○
窪谷説明員 ダイヤモンドその他
接収貴金属の件に関しましては、先般の
国会におきまして、当
委員会及び
行政監察委員会において従来の
経緯の御
調査があ
つたのでございます。その結果
行政監察委員長から、本
会議におきましてその
調査の御
報告があ
つたのでございます。従いまして、それまでのいろいろな
経緯につきましては、
皆様方すでに御承知のことでございますので、省略をさしていただきたいと思うのでありますが、その
調査の結果によりましても明らかになりましたように、
占領軍の
接収中におきますいろいろな
管理処分というものが、あたかも一人の人の
所有物であるかのごとく取扱われたのでありまして、従いまして、だれからどれだけのものを
接収して来て、それをどういうふうに
管理してお
つたかという
状況は、ま
つたくわからない
状況に相な
つておるのであります。各人から
接収をいたしましたものが混合され、あるいはものによりましては製品が溶解され、また
略奪物の
返還として
外国に持ち出され、いろいろ
処分をされて参
つたのであります。従いまして、今日
残存をいたしております
接収貴金属につきまして、これがだれのものを
接収したものであるかということを
確認することは非常にむずかしい
状況に相な
つておるのでございます。従いまして、これらのものを適正に
処理いたしますためには、どうしても
一般の
既存の
法律をも
つてはなかなか律し切れないというところから、特別の
立法を必要とするであろうというふうに考えられるのでございまして、この点に関しましても、先般の
行政監察委員会におきましては、主として
交易営団及び
物資活用協会から
接収をされました
ダイヤモンドにつきまして、
特別立法をつく
つて国庫に帰属させて、その金を
財源といたしまして、
戦争犠牲者の援護に使用するのが適当であろうというふうな御
報告があ
つたことを承
つておるのでありますが、
ダイヤモンド以外のものにつきましても、同様の複雑な
法律関係がございまして、これを
既存の
民法でございますとか、その他の
法律でも
つて処理をいたして参るということはなかなか困難な
状況でございます。従いまして、これはやはり
ダイヤモンドのみならず、すべての
貴金属につきまして
特別立法をお願いをいたしまして、その御
審議の結果に基いて執行して行くということが適当であろうというふうに考えております。従いましてただいまのところでは、
大蔵省といたしましては、先般来御
調査を願いました
接収されました
貴金属は、何らの
処分をいたしませんで、それぞれ
保管の場所に厳重に
保管をいたしておる
状況でございます。従いましてこれを
処分をいたしますためには、特別の
立法をするためにどういうふうな
立法をお願いしたらいいかということを目下
検討をいたしております。
その
立法の
検討をいたしております現在の段階におきます
状況を、まだ概略の考え方でございますがごひろう申しますと、まず
接収ということの本質の問題であります。これも先般の
国会におきましていろいろ御
論議があ
つたところでありますが、大体当時
参考人として出られました各大学の
先生方、その他の
学識経験者と申しますか、そういう
方々の御
意見なり、さらにまた
国会側の御
意見を伺いましても、やはりこれは没収ではない、
強制管理であるということのように承
つておるのであります。従いまして、その
所有権は侵されてはおらないというふうに考えますので、それぞれの
所有者にそれぞれ適正な手続でも
つて返すのが適当であるというふうに考えておるのであります。ところが、その
所有者がきわめて簡単に
確認ができますものでありますれば、これを返す
作業も困難ではないのでございますが、先ほど申し上げましたように、現在
保管されております
状況は、
個人別にはほとんどわからないという
状況でございまして、これをもう一度再
調査をいたしまして、これはだれそれのものであるという認定をいたさなければならないのでございます。その
準備といたしまして、先般
国会で御
立法をいただきました
接収貴金属の
報告というものを、被
接収者から
調査したのであります。ただいま
大蔵省におきましては、その
調査の審査をいたしております。その
接収の
報告書は、どれだけのものを、どこで、だれに
接収をされたという事実を詳細に
報告をしてもらうことに相な
つておるのでありまして、またその事実を立証できるいろいろな
証拠書類の添付をお願いいたしたのでありますが、これが現実に出て参りましたものを見ますと、なかなかそういうふうに、十分に
証拠力を持
つて出て来ておる
報告だけではないのでございまして、大体これだけのものをとられたであろうというふうな
報告もございまするし、中には、たとえば
地金を
接収されました者は
地金のナンバーまではつきり書いて
報告をされておる
方々もございますし、また当時
進駐軍が
接収いたしましたときに出しました
受領書がございますが、これもある
程度現物を推定するに足る
程度の詳細のものもございますようでございますし、またそうでなくて、
ダイヤモンドの入
つた箱を箱というふうなことでありまして、その
進駐軍の出しました
受領書からは、どれだけ
接収されたものかはなかなか
確認ができないというふうなものもあるのでありまして、これらをどういうふうにして元の
所有者を探し出して返すべきであるかというふうなことにつきまして、実は苦慮をいたしておる次第であります。まず今
現物がありますもののうちで、これはだれそれのものであるというふうに明確に
確認のできるものがございます。たとえば
日本銀行が
通貨準備の基礎として持
つておりましたような
地金につきましては、明確にこれは
日本銀行の
保有金が
接収されたものであるということがはつきりいたすのでありますが、そういうふうにはつきり特定できるものにつきましては、これをその被
接収者に返して行くということが、まず第一の
作業であろうと思います。もう
一つは、
接収されたという
報告はございますけれ
ども、それが
略奪物の
返還でありますとかいうふうにして、現に
現物がないということが明らかなもの、これは
現物がないのでございますので、
返還のいたしようがないということから、これは
返還をいたさないということに相なろうかと思います。
そこで問題は、その中間に来る問題でございまして、確かに
接収はされた、しかしながらその
現物がどれであるかということがなかなか
確認のできないものがあるのでございますが、こういうものにつきましては、
民法の
原則から申しますと、
共有の
関係に立つようでありまして、その
接収された古のは、現在
残存をいたしております
貴金属に
共有の
関係に立つということにな
つておりまして、従いまして、その
共有の
持分をそれぞれが
分割をして
返還を受けるということに相なろうかと思うのであります。今度の
立法も、大体この
民法の
原則に沿
つて行きたいというふうに考えておる次第でございます。ところがこれは
金銭でございますと、きわめて簡単に
分割ができるのでございますが、それぞれ
地金でありますとか、あるいはまた
ダイヤモンドというふうに、一定の大きさを持
つておるということがその
価値に影響を持つもの、さらに金貨でございますとか、あるいはまた
小判でございますとかいうふうな、
地金の
価値ではなくて、骨董的な
価値を持
つておりますものも
相当あるわけであります。従いまして、これらのものを一括して全部
共有関係に立つということは適当ではなかろう。大体同じ
種類のものを
接収された
人たち、たとえば
小判なら
小判を
接収されたという
人たちが、その
小判に対して
共有の
関係に立つことが適当ではなかろうかというふうに考えております。それぞれ
ダイヤモンドでありますとか、あるいは金の
地金でありますとか、銀の
地金でありますとかいうふうな同
種類の
物件を
接収されました者が、それその
グループごとに
共有の
関係に立つということにいたしまして、それを
分割して
処理するということに相なろうかと思います。
なお先ほど
ちよつと申し遅れましたが、もう
一つ困難な事情といたしましては、
接収をされたと
報告のありました
数量と、現存いたします
数量との間には
相当の
開きがございます。この
開きにつきましては、
占領軍が
接収中に、たとえば白金を売りまして、その大体の代金を
ドルの小切手でございますとか、あるいはまた金の
地金で入れたというふうなものもございますし、あるいはまた
略奪物件として
向うに持ち去
つたというふうなものもございます。そういうふうに明確にその差が説明できるものだけではないのでありまして、その以外に、
接収されましたと
報告される
数量と現存する
数量、もちろんその現存する
数量と、そういうふうな明確にあとづけのできます調整いたしました
数字とを比較いたしましても、
相当の
開きがあるのであります。これはどうも
接収されたという
報告そのものに十分の
証拠力をも
つて立証されない
数字もございまして、なかなかその理由を突きとめることが困難と申しますか、現在におきましては不可能な
状況でございます。従いまして、そういう差があるという前提のもとに
処理をしなければならないということから、また困難さがそれに加わ
つて参るわけであります。そういうふうな
状況のもとにおきまして、
共有持分の
分割返還という
作業をいたすことに相なろうかと思うのであります。これが
地金などでありますれば、その
地金に対する
持分に応じまして、
地金を
分割いたしまして返すということも可能かと思うのでありますが、
ダイヤモンドでありますとか、先ほど申しました
小判というふうなものにつきましては、かりに
小判を五枚
接収されたという
報告があるにもかかわらず、四枚しか
現物がないという場合におきまして、この四枚のものを五人の者に
分割するということは不可能でございます。そういたしますと、単純に
地金の
価値だけにな
つてしまうわけでございます。これらにつきましては、
現物を評価いたしまして、それぞれの
持分を一応
金銭できめて、その中でだれかが
小判を買い取
つて、その金を適当に四人の間で
共有持分の割合に応じて
分割をして
処理することも考えなければならないかというふうに思
つておる次第でございます。
なお
交易営団、それから
物資活用協会から
接収をいたされました
貴金属、これは
ダイヤモンドが大
部分でございますが、これにつきましても、
所有権がどちらにあるのかということで、いろいろ先般の
国会において御
論議をいただいたのでありますが、その結論は、私
どもといたしましては、形式的にはあるいは
交易営団なり
物資活用協会にあるとも言えるかもしれないけれ
ども、当時の
国民の
供出の
状況から申しますと、これは
交易営団に差出すとかいうふうなことではなくて、国に
供出をするということであ
つて、その
実態は国に対する
供出であり、
交易営団なり
物資活用協会というものは、その間の
事務の取扱いをしたにすぎないものである。この
関係は、また当時
軍需省からそれぞれの
機関に差出しました
通牒等から見ても明らかであろうということから、
実態は国が所有すると見てもさしつかえないのではないかというふうなことであ
つたろうと考えるのであります。この間の
関係を明確にいたしますために、やはりこれは
特別立法で、そういう性質のものは国は帰属するということを明確に
立法をするのが適当であろうというふうに考えております。
それからなお
交易営団と
物資活用協会に似
通つた機関といたしまして、
日本金属株式会社、これは
戦争中におきましては
金属統制株式会社とい
つておるのでありますが、それと、それから
金銀運営会というものがございます。ところがこの
機関は、
交易営団が扱いました
ダイヤモンド関係とはやや趣を異にいたしておるのでありまして、これらはそれぞれ統制的な
機関でありまして、本来の
統制業務をや
つておりますほかに’
交易営団が扱いましたような
非常回収の
仕事もあわせてや
つてお
つたのであります。従いまして、これらの
機関が持
つておりますもののうちで、
非常回収の
業務としてや
つたものにつきましては、やはり
交易営団に対する
処理と同様に考えるべきであろうというふうに考えられるのであります。この
日本金属等について考えてみますと、それ以外にこの
機関は当時
金属の
配給統制の
仕事をや
つておりましたので、その
配給統制という
固有の
業務をやりますために、手持ちの
金属を持
つてお
つたのであります。これまで
国庫に帰属させることが適当であるかどうかということについては、いろいろ問題があろうかと思います。
交易営団なり、あるいは
物資活用協会の持
つておりますものは、
国民としては国に差出したものであり、
従つて法律上の形式はともかくといたしまして、実体は国に帰属すべきものであるということが、常識上と申しますか、割合納得されるのでありますが、
日本金属等の場合の
固有の
機関の
業務としてや
つておりましたものにつきまして、
国庫に帰属さしてしかるべきものであるかどうかというようなことにつきまして、目下
検討を加えておる
状況でございまして、大体現在まで私もどが
検討いたして問題になります点はこういう点でございまして、今後さらにこの素案に十分の
検討を加えまして、
国会側ともお打合せいたしました上で、来るべき
通常国会には
立法化されるものというふうに考えております。この前の
行政監察委員会におきましては、
議員立法の形をとることが適当だというふうな
意見もあ
つたという
委員長の御
報告でございますが、これは私
どもといたしましては、
議員立法の形でも
けつこうでございまするし、また場合によ
つては
政府の方で
提出せいということでございますれば、
政府提出の形をとりましても
けつこうでございますが、今ありますものをただ漫然と
保管をし、
管理をしておくということしいかがであろうかというふうなことから、早急にこの措置をつけるべきものであろうかというふうに考えております。
それからこの
処分の
方法でございますが、これにつきしては。いろいろまた考うべき要素があろうかと思います。
ダイヤモンド、金、銀、それぞれの持ちます
性格が若干違
つておるのでありまして、
ダイヤモンドは国として別にそう
保有をいたしておく必要もないかと思います。従いまして、これは
学術研究資料と申しますか、そういうものに必要なごくわずかなものをやはり国に存置いたしまして、これはあるいは
学術研究機関でありますとか、あるいはまた博物館でありますとかいうものに見本ないし標本的なものとして
保有をいたしまして、それ以外のものは売り払うことに相なろうかと思います。売り払うといたしまして、どこに売り払うかという問題でございますが、
国内で
処分することはおそらく不可能と申しますか、ごくわずかのものならば——数個のものならば
処分はできると思いますけれ
ども、あれだけの十六万
カラツトのものを早く
処分をいたすということにつきましては、
国内ではとても
処分が不可能と思います。そういたしますと、これを
外国市場で売り払うということに相なるのでありますが、
外国市場に売り払うにいたしましても、その
市場たるやきわめて限られておりまして、これはまだ十分な
調査は行き届いてはおりませんが、今まで私
どもが調べましたところでは、大体ニユヨークか
ロンドンの
市場で売り払う以外にはなかろうかということであります。しかもこの
ダイヤモンドの
市場というのは非常に小さいのであります。この
ダイヤモンドの
市場をコントロールしております
機関が
イギリスに
一つ、それから
アメリカに大きなものとして
一つというふうなものでございまして、
イギリスに
ダイヤモンドトレードコーポレーシヨンとかいう会社があるようでございますが、これは
世界の
装飾用ダイヤモンドの九割以上をコントロールしておるといわれておる
状況でございまして、そういう
機関なり、またたとえば
アメリカにおきますそれに似
通つたダイヤモンド扱い業者を通じなければ
処分はできないというふうに相なろうかと思います。そういうことでございますので、
日本がこれを売り急ぐという
態勢を示すことは、その価格の交渉の上におきまして非常に不利な
状況に相なるのではないかというふうに考えるのでありまして、
日本政府としては、
値段によ
つては売る、
値段が折り今わなければ売らぬという
態勢で行かなければ、なかなか有利な
処分はむずかしいのではないかと思います。従いまして、これを
歳入財源等にかりに計上いたしますについても、よほど慎重な
考慮が必要ではないかと思うのでありまして、これをいついつまでに
処分しなければならぬというふうなことが
向うにわかりますと、その期間のぎりぎりまで
向うは話を受けない、その期限のぎりぎりのところにな
つて安い
値段で買いたたくというふうなことに出て来る心配もなきにしもあらずでございます。この
ダイヤモンドを今評価いたしますと、どのくらいになりますか、いろいろ御
意見があるようでございますが、大体六、七十億というふうなことでございまして、
数量にいたしますと十六万
カラツトであります。去年、一昨年
あたり、
装飾用ダイヤモンドとして新しく
世界に出まわ
つておりますものは、この十六万
カラツトの大体四、五倍ぐらいのものが出まわ
つておるのではないかと思います。従いましてこれは
相当な
数量でございまして、わずかな
数量でございますれば、どこの
市場に持
つて行きましても簡単に売れるのでありますが、新しく出て参ります
装飾用ダイヤモンドの数分の一を占めるというような大量のものでございますので、この
処分につきましては
相当慎重な
考慮を要するかと思います。なお
アメリカが
世界から
輸入をいたしました
装飾用ダイヤモンドの
数量が、去年
あたりで約七千万
ドルぐらいでございます。今
日本が持
つております
ダイヤモンドを一応
ドルでいいますと、二千万
ドル前後ということに相成なろうかと思いますが、そういたしますと、
アメリカが去年一年間に
輸入をいたしました
ダイヤモンドの
数量の三分の一という大量のものでございまので、なかなかそう簡単には
処分はむずかしいというふうなことに相なるわけでございまして、できるだけ早く
処分をいたすということにつきましては、やはり
世界で
ダイヤモンド市場をコントロールいたしておりますような
機関とうまく話をつけて、これを利用して売りさばいて行くという以外には道はなかろうかというふうに考えておる次第であります。
それから金の
地金でございますが、これは
一般会計の
所属になると見込まれるものはほとんどございません。全然ないこどはございませんが、今のところまだどの
程度のものが
一般会計所属になるかということがどうも推定が非常に困難で、
数字を申し上げるようなことができませんのを恐縮いたしますが、
数量としてはごくわずかでございます。今ありますものは大体
日本銀行に返るべきもの、あるいは
政府といたしましても、
貴金属特別会計が所有いたしておるものでありますとか、あるいは
造幣局特別会計が持
つておりますようなものでありまして、これはそれぞれの
会計の
建前がございまして、単純に
処分というわけには参らない
性格のものであります。しかしながら
一般会計にも残るものがあるのでございますが、これは
ちよつと
ダイヤモンドとはまた
性格を異にいたしまして、
日本といたしましては、なお金はある
程度蓄積をして行くという
建前をと
つております。先般当
委員会におきましても御
審議を願いましたように、新産金のうちの三分の二は
国内需要として、これを山元から直接に民間に
処分をしてさしつかえない、しかしながら三分の一は
貴金属特別会計に集中をするという
政策をと
つておりますので、今
一般会計に帰属すべき
金地金を単純に
外国に持
つて行
つて売り払うということがいいのかどうか、
相当問題があろうかと思います。あるいは
貴金属特別会計で買い取
つてもらうということも考えられるのでございますが、これもどうも
手元の
運用資金というのは十分ではございません、従いまして
一般会計に帰属すべき金につきましては、あるいはしばらく
国庫でそのまま
保管しておくのが適当であ
つて、
貴金属特別会計に
余裕金ができるに応じて、その
特別会計の方に移管がえをするということが適当なのかわからないのでありまして、これにつきましては、
管財局と申しますよりも、むしろ
通貨政策なり
信用政策をや
つております
理財局方面の
意見も徴さなければならないと思うのでありますが、そういう
関係にございます。
それから銀の
地金でございますが、これは
国内の銀の生産というのが、やはり
国内の銀の
需要というものを上まわ
つております。従いましてこれも
国内においては
処分はむずかしい、やはりこれは
外国に持
つて行く以外には
処分の
方法はなかろうかと思います。銀につきましては、国といたしましては、銀を
保有して行くという
政策は必ずしもと
つておらないのでございまして、現に
貴金属特別会計におきましても、ことしになりましてからごくわずかな銀ではございましたけれ
ども、
手元の
資金を潤沢にいたしますために、銀を
外国に売り
払つた例がございますが、そういうことにいたしまして、根はやはり
外国に持
つて行
つて処分する以外にはなかろうかと思います。ところがこの銀の
市場というのは、銀は
世界的に供給過剰といいますか、ダブついておるような
状況でございまして、ただそれがはけておりますのは、
アメリカが
銀政策について特異な
政策をと
つておりまして、米
国内の
新産銀は特定の
値段で
政府に売り渡したいという
申出がありますと、買取り
政策をと
つております。従いまして
アメリカにおきます
新産銀は、
相当の
部分が
政府の中に流れておるということであります。そういうことによ
つて、
世界の銀の
需要と供給というものがある
程度バランスがとられておるようであります。従いまして、銀の
市場といつても非常に狭いのでございまして、大きな
市場といたしましては、やはり
ロンドンでありますとか、ニユーヨークというふうなことで、もちろん
南方方面におきまして銀を非常に珍重する
国民性を持
つておるところもございまして、その辺におきましては、普通の貿易
機関等を通じて若干のものの
処分はできると思いますが、この量たるや非常にそう大きなものは期待できない。従
つてできるだけすみやかに大量のものを
処分しようといたしますれば、やはりそういうふうな大きな
市場に持
つて行く以外にはなかろうかと思います。これらの
市場も、どちらかと申しますと供給過剰で、もてあましているような
状況でございますので、従来のいろいろな取引
関係があります中に割り込むのであります。これも
市場に持
つて行くといたしましても、そう大量のものを早急に
処分することはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えられます。
なお銀につきましては、品位が非常に悪いのがございます。これは銀貨でありますとか、銀製品でありますとかいうものを、
進駐軍が
接収中に溶解して、インゴツトにつくり直したものを想像されるのでありますが、品位が打
つてありませんのでよくわかりません。先般その中のこく若干のものを造幣局に依頼いたしまして、品位鑑定をいたしました結果、大体七二〇、ごく昔の銀貨の構成と同様のものということでありますが、大
部分は銀貨が鋳つぶされたものであろうと想像されておるのであります。これらはもう一ぺん溶解をいたしまして、九九〇何という、いわゆる純銀と申しますか、そういうものに鋳返しをして持
つて行かなければ、これは
外国でも受付けるものがないということでございますので、それらの溶解期間等も考えますと、なかなか早急には
処分がむずかしいのではなかろうかというふうに考えているのでございます。
大体この前に
国会で
審議をいただきましたあと、私
どもが
事務的に研究を加えて参りましたもののごく概略をお話申し上げ、御
審議の御参考にいたしたいと思います。