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政府委員(山口伝君) 海上保安庁の
昭和二十八年度の
予算につきましてその概況を御
説明申上げます。
二十八年度の
予算要求総額は六十六億一千百六十九万二千円であります。前年度の
予算額六十二億七千百四十一万八千円に比較いたしますると、差引三億四千二十七万四千円の増加と相成
つております。
次に人員につきましては、
昭和二十七年度中における機構
改革によりまして、当時それまで海上保安庁に所属いたしておりました海事検査部、海上警備隊、航路啓開所及び海難審判理事所が海上保安庁から分離いたしまして保安庁のほうに移りました
関係で、その結果人員移動いたしまして、
昭和二十六年度末人員は一万七百一名でありましたのに対し、
昭和二十八年度人員は
一万六百十九名ということに相成
つて、八十二名の減少と相成るのであります。その内訳は、本庁におきましては海上保安大学校
関係で七十七人の増加、海上保安学校
関係で九十二名の減少、海上保安訓練所
関係で百六十四名の減少、差引本庁全体といたしましては百七十九名の減少とな
つております。このうち海上保安大学校の七十七人の増加は、学年進行に伴う学生の増加の八十人から教官の減少三名を差引いたものでありまして、海上保安学校及び海上保安訓練所におきましては生徒数、教員共に減員とな
つております。次に管区本部におきましては、予備船員及び教育予備員の減少が二百九十五名でありまして、一方ヘリコプター要員といたしまして五十四人、兵装要員といたしまして二百九十二人及び燈台業務人員といたしまして四十六人の増加がありまして、差引前年度に比べまして九十七人の増加と相成
つております。
次に要求額の内訳について申上げますと、先ず第一に
新規経費でございますが、その主なものは船舶建造費と航路標識整備費でございます。この船舶建造費について申上げますが、総額五億八千四百万円を計上いたしております。これは老朽巡視船を廃棄いたしまして、その代替として三百五十トン型巡視船二隻、二十三メートル型内火艇四隻、これは港内艇でございます。四隻を新造いたしまするほか、七百トン型燈台業務用船一隻、これはブイ・テンダーでございます。更に六トン型水路測量艇二隻を建造いたしますために必要な経費でございます。次に航路標識整備費といたしましては、総額が五億千八百七十五万八千円を計上いたしております。これは燈台三十五基と、浮標四十九基、電波標識二カ所の新営費、即ち二億七千七戸三十一万円、そのほかに航路標識の改良改修費といたしまして二億三千百四十六万五千円及び航路標識の災害復旧費百八十九万五千円などでございます。なお
昭和二十七年度の航路標識整備費六億四千八百六万九千円に比較いたしますると、二十八年度要求額は一億二千九百三十一万一千円の減少を示しておりまするが、これは航路標識災害復旧費の減少に基くものでございまして、復旧工事が前年度において大部分終了し、本年度においてはその残余の工事に必要な経費のみを計上したためでございます。
以上申述べました船舶建造費と航路標識整備費が
新規経費の主なものでございますが、次に右以外の主要な経費について御
説明申上げます。
第一に海上警備救難費でございますが、本庁分といたしまして二億七千百十七万四千円、地方の分といたしまして二十九億七千八百七十万二千円、以上両者を合せて四十三億四千九百八十七万六千円も計上いたしております。これは海上保安庁法の定める海上における法令の励行、犯罪の予防及び鎮圧、犯人の捜査及び逮捕並びに海難救助など、いわゆろ警備救難業務を処理するために必要な経費でありまして、その主なものは、本庁初め全国九カ所の管区海上保安本部、一カ所の海上保安監部、三十九カ所の海上保安部」三十七カ所の警備救難署等におきまして必要な人件費、
事務費等が合せまして八億五千百四十二万六千円、そのほか巡視船、港内艇及び近く全国五カ所に配置予定のヘリコプターの維持運航費が合せまして二十九億二千七十二万四千円と相成
つておるわけであります。それから警備救難業務の実施に当
つて必要といたします陸上通信施設、即ち管区本部通信所が九カ所、保安部通信所が十四カ所、小規模通信所が二十七カ所、これらの維持費が四億二千七百七万円。次に海上保安大学校、海上保安学校及び海上保安訓練所等における職員の教育訓練に必要な経費が一億五千六十五万六千円と相成
つております。この海上警備救難費は、
昭和二十七年度
予算額と比較いたしますると、本庁においては四百四十六万五千円の減少になり、地方におきましては三億八千二百二十九万八千円の増加と相成
つておりますが、本庁におきます減少は、旅費、通信専用料などの査定減によるものでありまして、地方における増加はベース・アップによる職員給与の増加、船舶兵装費、船舶修繕費の増加などに基くものでございます。
次に海上保安費といたしましては、本庁分四億三千三百五十八万七千円、地方分六億五千九品四十万八千円、合せまして十億九千百九十九万五千円を計上いたしております。この海上保安費は、水路部の所掌であります水路の測量、海象の観測、水路図誌の調製及び刊行等に必要な経費二億九千六百八十六万五千円、それと燈台部の所掌である航路標識、燈台の八百三十五基、燈浮標の五百二十三基、浮標の二百十八基、信号所の八十五カ所、これらの維持運営に関する事務を処理するために必要な経費七億八千百二十九万七千円、並びに水路部及び燈台部の職員を養成するための海上保安学校に必要な経費千三百八十三万三千円でございます。以上のこの海上保安費は、
昭和二十七年度に比較いたしますると、本庁においては四千八百六十万五千円の増加に相成り、地方におきましては五千十三万八千円の減少と相成
つております。本庁における増加はレッカー、これは新らしい電波
関係による測量機器しでありますが、電波位置測定機等の
新規購入、金高といたしまして二千九百五十二万二千円、それに水路図誌及び
航空図誌作製費の増加のほかに、更にペース・アップによる職員給与の増加等によ
つてかように増額されたのでありまして、地方における減少はぺ一ス・アップによる職員給与などがあるにもかかわらず、前年度一億一千七百七十三万三千円の航路標識施設整備費の全額減があるためでございます。なお航路標識施設整備費は、
昭和二十八年度におまましては大部分のものが航路標識整備費の中に含まれたわけでございます。
第三に、海上保安施設費といたしまして、本庁分一千一万二千円、地方分五千五百四十万一千円、両者を合せまして合計六千五百四十一万三千円を計上いたしております。これは海上保安行政上必要な施設の経費でありまして、巡視船の繋泊施設五カ所の整備、小規模無線通信所一カ所の新設、船員詰所四カ所の新設及び海上保安大学校の護岸補修、カッターの購入等に必要な経費でございます。この海上保安施設費は、
昭和二十七年度に比較いたしますると、本庁においては九千七百四十七万八千円の減少と相成り、地方におきましては三億八千六百四十九万円の減少と相成
つております。本庁におきます減少は、前年度におきましては明神礁において遭難いたしました第五海洋丸の代船購入費及び改修費七千七百万円のほか、航路標識、見廻船の購入費、燈台部横浜工場の機械及び水路部の印刷機械の購入費等が計上されていたためでございます。又地方におきまする減少分は、前年度においてはヘリコプター六機の購入費三億百七十四万四千円のほか、ヘリコプター用通信器具類等が計上されていたためでございます。
最後に
国際会議その他諸費といたしましては百六十五万円を計上いたしております。これは
国際水路局規約に定める
国際水路局の維持費を分担するために必要な経費でございます。この経費は
昭和二十七年度に比較いたしますると六百七十六万七千円の減少とな
つておりますが、これは北大西洋流水監視費分担金を計上しなか
つたためでございます。
以上を以ちまして海上保安庁の
昭和二十八年度
予算要求につきまして概況を御
説明申上げた次第でございますが、何とぞよろしくお願い申上げる次第でございます。