○堤(ツ)
委員 ただいま
中野委員から御発言がございましたが、前回の
委員会において私が
政府に特に申し上げましたように、これは
遺族に
無償貸与ということはたれも
異議がない。しかし他の
国有財産との
均衡ということで筋が通らなければいけない。
従つて今日の政治の腐敗堕落のもとも
国有財産に原因があるものが半ばに達するものと思うのであります。あるいは大きな
国有財産や国有物件をめぐ
つて東京のまん中で何億何百億の金をやみからやみにもうけておるような例が監察
委員会に今日あげられておる、決算
委員会にあげられておる。そういう
立場から
考えましても、やはりこれは一応の筋が通らなければなりませんから、私はこの
法律を審議するにあた
つては、私がこの間御
質問申し上げました
通り、
国有財産に対して
政府の一貫した方針、広く
国有財産と申しましてもなかなか困難ならば、少くとも
社会福祉事業をや
つておるとか、公共的な有意義なものであるとか、国がやるべき義務教育を代行しておるような
国有財産に対しては、今後どうするか、また
軍人会館のごとき接収の対象となり、解散団体の命令を受けたようなものに対しては、今後どういう方針で行くという一貫した
政府の方針が前提とな
つて、やはり
遺族への
軍人会館払下げも、いかに
遺族への
無償貸与を願
つても、それは筋を通してもらわなくてはならないと思います。でありますから、これは少くとも大蔵当局、厚生大臣との話合いによ
つて、あるいは文部
関係も必要でありましようし、少くとも閣議においてきめられなければ、一
社会局長がこれをおきめになることはできないと思うのであります。でありますから
局長は今日お
帰りになりましたならば、
政府の最高方針をこの
委員会において提示される機会をつくられまして、われわれの
法案審議に対する筋を通させていただきたい。これには
委員長の御協力を願いたいと私は存ずるのでございます。
それから
中野委員から御発言がございましたように、いただきました
軍人会館を利用した場合の
事業計画というものを拝見いたしましましても、非常に不安であり、何だか五里霧中のような案である。将来赤字が出て運営困難にな
つたときには、
遺族から金をつの
つたりして赤字を埋めるというようなことでなく国が補償するというような大前提を置くというような御意見もありますけれ
ども、しかし何分にも地の利を得た東京のまん中でありますから、むしろ経営の仕方によ
つては、あのようなりつぱな建物でありますから、赤字よりは、うんと利を生んで行くことは頭の働かしようでいくらでもできると思いますが、そうした場合に、われわれが願うように、遺児や
戦争遺族が真に使われるようにしてもらいたい。小学校の生徒が
遺族だと
言つて来た、それでとめようかとめまいかというときになりまして、こんな鼻たれ小僧はいくら
遺族でもこんなきれいな
軍人会館にとめることはできないと
言つて、特定の幹部が
紹介したお客をでんとすわらせてしま
つて、遺児を入れてもらえないというような場合も想像しなければならぬ。それから八百万遺
家族といわれておりますが、この八百万遺
家族が、せめて一度靖国神社に参りたいというので御上京になる
状態を、私
たち地方におきまして拝見しますが、これは一年間を通じて
相当な数であります。八百万遺
家族のうち、半分が老齢や病人または旅費の
関係などで上京できないとしても、四百万とふんで、この四百万の四分の一の百万の一の百万が、一年に靖国神社を国の保護を得て参拝されると仮定しますときに、これを月に直しますと八方五千ないし九万。この九万が風も吹かず雨も降らず、一年中旅行ができると
考えてみまして一日に三千人を数えるのであります。そうすると三千人の
遺族の
方々がこの旧車人会館に安くとめてもら
つて、そして国の費用でせめてもの靖国参拝ができるということを
考えますと、五年に一ぺんの靖国参拝を期する遺
家族がここにあ
つたとしましても、私は三千人という数はとうてい吸収し切れないと思う。そういうことにな
つて参りますと、やはり優先順位というものがおのずからできまして、
多分に顔をきかすところの特定幹部や、それから特定の
方法を用いて
遺族と称してここにとまり込んで動かない者が出て来たりしたときに、われわれが望むところの
遺族への恩典が行き渡らないわけです。そういう問題をも勘案したときにどうする。
従つてこれは
中野委員だけでなしに、各党そうであろうと存じますけれ
ども、われわれにひとつ見せていただいて、宿泊に使うとしてもどれくらいなものであるか、たびたび申すようでありますけれ
ども、木賃宿程度か大臣のホテル程度か、これも見なければなりませんししますから、
政府はこの
法案をどうしても早く通さなければならない、そうして今から計画しなければならないというのならば、ひとつ連合軍といいますか、極東軍の許可を得て、この
法案を審議する
国会の
委員だけでも中を視察をさせて、そうしてわれわれの頭の整理のできるようにおとりはからいにな
つて、正面から、これの促進をはかられなければ、何だか蜃気楼のようなものを頭の中に描かせておいて、ただこれを通せ通せと言われるので、疑義を持
つてまじめな
質問をする
委員が出て来ると、これは
遺族会に反対してこの
法案の通過をじやまするものであ
つて、反
遺族的行動をするものであるというデマを飛ばし、あげくの果てには、きよう中に通らなければ流れてしまうのだというような圧力が外から
国会議員にかかるということは、私はまことにふに落ちぬことと思います。どうかまじめに
法案が審議できるような順序を立てて
政府は
法案を出されたい、と思うのでございまして、
事業計画並びにいろいろな参考
資料をまとめてみましたところで、なおかつ私
たちは頭がまとまりませんから、ひとつ
政府におかれましてはその点をよく御相談の上、筋の通るように持
つて行つていただきたいということを申し上げておきます。