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1953-07-01 第16回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月一日(水曜日)    午前十一時三十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 六月三十日委員小林亦治君辞任につ き、その補欠として棚橋小虎君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            加藤 武徳君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            青木 一男君            小野 義夫君            楠見 義男君            中山 福藏君            三橋八次郎君            赤松 常子君            棚橋 小虎君            一松 定吉君   国務大臣    法 務 大 臣 犬養  健君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    法務政務次官  三浦寅之助君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省刑事局長 岡原 昌男君    法務省人権擁護    局長      戸田 正直君    労働省婦人少年    局長      藤田 たき君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○判事補職権特例等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提  出) ○人権擁護委員法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○検察及び裁判の運営等に関する調査  の件  (戦争犯罪人釈放減刑に関する  件)  (売春等取締りに関する件)  (選挙違反取締りに関する件) ○逃亡犯罪人引渡法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から委員会を開会いたします。  判事補職権特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。昨日に引続き質疑を行います。御質疑のおありのかたは御発言願います……。別に御発言ございませんでしようか。
  3. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお尋ねしておきますが、律師というのがありますね。これは満洲で司法官試験に通られたかたがたの身分だと思うのですが、資格だと思うのですが、この律師というのは、大体これは満洲における特別の法律というものを研究したかたがた並びにその修得されたいわゆる法律ですね。これは満洲独特の法律だけを修習されたかたがたなんでしようか。その点一つお聞きしておきたい。律師というのは満洲国が与えた資格という意味ですか。
  4. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 只今お尋ねの点でありますが、ここにこの法案で取上げている律師日本弁護士たる資格を有する者がたまたま満洲へ参りまして、あちらの法廷で弁護士と同様の内容の職務であります律師仕事をやつていた、その在職年数を裁判官の資格に必要な在職年数に通算しようというものであります。こういうふうに内地弁護士資格を持つてつたかたが満洲へ参りまして法律仕事をやられる場合も、多くの場合に内地でも同時に、登録を取消さないで、内地弁護士としての資格を持つておられるかたがたが大多数であつたのであります。ただいろいろな事情内地登録を取消して、向うだけで律師登録をしていたかたもたまたまございますので、そういうかたが如何にも気の毒であるというのでこれを救おうというのがこの法案の趣旨でございます。
  5. 中山福藏

    中山福藏君 これは何ですか、律師というのは関東州かどこかで律師法か何かというのがあつて資格を与えているのですか。
  6. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) さようでございます。これはお手許にあります法律案参考資料、それの第二十七頁に律師法をいうのを掲げてございます。それを御覧頂ければ大体のことはおわかりと思います。
  7. 中山福藏

    中山福藏君 わかりました。
  8. 赤松常子

    赤松常子君 ちよつとお尋ねいたしますが、この法律の適用を受けるかたが現在どのくらいあるのでございましようか。
  9. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) その点も只今参考資料の二十九頁に書いてございます。項目別に挙つておりますが、現在判明しておるもので数十名でございます。これは一応判明しておるものだけであつて、潜在的に、調査ができないかたが相当あるのじやないかと思います。
  10. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 他に御発言ございますでしようか。他に御質疑がないようでありまするから、本案質疑は終了したものとみなして、これより直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  12. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致可決すべきものと決定いたしました。  なお、例によりまして委員長の本会議口頭報告内容その他は、便宜委員長に御一任を願います。本案賛成諸君の御署名を求めます。   多数意見者署名     一松 定吉  宮城タマヨ     楠美 義男  赤松 常子     棚橋 小虎  亀田 得治     三橋八次郎  加藤 武徳     中山 福藏  青木 一男   ━━━━━━━━━━━━━
  13. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に人権擁護委員法の一部を改正する法律案議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 改正案によりますと、市町村長定数人権擁護委員だけを推薦して来る、こういうことになります。これは従来のよう定数の二倍を推薦して来る、それに対し法務大臣が選択するという余地がなくなるわけでありまして、この点に相当問題があろうかと考えます。推薦された人が法務大臣から落された、これは成るほど落された人にとつては面目ないとか、そういつた感情的なことはあろうかと思いますが、定数倍数推薦して来る、そこから法務大臣が選ぶということのほうが質的にはやはりいいのじやないか、こういうふうな感じがいたします。そして特に心配されることは、やはり今度の改正案ようなやり方になれば、実質的にはもう市町村長がきめることに私なると思うのです。勿論この法律の中では市町村長定数だけ推薦して来ても、その中に札付きの悪い人がおる、こういう場合には法務大臣がこれを拒否することになるようです。併しそういうことは実際上殆んど行われないのじやないか。定数だけちやんと出して来ているものを法務大臣が削るようなことはなかなかできにくいことじやないかと思うのです。立派な市町村長ばかり揃つておられる場合は、これはいいのですが、必ずしもそういうわけじやない。そうして人権問題というのは、やはり何といつても地元の市町村とかそういうところにいろいろ関係のある問題が相当多いわけなんですね。そういうようなことを考えてみますると、市町村長が全権を実際上握つてしまうというようなこの任命の仕方は、どうも少し危険性があるようにも感ずるのです。それでその辺の事情を提案されたほうではどのようにお考えになつておるか。ただ推薦された者の中から落選者が出ては、どうも気の毒だといつたようなところから来ておるのか、その辺のところを少しお考えをお聞きしたいと思います。
  15. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 御承知ように、第六条では倍数委員市町村長推薦いたすことになつておりますが、只今お話ありましたように、実際問題としては倍数推薦を出す場合に、市町村長は、先ず大体の心当りを当つてみて、この人ならばというかたに先ず交渉申上げて、又履歴書を出してもらう、そうして是非人権擁護委員に出て頂きたいということを最初交渉申上げてから、大体内諾を得て推薦して参つております。ところが倍数でございますので、その半数が必ず落ちなければならんというようなことで、市町村長としては、この運営に非常に困難があつたようでありまして、期せずして全国の各市町村の中には市町村会議を開いて決議をするというようなことで、又法務局からも、どうもこの制度が実際上の問題として、非常に不便で困る。何とかこれを変えてもらいたいという声が、非常に強い要望全国の各所から出て参つております。そこで只今指摘ように、それでは市町村長がきめることと同じことになるのではなかろうかということに相成るのでございますが、そこでこの改正案では、只今指摘ように、若し法務大臣が適当でないと思われれば再推薦をやる、その場合、市町村長がいろいろの事情で再推薦をして来ない場合には、法務大臣当該都道府県区域内における弁護士会当該都道府県人権擁護委員連合会及び都道府県知事意見を聞くというように、広く意見を聞いた上で、人権擁護委員を依嘱するというようなことで、この規定を救済したいというのがこの改正案であります。実際問題としてはその土地における人権擁護委員に適当かどうかということは、これは法務局推薦をいたしておるのでございませんが、推薦されて来る候補者については、大体各地方法務局長がよく承知しております。又市町村長推薦して来る場合にも、実際問題としては大体法務局長に相談をしておるよう実例が多いのでありまして、殆んどそういうふうにしておるようでございます。それらの面で実際問題としては只今亀田委員の御指摘ような不都合のようなことも起きないのじやないかというふうに考えております。そこで倍数推薦いたしますと、市町村長が最近においてはどうも推薦をして来ないというところがかなり多くなつて参りまして、倍数であるならば、私のほうは推薦を出さないというようなことで、現在も出して頂かないところもかなりございまして、このままこの重要な人権擁護仕事に携る人権擁護委員推薦してもらわないで空白にしておくということもできないのじやないかというようなことで、この改正をいたすことに相成つた次第でございます。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとそれに関連してお尋ねします。市町村長選挙制度なつた結果、その人選というものが一方に偏するというような傾きはございませんか。
  17. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 人権擁護委員というものは、余り政治的な関係の一党一派に偏してはいけないというよう考えで御推薦を願い、又委嘱申上げておるのですが、只今指摘ように確かに市町村長というものが公選によつて出ておりますので、いずれかの政党に入つておるというようなことで、どうも政治的に左右されやすいのではなかろうかというようなことも考えられるのでございますが、人権擁護局ができまして五年以上経つておりますが、今までのところではまだ新らしいせいか、或いは人権擁護ということを非常に重要に考えておられますせいか、各市町村長においても成るべく政党関係のない者を出すようお願いもし、又実際にもさようにして頂いておりますので、今までのところではさよう弊害は特に顕著に現われたというようなところはないよう承知しております。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 これはほかの例でありますが、例えば選挙管理委員長のごとき、私は足もとにその実例を見ている。それで警察に私は先般参りまして、署長会つてこの選挙の跡始末をどうするかという問いを出したときに、その選挙管理委員長が相手の候補者選挙違反をねじ込んで持つて来た、ところが自分の属しておる政党候補者はそれ以上のことをやつているじやないかという実例反対警察署長から示されて、ぎやふんと参つて引下つた実例がある。これなんかも自分の属しておる人を選挙管理委員長に或る人が推薦した結果に基いている。これは名前は出しませんけれども、やはりそういう弊害というものは日本にはまま起りやすいのではないかと私は実は考えておりますが、こういう点を十分お考えにならんと、とんでもないことになつて、これは物事はすべて一利一害があるのですから、おしなべてこれは絶対に悪いということは申しませんけれども、そういう点を一つ十分御注意になつて人選をして頂きたいということを希望いたします。
  19. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 大変これはお説の通りでありまして、この点は委員にそうしたことのないように従来も注意をいたしておりますが、今後も十分注意をいたして参りたいと思います。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 只今中山さんに対する御答弁の中で、政党関係のないかたを選ぶようにしておる、こういうお話がありましたが、これはちよつととりようによつては随分問題だろうと思うのです。これは何も政党関係ない人が人権擁護に熱心とばかりは限らない。関係しておる人でも随分熱心な人もたくさんおります。だから、それはどうなんです、そこをもう少し……。政党関係ある人はとらないという方針でやつておられるのですか。
  21. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 大変只今言葉が少し足りませんでしたので訂正しておきます。私ども申しますのは、政党関係のないものという意味がそういうはつきりしたものでなく、例えば政党に左右されたり一党一派に偏したりというようなことでなく、人権擁護という仕事が極めて公正な立場でものを判断しなければならないというようなことから、成るべくかたよらないような人を選びたい。広く各方面から人材をお願いするのですが、成るべく一方に偏しないよう人権擁護仕事上、民主主義立場から最も公正にものの判断をできる人を選ぶのが適当じやないかという意味でございます。さよう訂正いたします。
  22. 赤松常子

    赤松常子君 この二頁の初めの新らしく附加える四の項目についてちよつとお尋ねしたいのでございますが、これはいろいろの角度から見て大変いいことであると思うのでありますけれども、これがよく使われればいいのですけれども、又反対にこれが悪用されると問題が起きると思うのでございます。この四の項目をお加えにならなければならないよう事例というものが今までございましたのでしようか。……法律案の二頁の四の項目法務大臣がその推薦した人が不適当と認める場合に、他の候補者推薦させることができるというふうになつておりますが……。
  23. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 只今亀田委員から先ほど御指摘のありましたように、倍数推薦をやめますと、市町村が直接委嘱すると同じ結果になるのではないかというお話であります。その通りでございますので、そこでそういたしますとなかなか市町村のいろいろの情実とか、いろいろの影響から市町村長が勝手に自分の都合のいい者を出さないとも限りませんので、そこで先ほどの亀田委員のお説のような、御指摘なつようなことに相成るのでございますので、そこでこの六条の四の法務大臣市町村長推薦した候補者人権擁護委員として適当でないと思われる場合は、市町村長に対して一定の期間を定めて更に他の候補者推薦させることができるというよう規定を設けて、適当でない委員委嘱を防ぎたい、かよう考えからこの規定を入れた次第であります。
  24. 赤松常子

    赤松常子君 私もう一つお伺いしたいのは、こういう項目を入れざるを得なかつたよう事例が過去にございましたでしようか。
  25. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 今までは倍数推薦でございましたので、今言つたよう事例が起きる余地がないのでございますが、ただ今まで全国で約三、四人のかたが人権擁護委員としてふさわしくないというよう事例が、ございましたので、直ちにやめて頂いたというよう事例がございました。その場合はあとの残つておりまする委嘱からはずれたかたがございまするので、そのかたをお願いしたという事例がございますが、最初から倍数になつておりますので、今御質問よう事例は起きておりません。
  26. 赤松常子

    赤松常子君 倍数制であつたからこういう必要がないとおつしやるのでございますから、私倍数制を置いておいたほうがいいのじやないかと思うのですが、その点如何でしようか。
  27. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 先ほど亀岡委員にもお答え申上げたのでございますが、今までの人権擁護局委員推薦し、それに又委嘱お願いして来ました経験からいたしまして、実際問題として市町村長推薦をするのに非常に困難で推薦を中にはしないというようなことも出て参りまして、それでは折角設けましたこの人権擁護委員制度というものが委嘱することができなくなつてしまうというような場合に直面いたしますので、何とかしてこのあれを救済いたしたい、お説のようにこの倍数制度のほうが事実はこれは民主的であると思うのです。その中から適当に選ぶというようなことがいいとは思うのでございますが、今までの経験からしまして折角のこの立派な制度がどうも運営ができなくなつてしまうというようなことから、最小限度改正をして救済をしたいというので、この改正をいたすようなつた次第であります。
  28. 赤松常子

    赤松常子君 これでは市町村長委嘱するのであつて、その市町村の決定だけできめることになるのでございましようか。
  29. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 市町村長はただ候補者推薦するだけでございます。それに対して、都道府県知事及び当該都道府県区域内の弁護士会及び当該人権擁護委員連合会意見を聞いて、その意見に基きまして法務大臣委嘱を申上げるということになつております。その前に、市町村長推薦いたしますには、市町村議会意見を聞いて、そうして推薦をする、その推薦に対して、今申上げましたように、県知事、弁護士会、それから人権擁護委員連合会、これが意見を付けて、それに対して法務大臣委嘱を申上げるということになつております。  それからいま一つ、先ほどの御質問に落したのですが、実際問題としてはこの倍数が非常に困難であるというようなことから、委員の一人はえてしてどうも、いろいろ各地方法務局意見を聞いて見ますと、まあさくらと申上げますと大変あれですが、当て馬みたいに、二人出さなければならないから、一人だけは誰か勝手に出せというようなことで、市町村助役を出すというようなことが実際問題としてはあり得ることになつておりますので、倍数とは言いながら、最近の実際の動き方から申しますと、一人は実際の委員としてなつて頂きたい、一人はもう仕方がないから市町村助役か何かで形だけ作つて出せというような傾向に今なつておりますので、倍数推薦というこの形が、実際問題としては漸次壊されて来ておるというような状態になつておりますので、そういうような問題も重ね重ねございますので、この改正をいたしたいということに相成つたわけでございます。
  30. 赤松常子

    赤松常子君 その次に、やはり同じ頁に、任期の問題でございますけれども、二年を三年に改めるという点につきまして、どうも私ども、そういう地方からの推薦による委員であるとか、まあいろんな仕事をしておる人が任期が長いと、どうしても地方有力者或いは悪い意味でボスと結託いたしまして、正しい任務が遂行できないような場合がしばしばあるのでございます。だからむしろ私どもは、任期がもう少し短いほうが民主的に明朗に行くんじやないかと思つておるのでありますが、なぜ三年に延期なさる必要があるのでしようか。
  31. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 只今お話ように、委員がボス化するということは、これは非常に警戒しなければならんことで、十分気を付けておるのでございますが、大体従来の委員任期というものは二年が多いように存じております。併し三年の委員というのは、民生委員児童委員あたりが三年で、他は大体二年のよう承知いたしておりますが、この人権擁護仕事というものは、これは御承知ように非常にむずかしい仕事であります。日本にも新らしい仕事であります。委員のかた自体が成るべく人権擁護に熱意を持ち、広く社会の実情について……、立派な各市町村から委員のかたをお願いはしておるのでございますが、人権擁護委員に選ばれたかたが、必ずしも初めからもう本当に人権擁護については完璧だというようなわけには参つておりませんので、人権擁護委員のいろいろ御研究を願わなくちやならん点もまだまだ日本においてはたくさんあるのではないかというようなことで、どうも二年の任期というものが、漸く人権仕事にやつと習熟した時分に又かわらなければならない。その場合に、その委員のかたが再推薦されればよろしいのでありますが、必ずしもそう参つておりませんので、そこで民生委員仕事とこれは非常に似た仕事なんですが、仕事に習熟して頂かなければ困るというようなことで、又各地方からのいろいろ要望もございまして、無報酬で働いて頂いておりますので、期間が長いということは非常に御迷惑のようなんですが、折角この制度を設けましても、漸く仕事に習熟してできるようなつたかと思う時分にかわられるということは、何年たちましてもこれは同じことを繰返さなくちやならないというようなことで、二年では必ずしもできないというようなことはございませんけれども、でき得ればまあ三年くらいにこの期間を延ばして変えて頂いたほうが、この仕事の性質上いいのではなかろうかというようなことから、二年の任期を三年に改めたいと、かよう考えた次第であります。
  32. 中山福藏

    中山福藏君 法相おいでになりましたから、ちよつと私お尋ねするのですが、実は昨日戦犯釈放に関する交渉のために、関西の婦人団体アメリカ連合軍司令部を訪問した。戦犯釈放に関していろいろ嘆願しました。ところが、こちらに言うて来るよりも、日本政府交渉してくれと、こう言うのですね。それは、再審の事務というものが相当に進捗しておるけれども日本官憲から資料の提供が僅かに一カ月に一、二件しかないと、こう言うのです。だからアメリカのほうにお頼みになつても結構だけれども日本官憲のかたに一つ督促をしてくれという注文を昨日も受けたのです。これは私ども戦犯釈放については非常な努力を払つておる次第でございまするが、こういうことをあえて向うさんから聞かされると、その真偽を疑うのでございますが、これはどういうふうになつておるのでございましようか。ちよつと人権関係がありますから、法相にお伺いしておきたいと思います。
  33. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 詳しくは、法務局長を早速呼びまして御説明を申上げたいと思います。これは非常に大事なことでございますから、できるだけ御納得の行くようにいたしたいと思います。私の知つておる限りにおいては、仮出所適格性を持つた者の調査は、全部個人審査中央更生保護委員会で終りまして、あちらに勧告を済ましておるわけでございます。それから一時出所適格性を持つていない者、即ち刑期三分の一を過ぎていない者も、個人々々に、まあ平たい言葉で言えば、気の毒な、尤もな、出て然るべき人に対しても勧告を開始しておるはずでございます。実情を申上げますと、先般国会において大変有難い御決議があつたのでありますが、あれに対して外国側は、平和条約第十一条に規定された戦犯の処遇について日本政府がその法の裏を潜つて事実上は一時出所を許す意図ではないかというような抗議的な問合せが参りまして、我々のほうでは、そうでない、戦犯の取締の枠の中において一時帰宅をさせるとかいろいろの待遇を与えておるという弁明をするかたわら、御承知ように各国に対して釈放勧告及び一瞬出所勧告をしました。フランス、フイリピン、最もこの問題について厳格と言われましたイギリスも、戴冠式を機会に考慮してくれると、こういうことでありますから、残る問題は対アメリカでございますが、私の承知しておる範囲では、適格性を有しておる者は全部済んでおるはずでございます。何故にアメリカの人がそう言われたのか、一つ調べて、こちらに落度があれば、率直に又御報告を申上げたいと思います。
  34. 中山福藏

    中山福藏君 昨日の話でございますから、その点どうか一つお調べを願いたいと思います。昨年でありましたか、最高検の次席検事イギリスおいでになつて、先方の戦犯に罰する主任の陸軍少将会つたところが、すべて黙して何事も交渉に応じないという次席検事お話でございました。それでその後日本弁護士連合会なんかが躍起となつて、この釈放に関する勧告使節というものを日本から派遣したらいいだろう。殊に当法務委員会におきましても、これは大いに論議の対象となつたのでありますが、それを一つできるならば、これはやはり犬養法務相の御在任中に早急に一つ実現して頂きたいということを私特にお願いいたしておきます。  もう一つついでにお尋ねしておきますが、この人権擁護委員というものは、相当のこれは或る意味において名誉職だと思うのですが、これはやはり優遇、褒賞の方途というものも講じなければならないと思うのですが、この点についてはどういうふうになつておりますか。
  35. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これはこの国会には出ませんでしたが、栄典法というものがどつちみち他日出ることになつておりますが、この前宮城さんに前国会でここで御答弁を申上げたと思います。勲章制度が仮にできたときに、一番そういう場合国家として、殊に法務省として、対象として念頭に置かなければならないのは、人権擁護委員とか、保護司とかいう人だろうと思います。私は今でもそう肝の底から感じている次第であります。  それから只今の御質問でございますが、最高検の次席の検事が各国を廻りまして、これは大変効果がありました。予期以上の効果がありまして、フランスではすでに今日あることを次席検事は何となく感じて来たようであります。イギリスは輿論がなかなか厳しいので、責任者がその輿論を考えまして、ほどのいいことを言わないようにしている。殊にイギリス人はそういう性質でございまして、一番やはりイギリス、フランスというものに対して、今後努力が要ると思いますが、私は在野法曹団が行くということは大賛成なんです。その根拠はやはり次席検事報告に基くものでありまして、何といいますか、いわゆる政治家が行かれることも勿論大きい影響がありますが、戦犯を扱つている役所の印象からいいますと、政治的な話に来たというような……、この法曹団、或いは法律、専門家、或いは司法省のそういう責任を持つた人が行くとすると、どうしても返事せざるを得ないというので、多少又別のよさがその人たちにはそうするとあるということを私は確信しておるのでありまして、従つて在野法曹団の代表が見えましたときも、私はもう努力のできる限りこれは御斡旋をしたい、こう思つている次第でございます。
  36. 青木一男

    青木一男君 只今の問題に関連してでありますが、巣鴨におります人たちの希望と申しますが、そういう点から見て一番今まで不可解に考えておつたあの釈放等の措置が、占領下よりも講和条約後になつて日本が独立の地位を得てから俄然として少くなつた。非常に釈放適用の数が減つてしまつたというような、この一点にあつたように思うのであります。巣鴨におる人たちは、講和になつたらばと相当多くの恩典を期待しておつたらしいのですが、逆にそういう事態が出たので、非常に失望しておつたようでありますが、その点は今では相当改善されておると思いますけれども、まだ数字的には前の数には及ばないようでありますが、そういう点の事情については根拠があるのでありまするならば、これは一番皆が心配しているところでありますから、以上を……。
  37. 犬養健

    国務大臣犬養健君) この点は、私も巣鴨に慰問に行きまして、あの人たちの一番大きい失望の根拠がそこにある。平和条約発効のときには殆んど全部出るのじやないかと言つて楽しみにしておつた。その心持の反動もあるのでございましようが、詳しくはどうも海の彼方のことでございますから、適確なことは申上げかねますが、総司令部があつた時代は、或る程度まで極東軍船司令官のマツカーサー元帥の極東政策ということで、政治的な扱いの加味された部分があつた。これが独立国になりまして、今度は向うに純然たる事務的な審査委員会みたいなものができまし、ここがなかなか一々のケースについて慎重を極めている。御承知ようアメリカの在郷軍人団も、政治的に一瞬に甘く釈放するということも、濠洲、当時のフイリピン等、いろいろやかましい。殊にイギリス系がやかましいというようなことを総合的に考えまして、アメリカ一つ一つの無理からぬケースについて事情を発見して、その部分を釈放しているのだという形を非常に強く取り上げ、この点は、勿論日本政府の政治力の至らない点もあるかと思うのでありますが、そういうわけで非常に遅れております。先ほど申上げたように、そうすると内部の人たちが待ちきれない。待ち切れない気持も、実際よくわかるからというので、職業野球をお見せしたりして、慰問の手を伸べると、今度は日本は全く戦犯というものを英雄視して、優遇しているというような評判が立ちまして、これなども率直なお話が、個人の審査に相当に影響した時代がある。そういうわけでなかなかこれはむずかしいのでありますが、かれこれ考えまして、政府の政治力の至らん部分は、私は率直に言つてあると思います。できるだけこれは私の責任のあることでございますから、全力を挙げて尽したいと思つております。  もう一つ巣鴨で毎日暮している人の気持、それからまあ当時のあの事情の下でありますから、中には刑期なぞが不適当な人もあるわけであります。そういうことを親身になつて発見して、中央更生保護審査会に伝えるという専門の、而も巣鴨の人全部が自分の身内のように思つて、親しみ、心服する人が必要なんじやないかと思いまして、極く最近、元の海軍中将で、戦犯世話会の幹事長のようなことをしておられます、原虎一さんを法務省の保護局の顧問にお願いいたしまして、一々のケースについて御連絡を願つているような次第であります。できる限りのことを尽したいと思つておりますが、御指摘の点、即ち平和条約以後釈放の速度がにぶる、ケースが減つたということは、何としても政府が弁解できない事実であります。誠に慚愧に堪えないと思つております。
  38. 青木一男

    青木一男君 法務大臣のお言葉は、誠に政府として、誠意のあるお言葉であります。今後そのお気持で、一つ外交交渉、或いは調査、その他の遂行に努力して頂きたいと思います。  それから巣鴨におられる人々は面会もできますし、いろいろ特典もありますので、まだいいのでありますが、今まで一番皆同情しておつたのは、依然として外国に抑留されておる戦犯者であります。今までフイリピンと濠州とありましたが、フイリピンは先頃のような、非常な寛大な措置で、これはまあ当事者はもとより、国民一般非常に感謝しておるのでありますが、残るものは濠州関係であります。今までのところでの生活状態、内地との通信、救護状態、そういう点において濠州関係の人が一番気の毒な立場にあるということで、皆同情しておつたのでありますが、フイリピンがああいうふうになりますというと、ますます濠州関係の人たちのことが気の毒になつて来る。私どもはこの点についてはこれは外務当局なんかとも御相談の上、一段の努力を濠州関係において政府は払つて頂きたいということを私どもは切望に堪えないのであります。この点について政府の御所見をお伺いしたい。
  39. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えをいたします。濠州関係が一番面倒であるということは御指摘通りでございまして、なぜ面倒かと申しますと、これも極く率直なお話になるのでありますが、公式に聞いた話ではないのでありますが、いろいろ苦心し濠州の国民感情並びに係官などの意向を私的に聞いてみまするというと、日本に帰すと英雄視して非常に優遇するという話があるというようなことをよく言われるのであります。これがつまり内地でいつ出られるかわからない人をできるだけ慰めようという問題と矛盾して来るのでありまして、非常に今までこの点を一番苦慮したわけであります。併し御承知ように過去においては濠州と並んで非常に戦犯問題について厳格であつたといわれるフイリピンが、あのように感激に堪えない措置に出てくれたことは、必らず他の国にも影響すると思います。誠によい機会と思いますので、私の考えでは外務省の当局は勿論やつていて下すつて感激しておるんでありますが、宗教家であるとか、法律家であるとかが行かれて、最近の事情などをテイー・パーテイーなどで話されるというようなことも大変効果があるんじやないかと、こういうふうに思つておりまして、何かそういうきつかけを作りたい。と申しますのはフイリピンでは加賀尾さんという教講師のお働きが相当私はやはり影響があつたと思います。宗教家並びに法律家などが行つて、砕けたお話をなされば、日本へ帰つて来て過去の英雄として国民が又軍国主義に赴くなどという杞憂がなくなるんじやないか。とにかく非常に海の向うの遠い所でありますので、意外な誤解も或いはある。で私はそういう方針でどなたかに行つてもらいたい、こういうふうに考えております。
  40. 青木一男

    青木一男君 民間の宗教関係者その他の或いは在野法曹でも結構でありますが、そういうような人たちが本当に向うに行つて日本の国民の感情を訴えて、向うの人たちが抱いておるような誤解を解いて、両国の国民的な接触からこういう問題を解決してもらうことは私も非常にいいと思うのでありますが、これは経費の関係もありましようから、政府のほうでも十分御考慮を願つておきたいと思うのであります。
  41. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 他に御質疑はございませんか。……御質疑がないようでありまするから、質疑は終局したものと認めて直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 結論としては本案賛成いたしますが、一つ改正案を実行されて新らしいやり方で委員を選ばれる際には、今までより悪くなつたというふうな結果の出て来ないようなことを、実行面で十分一つ注意をしてもらいたい。こういう一つ強い希望を申上げて御賛成申上げます。
  44. 赤松常子

    赤松常子君 私も一つ希望意見を申上げて本案賛成いたしたいと思います。それは全国協議会を作るということになるわけでございますか、そういたしますとこの中に書いてございますように、その必要の項目の中に、連絡及び調整を図ること、及びその他情報の交換を行うことなど書いてございますのですが、これがえてして全国的な画一的な一つの統制の枠を押しはめるような結果になりはしまいかと憂える次第でございます。こういう全国的な協議会の運営に当りまして、そういう統制をして逆の方向に持つて行くようなことのないように、折角進歩的なこういう人権擁護委員会でございますから、はつきりとその使命の果せるよう運営お願い申上げまして、希望を付しまして賛成いたします。
  45. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 先ほどの亀田委員の御注意大変有難く思つております。従来もその点は十分考えておりますが、将来にもそういうことのないように、十分注意して立派な人権擁護委員委嘱いたしたいと思います。  只今赤松委員の御希望の点も十分了承いたしまして拝承いたしますが、従来も人権擁護委員会或いは協議会とか連合会、これは法律にはできておりますが、本来人権擁護委員会或いは協議会、連合会の性質からいたしまして自主的に動いておりまして、法務省といたしまして余り干渉いたしておりません。殆んど自主的に仕事の性質上動いておりまして、一つ全国の連合会を作りましても、枠に入れたり統制をいたすというようなことはいたさないつもりでおります。さようなことのないようにいたしたいと考えております。
  46. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて採決に入ります。  本案を原案通り可決することに賛成諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  47. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致可決すべきものと決定いたしました。  なお、例によりまして本会議における委員長口頭報告内容その他は、便宜委員長に御一任願います。本案賛成諸君の御署名を願います。   多数意見者署名     一松 定吉 宮城タマヨ     赤松 常子 三橋八次郎     中山 福藏 青木 一男     亀田 得治   ━━━━━━━━━━━━━
  48. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に検察及び裁判の運営等に嘱する調査議題といたします。  先ず売春等取締りに関する件につき、政府より一般説明を聴取いたします。斎藤国家地方警察本部長官
  49. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 便宜それでは私から警察関係におきまして、只今問題になりました売春関係の取締の状況を申上げたいと思います。  警察関係といたしましては、この売春関係取締りと申しまするか、風紀関係取締りと申しまするか、これに非常に力を入れているのでありまするけれども、まだ十分その成果の上つておりませんことは申訳ないと思つているのでございます。余談のようなことになつて恐縮でございますが、青少年の不良化防止ということは、戦後の我が国の状況から非常に大事なことだと我々かねがね思いまして、これに相当の力を注いでいるのでございますが、警察につきましての輿論調査、こういうものを内閣の輿論調査研究機関でやつてもらつているのでありますが、過去二回におきまして、一体警察にどういうことを一番望んでおられるだろうかという項目一つ入れているのであります。それによりますると、二回とも窃盗をもう少し検挙して欲しいというのが圧倒的に多いのでありますが、併し殆んどそれと同じ率におきまして、青少年の不良化防止、これに力を入れて欲しいというのが現れているのであります。で、我々かねがね留意をしておりましたことが、やはり輿論調査においても、国民からさよう要望されているということで、これを更に警察全体に伝えましてこの点に力を入れさせるようにいたしているのであります。で、不良化防止という見地から考えましても、このいわゆる風紀取締りということが一番大きな問題に相成るのであります。ところがこの風紀取締の問題は、警察のいわゆる法律による取締面という面だけではなかなか簡単に参りませんので、或いは法務省は勿論のこと、厚生省、文部省その他とも連絡をいたしまして、お互いに気の付いたところを連絡し合つて、或いは学校方面のかたがたの御協力を得ながらやつて行こうというようにいたしておるのであります。併しながら警察面といたしましては、どうしても取締面が中心に相成りまするので、従つて警察でなし得る事柄については、他のほうが十分やつてもらえないから、しようがないというのではいけないので、警察でやれるだけの最善を尽すというのでなければならないということで、先般の隊長会議にもそのことを指示をいたしておるのであります。  そうしてなお、殊に風紀問題は、いわゆる駐留軍の基地を中心とするものが相当と申しまするか、これが一番の問題になつております。そこで合同委員会におきましても、この風紀問題というものを一つ取上げまして、そして先般風紀対策小委員会というものを設けましてそこで案を得ましたので、そういつた風紀問題の多い基地の知事さんに主としてお願いをして、そこで適当な委員会ようなものを設けて頂いて、関係かたがたの御協力を得ながら、少しでも風紀問題に寄与するようにして行きたいというので、先般各府県の知事にもこの合同委員会からお願いを申上げたのであります。警察もその一翼となりまして協力をして参りたい、かよう考えておるのであります。  で、売春そのものの処罰は、これは御承知ように国の法律にはございません。地方におきましては府県或いは市町村の条例で、売春そのものを取締る条例が設けられておるのであります。我々といたしましてはその条例のあるところにおきましては、或いはその条例によつて、或いは刑法或いは軽犯罪法、或いは道路交通取締法とあらゆる法律の援用をいたしまして、さような行為が少しでも少くなるように努力をいたしておるのであります。併しながら問題は、こういうことを申しますとお叱りを受けるか存じませんが、人間の性欲問題等がありまするのと、それからもう一つは接客婦或いはこういつた業態のものが存在をするというこの事実を、ただ厳重な一体取締だけで果してやれるものかどうか。我々取締面から見まして取締にはどうしてもおのずから限度があるのであります。最も大事に存じまするのは、やはりその地方かたがたなり或いは又、殊に御婦人関係を指導せられるかたがた等の御協力によりまして、いわゆる接客婦或いはパンパンと言われている人たちの自尊心を喚起をする、これが一番大事なことのように思えるのであります。周囲の人たちがこのパンパンと言われる人たちに対して白眼視を以て見るということに相成りますると、どうしても自暴自棄になりまして、或いは青少年、人目のつくところにおいてもこの風紀的に自制をしてもらいたいような行為も、何らもう恥を知らないというような状態になつておられるところが相当多いのでありまするが、伊丹の基地におきましては、この婦人会の非常な御努力によりましてこれらの人たちを婦人会に入れ、そうしてこれらの人たちのいわゆる何といいますか、自尊心というものをおのずから高めるように努力をせられたのでありまするが、この結果そういつた面における自制が非常に深まつて来たというよう報告を受けておりまするが、これは警察直接のあれではありませんが、併し警察もそういう面から自粛を願つて行くというようなことが一番効果があるよう考えます。警察においてもその面において地方かたがたにも御協力願うようお願いをいたしておるのであります。  なお、いわゆる赤線区域ということがよく言われるのでありまするが、我々のほうでは赤線区域というようなものを公然とは認めておらないのであります。併しながら先ほども申しまするように、こういつた事実と申しまするのは、いわゆる性の解決問題という、これを何とかしなければならないという現実の事実に当面いたしますると、厳重に取締つてそういうようないかがわしい旅館或いは飲食店というものをできるだけきれいになくして、どうしても置いてはいけないというところと、或る程度あつても、外部に対して風紀的に或いは児童、一般の人たちにできるだけ悪影響を及ぼさないような、そういうところというものにはおのずから取締に関しまして実情にあつたような行き方をせざるを得ないのじやないだろうか。これは地方として非常な問題でありまするので、その地方の状況、状況に応じまして地方かたがた意見を聞き、又そうして警察の実際の取締の力というものと、先ほど申しました一般のかたがたの御協力というものと相待つてつて行くようにということを指示いたしておるのであります。それでこの点は自治体警察も非常な御賛成を願いまして、近く、先ほど申しました全国のこの合同委員会の会合と申しまするか、こういうようにやつて頂きたいというお願い地方にいたしますると同時に、各地方におきましてこれらの合同委員会の風紀問題の対策委員の御意見をも伺いながら、実情に即するやり方をやつて参りたいというので只今出発をいたしかけておるのであります。  さようなわけでございまするので、又それに何かいいお知慧がございましたら我々にお聞かせを頂きまして御鞭撻を願いたいと思います。
  50. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 只今国警長官から大体の問題の所在等のお話がございましたので、私は主として法律面から従来の経緯その他をお話申上げて御参考に供したいと思うのであります。  終戦までは御承知通り警察犯処罰令におきまして私娼を禁止する一方、公娼につきましては娼妓取締規則というのがございました。公娼制度が認められておつたのでありまするが、昭和二十一年の一月二十六日連合国最高司令官の覚書、日本における公娼制度廃止に関する件、これが出まして、公娼制度は廃止されて今日に至つたのでございます。政府といたしましては、この公娼制度を昔のごとく復活するという意図は全くないのでございます。この覚書に基いて昭和二十二年一月勅令第九号御承知の婦女に売淫をさせる者等の処罰に関する件、これが公布施行されまして、これによつて「暴行又は脅迫によらないで婦女を困惑させて売淫をさせた者」或いは「婦女に売淫をさせることを内容とする契約をした者」はすべて処罰されることになつたのでございます。併しながらこの点につきまして営業者のほうでは、家屋の一部を娼婦に貸与し、娼婦はその一室を借りてみずからの自由意思によつて売春を行うというような、いろいろ脱法的な形がとられるに至つたのでございます。そうして結局いわゆる赤線区域というような形で私娼が残存しており、又一方パンパンと称する街娼が増加しておるという現状も否定し得ないのでございますが、その実態たるや極めて把握困難でございまして、ただ昨年六月労働省において調査したところによりますと、その統計は赤線区域全国六百三カ所、業者一万七千二百二十六名、私娼五万九千、かような統計になつております。  これを取締法規の面から見ますと、前記勅令第九号のほかに刑法第百八十二条、二百二十四条から二百二十七条、これは淫行勧誘並びに例の略取誘拐等に関する事項でございますが、それから性病予防法、児童福祉法、労働基準法、職業安定法、そのよう法律に直接間接売春行為の取締の面が出て参ります。この警察犯処罰令が廃止された以後は、性病予防法の二十六条に直接の法令的な根拠があるだけで、あとはすべて間接にこれを取締るというような建前になつております。ただ、地方の条例等におきましてそれぞれの各地の実情に応じて、いわゆる売春取締の条例が出ておるということに相成つております。その取締の統計はお手許にお配りいたしましたこの一枚紙の表がございますが、左のほうに罪名別でずつと並べてございます。それを昭和二十五年から六年、七年、八年の一番新らしい統計までを載せて見たのでございますが、古いほうの統計は詳細わからん点もございますので、二十七年の統計について仮にこれを申上げますと、刑法犯につきましては受理が四百九十五件、それから児童福祉法の関係で三千五百十七件、それから職業安定法の関係で二千百三十四件、労働基準法の関係で三百三十六件、勅令九号の関係で千百九十七件、それから条例の関係で一万四千三百七十八件、総計二万二千五十七件、かように相成つております。そのうちの処理の数字はその次の欄に起訴、不起訴、中止、移送となつておる通りでございます。昭和二十八年もさようなふうに読んで頂きますと、大体昨年度の数字と似たような傾向で、丁度それが一月から四月まででございますから、これを三倍いたしますとほぼ似たような数になるわけでございます。取締の状況としては大体昨年の通りというふうなことであろうかと存じます。  売春の取締の問題は、さような現象は、もとより経済的な、或いは社会的な、或いは人間的ないろいろな問題から出て参つたのでございましようが、私どものいわゆる刑罰を以て取締るという面だけで、これを処理するということは到底不可能でございまして、諸般の施策と相待つてどもこれに協力して行く、かような態度をとつておるのでございます。  この売春等の取締法規の統一的な立法につきましては、只今申上げました通り間接直接のいろいろな法令が錯綜しておりますので、その間の調和を図らなければならん面が出て参ります。先に第二、第三国会において審議をお願いしたこともございますが、お流れになりました。更に昨年四月勅令九号がポツダム勅令という形で出ておりますので、これに法律の効力を持たせるという法案が提出された際にも、附帯決議として右勅令九号の根本的な改正案を出すようにという御要望があつたのでございます。私どもはその線に副うて目下慎重調査研究立案を進めておる、かような段階でございます。
  51. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本件に関しましては、質疑の通告がございますので、許可いたします。宮城君。
  52. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 法務大臣に二、三質問をいたしたいと思います。  今も政府委員の説明にありましたように、第二国会に売春等処罰法案が提案されたのでございますが、これは衆議院では審議未了になりましたのでございます。そのときにその主な理由として私どもが伺つておりますことは、今もちよつと説明の中に加えられましたように、生活安定、生活の更生ということが非常に問題になつようでございます。勿論これはこの根本問題といたしまして、民生の安定、それから教育の問題、道義の高揚といつたような、そういう問題をおきまして、どうしても解決のつきませんことは勿論でございますけれども、それにつきまして第二国会以来政府は労働省、或いは文部省、外務省もございますと思いますが、そういう各省と何か連絡協議でもなさいまして、その後この問題について殊に厚生省方面は生活安定の面からどうしても重要な役割を買つてもらわなければならないのでございますが、どういう手が今日まで打たれておりましようかということをお聞きいたしたいのでございます。
  53. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。今国警長官及び刑事局長から御説明がありましたように、これは公娼制度に戻すということは絶対にいけない。私娼というものも社会の暗黒面であつて、できるだけ減らしたい。但し事実問題としては、一人減らしても、次々に出て来る現実というものを、どうも残念ながらいなむわけに行かない。  そこで宮城さんのように女性の純潔と、社会の純潔というようなことを非常に強く理想としてお働き下さつているかたから見ると、当局は何しているのだというお気持があると思うのです。これにお応えする一般的のお答えは、両政府委員からいたしたのでありますが、私は実はこういう体験があるのであります。アメリカ兵とよく往来を歩いている婦人を見ていまして、戦争前ならこの程度の教養……というのは、話したことはありませんからわかりませんけれども、顔つきなんかから見て、そう教養のない人でもなさそうで、中には女学校くらい出ているのじやないかと思われる人がある。過去の戦前の日本ではそういう人は売春行為を当然恥だと思い、又する気にならなかつた範囲の人じやないか、それがなぜ今なつたか。こういう問題に触れて、私はいろいろ考えてみたのです。そこでこの問題を主として他の関係当局と話しまして、こういう人たちの一方には自尊心というものを発達させる。一方には合同委員会においてアメリカに対して、アメリカは御承知ように非常に若い国、民族として若い国で、無邪気ないい面もありますが、性に対しては露骨であつて、これは日本人に相当悪影響を及ぼしたことは公平な判断だと思うのです。そういうことをずばずばやはり言う必要がある。これが一つ。もう一つは、ほかに十分食つて行けるような程度のお嬢さん方が、何の躊躇の色もなく外国の兵隊と手を組んで歩く、こういう人たちの社会問題、そうして職業転換の問題というものを話合つたのであります。私はこれは真剣に取り組みたいと思つております。非常に、戦時中のような自尊心とは違う意味において日本民族の自尊心が傷つけられた。これは真剣に考えたいと思いますが、今両政府委員が言いましたように、やはり職業安定の問題とからみますから、ただお前、そういうことをやめろと言うだけでは簡単過ぎるし、不親切である。こういう人たちには社会の勿論協力もお願いしなければなりませんが、現実に、ただ理想的なきれいなことを言つていないで、こういう人たちがほかの職業に移り得るように、さつきのお話ように、或る町で婦人会に喜んで来たい人は来させるということを非常に私はいいことではないかと思うのです。社会の文化運動と相待つて関係当局とこういう人たち、少くも戦前は売春行為を極度にきらつたであろう人たちが、当然こういうことになつている文化面の原因、社会面の原因、或いは我々の取締る面から一つ善処したいと思います。結論はなかなかいい智慧が出ないのです。困つた、困つたということで結論がなかなか出ない。そこがあなた方に叱られる原因になるのでありますが、私は漫然と理想論を述べるのではなくて、何か目どをつけてみたいと思つております。
  54. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 漫然と理想論でなしに、どうしてもこれには予算措置をいたさなければならない問題はたくさんございます。例えば職業補導或いは住宅の問題、母子寮その他いろいろございますと思うときに、非常にこれは大きい予算を必要とすると存じますので、政府はとにかくよわつた、よわつたということでなしに、そういう面について何か今まで具体的な方策をお講じになつたことがあるかないかという点をお伺いしたいのです。
  55. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。  簡単に結論を言えば、困つた、何とかしなければならんという域を出ておりません。誠に恐縮でありますが……。併しそれではいけないと思つております。
  56. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 藤田局長が見えておりますから、労働省の婦人少年局のおとりになつたいろいろな処置をお願いいたします。
  57. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 労働省の婦人少年局といたしましては、昭和二十三年、婦人問題審議が国会に対して売春禁止の必要を述べたところの建議案を提出いたしました。それはものになりませんでしたが、先ず最近のことをもつと申上げますと、今度二十七年五月三十日、婦人少年局の婦人少年問題審議会が婦人の人権を尊重し、その福祉を図るために売春問題に対する対策につきその会の意見を問うという大臣の諮問に対しまして、答申をいたしましたわけでございます。その答申のことを少し申上げますと、先ず簡単に申しまして、日本では売春の取締をいたしておりますところの法律としては、先ほどからもいろいろ申されました通り勅令九号、それが独立後国内法として存続した法律第百三十七号、労働基準法、職業安定法、風俗営業取締法、児童福祉法、性病予防法等数多くございますけれども、総合的のものがございませず、そのほかの又市条例、地方条例も四十一存在いたしておりますが、その四十一の中には、十六を除くほかには売春そのものを罰するところの規定、売春そのものを悪と断ずるところの規定がない。そのことが不備でないかという答申をいたしております。  そうしてなぜそれでは売春そのものを禁止しなければならないか。それに関しましては、現在の法律で売春そのものが禁止されておりませんものでございますから、特殊飲食店その他いわゆる赤線地域、青線地域等々において売春をいたしておりますところの人々を置いておりますところの経営者のほうでも、売春そのものが悪いということになつておりませんので、これらの人々が自営のためにそこにおるのだ。それだから自主的にやつておることを何ともすることができないというところの言い逃れをすることができるわけでございまして、この審議会といたしまして、売春婦、特に財政的の原因から売春しなければならない売春婦そのものに対して、非常な憐憫の情を持つておりますけれども、同時に売春そのものを悪と断ずるということが必要であるということを答申いたしておるのでございます。そうしてその答申の内容といたしましては、只今宮城委員からも御発言がありましたような、経済的な裏付けというものがなければならないということ、それから又保護措置というものの必要であるということを述べておるのであります。この答申はその他輿論の喚起の必要、売春問題に関して正しい輿論を喚起することが必要であるということを力強く述べております。それに関しましては、赤線区域というものはむしろ保護すべきものであるという考え方があるけれども、そうしてその理由として結婚難の今日社会的、これは必要なる社会的悪であるということが言われておるけれども、いろいろの調査によりますと、その調査の中には家庭円満な家の既婚の夫たちが相当多数それに入つておるということもございますし、又その本能といいまするよりは、いわゆる赤線区域、青線区域というようなものが存在いたしておりまして、気分を作り、性慾を刺戟するというような点が非常に多いのじやないか。却つて赤線区域があることによつて、男の人たちがそういう所に近付く機会が非常に多いのじやないかということが答申の中に言われております。又性病の蔓延を防ぐのに必要だ。赤線区域というものがあることが却つて性病の蔓延を予防するに必要だ。そういう輿論に対しては、集娼地区は検診が行われておるから安心だということを言われておりますけれども、一週間に一度や二度の検診、而も強制的な検診でないところのもの、そういつたもの、そうして又ペニシリンをうちながら春をひさいでいるという売春行為などもあるものでありますから、却つて誤つた安心感を与えるという意味においてこの性病の蔓延を防ぐのに役立つのではなくて、却つて悪影響を及ぼすのではないかというところの答申がせられております。  又集娼がいなくなると、良家の子女が犯されるということに対しましても、仮にそれが事実といたしましても、売春婦であるところの一部の婦人たち、これもひとしく人間でありますからには、その人たちの人権を犠牲にいたしまして良家の子女を守るという考え方は誤つている考え方ではないか。そういうことが答申されておりますが、それ以上に又集娼地区がありますことが、そういうきたないところの、そういう刺戟的なところがありますがために、却つてその赤線区域などの周りには強姦や暴行が行われることが非常に多いし、人間の尊さということが失われるのじやないか。そういう点を考えると集娼地区があることが却つて生娘とそういう商売女との間の見境をなくさせる、又生娘たちがそういう行為に対して何ら差恥感を感じなくなる、道徳観念を持たなくなるというところの答申がいたされましたが、その答申は勿論そのほかの現在の法律というものを強力に実施するということが必要だということを言われておりますが、基地の問題に関しましても勿論非常に重要な問題でございますけれども、私どものほうの調査によりますと、四十五万と数えられておるところの売春婦並びにそれに類似するとされておりますところのもののうちパンパンと申しますのは約五万でございますが故に、基地の問題を十分に強力に例えば日米合同委員会等を通して交渉するということも大事でございますが、同時に売春というものを悪と断ずることも必要ではないかという答申でございます。  併しながらそれには勿論保護観察ということ、又、それから防止のための必要な措置などということも謳つておるものでございますが、私どもはそのほかにこの答申案を受けますに当りましても、又その他の必要から啓蒙、調査ということを非常に一生懸命にいたしております。婦人少年局といたしましては大事な人権問題でございますので、調査を例えば業者の業態について、又国の内外、外国のこの売春問題に関するところのやり方について調査をいたしておりまするし、又啓蒙を地方の婦人少年室を通じて、又婦人団体、労組の婦人部等々と連絡をいたしまして啓蒙をいたしております。先ほどから述べられております通りに、勿論内外の官庁との連絡、職業安定所、安定局、労働基準局は勿論でございますが、その他いろいろのお役所と、例えば中央少年問題協議会において又日米合同委員会等々において緊密な連絡をとらして頂いておるわけでございます。出先の婦人少年室といたしましては、調査を実際にいたしておるものでございます。例えば基地の調査どもいたしましたのでございますが、そのほか窓口におきまして困つたところの非常につらいところの立場の女の人たちの相談相手の役割をいたしておりまして、例えば福岡におきまして一昨年のことでございますが、七人の業婦がかけ込み訴えをいたしまして、その者たちのために職業を探し住宅を探すというようなことをいたしたのでございますが、何を申しましても人数も少のうございますし、非常に複雑な問題でございますので、なかなか思うことの万分の一もできないような状態でおります。
  58. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 藤田局長に申上げたいのでございますが、非常に長い間御苦労で御調査下さいましたものを私は頂いておりますけれども、法務委員全体に資料を頂きたいと思つております。
  59. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 私のほうであります限りの資料を皆様方にお届けいたしますから、どうぞ御覧下さいまし。
  60. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 重ねて法務大臣にお尋ね申上げたいのです。先の十三国会に先ほどからいろいろ問題が出ておりますいわゆる勅令九号を法律といたしまして存続をするということを当委員会できめました際に、この勅令九号は婦女の人身売買の防止とその基本的人権の保護については誠に不十分でございますから私ども満足できませんから、政府は右勅令の根本的な改正法律を速かに国会に提出すべきことを要求する旨の附帯決議をいたしたのでございます。それでございますのに、今までまだ政府はそのよう法案を提出もなさらないし、そうして今伺いました範囲では、提出なさる御準備もないように思いますが、政府といたしましてはこれをどういう取扱いをしようというお考えでございましようか。
  61. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 何かの新らしい立法措置をしなければならんという根本では一致いたしております。併し先ほどからだんだんお話がありましたように、社会悪といいますか、その現実を法律的にどう扱うかというところがこれがなかなかむずかしい問題でありまして、先ほども申上げましたように、事務的には只今の藤田局長ように全身を傾けてやつておられる。その他事務的には立派な措置が行つているのでありますが、大きい政治としては困つた困つたの範囲を出てないということを申上げますと言つたのは、その点であります。併し私はまだ申上げる段階でないので御遠慮しておりましたが、何かの予算措置というものを新らしく私は実現する用意をしております。それはその近因となりましたのは基地問題でありまして、御承知ように基地問題で土地の人がやかましい。現にいろいろあります。大砲を撃たれては困る、その他魚が獲れなくなる、といろいろありますが、相当大きな部分が風紀問題なんです。これは日本の今や大問題だろうと思つております。これに積極的な措置をしないということは政治の欠陥になる。それじやどうするかといいますと、結局予算措置を以て、違う職業に赴くようにするというようなことをほつたらかして理想論をやつてもこの点はしようがない。この点は私は少し考えております。十分に形として申上げる段階に行つておりませんので、最善を尽したいということだけお約束いたしておきます。
  62. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 国家は売春制度を認めないという強い意思表示をいたしてくれますことが、今差当つての非常な急務ではないかと考えておるのでございます。その国家の意思表示はこれ、かかつてこの売春処罰の法を作ることではないかというように思つておりますが、今仰せになりましたように又私どもも実際考えておりますと、立法の技術の上に非常にこれはむずかしい問題で、殊に私ども希望といたしましては、ただ縛つて罪人を作るということでなしに、やはり更生面をどうしても先決問題としては先にしたい。そうしてこの保護観察でもいたして、とにかく刑罰法と保護処分のほうと両方、少年法にございますように何か措置できないものかというよう考えておりますけれども、それはこの立法技術のほうで少しむずかしいようでございますが、そういうことを十分にあれもこれもと考えておりますけれども、併しここで国家が業者或いは当事者たちからどういう形かで税金を取つておりますということは、本当を言いますと、国家がそのことを認めているという結果になるのじやないか。それで業者なり、つまりこの婦女によつて生活をし収入を得ております人たちも非常に大きな顔をいたしまして、私どもが一番正確に税金を納めておりますと言つて威張つておりますのでございます。そういうことは、一面から申しますというと国家が売春制度を認めているという結果になりはしないか。そこでどうしても私は願われるならば、政府提案といたしましてこのむずかしい処罰法を一つ出して頂きたい。今まで放つて置かれますということが、甚だ申訳ございませんが、犬養大臣には申訳ございませんけれども、これは前々からの問題でございまして、一つ特にお考え頂きまして御答弁願いたいと思つております。
  63. 犬養健

    国務大臣犬養健君) いやちつとも申訳ないことはないのでありまして、私のほうこそ申訳ないのでありまして、(笑声)これは私、又余談のようになりますが、少年関係の立法とよく比較することがあります。私どうも恥を言うようでありますが、少年関係の立法は日本は先ず自慢していい国に入る。なぜそつちだけ発達して、この売春関係法律が遅々として進まないか。少年は悪い少年からいい少年に、つまり悪がゼロになり得るコンデイシヨンを持つている。ところがこの売春問題というものは、売春は悪なりと断定しましても、社会の、先ほどからお話があつたような情慾というものが否定できない、ゼロになり得ない現実がある。そこで社会機関としては幾らも言えます。私なども通りのことは言えるのでありますが、これを条文にして、文字にして出すということになると非常にむずかしい。宮城さんもこの条文のことでお触れになつた御経験がありますが、これはなかなかむずかしい。観念的には今藤田局長の言われたように売春を悪と断定することができても、法文で悪であるからゼロにするまでは全部処罰するというだけでいいか悪いか、この問題には非常に悩むのであります、私どもは……。従つて事務的にはなるべくそういう売春行為の弊害を広めないように、或いは普通の家庭の子女の純潔を害ねないようにみんな受入れの措置はできております。積極的に売春行為というものを大きい性質として扱うということになりますというと、なかなかこれは遅々として進まない、これが実情であります。併しこの一般論としての売春問題が、今や外国人と日本の少女との問題になつて来ておりますので、私は就任前はこういう問題は、率直に申すことをお許し願いたいと思いますが、非常に潔癖な婦人団体の動きと、こんなことどうでもいいという人たちと両極端の議論であつて、実際論に双方触れていないという印象を受けたのですが、だんだんこういうことの話をしまして、実際問題として双方が歩み寄つている、こういう感じを受けております。できるだけ近い機会に何かの措置をしたいと、こう思つております。  お断り申上げておきますが、たびたび政府委員から申したように、刑罰規定だけで解決しないものがあります。そのあとへ残るものをどうするか、そのほうが大きい問題なんであります。従つて法文作成の余り遅々として進まない実情を率直に申上げる次第であります。
  64. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今基地の問題でございますが、六月の二十四日の朝日新聞に、これは江田島、呉地区のことが書いてございます。夜の女の追放を求むというこの夜の女或いは青少年の不良化に悩む米軍基地広島県江田島町では云々とございますが、これは軍当局と町民の代表との懇談の様子が書いてございますのですが、それによりまするというと、カーテインという中佐はこういうことを言つております。基地の夜の女を追放するため、日本側と協力して努力するということは、江田島基地だけでなく、極東軍司令部意見だということを申している。それから日本側には、町にも警察にもこれを追放する法的根拠がないので、兵士の外出禁止をされればいいが、そうすると町の者といたしましては、経済に大きい影響を及ぼすので、このことが問題になつているというようなことも書いてございますのでございます。それでこの記事の通りに、私はこの記事が全部正しいかどうかは信じないのでございますけれども、若しも江田島基地だけでなく、極東軍司令部の全部のものの意見だということになりますというと、とても私これは面白いことでございまして、私どももいろいろ対外的な交渉をいたしますにつきましても、容易な点を見出し得るのじやないかというよう考えておりますのでございますが、この基地の差当つての問題につきまして、どのくらい犯罪者が出ておるかというよう調査は、法務省のほうで出ておりましようか。
  65. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) とつさの場合で、実はその資料が出ておりませんのですが、地検、地方裁判所管内別の統計でしたら作り得るだろうと思います。ですから例えば横浜だとか、或いは八王子のはわかりませんが、東京地区とか或いは広島地区というような線で分けて見れば、大体わかるのじやないかと思います。そのような方法で一応統計を作つて見ますから、ちよつと猶予を頂きたいと思います。明日か明後日……。
  66. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その資料一つお出し願うようお願いいたします。  次に簡単に国警長官にちよつとお願いいたしたいのでございますが、この二十七年の十二月現在の調査によりますると、県条例等を含みますものが九つある、それから市条例が二十三、町の条例が八、村の条例が四ございますが、これはその後どのくらい殖えておりましようか。
  67. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これれは二十七年の暮以降更に殖えている数のお尋ねだと思いますが、二十八年になりましてからまだ、そういうものが作られたという報告は受けておりませんので、恐らく本年度になつてからは、まだあれ以上殖えてはいないと考えておりますが、更にこれも調査をいたしましてこちらにお届けをいたします。なおその統計は二十七年十二月三十一日現在になつておりましようか。
  68. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 二十七年の十二月末現在ぐらいでございます。
  69. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 二十七年の十二月四日に市川で売春等取締条例が設けられておりますが、それはその中に入つておりますか、おりませんか。これも調べまして追加しておるものがございましたら、こちらに更にお届けいたします。
  70. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 国警長官にお伺いいたしますけれども、このポ勅後児童福祉法、労働基準法その他今申しましたような種々の条例ができておりますのでございます。これによりまして、刑事犯罪、一般の刑事犯罪の取扱と同じようには行かないと思いますが、国民全体の感じといたしましては、この売春取締りに関しましては警察が非常に手ぬるいのではないかという考えが濃いのでございます。殊にミイラ取りになつているんじやないかというようなことさえも非難がございますのでございますが、その点如何でございましようか。
  71. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは地方で、この条例を作りましたところでは、相当熱心にやつておると私は認めておるのでありますけれども、併し先ほど大臣からもお話がありましたように、一体その売春自体を本当にいよいよ、条例があつてそれによつて処罰するとなりましても、この調べ自身に相当、人権ということに関係をいたしますので、側から御覧になりますと、いつ幾日どこで売春したという大体のあれがありましても、それを警察に連れて来て、そうして今の訴訟法に合わして証拠を出させてやつて行くということは、これは実際問題として非常にむずかしいわけであります。従つてそこで手ぬるいような感じを与えるんじやないかと考えておりますが、まあ、私どもといたしましては、この条例のできましたところでは、その条例の趣旨に従つて、少しでもそういうものが減少するようにということでやつておるのであります。この点よろしく御了承願います。
  72. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 長くなりますが、今一つ警察側にも又検察側にも私は伺つてみたいと思いますことは、若し私どもが、取締り法律を仮に作りましたとして、警察或いは検察庁で、この問題を賄い得るには、非常な予算が要るし、人員の問題も要るし、入れる場所の問題も新たに殖えるんだから、到底これは法律ができても、実際の取扱をしたら、賄い切れないというような状態がございましようか、どうでございましよう。大丈夫でございましようか。
  73. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 私はやはりこの法律ができまして、先ほどここでお話合がありましたように、そういつた人たちをどういうように職業転換して行くかという、これは別にいたしましても、取締りそれ自身につきましても、私は相当予算が要ると考えております。取締りに当る人、又これは特別な教養を持たせなければ非常に問題を起すと思います。そういつた点から申しまして、まあ入れる場所というものは、これは特別建てなければならんであろうとは私は考えませんが、人と、これの教養に相当金がなければやつぱり無理であると思います。
  74. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この問題は大臣に伺いますが、大臣はその点どういうふうにお考えですか。
  75. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 余りこれは詳しくないんですが、併し国警長官などの話を聞きまして、私ふだん感じていることは、掏摸、窃盗をつかまえる警官と同じ者が行くのはまずいのじやないか、こう思つております。そうなると特別な役人を養成するというなかなか大変なことになる。大変だから放つておくというわけではありませんが、相当予算措置などもやらなければならん、要求しなければならんと思う。やつぱり売春問題の社会との関係等から、不良少年のように根絶のめどがあるのだというのじやなくして、ここに必然欲がありますから情欲というものを心得てやるという特別の教養が要る。掏摸のついでに売春婦をつかまえて来るということは私は反対であります。そこの予算措置がむづかしいのであります。
  76. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今日はこの程度でやめて置きます。
  77. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) ちよつと附加えさせて頂きたいと思いますが、売春禁止の法律通りまして、そうして実際取締がむづかしいからというので今のような状態であつては、その遵法精神といいますか、これに非常に反する気がいたしますので、従つてそれが出た以上は、その法律に副うだけの取締は十分できる、この確信がなければこれは却つてむづかしい。そういう意味から今の警察官の種類と人間で取締り、そうしてこれを根絶さそうということになると非常に社会問題になりますので、そういう意味で私は別個の金が相当要る、こう思つているわけであります。
  78. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 赤松君と中山君から先ほど発言を求められましたが……。
  79. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとその問題に関連してお尋ねしたいのですが、経済関係から売春をしなければならないという結果に陥いつた、本能的な好奇心からそういうふうな立場に立つた、それからいわゆる淫行勧誘ということからそういうふうな状態に陥いつた、それから強制的に売春行為をやらされる、それから強姦その他のことによつて自暴自棄に陥つてこういうことをやるというようなことの比率が出ているのでございましようか。これは厳格に精密には到底できない話しですが、大体どういうふうな比率になつているかというようなことがわかつたら、この次でも結構でございますが、ちよつとお知らせ願えれば大変結構だと思います。
  80. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 部分的には私どものほうで把握いたしておりますので、それはお送り申上げたいと思います。なお今持つておりますのは昭和二十七年の九月から十二月までの地検の調べたものを持つておりますけれども調査されたのは女が百六十一名でございます。これは売春婦と相手方の調査から出ているのでありますが、女が百六十一名でございます。そのうち生活が苦しい者といいますのが五二%、それから生活が普通だという者は三七%、楽なほうというのが一〇%というようなものがここに出ております。それから未婚という者が四八%、既婚が四七%、うち半分以上が子持ち、夫のある者が一〇%以上というふうな、こういうものを持つておりますが、そのほかに現在の職業の調査どもつておりますので、あとでお届けいたしたいと思つております。それから又親元調査のものも持つておりますが、只今詳しい数字は存じておりませんので、あとでお届けいたしたいと思います。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 もう休憩の時間でありますが、一つだけ法務大臣にお伺いしたい。  先ほど法務大臣から非常に私どもとしては予期以上の積極性のある御答弁頂きまして大変嬉しく思います。それで、国警長官並びに刑事局長のかたからのいろいろ考えをお述べになりましたが、私としても少しこの感じが違つたような点がございますので、ちよつと申上げて簡単に一つ考え方を聞きたいと思います。それはこういう問題に関するよしあしの批判、これはいろいろ角度からなされておる。私どもも今それらを全部拾つてここで討論する、そういう気持は一つもない。ただ是非考えて欲しいことは、何と言つても軍事基地における問題が非常に急を要する問題になつて来ております。君らは社会党の左派で、軍事基地反対だから、反対するのは当り前だ、そういうふうにお考えにならないようにしてもらいたい。私どもそういう立場でなしに、もつと純真な立場でいろいろなこと私ども考えおるのです。最近富士、伊丹、奈良、こういう所へ、私も、そのうち二カ所は個人的な毒で、いろいろ調べて参りましたが、非常に二つの考え方が具体的な解決を、政府の手の打ち方を待つておるのですね。先ほど国警のかたからお話があつたように、例えば伊丹では婦人会の中にそういう特殊の婦人のかたも入れるようなやり方をとつております。私もその座談会に行き、まあそういう考えも当座の問題としてはいたし方ないじやないかということを或る人には申上げましたが、併しこれは非常な危険性があるということを十分考えてもらいたい。というのは、そういう婦人会のかたがたも、今まではそういう特殊な婦人に対して、非常な批判を持つて来た。ただ何か現実に押されて、もう止むを得ないというよう一つの諦めの気持になつて来ておる傾向がある。成るほどそういうふうになれば問題は起りません。みんなが悪くなつてしまえば何も問題は起りません。問題が起らなければ、それでいいのだというふうな考え方になつたら大変だろうと思います。で、やはりそういう考え方になつておらない場所も非常にたくさんあります。そこでは成るほどその特殊扱いされる婦人のかたは気の毒でありますが、それは生活に困つたり、いろいろしておる事情も知つておりますから、気の毒でありますけれども、併しもつと大きな立場から、それは許せないという立場で、やはり頑張つておる。決して皆さんが御議論になるような生活問題がわからんとか、性の問題がわからんとか、そんなことじやないのですよ。そんなことはお互い人間ですから、百も承知なんです。ところが今のような、あの状態で、その現状に妥協したならば、日本の道徳の水準というものはもつともつとだらしなくなつて行くだろう。これは青少年の問題とか、そういうことにやはり関連して、これは真剣に考えておるのですね。そういう所ではよく出ますが、普通の婦女子を守るために或る程度そういうことも止むを得ないじやないか。そういう意見をされるかたもあります。気持はわかります。併しやはりこれを守ろうという人は、少々そういう犠牲があつたつていいというくらいの考えをしておると思います。無理やりに強姦された。こんなことは何も恥でも何でもないのです。むしろそういうことに妥協をして、そうして何か馴れ合つておるほうが、やはり民族の長い歴史から見たならば、よほど恥かもしれない。日本では強姦でもされると、何か世間の人までがあれはきず物だ。こんなことを言う癖がありますが、こんなこと自身が間違いだ。台風の被害と一緒で、こんなことは本人の何ら責任のないことです。そういう非常に強い、高い水準に立つて、むづかしい問題と取組んでおる。而もこれをどちらかにしてくれというから、こういうふうなところに来ておるわけでありますから、大変この問題で参議院の中でも御心配されて努力されておるかたはたくさん知つております。私は先ほど法務大臣考え方を伺いまして、もう一歩一つ進めて、こういう状況であれば、政府みずからが早急に一つ立法措置を講じて、これは必ず非難反対が来ます。来ますけれども、そのやはり今議論しておるときじやなしに、悪い点は又改めることもありましようし、右か左か跳み出すべき状況にあるように、私は二、三廻わつた経験から感じておるのですが、私が特に申上げお聞きしたいのは、何かこのみんなが寄り集つて、そこの風紀問題を相談するというような方向で行きますと、そういうことがはやり出しますと、もうあつちでもなつた、こつちでもなつた、ここでだけ頑張つてもしようがない、こうなりや納まつてしまいます。そういうことを一体是認するのか、そういう状況にあれば、なお更一つここで取上げなければならないというふうにお考えになるのか、こういうことを一つもうちよつと聞きたいので何ですが……。
  82. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 私も専門家でないから間違つたことがあると思います。今の亀田さんのお話は非常にわかるのです、というのは、日本人は情緒的なところがありますから、そういう婦人会の私企てはいいことだと思つておるのですが、婦人会によると、パンパンも会つてみると、思つたより人が好いというふうに或る程度知らず識らず妥協する傾向が日本人には確かにあります。それを大変いいことだ慈愛心が多くてよいと放つて置くことはいけないと思います。これは私の予算措置要求のことで、私の役所でないので今まで発言を御遠慮しておつた。やはり婦人会が何かの手を打つとすれば、外の職業に転換させる仲立をやつてもらわなければならん、慰めるだけではいけない。そうなるとパンパンになつているのがいやになつた人を入れるところ、それも刑罰的な感じでなく、これから新らしい生涯に入るクラブみたような感じの建物、成るべくそういうふうにしたい、そこへ入れてそこから職業指導の役所と連絡をとるというような積極面がないと、ただパンパンと一緒に婦人会がお茶を飲んだだけでは私よくないと思います。  それから米国兵関係ですがこの間妙義山で岩登りの稽古をすることに地元が非常に反対する。その中には風紀問題もあつた。そのときの米軍の処置は根本解決ではありませんが、今までからの状態から見ると遥かに良心的で、それは土曜日に大体御承知ように米国兵というのは土曜から日曜は底抜けに遊ぶです。それは土地でぶらぶらさせないで汽車に乗せて東京に連れて来てしまう、こういうやり方は根本問題の解決にはなつておりませんが、純朴の農村を汚さないという精神において一歩進んだやり方で、この処置は近くに大都会がない場合には解決にならない。そこで私も合同委員会に外務省を通じていろいろ注文したいこと実は持つておるのですが、これはまだこれをここで申上げるのは早いと思いますが、もう少し積極的なことをやつて見たいと思つております。ただ亀田さんのように、私は年をとつておるからもつとすれておるのか知れませんが、強姦を予定してこれはもう時代の犠牲者だというところまで大悟徹底できない。どうも行政の責任がありますと、中間をとるということになると思います。結局これはどうしても良家の子女が迷惑するような方法はやはり私は絶対できません。どうもそれは予防措置を講じなければならん。そうなると何かの形でやはり若くて遠くへ来ている、年は血気盛んで家庭を離れて孤独な気持でいる人が当然するであろう行為に対して、現実の措置をとるということになる点が、或いは亀田さん御不満があるかとも思いますが、なかなかむずかしい問題でありますが、態度としては回避せずに取組みたいと思つております。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 答弁大変有難とうございました。それで私が例えば強姦という問題、これはまあ言葉のはずみで申上げたわけですが、本当に日本の人々がはつきりとした態度をこういう問題に対してとつて行けば、そんなに強姦というものは多いものじやないと思います。日本人同士だつて強姦があるのだし、アメリカにだつてあるのだし、ヨーロツパにだつてあるのです。それは普通の程度のことはどこにだつてあるでしよう。何かこの制度といいますか、そういうだらしない制度を認めて行こうという人たちが殊更に言うほど、そんなに強姦なんかが起るものじやない、私はこういうふうに思つておるのです。
  84. 赤松常子

    赤松常子君 私二、三いろいろ御質問申上げたいのでございますが、時間も進行しておりますから又日を改めてこういう機会を持つてもらいたいと思う。お願いしておきますが、一つ法務大臣ちよつとお尋ねしてみたいと思います。それは先ほどからいろいろ質問に対しお答えがありましたそのお考えを総合いたしますと、困つた困つたとまあおつしやつております。それによるとこういう問題は法務省関係だけで抱えていて解決するものでないということがますますはつきりして参りました。で保護施設に関しては厚生関係であるし、児童の教育に関しては文部関係、又基地の周辺に関する耕地の問題に関しては農林関係、さまざま関係しておる問題でございまするので、それはどちらを見ても壁にぶつかる問題ばかりでございます。それで政府の意思といたしましては総合的にそういう関係のある事件をまとめて、そうして協議するというような特別委員会、売春問題の対策に関する委員会というようなものをお設けになつてはどうかと思うのでございますが、そういうお考えはございませんでしようか、如何でございましようか。
  85. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 私としては異存がないばかりでなく必要だと思つております。根本対策、殊に法律化するということになると、先ほど来申上げましたようになかなかすぐ解決しない問題がありますが、消極面のことはせめてどしどしやつて行きたい。例えば予算がどれだけ取れるか、これからの談判でありますが、売春、或いはパンパンということを多少心に咎めているような人が職業転換の手がかりが持てるように、そういう人に住んでもらう、収容という言葉は私は好きじやありませんが、住んでもらつて、そういうところがあるということをラジオの座談会や新聞で知らせる、そうして職業転換をさせるというようなことを早速やつてみたいと思います。
  86. 赤松常子

    赤松常子君 大変いい御意見を伺つてうれしうございます。早速そういう特別売春対策委員会というものの構想を考えて頂きたいと思います。  それから最後に藤田局長お願いいたしておきます。いろいろ御努力を頂いておりますことを感謝いたします。既設の収容施設が非常に貧弱でございますし、それの充実を図るだけでも保護施設に多少役立つのではないかと思うのであります。これを完備させるために、どのくらい予算が要るかということは、これは所管外ではございましようけれども、一応御調査下さいまして、そうして早速それに要する予算を一つ考え頂きたいと思います。
  87. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 私どもといたしましても保護措置とそれから又防止のための施設、そういうことに関しまして只今いろいろと自分のほうとしてとか、又他の省とかいうことでなく、いろいろな必要な点を考慮いたしておりますから、いずれ申上げたいと存じております。
  88. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本件に関しましては本日はこの程度でおきまして、午後から選挙取締りに関する件についての説明並びに質疑をいたしたいと思います。午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十九分開会
  89. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 休憩前に引続き検察及び裁判の運営等に関する調査議題といたします。選挙取締について先ず政府より御説明を願います。
  90. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 今回の選挙における選挙違反取締り状況を全国の検察庁の扱つ事件について御説明申上げたいと存じます。  五月三十一日現在における違反取締りの概要は別に統計表を差上げた通りでございます。概略を申上げますと、受理人員が衆議院関係一万二千七百七十六名、参議院関係七千五百八十八名、計二万三百六十四名、このうちそのときにまでに、五月三十一日までに起訴を了したものは、衆議院関係で二千九十一名、参議院関係八百十六名計二千九百七名、かように相成つおります。更に不起訴処分が済みましたのが、衆議院千九百二十二名、参議院が千二百六十三名、計三千百八十五名でございますが、これらは丁度五月三十一日の、月末統計でございますので、その後六月三十日の現在を以て計算をすれば、ずつと処理が殖えておるはずでございます。その統計はいずれ、今月の中旬前後には集まるのじやないかと期待いたしております。  飜つて昨年の秋の総選挙の状況を見ますと、その際の違反受理人員が、本年の三月末までに四万六千六百九十二名と相成つております。で今回のものと比べますと、前回がかなり多かつたのでございます。今回の選挙が衆参両院あわせて同時に行われたにかかわらず、少なかつたというのが、一つの今度の選挙の特徴として挙げ得ることができるのでございます。選挙違反の多少、多い少ないは、当該選挙における立候補者の定員の二・九倍、千三百六十四名、候補者一人当り平均違反者数六五名、六名半、二十五年八月の参議院通常選挙におきましては、立候補者が定員の四・二倍、五百六十二名、平均違反数は三〇・九名。二十七年十月の衆議院総選挙における立候補者数は、定員の二・七倍、千二百四十三名、平均違反者数一人当り三七・五名、今回の選挙における立候補者数、衆議院千四十二名、参議院四百五十七名、衆議院で定員の二・二倍、参議院で三・五倍、合計して定員の二・五倍になるわけでございますが、立候補者一人当りの平均が十三・六名の違反ということに相成つております。これを概観いたしますと、違反者数も昭和二十五年、七年の選挙に比べて、少ない、かようになるわけでございます。  次に起訴率でございますが、これもお手許に配つてございますが、昭和二十四年の衆議院選挙においては、二六・四%、二十五年の参議院は二二・三%、昭和二十六年の地方選挙においては三丁一%、昨年度の総選挙におきましては、四一一三%になつておりまして、今次選挙における現在までのパーセンテージは四七・七%、かようになつております。これは丁度処理が中間段階でありますので、この起訴率についてはもう少し経つてから更に検討するのが妥当であろうと存じます。なお不起訴について考えてみますと、一概に不起訴といいましても、中には有罪と認定しながら、起訴猶予というふうな場合もありますし、犯罪の証拠不十分というので、不起訴になる場合もございます。でこれらのパーセンテージ等も、もうちよつと全体的の処理が済んでから検討したほうが、正確なパーセンテージが出るのではないか、かように存じております。  今回の選挙におきます候補者関係の違反を一応数を申上げますと、党派別に申上げまして、衆議院は自由党三十三名、当選……、落選を入れまして三十三名、鳩山自由党が八名、改進党が十七名、右派社会党が六名、左派社会党が一名、諸派三、無所属十一名、計七十九名、かように相成つております。これは一応事件として受理したものでございます。その中には告訴、告発等の事件、最も妙な事件では、ちよつと精神状態のおかしいのではないと思われるような人から三、四件告訴が出されたというのも入つておりますけれども、一応そういう数になつております。それから参議院関係では、全体の数が三十五名で、大変少くなつております。党派別に自由党六名、改進党七名、右派社会党四名、左派社会党三名諸派一、無所属十四、計三十五名、かように相成つております。  今次選挙における違反の内容を、受理の罪名によつて区分してみますと、大体次のようになります。買収が一万五千五百五十、その他の実質犯が三百五十五、戸別訪問が二千四十、文書違反が千二百七十一、その他の運動制限違反が千九十八、他は収入支出等の違反と、政党の政治活動の制限違反とか、国家公務員法違反とか、いずれも二十件台以下の僅かの数になつております。これによつてみますると、今回の選挙におきましても、買収事犯が圧倒的に多い。衆議院関係において受理の八四%、参議院関係において受理の六二%、総括して七六%が買収犯になつております。この比率は大体前回の選挙と似たような比率になつております。なお、最近の選挙において、受理人員の七、八割というものが買収等の悪質犯であるということは、決してそういうふうな事犯が特に多くなつたというよりは、捜査機関がその取締の重点をそういう面に置いて来るようなつた。つまり重点的に事件を検挙しておるというふうに我々は考えるのでございます。参議院の選挙はその性質上、大規模な文書違反とか、戸別訪問等の事件も少くないのでありまして、今回の選挙についてみますと、参議院関係で、戸別訪問が十三%、文書違反が一二%、その他の運動違反が九%ということになつております。  次に起訴された者の政党別の関係資料を何とか作りたいと思いましたけれども、これは全国かなり多数の事件について調べなければならんので、なかなか簡単には集まりませんでした。でこれはもうちよつとお暇を頂戴いたしまして、起訴者の政党別を調べてみたいと思つております。  次に今回の選挙の特色というものを我々の面から概括いたしてみますると、大体次のような諸点が上げられるのではないか。その一つは、検挙された者の数が前回に比して相当少かつたという点でございます。この数字につきましては、先ほど申した通り半分にも足りないというのでございますが、その原因としては、公明選挙の徹底というふうなことも考えられますけれども、そのほかに衆議院の選挙については解散が突然行われましたために、運動についての準備期間が少くて、資金等も十分になかつた。参議院については準備期間は成るほどございましたが、衆議院の解散によつて選挙運動の中心点が衆議院の選挙のほうに移つてつてしまつて、運動期間がダブつておりましたために、そちらのほうに重点が移つて、参議院選挙が比較的低調であつたと認められる点が一つであります。それから昨年の数より少かつた点を、更に各地方別で検討してみますると、昨年の選挙において違反者を多数出したところにおいては、割合に今回の選挙には少くなつております。これは恐らく前回の選挙でいわゆる常習的な選挙運動者といつたような者が、事件になつておるために活動を阻害された、活動が制限されたというふうなことと、それから一般の運動者も前回の選挙の結果、さような違反者が出たということに鑑みて、用心深くなつたのではないか、かようなふうな点も考えられております。なお中には違反手口が極めて巧妙になつて、外部に事件が出て来ないというような面も、検挙の数が少くなつ一つの理由ではないかと思います。一部の地方ではちようど四月の行楽の季節にぶつかりましたために、選挙運動などというものに対して、余り関心をされない。その結果選挙違反というものも従つて少くなつた、かような点もあるやに報告されております。次に今回の選挙の特徴の第二番目といたしましては、両方の選挙運動が同時に行われました関係上、いわゆる抱合せの選挙運動、両方ダブつて選挙運動をするという形の違反も又若干見られたという点でございます。御承知通り、衆議院の選挙と参議院の選挙、これが全国区、地方区同時に行われましたために、その間いろいろなもの、候補者の相互の援助の運動とか、或いは両方の候補者から一緒に金を取り、一つの金が両方の選挙運動の運動報酬だというような形の違反が出ております。  次に特徴の一つといたしまして手口が巧妙になつたということ、これは我我のほうから巧妙になつたと申上げるのはどうかと思うのでありますが、要するに選挙運動の従来の運動と取締りとのかね合いの面で、いろいろ候補者、運動者も御工夫をなさつたという点であります。中にはこれを悪く脱法的に運動したという場合がございまして、その結果表面だつて事件が出てこないということも、一つの特徴といつてもいいのではないか。中にはこれは笑い話のようなものでございますが、夜運動する際に、パチンコの玉を運動員に持たして歩きまして、そうして夜間の職務質問にあつた場合にはその玉を出して、いや今日はパチンコの帰りだ、こういうふうな弁解を初めから用意さしておくというようなことでまあ動かす、或いは顔の知らんレポを使つて、金のやりとりを知らん者同士の間でやらせる。結局事件がばれても、そこで線が切れるというふうな工作をした事例等がいろいろ報告されて来ております。  なお、その特徴の四といたしましては、官庁組合、宗教団体等の全国的な組織を利用する違反の多かつたこと、これは参議院の全国区の関係で特にあつたわけでございますが、これは合法的な運動それ自体はちつとも差支えないのでございますが、この繋りからして、その線を辿つて違反が、例えば買収なら買収がある、そういう線を辿つて行くというふうなのがかなりございました。  最後に、公務員の犯罪が多かつた、これは官庁の機構を利用する違法運動のうち、国家公務員及び地方公務員の肩書を持つている人が、選挙運動を行うというような形であります。かようなのが、大体今回特に気が付いた特徴といえば特徴というような点であろうと存じます。  最後に今回の選挙におきまして、被疑者として取調べを受けた者のうちから、五名に上る自殺者を出したということは誠に遺憾に堪えないところでございます。その詳細もお配りした資料通りでございます。これらの自殺の原因につきましては、いろいろの方面から検討いたしたのでございますが、結局我が国の農山村或いは中小都市における純朴の社会における特殊の還境、これが生来小心の人たちに非常に大きく強く働き、初めて警察検事局等の調べを受けまして、強い心身にシヨツクを受けてその心配が昂じた結果、平素は考えられないような心理状態に陥りまして、結局かようなことになつた。中には又一人の自供によつて関係者が多数検挙されるというと、これは申訳ない、自宅に帰つたらどうしようかというふうなことで、帰つて見てもやはり近隣が妙な目で自分を見るような気がするというので、結局自責の念にかられて自殺しだというようなものもあるようでございます。現在いろいろ調べました結果、捜査機関の取調べに際して、拷問その他苛酷の調べをした結果、かような自殺をしたという事案は認められないのでございまするが、いずれにせよ捜査機関の取調べを契機といたしまして、かような事態に立ち至つたことは間違いないのでございまして、今後はこういつた事態の未然に防止できますような万全の措置をとりたいと思つております。先般も次席検事会同を招集しました際に、大臣からこの点を特に御訓示願つたような次第でもございました。  以上簡略でございますが、今回の選挙について概況を申上げました。
  91. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本件に関しまして質疑の通告がございますので、この際御発言を願います。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど休憩時間中に刑事局のかたに、追加して書類を出してもらうように申上げておきましたので、その点だけちよつと簡単に申上げておきます。一つは逃亡者の数、それからもう一つは埼玉の福永事件に関する諸問題、これは福永事件のほうは二つになると思うのです。そのうちの違反関係のことは一つ刑事局の関係からお出し願いたいと思うのです。それから拷問事件の関係のことは一つ人権擁護局のほうがむしろ直接の担当だと思いますから、そちらのほうから一つお願いしたいと思います。それからもう一つ佐賀地方裁判所の三池代議士に関する逮捕許諾の要求書に関する件、これの関係書類の受理の日時とか、或いはその要求書の結末の日時関係、これもお調べになつた上で結構です。これは休憩中にもちよつと申上げたことなんですが、念のため一つ改めて申上げておきます。  そこでお尋ねいたします。起訴率が随分今度は高くなつておるのですが、今までであれば簡単な形式犯なんか起訴しないでおいておくというふうなものまで随分起訴しておるようなことはないでしようか。
  93. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 起訴率の問題でございますが、これは先ほどもちよつとお断りいたしました通り、実は丁度事件処理の中間段階でございまして、大体検察庁における処理の実情から申上げますと、重い犯罪、或いは身柄を拘束したような重要な犯罪については、勾留期間の満了するまでの間に起訴、不起訴を決定する。大体そういう事件は起訴のほうが多いのでございます。従つて取急いで起訴する必要がないものはあとに処理を延ばして、先ず起訴するやつだけを起訴しておこうというふうな処理になるわけでございまして、いつの選挙でございましても、中間でこのパーセンテージをとりますと起訴率が高くなつております。ですから、これは今月末頃になりますると、大体間違いのないパーセンテージが出て来るのじやないかとかように存ずるのでございます。なお勾留の割合等につきましても、東京地検の実情を先ほど聞きましたところが、純然たる形式犯については身柄を拘束するというものは殆んどない、大体一〇%前後でもあろうか、而もそのうち最後まで調べまして形式犯として残るもの、最初は饗応とか何とかの嫌疑があつて調べましても、最後に純然たる形式犯になつたことがはつきりした場合でございますね、これは二、三%よりないのではないか。非常に少いようなことでございます。これは実は正確な統計がちよつとできかねますので、大体の感じ、東京地検の選挙の担当者から聞いたのがそういう結果でございます。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 それから擁護局のほうにお尋ねします。関係者の自殺五名、この調査はどういうふうにおやりになつたのでしよか、拷問の事実がなかつたということの調査……。
  95. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 今般選挙に関しまして自殺者が五名出たということは誠に自殺者に対して哀悼の意を表します。選挙に関連して自殺をしたことは、これは人権擁護上相当重大に考えなければならない、かような見地から一体捜査当局の取調等の人権侵害によつて自殺をせざるを得なくなつたものかどうか、或いはそうでないとしたならば如何なる理由で自殺をしなければならなかつたのであろうかというふうな点を調査いたしたいと存じまして、浦和の川上市議自殺事件につきましては、人権擁護局の第一課長、それから東京法務局事務官、浦和の地方法務局人権擁護課長で調査いたしました。それから前橋の福田武八、これは福田赳夫候補者に関連した事件、この前橋の事件につきましては、東京法務局人権擁護部長及び事務官並びに前橋地方法務局人権擁護課長、これらによつて調査いたしました。それから長野県の上垣戸悦三、これは降旗徳弥候補者に関連した事件、この長野県の調査には東京法務局の第一課長並びに事務官が二名、長野地方法務局人権擁護課長、これらが調査いたしました。それから鳥取県のこれは徳安實藏候補者選挙違反に関して自殺いたしました高浜義雄の事件、これは人権擁護局の土屋それから高橋両事務官及び鳥取地方法務局人権擁護課長によつて調査いたしました。それから佐賀県の三池信候補者関係します選挙違反事件で有馬惣助という人が自殺いたしました。この調査は、人権擁護局の第二課長山口検事が出張いたしまして、佐賀地方法務局人権擁護課長と一緒に調査をいたしております。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 調査をされた人はわかりましたが、これは何分にも拷問があつたかどうかというふうな事件でありますと、普通その人が生きておりますと、これはどういう事件の場合でも対決をして、それを第三者がその対決の状況を見ておるということで大体の見当が付くわけです。ところが相手が死んで、おらないわけですから、結局私のお聞きしたいのは、誰を調べてそういう結論を出したか、係官、取調べをした警察官であれば、私はそんなことはありませんと言うにきまつておるので、従つてこれは非常にむずかしいことを聞くようですが、併しその非常に細かいところに手の届くよう調査をやらんと結論は出て来んと思いますので、対象はどのようなものを選んでお調べをやつたかお聞きしたい。
  97. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 誠に御尤もなことでありまして、人権擁護局が今度の自殺事件に関する調査をいたしますのにどういう方針で調べるかということについて調査要綱というものを作成いたしました。  一、自殺者が特定の候補者の運動員   であるときは候補者との知友関係   及び運動員としての地位。  二、自殺者自身の違反容疑の事実。   並に同事実が当該事件の総体から   見てどの程度のものか。  三、自殺者検挙の経緯身柄拘束の有   無、拘束した場合は左の点   イ 逮捕の日時   口 勾留の期間   ハ 釈放日時   二 起訴の有無  四、自殺の方法   (1) 自殺の日時、発見者、発見の    端緒   (2)自殺の模様  五、自殺の原因   (1) 人権じゆうりんのためか   (2) 人権じゆうりんと云えないに    しても不当な取調があつたため    か   (3) 自殺者個人の感情乃至は環境    に起因するか    例えば    (イ) 小心なためか    (ロ) 世間体をはじたためか    (ハ) 違反を摘発された取調をう     けたことが他に影響するとこ     ろあるためを苦慮したため     か    (ニ) 精神的に極度に動揺したた     めか、無知なためか    (ホ)自殺者の地方的な風俗習慣     が自殺の原因とになつている     か    自殺の原因調査について特に左   の点を留意されたい。    家族乃至は遺族、近親者につい   て死亡による心情を充分に汲みと   ること。  六、当該自殺に対する地方的反響其   他。ということで調査要綱を作成しまして、大体この線に沿うて調査いたしたいという方針を立てました。検察庁、警察、いわゆる捜査当局、それから自殺者の家族、遺族、それから近隣、それから選挙に関連しております者とか、或いは同じ牢におつた者とかというようなものを各方面から慎重に調査いたしたい、かよう考え調査いたしました。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 例えば具体的にお聞きしますと、浦和の事件の場合には、今お話しになつような方法で同名ぐらいお調べになりましたか。
  99. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 只今手許に資料を持ち合せておらないのですが。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 後ほどで結構です。
  101. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 私の今記憶するところでは、大体警察関係が約十名ぐらいだと思います。それから家族関係が二名、それから同じ事件で取調べを受けました市会議員等、ほかのかたもおりますが、事件の関係者がこれも約七、八名かと思います。それから警察医のかたが二名でしたか、三名でしたか、なおその警察の中には、看守であるとか、取調べをした者とか、それから護送、押送をした者であるとか、或いは監視をしておつた者とか、全部含んでおります。大体その辺……。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 詳しいことは文書でお願いしてあるわけですが、浦和の場合の原因は結局どういうことになつていますか。
  103. 戸田正直

    政府委員戸田正直君) 私のほうで調査しましての結果、勿論川上市議が自殺しておりますので、これは諸般の事情を調べてこういう点ではなかつたろうかということになるよりいたし方ない。その真実は死んだ人以外にはわかりませんので、大体私のほうで調べた結果、合理的に判断して、大体この辺が自殺するようなつた原因ではなかろうかという点を結論的に申しますと、この川上市議は警察官の生活を三十年いたしておりました。埼玉の医師会の事務局長を十年、全生涯を通じて非常に清廉潔白を以て一貫して、来た過去の経歴を持つております。今度の選挙違反によつて汚点をつけたということを非常に深く恥じて、埼玉の医師会事務局長としての自己の立場と、立派に成長した子女の名誉を傷つけることに非常に責任を感じたのであろうということが自殺をなした原因ではなかろうかと思うのであります。その理由として、川上市議が三十年の警察官生活において非常に実直を買われておつた。それから昭和十八年に埼玉県の医師会の事務局長なつたのも、その清廉な人柄をかわれてその地位についた。その後十年間、誠実を尽して来た。前の事務局長が何か不正がありましたので代りまして、その後非常に立派な仕事をして来た。それから浦和市議に立候補しましたのも自分から政治を好んでやつたのではなく、岩崎医師という医者の身代りになつて、同氏に推されて立候補をした。無所属で立候補いたしまして、選挙運動に当つては非常に公明選挙を貫いて来た。というようなことから、非常に自分が今度の選挙自分に傷をつけるということを非常に良心的に責められておつたのではなかろうかという気がいたすのであります。それからこれは多少私の臆測になりますが、余りはつきり申上げられないのですが、私の考えておりますのは、この川上市議が一万円の金をもらつたということが問題になつたのですが、川上市議は最初はこの一万円を本当にもらう気はなかつたのではないか。どうも無理に置かれて行つたような傾向が見られる。何とかしてこれを返したいというので、暫くの間は封筒に入れたまま上着の中にしまつておつた。しまいに封筒が切れてしまつて、その金を奥さんに渡して、この金を成るべく使わないようにしてくれと言つて渡したようでありますが、まじめに来た人だけれども、余り家庭のほうは裕福ではないと思われるような状態であつたようで、そのうち多少の金を奥さんが使つたようであります。生活費に充てたらしいのでありますが、そこで川上市議としては、警察に逮捕せられてから後、何とかしてこの金を返したいという気があつたようでございまして、宮寺という刑事課長に、あの金を返したいのだがどういうふうにしたらいいだろうかというような相談をいたしております。それでは家族に届けさしたらいいじやないかというようなことで、一万円の金が警察に返された。そしてこれは多少私の臆測になるのですが、川上市議としては、その一万円の金が返れば、この事件は何とか済むのじやないかということを考え、又非常に期待したらしいように思われる。非常に一万円の金を返すことを心配しておつたらしい点からさよう考えられる。ところが二十七日でございましたか、二十八日でしたか、七日頃と思いますが、検察庁に喚ばれて取調べを受けた。その七日、帰つて来てから非常に顔色が悪くて、何か非常に心配しているようだというようなことは、その同じ留置所におりましたもの、或いは医師等からも調べた結果現われておりますが、そこで、検察庁へ喚ばれて検察官がさようなことを言つたかどうかは勿論わかりませんが、金を受取つて奥さんに渡した以上は、これはもう一度収受したのだというふうなことを、取調べ等からそういう感じを強く受けたのではないかという気がいたすのであります。そのために、それともう一つその金の収受、或いは使途等について奥さんも喚ばれるかも知れんというようなことも相当苦慮しておつたようであります。そんなような点から、どうも一万円返したがむずかしいのじやないかというようなことから、もうこれで駄目だ、金を返したがどうもいろいろな調べから今度はもう有罪になりそうだというようなふうに考えた。本来がまじめな清廉な人であつたために、この点を非常に苦慮したのではないか。その他医師会の会長は大泉派のかたであるし、事務局長が本来、先ほども申上たように大体自由党の人じやないのです。無所属で市会議に当選したのですが、いろいろの都合から福永さんの運動をしなくちやならんようなつたということから、表面に大泉派とのいろいろ関係がこの事件で出て来たというようなことも、医師会の事務局長立場上一層苦労したのじやなかろうかというような点等から今度のような、そういう自殺をしなくちやならんようなところまで追込められたのじやなかろうかというふうに私どものほうでは考えておる次第であります。  それから先ほどちよつと言い方が十分でなかつたと思いますが、一万円の金を何とか返したいが、うちに金があるようにしてもらえないかというような相談を宮寺刑事課長にしたようなふうでございます。さきほどの、金をうちにあるやつを以て返したいというようなことと同じ似たようなことですが、うちに金がなおそのまま残つているようにしたいがどうしたらいいだろうかというような打明け話を刑事課長といたしておるようであります。以上申上げましたようなことから、勿論自殺するにはただ一つ、二つの事情ばかりでなく、いろいろの事情がここに積重ねられて自殺をするように相成つたと思うのでありますが、大体私のほうでは、結果から言いますと大体さようなところが自殺の原因ではなかろうかというふうに推測いたしておる次第であります。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 それではその問題はその程度にしておきます。  法務大臣に次にお尋ねしたいのですが、昨日予算委員会で佐賀の裁判所の逮捕許諾の要求書の問題について、時間がありませんのでいろんな法的な見解についてお尋ねする時間がなかつたわけですが、それで本日これは一般論としてお聞きしたいと思います。私の考えでは、裁判所から国会議員に対する逮捕の許諾の要求が内閣に提出されたとこういう場合には、憲法、国会法の精神から言つて、これはもう速かに内閣は国会にこれを回付する、これが当然と考えております。若しこれを、内閣が手許にいろんな情勢を見て握つておる、こういうことは二つの点で非常な越権行為だと思う。その一つはやはり何といつても司法権の捜査権の妨害であつたというよう考えます。これはもう明らかだと思うのですが、それと同時に、単にそれだけじやなしに、もう一つはやはり国会の権限を侵すものだとこう考えるのです。やはり勿論この国会中逮捕されないという特権は、これは国会議員にあるのですが、それに対して許諾を与えるということも、これは又一つの私権利だと思うのです。というのは、国会議員は何をしても国会中は逮捕されないのだ、これでは一般の国民から見たら非常に変だろうと思うのです。いやしくも国会議員に対して、そう裁判所が逮捕状を要求することはこれはない、こういうことは誰でも考えています。併しながらそれでもなお且つ逮捕状を出さなければならない、こういう場合には相当なやつぱり理由があつて出しておるに違いありません。そういうことであれば過ちを犯した場合には犯したとして、それに対して又国会としても非常に何といいますか、すつきりとした気持で対処して行く。これは私国会の権威を保つ上に大変大切なことだと思う。どんなことをやつてつても俺たちはこういう特権があるのだというので、恐らく国会はとめないでしよう。必ず理由のあるものであればこれは許して行くと思う、私まあ過去の例もちよつと調べてもらつたのですが、取下げになつたものは別として、二回とも国会は裁判所の逮捕の要求に対して許諾を出しておる。これは私やはり国会がそういうものを自分の同僚の中から……同僚に関する問題であつても、やはりそういう許諾を出して行くということは、やはりそういう全体のいろいろなことを考えて処理されているものだと思う。即ちそういう意味でそういう要求書が来た場合に、国会自身がいつこれを審議するか、又審議の結果同意を与えるかどうか、これは国会自身がきめる。いやしくも経由庁である内閣なんかがいろんな含みで以て左右しちや絶対にならないものだと思う。一日、二日という場合は別ですが、相当長期に亘つているという場合に、私今申上げた二つの意味で、これは明らかに司法権並びに国会の権限を侵害する問題だと思います。国政全体から言つたら極めて小さな問題のようでございますが、こういう一つの権限関係というものがあいまいにされますと、これがやはり政治が乱れて行く一つの大きな原因にもなろうかと思います。そういう意味一つこれはどういうふうにお考えになりますか、一般論としてざつくばらんにお答え願いたいのです。
  105. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えを申上げます。只今お尋ねの問題は、内閣としましては、そこで逮捕状の請求がいいか悪いかを判断すべきではないと思います。それを判断するのは国会であろうと思います。従つてこれはどうもよくないらしいから、あつためといて自分で調べるということは権限外であろうと思います。ただ実際問題としまして、従来数日間置いて議院運営委員会の上程の都合の様子を見てたという場合もしばしばありますし、それから共産党の渡部義通君に対して裁判所から逮捕請求をした場合には、或いは御承知と思いますが、当時の内閣と議運との間に意見不一致がありまして、なかなか議運にかけられないで、一カ月くらい経つてとうとうその国会が終つてしまつたということがあります。恐らく私の推測でございますが、内閣はそういう要らざる紛擾を起さないように、議運にこの問題を議題としたいという配慮があつたのではないかと思います。これは原則論と別の実情の観測でございます。私としましては、いいか悪いかを判断するためにあつためるということはよくないけれども、内閣の対議運関係事情その他で数日間くらい置くということは従来もあつたし、そう咎むべきことではないのではないか、こういうふうに考えております。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 数日間というと、大体五、六日と、これが普通の常識ですが、事案によつても少し違うかも知れませんが、十日以上になる、こういう場合には不適当とお考えになりますか。
  107. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これは個々の場合と別ですが、原則論としては不適当だと思います。但し実際問題を言わないとお互い話が抽象的になると思いますが、実際問題としては議運にいつ出して……議運が空気が悪いのではなんにもなりませんので、そういう観測を私が官房副長官だつたら多少したのではないかと思います。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 例えばこれは共産党の渡部君の問題を今引用されましたが、何か議運のほうで意見がまとまらないでごたごたしているということであつても、内閣としては責任が済んでいる、廻しているのですから……。議運がごたごたして国会上程の時期を逸したということであれば、これは私国会自身のやはり責任の問題があろうと思う。法律的な問題は別として、やはり国民に対する一つの問題があろうと思う。それは別なんでして、議運まで来るのに、ともかく数日はいいのですが、それ以上超えるということは、これは如伺なる場合でもいけないだろうと考えるのですが、それで渡部君の場合は別として、許諾を出した場合が二回ほどありますね、それは何日くらいおいて内閣から国会のほうに廻つておりますか。過去の例ですが……わかりませんか。
  109. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 大分古い例でございますので、これはちよつと遡つて調べて見ませんと、今直ちにはわかりません。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 これは結局許諾が出ておるから問題が起らなかつたのだろうと思いますが、私は若しその場合でも、お調べの結果相当に日数が置かれておつたということであつても、それが決していい意味の前例にはならないと思うのです。若しそんなようなことが今回の問題を契機にして発見されたら、これは今度から改めて行くようにしなければならん前例であろうと私は思う。そういう意味で、一つ過去のことも一応これは参考にお調べ願いたいと思いますが、やはり筋は筋として通すように今後お願いしたいと考えております。
  111. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お話よく了承いたします。今ここにちよつと表がありますが、五月十八日に内閣総理大臣の指名がありまして、二十二日に逮捕状の請求がありまして、二十三日に佐賀地方裁判所より内閣に手続したのですから、二十五日頃に着いているのじやないか。五月三十一日が自然休会、こういうふうになつております。私もこの三十一日前に、余り長いのでちよつと内閣に意向を伝えたことがあります。自然休会になつて、そのあとで今度は休会明けに三池君が自分で出かけて行つたわけです。その結果起訴をして、起訴の結果身柄勾留の必要なしということで取消が来た、こういう関係になつております。前に渡部君の場合が、議運との間に意見が一致しないで一月かかつたから、その三分の一の十日はいい、だろう、そういうことはよくないと存じます。私もそういう意味で申上げたのではないのです。
  112. 亀田得治

    亀田得治君 その撤回になつたのは六月二十日頃ですか。
  113. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 六月九日から十二日まで佐賀地方検察庁で三池君が取調べを受けております。その結果、六月十六日に起訴の稟請が参りまして、六月三十日に起訴になりました。即日佐賀市警より請求取消の通知がごいました。
  114. 亀田得治

    亀田得治君 これは言わなくてもいいと思いますが、この間に休会になつて、今大臣からお話なつような結末が着くまでに、本人が佐賀の地検に出かけて行つて、そして俺は任意出頭で来るからあれは取下げてもらいたい、こういう意味交渉をしていると聞いているのですが、これは一つ司法権を与つておられる大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  115. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) その間の経緯、あとで私調べまして聞いておりますので、或る程度存じておりますが、五星二十二日に正式に逮捕状の要求を佐賀の市警から佐賀の地方裁判所に出されまして、翌日附をもつて佐賀の地方裁判所から内閣に書面が出された。かようなことになつたのでございますが、その直後たしか五月二十五、六日頃じやないかと思いますが、三池氏が現地に参つております。その際現地の捜査当局といたしましては手続をした直後で、今こちらで調べを進行していいものやら悪いものやら、それから国会のほうの手続がどういうふうになるものやらまるで見当がつかんから、ちよつと今のところ待つてくれと言つて、一応簡単に事情を聞いた上、その際取消しの調書を作らずに帰しております。その後六月九日に更に本人が佐賀地検に参りまして、今度は数日間自分はこちらに滞在してもいいから調べをしてくれというふうなことの申出があつたそうでございます。で、本人が参つた。而も調べを受ける、これを真向から断わるのもというので、これは中央とも打合せいたしましたが、とにかく十分調べだけはいたそうというので、四日がかりでたしか調べたはずであります。調書が六月十日、十一日、十二日と、たしか三回できております。その結果事件の全貌が大体わかりましたし、それまでに調べてあります諸般の証拠関係も明らかになりましたので、六月十六日に現地から最高検察庁に対して処分稟請が参つております。最高検でこれを検討した結果、六月二十日附で起訴指令を出して、即日起訴になつた、かようなふうに聞いております。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 それでそういう事実を一般の国民が見た場合に非常に疑惑を感ずるのは当り前だと思うんです。こういう実質犯でなくてもちよつとした形式犯の場合でもわざわざ拘束されて調べられておるような人がたくさんある。そういう人は逃げたり、どつかに身を隠したり、そういうなかなか力はございません。ところが一方何でしよう、恐らく裁判所が逮捕状を出されたときには、そのときに調べたいということでこれは出しておるにきまつているんです、いろいろな関係上……。ところがずつと済んでしまつて大体の全貌……これは常識として誰でも聞いておるでしよう。三池さんはいろいろな関係者からそうして自分のほうで大体の恰好を付けて、そうして調べてくれと、これでは甚だ私、司法権自身を何か侮辱しておるような印象を与えることは、これは拭うことはできないと思うんです。でそのときにはまだ国会の許諾は出ておらんから、おれはまだ逮捕される義務がないんだということで、こういう何といいますか、調べておるほうから見たらまるで傍若無人に振舞われておる。こういう感じを恐らく正義感に強い若い検事さんなんかはお感じになるだろうと思う。而もそれをつかまえることができない。で恐らくその間に盛んに政治的な一つの動きがあつたようなことは誰でも想像します。私はこういうことになるから、やはり内閣としてはともかくこれはもう超党派的に誰がそのとき内閣を構成していようが、又被疑者がどこの政党に属していようが、もうそんなことはかまわないで事務的にともかく起つて来た場合には逮捕して行く、こうして行かなければ絶対いけないと思つておるんです。そういう一つの何といいますか、悪い感じは法務大臣としてはお受けになりませんか。
  117. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 亀田さんがそういう感じを持たれることは自然だと思つております。従つて今後こういうことのないように十分私は当事者ではありませんが、協力して努力いたしたいと思つております。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 大体法務大臣やほかのかたにお聞きすることはこの程度でございますが、大体要求書を押えていたのは内閣の官房副長官だと私聞いておるんです。昨日の官房長官のお話でもよくどうもわからんようでしたから恐らく副長官ではないかと思います。新聞の記事なんかからも想像してそういうふうにも思われる。でこれは一つ日時の関係なんかをもう少し明確にするために次回適当なときに一つ田中副長官と官房長官を一つお呼び願いたい、委員会としてこういうふうに思うんです。官房長官のほうは埼玉の問題は大体わかりましたから、それには触れないつもりです。触れないで今申上げたこの問題についてだけは、これはやはり私どもこういうことが耳に入つて、いろいろ手を付けた以上は結末をはつきりしておきたいと考えております。
  119. 郡祐一

    委員長郡祐一君) お話の点は適当な機会に取扱うことにいたしまして、その時期等は委員長、理事の打合会をいずれいたす際もありますから、その際に打合せて決定いたします。  亀田君はもうよろしうございますか。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 あと人権擁護関係の問題ですね……。
  121. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それでは選挙取締りについて……。
  122. 一松定吉

    一松定吉君 もうないですか。それじやちよつと私、一つ……。法務大臣でないほうがいい。法務大臣では余りあれですから当局者のほうに一つ。先ず資料の要求をいたしますが、警察官が検察庁を通じて逮捕状を請求した件と、検察庁を除外して自分が進んで裁判所に逮捕状を請求した数と、それから今度検察庁を通じて逮捕状を請求した数と、それらの一つ比較表をお願いをいたしたい、それが一つ。それから検事勾留だね、捜査をする必要上逮捕状を執行して、そうしてこれを十日間勾留する。その十日間のうちに釈放した者の数、十日以上拘束しておいて、そうして二十日以内に釈放した者の数、それから二十以上経過して勾留を継続した者の数、但しこれは甲の起訴事実で二十日以上勾留しておいて、今度二十日経過したというので、乙の事実を以て更に又逮捕状を出して勾留を継続するという続継したその数だね、そういうようなもの、その一つ表。それから裁判所に起訴して、従つて勾留が継続している者の数、起訴して勾留を継続した者が、起訴されてすぐに裁判所の裁量によつてそれを釈放した者の数、裁判所の裁量によつて釈放されない者の数、その一つ表をお願いしたい。  それからこの選挙違反事件につきまして捜査に着手した件数と、そのうちから起訴した件数と、それから不起訴になつた件数、不起訴になつたうちで起訴猶予の件数、証拠不十分で不起訴にした者、その他の事情で不起訴にした者の数、それらの一つ資料を御提出願いたい。それから検挙した者のうちで政党政派による区別、これは別に出ておつたようですからして、出ておればお差出し下さらんでも結構ですから、つまり各政党の別にその捜査並びに勾留並びに起訴、不起訴の数を、これを表にこしらえて一つ出して頂きたい。それから次には、選挙違反については百日以内に審理をして判決せよというようなことになつておりまするが、その選挙違反事件で起訴した者のうちで、百日以内に判決のあつた数並びに百日以内に判決ができずしてそれ以上経過している者の数、これを一つその百日以上経過してまだ審理の済まない者のうちで、その理由、弁護士が差支があつたがために百日以上審理が延びているというようなことであればその事由、その弁護士のうちに国会議員である弁護士関係しているがために、特に百日以上経過したというようなことがあればその数、国会議員が弁護士であるために百日以内には審理ができず、判決ができなかつたということが、近頃大分噂になつているようですから、そういうようなことの数、それから少しむずかしいかも知れませんが、その次にお願いしたいのは検事勾留で弁護士の面会を求めたが、最近弁護士に対して五分間ぐらいで制限して面会を許す。その五分間ぐらい或いは十分とか二十分とかいう弁護士に対して面会時間を制限したところのその数、これを一つ出して頂きたい。取りあえずそれだけのことを一つお願いをいたしたいと思います。それによつて、その表に基いて更にお尋ね、お確かめいたしたいと思います。  ただ私がこういうようなことをお願いいたしまする理由は、どうも取調べに当る警察官なり検察官が選挙法というものに精通しないがために、むやみやたらにこれを逮捕して、そうしてああだろうこうだろうと言つて自分の先入主になつている頭に当てはまるように被疑者を誘導訊問し、そうしてそのほうに持つて行こうとする傾向が近頃非常に多い。そういうようなことをこれらの表の御提出によりまして私は科学的にこれを是正すべく要求いたしたいというので今の表をお願いしておるのであります。  それから近頃十日間勾留してなお勾留しなければその証拠が十分に集まらないと言うて、又あと十日間やる。最近はその二十日間ではなお済まんの五日間若しくは十日間、折衷して一週で、間だけ延ばそうというよう法案ができるというようなことも聞いておりますが、そういうような点につきましても、これらの資料によつて私の所見を訴えて、当該お係りのかたからの御意見を承わりたい。こういう意味でこういうことを要求いたすのであります。
  123. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 大臣に対する御質疑はもうございませんければ、ちよつと……。
  124. 一松定吉

    一松定吉君 個別的に大臣を苦しめるようなことはしたくないので、最後にちよつと大臣に総括的に……。  全部今の選挙に関しての表ですからそのおつもりで……。それからこれは一つ選挙について弁護士が面会に行きますと、面会を五分間というように近頃区切るのです。そこで御承知通り五分間なんというようなことは、到底弁護士が弁護しようとする者との接見においてそういうことはできません。御存じの通りに刑事訴訟法の三十九条によりますると、つまり弁護士が面会をするときには、その防禦の準備をするに必要な時間を制限することができんということが三十九条の第三項に規定せられております。弁護士が面会するときには弁護の準備をすることについての面会が多い。ただ俺がお前の弁護をしてやるのだということならば一分間あればいい。そうじやない。弁護を受任してから、どういうわけで一体君はここへ来ておるのか、どういうような犯罪の内容であるのか、それについて反証があるのかどうだと言つて、その検事の攻撃することに対して反証をあげる準備のために面会することが多い。それならばたつた五分間ぐらいの面会ではできない。これは刑事訴訟法の三十九条の第一号、二号、三号を御覧給わりますればそういうことになつております。然るにそういうことを近頃の検事は平気でやる。そういうことのために弁護人と検事との間に争いが起つて甚だおもしろくないようなことを私は聞いておる。私自身に対してもそういうような目に遭つたことがあるので、この訴訟法の三十九条の三号について検事の意見を聞いて、「但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。」これを君はどうするのだ。君の言う五分間ぐらいでできんじやないかと言うたら、いや、あなた五分間ぐらいでよかろう、馬鹿なことを言うな、俺は弁護人として来たのだから、そんなことができるかと言つて、それならば検事もよくわかるからというので三十分間ほど時間を変更してくれた例もある。こういう検事は大変いい検事である。そういうようなことをせんで弁護士を馬鹿にして、……いうような検事も往々にあるのですから、それでこういう表を私はお願いしておるので、それで私はその表をお願いした上であとでお尋ねしますが、私は法務総裁並びにお係りのかたに特に希望です、今あなたがたをいじめてどうしようというのじやなくて、私の考えではどうもこの警察官や司法警察官や検察官等が選挙法に精通していないがために非常な無理な検挙をやる、これを一つ是正して頂かなきやならん。例えば百三十八条のこの戸別訪問の場合、戸別訪問することができん。ところが本当は戸別訪問じやない。あなたは私の演説に対して司会者になつてくれませんかと頼みに行つた。あなたは私のために弁士になつて演壇に立つて頂けませんかと頼みに行く。あなたは私のために労務に従事して頂けませんかと頼みに行く。それをすぐに戸別訪問だとして引つくくつてつれて来て、お前戸別訪問しただろう、戸別訪問しただろうで検挙する。これは法律が戸別訪問、「当選を得若しくは得しめ又は」のために戸別訪問することはできないのであるが、司会者になつてくれ、弁士になつてくれとか、俺のために運動してくれんかといつたのはこれは戸別訪問じやない。併しそれは、もうすぐに戸別訪問だと、こういうふうにしてそれを検挙している。又湯茶の饗応は選挙法で許されておる。酒食の饗応はできんが、湯茶はよろしい。湯茶、お茶を出す、湯を出す、そこでこんぺい糖を三つ四つ出した、飴玉を出した、これが酒食の饗応だとしてこれを検挙する。そういうことは一体犯罪になりませんよ。それは法律が湯茶を出す、これを認めておるならば、日本では湯茶を出すのに田舎では奈良漬を一切添えて出す。或いはお新香を添えて出す。或いは都会地へ行けば飴玉を五つ添えて出すということは湯茶饗応なんだ。酒食の饗応じやない。併しそれは選挙法には湯茶とあるから、湯茶はお茶だけであつて飴玉五つも一つもいかんというようなことでこれを検挙する。こういうようなことは非常識極まる。そういうようなことについて、或いは、現に一つこれは或る事件ですが、具体的なこれは或る候補者がポスターを貼るために糊をバケツに入れて、そうして電柱にポスターを貼りに廻らせる。そのバケツの、糊の入つておるバケツに一松という名前を書いて、それが十個ほど東西南北方面に別れて糊で貼りに廻つた。警察から見てこれは貴様一体バケツに一松と書いて十もあるということは、これは威力を示すものだというようなことでこれを検挙して、今現に名古屋の一宮の裁判所で今係属しておる。こういうようなことがどうしてこれが威勢を張ることになるのでしようか。こういうような点について私は法務総裁並びにお係にお願いしておきたいのは、この選挙法を運営するについてただ法文だけでは、なかなか法文の解釈が完全に行かないのですからして、やはり我々のように多年の間選挙に携つておるもので、こういうようなものはこれは違反にならないのだ、こういうようなことは違反になるのだというようなことも、一つ講習会か何か選挙の以前にお開きになつて、そうして一つ余りに広く、むやみやたらに引つぱることのないようにして頂くということは、これは民衆のために、否我々選挙に携わる者のために、最も必要であるのみならず、人権擁護の上においても必要であると思いますから、これは一つ是非犬養法相においてお考えの上で、こういうようなことの講習会も開いて、我々場合によつたら講師になつてつてもいいのでありますから、そういうふうにして頂いたら非常にいいのじやないかと思います。  それからいま一つは、法相ではお困りでしようから他のかたで結構ですが、百四十六条を御覧願いたい。つまりこうなんです。選挙中は候補者の氏名、政党、政治団体の名称又は公職の候補者推薦届出その他の者の名前を以て寒中見舞暑中見舞状その他のこれに類する挨拶状を出すことはできぬとこうあるのです。実は私は長い間官途におりましたときに全国を廻つて、各地方の有志と名刺の交換をやつているのが四万ある、長い間でしたから。その四万を秘書官がためて、全国の知人名簿というのをこしらえている、それで自分がやめてからのち、毎年年始状、寒中見舞状をやつている、そうして向うも非常に喜んで返事をくれる。ところが今度選挙になつてくると、期間中は丁度一月の年始状を出すときということになつて、我々出すということになる。そういうようなことは百四十六条の違反になるかならんか、私はこれはならんと思う。もう数年前から一つの慣例で、礼儀としてずつとやつている。選挙に直面して選挙目当にやつているのじやないのです。ところが百四十六条のこの明文をそのまま見ると、氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者選挙区にこれを頒布し若しくは掲示することはできない云々とこうある。我々みたいに全国区から立候補するものは、全国の知人に対して年始状は一枚も出せんということになるのですが、これはどうなりますか。刑事局長か何か、専門家に一つ尋ねて見たいと思います。これは私だけじやない、他の選挙関係するものは、みな重大な影響がある。ただ私が尋ねるのは、選挙を目標にそういうようなものを持つて来てやることじやなくて、我々みたいにずつと何年も挨拶状をやつているものに対して、全国の知人と年始状、暑中見舞状を交換するということが、この百四十六条の違反だということになると、我々は交際ができんということになる。それはどうなんですか。
  125. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 公職選挙法の百四十六条の運用につきましては、実は相当むずかしい問題が前からございまして、只今一松さんから御指摘ようなこともすでに話題に上つて、我我のほうでも研究したことがございました。この百四十六条の制定趣旨は、要するに選挙運動期間中、さような暑中見舞その他の形に事寄せまして選挙運動するというのを禁止する。こういう趣旨に出たのであろうと思うのでございます。実際問題として、若しそれを一切よろしいということになれば、すべて選挙民に対する暑中挨拶、時候見舞といつたような形で、運動するというようなことになつてしまうわけでございまして、従つて正当な選挙運動とさようなものの見分けがつかなくなるというのが、この「みなす」の規定の起つた趣旨であろうと解釈しております。そこで法律的に厳密に申上げますと、「みなす」というのは或る事実がそうであつてもなくても、法文で「みなす」といつた以上は、法律効果はそれと同じことになつてしまうということになるわけですが、ただ実際に自分の友人、その他親友等にも、そういう挨拶状が全然出せないというのでは、これは又おかしな話でございまして、従つて選挙期間中に広くさような挨拶状その他を出すということについては、公職選挙法の建前は是非遠慮して頂きたいということであろうと思います。実際事件になつた場合には、我々の取締の態度と申しますか、それはどういうことかと申しますと、この「みなす」という規定を若干ゆるく読みまして、推定するといつたような気持でここに語つておるわけであります。つまり本当に自分の友人その他に最近どうだというようなことを書いたものを、すぐこれで事件にする、さよう意味ではないのでございます。その辺で、御了承を願いたいと思います。
  126. 一松定吉

    一松定吉君 そこは結局解釈問題で、法文がこうであるからというて、国民が礼儀として友人、故旧、親族の間に手紙を出す、年始を出すということは違反でないことは解釈上当然そうなければならんと私は思う。ただ問題はちようど選挙中に余り知りもしないような人の、全国の町村会議員の名簿を取寄せて、それによつて何十万枚も出すということは、これは違反だということはよくわかります。それからもう一つ先にお願いしておきました、さつきの警察官、検察官等を呼んで講習をなしたときに、この選挙費用の問題がいつも問題になるのですが、法定費用が、百万円が選挙の法定費用といたします。そうすると候補者の手から費用が二百万円出る、そうすると二百万円が出納責任者の手を経て、そうして方々その下の人々にずつと配付される。それをすぐに聞きかけて法定費用は百万円であるのに二百万円も、そんなふうに配付する、即ちばらまいて、それは買収だというてすぐにこれを呼んで、投票取まとめの費用並びに買収運動、こういうような頭を持つて、それを法律を知らない連中をそこに引きつけてしまつて、そうして起訴勾留すると言う、ところが我々専門家からみると、法定費用は百万であつても、金は二百万円動いて決して違反でも何でもない、その二百万円動いた金が、選挙が済んだ後の十五日間内にそれを集計したときに、その二百万円の金はいわゆる百万円か若しくは百二十万円戻つてきて、結局のところは本当に使つた選挙費用は八十万円か九十万円であればそれでいいわけです。そういうようなことを捜査する警察官や検事が頭の中に入れておかんと、法定費用が百万円なのに、あの男は何百万円金をばらまいておるから違反だというようなことで、検挙される者が出ておる。今度の選挙違反の中にもそれが非常に多い。こういうようなことも一つ十分に講習会でも開いて、そういうことのないように、一つするときに十分に頭に打込んでもらいたいということを特にお願いしておきます。ほかのことについての細かい質問は、前回要求いたしました表を頂戴した上でお聞きすることにいたしまして、法務大臣にお聞きするのは、どうも選挙離反を検挙するについて選挙法の研究が十分でないがために、法の解釈を誤つて、そうして無事の良民を拉致して、それでいろいろな人権蹂躙の問題なんか起るということがありますから、犬養法相の下においてそういう弊害のないよう一つ十分に訓練して頂くということだけを法相お願いして、私の質問は、これ以上は本日はいたしませんで、表を頂戴した上で更に質問をさせて頂くことをお願いしたいと思います。
  127. 犬養健

    国務大臣犬養健君) ちよつとお答えを申上げたいと思います。弁護人の被疑者に対する面会ですね。実は恐縮なお話なんですが、五分よりももつと短い場合がある。これは弁護士会からも御注意がありまして、いろいろ調べるとそういう事件がありました。直ちに注意をしまして、大体常識上打合せのできる時間を与えるようにということはすでに申渡してございます。今後そういうことがないと思います。  それから戸別訪問でございますが一軒行つてそういうことになつたというようなのは、よほど何かの間違いだろうと思います。厳重にないようにいたします。と申しますのは、大体私のほうでは、内輪で戸別訪問というものの概念がきめてあるんです。これを申上げますと、それ以下ならいいということになりますのでちよつと申上げにくいのでありますが……。それから照らしまして、これがおつしやつたような戸別訪問にならんことは明らかだと。これも十分注意したいと思います。  それから根本問題としまして、今度の総選挙に際しまして、国警では、お話の講習会というほどのことは行かなかつたかも知れませんが、相当具体的なことを挙げまして、こういう場合はいいとか悪いとか、相当良識を以て処置せよという話を国警長官がしております。私も訓示でやつておるわけであります。それからお話ようなことが起らないようにと考えまして、件数がたくさん挙つた署が成績がいい、或いは検察庁が成績がいいという考え方は、今後やめるという話をしている。ですから根本原則は御趣旨に副つておるものと思いますが、何分にも数の多い第一線でございますから、或いは間違いがあるかも知れません。具体的なことがわかりましたら、一々極めて短時日の間に訓令を出しておるような次第でございます。
  128. 一松定吉

    一松定吉君 犬養法相は、法律家でなくて法相なつたということで、弁護士会等はむしろ非難をしたような事実があるんで、私は甚だ憤慨をしておるんです。犬養氏はそういうような非常識な人ではない。法律を知らなくても、法律家以上の常識を持つておられるのだから、立派に法相の任務をお取扱いになるのだというふうなことを話しておりましたが、果して就任後今日に至るまでのそのお取扱いになりましたその御手腕、力倆というものは、全く我々専門家も感服いたす、只今ような私ども質問に対して、それにさきがけまして、そういう御訓示等をなさつたということについては多大の敬意を表します。どうかこの上ともそういうような御趣旨において、一層司法界のために御活躍あらんことを特にお願いいたしまして、本日の質問を終ります。
  129. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 選挙取締りに関しては、他に御発言ございませんか。……それでは選挙取締りに関する質疑は、本日はこの程度を以て終ることにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  130. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 引続き逃亡犯罪人引渡法案議題に供します。本案につきましては、先に政府の提案理由の説明を聴取いたしているのでございます。この内容につきまして、本日説明を聴取いたしたいと思います。その説明だけを聞きまして、本日は質疑は入らないつもりでございますから……岡原刑事局長
  131. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 今回、御審議を仰ぎます逃亡犯罪人引渡法案につきましては、提案理由において、大体の大筋並びにその趣旨を御説明いたしたのでございます。で、先般の平和条約第七条によりまして、各連合国は、日本との間に締結されてあつた古い条約について、一方的に通告をして参りますと、それが通告の日から三カ月で引続いて有効とされるという規定がございます。これに基いてアメリカ合衆国が本年四月二十二日付の書簡を以て、右平和条約の七条による日米犯罪人引渡条約、これを有効の取扱いにしてくれという申入れをして参つたわけであります。この引渡条約は、明治十九年に批准されたものでございまして、大分古い形をとつておりますが、この条約に基いて、その翌年、明治二十年に逃亡犯罪人の引渡しに関する国内手続が条例という形で出ております。現在の我が憲法並びに刑事訴訟法の全体の建前から申しますと、この明治二十年の条例というものは、かなり古い形のものでございまして、条約を引続いて効力を持たせて、この条例をそのままに生しておくということは、到底ちぐはぐになつてかなわんというのがこの法案を提出するゆえんでございます。この逃亡犯罪人の引渡しにつきましては、現在条約が生きておりますのは、日米間だけでございます。日英間には、数回問題になつたことがございますが、未だ正式の条約はございません。なお併し、今後は国際交通の頻繁になるにつれまして、ほかの各国との間にもこの種の条約がいずれ締結されるに至るであろうということを予期しつつ、この法案を作つてある次第でございます。  さて、この手続でございますが、これは大変技術的に細かくなつておりますので、御理解願うのが大変困難な面も出て来るかと思いますが、大体大筋だけをお話いたしますと、先ず引渡条約に基いて、締約国から、日本の外務大臣に対して引渡しの請求書が参ります。その請求書が参りますると、外務大臣が一応審査した上で法務大臣にその書面を廻して参ります。法務大臣が更にこれを検討した上東京高等検察庁検事長に命じて、その引渡をなすべきか否かの決定を東京高等裁判所でしてもらうように審査の請求するわけでございます。高等裁判所において、これを引渡すべききものという決定をした場合に、それが法務大臣のほうに戻つて参りまして、そこで初めて引渡しの命令が出る、かような手続になつているわけでございます。その間身柄の拘束等の問題等がございますので、それらを詳しく規定したのがこの条文でございます。  この法案の今までの逃亡犯罪人引渡条例と違つた主なる点を申上げますと、以下御説明の便宜に、先般お配りいたしましたこの逐条説明の頁数を逐つて参りますが、第九頁以下に今度の法案の特徴が出ております。一つは身柄を拘束する場合に、原則として裁判官の発する令状によつたこと、これが特徴の一つ、もう一つは、その引渡すべきかどうかの判断を行政機関の判断のみに委せることなしに、司法機関の判断を受けさせることにしたこと、この二点が主なる違つた点でございます。  なお解説書の十頁にございますが、然らば日本国側からアメリカ側に引渡しを要求する場合にはどうなるのかということが考えられるわけでございまするが、これにつきましては、やはり引渡し条約に基きまして、それに対応するアメリカの国内法規が出ているわけでございます。その法規に基いてアメリカ側はこちらから要求する逃亡犯罪人をつかまえて、そうしてこちらに渡してよこす、かような手続がすでに連邦の法典の第二百九章の中に詳しく規定してございます。丁度今回の法案と、それと裏はらになるというわけでございます。  なお、アメリカでつかまえた人間をこちらで引取る、その手続につきましてはそれ以後日本の刑事訴訟法が全くそのまま乗つて来る、かようなことになるわけでございます。  従いまして、今回提案するのは、従来の明治二十年にありました条例の古い点を改正して、これを国際並の法典の型に直すというのが根本の方針でございます。この重要な条文を数ケ条読上げまして、後はこの解説をお読み願いますとおわかり願えると思いますが、第一条から「この法律において「締約国」とは、日本国との間に犯罪人の引渡に関する条約を締結した外国をいう。」、締約国の定義をここに書いてあるわけでございます。先ほども申しました通り、日米間の条約のほかに、形の上では日露間の逃亡犯罪人引渡条約が明治四十四年に結ばれておりますが、現在の国際情勢その他に鑑みまして実際は失効している、かようなことになるわけでございます。なお、今後の問題になりますと、今後同じような条約がほかの国と結ばれた場合にはやはりこの法案に則つて引渡しが行なわれる、かようになるわけでございます。  それでは現在条約を結んでいない国から逃亡犯罪人の引渡しの要求があつたらどうなるのか、これは国際礼譲というものがおのずから成立つておりまして、明治以来我が国におきましても条約に基かずして引渡した例がかなりたくさんある、これも統計が別の資料に載つておりますが、さような趣旨で締約国という定義を一番先に掲げたのでございます。  次は、第二項「この法律において「引渡犯罪」とは、引渡条約において締約国が日本国に対し犯罪人の引渡を請求することができるものとして掲げる犯罪をいう。」、これはこの通りで、その内容は又条約に譲つてございます。  次は、第三項でございますが、逃亡犯罪人の定義を掲げまして、「この法律において「逃亡犯罪人」とは、引渡犯罪を犯し、その犯罪について締約国の刑事に関する手続が行われた者であつて、引渡条約により締約国が日本国に対し引渡を請求することができるものをいう。」、従いまして、その詳しいことは更に条約において規定される、かようなことに相成つております。なおここに「刑事に関する手続が行われた者」という、これは新らしい用語でございますが、これは従来の条例が「有罪ノ宣告若クハ告訴告発ヲ受ケタル者」というふうに書いてございますが、そのほうがむしろはつきりいたしませんので、刑事に関する諸般の手続が行われたらそれでよろしいというふうな表現をとつたわけでございます。  重要な条文の第二は、引渡し拒絶のできる規定が第二条にございます。第二条には「左の各号の一に該当する場合には、逃亡犯罪人を引き渡してはならない。但し、第六号又は第七号に該当する場合において、引渡条約に別段の定があるときは、この限りでない。」これは一から七号までございまして「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪が政治犯罪であるとき。」、いわゆる政治犯につきましては引渡しをしないというのが国際間の大体の原則でございまして、政治犯とは何ぞやということについてはいろいろ問題がありますけれども、これは引渡しの請求を受けた国において判断してよろしい、かような解釈になつておりまして、これらの詳しい点につきましては十九頁、二十頁の辺に詳しく書いてございます。それから第二号は「引渡の請求が、逃亡犯罪人の犯した政治犯罪について審判し、又は刑罰を執行する目的でなされたものと認められるとき。」、ほかの犯罪の名前を掲げてあるけれども、終局の目的は政治犯をやつつけるために引渡しの要求をするという場合があり得るわけです。そういうほかの犯罪にかくれてやるということはいけないというのが第二号でございます。第三号の「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われ、又はその引渡犯罪に係る裁判が日本国の裁判所において行われたとした場合において、日本国の法令により逃亡犯罪人に刑罰を科し、又はこれを執行することができないと認められるとき。」、つまりこちらの刑罰法規に照して処罰できないような場合、これは向うにもそれは困るという拒絶理由をつける、かようなことでございます。それから第四号は「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪について締約国の有罪の裁判がある場合を除き、逃亡犯罪人がその引渡犯罪に係る行為を行つたことを疑うに足りる相当な理由がないとき。」、つまりさような犯罪を犯したという証明と申しますか、嫌疑と申しますかが薄弱な場合、これは拒絶し得る。それから第五番目は「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。」、これはすでに日本国の裁判所に係属しているのでございますからして、すでに確定判決をこちらでやつているのでありますから、それはこちらのやつたのに委してくれ、こういう趣旨でございます。六号、七号は条約に別途に定めあるときは許される場合でありますが、六号は「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について逃亡犯罪人が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終らず、若しくは執行を受けないこととなつていないとき。」、これは要するにほかの罪について、今言つたよう事情がある場合別の犯罪を犯して日本国で今問題になつているこの逃亡犯罪の引渡については、まだ事件になつていない、さような場合には日本の手続の終り次第向うにやる。こういうようなことでございます。それから最後に「逃亡犯罪人が日本国民であるとき」こういう場合にも条約に別段の定めがない限り断れる。かような趣旨になつております。  次に、三条以下は、先ほど申した通り手続規定のかなり細かいところでございますので、これは第三条は、外務大臣が引渡の要求を外国から受けた場合の手続規定でございます。大体お読み願うとわかると思います。  第四条は、法務大臣がそれでは外務大臣からその書類を受けたときどうするかという場合でございまして、その場合においては一号、二号の「明らかに逃亡犯罪人を引き渡すことができない場合に該当する」という先ほどの二条の各号に該当するような場合或いは二条六号、七号の場合には引き渡さないほうがいいというふうな場合、さような場合はこれはそこで拒絶することができるわけでございますが、その他の場合については東京高等裁判所に判断を仰がせるために、検事長にこれを下命する、かような手続でございます。  第五条は、さような手続をした場合に身柄を拘束する問題が出て参りまして、折角要求を受けまして引渡の決定を受けましても、そのときに人がいないでは結局できませんので、身柄の拘束の規定がここにございます。この際特に御留意願いたいのは、「東京高等裁判所の裁判官のあらかじめ発する拘禁許可状」という新らしい形式の拘禁許可状、この令状をとつて始めて身柄の拘禁ができる、かようにしてあるのでございます。なお拘禁許可状の手続或いは記載事項等が二項、三項等に規定してございます。  それからその執行手続が六条にございます、それからそれを執行した場合の東京高等検察庁の検察官の手続が第七条に規定してございます。つまり受取つた場合に人違いであるかどうかを調べて、それから人違いでないときはこれを指定の監獄に入れるという手続でございます。  そうしてその後の手続といたしましては、改めて正式に審査請求というものがあるわけでございますが、これは第八条に書いてございます。正式にここで審査請求をする、二十四時間内にやるということを規定してあるのでございます。  第九条は東京高等裁判所における審査手続でございます。これは余り長くなつても困るというので、二箇月以内に決定をするという期限がついてございます。なお、あとこの審査についての関係証人の尋問とか或いは鑑定、通訳、翻訳等の手続などは、これが刑事訴訟法第一編第十一章から第十三章までの規定がそのまま準用されるというふうに規定してございます。  最後に東京高等裁判所で二カ月の間に調べをして決定をするのでございますが、その決定の種類、内容等は第十条に規定がございます。で「請求が不適法であるときは、これを却下する決定」それから「引き渡すことができない場合」実質的、内容的にできない場合には駄目だという決定、それから引き渡すべき場合にはその旨の決定という三種類があるわけでございます。この決定につきましては不服の申立てはできないという法律解釈になるのでございますが、ただその決定に基いて法務大臣が行政処分をした場合には、これは一般の行政手続に従つて不服申立の途がある、かようなことがあるわけでございます。  次に第十一条には、審査請求命令の取消の、これは特殊な場合だろうと思いますが、後ほどになつて締約国からそういうような犯罪人の引渡の請求を撤回するという場合があり得るわけでございます。さような場合の手続を第十一条に規定したわけでございます。  第十二条は、逃亡犯罪人を釈放する場合でございまして、これは先ほど申しました東京高等裁判所が第十条一項の一号、二号のつまり却下する決定或いは引き渡すことができない旨の決定をした場合には、当然でありますし又は前条の規定によつて審査請求命令が結局取消しになつた場合、これは拘禁が不必要になりますので、逃亡犯罪人を釈放するということになるわけでございます。  それから十三条は、裁判された場合の裁判書の謄本を法務大臣に提出する場合の規定でございます。これに基いて第四条に法務大臣がいよいよ引渡に関する命令をする場合が規定してございます。「法務大臣は、第十条第一項三号の決定があつた場合」、つまり引き渡してよろしいという決定があつた場合には、「逃亡犯罪人を引き渡すことができ、且つ、引き渡すことが相当であると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し逃亡犯罪人の引渡を命ずるとともに、逃亡犯罪人にその旨を通知し、逃亡犯罪人を引き渡すことができず、又は引き渡すことが相当でないと認めるときは、直ちに、東京高等検察庁検事長及び逃亡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人の釈放を命じなければならない。」ここで初めて法務大臣が東京高等裁判所の決定に基いて行政処分をいたすわけでございます。  そこでこの引渡命令がありますと、第十五条に基きまして、いよいよ引渡命令の日から起算して三十日目までの間に、相手方に引き渡すことになるのでございます。その間締約国に対し、こういう者に対して引渡の命令が出たから受取りに来いというふうなことになつて参るわけでございます。  その措置が十六条に規定してございます。「引渡の命令は、引渡状を発して行う。」それからこれは検事長に交付するのでありますが、これと同時に締約国のほうに、受取りに来るときの書面が必要でありますから、受領許可状というものを外務大臣を通して向うにやるわけでございます。これが十六条の三項、四項の規定でございます。十七条はいよいよ引き渡す際の手続でございますが、「東京高等検察庁の検事長は、法務大臣から引渡状の交付を受けた場合において、逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁され、又はその拘禁が停止されているときは、逃亡犯罪人が拘禁され、又は停止されるまで拘禁されていた監獄の長に対し、引渡状を交付して逃亡犯罪人の引渡を指揮しなければならない。」つまり監獄の長に対し、引渡の命令を出し、指揮をする、さようなことになるわけでございます。次に十八条は、いよいよその手続きが全部揃いましたので、外務大臣に対しいつ何日どういう場所で引渡したい、或いはいつまでにこれを取りに来いというふうな通知をするわけでございます。そこで第十九条に外務大臣はこれを向う側に正式に通知をやりまして、二十条によつて始めて引渡が行われる。かような順序になつて参るわけでございます。なお引受けた上はとつとと持つて行けという規定が二十一条にあるわけでございます。  なお二十二条は拘禁の停止の、これも特殊の場合だと思いますが、特に必要があると認めるときは拘禁許可状ですでに拘禁されている者を、親族その他適当な者に委託して、或いは住居を制限して、拘禁の停止をすることができる。かような場合を、特別の場合を予想して手当てをしてございます。その際の今度は取消して又収容する場合の手続等が三項以下等にずつと規定してあるのでございます。  第二十三条以下はいわゆる仮拘禁という手続でございまして、これは引渡条約にもはつきりございますが、事件が極めて明白であるというふうに思料される場合には、一応仮拘禁するという手続を規定したものでございます。「外務大臣は、引渡条約に基き、締約国から逃亡犯罪人が犯した引渡犯罪についてその者を逮捕すべき旨の令状が発せられたことの通知があり、」つまり向うで正式の令状が発せられておるという通知があり、「且つ、当該締約国の外交官が締約国において引渡条約に従つて逃亡犯罪人の引渡の請求をすべき旨を保証したときは、」外交官からこれは確かにちよつと遅れるが自分のほうで引渡の請求をするという保証をした場合には、「その通知及び保証があつたことを証明する書面を作成し、これを法務大臣に送付しなければならない。」ということに始まりまして二十四条以下いわゆる仮拘禁の手続をしてあるわけでございます。この仮拘禁の性質、それからその期限、それの執行の問題等が三十条までの間に規定してございまして、大体拘禁許可状の手続に準ずる、さようなことに相成つておる次第でございます。  なお、これらの法律の運用に関しまして最高裁判所のルールによつて細目が定められることになつておるのが三十一条でございます。  それから三十二条は、東京高等裁判所が全国のそういう逃亡犯罪事件を処理するについて管轄問題があるのではないかというので手当てをしたのが三十二条でございます。  それから三十三条は、この引渡条約が新たに別に締結された場合に、その条約発効前にあつた犯罪についての手続がこの法律にすぐ乗るかどうかという疑問が生じますので、その場合もやはりこれに乗るのだということが三十三条の立法の趣旨でございます。  附則は第一項が「七月二十二日から施行する。」というのは先ほどお話いたしました通り、四月二十二日から丁度三ヵ月目の七月二十二日で条約が効力をもつて参りますので、丁度その日からこの法律も働かしたい、かような趣旨でございます。従つて第二項で逃亡犯罪人引渡条約は廃止になつて参ります。第三項は、この法律施行前に犯された引渡犯罪に関する引渡の請求についてもこの手続は動いて行くということを念のために規定したものでございます。なおこれに伴いまして、第四項で監獄法の拘禁の場所についての疑問が生じますので、さような場合には監獄内に入れてよろしいというよう規定を監獄法の改正でいたしたわけでございます。  それから第五項は、これはちよつと注目すべき点でございますが、逆の場合、つまり逃亡犯罪人引渡条約によつて日本が締約国側に対して引渡を請求した場合、この法律と丁度逆の場合、その場合において「締約国が当該逃亡犯罪人の引渡のためにした抑留又は拘禁は、刑事訴訟法による抑留又は拘禁とみなす。」つまりアメリカならアメリカで、取りあえずアメリカですが、こちらに引渡すその間向うで抑留されたというものは、こちらの刑事訴訟法の適用についてはその期間が加算される、かようなことでございます。  以上が今回の逃亡犯罪人引渡法案の要旨でございますが、ちよつと技術的に細かい面はございますが、趣旨は単に従来の引渡条例が極めて旧式のものであつて、現在の法律常識に合わないというところから、大体欧米各国の毛だつた文化国家の立法を参酌しまして国際的な水準においてことを考えたというふうなことでございます。  以上大体、簡略でございますが……。
  132. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本案に対する質疑は次回に譲ることにいたします。  この際ちよつとお諮りいたしておきたいと思いますが、四日の本会議にフイリピンの戦犯釈放についての感謝決議を出すことに相成りますが、法務委員会のかた全員発議者になるほうが適当と思います。厚生委員のかたも申出るかと思いますが、法務委員のかたは全員発議者になつて頂くことに御了解頂きたいと思いますが、(「賛成」と呼ぶ者あり)  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  133. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて……。本日はこれを以て散会いたします。    午後四時七分散会    ―――――・―――――