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説明員(
佐々木義武君) それでは
委員長のお話になりました
策定問題から離れまして、むしろ法案が通
つた以後の電気に関する諸問題の進捗
状況如何というような点を少し経過的に申述べたいと思います。
御承知のように、この七月三十一日
電源開発促進法が衆議院を最終的に修正案が
通りまして、即日公布ということにな
つて、爾後実施段階に入
つておりますが、実施の過程は、大きく分けますと二つに分かれまして、
一つは、あの法案に基き
電源開発株式会社というものを作り上げる。言い換えますと、会社の設立準備
事務というものと、それからもう
一つの点は、この法案の第二章にあります
電源開発調整審議会或いは審議会で審議をすべき法律から委任されました政令等を如何に作るべきかとい
つたような問題が第二の大きなケースにな
つておるわけであります。第一番目の株式会社を作る準備作業のほうは、法案が通過いたしまして間もなく、主務官庁であります通産省側でこれを主宰いたしまして、九月十六日無事に
電源開発株式会社を設立いたしまして、そのほうの
仕事は約一月半ばかりかか
つて完成したわけでございます。爾後
開発会社が主務官庁の監督下におきまして、それぞれ審議会できまりました地点等に関しまして、
調査或いは
開発の着手等をや
つておるわけですが、そのほうの経過は又あとでお話申上げることにして、第二番目の
電源開発調整審議会のほうの点でありますが、調整審議会のほうは、第一回の審議会は九月十三日に開きまして、そこに進捗
状況云々という一枚のペらぺらの紙がございますが、御覧願いますと書いてございますが、第一回の調整審議会は九月の十三日に開きまして、爾後十月二十日に第四回の調整審議会を開いたまま第五回の審議会はまだ開催してございません。この二十八日ぐらいを
一つの目安にいたしまして、第五回の審議会を開きたいというので、目下準備中でございます。
審議会で初めに取上げました問題は、審議会の維持
運営の問題でありまして、この
電源開発促進法に関する法令集というのがございます。これの十四頁に
電源開発調整審議会令というのがございまして、これに基いて審議をしつつあるわけでございますが、この審議会令の特徴は、第二條にあるわけでございまして、それ以外の点は大して問題がありません。第二條を読んでみますと、「審議会は、議題と
なつた事項を
所管する国の
行政機関の長たる
委員を含み、
委員の半数以上が出席するのでなければ会議を開き、議決をすることができない。」 というふうに
規定がな
つておるのでございます。これはどういう意図でこういうものができたかと申しますと、あの法案を参議院で審議する場合にも、しばしばこの点問題に
なつたのでございまして、法の
建前から申しますと、飽くまでもこの調整審議会は諮問機関でございます。併しながらあの審議会を作りました趣旨は、飽くまでも電気の緊急
開発というものをやる際に、既存の法規を大きく改正するというひまがこの際ありませんから、
基本法規はそのままにしておいて、
行政的な面で実際の渉外事項を処理したらよかろうというのが根本趣旨にな
つてお
つた建前上、單なる諮問機関では、その趣旨に副わないわけでございますので、この第二條を設けまして、形式は飽くまでも諮問機関ではありまするけれ
ども、実質的には一種の決議機関、或いは法案にもありますように調整機関というふうな性格を持たせたいというので、苦心の末この第二條が生まれたわけでございます。その趣旨は、ここにあります
通り、例えば水利権の問題が議題に上る際には、水利権を
所管する官庁の主務
大臣又は主務
大臣が事故ある場合には次官の御出席を願いまして、その主務官庁の長が、或いは代理のかたが出席いたしませんと会議してはいかん、議決をしてはいかんというふうに裏返して行けば読めるわけでありまして、そのことは取りも直さずその問題をきめた際には、すぐ各
行政官庁はその実体に関しては
行政処分するというふうな実行性を持たすような
建前にしたのがこの第二條であります。今まで四回審議会を開きまして、
決定事項に関しましては、大体
各省ともそのまますぐ実行できる、又物によ
つては実行しつつあるというような態勢にな
つておりまして決して單なる調整審議会は諮問機関ではないというふうな実情を掲げてございます。
それからこの同じ紙の十二頁に
電源開発促進法施行令というのがございまして、これは参議院で大幅に修正になりました
一つの事項でありますが、この中で公表事項がございます。審議会で
決定公表してそうして、利害
関係を有する第三者の
意見を聽取する、そうしてその
意見を第一次的には主務官庁でそれぞれ審議をしまして、どうしても
行政機関相互で調整がつかないというものは
審議庁に持
つて参りまして、そうして審議会で
決定してもらうというふうな
建前にな
つておりますので、公表事項に対する具体的な事項は施行令のほうに委任されてございますので、ここにできましたのがこの
電源開発促進法施行令でございます。この点については、余りそう詳しく申上げんでもお読みになればわかるようにな
つておりますので
説明は省略申上げたいと思います。
第一回から第四回までの審議会でそれではどういうことを審議し
決定したのかという問題を少しお話申上げたいと思います。が、第一番目は、
電源開発基本計画策定方針というのがございます。これを一番初め審議にかけまして今後の
電源開発の諸問題を審議する際にどういうふうな態度で臨むべきかという
委員のかたがた、或いは
政府側といたしましても肚を合せて行く必要がございますので、議会でいろいろ教えて頂きました事項を要約いたしまして、まあ常識的なものではございますけれ
ども、
策定方針というものを作
つたわけでございます。
策定方針も文章は非常に簡略にできておりますけれ
ども、
一つ一つの問題につきましてなかなかたくさんの問題が含まれておるのでございます。特に一番問題になります第三番目のそれぞれの各
電力の担当者、言い換えますと九
電力会社、公営事業、或いは自家発、或いは
電源開発会社、この四つの機関でそれぞれ
開発を進めて行くわけでございますが、その四つの機関が秩序正しく
日本の
電源を
開発するに際して、それぞれどういう性格を持たして行くべきかという
基本的な点がきま
つておりませんと、
予算その他の問題が非常に個人的な見解に流れやすくなる虞れもありますので、一応性格を
規定いたしまして、そういう性格に基いて
予算その他の
行政措置をしたいというつもりで書いてございます。この
策定方針を御
説明申上げてもよろしうございますが、大体この前の議会で審議頂きました、或いはお教え頂きました点を要約いたしたことでございますので、今日はその詳しい
説明は省略申上げたいと思います。それから二十七年度の分に関しまして、これは
開発会社も九
電力会社も自家発も公営も全部あるわけでございますが、審議会で
決定してそれを公表しろというのが法案に載
つておりますので、年度の途中でありまして、四月から実際は執行に入
つておるわけでございますが、遅蒔きながら法案の趣旨に従いましてさつき申上げました施行令の趣旨に基きまして、一万キロ以下のものを除きまして、そして施行令に
規定されました公表の所定の事項をそれぞれ作りまして公表した次第であります。公表いたしますまでは、大体済んだ事項ですからもう問題はないのではなかろうかと思
つて公表したのでございますけれ
ども、爾後二三重要な問題がそれぞれ調整を要するものとして
各省に申出られつつあります。そういう問題が今後
各省で処理できなければ、さつき申しましたようにやはり審議会で調整すべきだというふうに
考えております。もう一点は、公表事項を作るということの副次的な問題といたしまして今までに明確にきま
つてお
つたと思う問題でも、例えば資金、或いは出力等の問題に関してまだ
各省間で
はつきり話合いがついていなか
つたということもありましたので、こういう公表事項を機会にそういう問題が
はつきりきまりまして、その
意味では非常に
電源開発促進に役に立
つたのではなかろうかというふうに
考えております。これも官報で公表いたしましたので
委員のかたがたは御存じかと思いますが、それを見て頂ければ結構だと思います。
さて、次はこの審議会で一番急いで問題にしたのは何かと申しますと、
開発会社が九月十六日に
発足したわけでございまして、
開発会社がどこをやるのかという地点をきめてやりませんと
開発会社としては動けないのでありますから、早く
開発会社のやる地点というものをきめたいというのが、この審議会に課せられました非常に大きい重大な事項でございます。そこで前
大臣であります山崎
国務大臣は、
審議庁長官に就任いたしました最初の
一つの
考えといたしまして、丁度そのときは議会の解散に
なつたあとでございますから政変のさ中であるから、政変のさ中においては
行政官庁同志で非常に問題が多い、或いは地方
行政官庁との間にも問題が多い、或いはその地点に対する
調査が、
開発案が幾種類もある。或いは政治的な問題が非常にからんでおるとい
つたような地点に関しては、この政変の最中には成るべく取上げないで、そして取りあえずはそういう問題のないどこでも異存のない地点を先ず最初に取上げて
開発会社の
開発地点とすべきではなかろうかという御趣旨がございましたので、その趣旨に則りまして、
各省から、
開発会社でやるべき地点として一番そういう問題のない地点というのはどこかということをそれぞれの
関係官庁から
資料を出しておるわけでありまして、そして各官庁ともこの地点であれば問題はないと思われる最大公約数の地点を選択いたしまして、そして第二回、三回、四回分審議会でそれぞれ
開発会社の
開発地点というものを第一次的に取上げたわけでございます。その地点は北海道では糠平でございまして、東北では北上の猿カ石、胆沢という地点でございます。それから天龍の佐久間という地点を選びました。もう
一つは庄川の御母衣を選びまして、最後の地点といたしましては十津川、これは和歌山と奈良との県境にある川でございますが、その十津川の
開発地点でございます。この五つの地点を大別して申上げますと、糠平並びに天龍と御母衣は、いずれかと申しますと、国土の
総合開発という点よりも、むしろ大規模な
電源地帶というような範疇に入ろうかと思います。あとの残
つた二つの北上並びに十津川に関しましては、いずれかと申しますと、国土
総合開発的な観点が強うございまして、むしろ
電力としては比較的小規模な地点でございます。元来あの法案の趣旨から申しましても、大規模なもの、或いは国土
総合開発上電気のほうのみから問題を
考え得られないような地点がございますので、今申しましたような地点を第二次的に選んだわけでございます。その他
調査地点といたしまして、只見川、熊野、琵琶湖、吉野川、九州の球磨川の五つの地点を
調査地点として
決定いたしました。従いましてこの地点はいずれかと申しますと、いろいろ
開発の案が錯綜しているとか、数案ある、或いはまだ
調査が不十分だとかい
つたような地点でございまして、而もいずれの川をと
つて見ましても非常に大きい地点でございまして、愼重な
調査を進め、最も合理的な立派な案を採用しながら今後の
開発をする必要がございますので、一応
調査地点と定めまして府県等で、
開発会社で
仕事のしやすいように一応
決定して、積極的な
調査をやらせるようにした次第でございます。そういうふうに大体において川の応急の線を取極めまして、新らしい今度の内閣に
なつたわけでございます。新らしい内閣になりまして、今進めております事項は、その
調査地点、或いは前にきめました五河川のほかに、若干まだ問題として残されておる点がございますので、そういう地点を二、三取上げまして、それをこの次の審議会で
決定いたしたいというふうに
考えております。一方こういうふうに審議会できめましたものを
開発会社のほうといたしましては、人事の整備その他と並行いたしまして、それぞれ現地には建設
事務所、或いは
調査事務所というものを作りながら各
電力会社、或いはその他の機関との協力を要する事項はそれぞれ細部の取極も終えまして、目下建設或いは
調査の進捗を図
つている次第でございます。
極く過程の大筋を申上げますと以上の
通りでありまして、もう
一つの表がございまして、昭和二十六年、二十七年、二十八年度の資金或いは
開発の規模等の表がございますが、二十七年度に関しましては、大体この表に見られるようなところで收まるのじやなかろうかと思います。若干変更があると思いますが、二十八年の度分に関しましては、千六百億とここに示してございますが、現在のところでは或いはもうちよつと殖えるかもわかりません。それからその内部の振分けでありますが、或いは自家発の分が現在の実績から
考えますと、各機関でそれぞれ電気をやる
関係上だんだん実績が上らないので手控え勝ちだという傾向も見え出しておりますので、自家発のほうは相当大幅に落ちましてその代りに特殊会社と
電力会社に相当ウエイトをおいて
開発して行くというふうなことになるだろうということで、目下それぞれ積上げ作業をして来ております。大体の今の、まだ勿論結論でもありませんが、作業中の過程を申上げますと、特殊会社がこの分よりも遥かに殖えます。それから
電力会社は若干殖えるだろうというふうな睨みで作業を進めつつあります。その結果を更に大蔵省或いは
関係当局その他の
関係省とも協議いたしまして、来年度
予算がきまるまでには
はつきりした態度をきめまして、審議会としては御研究願おうかというつもりでございます。これはまたそういう
意味で一応参考
資料でございますので、そのつもりでお取扱い頂きたいと思います。
次に、千六百億の内訳が次にありますが、それを見ますとそれぞれの機関がどういうふうな規模で
開発をするのか、新規をやるのか、継続をやるのかとい
つたような問題が載
つておりますが、さつき申しましたように、これに対しては、現在のところでは更に相当の修正を予定してございます。
非常に簡単でございましたが、今までの経過を大ざつぱに申上げますと以上の
通りであります。