○
金光政府委員 先般
政府委員より
有線電気通信法案、
公衆電気通信法案並びに
有線電気通信法及び
公衆電気通信法施行法案につきまして、
提案理由の
説明をいたしたのでございますが、その
提案理由を補足いたしまして、ただいまから
法案の
内容についてその
概要を御
説明申し上げたいと存じます。先般お
手元に三
法案の
要綱をお渡ししてあると存じますが、その
要綱をごらんになりながら
説明をお聞き願いたいと存じます。
まず
順序といたしまして、
有線電気通信法案から御
説明を申し上げたいと存じます。従来わが国における
電気通信関係の
基本法といたしましては、御承知のように
明治三十三年に
制定された
電信法、
明治三十三年に
制定された
電信線電話線建設条例、終戦後の
昭和二十三年にできた
電信電話料金法、この
三つがあつたのであります。このほかに
電波関係につきましては、
昭和二十五年に
電波法が
制定されたことは、すでに御
承知おきの
通りだと存じます。そこで
公衆電気通信関係及び
有線電気通信関係についての
基本法が、ただいま申し上げたように
明治時代に
制定されたということで、現在の諸
情勢から見まして、
内容的に非常に
変更すべき点があるわけでございますし、またその
内容におきましても、当然
法律で
規定さるべき
事項が
省令に委任されておるという面もありますので、この際新
憲法の
精神に基きまして、従来の
電気通信関係の
基本法を改正いたしまして、新たな
立法をいたすこととした次第でございます。従来の
基本法におきましては、
有線電気通信の
規律監督に関する面と、
公衆電気通信の
業務の
基本方針に関する
事項とを
電信法の中で一緒に
規定しておつたのでございますが、今回の
立法に際しましては、
有線電気通信の
規律関係については、
無線の
規律を
電波法でやつておるのと対応いたしまして、新たに
有線電気通信法を
制定いたし、
公衆電気通信業務の
基本法といたしましては
公衆電気通信法を
制定する。なお
昭和二十三年にできました
料金法もあわせて
公衆電気通信法の中に統合する、そういつた
方針を
とつたわけでございます。
そこで、まず
有線電気通信の
規律監督に関する
有線電気通信法のおもな
内容について申し上げますと、
制定の
方針といたしましては、従来
電気通信の
国家専掌を堅持していた
建前から、
私設設備についてはその
範囲を非常に限定してしかもこれを
許可主義にしていたわけでございますが、
私設の
有線設備についてしかく厳重な
規制をする必要がどこにあるかということを再
検討いたしまして、一方において
公社及び
会社の行う
公衆電気通信事業の
独占を侵害するおそれがあるかどうかという点、一方
設備的に見まして、他の
通信に
妨害を及ぼしたり、あるいは
人体、
物件に
危害、
損傷を及ぼすおそれがあるかどうかという技術的の面、この
三つの面から見まして、それらのおそれのないものにつきましては、今後
私設有線設備の
設置は
原則として自由にするというふうに、
方針を
変更したわけでございます。この点は従来の
電信法のとりました
建前から申しますと、まことに百八十度の転換を示したといつても過言ではないと存ずる次第であります。そこで
私設の
有線設備については、ただいま申し上げましたように、
公衆電気通信業務を行います
日本電信電話公社、
国際電信電話株式会社の
独占経営を侵害するおそれのない限りにおきまして自由とし、そのおそれのあります
私設有線電気設備の
共同設置、
接続、
他人通信の媒介、その
設備の
他人使用といつたものにつきましての、所要の制限を加えることといたした次第であります。
第二に、技術的な面からいたしまして、
他人の
設置する
有線電気通信設備に
妨害を与え、あるいは
人体に
危害を及ぼしたり、
物件に
損傷を与えないようにするために、
設備の
設置及び維持につきまして、
必要最小限度の
技術基準を設けまして、技術的の面からの
規制をいたすことといたした次第であります。
第三といたしまして、以上のような
方針で、
有線電気通信設備の
設置及び
使用に関する
規律の保持につきましては、できるだけ
設置者の
自律にまつ
建前を
とつたのでありまして、
許可だとか、あるいは
届出等の手続を要する
事項を極力少くいたして参りましたが、一方におきまして必要な技術的の指導を行う面からの
規制は必要でありますので、それらの点につきまして、
私設設備の
設置及び
変更につきましての
届出書を出させることといたした次第であります。以上が大体
制定の
方針であります。
次にこれらの
方針に基きまして、
法案のおもな
内容について申し上げますと、この
有線電気通信法で
規律する対象となるのは
有線電気通信設備と
信号設備でございますが、
有線電気通信設備というものは、導体を利用して
電磁的方式によつて、符号、音響または影像を送受する一切の
有線電気通信設備であるというふうに、この
法律の
規律対象を明らかにしたわけでございます。
信号設備につきましては、別に
有線電気通信設備ではございませんが、やはり他の
有線電気通信設備に
妨害を与えるおそれがありますので、この
妨害を排除する必要から、
技術基準に関する
事項のみを準用することといたした次第であります。
第二に、
私設有線電気通信設備の
設置につきましては、先ほど
方針の際に申しましたように、従来の非常に限定された
範囲を、今度は一人の専用に供するために、単独で
設置する
設備である限りにおきましては、
公衆電気通信系の一元化をそこなうおそれがございませんので、これは
原則として自由にすることにいたした次第であります。
第二に、
私設有線電気通信設備の
共同設置は、
公衆電気通信の
独占を侵害するおそれもできて参りますので、
原則として禁止いたしますが、構内だけの
設備だとか、あるいは
有線放送設備につきましては、自由に
設置してもよろしい、それから共同して行う
業務であるとか、あるいは緊密な
関係を有する
業務に
使用するための
設備であるとか、あるいは
公社のいずれの
電話加入区域にも属さないような非常に辺鄙な
地域にあります
設備につきましては
郵政大臣の
許可を受けて
設置することができることといたした次第でございます。
第三に、
有線電気通信設備の
使用関係でございますが、
私設有線電気通信設備の
接続につきましては、現在の
電信法では一切禁止しておりますが、この
法案におきましては、ただいま
共同設置の際に申し述べましたと同様に、
設備相互間の
接続は、この
共同設置と非常に似た形になりますので、
構内等の
設備相亙間、
有線放送設備相亙間だとかいうものについては、自由に
接続できる。あるいは
非常事態におきまして、
郵政大臣の
命令を受けて
緊急通信を行う場合にも、自由に
接続できる。それから
共同業務であるとか、あるいは
緊急業務に必要な
通信を行う場合、それから先ほど申し上げました
特定地域設備の場合におきましては、
共同設置と同様に、
郵政大臣の
許可を受けて
接続できることといたしたのであります。次に
他人の
通信を媒介したり、その他その
設備を
他人の
通信の用に供するということにつきましては、これは
公衆通信に非常に類似した行為になりますので、
電信法におきましては
主務大臣の
命令があつた場合以外は認めておりませんが、本
法案におきましては
非常事態におきまして
郵政大臣の
命令を受けて
緊急通信を行う場合、あるいは
接続を許された者相亙間の
通信を行う場合、その他法令に基きまして
通信を行う場合、及びその
設備が
特定地域設備だとか、あるいは
有線放送設備である場合におきましては、これができることといたした次第でございます。
第四に、
技術基準について申し上げます。この
技術基準につきましては、
有線電気通信設備の
施設者がみずから
規律するための技術的な
客観的標準としまして、
混信等の
有線電気通信設備相亙間の
妨害、あるいは
人体または
物件等に対する
危害、
損傷等を未然に防止し、あるいは排除するために
必要最小限度の
技術基準を
制定することといたしました。その
基本方針をこの
法案の中に入れまして、具体的な
基準につきましては、
政令をもつてこれを定めることといたした次第であります。
第五に、
設備の検査、
妨害の防止、及び
許可の
取消し等についてでございますが、ただいま申し上げましたような
技術基準を定めまして、できるだけ
施設者の
自律にまつわけでございますが、もし
有線電気通信設備が
技術基準に適合しないために、
他人の
設置する
有線電気通信設備に
妨害を与え、あるいは
人体に
危害を及ぼし、もしくは
物件に
損傷を与えると認められました場合には、
郵政大臣におきまして必要な限度においてその
設備の
使用の停止、改造もしくは
修理等の措置を命ずることといたしたのでございます。また第といたしまして、
郵政大臣は先ほど申し上げました
共同設置、
接続または
他人使用等の
許可にかかる
有線電気通信設備が、
許可の条件に適合しなく
なつた際におきましては、その
許可を取消すことができることといたしたのでございます。
第六といたしまして
異議の
申立て及び聴聞でございますが、ただいままで申し上げましたようなことで種々の
行政処分がなされるわけでございますが、不当な
行政処分の
救済手段といたしまして、
異議を申し立てる道を開きます。また
行政処分の公正を期するために
許可の
取消しを行う場合、あるいは
異議の
申立てを受理した場合におきましては、公開による聴聞を行うことといたした次第でございます。
第七といたしまして、
信号設備でございますが、
信号設備は
有線電気通信設備ではございませんが、これに類似した
電気的設備といたしまして、
一般通信系に
妨害を与えるおそれがありますので、
技術基準及びこれに関連いたしました
使用の停止、改造、
修理等の
措置命令というような
事項につきましては、準用することといたしたのでござといます’。
第八といたしまして、
罰則でございますが、
罰則につきましては、
有線電気通信設備の保護、
通信の
秘密の
確保、この
法律の
施行の
確保のために
必要最小限度の
罰則を設けることといたしたのでございます。
最後に
施行期日でございますが、この
法律の
施行期日は別途に
施行法の中で
規定することといたしまして、一応二十八年の四月一日を予定している次第でございます。
以上が
有線電気通信法案のごく
概要でございます。
次に
公衆電気通信法案の
概要についてお話申し上げたいと存じます。
公衆電気通信法につきましては、その
制定の
基本方針といたしまして、まず第一にこの
法案は
有線及び
無線を通じます
公衆電気通信業務に関する
基本法といたした次第でございます。
第二といたしまして、従来の
電信法におきましては、
事業保護のために必要として設けられております各種の
特権的規定や
罰則が相当多いのでございますが、新
憲法の
精神に即応いたしまして、極力これを廃止いたしまして、
事業の
特殊性に基きまして真に必要とするものだけを存続せしめることといたした次第でございます。
第三といたしまして、
公社の行います
公衆電気通信設備の
建設及び保存につきましては、従来
電信線電話線建設条例によつておりましたが、この条例は相当現在の
社会情勢から見まして特権的な色彩が濃厚でございますので、今回はできるだけ
土地收用法の
精神を生かしまして、
土地收用法により得ないところの
公社の
建設、保存いたします線路その他の
空中線等につきまして、特にこの
公衆電気通信法の中に
土地収用法の特例的な
規定を設けまして、その他のものにつきましては
土地収用法の
規定によるということにいたした次第でございます。なおこれらの
手続等も民主化いたしますと同時に、適正な補償をなすということにいたしておる次第でございます。
第四といたしまして、現在は
電信法のもとにおきまして
省令に委任されて
電報規則なりあるいは
電話規則中に基本的な
電信電話の
サービスが
規定されておりますが、その中で特に
法律で
規定することを適当と認められるものにつきましては、現在の
社会、経済の実情に沿うために必要なる
変更を加えまして、これを
法律で
規定することといたしました。
第五といたしまして、
料金につきましては、現在
電信電話料金法におきまして、
主要料金、基本的な
料金のみならず、附加的の
料金もすべてこれを包容しているのでございますが、今回は
主要料金のみをこの
法律の中で
規定いたしまして、附加的の
料金につきましては
郵政大臣の認可を受けて
公社または
会社が定めることといたしたのであります。
第六といたしまして、
国際電気通信業務につきましては、条約に別段の
規定がない限りにおきましては、この
法律を適用することといたしたのであります。
次に
法案のおもな
内容について申し上げますと、総則におきましては
公衆電気通信業務の全般的な
規定を置いたわけでございまして、その中のまず第一といたしまして、新
憲法に
規定してあります国民の法のもとにおける平等、表現の自由及び
通信の
秘密の
確保を保障するために、
公衆電気通信サービスの提供及びこれが利用につきまして、利用の公平、検閲の禁止及び
秘密の
確保に必要な
規定を設けることといたしたのでございます。
第二といたしまして、
非常災害時等におきます
重要通信を
確保するために、
公社が
郵政大臣の認可を受けて定めます
基準に従いまして、
公衆電気通信業務の一部を停止することを認めたのでございます。
第三といたしまして、現在におきましても
公社は
郵政省に委託いたしまして、
郵便局で
公衆電気通信業務の一部を行わせているのでございますが、今後におきましてもこの
方針を継続いたしまして、この
法律にその根拠となるべき
規定を入れたのでございます。
第四といたしまして、
郵政省以外におきましても、
公衆電気通信業務の一部委託を適当と認めたものにつきましては、その
事務の委託ができることにいたしたのでございます。
次に今回
国際電信電話株式会社が設立されることになりますと、
国際電気通信業務は、
会社と
公社と双方で行うことと
なつております。その
国際電気通信業務の分界を定めますために、
政令で
会社の行います
国際電気通信業務の
範囲を定めることといたしておるのでございます。この
国際電信電話株式会社の行います
国際電気通信業務の
範囲というものは、どういうふうに定めるかと申しますと、逆に
公社の方で行いますものを申し上げますと、
公社はごく一部の
国際電気通信業務、ただいまにおきましては先般も御
説明申しました
通り、南西諸島との間の
国際電気通信業務を行うことといたしまして、その他大半の
国際電気通信業務はあげて
会社が行うことといたすのでありますが、一応
公社及び
会社の行います
業務の
範囲をこういうふうにわけましても、末端の
業務におきましては、
相互においてその
業務を行う必要がございますので、これらの点に関しましては、
相互に委託して行うことができることといたしたのでございます。以上が総則に定められております主要な
事項でございます。
第二に、
電報についての
規定でございますが、
電報につきましては、現在の
電報規則等で定められました
規定をほとんどそのまま踏襲しておりまして、特に
内容において変革を加えた点はないのでございます。ただ現在は
電報の種類は
発信者の区別によりまして、
官報、局報、私法という三種にいたしております。また送達上の順位は至急
官報、至急私報、
官報、局報、私報、翌日
配達電報という順に
なつておりますが、これを改めまして、
電報の種類は
通常電報及び
特別電報とし、至急
電報、
普通電報、翌日
配達電報、こういう
順序にいたした次第であります。
なお送達につきましては、特に特例といたしまして天災、事変その他の
非常災害時におきましては、特に災害の予防、救援、
交通通信、電力の供給の
確保、または
秩序維持のために必要な
電報、いわゆる
非常電報は前項の
順序にかかわらず、他の
電報に先だつて優先的な伝送及び配達をする。第二に
非常災害時でなくとも、特に公共の利益のために緊急送達を要するような
内容の
電報につきましては、
公社が定めますもの
相互間のものにつきましては、前項の
順序にかかわらず優先的な伝送、配達をするといつた特例を定めたのでございます。
第三といたしまして電話でございますが、電話につきまして特に今回
内容において御
説明を申し上げるような
変更を加えました点のみを申し上げますと、第一といたしまして、現在は加入電話の種類は、単独加入と共同加入という二つにしておるのでございますが今回は加入電話の種類といたしまして従来の甲種増設電話機、いわゆるPBXの局線にあたる電話を、新たに加入電話という観念として扱うことといたしたのであります。
第三に加入電話の利用
関係につきましては、加入権の問題につきましては従来から
法律上の性質について種々疑問がありましたので、この加入電話の利用
関係を私法上の契約
関係だということを明らかにいたした次第でございます。
それから第三といたしまして、従来は単独電話及び共同電話の電話機あるいは構内交換
設備の
設置場所は、加入者の住所、居所または
業務に
使用する場所であることを要します。官公署、法人等におきましては、特にその高級職員の住宅に
設置することを認めておつたのでありますが、今回はこれを広げまして、加入者の
使用人及び加入者の行う
事業に従事する者の場所に設署することを認めることと
なつたのでふります。
次に構内交換電話の内線電話機の
設置の場所でございますが、これは
原則といたしましては、その加入者の構内区域に限られておつたのでございますが、ビルデイング等につきましては、特に電話の不足を救済し、あるいは重複
施設を避けるために、内線電話機の一部によつて、
他人に通話させることを認めることを
公社と契約いたしましたときには、同一ビル内の
他人の
事務所にも内線電話機を
設置することを認めることといたしておるのであります。
それから次に現在の段階におきましては、
予算等の
関係におきまして、電話の申込みに全面的に応ずるということはできませんので、現在の
電話規則で
とつておりますと同様に、公益上の緊要な
業務を行うもののみの申込みを優先的に承諾するという、優先受理の
精神をそのまま踏襲しておるわけでございます。それから
昭和三十四年の二月十五日以降におきましては、御承知の
通りポツダム
政令によりまして、電話の加入権の譲渡を禁止して参つたのでございますが、御承知の
通り昨年の十月一十四日をもちまして、この
政令が失効になりましたので、
電話規則の改正によりまして、今までいわれておりました
昭和二十四年二月十五日以降の新電話というものの譲渡禁止を解除したわけでございます。この
方針は今回の
法律におきましても、そのまま踏襲いたしましたが、ただ投機的な加入申込みを抑制する必要から、電話加入権を
他人に譲渡した人は、その譲渡の日から一年以内におきまして、さらにその人がその電話を譲渡いたしましたと同一の加入区域において新たな申込みをした場合におきましては、その加入申込みを承諾しないことができるということといたしたのでございます。この点につきましては、現在
省令において行つております
方針と同様でござ
次に現在は普通加入区域内におきましては、加入電話の
設置について、装置料のほか、特別の
料金の支仏いを要しないことに
なつておりますが、特別加入区域内及び加入区域外に加入電話を
設置します場合には、装置料のほかに、特に現在の
公社財政の状況から、特別に
費用のかかる電話を
設置することが困難でございますので、それらの特別区域及び加入区域外におきます加入電話の
設置につきましては、電話線路の新設に要する
経費を加入者に負担させることにいたしておるのでございます。
次に市外通話
関係につきましては、現在と大体同様でございまして、特別に
変更を見ておりません。
非常災害時等の場合におきます非常通話あるいは公益上必要なる場合の緊急通話というものにつきましては、先ほど
電報で御
説明したと同様のことで、特に優先扱いをすることといたしておるのでございます。
それから次に
公衆電気通信設備の専用
関係でございますが、この専用につきましても、大体現在の制度と同様でございます。専用者は、
原則といたしまして一つの専用契約につきまして一人に限るということにしておりますが国の機関及び地方公共団体、その他同一の
業務を行う二人以上の者、
相互に
業務上緊密な
関係を有するために、その間の
通信を必要とする二人以上の者というものにつきましては、共同して専用契約を申し込むことができるというふうにいたしておるのでございます。
また専用契約につきましても、先ほどの加入電話の申込みと同様に、全部の需要に応じ得ないために、公益優先の
精神をここにも取入れたのでございます。それから専用契約につきましては、加入電話と違いまして、これが特に財産権の対象ということに
なつてもおりませんし、またこれはごく少いものでもございますので、特にこれは移転の目的とすることができない。相続及び合併の場合のみについて承継を認めるということにいたしたのでございます。
それから専用契約に基きますこの専用
設備を
他人に
使用させたり、あるいは業としてその
設備によりまして
他人の
通信を媒介するということは、これは
公社の線を借りてさらに
公衆通信類似の
業務をいたすことになりますのでこれは
原則として禁止しておるのでございますが、特に例外といたしまして天災、事変等の
非常事態が発生したりあるいは発生するおそれがあります場合に、災害の予防、救援等重要緊急の
事項を通報するとき、及び他の
法律におきまして特定の者の
電気通信設備を他の特定の者が
使用することができる旨を定めております場合におきましては、専用
設備を
他人に
使用させることを認めることといたしておるのであります。
第五といたしまして
料金でございますが、
料金につきましては先ほど申し上げましたように、現在におきましては
電信電話関係の各種役務の
料金は、全部
料金法で定めてあるのであります。例外といたしましては国際
電報と国際電話に関する
料金等は法定してありません。その他はすべて法定してあります。
公社または
会社の行います
公衆電気通信業務の
独占的
経営なので、
事業者であります
公社または
会社が一方的に
料金を決定するということはもちろん不当でありますが、現在のようにすべての
料金を法定することも、かえつて
公社の
経営の自主性を妨げる面もございますので、特に一般国民に重大な影響のあります基本的な
料金のみを
法律で定めることにいたしまして、その他の附加的な
料金につきましては
郵政大臣の認可を受けて定めることといたした次第でございます。
国際
電気通信関係の
料金につきましては、金フランあるいは外国通貨で定められておりまする場合が多いのでございますが、こういう場合におきましては、
公社または
会社がその
料金を邦貨に換算する割合が、これは利用者に非常に大きな影響がございますので、この換算割合を定めます場合は
郵政大臣の認可を受けることといたしたのでございます。
それから次に不法に
料金を免れた者に対しましては、その免れた額のほかに、その免れた額の二倍に相当する額を支払うという義務を負わせることにいたしまして、不法
使用を避けることといたした次第であります。
なお
料金の返還でございますが、
電報が受取人に到達しなかつた、あるいは
電報が非常に遅れて到達した場合、加入電話が二日以上も継続して不通に
なつた場合というような、
サービス本来の
趣旨にもとるような場合におきましては、現在におきましてもその
サービスにかかる
料金を返還することに改めたのでございますが、この
法案におきましても、その返還の場合をさらに追加いたしておるのでございます。
それから次に土地の
使用関係につきましては、
電信線電話線建設条例というものが
明治二十三年に
制定されました。非常に古い
法律でありますために相当現在の
情勢から見て行き過ぎの面が多いのでございますので、一方におきまして公共の福祉を
確保すると同時に、一方において財産権の尊重ということを適当に調整するということを基調といたしまして、
電信電話線路に必要な土地の
使用等につきまして必要な
規定を設けたのでございます。まず第一といたしまして
公社は、現在の
規定と同様に
公衆電気通信業務の用に供します線路及び空中線並びにこれらの付属
設備を
設置するために、
他人の土地及びこれに定着する建物その他の工作物を
使用することができることといたしたのであります。しかし現行
規定におきましては、その
使用についての制限を定めておらないのでありますが、本法におきましてはその土地の利用を著しく妨げない限度というふうに制限をつけたのであります。
また土地等を
使用する権利の存続期間というものが現在においてはないのでございますが、今回は特に地下ケーブルその他の地下工作物あるいは鉄筋コンクリートづくりの地上工作物の
設置に必要なものについては五十年、その他のものにつきましては十五年というふうな存続期間を明定いたした次第でございます。
それから次に土地等の
使用の手続でありますが、現行
規定と異なりまして土地等の権利者の権利または利益の保護をはかるために、都道府県知事の認可を受けて土地等の所有者と協議に入り、協議がととのわないときには都道府県の知事が裁定をするということに改めたのでございます。
こういうふうな方法で設定されました土地等の
使用権に対しましては、小社は土地等の
使用によつて通常生じます損失を償うように、線路及び土地の種類ごとに
政令でその対価を定めまして、その対価を支払うことといたしたのであります。
次に
公社が
他人の土地を一時
使用したり、あるいは
他人の土地に立ち入つたり、あるいは植物の伐採等を行うことによりまして損失を与えた場合においては、これを補償することにいたしました。その損失の補償につきましては
公社と損失を受けた者とが協議することができず、または協議がととのわないときは、都道府県の知事の裁定ということにいたした次第でございます。
次に水底線路の
関係でございますがこれにつきましては水底線路の敷設と漁業権との調整の必要が起るわけでございますので、特に水底線路と漁業権の調整のために次のようなことを
規定したわけであります。水底線路を敷設しようとします場合には、
公社または
会社は
郵政大臣及び都道府県知事にまず届出をする。都道府県知事は、漁業権が設定されている水面につきましては、右の届出があつたときにはこの漁業権に関する利害
関係人の意見を聞いて、
公社または
会社は必要のある場合にはこれを
変更しなければならないという
規定を置いたのでございます。
また都道府県知事は、
公社または
会社の申請がありました場合におきましては、水底線路を保護するために必要があるときには、右の指定された保護区域内に
設置されている漁業権を
取消したりあるいは
変更したりしなければならない。その場合
公社または
会社がその
取消しまたは
変更によつて生じた損失を補償するというような
規定を置いたわけであります。
次に雑則といたしまして、この中で構内交換電話の交換
設備及び内線電話機または専用
設備の専用者の宅内に
設置される端末機器等についての
設置等についてのことをまず
規定しておるのでございます。現在は
公社におきまして
原則として
設置、保存をいたしまして、ことに加入者の
事業の性質上、
公社による
設置及び保存が不適当である場合等、特別の場合に限りまして加入者または専用者の自営を認めておるのでありますが、今回は利用者の
要望等にかんがみまして、これらの
電気通信設備及び船舶に
設置する加入電話の
設備は今後
公社が行いますほか、加入者または専用者において自由に
設置及び保存することを認めることといたしたのであります。但しこの場合
設置及び保存につきまして何らの
規律を設けないということになりますと、
設置者のみならず一般の
公衆電気通信業務に支障を及ぼすおそれがありますので、その
設置及び保存につきましては、その支障を防止するために、必要な限度におきまして
公社が
郵政大臣の認可を受けて定めます
技術基準に適合するものでなければならないこと、及び工事に従事する者は、
郵政省令の定めるところによりまして
公社が認定する一定の資格を有するものでなければならないということといたした次第でございます。
第二に、利用者の利便をはかるために
私設有線設備の
公衆電気通信設備への
接続を認めたのでございます。
原則としてはもちろんこれは認めないわけでありますが、特にその
接続しようとする
私設設備は、
公社が
郵政大臣の認可を受けて定める
技術基準に適合し、
公社の
業務の遂行に支障を及ぼすおそれがない場合に限りましては、これの
設置を認めることといたしたのであります。その場合といたしましては、専用
設備にその専用者が
設置する
私設の
有線設備を
接続するとき、あるいは内線電話だけと通話ができるように、
私設設備の回線を
接続するときということにいたしたのであります。また以上の場合のほか、
私設有線設備を
接続することが公共の利益のために必要である場合には、例外として
私設有線設備の
接続を認めることとしたのであります。
次に
公社または
会社は、外国政府、または外国人もしくは外国法人との間に
国際電気通信業務に関する契約を締結し、あるいは
変更したり、あるいは廃止したりしようとする場合において、
郵政省令で定める
事項を
内容とするものであります場合には、その締結
変更廃止につきまして、
郵政大臣の認可を受けなければならないことといたしたのであります。現在外国の
通信事業社、たとえばアメリカのRCA
会社あるいはデンマークの大北
電信電話会社との間にこの協定を結んでおります、そういうものを言つておるわけであります。
第四といたしまして、
公社は現在は
電信法の
規定によりまして、電話の取扱いにつきましては一切賠償の責に任じないことと
なつているのでございますが、その点につきましては現在で相当いろいろな問題もあつたのであります。今後におきまして
サービスの不履行について、一切賠償を行わないというのは適当でない。さればといつて民法の一般
原則によるということになりますと、
電気通信業務のごとく瞬間的にしかも大量の
通信を取扱う
業務の性質からしまして、適当ではないのでありまして、よつてこれら両者の要請を折衷いたしまして、本
法案におきましては限定賠償の
方針をとることといたしたのであります。
サービスを提供すべき場合におきましてその提供しなかつたことによりまして、利用者に加えました損害が、不可抗力あるいは利用者の故意もしくは過失に基かない場合におきましては、
電報の遅延及び下達、照合
電報の
通信文における誤謬、加入電話の五日以上の不通等によつて生じました損害について、その
料金額の五倍を限度として賠償することにいたしたのであります。
次に
罰則でありますが、これは
公衆電気通信業務の運行の
確保、
通信の
秘密の
確保、
公衆電気通信設備の保護及び
公社または
会社の職員の本法違反の防止に備えるため、
必要最小限度の
規定にとどめたのであります。
次にこの
法律の
施行期日でありますが、この点は先ほどの
有線電気通信法で御
説明申し上げたと同様に、
施行法の中でそれを定めるわけでありますが、
有線電気通信法と同様四月一日と予定しておるわけであります。
次に
料金関係について御
説明申し上げます。今回の
公衆電気通信法の別表に、先ほど御
説明申し上げましたような
使用料金を掲げてあるのでございますが、今回
公社におきましては、現在の
收入の約一割に当ります八十億円の増收をはかることといたしまして、
昭和二十八年四月一日よりその
料金改訂を行うこととし、所要の新
料金をこの別表中に掲げたわけでございます。それらの
料金改訂のごく
概要について御
説明申し上げます。
まず第一に
電報料金でございますが内国
電報においては現在におきましても相当の赤字を出しております。
電報の原価中に占めます
人件費の比率は電話よりも高いという
関係から、昨年十一月から行われました給与ベースの改訂等の結果から見ますと、ますます
事業の赤字が増大する。そのために収支比率がますく悪化するというような結果に相
なつておるのでございまして相当大幅な
料金値上げも必要でございますが、今回は
電報料金につきましては最小限度の値上げを行うことにとどめることにいたしまして、市外
電報の基本料を現行十字まで五十円のものを六十円に改正することだけにとどめました。五字ごとに十円の累加料につましてはすえ置くことといたした次き第であります。なおその他の
電報料金、たとえば市内
電報料金あるいは翌日
配達電報料につきましては、やはりすえ置きということにいたした次第であります。そこで値上げをいたします市外
電報料の値上げ率がどの程度になるかと申しますと、現在の市外
電報の平均字数は二三・五字でございます。この二十三・五字で計算いたしますと、今回の基本料が五十円から六十円に十円上つたことによりまして、約十三%の
料金値上げとなることになります。
次に市内電話の
料金でございますが、市内電話の
料金につきましては、度数制の局と均一制の局とにわけて御
説明申し上げます。
度数制の局につきましては、現在御承知のように東京、
大阪等の大
都市の市内電話は、市内の通話区域が漸次大きくなりました。それと同時に加入者の数も非常に多く
なつた。そのために電話の利用価値につきましても他の度数制局に比べますと、非常に利用価値が高いものと
なつておるわけでございます。またこのためには基礎
設備も非常に多額の
経費を要するのであります。そういう
設備の固定費に相当いたしますものが、この基本料なのでございます。この基本料のみを度数制局については改訂することといたしまして度数料はそのまますえ置きということにいたした次第であります。度数制の局のみならず均一制の局も含めまして現在の電話の局種別というものは御承知の
通り一級から十級までの十段刻みにしておるのであります。たとえばこの一級局というのは加入者が五万以上の局をさしておるのであります。この一級に該当するのは現在東京と
大阪であります。東京は約二十一万、
大阪が約八万五千の加入者があるのでございます。そこで同じ一級と申しましても東京と
大阪におきましては、その利用価値等にさらに相当の開きがあるのでございます。この際電話の局種別の刻み方を
変更いたしまして、現在まで五万以上は全部一律に一級局といつておりましたものを、今回はさらに五万の上に一つの段階を設けました。五万から十五万まで、十五万から二十五万まで、一十五万以上、こういう
三つの段階をさらに今回新設することといたしたのでございます。そこで新しい二十五万の局を新しい一級局と称する。そうしますと従来一級局でありました東京は、今回の新しい刻みで申しますと十五万から二十五万までの二級になるわけでございます。なお
大阪は今回の新しい三級局となるということになる」わけでございます。そこでそういうふうに局の刻み方をかえまして、新しい一級局につきましての
事務用の単独電話の基本料は九百五十円となりますがこれは現在のところ該当するものがないわけであります。次に二級局につきましては——現在の東京はこの二級局に当りますが、現在が五百四十円でございますが、これがここに書いてあるように八百円になるわけであります。それから
大阪につきましては現在の五百四十円が七百円になるわけでございます。ところが度数制の局は御承知のように、基本料とそれにプラスして度数料によつて電話の
使用料が定まるわけでございます。そこで従来の基本料プラス度数料、今回の値上げによる新しい基本料プラス度数料ということで、一体どの程度の値上げになるかということを総合して計算いたしますと、現在東京、
大阪におきまする一加入者一日当りの通話度数は八・八度でございます。それで計算いたしますと、東京におきましては単独の
事務用一加入者につきまして約一四%、
大阪におきましては八・六%の値上げになるわけでございます。以上の東京及び
大阪の局の基本料を
基準といたしまして、漸次従来の二級、三級、四級、五級、新しい四級から七級までの基本料をそれぞれ、定めて参ります。それと同時に、均一制の
使用料につきましては、今回の新しい五級局、昔の三級局におきます度数制の
施行局におきます
料金とバランスをとりまして、大体それと同額になるものを押えたわけであります。
事務用で申しますと、いわゆる五級局、昔の三級局の均一の
使用料を千五百三十円、度数料を入れました度数制
施行局の五級局の
事務用の
料金も、平均いたしますと大体千五百円程度になる、それを押えまして以下六、七、八級の
事務用の基本料をそれぞれ算出したわけであります。なお九級局以下につきましては、従来の均一制をすえ置きにいたしております。
さらに住宅と
事務用の差でございますが、これにつきましては先ほども申し上げましたように、基本料が
設備の固定的なものに相当するものであるとすれば、住宅用であろうと
事務用であろうと、その
使用度数によつて差があるわけではないのでありますが、従来はいろいろな事情を加味いたしまして特に住宅用は、
事務用よりはある程度基本料におきましても均一
使用料におきましても、安くしておつたのでございます。今回はその逓減率を多少高めまして、基本料の度数制の
施行局につきましては、
事務用と住宅用との逓減率を従来七〇%であつたものを八五%程度にする。それから均一制の
施行局につきましては、現在六〇%程度であつたものを七〇%程度まで上げるということにいたした次第でございます。
次に市外通話料でございますが、市外通話料につきましては、近距離区間におきます
料金が相当に原価を割つておりますので、これを
経費に相応ずるような合理的な
料金に是正する必要がありますので、この際それらの区間の
料金の値上げを行うこととなりました。現在の待時区間の最低
料金七円を十円に、それから八百三十キロまでのそれぞれの区間におきましては、それぞれ現在の
料金プラス五円ずつの値上げということにいたした次第であります。なお八百三十キロ以上の区間につきましては、すえ置きということにいたしております。
また即時、準即時区間につきましては、現在の待時区間に対します普通通話料の三割ないし六割増しに
なつておりますが、それは準即時区間の
サービスというものから考えますと同時に、二十八
年度中には、東京・
大阪間、あるいは東京、
名古屋、
名古屋・
大阪間におきまして、ほとんど即時に近い新規の市外通話
サービスが開かれることとなりますので、これらの点も考え合せまして、今回は普通通話料の五割ないし八割増しとすることといたした次第でございます。
次に市外専用電話料、電信専用料及び市内専用電話料についてでございますが、これらにつきましては、現在の市外専用電話料につきましては、今回市外通話料の値上げに伴うだけの改訂にとどめまして、
料金算定の基礎と
なつております市外通話料に対します倍率を
変更をいたさない。一般の市外専用料は、普通通話料の二百倍ということに
なつておりますが、これらの倍率については
変更しないことといたしております。なお電信専用料と市内専用電話料につきましては、現在の
料金が相当安いので、これにつきましては、大体五〇%程度の値上げを行うことにいたしておる次第でございます。
以上で
公衆電気通信法のごく
概要の御
説明を終ります。
次に
有線電気通信法及び
公衆電気通信法の
施行法のごく
概要のみをお話申し上げます。
この
施行法におきましては、先ほども申し上げましたように、まず
施行期日を定める。この
施行期日につきましては、
公衆法、
有線法は二十八年四月一日から
施行することにまず定めたわけであります。
次にこの両法の
施行によりまして、従来の
基本法でありました
電信線電話線建設条例、
電信法及び
電信電話料金法の三法を廃止することにいたしたわけでございます。これらの
法律を廃止することに伴います経過
規定が必要となりますので、これらの経過
規定をまず定めます。それと同時に他の法令で、今回の両法の
制定に伴いましていろいろと改正すべき点が出て参りますので、それらの法令の改正をこの
施行法の中で行うこととした次第であります。たとえば
電波法の改正をこの
施行法で行うことといたしておりますが、
電波法の中にあります
公衆通信業務というものの
内容が、新しく
公衆法で定めます
公衆通信業務の
範囲と若干表現において食い違いがある点がありますので、これらの点を一緒にするというような点であります。また次に
設備費負担臨時措置法の中におきましても、新しい
公衆法の
施行に伴いまして相当改正すべき点が出て参りましたので、これらの点の改正を行うというようなことで、
関係法令の改正の条項をこの
施行法の中にうたつたわけでございます。
以上ごく簡単でございますが、三
法案の
概要について御
説明申し上げた次第でございます。