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1952-12-01 第15回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月一日(月曜日)    午前十時五十二分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     油井賢太郎君    理事            西郷吉之助君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君            原  虎一君            吉川末次郎君            岩男 仁藏君            岩木 哲夫君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    自治政務次官  鈴木 善幸君   事務局側    常任委員会専門    員       福永興一朗君   説明員    自治庁財政課長 奧野 誠亮君   参考人    全国鉱業市町村    連盟副会長福島    県石城郡好間村    村長      鈴木 榮一君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方制度調査会に関する件)  (地方財政に関する件)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今より委員会を開会いたします。  今日議案に提出しましたのは、地方制度調査会に関する件でありますけれども、地方制度調査会委員の数について我々参議院地方行政委員会といたしまして、政府側に如何なる方針をとられるかということを一応尋ねてみたのでありますけれども、その結果について本多大臣から今日は御回答願いたいと思います。
  3. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方制度調査会委員は御承知通り五十名以内となつておるのでございますが、その構成は国会議員地方公共団体側、官庁、関係行政機関、更に学識経験者、各界というふうに非常に各方面からこれに入つて頂く建前になつております。そこで政府のほうでは国会側から何名御参加願うかということにつきまして、いろいろ他の方面から参加して頂く委員数との釣合いも考え国会から十七名参加して頂くということに方針をきめまして、そのうち参議院に七名、衆議院に十名さんの候補者の御推薦方をお願いいたしておるような次第でございます。
  4. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今大臣から政府方針について回答がありましたけれども、これに対して御質疑ありませんか。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この機会に多少或いは蛇足の感もあるかも知れませんが、お尋ねいたしておきたいと思うのでありますが、その地方行政委員会議のことで、今年でありますか、最近要するにアメリカロツクフエラー財団から日本地方行政研究視察に参りまして、約六カ月の間日本に滞在してそれを研究して帰つたアメリカの或る若い学者報告書発表されております。曾つて本多さんの前任者である岡野長官の時に、私は又岡野さん以外に、前にありましたこれとやや例を同じうする機関でありましたシヤウプ税制改革に基く地方行政調査委員会議議長であつた京都の市長をしておられた神戸博士にも申上げたことなのでありますが、あの神戸委員会というものは、シヤウプ税制改革に基いて作られたものであつて、その報告の結果、並にその勧告の結果は、日本地方行政改革に資するところは、いろいろ批判為ありますけれども、私は非常に大なるものであつたと思うのでありますが、併しシヤウプ氏の一行は財政及び税制学者であつて、これと相並んで公法学者や或いは政治学並一般行政というような政治、法律の面からの同様なグループの調査研究と、それに基くところの報告及び勧告が、日本地方行政改革のためには、相並んで存在しておるということが必要である。従つて当時まだ軍事占領下にあつたのでありまするが、そういうシヤウプ税制改革のための使節団を迎えるならば、同様なる使節団日本に招致して、自由にそういう批判をなさしめることはどうか、それは丁度本多さんもよく御記憶のことだろうと思うのでありますが、曾つて後藤新平氏が東京市長になりましたときに、死にましたけれども、アメリカの有名な政治学者であり同時に市政研究者でありましたチヤールズ・工ー・ペアード東京市の顧問に招きまして、そうして以上私が申しましたと同じようなことをなさしめたのであります。その結果東京市政論という本を書かれて、それは英文でも出、又東京市政調査会からもそれを翻訳して出しておるのでありますが、今日なお読みましても、これは東京市政改革のための非常に重要なるところの資料であつて日本自治政治における一つのプラスに私は数えることができると思うのであります。その意味においてそういうような公法学者及び政治学者研究調査批判が必要であるということを認めたのでありますが、まあ私の説には御賛成でありましたけれども、大してその挙には出られなかつたのであります。たまたまそのときにも神戸さんであつたかと思いまするが、アメリカからそういう人を他の機関が招いて同様な研究調査が行われておるということが答えられたと記憶しておるのでありますが、今の若い学者と言いますのはたしか、ミネソタ大学地方行政のほうのプロフエツサーで、まだ助教授でありますから若い人であります。私も一遍会つたという記憶があるのでありますが、日本自治研究所とかいう、それは自治庁なんかも或いは御関係になつているのかも知れませんが、それの名誉顧問というような肩書になつている。たまたまそういロツクフエラー財団から派遣されて参りまして、半年に亘つて調査研究したところの結果を報告いたしておるのであります。その報告書市政調査会の最近の機関雑誌発表されまして、先般の私たちがこの委員会から派遣されました大阪の都市問題会議におきましても、それは資料として出されたのであります。この委員会にもそれは配付されておるのでありまして、委員のかたもそれぞれ御覧になつておることと思うのでありますが、その中に今議題になつておりまする今度の政府地方行政調査委員会委員顔ぶれのことについても論及いたしております。それには本多さんまだお読みになつておらなかつたならば、まだ若い青年学者でありまするけれども、私は内容において非常にこの際有用の論旨であると思いますので、まだお読みになつておらなかつたならば是非本多さん及びその他の自治庁幹部諸君もお読みを願いたいと思いますが、その中で特に委員顔ぶれのことについて、要するに中央集権的な従来の日本地方行政に対するところの見解を持つていたところの人をば挙げてはいかんというような意味のことを挙げておると記憶いたしております。その言葉は、表現されておりまする言葉そのまま、ここにありませんから、多少間違つておるか知りませんが、趣旨は大体そういうことでありますが、それはただ一節でありまして、この若い専門学者がいろいろと長文に書いておりまする一切の報告書を総合してそのことも考えらるべきものでありますが、私は大体においてそのワープという教授が書いておりますのには賛成する面が非常に多いのでありますが、今この一節一言だけをここに引用いたしましても、或いは十分に御了解がないかと思いますけれども、結局日本地方行政というものは間違つておるというわけであります、従来の考え方が……。それでそういう専門家を集めてそういう調査会議をやつても、それ自体が伝統的に間違つた上に立つておるのであるからして、その間違つた伝統によつて育成されて来たところのいわば古手役人であります。結局中央集権的な地方行政見解を持続的に持つている人というのは内務省官僚であります。いわゆる古手役人であります。そういうものを余計集めてそういう地方行政調査会議を開いたところで、地方行政反動化に貢献するだけであつて、何も本当意味においての改革にならんというのが考えでありますが、どうでしようか、今私はたまたまその調査報告書一節を引用したのでありますが、その見解については、私は大体同感なのでありますが、それについて今度の人選についてどのようにその点についてはお考えになつているかということを一つ本多さんから承わつておきたいと思います。
  6. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御尤もな御注意でございまして、今回国会側から参加頂く委員のかたについては、衆議院参議院議長を通じて御推薦方を一任しておりますが、その他の学識経験者等人選につきましては只今お話のありましたところも慎重に考慮いたしております。お話通り、経歴だけでその人の思想を断定するわけには行きまけせんれども、併しやはりそうした面もよく考えまして、偏する人数にならないようにということに十分考えを重点的に置て選考いいたしております。又シヤウプ勧告に基く地方行政調査会議が非常に大きな期待を持つて発足したにかかわらず、又熱心に調査頂いているにかかわらず、それの実現予期通りなかつたという点、これは誠に残念に思つております。シヤウプ勧告によつて設けさせられた地方行政調査会議であつたというようなことも幾分影響しているのではないかと思うのでありますが、今度は全く日本政府が自主的に地方制度の確立のために立派な制度を打立てる調査会でございますから、今度こそあの神戸委員会によつて挙げられた資料等も今度の調査会で再検討頂きまして、実行力のあるものとして結論を出して頂きたいと思つております。お話通り税制財政というものと地方行政というものは一体不可分でございますから、性格がこう偏した委員会では、総合的な制度改革ということについて実現性も乏しくなつてくるわけでありますが、今度の調査会財政地方行政制度全般に亘つて総合的に調査して結論を出して頂くことになつておりますので、今度こそ一つ実現を期して御努力を願いたいつもりでおります。只今お話資料は私もまだ拝見いたしておりませんが、只今の御注意の心組みは十分尊重して人選に当るつもりであります。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の資料はお読みになつておらんということで、非常に私としては残念に思うのでありますが、とにかく今地方行政研究者の間におきましては一つのトピツクになつておるのでありますから、書いた人がたとえアメリカ青年学者であろうとも、これは一つ尊重して是非読んで頂きたいということを重ねて要求いたしておきたいと思います。それで書いてありますことが私の見るところを以ていたしますると、この新たに組織されるところの地方行政調査会研究調査の最も対象中心となることばかりが書かれておると私は思うのであります。でそうした若いアメリカ外国学者の説を余りに取上げてかれこれ申上げるのは、多少或いは大臣は大人気ないようにお思いになるかも知れませんが、是非読みになつて頂きたいということと同時に、内容が今申しましたようにこの調査会の第一義的な問題ばかりが書かれておりますから、お読みに至急なつて頂いて、そうしてその挙げられているところの事項を……日本地方行政の欠陥として列挙的に書いておりますから、その一々について大臣はどのようにお考えになつているかということを、私はこの参議院地方行政委員会としてもこの際それに関連して是非承わつておきたいと思いますので、少し深く立入り過ぎる嫌いが形式上はあるかとも思いますが、私は実質上どうしても必要なことと思いますので、できるならば簡単な文書にして、そうして成るべく近い機会にお出しを願いたいと思います。それからお読みになつておらんということでありますから、申上げておきたいと思うのでありますが、相当長官をしていらつしやるところのあなたの自治庁幹部諸君が槍玉に挙げられて、相当攻撃を食つておるわけであります。だからして、それに対しましても、これはそうした外国青年学者に答えるという意味ではなくして、私たちに答えて頂くという意味においても、是非それに対するアンサーを書いてこの委員会に出して頂きたいということを一つ要求いたしておきたいと思います。  それからもう一つは、今の御答弁の中で、シヤウプ勧告に基くところの神戸委員会というものは軍事占領下にあつたが故に、それに対する神戸委員会の処置というものが完全なる独立国家日本としての立場において行われなかつたが、今度の調査会は完全なる独立国家としての日本立場においてやりたいういう御答弁でありましたとまあ了承したのでありますが、これは一応御尤もな御見解であります。併しそこに私は非常な大きな何といいますか、危険が含んでおるということを申上げて御答弁を得たいと思うのでありますが、それは日本政治全般についてでありますが、特に地方行政の面におきまして、戦後いろいろGHQから強制されて、或いは指導されたというような形において行われました日本地方行政というものが、従来の日本制度と非常に違うものが多かつたのでありまするが、その違つたことが、実はその精神というものが十分に了解されないで、そうしてただこれは押付けられたものである、或いはアメリカ制度であるからして日本に合わないというように極く浅薄に理解されて、そうしてその制度それ自身が持つているところの精神というものを十分に理解しないままに、今度独立国なつたからというので、直ちにこれを放棄してしまう傾向というものが非常にあると思うのであります。それはひとり地方行政のみならず、そのほかのことに共通して私は現在の日本にあると思うのであります。これは非常に危険なことで、十分に一〇〇%その制度の持つておる一切のものをば理解した後において、その取るべきは取り、捨てるべきは捨てるという形がとられるならばよいのでありますが、実際はまるつきりわかつていないのです。そうして、従来の制度に合わないからすぐに捨ててしまうというような傾向が非常に強い。今度の調査会につきましても、恐らく古手官僚が又たくさん群集して来まして、そうして自分たちの従来やつて来たことと戦後行われたところの地方行政改革とは違うのだと、こんなものは駄目なんだというように、わからないうちにそんなものをとつてしまうという、結果が大体その通りになるということを今から予言のておいても間違いないと私は推測しておるのであります。ところがそれは日本に合わないからと言つて、その古手官僚どもが捨てようとしておるところのものが、それでは日本固有伝統とか、或いは日本人の本当の実生活に即して生れて来ておるところのものであるかというと、実はそうではないのでありまして、これは本多さんも御承知のように、戦前の、或いは戦時中の地方制度というものは、七十年の間明治憲法と結びついて行われて来たところのプロシアの制度そのものなのであります。御承知のように、自治制度というものも山縣内務大臣の下にプロシヤ人日本に来て書いたものなんです。それが明治憲法が存在しておる以上は、明治憲法プロシヤ憲法の翻訳なのでありますから、その考え地方制度においても明治憲法と結びつけられて行われて行くことは当然のことでありまして、何だか日本固有のものであるかのように、やはりアメリカ制度と同じように舶来であるものが、余りに長くそれが続いたがために、固有のものであるかのような一つ間違つた見解日本官吏諸君や、地方自治体の公務員諸君が今日まだ持つておるのであります。それは一つも改まつていないのであります今シヤウプ勧告アメリカのものであつたから、これを独立国建前から日本式建前で再検討して行きたいということは、形式上は正しいのであります。ところが日本的なものから再検討して行くという、その日本的なものだと、あなたは違うかと思いまするけれども、少くともこのワープによつて猛烈に非難されておるところのあなたの部下の地方自治庁官吏というものは、その亡び去つたところの第一次欧洲戦前のプロシャの考え日本式なものと解しておるのであります。これは明白であります。私は幾らでも例証を挙げてそのことをば例証いたしますが、時間がございませんからこれは省略いたしますけれども、そのことについてもう一度長官から御答弁を得たいと思います。先ほど申しましたことと二つであります。
  8. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) アメリカ学者の論説ですか、著書ですか……
  9. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 著書じやないのです。極く簡単なものです。改革案です。
  10. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) その指摘されておる問題について文書を以て答えろというお話でございますが、これはまあ非常に極めて簡単なものであるというお話でありますけれども、一々学者の研究されておる題目について答えるということはなかなか困難ろうと思います。併し、お話をお伺いしておりますと、非常に貴重な資料のようでございますから、研究さして頂きたいと存じます。  それから最前の、地方行政委員会シヤウプ勧告に基く委員会であつたというので、その性格を取上げられてのお話でありまするが、そうした点と、更にもう一つ、この税制財政という方面に重点を置いた地方制度調査会というものが出発点であつたために、地方制度全般の総合的な関係が十分ではなかつたのではなかろうかというお説であつたのでありまして、それに対しまして、私も地方行政というものはどうしても税制財政と一体不可分のものであるからして、今回の地方制度全般調査会というところに、あのときの神戸委員会以上の私は総合的な御調査も願い、実行力といいますか、実現性も期待できるのではないかということをお話し申上げた次第でございます。併し地方自治制というものは、従来の沿革に鑑みましても圧迫されがちなものでございますから、その御趣旨については全く同感でございますが、十分一つ地方制度調査会においてお話のありましたような事柄も研究して頂きたいと考えております。
  11. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 御答弁を承わつたのでありますが、どうも私が申上げておる趣旨を十分に御了解をされていないような感があるのでありますが、これ以上申上げましても時間を取るだけだと思いますからこれだけにいたしておきすが、甚だ満足いたしておらんということだけ申上げておきたいと思います。  それでこのワープ報告書は、さつき申しましたように、現在日本地方行政専門家の間におきましては、一つの課題になつておるのであります。あなたの御主宰になつておる自治庁それ自身が非常な攻撃対象としても書かれておるのでありますから、簡単なのでありますからそして又この委員会にも資料として全部の委員に配られておるのでありますから、早急に是非読みを願いまして、御答弁は極く簡単な文書でできると思いますので、その列挙されておりますところの一々の事項につきまして、是非文書以つて、下僚と御協議の上お答え下さいますように重ねてお願いします。
  12. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今お話は極く簡単なもので答えられるものでありましたら、答えて差支えないと思いますが、ただその折角地方制度調査会地方制度全般の諮問をするという際でございますから、余りこれから研究して頂きますことを方向ずけるような答え方はするのが適当な時期じやないような気もいたします。でありますから一遍それを私が読まして頂いた上で一つ研究してみたいと思います。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 先ほど本多国務大臣に、地方制度調査会委員の数について、国会側の数を御説明願いましたが、その他に関係行政機関とか、地方団体学識経験者、その数字はどういうことになりますか、お伺いいたします。
  14. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お答えいたします。国会が十七名、地方団体十二一名、学識経験者が十六名、それから政府関係行政機関が五名と、これで大体五十名です。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の数を御発表になりましたが、そのうち先ほど本多国務大臣が言われました国会のほうより十七名ということでございますが、そのうち十名は衆議院で、七名は参議院でありますが、そのうち参議院を七名というふうに政府考えられたその根拠を伺いたい。
  16. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) まあ従来の委員をそうしてお願いする場合の慣例等に鑑みまして、そういうふうに決定したわけでございますが、大体国会から出る数を三分の一程度に抑えまして、その十七名を従来の慣例等からみれば三対二くらいの割合でたしかできておるのじやないかと思いまして、そういう割合で勘案したわけでございます。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて申上げますが、私のほうの緑風会では、政府が指名された数について十分まだ納得しておらないのであります。いろいろ会内で意見が出ますので、私のほうではこの十七名のうち参議院七名ということについてまだ十分納得していない。
  18. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 本多国務大臣に伺いたいのですが、只今の五十名のうち国会が十七名で、地方団体が十二名というお話地方団体はどういう内訳ですか、十二名はどういうふうな内訳か伺いたい、府県市町村で……。
  19. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 従来府県団体は、知事会都道府県議会議長会、それから市の段階についても、町村段階についても、そういう組織ができておりまして、大体その組織によつた数字でございます。今その内容を読上げます。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体新聞に名前まで発表してあるのです。そのタイプに打つたのを見せて下さい、もう名前発表になつたのだから。
  21. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) まだ併し発表はしません。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 出ていましたよ。
  23. 本多市郎

  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうすると六団体のうち、一団体については二人ずつ、こういうわけですね。
  25. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) そうですね。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 政府の五名というのはどういうことに考えておりますか、政府関係者五名……。
  27. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 政府関係各省から出してもらうのは、内閣官房長官法制局長官行政管理庁次長自治庁次長大蔵次官、この五名でございます。
  28. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 他に質疑ありませんか。
  29. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 学識経験者というのは……、
  30. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 学識経験者は十六名としております。
  31. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 内訳です。
  32. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはまだ人選が決定しておりませんので、内訳は申上げかねます。
  33. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私は、この委員については先般の地方行政委員会においても、新らしく就任された本多大臣にも申上げ、地方制度調査会を設置するということを提案された先の大臣にも、或いは政府委員にも、国会側は、少なくとも五十名というのだから、半数以上ということに対して善処いたしますという確約を得て、この趣旨通り実行されているものかと今日まで考えておつた。それから臨時委員が別にあるのであるから、学識経験者とか、役人とかというものは、これは臨時委員に廻すのが妥当であるという解釈なども持つてつたのでありますが、学識経験者は、もとよりこの委員会に入れることは必要だと思いまするし、適切だとも思うのですが、こうしたかたはむしろ臨時委員、或いは役人のごときも臨時委員に多く廻して、少くとも結局においてこれが又衆議院参議院地方行政委員会国会に付議されるものであつて折角地方制度調査会でいろいろ立案、審議されたものが、又国会で逆の論議がされて鼎の軽重を問われるような場面があつても、私は非常にこの問題についての先行に不安が感ずるし、結局国会審議決定を待たなければならんものであるならば、この間に国会議員を少くとも半数入れて国会の空気というものを絶えず読みつつ専門家意見を聞き、相互の立場を研究するのがスムースな、又目的を達成するのに極めて適切な方途であるという確信を持つている。そういう観点から今政府から発表された員数については、本来こうしたものをこしらえてこの困難な地方制度地方財政制度等の抜本的な解決をする方途としては極めて脆弱である。その中心がどこにあるかわからん。小田原評定で、てんやわんやの議論倒れになる虞れがあつて、およそ決定する委員会というものの筋が通らない。であるからこの際委員の案は再検討を要することが必要だ、私はこう思います。
  34. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 岩木委員国会側から委員を出すことの意義についてお話がありましたが、そういう点も十分考慮いたしまして、併し三分の一程度国会側から出て頂くことができましたらば、それで適当じやないかという結論に達したわけでございます。
  35. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは、私が今申上げましたように少くとも国会議員を半数以上ということで政府もその当時は了承し、善処する旨が確約されておるものが、同じ自由党の内閣の、自由党員である本多大臣が、これを引継ぎを歪曲するというようなことは甚だ私はおかしい。それならその当時政府委員なり大臣が善処することの確約を、ここで訂正する旨の政府側の理由を明らかにしないといけない。而もこの員数を見まするというと著しく劣弱であります。国会議員側の員数が……。従つてこの学識経験者或いは政府委員等は相当程度臨時委員に廻して、今申上げます通り国会議員に二十五名、最低二十五名くらいな員数を選任替えすることが私は妥当であろう、重ねて要求いたしたいと思います。
  36. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは政府の責任においてその数をきめなければならんことになつておりますので、只今岩木さんのお話の点は全くその通り考慮いたしたのでございますけれども、議会外、学識経験者、行政機関地方団体それらをやはり網羅して釣合いをとつて意見もそこで総合されるようにということを考えますと、国会側から三分の一程度出て頂くことによつて適当な振合いになるのじやないかということに十分研究いたしました結果、結論に達したものでございますから、是非御了承を願いたいと存じます。
  37. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 以上は大臣の、或いは政府の一方的な解釈であるし、見解であるわけでありますが、本来この目的を達成するゆえんの大きな問題の横たわつておる問題を解決する方途としてこういう道が選ばれたという根本的な出発点から思いを深めて行きますと、やはり結局又国会で左右されまして、或いは著しく思いの違つたものが出る。或いは調査会で折角立案研究されたものが国会で棚上げされる。こういつたことは調査会の権威もあるし、多数の委員の苦労も水泡に帰する虞れなしとしない。そういつたことであるから、丁度あたかも前の神戸委員会のごとき何が何やらわからんようなことであつて、埃をかぶつて権威があるのかないのかわからん。一つの空理空論のような結果に陥つて一つも実施意欲、実行力がないというようなことに陥つて来る。そういうことは政府なり大臣考え方に誤りがあるのじやないか、だからスタンダードの大きなところに少し思いを馳せて頂きまして、もう一度再考をお願いいたします。
  38. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御尤もでございますが、地方制度調査会設置法によつて今回調査会が設けられる、それに対して国会外の学識経験者関係行政までも含めて調査会を作るということを国会でおきめになりました趣旨の中には、国会以外のそうした経験者、学界の者をも一緒に研究をさして、そうしてその意見を適当なものであれば、尊重したいというお心持もあつて、この調査会が設けられるものでありまして、ただ国会側独自でおやりになろうという趣旨ではないと思いますので、是非そうした国会側のかたがたも十分御研究御努力を頂きまして、実現し得るところの立派な成案を得たいということを期待いたしておる次第でございます。
  39. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今大臣学識経験者十六名はまだ案もできておらない、これから検討するのだということであります。それはまあ委員外の学識経験者を多数選ぶということを特に私が反対しておるわけじやない。そこで私が重ねてお尋ねすることは、こうしたかたは臨時委員に選任されたらどうだろうかということを申上げておる。であるから、そうするなら臨時委員二十五名なんか、どういうような振割りで選衡をされるのでありましようか。臨時委員二十五名をやるのかやらないのか、やるならどういう人をどういうふうに選ぶのか、これを一つ承わりたい。
  40. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今度の地方制度調査会の運営につきましては、地方制度調査会調査委員がきまりまして、そうしてその調査委員会議によつていろいろの部門別や或いは目標別に研究を進められることと存じますが、そうした際に臨時委員というものはやはり臨時的に委嘱するということになつて行くと思うのでございます。今からどういうふうにという割振りなどは私のほうでは計画をいたしておらない。
  41. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そこに私は従来自由党の政策はもとより大臣の巧妙な政治的な手腕に危惧を持つておるのであつて、そういうカムフラージユするようなことを言わずに、臨時委員というものはこしらえるのであつて、これには役人を何ぼ入れるのだといつたようなことはちやんと目算があるはずです。私は明らかに聞かんではない、恐らく相当ないろいろの考え方があるのでありますから、臨時委員というものはやはり置くのである。でこの部面で内部のいろいろな部面の意見が分れることは私も伺つておりますが、臨時委員にいろいろな人がたくさん出て来る。それは役人であるとか又学識経験者というものがたくさん出て来るのであります。そうすると最後の結論、結局の決定者は或いは本委員五十名かも知れませんけれども、これらの案の主導力をなすものが臨時委員二十五名を加えた七十五名ということになる。その二十五名の帰趨がわからんということじや甚だおかしいのであつて、本委員五十名のおよそ見通しを付けるならば、学識経験者の十六名の大体案くらいなものはあつて然るべきものである。案がわからずにやはり国会議員が十七名だとか、何を十六名だとか、何を十二名という割り振りができるかどうか、私は疑わしい。お考え方の基本を明らかにせんとこういうような末梢的なことばかりを出す。だから臨時委員の二十五名の問題をこの際明らかにせなければならない。これはもう当然いろいろな部面が生れて来るのでありますから、それを言わずしてその都合のいいことばかりをして国会をあたかもないがしろにするようなことが甚だ我々不満であつて、これはすつきり私はしてもらいたい、こう思うのです。
  42. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 臨時委員については、こういう人が臨時委員としていずれの機関かわかりませんけれども、当該のまあ課題が調査されるときに臨時委員に委嘱するようなことがあるであろうというようなことは考えられます。例えばこの調査委員会の正式の委員にならない各省の次官等は、その省に関連する問題のときに臨時委員、或いは又その学界、経験者の意見を特にこの問題について一つ研究が進められるというときには、それに適当な学者とか経験者とかいうものを臨時委員にお願いをしなければならんということに進行するとは思いますけれども、今からどのような人をどういうふうな面にどういう臨時委員を置くという計画は一切立てておらないのでございます。  それから学識経験者につきましては全然案なしかと申しますけれども、それは勿論案もあれば人選もいたしております。いたしておりますけれども、これは御当人の御承諾を得て、そうして所期の人数が揃つた上でなければ、これを発表することはいろいろ弊害があると思いますので、できない事情にあるのでございます。でありますからその学識経験者内訳ということになりますと、結局その人の経歴とか、職業とか、具体的な編成まで言わなければ御納得の行く説明はできないと思いますので、もう暫く御猶予を願いたいと思つております。
  43. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今臨時委員の大体考え方の一端を大臣が御発表になりましたが、即ちこれの委員に入れない各省の次官だとか、その他学識経験者を入れる、こういうことであります。そうするとおおむね二十五名は各省の役人学識経験者、こういうことでございます。こういう二十五名が一般役人学識経験者だということになりますと、今ここでお示しになつ役人がそれに更に五名と、学識経験者十六名と言いますと二十一名、四十六名もそういつたものが占めるということになつて、我々が当初申上げた国会議員が半数以上という主張というものは非常にますますぼやけて来て数が少くなる。であるから私は本委員の五十名から、国会議員二十五名ということは当然で、そういう前提に立つて或いは必要なら各省の役人であるとか、或いは学識経験者臨時委員に入れると、こういうことなら筋が立つのでありますけれども、どうも大臣の言うことは筋が立たんのじやないですか。十七名の臨時委員の根拠というものが明らかでないと思いますがどうですか。
  44. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 臨時委員は全く臨時委員でございまして、調査会がだんだん審議を進められて行くその段階に応じて、必要に応じて委嘱されることと存じますので、今から計画的にきめておくことは不適当じやないかと考えております。
  45. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 重ねて質問いたしまして甚だ恐縮でありますが、もう一つだけちよつとこの際お聞きしておきたいと思うのですが、私は先ほど申しましたと同じような考え自治庁長官に、本多さんのようないわゆる旧官僚でない民間の経歴を経て来られたかたがなつてくれられたということは、日本地方行政の民主化のために、非常に私はあなたに期待いたしておることが大なるものがあるのであります。ところが今度のこの調査会でありますが、大体政府がそういう調査会のような本のを作りましたときには、政府の意図するところをもう既定的に、こうしたいという方向がきまつてつて、それを露骨に出すというと、国民に対して印象が政治的に悪いというようなことをば考慮しまして、それをカムフラージするために専門家を集めて、或いはその道の人をこれだけ集めて、慎重に審議さした結果の結論がこうであつたのだというような形だけを作つて政府の意図を実行させる手段に、煙幕にそれを利用するというのが今日までのこうした機関の、結果から見てのいつもの状態だと思うのでありますが、今度の地方行政調査会議も結局それに使われる、煙幕に使われるだけのことで、然らば政府が行わんとしているところの方向はなんであるかと言えば、これはまあ失礼ですが、吉田内閣の政治全般を通じて方向ずけているところの、政府のいわゆる逆コースの政策、逆コースの線に地方行政を昔の古い形に持つて行こう。その極端な例からすれば、今一つのトピツクになつております知事の公選はやめてしまつて、昔の官選にしてしまう。これはまあ、そこまで行くかどうかわかりませんが、その方向のものなんです。そういうふうな考えに持つて行くのに、今すぐにそういう案を政府が出すというと、これは国民に猪突の感を与えたり、政治的にまずい。それでこういう専門家を集めてやつた結論がこうなんだからというためにする、そういう煙幕に使われるのが常態だつたと思うのですが、私は本多さんの御経歴からして、願わくばそういう方向のために使われるものでないことを希望したいのですが、この際そのことについて大臣の御所感を承わつて速記録に残しておきたいと思います。
  46. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今回は全く地方制度全般に亘つて再検討の必要があるということに政府意見も一致しているのでありまして、どういうふうに、どういう方向にこれを持つて行くべぎかということにつきましては、まだ全く何ら政府部内において意見の一致したもの、又方向ずけられたものはないのでございます。どこまでもこの地方制度調査会におきましては地方自治の確立、強化ということができますように、是非御努力を願いたいと思つているだけでございまして、今の知事の選挙制度等につきまして、政府としてまだ何らそれに触れておらないところでございますから、私から申上げるわけには行かないことを御了承願いたいと思います。
  47. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 煙幕に使うということについてです。
  48. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 何か政府が部内において方針をきめておいて、そうしてその只今お話のように、調査会を利用してここに結論を出さして、それを政治力として実現する。そういう手段などということについて全然考えておらないのでございまして、全く政府は白紙で委員会のかたがたの十分な意見御希望によつて、立派な意見を出して頂き、それを尊重したいという考え方でございますので、是非調査会委員会において御尽力頂くようにお願いいたしたいと思います。
  49. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 御答弁は非常にお座なりの御答弁であります。私の質問いたしておるところの意味を十分に理解把握しておられないと考えますが、これ以上お尋ねいたしますと議論に亘りますから……。非常に不満足である、私の質問の趣旨を十分了解してもらつておらん、お座なりの答弁であるという考えを持つているということだけを申上げて、質問はこれで打切ります。
  50. 中田吉雄

    中田吉雄君 本多長官の今吉川委員の質問に対する答弁ですが、先般来地方制度調査会がおよそ次のようなことを大体重要な調査項目にしたいという中にも、すでに知事の公選制妥当か否かという問題が、非常に大きなテーマとして取扱われてすでにできて、これはまあ旧内務省官僚諸君の多年の念願で、やはりこういう機関を通じて吉川委員の言われたような、オブラートに包んだそういう機関を通じて濾過して、妥当性を与えて持つて来るという可能性は、すでに過ぐる国会でいろいろな修正案を見て、これは明らかじやないかと思うのであります。一つその点を十分御留意願いたいと思うわけであります。  それからもう一つ、この制度調査会が所期の目的を達しますためには、委員の構成がどうなるかということも、非常に大切だと思うわけであります。併し何と言いましても、只今申されたようないろいろな人は、それぞれ重要な社会的な地位に就いて、いわばネーベンなんであります。副業のような形でこれに参加するわけであります。従つてそういう人は、地方自治に対する高邁な識見、広い体験というようなものから、地方自治のあり方についてのサゼツシヨンを与えることはできると思うのでありますが、そういうものを実際具体化するということは、なかなか忙しい職を持つている関係から困難かと思う。従つてそういうものが、高い識見や広い体験を具体化して行くためには事務局というものが十分それを可能ならしめるようなスタツフができるかどうかということは、非常に大切だと思うのであります。そういうものは自治庁の職員が、これ又ネーベンで兼務して行くのですか、或いは専門の事務局というものを置いて十分なスタツフを以ておやりになる意向があるかどうか、その点を。
  51. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御尤もでございまして、とりまとめて整理し、そのやつて行く事務に練達なる者が必要でございます。これについては、調査会の事務としては自治庁が担当いたしますが、それぞれその問題に関係のある各省から練達の士をその幹事として任命いたしまして、そこの幹事によつてそれがまとめられて事務的には行くという準備がしてあります。
  52. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この地方制度調査会政府のほうではどのくらいの年月で結論を出してもらおうというような心組がおありになるのか。そういうものは一切なしで、この委員の議事の進め方に一切お委せになるつもりであるか、どういうふうにお考えですか。
  53. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 予算で言いますと、年度で予算がきまつているわけですが、併し本年度一ぱいで調査を終るということは困難と思いますから、引続いてやつて頂くことになるだろうと思います。その期間につきましても、それから最前のお話ありましたどういう問題を取上げて研究目標にするかというようなことについても、この調査会が構成された上で、その意見もそこできめてもらつてやるということになるのであつて政府が指導するというような考えではないのでございますから、その問題点も恐らく調査会でお取上げになつてきめられるものだろうと思います。それからその期間につきましては、地方制度の再検討の急務であるということが言われている際でございますから、できるだけ関係機関はこれに協力いたしまして急速に結論を出して頂くことに御努力を願うつもりでありますが、どのくらいの期間ということは、はつきり今から調査会の進行状況も見ませんと申上げかねるのじやないかと思います。
  54. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私どもはこの地方制度調査会は、賛成であります。地方制度調査委員会議が作られて、非常に勉強せられて或る結論が出た。そうしてそれを内閣並びに内閣を通して国会勧告をして来られておる。これを何とか片を付けなければならない国会としても一応の義務があると思うわけであります。そのときにどういう方法をとつたら、それではいいかということを考えてみるのに、やはりこの地方制度調査のような行き方でなければなかなかうまく運ばないだろうと思う。こういうふうに私どもも考えておりましたが、ここ制度は賛成であります。併し先ほど吉川君なり又中田君なり、他のかたがたから仰せのごとく、政府考え通りに引張つて行こうということは不賛成であります。そういうことは到底できないことで、我々もそういうことでないように進めたいつもりでおります。併しこの御注意もよく大臣のほうにもお考えおき願つて頂きたいと思います。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう一つ調査項目として警察制度をどうするかという問題もそれに含まれる予定ですかどうか。御存じのように新らしい自治法の第二条の第三項には、この地方公共団体はおよそ次のような事務を行うとして、その第一番に「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」として、この警察の問題が地方自治のおよそ次のことを行うという最も重要なトツプに掲げてありますにもかかわりませず、自治庁としては地方財政を含む大きな問題として、それを退けて、むしろ自治体警察をなくする方向にやつておられるような傾向もないでもないと思いますが、私はやはりその地方住民がその秩序をどういうふうにして維持するかというふうな問題は地方自治の民主化の上から言つて非常に重大であると思います。これは財政問題と共に非常に大きな問題で、地方制度の中で取上げらるべきものではないかういうふうに考えますが、この問題はどういうふうに考えておるか。
  56. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方制度調査会で取上げられる問題は、地方制度に直接の問題は勿論、関連する問題ということに亘つて私は差支えないと思う。御承知のように、例えば地方財政制度について御研究になる場合、結局国と地方との財源の釣合い、或いは再配分というようなことに亘るのでありますから、その範囲におきましては、税制等の面においても国税の研究まで関連して行われることになると思います。併しどの範囲のことを取上げて御研究なさるかということのその研究の必要のある問題点と申しますか、そういうものも地方制度調査会できめて、そうしてかかつて頂くことになると思いますので、私のほうから問題点を限定してお願いするというようなことはない方針でありますので、その点も地方制度調査会で御研究願いたいと思います。
  57. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 他に御発言がなければ、この程度で地方制度調査会の質問を打切つて、次に地方財政に関する研究に移りたいと思います。   ━━━━━━━━━━━━━
  58. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) この際皆さんにお諮りいたしたいのでありますが、緊急の陳情が参つております。これをこの際お聞き取り願えるかどうかお諮りいたしたいと思います。実は今回の炭労ストによりまして、全国の各種の炭鉱関係の地方自治体の財政上に大きな欠陥を来たすという虞れがありますので、これに対して全国鉱業市町村連合会副会長鈴木榮一君が皆様方に実情をお聞き取り願いたいというお申出があるのであります。これを許可するごとに御異議ございませんか。
  59. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御異議ないものと認めます。鈴木榮一君に発言を許します。簡単に要旨だけをお述べ願いたいと思います。
  60. 鈴木榮一

    参考人鈴木榮一君) 私は全国鉱業市町村連盟の副会長であり、福島県石城郡好間村村長鈴木榮一であります。本日の委員会において貴重なる時間を割愛下さいまして、今次の炭労の長期ストによる地元市町村地方財政の実情を具申する機会をお与え下さいました御好意に対して感謝を申上げ、更に責任の重大なるを感ずる次第であります。  今次の炭労のストは、参加人員二十六万余人でありまして、継続日数四十八日、賃金の喪失約五十億円、経営者の損失百五十億円に達し、未だ曾つて見ないところの規模の大なる争議であります。その地元市町村に及ぼすところの影響は財政、民生、治安などに頗る重大性を加え、殊に年末を間近かに控えて、その様相ますます深刻なるものがありまするが故に、去る十一月二十二日に今回の総会において炭労ストの早期解決の要望の決議をなし、労資両団体に大局の見地よりその主張を再検討し、更に互尊互譲の実を示して早期解決を要望し、更に政府当路者にもこれが妥結を促進するの万全の処置を講ぜられんことを切に要望陳述した次第であります。  次に地元関係町村のストに伴う歳入の欠陥に対する財源の措置方要望書も十一月二十二日現在、更に十一月、二十日までの分を追加いたしまして減収などの推計計算の資料をお手許まで提出してあるのであります。ために概要を簡単に申し述べたいと思うのであります。今次ストに伴うところの歳入の欠陥は、鉱産税の減収の見込額が昨日現在で一億七千三百二十四万円、市町村民税所得割並びに法人税割の減収見込額が八億五千百五万円、更にストに伴い地元市町村において必然的に支出をしなければならない予算外の支出なのでありまするが、大体一千万円、その計が十億三千四百二十九万円なのであります。更に労使約百六十億円の所得減が、これらのものに対する固定資産税その他の市町村税の徴税率を低下せしめつつあることから生ずるところの滞納見込額が十億四千万円、以上総計が二十億七千四百二十九万円の巨額に達しておるのであります。  由来、炭鉱市町村財政需要は、その環境の特異性に鑑みまして、一般の市町村に比して多額を要しており、而もこれらの巨額の財政の需要は、もつぱら鉱産税等炭鉱市町村独特の税収を基幹としておるのでありまして、大部分の市町村は一般平衡交付金の交付を受けていないことは皆様御承知のことと思うのでありますが、かかる財政事情にある炭鉱市町村が、而も年度もはや過半を経過し、予算による諸事業もおおむね完成せんとしている昨今に及び、突如として巨額の歳入欠陥に遭遇しましては、他にこれを補填する自主財源に乏しい地元市町村としては、当面財政運営の危機に瀕しており、我らは爾来これが打解に苦慮しておる現情であります。  つきましては、本委員会におかせられまして以上の窮状を十分に御賢察の上、鉱産税、市町村民税の所得割並びに法人税割、更に特別支出見込額十億三千四百二十九万円に対して特別平衡交付金の交付、更に滞納見込額の十億四千万円に対しては、融資許可のそれぞれの財源措置を講ぜられるよう、特別の御詮議を賜わりたく、ここに財源欠陥に関する資料を具し、この段特に陳情要望する次第であります。故に本委員会におきましては、是非御採択の上炭鉱関係市町村財政の危機を御救済下さらんことを切にお願い申上げる次第であります。  終りに陳情の機会を与えて頂きましたことを衷心より厚く感謝申上げます。
  61. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今の陳情者に何か御質疑がありますか。
  62. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 陳情者にお尋ねいたしますが、私のお尋ねは当つておるかおらんか、私も経験がないからわからんですが、炭鉱市町村の従来の財政はかなり潤沢であつた。そしてそういつたことによるいろいろな規模、従来のこうした税金を取り得るようになる以前に比べて、多少いろいろ規模が拡大し過ぎているというようなことを一部聞く向きがありますが、そういうこととは何か関連性がありますか。
  63. 鈴木榮一

    参考人鈴木榮一君) そういう点とも関連性がないとは申上げられませんが、実際にこの歳入の欠陥によりまして二十七年度の事業計画が一大支障を来たすという関係になるのでございます。
  64. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ではこの辺で只今の陳情の件は一応打切つておきまして……。
  65. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつとお尋ねしておきたいことがあります。陳情者にお尋ねいたしますが、例えばこの特別平衡交付金等はそういう関係市町村で従来おもらいになつてつたかどうか。
  66. 鈴木榮一

    参考人鈴木榮一君) 普通平衡交付金の場合は大体において十分の一ぐらいの市町村がもらつておるかも知れませんが、それ以外の町村はもらつておりません。あと私の村の場合などにおきましては、これは平衡交付金は一銭も入つていないのであります。特別平衡交付金で十万五千円くらいの状態になります。
  67. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これは重大な陳情だと思いますので、この際政府の意向をちよつと聞いておく必要があるかと思いますが如何でしようか。
  68. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今吉川委員から御発言がありましたが、陳情に対する政府の御見解をこの際承わりたいと思います。
  69. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 年度内の税収等に急激な変化が起つておるところには、それ相当の調整も必要であると思うのでございますが、需要額徴収額等の見通しにつきまして十分検討いたして結論を出したいと思います。
  70. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今本多大臣は非常に大まかなどつちでも逃げられる、どつちでも言いようのできるような見解を表明したが、私もその気持はわかるのですが、実際問題としてそれじや関係市町村がこういう財政上の収入の激減に対処し得て行けるかどうかもやはり危惧を持つておる。私が前段に陳情者にお尋ねしたことく、従来裕福市町村と唱えられておる、こうしたような財政を持つている市町村の規模が必要以上に発展拡大しておるということから、この点に対する多少行政上の問題もあると思うのですが、併しいずれにしてもこうして総計二十億に及ぶ、或いは二十億以上になるかも知れませんが、こうしたような事態というようなものはやはり大きな問題だろうと私は思う。さなきだに平衡交付金が少い、起債が少いと言つてやかましい折柄でありますので、この問題については政府は至急にやはり調査をされて、陳情者の趣旨のようなことであるのかどうか。併しこのことの実情は認めるが、国の財政が足らないからやれないというのか、やはりその点を明らかにしておかないというと、将来問題が起る虞れがあります。どちらか筋を明らかににして頂きたい。
  71. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 陳情の趣旨をだんだん伺つてつたのでございますが、これは歳入に急激な変化があつたことに主な原因があるように聞いておりますので、結局基準財政需要額、これを満たす、だけのものがないということになりますと、平衡交付金の問題になつて来るのでございます。併し、財源に恵まれておつたというところから、自主的な運営の面において、基準財政徴収額を、需要額というようなものが遥かに上廻つて運営されていたということから来たものであるといたしますと、今の乏しい国家財政を以てそこまで補填して上げるということは非常に困難になることと思いますので、これにはいろいろな工夫をこらして善処して頂かなければならない面もあると思います。自主的運営の面から来た困難であるか、基準財政需要額を収入額が満たすことができないのであるかという点を具体的な問題でございますので検討いたしたいと思います。
  72. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) それでは政府当局において速かに善処せられんことを希望いたしましてこの問題を打切ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  73. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 次に、先般来政府に要求いたしておりました地方財政関係の平衝交付金関係等に対する資料が参つておりますが、この資料について政府側の御説明を願います。
  74. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今回地方財政平衡交付金増加の要求を認めまして、補正予算に計上して御審議をお願いしているのでございますが、二十七年度の当初予算において平衡交付金を算定いたしました地方財政計画にその後の事情の変化に基く調整を行いまして、三百二十億の地方財政計画の補填が必要になつて参りましたので、これに充当するために平衡交付金において二百億円、更に起債において百二十億円を以てこれを充当するという補正予算をお願いしている次第でございます。資料の項目の順序に従いまして説明員から説明をいたさせることにいたします。
  75. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 地方財源の不足額を十四の項目に分けて記載しておりますので、その順序で申上げて見ます。  第一の給与改訂による給与関係費の増加額二百八十五億六百万円は、第一には十一月から予定されております給与改訂約二〇%の増加に必要な額であります。そのほかに地方公務員の給与が高過ぎるから引下げた上で給与を改訂して行こうというようなことで財源計算が行われておつたわけでございますが、その高過ぎるとされておつた額が若干多く計算されておつたというふうなことから修正されました額がこの中に九億円ばかり入つております。なお従来期末手当を給与月額の十割と計算されておつたのでございますが、これが夏季手当と新たに創設されようとしております勤勉手当と合わせまして十五割になりますので、差額の五割の増加額もこの中に含まれているわけでございます。  二番目の勤務地手当支給地域区分改正による給与関係費の増はすでに決定している分でございます。  三番目の寒冷地手当支給地域区分改正及び石炭手当支給単価引上による増もすでに決定しておる分でありまして、石炭手当は一世帯主一人当り四千六百円が六千百円に引上げられるごとによる増加額であります。  四の自治体警察廃止による経費の減少額一億七百万円は、今年の六月一日から更に二十四カ町村の自治体警察が廃止されました結果、これだけ当初計画よりも経費の所要額が減じて参るわけであります。  五番目の教育委員会選挙費及び行政整理に因る不用額の修正、減三十七億九千五百万円は、当初教育委員会の選挙費として十七億円程度を予想しておつたのでありますが、選挙を実施いたしました結果に徴しますと、都道府県のうちでは五団体が無投票になりました。市町村のうちでは約半数が無投票になつたわけでありまして、選挙費におきまして五億程度の不要額が生じて参つたわけであります。他面地方職員全体につきまして五%の行政整理を行う結果四十七億程度の経費の節減が可能になると見込んでおつたのでありますけれども、その後のいろいろな事由から教育職員や警察吏員につきまして行政整理を見込むことは適当ではないということになつて参りましたので、これを取上げますと、経費の節減額は五億程度にとどまりますので、四十二億円程度新たに財源を補填しなければならないということになるわけであります。その差額といたしまして三十七億程度の財源所要額をここに計上いたしたわけであります。  六番の市町村教育委員会設置に要する経費十億八千四百万円は、先の委員の選挙から起つて参りました事務局の所要経費であります。  七番の公債費の増、十四億五千百万円は、二十六年度の年度末における地方財政の窮状を救うということから八十億円のいわゆる赤字公債の発行等が行われました結果、公債費がこの程度増加いたして参つたわけであります。  八番の補正予算による国庫補助負担金の増額に伴う地方負担の増、三十二億二千百万円は、国会に提案されておりまする国庫予算で公共事業や或いはその他の国庫補助金の増額の関係から、例えば屋内体操場に対しまして二分の一の国庫負担金として三億余りが交付されるとか、或いは農業改良の経費が国庫負担分として増額されるとかいうような関係から起きて参ります地方負担額の増加分であります。  九番が経費の節約等による歳出の減少額の六十億円。この計算の根拠は旅費につきましては国の予算にならいまして、一〇%程度の節減を実行してもらおう。更に経費の総額からこの旅費と通し的な経費と給与費とを引きましたいわゆる物件費の系統のものにつきまして、五%の節約を実施してもらおう。こういうことになつて参りますと、六十億円程度の財源の捻出が可能になつて参るわけであります。  十番の地方税収入の自然増減は企業の最近の傾向からいたしまして、法人事業税や、法人税割の面におきまして若干減収が生じて参るわけでありますが、その後電気料金やガス料金の改訂等が行われました等の関係から、電気ガス税につきまして増収が見込まれましたり、或いは映画の入場料金の引上等の問題から、入場税につきまして若干の増収が行われましたりいたします結果、当初の計画よりも三十六億円増収が生じて参るわけであります。  半面十一に記載いたしておりますように、入場税、遊興飲食税、電気ガス税の減税を一月から実施するといたしますと、二十六億円の減収が生ずるのであります。入場税につきまして十三億円程度、遊興飲食税につきまして十一億円程度、電気ガス税につきまして二億円程度の減収になるわけであります。  十二番目は道路法改正によりまして道路損傷負担金の規定が削除されたわけでありますので、これに伴う減収として九千五百万円計上したわけであります。  十三番目の税外収入の増収四十九億九千七百万円は当初の地方財政計画を修正したものであります。と言いますのは、税外収入について見ておりました当初の計画額が二十六年度の決算見込額を見て参りますと過小に測定し過ぎておつたように思います。二十六年度の判明いたしました決算見込額を基礎にいたしまして、使用料及び手数料の系統の金額に、二十五年度から二十六年度に亘りまして、これらの税外収入がどの程度増加して参つたかというその増加率を乗じまして、その額から当初見込んでおりました金額を控除いたして参りますると、約五十億円程度の収入額が増加いたして参るわけであります。  十四が、昭和二十七年度の地方債財源として予定しておりました分を昨年度のいわゆる八十億円の赤字融資の際に繰り上げて使つておりまするので、その繰り上げて使いました五十億円を補填する必要が生じて参るわけであります。そういたしますと、これらを合計いたしまして、三百二十億円程度新たに地方財源の措置をしなければならないことになるわけなのであります。  この補填を地方財政平衡交付金によつて二百億円、地方債によつて百二十億円いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  76. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今政府側の説明に対しまして御質疑が相当あると思いますが、時間の関係上午後に続行いたしたいと思いますが、如何いたしましよう。
  77. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御異議がないようでありますから、この点については午後改めて再開をしたときに質疑をいたすことにします。  なお、政府委員に一応伺つておきますが、この補填方法概要の資料はもらつてありますが、この計算の根拠も要求してありますが、これはまだ手に渡らないようですが、どうなんですか。
  78. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 今ガリに廻しておりまして明日になるのじやないかと思いますが、できるならば午後間に合うようにいたしたいと思つております。
  79. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) できるだけ午後に間に合うようにして頂きたい。
  80. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今概略の御説明がありましたが、一昨日予算委員会で同様な説明があつて、各委員より参考資料の要求がしてございますので、予算委員会で要求した資料をできましたならば、地方行政のほうにも全部それを提出せられたいということを要求しておきます。
  81. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつとほかのことを大臣にお伺いしたい。公職選挙法は改正案を政府は出す肚でおるのか、出さないのか、その点明らかにしておいてもらいたい。やはりかなり衆議院のほうの風雲も穏やかでないし、参議院のほうの選挙も四、五月にあるというようなことに対して、先般の選挙に鑑みまして問題点はあると思います。政府においてやるつもりか、やらないつもりか。やらないならやらないつもりで国会側においても考慮さるべき点があると思いますが、どうですか。今日の委員会の本筋とは違いますが、一つ方針を明かにしておいて頂きたい。
  82. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは公職挙選法の調査委員会も設けられまして検討しておられることと思いますが、まだ結論を得ていないと存じます。その経過を調べておいて午後御答弁申上げたいと存じます。
  83. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後二時十九分開会
  84. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 午前に引続き委員会を開催いたします。  岩木君から国務大臣に対しましてなされた質問に対し、国務大臣が御返答があるそうですからそれから願います。
  85. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 最前岩木さんから御質問のありました政府は公職選挙法の改正をやる意思であるかどうかという御質問でございますが、先般の議会で改正せられました新らしい選挙法によつて総選挙が施行せられましたので、その結果も十分調査いたしまして更に検討を加えたい考えであります。この議会には差当つて選挙法の改正案を出す考えはございません。
  86. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この議会に差当つて出す意思がないということはわかりました。次の議会に出すか出さないかということは今調査中であるが、調査中にも目標があると思う。一応この機会調査しようという目標で調査しておるのか、改正を図ろうという目標で調査を図つておるのかということをお聞きしたいのが一点と、それから人口移動等によつて衆参議員とも定員の増減が生ずる別表改正が喧ましく言われておりますが、そういう別表改正なども行う肚か。これは調査中以外の問題で、具体的な問題でありますが、別表改正によつて衆参議員の定員増減を図るような措置を講ずるつもりかどうか、この点をもう一つお尋ねいたします。
  87. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今御指摘のありました点につきましても、只今やはり検討中でございまして、それでは次の国会にどうかというお話でございますが、次の国会に提案するということもまだきめてはおらないのでありますけれども、研究いたしまして結論に到達いたしましたならばそういうことも進行できると思つておりますが、只今のところ政府としてはいつ出すということ、又改正点というものにつきまして決定いたしておりません。
  88. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 別表は……。
  89. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 別表についても同じことでございます。
  90. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 次に、お手許に配りました昭和二十七年度修正地方財政計画について政府側の説明を聴取いたします。奥野説明員
  91. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 先ほど概略御説明申上げたのでありますが、更にそれについての細かい資料只今お配りしたわけであります。その内容を御説明申上げるわけですが、そういたしますと、四ページのところを見て頂きますと、三に算定基礎資料として、(一)が給与改訂による給与関係費増加額調、そのうちの(イ)が給与単価調整額減少に伴う給与関係費増加額、九億二千四百万円の内容をここに掲げておるわけであります。この問題は道府県の一般職員につきましては、先に高過ると考えました額を百十四円引下げる、教育職員につきましては二十六円だけ引下げる、その結果どれだけ財源が殖えるかということを書いておるわけでありまして、改訂計画額と既定計画額との差額の差引増加所要額、その右の一番下のところを見て頂きますと、給与関係で八億七百万円であり、年末手当はの右の下のところを見て頂きますと六千七百万円であり、その他五千万円ほどございまして、これらの合計額が九億二千四百万円となるわけであります。  次に五ページのところへ行きまして、(ロ)昭和二十七年度給与改訂による給与関係増加額の総括表というのがございます。二百八十数億円のうちの一部が只今申上げました九億何千万円であり、その次がここに掲げてあるわけでございまして、その一つが給与費で総額百四十五億九千二百万円殖えるわけであります。本給が増額になる関係であります。二番目が期末手当及び勤勉手当の関係で、百二億一千六百万円増加いたします。その他では共済組合費、恩給費、市町村吏員健康保険組合費、議員、要員等報酬手当、超過勤務手当、日直宿直手当、特別職の給与、公務災害補償費、退職手当、死亡賜金、これらのものも本俸の増加に伴いまして経費が増加いたして参りまするので、それらの額を合計いたしますと二百七十五億八千二百万円となるわけであります。これと給与単価の調整の九億余りの額を合せますと、午前中に申上げました二百八十五億なにがしの金額になるわけであります。でそのうちで給与に関する百四十五億九千二百万円のうち、道府県市町村に分けまして更に一般職員と教職員とに分けました数字が、一のところに上つておりますし、更に期末手当及び勤勉手当に関しまするそれらの分類が二のところに上つておるわけであります。  その次の六ページへ行きまして、国の補正予算の補助負担金の増額に伴いまして、地方負担が三十二億数千万円増額するということを申上げましたが、その内訳をここに書いてあるわけであります。補正予算によりますところの地方団体に対しまする補助負担金の増加額が都道府県市町村別にそこに掲げられております。左の所管は、目名のところの中頃を見て頂きますと、総理府の所管の行政では、地籍調査補助地、これは国と府県市町村が三分の一ずつである。文部省の所管では産業教育振興費補助が高等学校産業教育共同実施船建造費等以下いろいろ掲げてあるわけであります。以下朗読は省略させて頂きます。  次に八ページへ参ります。六月一日から自治体警察が二十四団体国警に移管になるわけでありますので、それの財源不要額一億七百万円と計算しましたのは、これらの団体の更員数が六百四十四人ございますので、所要額を一応一人当り二十万円として計算しまして、七月以降の、即ち十二分の十倍の額を不要額と計算したわけでございます。  (四)は経費の節減によりまして六十億円程度の財源を捻出できるというここにいたしております基礎でありまして、(イ)が旅費であります。基準財政需要額に含まれておりまする旅費が(A)の欄に書いてありますように百九億二千万円あります。ところがこれを財政計画上の数字に引直しますためには、一・二九一倍すればよろしいという考えを持つております。その一・二九一倍の根拠は備考のところに書いてありますように、基準財政需要額の総額が三千億余りでありますので、これで以て基準財政需要額の三千億余りの金額と基準財政収入額は標準税率で計算されました税収入の七割の額しか算入していない。三割の額は別に地方財政運営のために使われておるわけでありますので、地方財政計画上の数字としてはこの除外されておりまする財源も加えて見て行かなければなりませんので、これを加えたものを除しますと一・二九一という数字が得られるわけでございます。この数字に〇・一を乗ずる。要するに一割の節減があつたものと仮定しましたのが十四億九百万円であります。右側の(ロ)の欄に、その他の物件費につきましての財源捻出可能額を算定いたしておるわけであります。左のほうが基準財政需要額の総額であり、その次の右側の額が、左の中から旅費や給与関係費及び投資的経費、これを除外すると二千二百九十二億八千三百万円になるわけであります。これを財政計画上の数字に引き直しまするために、右の端の一番上に書いてありまするように、Bの額に一・二九一倍を掛けまして、更にこれに〇・〇五を乗じますと、下の四十五億九千百万円という数字が得られるわけでありまして、この両者を合せまして、経費節減による財源不要額を六十億算定したわけであります。  次に中頃に、教育委員会委員選挙費修正に関する調べというのがございます。道府県市町村も若干ずつそこに増減額を書いておるわけでありますが、道府県につきましては、不要額を五億八千九百万円、市町村におきましては一億七千六百万円を算定いたしております。差引きますと、(3)の合計欄のところでありますが、四億一千三百万円が不要になつて参るわけであります。当初市町村毎に教育委員会委員の選挙を行うということにつきましては、政府としては延期案等がございましたので、市町村毎の教育委員会委員の選挙が行われるものとしての財源、所要額は考慮に入れておらなつたわけであります。その結果、若干増加になるわけであります。備考に書きましたように、教育委員会委員選挙に関し、無投票団体は、府県にありましては、右の端にあります五団体であります。市にありましては三十六団体町村にありましては四千二百八団体に上つたわけであります。その結果、むしろ選挙費用が増加すると考えておりましたのが、逆に当初財政計画に織込みましたほどは要らないというような結果が出て参つたわけであります。  六番目は、勤務地手当支給地域区分改正による給与関係費増加額の内訳であります。増加所要額が右の端にありますように六億四千三百十万円となつているわけであります。更に中頃に年末手当に関する調べが書いてあります。これも道府県市町村別に掲げただけであります。勤務地手当支給地域区分の関係によつて、(6)の(イ)が給与費であり、(ロ)が年末手当、(ハ)が超過勤務手当というふうになつておるわけであります。これの細かい内訳であります。  それから十ページに行きまして、寒冷地手当支給地域区分改正及び石炭手当単価引上による給与関係費、増加額調べでありまして、その総額が二億六千百九万五千円であります。(イ)がそのうち寒冷地手当支給地域区分改正による増加額の細かい内容であります。十一ページに行きまして、(ロ)が石炭手当支給単価引上による増加額に関する調べであります。備考に書いてありますように既定計画における一人当りの単価は世帯主で一万四千百円でありましたが、これが一万八千三百円に引上になり、その他は四千七百円でありましたが、これは六千百円に引上になつたわけであります。  八が市町村教育委員会設置に要する経費の調べでありまして、総額が十億八千四百万円、事項欄に書いてありますように、イが教育委員会の経費であり、口が事務局費、その裏に更に標準的な都市、町村別の単価がどの程度見込まれているかということを数字にして示しているわけであります。  十二ページのところに書いてありますのは、本年度におきまする一都市当りの経費でありまして、大体三十六万円程度を見ている計算になるわけであります。(B)のところに書いてあります事務局費といたしましては、教育長は現在の市の学務課長がそのまま横辷りをすればよいのではないだろうか。財源としては殖えない。併し大都市では今年で一人、来年度当りは二人平均は置かなければならないだろうという考えを持つているわけであります。そのほか事務職員一人ずつを見ているわけであります。二番目の町村につきましては、半数くらいは専任教育長を置かなければならないだろうし、半数は兼務でいいのではなかろうか、こういう考えで半数についてだけ専任教育長の費用を見ているわけであります。従いまして、比較的規模の大きい町村にありましては一町村当り十六万円余り、規模の小さい町村につきましては五万円足らずという考えになつております。これを平年度化いたしましたのが(乙)の欄に上つておりまして、一都市当り六十四万円当り、一町村では大きいものは二十七万円余りであり、小さいところでは九万円余りになる、こういう結論になつて参るわけであります。  九番目のところに臨時事業費増加額の調べを書いてあります。これは国庫負担金の増加に伴うものでありますが、一般の公共事業と、災害の公共事業と、失業対策事業費の三種類があるわけであります。そのうちで地方負担の増加額だけがこの分で二十四億余りということになるわけであります。  その次の十四ページへ参りまして、地方税収入見込額につきまして、或るものについては増加額を、或るものについては、減少額を見込んでいるのであります。(A)の欄が当初収入見込額、(B)の欄が補正後の収入見込額であるわけであります。従つて(B)マイナス(A)のところを見て頂ぎますと、当初の計画をどう修正しているかということがわかつて頂けると思うのであります。主な点だけを簡単に申上げて参りますと、事業税で四十六億余りの減を見込んでおります。そのうち個人事業税で三十四億余り、これは申告所得税が国税の面において減少して参りましたように、当初の見込額がやはり過大であつたという結論になつてつたわけであります。法人事業税で十二億円の減少を見込んでおりますが、これは企業の収益が案外伸びて参らなかつた。逆にむしろ悪くなつている面が出て参つて来ておりますので、それに伴いまして、見込額を修正いしたわけであります。特別所得税にきましても、申告所得税と全く同じような傾向を辿つているわけであります。前年の所得額を基礎として個人事業税や特別所得税を徴収しておるわけであります。申告所得税の基礎になります所得額というものが大体これらの見込額の基礎になつて参るわけであります。入場税では逆に二十六億円の増収を見込んでおります。これは毎月各府県から報告されて参りますところを基礎にして推定をして参りますと、案外相当の増収が得られて参つて来ておるわけであります。遊興飲食税につきましても若干の増収を見込んでおります。そのほか道府県法定普通税の一番下の欄に旧法による税というのがあります。これは九億二千七百万円の増で、旧法によりました不動産取得税の税収が二十六年の実績を見ておりますと、案外なお残つているというようなことがわかつて参りまして、又府県の徴税額等を調査いたしました結果、この程度の徴収が見込まれると考えた次第であります。次に市町村の法定普通税を三十八億万の増収を見込んでおりますが、市町村民税におきましては、十九億余りの減収を見ております。そのうちの主なものは所得割で二十二億の減、これは申告所得税が減つた、自然今年の所得割についても更に減を見込まざるを得なくなつたということであります。源泉面では殖えているのでありますが、申告面で減つておりまするので、この程度の減になつたわけであります。法人税割につきましては、法人事業税の場合と同じように、若干の減を見込んでおります。固定資産税の場合におきましては、或いは土地の評価額が若干増加して来ており、或いは又償却資産に関しまする固定資産税が割合に増収が得られている、こういうふうなところからこの数字を算定いたして参つたわけであります。それから自転車税、電気ガス税の面においても増収になつております。電気ガス料金改訂等、当初の財政計画では見込んでおりませんでしたので、それらによる増収が主なものであります。それから市町村の税につきましても、旧法による税につきまして二十四億の増収を見込んでおります。これは従来ありました入場税、附加税、遊興飲食税、附加税等の旧法によりまする税についても、二十六年度の実績なり、最近の調定の状況等から勘案いたして参りますると、この程度の増収が見込まれるわけであります。そういうようなところから枠の中の左の端の下から三番目を見て頂きますと、地方税の総計というのがございます。この地方税の総計におきまして、(B)マイナス(A)の総計額が三十六億四千九百万円となるわけであります。ところが左から四段目のところの三税の改正規定実施後の収入見込法というのを掲げ、即ち(C)の欄であります。更に右の端に差引改正規定実施による減収額として(C)マイナス(B)の額を掲げております。右の端の欄を上から見て頂きますと、道府県法定普通税二十四億二千四百万円の減であります。その段が入場税において十三億三千万円の減、遊興飲食税につきまして十億九千四百万円の減、更に市町村法定普通税が二億百万円の減、それから電気ガス税の二億百万円の減これらを合計して二十六億二千五百万円の減ということになるわけであります。  次に十五ページの雑収入に関する調べを書いております。これは使用料、手数料の二十六年度の決算見込額がわかつて参りましたので、これにまん中のところに増加率を出しておりますが、府県の使用料については一・三二四倍、手数料については一・二六倍、市町村の分については一・二五倍、これを乗じますと二十七年度の新たなる使用料、手数料の収入見込みが算出されて参りまするので、これから当初の財政計画に見込んでおりました使用料、手数料の額を差引きまして、その増加額を四十九億九千七百万円と算定したわけであります。この増加率は備考の(1)のところに書いておりまするように、即ち使用料及び手数料の増加率は、二十五年度決算額から、二十六年度決算見込額への増加率によつた。要するに二十五年度の決算額で二六年度決算見込額への増加率によつた。要するに二十五年度の決算額で二十六年度の決算見込額を除して算出したわけであります。最後に道路損傷負担金の収入減に関する調べが掲げられておりますが、当初二億八千四百万円見込んであつたわけであります。それらの四カ月について年収を計算いたしたわけであります。
  92. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 以上政府の説明に対しまして質疑を願います。
  93. 原虎一

    ○原虎一君 一点だけ伺いたいんですが、教育委員市町村に設置したですね。市町村会のほうからは約二十億必要だという要求をして来ていますが、政府のほうでは市町村を合わして十億そこそこに見ている。これは算定の基礎は今説明がありましたが、町村側の算定の基礎ですね。これについて検討されておりますれば町村側が出した算定の基礎と政府考え方と対照的なものはありませんか。
  94. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 市町村側から要望しております財源措置の基礎については、町村にありましても相当数の指導主事を設置したい。こういう考え方があるわけでございます。市にありましても人数が政府考えておりますよりも多いわけでありますし、逆に又町村につきましては政府の案では、専ら県の教育委員会が行なつていたように、県の教育委員会に残された指導主事によつて、指導主事の助言を受けて行つたほうがいいのではないか。こういう考え方を持つております。従つて町村が独自で指導主事を設置するような財源を見込んでないわけであります。こういう点が一番大きく食違つておる基礎だと思います。
  95. 原虎一

    ○原虎一君 これはまあ政府が、殊に政党的に言えば自由党が設置したほうがいいということで、参議院のほうの修正に対して反対されて、その結果できるようになつております。従いましてその結果から来る町村の負担、政府との考えの相違を我々としても明確に知りたいわけです。従つて我々も市町村に向つて資料を要求しているけれども、なかなか届けて来ない。政府の算定基礎と市町村の算定基礎の相違点を詳しく知りたいわけなんです。政府が見られているのが正しいのか、市町村が主張するのが正しいのか、この点は我々非常に重要な、総額にしても二十億と十億、即ち十億の相違ですから地方の要求の半額程度で政府は済むと、こう言つているんですね、これは余りにこの点だけは違い過ぎますし、同時に地方の町村の教育委員設置に対する、これは非常にそうした政治問題でもありますから、今政府の説明程度では余りに大まか過ぎるんです。町村政府との相違点を細かく知りたいんです。今少し……。
  96. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 資料として出すようにいたします。
  97. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 他に御質疑はありませんか。
  98. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 収入見込についてお尋ねしたいんですが、この入場税はこの一月一日から大体半減ということにかかわらず、やはり十二億ほどの、十三億近い増収にしてあるのですね。増収にしてある、これは見過ぎじやありませんか。何か地方財政の補填をするのに、二百億の平衡交付金と、それから百二十億の起債の枠の拡大、それから逆算をして収入の辻棲を合せるために、こういう入場税なんか増収に見るということになつておりませんか。
  99. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 毎月府県から税目別に収入済額等の報告が来ているわけでありますけれども、最近入場税の収入が案外伸びているわけであります。而もこの減収を計算いたします際には、一月は通常の月よりも却つて収入が得られるたろうというふうなところから、ニカ月分の減収見込を算定すればよろしいのでございますけれども、一月の分が特に多いということを考えまして、一二・八分の二・八カ月を年間所要額のうちの、本年度の減収額として算定するというふうな、割合慎重な計算の仕方をしているわけでありまして、特に入場税の収入見込を膨らましているというふうなことはないわけであります。
  100. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 なおお尋ねいたしますが、遊興飲食税のほうは、十一億くらいの減収を見てあるのですが、これは入場税と同じように伸びる傾向はありませんか。
  101. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 遊興飲食税につきましては、減税が実施せられることになります反面、国会修正によりまして、寮、クラブに対する課税の実施も行われるようになります。そのほか若干徴収を強化できるような措置も国会修正で入つて参りましたので、地方団体相当努力して参らなければならんことは、事実でありますけれども、或る程度そういう面からの徴収強化を期待しなければならないのじやないかというふうな考え方を以つてその程度の見込額を推計したわけであります。
  102. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 遊興飲食税についてよく言われておつたのですが、半減してもらえば、もつと遊興飲食税の税収が増すのだというようなことが、業者のかたからも言われており、承知しておつたのですが、そういうことは嘘ですか。
  103. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 税率が高いために、反面特別徴収義務者の面における脱税の努力が強い。従つてその間の摩擦は大きい。自然摩擦の大きい関係からして、比較的徴税力の均衡を欠いて来る、こういう問題が起るだろうと思うのであります。税率が低ければそういう摩擦は少くなつて参りますから、自然特別徴収義務者の負担の面におきましても、均衡が得られて来る。均衡が得られる結果、又逆にそのような徴税方針を強く出して行くことができる。自然全体の課税の把握ということが適正を得られるようになつて参りますから、長い期間をとつて考えました場合に、これは或る程度増収を期待することができると思います。ただ減税を実施しました直後に、税率が下つて増収が得られる、こういうことはあり得ない、むしろ減収を生ずるのが普通だろうと思います。
  104. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一つ電気ガス税ですか、これは相当増収がある。これは当然電気の料金が上つたというような考え方だと思います。ところが十一月ですか、一月か知らんが、電気やガスが料金が上るということが言われておるのですが、それは当然見込まれてないのですね。料金の値上りによる、これからの値上りによる増収というものは見込まれていないのですね。この中には……。
  105. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 冬季料金を設定される際でありますので、総体を勘案してこの見込額を書いているわけであります。
  106. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 いや、私の言うのは、電気が又何割か、一割か、一割五分か上ると言われておりますね。一月から……。それが入つていないのです。ないというのです。
  107. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) それは見込んでおりません。
  108. 中田吉雄

    中田吉雄君 このたび平衡交付金二百億、起債百二十億ですか、それで財政収支の辻褄が合う。果してそれが妥当な地方財政の規模かどうかという問題を考える際に、政府が予定されたような税収入が果して得られるかどうかという問題と、歳出のほうでは地方公務員の平均単価が、国家公務員よりかそれぞれ高いという算定が合理的であるかどうか。税収の伸びの工合と、公務員の給与単価の決定方式が妥当か、という二つの点が問題ではないかと思うのですがお尋ねしますが、このたば公務員の給与単価は、一般職で三百四十八円ですか、教職員で三百四十九円、市町村で五百七十六円それぞれ高いという基準で計算されておるのですが、一つその決定を見られました、どういう調査方法でそういう結論に産せられたか、先ずその一点をお伺いしたいと思います。
  109. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 当初の地方財政計画を策定いたしますときに組みました単価は、大蔵省だけの調査なつたものであります。その後大蔵省のみならず、自治庁と文部省とが共同して再調査に当つたわけであります。その際に府県から、二〇%の職員につきまして、一定の標準を置きまして抽出報告を受けたのであります。これを基礎にして一応あるべき金額というものを算定いたしました。その際に、あるべき給与額というものが、それぞれの学歴、経験年数に応じまして幾らであるかという物差につきましても、十分協議を遂げて決定をいたしたわけであります。その後更に府県のうちで八団体だけにつきまして、全員についての調査を行なつたわけであります。この両者を基礎にいたしまして、道府県の職員につきましては、先に大蔵省の単独調査によつた額が百十四円だけは高過ぎるという、額を多く見積り過ぎておつた、それだけは修正しよう、こういうことになつたわけであります。教育職員につきましては、文部省がそれぞれの履歴につきまして調査をいたしました結果、二十六円だけ前の数字が高過ぎたという結論になつてつたわけであります。
  110. 中田吉雄

    中田吉雄君 昭和二十七年度の当初におきまして、七千五億ですか、七千五億の財政規模を立てられたときには、先に言われたように、一般公務員は地方の四百六十二円、教職員は三百七十五円、市町村は五百七十六円高いというのでそれだけ単価を切下げて組まれた。そして又このたび県庁職員については百十四円、教職員については二十六円も違うというようなことでは、只今のような県庁の職員については、二〇%のサンプリリグの調査をやり、更に府県については八団体の全員調査をやつたと言われるのですが、そういうふうに、もう半年の間に百円も単価のエラーが出るというようなことでは非常に信憑性が少いと思うし、又そのことこれだけで、だから観察が正しいとしても、それは国家公務員の給与単価が理論単価で絶対それ以上に出ていないということを前提としてそれは私正しいとして、我々の聞いた国家公務員の単価もやはり理論単価よりかそれぞれ四百円くらい高い、一万幾らですか、四百円ですか、それがやつぱり四百円くらい殆んど高いということを聞いているんです。ですから今奥野さんが申されたように二〇%の抽出調査或いは八団体の全員調査を勘案して、それぞれ三百四十八円、三百四十九円、五百七十六円が正しいとしても、それは国家公務員が理論単価から少しも出ていないということを前提にしていると思うのです。果して国家公務員の調査もやられて、理論単価から全然づれていないかどうかということなんです。それについての見解を承わりたいと思います。
  111. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 国家公務員について調査するといたしますならば、人事院なり大蔵省なりがその所管になるであろうと思うのであります。併し自治庁といたしましても、先般地方事務官について調査いたしました結果、二十数円だけ高い、二十数円と言いますとまあ殆んど誤差程度のもので、余り差はない、大体あるべき給与額が支給されているという結論になる。こういうことになるであろうと思うのであります。教職員につきましては、更に文部省では調査を進めて行きたいというふうな話になつているわけでありまして、前の教育職員がどれだけ高いかという場合につきましても、公立学校の先生を調査したようであります。大蔵省の言によりますと、国家公務員について支給せられる、あるべき給与額、それが的になつているし、又あるべき給与額は現実の給与額とそう開きはない、こういうお話であります。併し自治庁としては別に国家公務員につきまして直接調査したようなことはないわけであります。
  112. 中田吉雄

    中田吉雄君 それがやはり地方自治体を防衛される立場の奥野さんとしては少し線が弱いと思う。それは例えば国家公務員で地方におります健康保険とか、労働関係等の、知事の管轄下ですが、そこにいるのが、これは尤も我々の聞くところでは、健康保険関係と労働関係はまあ低い。それでも今言われたように二十何円高い。実際農林省とか、その他の各省は、我々の聞いていたのでは、理論給与よりかも四百円ぐらい事実上高いということを聞いているわけなんです。そういうことを仄聞しているわけです。従つて我々としてはそういうように平均して四百円の切下げをやられるということは、国家公務員にも少なくとも二〇%ぐらいのサンプリングの調査をし、或いは八省ぐらいの調査もやつて見られて、そうして理論給与よりもずれていないかということを見なくては、事実上再軍備の費用のしわ寄せをする一つ方途として、やはりやられているようにまあとれると思うのです。この点は私は非常に片手落な八団体調査し、二〇%のサンプリングの調査をして、如何にも科学的なようですが、それは国家公務員のほうをやらないということによつてこの調査の価値というものは殆んどない。ただ切下げの一つの手段に使われているに過ぎないではないかというふうに考えるわけであります。ですから地方庁としましても、そういうことは大体知つていますから、なかなかこの春七千五億の予算額を組まれた際に、それぞれ四百六十二円、三百七十五円、五百七十六円の給与単価の切下げを強いられても、なかなか実際できないということになつて、これがやはり地方財政収支に非常に大きな影響を及ぼすと思うのです。これは一つ本多国務大臣にもお願いしておきますが、四百円の平均の切下げの妥当性を主張されるためには、国家公務員の現実の給与単価を実際調べて見られて、理論給与からずれていないかどうかということをして頂かなくては、地方庁の職員を納得させることができないと思うのです。この点を一つ希望しておきます。我々の仄聞するところによりますと、例えば最近自治庁から或る地方庁に出された者も高くてなかなか受取りにくい、もう二号俸ぐらい、学歴から勤続年数から比べても駄目で、それから同じその地方庁から建設省へ持つてつたら、こんな低くては困るじやないかと言つて、やはり二号俸ぐらい繰上げたという話も聞いたわけです。この点は一つ十分ここ年来の課題ですから、地方庁はまあそういうふうに一応の大量観察ができた、ですから国家公務員についても同じようなやはり大量観察によつて理論給与からどれだけずれがあるかということを見て頂きたいと思うわけであります。果して本多大臣は国家公務員についてもそういう調査をおやりになる意思があるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  113. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 国家公務員の給与につきまして、法令の定めるところ、即ちあるべき給与というものが、いわゆる只今御指摘の理論給与だと思います。これを逸脱している面があるということで、それだけ比較を誤つているじやないかというお話であります。そういう説を非常に聞くのでありまして、これは一面においては逸脱した部分を調整して、その法令の範囲内にあるべき給与に持つて来ることの努力も必要だと思います。更に研究したいと考えます。
  114. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはやはり平均四百円くらいな切下げになりますと、どれだけになりますか、百億くらいのやはり切下げになる。重大な問題ですから、一つ国家公務員についてもサンプリングの調査をして、例えば今挙げた例は、これは私は直接知事から聞いた話なんです。奥野さんのおられる自治庁からその県に頂いた職員は、高くて大学を卒業した年齢その他から計算して、非常に高くてバランスに弱つた。そしてその地方庁から建設省に取つてもらつたら、こんな低くて困るじやないかと言つて、二号俸ですか、ぽんと上げたというような例があるわけなんです。そういうのがあるわけですから、一つ是非調査をして頂かんと、これは事実上の給与、それが国家公務員も同じように、地方公務員と同様にずれているとしたら事実上の減俸ですし、赤字財政のしわ寄せですから、地方財政を防衛される本多国務大臣のとられんところだと思います。一つそういう調査をおやりになる意思はありませんか。そしてやられてずれがあつたら、この百億近いものは今後予算で修正される意思がありませんか、その点をお伺いしたい。
  115. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 最前お示しになりました公務員の場合の例は、特異な例ではないかと思いますけれども、全体的に御指摘の問題は誠に地方財政にとつても重要な問題であると存じますので、ここで調査を確約することはできませんけれども、研究いたしたいと思います。
  116. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはどのくらいになりますか、百億くらい……全部違うと思うのですから、幾らになりますか、百億くらいになりませんか。
  117. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 給与改訂が行われなかつたと仮定いたしました場合の差が百二億であります。
  118. 中田吉雄

    中田吉雄君 奥野さんにお伺いしますが、地方財政が苦しくて、四月とか七月の定期昇給をやめるというような県はありませんか、お伺いいたします。
  119. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 地方財政が非常に窮乏いたしておりますのと、又あるべき給与額に成るたけ合わして行きたい、その措置として昇給を停止するという措置をとりたいと考える場合などから、若干の県においては或いは市町村においてはそういう問題も生じて参つて来ております。
  120. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこの村が五百七十円高いというのが、町村はなかなか私は規定の給与のアップをやつていないと思うのですが、五百七十六円高いという問題についての御所見と、それから八団体を御調査されたという府県名をお伺いいたします。
  121. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 市町村とひと口に言いましても、市と町村とはかなり食い違つているだろうと思います。従来から市にありましては成るたけ人材を集めたいというような気持から、割合他の場合よりも比較的高給を以て職員を入れるというふうなことが多かつたように思うのであります。非常に具体的な例で申上げますと、例えば五大市を考えて頂きますと、府県庁の場合よりも従来から大学卒業の職員というものが割合に多かつた。言い換えれば割合に高給を以て人材を入れるように努力をして来ただろうと思うのであります。従いまして一般の市にありましては、あるべき国家公務員の給与額よりは若干高かつたんじやないだろうか、町村につきましてはむしろ下廻つている場合が多いかも知れません。そういうように傾向としては団体によつて違いますけれども、調査もした結果がこういう数字が出て参つたわけであります。なお八団体団体は覚えておりませんが、衆議院でも希望がありましたので、八団体でどれだけ食い違つたかという数字資料を出すことにしておりますので、その資料を出したいと思います。
  122. 中田吉雄

    中田吉雄君 収入の税収の問題なんですが、只今御説明になつたような総額としての税収というものは、或いは確保できるのではないかと思うのですが、この中小企業の不況等から、只今頂いているような税収入の見込額調べというような程度の補正以上の……、特需産業のないような地帯の準農業県なんかの極く小さい法人、或いは会社、小さい零細企業等が中心の地帯における補正分というものは、只今頂いたような補正では補正できんほど非常に税収が少くなるのではないかと思うのですが、そうして私はやはりこの特需産業の地域的な偏在で、大阪、兵庫等の大府県と、農業或いは府県の規模の小さいところのこの税のアンバランスというものは極端になつて来ておると思うのですが、この程度の補正程度しか影響しないというふうに睨んでおられるのですかどうか、その点について奥野さん……。
  123. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 御指摘になりました点は法人事業税なり、或いは市町村民税の所得割なり、或いは法人税割に該当する問題だと思うのであります。併しこれらの見込みはすべて国税で見込んでおりまする課税標準を基礎にいたしまして推定いたして参つたわけであります。その際にも昨年とは違いまして企業の実態が若干落ちて参るというふうなことを考慮してこのような数字を出したわけであります。勿論若干の増減は生ずるかも知れませんが、大体としてはこの程度の収入は得られるのだろうというふうな考え方を持つております。又御指摘になりましたような全国につきましては幾らかずつ減収を見込んだ結果にもなつております。
  124. 中田吉雄

    中田吉雄君 例えば名前を挙げて大変恐縮ですが、大阪府なんかはまあ二十億くらいの各種財源があるということです。これは府ですが、市のほうの当局に言うとそれは非常な偏在があると言つております。非常に私はここ一年の産業構造の変化から地域差が非常に大であつて、それは平衡交付金の単位費用、或いは補正係数等においても若干変えられんと、実際平衡交付金の使命が十分達成できんではないかというふうに考えますが、そういうことはありませんか。
  125. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 具体的の団体についてお話がありましたので、そういう点についてお答えをいたしたいと思います。昨年度は御承知のように地方税収入見込額も二千五百二十四億円と推定いたしておつたわけであります。決算見込をとつて参りますとそれよりも二百六億円ばかり収入が上廻つてつたのであります。もつぱら朝鮮ブームを中心といたします企業の景気が案外よかつた。そういうような関係から、むしろ大阪府には地方財政平衡交付金も交付いたしておりませんけれども、予想以上に増収があつた。それがだからと言つて使つてしまいませんで、翌年度へ繰り越して割合慎重な財政運営をやつておる、こういうことも事実でございます。併しながら本年度はどうなるかということを見て参りますと、御承知のように紡績関係が非常に悪くなつて来ておりますので、減収の影響というものは大阪府あたりでは却つて大きいだろうというような見方を立てております。又半面茨城県というような県になつて参りますと、全国でも一番悪い所なんでございますけれども、日立製作所の収益状況が非常に良くなつて来ています。こういう意味から案外事業税収入が我々が当初考えて来たよりも殖えて来るのではないか、こういうふうな見方をいたしておるわけでございます。もとより個々の団体によつて違いますが、それぞれの団体におきます業種がどうであるかということによつて大きな開きがあると思います。一般的に言つて紡績、化繊は低い、機械関係の工場では収益が殖えて来ておる。こういうような分布というようなものが必ずしも地方団体一様じやございませんので、収支の関係が若干違つて来るだろうと思います。
  126. 中田吉雄

    中田吉雄君 東京や大阪、兵庫などは平衡交付金をやらんということはできるのですが、それ以上取れてもどうもしようがないという現状についてはどういうふうに……、将来地方税法でも実際に合うような調整をされるというような意思がありますか。
  127. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 御指摘になつておりまする問題につきまして第一に問題になりまする事柄は、現在東京や大阪の財源に余裕があると判断するかどうかという問題でございます。その際に地方財政平衡交付金制度で、基準財政収入額が基準財政需要額を上廻つておる。それだけで財源に余裕があるという結論を出しますことは、それは少し早過ぎるのじやないかということを考えておるのであります。御承知のように基準財政需要額は、個人に例えて言いますと、生活保護費を支給するかどうかというような見地から、各世帯の生活費が幾らになるかというようなことを計算をするわけでありますので、東京や大阪におきましては最低生活費を上廻つた収入がある、それだけで余裕があると云う結論にはならないだろうと思うのであります。第二に、それでは現実に東京や大阪の財政状態に余裕があるだろうかどうかという問題になつて来ますと、東京と大阪では若干私は違うだろうと思うのであります。東京都なんかを見て参りますと、現になお二部教授などをやつておるわけであります。学校の建築におきましては、地方債を起したいと非常に希望しておるわけでありますけれども、こういう地方債は他の地方団体に廻しまして、東京都の要求するような地方債は極く僅かしか廻していないわけであります。こういうような地方債の調整によつて御指摘になりますような問題は、東京都あたりでは或る程度解決して行くことができるのじやないだろうかと思いますが、第三に大阪の問題を考えて参りますと、大阪は大阪府と大阪市の関係が、従来大阪府が所管しておりまし仕事がどんどん大阪市に移つてつているわけであります。  例えて申上げますと、保健所でも県が設置しておる。それを大きな団体では市が設置しておる。或いは又生活保護の仕事を府県がやつているけれども市の面においては市が全部やるようになつてつた。或いは計量行政も、県がやらない、市がやるようになつてつた。こういうふうに地方制度上の変化が必ずしも地方税制の面に現われていない。だからこの間の調整をどうするかという問題が今後に残されておる問題であろうと思つております。併し差当りは地方債の配分等によつて是正して行けるのじやないだろうかと思うのでありますが、将来只今申上げましたような面においては地方税制の検討もしなきやならないのじやないだろうかというふうに考えておるわけであります。
  128. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう一点お伺いしますが、地方財政委員会をなくしまして、財政審議会にして自治庁の内部に持つて行く際に、岡野大臣の説明はそういうふうにしたほうが対大蔵省との折衝で非常に強くやれて責任も持てるし、地方財政を、別個の場合よりかも、より強く防衛できるということが一つ地方財政委員会をなくして審議会を置かれる有力な説明の理由になつたように思いますが、果してそうであるかどうか。私は例えば自治庁がこの九月四日頃に発表されたのでは、本年度の地方財政計画は赤字が四百三十億である、だんだんだんだん折衝してそして財政収支を完全に大蔵省又は政府一本でまとめられるそういう計算的な技術は甚だ敬服するのですが、だんだん後退して、なかなかこの数字のマジツクといいますか、とにかく大蔵省と自治庁との意見が完全に一致したような形でこの九月四日には赤字が四百三十億というような結果である。而もこれは公務員の給与の改正というようなものを見込まない場合がそうであるという決定をこういうふうに発表されている。それが殆んど半分まで行くのでは、余り地財委が財政審議会になつて大臣の所管であつても対大蔵省の折衝が必ずしも有利に行つていないのじやないか。まあ自治庁とされては三百二十億で満足の意を表しておられるやに仄聞したりするのですが、我々のように実際地方財政の見地から見ると、満足は行かんように思うのですが、とにかく最初の九月四日頃の発表とは、だんだんだんだん大蔵の線に屈服しておるとは申しませんが、近くなつて、余り地方財政委員会が別個にあつたときと変らないのじやないかというふうに思うのですが、その間の消息を一つ承わりたいと思います。
  129. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政委員会が独立の行政機関としてあつた場合に比較してのお話でございますが、これは今日のごとく独立の行政機関であつた場合には先ず、自治庁意見と、財政委員会との意見が対立し、更に又大蔵省と対立するというようなことで、著しく折衝にまあ一段の弱みではないかというふうに感じられます。でありますから今のような組織のほうが部内の十分肚を割つた意見の調整というものができますので、その線においてまとめて予算の折衝に当るということが、このほうが真実を貫くのにやはり便宜な機構ではなかつたかと考えております。併し結局は予算の折衝もその努力の如何にかかつておるのでございますから、そこに力を注いで行くことが必要だと思つております。それから自治省の見込金額がだんだんに縮小されて変つて来たというお話は御尤もでございますが、これはだんだん年度内の時日が経過するに従いまして法人等の所得の決定等が進行いたします。又事業税等につきまして二十六年度の決算等がだんだん現われて来ることに伴つて、見込額が一層確実なものをつかむことができることになつて来た次第でありまして、それに従つて再検討いたしましたところ、かような金額に見込みが変つて来たわけでございます。
  130. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 中田委員から詳しい御質問があつたのですが、要するにこの前私が質問いたしましたように、初め自治庁長官のほうでは、府県、並びに市町村財政の不足がもつともつと大きいというお見込で大蔵省のほうと御折衝になつた。ところがまあそう行かないで、三百二十億しか取れなかつた。そこで一方にはその地方財源の不足額というものについて無理をしてこれを少く見ておられる傾向がある。現に都道府県だけでも六百億の不足だと、こう言つておるのがこの半分に足らない二百五十三億とこうなつておる。又一方には辻褄を合せるために収入のほう、その税収関係について少し多く見過ぎてやはりおられるのじやないか、こういうふうに感じるのでありますが、それで地方財政委員会がありました時分はその所信に従つて政府のほうで例えば三百二十億しか財源措置ができなかつたから、それで又これだけの不足があるのだ、何百億の不足があるのだということにして我々の審議を仰いだわけであります。ところが今度はそうでなくて一応辻褄を合せて妥協しておられる。こういうふうに見るのでありまして、それは結局町村財政を非常に圧迫するのだというふうに考えるのですが、そういう虞れはないとお感じになつておるかどうか、この点を承わりたいと思います。
  131. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り只今御指摘のような虞れのないように極力自治庁といたしましては努力をいたしておるのでございますが、平衡交付金の性質が結局国と地方との財政的な困難をお互いに分ち合つて切り抜けるというところにございますので、完全にその地方財政の足らないところを補うという建前にはなつておりませんのでございまして、国と地方とのことでその困難度合をこの程度で均衡がとれているというところで決定するほかはない建前になつておりますので、これでは地方としても不満でもありましようし、困難でもあろうと存じますけれども、国家全体の財政的困難という見地からこれを工夫して努力して頂くほかないと考えております。
  132. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 本多国務大臣のお考えは、実を言えば、国の財政がもつと本当は許せば、本当はもつと地方財源の不足額が大きくなる、又税率のほうもこれだけ多く取れるかどうかわからんが、併しともかく徴税のほうも一生懸命にやらせる、まあ少し多く見ておけばそれだけ努力を又するだろう。片一方で国のほうも不足なんだから、地方のほうも泣き言を言わないでこの範囲でやれというふうな政治裁量をやつておられる、こういうふうに思うのです。併し余りにその不足額だけから申しましても地方の訴えるのは大きいのですね。府県だけが六百億、その他市町村が四百億不足と出ているのでありまして、これは何とかもう少し政府のほうでお考えになつてやらなくちやいけないのじやないかと思うのですが、取りあえずこれだけしておいて又いずれ考慮するというおつもりなのか、これで辛抱しろというつもりなのか。  もう一つこの前おつしやつておりましたが、公営事業については起債の枠を別に取る努力をしつつあるというお話で、これの計算には現われておりませんが、それはどういうふうになりましたか、その二点を伺つておきたい。
  133. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 先ず第一点の地方財政の不足額の問題でございますが、これは平衡交付金制度建前によつて計算した額の補填といことが政府の責任でありまして、地方財政の不足額の計算には、ややもすれば自主的な運営の面から生ずる不足額も非常に誇大に宣伝されるのでありまして、この面はどうしても自主的に工夫をこらして解決して頂くほかはないと存じます。政府の今回の平衝交付金算定の基礎は誠にこれで十分ということはできないのでございますけれども、これを以て努力して頂くならば、その運営よろしきを得ればやり得る額、かように考えている次第でございます。  それから更に平衡交付金以外の公営事業についての起債の枠の問題でございますが、これもできることならば資金運用部資金の中から幾分でも都合がつくようにいたしたい。更にその預金部資金以外、公募公債についてもその枠を何とかして確保したいということで只今も努力中でございます。資金運用部資金については相当その財源に窮窟を感じているようでございますけれども、何とかして公募公債の起債の枠だけでも確保いたしたいと思つております。
  134. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 公営事業に対する起債の枠を別にするということは、これは非常な結構なお考えだろうと思います。これは普通の起債の枠と違とて収入がどんどん入つて来るのでありまして、これは別にして頂いて、そうすると一般の起債の枠の中に入つてつた水道事業なんかが抜けて来ます。それだけ一般の枠が楽になるということになるのですから、一つ国務大臣におきましてもつともつと御尽力願いまして、成るたけたくさん取るようにして頂きたい。希望を申上げておきます。
  135. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ほかに御質疑ありませんか。
  136. 中田吉雄

    中田吉雄君 岡本委員も言われましたので余り言つても仕方がないと思いますが、どうも九月四日の例えば日本経済、本年度地方財政計画でこれは九月三日に自治庁でいろいろ結論に達した。而も地方財政審議会の承認を得たのでも四百三十億の赤、而もそれは給与改訂費も見込まないし、更に国会できめられた地方税のあれもやらない、本年度はやらないという計算でも四百三十億の赤字だ。そうして九月二十一日の朝日によると、どうも財政状態から入場税、遊興飲食税等の三税の減税は一応本年度は、十月一日からは勿論本年度は実施できない。それでも四百三十三億の赤字だとこういう結論に達して、大蔵省と折衝することになつたというふうになつておるのに、三百二十億ではこれですら相当からく私は見ておると思う。国家財政多難の折柄三百二十億の補正ができたということは、従来に比べれば非常にその労に対しましては感謝するわけですが、到底私はこれではやり切れんと思う。本多大臣地方財政の赤字がともすれば過大に言われるということを申されたが、決して私はそうでないと思う。個人的なことを申上げては恐縮ですが、私の体験から言つても、或る小さい県の関係ですが、昭和二十四年には一億八千の繰越しがあつた、二十五年には九千、二十六年には繰越しがなくてもう赤になつておる、そしてもう殆んど仕事ができない。もう道路の補修も何もできない、人件費すらできないから結局林道とか、砂防とかその他の工事費を相当つて地元に新たな負担や寄附を転嫁して、そういうような形で細々とやつているというのが、私は昨年から本年にかけての地方財政の状況だと思うわけであります。一応三百二十億の線で補正予算ができたわけでありますが、これは何らかの形におきましてやはり面倒を見て頂かないと、地方自治体は近く重大な危機に一年々々私は来て、もう殆んど意味がなくなつて来つつあるのではないかということを申上げて、一つ今後の御善処をお願いしておきます。
  137. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) この問題につきましてはまだ質疑がたくさん残つておられると思いますが、先ほど申上げました時間も参りましたので、一応本日はこの程度でとどめたいと思います。
  138. 中田吉雄

    中田吉雄君 奥野政府委員にお願いしますが、給与単価の調査されたのを一つ是非お願いいたします。
  139. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) それではこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会