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政府委員(久下勝次君) 厚生保険
特別会計の点につきまして、一言御
説明を申上げておきたいと思います。財務諸表の点は
先ほど会計検査院のほうから
お話のございましたように、
昭和二十七年七月二日付政令第二百三十二号によりまして、厚生保険
特別会計法施行令を改正いたしまして、翌
昭和二十六
年度から財務諸表を附けるようにいたしてございます。それからいろいろ書いでございまする問題のうち一、二申上げておきたいと思いますのは、厚生保険
特別会計のうちの健康勘定につきまして、
健康保険法の第五十五条の規定による保険給付を控除してないというような御
指摘でございます。この五十五条の給付と申しまするのは、被保険者が資格を喪失いたしました場合でも、一定の条件の下に給付をし得ることにな
つて、給付を受けることにな
つておるのでございます。この場合のことを
考えまして
支出を認めなければならないというような御
指摘でございまするが、この点は実際問題といたしまして何人の者が資格を、現在給付を受けております者のうち何人が資格を喪失し、又どの
程度それが継続給付を受けるかということにつきましては、申上げるまでもなく純粋に将来の推定になりますものでありまするが、的確な
数字の把握が困難でございまするので、さような
事情からなかなかむずかしいのでございます。なおこの問題は十分
研究をいたしてみたいと思
つておる次第でございます。それから責任準備金の問題でございまするが、
健康保険のような短期給付のものにつきましては、申すまでもなくその年その年の、その
年度その
年度の
経理をいたしておりまする
関係もございまして、問題がなかなか責任準備金というようなところまで手がのびない実情でございますが、長期保険でございまする年金保険につきましては、
先ほど会計検査院のほうから
お話もございましたように、私のほうとしてもこれは
研究をし、御
指摘のように
考えなければならないと思
つておる次第でございます。ただ厚生年金保険につきましては、終戦後のインフレ高進中に、
制度全般につきまして暫定
措置がとられておるのでございます。経済が安定をいたしましたときには、
制度の根本的な改正を
考え、長い将来に亘
つて安定した保険
財政の確保をするというようにということが当時から
考えられておりました。実は昨年から私のほうにおきましても、年金保険
制度の根本的な改正について手をつけております実情でございます。まだ結論を得るには至
つておりませんけれ
ども、鋭意長期保険の性格に伴いまして、安定した
財政計画の立ちますように検討をいたしておるところでございます。御
指摘の責任準備金の問題につきましても
考えて参りたいと存じます。
それから保険
財政が、二十五年頃は
先ほど会計検査院の
お話もございましたように、非常に実は短期保険である
健康保険につきまして、
財政が窮屈でございまして、そのためにいろいろと事務的に運用の面におきまして御
指摘を受けております。この点は確かに申訳ないと思う次第でございます。幸いにその後経済の安定に伴いまして、保険
財政の
収入面におきましても、具体的には標準報酬の上昇或いは法律の改正に伴う料率の改正などに伴いまして、漸く保険
財政も安定の途を辿
つておりまして、
昭和二十六
年度の
決算におきましては約十億の黒字を以て
年度を越すことができました。
昭和二十七
年度も僅かでございますが、私
どもの推定ではやはり少くとも三、四億ぐらいの余裕を以て
年度を経過することができる見込みでございます。さようなふうに二十六
年度以降
財政的にも安定をして参りましたし、御
指摘のような遺憾な事務的な処理をいたさないで済むようになり、又私のほうも御
指摘の点につきましては、厳重に
責任者に
注意をいたし戒めておりまする次第でございます。
それから五百四十号が
関係がありますので
ちよつと申上げさして頂きます。これは保険料の徴収につきまして、
年度区分を誤りました。それでこういう
批難を受けましたので大変申訳ないと思
つております。ただ強いて言訳を申上げさせて頂きますれば、
全国百数十カ所に及びます促険課並びに
社会保険出張所におきまして、それぞれ
歳入徴収官が保険料の徴収をいたしておるのでありますが、それらの者が不
注意に
年度区分を誤りましてかような御
指摘を受けた次第でございます。大変申訳なく思いますと同時に、その後これらの点につきまして厳重に
注意を喚起いたしておる次第でございます。