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1952-12-24 第15回国会 衆議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十四日(水曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 田嶋 好文君    理事 松岡 松平君 理事 小畑虎之助君    理事 石川金次郎君       相川 勝六君    久野 忠治君       小林かなえ君    福井 盛太君       古島 義英君    松永  東君       大川 光三君    清瀬 一郎君       後藤 義隆君    田万 廣文君       木下  郁君    古島 貞雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         法務政務次官  押谷 富三君         検     事         (矯正局長)  中尾 文策君         検     事         (保護局長)  斎藤 三郎君         検     事         (人権擁護局         長)      戸田 正直君  委員外出席者         議     員 迫水 久常君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局第         一課長)    桑原 正憲君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  鮫島 真男君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十二月二十四日  委員木下重範君辞任につき、その補欠として風  見章君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月二十四日  平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に  関する法律の一部を改正する法律案田嶋好文  君外二十三名提出衆法第二八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に  関する法律の一部を改正する法律案田嶋好文  君外二十三名提出衆法第二八号) 日程追加  請願  一 戦争犯罪者減刑等に関する請願白石正    明君紹介)(第四八五号)  二 戦争犯罪者釈放等に関する請願塚原俊    郎君紹介)(第五二九号)  三 石川町に簡易裁判所設置請願白石正明    君紹介)(第二九号)  四 増田町に簡易裁判所設置請願飯塚定輔    君紹介)(第一二一四号)  五 大分家庭裁判所庁舎新築に関する請願(木    下郁君外四名紹介)(第五六四号)  六 旭川地方法務局天塩出張所庁舎建築に関す    る請願松浦周太郎紹介)(第八八二    号)  七 天塩簡易裁判所庁舎建築に関する請願(松    浦周太郎紹介)(第八八三号)  八 福岡高等裁判所支部並びに同高等検察庁支    部を鹿児島市に設置請願迫水久常君紹    介)(第九七七号)  九 布施市に大阪地方裁判所支部設置に関する    請願大倉三郎君外三名紹介)(第一三三    〇号) 一〇 久万の台附近少年院設置反対請願(關    谷勝利紹介)(第一一八号) 一一 東京拘置所における拘留被告人権じゆう    りんに関する請願岡田春夫紹介)(第    三三六号)  陳情書  一 戦犯受刑者助命減刑釈放内地服役    等の陳情書    (第二六号)  二 同(第五二三    号)  三 同(第五二四    号)  四 同    (第六一七号)  五 同(第七一五    号)  六 戦犯者釈放家族救済陳情書    (第二八号)  七 同    (第三一五号)  八 戦犯者釈放に関する陳情書    (第二九号)  九 同(    第三〇号) 一〇 同    (第三一号) 一一 同    (第三二号) 一二 同(第一    二八号) 一三 同(第一二九    号) 一四 同    (第二〇七号) 一五 同(    第二〇八号) 一六 同外一件(第    二〇九号) 一七 同    (第二一〇号) 一八 同外四件    (第二一一号) 一九 同    (第二一二号) 二〇 同外一件    (第三〇八号) 二一 同(    第三〇九号) 二二 同(第三一〇    号) 二三 同(第三一一号) 二四 同外四件    (第三一二号) 二五 同(第四一七    号) 二六 同(第四一    八号) 二七 同    (第四一九号) 二八 同(第六一八    号) 二九 同(第八二七    号) 三〇 同(第八二八    号) 三一 戦犯者助命減刑釈放に関する陳情書    外十一件    (第三一三号) 三二 同    (第三一四号) 三三 同外十件    (第四一六    号) 三四 B・C級戦犯者釈放に関する陳情書    (第一三〇号) 三五 同    (第八二九号) 三六 戦犯者減刑釈放並びに抑留同胞引揚促    進に関する陳情書    (第三一六号) 三七 戦犯者福岡千代吉釈放に関する陳情書    (第三三号) 三八 住民登録費増額に関する陳情書    (第二〇五    号) 三九 死刑撤廃に関する陳情書    (第三一    七号)     ―――――――――――――
  2. 田嶋好文

    田嶋委員長 これより会議を開きます。  平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律案議題といたします。  まず提出者より提案理由説明を聴取いたします。小林かなえ君。     ―――――――――――――
  3. 小林錡

    小林かなえ委員 ただいま議題となりました平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案につき、提案理由及び改正の要旨を説明申し上げます。  改正の第一点は、仮出所適格性を得るための期間を短縮しようとするものであります。御承知のように、平和条約第十一条によりますと、いわゆる戦犯者に対する仮出所は、日本国勧告関係国決定とによつて行われることになつております。この条約にのつとり平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律が制定されておるのでありますが、この法律第十六条によりますと、仮出所適格性、すなわち、日本国勧告及び関係国決定を考慮されるに必要な最少限度条件を取得するためには、刑期四十五年未満の者については刑期の三分の一、刑期四十五年以上の者または刑期が終身にわたる者については十五年の期間を経過しなければならないことになつております。かくして、現在までに在所者八百四名中、この適格性を得て仮出所勧告を終了した者は三百九十六名であり、その他の者がその適格性を得るには、なお相当期間を要する実情にあるのであります。一面、無期その他長期刑の者を、今、釈放いたしましても、平和を乱すような危険性は毫も感ぜられないのでありますが、他面、戦犯者は幽囚すでに七年有余に及び、その留守家族の生活もさんたんたるものであります。従つて、現在、日本国民こぞつて戦犯者釈放を熱望しており、またこの熱望にこたえ、御承知のように、衆、参両議院におきましても、すでに、戦争犯罪による受刑者釈放等に関する決議がなさたれ次第であります。  しかるに、現行法のもとにおいては、仮出所適格性を得るに至らない者は、その手続として、まず、減刑勧告しその承認があつた後仮出所適格性を有するに至つて初めて仮出所勧告を行わなければならないので、その間相当期間を要するのであります。よつて、今後の外交折衝によつて、その期間の短縮に関し、関係国同意があるならば、必ずしも現行期間によることなく仮出所に関する手続を進め得るようにいたしたのであります。  改正の第二点は、一時出所に関するものであります。現行法によれば、一時出所条件は第二十四条第一項各号に定められたきわめて限られたものでありますが、実情より見て、父母、妻子のみに限らず、親がわり兄姉、内縁の妻等危篤、死亡の場合。また震災、風水害、火災等の場合のほかにも本人が出向かなければ処理し得ない事情が発生し、一時出所の許可をなす必要が生ずるので、この条件を緩和するための改正であります。  また一時出所期間も五日以内とする現行法においては、複雑な問題を処理し切れないような場合がありますので、これを十五日に改め、さらに必要があれば十五日間の延長ができるように改正しようとするのであります。  以上が今回の改正案の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 田嶋好文

    田嶋委員長 これにて提案理由説明は終りました。  この際お諮りをいたします。国会法第五十二条により、祕密会といたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければ、さようとりはからいをいたします。  議員政府委員及び関係職員以外の方は、御退席を願います。  なお、衆議院規則六十三条によりまして、祕密会の記録中、特に祕密を要するものと委員会で決議いたしました部分につきましては、これを公表しないことになつておりますので、この点につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければ、さようとりはからいをいたします。  ただいまから祕密会を開きます。      ――――◇―――――     〔午後一時四十九分祕密会に入る〕
  7. 田嶋好文

    田嶋委員長 それでは、斎藤局長さんからこの点を説明してください。結局この法律委員会がつくつた場合、この法律でいかような程度までまかなえるか。それから政府はほぼこれをどういうように運用しようとするのか。まかなえる限界と政府の運用しようとする腹、この点をひとつ。
  8. 斎藤三郎

    斎藤(三)政府委員 十六条の第三項として「政令定めるところ」、これはこの案が通りますれば、さつそく外務省から関係国に申入れをし、現在三分の一あるいは十五年というのを、できるだけ短期間に了承を得たい、こういう考えでございます。御参考までに申し上げますが、来年の一月末までに仮出所の、――現在三分の一という勧告でございますが、三分の一の計算で仮出所適格性を有する方の調査につきましては、ほとんど完了いたしておりまして、それが約四百名でございます。残りの四百名はどういうことかといいますと、二十五年とか三十年、四十年、あるいは無期ということになつておりまして、すぐに仮出所勧告ができない。ところがこの四百名の人について調べてみますと、そのうち二十八名のオランダ関係無期の方がありますが、それ以外はほとんどアメリカ関係だけでございます。この規定ができますると、まずアメリカに対して善処方を要望する、こういうことに相なると存じております。  この政令定めようでございますが、これはこの法律特殊性でございまして、仮出所あるいは減刑等決定につきましては、関係国決定をしなければどうにも日本だけではできないということになつておりまして、この法律自体が一つの決定を得るための手続規定でございまして、従来も関係国に対してかような方式でやることについての同意を求めて勧告をいたす、それがまた勧告をスムースに進めるゆえんである、かように存じておりましたので、これを一方的にこちらだけで何年というふうにきめましても、何分の一ときめましても、向うが了承しなければ何にもならない、また現在三分の一ということでアメリカからは承諾を受け、そしてアメリカの大統領の直属の委員会ができて、そして逐次仮出所を認めて来ておる現状において、いきなり一方的にこちらからやるということは、かえつて折衝をまずくするのではないか、従いまして、この政令は主としてアメリカだろうと思いますが、アメリカの了解を得て、そしてその政令をきめたい、かように考えておる次第でございます。なおこの政令のきめ方は、一般的にアメリカ関係のものはすべて一様にするという政令も書けましようし、だれだれという個人をつかまえて三分の一なり十五年の例外を書けるものと私どもは考えております。それから二十四条の一時出所でございます。この一時出所関係国同意なくして、日本側だけで決定ができるというわけでございます。
  9. 田嶋好文

    田嶋委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  10. 田嶋好文

    田嶋委員長 速記を始めて。――在学中の戦犯者、その他たとえば司法修習中の戦犯者に対しては、いかような措置を講じようとしておりますか。
  11. 中尾文策

    中尾政府委員 通学という点でございますが、この点は昼間朝から学校に通つて行くというようなことは、少くとも現状のもとにおきましてはできないじやないかというふうに考えております。しかしちようどああいう年ごろで勉強したい、またすれば将来役に立つというような人もおることは事実でありますので、こういう人たちに対しましては、現在いろいろな学校通信教授ということをいたしております。これは通信教授によりまして、十分大学卒業の資格をとれるようになつておりますので、その方につきまして十分便宜を与えるという方針をとつております。その授業料などもこちらの方で負担いたしまして、そういう教育が受けられるようにいたしたいと考えております。  それから司法修習中の点はやはり通学と同じような理由によりまして、むずかしいのではないかと考えております。
  12. 田嶋好文

    田嶋委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  13. 田嶋好文

    田嶋委員長 速記を始めて。――先ほど私申し上げましたこの条文の二十四条の3、「前項期間は、その満了に際し、法務省令定めるところにより、これを延長することができる。」こういう規定法務委員会でつくりましたのは、これは十五日をもう一回十五日に延ばして、それでやめるという趣旨ではないので、委員会趣旨は何回でも延長ができるという趣旨を強く織り込んだ法案であることを政府において御了解願つておきたいと思う。そして法務省令定めるにあたりましては、ぜひともその趣旨に沿うた法務省令をおつくり願いたいと思うわけであります。大臣がいらつしやらないので、この点政務次官からでもけつこうですから御答弁願いたいと思います。
  14. 押谷富三

    押谷政府委員 ただいま委員長の御意見趣旨に沿うて、適当に処置をいたしたいと思います。
  15. 田嶋好文

    田嶋委員長 よろしゆうございますか。皆さんにお諮りいたしますが、これは政務次官だけの答弁でございますが、大臣答弁も特に求めますか。
  16. 田万廣文

    ○田万委員 大臣とみなす。(笑声)
  17. 田嶋好文

    田嶋委員長 いいですね。大政務次官ですから、責任を持つて……。
  18. 田万廣文

    ○田万委員 これは速記なしでひとつ……。
  19. 田嶋好文

    田嶋委員長 では速記をとめて。     〔速記中止
  20. 田嶋好文

    田嶋委員長 では速記を始めて。古島
  21. 古島義英

    古島委員 委員長が先ほど政府質問いたして、政務次官からお答えがあつた点でありますが、第三項ですね。第三項の「その満了に際し、法務省令定めるところにより、これを延長することができる。」この延長は一回でなく、反復幾度もできるという考えでおるのだが、政府はどうかという質問であります。すると政府の方では、御希望通りに沿うというのだから、一回延長してまた二度も三度も延長ができるという趣旨にとれるわけだ。そういたしますと、四項の方とどうなりますか、「前項規定により延長する期間は、十五日をこえてはならない。」こういうことになつておりますが、一回十五日を越えてはならないということにしないと、仮復することができないことになるのでありますが、その点を一回がただこの十五日に限る、十五日を越えてはならぬということだけで言い切つてしまうか、これを明瞭にしておかないと、御希望に沿うような意見が出て来ぬと思う。
  22. 大川光三

    大川委員 関連しますから申し上げたい。ただいまの意見と私まつた同感でありまして、この条文の書き方では、繰返し更新することができぬという解釈になるだろうと思います。そこで数字の3の中に入れます「延長」という言葉を、あるいは「更新」という言葉に改めて行くことによつて、何回も繰返されることができるのだというような感じがするのでありますが、それは専門的にどうぞ御研究をいただきたいと思います。
  23. 田嶋好文

    田嶋委員長 法制局意見は……。
  24. 鮫島真男

    鮫島法制局参事 この延長が何回できるかという御質問でございまするが、これは別にその一回に限るとか、数回に限るというような場合には、立法例によりますと、やはり一回に限る、あるいは二回に限るというふうに限定をして延長することができるというふうに書いてありますのが例でございまして、この法律案におきましてはそういう制限がございませんので、これは何回でも延長ができる。ただ法務省令によりまして、一回しかできないという定めをいたしますれば別でございますが、法律といたしましては、これは繰返しできるというふうに解せられると思います。  それからその四項の「十五日」ということも、一回の延長期間は十五日を越えてはいけない、こういうふうに解していいと思います。  それからただいま、この「延長」という言葉更新というふうにかえたらどうかというような御質問もありましたが、趣旨はまつたく同様なのでございますけれども、ただ更新といいますと、民法におきまして賃貸借の更新とか、あるいは勾留期間更新というような場合に、同じ条件において同じようなことを繰返すのを更新、たとえば最初一時出所期間を十日ときめておりました場合には、やはり十日ずつというような場合に、更新というような言葉を使つておるのでありますが、ここでは最初にたとえば十五日間一時出所を認めたところが、やはり危篤の状態が長引いたような場合において延長する、その場合には、今度五日延長したり、あるいは十日延長したりしまして、必ずしも最初期間と同じような期間延長が行われるとは限りません。趣旨は、通俗的に申しますと更新とまつたく同じ意味でございますけれども、ただ法律的に申しましてちよつと意味合いが違いますので、更新という言葉を使わなかつただけでございます。
  25. 古島義英

    古島委員 今の御説明のようでありますと、四項の「期間は」、と切つて、「十五日をこえてはならない。」という「十五日」の上に「一回」こうやつたらば、何回も更新ができる。一回が十五日以内だから、それが一回と書いてあれば、何回も更新ができるというふうに読めてかえつてよくはないか。「一回十五日をこえてはならない。」こうやつてはまずいですか。
  26. 鮫島真男

    鮫島法制局参事 御趣旨はその通りでございまして、四項では「前項規定により延長する期間は、」とございまして、とにかく前項規定により延長というのは、延長の処分というか、それは一回ずつ行われるのでございますから、その前項規定により延長されるその一回の延長期間はというふうにこれで読めると思うのでございます。
  27. 古島義英

    古島委員 このままでおくと、たとえば十五日許された、そして延長を二日やつた、三日やつた、数回折り重なつたが、合計して十六日になると、許されないということになる。一回が十五日を越えてはならぬということになれば、一区切り十五日を越えてはならないというふうに読めるのであるが、その延長する期間は十五日を越えてはならないということになると、数回反復延長いたしまして、三日延長し、五日延長し、合計して十五日以内としなければならないというふうにこれは読めてしまう。そこを一区切り十五日を反復することができると思わせるためには、一回十五日を越えてはならない、こう一回の字を入れなければ、あなたの御説明のようにはならないと私は思う。合計して十五日というふうに読めると思うが、その点はどうですか。
  28. 鮫島真男

    鮫島法制局参事 この趣旨はまつたくただいま仰せ通りでございまして、一回と書けばますますその意味ははつきりいたすわけでございます。これでもいいと思つてつたのでございますが、趣旨はまつた仰せ通りでございます。
  29. 田嶋好文

    田嶋委員長 ただいま犬養法務大臣が御出席されましたので、法務大臣から意見を伺うことにします。  ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止
  30. 田嶋好文

    田嶋委員長 速記を始めてください。
  31. 大川光三

    大川委員 私は希望を述べて伺いたいのでありますが、この法律では仮出所のところで政令に委任しておるのと、それから一時出所では法務省令に委任するという点があります。そこでこの政令なり法務省令はいつ出るのかという点でありますが、政令につきましてはいろいろ外交折衝があつて、ただちに出るということは考えられませんが、法務省令につきましては、この法律が公布の日から実施されるというので、現に一日も早くこの一時出所期間延長された恩典に浴したいという切なる希望があろうかと思いますから、この法律が効力を発生いたしますると同時に、またさしつかえのない限り法務省令のお出しを願いたい、かように思うのであります。
  32. 犬養健

    犬養国務大臣 政令の方は御指摘の通りであります。関係のものがありますので、早急には参らないと思いますが、法務省令の方はまつたく御同感でございます。それにつけても、あまりよ過ぎるかつこうだと、かえつて反動が来ると思いまして、蛇足でああいうことを申し上げた次第であります。
  33. 田嶋好文

    田嶋委員長 ほかにございませんか。――これにて祕密会を閉じます。     〔午後二時五十二分祕密会を終る〕      ――――◇―――――
  34. 田嶋好文

    田嶋委員長 本案について質疑はありませんか。――別に質疑もないようですから、これより討論に入ります。  討論はこれを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければ討論を省略し、ただちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  36. 田嶋好文

    田嶋委員長 起立総員。よつて本案は全会一致原案通り可決されました。  この際お諮りをいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければさようとりはからいをいたします。     ―――――――――――――
  38. 田嶋好文

    田嶋委員長 次にお諮りいたします。請願並びに陳情書を本日の日程に追加し、審査いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければ請願並びに陳情書審査に移ります。  なお請願並びに陳情書日程については、去る二十日の日程によりまして行うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なければさようとりはからいをいたします。  またこの際お諮りいたします。これら請願及び陳情書について、最高裁判所長官またはその指定する代理者より、本委員会において説明したいとの要求があります場合には、国会法第七十二条第二項の規定従つて、これを承認いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それではただいまより請願審査を行います。  請願審査は、紹介議員のお見えになつている請願については、その紹介説明を聴取し、その都度関係当局より意見を聴取し、紹介議員のお見えになつていない請願につきましては、その内容はすでに各委員配付済み文書表にて御承知願つていることと存じますので、文書表の朗読はこれを省略し、ただちに関係当局意見を聴取することにいたしたいと存じますから、さよう御了承願います。  日程第八、福岡高等裁判所支部並びに同高等検察庁支部鹿児島市に設置請願紹介議員説明を聴取いたします。迫水久常君。
  42. 迫水久常

    迫水久常君 この請願請願書に書いてございます通りでありまして、要するに、現在福岡高等裁判所支部は、南九州におきましては宮崎にございます。しかるにいろいろな裁判の件数から申しましても、交通の問題から申しましても、鹿児島にぜひ支部設置していただきたい。聞くところによりますと、宮崎に高裁の支部並びに検察庁の支部ができますときに、福岡高等裁判所の裁判官の御意見は、鹿児島に置くのが至当であるということであつたように聞いておりますが、当時鹿児島県の方で熱心でなかつたというようなことが原因して、つまり鹿児島県としましては、当然これは鹿児島に来るものだというような油断もあつたような関係がありまして、宮崎に設置されまして、かえつていろいろなことが不便になつておるのであります。ことに間もなく大島その他南西諸島も日本に復帰して来る可能性もあります際におきましては、ぜひ鹿児島に高裁の支部設置していただきたい、こういうのが請願趣旨でございます。
  43. 田嶋好文

    田嶋委員長 関係当局意見を求めます。桑原説明員。
  44. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 福岡高等裁判所支部設置いたします際に、昭和二十三年のことだつたと思いますが、宮崎に置くか鹿児島に置くかということにつきましては、最高裁判所におきましても、いろいろ現地の調査をいたしました結果、その当時の情勢といたしましては、宮崎に支部を置くのが適当だというふうに考えまして、宮崎に支部設置いたしたわけであります。その後いろいろ鹿児島の方からも、ただいま御請願がありましたような趣旨で、宮崎の支部のほかに鹿児島支部を置くべきだという御意見があつたわけであります。しかしながらただいまのところといたしましては、宮崎のほかに鹿児島に置くということについては、問題も相当多かろうと思うのであります。ただいまお話がありましたような南西諸島等の関係もございますので、将来十分研究をいたしたいと思つております。     ―――――――――――――
  45. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第五、大分家庭裁判所庁舎新築に関する請願紹介議員説明を聴取いたします。木下郁君。
  46. 木下郁

    木下(郁)委員 本請願の要旨は、大分市に大分家庭裁判所の庁舎を早く建設してもらいたいというのであります。その理由は、大分ではすでに家庭裁判所の敷地を昭和二十年から買つて準備いたしてあります。また九州におきましても、各地方裁判所の管内で一番早く建つべき順序にもあります。また家庭裁判所の今の事務のとり方が、地方裁判所の部屋の一部を借り、廊下の片すみで仕事をいたしておるような実情であります。どうかさような意味で、早く庁舎をつくつてもらいたいというのが、請願理由であります。
  47. 田嶋好文

    田嶋委員長 関係当局意見を求めます。
  48. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 家庭裁判所の設置を見越しまして、全国で敷地のみを買収いたしまして、庁舎の建設ができないというところは、大分のほかにも数箇所あるのでございます。何しろ営繕の関係の予算が非常に削減されましたので、現在まで大分につきましても庁舎の新築が実現できない情勢にあります。来年度の裁判所庁舎の建設につきましては、予算案が成立いたしました当初におきまして、来年度の会計年度の始まる前に、全国的な見地から検討を加えて行きたいというふうに考えておりますので、来年度の会計年度が始まります際に、十分に本請願趣旨をしんしやくいたしまして、研究をいたしたいと思つております。
  49. 田嶋好文

    田嶋委員長 右両請願について質疑はございませんか。
  50. 相川勝六

    ○相川委員 鹿児島福岡高等裁判所の支所を置くということについては、当時宮崎に支所を置かれることにつきましては、いろいろ裁判の管轄範囲その他のことを考えて慎重に決定せられたことでありますから、一方に偏する点があると思いますので、ただいまの請願には賛成いたしかねます。
  51. 後藤義隆

    ○後藤委員 その点についてやはり宮崎の支部関係ですが、宮崎の支部には、大分県のうちでもつて佐伯と臼杵の両地方裁判所支部が管轄になつております関係上、よほど考慮していただいて、もし宮崎を鹿児島に移管することになれば、将来それをどうするかという点についても特に御考慮願いたいと思つております。
  52. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 その点につきましても、十分研究をいたして考慮いたしたいと思つております。     ―――――――――――――
  53. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第一、戦争犯罪者減刑等に関する請願、及び日程第二(戦争犯罪者釈放等に関する請願について、政府意見を求めます。
  54. 戸田正直

    ○戸田政府委員 第一の戦犯死刑囚の助命とこれらの者及びその他服役中の戦犯者の内地送還については、あらゆる機会にその実現を見るよう努力を払つておるのであり、独立後現在までに御承知のようにマヌス島より七名、モンテンルパより二名、合計九名の送還を見たのであります。現在ヤヌス島に百九十九名、モンテンルパに百九名、内死刑囚五十九名、計三百八名が帰国の日を待ちわびておるのであり、関係国の好意ある処置がとらるるよう切望しておる次第であります。その内容はまつたく不明でありますが、ソ連、中共に抑留中の同胞も相当数に上り、本人はもとよりその家族の悲しみは現在巣鴨及び濠州、比国にある戦犯者とまつたく同様であり、それを思いますとき、まことに同情を禁じ得ないのであり、人道上すみやかにソ連、中共の帰還せしむる措置を要望してやまないのでありますが、現在正常な外交交渉によつてこれをなすを得ない関係にあることは御承知通りでありますが、これまたあらゆる手段を講じて、一日も早く内地送還の運びになるよう努力いたしております。巣鴨にある戦犯者釈放につきましては、その赦免、減刑及び仮出所勧告を行うことに鋭意努力いたし、現在仮出所適格者の大部分について、仮出所勧告を終了し、各国の同意決定を待望しております。これに対し米国においては、先般戦犯釈放委員会設置され、その検討の結果、現在までに計二十五名の仮出所同意を得られたのであります。しかるに米国以外の英、仏、濠よりは、わが国の勧告に対し、具体的な回答を寄せてはおらないのでありますが、米国におけるこの動きは、他の関係国にも好影響を与え、英国及び仏国からは近く回答が来るものと予想され、今後とも関係国の好意と理解の獲得に全力をあげて折衝いたしたいと存じます。  なおかかる個別的な勧告と並行して、政府関係国に対し全面赦免の勧告を行つておるのであります。すなわち本年七月十四日、仏国の革命記念日参を期し、仏国関係戦犯者につき、さらに八月上旬にはその他の関係国に対して、B、C級全員の全面赦免を勧告いたしました。さらに今般行われた立太子の国家的慶事に際し、A級を含めた全戦犯者の赦免を再勧告いたしたのであります。この全面赦免の勧告に対しましては、本年十一月十五日インド国政府よりまた十二月三日には中華民国政府より、A級戦犯の釈放につきそれぞれ賛成なる旨の通知を受けたのであります。  次に戦犯家族及び遺族に対する国家補償について。戦犯受刑者の家族に対しては、特別未帰還者給与法第一条の二によつて、未復員者給与法の準用があり、本人に月額千円の俸給と扶養手当及び帰郷旅費が支給されることになつております。戦争犯罪者として死刑に処せられた者、または服役中死亡した者に対する遺族扶助料の支給の件は、厚生省あるいは内閣恩給局の所管であつて、適当に考慮されておると聞いております。ただ巣鴨刑務所を管理し、在所者の調査をしている関係から申しますと、巣鴨在所者の受けた判決は、一戦争裁判法廷が特殊な条件のもとに行つたものであり、また本人はすでに長期間服役しており、その間家族の困窮はまことに同情すべきものがあります。
  55. 田嶋好文

    田嶋委員長 そのへんでけつこうです。質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  56. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第三、石川町に簡易裁判所設置請願、及び日程第四、増田町に簡易裁判所設置請願について、関係当局意見を求めます。
  57. 押谷富三

    押谷政府委員 ただいまの福島県石川石川町に簡易裁判所設置方の請願の御趣旨は十分了承いたしました。今回請願地の石川町は同県東白川郡棚倉町とともに去る昭和二十二年裁判所法制定当時の簡易裁判所設置予定候補地でありましたが、棚倉町に設置決定いたしたものでありまして、もし石川郡内に一簡易裁判所を設置するものとすれば有力な候補地でありますが、事件数は比較的僅少でありまして、他地方との均衡の問題もあり、国家財政上の制約もあるわけでございます。しかしながら御不便の事情もありますので、最高裁判所とも協議し、将来の懸案として十分考慮いたしたいと存じますから、さよう御承知をお願いいたします。  次に秋田県平鹿郡増田町に簡易裁判所設置請願の御趣旨はこれまた十分了承いたしました。増田町に簡易裁判所設置のことにつきましては、すでに去る第七回国会において請願がなされ、衆参両院の採択になつたものでありまして、政府といたしましても関係町へ照会して調査いたしました結果、土地の状況等も判明いたしておりますが、事件数がやや僅少でありますので、他地方との均衡の問題があり、かつ国家財政上の制約もありますので、今日まで設置の運びに至らなかつたわけでありますが、しかしながら御不便の事情もありますので、最高裁判所とも協議をし、今後の懸案としてなお十分考慮いたしたいと存じますからさよう御承知をお願いいたします。
  58. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 石川町及び増田町に簡易裁判所の設置の件につきまして、請願の御趣旨は十分了解いたしたのであります。ただいま政府の方からも御答弁がありましたように、国家財政の見地、それから他の地方との関係その他を十分考慮いたしまして、将来研究いたしたいと考えております。
  59. 田嶋好文

    田嶋委員長 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に移ります。     ―――――――――――――
  60. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第六、旭川地方法務局天塩出張所庁舎建築に関する請願及び日程第七、天塩簡易裁判所庁舎建築に関する請願について、当局の説明を聴取いたします。
  61. 押谷富三

    押谷政府委員 法務局及び地方法務局の出張所の庁舎につきましては、その大部分は明治、大正年間に建築されたもので、いずれも腐朽等のために改築をすべき時期に至つておりますが、昭和二十二年、裁判所から分離して以来、本局及び支局の庁舎を早急に建設しなければならぬ事情もあり、また他方国家財政の現状からして、出張所庁舎の改築を一挙に解決するまでに至つていないのであります。しかしながらこれをいつまでも放置しておくわけには参らないのは当然でありますので、本請願にかかる出張所をも含めて、法務局及び地方法務局の出張所の庁舎改築につきましては、今後あらゆる努力を払つて、逐次これを解決いたしたい所存であります。
  62. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 天塩簡易裁判所の庁舎改築のことについてだけ申し上げますが、ただいま大分家庭裁判所庁舎新築請願について申し上げました通り、来年度の予算の実施の際におきまして、なるべく請願の御趣旨に沿うようにとりはからいたいというふうに考えております。
  63. 田嶋好文

    田嶋委員長 御質疑はありませんか――質疑がなければ次に移ります。
  64. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第九、布施市に大阪地方裁判所支部設置に関する請願文書表第一三三〇号、大倉三郎君外三名提出、当局の意見を聴取いたします。押谷政務次官
  65. 押谷富三

    押谷政府委員 ただいまの布施市に大阪地方裁判所支部設置請願の御趣旨は、十分了承いたしました。政府といたしましても、御不便の事情等はよく承知をしておるのでありますが、裁判所支部設置に関する事項は、最高裁判所の権限に属しますので、本請願趣旨は最高裁判所に伝達し、十分考慮を煩わすことにいたしたいと存じますから、さよう御承知を願います。
  66. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所説明員 布施市に大阪地方裁判所支部設置の件に関しましては、布施市自体は大阪裁判所の本庁と比較的近いのでございますけれども、布施市に支部設置された場合におきまして、その管轄区域内に予定されます地域については、大阪の地方裁判所本庁と、相当交通の不便の関係もございますし、また事件数も相当多いということが予想されますので、財政の関係等とにらみ合せまして、十分研究をいたしたいと考えております。
  67. 田嶋好文

    田嶋委員長 御質疑はありませんか――御質疑がなければ次の日程に移ります。     ―――――――――――――
  68. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第一〇、久万の台附近少年院設置反対請願文書表第一一八号、關谷勝利紹介、当局の意見を聴取いたします。押谷政務次官
  69. 押谷富三

    押谷政府委員 四国管内におきましては、男子少年院として四国少年院一箇所のみでありまして、同管内における少年事件の処理件数に徴しますると、さらに一箇所の新設を必要といたしたのであります。ところが、愛媛県会議長の名をもつて、同県に少年院を設置されたいとの意見書が、法務総裁あて提出されましたので、当方といたしましては、松山市当局と折衝の結果、同市から松山市古三津、同山城、同衣山の三箇所の候補地の提示があつたのであります。そこで当方から係官を現地に派遣いたしまして、右候補地について調査をいたしましたところ、古三津の候補地が最も適当のものとの結論を得ましたので、同地に建設することに決定を見たものであります。その後地元から幾たびか反対の陳情がありましたので、地元当局とも換地につき折衝しましたが、換地条件が整わなかつたために、当初の計画通り古三津に建設する予定であります。
  70. 田嶋好文

    田嶋委員長 御質疑はありませんか――御質疑がなければ次に移ります。     ―――――――――――――
  71. 田嶋好文

    田嶋委員長 日程第二、東京拘置所における拘留被告人権じゆうりんに関する請願文書表第三三六号、紹介議員岡田春夫君、について、当局の意見を聴取いたします。神谷政務次官
  72. 押谷富三

    押谷政府委員 請願の件につきましては、事実を調査いたしましたが、その事件の概要は、昭和二十七年十一月十日午前十一時十分ごろから、東京拘置所内第三病舎に収容中の向島署十三番、西貝重右ェ門ら数名の者が病舎の一前において、北三舎各階の被告人に対して、日本共産党中央委員白川晴一の死をいたみ、赤旗の歌の合唱及び黙祷をなすことを呼びかけて、行事に移つたのでありますが、その際他の被告人の中から、「うるさい、やめろ」「このばかやろう」等と怒号が起りました。かようなことがありまして、同日の午後二時半ごろに至り、北三舎三階十一房の強盗殺人被告人斎藤勉は、同人が同目午前中房の窓下に落した鉄製の水道用コックを拾い、運動場におもむく途中、たまたま三病舎の入口付近において日光浴をいたしておりました向島署十三番らの姿を見たので、同人に対して、「今朝のような騒ぎはうるさいからやめてくれ」と申入れ、二、三問答をしておりましたところ、病舎に収容中の朴桂順がやにわに斎藤をけり、他の数名の者とともにこぶしあるいはゴム裏草履で斎藤の頭部顔面等を欧打し、また両手をねじ上げる等の集団暴行を加え、さらに斎藤の所持しておりました水道用のコックを奪つて殴打したのでありましたが、看守がかけつけて、ようやく斎藤に事なきを得たのであります。その後向島署十三番ら六名の被告人は、北舎区長に対しまして「拘置所の職員が斎藤に兇器を持たせて、われわれを殺しによこしたのであり、危険なこの場所にはおられぬから釈放せよ」とその回答を迫りましたが、回答が遅れましたので、一時は向島署十三番ら六名の被管人及び同病舎の被告人七名が、所持品を整理し更衣して「釈放なつた」と呼号しながら、隊伍を組んで病舎を立ち去る事態も生じましたが、管理部長の四時間にわたる説得により、ようやく静まつたのであります。  そこで拘置所側におきましては所、所内の秩序を維持し、同時に向島署十三番ら六名の身体の保全を考慮し、同人らに対し転房を求めたところ、応じなかつたため、やむなく新病舎に強制的に転房せしめたのでありますが、同人らはこの措置を不服といたしまして、房内のガラス等を破壊し、破片を職員に投げつけるなどの暴行の挙に出たのであります。その際に同被告人らの中には、みずから負傷した者もあつたようであります。  以上の次第でありまして、本件についての同拘置所の措置につきましては、同被告人らに対し、人権蹂躙にわたる取扱いをしたとは認めがたい実情であります。拘置所内の規律を維持するに万全を期することは必要ではありますが、同時にまた収容者といえども人権を尊重いたしますことは当然でありますので、今後なお一層人権擁護に努力いたしたい所存であります。     ―――――――――――――
  73. 田嶋好文

    田嶋委員長 これにて請願日程全部について一応の審査を終了いたしました。これより本委員会の態度を決定いたします。請願日程第一ないし第七及び第九の各請願は、いずれも採択すべきものと決し、院議において採択の上は、内閣に送付するを適当と認め、他はその決定を留保いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。従つてこの福岡高等裁判所支部並びに同高等検察庁支部鹿児島市に設置請願は留保いたします。それから久万の台附近少年院設置反対請願、それから東京拘置所における拘留被告人権じゆうりんの請願、これは留保いたします。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いとうございますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さようはからいます。     ―――――――――――――
  76. 田嶋好文

    田嶋委員長 次に陳情書審査を行います。  まず陳情書の内容につきましては、文書表にて御承知のことと思いますが、本日の陳情書日程第一ないし第三七はいずれも戦犯服役者に関するものであります。これらはいずれもその趣旨は妥当と認められますので、本委員会において了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 田嶋好文

    田嶋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に、日程第三八、住民登録費増額に関する陳情書について、当局の意見を聴取いたします。
  78. 押谷富三

    押谷政府委員 住民登録は市町村の事務でありますが、制度の創設にあたり臨時に必要な経費につきましては、すでに本年度予算による市町村補助金として相当額が交付されましたので、制度実施の際における一齊登録のために必要な所要費は、全部国において調整し、市町村に配付されたのであります。政府といたしましては、全国市町村における実績から見まして、住民登録制度創設に必要な最小限度の経費は、右の補助金でまかなうことができるものと考えている次第であります。また右の補助金でまかなうことのできない経費につきましては、本年度地方財政平衡交付金中に所要額が計上されておりますので、この上さらに住民登録事務に関して補助金を増額配付することは困難であろうと考えております。     〔委員長退席、小畑委員長代理着席〕
  79. 小畑虎之助

    ○小畑委員長代理 御質疑ありませんか――御質疑がなければ、次に死刑撤廃に関する陳情書について、当局の意見を聴取いたします。
  80. 押谷富三

    押谷政府委員 死刑廃止につきましては論議の存するところでありますが、英米を初め世界の文明国のほとんどすべてにおいて、なお死刑が存置されており、わが国におきましても、最高裁判所は、昭和二十三年三月十二日大法廷判決以来、一貫してわが憲法は社会公共の福祉から、死刑制度の存置の必要性を承認いたしたもので、死刑は必ずしも憲法第三十六条にいわゆる残虐な刑罰ではないとしているのであります。結局死刑廃止の問題は社会情勢と関連するものでありますが、現在はわが国におきましてこれを廃止することは相当でないと考えております。
  81. 小畑虎之助

    ○小畑委員長代理 御質疑はありませんか――本日はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。     午後三時二十二分散会