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1952-05-29 第13回国会 参議院 内閣・郵政・電気通信連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十九日(木曜日)    午後二時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            鈴木 直人君            成瀬 幡治君    委員            中川 幸平君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            和田 博雄君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君            三好  始君   郵政委員    理事            柏木 庫治君    委員            石坂 豊一君            城  義臣君   電気通信委員    委員長     鈴木 恭一君    理事            山田 節男君    委員            大島 定吉君            新谷寅三郎君           小笠原二三男君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   国務大臣    郵 政 大 臣     電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    電波監理委員会    委員長     網島  毅君    電波監理長官  長谷 愼一君    行政管理庁次長 大野木克彦君    郵政政務次官  寺本  齋君    電気通信大臣官    房審議室長   大泉 周蔵君    電気通信大臣官    房人事部長   山岸 重孝君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    郵政事務次官  大野 勝三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○郵政省設置法の一部改正に伴う関係  法令整理に関する法律案内閣送  付)   —————————————
  2. 鈴木直人

    委員長代理(鈴木直人君) これより内閣郵政電気通信連合委員会を開きます。  本日提案されている議題は郵政省設置法の一部を改正する法律案予備審査及び郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令整理に関する法律案予備審査、この二つの案件であります。本日はこれに対して質疑通告があるのでありますが、関係大臣でありまする野田行政管理庁長官白下衆議院の本会議に出席されておりますが、終り次第出席するようになつております。それから佐藤大臣古島一雄氏の告別式に行つておりますので、これ又そのうち出席すると思います。そのほかに電波監理委員会委員長網島氏その他関係政府委員は皆出席いたしております。それで先ず最初にこの二つの法案について寺本郵政政務次官から逐條説明を承わりたいと思いますが、只今事務的に郵政省設置法の一部を改正する法律案の十三條、十二ページでありますが、十三條に字が誤まつているものがある。こういうことで訂正の申出がありました。それは十三條に松本市とありますが、これは松山市の間違いであるということでありまするから御訂正を願います。  それではこれから寺本郵政政務次官説明を承わりたいと思います。
  3. 寺本齋

    政府委員寺本齋君) 只今から郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたしたいと存じます。この法律案の要旨につきましては、お手許に差上げておきました法律案要綱説明簡單説明いたしておきましたので、ここでは條文を逐いながら比較的重要と思われまする改正につきまして、簡單に御説明申上げたいと思います。従いまして単なる字句修正のような字句的な條文改正につきましては、説明を省略いたしたいと思います。  先ず第一條改正でありますが、これはこのたびの一般行政機構改革の一環といたしまして、電波監理委員会廃止されますので、その所掌する事務と、電気通信省日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社に移行いたしまするので、それらに対する監督事務及び有線電気通信規律及び監督に関する事務等電気通信に関する行政事務が新たに郵政省所掌事務といたしまして加わりますので、この法律目的も「その行う事業を能率的、合理的に経営するのみならず、その所掌する行政事務を能率的に遂行するにたる組織の基準を定めることを目的とする」と改正いたしたものであります。  次は第三條の改正であります。これは第一條改正で申上げましたように、郵政省所掌事務電気通信に関する事務が新たに加わりますので、郵政省の任務にそれを加えたものでありまして「郵政省は、国の事業及び行政事務を一体的に遂行する行政機関とする」と改正したものであります。なお第二項におきましては、電気通信省日本電電公社及び国際電電会社に移行いたしますので、現在電通省から委託されている業務は、電電公社及び電電会社から委託されることになりますので、そのように改めますと共に、その他條文の形を整え若干の字句修正等をいたしたものであります。  次は第四條の改正でありますが、これは郵政省権限に現在の電波監理委員会が有する権限そつくりそのまま加えますと共に、日本電電公社及び国際電電会社監督すること並びに有線電気通信規律し、監督すること等の権限を加えたものであります。  次の第五條改正は新たに郵政省に加わつた現在の電波監理委員会所掌事務を司どるために、内部部局といたしまして電波監理局を加えたわけであります。  次は第六條の改正でありますが、これは先ず第一に、あとで出て参ります第二十一條で、大臣官房電気通信監理官をおきまして、日本電電公社及び国際電電会社監督並びに有線電気通信規律及び監督等を行うこととなつておりますので、その電気通信監理官の行う事務大臣官房所掌事務に加えたものであります。いま一つ改正は、第十九條で郵政省附属機関として電波監理委員会が置かれますし、第二十一條の二で電波監理審議会審理官なるものが置かれますが、それらに関する庶務はその性質大臣官房で行うことが適当と思われますので、それを大臣官房所掌事務に加えたものであります。次に第十條の二の電波監理局事務でありますが、これは現在の電波監理総局行なつています事務條文整理いたしましてそのまま加えたものであります。次に第十二條改正でありますが、先ず第一項について申上げますと、現在郵政省地方郵政監察局地方郵政局等地方機関を置いているのでありますが、今回新たに電波監理局が加わりましたのを機会に、行政組織法上の地方支分部局ということに名称を統一いたしたわけであります。次に第二項の改正でありますが、これは地方電波監理局では本省の電波監理局所掌事務の一部を分掌すると共に、有線電気通信規律及び監督に関する事務の一部をも併せて分掌することにいたしたものであります。  次は第十三條の改正でありますが、この改正郵政省地方支分部局といたしまして地方電波監理局が加わりますので、その名称、位置、管轄区域内部組織出張所等に関しまして、現在の電波監理委員会設置法規定を殆んどそのまま加えたものであります。  次に第十四條の改正でありますが、これは附属機関といたしまして、新たに電波研究所を加えたものであります。この電波研究所所掌事務は第十七條の二に規定してありますが、現在の電波観測所行なつている事務を行いますと共に、現在の電波監理総局電波部行なつている事務のうち、この電波研究所で行うことが適当と思われます純粋の電波監理行政に属しないいわば現業事務、即ち周波数標準値を定め、標準電波を発射するごと、電波の伝わり方について予報及び異常に関する警報を送信すること、無線設備の機器の型式検定性能試験を行うこと等の事務及びそれらに関する研究及び調査を行うことといたしたものであります。  次に第十九條の改正でありますが、これは附属機関といたしまして、電波監理審議会及び電波技術審議会を加えたものであります。この電波監理審議会を設けました理由といたしましては、電波監理委員会廃止されてその権限郵政大臣が行うことになりますが、その行う電波監理行政事務をできるだけ民主的に公正に運営せんがためであります。審議会機能につきましては、郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令整理に関する法律に出て参りますので、それに譲りたいと存じます。  次は第二十一條改正でありますが、これは大臣官房電気通信監理官二人を置き、電波監理審議会審理官五人以内を置きますことにする改正であります。この電気通信監理官は第六條の改正のところでちよつと申上げましたように、日本電電公社及び国際電電会社監督有線電気通信規律及び監督等事務を行うこととなつております。次に審理官でございますが、これは電波監理審議会電波法第七章に規定された聴聞を行います際に、その聴聞調書及び意見書に基いてなさねばならないことになつておりますので、その機能はいわば裁判における予審判事的なものを主宰するものでありますが、これは常に公正な立場を必要といたしますので、郵政大臣がこれを任免いたします場合は審議会議決を経て行うこととなつております。  以上で簡單ながら郵政省設置法の一部を改正する法律案説明を終ります。  次に、郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令整理に関する法律案について御説明申上げます。  先ず第一條でございますが、これは電波監理委員会廃止に伴うものであります。二、次に、第二條電波法の一部改正でございます。即ち郵政省に現在の電波監理委員会所掌事務が移管されること及び電波監理審議会が新たに置かれるごと等に伴い、電波法の一部を改正しようとするものでありますが、そのうちに第七章の改正規定につきまして、順を追つて説明申上げます。  先ず、第八十五條及び第八十六條は電波法又は電波法に基く命令の規定に基く郵政大臣処分不服のある者が郵政大臣に対して異議申立行なつたときには、郵政大臣はこれを却下する場合を除いて必ず電波監理審議会の議に付さなければならないこと、又電波監理審議会は、その議に付された事案については当該異議申立郵政大臣に受理された日から三十日以内に必ず聴聞を行わなければならないことを規定いたすものであります。  次に、第九十三條の二でありますが、電波監理審議会審理官から異議申立にかかわる聴聞事案についての調書及び意見書が提出されたときは、その調書及び意見書に基いて事案についての決定案議決しなければならないとする追加規定でございます。この「調書及び意見書に基き」とは、調書に記録された主張、証拠などの事実及び意見書に表明された認定事実、理由意見内容の範囲内においてという意味でございます。  第九十四條第一項、郵政大臣電波監理審議会異議申立についての決定案議決したときは、その議決の日から七日以内にその議決によつて異議申立についての決定を行うこととする規定でございます。第九十六條の二でありますが、郵政大臣処分不服のある者は必ずこの聽聞審理を経なければ出訴できないとする出訴制限規定として新たに追加したものでございます。なお次の第九十七條により、この訴は第二審である東京高等裁判所に提起することになつているのは現行通りでございますし、又裁判所を拘束する等の点も現行通りでございます。  次に第七章の二について御説明申上げます。第九十九條の二から第九十九條の十までは、電波監理審議会組織委員の任命その他につきまして委員身分国家公務員法特別職とされている他の審議会の例及び現行電波監理委員会の例に準じて規定したものでございます。第九十九條の十一は、郵政大臣電波監理審議会に対して必ず諮問しなければならない事項を定めた規定でございます。この必要的諮問事項は、現行電波法第八十三條に聽聞事案として規定している事項と殆んど同様でございます。第九十九條の十二、電波監理審議会必要的諮問事項について郵政大臣から諮問を受けたときは必ず聴聞を行わなければならないこと。及び右以外の場合であつて郵政大臣から諮問を受けた場合に、電波監理審議会が必要ありと認めるときは聴聞を行うことができることを定めた規定でございます。なお右の必要的聴聞であつて任意聽聞であつても、聽聞を行う場合はすべて異議申立にかかる聽聞手続に準じて行うこととし、電波監理審議会は右の手続を経た審理官調書及び意見書に基いて郵政大臣に対する答申議決することといたしてございます。  第百十條、罰則ですが、これは電波監理審議会委員が、九十九條の九の退職後の就職の制限に関する規定に違反した場合の罰則を定めた規定でございまして、現在の電波監理委員会の例に従つて規定したものであります。    〔委員長代理鈴木直人君退席、委員長着席〕  次に、第三條から第七條までについて一括御説明申上げます。第三條から第七條までのうち、「「電波監理委員会」を「郵政大臣」に改める。」等とありますのは、前にも申しました通り整理のための必要な規定でございます。第五條において地方自治法第百五十六條第五項から「電波監視局」を削りましたのは、電波監理局地方電波監理局内部組織とする趣旨に出でたものであります。  最後に附則について簡單に申上げます。第二項は、職員の身分等を辞令を用いることなく継続させる等のため、行政機関廃止移管等の場合に例文的に用いる規定でございます。第五項は、最初に任命される電波監理審議会委員任期を定めたものでありまして「九箇月」等と月を以て定めましたのは、任期ができるだけ国会の閉会時に当ることを避けるためのものであります。  これを以ちまして御説明を終ります。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 行政管理庁長官と、それから郵政大臣電通大臣はまだお見えがないのであります。従いまして政府委員に御質疑がありまするならば、この際願いまして、大臣が出て参りましたならば、御通告従つて質疑願うことにいたしたいと思いますが、如何でしようか。何かそれ以外に、大臣でなくて御質疑のできまするかたに御質疑を願います。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  5. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて……。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 内閣委員会で御審議を願うことではありましようが、電通委員会としても非常に関係が深いものですから、一点電波監理審議会に関しましてお伺いしたいと思います。一つは極めて形式的な問題でありまするが、この電波監理審議会設置ということは、郵政省設置法の一部を改正する法律案の中で、郵政省附属機関として電波監理審議会というものを設けておられるのであります。ところがその内容をなしまするところの電波監理審議会組織とか、権限とかいうようなことは、電波法の一部を改正する法律案の中に入れておられるのであります。私はよく法律のことは知りませんが、私の常識で以てすれば、これは極めて法律体系から言いますと、異様な感じを抱くのであります。電波法は申すまえもなく、電波に関するいろいろの監督或いは指導の規定であります。電波行政内容規律する法律であります。電波監理審議会組織等規定は、これは申すまでもなく郵政省附属機関である電波監理審議会に関する問題であるかと存じます。従つて法律体系から言いますと、これは当然郵政省設置法の一部改正法律案郵政省設置法に入れて行かなければならんものであると考えるのであります。何故にこのような異例の方法をおとりになつたのか、私にはどうしても解しがたいのであります。もう一つは、二の電波監理審議会に関する問題でありますが、電波監理審議会に関する條文を拾つて見ますると、この電波監理審議会というものは、実は私よく性格がわからないのであります。或る場所では郵政大臣に対して勧告をする機関になつておりましたり、そうかと思うと、原則的には郵政大臣諮問に応じて答申をする一つ諮問機関であるような性質も見られます。又一方から言いますと、聴聞の結果に対しまして決定をしなければならないのですが、決定に関しましては電波監理審議会というものは、郵政大臣に附属する一つ附属機関でありながら、その意思決定をしたものは郵政大臣を拘束するというような規定があるのであります。これは現在の電波監理委員会設置法から見ますると、或いは妥協案として、こういつたものが生れたのかも知れませんが、こういうことになりますと、一体郵政大臣職務権限従つてその責任というものを非常に不明確にする虞れがあると思うのであります。成るほど電波行政においては、技術面であるとか、或いは細かい経験を要する事項がありますから、そういつたことについては実際上郵政大臣電波監理審議会意見を尊重するということは当然でありましようけれども、今日行われておりますように、電波監理委員会では、そういうことのほかに非常に大きな政策決定する場合があるわけであります。そういうことについてまで、すべて郵政大臣電波監理審議会意見に拘束されるというようなことでは、郵政大臣職務権限というものは非常に不明確になつて来ると考えられるのであります。仮にこういうことを妥協案として採用される場合におきましても、大きな政策決定については、すべて郵政大臣責任を持ち、従つてその権限を持つようにするのが妥当じやないか、こう考えるのでありますが、この二点につきまして、郵政大臣からの御意見を伺いたいと思います。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えをいたします。電波監理審議会組織電波法の中に規律したことが異例な扱いだ、こういう御意見のようでありますが、私ども必ずしも異例だとは考えておらないのであります。と申しますのは、実体法にこの種の審議会規定を設けておる先例は幾つもあるのでありまして、問題は審議会というものの機能が、実体法である電波法運用と非常な深い関係があるというような場合におきましては、しばしばその実体法中にこの種の制度を設ける先例があるのでありまして、御承知のように漁業法における漁業調整審議会であるとか、道路運送法における道路運送審議会等規定先例としてあるのであります。問題は実体法運用と、この審議会機能とがどういう関係にあるか。この点に重点を置いて考えますると、まあこういう立法も可能ではないか、かように私ども考えます。第二点の問題でありますが、これはいろいろその意見が立つと思います。国務大臣職務権限、これは一つはつきりしたものが設置法等においてもあるわけでありまして、この国務大臣職務権限が、審議会に第一審的機能を賦興することによつてその職務権限内容が不明確になる、かように申しますると、これもどうも筋が、少し議論が当らないのじやないか。で、国務大臣職務権限、これはどこまでも行政処分をいたすわけでありますが、これが審判を受ける、こういうような場合があれば直ちに裁判所に行くかと申しますると、この種の特殊的機能の問題に関しましては、専門的な審判を要求される場合も考えられる。そこでこの審議会自身が持つております専門的技術というものに審判的権限を附與して頂く、かような意味合であるのでありまして、これは国務大臣職務権限とは区別してお考え願つて差支えないのじやないか、かように私考えております。なお若し説明が足りない点がありますれば、事務当局説明させたいと思います。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に説明が足りないと思うのでありますが、私申上げておる趣旨は、繰返しませんが、前段の形式論の問題、つまり電波監理審議会に関する規定組織法の中に置いたらどうかということ。これは別に他の法律に置いても私は違法だとは思いません。思いませんけれども、併しこういうふうに組織法各省別に別個にきめて行く場合には、而も今度郵政省設置法の一部改正法律案並べりてお出しになる場合には、当然これは組織内容規律するものでありますから、郵政省設置法一部改正法律案に入れるのが至当である。而も内容的に見ますると、郵政省設置法一部改正法律案に載つておりまする電波監理審議会というものの性格は、勧告をしたり、審査及び議決をするというようなことになつております。併しその内容はどこに書いてあるかというと、電波法の一部改正法律案の中に書いてあるのであります。これが附属機関としての電波監理審議会内容規律しておる郵政省設置法の一部改正法律案内容と非常に違つておるのであります。いわばこの郵政省設置法の一部改正法律案に載つております電波監理審議会というものの性格は、電波法の一部改正法律案のいろいろの規定によつて非常に性格が歪められて来ておる。むしろ変つて来ておると考えられますので、むしろこれは設置法の一部改正法律案において、電波監理審議会というものの内容性格を明瞭にしておくのが、法律体系としては当然であろうということを申しておるのであります。  次の問題につきましては、意見の相違かも知れませんが、私は郵政大臣がこの電波行政についても最高の責任者として、あらゆる政策決定して行く職務権限を持つておるわけでありますから、そういう国務大臣性格からいたしましても、全郵政大臣は、こういう非常に技術的な、或いは細微な経験を要するような事柄と言われましたが、そういつた事柄もありますけれども、電波監理委員会においてやつております仕事は、單にそれだけではない、非常に大きな国の電波に関する行政基本方針をきめなければならない、つまり政策をきめなければならんというようなことも多々あるわけであります。それについて郵政大臣は、これは電波監理審議会がきめたので、自分はそれに拘束されて決定をしただけであるというようなことでは非常に私は困ると思うのです。責任の所在を明確にする意味においても、官庁の責任体制を確立する上から行きましても、私は意見としては、電波監理審議会というものは諮問機関であり、その内容によつては、郵政大臣審議会意見を大いに尊重されるのは結構でありますけれども、どこまでも職務権限としては、郵政大臣が最終的な職務権限を持つということにしなければならないのじやないかと思うのであります。これ以上は意見になりますから申上げませんが、今申上げたことについて、更にお答えが若し願えればお答え頂きたいし、若し御答弁がなければ、先ほどの御答弁を以て御答弁といたします。
  9. 大野勝三

    説明員大野勝三君) 先ほど大臣からお答えを申上げましたので、盡きておるように考えるのでありますが、第一の点である電波監理審議会郵政省設置法の中で賄うべきではないかというお説は、確かに一つ法系を統一するという趣旨から行きますれば、それは筋の通つた議論であると私ども考えるのでありますが、先ほど大臣からも申上げました通り、何さまこの電波監理審議会組織或いは機能等につきまして、かなり詳細なる規定を要しまして、相当それ自体で一章をなすくらいの複雑な内容のものでありまして、その機能から見ますと、電波法運用それ自体と非常に緊密に結び合つておる点が多いのでございますが、他の立法例等にならいまして、便宜これは電波法の中に規定いたしましたわけであります。  それから第二の政策決定最後責任大臣にあらねばならんという御意見のように拝聴いたしたのでありますが、これは法制の建前から行きまして、全くお説の通りになつておると考えておるのであります。成るほど電波法の中に、一定の処分をいたします際には、電波監理委員会意見を聞かなければならないというふうに規定されておる面がございます。その主管大臣から諮問を受けました際には、電波監理審議会は聽問会を開きまして、利害関係者意見を十分に聞いて、その意見を取りまとめて大臣答申をするという建前になつております。併しながらその答申にいたしましても、これは大臣処分を拘束するものではないわけであります。大臣はやはり最後責任をおとりになるという立場から、究極的には御自身の判断で一定の政策或いは事を決定されなければならないという建前になつておるわけであります。ただ一点違つておりますのは、大臣処分に対しまして、一定の処分に対して異議申立があつた場合のその裁きの場合であります。この裁きの場合だけは、これは大臣を拘束する建前にしてございます。これは一般の他の諮問的な審議会ちよつと違う点でありますが、併し異議申立の裁決というようなものは、最もこれは客観的に公正なる判断に基いて、むしろ大臣はこの場合においては、その当事者である立場に立つわけでありますから、その当事者である大臣処分を批判するというような職能になりますので、この裁決が、それが終局ではなくて、更にこれを東京高等裁判所出訴できるということになつておりますから、つまり終局のものでなくて、第二審が更にあり得るという建前のものでありますから、この裁決は大臣を拘束するという建前にしても別段差支えないのではないか、こういうふうに思つておるのであります。この点が非常に違つております。実際それじや異議申立を裁くような場合があるかと申しますれば、実は電波監理委員会のほうで伺つて見ますと、創始以来二年間の間にケースはただ一件あつただけということでありますから、これは全くレア・ケースだと考えられるわけであります。通常のフアンクシヨンは、今の諮問に応じて意見答申する、その答申大臣を拘束するものでない、勿論尊重しなければならんでありましようけれども、拘束するものではない、かように考えておる次第であります。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この程度で質問を打切ろうと思いましたが、事務次官の御説明を伺いまして、又足らないところが出て来ましたので、もう一点確めておきたいと思います。御説明によると、成るほど電波法の九十二條の二の規定を言つておられると思うのでありますが、処分に対する異議申立に対して聴聞会を開いて、そうして電波監理審議会事案決定する、そうしてその議決大臣は拘束されるということが書いてあるのであります。この電波監理審議会というものは、言うまでもなくこれは郵政省附属機関であります。郵政大臣の指揮下にある一つ機関であると考えられるのであります。事務次官のお話によると、一回目の決定郵政大臣決定するのであるから、郵政大臣がその当事者である。従つてそれが訴願的な色彩を持つておる異議申立があつたときに、それを又再び最後的にきめるということはどうもおかしいというようなことを言われたのでありますが、そういつたことは併しほかにたくさん従来訴願法関係規定があると思うのです。郵政大臣が最終の責任者としてその異議申立を聞く、そうしていい異議申立があれば、それを欣然として受けて決定内容を変えて行くというのは、これは当然であります。これをいけないとおつしやるならば、他の訴願法関係のいろいろの規定もやはり同様に直して行かなければならないと、こう考えるのであります。而もこの附属機関大臣の指揮下にある機関が、これが正しい判断をするのでありますから、大臣はどうも正しい判断をしないであろうというような意味で、電波監理審議会決定大臣は従わなければならないというような異例の措置をとられる、私はこれはむしろ今までの建前から言いますと、非常にこれは異例な措置をしようとしておられるように考えるのであります。先ほども申上げましたが、非常に技術的な問題もあり、或いは細かい、経験を要するような問題、こういつたものについては郵政大臣も恐らく御存じないでしようから、電波監理審議会意見を最大限に尊重して、結論としては議決に従つたようなふうになるかも知れません。併し建前としては初めから大臣がこの異議申立については、その決定をする機関になることが不適当であるという見地から、こういう規定を置かれるとすれば、これは非常に私は異例の措置であると思いますので、これに対しては今の御説明ではどうしても承服できないのであります。御答弁があれば伺いますが、なければ私のこれは意見でありますから、悪言として申上げておきます。
  11. 大野勝三

    説明員大野勝三君) 大臣処分に対する異議申立がありました際のその裁決につきましては、この電波管理審議会の裁決自体大臣を拘束すると、かように先ほど申上げましたのでありますが、併しながら建前から行きますというと、この最終的に外部に対して一つのアクションをするという機能は、これは大臣のほうにあるわけでございます。そこで先ほどのお話にもありましたように、電波監理審議会が公平なる見地から公正な結論を出した場合には大臣は欣然としてその処分を改むべきではないかというお話がございましたが、建前ではやはりそういうふうに持つてつておるつもりでございます。というのは、電波監理審議会の裁決自体が、それだけで効力を発生するのではなくて、その裁決に従つて大臣の元の処分を改めた処分をしなければならない、こういう建前になつております。その元の処分を改めた処分をする場合に、裁決と違つた改め方をしてはいけない、裁決通りの改め方をした処分をしなければならない、こういうふうにしておる意味を、その裁決は大臣を拘束すると、かように申上げたのであります。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の点はいろいろ御説明がありますけれども、私はそう考えないのです。そこでやはり大臣の意思を拘束しておる規定だと思うのです。で、大臣は自分で右のほうの決定をしようと思つても、電波監理審議会が左のほうの決定をしてしまえば、これは左だと、左のほうが正しいのだと言わざるを得ない、そういう規定だと私は考えます。でありますから、いろいろ御説明がありましたが、その御説明は私の質問に当嵌らない御答弁であります。併し大体政府の考えておられるところはわかりましたから、これ以上、私は意見は持つておりますけれども、質問は打切ります。    〔山田節男君発言の許可を求む〕
  13. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 山田君、関連して……。
  14. 山田節男

    ○山田節男君 今の新谷君の質問に関連してですが。
  15. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どうぞ。
  16. 山田節男

    ○山田節男君 今の大野事務次官の御答弁と実際この法案とを見ますと、ちよつと私おかしいと思う。というのは、大体今度電波監理委員会を解消して、電波監理審議会というものを郵政省の而も大臣の一諮問機関にする。そこにこの電波行政の本質と、いわゆる民主的に公平に国民の福利のために放送或いは電波の割当をやると、この公共性というものが、もう無理やりにこの大臣諮問機関にしたということに無理がある。例えばさつき大野事務次官の説明がありましたが、この電波監理審議会行政処分異議申立てた、この異議申立てて来た場合に電波監理審議会がいわゆる聴聞会を開き、そうしてできた調書に基いて意見書を出す、そうして二の電波監理審議会によつて最後決定をする。で、郵政大臣はその審議会決定によつてこれを決定する、こういうふうになるのです。ですから、これはどうも私は今回の郵政省にこの電気通信行政電波監理行政を無理やりに技術的に食つ付けようとする。そうして電波行政の特殊性を生かそうとするところに、今のような、新谷委員の指摘されたような無理が生じて来る。今新谷君の言われた逆の場合が多いのです。この電波監理審議会というものは、これに書いてある程度でも、これは準立法機関であり、準司法機関であり、且つ行政庁であると、こういう特殊のものなんです。それを一国務大臣諮問機関としておく、そこに何か辻棲を合わせようというところに非常にぬえ的なものができて来る。私は今大野事務次官の言われましたことは、これはもう実際から見れば非常に滑稽です。大臣一つの準司法的な本質を持つているものに対して異議申立てる、それを審議会決定したものを、それによつて曲げててしまう。今度はノーだということになる。これでは電波行政の公平は期せられない。これは逆です。私はどうも今の御答弁はよくわからない。網島委員長がもつとこれは過去の経験に鑑みて、もう少し今の電波監理審議会については、あなた意見を聴取されておられるでしよう。責任のあるあなたから一つもう少しはつきり御説明願いたい。あれではわかりません。これは逆なんです。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来大野君の申しておりますように、又山田委員なり、新谷委員が理解しておられますように、今回のこの審議会というものは、どこまでも審議会でありまして、ただその審議会がやる事柄によりましては大臣を拘束する、内部的拘束権限を持つている。で、先ほどもお話がありましたが、これは審議会というものは、法理的に申しますればこれは附属機関であります。かように申すべきものでありましよう。で、今例になつております免許だとか、その他の行政処分というものは、電波法その他の実体法上から見ましてこれは郵政大臣が行うのであります。この意味におきましては附属機関である電波監理審議会が行うものでは絶対にないわけであります。併しこの電波監理審議会決定があつた場合におきまして、特殊な事案についてはその決定大臣が内部的に拘束を受ける。その拘束を受けることが今回の法律ではつきり書いてあるわけであります。これは審議機関だとか、或いは諮問機関だからというだけならば、まあそれほど拘束を受けるものではないのであります。併しながら、こういう審議会に特殊な機能を附興しまして、そういう事項についての決定の場合に、それは内部的に国務大臣がその決定に拘束を受ける、だから初めてその決定従つて決定を鵜呑みにした行政処分をして参るわけでもります。これは行政官庁の機構の問題から見ましてあり得ることじやないか。で、行政機関といたしましても、国務大臣が何もかも全部自由にやる場合もあるでありましようが、特殊なものにつきまして、特殊な機関決定に内部的拘束を受ける、それはその意味においては全部が全部附属機関という性格のものではないだろう、かように私ども考えておるのであります。それを先ほど大野次官から御説明いたしたような次第でございます。
  18. 山田節男

    ○山田節男君 今の大臣附属機関である電波監理審議会決定に対して拘束される、これは私はこの電波行政の本質からもこれはいいことだと思うのです。併し今新谷君が指摘されたように、国務大臣として拘束されなくちやならんような諮問機関を持つということは、これは行政組織からおかしな話だ、今の電波行政の本質から見るとそうでない。例えば将来起つて来るいろいろな放送であるとか、無線に関する免許、これは必ず将来利権になります。そういつたふうに、これが大臣が野放図もなくやつた日には、これは涜職、汚職の根源になつてしまう。そういう意味大臣電波監理審議会の決議に対して拘束を受ける、これは私はいい規定だと思います。最近に私は電通委員会で質問を申上げておる電波行政そのものの本質から見て、そうあるべきものなんです。併し私がぬえ的だと申上げることは、電波委員の任命、これは電波監理審議会委員ですよ。電波監理審議会委員の任命、これは両院の承認を要して郵政大臣が任命する、これは非常に異例な人事です。私はそれと関連して考えて見ると、電波監理審議会はどうもこれはうるさい、電力のように、公益事業委員会のように内閣の言うことを聞かんのではないかということで、なお抵抗の少い電波監理委員会を一緒にしてしまうということで、いざこれをやつて見ると、どうもこれはおかしいと思う。これは事務官僚がそういうようなことをよく認識して網島委員長に言つたかどうか知らないが、そういうようなことで非常にぬえ的なものを作つてしまつた。それから再三電波監理審議会の任務について我々常識で今までの例で考えて見ると、両院の承認を要し、これは内閣総理大臣がこれは任命する。これは郵政大臣が任命する。これは非常に異例な人事です。そこらあたりがこの細かい改正法律案のニユアンスを見ると、すべて甚だ行政官そのものが辻棲が合わないことを無理にでつち上げておるから、実際非常なこれはトラブルが起る。而も国務大臣は或る一定の拘束を受けなければならん。責任を持たなくちやならん、こういうべら棒な行政組織はないわけです。国務大臣郵政大臣或いは電気通信大臣としての責任を持つた以上はその職権がなければならんのに、こういうものができて、而も不手際な竹に木を継いだような……これは意見になりますけれども、私はこれは網島政府委員が、さつき電波監理委員会が二ヵ年間ものを裁いたというのは一件しかない、非常にレア・ケースだということを言つておる、占領下で自由にならなかつた。今後はこういつたものが出て来る、過去のレア・ケースを以てそんなことはないだろうと言うこと自体が非常に認識が足りない。私はあえて言いますけれども、網島委員長に、果してこういう電気通信省郵政省機関と言いますか、国務大臣諮問機関としてあなた若し将来この審議会委員長となられた場合に、今までの二年間やつて来た電波監理委員会委員長として、そのままでできるかどうか、大臣を拘束する力を持つてつてもできるかどうかということを、あなたは政府委員として非常に遠慮しておられるようだが、これは個人の資格で以て、私は一つのエキスパートとしてここで率直に言つたほうがよいと思う。私はあえて網島委員長の御意見を伺います。
  19. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私の考えを申述べろというお話です。お答え申上げます。今年の春に内閣におきまして、行政改革が取上げられまして各種の行政委員会を一応再検討しようというお話がございましたときに、当委員会といたしまても、いろいろこの問題につきまして討議を重ねたのであります。私ども電波行政を担当しておるものといたしましては、その結論は電波行政の特殊性に鑑みまして、委員行政でやつたほうがいいのではないか、又電波監理委員会ができましてから僅か二ヵ年でございまして、経験も少いものですから、もう少し経験を積んでから再検討したらどうかということのほうがいいのじやないかという結論に到達いたしまして、私どもその趣旨関係大臣或いは行政管理庁にも御説明をいたしまして、関係大臣及び行政管理庁におきましても、電波行政というものの特殊性につきましては、よくおわかり頂いたかと考えております。ところでこれは率直に申上げるのでありますが、この行政のやり方というものは、恐らく私として一つの統一ある考え方に基かなければならないだろうと私どもは想像しております。従いまして内閣におきまして、国政全般から考えまして今後はそういう行き方をとろうという一つの方針を立てられるということは十分あり得ることだと考えております。殊にこの行政組織の問題、即ち行政のやり方は、これは定員の問題というようなものと多少違いまして、定員の問題というようなことになりますると、責任ある者として、これこれの仕事はこれだけの人間ではできないというようなことが或る程度言えると思うのでありまするが、行政のやり方につきましては、これは考え方でありまして、委員行政であるからこれはできる、大臣の下ではこういう行政は絶対にできないのだということは、私どももそういう断言はしかねるのでありますが、たとえこの行政国務大臣の下に置かれましても、そのやり方によつては十分やり得るという考え方もこれは成立つというふうに私ども率直に認めざるを得ないのであります。殊にこの行政組織の問題は私どもの所掌事務の範囲外でありまして、これは内閣が全般的な見地からお考えになる、又国会がこれをもつと広い立場からいろいろ御検討されまして、そうしておきめになりましたならば、公務員といたしましては、その決定の枠の中で仕事をする、これが私どもの正しい行き方ではないかというように考えておる次第であります。
  20. 山田節男

    ○山田節男君 最後に今網島委員長の御説明ですが、実はこの間野田建設大臣行政管理庁長官と対決質問をいたしたわけですが、昨日でしたか、佐藤大臣にこの問題をお話して電波監理委員会廃止するという理由を確めた。そうしてこの問あなたが今のような説明電気通信委員会でなされた。これは私はあなたの気持はよくわかる、昨日私は大臣にこの電波行政というものが如何に重要性を持つておるかということを極めて素人ながら縷々説明したわけです。あなたは個人として考えれば電波監理委員会のほうがベターである、併し今政府委員としての資格においては、今後段にあなたがおつしやつたように、そういうポリシーをきめられるものはこれは国会であり、内閣であるから、自分は公務員として何らこれに口出しをすべきではない。併し佐藤大臣に私が口を極めて申上げたことは、若し電波監理委員会なり、或いは委員長が、これはどうしてもこれよりか会議制の委員会でやつたほうがベターであると思うならば、これは身命を賭して大臣に対して言うべきだ。大臣はそういうことまで考えるということをおつしやつたかどうか、これは私覚えてないが、とにかく大臣としては結局昨日の佐藤大臣答弁と……この間の野田大臣は、私は電波行政のことはよく存じませんと、こうおつしやつた、佐藤大臣は、若し電波監理行政を二年預かつたものが身命を賭してやればということを言つておる。そうすると、あなたは電波監理委員のエンジニアとして日本有数のオーソリテイである。なぜこういうポリシー、方針は、内閣会議する場合に、こういうものの行政組織法を考えておるときに、そういうような態度に出て行かれなかつたか、これは私非常に残念であります。そういうわけで私は今あなたのお話はよくわかりますが、佐藤郵政大臣或いは野田大臣がそういうことをおつしやれば、こういうようなでたらめな、まるで電波行政大臣諮問機関にしてできるなんて、これはただ認めただけで、将来これは直ちに困つた問題が出ると思う。これは私の言う意味はよくわかると思う。ですからこういう点は、私は昨日も大臣はこれをお変えになる腹はありませんかと申上げた。そういう大臣の腹を固められるについては、野田大臣も、あなたが真に電波監理委員会の重要性というものを、シグニフイカンスというものを佐藤大臣なり、或いは野田大臣に建言され、或いは行政管理庁の事務官僚によく納得させるようにすれば、こういうばかなことはしないと思う。ですから私は希望になりますが、こういう禍を将来に残し、政党政治が悪く行けば、短気通信省はこれは利権の巣窟になり、郵政大臣は涜職汚職にかかるという憂があるから申上げておる。これは電波監理委員長として、素人の両大臣並びに事務官僚に対して十分知識を授け、最も妥当なポリシーを立てることを私は強く希望を申上げて一応質問を打切ります。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実は山田さんの強い発言は本日初めて聞いたのではないので、電気通信委員会におきましても再三我々聞かされておるところなんで、その答弁を聞きましても、新米の議員である私にはさつぱり事情が飲み込めない。それで電波監理委員会設置法なるものがいつ出て、どういう経過で今日に至つておるか。第七国会の速記を見て、その提案理由説明を見ますというと、本日なり、或いは前回以来、今回改正しようという趣旨とは真向百八十度違つた理由を以て委員会を設置をせられようとされておる。同一内閣で途中においてたまたまこういう百八十度方向転換というようなことは、どういう考えから起つて来るものかお伺いしたいので、少し網島さん、古いことですけれども、あなたは当時政府委員として、国務大臣の補佐としてその政策を代弁せられておるのでありまするが、先ず当時の小澤佐重喜大臣は、要点をつかみますと、こういうふうに述べておられる、提案理由としまして、「電波が国境をこえた文化的手段でありますことから、その利用には高度の国際協力を必要といたしますが、このための国際電気通信條約に我が国も本年加入いたしました結果、この條約の要求を満すように国内法制を整備する必要がございます。更に、無線電信法の性格そのものにつきましても、」云々と申されまして、電波法と関連して提案しておるのでありまするが、いわゆる電気通信省行なつております公衆通信事業事業経営の準則と見られる規定が、監督行政規定と共に包含せられておるのを、この行政事業から分離して別個の法体系とすることが合理的であると申せます。こう言つておる。「同時に、主管の行政官庁も、事業官庁である電気通信省から分離すると共に、その組織を民主化することが行政の公正を期する上に必要となつて参ります。」、こういうことで提案されておるのですが、それを補足しまして当時の尾形六郎兵衞政務次官はこういうことをおつしやつておられる。電気通信省なり、その他農林省でも、或いは郵政省においても、事業として無線関係を扱つておる部分があるので、公正を期するためには電気通信省監督行政を置くことはできない、そうして政府各機関の無線施設の中正、公平な監督を行うことを考慮いたしますれば、総理府の外局とすることが最も適当と考えられます、こうある。それから又「次に総理府の外局としてこの行政機関を設けます場合の形体でございますが、この種行政が特に公平性、不偏不党性及び政策の恒久性を強く要望せられることに鑑みまして、委員会制をとることといたし、且つその委員の選任については一党一派又は特定の利益関係に偏することのないように十分の考慮を拂う」という意味において、この設置法が提案されておるのであります。当時占領下であつて押付けられたものであると、今頃申せるはずのことではないのであります。当時においても吉田内閣なり、どの内閣においても、内閣の自主的な責任において国会に提案することを再三申しておるわけなんです。そこでこの施設の部面と監督行政を分離するんだということについて、当時の河井内閣委員長が質問をしたのに対して、網島さんの政府委員としての答弁があるわけであります。これは網島さんによくお聞き願つておかなければならないところでありますが、「この電波と申しまするものは非常に有効な通信の手段でございまして、あらゆる分野におきましてこれを利用したいという熱烈な希望を持つておるのであります。これに関しましては現在すでに一般公衆通信を取扱つておりますところの電気通信省以外におきまして、むしろそれ以上にこの重要な通信手段として」云々と言いまして、国の各関係機関がこの電波の利用に関して多大の監視と熱望を持つておるという点を述べられまして、施設と監督行政を一緒に内局として入れて置くことは、或いは電波庁として外局として置くことは、「一例を申し上げまするならば、いわゆる猫とカナリヤを一緒の籠の中に入れて置くというような工合でございまして、結局カナリヤが猫に喰われてしまうのじやないかという批評もたびたび聞くのでございます。従いまして」云々というこのことで、この不偏性、公平性ということを主張せられ、理論的な背景としてこの委員設置の提案理由となつておる。それが今日において猫とカナリヤと一緒になるという状態になるのでございますが、それはならない、審議会というのは飽くまでもこれは独立機関であつて喰われないようにしてあるんだと多分答弁したいところもあると思うのです。併し私のお尋ねしたいことは、これまで理論的な背景を持つて主張せられた二年前の主張が、行政機構の改革という技術的な部面から改革せらるるというためには、この委員会の過去二年間における実績、経験に照らして、欠陷ありとする点が立証せられなければならないと思うのであります。それがない眠りは、内閣政策の一貫性の上からいつて、技術的に便宜的な便法として形態を整えるためのこういう行政機構の改革ということは、いわゆる今日の政党内閣においてあり得るはずはないと思う。この点について私は大臣に対して、その意味合から、委員会の過去一年間の実績においては、いわゆる二年前に提案しました新らしいこの電波監理行政というものが欠陥があるという点を実証して頂かなければならんと思う。ただ單にこの頃はやりの、大臣責任をとらなければならない、とりたいとりたいということで、この頃非常に責任をとりたがる大臣がたくさん出て来たのでありまするが、それだけの詰では私は納得できない。当時においてそういうことはもうはつきり割り切つて委員会制度になつたものでございますから、そういうことでは納得できない。従つてこれを立証して頂きたい、具体的に……。又網島さんは当時政府委員として政府の政策を敷衍して、こういうことをおつしやつておる。今日は同じ政府委員の立場ある場合においては、今日の政府の機構改革の政策に協力する建前で、それ以上の発言は許されないとしておられる。併しあなたは電波庁の長官とし、或いは機構改革後の委員長として、このカナリヤ論でございますが、これについて今日においてどういうお考えを……、電波監理委員会を、当時の内閣がただ單に内閣政策としてではなくて、恒久的な基本的な電波行政政策として確立されたものが変更されることに対して、全体的な時の内閣のこれは政策の変更であるから止むなしとしないで、どういう御意見を、実際論を持つておられるか、二年前のこの意見と今日において変りがあるのかないのか、或いは又あなたのほうから……、実際委員長は最高のこれは機関でございます。この最高の機関である委員長として、過去二年間の実績上からいつて、これまでに改革しなければならない理由が立証せらるるかどうか、この点についてお伺いしたい。それがない限りは、ただ單に私はこの内閣がこの内容面その他に触れることよりも、行政機構改革ということにウエイトを置いて、それに辻棲が合うように電波監理委員会というものがそれぞれ審議会その他に移行せられたというふうにしか解釈できない。だからこの点について網島さんの御意見も伺いたいと思います。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が小笠原委員の発言の前に発言を求めましたのは、山田委員から私の名前が出ておりましたので、私引合いに出されておりますから、昨日のお答え申上げた点が、少し私が申した通りの気持とやや変つたような意味で表現された感じがいたしましたので、実は今日発言を求めたのであります。と申しますのは、問題は網島君と野田君との対決の際にこれこれしかじかの話であつたというようなお話がありましたので、それについての批判を私自身いたしたのであります。と申しますのは、それは山田委員が引用されましたごとく、行政機構の問題は、電波監理委員会としては事柄性格上発言の機能、発言すべき筋でないのだ、こういうことを網島君が言つておる。又当時野田国務大臣は、電波行政は自分は素人だ、かように申しているというような御披露がありましたので、そのときに申上げたのですが、私どもは今委員会制度に検討を加えておりますのは、委員会というものが最高の権威だと言われておりながら、これこれの問題については自分が発言する筋合じやない。かように遠慮されることは、もうすでに最高の権威ある機関という立場から見たら論理的に矛盾があるのじやないかということを私批判いたしたのであります。ところが山田委員のお話に対しまして、只今網島君の意見を伺いますると、機構自身について、委員会制度について、過去の委員会自身が不都合があつたとは思わない。併しながら委員会が審議会に変るということ、いずれがベターかというような意味合いのように思う、かようなお話のように実は聞くのでありまして、そう考えますると、全然この電波監理委員会電波監理審議会組織替えすることについて網島君が発言をしなかつたというわけではない、十分その間においては説明をいたしておるということは皆様方も御了承が行くのではないかと思うのであります。問題の点は電波監理委員会が今日持つております特殊的な権能、その権能は、今日皆様がたから御批判を頂いて、どうもその権能を残すから電波監理審議会が筋が立たないのじやないか、こういうことを言われる。いわゆる九十三條の二でしたか、九十四條でしたか、この規定、この「異議申立てについての決定を行う。」、この異議申立てについての決定行なつた場合に、それには郵政大臣が内部的な拘束を受けて、郵政大臣はその決定に基いた行政処分をする、こういうことになるのでありまするが、この点がどうも理解しかねる、こういうお話のように伺つておるのであります。それにつきましては、先ほど私も申上げましたように、電波監理審議会として大部分の職能はいわゆる補助機関的な性格において、又諮問機関的な性格においてその機能を達し得るのであります。これは今後の実績等を勿論見て参らなければわからないことでありまするが、過去の経験等から見ますると、この種の事柄は非常に例が少ないのであります。従いましてその特殊的な事例のために、それが非常に大事なことであるからと申しまして、年間を通じての常設機関を設けることも如何か、これが私どもの考え方であります。そういう意味で、今回は電波監理委員会電波監理審議会に改組し、そうして電波監理委員会時代に、どうしてもこれだけは電波監理委員会としてやらなければならないと申した只今のレア・ケースを措置し得るような権能を電波監理審議会にも存置いたしたわけであります。かように考えますると、網島君の意見も十分内閣において政府において取入れ、而もその委員会としての機能審議会の場合におきましても、法律による授権によりまして依然としてその機能が存続されるわけであります。かように考えますると、政府かねての検討いたしております委員会制度についての批判に基いての結論とも合いまするし、又当面いたしておりまする各種の行政上の諸問題等との処理にも支障を来さない、かような意味合いになるのであります。今回この種の審議会を設ける、かようにいたしたわけでございます。で、小笠原委員から二年前の提案したものが今日これを変えることはどうかということでありまするが、これは今日相当事情も変つております、と申しますのは、独立した後でありますので、私どももその立場においていろいろ批判も加えて参りました次第でありまして、今後の機関といたしましては、各種の政府機関或いは政府関係機関等におきまして整理し得るものはできるだけこれを整理して参りたいという基本的な気持は政府にはあるわけであります。それを整理した場合には、非常な不都合が起るかと申しますると、先ほど申しましたように当面しておる問題は、この法律によつて授権ができ立派に賄い得る、かように考えておるような次第であります。
  23. 網島毅

    政府委員網島毅君) 小笠原委員お答えする前に、私が電波監理委員会として行政組織の問題、電波監理委員会廃止等の問題について発言権がないというふうな、ちよつとお話がございましたが、発言権という意味は人によつていろいろ解釈が違うと思いますが、私が申しました意味は、行政組織ということを考える直接の職責は行政管理庁或いは内閣というところにあるのでありまして、電波監理委員会にはそういう職責がないという意味でありまして、勿論この電波行政がこうあつたほうがいいのではないか、こうしてもらいたいという見解につきましては、私ども再三行政管理庁及び関係大臣に御説明申上げた次第でありまして、今度の郵政省設置法改正につきましても、私どもの申述べました中の相当な部分が取入れられておる、郵政大臣もいろいろ御考慮されて取入れられておるというふうに私どもは考えておるのであります。なお、先ほど小笠原委員の猫とカナリヤの論でございますが、あの当時は電気通信省の外局として電波庁というものがあつたのであります。御承知の通り電気通信省は電信電話事業をやつておりまして、無線通信、いわゆる電波を利用する事業もやつておるわけであります。従いましてそういうような非常に大きな仕事をしておるところの中に一般の電波行政をやつておる官庁がある場合には、とかくその行政が影響されやすいということの説明に猫とカナリヤということを申上げたのであります。郵政省は御承知の通り電気通信事業をやつておりません。それから又若し現在国会に提出されておりますところの公社法が国会を通過いたしましたあかつきにおきましては、郵政省はその監督行政をも担当する機関でございまして、私が二年前の国会におきまして申述べました猫ではないのであります。従いまして今の段階におきましては、その猫とカナリヤの論は解消したものと考えております。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 網島さんにお伺いしますが、今のあなたの御意見でございますと、電波監理委員会の存置されることは望ましい、それが政府の考えによつて事議会或いは郵政省の中に一部が吸収せらるる、こういうことでも電波監理行政はやつて行ける、この二本建のあなたの考え方で、私どうもわからぬのですが、あなたが前段に言つておられるように、電波監理委員会が総理府にあつて監督行政が行われるほうがいいということであれば、それが便法的に、便宜的に郵政省に吸収せられて一つの局となり、諮問機関となるということについてはおのずから望ましくない点もこれは指摘しなければならぬと思うのです半面。その点についてはあなたは政府委員であるからとして指摘できないわけのものではないと思う。昨日佐藤大臣政府委員であるからとして電波監理委員会の最高機関である委員長が、十分な電波監理委員会の立場に立つた考えを表明しないということはあり得ない、言つていいことなんじやないか、こういうようなお話があつた。その点についてあなたからお伺いしたい。二年間の行政機構改革ということは、私自体は今分離しているのです。二年間の過去の独立的な機関としての経営がまずかつた、それでそつちに吸収されることでも、しかたがない、こういうことではないように私は思うので、その点をはつきりあなたからお答えつて置きたい。  それから佐藤郵政大臣に重ねて質問いたしますが、どうもあなたの答弁で聞きましても、常識的には委員会制度全般にメスを加えて、そうして行くという考え方と、今回この行政の簡素化という別建の目的とはこれは別個のことじやないか、そのことが今回一緒になつてこういうふうにやられることは、或る程度これは便宜的な措置である。而も二年前の方針が占領下であつて、独立したから一般的に考え直さなくちやならぬという理由が私にはさつぱりわからぬ。だから占領下であつたからあの憲法はどうも怪しからぬというので、独立したから考え直さなくちやならぬ、そういうようなことは論理としてはないと思う。私は具体的にやつぱり欠陥というものが指摘されない限りは、よいものはよいとして育てて行くべきものだと考えておる。而も電波監理委員会のみならず、占領下において唯唯諾諾として機構を改革してそれでよしとして、まあ国会にいろいろ提案せられて成立した法案が、独立したからと言つて片端からそれが変更せられて行くということは、国際的にと申しますか、対外的にと申しますか、日本が将来信を諸外国から買うゆえんでないと思う。誰も彼も監督するものがいなくなつたから、この際一つ自由奔放に思い通りにやつてやろうというだけのことであつてはならぬと思う。そうなるにはそうなるだけのやはり対外的にも納得し得られるような理論的な背景がなければ日本に対する不信というものは除去できないと思う。私或るこれはそのほうのかたがたから承わつたことがあるのですが、現在そういう気分がアメリカ等において非常に濃厚だ日本に対する考え方として。そういうことを聞いておるので、誠にどうも腑に落ちない。で、佐藤さんとしましては対外的に信を買う買わんという問題について一般的にどう考えておられるか。それから一般的に委員会制度そのものにメスを加えるべきで、メスを加えた上でどこが年波監理委員行政がいけないのか、このことをどうしてもやはり私は再三申上げているように立証して頂きたいと思う。そのことは当然あなたがたの責任だと思う。なぜならば同一内閣で提案してきめられたことが、同一内閣において重大な変更をして提案せられるという限りにおいては、十分それは納得されるものがなくてはならんと思う。当時における参議院議員の新谷さんでも何でも多分これに賛成されたと思う、今回反対のものが出て来て又賛成する、これは客観情勢の変らない限り論理的におかしい話です。そういう点から言つても私はもう少しその点について御説明願いたいと思う。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 小笠原さんのお尋ねにお答えいたしたいと思いますが、御承知のように行政機構の改革ということは、私ども政府として決意いたしたわけでありますが、その基本的な考え方は申上げておりますように、国力に相応するような、簡素強力な機構改革をするんだということを考えておるわけであります。そういたしますと、行政機構を、いわゆる政府機関についてはこれは万遍なく検討いたすことは当然であります。で、委員会がこういう機会に検討を受けて参つて来るのもこれ又当然であります。で、委員会制度というものについては、これは一概に不必要とは申されない、なかなか立派な委員会もあります。又中には政府の責任委員会の責任となかなか不明確なものがあります。併しながら恐らく行政の府として今政局を担当するものとしては政府が最終的な責任を負うというのがこれは当然だろうと思います。そういう意味合いにおいて委員会制度の根本に行政機構の改革に際して種々検討を加える。これはあながち例に言われるような対外的不信という問題でもないだろうと思うのであります。殊に占領下の特殊事情において生れました制度等については勿論いいものはいいとして、これは残して行かなければならない、併しながら我が国の国情に合わないものがあればこれに検討を加えるのは、これはもう当然のことで、その点は今言われるような対外的な不信という問題にはなかなか発展しないのではないか、間違つた、捉われたナシヨナリズムだとか、或いは排外思想が出て来るならば、これは明らかに対外的な不信を招くだろうと思います。問題は制度自身が永久不変なものではない。時代に即応した、又活動のできるようなものを考えて参る、これは自然の成り行きだと思うのであります。そこで国力相応なもので簡素強力なものだといたしますると、場合によりますれば在来の機能その通りのものを発揮しない場合もあるかもわからないと思います。機能、機構を縮小する、こういうことになりますれば、元の拡大された機構よりも行政サービスは落ちるんじやないかということも言われるだろうと思うのでありますが、こういう点についての最終的な批判は結局国民にあるものではないか、政府といたしましてはこの程度で先ず辛抱のできる機構だというものを考えて参るのであります。これはもう原則的な基本的な考え方だと思うのであります。かように考えますると、今回委員会制度につきましても、種々検討を加えたい。で、先ほど来繰返して申しまするが、電波監理委員会としての機能で特に存置しなければならないというものは、先ほど申すような特殊権能として残るのでありますから、それ以外の部面におきましては、これは行政分野においてもなし得るのではないか、今回は電波監理庁なり電波監理委員会なりを郵政省に移したり、或いは電波監理審議会に変更等いたしておりまするが、これは郵政省の中にあつて機能が発揮されないというものではないと思う。むしろその郵政省と別な、内閣にあつた独立官庁であるよさも勿論あると思います。これは全部不都合だとは申せないわけでありますが、簡素なものにするという一つの原則から見まして、これを郵政省の中の一局にして、そうして電波監理行政或いは電波国策、これを遂行するにはそれでは不都合があるのか、かように考えますと、私どもはむしろ責任を取る専任の国務大臣をきめるほうがもつと電波国策遂行の責任の所在も明確になつてよろしいのではないか、かような考えかたもあるのであります。かように考えますと、種々御意見もございましたが、私どもはどこまでも今回の行政機構の敗軍に際しては電波監理委員会、又電波監理庁というものを内閣に置かないで、どこかの省に置いて、そうしてその省の大臣責任を持つて電波国策を遂行する、その衝に当る、そうして又委員会も持つ、特別ないい機能はこの審議会に特別な立法によつて権限を付與することによつてそれも賄つて行く、これがいわゆる私どもがモツトーにしておる国情にあつた簡素強力な機構ではないか、かように実は考えて皆さまがたの御審議を頂いておるような次第でございます。
  26. 網島毅

    政府委員網島毅君) 御承知のように現在電波監理委員会は総理府の外局でございます。この電波監理委員会が総理府の外局である、或いはこれが郵政省の外局であるということは、私はそう大きな問題ではないと思つております。又先ほど猫とカナリヤの問題が出ましたように、電気通信業をやつておる中ではこれは工合が悪いと思いますが、そうでないところであれば、最も適切な省なり或いは総理府というものの外局というような形は、これはどちらもそうたいした問題ではないと思つております。ただ問題は委員行政、即ち多数決の行政のやりかたで行くか、或いは独任制の官庁でこの行政をやつて行くかということであると想うのでありますが、過去二年の経験から見まして、私どもといたしましては、法律のきめられました権限責任の中において最善を盡して来たと考えております。併しこれは自分が自分のことを考えるのでありまして、最も正しい判断は第三者にして頂くのが適切かと思いますが、少なくとも私どもは最善の努力をして来たつもりでございます。ただ先ほども申しましたように、会議制の官庁がいいか、或いは独任制がいいか、これはおのおの考えかたによることだと思いますので、これはやはり第三者のかたにお考え願うのが最も過当ではないかと考えております、
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 網島さんにはあとで又近い機会にでも別途の観点からお伺いしたいと思いますが、はしよるために最後に一点だけお伺いします。そうすれば二年前に提案者として意見を述べられ、できたものに対して施行の責任者として二年間経験を持たれる委員長として委員行政でこの特殊な電波行政をやつて行くのがベターである、そうして今回のように機能は分離せられても、それが発揮せられるような措置による行政機構の改革、こういう郵政省の所管になるということ、これでもやつてやれないことはないどころか、やつてやれる。これは次善の策だ、こういうことでございまするか、結論だけ伺います。
  28. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私どもは委員行政のほうがベターだと考えております。併しこれは私どもの考えでありまして、やはり独任制のほうがベストなんだという考え方もあり得るだろうと考えます。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今度は大臣のほうは……。あなたのほうは一般的に委員会制度全般を検討を加えた結果、こういう結果になつたのだ、それだけは何度も聞いてわかつておる。それで一般的に検討を加えた結果、電波行政はこれで行くほうがベターなんだということはあなたからちよつとも聞かんのです。而もそういうことを一般的に検討を加えるということであれば、野田監理長官からでも伺つたほうがいいかと思うのですが、公益事業委員会、地方財政委員会、公正取引委員会等々のこの委員会のうち、存置せらるるものもあり、廃止せらるるものもあるという場合について、やはり理論的には一貫性を持つて、その存置の理由廃止理由ということが全体に亘つて明瞭でなければならんと思う、ところがそれはちつとも明瞭にされておらない。そうしてこの電波行政においてだけたまたまこういう結果になるということについては、一部やはり再三申上げておる通り、弱いところにメスが入つて来る。こういう内閣にとつては痛くもない腹を探られるような噂さえ飛ぶのです。で、あらかじめ若しも一般的に検討を加えて云々ということであるならば、それらの諸点についても一貫性のあるような御説明が願いたい。而も又先ほどの対外的の信、不信の問題でございますが、それらは私は先ほどから申します通り、理論的にも或いは一般に納得し得られるだけのものがあれば何をか言わんやと思うのです。それが問答無用式に、便宜的な措置に出たという印象が與えられる限りにおいては、信、不信の問題は起るであろうということを申上げておる。従つてそういう点について率直にお話を伺いたい、こういうわけです。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大分お話を申上げたので、よく御了承を得ただろうと思つたのですが、どうも私の話が不明確だということで……。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや上手だ。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 端的に申上げて見たいと思います。というのは、電波監理委員会が今日扱つております仕事は、非常な大事な仕事であります。先だつて電気通信委員会等におきまして、電波国策というようなお話も出ておりました。政府といたしましては、これは積極的に専任の国務大臣と申しますか、担任の国務大臣をきめまして、そうしてその行政を遂行して参りたい感が非常に強いのでございます。先ほど網島君も申しておりますように、委員会制度のほうがベターである。併し同時に理論としては担任制がベストであるという理論もありますことを網島君も申しております。ここのところは相当議論が出て来る問題でありますが、私どもの考え方といたしましては、各省と別な独立した委員会であるよりも、その委員会の機能をそのまま存続し、そうして省の中へ入れまして、担任の国務大臣がきまつておるほうが業務の遂行はよいのではないかということが私どもの狙いであります。これだけ当該委員会についての所見を明確に申上げておきます。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとでまあだんだん伺いますが、網島さんと大臣と両方で御答弁願いたいことでありますが、いろいろ論議がありますけれども、具体的には不偏不党性とか、中立性とか、公平性とか、他の政府諸機関に制約されたいとか、こういうようなことでは、実際今度の機構改革において守られて行くかという点について、具体的な例を以てお尋ねいたしますが、今日電波監理委員会行政でさえも、例えば予備隊における簡易な無電の放送ですか、あれらについては別途それは電波監理行政から除外する特例が出ておる、これが仮にですぞ、だんだん発展して予備隊なり何なりそれらの強力な要請によつて電波なり或いはそれらの監督なりというものを排除するように、独立して自分は持つて行くというようなことがどしどし行われる傾向がないか、これは海上保安隊でもそうです。或いは無電局等を設置する箇所等についても、委員会としては理論的に或いは規則上そういう位置に置くことはできないというような場合においても、予備隊なり保安隊等の都合により、要請によつて是非そこでなければならんというような所に、そういう規則その他を超越してでもそれらを置かれておるというような状態が起つて来ないか、或いはそういうことについてこつちの所管にしてくれというような争いが起つて来ないか。そういう問題についてはどうお考えですか。見通しとしまして、又これを所管する大臣としまして、一切そういうことを排除いたしますか。この際この点について明確に承わつておきたい。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 将来の問題をいろいろ取上げられてどうするのだというお話でございますが、将来の問題或いは他省がどういうふうに考えるかという問題を、ここで私は論議するのは必ずしも当を得ておるとは思いません。只今やつております程度、これはどこまでも電波行政の一元化ということを実は希念してやつておるわけであります。それにいたしましても特殊なものについての専用電話等はすでに許しております。従いましてそれぞれの機関の必要性というものをそのときの情勢によつて考えて参らなければ、今からこれは許すのだとか、これは許さないのだと、かように申上げるわけに行かないと思います。又他省から強い要求が出るのではないかということを言われまするが、これ又他省のほうでどういう考え方をしておりますか、そのほうの意見も聞かなければこれはわからないと思います。これははつきり申上げ得ることは、今日電気通信省が公衆の電気通信は担当いたしております。その部門において公社はでき上つて参りまするが、それ以外の機関、例えば鉄道においては鉄道自身が専用の通信電話を持つておる。或いは現在警察電話は大部分電気通信省のほうへ統合いたしまして、併しながら、なお只今御指摘のように、警察予備隊等において簡易なものを只今保有しておるものもあるわけであります。この点は基本的な問題から考えますれば、国の通信施設として二重施設をする要ありや否や、そのようなことはその時期的な要請から判断して参らなければならないだろうと、かように私は考えております。
  35. 網島毅

    政府委員網島毅君) お答えいたします。只今の御質問は電波行政の一元化、昔流の言葉で言いますと、電波統制の一元化ということについてのお尋ねだと思います。現在の非常に少い電波を最も能率的に、それから効果的に公平に使うためには、この行政は飽くまでも一元化さるべきものだと私は考えております。現在まで電波監理委員会がその職責の範囲内におきましては、この建前で参つた次第でございまするが、将来に対しても私はそれを強く希望したいと考えるのであります。ただ先ほど御指摘になりました警察予備隊の問題でございまするが、これは警察予備隊の無線に対しまして法律から一郎を除外いたしましたのは、これは携帯用の非常に電力の小さい、殆んど他に妨害を與える虞れのないものにつきまして、その一々の免許は要らないというような特例を設けたのでありまして、それに対する周波数の割当、電波の割当というようなことは、やはり現在電波法の適用を受けておるわけであります。そのような次第でございまして、今後我が国の電波行政、それは私といたしましては、国内的な行政の面よりむしろ国際的に非常に重要な行政である、と申しまするのは、御承知の通りこれからの電波一つ一つが全部国際会議できめられるのでありまして、国際的に最も有利な立場において電波を獲得するには、この電波行政を一元化するということが一番必要であるというふうに考えておるのであります。先ほど申上げましたように私はその点強い希望を持つております。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に私質問の仕方が悪かつたと思うのですが、私の申上げているのは、予備隊なり海上保安隊等について申上げているのは、無電局の設置とか、その無電設備の検査とか、何とかそういうようなものを全部除外して電波をもらつている限りは、自由闊達に施設をしてやつて行く、それに対しては電波行政の一元化という方面から審議会なり何なりの了解を必要としない、こういうような状態が起つて来ることについてそういうことがないと言われるのか、いわゆる今の網島さんの言われるような形のものが、公共性或いは公平性とか、こういうようなことで強く今後も主張されて行くのか、そのときの内閣の考えた政治政策のとり方如何によつては、或いは郵政大臣の、それぞれの行政に応える政治均衡の結果は、そういうようなことも或る場合には崩されて行くという憂いがないのかどうか、こういう問題を聞いているのです。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今のところ、電波行政の方針の変更は考えていません。
  38. 山田節男

    ○山田節男君 これは今の小笠原君の質問、実は私少し失礼だけれども小笠原君の要旨ははつきりしなかつたのではないかと思います。これは私先ほど来申上げているように、電波の利用というものが、今まではそうでなかつたが今後は非常にこれが広汎に使われる。そこで今の郵政省の、郵政大臣諮問機関としての電波監理審議会がよく職務を果し得るかどうかという問題について、今小笠原君の質問されたように、この電波というものは、これは一省、一政府のものではない、電波というものは国民共有のものなのです。これは飽くまでも公平に分配しなければならない。そこで今小笠原君の言われたように将来、予備隊が陸軍になり海上保安隊が海軍になる。それから国家地方警察、これはますます通信、無電を使います。現に今年度の予算で警察予備隊の五百四十億のうち三分の一強は、これは電気通信の費用です。そういう工合に電波の割当というものは必ず政府の機関、殊に警察、軍関係、防衛関係のほうが非常に使う。そういつた場合に必ず、例えば郵政大臣が今電波監理審議会でそれを一元化しますと言つても、国警或いは海上保安庁の関係、予備隊の関係という、それぞれの主張が出ました場合に必ず争いが起きる。現にアメリカでも政府が持つておる無電関係、それから国防省の関係電波関係、これが全く争いを持ち出して来ている。そこで政府の代表を出しまして、いわゆるアイラツクといいますか、電波通信委員会、日本で言えば電波監理委員会が中心になつて、各政府の機関にそういう小笠原君の指摘、質問されたような事件が現に起つておる。それを調整するために非常に今困つている。それで電波監理委員会というものができた。私が扱つた場合でも、日本でも例えば農林省側は漁船の無電の問題について、これも農林省のものだというので無線に関する限りは農林省、水産省のものだ、これを言い出した、これは基本的に抑えた。これはなぜできたかというと、電波監理委員会という一つの総理府の外局として、そういつたものがあつたからこれは統一し得た。ところが今のように国務大臣が三人も四人も関係するような、おのおのの電波の割当というようなものになつて来た場合に、佐藤大臣のように、非常に政治力の強い聰明な人がおられれば、それは一元化はできるかも知れないけれども、併しアメリカの現実を見ても、しよつちゆう喧嘩をしている。これが一々郵政大臣諮問機関電波監理審議会審議とかいうようなものは、これは到底できないことです。今小笠原君の言われたことは、これは重要なことです。今あなたはそういう問題は起つていないと言うけれども、これも農林省で漁船の無電の問題が起きておる。これも国家警察で実は将来の電波割当等は或るスペツクトラムを組めばあとは勝手にできると、こういうことになりますと、折角この法律改正案の企図していられることとは逆の方向に行く。そこに私は小笠原君の言われた趣旨があり、非常に重要性がある。一体これは失礼ですけれども佐藤大臣としてそういう方面の知識は今お持ちにならないのではないか。一体行政管理庁の事務官が、電波監理委員会のそういうことを聞いて、これだけ複雑なものであるかということを認識して作られたものであるかどうか、私はこの点についてはつきり申上げるけれども、実に杜撰な、でたらめな法案であるということを申上げざるを得ない。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 成るほど御指摘の通り私は素人です。素人ですが、電波の需要の要請が非常に強いということは私も承知いたしております。併しながら現在御承知のように電波は自由に使われているわけでもなく、その点はお話を聞くと如何にも自由に使つているように聞けるので、ちよつとそれは意外に思うから私は申上げたのですが、電波利用の需要が非常に多い。併し国自身が持つている電波の波数というものは非常に少いことは御承知の通りであります。或いは更に超短波なりというようなものになつて参りますと、ここに専門的な分野が開けて参るわけであります。こういう需要が非常に殖えて来る。それに対して、対処して行く機関として、どういう組織が必要かということであろうと思うのでありますが、それは必ずしも独立した電波監理委員会でなければならないという結論には私はならないと思うのであります。問題はその電波監理局と言いますか、郵政省、幸いにして皆さんの御賛成を得て郵政省設置法が通つて、そのうちの一局でこれを担当いたしましても、電波行政の基本的方針には変りはなくて、先ほど来網島君が申しているような取扱い方をして参る。その場合には今非常に殖えて来た電波の使用の要請に、如何にしてこれに応えるか、対処して行くかという問題のように思うのでありまして、これは機関自身とは多分に違つたものと、かように私考えております。なお私素人ですから、専門家である網島君の意見一つ聞いて見たいと思います。
  40. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今郵政大臣からお話がございましたように、又先ほど山田委員からもお話がございましたように、この電波監理機関は、どこかこれは一手に握つて監理して行くかということは、これは電波行政監督するものとして強く希望している次第であります。今後恐らく各般の方面から電波を自由に使いたいという希望が出て来ると思いまするが、只今郵政大臣のお話のように、この点は恐らく郵政省におかれても十分気をつけて、電波の能率的な利用ということを十分考慮されなければならないと考えております。
  41. 山田節男

    ○山田節男君 今の網島委員長のお言葉は、これは非常に重要だと思うのですが、あなたもアメリカへ行つて、現にこの電波行政の非常に困つている現実を御覧になつている。だからあなたは今後はこの郵政省の、郵政大臣諮問機関である電波監理審議会で以て、今の各省間の争議が起るようなことは絶対にないような統制ができるということをおつしやつたのですが、これはあなたは確信を持つておつしやつているのですか、この点も確めておきたい。
  42. 網島毅

    政府委員網島毅君) それは一つはその行政を担当される大臣の御方針或いは御決心によることと、それからもう一つはこれは電波法改正を行わなければならないと考えます。従つてその改正法律案というものは必ず国会に提出されるわけでありまして、国会の御審議の結果によると考えております。
  43. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 水橋君に申上げますが、今野田行政管理庁長官を呼びにやつております。それには大野木次長が打ち合せに来ました。ちよつとお待ち下さい。
  44. 和田博雄

    ○和田博雄君 ちよつと一言お聞きしたいのですが、これは郵政大臣ちよつと聞いて頂きたいのですが、今まで山田君と小笠原君が僕の聞きたいことを聞いたのでわかるんですが、これは電波行政はやはり一番重点を置くところはどこですか。政策として、今後あなたが電波行政をやつて行こうとする場合に、どこに一体重点を置くのかという点が僕は非常に重要だと思うのですが、その点を一つ
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど網島君が申しておられましたが、日本は占領下でありました時分から自由闊達に国際会議等にも出て参ることはできない。この電波の獲得という面においては非常に遅れているわけであります。今後の電波行政一つの大きな狙いとしては、もつとその国内需用に応えるような電波の獲得を基本的にいたさなければならないように思います。その点は先ほど来申している現在並びに将来において引続いてその方針をとらなければならないだろうと思いますのは電波の統制の問題だと思います。この二つが主たる問題ではないかとかように私考えております。関係産業の振興ということも勿論考えるわけでありますが、まあ精々この三つが特に力を入れなければならないじやないかと思つております。そこで先ほど来いろいろ議論がありまして、アメリカのお話も出ておりますが、アメリカの電波行政内容は、やや日本の実情とは違つているようであります。この点事務当局から一つ説明を附加えさして頂きたいと思います。殊にアメリカのように電波を豊富に持つているところと、そうして又行政方針が変つておりますところでは、一様には議論しかねるように思いますので、その実情を一つ
  46. 和田博雄

    ○和田博雄君 それはちよつとあとで結構ですが、そうすると結局電波の獲得と、電波の統制ということになるのですが、電波行政というものが非常にこれが公平であるということがやはり基本的に重要なんじやないでしようか。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 基本的にはこれはもう電波行政ばかりじやなく、行政全部門が公平に扱わなければ偏頗な行政をいたしましては国民の信頼を必ず失うので、これは特に私ども行政遂行の衝に当る者としては、断えず根本問題として注意しているところであります。
  48. 和田博雄

    ○和田博雄君 そこで一般行政と、まあ電波行政を一律に公平でなければならんといつて、同じ過程に入れてしまうということも可能ではありますが、殊に電波はこれはもうやはり或る程度言論にも関係して来ることであつて電波そのものがやはり公平に分配されている、公平に行政が扱われなければならんということは、僕は電波監理委員ができたときの一つの大きな理由であつたと思うのであります。公平に扱われるということと、能率的であるということ、今度の行政機構の改革の、政府の説明を聞いていると、機構を改革する、簡素化するというよりは、これは機構をいじつているという感じが強い。結局人間の洋服というものは人間の丈に合せて作るのであつて、先に洋服を作つて、人間の丈を合せようというのは非常に無理じやないか。そこで今小笠原君や何かの質疑応答を聞いておつて私非常に疑問を持つのですが、今までの電波監理委員会でやつたため、行政が非常に電波行政の効果を害し、能率を害し、且つ今君の言われた電波獲得に対して非常に不便であつた、或いは電波を統制するについても、非常に不便であつたということがやはりはつきりとしませんと、これは佐藤君が如何にうまく答弁されても行政改革の本当の、本筋の納得はなかなか行きにくいんじやないかという気がするのですが、そこのところはこれはやはり行政機構の改革は過去の経験一つ必要であるし、それから今後政府が行政をやつて行くその政策面との関係も必要であるし、あなたのようなさつき述べられた機構そのものの、全部見通しての、よりよくして行くということの意味のことも必要であるし、いろんなそこに目的が設定されて、行政機構というものは考えられるべきものだし、又政府も恐らくそういうことは考えただろうと思うのですね。先ほど来お話を伺つていると、釣合がとれてないという感じがどうしてもしているという感じを抜き去ることができない。ですからその少い経験、今まで二、三年間経験して来たわけですね。電波監理委員委員長以下委員のかたもわざわざアメリカまで行つて、アメリカの実情も調べて来られたけれども、委員会制度自体のことも調べて来られただろうと思う。我々としても委員会の行政については経験を持つている。その経験から言つて、その一体経験を全部否定して、全部否定するということは、これはあなたは逸脱だと言われるかも知れないが、その部分を相当否定してしまつて、そうして今後どうしても新しい形に移して行かなければならんのだというのが一体單なる政治的な意図以外に何かそういう計画があるのかどうか、そこらがこのまあ静かに質疑応答を聞いていても、又今度の行政機構改革についての説明を読んだり聞いたりしても、どうしても納得が行かない。その点をやはりもう少しはつきりと御説明を願えればこれは願いたいと思う、これは何も委員長が……委員会に行政機構改革が出たからと言つて、併しそうじやない形の行政機構改革も考えられます。考えられますけれども、物事はすべて理論的にどつちにでも考えられます一つの立場に立つて見ることによつて……。併しこの機構改革自体が、やはりその電波行政そのものが目的としている三つの事柄が十分に達せられて、なお且つ過去の経験から言つてこれで十分行くのだということであれば、これはやつぱり経験を私は尊重して機構改革というものは処理すべきじやないか、かように思うのですが、その点如何ですか。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今和田さんからいろいろ教えられるお話、御意見を拜聽いたしたのであります。先ほどお答えいたしましたように、行政はどこまでも公平な扱い方をいたさなければならないのでありまして、この基本的な考え方といたしましては、和田さんもよく御了承頂けるのではないかと思うのであります。お話を聞いておりますと、言葉尻を取るわけではないが、委員会ならば非常な公平が期せられるが、各省で行政を担当すると如何にも公平でないかのような感を抱くのであります。私は行政の衝におります者といたしまして、どうもその考え方は、よく和田さんも御承知の、農林省にも長くおられたのだし、経済安定本部にもおいでになつたのでありますので、その機構そのものではないだろうと思います。それからそれに従いまして委員会自身も公平だし、又各省でありましてもそれは公平だ。ただ形の上で最近政党内閣だとかいうようなことを申しておりますので、或いは各省は大臣が党人である。この意味において自由党的な考え方はするだろう、委員会では少くともそういうような色彩がないのだ、この意味において公平だと主張しておるのだと、こういう意味合ならば一応はわかりますが、いくら自由党がやる、或いは社会党が内閣を作りましても、それぞれの政党としての政策を主張したいということはあり得ると思うのですが、電波の問題については政党の政策を及ぼすことは不都合なんだ、かように言われるのなら、私との意見は明らかに対立するのでありますが、私ども電波監理委員会が現在やつておりますものにいたしましても、電波国策というものがはつきりいたしておる。この電波国策遂行に当つて、その国策はこれは各政党によりまして国策の立て方はそれぞれあるだろうと思いますが、その事実上の取扱いはこれは必ず公平に扱われるものだ、又それが公平に扱われないならば、必ず国民から批判を受けて、その内閣というものが困難な立場になるのではないか、かように私は考えておるのであります。従いまして先ほど何をするのかと言われました際にも、この行政取扱いの基本的観念は、これはもう全然同一の立場に立つておる、かように考えておつたものですから、特に説明をいたさなかつたわけであります。  そこで次の問題といたしまして、この電波監理委員会、これは過去において二年間の経験を積んである。そうしてその間何らの不都合はなかつたのじやないか、又もつとその経験を生かしてやつたらどうか、こういうことにつきましては、その御意見についても私は十分耳を藉すだけの心構えはいたしておるのであります。併し今回の改正が、電波監理委員会の過去の経験を全部無視するとか、或いは否定するということでありますならば、その批判も中ると思うのでありまするが、先ほど来お話を申上げましたように、今日までやつて参りました電波監理委員会経験は、今回の機構改革におきましても十分取入れたつもりでおるのでありまして、かように考えますると、いろいろお話がありましたが、機構改革についての根本的な考え方といたしましては、私どもは只今出しております案を是非とも御賛成を頂きたいと重ねて申上げる次第であります。
  50. 和田博雄

    ○和田博雄君 まあここで議論をしようとは思いませんが、とにかく電波行政が中立であり、中正であると、まあ公平というところの意味は勿論やはり中正だという意味を含んでおるのです。それでそういう行政をやつて来た委員会で、今度はその経験を非常にあなたは取入れておる、こう言つておりますが、その言葉の端々を見れば、やはり官僚だけで何かこういうものを掴まえて言論の統制をやりたい、政策的にもいろいろそういう政党的な意味を含めたものをやりたいということが、ちらちら耳に聞えるわけですが、私はそれじやいかんのであつて、やはりこの委員会制度で行政運用して行くということは、これは日本にとつて新らしい制度です。併しそういう委員会制度が一番適当な分野はどこかと言えば、これは電波行政なんか一番適当な分野ではないかと思うのですがね。そういう意味で、この今度の行政機構改革の政府の考え方の中に、電波監理委員会による電波行政廃止して、そうして郵政省の中の、一つの中へ入れて、而も又電波審議会のようなものを作つて、而もその電波審議会というものは、山田君なんかも指摘したように、我々がよく見ても、実に不可思議な審議会を作つて、そういう機構的に言つてみて極めて判然としない、クリアーでないような形の行政にして、そして電波監理委員会というものが、今までのあなたの御弁明によつても、委員長の弁明によつても、何らこれと言つて悪いことはなし、もつとこれを伸ばして行くことが適当であるということくらいは認められておるようでありますが、そういうものを強いて変えて行くということがどうもやはり、いやしくも改革という以上は、そこにもつと高い理想、もつと高いものが私はなければならんと思うのですね。そういう点から言つて行政機構の改革が單なる行政機構いじりであるという感じをどうしてもこれは拂拭できないのですが、そういう点、これは意見の相違と言えばまあ意見の相違ですから、敢えて答弁を求めませんが、私はそれをもつと謙虚に、従来の経験というものから言つて、どうしてもこれを変えてこうしなければならないという実際上の具体的な事例とか、或いはこれから今後こうやることによつてこの点においてもつと改正になるのだ、国民のためになるのだというようなことは、少くともこの機構改革の面については言われることが必要であるのと、それからやはり政策、あなたの言われる電波政策と言いますか、こういう政策をやつて行く上においては、どうしてもこういう機構でなければならない。いわゆる政策との関連といつたようなものがやはりはつきりしないと、機構改革というものは魂の抜けたようなものになつてしまつて、ほかの委員会で取扱つておるそのほかの行政機構改革案を見ても、部長を変えて見たり、名前を変えるくらいのもので、何ら実際的には価値のあるものが、そこから何も出て来ていないというような状態になつておるわけでありまして、電波行政は国際的な関係を持つことが深ければ深いだけ、今後ますますそのほうへ伸びて行かなきやならんだけに、私はやはり電波行政のこのあり方というものについては、これはやはり能率的であるというだけじやなくて、公正中立な立場から、どこまでも守り抜いて行けるということを、殊に監理委員会と……、新らしい制度は、私の今の意見を活かして行くようにやつて行く考え方のほうが、これは郵政大臣としても、僕はそういう考え方に立たれたほらが、よほど行政をやるのに楽だと思いますが、それは違いますか。(笑声)いや、もうお答えは要らないのですが……。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、どうも先ほど来の話が相当基本的に食い違つておるのじやないか、こう申しますのは、電波監理委員会、過去にありました電波監理委員会、これがいい面もあるし、又同時にやや弱いと申しますか、欠点と見られる点もあるように思うのであります。特に議論をふつ掛けるわけでもありませんが、その御指摘になりました中正だという点については、相当議論があるのじやないか、電波行政は先ほど来お話のように誠に重要な行政であり、而も今日電波国策樹立、電波国策遂行ということが特に強く要望されておるのでありまして、そう考えまするとこれは当然政府なり、政党として責任をとつた方向においてその事務の遂行をいたして参りたいと、かような念願を持つのも御理解が頂けるのじやないか。今日までの電波監理委員会制度、いわゆる委員会システムで内閣にあるのでありまするが、この考え方は中正であるという意味合いにおきまして政府の干渉というか、干與は非常に薄いものだと見なければならない。この点はそこで所掌しております電波行政が大事であればあるだけに政府といたしましてもこれに干與したい、これはもう政治のあり方として当然そういう結論に相成るのではないか。そこでその最も中正であり又公平をどこで要求されるかと申せば、過去におきましても第一審的機能を持つた、審判機能を持つたこの点が特に強く浮び上つて来るのじやないか。従いまして今回の機構改革に当りましても、この点は過去の経験からこれは当然そのまま存置しなければならない特に高度の技術的な分野でありまするだけに、その必要を痛感いたすわけであります。この点は十分取上げてあるのでありまして、従いまして中正であり公平であるということは勿論要請されるのでありまするが、他の面における電波行政の重要性、国策の重要性等から考えまするとこれは中正という程度ではどうもすまない。やはり政府といたしましても積極的な責任をとつた態勢の下で行政を遂行して行くのが望ましいように考えるのであります。この点は遺憾ながらその意味におきまして結論が違うようでございます。
  52. 和田博雄

    ○和田博雄君 まあ大分意見に亘りますから、意見の違うところがありますが、質問になりませんから今日はこれで……。
  53. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 野田大臣がおいでにならなければ事務局のかたでもおいでになつておりましたら。
  54. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 水橋君に申上げます。行政管理庁次長が参つております。長官もまだ衆議院に出ておるようでありますが、そのうちに来るという返事を聞きました。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  55. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時四分散会