○専門員(森莊三郎君) 次の百五十号は売買
契約をした目附けは一月の七日である。然るにそのスクラツプを運び出したのは三月八日がそもそも最初で、随分長い間亘
つて運び出しておる。そうすると一月七日と三月八日のこの中間を見ましても、
価格の改訂というものは一月にもありますが、二月九日にも
価格の改訂がある、そういうことを
考えれば、搬出が三月であれば、その時の
価格で売つたらばよさそうなものではないかということのように了解いたしております。これに対する
答弁は前の百四十九号と同じわけでありまして、つまり手続が三月八日に搬出ということには
なつたけれ
ども、もう一月にはすでに売買が行われることにな
つておつた、そのときであるというような
意味の
答弁のようであります。
次の百五十一号は二十五年の一月の
価格で売買
契約がされておるが、実際これを引渡したのは八月の三十一日から九月の十五日というような頃でありますから、その中間に八月三十日というところで統制
価格が変
つておる。従
つてその
価格で売るべきものだという批難に対して、当局のほうでは、売渡しの話は前から続いてや
つておつたが、ただ売渡しの決議というものだけが八月三十日以後にな
つたので、やはりこれもただ手続だけの違いであるというような
意味のように了解されます。
百五十二号は、これは一定の
価格で売買をした。ところが実際その目方以上の物質が運び出されたので、その超過しただけの分量に対して、最初の
契約の単価を適用して金額を追徴した。こういう事実に対して
検査院は、これを運び出したのは
契約ができてから一年余りにも亘
つて、追々に搬出されたのであるから、それぞれの品物が運び出された当時の統制額によ
つて決定すべきものであるという意見でありまするが、当局のほうでは、これは実際に目方を計り看貫する。その上で超過した分量に対しては、その金額を追徴す、るというようにするのが正しいやり方であ
つて、搬出の時期がまちまちになりますが、その
一つ一つの時期を押えて金額を計算するのは適当でないという意見であります。
次の百五十三号は、艦艇の解撤という問題でありますが、日本の海軍の軍、艦を打ち毀して、これをスクラツプに、したり、或いは
部分品を他の船舶の修繕などに使つたものなんであります。
検査院のほうでは、この業者がこれらの品物を買受けたその時の統制額によ、
つて売買すべきはずのものである。それをもつと早い日付の金額で計算をしておる。それが失当だということであります。ところがそれに対する回答は、当時は解撤艦艇経理最終処理要領、という
一つの規則がありまして、その規則に従
つてすべての
価格を計算をするようにな
つておつた。それによりますると、当時船
会社が軍艦を毀しまして、出て来たところの鉄屑或いはポンツーンとか浮力タンクというようなふうのものを、よそに売却することもありますが、又自分の
会社で必要があれば自分で使う、或いはよそから船舶の修理を頼まれておれば、その修理のほうに流用することが自由にできるというようにな
つておつた。従
つて今問題にされておるこの品物などは、それぞれ船舶の修繕などに流用されて、その時の
価格に従うべきはずのものだから、かような計算
方法にな
つたのである。ただ何分にも、これは呉の事件だと思いまするが、呉のあの地方には軍艦などが非常にたくさんあ
つたので、これらを適当に処分するためには随分な日数がかか
つたので、そんな
関係で事務の処理が遅れたことだけは誠に申訳がありませんという
意味のようであります。
次の百五十四のほうは、これはケーブルなどが地下に埋もれてあつた。それを発掘して売払うということなのでありまするが、発掘のための経費が非常にかかつたものでありまするから、それだけの経費を引くと非常に安いものに売らなければならないというような結果に
なつた、それが適当でない。現によその例を引いてみると、検査報告の百ページの第一行目にも出ておりまするように、トン
当り九千円
程度で、それくらいしか経費がかからないということにな
つておるのに、こちらのほうだけそれ以上高い経費をかけておるのは不当だという御指摘であります。これに対する答えは、
検査院はこの経費の計算をするに当
つて、ケーブルだけを取出すとすれば、これだけの費用がかかる、もつと安い費用ですむ、全体としては安くなりまするが、その代りトン
当り何ほどの作業費がかかるかといえば非常に高いものにはつきますが、実は本件はケーブルばかりではなくて、鉄屑その他いろいろなものを同時に掘り出して、その掘り出したものを売
つてしま
つたのでありまするから、その経費は若しも取出したもの全部を包含して当
つて見るならば、トン
当り経費は二万円ぐらいですむことになる算盤が出て来る。これは
検査院が十万円もかかつたというふうに算盤を入れておられるのは、算盤の入れ違いではないかということが記されておるのであります。
その次の百五十五番でありまするが、これもいろいろな経費を引いて売つたがために、結局そのものは安い値いで売らなければならなくな
つてしまつたという批難であります。それでこの別刷りのほうに見易いように比較表を拵えておきましたが、
大蔵省で指示されているその経費は、まん中のところに書きましたような経費である。然るに買受人はどのくらいの見積りを立てておつたかと言えば、一番下のほうに書いたような値段であつた。然るに横浜の財務部では一番上のほうに書いたような、こんな高い経費を見ておるから、それがいけないのだという批難が、それが一番の眼目のところかと思います。
それから次の百五十六号でありまするが、これは人夫賃の比較が
検査院で計算をすると、この別刷りに書きましたような金額になるが、当局ではこの
通りトン
当り高く見ておられる。その比較から出て来た批難のようであります。それに対して当局では人夫の数はとにかくこれだけ要り用であつたが、ただ賃金を、基本人夫の基本日額というものがありまするが、それよりは幾らか多く認めざるを得なかつた
理由があるので、そこを多く認めたことは事実であります、という答のようであります。
それからその次の百五十七号は、地下ケーブルを売渡すにあたりまして、買受人に対するその
価格は店先渡しの販売
価格ということであるから、運賃及び相当な利益を経費として認めることが正当であるが、ただ全体の結果として幾らか安過ぎたということは遺憾に思いますが、取扱いそのものは間
違つてはおりません、という答のようであります。
それから百五十八号と百五十九号は、これは二つなながら明らかに当局の誤まりで、
検査院の御指摘の
通りで誠に遺憾であります、ということであります。