの忠実なる官僚の一人として今でも漸増という言葉をお用いになられました。それは私は了承できない。漸増は急増であります。それは別としまして、いわゆる十八万になるか、二十万になるか、あるいは年度計画できつちりと行くか、行かぬか、それは政府がいわゆる政治的に、あるいは国際的に、またアメリカの圧力の前にいろいろな情勢を総合してきめられておるのでありますから、それまで私はあなたにお伺いしようというものではございませんけれども、真に日本経済の安定という、そういう一部分を担当する面から私の質問を発しておるのであります。日本経済、国民生活を圧迫しない、これ以上破綻せしめない程度で一体わが日本経済がどれだけの再軍備、どれだけの兵隊を持ち得るだけの能力があるか、これをお伺いいたしておるのであります。
  22. 平井富三郎

    ○平井政府委員 経済審議庁といたしましては、防衛力の問題を取扱うにあたりまして、経済の安定といいますか、自立経済の達成に対する努力と両立し得るように持つて参りたい、こういうことが考え方の前提でございます。従いまして、自衛力の漸増に関しましても、どの程度が日本経済力から見て負担し得る限度かという点につきましても、いろいろと研究は進めておるわけでありますが、自衛力漸増に対する根本の考え方と申しますか、具体的なテンポその他がまだ決定しておりません関係もありますし、現在、たとえば来年度の予算におきまして、あるいは五箇年間におきまして、どの程度の支出が国民経済の円滑なる運営と両立し得るかという点につきまして、はつきりと申し上げる段階になつておりません。決して審議庁がなまけておるわけではございません。そういうことを申し上げるデータもまだそろつていないのでございます。従いまして現在、自衛力の漸増に要する経費は五箇年間において総額どの程度の範囲内にとどめるべきかということを、はつきり申し上げる段階になつておりませんことを御了承願います。
  23. 小林進

    小林(進)委員 それでは別の角度からお尋ねいたしますが、現在大蔵大臣は、日本インフレと国民生活の破綻を防止する意味において、予算の編成は一兆円をオーバーしてはいかぬ、一兆円という言葉を聞くだけでも、非常に心理的な不安を与えて、わが日本インフレが高進するという意味で、九千九百九十九億円という、非常に曖昧模糊たる、しかも足も出、しつぽも出、ぼろぼろだらけの修正案ができ上つたのであります。しかし一応一兆円というものが言葉の上にせよ出た。ところがその中に占める軍事費は、今申し上げるように千三百億円でありますが、この二十九年度の予算の編成の場合に、四十年来、六十年来の凶作、災害というような不可抗力の事態が持ち上つた。賠償問題もおそらく二十九年度の予算に組入れなければならぬだろう。また軍事費の総額はふえるでありましよう。行かなくてもいいのにアメリカくんだりまで行つて、つまらない借金までしよい込んで来たというわけで、これはふえなければならぬが、一体二十九年度の予算の編成において、やはり一兆円の線を守るべきが経済審議庁あたりとして至当とお考えになるか、破つてもしかたがない、これはそれほど固執すべき数字ではないとお考えになるのか、ここら辺から御答弁を願いたい。
  24. 平井富三郎

    ○平井政府委員 経済審議庁といたしまして、一兆円の数年がいいかどうかという問題でございますが、大蔵大臣も、いわゆる一兆円ということ自体よりも、むしろ一兆円を目標としてというふうに考えておられるのではないかと思います。一兆円を一億でも出たらインフレになるかどうかという議論ではないのではないかと思います。要するに、健全財政の建前を堅持いたしたい、いわゆる赤字公債を発行して支出をまかなつて行くというような線には持つて行きたくない、これが大蔵大臣の真意であろうかと思います。従いまして、来年度の予算におきまして、御指摘のようないろいろな増加要因があるわけであります。従つて来年度の編成にあたりましては、よほどの決断をもちまして予算の編成に当るのが必要ではなかろうか、かように考えております。来年度の予算につきましても、あくまでも三目標、四原則の先ほど申しました健全なる財政という線を維持して参りたい、かように経済審議庁としては考えておるわけであります。
  25. 小林進

    小林(進)委員 私の求めんとするお答えを得て、非常に心強く思つたのであります。その決断をもつて二十九年度の予算を編成しなくてはならない。私はそのお言葉に千金の重みを感じました。明年度の予算はほんとうに決断力を持つて組んでもらわなければならぬが、その決断力を持つて、一体どの予算を削減し、どういう編成の形をとるべきであるか。これを大蔵大臣にお聞きするのではなくて、経済審議庁の立場に対してお聞きするのでありますから、ざつくばらんにお答え願いたいのであります。その決断力を持つて一体どこへ指向すべきかという御意見を伺いたい。
  26. 平井富三郎

    ○平井政府委員 予算の編成ということは、要するに国政全般の運営をどうするかという問題になるわけであります。従いまして、現吉田内閣考えております政策というものを、予算に具体的に繰込んで来るということになると思うのであります。明年は、たとえば今回の補正予算におきましていろいろと公共事業費等について論議が行われましたように、国土の保全あるいは資源開発という点から申しましても、これらの項目にあるいは二千億、あるいは千五百億というような大きな金が使われておるわけでありますが、要求はそれ以上大きな要求が出て来るわけであります。従つてそういう大きな項目を実現いたしますためにも、やはり内容的にそれが効果あるような組み方をして行かなければならぬと思います。同じ二千億を総花的に使うか、あるいはこれを実効的に効果が上がるように使つて参るかという点につきましては、あるいは二千億が、総花的に使う金の三千億あるいは三千五百億の金にも匹敵してやり得ると思う。そういう点につきましても、内容的に非常に大きな新しい観点から予算の編成をして参るということが、必要になつて来るのではないか。国政全般の施政の方針につきましては、予算委員会、本会議等においても論議されているわけであります。私の立場といたしましては、その政策を具体化する場合にあたつて、それが最も有効に効率的に実現し得るような方法においての検討を続けて参つりたい、かように考えておるわけであります。
  27. 小林進

    小林(進)委員 私は経済安定という一つの言葉にこだわつて言えば、わが日本経済を不安定ならしめている要素としては、今年は凶作対策も重大問題である。災害対策も重大問題である。そこへ持つて来て、人事院勧告以下すべての仲裁裁定、政府がみずからつくつたそうした励告・裁定を政府が無視しておる。そこにまた社会不安や経済不安を醸成せしめている大きな原因がある。これが第三です。第四の問題は私はやはりこの凶作に伴う食糧問題だと思う。こうして考えただけでも、四つの要素を全部予算の中に織り込んで、しかも再軍備の予算を並行せしめて、一兆億を目標としたその箱の中にこれを全部たたき込むということは、どうしたつて考えられない。それは打出の小づちではないのでありますから、考えられない。ではどこへその予算を重点的に持つてつて、どこを節約するかということは、あなたは先ほどからおつしやつたけれども、これはとてもしろうとではなかなかできる問題じやない。ここに私は日本経済を不安定ならしめる大きな要素があると思うのでありますが、そういう災害やら、あるいは救農国会と称して凶作対策の問題などはそろそろ出ておりますから、この問題は私は別といたしまして、食糧問題について経済安定委員会の皆さん方の考え方をひとつお伺いしようと思うのであります。具体的なものはできておりませんけれども政府の当初の食糧の需給計画、例年度を踏襲いたしました農林省あたりの考え方では、米が百万トン、小麦、雑穀が二百万トン、ざつと三百万トン、二千万石を輸入するというのであります。申し上げるまでもなく、国内の米の配給は、都会で十五日分、それから農村は二十日分でありますが、その十五日分の米の配給を持続するためにも、そのほか酒米もいろいろ入りますが、大体三千四百万石の米を政府が持つていなければ、十五日分の米の配給はできない。それを二十七年度でいえば、二千八百万石内外の米を農民から供出してもらつて、百万トン、大体六百有余万石を外米でまかなつて、三千四百五十万石という手持ち米を持つて、辛うじて十五日分の米の配給を続けて来ているところが今年度は二千万石の米の農民の供出も、今のところは困難な状態だ。二千八百万石の米の供出を予定している政府に対して二千万石そこそこ、八百万石の穴ができた。そのほか自由販売を相当引締めて、政府が三千四百五十万石なければ、とうてい十五日分の米の配給はできない今日において、ざつと政府の手で持ち得る数字は、二十万石米の供出をして、一千四百万石が今年度は不足なんだ。六、七百万石の米を輸入するという前年度の当初予算にしたところで、新しくまたそれくらいのものを計画し直さなければならぬ。ざつくばらんに言えば、百万トンの米の輸入でいいと思つていたものが、この米の不作のために二百万トン以上の米の輸入をここで新しく計画をしなければ、十五日分の米の配給はできない。これに対して保利農林大臣なんか、二、三日前、百万トンの米の輸入を、今度は百六十万トンの米の輸入をしたいというふうに、六十万トンばかりふやして国会で答弁しております。私は一体百六十万トンではだめだ、二百万トン以上を輸入しなくちや、十五日分の米の配給はできないと思う。米はただ持つて来るのではない。ドルを消費して持つて来る。しかもこの米を一体東南アジアから百五十万トンないし二百万トンを集め得る自信があるか、これをまず私はお聞きしたい。これは経済審議庁としては日本経済に関する重大問題であります。去年でさえ百十万トン、イタリアまで行つてあんな臭い米を買つて来て、しかも一石一万八千円もするようなばかげた値段で買つて来て間に合している。今日、日本の米が不作だなんと言つたら、向うはいい気になつて米の値段をつり上げて来るだろう。しかも市場はビルマとかタイとか限られている米の市場で、百六十万トンでよろしいといつても、一体それを買い集められるか。それを買い集めて来て二重価格——今までの配給価格で配給した場合、その補給金がわが日本財政のうち一体どれくらいになるか。そういう面を考える場合に、この負担問題だけでも新しく二十九年度の財政の面に占める比率は非常に大きくなつて来ると思います。こういう問題に対して、一体経済審議庁は米の輸入の問題、不足の問題に対する財政支出をどれくらいにお考えになつていられるか、お伺いいたします。
  28. 平井富三郎

    ○平井政府委員 米の凶作に対しまする根本の対策といたしましては、やはり食糧全体の需給を緩和する方向における対策が根本問題になるわけであります。この問題で一番大きな問題として取上げられるのは、米あるいは麦の輸入の増加がございます。第二に国内における供出の完遂とかあるいは米の主食として用いられている以外の用途を節減して参るとか、いろいろな手がそこに起つて来るわけであります。経済審議庁といたしましては、この食糧事情の安全ということがやはり経済の安定ということの前提的な問題になるわけでありますから、この際相当の外貨を使うにしても食糧輸入を確保すべきである、かように考えておるわけであります。従いまして農林省におきまして米の輸入が百六十万トン必要である、こういう前提に立ちますれば、それに必要な外貨は手当てをして行かなければならぬものというふうに考えておる次第であります。世界的に見ますると、米の作柄は大体良好のようであります。従つて従来米を輸入しておりました地区におきましても、米の輸入をしないで済む、あるいは大幅に減少するというような状況でございますので、昨年度の米の輸入に比べまして相当大幅な増加が期待できるのではないか、かように予想されておる次第であります。食糧輸入につきまして心配になる点は一つもございません。従いまして米、麦の輸入をふやしまして、食糧全体として安定した形に持つて行くべきである、かように考えておる次第であります。
  29. 小林進

    小林(進)委員 麦は輸入が容易であるということはわかつているのでありますが、麦はいつまでたつたつて米の代用にはならない。従つてそれはあなたのおつしやるように麦を輸入して米の代用をするということになれば、それは一箇月十五日の米の配給を三十五日くらい麦を食わして、五日くらい米の配給ということになる。それで米の食糧難は解決できましようか。そんなことでは事実上これは米の配給の遅配、欠配でありまして、やみ値が上つて経済がその辺から破れ、さつに社会不安を増大いたしまして、あるいは審議庁襲撃というような暴動も起きて来るおそれも十分考えておかなくちやならぬと思うのであります。私はやはり十五日の米の配給、この線をあくまで守るという基本線を立てるか立てないかというような事態が来ていると思う。どうしても十五日の米の配給だけは確保するとおつしやるならば、私は百六十万トンの米の輸入だけじやこの窮状を打開するのは困難だと思つておるのでありますけれども、しかしそれは別として、米はことしは豊作であるということをおつしやつて輸入は非常に容易にできるような御答弁でございましたが、これは間違いございませんでしようか。それは若干豊作であるかもしれませんけれども、といつても米は審議庁でも御承知のように、東南アジアの国のほかは、イタリア以下アメリカが若干と、アメリカなんといつたところで十万トン、せいぜい十五万トンくらいの輸出能力しかないといわれるのでありまして、そういう状況の中でそんなにやすやすと米の輸入ができると一体考えていられるのでありますか。しかも問題は価格だ。去年のような平均にいたしまして一升百三十円でありますか、百二十円何がしでありますが、そのような価格で一体できるとお考えになつているのかどうか、この点あらためてもう一回お聞きしたいと思います。
  30. 平井富三郎

    ○平井政府委員 経済審議庁の立場として申し上げたのは、いわゆる農林省におきます食糧関係の需給安定策を全面的に推進して参りたいということを申し上げたのであります。農林省の計画においては米食率を維持したい、米の輸入もできるだけ多くいたしたい、また、麦の輸入も増加いたしたい、主食以外に充てられる米の節用もやつて参りたい、いろいろの手を尽しまして米食率維持なりあるいは食糧全体の維持をはかつて参りたい。こういう計画を私どもとしては全面的に推進して参りたいというふうに考えておる次第であります。米の輸入につきましても、農林省としては百六十万トンの計画を立て、これが可能である、かように考えておる次第であります。私どももその線に向つて進んで参りたい、かように考えております。
  31. 小林進

    小林(進)委員 どうも米は農林省の計画に従え、建築公共事業は建設省の計画に従え、こういうふうにして各省の要求に従つていられるならば、何もそんな経済審議庁なんてものはいらなくなつて来る。願わくば各省をむしろリード、指導しようという、そういう計画立案性を持つていただきたいというのが私どものお願いなんだ。もうこういう問答を繰返したところでしようがありませんから、最後に二問ばかり質問したいと思うのでありますけれども、先ほどからおつしやつたように、三目標原則計画をりつぱに実現して行くためには、今の自由主義資本主義、そういうイデオロギーでは、とうてい皆さん方のおつしやる目的を達成することはできない。三目標原則という一つ目的が定まつた以上、これを実現するには計画経済以外にないわれわれの言う社会主義的な計画経済のイデオロギーをもつてしなければとうてい実現することは不可能であると信ずるが、この点どう考えているか、お伺いしたいのであります。
  32. 平井富三郎

    ○平井政府委員 この問題は根本的な問題であるわけですが、現在の経済状況から参りますれば、いわゆる計画経済を推し進めて参る、特にこれを統制経済的な方向において推し進めて参る必要はないかと考えておるわけであります。たとえば資金の面について一番これが問題になるわけであります。物の需給の面におきましては、たとえば米というような問題につきましては、現在でも生食の統制は行つておるわけであります。その他の物資につきましては、需給は比較的平衡を得ている状況にあるわけであります。問題は今後の資金投資というものを一つ経済自立目標に向つてどう持つて行くかという点が、具体的の問題としては一番論議の中心になつておるのではないかと考えておるわけであります。この点につきましては、政府一つ財政投資というものが非常な大きな力を持つているわけであります。政府財政投資額が年間相当な額に上つておるわけでありまして、全体の設備投資の約三割は政府財政投資依存しておる状態であります。従いましてこの財政投資をいかに重点的に使つて参るかというような事柄で大きく金融の方向というものがきまつて来るわけであります。従つてこれと並行して行われます一般金融機関の投資、これにつきましてもいわゆる不急不要の面に対する投資を差控えて参るということは、すでに金融機関自身としても強く感じておる点でありまして、今後いかなる方向に金を向けて行くかというような基本的な考え方というようなものをできるだけ具体的に示しまして、金融機関としてはそれを基準としつつ自主的に健全なる金融及び有効な金融というものに向つて参りたい、こういう機運にございますので、この面において相当効果を上げ得るのではないかと考えるわけであります。但し私どもといたしましてやはり一つ経済計画というものは持つておる必要があるのであります。財政投資の面だけを考えましても、一つ経済計画というものがもとになつて行くわけであります。この経済計画をいわゆる統制経済式な方向において統制で推し進めて行くか、あるいは今申し上げましたような自由経済を基調としつつ、特に必要な部面について一つの規制を加えて参るか、こういうような考え方になるのではないか、私どもとしては現在後者の方向をもつてつて行けるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  33. 小林進

    小林(進)委員 そう言わなくちやならないのでございましようが、それではいま一つ小さな問題でありますが、先ほど不要不急の品物の輸入とかあるいは製造をセーヴして云々とおつしやいましたが、そういう面も金融の面だけで抑制して行くというお考えなのか、具体的な抑制策をひとつお尋ねしたいのであります。
  34. 平井富三郎

    ○平井政府委員 金融的な面につきましては、ただいま御説明申し上げました方向でやつて参りたいと思います。不急不要な消費自体といたしましては、根本の問題として、やはり所得を消費に使うか、あるいはなるべく貯蓄の方に向けさせるか、こういう問題もあろうかと思います。従つて所得の増加というものをできるだけ貯蓄に向う方向に持つて行くということが根本の問題になるわけです。それがためには、先ほど申し上げました、まず経済の安定なり、通貨価値が安定するということが、貯蓄を増させて行く一つ基本的な前提になると思うのでありますが、それらの前提の上に立ちまして、貯蓄増大に対するいろいろな手を打つて行くべきでははいか、かように考える次第であります。また今後の経済施策全体といたしましても、そういう方向に資本蓄積という点に力を注いで行くべきであろうと考える次第であります。なお不急不要品の輸入につきましては、下期の外貨予算につきましても、たとえば外人用品等の輸入につきましても、不要不急品を相当程度カツトしている次第であります。経済の各分野から不急不要品の消費を抑制して参りたいと考えております。
  35. 小林進

    小林(進)委員 もうこれで終りますが、要は今のそうした資本主義的な、しかも自由主義経済の中で、今おつしやつたような三目標原則、そんなものの実現ができるということは、とうてい私ども考えられない。しかもその統制はといえば、単なる金融の操作だけで問題をやつて行こうとする、資本蓄積などという曖昧模糊たる目標でやつて行こうとするのでは、そんなことは不可能だと私は思う。やはりわれわれの言う計画的な社会主義、少くとも公共性を金融に持たせなければ、そんなことはできない。そういう基本的な観念において大きな開きがある。  これ以上御質問することはやめにいたしますけれども、ただ最後に申し上げたいことは、今われわれ国民が非常に経済不安の中に投げ出されている国民的な動揺、国民的な不安というものは、先ほどから私が質問いたしております再軍備の問題である。これが一体国民にどういう形で押し寄せて来るか。それからやはり賠償の問題であります。これがわれわれの肩にいかなる形で背負わされて来るか。それから災害復旧の問題やら、あるいは農村の凶作対策の問題やら、あるいは食糧の問題、一体やみ値を中心にいたしまして、来年の端境期にやはり今まで通り米の配給を受けられるかどうか、消費価格を値上げするんじやないか、そういう多くの不安があるわけでありますが、わが日本経済の根底をゆすぶるようなそういう根本問題について一つも解決が与えられていないし、解決して行こうとする努力も、残念ながらわれわれは拝見することができない。依然として輸出第一主義と電源開発食糧増産企業合理化、題目だけあげておりまして、そんなような手ぬるい考え方で、はたして国民の要望するような形ができ上るかどうか。私はお尋ねいたしまして非常に慨嘆、落胆をいたし、深い悲しみにとざされた次第であります。こんなことで、われわれ国民が安心できる総合的な、確信ある施策を伺うことができなかつた。それでわれわれはこの前から経済安定委員会を開きまして、機構が縮小せられてだんだん細まりつつある経済審議庁の外郭団体みたいな形でいる経済安定委員会は意味ないじやないか。われわれは経済安定委員会のあり方と、企画庁たる経済審議庁のあり方自体をいま少し真剣に考えて行かなければならぬ。今日までの状態であつた経済審議庁も廃止をしてもらうがよろしいし、経済安定委員会もなくなつた方がよろしい、こういうような意見が高まりつつあるのであります。われわれ経済安定委員会のあり方については、われわれはまた真剣に考えますが、審議庁としても、特にああやつて行政機構の改革なるものが塚田行政管理庁長官の手で進められていて、その中に審議庁の縮小ですか、廃止ですか、麗々しく新聞にも報道せられているが、きようのようなお話を承つたのでは、われわれは残念ながら廃止の方に賛成しなければならぬ。いま少しくみずからの問題を真剣に考えて、われわれ敬服してまことに納得し得るようなりつぱな案をお示しになるように、さらに御努力あらんことを切にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  36. 小笠公韶

    ○小笠委員 私は資料の要求なんですが、日本経済安定のむずかしい一つの大きな要因は、先ほど小林委員からもお話の通りでありますが、そのうちの賠償の問題なんですが、東南アジアその他に対する輸出振興の問題にいたしましても、賠償の問題の解決が前提条件だと、緒方さんも言われておるわけでありますが、これらが現段階においてどういうふうな事態になつておるか。まだ外交的な結論が出ておりませんから、はつきりした数字はわかりませんが、従来各国との賠償交渉に対する経緯、先方の要求——要求だけでもけつこうでありますが、そういう資料を作成して御配付願いますと、われわれがものを考えて行く上におきまして非常にいい参考になると考えますので、できますれば、経済審議庁にぜひお願いしたいと思います。
  37. 平井富三郎

    ○平井政府委員 この問題は外務省において現在外交折価に入りつつある状況でございますので、どの程度の資料ができるか、あるいは御要望に沿うような資料ができるかどうか、外務省とも打合せをして御回答申し上げたいと思います。
  38. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 この経済自立についてという資料はあとで詳しく伺いたいと思うのですが、ちよつと拝見しますと、この前岡野さんの議会で演説されたのとそうかわりがないのですが、あれから今までの間に、相当変化がありました。なかんずく一番大きな変化は、MSAの受諾を前提としておられるようですが、MSAを受諾することによつて、当然日本経済構造に変動が来るのですが、そういうものも御計算になり、そういうものも予定されてこれができておるのかどうか。これだけ一つ伺わせていただきたいと思います。
  39. 平井富三郎

    ○平井政府委員 きよう御配布申し上げましたのは、前国会において御説明しました岡野試案と大体同様でございます。その後あるいは若干字句の修正を要するものもあるかと思いますが、内容的にはかわりございませんので、きよう御配付申し上げましたものをごらん願いたいと思うのであります。MSAの問題につきましては、現在交渉中でございまして、これによつてどの程度の変化を来すかということは、協定の内容自体によつて考えるべきじやなかろうかというふうに考えておる次第であります。それから経済自立の構想自体は、前回申し上げました構想を中心にして行つておるわけでありますが、経済安定自体の中味の数字につきましては、最近におきまする事情を考慮いたしまして、現在再検討中でございまして、これはまだ数字的にはつきり申し上げる段階に立ち至つておりません。でき上りますれば、もちろんこの委員会にも御報告申し上げたいと考えております。
  40. 石村英雄

    ○石村委員 ただいまの御回答で大体わかるのですが、この前の国会で、こうしたことを聞いたとき、賠償問題とか軍備の拡張ということは全然考えないであれはできておるのだ、こういうお話だつたのですが、今最近の情勢の変化でまた案を立てるというようなお話ですけれども、それは賠償あるいは軍備拡張ということを考えて新たなものが何か出て来るということなんでしようか。
  41. 平井富三郎

    ○平井政府委員 現在まだ防衛力の計画につきましても検討中の段階でございます。従つて、現在としては審議庁といたしましてこれを数字的に取扱う段階にまだなつておらぬわけであります。ただ防衛力漸増の計画が将来においてある程度輪郭がきまつて参る日も来るのではないかということを頭に入れて検討を進めておる次第でございます。従つて、時期的に現在再検討いたしまして御提出申し上げる資料には、あるいは自衛力漸増はどれだけというような数字は計上し得ないのではないかと考えております。
  42. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 先ほど小林さんの質問に対して、国家資金利用する方法、それから金融をコントロールする方法によつてこれが達成できるというようなお話があつたと思いますが、もしMSAを受諾する、自衛力を漸増するというような問題が出て参りますと、国家資金の投入の仕方、あるいはさらに進んで金融の統制の仕方が全然かわつて来るはずだと思うのですが、もしそういうような事態が発生して来れば、これはもう全然意味をなさないものになる。従つて新たに立て直してお出しになるという意味でしようか。それとも単にこの問題について数字だけが異なつて来るのだ、こういう意味なんでしようか。たとえばこの中の、外航船腹増強というところ一つを見ましても、全然かわつて来るはずですが、その他の合成繊維増産の問題でも、食糧増産の問題でも、電源の開発の問題でも、かわつて来ると思うが、こういう点について、数字だけの変更にとどまるのか、数字がわからないから将来数字がわかつたら変更をするという意味なのか、全然この基本構想がかわつて来るのか、どつちでしようか。
  43. 平井富三郎

    ○平井政府委員 私の申し上げようがあいまいだつたかと思いますが、岡野構想自体の考え方はわかりません。問題は、いろいろな新しい賠償の問題なりあるいは自衛力の問題なりと岡野構想をどの程度調和せしめて行くかという問題が残るわけであります。従つて経済自立に関しまする構想としては変化があるというふうには考えておりませんで、具体的の数字の問題において若干の変化が起るのではないかというふうに考えております。
  44. 石村英雄

    ○石村委員 ただいま具体的な構想はかわらないという御答弁ですが、新聞で伝えられておる他出特使の交渉の過程を見ますと、今後平和産業の方にはデフレ政策をとるというようにとれる点があるのですが、そういうお考えがあるとすると、この基本構想もかわつて来るのではないかと思うのですが、やはりかわらないのですか。
  45. 平井富三郎

    ○平井政府委員 池田構態の内容につきまして、平和産業についてデフレ的な方向をとるということは、私ども承知していないのであります。経済の安定につきまして格段の努力が必要だということの意味ではないかと考えておる次第であります。経済の安定ということは、私ども自体としても、強くその必要を感じておる次第であります。経済の安定を維持しつつ経済自立の三目標をいかにして具現して行くかということが当面の問題であろうと考えるのであります。
  46. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今のお話は、MSAが全然考慮に入つてないというお話ですが、八ページを拝見しますと、国際収支のところで「MSA援助等によるドル収入として一応約二億ドルを期待する。」こういうことになつておりますが、二億ドルというお金は、そんなに貧弱なお金ではないのですが、経済基本構想についての性格変化あるいは資金の投入の仕方、そういう面については全然MSAの問題を捨象してしまつて、お金の入つて来る方だけ予算に入れるということは、ぼくらがおやじに小づかいをねだるときのような感じがするのですが、この点はどうですか
  47. 平井富三郎

    ○平井政府委員 現在ドルの臨時収入が年間八億ドルあるわけであります。この八億ドルで国際収支を合せて、経済が一応国際収支の均衡を得ておる状況でありますが、今後の目標といたしましては、現在の八億ドルのドルの臨時収入をできるだけ減して参りたいという構想のもとに岡野構想ができ上つておるわけであります。現在の八億ドルを二億ドル程度のドルの臨時収入に圧縮して参りたいというこことでございます。その点につきましては、前回から御説明申し上げております。
  48. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 「MSA援助等による」というのはミスプリントですか。
  49. 平井富三郎

    ○平井政府委員 プリントの何ページでございますか。
  50. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 八ページの一行目です。
  51. 平井富三郎

    ○平井政府委員 これは前の七ページの(4)をごらん願いますと、「特別外貨収入は、朝鮮経済復興、東南アジアに対するMSA援助等」とありまして……。
  52. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは域外買付の意味ですか。
  53. 平井富三郎

    ○平井政府委員 そういう意味でございます。
  54. 佐伯宗義

    佐伯委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。  次会は四日午後二時という予定といたしておきます。     午後零時三十一分散会