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1953-02-28 第15回国会 衆議院 外務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十八日(土曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 栗山長次郎君    理事 松本 瀧藏君 理事 戸叶 里子君       今村 忠助君    木村 武雄君       近藤 鶴代君    中山 マサ君       松田竹千代君    森下 國雄君       安東 義良君    高岡 大輔君       並木 芳雄君    加藤 勘十君       福田 昌子君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         国家地方警察          本部警備部長  山口 喜雄君         外務政務次官  中村 幸八君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         厚生事務官   高田 正巳君         食糧庁長官   東畑 四郎君         特許庁長官   長村 貞一君  委員外出席者         労働事務官         (大臣官房国際         労働課長)   橘 善四郎君         日本電信電話公          社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁     靱   勉君         専 門 員   佐藤 敏人君     ――――――――――――― 二月二十五日  委員谷川昇辞任につき、その補欠として黒金  泰美君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員大橋武夫君及び亘四郎辞任につき、その  補欠として生田和平君及び近藤鶴代君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十七日  委員黒金泰美辞任につき、その補欠として谷  川昇君が議長指名委員に選任された。 二月二十五日  病院、療養所周辺軍事基地等撤廃の請願(石  野久男君紹介)(第二八九五号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百  二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三  十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の  原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年  四月十四日のマドリツド協定への加入について  承認を求めるの件(条約第四号)  職業安定組織構成に関する条約(第八十八  号)の批准について承認を求めるの件(条約第  五号)  工業及び商業における労働監督に関する条約(  第八十一号)の批准について承認を求めるの件  (条約第六号)  団結権及び団体交渉権についての原則適用に  関する条約(第九十八号)の批准について承認  を求めるの件(条約第七号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第九六号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまから会議を開きます。  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリツド協定への加入について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関しましては一応質疑を打切りましたが、戸叶委員から一、二点につき質疑をしたいとの申出があります。これを許します。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    戸叶委員 この協定の中にアメリカが入つていませんけれども、その理由はどういう理由でしよう。  それからもう一点は第三条の二の中に「ぶどう酒目録」ということがあるのですけれども、特にそれをあげた理由は、何かフランス関係があるように思うのですが、その点を説明していただきたいと思います。
  4. 下田武三

    下田政府委員 御質問の第一点につきましては、アメリカ加入しておりません理由はつきり申し上げることができないのでございますが、私どもの推測では、第四条の但書各国裁判所を拘束する規定がございます。第四条は貨物名称通有性理由をもつてこの協定適用を除外し得るという規定になつていますが、但書におきましてぶどう生産物原産地名称については、たとい国内裁判所が、その名称通有性を持つておるといつてこの条約適用を除外するというような決定をなそうとしても、そういうことをしてはいかぬということを条約規定しておるわけです。従いまして裁判所法令解釈権と申しますか、この条約解釈権を当初から拘束しておるわけであります。アメリカ裁判所というものはこのような拘束を受けることを伝統的に好まないので、この条約に入ることはアメリカとしては困難があつたのではないか、そう推測しております。  御質問の第二点の第三条二、これは仰せ通り、この条約が元来フランスでございますとか、ポルトガルでございますとか、ぶどう生産物に非常な利害関係を持つておる国の発意でできた条約でございます。御承知のようにフランスシヤンパンでございますとか、コニヤツクでありますとか、ポルトガルのボルト、そういう地方的名称を持つておりますぶどう生産物が、ヨーロツパ諸国初め各国模造品がたくさんできました。そういう模造品を坊ごうというところから、フランスポルトガル等の国が主張してこういう条約ができたのでありましてまさにお説の通り、そういう伝統的な意味合いがあるわけでございます。
  5. 戸叶里子

    戸叶委員 そこで問題になつて来ますのは、原産地虚偽表示というその定義の範囲だと思うのですけれども、たとえばポートワインとかいうような言葉つ、あるいはシヤンパンというような言葉が、日本で使えないというようなことになりはしないかということが、心配になつて来ると思うのですが、その点を伺いたいと思います。
  6. 下田武三

    下田政府委員 仰せ通り、この条約に入りますと、日本シヤンパンとかポートワインとかいう言葉は使えなくなるわけであります。それでどうすればいいかと申しますと、シヤンパン・メイド・イン・ジヤパンはつきり断つておけばいいわけであります。それを断りませんで、ただシヤンパンというようなお酒を売り出すことが、この条約で禁じられておるわけであります。
  7. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、そういう場合にはシヤンパン・メイド・イン・ジヤパンで済みますし、ポートワインもそうだと思いますが、それが輸出されない場合には、日本だけですと、その言葉使つてもいいわけなんですか。必ずどのポートワインなりどのシヤンパンにもメイド・イン・ジヤパンというマークをつけなければいけないのですか。
  8. 下田武三

    下田政府委員 かりにシヤンパン・メイド・イン・ジヤパンという断りのマークをつけないものが輸出されたとしましたら、それを輸入する方の国で、この条約に従いまして差押えをなし得る、そういう関係になつております。
  9. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、輸出しない場合は、日本国内だとその名前使つてもいいわけなんですね。メイドイン・ジヤパンをつけなくても、そのポートワインあるいはシヤンパンという名前使つてもいいわけなんですか。
  10. 下田武三

    下田政府委員 日本国内だけで販売する場合も、この条約の第一条第二項に、「差押は、原産地虚偽表示記入された国又はこの虚偽表示を有する生産物が搬入された国においても同様に行われる。」とあります。従いまして、たとい輸出されないでも、日本でその記入が行われるということは、シヤンパンというだけの記入が行われて、メイド・イン・ジヤパンという表示がなされてない場合には、やはり日本でこの条約従つて措置をしなくてはならぬ、そういう関係になります。
  11. 戸叶里子

    戸叶委員 それではこの条約に入つてずいぶん不便を感じると思うのです。たとえばポートワイン・メイド・イン・ジヤパンと一々書かなければならないということになつたり、それからまたもつと例を引いてみますと、たとえばフランスパンなんかも、フランスパン・メイト・イン・ジヤパンというふうに書かなければいけないことになりはしないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  12. 下田武三

    下田政府委員 多少そういう自由が制限されることは事実でございますが、これはやむを得ないことだと存じます。戦前から日本不正競争を云々しております国がございますので、やはり日本といたしましては、こういう条約に率先して加入して、誤解を解くことが必要だと存ずるのでございます。なおフランスパンというような名前は、この条約で問題としております地方的名称には含まれません。ですから、日本フランスパンと称して売つても、この条約には一向抵触いたさない次第でございます。
  13. 戸叶里子

    戸叶委員 今引いた例の中でもいろいろ問題がありますが、考えてみると、まだいろいろなことが起きて来はしないかと思うのです。やむを得ないことであるというふうな考え方でこの条約加入しないで、むしろこういうものは大体固有名詞の域から、もう普通名詞の域になつているのだということを、はつきり日本から意思表示をした上での協定加入ということが、私どもといたしましては最も望ましいし、また日本の国といたしましても、そうしないと非常に不便だと思うのですけれどもれ、この点のお考えについて伺いたいと思います。
  14. 下田武三

    下田政府委員 ごもつともでございます。ただ日本平和条約付属宣言でこの条約加入するという建前を表明しておりますので、やはり平和発効後一年以内にこの協定加入する手続をとらざるを得ないわけでありますが、一たびこの協定加入しました上は、将来この協定改正会議等におきまして、十分日本の利益を主張いたしまして、御指摘の問題等について十分善処し得る、またそういう加入国としての地位を得るためにも、この協定に入ることは必要だと存じます。
  15. 栗山長次郎

    栗山委員長 これにて質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。討論の通告がございますのでこれを許します。福田昌子君。
  16. 福田昌子

    福田(昌)委員 私、この法案に対しまして原則的には賛成いたすのでございます。しかしながら私どもの立場に一おきまして、今回提出されましたその理由が、講和条約付属になつております宣言条項の一部であるという形において提出されたそのことに関連して、少し述べさしていただきたいと思います。  私ども平和条約そのものは、日本独立と平和というものを考えました場合、サンフランシスコで結ばれました平和条約そのものが、日本の完全なる独立と平和をもたらすものでないということを心配いたしまして反対したものであります。しかしその付属宣言一つになつておりますこの協定が今日上程されましたが、この協定そのものは、日本の将来の商業上の信用国際的に博する意味におきましても、また工業所有権保護及び道義の上から見ましても必要であると思いますので、この法案には賛成いたします。
  17. 栗山長次郎

  18. 戸叶里子

    戸叶委員 私もこの法案には賛成をいたしますが今条約局長の御答弁を伺つておりまして、この条約そのものの中にいろいろ疑問に思われるようなことが包含されておりますので、こういう点を、協定を結んで信用を得た上におきましては、はつきりさせるというようなことに、努力していただくことを条件といたしまして、賛成したいと思います。
  19. 栗山長次郎

    栗山委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリツド協定への加入について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 栗山長次郎

    栗山委員長 御異議なしと認めます。よつて本件承認すべきものと決しました。  なお、ただいま採決いたしました件についての報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  21. 栗山長次郎

    栗山委員長 御異議なきものと認め、さように決定いたしました。
  22. 栗山長次郎

    栗山委員長 次に、職業安定組織構成に関する条約批准について承認を求めるの件、工業及び商業における労働監督に関する条約批准について承認を求めるの件、団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約批准について承認を求めるの件、及び在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案一括議題といたします。  政府側より逐次提案理由説明を求めます。中村外務政務次官。     ―――――――――――――
  23. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ただいま議題となりました工業及び商業における労働監督に関する条約職業安定組織構成に関する条約及び団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約について、提案理由説明いたします。  工業及び商業における労働監督に関する条約は、一九四七年に国際労働機関――ILOの第三十回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年四月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国を数えております。  この条約目的は、ILO加盟国労働監督制度を採用させて、各国における労働者保護に関する法規を忠実に実施せしめ、これによつて労働者保護を確保しようとするものであります。わが国におきましては、労働基準法により監督機関設置が定められておりまして、監督機関の任務、監督官の権限、資格等この条約規定内容は、すべて実施されているのであります。  次に、職業安定組織構成に関する条約は、一九四八年にILOの第三十一回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年八月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国であります。  この条約は、職業安定組織設置による雇用市場組織化目的としたものでありまして、これによつて失業防止及び雇用の増大をはからんとするものであります。わが国におきましては、すでに職業安定法により職業安定組織が維持されておりますほか、安定組織構成、業務の内容等この条約規定する条件は、すべて同法、失業保険法等により満たされております。  次に、団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約は、一九四九年にILOの第三十二回総会で採択されたものでありまして、一九五一年七月に効力を生じ、最近までの批准団は、十一箇国であります。  この条約は、労働者に与えられるべき基本的権利であります団結権及び団体交渉権の擁護を目的としたものであります。わが国におきましては、すでに労働組合法及び公共企業体等労働関係法によりまして、これらの権利保障を確保しております。  この三条約は、戦後わが国が初めて批准する労働条約となるわけでありますが、これらの条約批准することにより、わが国が公正な国際労働慣行を遵守している実情を広く世界に知らせ、また、将来もそれを維持して行くことを国際間に約束いたしますことは、ILO憲章の趣旨に沿つた国際協力を進める点からいいましても、またわが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて有意義であると考えます。  以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。  次に在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容を御説明いたします。  去る第十三回国会において、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律が制定せられ、昭和二十七年度内に設置すべき在外公館についての諸規定が定められました。  現在在外公館を増設する必要はなお切なるものがありますが、政府といたしましては、在外公館増置について慎重に検討を加えました結果、今般わが国外交施策を一段と推進いたしますため、特に通商関係増進の必要上、在キユーバ、在パナマ、在ヴエネズエラ、在ボリヴイア、在イラン、在オーストリア、在ルクセンブルグの七公使館、並びに在ベレーン、在ダツカ、在モンバサ、在ラゴスの四領事館、合計十一館を増置いたす方針を決定いたしました。なお右増置予定十一館のうち在パナマ、在ボリヴイア、在ルクセンブルグ公使は、それぞれ在メキシコ大使、在ペルー公使、在ベルギー大使をして兼摂せしめる方針であります。従つてこの三館につきましては当面、人員と予算を必要といたしませんが、法制上設置する必要があるのでございます。右の十一館増設のため、第一条におきまして、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正いたすわけでございます。  第二条につきましては、右十一館の増置に伴い、これら在外公館に勤務する外務公務員支給すべき在勤俸支給額を定める必要が生じますので、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正し、同法の別表に右十一館の在勤俸額をつけ加えるわけであります。これらの在勤俸額は、既設の在外公館分について算定したのとまつたく同じ方法に基き算定したものであります。  なお、昨年末、第十五回国会において、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律が制定せられ、国家公務員に対する年末手当支給に関する法律特別職給与に関する法律適用を受ける職員には適用されず、これにかえて右の職員には期末手当支給することとなつたので、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律中の特別職たる大使及び公使の年末手当に関する規定にかえるに期末手当規定をもつてするため、同法をあわせて改正せんとするものであります。  第三条につきましては、日本政府在外事務所設置法に基いて、講和条約発効前三十の在外事務所設置され、火らに昨年八月日本政府在外事務所増置令によりマニラ在外事務所が増設せられたのでありますが、マニラを除き、これら在外事務所所在地には、講和発効後それぞれわが国の大、公債館あるいは総領事館領事館設置され、従来の在外事務所所掌事務であつた事項は、すべてこれらの在外公館が処理しておる次第であります、従いまして、今回、右政令をもつて増置された在マニラ日本政府在外事務所を件律化してこれを残置いたしますとともに、その他の在外事務所を一括廃止することが適当となりましたので、日本政府在外事務所設置法中表の一部を改正いたす次第であります。なお在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律附則におきまして、在外事務所に勤務する職員当該在外事務所所在地に置かれる大、公使館総領事館に勤務する在外職員とみなし、同法を適用することになつておりますので、日本政府在外事務所設置法給与に関する規定を廃止する必要がある次第であります。  終りに、附則中の在ルクセンブルグ日本国公使に関する規定施行期日につきましては、四月早々に同国の国家的慶事が取行われます関係上、可及的すみやかに同館を設置する必要がありますので、公布の日より施行としたものでございます。また在マニラ在外事務所に関する日本政府在外事務所増置令の廃止は、在外事務所法律化に伴い不要となりましたためでございます。  以上が在外公館名称及び位置宗め法律等の一部を改正する法律案を提案する理由及びその内容説明であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  24. 栗山長次郎

    栗山委員長 右四件に関する質疑次会に譲ります。     ―――――――――――――
  25. 栗山長次郎

    栗山委員長 これより国際情勢等に関する質疑を許します。外務大臣はやがて出席するはずであります。また伊関国際協力局長は出張中につき出席できません。外務大臣が出席するまで、特定の問題である電気についての質問を許します。加藤勘十君。
  26. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 電電公社総裁にお伺いしますが、今まで国連軍との連絡に使用されておつた福岡釜山間海底電信が損傷したので、それの修理のために日本から修理船が派遣されるということですが、そういうことになつておるのでしようか。
  27. 梶井剛

    梶井説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。福岡釜山間ケーブルが二十三日に障害を受けた。そうしてそれを修理することにつきましては、先に手配をいたしまして、一日長崎を修理船が出航いたしまして、そうして二日に厳島に着きまして、三日に障害修理にとりかかることになつております。
  28. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それは千代田丸そのほかですか。
  29. 梶井剛

    梶井説明員 千代田丸でございます。
  30. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 一隻ですか。
  31. 梶井剛

    梶井説明員 一隻でございます。
  32. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その海面の場所はどういう所ですか。
  33. 梶井剛

    梶井説明員 この海底ケーブル福岡から壱岐へ参りまして、それから対馬へ参りまして釜山へ参ります。それでこの釜山対馬との間において故障が起きております。もちろん李承晩ライン内側になつております。そして釜山厳原との間のまん中よりは朝鮮寄りになつております。
  34. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、日本側から見ればいわゆるマツカーサー・ラインの外であり、韓国側から行けば李承晩ライン内側である、こういうことになりますか。
  35. 梶井剛

    梶井説明員 そうでございます。
  36. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、その地域は相当危険地域であるということは言われるわけですね。
  37. 梶井剛

    梶井説明員 危険地域という意味は、李承晩ライン内側であるということと、もう一つは、場所によりまして、李承晩ライン内側でありませんでも、機雷等が浮遊している危険性があるという、二つの意味におきまして危険地域と言えるかもしれません。
  38. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その周囲では、昭和二十五年に飛行機機銃掃射を受けたことがある事例が存在しておるということですが、そうですか。
  39. 梶井剛

    梶井説明員 その事実は私はよく知りません。
  40. 靱勉

    靱説明員 当時直す場合に、機銃掃射ですか、ともかく飛弾したという事実は承知いたしております。
  41. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、いわゆる李承晩ライン内側であつて、しばしば他の日本漁船等においても、それは危険区域であるから退去せよということが言われておる。李承晩ラインを認める認めぬは別問題といたしまして、とにかくあるときには機銃掃射を受けるというような危険があり、常時においても、現在の状態においては、危険地域と一応認められる他の客観的事実もある。こういう場所海底電線修理をするのでありますから、これに対しては相当やはり危険が伴うということを予測し得られると思うのですが、これに対するお考えはどうでしようか。
  42. 梶井剛

    梶井説明員 そのことはお尋ねの通りであります。従つて海底電線修理に対しましては、ただちに極東軍に話をいたしまして、そうして厳原においてアメリカ軍艦によつて保護されて障害地点まで参るということになつております。またその船に乗る人々に対しては、危険手当を出すことにいたしております。
  43. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、その危険区域において作業をするということになります関係上、日本労働組合の一部等においては、戦争に巻き込まれるのはいやだという点から、幾分こういう所に出張することを拒否する傾向もあるやに聞いております。しかし実際問題として、この千代田丸に乗り組む人は、いわゆる電信電話公社従業員諸君でありまして、これらの諸君は、そういう一部の機運があるにもかかわらず、進んで出かけるということについては大体了承してそういうことで準備もできたと思います。それにつきましては、これらの乗組員諸君の安全を保障することについて、万全が期せられなければならないと思いますが、その万全を期するという点について、今の御説明によれば厳原からアメリカ軍艦によつて保護されて現場に行くということになつております。二十五年に国籍不明の飛行機から機銃掃射を受けたという前例があることによつても明らかであります通り軍艦が常時すぐ間近についていて保護しておつてくれればいいのですが、ただそこへ連れて行くだけでは、必ずしも安全の保障にならないと思いますが、この点はどのようにお考えでしようか。
  44. 梶井剛

    梶井説明員 三月二日に厳原においてアメリカ軍艦と落合いまして、障害修理の期間は大体三月十日までに終了する予定になつております。その間軍艦によつて保護するという極東軍からの覚書によつて、われわれは安全だと思つております。
  45. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうすると、公社としましては、全部の従業員の安全はアメリカ海軍に一任する、ただ一応の覚書だけで満足しておいでになるのですか。
  46. 梶井剛

    梶井説明員 この問題につきましては、同時に外務省にお願いをしております。外務省からアメリカ大使を通じて、韓国政府に対してもそれぞれ手続をしていただいておることとわれわれは信じております。
  47. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その問題は韓国政府の点にあるのですが、これは先般来しばしば問題になつております、幾多の漁船拿捕もしくは乗員拉致の問題等、ことに最近においては大邦丸の船員が、あやまつてでありましようが、とにかく銃弾によつて殺されておるという事実から見ましても、この点に対してたといアメリカ海軍の軍艦保護してくれたにしても、韓国側においてこれらの点についての保障がどうなつておるかということが、従業員が非常に危惧している点でありますから、その点についてもし外務省が、今公社の総裁がおつしやつたように、何らかの手はずを整えておられるならば、外務省からもこの点についての処置についてお伺いしたい。
  48. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 元来李承晩ラインというものは、いろいろ言われておりますが、結局漁業を目的としたものであつて、普通の船、たとえば日本の汽船等が、今までそこで何らかの障害を受けたという事実は全然ないのであります。それから防衛水域の方は、国連軍の軍事上の必要から設けたものでありまして、その中には、すでに初めの発表にもあります通り、コントロール・ナヴイゲーシヨンをする、一定の了解のもとに一定の水路へ行くものに対しては、これは無害である。その他のものだけが、必要に応じて退去を命ぜられることあるべし、ということになつております。防衛水域の中で、こういうように一定の目的をもつて行く船につきましては、国連軍側で関係方面と十分協議をして、その保護に当ることになつておりますから、国連軍側で引受ければ、これでもう何も問題はないと了解しております。但しこの船が釜山に入港するとか、あるいは韓国の沿岸に入るという場合には、韓国側の了解を得なければならぬわけであります。その場合には、韓国側にも相談をもちろんいたします。それ以外の場合、つまり公海であつて、防衛水域の中で作業をするという場合には、国連側が一括して――これはむろん国連側としては、韓国海軍、韓国政府も含むものでありますが、一括してその安全を保障する、こういうことになつております。
  49. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それではそういう事前の万全の保障措置については、国連軍側を全面的に信頼して、公社としては保障をとり、外務省としては諸般の手続を事前に終了されて、従業員に不安を感ぜしめないようにさせるということがはつきりいたしましたので、この点はまことにその通りで、そうしていただきたいと思います。さらに公社といたしましては、現地に出張させられる従業員に対して、先ほど特別の手当をつけるとおつしやいましたが、その危険手当というものは、どのくらいのものになりますか。
  50. 梶井剛

    梶井説明員 今回の危険手当はちようど一日分の給与の倍額を与えることになつております。
  51. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 倍額ですか。
  52. 梶井剛

    梶井説明員 一日が二日分になるわけです。そのほか作業が何分昼夜を問わずやらなければならぬ場合がありますので、ある程度超過勤務手当と申しますか、そういうものを出しまして、徹夜作業をする場合の給与も出したいと思います。
  53. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、危険手当としては一日分ということになるわけですね。それから作業の状況にかんがみまして、超過勤務手当が出される。超過勤務手当はどこであつても当然のことでありまして、これは一つ危険手当の中には含まれないのでございます。こういう特殊な作業でありますから、超過勤務は当然やむを得ぬと思いますけれども、そういう超過勤務に対する法的な給与を与えることは当然なことですが、ただ危険手当というものが倍額程度でいいでしようか。それで従業員諸君が安心して行かれるかどうかということですね。もう少しお考えがほかにありませんか。
  54. 梶井剛

    梶井説明員 危険手当として支給する以外にちよつと困難だと思いますが、この問題につきましては、もちろん出港前に従業員と十分打合せをいたしまして、それで従業員側は承知して出港するということになつております。
  55. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その点ですが、従業員側は十分承知してとおつしやつたけれども、実際を聞いて見ますと、時間がないから、その点は多少交渉の余地をあとに残して、こういうことについては拒否すべきでない、行かなければならぬということで行かれるということになつておる、けれども手当の問題については、当局の言明だけでは不満足であるという意思が表明されておると思いますが、そういうふうにお聞きになつておりませんか。
  56. 靱勉

    靱説明員 この問題について組合の方と折衝をいたしておりまして、結論的に申しますと、予定通り長崎を出港することに組合の力と話がついているのでありますが、その間におきましては、危険手当の問題は、これは他の一般の場合におきましても、同じような措置になつておりますし、また二十五年の際にも同様な措置をいたしたのであります。さらにそれ以外に私どもも許し得る範囲におきましては、一方出港するにつきましては必要な経費の支出等もしなければならぬというので、それの特別施設につきましては別途話をつけております。それから超過勤務につきましても、もちろん法的な根拠に基いて支給するのでございますが、この超過勤務は主として哨戒のためでざごいます。人員等も増しまして、その超過勤務の全体の額も具体的に計算いたしまして、現場の人たちにもそれをよく通達いたしまして、大体のところ、そういう措置についてトラブルが現在は収まつたものと私ども考えておりますし、さらに釜山の方に上陸する場合の点につきましては、さらにそれ以上別に考えるというような話合いでございます。
  57. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、この問題は組合側で今おつしやつたような特別考慮を払うということや、超過勤務についても、単に法的の給与の支払いという面だけでなく、他に何らかの方法で特別に考慮する、こういうようなこと全部含まれて組合側が納得したのですか。
  58. 靱勉

    靱説明員 組合の初めの提案とは若干の隔たりはあるのでございますが、もちろんそれぞれ合理的な理由のないものをただ漠然と出すわけには参りませんので、二十五年の当時の先例等も参酌いたしまして、ただいま申し上げたような、一つは出発する場合に特別施設、それから危険手当の問題、超過勤務手当の問題及び上陸した場合における措置、この四つの条項を記しまして、けさほど参りました電報につきましては、大体その条件予定通り出港できる、こういう報告を受けております。
  59. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その乗船ができて現地に行くということは、組合の方でもこれは性質にかんがみて拒否すべきではない、しかし諸般の手当その他については、なお交渉が残されておるということを私どもは聞いておるわけです。これはこれ以上いくら繰返しても切りがないと思いますが、組合側が世間一部のそういう場に進んで行くべきでないという意向があつたにもかかわらず、そういうものをしりぞけて行くという熱意を示されたということに対して、当局はやはりそういう点についてもある程度考慮をしてもらつて危険手当等について法律の定める最大限のもの、さらに状況判断によつて支給し得られる最大のものを支給して、安んじて従業員諸君が仕事に従事することができるような処置をとりはからつていただきたい。それからまた組合の方から多少交渉が残されて、その点があなたの方へ進められるのじやないかと思いますが、そういう場合においても、よく組合の諸君が得心ができるように折衝をしてもらいたいということを希望して、この点についての私の質問は終りたいと思います。
  60. 福田昌子

    福田(昌)委員 関連して。危険手当電電公社の基準というのは、どういうことになつておりますか。
  61. 靱勉

    靱説明員 一箇月分を二十五分の一に割りましてその十割ということに相なつております。
  62. 福田昌子

    福田(昌)委員 それが最高の基準でございますか。
  63. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  64. 福田昌子

    福田(昌)委員 釜山千代田丸が寄港するようなこともあり得るとお考え  になつておるのでしようか。
  65. 靱勉

    靱説明員 周囲の状況によりまして、釜山の方に若干の試験員を上陸させなければならぬ場合も考えております。
  66. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、先ほども外務大臣のお話によりますと、釜山に寄港するような場合でもあれば、日本の外務省として考えなければならないけれども、領海外の仕事であれば、国連軍にお願いしておけば狭心だというお話でありましたが、電電公社の御答弁のように寄港することもあり得る、技師の一部は上陸することがあり得るということになると、外務当局のなまぬるい態度ではいけないのではないかという気がするのでございます。外務省におかれては、国連軍にお願いしておきましても十分でございましようが、念には念を入れろということわざもございすので、さらに念を押しまして、このケーブル線の修理に対する期間そういつた技師の身分の保護について、韓国政府が保陣するという答弁があるまで、外務省として申入れをしていただくことが必要ではないかと思います。そういうことをお願いしたいと思いますが、外務省当局としてのお考えを承りたいと思います。
  67. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 われわれは船の安全が保ればよいのであつて、それに必要な方法を講じておるわけであります。
  68. 福田昌子

    福田(昌)委員 その船が安全であろという方法は、どういう方法をおとりになるのです、もう一度……。
  69. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 それは国連軍に連絡すればさしつかえない、こういうことであります。
  70. 福田昌子

    福田(昌)委員 釜山に寄港するようなことがあつても、そのままでよろしいというお考えでございましようか。
  71. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 先ほどの答弁をお忘れになつたかどうかしりませんが、冬山に寄港する場合は朝鮮に話をする、  こう言つております。
  72. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務当局のそのような態度で、この千代田丸は今後の作業において故障が起らない、そして船も安全であり、またその作業員の人命も安全であるという自信を持つておられるかどうかを承りたい。
  73. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 その通り
  74. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務大臣千代田丸の船及び乗組員が絶対安全だということをおつしやいましたから、その通り私も確認いたしました。  もう一つお尋ねいたしたいのは、講和条約の第四条C項によりますと、こういつた海底電線は、折半して日本側の分だけが日本に所属するというような条文があると思うのでございますが、故障を起した場所海底電線の所有権はどちらにあるのでございますか。
  75. 梶井剛

    梶井説明員 これはサンフランシスコの講和条約によりまして対馬釜山の間、ちようど中央でその所属が日本と韓国とにわかれるわけであります。そういう意味から言いますと、向う側に所属するわけであります。
  76. 福田昌子

    福田(昌)委員 講和条約からいいますと朝鮮側に所属すると考えられるわけですが、朝鮮側に所属するようなものをなぜ日本の船が修理し、しかもその身の危険を伴うようなものまでも修理する必要があるのですが。
  77. 梶井剛

    梶井説明員 これは、サンフランシスコの講和条約北別におきましては、日本が進駐軍の依頼によつてすべて保守、修理をいたしておつたのであります。本来ならば、韓国政府日本との間にはつきりときめができますれば、向うがその保守修理の責任を持つべきはずでありますけれども、まだそれができてないということ、もう一つは従来日本で保守、修理をしておつたその習慣が、そのまま継続されておるということ、もう一つは、韓国政府が保守修理しようと思いましても、海底電線の布設船も何も現在持つておらないという事情もありますために、国連軍の委託によりまして、こちらが保守修理しておるという現状であります。
  78. 福田昌子

    福田(昌)委員 講和条約を結んでおつて、しかも所有権が向うにあるという形でありながら、相かわらず日本が保守、修理をする、従来保守、修理をしておつたから、その習慣に従つて保守、修理をするというお話でありますが、そういうことは、もとをただして行けば、やはり講和条約に対する違反行為だといわれてもしかたがないと思います。なぜ外務当局はそういうようなことを事前に韓国とお話合いなさらないのかということに私は一つの疑問を感ずるのですが、外務当局はこのことに対して疑義をお感じになつておられたかどうか承りたい。
  79. 下田武三

    下田政府委員 平和条約第四条のCに御指摘のような規定がございます。しかしこれは原則規定したのでございまして、はたして将来この通りに解決するかどうかは、関係国と具体的な折衝をいたさなければなりません。ただいま類似の問題は、韓国のみならず、台湾と日本との間の海底電線についても起つております。これは、平和条約でこう書いてありますけれども関係国の利害に最も適当する解決方法を講ずるために、たとえて申しますならば、向う側の半分は日本が金を出して買うとか、あるいは二本の海底電線がある場合には、途中でちよん切るのはお互いに不便だから、一本は全部こちら、他の一本は全部向うというふうに解決する手もあるのでございます。従いまして、韓国や中華民国は直接この条約の当事国ではないのでございますし、日本側はその当事国でありますが、この原則を必ずしもそのまま適用いたさなくても、関係国との話合いで、お互いに便利な解決方法がつくと思います。しかし日韓間に各種の問題ではつきり条約ができますまでは未確定な状態でありまして、先ほど梶井総裁がおつしやいましたように、現状においては従来のしきたりで、とりあえず日本側修理しておる、そういう状態であると私は承知いたしております。
  80. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、将来は講和条約の第四条C項に該当するような形において、こういう海底電線も台湾側または韓国側に所属したと考えられる分は、向う側で処置してもらいたいというふうにとりはからうお考えはお持ちであるのですね。
  81. 下田武三

    下田政府委員 これは話し合つて見なければわかりませんが、そういうものも含めて将来日韓間でこの問題の解決がはかられなければならないと思つております。
  82. 栗山長次郎

    栗山委員長 中山さんに御相談いたしますが、加藤さんの御質問が二、三分だそうですから、ひとつ……。加藤勘十君。
  83. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それでは、ほんとうはもつと聞きたいのたけれども一つだけ外務大臣にお伺いします。  最近の新聞によりますと、同僚議員の池田君が外務省の特使としてか、あるいは総理大臣の私設特使としてか知らぬが、アメリカに派遣されるということが報道されておりましたが、その真相はどうでしようか、お伺いしたい。
  84. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 池田君はひまを見て外国視察に行きたいという考えがおありのようでありますが、まだきまつていないようであります。従つて、どういう資格でまたどういう所に行くか、そういうことについてはまだきまつておりません。
  85. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それならばもうそれ以上質問することも何もございませんが、少くとも池田君が外務省あるいは総理大臣の特使という使命を帯びて海外に旅行されることは、少し不謹慎だと思います。個人として行かれるならば、これは自由でありますけれども、御本人にはお気の毒であるが、とにかく院議をもつて不信任を表明された人であります。その人が国会の会期中にある使命を帯びて海外に使いされることは、国会の立場においてもきわめて不適当であると私ども考えざるを得ませんので、もし個人として行かれるならば、これをかれこれ言うことはもちろんできません。ただ、国会開会中ならば、国会承認さえ得られればいいわけでありますけれども、もし政府なりあるいは総理大臣の特殊の使命を持つて旅行されるということになるならば、われわれは遺憾ながら反対の意思をはつきりと表明しなければならないと思いますから、もし池田君が旅行されることについて、外務省なりあるいは総理大臣なりの特殊の使命を帯びて行かれるというような場合においては、外務省としては国会の意思を尊重されて、そういう措置に出られないことをひとつ強く希望しておきたいと存じます。
  86. 栗山長次郎

    栗山委員長 中山マサ君。
  87. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 本日の発表によりますと、韓国の国防部が日本の沿岸から二百四十キロのところにございますところの竹島、これをアメリカ側がはつきりと朝鮮の領有に決定をしたということがいわれておりますが、この問題につきまして、外務省として、アメリカ側からこの問題に対する通告があつたかどうか、もしあつたといたしますならば、それに対して外務省としてはどういう態度をおとりになつたか、ここにおちつくまでの経緯を御説明願いたいと思います。
  88. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そんな通告は全然ありませんし、従つてそこにおちつくとか、おちつかぬということも全然聞いておりません。
  89. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 それでは、これは釜山からの通告のように出ておりますが、この新聞の記事は事実無根と考えてよろしゆうございますか。
  90. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 事実無根かどうか、つまり外務省なり日本政府なりは、全然承知しないことであります。
  91. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 それではこういうことが、言われておるのでございますから、外務省といたしましては、韓国はこのごろは非常に行き過ぎのように私としては考えられますので、この行き過ぎを是正するという意味で、アメリカ側にこのことを申入れていただいて、そうしてぜひそういうことを一方的に発表してもらわないように、ひとつアメリカ側から御忠告を願うようにしていただけるかどうか。
  92. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 アメリカはイギリスとともに平和条約の提案者でありますから、アメリカにそういう話をするということもさしつかえないわけでありますけれども平和条約ですでに日本の領土に関しては、きまつておりますから、どこの国が何を言おうとも別に意に介する必要はないのでありまして、われわれは特にアメリカに頼まなければならぬというほどの必要も認めておりません。
  93. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 それではただいまの問題はそこまでにいたしまして、本日九時のラジオの放送によりますと、アイゼンハウアー元帥のこの間の教書の、そのものの考え方、日本あるいはその他のこの敗戦によりますところの国々でございましようが、この国々を奴隷的に追いやるような秘密協定とか、そういうものを破棄するということ、あの教書をアメリカ国会が全面的に認めたという報道を私はけさ聞いたのでございますが、それならば日本が奴隷的な立場に追いやられているいろいろな問題につきまして、外務大臣といたしましては、どういう点でそれを是正してもらいたいという、そのいろいろな点がおありになろうと思いますが、どういう点でこのアメリカ国会の決議を受けて立つて行くかという御準備を、ひとつ聞かせていただきたいと思うのであります。
  94. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はそのラジオのニユースというのは聞いておりませんが、アイゼンハウアー新大統領が秘密協定を破棄すると言いましたのは、全部の秘密協定を破棄するということでなくして、国民を奴隷的な地位に置くような秘密協定を廃棄する、こういうことだと、あの大統領の演説からは理解されるのであります。ですから、今おつしやつたのもそういう意味かもしれませんが、要するに秘密協定を廃棄するということと、秘密協定であろうとなかろうと、奴隷的なことは廃棄するというのでなくして、アイゼンハウアーの言つているのは、秘密協定の中で奴隷的なことに国民を置くような協定を廃棄する、こういうつまり重なつたものであつて、別々のものではないと思うのであります。そうしますと、日本側としては、実は法律上、これはたびたび言うことでありますが、ヤルタ協定は秘密協定であつても、日本側としてはヤルタ協定に何ら影響を及ぼされておらないという建前をとつております。つまり日本はポツダム宣言によるのであります。ヤルタ協定を廃棄するしないは、それは関係三箇国の事柄であり、日本には直接関係はない。但しそれが領土の問題をインヴオルヴしているなら、これはまた日本で関心を持たざるを得ない、こういうことになつております。しかしながらヤルタ協定自体につきましては、どこまで一体日本国民を奴隷的な境遇に置くものであるかということにつきましては、いろいろ意見があるようであります。たとえば満州に関する条項がそれに当るといい、あるいはドイツに関する条項の中にそれに当るものがあるといい、いろいろ議論があるようであります。従つてわれわれの方でも、研究はいろいろいたしおりますが、根本的にはわれわれの領土なりその他の関係平和条約規定される。その陰にヤルタ協定というものがあつて、連合国の頭を支配したかもしれない、しかしながらそれは日本とは直接関係のない建前であるということにいたしております。従つて研究はいろいろいたしておりますけれども、ただいまその中のどれが日本関係があるかということをここで申し上げるよりも、もう少し諸般の情勢がはつきりするまでこれを待ちたいと考えております。
  95. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 今領土の問題をお出しになりましたが、確かにいろいろな点がございますが、特に領土の問題が私ども考え方に響いて参るのでございます。いわゆる暴力をもつてつたといわれるような国々も、考えてみれば、結局そのいろいろな過去のその約束ができました時代に、ダレス氏の母方のお父さん、いわゆるおじいさんとして、あの下関の約束もやはり調停をして、台湾もこちらにもらつたようなことが歴史上に出ておりますので、暴力といわれるならば、そういうことも必要がなかつたのではなかろうかというような疑念を私は持つのであります。また北の方の島々も、これは日本のものだというように、もし秘密協定が破棄されるならば、そういうふうになつて参ると思うのであります。私それとともに考えてもらいたいことは、今日も共立講堂かどこかで各党の人たちが出まして、奄美大島の復帰問題の討論会があるそうでございますが、非常に日本民族の――この正月からですか、旗は立てていいということになつておりますけれども、すべての問題があの南方の島々とは、あたかも外国とのようになつております。これこそ島民の考え方からは奴隷的と思わざるを得ないのではなかろうかと、私もしばしばこういう演説会に出されますので、いつもその人たちの気持を聞いてそう思うのでありますが、こういうことをアメリカ国会が受けて立つてこれを承認したこの機会こそ、私は与えられたチヤンスではなかろうか、こういう気持のときにこういう問題をぜひひとつ外務省あたりから願い出していただけば、また向うもこれを受ける気持になるのではなかろうかと私は思いますので、とくとこの問題を外務省で御検討いただきまして、できるだけそういう人たちに、われわれがこれから友として行かなければならないアメリカに反感を持たせないように、早くその根を根絶させるような立場をとつていただきたいことを私は要望いたしまして、これを打切ります。
  96. 栗山長次郎

    栗山委員長 東畑食糧庁長官も見えておりますから……。
  97. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 食糧庁長官も見えておられますか。――私、このごろ新聞をにぎわしておりますところの苦い米の問題でお尋ねしたいと思うのであります。日本の食糧が足りない関係から、タイ及びビルマにおけるところの米の買付につきまして、農林省がこれまで打つて参りました方策について、その後の経過と結果とを御報告をいただきたいと思うのであります。
  98. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 今回問題になつておりますいわゆる黄変米は、全部これはビルマから参りました米でございます。昨年日本の食糧が非常に不足いたしましたために、食糧庁といたしましては百五万トンの食糧の輸入計画を立てまして、諸外国との買付をやつた。世界全体の交易量が四百七十万のころに百五万トンの輸入をいたしましたために、相当無理をいたしたことは事実であります。そのため国際価格等もつり上げる結果を見ましたことはまことに遺憾であります。問題はビルマの米でございます。ビルマの米は、御承知のように政府政府の貿易で参りますものと、国際入札で参りますものと、二つの方法があるのであります。価格として実は安い米になつておりますので、食糧庁といたしましても、なるたけビルマの米を多くとりますことは、国際収支上も楽でありますので、鋭意交渉をいたしておつたのでありますが、昨年は上半期にビルマ米の割当をなかなかもらえなかつたということでございます。ビルマは雨季がございまして、雨季前になるだけ輸入をいたしますことが安全でありますことは、十分了解しておるのでありますが、遺憾ながらなかなか交渉がうまく行きませんでして、最後に六万五、六千トンの米を計画として入れたかつた、それがきまりましたのが九月以降になつたのであります。当時日本は端境期を控えまして――非常にことしは豊作であつたのでありますが、九州、東京付近の端境期対策として外米の輸入で充てておつたわけであります。九月に約四万トンの政府貿易の割当があつた。そのビルマ対食糧庁の割当の四万トンの米を入れたことが、今問題になつておるのであります。これは政府政府の貿易でありまして、契約といたしましては、食糧庁の代理としまして在ビルマの総領事が契約をしておられます。相手国はビルマのSAMB――これは国家農業市場局という一つの役所でございます。そこの局長というのがビルマ政府の代表であります。ビルマでは国営検査をやります。よその外国で買います場合には、国際的な検査会社があるのであります。その検査会社は信用がありますので、その信用ある会社を使つてそれで検査をやつておるのでありますが、ビルマだけは国営検査をやつておりますので、ビルマ国政府の検査を信用しておるのであります。ただ遺憾なことには、ビルマ国におきましては検査基準というものがあるのであります。米を買いますのに、必ずその検査基準米が参りまして業者がこれを持つておる。今回問題になりました米につきましても、その検査基準米というものを双方が持つておる。食糧庁も持つておりまして、こちらに到着した場合、その米と現物とが合つておるかどうかを検査する。その持つておる検査基準米は、もみがあるとか、赤米の混入率がどうか、砕け米がどうか、臭米がどうかというような基準になつておりまして、いわゆる黄色くなつておるという、色の問題についての規格というものがビルマではできておらない。そうして外米は黄色いのもございますが、黄色いものの中から有毒な品種があるということが発見されましたのは、実は一昨年の十二月に外米の問題が問題になりまして、大学なりわれわれ食糧研究所で菌を検出しました結果、外米の中にそういうかびがいろいろはえております。かびの中に有毒な菌があるということは、はつかねずみ実験をやりまして研究をしました結果、大体四種類くらいのものがありまして、ビルマ・モスというものは、流行いたしておりますがそれは有毒ではない。しかし同じ黄色くなつたものの中でも、はつかねずみの実験の結果、非常に有毒なものがあるということが東大の医学部の実験でわかつて参りました。まだ人体には実験をしたわけではないのであります。
  99. 栗山長次郎

    栗山委員長 東畑さんに申します。この委員会におていは対外関係の事項として審議しておりますので、そういうつもりで御答弁を願います。
  100. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 そういうことで実は有毒米があるということがわかりまして、それを外務省を通じて向うにもいろいろ連絡はいたしておりますが、向うの検定の段階において、まだそれを認識してもらう段階に、実は至つていないというのが現状でございます。その結果、それを配給することは危険でありますので、われわれとしましてはその米についてクレームを要求するだけの条件が、遺憾ながら実はまだないわけであります。その他のことであれば、クレーム等も要求して千数百万円のクレームが成立しておるのでありますが、黄変米ということについてのクレーム条項が、遺憾ながらまだないということでございます。これは三社が政府の代行で輸入をいたしております。三社がその検査をいたしました場合に、黄変というものが危険であるということもわかつているのでそれをよく注意しておるのでありますが、その場合に、輸入します外米のうちの約一割を、ビルマの検定局と商社が食糧庁の代理人として立ち会いまして、検査をするという約束であります。そういう立会いの形をして、故意または重大な過失があつたかどうかという事実を今いろいろ調査しているわけであります。それが非常に重大な過失があるとなりますと、これは各代行員である商社と食糧庁との代行契約違反になりますが、ビルマ国との関係は問題ないわけであります。前の経過から申し上げますと、外交面はその程度です。
  101. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 外務省にお尋ねをいたします。出先機関と向うの商社あるいはその国の検査管理人との取引でもつて、こういうものが入つて来たということになつておりますが、外務省はただ外交をなさるお方だけが向うに行つていらつしやいまして、こういうふうないわゆる貿易、何と申しますか、通産省あたりのお方は外務省付として行つていられないのでございましようか、これを承りたいと思います。
  102. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはその必要に応じまして大蔵省の者を置く場合もあり、通産省の者を置く場合もあり、農林省の者を置く場合もあります。外務省で何でもかんでもできるということは言い得ないことでありますから、必要な場合には置くようになつておりまして、そういうふうに外務省の設置法の中でもくふうをいたしております。
  103. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 南方へ行つてつて来た人たちの話を聞きますと、向うにおる人たちが日本の買付のために非常に値をあおりまして、そうして米が非常に高くなる、その関係で結局牛や馬やそういうものに食べさせるような低級なものが入つて来ておる。それでもつと向うの買付を上手にやればこういうものが入つて来るおそれがないということを、私は現地に行つた人から聞かされたのでございます。それでいわゆる通産省とかあるいはそういうふうな商売に経験を持つている人たちを外務省の出先機関に特に置いていだいて、このお米の問題だけではございません、いろいろな貿易関係におきましても、いわゆるもちはもち屋の立場から、そういう人たちに当らせていただいたらは、こういうふうなことをして私ども家庭の主婦が非常に迷惑をするようなことがなくなるのではなかろうか、こう私は思いますので、ぜひひとつ外務省では私のこの要望をいれていただきまして、そういう面にいわゆる商売人を使つていただきたいということを、私は外務委員ではありますけれども、特に主婦の立場から強調しておきたいと思います。
  104. 栗山長次郎

  105. 近藤鶴代

    近藤委員 少し古い話になるのでございますが、たしか今月の初めごろの新聞にオランダ、ベルギー、イギリスを初めといたしまして、あのあたり一帯を襲いました風水害の記事が出ておつたように記憶いたします。それを何気なく読んでおつたのでございますが、たまたま昨晩ニユース映画を見に参りまして、ほんの一こまではございましたけれども、そのあまりにも被害の大きい実情をまざまざと目にいたしまして、一体どの程度の水害であつたのかということを、外務省に入つております情報で一応聞かしていただきたいと思うのでございます。
  106. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ただいま近藤委員からお尋ねの、西欧の風水害の被害状況につきまして御説明いたします。  去る一月三十一日からイギリス、オランダ、ベルギー一帯を襲つた台風に伴う水害は、世界の天災史上に残るものとも言われるような大きな水害でありまして、特にオランダにおきましては、堤防決壊のために全耕地の三分の一、それから牧地の三分の二が海水におおわれまして、人畜、施設等に甚大な損害を与え、これが復旧には十年以上を要すると見られておるのであります。また各国を通じまして、学校、研究所その他文化施設の損失も少くないのでありまして、その復旧には少くとも数年を要する趣であります。いま少しく詳細に御説明申し上げますと、オランダにおきましては死者が一千三百五十五名、家屋を失つた者が三十万以上、全耕地の三分の一、放牧地の三分の二に浸水している、耕地冠水による減収獲の被害は三億五千アローリンと言われておりまして、斃死いたしました家畜の数は三万五千頭に及んでおります。次にベルギーにおきましては死者が十四名、損害が十億べルギー・フランであつたそうであります。またイギリスにおきましては、死者は四百三十七名、家屋を失つた者は三万、浸水地区四百平方マイル、損害額は未詳であります。これは大体二月六日から八日あたりの報告によりましてお答えを申し上げました次第であります。
  107. 近藤鶴代

    近藤委員 ただいまの外務省の情報で、世界の天災史上にも残るような大きなできごとであつたということを伺いますと、私どもは過去に関東大震災においているく経験したことを思い起すのでございますが、その当時世界の各国から日本に向つて寄せられましたところの非常な恩恵に対して、私ども戦争後の今日の日本の状況から申しまして、それほどの御恩返しと申しましようか、お礼をするというわけには参らないかもしれませんけれども、やはり分限相応の形において何らかこの機会にお見舞をするというようなことをお考えになつておられますかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  108. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 お話の通りでありまして、これはわれわれとしても非常にお気の毒に考えております。当時さつそくオランダなりベルギーなりイギリスなりに駐在する日本大使から関係国に深厚なるお見舞をいたしますと同時に、東京におります各国大使に対して私の名をもつて深厚なるお見舞をいたしました。これに対しては各国側からいずれも謝意を表して来ております。そこで実際のお見舞をいたしたいと考えまして、外務省では赤十字なりあるいは日英協会とか目白協会とかいろいろ協会がありますので、これらとも相談をいたしまして何らかいたしたいという考えで、ずつと計画を進めて来ておりますが、日本国内の現状がそれほどゆたかでないのといかにも遠い所でありますから、なかなかこれはむずかしい、つまり日本としてやる以上は、あまりおそまつなこともどうかと思いまして、いろいろ今心配しておるところでありまして、そのほかに、文化施設のいろいろな被害につきましては、ユネスコ本部から――先般この委員会にも提出しましたユネスコのクーポン制度というのがありますが、これによつて救済方をユネスコから日本にも申して来ておりますので、日本のユネスコ国内委員会でもこの方面からも援助することにいたしまして、ただいま公私の各方面と協力をして、その資金を集める計画を立てております。できるだけ、たとい志だけでもお見舞をいたしたい、かように考えております。
  109. 栗山長次郎

    栗山委員長 安東義良君。
  110. 安東義良

    ○安東委員 外務大臣にお尋ねいたします。去る二十六日自由人クラブの会合におきまして、前首相の芦田さんがソビエトの飛行機が立川及び東京付近の飛行場の撮影をやつたのだということを申しておられるのでありますが、この事実があつたかどうか、外務大臣は何らか情報を得ておられますか、伺いたいと思います。
  111. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はその点についてはうわさも実は聞いておりません。全然承知しておりません。
  112. 安東義良

    ○安東委員 芦田さんはビスマルクとは違つて、おそらくエムス電報式の作為をやられたわけではないと私は信じます。おそらくは何らかの根拠をもつてこういう演説をせられたに違いないと推測いたすのでありますが、この点についてはなお外務大臣においても十分調査していただきたいと思います。もつともこれを報道いたしております日本タイムスの記事によりますと、米空軍の方ではこの事実を否定しておるということでありますけれども、事柄が事柄でありますので、十分御調査を願いたいと思います。  なお大邦丸の事件につきまして、過日岡崎外務大臣からいろいろと御答弁があつたのでありますが、私は政府がこの問題を処理するにあたつて、日韓関係の大局を考慮し、合理的な解決をはかるために、冷静な態度を持しておられることを了とするものであります。ただしかし、この問題はいわゆる偶発的な派生的な問題であるのか、あるいはもつと深い本質的な要素を含んでいるのかということによつて、この解決については相当真剣なものがなければならぬと思う。今まで現われている事実、これは日本側の主張と、いわゆる韓国側が発表している――たとえば内務長官なるものが過日この事件について発表している事実とは、非常な懸隔があり、相違があるわけであります。事実の認定についてすでに大いなる隔たりがあるということはわかるのでありまして、日本のいわゆる拡議の根拠というものは、十分に信頼し得るものであるかどうかということについて、外務大臣は十分調査せられましたか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  113. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 われわれとしてはわれわれの入手し得る範囲の材料を公平に調査しまして、日本側の人の報告であるからといつて、そのままうのみにするようなことをしないで公平に調べました。たとえば網をおろしておつたとするならば、そこの済州島の一マイルぐらいの所がどうなつているか、網をおろせる状態の所であるかというようなことも調べ、あるいは追跡されているということであるならば、一体時間はどういう関係になつているのか。それから船の中にはいろいろの乗組員がおり、その人たちによつて、たとえば済州島がどのくらいに見えているかということについてはおのおの感じがあるわけでありますが、そういうものも調べて行く。いろいろの人の材料を集めてみると、どうもわれわれのただいま考えております済州島からは、かなり相当の距離の離れた所であること、それから向うから何か言われてあわてて逃げたのかどうかという点、これはあわてて逃げたとかりにするならば、網などが下におりていては逃げられない、網が揚つていなければならぬ船の状況からいつたら、海の中に網がおりていなければならぬ。こういういろいろの材料を調べて、まずわれわれの韓国側に申した点は、われわれの有する材料では間違いない、こういうつもりでおります。
  114. 安東義良

    ○安東委員 この問題は、問題の一つの出発点をなすものでありますから、今後とも公平に正しい見地に立つて、虚心坦懐十分調査を進められることを希望するものであります。  なおこの事件はいわゆる公海の上に起つたことと思うのでありますが、防衛水域内で起つたことであることも間違いないと思いますか。
  115. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 その通りであります。
  116. 安東義良

    ○安東委員 防衛水域の性質について過日外務大臣説明せられましたところを伺つておりますと、なお幾分はつきりしないところがあるように思うのであります。この防衛水域については国際法上の問題はしばらくおいて、国連に日本が協力するという見地から、国連軍が設定した目的を容認して、これに日本側が協力するという根本的態度をとつておられるものと私は思うのですが、その点についてはかわりはないでしようか。
  117. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 その通りであります。
  118. 安東義良

    ○安東委員 そこで国連軍目的が、スパイ防止とかあるいは密輸入等の防止とか、いわゆる軍事行動に関連するような問題について、日本の船舶等がこの地域にかつてに入ることを希望しないという意味で、現在コントロールという問題が起つて来たのだろうと私は思うのでありますが、漁船がこの地域に入るということ自体は、連合軍が必要があつて退去を求める場合以外においては、自由であるという立場であるものと思いますが、その点についてなおはつきりしていただきたいと思います。
  119. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは今安東君もおつしやつたように、国際法上の問題となると、いろいろ議論があろう意いますが、現状は、例の巨済島における俘虜の集団暴行といいますか、あれ以来俘虜を各島に小さく分散しているわけでありますが、そこでその俘虜に対する連絡などがいろいろの方面からある場合もあり、またそうでなくても後方地の撹乱という意味で、北鮮側からいろいろの策動を釜山方面とかうしろの方にして来る場合があります。それから武器の密輸入等が行われる場合があり、いろいろの場合が考えられるわけであります。これらの点を考えて、これらの策動を封ずる意味で、一定の地域に対して防衛水域というものを設けた、こういうこととわれわれは了解している。そこでこの防衛水域にはそれでなくても国連軍の海軍がおりまして、妙な船はとめるように努力をいたしているわけであります。そこへ日本の漁船にしても、一定のパツセージがありその通路を通つて行くのは了解されているわけですが、それ以外の広い海域にあちらにもこちらにも漁船があるとなると、これが一体怪しげなものであるかそうでないものかは、来て調べてみなければわからないのであります。そして怪しくない方面に船を出して、日本の漁船だからさしつかえないとかりにしても、そこに船がやつて来る。広い海面でありますから、その方面に各地のたくさんの船を使うと、勢い大事な、いろいろの軍事上の策動を防衛する任務につくべき船が、こちらにさかれてしまうという心配もあるわけであります。そこでできる限りさしつかえない限りにおいては、つまりそれに入らなくても魚がとれる場合には、なるべく日本の漁船は入つてもらいたくないのは、向う側としても当然でありますし、われわれとしても特に必要がなければ、何もそこに行かなくてもよろしい、なるべくそこは避けた方がよろしいと考えているのは、国連協力という建前から考えているのでありますが、何せ何十万という人の生業をささえている漁業であり、かつ日本の食糧からいいましても、蛋白資源の重要なる供給源でありますから、そこに行かなければ魚がとれないという場合、これは潮流あるいは気候の関係で、魚が南に行つたり北に行つたりするのでありますから、その必要がどうしてもある場合には、多少国連軍に不便でも行つて魚をとるよりしかたがない。しかしそれが現実に軍事行動にさしさわるような場合には、向うが退去を命ずるであろう、退去を命じたらおとなしく引下るよりしかたがない。そういう事実上の関係でやつているわけであります。
  120. 安東義良

    ○安東委員 そこで韓国軍もやはり連合国側の一部をなしているわけです。今度この大邦丸に被害を加えたのは単純なる警邏の船であつたように思うのですが、この点は誤りないでしようか。
  121. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私もその通り考えております。
  122. 安東義良

    ○安東委員 そこで警邏船がそれをやつたといたしまして、もしかりに韓国軍の船が防衛の目的で今後日本の漁船に同じような行動をするということはないとも言えない。これに対してはアメリカ側と何らかの了解があるのでございますか。
  123. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私の了解しているところでは、韓国側の海軍等の艦船は国連の海軍の一部となつております。これにはアメリカの船もあり、その他の国の船もあり、韓国の船もあるわけでありますが、全部統一した指揮のもとに、統一した命令によつて行動している。これは防衛水域の内外を問わずしかりであると考えております。
  124. 安東義良

    ○安東委員 従つて統一した命令のもとに行動がやられるから、無謀なる襲撃のごときことは行われないものと了解していいわけですね。
  125. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はそう考えております。
  126. 安東義良

    ○安東委員 私はこの辺の混淆が今後起ることを心配いたしますので、外務大臣におかれても、そういう間違いの起らないように、十分米国軍方面とも連絡しておいていただきたいと思うのであります。  それから今の防衛水域の問題でも、ただいま外務大臣は、必要欠くべからざる情勢というのは、要するに漁業の必要だというように御説明なつた。してみれば、漁船としては魚をとるのが目的であるから、当然にいわゆるその必要な場合にその地域に入つて行くということもあたりまえのことた。そこで必要いかんの認定ということはしよつちゆう問題になり得る。だからある程度のそれについての了解というものも、やはり韓国側と事前に遂げておくことが非常に必要なことなので、この大邦丸問題の解決いかんにかかわらず、これらのことについて、アメリカを介するのもけつこう、連合軍を介するのもけつこうですが、なお事前の相当明確なる了解を遂げるように努力してもらいたいと思う。これについて外務大臣の御所見を伺いたい。
  127. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私もその点はまつたく同感でありまして、こちらに権利があるとか向うに権利がないとかいう主張をして、かつてに――かつてにというのはおかしいのですが、了解なしに出て行つて、いたずらに紛議を起すということは本意ではありません。従いましてむしろこういうことがありますれば、なおさら日韓の間に了解が必要になるのでありますから、この問題が解決しなければ話を始めないとか、あるいはこの問題が日韓交渉のじやまになるとかいうような考え方をなるべく避けて、むしろこういう問題があればこそ、先方と早く話をして了解に達するべきであると考えております。  なおこの問題だけについての内容考えますと、この問題については漁業だけの問題に一応限られております。そこでそれには二つの問題が含まれているように思います。これは韓国側の立場から言うのでありますが、一つはその海域における魚族の保護ということであります。もう一つは、先方では日本の船があまり出て来ると、韓国側の漁業者の生計が立たなくなるくらいに圧迫されてしまいやしないかという点があるように思います。従つて韓国側の漁業者も十分生計が立つようなことになり、かつ魚族の減るようなことがないことがはつきりしますれば、話合いの余地が十分あるのではないか、そういう観点から将来は話合いを進めて行きたいと私は思つておるのであります。
  128. 安東義良

    ○安東委員 国警の山口警備部長にお尋ねいたしたい。小樽の海上保安庁が、一九五一年から五二年まで、すなわち一昨年及び昨年の二箇年に根室地区においてソ連機とおぼしきもの四百七十を数えたというように話していることが、新聞に出ておるのでありますが、はたしてこういう事実があつたのでありましようか。
  129. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 私の方でわかつておりますのは、昨年及び一昨年四百四十三回北海道の上を飛行機が飛んでおるのを認めております。これは目で見たりあるいは爆音を聞いたり、あるいはレーダーによるアメリカ側からの連絡のあつたものの計数でございます。機数は正確に判明をいたしておりません。函館で発見をして、さらにこれをほかの土地で見たというような場合などは、二回というようになつておる場合もあろうかと思うのであります。飛行機の国籍につきましては、現在のところ私どもといたしまして、これを確実に認知いたす方法がないのであります。私の方でわかつておりますのは以上であります。
  130. 安東義良

    ○安東委員 してみますと、これは北海道全域についての回数なのですね。
  131. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 そうです。
  132. 安東義良

    ○安東委員 小樽の海上保安庁では、根室地区において四百七十機を見たのだ、こう言つておるので、大部そこに隔たりがあるようです。もつとも今のように一つの機が入つて来て、二箇所あるいは三箇所ぐらいでこれをキヤツチしたような場合に、同じような報告が来たものをそれぞれ合して勘定するとかしないとかいう問題はあるのでしようが、いずれにしても四百機を越えるようなものが、二年間に領海あるいは領空を侵犯しておる。それに対して今までだまつてつたというのはどういうことですか。
  133. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 国籍をはつきり認知いたしておりませんが、その大部分は、私どもといたしましては、アメリカ軍の飛行機であつたであろうというように考えております。ソ連と申しますか、明らかに外国の飛行機であるというように認めました事例は今日までございません。今年になりまして一回あつたという程度でございます。
  134. 安東義良

    ○安東委員 その説明を聞いて私もはなはだわけがわからなくなりました。大部分はアメリカ飛行機、これでは何のことだかわからなくなつて来たのですが、もう一ぺん御返事願いたい。
  135. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 ただいま申上げましたように、はつきりとこれを認知するという方法は、私どもとしては持つておりませんが、その大部分はアメリカ飛行機であつたろうと私の方では推定しております。
  136. 安東義良

    ○安東委員 先ほど警備部長は、北海道に二年間において四百四十三の飛行機があつたということを報告して来ておる。それはあるいはレ一夕とか、あるいは目撃したのだとか、いろいろあると言われておるのですが、レーターを使用しておるのはおそらくアメリカのものじやないかと思うのですが、これはどうなのですか。
  137. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 レーダ―はアメリカで使用しております。
  138. 安東義良

    ○安東委員 しからば、アメリカの方からわざわざ、自分のところの飛行機が飛んでおるのを日本の官憲にその回数を知らして来るなんということは私は考えられない。しかも小樽の海上保安庁は、国籍不明、おそらくはソ連機であろうと言つておる。中央において国警の責任者たる方が、そうというあいまいな情報とあいまいな基礎において、この問題を扱つておられるという感じを今日持つたということは、私ははなはだ遺憾に思うのであります。われわれはことさらに日本国民をアラーミングな態度で刺激するというようなことはやりたくない。事実を事実として、その判断に立つてわれわれの国家を守ろうとしておるのです。一時的な便宜やあるいは政策のために、ことさらに事実を誇張したり、あるいはまた虚偽の報道をして、国民の耳目を惑わすようなことは、絶対に避けなければならぬと私は信じております。にもかかわらず、この北海道の領空侵犯のごとき重大問題に対していかに国防の問題をアメリカにまかしておるとはいえ、治安の任に当る者としては、もう少し真実の情報と真剣な態度をもつて処せられるのが、当然ではなかろうかと私は思うのであります。この点についてさらに御返答を願いたいと思います。
  139. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 御注意がありました点は、今後十分に気をつけて参りたいと思います。
  140. 安東義良

    ○安東委員 なおすでに新聞に発表せられておることでありますからして、小樽海上保安庁のこの発表について御調査の上、ひとつ御報告願いたいと思います。それは昨日の日本タイムスに出ております。
  141. 栗山長次郎

    栗山委員長 高田児童局長が出席いたしております。福田昌子君。
  142. 福田昌子

    福田(昌)委員 立川におきまして最近PXとか食堂とか、あるいはまたアメリカの方の独身寮に勤めております日本の女子従業員に対しまして、身体検査が行われているという。その身体検査が非常に常軌を逸脱いたしました局部検査までなされておるということが伝えられておりますが、私どもは、こういうPX、食堂またはアメリカの兵隊さんの独身寮に勤めておられる女子に、こういう局部検診までするということは、どういうわけでなさるのかということを了解に苦しむのでございますが、当局ではこういうことをお聞き及びございましようか。
  143. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 その問題は私の所管でもございませんが、新聞でちらりとそういうものを見たように記憶いたします。
  144. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務当局の方ではこまかな問題とおつしやるかもしれませんが、こういうことをお聞き及びございましようか。
  145. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私は立川のことはまだ聞いておりません。しかし、京都でもつてそのような事例が、大分前でありますが、あつたのであります。そこで日本側から現地の部隊に対して厳重な申入れをいたしました。それで、そういう種類の人たちに対しては検診は一切行わないという回答を得たという報告を受けております。従つて、もし立川においてそういうようなことがかりにあつたとしますれば、同様にこれを中止させるもつりでございます。
  146. 福田昌子

    福田(昌)委員 非常に適切な御答弁をいただきまして、私どもは安心いたしました。私どもが聞き及びましたところによりますと、昨年十二月四日から、一日二十名から三十名の割で女子従業員に対する局部検診を行われて現在すでに五百名くらいはこの検診を受けたとのことです。これは事前に通告されておつて、検診を拒否することもできる自由はあるけれども、実際拒否したいところが、そのうちの一人は解雇されたというようなことを聞き及んでおるのでございます。これが真実でありますと、まつたく人権蹂躪の態度だと思いますので、どうか外務当局におかれましては、この前にありました例にもかんがみまして、ぜひ善処方をお申入れいただきたいと思います。こういうことは向う側の反省によつて行われないように早くするようお願いしたいと思うのです。重ねて今度は児童局長にお願いいたしたいのでございますが、今年から混血児が相当数小学校へ入学することになつておりますが、混血児の母親というものは、職業的に見ますと一体どういう職業を持つている人が多いのでございますか。
  147. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 いろいろあると思いますが、やはり一番多いのは、いわゆる特殊婦人と申しておりますか、そういうような言葉で呼んでおりますが、まあ、ああいう職業の人が数としては多いのです。
  148. 福田昌子

    福田(昌)委員 私も、今の局長の御答弁のように、特殊的な、いわゆるパンパン的な行為をしている人、外観的にもそういう商売をしていると認められる人に、混血児の母親なる人が多いのかと考えておりましたが、今月の中旬でしたかに出ました週刊朝日の混血児の問題を取上げた記事によりますと、案外、今申し上げましたような、立川みたいな駐留軍の基地に働いている女の人に、混血児の母親になる人が多いということがはつきりと出ております。私は、そういう点を考えまして、やはりそういうことがあるのではないかということを感ずるのであります。立川の米軍基地におきましてそういう女子従業員に対して局部検診というようなことをしているということは、駐留軍基地において働いておりますそういう女子従業員を、アメリカの側では、これは売淫行為をすることもあり得る女性として考えているのじやなかろうかということが考え合せられる次第でございます。こういう局部の検診というものは、申し上げるもでもなく性病予防法の十一条から十三条に該当する以外の場合においてはできないはずでございます。この条文の該当はとりもなおさず、性病の流行とか、あるいはまた売淫行為をせんとする人を対象にする規定になつていることからいたしまして、立川の基地において行われているこういう検診のよつて起るところは、そういう女の人を売淫行為をし得る人だということを暗に認めておるということが言えると思うのであります。私は、日本のまじめな女性が駐留軍のそういう場所に職業を得ただけに、こういうふうな見方を外人からされるということに対して、日本人として非常に慚愧にたえないものを覚えるのでございます。従つて外務省におかれましても、こういう問題が再三起らないように、大臣はお帰りになりましたが、次官からも早急にお申入れをいただきたいと思います。もう一つ、重ねて児童局長にお伺いいたしたいのですが、混血児に対します概略の調査は、児童局でどの程度にしておられるか、もしお持ちでございましたら、このこまかな数字的なものをお示しいただきたいと思います。
  149. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 私どの関係の施設、乳児院とか養護施設、そういうふうなものに入つております者につきましては、正確な調査を持つております。その他一般に町におります混血児につきましては、結論を先に申し上げますと、正確な調査を持つておりません。今調査が進行中でございます。今までに他の方法で調査をいたしたのですが、それはあまり信憑性がありません。今進行しておりますこの調査ができますれば、ある程度の信憑性はおけると思います。これは四月の末ごろにならないと集計が出て参りません。数字ということでございますので、そういう前提で数字を申し上げてみますと、前者の養護施設、乳児院におります数字でございますが、これは二十七年の三月一日現在の数字でございますが、その集計は四百八十二人ということに相なつております。この養護施設、乳児院に入つております全児童の数は二万八千七百七十二人でございますので、その中で四百八十二入が混血児ということに相なつております。それから昨年の八月三十一日現在で、調査方法は助産婦、それから産婦人科の医師を通じて、その人たちに調査票を配りまして、そうして記録あるいは記憶による混血児の出生をどれだけ扱つたか、こういう調査をいたしたことがございます。これによりますと五千名余りということに相なつております。この数字は新聞にも発表いたしましたが、そういうことになつております。しかしこの数字によりますと、回答率の問題とか、あるいは記憶によつた場合であるとか、いろいろ不在確な要素が非常にたくさん入つておりますので、この数字はあまり信憑性がない、こういうふうにお考えを願わなければならぬと思います。それからなお、マイナスの方の要素といたしましては、死んだ者もおるということでございますので、あまり信憑性がない。それでその次に先ほど申し上げました調査をただいまやつておるのでございます。これは数を扱いますと同時に、児童委員、社会福祉主事というようなケース・ワーカーの手を通じまして、その家庭の状況等もあわせて調査をいたすことに進行中でございます。これの集計ができますと、もう少し確かな数字が出て来ると思うのでございますが、何分調査自体が非常に困難な調査でございまして、はたして正確な数字をつかみ得るかどうかということにつきましては、危惧の念を持つておるような次第でございます。
  150. 福田昌子

    福田(昌)委員 御調査がおできになりましたら資料を一部いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、年々混血児というものは増加の一路にあるということは、いなめない数字の上からの姿だと思うのでございます。こういう混血児で、正式の結婚によらない形で生れた子供に対して、アメリカないし連合軍の兵隊さんが、どの程度に認知しているかということについてのお調べがございましたら、知らせていただきたいと思います。
  151. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 全国的な認知の数を的確につかんでおりませんけれども、今群馬県の例で申し上げますと、二十六のうち十人を認知いたしております。これはしかし認知の率が相当いいようでございますが、全国的にその数字をつかんでおりません。
  152. 福田昌子

    福田(昌)委員 群馬県の例などは、局長も言つておられますように、全般的に見て非常にいい例だと思いますが、私どもが大体推定いたしますのに、認知された児童というものは、ごく少数であろうと考えるのでございます。大体ドイツなんかも第二次大戦後にいろいろな形から混血児が生れましたが、そういう場合でも、ドイツの婦人はどこどこまでも押しかけて行つてまでも、相手の人に子供の認知をさせたという記録が出ておりますが、そういう点に対して日本の女性はおとなしいと申しますか、きわめて無知であるということが言えると思います。従いまして養育の問題におきましても、将来の児童の教育の問題におきましても、日本の女性は混血児をかかえて非常に困る人が、たくさん出て来るだろうと思うのであります。このことは女性自身の生活の問題のみならず、またその児童、混血児等の将来に与える大きな問題でございますから、こういう点に関しても児童局としては、一つの大きな構想を練つて実行に移していただきたいと思うのでございます。私といたしましては、厚生省の御意向としてこの混血児問題をどう取扱おうとしておられるか、このふえつつある状態に対して、どういう方向で対処しようとしておられるかということを、一応御説明願いたいと思います。
  153. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 この混血児の問題につきましては、いろいろな観点があると思うのでございますが、私どもの立場といたしましては、子供の福祉というものを中心にものは考える立場にあるのでございます。それでいろいろ社会の問題にもなつて参りましたので、なお関連する面が非常に広汎でございますので、昨年の七月に中央児童福祉審議会にこの問題を諮問いたしまして、この義奪いろいろと御研究を願つている最中でございます。なおその際におきましては、審議会の委員だけでなくして、混血児を多数収容しておられます施設の経営者でございますとか、外務省、文部省等関係各省の係官の方でございますとか、あるいは民族学、社会学、心理学、教育学等の専門学者、その他一般の良識を持つておられる方々にも参加していただきまして、いろいろと御意見を承つておるのでございます。大体審議会が、数回この問題を取上げて開催をいたされまして、大体の、まだ文章に書いたものは出ておりませんけれども。大体の取扱い方の方針というようなものが固まりかけておるのでございます。その答申が出ますれば、厚生省といたしましてもその答申を尊重いたしまして、その趣旨に沿つて行きたいと思つているのでございますが、今の大体の方向といたしましては、一番の根本問題は、これを隔離して特殊な保護を加えるか、あるいは特殊扱いをしないで、同化主義と申しますか、なるべく日本人の社会の中に早く溶け込むような立場で行くかという根本問題が、一番大きな問題でございますが、それにつきましては、大体あとの方の立場というものが、この問題に対する最も正しい方針であるというふうに結論が出かかつております。しかしながら現実の問題としましては、これらの混血児が、その背後にあります暗い影によりまして、ともすれば成人の社会からは蔑視、あるいは反感をもつて見られて、これがやがてはまた子供同士の社会にも影響いたしまして、混血児に対して悪影響を及ぼすおそれもないではございませんので、かようなことに対しましては、一般世人に対する啓蒙と、個々別々のケース・ワークについて、十分特別な注意を払つて行かなければならないかようなことが、大体結論的に固まつて来つつあるようでございます。それは根本の問題でございますが、なお学校の問題といたしましては、これも今の根本方針に従いまして、大体一般の公立学校に受入れるということで、文部当局でもその御方針のようでありますし、中央児童福祉審議会におきましても、それが妥当であるという結論になつております。特殊な問題は特殊な問題として、ひとつケース・ワークで行こう、こういうことで、根本原則としてはそういうことに相なつておるのでございます。
  154. 福田昌子

    福田(昌)委員 増加しつつある混血児の対策を承りたい。これを黙認なさるおつもりか。
  155. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 この問題は、ちよつと私どもだけでこの傾向を阻止するとかなんとかいうことを、政府考える問題でもないようでございます。今その問題について、特別に何か厚生省として手を打とうということは、さしむきのところ考えておりません。
  156. 福田昌子

    福田(昌)委員 時間がありませんので、くどいことは避けて伺いますが、ただ児童局長にお願いしておきたいことは、政府当局の直接の仕事ではないかもしれませんけれども、混血児のだんだんふえつつある傾向は、黙認できない現実の大きな問題でありますから、これについての対策を考えていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは別のことですが、ただ一点だけお尋ねしたいのです。二月十日の朝日に、ロンドン八日発、AFPの通信として出ておる、日本政府が沖繩と小笠原の返還について、米国政府と交渉をしておるという記事でございますが、外務当局では、実際米政府と、沖繩及び小笠原の返還について交渉しておられるのかどうか。
  157. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 私その新聞記事を拝見しておりせんが、沖繩の返還、日本への復帰の問題につきましては、かねてからアメリカ側にその希望は伝えておりますが、今日の段階におきまして、ただちに復帰ということは困難な問題のようでございます。従いましてさしあたりの問題といたしましては、個々の各種の問題につきまして、復帰と同様の効果があがるような手段方法を講じておるのであります。いろいろありますが、渡航の問題とか、教育の問題、あるいは郵便為替の問題というように、各種の個々の問題について折衝いたしまして、満足な結果を見つつあるわけであります。
  158. 福田昌子

    福田(昌)委員 ただいまの御答弁でよくわかりましたが、琉球にいたしましても、小笠原諸島にいたしましても、その他の島々にいたしましても、日本復帰ということは島民あげての熱望でございますから、外務当局におかれましても、たび重なる折衝によつて、一日も早くこの島々が日本に復帰できるよう御奮闘願いたいと思います。
  159. 栗山長次郎

    栗山委員長 並木芳雄君。
  160. 並木芳雄

    ○並木委員 まだ韓国から大邦丸についての回答は来ておりませんか。
  161. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 まだその後回答は参つておりません。
  162. 並木芳雄

    ○並木委員 遅れておるのは、どういう理由かわかりませんか。
  163. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 どういう理由で遅れておるかわかりませんが、韓国側におきましても、いろいろ事情を調査しておるために、遅れておるのじやないかと想像いたしております。
  164. 並木芳雄

    ○並木君 この問題はなかなか重要問題です。ほうつておけば、濠州におけるアラフラ海の漁業の問題にも影響するし、今後起る漁業協定において、日本側の立場が非常に苦しくなるのじやないかと思います。そこで、先ほど岡崎外相の答弁があつたのですが、なおわからない点がございますので尋ねたいのです。実は先ほどから防衛水域の話がありましたけれども李承晩ラインの方については話がございませんでした。李承晩ラインは、漁業を対象としてのラインだというのであれば、それを韓国の大統領が宣言しておる以上、他国からの漁船は入れないはずであるけれども、これを入れているのはどういうわけですか。
  165. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 お話のように、李承晩ラインは魚族保護という見地から、一方的に宣言いたしております区域でございます。この区域内には韓国としては、日本の漁船は入つてもらつては困るということを言つております。
  166. 並木芳雄

    ○並木委員 困るということは、入つて来ればそれを取締る、場合によつては実力行使に出る、こういうことを意味するのですか。
  167. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 そういうことであろうと想像いたします。
  168. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると、問題が出て来るのです。向うではとにかく一方的に宣言をしておる。その李承晩ラインの中に、日本の大邦丸が入つて来たのであるから、出て行けというふうにやつたのだと、向うに口実が出て来るおそれがあるのですが、その点はどうですが。
  169. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 先方は、李承晩ラインの中に入つて来たから、この李承晩ラインの侵犯であるということを主張しておるようであります。
  170. 並木芳雄

    ○並木委員 ですからそれが今まで解決されないで、放置しておいたところに、政府の大きな怠慢があると思うのです。それが解決されないでいたならば、そういう事態が起らないように、監視船をつけるとかいうような保護の方法をとるべきであつた。だからこつちの政府にやはり手落ちがあつたのじやないか、その点いかがですか。
  171. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 李承晩ライン国際法上認められないものであるということは、再々わが方からも抗議を申し込んでおるのであります。また日韓会談の折衝の長い期間の間におきましても、この問題を解決すべく努力いたしたのでありますが、遺憾ながら今日まで解決つかないでおるわけであります。なおわが方の漁船が李承晩ラインの中に立ち入るための危険に対する保護をどうするか。これは海上保安庁なりあるいは水産庁の監視で、こういうような方面においてあるいは火砲を強化するとか、いろいろな方法を講じて、保護に任じつつあるように聞いております。
  172. 並木芳雄

    ○並木委員 とにかく今のままでは漁船はあぶなくて近寄れないのじやないかと思うのです。たとえば先ほどの千代田丸の場合には、国連軍が安全保障をしてくれる、こういう答弁でありますけれども、向うには今度の大邦丸事件を起したように、警邏船の場合があるわけなんです。国連軍の作戦系統とは明らかに別に、日本の海上保安庁に相当するのであろうと思いますが、警邏船の出動がある。この方にもはつきり注意が行き届かなければ、日本の漁船は安心できない。国連軍日本政府が依頼して大丈夫だということは、そういう警邏船の系統、治安の維持上の系統にも十分それが行き渡るのだという意味でありますか。
  173. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 わが方といたしましては、アメリカ大使館を通じまして国連軍に対し、この李承晩ラインというものは認められない、従つて李承晩ライン理由としてわが方に対する不法行為をいたしたものに対しましては、十分取締つてほしいということを再三申し入れておるのであります。その結果警邏船によりますか、どういう方法によりますか、とにかく国連軍としては韓国側のそうした不法行為に対しては、十分配慮を配つておることと考えます。
  174. 並木芳雄

    ○並木委員 そのアメリカ大使館を通じて国連軍に要請したというのに対して、国連軍の方からの回答は何か正式にありましたか。
  175. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 はつきりした意思表示は受取つておりません。
  176. 並木芳雄

    ○並木委員 要するにさしあたり漁船が困ると思うのですが、それこそさつきの千代田丸ではありませんが、それに対して国連軍の船がちやんと安全を保障してくれるのですか。どういうふうに安全を保障してくれるのですか。
  177. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 国連軍の警邏船が保護するとかいうようなことではなくて、韓国側に対していろいろの手段をもつて、わが方に対して不法行為がないように注文をつけておるのでありまして、必ずしも警邏船とか船舶によつてつてくれ、こういう要求をしておるわけではない、もつと広い意味におきまして要求いたしております。
  178. 並木芳雄

    ○並木委員 承晩ラインの漁業に関する水域について、私どもはつきりしないのですが、濠洲でこれから協定に入るというアラフラ海の問題でも、それが起つて参ります。漁業のためならば自由に公海上に線をひつぱつて、ここからこつちは他国の漁船は入つて来てはいけないのだということが、国際法上あるいは慣習上、できるのですか。
  179. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 そういう漁業権というようなものは、国際法上認められないものとわれわれは解釈いたしております。
  180. 並木芳雄

    ○並木委員 認められていなければ、濠州のアラフラ海におけるあの問題は、どういうふうに解決されているのですか。そういうものは国際法上認められておらないとするならば、李承晩ラインもとよりですけれども、これから問題になろうとしておる濠州のアラフラ海における漁場の問題に対しても、やはり政府はこれを認めないという立場で臨んで行かれるかどうか。
  181. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 今日のところ、日本といたしましては漁業権というものは認めておりません。但し両国間が話合いで区域をお互いに設けるということは、その関係国だけについてはあるいは成立しないこともないと考えておりますが、まだアラフラ海の問題については、そこまで考えておるわけではございません。
  182. 並木芳雄

    ○並木委員 従来はどうなつておりましたか。そして今度のアラフラ海の方は、先方からの要求はどういうふうに出て来ておるか。これに対して日本政府としては、どういうふうに対応して行くつもりでありますか。
  183. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 従来アラフラ海の方面におきましては、日本のみが漁業に従事しておつたのでありまして、濠州側はほとんど漁業らしい漁業はしておらないのであります。なお今回の日濠の漁業条約締結についての先方からの申入れに際しましては、条約案というものを示して参つておりませんので、どういうことを要求いたしておるのか、当方には判明いたしておりません。
  184. 並木芳雄

    ○並木委員 日本の漁船に対しては、従来通り出漁していいという方針をとつておりますか。
  185. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 実はアラフラ海に出漁するということにつきましては、かねてから濠州側では相当関心を持つてつたようでありまして、戦前におきまして日本の該地域に出漁いたした者が濠州の領海に立ち入り、あるいはまた薪炭等の補給のために上陸したというような事例もありまして、そういうことから濠州の方の人々を非常に刺激したような事例もあつたのであります。今回もあるいはそういうことが起るのじやないかということで、非常に心配いたしておるのであります。従いまして近く日本の漁業者も出漁する予定のように承つておりますが、そういう際でありますので、なるべく濠州の方面を刺激しないように自粛して行く必要があるのじやないか、こういう観点からいたしまして、あるいは漁獲高を制限するとか、あるいは出漁の隻数を制限するとか、あるいはまた領海内には絶対に立ち入らないようにする、また当方には監視船をつけまして、わが方の漁船が不法行為を行わないように厳重に監督する、あるいはまた補給船をつけまして、薪炭、食糧その他一切を運びまして、向うの領海に立ち入らないというように、各種の条件をつけまして、出漁させたいと考えております。そうしないと本年の漁期に間に合いかねますので、漁業者の立場も考えて、外務省といたしましてはそういう考え方で進んで行きたいと思つております。
  186. 並木芳雄

    ○並木委員 韓国の沿岸の李承晩ラインの方はいかがですか。政府としては従来通り、漁船は出漁してもさしつかえないという立場をとつておりますか、大邦丸のような問題が起つておる際であるから、しばらく遠慮すべきであるというような立場をとつておりますか、はつきりしておいていただきたいと思います。
  187. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 従来と何ら考え方をかえておりません。
  188. 並木芳雄

    ○並木委員 引揚船の航海安全のことが問題になつておるのですけれども、私どもは引揚船までが、済州島付近を通過するとき、どうして危険であるかということは了解に苦しむわけです。引揚船の航海安全について、国連かどこかに政府として依頼したというような報道もありますが、どういう点について引揚船の航行に不安を感ずるのか、もし感ずるとすればそれに対してどういう対応策を考え、処置したかお尋ねいたします。
  189. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 引揚船は漁船ではありませんので、李承晩ラインの問題といたしましてはさして心配はないと考えます。但し台湾政府におきまして、さきごろ開港の閉鎖を宣言いたしたようであります。そういたしますと、国籍のいかんを問わず、中共の港に入る船舶は、一応阻止されるおそれもありますので、台湾の中華民国政府、またアメリカ大使館を通じ、国連軍に対しまして、引揚船につきましては特にそういう危険のないように依頼いたしておるわけであります。
  190. 並木芳雄

    ○並木委員 きのう政府は引揚げについて現地の代表団に電報を打つたそうですが、その電文の中に、帰国に該当しない者は日本に来てもこれを送りもどすというようなことが、これはラジオだつたか新聞だつたかに報道されましたものの中にあつたと思うのですが、どういう内容の電報をお打ちになつたのですか。
  191. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ちよつと当該係の者がおりませんので、その点は後刻お答えいたします。
  192. 並木芳雄

    ○並木委員 それではいなくても答えられる問題を伺います。そうすると帰国に該当しない者ということは、何か今度引揚げて来る者以外に、日本にやつて来るおそれがあるから、特にそういう注意の電報を打つたのだろうと思います。これは政務次官としては当然知らなければならぬ問題なのです。何かそういう懸念があるのですか。
  193. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 今回引揚げて参ります者は、日本の国籍を持つておる者、並びに日本人の妻で外国籍を持つておる者だけに限つておるのでありまして、外国籍を持つておる一般の者は帰国を認めておりませんので、そういうものがもし入つておりますれば、あるいは帰つていただくようになろうというような意味ではないかと考えます。
  194. 並木芳雄

    ○並木委員 そうはつきりしているならば、それに該当しない者は送り返すということを、あらためて言つてやる必要はないと思うのにかかわらず、特にそれを取上げて言つたところを見ると、何か外務省に情報が入つておるのではないかと思うのです。ですからこの前も私外務大臣質問したように、今度の引揚げを契機として、多分に政治的の色合いが出て来るのではないか。日本政府を認めずに、第二政府のようなものをつくり上げて、それを相手としておるような傾向もあるし、そういう点で、特にきのう打つた電報のこのところは注目を引きますから、お尋ねをしておるのです。
  195. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 そういう政治的な意味を含んではおりません。
  196. 並木芳雄

    ○並木委員 私はこれでよろしゆうございます。
  197. 栗山長次郎

  198. 戸叶里子

    戸叶委員 おとといの新聞に、パキスタンから通商代表が来て、パキスタンとの貿易協定を結ぶというようなことが出ておりましたが、パキスタンはニユーヨークに次ぐ日本の商社の多いところであつて日本の貿易の最有望国とされておりますから、非常に喜ばしいことだと思いますが、私がパキスタンへ参りまして驚きましたのは、日本政府が、綿花を買い入れるという約束で日本の業者からたくさんの綿製品を向う側に売つたのにもかかわらず、その約束を果さないで、あちらの公使館の人たちも非常に困つておりましたし、業者も非常に困る、パキスタンの政府からは非常に信用を失うというようなことが出ておりましたけれども、そういうことは外務当局の耳に入つているかどうかを伺います。
  199. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 パキスタンに対する綿布の輸出が思うように行かないということは聞いております。ですから今回の使節団等のお力によりまして、相互の貿易が一層拡大いたしますように努力いたす所存でございます。
  200. 戸叶里子

    戸叶委員 ちよつと私の質問にそれていると思いますが、こちらの政府からパキスタンの政府にパキスタンの綿を買いつけという約束をしておきながら、その約束を履行しないで非常に困つた事件があつて領事館の人も政府へ顔向けができないというようなことを聞いておりますが、その点はどうなつているのですか。もしおわかりでしたらそれに対してどういう手をお打ちになつたかということであります。
  201. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 パキスタンからも綿花を多数輸入いたしまして、貿易関係を円滑にするという必要は大いにあるのであります。ただパキスタンの綿花は他の品物に比べて相当高いのであります。そこに非常にむずかしい点があるのでありますが、今後各種の方法によりまして、円滑に相互の貿易ができますように努めたいと考えます。
  202. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまの御質問に対する政府の答弁は不十分であると存じます。よつてなお調査の上的確なる答弁をせられんことを望みます。通産省の通商局長も呼んで御答弁を願います。事務の方でもおはからい願います。
  203. 戸叶里子

    戸叶委員 私の不満を委員長が述べていただいてたんへん助かつたわけであります。どうかその点御注意していただきたいと思います。  今パキスタンの綿花が非常に高いというお話でありますが、そういう点から約束を履行しなかつたのだろうと思いますけれども、それは国と国との将来を考えましても大きな問題でありますから、それをそのまま飛ばしてしまわないで、何らかの形で解決して行かないと、この通商協定は成功しないのではないかと思うので、その点をよくお考えになつておいていただきたいと思います。それから今度パキスタンの綿を買うように努力するというお話でございましたが、そういう点から考えてみて、今まで買つておりました米綿を買わないでパキスタンの方から買うという御計画か何かがおありになる九を伺いたい。
  204. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 専門的な話にたりますので、通商産業省の関係官をお呼びいただいて、お調べを願つた方が適切ではないかと思います。
  205. 戸叶里子

    戸叶委員 私実はこの協定の問題外いろいろ質問がありますが、政務次官ではちよつと御無理かと思いますへら、経済局長と通産省の関係の方をの次にお呼びになつておいていただきたいと思います。
  206. 栗山長次郎

    栗山委員長 了承いたしました。この次には外務省経済局長と通産省の通商局長に出席してもらいます。  本日はこれで散会いたします。     午後一時七分散会