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1953-02-24 第15回国会 参議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十四日(火曜日)    午後一時五十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            内村 清次君   衆議院議員            關谷 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省海運局海    運調整部長   国安 誠一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    海上保安庁長官 山口  伝君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○木船保険法案内閣送付) ○海事代理士法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○海上保安官に協力援助した者の災害  給付に関する法律案衆議院送付) ○一般運輸事情に関する調査の件(航  空事情に関する件)  (昭和二十八年度海上保安庁関係予  算に関する件)   ―――――――――――――
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず木船保険法案議題といたします。これより提案理由説明をお願いいたします。
  3. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今上程されました木船保険法案について説明申上げます。  木船はいわゆる機帆船、はしけ、曳船等を合せて総計約二万八千隻約百十万総トンを擁し、機帆船についてみても、その輸送量は内航汽船の二倍以上であつて国内輸送上極めて重要な地位を占めているのでありますが、木船海運業は概して零細企業でありまして、その大部分がいわゆる一杯船主で、みずから家族と共に乗組んでおり、木船は、木船船主にとつてその全財産といつても過言ではなく、又唯一の生活手段でもあるのであります。従つて木船の滅失は一方において国内輸送の円滑な運営を阻害すると共に、他方において木船主生活の困窮に陥れ、社会問題化する虞れがあるのであります。  然るに、木船鋼船に比し危険率が高く、従つて保険料も高く、又木船船主側にも保険思想の普及が遅れているため、木船保険営利保険対象としては不適当な弱体保険であります。このため、昭和二十五年、船主相互保険組合法が制定され、木船船主相互に相集つて結成する木船相互保険組合によつて相互保険を行いうることとなつたのでありますが、この木船相互保険組合保険事業には、再保険を引受ける機関がないのでありまして、これは保険事業として危険極りないものであります。又現在の木船相生保険組合は発足後来だ二年を経過したばかりで、その基礎も弱小で、信用度も微弱であり、附保隻数も全機帆船の一割にも満たない状態でありますので、これらの弱点を是正補強するため、新たに木船保険特別会計を設けて政府木船相互保険組合の負う保険責任を再保険し、以て木船相互保険組合の健全な経営を確保するのがこの法律案を提出する理由であります。  次にこの法律案の概要は、木船相互保険組合とその組合員との間に保険南係が成立したときは、同時に、且つ強制的にその保険金額の百分の七十を政府に比例再保険することといたし、政府がこの再保険事業を行うために要する木船保険特別会計事務費は、一般会計から繰入れて国庫で負担することといたしますと共に、政府木船相互保険組合保険責任を再保険するごととなつたために、弱小な木船相互保険組合が濫立することを防止し、木船相互保険組合及び政府木船保険事業の健全な経営を確保するため、附則において船主相互保険組合法改正し、従来保険に附しておりました隻数百隻以上となつていた木船相互保険組合設立要件をその保険に附する隻数三百隻以上に改正するものであります。なお、木船保険制度実施に要する経費及び木船保険特別会計予算昭和二十八年度政府予算案に計上せられております。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 本件は今日は提案理由だけを伺つて質疑そのほかは次回に譲りたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  5. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつとお諮りいたしますが、只今政府から日本航価株式会社法案要綱というものを配付されまして、折角運輸大臣から本件に関して御説明をしたいというお申出が、議案に追加して今言われたのでありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。ではどうぞ。
  7. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 長い間新印紙等でもいろいろ噂の種になつておりました、又皆さんかたにも非常に御考慮を願つたり御配慮を煩わしたり、いろいろ御注意も受けた問題でありました、今度の予算に盛られておりまする十億円の政府出資によりまする航空会社、海外の航空中心といたしまして、どういう構想で行つたらいいかということでいろいろやつておりましたのでありまするが、その結果一つの成案を得まして本日の閣議説明をいたしまして大体了承を得たのでございます。取りあえず皆さんがたにまだ本当に法律案を提出する準備に至つておりませんけれども、一応の御説明を申上げておきたいと思つてお時間を頂いたわけでございます。国際航空に対しまして出願を受けておりまするのは日本航空会社、現在ありまする日本航空、それから大阪商船中心といたしまする日本国際航空会社、それから飯野汽船出願いたしておりまする何という名前でありましたが、その会社と、三つあつたわけでございます。で、いろいろ考えまして、日本航空をこれから、特に国際航空とうものは世界の強い力の中に踏み出して行くのでありまするから、できるだけ力強いものにして出して行かなければ、これは出ても殆んど問題にならなくなるのではないか、それぞれ今のような会社から出願されておりまして、自分こそはと皆名乗りを挙げておられますが、それたけでは今までありまする航空会社と対峙するには何としてもひよわいのではないかというよううなことを考えまして、政府出資予算に計上したわけでございます。今度それぞれの会社とも話合いをいたしまして、ここに新たな航空会社一つ設立いたしまして、それに日本航空、それから今の商船会社、それから飯野汽船、こういうものが皆一緒にずつと入つて来るという形をとることにいたしたのでございます。そういたしました結果、自然日本航空がそのまま吸収されるわけでありまするので、国内の線もこの会社経営することになり、国内幹線と、それから国際線の今やろうと思うておりますのは、日本海、南太平洋を廻りますハワイ経由サンフランシスコまでの線を先ず経営することになるだろうと思います。将来はこれが南米に延び、或いは欧洲線というようなことになるかと思いまするが、まだそこまでば案がはつきりしたものではありません。取りあえず飛行機三台を以ちましてサンフランシスコまでの線を本年中には開始するようにしたいというふうに思うておるわけでございます。この会社は、法律によりまする一つの特殊な会社でありまするが、役所が容喙をすることをできるだけ避けまして、そうしてビジネスぺースにより各国に対峠し得るように、いわゆるビジネスマンによつて経営をしてもらうという線に進入たいと思つております。代表重役を、社長とか副社長とかいうことは、向うからの申請によりまして運輸大臣が認可することにいたしておりまするが、その他の重役は、その代表重役責任を負つて立派な人たちを、ビジネスに向く人たちを選ぶという形にしたいと思うておるのでございます。余り今までこういうものが何か政府の声でできますと、役人の息のかかつた人が非常に入るということをよく言われますので、それは最小限にとどめて、本体は是非実業家の、特にこういう仕事に向く人が首脳部になつて経営をして頂きたいというふうに考えておるわけであります。国外並びに国内幹線支線の問題がそれではどうなるか、これ一本で国内は皆やつてしまうかというお尋ねが出るかと思うのでありますが、これは国際線から話を進めて国際線から解決しようと思つた自然の順序として、日本航空会社を吸収いたしますために、国内幹線もやるのであります。国内幹線はほかに出願もあります。支線出願がありまするが、これはまだ今どうするともここではつきりとはきめておりませんが、私は大体趣旨は今日も委員長が本会議質問されたのに答えましたように、日本自主性を損なわないということを頭に入れなから善処して行きたいということだけを申上げて御了承を願つておきたいと思います。又これらのことは一向話合いもその後しておりません。国際関係のことだけはいろいろな人に何層会い、いろいろこちらの考えも述べ、向う考えも聞いて只今申したような線に到達しておるわけでございます。但しこれがうまくできまするように、皆様がたに何分の御後援をお願いする次第であります。
  8. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 折角の御出席を得ましたから、何か簡単に御質問でもあれば、本件に関してちよつと大臣から伺つたら如何でしようか。
  9. 高田寛

    高田寛君 一つお尋ねしたいのは、この要綱にあります、「設立のときに十億円を出資すること。」と書いてありますが、これは会社資本金の何パーセントぐらいを予定されておられるのでしようか。
  10. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 半々出資とこう思つておりまするが、初め資本金二十億円で新会社がスタートしたらいいだろう。そこらのところ、まだ、大体の話合いはそういうふうにしておりますけれども、はつきりしておりませんが、こちらの政府出資だけ書きましたか、二十億円でスタートしたいと思つております。
  11. 高田寛

    高田寛君 それはこの会社の性質上、どうしても資本金は百億とかその程度までは殖えて行くのではないかと思うのですが、殖えて行く際にはやはり政府出資も又半々という建前で順次に殖して行かれるというお考えでございましようか。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは大蔵省とそこまでの話はついていないのでございます。その仕事は一通り、私は第一期計画と申しまするか、国内線も今のまま持ち、国際線サンフランシスコから更に南米までできる、或いは欧洲も一週に一回ぐらい往復するというような線になりますと、そこまでで少くも約百億の金が要る、まあ大よその見当をいたしております。それをどういうふうにするか、資本霊をどこまで増すか、或いは借入金をどこまで増すか、これは政府のほうは今後どれだけ増して行くということをきめておりませんが、出資の形でありまするが、借入金の形になりまするか、何かで政府のほうも相当力を入れて行かなくちやならない、こういうふうに思つて、またそこまでの話合いはついておりませんです。  それから念のために申上げておきたいのですが、この十億円は恐らくそういうことにならずに逆になりわせんかと思うのでありますが、この会社が非常にうまくどんどん行つて、もう政府出資なんか要らない、民間だけでやれるというような時期になれば、順次これを民間に開放して純民間会社にするという心持ちでスタートしようということに考えております。
  13. 岡田信次

    岡田信次君 この国際線国内線ですね。これは可分だと思うのですが、これを特に一緒になさるというのでございますが、何か強い理由がございますか。
  14. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私ども初めは、もう国内日本航空がありまするし、別に国際航空を一本建てようかということで研究いたしておりました。ところが一つ会社にして、この国際だけの線でスタートいたしますると、日本の今の状態から見まして、航空に多少の経験とか、そのほうの仕事に熱意を持つような人たちは、もう日本航空に殆んど集まつてしまつているというので、そのほかに勿論あるのでありますが、まあ大体はそこに集つている。それから又新規に始めます。三台で仮に国際航空を始めるといたしますると、これはハワイだとかサンフランシスコの発着についてはどうなつても同じでありまするが、こちらの都合、羽田においての設備一つでよろしい、それからこれにはどうしても修繕と申しまするか、絶えず飛行機を調べなくちやならん、それには相当立派な設備が要求される。そういたしますると、その設備だけでも二重に大変なことになるし、一つの所でやつたほうが経済的にも非常に助かる、又航空士訓練等も今まで政府も援助いたしましたが、二年間日本乗員になるものの訓練等アメリカ等に出しておりまするし、そのほうに向く連中も殆んどこれから先だんだんと先ずは国内航空に従事し、その人たちが更に訓練してこの国際線に出て行くというような順序にもなるのが、非常に自然な養成の道にもなりますし、それにもどうもやはり一つになつてつたほうが便利である。国際一本だけで出発いたしますると、非常にいろんな費用が余計かかつて、その会社経営が成り立つまでには大きく無駄な金がかかる。こういう日本の貧乏な際でありまするから、仕事はこういうことをやりたいけれども、二重投資或いは無駄なものに余計力を入れなくちやならんということをできるだけ避けるという線で考えると、丁度日本にこういう航空会社があり、これに一本にみんなが集つておる、これに対していろんな批評はありますけれども、この際において一つ新規会社になりますから、重役なんかについて一遍会社そのものがあらゆる意味においてオーヴアーホールしてしまう。そうしてスタートして行くにはこう一緒なつたほうが何かにつけて経済的にも実際上いろいろ利益があるということでここに落付いたわけでございます。
  15. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと只今大臣の御答弁じや私納得できないのですが、今度できる新日本航空株式会社というのにも恐らく日本航空相当のパーセントにおいて参加すると思うのですが、そういたしますれば、今お話の乗員の問題であるとか、或いは設備の問題とかいうのも特に一つ国内国外一緒にした会社にする大きな理由にはならん。むしろこういう一つ会社にして、そうして多額の量のある日本航空会社の負債その他を新会社背負つて、更にそれに対して政府が十億も補助するということに対していろいろな問題が生ずるという慮れがあると思うのですが、この点につきましてはいずれ法律案として出て来るこの第十号、航空会社の吸収についての必要なる規定というのをよく拝見いたしまして、あとで御質問申上げたいと思いますが、私の自分考えはそういうふうに思います。
  16. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問がなければ、この問題は打切りにいたします。  そうすると次の問題に移つてよろしゆうございますな。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  17. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 海事代理士法の一部を改正する法律案議題といたしたいと思います。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  18. 内村清次

    内村清次君 私はこの前の委員会のときに資料の提出を要求いたしましてそのうちに行政整理管理庁案というのが、当時の新聞にも出ておりまして、運輸省関係においては、海事代理士の廃止、いわゆる整理項目の中に上つております。そうして見ますると今回のこの法律改正というものはこれは無意味のように考えますし、この点は丁度政府のほうでも今月の十七日閣議行政制度改革についての協議があつておる、吉田総理もこの点に対しては力を入れておつて、推進を強く要望されたというなかから、本多行政管理庁長官から、この改革の案というのが示されたようですが、これは当時閣議に参画せられました運輸大臣としては、その間の経緯、と同時に運輸省として運輸大臣海事代理士を将来行政整理対象にするかどうかという御方針、この点一つ承わりたいと思います。
  19. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私も新聞を見まして、片一方には法案改正を出し、片一方には今になつてああいう問題を出しておかしな感じを抱いておつたのでありますが、是非この制度は続けてやりたい、こういうことで閣議でもその話がありました。今度は各省で独自の考えで案を一つ練つてもらいたいというような話が出ましたが、なかなかそういうことは何であるし、何か本多君のところで昔の案でもいいから、そういうものがあつて、こういうことをすればこんなに人が減るのだというような何か資料でもあつたら出してもらおうじやないかというような話のときに出たようなことを書類にずつといろいろ並べて書いてある中に、確かに書いてありましたが、これは政府行政整理はその書いたものを一項一項、取り上げて、これはやるとかやらんとか、政府自身としてせずに、各省でそれを問題として、又そのほかの問題にも及んで特殊な行政整理を、或いは何と申しますか、それた作つてくれと言いまして、私どもといたしましては、海事代理士試験と申しますか、ああいう制度はやめる考えはないのでございます。引続きそのままやつてつたほうが効率はよろしいという考えを持つております。今度の私ども行政改革案が成るときでも、その問題は考えておりません。と同時に私どものほうにそれを是非やれというようなことを要求もされておりません。閣議のなかでも行政整理をできるだけやろうじやないか、それを是非各省でもしつかりやつてくれというような話が出たのでありますが、その問題は入つておりません、今申した通り考えております。
  20. 内村清次

    内村清次君 そうすると、海事代理士は依然として置く、これに対する運輸省機構関係もやはりそのまま置くということに承わつてよろしうございますね。
  21. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ええ。
  22. 内村清次

    内村清次君 この点について一、その気持から質問を続けたいと思いますが、ここに第一条に「対価を得て」ということが削つてありますね、そうしますと、じこの提案理由のなかには対価を得ないでする代願行為は同法の適用を受けないことになつておりますが、現実の問題としては対価を得ておるかいないかということが不分明の場合がある。こういうようなことで、むしろこれは「対価を得て」を対価を得ると得ないとにかかわらずこの適用を受けることに改めたほうがいいということになると思うのですが、この資料を頂きましたなかに、全国の海事代理士報酬平均額表というものがあつて、大体これに書いてありますが、こういうような代理士対価を受けてこの業務をやつて行くということそれ自体に対して、法が護つてやるというようなことが、これは法の擁護する、或いは保護するところの対象がはつきりしていいということになりませんか。
  23. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 今の御質問にお答えいたしますが、この海事代理士法を施行いたしましてから今日までの実績に徴しましてみますと、一応この海事代理士組合でこういつた料金表の協定をいたしておるのでありますが、実際にはこれを潜つて、例えば海事代理士試験をパスしない者が、料金をとつていないということの看板で、只でやるからというようなことで、実際は海事代理士のやつていると同じようなことをやつている実例がしばしば出て参つております。そうなりますと、実際にはそういう人たち試験などは受けていない。それから又学識経験もないという者があり得る心配があります。そういつた者が出て参りますると、そもそも海事代理士法を作りました根本精神に反することになりますし、相当大きな財産権のあちらこちらの移転とか登記とかいう手続を扱います関係から、若しそれがあつては困る。そういうことをやる者も全部この対象としてそういつた学識経験なり知識なりを持つようにしたい。こういう趣旨から対価を得ていてもいなくてもそういうことを業とする者は全部こういつた試験なり何なりを受けろというふうな考えから、そういう対・象にいたしたのであります。
  24. 内村清次

    内村清次君 そうすると、現行法におきましても、これは試験制度ということは全然考えていないということなんですか。そういうことはないでしよう。
  25. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 現行法では試験制度考えております。
  26. 内村清次

    内村清次君 考えているでしよう、そうすると対価の問題は、やはりこれは普通財産権の問題におきましてもやはり、公証役場で、登録公証人手続を頼んで、それからあとでその報酬も明確にし、それが後日の財産の争いのときにはやはり法的に明確になつて来るように、この点を削除して対価の問題しには拘泥しない、ただ試験を受けたといつて代理士でさへあれば、対価の問題は考えないという今回の改正です今
  27. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その点は少しく誤解があるのじやないかと思いますが、対価を得てと申しますのけ、只今まで潜つてつている者でも対価を得ているのじやないか、というのは、試験をやつ、いないだけで裏から何らかの形でもらつている、ただ表面はいろいろ定価表のようなものがありまして報酬表がある。こういつたようなものを取つていないといつて法適用を逃れているというのが実例なんであります。従つて全部そういつた対価の有無ということを抹消いたしておけば、対価を得ようと得まいと全部この法の適用を受ける。その場合には成る程度報酬を得ることになります。今までの経験から徴しましても、必ずしも只ではやらないというようなのが実績でございまして、そうすることによつて法適用を受けながら、実際には対価をとるようになるのじやないか、こういうふうに考えております。
  28. 内村清次

    内村清次君 これはまあこれを削つて対価を得るだろうという考え方でありますが、これは何も削るというようなことは必要ないじやないかと思うのですが、ただそれよりもむしろ現われて来たところの書類自体権威を持たせ、同時に又これを当然やつぱり業とする人であつたなら、対価を得ずしてやるというようなことも問題ではないかというのが、これは常識的に判断できますが、そうこれは必要性があるんですか、どうですかね。で、法律の望むところというものは、一体この対価という問題でなくしてそれよりもむしろ出て来たところの書類その他に相当財産権の移動その他に対しての権威を持たせるために先ず試験制度を確認する。試験にパスした人たちの生業、即ち海事代理士という人の人格及びその資格、それを認めて、そうして書類の取扱を官庁としてやつて行く、こういうようなことが筋が通りほしないですかね、それはやつぱり幾らかの対価という問題ははつきりと法律自体に明記しておく必要はないか。
  29. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 対価の問題につきましては、まあお説のごとく明記しておいてもいいのでありまするが、先ほど申しましたように、然らば明記しておきますると、対価を取らんと言つてこの法を潜つてしまうのがある。これは取締る方法がないものですから、その意味におきましてこの対価というものを先ず削りまして、実際には必ずなにがしかの対価を得ておりますので、まあそれで結構報酬としては手に入るんじやないかという、かうに考えております。ほかのこういつた関係手続をするものの関係法令を見ましても、対価ということは皆書いてないのが通例でございます。
  30. 内村清次

    内村清次君 それからその次に移りますと、改正要綱の第二の件ですが、「海事代理士試験に際し運輸大臣意見を徴する学識経験者を選定する場合において、海事代理士の団体があるときは、その意見を徴すること。」そこで海事代理士が今合格しておる人数ですね、これは一体どのくらいあるか、同時に又昭和二十六年度にどのくらいの試験合格者があつたか、こういうような点を一応御説明願いたいと思います。
  31. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 只今の第一点の、現在までの海事代理士人数でございますが、これはお手許に差上げました二月一円現在の資料御覧願いますると、百三名、合計でございます。二十六年度の試験合格者只今資料を持つておりませんので調べてからお答えいたします。
  32. 内村清次

    内村清次君 そうすると、これはやつぱり毎年々々この試験をやつて行かれるおつもりであるかどうかということが一点と、それからその試験をするときには、その団体ですか、そういう所に意見を徴すると言うが、この団体はこれはどのくらいありますかね、そうしてそういう団体の一体どこと相談をしてその意見を徴して行くか、この点を一つ明確にして頂きたいと思います。
  33. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 只今の御質問の中の毎年試験を繰返してやるかという御質問でございまするが、これは当分の間毎年繰返して試験をするつもりでおります。  それから団体につきましては、お手許にやはり只今人数を見て頂きました資料の中の海事代理士人数と書いてあるところの下に、北海海運局管内から九州までございますが、そのうちに丸印がついております。この丸印のつきましたのが現在海事代理士の会が結成されておるところで、これが八つございますが、こういう団体に意見を徴するという考えでございます。
  34. 内村清次

    内村清次君 その意見を徴するときには全体に徴するのですか。
  35. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 各地区の団体の全体に徴する考えであります。
  36. 内村清次

    内村清次君 地区の団体に。
  37. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) はあ。
  38. 内村清次

    内村清次君 そうすると、この意見を徴する方法ですが、これはどういう点を聞こうとされるのですか。
  39. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その点はまだ的確な具体案というものを持つておりませんが、大体どういう人間が試験委員として適格するかということを、大体政府といたしましても案を立てまして、それから更にこういう団体の意見を徴して、その団体の意見と一致いたしますればこれは問題ない、一致しない場合にはその間に調整をしながら適当な人間を探そうといな考え方であります。
  40. 内村清次

    内村清次君 一応只今の御答弁では運輸省だけの試験官の判定でそういう合格者の決定をしないということが、まあ一応団体に聞くということで普遍的なように考えられますけれども、見様ではこれも一つの弊害があつて……、団体の意見聴取でありますから、これはどこまでも意見聴取で拘束力はこれはないかと思うが、団体に対するその聞き方、或いは又その幾つかある団体のどういう意向の……、見様によつては採用を志願したそういう人たちのために非常に弊害が残りはしないかというようなことも相愛されますが、問題は今までもこの試験がやつておられやしないか、今までこういうようなことは……。これは今回初めて入れたわけですね。
  41. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 今回初めての改正案です。
  42. 内村清次

    内村清次君 そうすれば、今までの選定に対しまして何らか不都合の点があつたという観点からこの条項を挿入されたのか、その点はどうですか。
  43. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 今までも大体各地区で海事代理士のかたの組合があれば、その意見を徴しました。現在でもそういう地区の代表者をそういつた人数の中に入れております。従いまして、あえて今までに不都合があつたということは、ございませんが、そういつたことを明文化しまして、将来ともそういつた制度を確立しておきたい。こういうのが今度の改正の狙いであります。
  44. 内村清次

    内村清次君 これを言うために却つて団体推薦というような形、或いは又団体との今後の交渉というものがこの弊害が起きて来るというようなことはないですか。
  45. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その点は御指摘のごとく、或いは若し運用を誤まればそういつた弊害もなきにしもあらずでございますが、実際にはこういう委員意見を徴しながらいろいろな試験問題とか何か、これは運輸省のほうで勿論作成いたしますので、運用如何によつては決して弊害がなくして、むしろこういつた各方面の総合意見を聴取する形になつてつてよろしいのじやないかと考えております。
  46. 内村清次

    内村清次君 以上のような質問から来る御答弁によつて、この改正というものはこれを是非とも必要であるかという点が余りぴんと来ませんね。どうしてもこいつをやらないと、今までの法律というものは弊害があるのだというようなことね、こういうような点はぴんと来ませんようですが、どうですか。この点のあなたがたの重要性は……。
  47. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) これは、まあそういつた特に従来の大きな弊害といつたものは、ございませんが、法律の今までの運用の経験によつて、だんだん各現状に即した方向に改正して行く必要がある。まあその意味改正でございます。特にどうしてもとおつしやるが、この点は多少見解の相違がございまするが、まあ我々といたしましては、この際こういうような改正をしたほうが更にこの法律の運用上よろしかろうと、こういうふうに考えております。
  48. 岡田信次

    岡田信次君 今の内村委員の最後の質問に関連するのですが、大体在来の法律でもこの海事代理士会の意見を徴そうと思えば徴ぜると思うのですが、これを特にこの法律改正して、法律の中に入れてまで、やらせなければならないかという点が御説明願いたいのです。
  49. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) これはまあ最初から実はそういう海事代理士法を作ります当時から、各地区にそういう組合ができましたならば、そういうものの意見を徴したい、実はこう考えておつたのでありますが、まだこの海事代理士法を作つた当初はそういうものが果してうまくできるかどうか、この点が見込みが立ちませんでしたものぐすから、実績を見てそういうものが上手に結成ができるならば、そういうものの意見を徴するようにしようというつもりでおつたのであります。その後の実績を見ますと、先ほども申上げましたように、全国で十の地区の中で八つまではそういう組合が結成されておりますので、こういつたものの健全な先達というような意味から行きましても、明文化しましてそういうものの意見を徴することにしたほうが、更にそういう団体の将来の発展のためによかろうと、こう考えておるのです。
  50. 岡田信次

    岡田信次君 その海事代理士会から意見を徴することには私は一向反対するわけではないのですが、特に法律『入れて、こういう海事代理士会というものをもう法律の中に明文化すれば、オーソライずされるという狙いなんですか。現状のままでも海事代理士会の意見を聞こうと思えば聞けないことばないのでしようり。
  51. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その点は、運輸大臣の判断次第で、現在のままでも意見を徴そうと思えばこれは幾らでも徴せるわけです。まあそういうことを法律上の或る程度の義務としたほうが、運用上万全を期するのではないかと、こう考えておるのです。
  52. 岡田信次

    岡田信次君 どうも今のあれでは、ちよつと余り……。
  53. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと、提案者と政府委員に伺いますが、この第三点ですね。提案理由説明の第三点、相当この本法案からはずして、そうしてこういうことをする人間の自由裁量に任せる。私は非常に賛成なんだが、もう一歩進んでだね、先刻大臣内村委員質問に御了承ならなかつたようなんだけれども、まあ一つの行政簡素化という点から言うて、同時に今度こういうものをわざわざ法律でこれは規制するのか保護する意思か知らんけれども、これがなかつたら実際海運の発展のためにいろいろ支障があるかというようなふうにもならんような気がするのだが、これは全部この法律をやめてしまうという御意見はないのでしようか。政府としてはどうですか。これは余計な法律というような気がする……僕は思うんだがな。
  54. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その点につきましては、先ほど大臣が結論だけ由しまして運輸省としましては、これを廃止する考えはないと申しまししたが、我々といたしましても同様でございます。これは、そもそも戦争前は海事代願人取締規則という警察命令に薄く規則がございまして、司法書記、その他のこういつたいろいろ手続をするものと同様に、従来はそういつた命令で縛つてつたのであります。終戦覆そういつた特別命令が、警察命令が全部廃止されまして、それに代るものとしてこのような法律を作つたわけであります。いきさつはそういうようなことで、こういう手続につきましては、相当大きな財産権の移動が考えられまするために、若し誤りがあると、第三者に不測の損害を与えることになるというようなことから、これは相当経験を積んだ者かこういう手続をしなければいけないというふうに考えますので、この法全体としましては、とにかくそういう運用の仕方と言いますか、考えといたしまして、是非ともこれは存続して行きたいと、こういうふうに考えております。
  55. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問がなければ、今日は本件質疑はこの辺にして、これは予備審査でもありますし、あとに廻してよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  56. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは次に、海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案議題といたします。御質疑のおありのおかたは御質疑を願います。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ず最初にお尋ねをしたいことは、現在水難救済会というものがたしかあるはずなんですが、これはどういう仕事をやつているかということ、つまりこの法律に出されるような問題に関連する仕事をやつているかやつておらないか、その範囲、そしてこれに対する政府の何と言いますか、援助と言いますか、助成の内容というようなものはどの程度のものがなされているのか、お伺いしたいと思います。
  58. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 水難救済会がやつておりまするのは、やはり海難救助というようなことをやつておりますので、この援助を求めまする場合は、最も水難救済会が手近な例でございます。非常にこの法案とは関連があるのであります。これに対しまして、戦後水難救済会に対しましては、国といたしましては何ら補助というようなことはいたしておらないのでございます。なお、将来は、水難救済会に対しましては、消防組織法のようなものを作つてこれを育成するというような方法をとりたいという意見が多いわけでございます。そういう方面に進みたいと思つているわけでございます。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 いま、将来やつて行きたいという意見が多いということですが、政府として、それを実質的に仕事のでき得るようなものに近い将来に強化して行くという方針をお持ちになつているかどうか、ただ行き」たいという希望意見だけかどうか。
  60. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 只今關谷さんのほうからお話がありましたのに補足いたしますが、御承知のように水難救済会というのは、非常に沿革の古い団体でございまして、これが従来は政府等からも補助金を受けて、中央に大きな組織があり、各府県知事あたりを支部長といたしまして、戦前には相当活躍をしたわけでございます。ところが終戦後こういつた外郭団体に対する補助政策というものが認められなかつたために、今日までそのままになつておる。今後の海難救助の態勢を考えます場合に、海上保安庁がこれらの責任官庁として第一次に無論業務をいたすわけでございますが、各地に起る海難、津々浦々に起る遭難事故すべてに対して海上保安庁が手が廻るというわけにはどうも行きませんので、今後のあり方といたしましても、海上保安庁が中核体となつて一応第一次に活動をいたしますけれども、津々浦々におきましては、やはりかような水難救済会的な組織というものが補完的にどうしても要るのじやないかと思います。従いまして今後の水難救済会といたしましては、従来海上保安庁がなかつたときのような態勢には戻らないかと思いますが、水難救済会の活動分野というものを十分に考えまして、この団体に対する補助であるとか、或いはその他の援助というものについて十分検討いたしまして、この団体が海上保安庁と相提携して参りまして、海難救助に対応するような態勢に持つて行きたいと運輸省としては考えておりますが、今回は単に部外の人が海難救助その他に援助された場合についてだけの条項でございまして進んで全般的にそういつた問題が起つて参ります場合等につきましては、折角運輸本省として検討されつつあるわけでございます。
  61. 小酒井義男

    小酒井義男君 続いてこの法律案の逐条について質疑をして行きたいと思いますが、よろしいですか。
  62. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) やつて下さい。
  63. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは第二条の国の責任の範囲の問題でありますが、これによりますと三つの要件を備えている場合であるというふうに説明されておりますが、この三つのものが全部備わつておらなければいけないのか、このうちの一つだけが備わつておればこの対象になり得るのかどうかということを説明して頂きたい。
  64. 關谷勝利

    ○衆議院藤員(關谷勝利君) この三つが備わつていなければならんと、こういうことになつております。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、これに救助の職務を行うということがありますし、そうして条件の三つの最後に、第三の条件として、職務によらないで協力援助しという説明が加えてありますが、この職務によらないで協力援助しというのはどういうような場合がそれの例として当てはまるのか、例を挙げて一つ説明して下さい。
  66. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは国又は地方公共団体の公務員としての任務関係上の義務によらない場合及び公法上の義務によらない場合でありまして、これを具体的に申上げますというと、税関の官吏が密漁の取締に協力をいたしましたり、漁業監督官が密貿取締等に協力いたしまするのは、これは公務外の協力でありまするので、職務によらない協力と、こういうふうに考えております。但し海上保安庁法の共助の規定によりまして、所属官庁から派遣をせられまして協力するのは職務による協力でありますので、この中には含まれないのであります。なお船員法の適用になつておりまする船舶の船長が船員法上の義務によつて海難救助をいたしました場合は職務による行為でありまするので、ここにはは含まれないということになります。なお同法の適用されていない船舶の船長が海難救助に協力するのは職務によらない協力、こういうことになつて参るのであります。なお公務員でもなく、又船長のように公法上の義務の課せられていない一般人の場合はすべて職務によらない協力、こういうことになつて参ります。
  67. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、協力したというのじやなしに、海上保安官というものが全然おらない場所で事件が起つた場合にそれを救済した場合はこれに当てはまるのか当てはまらないのか。
  68. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは法文の上から申しますると、これは含まれないことになつて来るのであります。併しこれは陸上の場合あたりは警察官あたりと協力すると申しましても、何と申しまするか、如何なる場合にでも各町村に駐在所というものがあるのでありますが、海上保安官はそのように津々浦々にまでそういうふうな事務所を持つて配置せられておるというふうな関係ではないのでありまするので、この海上保安官が当然なすべき海難救助というふうなこと、そういうふうなことに自発的に出て行つた場合にも何とか方法を以てこれを災害給付ができるようなふうにいたしたい、こういうふうなことでありますので、いずれこれは水難救済会あたりの関係あとの法文ができ」上ります際には、そういう場合日もことごとく国が責任を持つという、こういうふうなことにいたしたいと考えております。現在のこの法文から見まするというと、海上保安官がおらなければこれが災害給付の対象にならないと、こういうふうなことになつております。
  69. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは政府のほうへお尋ねいたしますが、昭和二十六年十二月一日から二十七年十一月三十日までにおける海難救助の統計を見ます。と、そうすると海上保安庁において救助したのが船の数にして百十二艘、人員にして五百二十四人、それから海上保安庁と民間と協力をして救助したものが、船の数で十六艘、人員にして百八十一人、民間のみで救助したものが船の数にして六十二艘、人員にして五百七十四人という統計が出ておりますが、この統計のある現状において、今言われたような法律で完全にこの目的が達せられるというふうにお考えになるかどうか、政府側の意見をお聞きしたい。
  70. 山口伝

    政府委員(山口伝君) お答えいたします。御指摘の点、誠に御尤もでして、今日までの実績を見ましても、海上保安庁が海難救助をいたしております率はお示しのように三割台でございます。その他のものにつきましては、これらの救済と申しますか、対策ができておらないのが誠に遺憾でありますが、これは先ほど提案者のほうからお話がありましたように、今回の、保安官に協力した場合の災害給付の法律案は、陸上の警察官、消防官に協力をした場合と全く同趣旨で、その範囲で一応急いでいたしておりますから、お示しの点は確かに残つておるのでありまして、今後水難救済会を含めまして、その他海上保安官が現場におらなくても当然海上保安官が行うべき救助に民間が自発的に行なつた場合についても、労災であるとか或いは他の損害が生ずれば、何とかこれを救済する途を講じなければ完備したものでないと考えておりまして、目下それを研究しておる段階であります。
  71. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは意見が入つて来るようになるのですけれども、私は折角この法律を作られるならば、やはり実情に十分副い得る内容のものにせられるほうがいいのじやないかと思つて、これは提案者の關谷議員にお尋ねしたいのですが、そういう点、これを完全に補足せられる御意思がありませんか。
  72. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 私もこの点、最初から十度これが警察官に協力したものと同じこれが条文に相成つておりまするために、その点が非常な不備なのでありまして、いろいろ政府意見あたりも徴してみたのでありますが、事後におきまして海上保安官あたりに連絡をとつて、そうして海上保安官のほうがそれを何と申しまするか、受け入れた場合には、そういうふうな措置を講ずるというふうなこともできし得るのではなかろうか、こういうふうな意見もありもしまするし、私たちといたしましては事後の連絡ができました場合には、それを海上保安官の要請があつたものと、そういうふうに、何と申しまするか、措置をして差支えがないのではなかろうか、このようなことに考えておる次第であります。
  73. 小酒井義男

    小酒井義男君 私はこれは保安官がおつて協力を要請するときよりも、保安官がいない場合にそういう問題の起つたときのことを考えて行くべきではないかと思うのです。そういう点について今の答弁では十分納得ができませんが、これは次の機会に譲りましよう。  それから次に陸上のいろいろなこうした災害救助の問題等と同じような考え方でやつておるということでありますが、消防法の資料として渡されておるのを見ましても、消防法の中では、消防に必要な場合には土地その他を使用の制限をしたり或いはする場合があつて、それに対する損害をあとで賠償をするということが規定されておるようですが、この海難の場合にはそういうことをする必要がなかつたかということです。例えば船を出して救助をする場合に、船舶が損害を受ける場合もあるでしようし、或いは仕事をする上において燃料や資材を消費するというようなことも当然あると思うのですが、こういうものはこの法案に含まれておらないように思うのですが、その点を御説明願いたい。
  74. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) お説の通りでありまして、これには含まれておらないのでありますが、これは先ほど申しました水難救済会を法的に国家が今後育成すると申しまするか、それに関しまする法律を制定いたしまする際にはそのようなことを織り込む、こういうふうなことを政府の方面でも目下研究をいたし、そういうふうな言明をいたしておりまするので、そのほうに譲りたいと考えまして、この法の中には取入れてないわけであります。
  75. 小酒井義男

    小酒井義男君 これも前の問題と同一じようなことになるのですが、やはりこの法律の中にうこうしたことを明確にしておいたほうかいいのではないかと私は思うのですが、提案者のほうではそれを入れると何か弊害でもあるのか、弊害があるならその理由一つお聞かせ願いたい。
  76. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 特別の理由はないのでありまして、むしろ私たちといたしましては、先ほど保安官のおらない場合の条項、或いはその船舶を使用し或いは燃料その他の資材を使用いたしました場合にはそれを弁償するというふうなことを入れたいというふうなことで、最初そのような考えをもつてつたのでありますが、間もなくその水難救済会に対しまするところの法令ができるので、そのほうでというようなことで政府と打合せをいたしまして、それを省略をいたしたものであります。
  77. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質疑ありませんか。
  78. 内村清次

    内村清次君 これは本年度の予算関係に裏付けしてありますか、又そういり対象になる人たちが一体どれくらいあるか。
  79. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 予算的にはこのために特別に取上げて計上はいたしておりませんけれども、そういうものがありました際には予備費から支出をするこういうふうな二とになつて参ります。なお従来の実績でありますが、昭和二十三年におきましては、これは公式な記録がないのでありますので、確実な数とは申せませんけれども、海上保安庁で知り得ておる数は、昭和二十三年で負傷が四名、二十四年なしでありまして、二十五年には負傷、死亡共に五名ずつ、二十六年には死亡者が二十名、二十七年には負傷者が一名ということで、五カ年間を通じまして死亡者が二十五名、負傷者が十名、こういうことになつております。
  80. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは本件質疑は一応これを以て終りにします。これは予備審査でもありますから、この程度で次の議題に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。   ―――――――――――――
  82. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは昭和二十八年度の海上保安庁関係予算に関する件を議題といたします。  政府より御説明を願います。
  83. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 海上保安庁の昭和二十八年度の予算につきましてその概況を御説明申上げます。  二十八年度の予算要求総額は六十六億一千百六十九万二千円であります。前年度の予算額六十二億七千百四十一万八千円に比較いたしますると、差引三億四千二十七万四千円の増加と相成つております。  次に人員につきましては、昭和二十七年度中における機構改革によりまして、当時それまで海上保安庁に所属いたしておりました海事検査部、海上警備隊、航路啓開所及び海難審判理事所が海上保安庁から分離いたしまして保安庁のほうに移りました関係で、その結果人員移動いたしまして、昭和二十六年度末人員は一万七百一名でありましたのに対し、昭和二十八年度人員は  一万六百十九名ということに相成つて、八十二名の減少と相成るのであります。その内訳は、本庁におきましては海上保安大学校関係で七十七人の増加、海上保安学校関係で九十二名の減少、海上保安訓練所関係で百六十四名の減少、差引本庁全体といたしましては百七十九名の減少となつております。このうち海上保安大学校の七十七人の増加は、学年進行に伴う学生の増加の八十人から教官の減少三名を差引いたものでありまして、海上保安学校及び海上保安訓練所におきましては生徒数、教員共に減員となつております。次に管区本部におきましては、予備船員及び教育予備員の減少が二百九十五名でありまして、一方ヘリコプター要員といたしまして五十四人、兵装要員といたしまして二百九十二人及び燈台業務人員といたしまして四十六人の増加がありまして、差引前年度に比べまして九十七人の増加と相成つております。  次に要求額の内訳について申上げますと、先ず第一に新規経費でございますが、その主なものは船舶建造費と航路標識整備費でございます。この船舶建造費について申上げますが、総額五億八千四百万円を計上いたしております。これは老朽巡視船を廃棄いたしまして、その代替として三百五十トン型巡視船二隻、二十三メートル型内火艇四隻、これは港内艇でございます。四隻を新造いたしまするほか、七百トン型燈台業務用船一隻、これはブイ・テンダーでございます。更に六トン型水路測量艇二隻を建造いたしますために必要な経費でございます。次に航路標識整備費といたしましては、総額が五億千八百七十五万八千円を計上いたしております。これは燈台三十五基と、浮標四十九基、電波標識二カ所の新営費、即ち二億七千七戸三十一万円、そのほかに航路標識の改良改修費といたしまして二億三千百四十六万五千円及び航路標識の災害復旧費百八十九万五千円などでございます。なお昭和二十七年度の航路標識整備費六億四千八百六万九千円に比較いたしますると、二十八年度要求額は一億二千九百三十一万一千円の減少を示しておりまするが、これは航路標識災害復旧費の減少に基くものでございまして、復旧工事が前年度において大部分終了し、本年度においてはその残余の工事に必要な経費のみを計上したためでございます。  以上申述べました船舶建造費と航路標識整備費が新規経費の主なものでございますが、次に右以外の主要な経費について御説明申上げます。  第一に海上警備救難費でございますが、本庁分といたしまして二億七千百十七万四千円、地方の分といたしまして二十九億七千八百七十万二千円、以上両者を合せて四十三億四千九百八十七万六千円も計上いたしております。これは海上保安庁法の定める海上における法令の励行、犯罪の予防及び鎮圧、犯人の捜査及び逮捕並びに海難救助など、いわゆろ警備救難業務を処理するために必要な経費でありまして、その主なものは、本庁初め全国九カ所の管区海上保安本部、一カ所の海上保安監部、三十九カ所の海上保安部」三十七カ所の警備救難署等におきまして必要な人件費、事務費等が合せまして八億五千百四十二万六千円、そのほか巡視船、港内艇及び近く全国五カ所に配置予定のヘリコプターの維持運航費が合せまして二十九億二千七十二万四千円と相成つておるわけであります。それから警備救難業務の実施に当つて必要といたします陸上通信施設、即ち管区本部通信所が九カ所、保安部通信所が十四カ所、小規模通信所が二十七カ所、これらの維持費が四億二千七百七万円。次に海上保安大学校、海上保安学校及び海上保安訓練所等における職員の教育訓練に必要な経費が一億五千六十五万六千円と相成つております。この海上警備救難費は、昭和二十七年度予算額と比較いたしますると、本庁においては四百四十六万五千円の減少になり、地方におきましては三億八千二百二十九万八千円の増加と相成つておりますが、本庁におきます減少は、旅費、通信専用料などの査定減によるものでありまして、地方における増加はベース・アップによる職員給与の増加、船舶兵装費、船舶修繕費の増加などに基くものでございます。  次に海上保安費といたしましては、本庁分四億三千三百五十八万七千円、地方分六億五千九品四十万八千円、合せまして十億九千百九十九万五千円を計上いたしております。この海上保安費は、水路部の所掌であります水路の測量、海象の観測、水路図誌の調製及び刊行等に必要な経費二億九千六百八十六万五千円、それと燈台部の所掌である航路標識、燈台の八百三十五基、燈浮標の五百二十三基、浮標の二百十八基、信号所の八十五カ所、これらの維持運営に関する事務を処理するために必要な経費七億八千百二十九万七千円、並びに水路部及び燈台部の職員を養成するための海上保安学校に必要な経費千三百八十三万三千円でございます。以上のこの海上保安費は、昭和二十七年度に比較いたしますると、本庁においては四千八百六十万五千円の増加に相成り、地方におきましては五千十三万八千円の減少と相成つております。本庁における増加はレッカー、これは新らしい電波関係による測量機器しでありますが、電波位置測定機等の新規購入、金高といたしまして二千九百五十二万二千円、それに水路図誌及び航空図誌作製費の増加のほかに、更にペース・アップによる職員給与の増加等によつてかように増額されたのでありまして、地方における減少はぺ一ス・アップによる職員給与などがあるにもかかわらず、前年度一億一千七百七十三万三千円の航路標識施設整備費の全額減があるためでございます。なお航路標識施設整備費は、昭和二十八年度におまましては大部分のものが航路標識整備費の中に含まれたわけでございます。  第三に、海上保安施設費といたしまして、本庁分一千一万二千円、地方分五千五百四十万一千円、両者を合せまして合計六千五百四十一万三千円を計上いたしております。これは海上保安行政上必要な施設の経費でありまして、巡視船の繋泊施設五カ所の整備、小規模無線通信所一カ所の新設、船員詰所四カ所の新設及び海上保安大学校の護岸補修、カッターの購入等に必要な経費でございます。この海上保安施設費は、昭和二十七年度に比較いたしますると、本庁においては九千七百四十七万八千円の減少と相成り、地方におきましては三億八千六百四十九万円の減少と相成つております。本庁におきます減少は、前年度におきましては明神礁において遭難いたしました第五海洋丸の代船購入費及び改修費七千七百万円のほか、航路標識、見廻船の購入費、燈台部横浜工場の機械及び水路部の印刷機械の購入費等が計上されていたためでございます。又地方におきまする減少分は、前年度においてはヘリコプター六機の購入費三億百七十四万四千円のほか、ヘリコプター用通信器具類等が計上されていたためでございます。  最後に国際会議その他諸費といたしましては百六十五万円を計上いたしております。これは国際水路局規約に定める国際水路局の維持費を分担するために必要な経費でございます。この経費は昭和二十七年度に比較いたしますると六百七十六万七千円の減少となつておりますが、これは北大西洋流水監視費分担金を計上しなかつたためでございます。  以上を以ちまして海上保安庁の昭和二十八年度予算要求につきまして概況を御説明申上げた次第でございますが、何とぞよろしくお願い申上げる次第でございます。
  84. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 何か御質問ございませんか。
  85. 岡田信次

    岡田信次君 船舶建造費ですね、五億八丁四百万円、それはちよつとここに出しいる数字から見るとトン当り二十何万円くらいになるのですか、相当随分高いと思うのですが、特別の装備か何かあるのですか。
  86. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 一見非常に高い、成るほどかなり高いものではございますが、巡視船等におきましては、型は三百五十トン程度でございますが、レーダーであるとか方探であるとか、いろんな機器、その地文指揮系統の施設でかなりの機具類の相当進んだものを装備いたします関係で、一般の貨物船等に比べますとトン当り非常に高くなります。それともう一つは、スピードが普通の貨物船の小型に比べますとこれでもまだ早いほうなんです。ニンジンが船体に比べまして比較的余計にかかるというような関係でその程度の値段になるのでございます。  これはほかのことを申して恐縮でございますが、警備隊等で発注される新造船の単価はこれらの二倍三倍ということになつております。尤も向うは又いろいろな高いものが取付けられる。それらの船体等に比べましても、最近の相場としてはこの程度のものでなければ、内臓部分が相当性能の高いもので、而もいろいろな機器類を取付けておるためにかような単価に相成るわけであります。
  87. 岡田信次

    岡田信次君 只今の御説明は、巡視船については成るほどそうだと思うのですがね。だけれどもこれは三百五十トンですから相当大きいのですが、あとの内火艇或いは水路測量艇は、そうレーダーとかその他いわゆる近代的ないろいろな機器類を備え附けておく必要もない、又特に早いスピードのものも必要としないと思うのですが、どうなんですか。
  88. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 港内艇等におきまして、二十三メーター型と申しまして、補助巡視船的な役目をする相当型のいい船がございます。レーダー等無論取附けて参るのでございますが、  ピードも、船体の大きさに比べれば、何と申しますか、相当強力なデイーゼル・エンジンを取付けるためにかような値段に相成るわけであります。十分吟味してこれは我々の要求は少し大きかつたかも知れませんが、いろいろ折衝の過程で査定を受けて減少されてこの辺まで参つたものでございます。御参考までに……。
  89. 岡田信次

    岡田信次君 それからもう一つヘリコプターですね、ヘリコプター六機を配置してこれを運航する、その前のいろいろな巡視船その他のものと合せ三二十億ばかり計上されておるのですが、ヘリコプターに関するだけはどのくらいになるのですか。
  90. 山口伝

    政府委員(山口伝君) ヘリコプターで予定いたしておりますのは、ペル式が三機、シコルスキー五五が三機ということに予定しております。全部合せまして補正予算で成立いたしました金額は四億二千万円だと思います。その六機の合計額でございます。……ちよつと補足いたします。四億二千万円というのは機体だけで、ございませんで、五カ所の基地の整備費も含まれておりましたから、その点は減るわけでございます。それでシコルスキー五五が一台当り大体八千万円程度と踏んでおります。ペルが二千万円であります。
  91. 岡田信次

    岡田信次君 この二十九億二千余万円の中にヘリコプター関係の費用が幾らあるか、ヘリコプターの運航費です。作つたやつはもう二十八年度に取つちやつたでしよう。だから運航費というか経営経営費ですな、これがどのくらいあるか。
  92. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 二十八年度に見込んでおります経費は年間五千万円程度でございます。
  93. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 少し迂遠な質問かも知れないが、海上保安大学、海上保安学校、海上保安訓練所というのは極めて簡単に言うとどう違うのですか、こういう学校は。
  94. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 海上保安大学校は普通の六三三制で申上げますと、大体新制大学に当るのであります。それから保安学校のほうは、それからちよつと下りまして中堅幹部程度であります。それから訓練所のほうは本当のセーラー、船員教育のほうと比較しますと海員学校に当るものが訓練所でございます。本当のセーラー或いはフアイア・マンとしていわゆる初級のところでございます。三段階に分れております。
  95. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) これは保安庁にもこれと同じような学校があるようだが、内容が多少違うのだろうけれども、こういう学校はやはり別々にこうして設立して、それに応じた人を作らんと役に立たないというような御見解なんですか、どういうのです。
  96. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 海上保安庁のこの三つの種類の養成機関は、それぞれ海上保安庁の職員として教育を施すわけでありまして、海上保安庁の業務が海上の法令の励行であるとか警察的な面、或いは出入国管理法であるとか、あらゆる海上における法令を励行いたしますそういつた点、なおそれから海難救助、こういつた点を目的として所定期間に教育訓練をいたすわけであります。保安大学というものができておりますが、そのほうはおのずから教科内容の共通部面のものも無論あろうかと思いますが、必ずしも同じではないのでありまして、向うのは保安隊或いは警備隊の幹部として養成される機関であります。一緒に済ますというようなことはできないかと思います。
  97. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 「そうするとまあこれは何ですか、陸上で言うと警察学校みたようなもので海上の保安……海上保安庁のほうの仕事に適合するような養成の仕方をするというふうに了解していいのですか、この学校は。
  98. 山口伝

    政府委員(山口伝君) まあ端的に言いますとそういうふうにお考えになつても結構でございますが、海上における警察関係ばかりでなくて、海上保安庁の所掌する範囲が、単に陸上と比べまして、国家警察とか、ああいつたものと同じ種類のものもございますが、海上法令、出入国管理とか或いは消防であるとか、あらゆる面の業務、警備救難業務を総合いたしております。海上保安業務自体が複雑多岐に亘つておりますために、そういうことを教科内容にいたすわけでございますが、性質としては丁度警察におけ警察大学校に匹敵するものが海上保安における海上保安大学校とお考え頂いて結構であります。
  99. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 将来ですね、運輸省所管で、何と申しますか、航海訓練所というような、海上に出る船員の訓練教育とかいろいろなものが必要だというようなことで練習船みたようなものを持つておりますが、海上保安庁のほうでもこういう学校の卒業生或いは学生の間でそういう訓練をするために又こちらで練習船を造りたいというような、将来に対する御意見はどうなんです。
  100. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 海上保安庁といたしましては、只今説明したような三段階の海上勤務員を養成しているわけですが、やはり職員が職場とする船が一般の商船等と違いまして、二千トン以下の巡視艇或いは港内艇というような関係でございますので、結局それにふさわしいような練習船を欲しいという要請は教育機関では希望を持つております。現在お話の運輸省の航海訓練所は船員教育機関の海上実習機関としてあるわけでありますが、現在のところでは、最近において神戸商船大学ができたりいたしまして、現在所有している練習船では十分な計画が立たないので、要するに手狭なために、訓練所とされてば二十八年度に更に練習船を購入するという予算を取られたようなことで、ございまして、そこと一緒にやるということは実際問題としてできないのでありますが、いずれにいたしましても多少性質が違いますので、我々のほうとして海上保安庁の職員としての教育訓練にふさわしい練習船を将来持ちたいという希望は持つております。
  101. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると今の海上保安大学学生の三百二十人というのは、これは全部卒業すればそのまま海上保安庁の人間であり、学生それ自身が海上保安庁の今の定員の中に入つておるのですか。
  102. 山口伝

    政府委員(山口伝君) お話の通りでありまして、学校に入学するときに定員の中に入つております。四級職という一番最初の低いところの資格で職員としての待遇を受けております。卒業後は、従つてそれぞれ配置につくわけでございます。学校に入つたときに職場を確保したという形になつております。
  103. 一松政二

    ○一松政二君 この大学を出た人が、結局昔の海軍で言えば士官以上になるというわけですか。そういう意味でやつているわけですね。
  104. 山口伝

    政府委員(山口伝君) そういうことです。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると学校がすでに存在し、学生を養成しておると、学生は毎年々々変るわけですが、毎年募集する、そうするとそれだけの鑑定、それだけの要員は必ず、今後学校の生徒の収容能力と、今度はそれを幹部に養成して行くだけの鑑定というものは当然予想されるわけですね。
  106. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 学生生徒の定員の問題でござざいますが、最初、現在二学年おりますが、これまでの二カ年の間は百二十名定員で採用したわけでありますが、本年度はいろいろ研究の結果八十名といたしました。で、八十名の職員が毎年増すような形になりますけれども、実は海上に勤務している船員の自然減等も考えまして、八十名程度がいいということにいたしまして、これが中堅幹部の主軸になるわけでありまして、その他専門的な知識を要請される職場につきましては無論新制大学出のかたをなお且つそのほかにもとつて行つて、需要が間に合うように見通しをつけているわけでございます。
  107. 一松政二

    ○一松政二君 海上保安大学というのは、これは普通の高等学校を出た人から募集しておりますか。
  108. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 新制高等学校を出た人が入学資格を持つております。受験資格を持つております。
  109. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、普通の六三三四年制度のいわゆる大学と同格になつているわけですか。
  110. 山口伝

    政府委員(山口伝君) さようでございます。
  111. 一松政二

    ○一松政二君 これはやはり今さつき、保安隊の大学と或る程度似たことがあるに違いないのですが、そうすると今さつき委員長が聞かれたように、少しばかり、少しと言つちや語弊があるかも知らんが、多少毛色の変つた業務をやつているところは全部そういう大学を持たなければならんような印象を受けるわけですが、これは日本の戦前においてはこういう種類の学校はなかつたわけですね。
  112. 山口伝

    政府委員(山口伝君) 海上保安庁それ自体といつた役所が戦前ございませんでしたので、従つてそういつた職員を養成するような大学もなかつたわけでありますが、これは併し手前味噌でございますが、昔は、先ほどから保安官に協力した場合の法案がございましたが、従来の態勢は、水難救済会というような全国的な団体がありまして、それが船を若干持ち、なお必要に応じてはもよりの漁船等をチャーターしてやつてつたような形でありまして、大きな事故等につきましてはその都度海軍あたりの駆逐艦などに援助を要請してやつて来たわけでございます。それが戦後丁度アメリカのコーストガードに似たようなシステムがとられまして、人命、財産の尊重というような観点からこういつた制度が受入れられまして、役所もでき、それの職員たるべき者の特殊の養成機関も附属機関として作つたような経過でございます。
  113. 一松政二

    ○一松政二君 まあこれは質問じやございませんが、つまり日本の海軍をなくしてしまつた結果、海軍をなくしてしまつて海上保安庁ができて、海上保安庁ができたからこんな学校を要したのでしよう。又一方においては今後は本物の海軍大学や、いろいろ言葉は違うでしようが、そういつた方向も感じられるから、或る時期には当然これが問題になることと私はそういう気がいたしますが、それだけ申上げまして、私のこの学校に対する質問はこれを以て打切ります。
  114. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質疑がなければ、本日はこれで終了したいと思います。それで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めて、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会