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1953-07-15 第16回国会 衆議院 経済安定委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十五日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 栗田 英男君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 菊川 忠雄君       長谷川 峻君    神戸  眞君       楠美 省吾君    飛鳥田一雄君       石村 英雄君    加藤 清二君       杉村沖治郎君    中村 時雄君       山本 勝市君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         法制局参事官         (第三部長)  西村健次郎君         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 東辻 正夫君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇四  号)     —————————————
  2. 栗田英男

    栗田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事であります私が委員長の職務を行います。  前会に引続き私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。
  3. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 本日の審議に入る前に、新聞を読みますと、経済審議庁が白書を出しております。これは朝刊にその論評が取上げられておるのですが、今から先の日本の経済計画を書いたような重要な資料が本委員会提出されていない。これは委員会を無視するもので、はなはだもつてけしからぬと私は思う。ただいまから昨日の理事会の予定に従つて独禁法の問題について法制局説明を聞き、質疑応答行つて、その間においてこの関係者にここに出席を求めて、その事情説明願うとともに、その資料についてわれわれは提出を要求するものであります。
  4. 栗田英男

    栗田委員長代理 ただいまその点に関しましては、平井次長が参りますから、その際に御質疑を願います。飛鳥田一雄君。
  5. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 法制局の方に、この独禁法改正案に関して、この委員会で問題になりました法律上の疑義について一、二伺わせていただきます。  まず第一に問題になりましたことは、この不況カルテルなり、合理化カルテルなりを許します場合に、公取認定主務大臣認可二つ条件が必要になつて参ります。この場合に、今までの例によりますと、公取が不認可にいたしました場合には、高等裁判所に対してその不服の訴えをすることができる。ところが今度の場合によりますと、主務大臣の不認可に対しては、特殊の規定がございませんので、一般規定従つて東京地方裁判所不服申立てをしなければならぬ。そういたしますと、このカルテルをつくるかつくらぬかということは、経済的に非常に早く動いて行く事情のもとに決定をして行くわけでありますから、東京地方裁判所の第一審から最高裁判所までやつて行くというようなことは、非常に手間がとれ、当事者にとつても必ずしも利益ではないのではないか。公取の場合には高等裁判所であつた。今度の場合には地方裁判所である。こういうようなアンバランスがどうして現われて来るのか。そこでまたこの問題をこの法律解釈上、どう解釈して行かなければならないのか、こういう点についてお答えをいただきたい。  第二の点としては、公取認定をしないで、そのために主務大臣認可をできない場合に、これを認可すべしという訴訟を起す場合に、訴訟当事者は相手方はだれであるか、当然主務大臣でなければならぬわけですが、その場合に主務大臣に対して裁判所が下した判決は、公正取引委員会まで拘束をするかどうか、覊絆力が及ぶかどうか、これが第二点。  第三点としては、公取認定をしないにもかかわらず、主務大臣認可した場合、これは一見外形的には有効な行政措置として成立をするように見えますが、実質的には公取認定を受けていないのでありますから、その主務大臣認可はどういう効力を持つか、こういうような点がまず認可認定について問題になりました点でありますが、以上三点を御解明いただきたい。
  6. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 お答えいたします。第一の点につきましては、公取認可、不認可処分をする場合には、現行法上は審決をもつてやる。従いまして、これに対してはただちに東京高裁に持つて行くことができる。しかるに不況カルテルの場合の不認可処分については地裁に持つて行くというアンバランスを、どう解釈するかというお尋ねのようでございますが、一般的に申しまして、行政処分に対して不服がある、その処分を違法だとするものにつきましては、第一審として地方裁判所に持つて行く、これはすべての法律をごらんになつて飛鳥田委員承知通りであります。ただ独禁法につきましては、審決という準司法的な手続を経てなされたものについてのみ、これを第一審を省略して、いきなり東京高裁に持つて行くということにしておるのであります。この不況カルテルの場合の認可も、一般行政処分と同じ性質のものでありまするから、行政法上から見ますると、同じ性質のものでありまするから、それ自体としては地裁に持つて行くということは法律上何らさしつかえない。ただ、たまたま同じ独禁法の中において、一般的な行政処分によるものと、それから審決という準司法的手続を経て行われる処分というものが、今度の改正によつて一緒になりますために、今おつしやられたように一見アンバランスということが言われる可能性が出て来るわけでございますが、理論的に申し上げますと、今申し上げたようにさしつかえないのではないか、もちろんこれは立法論として議論はいろいろあると思いますが、さしつかえはないものと私ども考えております。  それから第二の点につきまして、公取認定をしないで、従つて主務大臣認可をしない、不認可処分をした、そうしてそれを訴訟に持つて行て、従つて訴訟によつて認可処分がくつがえされた場合に、これがどうなるかというお尋ね、そういう意味だろうと私は解釈してお答えするのでありますが、もし私の解釈間違つておりましたら、またあらためてお尋ねしていただきたいと思います。その場合におきまして、結局不認可処分というのは、主務大臣処分でございます。これが違法な処分として取消されたということになりますると、結局その判決覊絆力行政事件訴訟特例法の十二条がおそらく適用になるのじやないか。従いまして、当然その判決拘束力というものは、認定をした公正取引委員会をも拘束するというふうに私ども考えておるのであります。  それから第三の、認定公取がしないにかかわらず、主務大臣認可をした、いわゆる瑕疵ある行政行為、それが重大な瑕疵であれば無効な行政行為になるわけであります。無効になつたものにつきましては、しからば認可がなかつたと同じことになるか、それまでにした共同行為というものはどうなるのかというお尋ねと思いますが、これはいろいろ行政法上の取消し得べき行為とか、無効なる行政行為という、いろいろむずかしい議論もそこにありますけれども、私ども考えといたしましては、おそらく認定を経ない、あるいは認定がないにもかかわらずした認可というものは、無効になるのではないか、無効になりましても、それが無効として確認されて、正式にその無効宣言されました事後におきまして、それが無効になるのでありまして、それ以前においてやつた、共同行為について、認可を受けたものとしてやつた共同行為についてまで、それが違法性を持つて来るというふうには、私は行政行為性質上、解釈することは妥当でない、こういうふうに考えております。
  7. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 委員会で問題になりました点は、今のは第一の点ですが、これはせつかく今まで公取審決せられて、それが高等裁判所に出訴するという一貫した体系が整えられているにもかかわらず、その中にいきなりこれをぽかつと、主務大臣の不認可の場合は地方裁判所へという形を持ち込むことが、この独禁法のとられておる一つ法律的な体系を乱すことになりはしないか。なるほど純粋に理論的に言えば、さしつかえないという非常に冷淡な言葉で終つてしまいますが、そうでなく、そういうことが立法上下体裁じやないか、こういうことが問題になつたわけです。この点について、もう一度当局の御見解を伺わしていただきたいと思います。
  8. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 せつかく独禁法というものが一つの理念を持ちまして、一つ体系を持つてつくられておるにかかわらず、従来の体系を乱すような一つ規定が入るということは、立法上下体裁じやないかという飛鳥田委員の御批判でございますが、それは従来の独禁法に盛られている内容と多少異なつて、今度の不況カルテル認可というもの、これが実は非常に重大であります。もちろんその認可の基準というものは、はつきり法律にきめられております。これについては主務大臣もそこにおいて一枚加わるということを建前とします以上、当然その点におきまして、従来の独禁法建前プラス・アルフアーというものが、新しい改正法案として加わるということになつたと解釈すべきではなかろうか。そう考えますと、従来通り独禁法であれば、あるいはそういう、おつしやるようなことも出て来ると思いますけれども、新しい改正案としての独禁法として考えてみます場合には、必ずしも私は不体裁というのは当らないのではないか、あるいは不体裁という言葉とりようでございますけれども、いろいろな訴訟手続があるということはおかしいじやないか、一見しておかしいじやないかという、これは立法上枝術上拙劣だという御批判も、私ども当らないと申し上げるわけじやございませんけれども、今申し上げましたように、やはりそこにそうなるべき合理的理由があるとするならば、これは認められてしかるべきじやないか、かように考へます。
  9. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 その点、お話はよくわかるのですが、しかしカルテルを容認するかしないかということは、一つの、不況時に際会してという条件が付いておるわけです。事は早急を要するわけです。もし時間的に二年も三年も過ぎてしまつては、けんか過ぎての棒ちぎりですから、ほとんど意味をなさない。こういう点から考えますと、この問題は早急に解決されて行かなければならないということは、この独禁法の持つておる使命から見て当然だと思います。そういうところから考えますと、地方裁判所に出訴する、高等裁判所に行く、最高裁判所に行くというような形をとつておりますと、ほとんどナンセンスになつてしまう。こういう実態を考えてみますと、ただ異質なものがここに混入をして来たということだけでは、解決のつかない問題じやないか、こういうふうに委員会委員の方々は考えておられるわけです。理論的に、主務大臣が一枚加わつて来たんだから、そういうエトロジエンな要素が入つても当然だということでは、現実は一歩も進んで行かない。これは法制局の方に申し上げることは的はずれかもしれませんが、やはり法律を立てていただく側からしても、現実の要求に即応するような法律をつくつていただかなければならないはずですが、この点を何らかもつと、地方裁判所に出訴するという問題を改めて、今までと同一の体系の中にこれを入れて行く、こういう立法技術があり得ないものかどうか、お考えになれないものかどうか、こういうことも伺つてくれという仲間の委員お話ですが、どうですか。
  10. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今お話の点の、第一審からやつて行く、それは御承知のように、訴訟は非常に時間がかかりますので、急場の間に合わぬじやないか、それが高裁に係属することになれば違う。高裁にいきなり持つて行けばそれはもちろん時間的に早いでしようが、率直に申し上げまして、これすら急場の間に合うかどうかという根本的な疑問はあると思います。一般的な訴訟の問題と関連した議論である。その点につきましては私ここでいろいろ申し上げることはちよつと差控えたいと思いますが、今申し上げました迅速なる処置をするために何らか立法技術考えられないかという御質問に対しましては、これは何も公取審決だから第一審を省略することが許されるのだということはありません。たとえばたしか私の記憶に誤りがなければ、電波監理委員会の存在しました当時、電波監理法処分について異議申立てをした。俗にいう準司法的手続をした。それをやつた後にいきなり高裁に持つて行つたということに記憶しております。それと同様に、この場合においても行政庁処分でありましても、何らかそこにデピュートする手続があれば高裁に持つて行くということはもちろん考えられますが、私どもとしては、むしろ第一審を省略するということは、できるだけ裁判を受ける機会をそれだけ失わしめるという意味においてよほど慎重に考えなければいけないということで、従来からわれわれはきわめて限定した立法に対する態度をとつております。この場合には、はたして第一審を省略するということがよろしいかどうかということはよほど研究の余地がある、こういうふうに考えます。
  11. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今のお説ですと、結局今まで規定されておりました公取審決というような手続についても御疑問を持つておられるというふうに受取れるのですが、私は少くとも今までの公取審決に対する不服というような形がそう大きな弊害を生じてない、こういうふうに思うのでありまして、こういう形を主務大臣認可に対する不服の場合にもとり得るのじやないか。そしてまた一般通常裁判所よりも、公正取引委員会の方が、カルテル裁判所といつてはおかしいのでございますが、それに近い現実に適した審査能力を持つておる、こう考えるわけです。何も特にこの主務大臣の場合だけを、なるべく裁判を受ける機会を多からしめるということで第一審から開始させる理由が発見できないのです。個人的なことを言うとおかしいのでありますが、私は弁護士をやつておりますので、訴訟の進行の程度を知つておりますが、一番時間のかかるものは率直に申し上げて第一審です。高等裁判所に入りますと比較的スムースに行くのじやないか。一番手数のかかる第一審のこういう事案を専門的に取扱つておられる公取審決していただく。しかもかかる経験に徴していろいろな証拠を集めていただき、万全の審査をしていただくということができれば、むしろその方が実質的には当事者にとつて親切なんじやないかと思うのですが、今のお話で、なるべく裁判機会を多からしめるというお考えであるなら、今までのものも元へもどして行くことの方が法体系整つたものになる、こういう、ふうに考えざるを得ないのですが、どうですか。
  12. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 私の言葉が足らないためにちよつと誤解をお持ちになつたかと思いますが、私は、なるべく訴訟の第一審を省略するということは遠慮したいということを申しましたのは、これは一般的なことを申し上げたわけであります。公取審決という現在認められておる制度に対してすら、私が今疑問を持つておるというふうにおとりになると、私はそういうふうにはもちろん思つておらないわけであります。公取審決というのは、公正取引委員五人の会議制機関によつて、慎重なる手続を経て、専門的な知識を持つてやられるものであります。また先ほど申し上げました旧電波監理委員会もこれは会議制機関である。そして非常に慎重な準司法的手続をもつて処理するということであります。この場合における認可につきましては、法律上で申しますると、主務大臣認可に対して公正取引委員会異議申立てをする、異議申立てを受けた公正取引委員会審判手続を経てやるということは立法上可能でありまするけれども、それにしましても、この場合の処分は、普通の主務大臣行政処分——認可という処分でありまして、審決をもつてするというわけには参りません。独任制機関についてはちよつとそういうわけに行かないのじやないか。従つて考えられることは、異議申立てという一つ段階を経る二とになつて行く。その制度飛鳥田委員のおつしやるところはよくわかるのでありまして、立法論としてそういう制度も十分考えられるのでございますが、従来の審決をそのままここに持つて来るというわけには参らない、こう思つておる次第でございます。
  13. 中村時雄

    中村(時)委員 今の通産大臣許可をして、そうして公取において認定をする場合、もし通産大臣がこの許可をして、公取認定をして行かなかつた場合は効力を発生せぬというが、その根拠というものはどこにありますか。
  14. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 主務大臣認可をしようとするときには、公正取引委員会認定を得なければならないという前提要件があります。従いましてその認定ということが一体認可という行政行為内容としてどの程度重要性を占めるかという問題になるわけであります。認可という行為内容要素であれば、これは要素を欠くので、行政行為としては重大な瑕疵があるので、無効になる。おそらくこの場合においては、無効になるというふうに思つてさしつかえない。こういうことを申し上げたのであります。     〔栗田委員長代理退席武田委員長代理着席
  15. 中村時雄

    中村(時)委員 もし逆に今度は公取の方で認定をして、これを許可しなかつた場合にはどういうような根拠ですか。
  16. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 この法律不況カルテルにおいては認定認可という二つ段階がありますので、非常にいろいろな混迷を生じておるかと思いますが、今の場合私の考えといたしましては、公取認定したにかかわらず、主務大臣認可をしないということももちろん理論的には可能と思います。但し実際問題として私そういう場合はあまり考えられないのではないか、私ども実は率直に申し上げて、この法案の立案の過程においてはずいぶん検討いたしましたけれども、理論的にはそういうことも考えられる。こういうふうにお答え申し上げておまきす。
  17. 中村時雄

    中村(時)委員 それならば現実的にはそういうことがないであろうという推察があるならば、何も二本にしてこういう法案をつくる必要はないのではないか。一本にまとめるという方式はとれないのですか。
  18. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 今御質問の御趣旨ちよつと私によくわからなかつたのでありますが、あるいは認定認可という二段階でなくてもよいのじやないかという御質問かと思いますけれども、これはいろいろ公取なり、諸官庁から御説明があつたと思いますけれども、結局不況カルテルあるいは合理化カルテルというものは、その経済界に及ぼす影響というものは事は重大である。従つてこれについてはその産業を所管する大臣においても、所管の権限という立場の上からこれを見るということが適当でなかろうか。そういうことで両々相まつて認定認可が相まつて一つのここに合法的なものとしてカルテルを許すということが一番妥当ではなかろうかという見地に立つてこういう案にしたのであります。もちろんこの点いろいろ立法的に御議論があるところだろうとは存じております。
  19. 中村時雄

    中村(時)委員 公取委員長とお二人にお聞きしたいのですが、かりにこういうふうに通産省では許可権を持つて、そして公取委認定をする、しかも認定をしなかつた場合には、許可ができないという論法になつて来る。現実的にはそうだとおつしやる。そういたしますと、実際に先ほどの法制局の方のお話では、現実にはそういうことはないというような言葉をはさまれましたが、現実にはたとえば綿紡のような場合、カルテルにひとしいような形が出ておるわけであります。ところが公取に対しましては、何の異議申立てもしていない。そういう現実行政機関における力のバランスの上において行われて来ている。そういたしましたところの現実を取上げた場合、なぜこれが今言つたように複雑に二重の段階を経なければならぬかということについて疑問が出て来る。だからこれを一つにまとめた方が簡単じやないかということが出て来ると思います。
  20. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 ちよつと語弊がありますが、輸出取引法という法律によりまして、独禁法において大きな例外を設けております。この輸出取引法につきまして御説明申し上げますと、今の点があるいはもつとはつきりいたすのではないか。言いかえれば、輸出取引法と申しますものは、これは輸出取引について、いわば独禁法特例を設けたものである。その場合におきまして、輸出取引法では主務大臣認可することになつている。この場合は通産大臣であります。これについて独禁法上の関係もございますので、公正取引委員会の同意を得るということになつております。これについても今の中村委員お話のごとく、極端に言えば、それは一つでいいんじやないかという議論ももちろん出て参ります。やはりこの場合には一般的なものよりもより強く主務大臣がその場面に対して発言力を持つ必要がある、そういうことになつておるのでございます。独禁法についても不況カルテルについては、やはりそれと多少のニュアンスの相違はありますけれども、今申し上げたように、主務大臣認可をする。そして一般独禁法上の認定公取委がやるということが一番適当ではないかということであります。
  21. 武田信之助

  22. 栗田英男

    栗田委員 法制局長官お尋ねいたします。第一条に、一般消費者利益確保するということが最後にございますが、私はどうも一般消費者利益確保するというこの表現は適当ではないのではないかと考えるのであります。もちろん法律そのものは、一般消費者だけの利益であつてはならない。生産者利益、あるいは国民全般利益でもなければならない。そういう意味において特にこの法案の目的の総則の中に一般消費者利益確保するという表現を用いたことはどういう理由か、この点に関しまして御説明を願いたいと思います。
  23. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お尋ねの点は、法律の問題よりも、実質上の問題で、あるいは横田委員長からお答えすべきことかと思いますが、要するに第一条には言葉がいろいろ使つてありまして、その多くの言葉の中の一つとして、今御指摘の一般消費者利益というものが入つておるわけであります。これが間違いであるかどうか、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、たとえば大きな独占事業ができることによつて消費者利益が害されるということは当然予想されるわけでありますから、そういう意味でその言葉をここに入れても、決して不適当なことではないのではないか、そういう常識論しか私は申し上げられないのであります。
  24. 栗田英男

    栗田委員 私はこの表現方法は、やはり一般消費者というよりは、公益を確保するとかあるいは国民全般利益確保するというような表現の方が適当ではないかと考えております。  次に、第二条でありますか、第二条の七号の不公正な取引方法定義でありますが、不公正な取引方法定義で、旧法においては各号の行為は不公正な競争方法であるということに定義づけておられるにもかかわらず、今度の改正案には、違法行為というものを列挙して、しかも公取委が指定するものとなつておる。この点は非常におかしくて、むしろ旧法の方が法体系としては非常にしつかりしておると私は考えておるのですが、どういうわけで違法行為を列挙して、しかも公取委が指定するものというような表現をしたのであるか、その経緯を承りたい。
  25. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども考えは、もちろん旧法の行き方が決して間違つておるとは思いませんけれどもこの法案ついても、いろいろ批評が出ておる。どうも漠然としておつて、とらえどころがないじやないかというようなことも聞くのであります。われわれとしては不可能なものはやむを得ませんけれども、可能な限度においては、なるべく具体的にしようという努力はすべきではないかということから、今御指摘の規定も何か具体化の努力を公取委にしてもらう、これは理想的にすべての行為を一々列挙することは困難ではありましようけれども、この法案の一から六までに書いてあるところをもう少し具体的な指定をしていただいて、はつきりさせていただく、それだけの気持であります。でありますから、われわれとしてはむしろこれは一歩改善したつもりで、実は自慢にしておつたところなのであります。
  26. 栗田英男

    栗田委員 こういうような規定にいたしますと、たとえば旧法ではこういうことは悪いことであると決定をしておつたのでありますが、今度はこういうことをかりにしても、公取委が指定をしなければ悪いことではないということになるので、私はこの点が非常に疑問であるということと、もう一つ公取委の扱い、すなわち指定いかんによつては非常に不公平になるということも出て来る。あるいはまた違反行為のあとをどんどん追つかけるようにして公取委がこれを指するような結果になりはせぬかということ、それから特にこれを遵法する方から見たならば、この法の解釈は非常に困難であつて、はたしてどういうところが指定されるかという境が非常に困難であるというように、いろいろ不公平な面が出て来ると思うのです従つて実際運用の面において、こういうような弊害が起きるかどうか、この点に関しましては、法制局長官公取委員長とのお答えを願いたいと思います。
  27. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お話通り公取委が当然社会通念上指定すべきものを怠つて指定しないということになれば、おつしやるような弊害が出て来ます。しかしながら今の栗田委員の最初の御質問で第一条をおあげになつたのですが、公取委がこの法律を運用するには、あくまでも第一条の精神にのつとつてこれを忠実に具現して行くというのが第一条の要請するところであり、命令しておるところであるという点から申しまして、指定すべきものは当然怠らずこれを指定すべきであるということは、当然の法律の表から働いて来るというように考えております。
  28. 横田正俊

    横田政府委員 前会この指定の問題について申し上げたのでございますが、少くとも現行法よりは一般国民の方によくわかつていただくような指定をいたしたいと思つております。もちろん非常に不公平な指定などはいたさないようにいたすつもりでありますし、ことに特殊の事業につきまして特殊の指定をいたします場合は、第七十一条のその業界の意見なり、あるいは公聴会を開く等の措置をとりまして、万全の手続をふんで指定をいたしたいと考えております。
  29. 栗田英男

    栗田委員 これに関連をいたしまして、旧法では、第七号に、前各号に掲げるもののほかに、また公聴会を開いて公正取引委員会が指定をするということがあつたのでありますが、これは削除いたしております。そこでこれを削除した理由はどこにあるかということであります。これは法制局長官に聞きたい。  それから公正取引委員長に聞きたいことは、こういうものを削除してもさしつかえないかどうか、今までやつておつた関係上。それからこの法を適用して、これに該当する事件があつたかどうか。
  30. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ごもつともに存じます。先ほど触れました、私どもが今度この形をかようにかえた趣旨にこれはつながる問題でありまして、御指摘の、旧法と申しますか、現行法ど申しますか、どちらでも私はけつこうだと思いますが、旧法にあります七号のようなものを残しておきますことは、それこそどういうものが指定されるのやらさつぱり見当がつかぬというので、不安定な状態、不安心感というか、安心感を与えない。不安心感の根拠になるのではないかというところから、かようなものを削つてわくを一、二、三、四、五、六と六つあげて、その中での指定の問題に限つてしまつたという趣旨でございます。実際の問題は私全然存じませんから、横田委員長の方からお答えいたします。
  31. 横田正俊

    横田政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は不公正競争を法として取上げた事件がたくさんあるかということでございますか。あるいは七号を削除した……。
  32. 栗田英男

    栗田委員 適用した事件
  33. 横田正俊

    横田政府委員 この七号といたしましては、今まで指定いたしましたものは、しようゆ、みそ、カレー粉、ソースというような日常生活にきわめて密接な関係がございます事業につきまして、御承知の非常に不当な景品つき販売が行われました、それにつきましてこの七号を発動して指定をいたしました。もう一つは海運業につきまして、海上運送法の中にも規定がございますが、それと同趣旨の事柄を不公正競争方法として指定をいたしました。現在までこの五つでございます。
  34. 栗田英男

    栗田委員 そうすると、今の、みそ、しようゆの景品つき販売などというのは、一般消費者利益確保する重大なことで、この号が削除された場合に、そういうようなものを引続き審査する上においてさしつかえないかどうか、この点に関して委員長から……。
  35. 横田正俊

    横田政府委員 それは大体今までの一号から六号までの中に入ると言われれば入る事柄でございましたが、しかし特にああいう形をもつてこれは不公正競争方法であるということをはつきりさせる必要がございましたので、正としてそういう意味から指定をいたしましたので、もし今後同様な問題に対していわゆる具体化の意味の指定をいたしますれば、今回の新法にありますように、第三号の「不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘因し、又は強制すること。」誘因するというこの第三号に基きまして具体的な指定をいたす、こういうことになりますので、七号が削られましても別に不都合はないと思います。
  36. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 第二条の第七項の問題ですが、これは前回公取委員長から伺つたのですが、法制局長官に伺いたいと思うのです。この第七項の列挙事項に一、二、三、四、五、六とありますが、第一号から申し上げます。「不当に他の事業者を差別的に取扱うこと。」こういうように、一、二、三以下に「不当」という字が使つてあるのでありまして、不当に云々と書いてあるが、これは私どもから言うならば、それ自体もう不公正な取引の中に入つているんじやないか。であるから、指定がなくても現行法のように——現行法の六項では、「他の事業者から不当に」云々、こう書いてあつて、別に公取が指定しなくても不当はすぐに取締つていいと書いてあるのですが、改正案の七項の一、二、三、四は、不当であつて公取が指定しなければさしつかえないのだという解釈が出て来るものと私には考えられますが、いかがでありますか。
  37. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど栗田委員にお答えしたところと趣旨は同じことになると思います。ですから、われわれの考えておる趣旨は、「不当な対価をもつて取引すること」ということがあつて、ただちにそれが禁止条項になるということでは、この「不当」の観念というものは、申すまでもなく社会通念上どうも正当とは思えない、不適当だと思うような漠然たる文字であるということは御承知通りであります。そういう点からもう少し具体化したいということがむしろねらいでありまして、指定によつてその範囲を具体化し、明確ならしめるというねらいであります。
  38. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そのねらいはけつこうなんですけれども、そうすると、そのねらいとかなんとかいうことよりも、公取が指定しなかつたならば不当でもさしつかえないじやないかということに解釈ができやしませんか。それを私は伺いたい。たとい公取が指定しなくても、不当であつたならばそれはいけないんじやないか。法律の条文に不当なものを認めるようなことを書かれるということは、私は法律の体裁としていかがかと思うのですが、その点の御所見いかがですか。
  39. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御趣旨はきわめてよくわかります。不当であるものを公認する形になりはせぬかということですが、これは普通に広く考えますと、世の中に行われていることを、正当なことと不当なことと二つにわけることは当然できますが、その不当なものの中で、法律が押えつけてしまうというものは限界があると私は思います。すなわち、われわれが社会通念上不当なことだと考えておりましても、刑法の条文を拾つて、何ら載つていないものがあります。そういう意味で、不当というものを分析してみれば、法律でこれに制限を加えるに値する、その必要があるものと、法律としては野放しにしておいていいものと、観念上この二色あると思います。従いまして、今御指摘の問題としては、その点から申しますと不当をここで承認したということにはならないと思います。ただそれにつけ加えて、むしろ重点として申し上げたいのは、先ほど栗田委員にお答え申しましたように、公取が指定すべき場合、公取の態度としていかにあるべきかということは、この第一条の精神から見て押えなければならぬ、法律の期待しておるような事柄はすべてこの指定の形において押えるのが公取の責任であるという意味においてこの条文ができておるというふうに申し上げなければならぬと思います。
  40. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 これはもういつまで伺つてつても同じなんですけれども、そうすると、ここに「不当」という「不当」の解釈は、いわゆる法律上の不当なんですか、経済上の不当なんですか、この不公正ということとどう違うのでありますか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は現行法が悪いとは言いません。現行法間違つておるとは思いませんけれども、これがなおいいということを申し上げようと思つてそういうことを申し上げたのであります。要するに不当と申しますのは、今申しましたように、社会通念上穏当を欠く、不適当であるということ、文字としてはその言葉に尽きる、思います。そこで今のお言葉にはなかつたかと思いますけれども、この本文の方で「公正な競争を阻害するおそれがあるもの」という一つのサーチライトをそこから照らして、その関係から見て不当なものということがここではつきりして来る。さらに先ほど申しましたように、第一条の大目的がそこにかぶつて来て法案上のその「不当」の範囲というものがだんだんはつきりきめられて来る。不当という字だけを抜き出してみますと、いろいろな角度から見て、倫理道徳上の不当なことも入つて来ます。取引上の不当あるいは経済上の不当の関係のみならず、非常に私は不当という言葉自身は漠然たる言葉じやないか、そうすると現行法間違つておるじやないかとおつしやるだろうと思いまして、現行法間違つておりませんが、ということを最初に申し上げたのであります。それだけのことであります。
  42. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ちよつとそれに関連して。小さなことで恐縮ですが、そういたしますと、この法律に書かれておる不当という言葉は、法律的な評価じやない、こういうことですか。どうも私よくわからないのですが、法律上の解釈でなく、道徳的な評価である、こういうふうに今伺えたのですが……。
  43. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 不当という文字だけを抜き出して判断しますれば、道徳的の見地からの不当性というものも入つて来ることは、これは日本語の問題としては、そういうことになります。しかしながら今の条文の柱書と申しますが、本文には、「該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれのあるもの」という言葉もかぶつておりますし、さらに第一条の大目的もかぶつておりますから、そういうもので制約された意味の不当ということでありましよう。しかしてさような結果になりますと、これは独禁法という法律上の不当であります。そういうことになります。
  44. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもはなはだ恐縮ですが、この法律現実に民間におろされて、民間が適用する場合に、今のようなお説では、実際の実務家が運用できないと思うのです。はなはだ失礼ですが、不当という文字が、今まで私たちが知つております限りの法律の中で、不当という言葉法律的の評価以外に使われておつた例は私はあまり知らないのですが、その点、法律的な評価として不当という言葉が使われているのか、あるいは道徳的の評価として不当という言葉が使われているのか、やはりこれは明確にしておいていただきませんと、一般の実務家が困ると思います。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 話の持つて行き方が、先ほどからの御質疑につなげて申し上げておりましたから、さようなことになりましたけれども、結論をずばりと申し上げますれば、法律的の評価から来る不当である、これははつきり申し上げることができます。
  46. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、法律的に評価した不当の中で、さらにまた公取の指定するものという、さらに高度な法律的な不当という問題が現われて来る、こう解釈してよろしいでしようか。
  47. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それをはつきりさせるために、この指定ということによつて公取が具体化する……。
  48. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 いや、そういう二段があるかないかということを伺つておるのです。法律的な評価としての不当という言葉が、この一号、二号、三号に使われておる不当という文字だとすれば、さらにその法律的の評価としての不当の中で、より高度な不当性を公取が指定するのだ、こういうように二段の不当がこの条文の中にあると解釈してよろしいかどうか、こういうことです。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは文字から申しますと、今の本文にありますように、該当する、阻害するおそれがあるもののうちと書いてある、そこに今の御疑念がおそらくあると思います。従いまして、公取がこの第一条の精神に照して一応不当である。しかしその中に忍び得る不当と忍びがたい不当があると、かりに判断しますれば、忍びがたい不当のものを指定されるでありましよう。全部がこれが放任できないものであれば、全部を指定される、文字からいいますと、うちという言葉がありますから、そこに公取の判断が加わるということはあると思います。
  50. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 はなはだ恐縮ですが、言葉じりをとらえているようで申訳ありませんが、法律的に不当という場合に、忍びがたい不当と、忍び得る不当などというものがあるという例は私は聞かないのですが、はなはだ失礼ですが、今までの法律の中で、不当と述べられる場合は必ず忍びがたき不当である。法律は今まで道徳的には不当であつても、法律的に許し得るものを不当だとは呼ばなかつと思いますが、どうもその辺の概念が明白でありませんので、恐縮ですが……。
  51. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 法律言葉といたしましては、違法という言葉を使つている場合もあります。法律に違反するというような言葉を使つておる。その場合はおよそ法律にきめたことにそむくわけでありますから、よくないことはきわめて厳格にはつきりするというわけでありますが、不当ということになりますと、不当という言葉を使つた法律は私はあまり知りません。知りませんけれども、ここで申しますのは、この法律の特殊性からやむを得ずこういう言葉を使つたので、そうすると第一にこの不当の観念は先ほど私がちらつと申しましたように、道徳的に見て不当だというものも文字からいえば入つて来るじやないか、しかしこれはこの法律の精神からいつて、そんなものは入るわけはないから、そこでのけられる。そうすると今の独禁法の目的上、不当ということが一つのわくとして出て参ります。そこで今度は公取がこの指定をするについて、独禁法の目的上、一応不当と考えられるもののわくの中で、具体的に列挙指定行為をすることになる。そこで私はよけいなことを申したかもしれませんが、うちということになるから、うちという言葉をまつ正直に読めば、そのうちには忍びがたいものと、忍び得るものと二つあるからこそ、うちという言葉を使つてあるのだということを申し上げただけなんで、これは第一条の精神からずつとかぶつてみれば、公取がそうわがままな判断ができるはずのものではないと思います。この法律の精神上、不当ということになれば、みんな忍びがたい不当であるに違いないのであります。これは全部指定される、こういうことになるのじやないかと思います。
  52. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そうしますと、一番最初に杉村さんが疑問を持たれた、法律の立て方として、不当ではあるが許される不当というものも一応あるような感じを与える法律の立て方、こういう立て方というものは好ましいものじやないじやないか、こういう御疑念が出て来ると思うのですが、私もそのことが疑念でありますために伺つたのですが、こういう立て方は、そういう法律的に見て不当なものがあるが、その中には許されるものがあつて、許されないものだけ公取の指定をまつんだ。指定を受けない部分は、不当ではあるが許されるという感じを与える条文よりも、むしろ前の条文の方が明確じやないか。そういう立場においてはすぐれておるのじやないか。むしろ前のすぐれている立場において、その中でさらに具体化の作業を考えられて行く方がいいのじやないか、こういう疑問が出て来て、前の現行法よりもこの改正法の方が明確だという御説明が、どうも納得行かなくなるのですが、御説明をいただきたいと思います。
  53. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私はどうも今のお尋ねが納得行かぬのですが、現行法で申しますと、われわれが民間の側の立場に立つてみますれば、どういうものが不当になつて、いけないことになるかということは、一々、公取審決例があるかないか知りませんが、それの集積をまつて、その先例を見て、なるほどこれは悪かつたかなということは、それは判例が出た分は、それはそれでわかります。それ以外においては、あるいは公取に相談部というものがあるかどうか知りませんが、そこに一々伺いを立てに行つて、これは大丈夫でしようかという、そこがなければならぬのは、かりにわれわれが民間の立場に立つて考えたら、そういうことだろうと思います。ところが今度はできるだけ具体的な措置をとつて、指定するということになれば、その中の大部分の煩瑣な判例と申しますものは、私は避け得る、これはどうも普通の常識で考えてそういう結果になると思つておるのでありますが……。
  54. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今の杉村さん初め、私など含めたものの疑問に、もう一度まつ正面にお答えいただきたいと思いますが、今の七号はくどいようですが摘発される不法を残すという印象を与えることは事実だと私たちは思うのですが、それに対する御感想を伺いたいこと……。その問題とどちらが業者にとつて便利かということは別個の問題だと思います。そこでどちらが業者にとつて便利かということになれば、やはり七号の規定の立て方でも同様なことが言い得るのではないか、少くともあらじめ公取が先手々々と打つて、業界の進展に先手を打つて指定をしていただけるならば別ですが、指定というのは大体あとから遅れて出て来る場合が多いと思います。そうであれば今現行法について、あとから審決例を見て、なるほど悪かつた、こういうことになるので、不安定だ、こうおつしやるのは同様な意味で、公取の指定が出てみなければわからない、いつ公取の指定が出るだろう、いつ公取の指定が出るだろうということで、もしお説のような不安定の状況というものを問題にするならば、一向問題はよい方に進展していない、同様の状態がそこに存在する、こういうふうに私は考えないわけにいかないと思うのです。ですから、その不安定な状況を公取の指定という面で除去できるかどうか、現実の問題はやはり見ていただかなければならないと思うのです。指定は私はよく知りませんが、多分あとあとと経済界の進展におつかけて出て行くものだと思います。
  55. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはまさにおつしやる通りだと思います。ことにあの現行法における七号のごときものは、まさにその通りだと思います。されはこそどういうものがあとからおつかけて出て来るかということの目途については、なるべくはつきりしておく方が、一般の国民の立場から言えば、安心感があるのではないかということから、七号を削つて、一、二、三、四、五、六の形にわけて、一応の目途を六つ設け、その中で、さらに具体化の措置をとるということでありますから、今の点から申しますれば、この新しい案の方がきわめて親切であろうと考えておつたわけであります。
  56. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今前の七号がそういう印象を与えるかどうかということについてのお答えがなかつたと思うのです。それともう一つ、一、二、三、四、五、六の事実をあげて、より具体化したというお話ですが、むしろあいまいになつていると私は思うのです。「不当な対価をもつて取引すること。」こういうことは一般の業者が見てすぐわかるでしようか。はなはだ疑問だと私思うのです。かえつてぼけていやしないか。不当であるかないかということは業者の主観にゆだねられる、こういう点から考えて参りますれば、不当な対価をもつて取引することなどということは、お前悪いことをしてはいけないぞと言うのと同じだと思う。お前悪いことをしてはいけないぞと言うより、盗むなかれ、殺すなかれと言うことの方が明白だと思います。不当な対価をもつて取引することということは、お前悪いことをしてはいけないぞと言うことと同じであつて、こういう条項をおあげになつて具体化が進んだというお考えは私は取消していただきたいと思うのです。そしてその中からさらに公取委員会が指定するものということになると、公取委員会がそれではどういう基準で指定するかという基準が、正直申し上げればこの一、二、三、四、五、六の条項の中に現われていなければならぬはずです。そういう場合に、不当の対価をもつて取引することというこのあいまいな基準をもつてさらに公取が指定をされるわけですか。そうすると、公取はこの不当な対価をもつて取引することということを、公取の今までの経験に徴して具体化して行かなければならない。そしてその具体化の作業というものは、やはり今の現行法に対して長官の言われたように、審決例なり何なりを見て行かなければならない。そうすると、結局一般の業者なり民衆が具体化をして行こうとすれば、やはりそういう形をとるよりしかたがない。そうすると、ちつとも進展じやない、こう思うのです。
  57. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 どうも御趣旨がよくわかりませんが、今の不当なというあいまいさをおつしやるといたしますならば、現行法でもやはり不当なという言葉をたくさん使つてつておるわけでありまして、そのあいまいさは一向かわりはないわけであります。いわんや私をして言わしめるならば、さらに七号というものがもう一つくつついておつて、何が指定されるか全然見当がつかないような形になつておる、その意味から言えば、今の不当であるというようなあいまいさは同じであるにしても、その上に公取の指定ということが加わつておりますから、これが逆行であるというお言葉は私どうしても納得できません。
  58. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 他の方の関連質問の中でわれわれも納得できるか思つて聞いておつたのですが、どうも納得できないので伺うが、この不当ということの解釈は、公取の不当という解釈と民間人の不当という解釈と違つて来るような結論になるのではないですか。つまり民間人が何をやろうとも、不当なことをやつてつてもさしつかえないのだということになるのですよ。つまりこの七項から行けば、公取で不当と言わなかつたらさしつかえないのだという結論になるでしよう。公取からそれはいけないということを指定されるまではやつてつていいことになる。そこでこういう取締り規定は、結果が出てからそれをやるということになれば取締り規定としても非常にいけないのではないか。現行法のように、公取が指定しなくても「不当に物資、資金その他の経済上の利益の供給を受けず、又は」云々、あるいは「不当な差別対価を以つて、」云々、こういうふうに書いてあれば、これ自体が悪いのだぞというので、もう民間人がやらないうちから、ここに悪いこと、いわゆる不当なることはいけないのだということが掲げられるわけです。ところが今度の法律は、不当であつてもいいのだ——いいのだと私が言うように言つたならばあるいは語弊があるかもしれませんが、この条文の解釈から行けば、不当であつても、公取から指定がなかつたならばさしつかえないのだという理論がはつきり出ると私は思う。そうすると、いわゆる予防的意味というものが含まれておらない。現行法から行けば予防的です。不当な対価をもつて云々ということは、それはいけないのだというふうに公取が指定しようが、しまいが、不当なることはしてはいけないのだということになつている。それを民間人がやつた場合には、これはこういうわけでいけないのだといつて取締ることができるけれども、これから行けば、不当であつても、公取から指定されない限りはさしつかえないのだという解釈がどうしても出て来ると思うのですが、その点いかがですか。
  59. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 どうも御趣旨よくわかりませんが……。
  60. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 趣旨がわからなければさらに申し上げます。それはどうかと思う。こういうことを申し上げてははなはだ失礼ですが、われわれも弁護士として法律事務を扱うことを職業としている者ですし、皆さんも同じようにみな法律家でありますが、これはわれわれにもこんなにわからないのです。ところがこの法律の適用を受けるのはたれでありましようか。それはまつたく法律学を修めたような人じやない、一般大衆がこの法律の適用を受けるのではございますまいか。ですから、われわれ法律家がかくのごとく法制局長官に伺つても納得できないようなこんな法律が、はたして民間人に納得できるでありましようか。私はまずその点を伺いたい。あなたは私の申し上げる趣旨がわからないというが、どういう趣旨がわからないのですか。
  61. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 今おつしやいますように、一般大衆がわかりやすいようにという趣旨は、先ほど来私が申し述べましたように、この改正案を形をかえたという点はまさにその趣旨に出ているということであるわけであります。従いまして、ただ「不当」にとあつて、どういうものが現実に不当なものに当るかどうかということについて、一般大衆の立場から見てわかりにくいだろう、そこでなるべくはつきりさせた形において、この公正取引委員会の指定という具体化の手続をそこに加えることによつてさらになおはつきりするだろう、それだけの気持であります。
  62. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、こういう条文があつても、公取からの指定がない限りは不当というものは出て来ないですか。
  63. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 不当というものの確認と申しますか、そういうことをこの法律の趣旨に照して公正取引委員会が指定の形において表わすということではないかと思います。
  64. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、民間人が不当と考えていることであつても、公取が不当とこれを指定しなければ不当ではないということになるのですか。
  65. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 かりにわれわれが民間の立場としますれば、独占禁止法の条文をそう縮めて読んではおらぬと思います。従いまして、独占禁止法の立場から行つての不当というのはどういうものであろうかということの的確なる判断は困難であろうと思うわけであります。せめてその判断を助ける意味において、指定をして列挙して行くということは、むしろ益こそあれ害があるとはどうも考えられないという気持であります。
  66. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、ますますおかしいのだよ。法制局長官が民間人はさほどに考えていないのだということをおつしやることはたいへんなことであろうと私は思います。そういうお答えはまことにどうも困るのです。そうすると、さつき言つたように、不当という文字の解釈は、公取の不当の解釈と民間人の不当の解釈とが二通りあるということを含んでおるということは、あなたの御説明から行けばいかがですか。
  67. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この法律の執行は要するに公正取引委員会がやつておりますから、おそらく公正取引委員会の判定と申しますか、認識というものが、やはり権威を持つことになる、これは当然であると思います。従いまして、あるいは一般民間人の考え方、その立場からの考え方としてはいろいろなずれがあり得ることは、社会の事実としてやむを得ない。そこで、この執行の責任を持つておる公取がどういうものを考えておるかということを具体化する道を設けておるということであります。
  68. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも私どもは、これから先いかに伺つても、あなたの御説明では納得できないのでありますが、この前のはまことにはつきりしておる、不当な差別対価をもつて物資を云々、これはいけないんだぞと規定しておるにもかかわらず、このようなわれわれが聞いてもわからないようなことに改正しなければならない理由は那辺にあるのでありますか、それを伺いたい。
  69. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その理由として、むしろ改悪ではないかというお言葉もございましたから、われわれといたしましては、実は改善のつもりでおりましたということを申し上げたのであります。あとは、この立法機関であらせられるところの国会の御判断にまつよりほかはないと思います。
  70. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それはちよつと不親切ではありませんか。法律改正するのには改正するところの原因がなくちやならぬ、ただこれの方がいい改正だと思うというような、そんな不親切なお答えはないと思う。何ゆえこうすることがいいのか、何ゆえこういうふうに改正をしなければならないのか、ここに一つのものがあるにもかかわらず、それを改めるというのには、何か理由がなくては改める必要はないでしよう、その理由を私は伺いたい。
  71. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 私はこの法案審議の衝に携わる者といたしまして、御参考までにこういう考え方をしたという点を御説明申し上げたいと思います。  さつき栗田委員から、現行法の第七号で指定されておるみそ、しようゆが、今度の法律でどうなるかという御質問がありました。みそ、しようゆを現行法の七号で指定したということについては、われわれいろいろ検討いたしましたが、実はそれは一号から六号に入る性質のものであります。現行法の不当な何々に入る。建前からいいますと、七号というのは一号から六号以外のものについて、公共の利益に害があるものについて指定をするということになります。ところが現実の運用といたしましては、もちろんその一号から六号に明白に違反する行為、これによつて公取が排除措置をいたしました事例も多々ございますけれども、指定をした場合については、実は一号から六号に観念的に入るものを、七号を借りてやつたというふうにむしろ考えられるのじやないか。なるほど先ほどからるる御意見の御開陳がありました不当に何々という一号から六号、これは観念的、客観的にははつきりしているはずでございますが、現実の適用としては境界線がはつきりしない場合がある。これは比喩としてはなはだ不適当かもしれませんけれども、ある野原の中に、ここからここはオフリミトの区域だと、かりにしてあつたとしても、それじやわからない。それを今度の法律によりましては、結局公正取引委員会がそこにくいを立てる、そうして先ほどからの御疑念は、おそらく今度の公取の指定が、従来の現行法の七号の指定と同様に、ケース・バイ・ケースで指定されるというふうに御疑念を持たれておるのではないかと思いますが、今度の公取の指定というのは、一般的にこういう各号に列挙する不当という——客観的にははつきりしているわけでありますけれど、それをより明確にする具体的なケースとしてはつ守りするために、公取一般的な指定をする、もちろんその指定はいろいろ段階があるだろうと想像しておりますが、公取が権限として、あるいは現実の問題としては、まず最初には網をかぶせるという意味でやらざるを得ないかもしれません。より具体的に、よりケースが実際に適用しやすいように指定して行く、こういうことになるだろうと思います。
  72. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そのケース・バイ・ケースではない、指定の仕方というものが一体どういうぐあいに行われるのでしようか。これは公取委員長にお伺いをしたいと思うのですが、経済界の事態の進展に先行して包括的な指定を公取はやられる御意思があるのかどうか。
  73. 横田正俊

    横田政府委員 まずこの法律の施行の際に、今お話に出ましたようないわば一般的な、包括的な指定をいたしたいと考えております。結局この法律と私ども考えます一般的指定と相まちまして、少くとも現行法の一号から六号に掲げておりますものよりは、多少具体的な、一般的な基準を打立てたい、こういうふうに考えております。なおそのほかに特殊の業界に発生いたしますきわめて特殊なおもしろくない取引方法を具体的に指定する、こういうことが行われることと思います。この点は今まで行われておりますしようゆ等の指定は今後も維持して参りたいと思いますし、なお進んでその他の業種につきまして、この内容を明らかにする意味におきまして、特殊の業種についての指定もいたしたい、こういうふうに考えております。要するに一般的指定をこの法律施行と同時にやるということを御了解願いたいと思います。
  74. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もしそれならばその一般的な指定をこの法の中に盛り込むことがなぜできないのでしようか。もう一つの問題はケース・バイ・ケースの指定というものは、先ほど申し上げたように、事後にできる標準であります。法希局長官のお話でありますと一般の人のわかりいいように公正取引委員会が指定するものというふうに具体化したのだ、すなわち標準を示したのだ、こういうお話であつたと思いますが、しかし標準というものは事前に示すことによつて初めて標準としての働きをするものであります。盗むことはいけないのだという法律があるからこそ、人はそれによつて拘束されておる、ところがケース・バイ・ケースの標準が事後に出るといたしますなら、それは標準としての価値はないのじやないか、それ以後の人々にとつては標準になりますが、最初のケースの人にとつては標準にならない、そうするとそういう人にとつてはこの七号は何ら具体的な歩を進めたものとは言い得ないのじやないか、こういうふうに考えます。二つの点について佐藤長官からお話をいただきたいと思います。
  75. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 指定をする側の立場から考えてみますと、これは公取でおやりになつたのではございますけれども、われわれが横からその点を考えてみますと、今までの審決例もたくさんございましようし、現在の情勢において予想せられ得る事態というものはいろいろあるわけでありますから、それを網羅的にこの際指定をする、そうして将来にわたつて警告的の指定をするということはこれはねらいであろうと思う。しかしながら現実の問題としては経済界のいろいろな予測できない変転がございますから、あるいは後になつてそういう具体的の危険性が起つた場合に指定漏れのものが発見されてそれが追加されるということは、これは実際の問題として指定できないと私は思いますけれども、想像し得る限りのものはあらかじめ事前にこの際指定の形で明らかにしておきたいということが一つのねらいであります。
  76. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 恐縮でありますが、こちらのお願いをしておりますことにぴたりと当てはまるようにお話をいただきたいと思います。今公取委員長から包括的な指定をする、この七号に掲げた、一、二、三、四、五、六よりもやや具体的な概括的なものをする、こういうお話がありましたので、それならば、なぜそれをこの法律の中に盛り込めないのかということをお伺いしたのです。その点についてお話をいただかなければ、私たちのお聞きしているところにぴつたり来ないわけです。それから今後ぽつぽつ盛れるだろうから指定して行くのだというお話でありますが、それは私たちの伺つていることと全然違うことです。私は標準というものは、事前に出なければ標準にならぬだろう、こういうことを伺つておるわけです。あとからぼつぼつ指定したのでは、最初のケースの人にとつては標準にはならない、それは具体化にならぬじやないかということを伺つているわけです。
  77. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 われわれの考えますところは、あくまでも事前にあらゆるものを網羅的に指定したいというのがねらいでございます。しかし、それじやそれを一々全部法律にこまかく列挙したらということも、当然研究の過程には出て参りましたけれども、具体的にあらゆる場面を法律に載せるということが技術的に困難でありましたために、それは公取の責任において指定していただくということで、公取から譲つてもらつたという形になるわけであります。ただ私はさつきよけいなことを申しましたけれども、今かりに網羅的と思つて指定をしても、後に思わざるものができた場合に変更があるだろうということを申しましたけれども、そういうことを初めから予想して申し上げるのは、実は私としては間違つておつたかもしれません。今の段階においてすベての予想せられるものを、この際事前に指定して行くというのが、この法律の理想であることは申し上げるまでもないことであります。
  78. 栗田英男

    栗田委員 今の問題で重ねて長官にお尋ねをいたしたのですが、先ほど今の第七号の問題で、これを削除したときにどうだというお尋ねに対して長官は、いつ公取からどういうものを指定するかわからぬので、非常に生産者は不安であるという御答弁でありました。そこで今の西村政府委員説明によると、みそ、しようゆ等の問題は、当然現行法の第何項かでやるべきものであるかというようなことの御答弁があつたのですが、私は、なるべくならば、一号から六号まではいけない、しかしながら、公取が七号でやるということは、公聴会を開いて、他の生産者の意見も聞いて、しかる後に告示をもつて行うのでありますから、非常にやり方が親切であります。なるべく一号ないし六号の違反であつても、その取扱いにおいては七号を極力公取は利用して、公聴会を開いて、しかる後に告示をするというような方法が、業者に対してきわめていい。私は七号の規定というものについて、佐藤長官のいつ指定されるかわからぬというような考え方とは、全然見解を異にするのであります。そこで不当なるの解釈というものが、これはいろいろ考え方を別にいたしましても、現行法においては、いずれにしても一号から六号までの間は、こういう競争手段はいけないということになつておる。ところが、今時は一号から六号の間の中の指定をするものというものであつて、しかも先ほどの公取委員会の話によると、みそ、しようゆは第三号の規定にこれは当てはまるのではないかというような会派委員会解釈でありまして、このような組み込みから考えますると、むしろ一号から六号の幅というものは、非常に間口が広がつてしかも公取委員今が指定するものということになりますので、非常な不安がむしろ増大をしておる。従つてむしろこの七号の方は、あなたは非常に改善だと言つたけれども、こういう実際の法の運用から言つたならば、非常なる改悪である。むしろ業者はこれがために非常な不安を持つのではないかというような考えで、私は法制局長官と非常に見解を異にするのですが、いかかがですか。
  79. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 七号について申し上げましたのは、今のように少し漠然とし過ぎておつて、何が指定されるか見当がつかぬという面と、それから先ほど西村政府委員が申しましたのは、その一面において、前に七号によつて指定されたところを見ると、現行法すなわち旧法におきましても、七号によらないでも他の列挙されておる条項に当るということで、七号をわざわざ働かせなくてもよかつたということになるのじやないかという声も出ておつたということで、七号の実益というものも、今までの経験からいつて、あまりないのじやないかということを西村君が言つた。私の先ほど申しましたところとつなぎ合せてみますと、七号というものはいらないのじやないかという結論になりましたということになるわけですが、あとは今おつしやる通りこれは見解の相違でありまして、われわれがいくら力みましても、これは仕方がないことであります。ただ理由だけを申し上げます。
  80. 栗田英男

    栗田委員 この点に関して、公取委員長の実務の上からの御見解はいかがですか。
  81. 横田正俊

    横田政府委員 大体指定という段階を経るという点が現行法と大分違つて参りまするが、私どもの考といたしましては、指定をすることによつて、むしろ現行法の一号から六号までの内容がもう少し具体化するということにたるわけであります。ただ、第七号の規定を削除いたしましたことは、これは先般公取の業務報告と申しますか、仕事の内容お話をいたしました際に、公取には若干の立法的権能もある、つまり第七号によりまして、本来国会が入おきめになるべき問題を公取委に委任されておるという形になつておりますので、この七号の規定によりましていろいろする権限が多少あるわけでございます。しかしこれは、ある意味におきまして、必要なものは法律改正という形でやつていただくというような趣旨をもちまして、今度は第七号を削る、こういうことにいたしたのでございまして、この法制を、皆様のおつしやいますように、法律上はつきりした形で法律自体の中に盛り込むという方法も、一つでございましようし、また今回のような形をとりましても、私としましては、実際問題としまして大した違いはないというふうに考えておるのであります。
  82. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ちよつと関連して……。先ほど包括的指定が云々ということをおつしやられたのですけれども法律改正をするときに、後の包括的指定というような補助的説明がなければ、この法律改正する理由を十分納得参することができないようなことはいかがかと思う。この法律をつくるには、この法律についての理由が明確にならなければならない。後に包括指定をすればこの法律立法意味がわかるというような説明は、私はきわめて不適当な説明じやないかと思う。少くともこの法律をこのまま見て、そうして解釈できるだけの理由がなくちやならぬと思うのでありまするが、その点が一つと、それからいま一つは、先ほど言つたように、この改正法で行くと、これは私は横田委員長のようなりつぱな人格者を前に置いて申し上げることは、はなはだ失礼な言葉かしれませんけれども、この法律の七項をいうものは、見ようにとつては、非常にざつくばらんに言えば、公取委員間違いを起したら、たいへんな間違いが起る。いわゆるどんな収賄が起るかわからない。なぜなれば、一、二、三において不当なことであつても、公取から指定されなければさしつかえないのだという論が、第七項で行けば出る。そうでありますから、不当なことをやつているやつが、公取行つて、賄賂を提供して、そして指定をまぬがれるならば、一向さしつかえないということになつてしまう。ここまで私どもがしやべらなければならないということは、はなはだ遺憾に存ずるのでありますけれども、そういう弊害すらこの条文からうかがい知ることができる。なぜというのに、不当な行為であつて公取が指定しなければさしつかえないんだというようなばかばかしい条文であるから、そういうことも言わざるを得なくなるのですが、これに対する法制局長官の御意見はいかがでありますか。
  83. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 第一点は、要するに私どもの意図しておりますところは、この指定は法律の発足と同時に事前の指定が行われるということでございますから、法律とこの指定と相まつて実体が完成されるというふうに考えております。そこで先ほどのお尋ねのように、それならばなぜ法律の中に指定に当るようなことをみな書き込まぬかということでありますが、これは技術上困難でありますからさような措置をとるというわけで、法律の発足と同時に指定が網羅的に行われるという考えでおります。そういうことになりますから、今の第二の問題も私は起つて来ないのじやないかというふうに考えております。
  84. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 われわれは指定云々のことを言つているのじやない。指定をしなくても、何らかほかに立法技術というか、そんなことを言わぬでも、いま少し方法があるのじやありませんか。この条文を改正する必要があるとするなれば、それは立法府におけるわれわれ審議機関解釈がはつきりしないで、この法律が通過した後である。通過して後に今度はこの法律を執行するところの行政庁が指定をして、それで初めてこの法律解釈がわかるなどということは、立法技術としてあまりではありませんか。法制局長官、いかがでありましよう。
  85. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それは普通の法律にもよくありますことで、法律の対象になるものの範囲を政令で指定するというような場面はほかの法律にもございますから、その点は私は大して欠陥とは思いません。ただ欲を言えば、先ほど申しましたように、ページ数をたくさん使つてもいいから、なぜこの法律自身で具体的にできないかということでありますが、それは立法技術上の問題として困難でありますので、これだけは私自身も非常に残念に思つております。
  86. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 もちろん政令で法律の範囲を説明するということはありましよう。それは私も決して異論はありません。そうじやなくて、ここに「不当」ということが書いてあるからそれを言うのです。現在われわれはこれを対象としてこの条文を解釈しておるのですから、それを言うておるのでありまして、他の法律にも、政令でその範囲を定めるものが幾らもあることは、われわれ十分承知しておる。ただこの法律解釈上からいつて、この不当なことを認めておる、公取が指定しないうちは不当でもいいんじやないかという面が出て来る、それを私は言うのです。
  87. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御趣旨はきわめてよくわかるのでありまして、それでありますから先ほど来申し述べておりますように、この法律の精神上不当と認められるものは、公取は忠実にこれを指定するということを期待しております。
  88. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今の質疑に関連して私は議事進行上の発言をしたいと思います。ただいまの問題を伺つておりますと、私はもちろん法律はしろうとでありますが、しろうとはしろうとなりに聞いて、はなはだ不明瞭な点があると思います。従来のわれわれの常識によれば、立法の責任にある国会のこういう委員会において、こういう問題を扱う場合には、普通の場合には別でありますが、相当重要な内容を持つ場合には当然施行令、施行細則などが裏づけされて議論されなければならないのであります。ところがただいままでの質疑によると、そういうことをやるということもいろいろ研究されたが、しかし技術上それはいろいろの困難を伴う点があるから、従つてこういうことは公取委員会の自由にゆだねた、こういうわけであります。しかもその指示の内容というのでありますが、大体輪郭範囲はわかりますけれども内容は不明瞭であります。でありますから、当然この条文に関連いたしましては、われわれが審議するためにはその指示の内容を他の法律の場合における施行令の要点というようなものをもつて提示さるべきものである。こう考えるのであります。法制局長官お話だと、これが結果において改悪であるか、改正であるかは、それは国会あるいはこの委員会におゆだねすることだとまでおつしやつていただいたのでありますから、その点については当然それがなければゆだねられた責任を果すことはできません。この条項についての審議はそういうものの提示と相まつてやりたい。こう考えております。この点につきまして委員長においてお含みおき願いたい。これはいずれ委員会に出して相談をいたしたいと思います。
  89. 武田信之助

    武田委員長代理 ただいまの菊川委員の御発言はきわめて適当なる御発言と考えますので、そのようにとりはからうことにいたします。それでは栗田英男君。
  90. 栗田英男

    栗田委員 これは別のお尋ねですが、私らの考え方から見ると、今までどうも実務をする上において、公取としては非常に仕事が複雑になり、大いにその活動を活発にしなければならないというふうに私は考えております。そこでこれを考えたときに、法案をつくることはいいけれども、実際このことが公取としてできるかどうかという、予算の裏づけということも立法をする上において大いに考えなければならぬ。そこで一体法制局としては、これをやるのには相当の情報宣伝、そういうものが必要であるが、公取には情報宣伝に関する予算がどのくらいあるかということを考えたかどうか、この点ひとつ長官に伺いたい。
  91. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 どうもせつかくのお尋ねでございますけれども、私からお答えする筋かどうかも疑わしいと思います。私自身実はお答えする能力を持つておりませんということを申し上げた方が率直であろうと思います。
  92. 栗田英男

    栗田委員 私はこれには非常に疑問があるので調べたところが、情報宣伝の費用は二十万円しかない。(笑声)笑いごとじやない。二十万円しかなくてこんな仕事ができるか。私はあの予算書の内容を見て唖然とした。公取委員長、もう少ししつかりしなければこういうことはできません。もつと予算の増額を要求しなければ、こういう独禁法の番人として私は一般消費者利益を十分に確保することはできないというふうに考えておる。ひとつ公取委員長にも警告をいたします。  そこで第十条ですが、この第十条に「国内の会社の株式を取得」云々、これによつて「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」という項があります。これは私は第二条の第六項に、不当なる取引制限とはこういうことで、こういうことをしてはいけないという明文があるのですから、何も第十条にこういうことを入れておかなくても——入れても別にむだじやないが、別に必要じやないというふうに考えるのですが、この点について長官、どうですか。
  93. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 西村政府委員からお答えいたします。
  94. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 株式取得がある程度以上になるということは、そういう競争を実質的に制限することになりますから、これはやはりそれ自体として禁止する必要があります。あるいはならない場合もあると思いますが、しかし多くの場合えてしてそういうことになるという点から、その株式取得を禁止するということであります。
  95. 栗田英男

    栗田委員 しかし、株式であろうが、何であろうが、第二条の規定というものは、実質的に取引分野における競争を制限する行為はいけないでしようね。
  96. 横田正俊

    横田政府委員 便宜私からお答えいたしますが、これは不公正な競争方法自体を排除いたしますのは、ただいまの第七項の規定によりまして、第十九条に基いてその行為のさしとめをやるわけでありますが、この方法によりまして、その結果として株式の取得ということが行われましたその株式の取得そのものを違法とし、これを攻撃し、この株式を離させるということは第十条によりまして、取得そのものを違法とし、これが第十七条によつて離させる、こういうことになるわけでございます。
  97. 栗田英男

    栗田委員 私は株式の分野にのみ特にこういう規定を設けるということは少し疑問があると思うのです。こういうような考え方をもつて規定いたしますると、あらゆる分野におけるこういう制限はいけないという条項を新たに加えなければならぬのではないかという疑問を持つのでありますが、この点どうですか。
  98. 横田正俊

    横田政府委員 この点は御承知の第四章は大体おもしろくない問題を予防的に処置いたしますために、主として株式の保有と役員の兼任、この二つの点を問題にしておるわけでありまして、役員の兼任につきましては、十三条によりまして、やはりその問題が不公正な競争方法によつて兼任する場合についての処置が規定してございます。それから会社以外の株式取得につきましては、やはり第十四条に不公正な競争方法による取得を違法とするということになつておりまして、大体主要なる筋につきましては、不公正な競争方法による結果を排除する規定があるわけであります。
  99. 栗田英男

    栗田委員 一歩譲つて第十条の場合は株式の場合でありますから、おおむねこれが取引分野におけるところの競争を自主的に制限するということを大体判断することができると思います。しかしながらこれが第十三条に行きますと、役員の兼任であります。役員が実質的に取引分野の競争を自主的に制限するかどうかということは、株式の場合には明瞭に数字で現われるけれども、役員の兼任という場合においては、はたして取引分野における競争を自主的に制限するかどうかという事実をとらえることは非常に困難である。この問題に対していかに公取委としてこの問題をとらえるか。これに関連して、こういう規定というものは、今の十条の規定に関連してむだな規定であると私は考える。
  100. 横田正俊

    横田政府委員 十三条の規定現行法のように、競争会社の一般の役員の兼任はいかぬのだということにはつきりしてしまえば、なるほど取締りの面からいいますと、非常に楽ではございますが、今回のように一定の取引分野における競争を自主的に制限するというような表現を用いますれば、勢いその兼任の結果がはたしてそういうおそれがあるかどうかというようなことは、事実問題といたしまして、判定に相当困難は伴うとは存じまするけれども、これはやはりその会社の動きその他を見まして、判定できないことではございませんし、ことに今回は現行法でやつておりません役員の届出等の制度も設けまして、ことに競争関係の会社の役員の兼任につきましては、そういう意味におきまして十分に監視をして行くというつもりでおるわけでございます。
  101. 栗田英男

    栗田委員 このように逐条的に研究をして参りますと、公正取引委員会の仕事が非常に多い。その仕事が多い反面、公正取引委員会の予算を見ると、まことにすずめの涙しかない。そこで十条及び十三条によると、事業年度ごとに公正取引委員会に届出をしなければならないことになつていますが、一体どのくらいの届出数があるか、この点に関しまして資料がありましたらお知らせ願いたい。
  102. 横田正俊

    横田政府委員 この届出につきましては、別に資料がございますので、御要求によりまして提出いたしたいと考えておりますが、先般事業の概況を御説明いたしました際に簡単なものは表にしてお出しいたしてございます。比較的数は少いのでございます。二十七年度を見ますと、年に二回とつておりますが、上半期が二千三百八十三、下半期が二千四百十二というふうになつております。これは現行法のいろいろ禁止事項がございますので、その面からいたしまして、非常に数が少いことになりますが、今後こういうふうに広めると、おそらく株式の保有の届出は、相当数になつて参りまして、われわれの方の事務屋から申しましても、かなりな手数を要することになると思いますが、この内容の詳細につましては、御要求によりまして、もう少し詳細な資料を差上げたいと思います。
  103. 栗田英男

    栗田委員 法制局長官お尋ねをいたしたいのでありますが、今月までこの点はしばしば論議をされておるのでありますが、やや不明確な点もありますので、これを明確にいたしたいと思います。それは認可の問題ですが、公取委認定なくしてなした主務大臣認可は、絶対に無効でありますか。
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は無効であると考えております。
  105. 栗田英男

    栗田委員 通産省の認可が、公取委認定がなかつたならば、絶対に無効であるというなれば、通産省のみずから帰納すべき余地は全然ないということになる。そうなると、なぜそれまでいたしましても通産大臣認可権を持たなければならないのか、われわれ局外者として判断に苦しむのでありますが、この点に関しまして、われわれの判断の苦しむところを御解明願えれば幸いであります。
  106. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これはおそらく通産大臣からお答えしたことではないかと思いますけれども……(栗田委員「何も言つていない。産業行政の立場からだというだけだ」と呼ぶ)おそらく私もそれと同じ御答弁になると思います。通産大臣は産業行政一般の責任を持つておるのですから、その面から、その責任の立場からの眼をもつて判断に当るということは、これはまた当然のことではあるまいかと考えております。
  107. 栗田英男

    栗田委員 今のように産業行政の立場から認可するのだけれども、これは公取委認定がなければ認可はできないのだから、産業官庁たる通産省としては、みずから帰納すべき余地がない。それでもなお通産大臣認可権を固執したということは、われわれ局外者としては判断に苦しむということなんです。おそらく法制局長官も判断に苦しむのではないか。あなたがこういうことを考えたわけではあるまい。一体こういうことはたれが考えたのか、おさしつかえなければ、こういう迷案を考え当事者はたれであるか、もし御存じならばお知らせ願いたい。
  108. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私たちはこれが憲法違反であるとか、立法技術上であるとかいうようなことについて大いに御疑問のありました点につきましては責任を持つておりますけれども、今のような点については、うつかりしておりまして承知いたしておりません、
  109. 栗田英男

    栗田委員 そこで法制局長官に重ねてお尋ねをいたしますが、ここに通産大臣認可権なんというものは何らうたつてない。公取認定基準というものはあるけれども通産大臣認可基準というものは何らない。そこで通産大臣認可基準と公取認定基準というものはまつたく同一のものであるかどうか伺いたい。
  110. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は、基準そのものは同一であろうと思います。ただそれを見る立場の人が、公取委員会の方は独禁法をなるべく盛り立てて行こうという立場でごらんになりますし、通産大臣の方は今の産業行政一般経済界の大きな面からという目で見ていられますから、見る目が違うわけであります。基準そのものは私は同じものであろうと思います。
  111. 武田信之助

    武田委員長代理 発言中ですが、農林大臣が来ましたので、時間の都合もあるようですから保留していただけませんか。
  112. 栗田英男

    栗田委員 それでは私の質問は保留いたします。
  113. 武田信之助

    武田委員長代理 それでは御要求のありました農林大臣がお見えになりましたので、農林大臣に対する質疑を許します。中村時雄君
  114. 中村時雄

    中村(時)委員 現在独禁法の一部改正法案をやつておるのですが、それと相関連して特にカルテル行為の問題が出て来るわけであります。その点に関しまして、こういうような状況をお認めになられるかどうかという一、二の例を取上げてみたいと思う。まず一番目に飼料の問題であります。この飼料の問題に対して、農林大臣ちようど飼料対策委員会の会長を兼務していらつしやるはずであります。現在までの飼料価格の操作を見ますと、具体的にこまかくずつと月別にわけて言つてもよいのでありますが、非常に価格を落している。そこで対策委員会といたしましては、外国からふすまを買つて来まして、もし国内の価格が高騰した場合はその手持ちで対処して行こうというのがそのねらいになつておる。ところがそれでは実際の飼料の状況はどうかといいますと、少くとも現在日清、日粉、日東、昭和産業、この四社において国内飼料の約五十パーセント近くのものを持つているわけであります。しかもこれが価格のつり上げをしようとするとどういう結果が出るか。その一つの例を日清製粉にとつてみますと、昨年度の下半期におきまして大体二億五千万円からもうけております。ところが御存じのように、現在小麦一俵に対しまして小麦粉が二袋とれる。そうして小麦二俵に対しましてふすまが一俵とれるわけであります。ところがこのふすまにいたしましても、今まで会社は小麦粉ではもうけていないで、全部ふすまでもうかつたような勘定になつているわけであります。そういたしまして、飼料の値上りに対してこれをセーヴするために放出しようといたしましても、これは原麦で外国から入つているわけであります。原麦で入つておりますので、この原麦をこれらの会社に移行して行つて製粉しなければならぬ状態である。そこでこれらの会社がもし期間を長引かせましたならば、必ず今のような価格の構成が行われて、遂には農村の方が非常に大きな痛手をこうむるのではないかと思うのでありますが、現在まで四社のとつておつたやり方に対して、農林大臣はどういうお考えを持つておりますか。
  115. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は正直に申しますと、よく事情をきわめておりませんが、事務当局から聞いておりますところによりますれば、この飼料の価格がともすれば上向きたがる。それで需給安定法もできておるのだから、従つて価格の安定をはかる上から行きましても、食管会計の負担においてもこれを安定して行くような措置をとらなければならぬ。個々の会社の運営をどういうふうにやつているか、私は実は正直に申し上げまして承知いたしませんので、至急取調べてみたいと思います。
  116. 中村時雄

    中村(時)委員 その場合に一点注意しておいていただきたいのは、少くとも安定法は農家経営の向上ということが中心になつているわけなんです。しかるに実際の価格のとり方はマーケツト・プライスを中心にしている。少くとも農家経営の向上ということであれば、家畜あるいは役畜に対する飼料の地位というものが問題になる。そこから割出すかあるいは加工されて行つた現実の問題からこれを逆算して行くかという、そういうような方向を十分おくみとり願いたい。これはお願いなんです。  続いて現在問題になつている砂糖の問題であります。砂糖は、メーカーが販売する場合に、昨年の末から本年の二月にかけて五十五、六円であつた。それが現在は六十円以上になつている。そういう状態を考えましたときに、それでは実際に国内において需要が多くなつて来たのかというと、そうではない。昨年度の輸入量を見てみますと八十六万トン、本年度も大体それに似通つたものが推定されているわけであります。しかも現在米価を考えるにいたしましても、すべての農産物価格は昭和九、十、十一年のパリティー指数によつてつていらつしやる。ところが昭和九、十、十一年の消費量を見て行きますと、大体当時は十二斤くらいであります。しかるに現在は十斤足らずであります。そういたしますと、より以上まだいるにもかかわらず、価格がこのような状態になつて来たのはどこに原因があるかということをお尋ねしたいのであります。
  117. 保利茂

    ○保利国務大臣 中村さん、はなはだ恐縮ですが、説明員から説明させます。
  118. 東辻正夫

    ○東辻説明員 御説明申し上げます。  昨年度砂糖は大体八十万トン程度輸入せられまして、八十六万トン程度の消費を見ておりますが、当初需要が旺盛でありまして、下期に至りまして相当な自由買付けが行われ、四月現在におきまして、本年度に持越すべき数量が約五十万トン程度に上つております。それに手持ちを加えまして、さらにその後本年度の四身から九月までの予算でもつて買付け予定のものを入れますと大体七十数万トンになると思います。そういつたような関係からいたしまして、相当の供給量が出るという予定のもとに価格が低落いたしたわけであります。
  119. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言うのは、その数量という問題もありますけれども、価格が上つて来た原因です。価格の上つた原因をひとつ
  120. 東辻正夫

    ○東辻説明員 大体砂糖の需要期は、正月前と夏の盆前と承知いたしておりますが、そういうような関係と、それから今般の消費税の改正等の仮需要の関係といつたようなことから最近値上りした、このように考えております。
  121. 中村時雄

    中村(時)委員 ただ単に経済現象のそういう需給のバランスの上から来たものであると私は考えない。私は今その一々説明やいろいろなことをお聞きしたいのですが、大臣は時間がありませんから、ひとつこの点をよく調査していただきたいということをお願いしておきたいと思います。ということは昨年の原糖が八十万トンちよつとになつておりますけれども、それを月別に見て行きますと、四半期にわけまして大体月七万トン、三箇月で二十一万トンになりますが、それに対する砂糖の消費税が非常に問題になつて来ておるわけであります。その消費税はどういうふうになつているかというと、大体今三箇月二十一万トンとして六十五億円あまりが銀行預託のようなかつこうになつておるわけであります。そこで銀行業者からこれらの砂糖業者に対するところの利潤あるいは貸付け、そういうような問題から、この価格が先ほどいいました安い価格において行われる場合には、その責任負担というものは非常に問題になつて来る。そこで私の聞いている範囲内におきましては、この金融業者と砂糖業者とが相結託いたしまして、この金融をするという裏づけのもとに、この価格のつり上げを行つたという実態が私たちには入つておるわけであります。そこでもしかりにそういうような場合においては、一体農林省といたしましては、どのような手を打たれるか、これをお聞きしておきたいと思います。
  122. 保利茂

    ○保利国務大臣 お話のような事態でもつて、価格のつり上げを共同行為としてはかつておるということは、これは独禁法の許すところでもございませんし、同時にまた何と申しましても、砂糖の国民生活の上に占める重要性からいたしましても、そういう不当つり上げを策するようなことは、農林省として黙つておるわけには行かぬと思います。お話のような事態がありますかどうか取調べまして、ありますれば、十分善処いたしたいと思います。
  123. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで現在これらの業者が、おそらく農林省に外国輸入の原糖に対して数量を減してくれということを申入れているはずであります。そのことの事実は今のことを裏書きしているわけです。だからこういう点に対して農林省としては、現在の、もちろんこれはドル為替の問題がありますけれども、今までの予定通りの輸入をはかろうとしていらつしやるかどうかをお尋ねいたします。
  124. 保利茂

    ○保利国務大臣 何でも製糖工業会から六月の中ごろそういう陳情が農林省にあつたということは聞いております。しかしただいま申し上げますように、これはどうしてもわれわれ国民生活の上になくてはならないものでございますから、従つて需給価格の安定をはかつて参りますことは、どうしてもやらなければならぬ、従つて陳情等の趣意もむろんこれはどういうところの陳情も十分聞かなければならぬことはもとよりでございますけれども、陳情があつたからどうするといつて問題をきめるものではなくして、あくまで砂糖需給価格の面、同時に外貨の面からいたしまして、必要量だけはどうしても入れるという考え方で私は行つてもらいたい、また行くべきである、そういうふうに考えております。
  125. 中村時雄

    中村(時)委員 あとどのくらい時間がありますか。
  126. 武田信之助

    武田委員長代理 大体一時に終る予定になつておりますから、いま七分ばかりであります。
  127. 中村時雄

    中村(時)委員 それじや次にいたします。
  128. 武田信之助

    武田委員長代理 ほかに農林大臣に対する御質疑はありませんか。  それではこの際先ほど長谷川委員の方から御要求のありました経済白書と申しますか、それの説明の問題でありますが、須賀政府委員の方から発言を求められておりますので、これを許すことにいたします。須賀政府委員
  129. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 経済白書につきまして、一言おわびを申し上げておきたいのでありますが、今年度の経済白書は昨日の閣議に報告しまして、そのあと審議庁の方から発表いたしたわけであります。国会の方に対しましては、昨日閣議の報告を終りますと同時に、経済安定委員会の方へ白書そのものをお届けいたしますように手配をしておつたのでございますが、もちろんその所要部数等も整備をいたしまして、そのような手配をしておつたのでございます。結果は私がけさ役所へ参りまして調べたところによりますと、係りの方の手違いで、今朝までにお手元に届いておらなかつたような結果になつております。これはまつたく私どもの方の手落ちでございまして、非常に申訳ない結果になつたと考えております。ただ同時にお手元へ差出すような手配をいたしておりました点は、御了承願いたいわけでございまして、本日お手元に差出してございますので、ごらんをいただきたいと考えるのであります。なお内容等につきましては、委員会の方の御都合で、いつでも私どもの方から詳細御説明を申し上げるようにいたしたいと考えております。私どもの方の手落ちのありました点をおわびを申し上げます。
  130. 中村時雄

    中村(時)委員 私は実にこれは不可解きわまると思う。ただ単に、手違いで云々というような問題じやないと思う。少くともこういうような問題を発表するといたしますれば、これに対する国民の影響というものは非常に大きいのであります。しこうして当然その責任が国会に——先ほども局長が言つたように、国会に責任をとらされることになる。そうした場合に、委員会において、こういう内容を何も知らない、しかもそういう連絡が何もない。そのようなかつこうで、ただ行政官庁において、そのような僭越な行動をとるという、今までの考え方の基本が問題だと思うのであります。私はこの点に関して一応お聞かせ願いたいと思います。
  131. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 ただいま御説明がありましたが、私もその点について、この際ひとつ念を押しておきたいと思います。この委員会がこのたび発足された当時から問題になつているのは、この委員会が日本の経済の根本を確立するために非常に熱心にやろうじやないかという態勢からここに熱心な討議が行われて来ている。そしてまた基本的な質問どもやろうじやないかといつて、よりより勉強しながらやつて来た。ところがこういう大事な報告書が、ほとんど全国民に配られたあとで、私たちの手元に入るということは、これはほんとうに国会を軽視するものだと私は思うのであります。従来の例からいたしましても、委員会に配られる前に資料がよその方に流れている例は幾らでもある。これはただ単なる手違いとか何とかいう問題じやなくして、ただいま中村委員からも言われたように、ものの考え方、私はそこに根本的な欠陥があるのじやないかと思うのであります。こういう点について、あらためてひとつ委員会から経済審議庁に対し厳重なる警告を発してもらいたいと思います。大体国会法におきましても、国会と委員会との関係などについて御認識されるならば、経済審議庁の方々がどういうふうな報告書を、先にどこどこにやるべきかというようなことは、はつきりおわかりになることだろうと思うのであります。この点についてひとつ十二分にお考え願いたいと思います。
  132. 武田信之助

    武田委員長代理 ただいまの発言は了承いたしました。つきましては、委員会におきましても、厳重に政府の方にその点を申込んでおきたいと思います。  なおこの際お諮りいたしたいと思うのでありますが、法制局に対する質問並びにただいまの経済白書に関する説明並びにこれが質疑は明日いたしたい、かように考えます。明日午前十時から引続いて委員会をやりたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 武田信之助

    武田委員長代理 それではさようにとりはからいをいたします。  それでは本日はこれをもつて散会することにいたします。     午後零時五十九分散会