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1953-08-07 第16回国会 衆議院 懲罰委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月七日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 森 幸太郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 河野 金昇君    理事 古屋 貞雄君 理事 中村 高一君       大橋 武夫君    川村善八郎君       高橋  等君    長谷川 峻君       三和 精一君    山中 貞則君       高橋 禎一君    中野 四郎君       野原  覺君    山田 長司君       井伊 誠一君    池田 禎治君       中村 時雄君     ————————————— 八月七日  委員有田二郎君、鍛冶良作君、川村善八郎君、  高橋英吉君、高橋等君、永田良吉君、長谷川峻  君、三和精一君、山中貞則君及び野原覺辞任  につき、その補欠として飯塚定輔君、佐藤榮作  君、大野伴睦君、大橋武夫君、橋本龍伍君、益  谷秀次君、岡野清豪君、岡崎勝男君、小坂善太  郎君及び淡谷悠藏君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として福  永健司君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員篠田弘作懲罰事犯の件  議員森三樹二君懲罰事犯の件  議員長正路懲罰事犯の件  議員伊藤卯四郎懲罰事犯の件     —————————————
  2. 森幸太郎

    森委員長 これより会議を開きます。  まず議員篠田弘作懲罰事犯の件を議題といたします。本件については、昨日質疑を終了いたしております。  この際、本件について、まず懲罰を科すべきかどうか、及び懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二条の規定する懲罰のいずれを科すべきかについて、お諮りいたします。
  3. 中野四郎

    中野委員 本件は、懲罰事犯として、国会法第百二十二条の第二号により、公開議場における陳謝を命ずべしとの動議を提出いたします。  その理由を簡単に申し上げますならば、今回の予算委員会場において行われましたるこの懲罰事犯は、まことに国会創設以来未曽有のことでありまして、本来であるならば、その当時の状況よりかんがみまして、篠田弘作君を除名をするというのが妥当だと考えますが、その後篠田君の非常に前非を悔いておるこの態度にかんがみまして、われわれは、その罪を一等減じ、すなわち百二十二条の第二号によつて公開議場における陳謝を命ずるのが妥当であると私は考えるので、右動議を提出いたします。
  4. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私は、篠田君の問題につきまして、本件は、懲罰事犯として、国会法第百二十二条第一号により、公開議場において戒告すべしとの動議を提出いたします。  その理由を簡単に申し上げますと、当日予算委員会におきましては、予算委員長休憩の宣告に対しまして異議を持たれました野党委員諸君が、多数同委員長をとり囲みまして、自席からの退場を許さず、いわゆる軟禁状態において数時間経過いたしたのでありまして、この間予算委員長生理的要求すら妨げられるというような実情にありましたことは、皆様の御承知通りでございます。従いまして、この際におきまして、この状況から委員長を救いたいという意思をもつて篠田君が行動いたしたことは明らかでございまして、もとよりり、その行動されたこと自体は、きわめて国会議員としてふさわしくなかつたということは、われわれも認めるのでございまするが、しかし、その動機におきましては十分にしんしやくすべき余地があろうかと存じます。ことに、このことが問題になりました後の篠田君といたしましては、十分にこの行動について恐縮をいたしておりますることは、すでに皆様も御承知通りでございまするから、これらの点を勘案いたしまして、国会法第百二十二条第一号の公開議場における戒告こそ適当であろうかと考える次第でございます。
  5. 森幸太郎

    森委員長 中野四郎君及び大橋武夫君より提出されました動議を一括して討論に付します。討論通告順によりましてこれを許します。鍛冶良作君。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は、篠田君だけにこの陳謝文を読ませて、いわゆる国会信用を傷つけたものを償い得るとは考えられないのであります。この間からの各委員の御議論を承つておりますると、委員会におけるあの狼藉ぶりはまことに遺憾なことであるが、そのうち、篠田君が挑発者であるから、篠田君を最も重く罰せねばならぬという御議論がございました。私はこれは見方であろうと思うのでございます。今大橋君も言われた通り篠田君は何でもないのに出かけて行つてけんかを売つたのではありません。この間から平穏に委員長との話合いができておつたという方もありまするが、われわれは決してさようなものではないと思う。委員長の自由を束縛しておつたことは間違いのないことであります。かようなことは国会信用を傷つける最も大きなものだと考えますので、それらの点から、遂に篠田君がこれを救出するために出ました。それで、あの狼藉なる行動はひとり篠田君だけでできるものではございませんから、これは全体の責任であろうかと考えるのであります。しかし、そうかといつて、それじや篠田君に責任がないかといえば、あの騒ぎを起したことの責任はありますから、篠田君だけを懲罰に付するということでなくて、他の責任者をも同様に公開議場における戒告をもつて、今後かようなことの再び起らぬようにするということが、最も当委員会として当を得たる処断であろう、かように考えまして、篠田君のみを陳謝せしめるということに反対いたし、あとで述べまするが、またほかの方々にも公開議場において戒告すべきものだ、かように考えるものであります。
  7. 森幸太郎

  8. 河野金昇

    河野(金)委員 私は、大橋君の動議反対して、中野君の動議賛成するものであります。篠田君のあの行動は、何人といえどもこれは認めておるところであり、本人自身も悪かつた認めておるのであります。情状酌量する余地があるとすれば、彼がのぼせ性の男であつて、そうして一方的な報告を聞いてあの予算委員会へ飛び込んで行つて、みずから平地に波瀾を起したものでありまするが、これはあの人らしい行動である、そういう意味においては、まあ同情とは言えないけれども、少しは考えてやつてもいいように思いまするけれども、いずれにしても、ああいう今までの国会史上にかつてない——なぐり合いをしたとか、もみ合いをしたとかいうことは過去の歴史にもあるけれども、いやしくも器物を持つて、それを投げつけたり何かしたということは初めてでありまして、こういうようなことが行われるということは、これは国会議員として安んじて職責を尽すこともできなくなるのでありまして、こういうことを絶滅させる意味から言いましても、これは厳罰に処すべきものでありまして、われわれはつとに除名をもつてこれに当てるべきだと主張しておつたのでありまするが、自由党同僚諸君の懇請もありまするから、罪を二等減じまして、——罪を一等減ずればこれは登院停止でありまするけれども、きようで議会は終りまするから、その罪をもう一等減じまして、本会議場における陳謝という、実に寛大この上もないところの処置をとつたのでありまして、これに対して不満を唱えられる自由党諸君の良識をむしろ疑うのでありまして、私は、中野君のこの本会議場における陳謝というものは、実に最小の罰であるということを認めまして、賛成をするものであります。
  9. 森幸太郎

  10. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私は、中野君の動議賛成をいたしまして、大橋君の動議反対をするものでございます。  その理由は、第一、なるほど篠田弘作君が当時予算委員室に入つて参りまして御心配をなさるということは、これはもつともだと思います。しかし、議員といたしまして篠田氏のとるべき道は他に正当な方法がございますので、こういうような、けんかをふつかけ、乱暴をするというようなことの方法に対しては、われわれは何ら同情をする余地はございません。そうして、あの事件原因篠田君にあつたことは、これはおそらくどなたもお認めになると思う。自由党諸君もお認めになると思う。自由党諸君が、国会品位、名誉というものに対して真剣に考えられ、日本民主主義を真実に実行して行きたいという熱意がございまするならば、戒告というようなことではなくて、私はもつと謙虚な態度でこの懲罰に臨んでいただいて、御意見を述べていただきたかつた。私どもはあえて篠田君を厳罰に処したいという念慮はありませんが、従来行われておりました国会における懲罰事犯から考えて、はたしてこれは戒告程度のものであるか。私どもは、かようなことがしばしば繰返され、国会信用が失われるということは、一方においては非民主的、フアツシヨ的な行動が行われることを是認することになる。国会国民信用を失墜し、暴力革命に協力するというような思想の温床になることをわれわれはおそれるのである。おそらく本件については、日本中の八千万国民がこの懲罰の結果いかんを厳正な立場から注視しておると思う。これに対しまして私どもは、政党政派を超越して、真剣にその結果をつくらなければならぬ。これは自由党諸君も御同感だと思うのです。さような立場から考えまするならば、私どもは、従来の懲罰事犯に対しての批判、考え、本件のごとき篠田自身がああした態度をとらなければ、あの事件というものは起らずに済んだということから考え、しかも、国会内において灰ざらが投げられ、そうして数人が傷害を受けたということは、これは事実である。従いまして、私どもはもつと厳罰に処すべきだと考えております、しかしながら、篠田君が、本委員会に参りまして、率直に事実を認め、ああして反省をしている態度は、私どもは、これまた議員として、懲罰委員として、その情状に対する考慮はどうしても有してやらなければならぬ。さようなことには私どもは遠慮いたしません。  さようなことを考え、諸般の事情から考えまして、私は陳謝すべき程度懲罰に付すことが妥当な処置であると考えまして、私ども中野君の動議賛成いたしまして、大橋君の動議は少し同僚同情し過ぎる。——この事情もよくわかります。しかしながら、これは同僚に対する私消、私人としての心情であります。公人としての公の立場からは、どうしても私ども最低陳謝程度責任を持つていただかなければならぬ、かように考えまして、中野君の動議賛成し、大橋君の動議反対するものでございます。(拍手
  11. 森幸太郎

  12. 中村高一

    中村(高)委員 私は、大橋氏の動議反対をし、中野氏の動議賛成をするものであります。その理由といたしまして、第一に、大橋氏は予算委員会における委員長の問題を原因に取上げられておるのでありますが、この原因は、なぜ委員長がそのような状態になつたかというもう一つ前の原因を探求すべき状態があると私は思うのであります。そうして、問題といたしまして、そういう意味において予算委員会における問題とは別個にいたしまして、この篠田氏の問題は、少くとも灰ざらを持ち殴打をしたという事実は事実として、率直にわれわれはこの行為の上に懲罰を考えなければならぬと思う次第であります。  そこで、その問題は、国会法にもありますように、秩序を乱しあるいは国会の体面を傷つける、この意味におきまして、また篠田個人としては——今までの委員会における陳述によつて個人としては非常にその罪を謝しておると思うのであります。しかしわれわれは、個人の問題よりも、人を憎まず、その罪を憎むという建前に立つて、今後の国会においてこういう事件が再びないようにするという意味において、私は中野氏の動議賛成するものであります。
  13. 森幸太郎

    森委員長 これにて討論は終結いたしました。  これより採決いたします。まず、本件国会法第百二十二条第一号により公開議場において戒告すべしとの大橋君の動議について採決をいたします。この動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 森幸太郎

    森委員長 起立少数。よつて動議は否決されました。  次に、本件懲罰事犯として国会法第白二十二条第二号の公開議場における陳謝を命ずべしとの中野君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 森幸太郎

    森委員長 起立多数。よつて本件は、国会法第百二十二条第二号の公開議場における陳謝を命ずべきもの七決しました。  次に、陳謝文案は、理事会申合せによりまして、委員長において作成することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 森幸太郎

    森委員長 御異議なければ委員長において陳謝文案を作成することにいたします。  なお、本件に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 森幸太郎

    森委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。     —————————————
  18. 森幸太郎

    森委員長 次に、議員長正路懲罰事犯の件、議員伊藤卯四郎懲罰事犯の件、議員森三樹二君懲罰事犯の件、以上三件を一括議題といたします。  三件に関しましては、動議提出者の説明並びに本人身上弁明に対する質疑通告がございません。質疑はないものと認めますが、よろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 森幸太郎

    森委員長 御異議ないものと認めます。  この際、三件について、まず懲罰を科すべきかどうか、及び懲罰を科するとすれば国会法第百二十二条の規定する懲罰のいずれを科すべきかについてお諮りいたします。
  20. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私はただいま議題となりました長正路君、伊藤卯四郎君、森三樹二君、この主君に関する懲罰事犯につきまして、三件はいずれも懲罰事犯として国会法第百二十二条第一号により公開議場において戒告すべしとの動議を提出いたします、  その理由々簡単に申し上げます。  三十一日の予算委員会におきましては、休憩を宣しました尾崎委員長に対しまして、一部の委員諸君委員会の再開を迫り、委員長席からの退席を許さず、四時間半にわたりまして監禁するの不法をあえてし、生理的要求に対してさえ監視束縛のもとにおいてようやく許したという次第でございまして、豪毅闊達たる尾崎君も、この長時間の監禁に疲弊困憊するに至りましたが、その首謀者として、他人を指揮して、この監禁を継続せしめ、洗面所への往復を監視同行したのは伊藤卯四郎君でございます。この長時間にわたる下法監禁に対しましては、さきに懲罰に決定せられましたる篠田弘作君も、正義感からさすがに腹にすえかねまして、これを難詰したのであります。その際、激昂の余り、たちまち篠田君を包囲して、篠田君に対しまして、数十人が集団となつて打つ、なぐる、けるの暴行を加え、全治一週間の重傷を加えるに至つたのであります。その暴行者の人数はあまりに多く、混乱中の各人の暴行状態も個別的には証明も困難でありますが、この間長正路君は、机の上に立ち上り、土足でもつて篠田君の後頭部をけり、そのはずみで顛倒した篠田君の身体を所かまわず土足にかけたものでありまして、その光景は、翌一日朝の各新聞の写真においても明らかでございます。  また、翌一日の本会議において、本院の圧倒的信任を博せられましたる堤衆議院議長議事運営不満として、一部の議員諸君はここでもまた集団をなして議長席に殺倒し、混乱を起したのでありまするが、その際森三樹二君は、交渉係でもないのにほしいままに議席を離れ、公務執行中の議長に迫り、森君は議長席マイクロフォンを損壊して、これが使用を不能に陥れたのであります。  これらの行動は、いずれも言論の府であるところの国会の名誉を暴力によつて汚したものでございますから、国会法百二十二条第一号によりまして、公開議場において戒告することを相当認めまして、本動議を提出いたした次第でございます。
  21. 森幸太郎

  22. 中野四郎

    中野委員 私は、三件にいずれも懲罰事犯にあらずと決すべしとの動議を提出いたします。  その理由を簡単に申し上げます。  元来から申し上げまするならば、この懲罰委員会のその使命は、懲罰事犯になつた人ば懲罰に付するいうことだけが使命ではなくして、このことによつて将来議院秩序を守り、議院信用を高めるという重大な使命のあることを忘れてはならぬのであります。従つて議員篠田君が、本来であるなれば除名という最高の懲罰を受けるべきであるにもかかわらず、先ほど河野君の討論にもありましたように、その罪二等を減じて、そうしてこれをば百二十二条第二号によつて公開議場における陳謝を命ずるということになりまするならば、当然右三君に対しては相当考慮をしなければならぬのでありまするが、私があえてこの際一言申し上げたいことは、なるほど大橋君のただいまの理由にありましたように、長君に対しましては、もし篠田君が除名懲罰を受けるなれば、これを戒告すべき立場に置いても、私は必ずしも不可ではないと考えたのであります。しかし、伊藤卯四郎君並びに森三樹二君に対しましては、当委員会において調査をいたしました結果においては、当然これは懲罰事犯に該当せざるものと見るのが妥当であります。元来われわれの考え方は、先刻申し上げましたごとく、将来院の秩序議院品位を向上せしめるということが至大の目的であります。言いかえますれば、一兇を誅して天下の平を知ると申しまするか、すなわちその指導者であるところの篠田君にこの懲罰を命じ、そして三君に対しては、この委員会において、懲罰事犯に該当するやいなやということをば慎重調査をいたしました結果、私は三件はいずれも懲罰事犯にあらずと決すべしとの動議を提出いたします。これがその理由であります。よろしくお願いいたします。
  23. 森幸太郎

    森委員長 大橋武夫君、中野四郎君より提出されました動議を一括して討論に付します。鍛冶良作君。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は、ただいま御提案になりました大橋君の動議賛成をし、中野君の動議に絶対反対の意を表明せんとするものであります。  去る七月三十一日の本院予算委員会及び本会議場における混乱につきましては、皆様とともにまことに遺憾とするところであります。会期末におけるこのような事態は、毎回遺憾ながら起る事実でありまして、その都度世論よりきびしい批判を受けております。これはまことに、国会信用の上において、国民の前に申訳ないことだと考えるのであります。ひとりこの懲罰事犯にかかつた人々のみならず、われわれ議員一同党派を超越して深く反省せねばならぬことだと考えるのであります。しこうして、当日の混乱実情をながめますと、原因なくしてこの結果は起りません。野党諸君は、あの委員会における混乱は、もつぱら篠田君の挑発によつてつたということを論拠として、この議論を進めておられますが、篠田君が何ゆえにあの会場へはせつけたかということを、忘れてはおいでにならぬでありましようが、それを論ぜず、考えられないような風でありますことを最も遺憾とするものであります。先ほど来も申します通り委員長の角田を束縛しておつたことだけは間違いのない事実であります。議事規則によつて委員会においては委員長指揮に従い、本会議においては議長指揮に従わなかつたら、民主政治議会運営というものはうまく行くものではありません。それを力によつて暴圧し、もしくは妨害せんとし、もしくはその意に反して事をなさしめんとするがごときは、最も議会品位を傷つけるものと考えるのであります。この結果篠田君が委員会に入られた。その結果委員会混乱に陥りました。しかして、この混乱状態を見ますると、われわれはもちろん篠田君に責任なしとは言わぬのでありまするが、これはおそらくあの委員会で立ちまわりをした全議員諸君責任だと申しても、決して不当でないと考えるのであります。しかし、全議員懲罰するといつたつて不能なことでありますから、今大橋君から言われましたように、最も大きなからだを持つて、最も人の目につくように立ちまわられたる伊藤卯四郎君、さらにまた、卓の上に上つて同僚議員を足げにしたというがごとき、重大なる行動をせられたる長君だけをここに取上げまして、懲罰事犯申立てをしておるのであります。野党諸君はこれらの人々責任はないと言われ、篠田君一人が責任ありとして、篠田君だけを懲罰に付して、はたして諸君の願つておられる国会品位を保持することができるであろうか。私は絶対にできないと思う。ことに長君の行動については、天下新聞に堂堂と篠田君の首に足をかけておるのが現われておる。私は見ませんが、日本全国にまわつておるニュース映画においては、もつとえらいことが現われておる。このような現実が現われておるにもかかわらず、長君には責任がない、篠田一人に責任があるんだと言つて、これで国会信用が高められますか。世論批判に対してあなた方は十分こたえるものとお思いになりましようか。私はこの点をまことに遺憾とするものであります。ゆえに私は、この際、願わくば全員に自粛をお願いいたしまするが、篠田君に陳謝文を読ませるならば、長君にも同様にやるべきが世論に対するこたえであろうと思うのであります。しかしわれわれは、今までの周囲の事情から考えまして、篠田君も公開議場における戒告をすべしと言つておりますから、これと同様に、長君及び伊藤君にも公開議場における戒告を与えるのが、世論にこたえる最も適切なものだと考えるのであります。  さらに、森三樹二君の点に関しましては、これはいろいろありましよう。原因もあろうし、また今言われたように、森君があすこへはせ上つたことについては、森君自身としてま主視力な理由もあると思いますが、いずれにいたしましても、議長の席に迫つて、まず第一番に卓をたたいて議事の妨害をせんとし、それでも物足らなくて遂にマイクをとつぱずしてこれをこわし、そして議場における音声の徹底を欠かしめたというがごときは、これはどうも不問に付していいとは申されないのであります。これに対して何らかの責任があるということは、何人も認めるところでります。そこでいろいろの原因もありまするから、最も軽い公開議場における戒告をもつてして世論にこたえんとする大橋君の動議は、最も穏当なものであります。  篠田君一人を懲罰にして、あとは全部懲罰にならないという中野君の動議は、まことに国会信用のために惜しむべき動議だと思いまするから、これに反対いたすのであります。
  25. 森幸太郎

  26. 河野金昇

    河野(金)委員 私はあえて討論するつもりでなかつたのでありますが、鍛冶君がああいうことを言いますから、あえて一言言わなければならないのであります。  きのうの理事会申合せによりますと、ああいう言論はおそらくないものだと私は思つてつたのであります。これは、自由党党内事情はいろいろありましようけれども、それをまとめる意味において、じや、こういうことにしてくれという話合いができておつたにもかかわらず、ああいうことをされるのであります。われわれは篠田君は除名すると言つた。そうしたら、除名は何とかかんべんしてくれということで、除名を少しゆるめた。そのかわりわれわれの方も、長君を戒告に付すべしということに賛成しておつたのでありまするが、篠田君の場合は罪二等を減したのてありまするから、長君の場合も、やはりそれに匹敵して、ある程度ゆるめなければならぬという話合いのもとに賛成したのであります。自由党党内事情まことにお察しは申し上げますけれど、真相はかくのごとくでありまするから、私は大橋君の動議には反対して、中野君の動議賛成をいたします。(拍手
  27. 森幸太郎

  28. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私も中野君の動議賛成をしまして、大橋君の動議反対をいたします。  その理由は、なるほど伊藤さん並びに長君の問題が問題になつておりまするけれども、大体この問題は、ただいま河野議員からおつしやつたように、篠田君が中心なんであります。従つて篠田君の懲罰を基本にして他のものか考慮しなければならぬ。ことに森君の問題を大分やかましく言つておりますけれども、あの日の議長態度というものは、結果はともかくとして、結果の出ます前は、われわれ議員としては相当申し分があつたはずであります。法律上から見ましても、議員の権限から申しましても、相当申し入れるべき理由があつたと思う。従いまして、ああいう態度をとりましたから、山本幸一議員から書面をもつて議長に対する不信任案を提出いたしました。大池事務総長がこれを受取つて議長に渡す、従いまして不信任案が提案されましたから、議長は少くとも原副議長にかわるべきだという要求をわれわれ議員がすることは当然であります。多少森君のやり方に行き過ぎがございましても、それが懲罰に付されるというわけには私は参らぬと思う。なお、拡声機の問題を云々しておりますけれども、故意に森君があれをこわしたという事実はございません。従いまして、かような点は問題にならない。特に懲罰の提案者であります鍛冶君から申されました、いわゆる国会法百十六条並びに衆議院規則の二百三十八条によりますと、これはいずれも議長の発言中妨害をした場合に、議長からこの妨害に対して発言を取消させるとか、あるいは命令でこの妨害をやめさせるとか、かような命令がございましたことが前提にならなければ、問題は起きないのであります。特に二百三十八条のごときは「議長の制止又は取消の命に従わない者は、」ということが前提であります。従いまして、議長はその当時取消しもいたしません。また制止の発言もございませんから、この条文には該当いたしません。     〔発言する者多し〕
  29. 森幸太郎

    森委員長 お静かに願います。
  30. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 特に百十六条のごときは、議長の命令に従わないということはない。議長から何ら発言はございません。森君の行動に対して、議長から発言を制止して取消させたことは全然ありません。これは速記録ではつきりしております。さようなわけでありますから、多少の行き過ぎだけは私どもは争いません。公平に見て多少の行き過ぎで懲罰になるということになるならば、それならば議員は毎日ほとんど懲罰にかかる、さようなわけであります。  従いまして、この点私は、従来行われたように、各政党が、みずからの所属議員懲罰に付されますと、今度はそれと交換条件に、他の政党に向つて懲罰の要求をするという傾向が過去においてございましたが、さような取引は大いに禁じなければならぬ。慎まなければならぬ。かような意味におきまして、本件はさような政治的意図において懲罰に付す動議を出されたものと考えまして、これは全然懲罰事犯にならない。伊藤君においてしかりであります。中野君が説明した通り河野さんが説明した通り、長君の問題につきましても、これは多少行き過ぎがあつたことはわれわれ反対はいたしません。おそらく長君の問題も幾らか行き過ぎがありました。しかしながら、その行き過ぎの原因というものは、すべて篠田君の暴行によつて行われたものでございまして、この点は長君が反省をしております以上は、これ以上責めなくとも、私はこの懲罰の規定に基く目的は達せられると考えまして、多少の行き過ぎはあつたと申しましても、この懲罰の何には該当しない、疑いはあるけれども該当はしないのだ、かように考えまして私は反対をするのであります。
  31. 森幸太郎

    森委員長 池田禎治君。
  32. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は、大橋委員動議反対をし、中野委員動議賛成をするものであります。  その理由につきましては、すでにいろいろと述べられましたので、くどくは申し上げませんが、一体私どもはこういう懲罰委員会すらも必要ないところの議会を欲しておるのであります。従いまして、提案者からもるる説明がありましたけれども、いかにして国会の権威を保持して、そうして国権の最高機関たるの権威をわれわれは高めるかということにつきましては、ひとしく賛意を表せざるものはないと思うのであります。今度の懲罰事犯につきましても、篠田君が予算委員会に突入いたしまして、そうして乱暴を働いたことが動機となつたのであります。従いましてわれわれは、これに付随して、相対的に、自分の方から懲罰事犯が出るからひとつ相手方からも出そうという風習はのけて、一罰もつて百戒、こういうことの絶滅をはかる点において道連れ的な従来の弊は排除し、真に懲罰に値するやいなや、事犯の内容に立ち至つて処罰すベきやいなやを決定することが重大なところであろう、かように私は考えるのであります。ここに申しますならば、伊藤卯四郎君が予算委員長の便所に同行した。これは予算委員長も帰りにはありがとうと言つて数回お礼を述べた。さらにまた長正路君は、これは篠田君とはかねてから懇意でもあります。そうして春日一幸君が非常な危機に陥つたので、彼が飛んで行つてこれを制止しようとしたのがその源をなしたと思いますが、森三樹二君に至りましては、これは本会議においてそういうことをしたということは全然言えないのであります。こういう疑いはないとわれわれは思つておるのでありますから、これは当然懲罰事犯の対象とならない、かように考えて、私は、大橋君の動議反対をし、中野君の動議賛成をするものであります。
  33. 森幸太郎

    森委員長 これについて討論は終局いたしました。  これにより採決いたします。まず、三件はいずれも国会法第百二十二条第一号の規定により公開議場において、戒告すべしとの大橋君の動議について採決いたします。この動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  34. 森幸太郎

    森委員長 起立少数。よつて動議は否決されました。  次に、三件はいずれも懲罰事犯にあらずと決すべしとの中野四郎君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  35. 森幸太郎

    森委員長 起立多数。よつて本件はいずれも懲罰事犯にあらずと決しました。  なお、本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 森幸太郎

    森委員長 御異議なければさように決します。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時二十七分散会      ————◇—————