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1953-03-10 第15回国会 参議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            玉柳  實君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            岩男 仁藏君    委員            瀧井治三郎君            中川 幸平君            西山 龜七君            宮田 重文君            加賀  操君            島村 軍次君            栗山 良夫君            小酒井義男君            松永 義雄君            谷口弥三郎君   政府委員    保安庁経理局長 窪谷 直光君    大蔵省管財局長 阪田 泰二君    国税庁長官   平田敬一郎君    建設省計画局長 澁江 操一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省理財局資    金課長     稻田 耕作君    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    会計検査院事務    総局検査第一局    長       池田 修藏君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君   参考人    東京建設局長 瀧尾 達也君    東京建設局公    園緑地部長   花房 利一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では開会いたします。  今日は前回大蔵省批難事項のうち第百四十二号、国有財産管理当を得ないものにつきまして、関係当局をお招きいたしましたから、この問題をもう少し深く掘り下げたいという委員諸氏の要望もあつたわけでございますから、詳しく御説明頂きたいと思うのでございます。先ず、先に御出席者のお名前は参考人として東京公園緑地部長花房さん、建設局建設局長瀧尾さん、それから関係当局から、建設省計画局長澁江さん、国有財産第二課長牧野さん、それから阪田管財局長、それから検査院から池田第一局長さんでございます。御質問をどうぞ。
  3. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この前の質問を繰返すのは非常にその煩に堪えませんから、先ず東京都側からこれに対する方針なり経過なりを一つ聴取したいと思います。
  4. 奥むめお

  5. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 実はこの問題は、大分古い問題なのでございますが、昭和二十三年の一月に永井貿易庁長官からお話がございまして、その当時の大木副知事が承わつたのですが、要するにそれは、このニユーエンパイヤ・モーター株式会社というのは、日本政府の委嘱によつて東京都において貿易商の輸入する自動車及びその部分品を販売し、又修理をするのを目的とする会社であるから、これの敷地として虎の門を使いたいので極力応援してほしいという意味お話があつたわけであります。それでその後に、二十三年の三月にニユーエンパイヤ・モーターから正式に虎の門公園使用をさせてもらいたいという出願が出て参りました。それからこれは、公園といたしましては、例外の事項に属しますので、四月の二十六日に都議会に貸すことについての可否につきまして案を出しまして、それが可決になりまして、それからこの虎の門公園は、国有地のかぶさつている都市計画公園でありますので、建設省の承認を得る必要がございますので、二十三年の九月に建設省協議会を開催して頂いて、いろいろお打合せをしまして、結局二十三年の九月に建設省都市局長に正式に今度は稟伺いたしまして、その許可が二十三年の十月にございました。  ところがこれは当時接収中の土地でございましたので、これの解除方につきまして都の渉外部を通じまして交渉いたしまして、ニユーエンパイヤ・モーターに貸すということの条件の下に、貸そうとしております六百五十坪の解除を受けましたのが二十三年の十二月でございました。それから二十四年の二月一日にニユーエンパイヤ・モーターに対しまして、虎の門公園使用許可をいたしました。それでそれは四年間ということを条件といたしまして、そしてなお仮設用材による木造の二階建ということ、それから目的外には使用してはいけないというような条件を付しまして許可いたしたわけでございます。概略そのようになつております。
  6. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 経過説明が丁度半分どころで終つたようですが、その後のことについて……。
  7. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その後、これは現在公園に使つておらないのであるからして、公園を廃止しろという意味のことを大蔵省のほうから言われましたのですが、これは四年間を限つて貸しております関係上、四年間経ちましたらば又公園にいたしたいという意味から、その解除という方途に出て参らなかつた次第でございます。それで寄附といたしまして二百万円を受取つておりますが、これは要するに四年間虎の門公園使用できないわけですから、その寄附金を以て芝公園川寄り部分運動場として使うような状態にいたしたいというので、その寄附金受取り、それによつて運動場として使うように整地いたしました。そして現在期限が来ておりますが、要するに現在でき上つております建物関係その他諸条件から考えまして、これを当初の計画通りに四年間で以て取壊させるべきか、或いは目的目的でございますから、それを如何に処置して参つたらよろしいかということにつきましては、監督官庁である建設省とよくお打合せをいたしまして、最善の方法をとつて参りたい、こういうふうに考えている次第であります。
  8. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ほかに公園緑地部長のほうから何か事前に伺つておくことはありませんか。
  9. 花房利市

    参考人花房利一君) 別にございませんです。
  10. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではお尋ねします。建設省との貸付許可条件が四カ条ありますね。その四カ条の貸付条件が事実建物を建てるときになつて変更されておりますが、その変更の経緯はどういうことでありますか。
  11. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) この条件といたしまして仮設用材による木造二階建とすること、それと期間は四カ年ということ、使用料は都において適当に決定するということでございますが、それからなお期間満了の際は一カ月以内に原形に復するという条件でございますが、このうちで仮設用材による木造二階建という条件が、実は要するに取壊し容易でなくてはいけないということから、木造二階建という条件がついたのでございますが、ここが甲種防火地帯に当つておりますので、木造ということは成るだけ避けたいということから、取壊し容易なものであれば、要するに取壊し容易なものといたしまして建築基準法のほうで考えておりますのは、ブロツク建築建物、それから木造のもの、それともう一つ組立式鉄骨モルタル塗、こういうものは大体同等に考えておりますので、鉄骨でございますと力の関係でどうしても止むを得ない場合はリベツトを打ちますが、そのほかはボルト締めにしてございますので、今度取壊す場合には、ボルトを外して取壊して行けるという点、それから又リベツトにいたしましても、リベツトを切りますればその鉄骨は又再使用が容易であるというようなことから、鉄骨コンクリート塗というようなもので許可していいのではないだろうかというので、許可して現在に及んでおるわけであります。
  12. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 条件が多少変更されたといういきさつはわかりましたが結局明渡しのときには、会社の負担で原状回復をするということが第四番目の最後の条件になつてつたのですね。ところが事実昨年の六月に期限満了のときには撤去をしてもらいたいという予告を与えたけれども、なかなかその実施が困難で、本年の一月に一カ月の猶予期間を与えて撤去を要求しておられる。然るに現在に及んでも依然として立ち退いてもおらないし、立ち退く気配が見えない。この前の委員会での大蔵省側の証言はそういうことだつたのですがこれはやはりそれに間違いはありませんか。
  13. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 現在その問題につきましては、現状からいたしましてこの条件通りに立ち退きをやつてもらうことがいいか、又は何か適当な方法があればそういうような方法で解決するほうがいいかということにつきまして、実は建設省ともお打合せしておりますので、適当な方法によりまして解決して参りたいとと、こういうふうに考えております。
  14. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは質問の角度をちよつとずらしますが、貸付をするときの坪当り価格というのが、月五円十銭ですか、非常にその附近の土地に比べて、慣行の価格よりも非常に低廉に約束がしてあるようですが、その半面に東京都は借主から五百万円の寄附金を受けるということを約束をされた。その五百万円の寄附金のうち二百万円はすでに受取つて、これを他の公園施設に充当された。残りの三百万円は未納ではあるけれども借主のほうから調達をされたということでありますが、初め五百万と約束をしておりながら、なぜのちの三百万円については、今のお話によると立退く気配が見えないにもかかわらず受取ることを渋つておられるのですか。
  15. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その点は実はこれは初めの約束では三回だかに分納して納めるはずになつておりまして、それをやつてつたのですが、二百万円を納めましたのちは、会社の都合でなかなか入らないという実情がございました。それでこれは省ともお打合して、つまり四カ年ということがございますので、もう猶予期間と申しますか、事前通告を六カ月前にしておかなくちやならないというふうに考えまして、その契約通り四カ年で立退いてもらいたいということを申出ましたのちに会社から三百万円、残りの三百万円を是非寄附したいというような申出があり、且つ同時に延期してほしいというような意味歎願書もございましたので、これを受取りましてそれが延期してやらなくてはいけないということに関連して来る心配が全然ないとも言えないということから、一応その受取りをその当時拒んだという事情なのでございます。
  16. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると貸借契約のときに五百万円の寄附を受けるということは、それは中に含まれておつたようですが、それは表に条件としては挙げてはなかつたのですか。
  17. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) これは別にまあ寄附を受けますことでございますから、全然別に寄附受領というものは許可条件の中に、これだけの寄附をすべしという意味許可条件でしておるわけではなしに、別に寄附受領ということをやつておるわけであります。
  18. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると仮に当事の副知事になり或いは責任者が変つた場合にそういう約束が反古にされても、第三者に対抗のできるだけの例えば覚書とか、そういうことは全然してなかつたのですか。
  19. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 寄附受領案というものがございました。ですから責任者が変つてそれの履行を迫るという意味にはならないと思います。
  20. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この寄附受領案というのは、やはり一方的なものではない。両者がちやんと立会つて承知しておられますか。
  21. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 寄附願というものをつけまして、それについて寄附受領というので、知事から代表社長に対しまして、寄附受領、今度は寄附受領についてという文書を取交しております。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 その寄附願というか、寄附受領案と申しますか、それはやはりその五百万円という金額が、その寄附期限なり或いは内容については別に明記されてはおらないのですか。
  23. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 寄附受領についてと申します件につきましてちよつと読んでみます。「昭和二十四年七月十五日附でお申出なつ寄附金五百万円は受領する、なお納入方法は左の通り分納することとし、別途発行の納付書により本都金庫納入せられたい。第一回分一百万円七月十五日、第二回分一百万円十月二十五日、第三回三百万円十一月二十五日納入」、こういうような意味寄附受領についての書類会社のほうに出しております。
  24. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではその寄附受領案内容の第三項の十一月に三百万というのが履行されずに今日に至つておるというわけですね。
  25. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その履行を再再迫りましたが、それにつきましても、要するに昨年の六月頃ですか、こつちが約束のように六カ月後には立退いてもらはなければならない契約になつておるということを申出でますまでは寄附納入しておらなかつたのです。その後に会社経営もどうやら寄附し得る状態なつたから三百万円寄附したいということを二十七年になつて申出たというわけです。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 併しその案によると五百万円というのは貸付期限四カ年ということで五百万ということになつているのですから、相手が現に期限猶予申出る出ないにかかわらず、四年の期限内に当然これは受取る権利というか、条件東京都側では唱えておつたわけでしよう。それをあえて四年間に会社経営云々ということで非常に遠慮されるというのは一体どういう理由によるのですか。
  27. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) それは別に前段には理由はございません。再三寄附受領についての件に関しては履行してほしいということを申出ておりましたが、さき前段申上げましたように、いよいよ履行して六カ月後にはあれをしてほしいということになつて、結局そののちの申出がありましたので一応保留したわけでございまして、これは事情によつては現在からでも取り得る状態でございます。
  28. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうするといつでも取り得るし、又取る意思が東京都にあるわけですね。
  29. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) ええ。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは質問を次に進めまして立退きの見通しについてはどういうお考えですか。
  31. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) なかなか困難なものであるというふうに考えております。
  32. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 困難であるという見通しだとすると、若し最悪の場合に立退かないという場合には、東京都としてはどういう対策をお持ちですか。
  33. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その点に関しましては、前段申上げましたように、よく建設省とお打ち合せいたしまして、最良の納得して頂ける方法をとつて参りたいというのであります。
  34. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは、建設省計画局長東京都からそういう申出があつたときには、建設省としてはどういう方針で臨まれますか。
  35. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) まあこの問題は、実は先ほどから御説明がありましたように、当事者間の東京都とそれからニユーエンパイア・ステイト会社との契約条項から申しますれば、期限はすでに経過しておる。それからその条件は、期限が来たときには原状回復をすると、こういうふうに許可条件がなつておるわけでございますから、その当時者間の当初の許可条件をそのまま履行する方法ということが一つ考えられるわけであります。それからもう一つは、これは当初の許可条件を、先ほどお話のございましたように、現状状態においてはこれを立退きを強制することは著るしく困難である。困難であるのみならず、これによつて相当の、あれを原状回復するということになれば、移設その他の問題も生じまして、いずれにしましてもこれは当初の許可条件から申しますれば、不本意な形ではありまするけれども現状から参りますれば、非常なそこに使用者側といたしましても損失を来し、又不要の経費がかかる。こういうことになる点を考慮いたしまして、立退きを強制することなくして、むしろこれを普通財産として大蔵省に返還し、その大蔵省国有財産としての処分措置に待つと、こういう方法か、いずれかであろうというふうに考えております。ただその際建設省といたしまして、この虎の門公園という公園地がなくなること自体は、極めて東京都のためにも遺憾なことでありますし、それに対する善後処理は又別途考えて行くと、後段の場合のことを考えました場合については、そういうことを考えて行かなければならないと、こういうふうに考えております。
  36. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、前段建設省でも東京都でも公園にこれを復旧するということについては非常に困難な見通しである、こういう御見解のようですが、併しこれは先ほど経過説明によりますと、事ここに及んで、立退きが非常に困難ということになつたようには我々には受取れないのですね。というのは、貸付のときの条件と著しく異なる施設を着々借主会社側ではもうやつておる。それを四年間殆んど黙認をしたというか、黙過して今日に至つたという状況から見れば、もう当然事ここに及べば建設省なり東京都なりは、十分関係機関に連絡をとられて、そうして普通財産にこれを返還するなんという手段をとるときには、すでに六百五十坪という東京都にとつてはなかなか掛け賛のない公園用地ですから、もう他に換地を求めてこれに代るべき公園施設が裏にちやんと準備をされる手配がなされて然るべきだと思います。ところがこれから相談をされて何とか善後処理を講ずるというようなお考えですが、どうしてもこれが公園として復旧困難だとすれば、第二段のこれに代るべき善後措置についての目安なり、或いは候補地なり、そういつた諸準備はどの程度までお考えになつておりますか。
  37. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) その善後処理の問題と関連いたしまして、この貴重な公園用地をなくなすということに対して、一方には新らしい公園用地確保しなければならないと、こういう問題が当然出て来るわけでございますが、さようなことに関連いたしまして、実は大蔵省東京都それぞれ、先ほどお話のございましたように、むしろこれは手遅れであるという御意見もございましたが、誠に遅れ馳せで、そういう点は誠に遺憾に思つておりますが、これについて八方候補地たるべき公園用地を現在物色いたして努力はいたしておるのでございます。併しこの公園用地確保それ自体が非常に遷延するということは、これ又如何かと存じますので、善後処理の時期とも睨み合せまして、一方にはこの公園用地確保をできるだけ急ぐ。それからこの善後処理についても、すでに期限経過をいたしておるのでありますから、それの解決にできるだけ早く手を着ける、こういう考え方目下努力をいたしておるような始末でございます。
  38. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 建設省東京都の希望として前回に私どもが承知したところによりますと、これは是非公園地として回復をしたい。理由としては、そこには外濠の外壁も残つておるし、それから史蹟保存を要する施設もあるのだから、是非とも公園として回復をしたいと、建物撤去もこれは可能であるということでありましたし、なお衆議院における答弁を私ども調べてみると、東京都では、史蹟もあるので公園として残したい、こういうことを答えておられますが、只今の御答弁は大分この公園を復旧したいという考えと食い違つて公園を存置したいという考えに大分背馳するお答えのように聞き取れましたが、これは衆議院で言つたことと参議院でいつたことには時間の経過がありますけれども、分針に変更を来しておるわけですか。これは東京都の建設局長お答えを願いたい。
  39. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) この前衆議院決算委員会におきましても、私参考人として呼ばれましたときには、どうしてもあれを壊すのだという意味のことは申上げておらないのであります。それは例えば昨年の六月頃、それから又今年の一月にも、これは建設省からも認めておる条件通りに行くためには、あらかじめ書類処置いたしておかなければならないわけでありますから、その意味でそういう処置はとつておりましたのですが、それを委員会のほうに御報告になつておる点をおつしやるのだろうと存じますが、私自身といたしましては、参考人として呼ばれまして、衆議院決算委員会のときに、どうしても取るのだということは申上げてはおらないつもりでございます。どこまでも本日と同様によく打合せて善処したいということを繰返して申上げております。
  40. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 善処されるということは、大変含蓄のあるお答えですが、併しやはりさつき申しましたように非常に由緒のある土地であるし、そういうことだけでなしに、なかなかあそこは東京都全体の計画からみても目抜きな公園地ではないかと考えるので、これをやすやすと公園として放棄するという考え方についてはこれは私どもとしてもそう簡単にとれないと思うのです。  それからなお六百五十坪ということだそうですが、実際の面積はもつと広いということも聞いておりますが、実際実測をされたことはありますか。
  41. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) あの全体の敷地はたしか千百三十六坪ございますが、そのうち一番先に御説明申上げましたようにニユーエンパイヤー・モーターに貸すのを条件として接収解除を受けました面積は六百五十坪なんでございまして、六百五十坪を向うに貸しておるのでございます。それでその他の所は植樹ですとかいうことはいたしておりますが、全体を会社が使つておるというふうにも見えるような状態にはなつておりますが、どこまでも貸しましたのは六百五十坪でございます。
  42. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 じや大体経過わかりましたので、私に一応これで質問を留保いたしまして他の委員のかたの御発言を得て又質問いたしたいと思います。
  43. 松永義雄

    松永義雄君 検査院ちよつとお伺いしたいのですが、「困難な」というのは経済的に言われるのですか、法律的に言われるのですか。
  44. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 「困難な」というのはどこにございますですか、大蔵省の弁明でございますか……。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 いやいいです。この貸付条件が、家屋を建てるということを条件としておるのですか、建設省に……。
  46. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) 家屋を建てることを条件として、それの目的のために貸す。こういうことになつておるわけです。条件と申しますかこの建物敷地として貸すということになつておるわけであります。ただ先ほどお話がございましたように、その建物公園用途に障害を来さない方法において建てられるには如何いたしたらいいかということで、むしろ木造建でいわゆる仮建物として建てる程度にとどめておきたい、こういうことであつたわけであります。併し実情はそう参りませんで、先ほど東京都から御説明になりました本建築方式で、鉄骨組立方式建つた、こういう結果に実際はなつておるわけであります。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 賃料はここで約束になつておるし、取つておられるのですね。
  48. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 取つております。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 坪幾らですか。
  50. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 月一坪当り五円十銭であります。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 建物を建てることを条件として賃貸すれば、四年間でこれを明渡すこともできるということはできないわけですね。
  52. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) これは契約じやございませんで、行政処置であるという解釈許可の形をとつておりますので、普通の民法で言う契約というふうに解しておらないわけなんでございます。それでそういう条件の下に許可書類を出しておるというわけなんです。
  53. 松永義雄

    松永義雄君 ここは法律の解釈になつて法制局でも呼ばなければならんことになると思いますが、政府つて貸、借はできるのですか。
  54. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 東京都のほうの解釈では、賃貸契約ではなく、どこまでも行政行為であるという意味に解して、四年間というものを限つて貸付けたというわけでございます。
  55. 松永義雄

    松永義雄君 そうすれば、行政行為であれば、四年間経てば行政行為でできた一つの約定であるから、明渡しの請求ができるということになるのですか。
  56. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 要するに、先ほどから申しましたのは、要するに次の……。
  57. 松永義雄

    松永義雄君 そんなことはいい、イエスかノーでいいのですよ。
  58. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 訴訟すればできるわけでございます。
  59. 松永義雄

    松永義雄君 その訴訟は何ですか。行政訴訟なのですか、民事訴訟ですか。
  60. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 行政訴訟です。
  61. 松永義雄

    松永義雄君 それをやつておられますか。
  62. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 実はそれをやりますというのが、先ほどから申上げます一つ方法なのです。そういう方法に出て飽くまでもこの条件でやるのは最善の方法かどうかという点につきまして、よく打合せして善処いたしたいという理由で申上げておるわけであります。
  63. 松永義雄

    松永義雄君 あなたのほうから、東京都が建設省からそういう話合いが出たということは、建設省の意思というものが尊重されなければならんはずだというふうにお考えになりませんか。
  64. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) そう考えます。
  65. 松永義雄

    松永義雄君 そうすれば建設省考え通りにやらなければならんはずじやないですか。
  66. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その意味建設省とよくお打合せ申上げて善処したいということを申上げておるわけでございます。
  67. 松永義雄

    松永義雄君 その寄附金をもらつたということは、民事の場合においては権利金の名前では法に触れるから、脱法的に寄附金の名前を使つたと思われるのですが、どうなのでしよう。
  68. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 甚だ申訳ありませんが、そういう法律的のことは私よくわかりません。
  69. 松永義雄

    松永義雄君 どうも知つておかなければ困るな。エンパイヤ自動車は民間人であつて、そうして行政行為であるとかいうようなことを言つて、借りたわけではなかつた。普通の民事と同じように借りたものである。而も賃料を払つているという、先ほどおつしやつている。賃料というのは民事的なことを言うのですね。行政的なのは手数料とか別の言葉を使うのじやないですか。
  70. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 営業……建てて使用するのに対する使用料、こういう条件をきめて使用料を請求したわけであります。
  71. 松永義雄

    松永義雄君 先ほどあなたは賃料と言われるから……。使用料なら手数料とか何とかということになる。
  72. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 賃料と申上げたといたしますならば、それは訂正いたします。使用料を請求いたしておるという意味であります。
  73. 松永義雄

    松永義雄君 私は賃料とか手数料であるということを実際は取上げて揚げ足をとろうと思つているのじやないのです。実態がエンパイアのほうからは借りているという観念で、恐らく東京都と契約を結んで来たのではないか。だから寄附金という名前で権利金を払つて、エンパイヤのほうから言えば権利金を払つたという問題になるものだから、寄附金という名前を使つておる、そういうふうにも想像されるんです。而もその当時一体、二十三年という時世ですが、その当時その近くの地上価格は幾らぐらいですか。
  74. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) それはその当時あれしますにつきまして、附近地の調べをいたしまして、その当時は附近地の例がその程度でございましたので……。それで芝琴平町一の五、宅地、等級が八十一でございまして地代月当り五円十銭、それから琴平町一の六、等級七十八でございまして地代は三円八十八銭、これは裏通りでございますから、現在の私どもできめましたのとは多少事情は異なるというふうに考えまして、先ほど申しました賃料じやない、使用料でこれを貸すことにいたしました。
  75. 松永義雄

    松永義雄君 私は何も賃料と言われたといつて揚げ足をとるのではない。ただあなたの話が語るに落ちているから我々の受ける感じとしては、これが賃貸借という感じを受けるのですよ。そうすると借りるほうの側から言えば借りたと思つていますよ。そういつた一体約束をして、そうして権利金を取つて寄附金名義を以て権利金というものを取つて、そうして手数料とか賃料とかいうものを金利並みに取つて、そうして四年間の間に明けろという約束をしたこと自体が無理がある。最初からそういう疑いを受けるような約束をするということはこれは背任だと思うんですよ。あなたがやつたことじやないから、あなたはしやあしやあお答えになるのかも知れないけれども、併しその後に起る跡始末については、あなたが当然行政行為なら行政行為によつてどんどん進めて行かなければならないんですよ。委員長これは国の所有地なんでしよう。東京都の所有地じやないんでしよう、これは。
  76. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 私から……。これは国有地でございます。
  77. 松永義雄

    松永義雄君 国有地でしよう。東京都は昔の東京市以来、貸付とか何とかにつき実際疎漏なんですよ。だから東京都はよそのものをこういうふうに粗末にするんですよ、東京都は……。どうですか。
  78. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) この行為につきましては現在考えましたあれですが、いわゆる進駐車のあの華やかな時代でございますので、これは決して東京都といたしまして好んで是非貸したいという態度に出ているのじやない。これは止むを得ずそれに応じて処置せざるを得なかつたのだという問題であると存じます。そういう点も一つ御了承を願いたいと思います。
  79. 松永義雄

    松永義雄君 建設省にお尋ねいたしますが、行政行為と言われましたがその通りですか。
  80. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) これはやはり公園使用許可という一つのいわゆる行政的と言いますと、営造物の使用ということになるのじやなかろうかと思うのでありまして、いわゆる民法上の土地の借地契約、そういうものとは考えられないと思います。飽くまでも公園用地という一つの営造物、それの使用である、こういうふうに考えております。現に公園用地となつておりますところが、或る程度やはり建物その他に例えて申しますれば、日比谷公園の松本楼といつたようなものに公園用地の一部を貸しております場合がございますが、これも飽くまでも私はやはり営造物の使用であるというふうに考えております。
  81. 松永義雄

    松永義雄君 そうなると四年間経てばすぐ明渡しを請求できる権利があるとお認めになるのですか。
  82. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) お説の通りでございまして、やはりこれは法律上の問題として論議されるならば、当初の使用許可条件というものをその通り実行されること。それが法律的に論議されれば正しいのじやないかというふうに申されると思います。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると具体的にどういうことなんですか。今明渡しの請求ができるということになるのですか。
  84. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) その通りでございます。
  85. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると先ほど建設省から大蔵省のほうへ渡してしまうとかというお話があつたのですが、それじやあなたがた跡仕末をしている人の責任の感じ方が少し薄いと思うのですがどうですか。
  86. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) そこで先ほど私が申上げましたように、これは衆議院決算委員会においても同様の問題が論議されたわけでございますが、結局法律的な問題として処理するという、先ほどの飯島委員の御質問に対しましても私申上げたはずでありますが、当事者のその当時の許可条件をそのまま実行するという方法がある。それは私が申上げた通り使用許可という当初の条件をそのまま原状回復させるということによつて実行するという形になる。併し後段に私が申上げましたように、それでは実際問題としてあの建物を壊し、そうして原状を回復して公園用地になるということになりますと、これはいろいろそこに経済的の損失も実際問題として起きて来るというような考え方に立つて、むしろ当初の許可条件からしますれば一歩後退であることはその通りだろうと思いますが、それで具体的にむしろこれを普涌財産として大蔵省にお引渡しをする。こういうことによつてその後普通財産として如何に処分をせられるか、これは大蔵省等においてお考えを願つて、又私どももその貸付を、貸付といいますか、貸付許可をいたしました当面の責任があるので、その点の善後処理について大蔵省と相談いたし、そうして善処いたしたい。かような考え方であります。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 何だかおかしいのですが、そうするとこの程度の経済条件変更があれば、最初の方針と違つた行動がとられるということになるのですか。
  88. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) 初めの許可条件で私ども考え、その当時建設省が出しました指令といたしましては大造建築物で行けということになつてつたのであります。で四年間という期間を限りましたことと、木造建築物で行けということとそれぞれ相関連して、これは暫定使用であるという形を条件として一応許可するという建前にいたしておつたのでございます。それがまあその建物の実際の建て方というものが先ほどお話がありましたように、当初の私ども建設省考えました条件と可成り食い違つているという結果になり、そういう結果になつて来て実際問題としてでき上つた。こういう形になつて今日まで行われた現状から割出して見まして、やはりそれについてはそれ相当の善後処理方法としては、当初条件通りで行くことが必ずしも適当でないというふうに考えられるので、これはこの前から大分御論議がございました。そういう方針を立てられました以上は、それに従つて普通財産としまして大蔵省に引継ぎをするということが適当であるというような考え方をいたしておるのであります。
  89. 松永義雄

    松永義雄君 これは余りあなたに聞くのはどうかと思うのですが、別に揚げ足をとるわけではないけれども、仮に約束約束だけれども、今度鉄骨で建てて非常に立派な建物なつたから、だからこれは勘忍してやるのだというようなことをまあ仮想すると、政府からはこうしていろいろの恩義をこうむつておるものが我が儘を言えるということになつて、法の権威というか、政府の権威というものは非常に薄くなるということになるのではないかというような感じがするのですが、如何ですか。
  90. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) その点は明らかに本来公園用地であるべきものが、管理が適当でなかつたということは御指摘になりました通りで、私ども甚だ遺憾に思つております。で、そういう事態に追込められるような管理方法現状まで続けて来たということに対してのお叱りは、私どもももとよりその一面の責任を負うべきものであるというふうに考えております。考えておりますが、現在ではむしろこれを如何にして、最も国会等におきましても御承認願つて頂けるような方法で、先ず最もよい方法で解決できる方法善後処理をいたすべき方法、こういう点にむしろ重点を置きまして考えております。過去の経済につきましては私ども重々遺憾な点があつたというふうに自覚をいたしておるわけでございます。
  91. 松永義雄

    松永義雄君 僕も、昔東京市にも関係があつたから、東京市の内情はよく知つています。東京市の市政というものは昔から問題になつて非常に粗漏であります。その東京市の変つた今日の東京都に対して、将来こういうことが二度あるとも言わないですけれども、過去における、戦前の東京市の政治のあり方というものは、市民の糾弾の的だつたのです。そうしてまあ東京都のかた、まあ都議会にかけたとこうおつしやるんで、一応私は想像ができるのですけれども、そういつたようお話は、ここでは問題外のことですから私は申上げません。ただ政府は、東京都というものに対しては相当念を入れてそうして考えられて行動をとられなければならないということを私は御注意申上げておきたいと思うのです。いろいろな問題が昔は東京市に起きたのです。砂利の問題だとか何とかいうような問題が起きまして、しよつちゆう市民の攻撃の的になつて新聞を賑わしたものなんです。東京都の理事者が悪いとか何とかいうことではなくて、東京都の都政というものがなかなかきちんとやつて行く上に、非常に骨が折れるということです。都の理事者もなかなか苦労されておるということも、それはわかるんですけれども、それは実行されておるということはわかる。だからといつてそれに免じて国が損をして、そうして大蔵省に押付けて、あとは野となれ山となれということはないでしようけれども、訴訟が起せるのに起さないでいるということはどうかと思うんで、起して初めてこれが解決つくことなんです。この委員会で取上げられている問題は、しばしばほかの委員からも話がありましたように、刑事問題に引つかかることでも、刑事問題ばかりでなくて、民事の問題も以て追及しようという希望が出ている。法律上行政行為であつて、追立てができるという権利が存在しているのに、それを眠らしてそうして話会いで行こうといつたようなことは、なかなか解決には困難であるということを我々は考えるんです。いやなことですよ、強く出て行くということは……。いやなことですけれども、強く出て来て話が折合うというなら、それも仕方ないのだということになるのですが、ただ話合いできめよう言つたつて、なかなかきまるものじやありません。この問題は相当あとを引くと思いますから、建設省みずから自分の責任を負つて強く出て、解決してもらつて進んで頂きたいと思います。
  92. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大蔵省のかたにお伺いしたいのですが、大蔵省の御希望では、この前も第二課長からお答えがあつたように、撤去は不可能と考える。従つて公園としての用途は廃して、これを大蔵省普通財産として引継売却をしたい、こういう方針のようですが、その方針に変りありませんか。
  93. 阪田泰二

    政府委員阪田泰二君) この前第二課長からお話申上げました通り大蔵省といたしましては、この土地は、現在公園としての用途に使われていない。原状に回復することは非常に困難であるから、これを普通財産として大蔵省の所管に引継いでもらいたい、こういうことは前からそういう意見でありまして、建設省にも申入れているわけであります。返還を受けますれば、これは売却ということもありますが、要するに普通財産の一般の処理の原則によりまして、まあ適正に処理して行きたい。こういう考えであります。
  94. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、我々決算委員会で問題にするのは、国有材産の管理当を得ないという形でこれをやつているわけですが、大蔵省方針がさようであるとすれば、東京都と建設省でいつまでに方針打合せて、この大蔵省の要望に答え得るのですか。この点を一つ東京都の建設局長に、荏苒日を遅らすことのできない問題だと考えますが、いつ頃までに方針決定をして……。
  95. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) いつ頃までということは甚だどうも申上げにくいのですが、極力急ぎまして、一日も早く解決いたしたいと存じております。
  96. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は最後に、これは希望として意見を申述べたいと思うのですが、これは飽くまで明治四十五年以来由緒のある東京都の公園としての沿革の土地でありますし、なお立退き要求は、先ほど松永委員の言れたように、まだ必ずしも不可能としない土地でありますから、これは何とかして東京都民のために、東京都の将来のためにもこの土地公園として飽くまで確保する。こういう方向にこの問題の解決を持つて行かれることを強く希望いたしまして私の質問を終ります。
  97. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 参考までに聞いておきたいのですが、東京都のお答えをここで聞いておりますと、原状回復という方向でなく善処したい、こういうような御意向のように聞えました。それからその理由がやはり多勢の建設省からも言われたのですが、経済的な理由と、こういうようなお話でございました。間違いございませんか、そういうお話。そうしますと承わりたいことは、四カ年を二十八年一月を期限として御許可なつたときの木造建築という建築でそのまま建築されたとすれば、その費用は一体どのくらいくらいなものでありますか。もう一つ今日の撤去しにくい、恐らく撤去はむずかしいのじやないかという大蔵省のほうの御見解のその建物は幾らくらいな価格の建造物でありますか、それを承わりたいのです。経済的な理由であるからには、そういうものがはつきりとしていないことには経済的な理由には私はならんと思うのです。
  98. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 木造でございましたら幾らということを調べてございませんが、事実エンパイヤでは四千万円くらいかかつて現在の建物を建築しております、その当時の価格にいたしまして……。
  99. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 木造の場合は全然わからないというお話でございますから、これ以上追及しません。相当な開きがあるものと私は考えるのでございますが、相当な開きのある建築物をあの目抜きの場所に建てる、この間に建設省と何かお打合せなつたことが東京都としておありでございましようか、どうでございますか。
  100. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その条件をきめた後でございますか。建設省からそういう条件の下に許可をしてよろしいということを、受けました後において私のほうからその条件で、都の建設局といたしましてはその許可条件によつて使用許可をいたしたわけでございますが、実は建築の許可という点になりますと、ちよつと所管が違いますので、建築の許可は建築局のほうの稟伺事項になつておりますので、建築許可につきましては建設局といたしましてはタツチしておらない実情にございます。
  101. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうすると、所管が違うから知らん間に許可条件外の建造物が建つてしまつたということでございますね。
  102. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) いや、そういう意味じやございません。結局そこの扱いますものがそういうものでありますとか、或いは木造建物も、鉄骨の組立も、それからブロツク建築も同等にいわゆる仮設用材として取扱い得るのだというような説明は我々も聞いております。ただその許可ということは私のほうでやつておるのでないという面を申上げたので、その間の一旦許可いたしました後は何も関知いたしませんという意味じやございません。相談は受けております、建築上の理由で……。そうなれば止むを得ないだろうという意味のことにはタツチしております。
  103. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私の承わつておることは、建築法で甲種防火地帯であるから、木造建築は当然建てられない地域だということを建設省は御存じで条件を付けられたか、或いは東京都はそういうことを御存じでこの条件の下に建設省から貸付をされたか、或いはそういうことがこの貸付の手続の後に起つた問題か、そういうことを承わればいいのです建設省でも東京都でも結構です。
  104. 澁江操一

    政府委員澁江操一君) その点は、実は木造建築の許可条件に対して鉄骨造りにしたという点については、あとから連絡を受けたわけでございますが、当時その点では私のほうが要するにあの公園用地使用する条件をそれだけ付けておきながらその後の建築許可の点で、十分徹底的に追及してなかつたという点に多少遺憾な点があつたというふうに存じますけれども、要するに鉄骨造りで許可された後にその事実を知つたような状況でございます。然らば鉄骨造りにいたした動機はどこにあつたかということでございますが、これは先ほどお話がございましたように、防火地区ということになつております。防火地区ではありますが、併し木造が全然防火地区では建てられないかといいますと、一定の面積、即ち千平方メートル以内の建築面積の場合であれば、これは木造でよろしいということに当時なつておりました。現在は防火地区の建築の基準と申しますか制限がきつくなつておりますから、現状とは違つておりますけれども、当時としてはそういう木造建築は、一定面積建坪以内の場合であればよろしいということになつております。そういうことで木造建築にすべしということで許可条件をつけたわけでございますが、東京都で実際処理された経緯をあとでこれは伺つたわけでございますけれども、実際の建坪面積は千平方メートルを超えておつたということでありまして、従つて建築法規の建前からやはり鉄骨造りにしなきやいけなかつたのだ、こういう御説明であります。ただ私ども東京都から協議を受けた範囲内においては、建築面積の面まで実は触れておりませんで、その点についても十分な連絡を受けておりません。むしろ六百五十坪の貸付に対する千平方メートル以内の木造建築で行くべきじやないかという前提の下に木造にすべしという条件をつけたような経緯になつております。
  105. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 建設省のお立場はよくわかりましたのですが、私の知りたいと思うことを先ずはつきり申上げてお答を頂いたほうが簡単じやないかと思います。木造建築で条件がついておつたものを、今の形では条件に背反した、そうしてこういつた鉄骨のがんじような取壊しの困難なような建物が建つておるというこの事実まで今日は来てしまつたのですが、それの行為、建築を今日まで進めてしまつた行為の責任が、建築者のエンパイや会社の善意な行為であるか、或いは東京都が知らん間にやつてしまつた部分があるのか、東京都が建築法のために、許可条件として東京都が指導して建てさしたのか、その点を承わりたいのでございます。
  106. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) これは東京都が許可いたしまして、東京都で建染基準法によつて建物許可したわけでございます。
  107. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうしますというと、東京都は、先ほどお話しになられたような、建築局のほうで以て都市建築の規定によつてこういうものを建てるべしということで、それでなきや許可せんということで以て指導され建てさせたわけなんですね。従いまして、そのことはこの貸付条件というものを全然知らんところの別な局でおやりになつたと、こういうことなんですか。そこに食い違いがあつた。そこでこういうものができてしまつたということなんでございますか。
  108. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 食い違いがあつたと申しますか、結局その面積が千平方米以上であるために、どうしても木造じやいけないという意味から、木造でなしに木造と同様に取壊し容易なものとして考えておるものは、ブロツクで積み上げた建築とか、それから鉄骨の組立の建築とか、そういうものは同等に取扱つているからいいだろうという意味許可した、こういうわけでございます。
  109. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 お答えがどうもはつきりしないのですが、ともかく条件に背反した行為を東京都が指導され、或いは認可されるということ自体が、条件というものを軽く考えておつたと、無視しておつたということにも私なるのじやないか。それから又、これは二十年も三十年も先のことならばともかくも、四カ年という、まあどつちかというと、建築物なんかからいうと非常に短い期間を切つた制限からすれば、当然そういうことは当初木造変更をされたときにはつきりわかつておつたことじやないかと、こういうふうに私思うのでございますけれども、その点は如何でございますか。
  110. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) その当時といたしましては、やはり先ほど申上げましたように、鉄骨の組立であるから取壊しはできるじやないかという見地の下に許したものでございまして、その当時も、建つたときからも、これは絶対にどうにもならないのだという考えの下にあれしたのではないと存じております。
  111. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 もうこのぐらいにしておきます。
  112. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか。
  113. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 ちよつともう一つ私お伺いしておきたいのは、この間私承わつたのですが、この間都市計画のほうの関係のかたがお見えにならんので、今日は丁度いい機会だから、公園緑地部長さんもおいでになりますが、これは都市計画ではどういうふうに現在なつておりますか。
  114. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) これはいわゆる都市計画審議会で決定しました虎の門公園ですから、結局廃止のような場合には、やはり審議会の議決を経て廃止しなければならないという結論になつておると思います。
  115. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これを御許可になつて建てさせるときに、都市計画の審議会にかけてありますか。
  116. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 都市計画審議会で決定した公園でございまして、普通の許されておる公園使用目的に反しますので、いろいろお打合せもし、御許可も頂いて許可したという事情なのでございます。これを使用させますのに、つきまして……。
  117. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今日は都市計画変更しておいでになりますか。
  118. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) まだ都市計画変更しておりません。今後の処置になります。今後の解決方法によりまして、廃止するということも出て参りますし、或いはそのままということに……。先ほどお話に出ました、若しどうしても原状回復ということになりますれば、廃止する必要もなくなるわけでございまして、そういう点につきましてよく善処して参りたいというふうに存じておるわけでございます。
  119. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 都市計画としては、都市計画から見たこの公園は、建物撤去が困難とか、或いはむずかしい、ちよつと不可能だというような問題を別にして考えた場合に、都市計画としてはこの公園は残しておかなければならんというような強いお考えが都市計画のほうではおありですか、どうですか。
  120. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) 都市計画の立場からいたしますれば、適当の場所になお現在きまつております都市計画決定の公園以上に公園の殖えるということは、望ましいわけでございます。
  121. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私の聞いておりますのは、今日都市計画が御変更になつておらない、その変更になつておらない計画の上でどの程度に強い必要がおありかどうかということを聞いておるのです。これからどんどん公園を殖やすことがよいことはきまつておるので、今日あの附近の都市計画がきまつておいでになる、変更はしていないというお話ですから、その変更しておらない元の都市計画といいますか、それから見てこの公園是非残したい公園だとお考えになるか、軽い意味で以てこれがあればよいから作つたと、そういう意味なのか、それを承わりたいのです。
  122. 瀧尾達也

    参考人瀧尾達也君) そういうような点も勘案いたしまして、善処方をいたして参らなくちやならんと存じております。
  123. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは第百四十二号の取扱い方を皆さんどのようにしたらよろしいか……、それではこれで質疑は一応終了したものと認めまして、散会後にでも御打合せすることにいたします。では御苦労様でした。  次に、総理府の批難事項第十二号、この第十二号は、先に委員会におきまして小酒井委員から質疑が保留されているものでございます。
  124. 小酒井義男

    小酒井義男君 十二号の件について先ずお尋ねしたいことは、この問題になつておりますところの米軍が接収解除をした物件を、関東財務局から将来払下げる内約の下に一時使用許可を受けたということでありますが、この内約というのはどの程度の話がしてあるのか、或いは書類でそうしたことが約束してあるのかどうかということ、そうして若しこれが国において必要になつた場合には返還をするというようなことは約束がしてなかつたのかどうかということ、この二つの点についてお尋ねしたいと思います。
  125. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 初めの内約の点でございますが、私どもといたしましては文書による何といいますか、覚書のようなものはないというように承知をいたしております。それから第二点の政府に必要がある場合には返すということは契約上には出ています。
  126. 小酒井義男

    小酒井義男君 出ているのですか。
  127. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 出ております。
  128. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると返すときのそれに対する補償をするというようなことは約束がしてあつたのかどうか、その点はお気付きありませんか。
  129. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 契約の面では、政府で必要がある場合には返す、そうしてなお補償の要求はしないということがたしか入つております。これは占領中と申しますか、すべての一時使用条件になつておりまして、不動文字的な契約条項となつております。それで私どもといたしましては、これについて補償をすべきかどうかということについて大分頭を悩ましたのであります。財務局の意見も聞きまするし、なお当時会計検査院のほうにも御意向を伺つたのであります。そういう契約条項にはなつておるけれども、その個々の場合の実情に即して適当な処置はしなければなるまいというふうな御意見でございましたので、私どもといたしましては補償の措置を講ぜざるを得ないというふうに考えた次第であります。
  130. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからこの前の説明のときなどにおいて、果してどれだけの荷物が保管されておるかというようなことに対してもはつきりとした調査をなさないままに移転料というものが支払われておるということが指摘をされたわけであります。そのときの答弁には、その確認はしてないということに対する注意の不十分な点は認められる。同時に営業をできないことになるから、それの補償をする必要があつて、必要以上の金額を払い出すことも止むを得なかつたのだというような説明もなされておつたように記憶をしておるのです。一体確認をすることなしにそれだけの移転料を払つたのが本当の当時とられた措置であつたのか。そうでなしに貨物の量などには関係なしに業者を保護するという建前の下にあれだけの金が支払われたのであるか、その点の区別を明確に一つ説明して頂きたいと思います。
  131. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 私どもといたしましては、先回の委員会のときに申しましたように、不当な補償の支払にならないようにということで慎重にやつたつもりではあつたのであります。荷物の在庫量の確認につきましては、当時この仕事を担当しておりました者が会社の者と同行いたしまして各倉庫を見て廻つたのであります。大体目測でこの程度のトン数のものはあるというふうに判断をいたしたのであります。従いましてその確認の方法につきまして今日から振返つてみますと遺憾な点があつたというふうに考えております。別にそれを秤にかけて計つたわけでもございませんし、それから又その荷物を積出します場合に何台のトラツクで運び出されたかということも実は確認いたしておりません。この点がこの前に甚だ遺憾であつたということを申上げた点でございます。ただ、単純に業者を保護するというふうな大ざつぱな考え方で物事を処理したということではないのでございます。
  132. 小酒井義男

    小酒井義男君 会計検査院のほうへお尋ねするのですが、今私が質問しておつたよう内容契約の下に貸付けてあつた物件を返還させるときに、そうした問題になつておるような金額を支払うというようなことが、ほかにもこういう問題があるのか、或いはその契約に対する補償の条項のないというようなものを支払つたというような場合には、検査院としてはこれを不当な支出というふうにお考えになられるのかどうか。
  133. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 契約書にその土地々々の使用で立退く場合には補償料は要求しないというような契約がある場合には、補償金を支払つておるかどうかという点につきましては、理窟から言えば、或いは契約そのものから言えば支払わなくてもいいという解釈が成立つかと思いますが、実際契約された当時の状況、将来の見通し、その他を考えて見た場合には、全然補償をしないということも慣行その他から見て無理だろうということで補償することは止むを得ないというふうに考えております。それから又例えば予備隊のほうは何でありますが、調達庁関係のような場合でもやはり同じような事態がある場合がございます。それからそういう意味で補償をすることは止むを得ないと考えまするが、本件のような場合には実態に即した補償をすべきであるというふうな考え方でございます。で先ほども保安庁のほうから御説明がありましたように、当時私が担任しておつたわけではございませんが、御相談があつたことも確かで、そういう意味で補償をいたすことは止むを得ない。金額その他については実情に即したようにやるべきものだということを当時御相談があつたとき話したと思います。
  134. 小酒井義男

    小酒井義男君 金額とか或いは処理の方法についてそれが実情止むを得ないものであるとすれば、こうした方法でなしに何らかほかに処理の方法があるのかどうか、その点を……。
  135. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) ここで一番問題になつておりますのは、移転の関係の分だと思いますので、移転の経費を負担することが明らかである場合には、これは払うことは止むを得ないだろうと思いますが、本件の場合はこの蔵前のほうは数量が幾らあるという契約になつておりますが、当時相当の部分が持出されておりまして、蔵前のほうでは保管していない、こういう事実が明らかになつておるわけであります。そういう事態の場合にこれを払つてよろしいということにはならない。払つては悪い、こういうふうに考えております。それから都のほうにつきまして当時数量が契約通りあつたかどうかということは必ずしも判然とはいたしておりません。併しやはり蔵前と同じように慎重であるべきものであつたというふうに考えております。それから又これは或いは蛇足かと思いますが、当時都のほうはそこの倉庫を担当しておつた人は代表者として勿論契約をしておりますが、私のほうでその後になつて会社について調べますと、会社ではそういう補償金をもらう意思はなかつた。こういうことを申しておりまして、もらつた金がそつくり会社のほうに入つておらん、よそに流れておるというような事実もございます。でこれは何といいますか嫌疑の範囲で断定は勿論できませんが、それに関連して当時の管理部長が収賄されたということで起訴されております。これは起訴されておるということで、そういう事実があるということを私どものほうで断定することはできませんが、そういうこともあるというような事態から考えて、当事慎重であるべきであつたということは推定してよろしいのではないか、こういうふうに考えております。
  136. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから会計検査院のほうへお尋ねするのですが、たしか昭和二十四年度の決算の批難事件を調査しておるときに、都商事というのがほかの案件で出て来たような記憶があるのですが、そういう点はどうですか。
  137. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) ちよつと記憶しておりませんが或いは終戦処理の関係であつたかとも思いますが、ちよつと記憶しておりませんので……。
  138. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと今検査院のほうから説明せられたような、金額を請求をしなかつたものを持つて来たのだというような点や、この金額にいろいろ後日問題が起つたというような点については当局側としてはそういう問題をお調べになつておりますかどうか。
  139. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 請求をする意思がなかつたということは私ども会社当局から聞いておりません。補償の請求が出て参つたのでありまして、これが会社の公式の申出であると私どもは了承して処理をいたした次第であります。
  140. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると書類によつて請求をしておるわけですか、書類がありますか。
  141. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) ございます。
  142. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういうことになると、検査院のほうからの答弁と違う、この間に食い違いがありますが……。
  143. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 私の説明したのが多少足りなかつたかと思います。会社側として請求しておるということとおらんということと実は矛盾するわけでありますが、ここで請求したのはそこの倉庫の代表者としての浮田という人が請求しておるわけで、そういう点から申上げますと、会社が請求しておるわけであります。ところが私のほうでその金が実はいろいろの関係に流れておるというようなこともあるので、会社についてどうかということをその後において調査したところが、本社のほうでは私のほうではそこまで請求する意思はなかつた、こういうことでありまして、書類その他からみれば請求する意思があつたということは、代表社員が出しておるのでありますから、あつたということになるわけでありますが、ここの点は書類上の問題と本社の問題とちよつとありますので、必らずしも矛盾しておらんわけでございます。
  144. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると会計検査院にお尋ねするのですが、会社の名儀を使つて個人が補償を要求した、こういうことになりますか。
  145. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) そうではありません。やはり代表権限としては今のこの倉庫の浮田という人が担任しておるわけでありますが、代表権限があるわけでありますから、一応それは会社として請求したことになるわけでございます。併しそういう実態を調べてみた場合に、それは代表しておる者とは、会社を代表しておる者でありますが、本社について調べてみると、本社は請求する意思がなかつたこういうことを言つておるので、そこと代表者との関係は必ずしも明確でありませんが代表者としては請求しておるわけであります。
  146. 小酒井義男

    小酒井義男君 決算報告の三十三ページでありますが、これには二行目に「本院で調査したところによれば在庫貨物はすべて寄託者の負担で取引を完了しており、同会社が他に庫移しした事実は全くなかつた状況である。」というふうに書かれておるのです。この報告に対してこれを否定するような事実があるかどうか。その点もう一つ明確にして頂きたい。そして次の問題をお尋ねしたい。
  147. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 当時の警察予備隊といたしましては、倉庫にあります荷物が、倉庫が明渡されるということが目的であつたわけでありまして、その明渡しの責任を倉庫業者に負担さしたと申しますか、倉庫会社の責任で明けてもらいたいということにいたしたのであります。これは先般も申上げましたように、荷主と一々交渉をするという方法もあつたと思いまするし、又予備隊側で荷物を自分でトラツクを持つてつてやるという方法もあつたかと思うのでありますが、そのいずれの方法も当時の実情としては実施が不可能でございまして、非常に仕事を急がれておりまして、止むを得ず倉庫業者に責任を負わせてその倉庫の明渡しを要求いたしたわけであります。当時といたしまして、私どもとしては会社の帳簿を検査する権限もございませんし、又その倉庫業者と荷主との間の取引の内容まで立入るということもできなかつたのでございまして、こういうふうに倉庫会社が、殆んどと申しますか、負担をしなかつたという事実は、会計検査院のほうで相当時期をおきまして検査をされて、その結果が私どもに来まして、初めて私どもとしては承知をいたした次第でございます。
  148. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういう結果で、あなたのほうは庫移料というものを事実にないものを払われたということになると、それをそのまま承認をしているという形の処理の方法でおられることになるのかどうか。この問題について……。
  149. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) この問題につきましては、契約目的がこの倉庫を明渡すということにあつたのでございまして、その補償金の支払いの計算の基礎は、勿論その中にあります荷物を対象にいたしたのでございまして、従いましてその荷物が現実に外に運び出されればその補償金は支払わざるを得ないのじやないか。若し問題がありといたしますれば、倉庫会社が国から補償金を受けておきながら、なお且つ荷主のほうにその引取の費用を負担さしたというところであつて、問題は倉庫会社と荷主との間の問題になるのではないかというふうな見解を以ちまして、補償金の返還を請求することは適当でなかろうかというふうな考え方で今日まで来ておるわけでございます。先般衆議院決算委員会でもこの問題の御審議がございましていたしたのでありまして、その後法務省の意見も当時契約を締結いたしました状況から見ますと、両会社共に非常に何と申しますか、いやがると申しますか、非常に都合の悪いのを枉げて協力をしてもらつたというような事情もございまして、話合いでは到底解決がつかんだろう。補償金の返還を請求するとすれば、民事訴訟に訴える以外にはないだろうというふうな判断から法務省の意見も聞いたのでありますが、法務省のほうも訴訟としては成り立たんのではないかというふうな御意見でございますので、目下のところはそういうふうな状況になつております。
  150. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから第二の都商事の場合ですが、この貨物というのは、東京特別調達局の解除物件だ。そうして二十六年の七月末日までに同局及び買受人においてそれぞれ運賃を負担して引取を完了しておる。従つて会社が佐賀町倉庫に庫移しした事実は全くないという報告でありますが、この報告をこのまま事実として認められるか。そうでないというような、これに相反するような事実をお持ちになつておるか。この点はどうですか。
  151. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 東京特別調達局の所有でありましたものにつきましては、補償の対象から除いてございます。これは特別調達局のほうで移転をされたのでありまして、従いましてその移転は補償の計算のトン数の中には入れてないのでございます。  それからなお佐賀町倉庫に庫移しの問題でございますが、契約の当時におきましては、どの倉庫に、現実に、具体的に庫移しするかという計画ははつきりいたしておらないのでございます。東京都内のどの倉庫にか先ず運ぶのが常識的であろう。東京にありますものを横浜のほうの倉庫に持つて行くとかいうふうな非常識なことは補償の対象としては考えられない。従つて東京都内のいずれかの倉庫に移すという計算の下に大体東京都内の、移します場合のトラツクの運賃によりまして計算をいたしたのでございます。佐賀町倉庫に庫移しをした事実がありますかどうか、私のほうでは調査をいたしておりません。
  152. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、先ほど答弁にありましたように、衆議院委員会ではこの問題についてはもう結論が出たわけですか。そうして法務省のほうの、これを返還を要求するようなことは困難であろうというような問題についても、もう最終的に結論が出ておるのかどうか。その経過一つ説明願いたいと思います。
  153. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 衆議院のほうでは、まだ委員会としての御決定まで頂いておりません、従いまして質疑は一応終了した恰好でございまして、決定につきましては後日御決定になることかと思います。  それから法務省のほうは民事、国の訴訟の事務につきましては法務省ですべてとりまとめてやることになつておりますので、その担当係官の意見の程度でございまして、これはまだ法務省全体の意見というところまでは至つておりません。
  154. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はございませんか。
  155. 中川幸平

    ○中川幸平君 これはあとから調べて会計検査院が架空の経費を払つたというふうに批難されたのは御尤もですが、その当時においての庫移料ということだけでなしに、営業を取上げるというふうな補償も多少含めて甘く見積つてつたのか。それから営業減の補償もやはり見込んで、そうして支払つたものであるかどうか、庫移料だけというつもりであつたか、その当時の状況をお尋ねいたします。
  156. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 会社のほうからの申入れは、常業廃止に伴う損失補償をしくれという口頭の申入れがございました。それで私のほうといたしましても先ず先ほど申上げましたように、一応この補償請求はしないという契約条項になつておりますので、それは果して補償すべきか否かにつきまして東京財務局及び会計検査院等の御意見も伺つたのでありますが、これはこの具体的な問題については意見は言えないけれども、それは個々の実情に即して考えなければならんだろうというようなお話がございまして、それならば補償をやらなければなるまいということから、何を補償してやるべきかということを私どもとしては考えたわけでありまして、一つは先般の会議でも申上げましたように、会社がここで営業を開始いたしますにつきまして整地、土地の地均しをやりましてそれから若干の建物に対する改修を加えております。そういうような経費、それから今度はここで営業をやめますと、従業員の整理の問題が起つて来る。その退職金にこれくらいかかるというふうなこと、それから営業減の問題につきましては具体的な数字の申出はありませんでした。こういうものを本来は認めてもらいたいというようなお話もあつたということを聞いておりますが、これは書類としては残つておりません。それからもう一つは倉の中にあります貨物を移転する費用がかかるから面倒をみてもらいたいということが一つ。それで私どもといたしましては実態は常業の補償という、営業の廃止に伴う補償ということであるけれども、単純にそれだけの大ざつぱな考え方では処理ができない。先ず財産に対しまして加えた、投資いたしました経費につきましては、これも時価で見積るということになりますと、現実に投下をいたしました時期と明渡しを要求いたしました時期との間に時期のずれがございまして、その間に物価の変動が相当ございまして、それを物価の上昇率等で考えてみますと、相当な金額になるのでございますが、それもそこまで面倒をみるということも行き過ぎではなかろうかというふうなことも考えまして、これは一つ実費を補償するということにしようじやないか、それから従業員の退職金等につきましても要求があつたのでありますが、これもどうもなかなか退職金の基準の算定がむずかしいのと、それからもう一つはここの倉庫が廃止になりましても、ほかのほうへ職場の転換ができるというようなことも考えられますので、適正などうも退職金の算定ができないというふうなことから、これも一つ補償金の算定の項目としては遠慮をしてもらおうということで、現実につかみやすい貨物の倉庫からの明渡しの費用というものと、それから財産に加えました開業の費用というものの実費を対象にいたしまして補償をして行こうというふうに決定をいたした次第であります。
  157. 中川幸平

    ○中川幸平君 我々もはつきりわかりませんけれども、営業が継続できんようになるからという同情の下に庫移料を相当余裕がある見積りで支払つてもらつた。一面又会社が警察予備隊のためにその倉庫をにわかに明けんならんことになつた、非常に会社が困るだろうという同情の下に荷主が荷主の負担において庫移しをやつたということで二重に不当の利得をやつている。けれども、それは両方の同情のために不当の利得をしたので、返還の請求、民事訴訟をする。或いは勝つかも知れんが、なかなか不可能だろう思う。そこで、会計検査院としては確かに不当の利得をしているという、とすれば不当の利得をしているものに対して利益を取るよりほかに方法はないように考えられますが、なんぞ徴税のほうと連絡をなされたことがあるかどうか、会計検査院のほうへお尋ねします。
  158. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 全体的に見てどれだけの損失なり或いは利得という点はちよつとわかりかねますが、税金のほうの関係は、私のほうの税を担当している課のほうへこういう事実があるということで連絡しておりますので、適正な徴税をするように税務署を指導し、或いは検査して行くということになると思います。
  159. 小酒井義男

    小酒井義男君 又遡るようですが、こう説明を聞いていると、財務局のほうも或いは会計検査院のほうも、或る程度補償をしてやることは止むを得ぬだろうという見解でやつた、こういうことに基礎を置いて考えると、大体どのくらい補償したらいいだろうということを、十分な金額を前に置いて、そうしてそれを処理するために荷物が何千何百トンあつたのだと、こういうふうに割出されて来られたようなふうにも取れるわけなんですが、そういう点どうですね。実際補償せなければいけないだろうという見解があつてこれだけ払われたのなら、別に批難事項として上つて来る性質のものではないと思うので、どの程度まで補償をすることが必要であつたのか、この金額全部が不必要だという見解になつているのか。そういう点についてもう少し具体的な金額の分析と言いますか、そういう点の解明をせられるような説明がないかと思うのですがどうですか。
  160. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 初めに先ずこれくらいの金を補償すればよかろうということを前提にして内訳を適当に作つたということはございません。私どもとしてはどれだけ補償してやつていいのかという初めの総金額金的な肚づもりは全然なかつたのでありまして従いましてこの予算は確かに、この件として大蔵省のほうにも予算の何と申しますか、勿論実行上の打合せでございますけれども、相談をして手当をいたしたいというふうな状況でございますので、あらかじめこのくらい補償してやれば大話体はつくだろうというような大まかな考え方はいたさなかつたのでありまして、又先ほど他の委員から、若干いろいろな補償のほかのほうの項目を削除してしまつたために、荷物のほうで少し同情的に見てやつたのではないかという御指摘があつたのでありますが、当時の私どもといたしましてはそういう気持は毛頭なかつたのでありまして、適正な補償をするということに一意努力をいたしておつたような次第であります。
  161. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか……。御質疑もないようでしたら、十二号は一応質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めます。  次に進みます。大蔵省批難事項百四十九号から百五十九号まで一括して審議したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは何か専門員の御説明がありますか。
  164. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 百四十九号から百五十九号までは、鉄屑等の売渡しにあたり措置、当を得ないものということでありまして、検査報告の九十四ページから五ページにかけまして、その事情が詳しく記されておりまするが、各財務局の取扱いがいろいろになつたとか、或いはその処分をした価格が非常に安かつたというような点で批難されているのであります。これに対しまして当局のほうでは、一項目毎にそれぞれ理由を述べられまして、検査院の批難に服することはできないという御意見のようであります。ただ最後の二、三の問題だけは明らかに当局の過失であるということが明言されております。  試みに百四十九号をみますると、売渡した日が価格改訂、又は統制撤廃の日の直前である、だからもう少し注意さえすれば、改訂された高い値で売ることができたのに、ぎりぎり一ぱいの日にわざわざ安い値で売つてしまつたという批難が一つ。  それから多量のスクラツプを一括して売つたのでありますが、それを買受けた業者が引取るにあたりましては、随分長い間かかつてそれを引取るようにしているものもある。それならばその引取つた時期をそれぞれ押えて、そのときどきの価格で売るというようなふうにすればよいであろうが、そんな処置をとつていなかつたというようなことが批難されているのであります。これに対する当局の答えは、売渡しの日付は書面の上では何月何日となつておるけれども、実際その話というものは、相当古くから、相当前から続いておるのであつて、いよいよ形式的に書面を作成する日は、実際の取引の日から大分違つておるのだ、だからたまたまその正式の書類を作成した日が、価格改訂の直前であるとか、或いは統制撤廃の直前であるということがあつたにもせよ、それは偶然そういうことになつたのに過ぎないのでありまして、かような結果を見て、最初の売渡しの行為、若しくは売渡しの動機なぞを批判されては困るという答弁。  それからもう一つは、引渡しの度毎に、価格を計算するというようなことは適当でないというような意味の反対意見が述べられておるのであります。なお百五十号以下、いちいち申上げてもよろしいわけでございますが、如何いたしましようか。先ず最初に百四十九号を見て頂いて、その上であとのほうは又一括して御説明申上げましようか。そういうふうにしたほうが進行上よろしいかとも思いますので……。
  165. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か検査院で御説明ありますか。特に御説明を要することがありましたらお願いいたします。
  166. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 只今専門員からも御説明がありましたように、例えば百四十九号について申しますれば、大蔵当局の説明にもございますように、必らずしも検査院の言うことは承服できないというような御意見でございますが、それに関しまして、検査院としての立場を、考え方を一応申上げておきますと、成るほどマル公というものは事前には発表されないものでありまして、マル公が発表になるまでは実際上はマル公がわからない。而も話は前々から進んでおつたのであるから、実際の契約がマル公の直前になつてつても、それはやむを得ないことであるというような御意見のようでございますが、併しそれは一応まあ自分の立場々々で多少意見は違うのでありまして、大蔵省としてはそういう御意見かも知れませんが、私どもがみますというと、大体その当時は非常な屑鉄の不足な時代でございまして、而も二次製品といいますか、屑鉄で作つた製品はマル公を撤廃して価格は自由価格であります。然るに材料たる屑鉄だけがマル公があつたのでありますから、例えそのマル公を超過して高い値段で買つても、製品が高いのでありますから、業者としては引合つた時代でございます。而もそういう時代で鉄屑が不足であつて、業者の非常な買漁りを招来しまして、マル公があつたにもかかわらず、市中の取引価格はマル公の何倍か、二倍くらいの、若しくはそれ以上の価格で取引されておつたのでありまして、現にマル公はそういう市中の価格に順応しまして、逐次改訂をされて行つているのでありまして、二十五年の四月から二十六年の二月までに四回マル公が逐次改訂増額されておるのであります。従つてそういうふうな情勢のときには、契約をしますときに、将来マル公が変更なつたときには——この当時は上ることは大体見極めがつくのでありますから、改訂があつたときには、そのときの引渡のときのマル公で引渡すというふうな条項を一本入れておきますればたとえ契約の前から内々の話がありましても、そのときの価格実情に合う契約ができるのじやないか、こう思うのであります。現に例えば地代家賃統制令がありまして、多少地代家賃統制令が上つたならば、大損家賃を上げるということが一般の取引であろうと思います。或いはそのほかの税金が上がれば地代も上るというふうな取引をする、そのきめ方にするのが普通の状態となつているので、やはりこういうマル公というものは、もういわば政府の自繩自縛でありまして、市価が高いのにマル公で縛られておるために、高くするのだ。そういう縛られた状態にありますならば、その縛られた中において、最も有利な条件で物を売るというふうな心遣いをするのが当然じやないか、而もマル公が改訂されるということは、現に四回も改訂されておりますし、市中の業者は逸早くそういう事情を、まあ推測かも知れませんが、知つておつたであろうと推測される根拠もありますので、そういうときには、さつき申上げたような条件を一本入れておくのが、売払いをする者の注意としてあるべきじやないか。殊に三月の三十一日に売つたのがございますが、四月からマル公が撤廃になつておりまして、すでにもう三月の初旬頃からマル公の撤廃は必至であるというふうな新聞記事も出ておつたのでありますから、そういう経済情勢をよく注意しておつたならば、将来のマル公の成行もほぼ推測ができますから、殊更そういう条件を入れておくべきじやなかつたか、こういうふうな考えで案ができておるわけでございます。
  167. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 只今の森先生、或いは検査院からいろいろお話がございましたけれども、当時我々としてはマル公云々の問題、これにつきましてはかような処置、誠にやむを得なかつたものであると、我々としては存じておりますので、その理由を簡単に申上げます。  当時、これは今になつて申しますと、少し時代が違いますけれども、国の政策としては低物価政策というのが、これが非常に大きな政策であつたと我々は承知しております。それで公定価格というのは、これは殆んど全面的に布かれていたのが、徐々に廃止されておつた。それでこの屑鉄につきましては、この当時まだ公定価格が残つておりまして、二十六年の四月の一日ですか、停止されたわけでございます。それまでは残つておりました。それで鉄鋼補給金も当時はまだそのまま残つて、幾らか残つておりまして、これを全面的に廃止するかどうかというようなことがいろいろ議論の対象になりまして、問題を起しておつた当時でございます。それで而も当時の屑鉄の不足というのは非常に激しかつたように承知しております。それで当時政府としましては、この屑鉄の在庫の調査というものを年に何回かやつて、その「キヨキ」屯積を防止する、徒らに死蔵しておくのは怪しからんというような措置も可なり何回か取つております。それでそれらを合せまして、外国から屑鉄を輸入する量をできるだけ殖やしたい、それで鉄の値段を下げたいというのが全体の方針つたように我々は承知しております。それで我々大蔵省といたしましては、賠償に指定されました機械類がたくさんございますので、その機械類をできるだけ有効に日本経済復興に活用したいということで、あの当時の司令部へいろいろ話を持つて行きましたけれども、屑鉄にして溶かしてしまうという条件付ならば、極東委員会許可を得て初めて賠償の解除ができるという話になりまして、それでこの屑鉄としてはどれが適当であるかというようなことで、程度の悪いものから先へということで、当時国有の機械が約四十万台ございましたが、それを約二割、これを屑鉄として溶かすという方針をきめまして、どれがそれに適当であるかということは、この検査院批難事項になります約一年以上前に、いろいろ調査をいたしまして、順々にきめて行つたわけでございます。それを司令部へ申請書を出しまして、賠償の指定を解除してもらつて、それを当時の屑鉄の需要不足の状態に即応し得るように処分をしようということに、我々はして参つたわけであります。それでそのとき屑鉄の値段が、当時は市価と申しますか、市価と申しましたら当時は叱られまして、これは闇価格と申しました。その闇価格とマル公とが可なり差があるということは、これは我々も大体承知しておりました。これは新聞、日本経済その他の新聞等には、勿論闇価格でありますから、新聞記者の推測として出るに過ぎませんけれども、我々も大体そういうものは高いのじやないかということは想像しておりました。それでこのマル公との差というものは、何回か改訂をされて行く間にだんだんせばまりましても、可なり開きがありました。それで当時の物価庁、或いは経済調査庁、経済安定本部等に対しまして、大蔵省としては、不合理な価格というものを強行することは無理であるから、やめてほしいということは何回か折衝をいたしまして、だんだんに、通産省なんかもそういう御意見だつたと思いますが、だんだんに変つては参りましたけれども、低物価政策というようなことで徐々にしか変つて行かない。そこでその間に我々としましては、賠償の指定を解除された機械というものをできるだけ早く生産過程に入れるということが、当時の必要な情勢だつたと考えておりましたので、これを売払うことにしたわけでございます。ところがこれを売払うに際しまして、公定価格がございませんければ、こういうようなものを売払うについて、一般競争契約、或いは指名競争契約というふうな方法で売払うのは、これは大蔵当局としては、もとより歳入は殖えることでもありますし、適当な措置であろうと思いますけれども、当時そういうふうにいたしますと、入札される価格というものは、いわゆる闇価格というような値段になりまして、それをやりました財務局の局長なり、或いは官財部長なりは、或いは経済調査庁、或いは警察当局から喚問を受けまして、大分ひどい目に会つた。それでやむを得ず、マル公で売るという措置をきめた次第でございます。それできめましたそのマル公の値段、それが売払の契約のすぐあとに上つたというような事実、或いはきまつた翌る日にマル公が外されたというような事実、それから又外されまして数日あとに前のマル公で売つたというような事実、こういうようなことが、検査院から、もつと考える余地があつたのじやないかということで批難されておるわけでございますが、当時としては、国の政策として、屑鉄一トン何円という値段が、これが妥当な値段であるということで、この線を国は堅持するという方針をとつておりました関係上、これが上つたらもう少し金を余計出せというような契約、それは考え方としてできなかつたというふうに思います。それから今上つたからそういう話も出ますが、若し下つたならば、低い値段しか入つて来ないという問題があるわけです。屑鉄の問題なんてものは、物価が上つたり下つたりするもので、これが上つたからということで、あとでそういうことをおつしやられるのは、ちよつと筋が通らないのじやないかというふうに思つております。それから国としても、契約価格というものは確定しておく必要があるのじやないか。余ほどとんでもない事情でもない限り、幾らで誰に何を売つたかということは確定さしておく必要があるように考えます。大体以上のようであります。
  168. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 説明は終了いたしました。質疑を願います。御質疑はありませんか。
  169. 小酒井義男

    小酒井義男君 百四十九号の最後の四月十九日に売渡しをしたという事件ですね。これなどは四月一日に解除になつて、一般市場価格というものが大体倍近い値上りをしておるのですが、こういうことが大体わかつておるのに、なぜこの前の契約の引続きというようなことで売らなければならないか。これは無論当時の値上りの状況等が十分把握されておる時期ですから、こういう点についても、どうもこの説明では我々納得が行かんのです。この点について一つお尋ねします。
  170. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 四月十九日一に、前の値段で、マル公で売つたということについては、我々も、これが非常に注意周到で、完全な処置であつたというとかうにはちよつと言い切れないように思います。ただ話といたしましては、その前から話が大体進行しておつて、当時マル公でございましたもので、随意契約で売らざるを得なかつたという事情で、配分等も決定し、それから更にその配分が、かなり複雑な配分でございまして、と申しますのは、機械というものは、ばらしますと、銑鉄も出れば、鋼材の屑も出れば、それから非鉄も出ると、そうするとそのうち出た非鉄はどこへ売る、銑はどこへ売る、鋼は、どこへ売る、一括して引受けたのは誰だ、これはかなり複雑なことのために、これは通産省等の、或いはその他の官庁が中に入りまして、いろいろやつておりました。それで話のついた値段が三月三十一日までにはもうできておつて、決済書類は大体そういうことでできかかつておつたというような関係一つございますし、それから又三月の三十一日に廃止になりまして、闇価格がその時マル公より高かつたということは大体想像はつきますけれども、四月の一日から暫くの間というものは、闇価格というものは、果して上るのか下るのか、多分上るであろうということは感じたわけでございますが、闇価格といいますか、もう闇はないわけですが、自由価格というものは、それは新聞などにも、その後一月、二月たつたあとには、屑鉄の価格はこうであるということは、大体出ますし、物価その他のは、いろいろなものに出ますけれども、四月一ぱいぐらいは、そういうものは誰がどの値段でつかまえていいかわからん、ちよつと統制廃止後の混乱状態であつたように承知しております。恐らく今度米の価格あたりが廃止されたといたしましても、自由価格がどの辺で落ちつくのかということはやはり若干日を藉さなしと落ちつく線というものがわからないのじやないかというふうに思います。
  171. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑、ありませんか。
  172. 小酒井義男

    小酒井義男君 どうですか、払下げをした物件が、その後値下りをしたというような場合に、その価格を改訂をしたというような例はありませんか。
  173. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) それはないと思います。それから又かなりそれで業者としては損をした、国としては得をしたことになるのかも知れませんけれども、そういうことでないことを言つて来たという例は随分聞いております。改訂した例はございません。
  174. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はありませんか。……では百四十九号に関する限り御質疑は一応終了したものと認めます。続いて森専門員から説明を聞きます。
  175. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 次の百五十号は売買契約をした目附けは一月の七日である。然るにそのスクラツプを運び出したのは三月八日がそもそも最初で、随分長い間亘つて運び出しておる。そうすると一月七日と三月八日のこの中間を見ましても、価格の改訂というものは一月にもありますが、二月九日にも価格の改訂がある、そういうことを考えれば、搬出が三月であれば、その時の価格で売つたらばよさそうなものではないかということのように了解いたしております。これに対する答弁は前の百四十九号と同じわけでありまして、つまり手続が三月八日に搬出ということにはなつたけれども、もう一月にはすでに売買が行われることになつておつた、そのときであるというような意味答弁のようであります。  次の百五十一号は二十五年の一月の価格で売買契約がされておるが、実際これを引渡したのは八月の三十一日から九月の十五日というような頃でありますから、その中間に八月三十日というところで統制価格が変つておる。従つてその価格で売るべきものだという批難に対して、当局のほうでは、売渡しの話は前から続いてやつておつたが、ただ売渡しの決議というものだけが八月三十日以後になつたので、やはりこれもただ手続だけの違いであるというような意味のように了解されます。  百五十二号は、これは一定の価格で売買をした。ところが実際その目方以上の物質が運び出されたので、その超過しただけの分量に対して、最初の契約の単価を適用して金額を追徴した。こういう事実に対して検査院は、これを運び出したのは契約ができてから一年余りにも亘つて、追々に搬出されたのであるから、それぞれの品物が運び出された当時の統制額によつて決定すべきものであるという意見でありまするが、当局のほうでは、これは実際に目方を計り看貫する。その上で超過した分量に対しては、その金額を追徴す、るというようにするのが正しいやり方であつて、搬出の時期がまちまちになりますが、その一つ一つの時期を押えて金額を計算するのは適当でないという意見であります。  次の百五十三号は、艦艇の解撤という問題でありますが、日本の海軍の軍、艦を打ち毀して、これをスクラツプに、したり、或いは部分品を他の船舶の修繕などに使つたものなんであります。検査院のほうでは、この業者がこれらの品物を買受けたその時の統制額によ、つて売買すべきはずのものである。それをもつと早い日付の金額で計算をしておる。それが失当だということであります。ところがそれに対する回答は、当時は解撤艦艇経理最終処理要領、という一つの規則がありまして、その規則に従つてすべての価格を計算をするようになつておつた。それによりますると、当時船会社が軍艦を毀しまして、出て来たところの鉄屑或いはポンツーンとか浮力タンクというようなふうのものを、よそに売却することもありますが、又自分の会社で必要があれば自分で使う、或いはよそから船舶の修理を頼まれておれば、その修理のほうに流用することが自由にできるというようになつておつた。従つて今問題にされておるこの品物などは、それぞれ船舶の修繕などに流用されて、その時の価格に従うべきはずのものだから、かような計算方法になつたのである。ただ何分にも、これは呉の事件だと思いまするが、呉のあの地方には軍艦などが非常にたくさんあつたので、これらを適当に処分するためには随分な日数がかかつたので、そんな関係で事務の処理が遅れたことだけは誠に申訳がありませんという意味のようであります。  次の百五十四のほうは、これはケーブルなどが地下に埋もれてあつた。それを発掘して売払うということなのでありまするが、発掘のための経費が非常にかかつたものでありまするから、それだけの経費を引くと非常に安いものに売らなければならないというような結果になつた、それが適当でない。現によその例を引いてみると、検査報告の百ページの第一行目にも出ておりまするように、トン当り九千円程度で、それくらいしか経費がかからないということになつておるのに、こちらのほうだけそれ以上高い経費をかけておるのは不当だという御指摘であります。これに対する答えは、検査院はこの経費の計算をするに当つて、ケーブルだけを取出すとすれば、これだけの費用がかかる、もつと安い費用ですむ、全体としては安くなりまするが、その代りトン当り何ほどの作業費がかかるかといえば非常に高いものにはつきますが、実は本件はケーブルばかりではなくて、鉄屑その他いろいろなものを同時に掘り出して、その掘り出したものを売つてしまつたのでありまするから、その経費は若しも取出したもの全部を包含して当つて見るならば、トン当り経費は二万円ぐらいですむことになる算盤が出て来る。これは検査院が十万円もかかつたというふうに算盤を入れておられるのは、算盤の入れ違いではないかということが記されておるのであります。  その次の百五十五番でありまするが、これもいろいろな経費を引いて売つたがために、結局そのものは安い値いで売らなければならなくなつてしまつたという批難であります。それでこの別刷りのほうに見易いように比較表を拵えておきましたが、大蔵省で指示されているその経費は、まん中のところに書きましたような経費である。然るに買受人はどのくらいの見積りを立てておつたかと言えば、一番下のほうに書いたような値段であつた。然るに横浜の財務部では一番上のほうに書いたような、こんな高い経費を見ておるから、それがいけないのだという批難が、それが一番の眼目のところかと思います。  それから次の百五十六号でありまするが、これは人夫賃の比較が検査院で計算をすると、この別刷りに書きましたような金額になるが、当局ではこの通りトン当り高く見ておられる。その比較から出て来た批難のようであります。それに対して当局では人夫の数はとにかくこれだけ要り用であつたが、ただ賃金を、基本人夫の基本日額というものがありまするが、それよりは幾らか多く認めざるを得なかつた理由があるので、そこを多く認めたことは事実であります、という答のようであります。  それからその次の百五十七号は、地下ケーブルを売渡すにあたりまして、買受人に対するその価格は店先渡しの販売価格ということであるから、運賃及び相当な利益を経費として認めることが正当であるが、ただ全体の結果として幾らか安過ぎたということは遺憾に思いますが、取扱いそのものは間違つてはおりません、という答のようであります。  それから百五十八号と百五十九号は、これは二つなながら明らかに当局の誤まりで、検査院の御指摘の通りで誠に遺憾であります、ということであります。
  176. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 第百四十九号から第百五十九号まで一括して御審議に供します。御質問はありませんか……質疑もないようでありますから、これで一応終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは御異議ないものと認めます。第百四十九号から第百五十九号までは一応終了したものとして次に進みます。  同じく大蔵省関係批難事項、第百六十号から第百六十六号まで一括御審議に供します。御説明がありますか。
  178. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 百六十号から百六十六号までの間には、ただ百六十号に関して多少意見の相違を見ておりまするだけで、それ以外はことごとく検査院の見解に対して、当局も全くその通りで遺憾でありますという遺憾の意を表しておられるのであります。  この百六十号は鉄道の古いレールを売渡したのでありまするが、売渡す当局としましては非常に品質の悪いものだという考え方から、安い価でこの別刷りの一番上の所に書きましたような工合に、トン当り三千円くらいから五千円くらいの価で売渡されたのであります。ところが当時の統制価格を見ると、一万六千円というような統制価格でもあり、而もこの古いレールを買受けた業者が、それを使つて工事を進めたのでありまするが、工事費の内訳書を見ますると、一万七千円以上の価がそこに出ておる。要するに著しく安く払下げたということが指摘されているのであります。それに対する当局の答えは、当時国鉄並びに西武鉄道会社の技術者の意見を徴したところが、腐蝕度が激しく、程度が劣つているということであつたのでかような安い値段にしたが、併し物価庁告示による建値を採用した場合に比べればかなり安くなつていることが遺憾であるという、結局は自分のほうの誤りを認めておられるわけであります。この事件がどういう内容のものであるか、実は詳しく伺うことを忘れたのでありまするが、買受けた古いレールをそのまま使つて鉄道の線を請負者が造り上げたというものだとすれば、なぜこれを一旦売つてそれを更に買受けるというようなことをするのか、それよりも初めからこの品物は官給品として支給すればこんな問題が全然起らないのではないか。取扱規程の上に何かこんなことでもしなければならないような特別の事情があるかどうかということを質問をいたしてみたいというような考えがございましたので、これを特に書き出した次第なのでございます。  それ以外の点については別段申上げることはございません。
  179. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院におかれて何か特に説明を要する問題ございましようか。
  180. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 特に申上げることはございません。大体只今の森専門員の御発言で尽きております。
  181. 奥むめお

  182. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 只今の百六十の件でございますが、これを原料を官給として使用するという方法はとつてはならんという規定は別にございません。それでただこの何かあとで工事に使われた模様でございまするが、その工事自体は特別調達庁でやり、それからこの古いレールを売渡したのは大蔵省の財務局でやつたという関係で、レールはレールとして売り、工事は工事として行われたということに事実なつたわけでございますが、これは森先生のおつしやるような方法は、特別調達庁へ所管替としまして材料を官給するというような方法はあり得たわけでございますが、当時そういうふうにやらなかつたといううことでございます。
  183. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か御質問ありませんか。……別り御質疑もないようでしたら第百六十号から百六十六号まで一応質疑を終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  次に第百六十七号から大蔵省の分最後まで一括審議に供したいと思うのであります。何か御説明ありますか。
  185. 森莊三郎

    ○専門員(森莊三郎君) 百六十七号は造幣庁の特別会計でありまして、財務諸表の表示の仕方に誤つたものが若干あるからそれを直させたいということであります。  その次の百六十八と百六十九とは印刷庁の特別会計でありまして、その一つは黄銅板を製造するに当つて必要以上の材料を供給して製造させたのがこれは誤りであるという批難でありまして、当局においてもそれを明らかに認めて遺憾の意を表しておられるのであります。  それから百六十九号はこれ又財務諸表の上の表示に不適格なものがあつた、のをそれぞれ訂正させたということであります。  その次の第百七十号から百七十六号までのものは、財産税等収入金特別会計に関することでありまして、これは物納財産政府が抱え込んだそれを売払うに当りまして、その代金の徴収を集金人などを使つてこれを営業にしている業者に委託した。そんなことのために集金人などの使込みがあつたりなんかして、政府の手に入つて来ておらないものが相当あるということが指摘されているのであります。実はこれは二十三年度におきましても二十四年度におきましても同様のものが指摘されておつたのでありまするが、二十五年度のここにも同じ話が繰返して出ているのであります。但しここに出ておりまするこの金額は、今度改めて又こういう不都合な金額が現われて来たという意味ではなくて、従来のものの連続であつて現在の状態がこうなつている、そういう意味であります。  その次百七十七号から二百三十四号までは、職員の不正行為によつて国に損害を及ぼしたというものでありまして、関係方面は各地の財務局及び税務署などであります。数の多いものでありまするが特に著しい例を一つ引きますれば、百九十二号というようなものが特に著しい例であると言われております。  それからその次に是正させた事項という表題で二百三十五号以下が出ておりまするが、その前にちよつと一言御注意を申上げたいと思いますることは、その刷物に備考として書いておきましたが、租税及び徴税関係の経費について一般的な会計検査院説明が、ずつと前の大蔵省のほうの一番初めのところでありまするが、検査報告の八十二ページに詳細に記されてありまして、その内容をつまんで申上げますれば、租税を徴収する上にこういう点に注意を要するとか或いは架空の支出があつたとか、税務調査委託費なんというものについて、不都合があつたということが記されてありまするので、ちよつとそこを御参照下されば税務行政の一般の状況がわかろうかと思います。そうして是正させた事項という表題の下に記されておりまするのは、二百三十五号から四百九十三号までが租税の徴収が取り過ぎになつたもの、或いは足りなかつたものなどがそこに(一)、(二)、(三)、(四)と、それぞれ分類して記されているのであります。  その次に四百九十四号から五百十七号は、所得税の源泉徴収をやらずにおつたものがあつた、それを検査院の指摘によつて是正させたというのであります。  それから五百十八号から五百二十一号は、延滞金の未徴収であつたものが、こんなものがあつた。これはすべて是正させた事項の報告なのであります。  それから最後に、既往年度の決算検査報告の事後処理につきまして、二十二年度の報告の中に出ておつたあの一件がまだ十分に解決がされておらないという報告が出ております。以上。
  186. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 特に説明を要すること、検査院でおありでしようか。
  187. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 特に意見としてはございませんが、金額の大きいものが百十四ページの百七十七号でございます。ここに不正行為として千七十四万二千円が挙つておりますが、このうちの一千万円は資金運用部の資金でございまして元の預金部の資金でございます。その資金を町村に貸付けますわけでございますが、その貸付けます、担当の者が町村の申請書そのほか部内の処理の書類、町村のはんこを偽造いたしまして、日本銀行からあたかも融資するようなていに見せかけまして、それを日本銀行から現金を下しまして自分が横領した案件でございます。今まで従来の預金部の資金の融資につきましては非常に経理が厳格でございまして、こういう事案はなかつたのでありますが、初めてこの局でこういう事態が起つたことは遺憾でありますが、そのうち横領しました金で浮貸をしたり土地建物に投資をしたりしたのがございまして、そういう物件を当局で、担保に取りまして売払つた関係もあり、約六百万円は回収になつておる案件でございます。あとの七十四万円は国有財産を勝手に売りましてその代金を横領したというものでありまして、以下は大体大同小異の案件でございます。  そのあと税務関係のものは、おおむね滞納しております納税者のところに税務官吏が行きまして税金を取りますが、取つた金を成規の手続で払込まないで自分が着服したという案件でございます。それから先ほど百九十二号のところで特に特異なものという御説明がございましたが、これは関係者が非常に多うございまして、相当の地位にある者が同じ税務署で三回に亘つて行なつておるということで、特にそういう事件を起したということは、その税務署の監督なり官紀が弛んでおるのではないかということで特異という意味でございます。あとについては特に申上げることはございません。
  188. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 大蔵省、何か御説明ありますか。
  189. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今議題になつております税務関係の不正事件につきまして誠に私恐縮の意を表したいと思う次第でございます。検査院で指摘いたされましたことは大部分が私ども誠にお謝りするよりほか仕方がないことばかりでございまして、税務行政の運営の上におきまして非常に重要な事項として私ども今後十分に注意して参りたいと存じておる次第でございます。最近は若干ずつはよくなつておると思いますが、私最近代りまして、今後におきましては特にこのようなことの納税者の納税思想に及ぼす影響が重大であり、延いては政府の信用にも直接つながつて参りまするので、特に不正事件の一掃ということにつきまして意を用いて参りたいと考えておるのでございます。一つは仕事のやり方につきましてこれは大分国税庁ができましてから最近定型化、標準化といつたような方向で仕事をやつておりまして、そういう仕事のやり方自体において不正の余地なからしめるような仕組にする。それから税務官吏には若い者が多いのでございますが、これを早くよく訓練いたしまして立派なものにする。この二つの面からいたしましてできる限りの努力をしてみたいと思つておる次第でございます。指摘されました事件につきましては、それぞれ私どもといたしましてもできる限り適正な措置を講ずるつもりでございまするが、特に今後一段と勉強いたしましてこのようなことを絶無にし、或いは少くとも最小限度にとどめることができるように努めて行きたいと思つておりまするので、本日出席しました機会にそのことを申上げまして御参考にいたしたいと思う次第でございます。
  190. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑を願います。
  191. 中川幸平

    ○中川幸平君 いま会計検査院から説明された百七十七号は、会計検査院の検査によつて発見されたのですかどうですか、検察庁から発覚したのですか、この点ちよつとお伺いしたい。
  192. 池田修藏

    説明員池田修藏君) これは検査院が検査の結果といいますか、具体的に直接検査をしたわけではございませんが、そういう不正行為があつたときには相手官庁から検査院に報告させることになつております。その報告に基いたものでございます。これも一つの検査の作用としてそういう権限を持つておるのでありますから、広い意味の検査でございます。
  193. 中川幸平

    ○中川幸平君 そういうことで発覚はするけれども、これはほつぽつておいても相手の融資先からわかつて来るわけだと思いますが、そうですが。
  194. 池田修藏

    説明員池田修藏君) これは大体半年くらいたちますと、正確に言ますと毎月でもわかるわけでございますが、これを毎日わかるためには日本銀行との金額の対照によつてわかるわけでございますが、個々に亘つては非常に数も多うございますし個々には亘れませんから、毎月でもわかり得るはずでございますけれども、実際にはそれほど綿密にはやつておりません。併し半年くらいたつとわかることでございますので、半年後に対照いたしまして向うで発見いたしまして検査院に通報いたしたわけであります。
  195. 中川幸平

    ○中川幸平君 現在はまだ六百万円ほどそれで回収できるものがあるというお話でもあつたし、それからその関係者は起訴されたのですか、その点どうですか。
  196. 稻田耕作

    説明員(稻田耕作君) 御説明申上げます。只今池田局長からお話がありました件でございますが、東海財務局におきまする資金運用部資金の不正事件につきまして池田部長から御説明がありました通り、千万円の横領でございまして、そのうち大体六百万円を回収いたしまして、残りの金額は損失補填金といたしまして二十六年度におきまして損失を補填いたしております。関係者は懲役三年六カ月、二年六カ月の、それぞれ執行猶予なしの判決を受けております。それから責任者といたしまして、東海財務局長吉橋鐸美は懲戒戒告を受けております。当面の理材部長栗橋四郎も懲戒戒告でございます。栗橋四郎は後に至りまして責任を痛感いたしまして辞職いたしました。それから融資課長でございますが、融資課長及び課長補佐、運用第一係長は懲戒減俸に付してございまして、融資課長は後に責任を痛感いたしまして辞職をいたしております。こういう次第でありまして、御指摘のありましたように、預金部資金といたしまして創立と共に七十余年を閲したのでありまするが、この東海財務局におきまして空前の不祥事を惹起いたしました。これひとえに長年の無事故ということになれまして注意力なり監督者の監督が弛んでおつた結果が一番大きな原因だつたと思いまして、事件の直後全管区に厳重な通牒を発しまして、注意の散漫に対しまして注意を喚起いたしますと共に、やりかたにつきましても反省を要する点がありますので、例えば短期融資におきましては長期の場合と違いまして、資金運用と管理を一人で同一人がやつておつたという面がありまするので、これはまあ一つは人の足りないようなところにおきましてそういうことがあつたのでありますが、これは短期のいわゆる繋ぎ資金とか、そういうのもにつきましても運用と監査というものは峻別して同一人が運用をやつたり監査をするようなことのないようにいたしました。それから又短期資金の貸付の状況なり又は回収の状況を明らかにするために、新らしく残高のわかるようにいたしまして、毎日課長が監査をいたすようにいたしたのでございます。又外部に対しましては市町村の責任者の印鑑でございますが、これを地方の日本銀行の支店に届けさせましてこれを照合するということを常にやつたのでありますが、この励行を通達いたしまして是非励行するようにいたしたのであります。それから日銀代理店に対しましては、現金の交付を成るべく避けまして、市町村なり公共団体が自分の金庫なり或いは取引の銀行を持つておりますので、その銀行へ大体融資をする場合も、一応小切手を口座に振替えまして、現金は成るべく日本銀行の支店からは現実に市町村に対しては出さない。市町村の取引のある銀行なり或いは市町村の金庫に口座で振込んでやる。そういたしますと、その町村なりの取引銀行におきましては、町役場の人、村役場の人をよく存じておりまするので、そこでそういう横領というようなことが起こることは実際問題としてなくなると思いまして、若干の不便は伴うかと思いますが、日本銀行からの現金の交付はできるだけ避けまして、そういつた取引銀行なり市町村の金庫に対しまして、口座の振替を行うという指令を発したような次第でございます。何と申しましても大変な国に損害をかけまして、大体において四百万円の損害をかけたのでございますが、又そういう点調べたことで申上げますが、調べたところによりますと、この六百万円の回収に際しまして、裁判の経費等といたしまして約五十万円程度支出いたしておる状況でございます。御報告に代えましてお詫びいたす次第でございます。
  197. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちよつと関連してお尋ねするのですが、これは関東の財務局が一応順位から言えば一番上位にあると思うのですが、近畿と東海の場合はどちらが順位として上にあるのですか。
  198. 稻田耕作

    説明員(稻田耕作君) 近畿でございます。
  199. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると東海財務局で部下が問題を起したということの責任で局長がかわつて行く場合に、近畿へかわつたのでそれは栄転をしたことになるのですね、そういう場合があるとしたら。
  200. 稻田耕作

    説明員(稻田耕作君) 栄転に相成るかと思います。
  201. 小酒井義男

    小酒井義男君 実質的には本人が監督者としての責任を追及せられて、そうして転勤をするのに、それが優位な局へかわつて行くというようなことでは、私はもう責任が十分追及せられておるとは思わんですし、そういう処置をしておつて、部下の責任を追及するということも事実上できないような問題じやないかと思うのですが、その点についてはどうですか。それで十分部下を監督して行く、処罰として当を得た扱いであるというふうに考えておられますか。
  202. 稻田耕作

    説明員(稻田耕作君) これは或いは私の、一課長お答えできる問題じやないと思いますが、私は私見といたしましては、国家公務員に対する懲戒といたしまして御承知のように免職、停職、減給、戒告とこの四種があるのじやないかと思うのでありますが、吉橋東海財務局長に対しましては、その後前にも申上げました通り、戒告に相成つておるのでございます。これが昭和二十六年に戒告になつておるのでありますが、その後たしか小酒井委員の御指摘のように、昭和二十七年の中頃以降だと思いますが、近畿財務局長に転じておられますが、これは一応二十六年度におきまして吉橋局長に対しまして戒告を行つたということで一応公務員法上の懲戒というものは済んだという意味で行なつたのじやないかと、こう思うのでございます。
  203. 小酒井義男

    小酒井義男君 この問題で余り御答弁を要求するのは無理かと思うのですが、私はいろいろな案件を審査して来てどうもこういうのがあとを絶たん一つの原因は、処罰に対して法律上の明確なものになればこれはやりますけれども、そうでないものは申訳的な処罰をしおる。形式的にはいろいろ戒告をしても、ポストのいいようなところへかわつたようなことをやつてつたのじやいつまでたつたつてこういう問題の根を絶やすような対策にはならんと思うのですよ。特に今日問題になつておるような物納財産の処分などということは、税金を納められない者から差押えて来たような物件を処理してそうしてその金が国に人らんというようなことになつたら、これはもう品物を押えられる国民の立場というものが全然政治の上に反映しておらん。こういうことはやはりこれを監督をしておる立場の者が十分注意をしなきやいかんですし、それを注意して将来こういう問題を起さんようにしようと思えば、或る程度を厳重に追及するということが将来のこうした問題を防ぐ方法ではないかと思うのです。そういうことに対して私はどうも現在あなた方だけを言うわけじやないのですが、各省がやつておらん。これはやつておらんのかそういうことができないのかわかりませんが、そういうことについてやはりもつと根本的に私は考えるべきだろうと、こういうふうに思うのです。
  204. 奥むめお

    委員長奥むめお君) これの御答弁どなたか。
  205. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは私の意見ですから、答弁は大臣にでもしてもらわなければいかんと思うので……。
  206. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑……。
  207. 中川幸平

    ○中川幸平君 国税庁長官が見えになつていますから……。扱いも多いからこういう件数も多いことだと思いますが、やはり成るべく現金を扱わずに小切手にした方がいいと思いますね、税務署などでも。そういうことでやらなきやならんと思いますし、これは議題外ですけれども、私、石川県の選出であります、先般金沢の尾張町の山田時計店というところへ国税局から相当大げさな調査に来て、そこの常務が首つつて死んだ、そういうことで非常な過酷な調査をやつてつたのじやないかということで業者のほうからわしのところへそういうことを言つて来ましてね。検察局で調べたらそういう事実はないと言つておりますけれども、相当に過酷な調査をしたというようなことを言つておるので、そういう点も一つ考えを頂きたい、さように思います。
  208. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか。
  209. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今お話の出ました監督者の責任追求の問題、それから今の徴税に関連しての御意見、これは全く私同感でございまして、戦後やはり全体の空気がどちらかと申しますると少し弛緩していたのではないか、それがやはり官庁のほうにも移りまして、戦前なら考えられなかつたようなことがどうもなかなか簡単に問題の処理ができない、こういう点があつたのではないかと確かに思うのでございますが、まあ事態も大分よくなりましたので、今後におきましては特にそういう点につきましても私ども十分厳正な態度をもつて臨みたい。先般も帰りましてから特に不正事件に関しましては先ほど申上げましたように厳達すると同時に、監督者の責任を徹底的に追及するということをきつく申渡しておきまして、書類でももうすでに発送いたしておるのでございます。そのようなことも併せ講じまして、仕事のやり方、素質の向上といつたようなことを考えまして、私ども全くお恥しい次第でございまして、国民に相すまんというふうに考えておるのでございまするが、できるだけの努力をして行きたい。お二方の御意見誠に私ども御尤もであります。ただ全部現金を扱わないということまでにはなかなか行きがたい事情にはございますが、何しろ滞納になるのを少くして、期限内に納税者に納めてもらうのをできるだけ多くしたい。滞納になりますと、どうしてもやはり或る程度集めて廻らないと入つて来ないということになりまして、その場合にはどうもやはり大部分の場合は現金を集めざるを得ない。そういうことはございまするけれども、いろいろ仕事のやり方の根本等につきましても考えまして、少くともこういつた私共の事件を指摘されるようなことがないように一つできるだけの努力をいたしてみたいと思つておりまするので、更に附加えましてこのことを申上げておきたいと思います。
  210. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 長官の税収入金に対する綱紀粛正の御決意は非常に有難いことで、了承いたしまして期待をしたいと思うのですが、ちよつと会計検査院に伺いたいのですけれども、これは税金関係の不正というものはこれで全部でございましたか、あなたのほうで手がけなすつたものは。或いは一割とか三割でございましたか。
  211. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 私のほうで調べましたのはもつとたくさんございましたが、これは金額が五万円以下のものは、それぞれ適当な処置は相手官庁のほうに注意してございますが、検査報告としては特に掲げない。それから全額補填になつておりますものは、このときは多分年度内だつたと思いますが、年度内に全額補填になつたものは検査報告には掲げないという方針で一応線を切つたわけです。
  212. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 重ねて伺いたいのは、二十六年度の会計検査報告も出ましたね。あれは今度のと比べて件数なり金額なりは多うございますか、およその御記憶でよろしいのですが、少のうございましたか。
  213. 池田修藏

    説明員池田修藏君) 二十六年度は二千九百万円でございます。尤もこれは多少拾い方が違いまして、二十五年度は五万円以上のものを挙げましたが、二十六年度は五十万円以上のものを挙げておりますので……。
  214. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 概算でよろしゆうございます。大体それで見当がつきます。十倍になるわけですね。
  215. 池田修藏

    説明員池田修藏君) ちよつと誤りました。五十万円以上のものは二千二百万円で、二千九百万は昨年と同じ標準でございます。それからここに掲げてありますのは五十万円以上で、それは二千二百万円ということでございます。  なお御参考に申上げますが犯罪の発生年度別の件数が調べたのがございますが、それによりますと二十四年が一番トツプでございまして、二十五年、六年と発生度別から言いますと少くなつております。多少これは検査院から申上げると或いは少し弁護的な立場になるというお考えをお持ちのかたもあるかも知れませんが、事実は事実だからはつきり申上げますが、恐らく二十三年度から非常な税の拡張をやりまして人員が増加した。それでお若い人でも或いは多少素質の悪い者でも増員しなければいかなかつたということで二十歳前後の人が随分採用されまして滞納者ところに督促に参りました。そういうものは大体思慮分別もありませんし、又素質も低下しておつたので、つい先の見極めもない自分の懐に入れたという事実がかなりありましようが、その後大分整理によりましてだんだん素質がよくなつて来たということと、やはり内部の監督も行届いたと見えまして今ちよつと件数の資料は見当りませんが、二十四年度がトツプで五、六と半分か三分の一ぐらいには減つておると思います。尤も二十六年度に発生した事件がその後なお発見されるものがあるかも知れませんが、一応今の状態では減つておる状態であると思います。
  216. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 有難うございました。ほかに御質疑ありませんか……。では一応第百六十七号から五百二十一号まで大蔵省関係批難事項は一括して終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。今日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会