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1952-03-10 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十日(月曜日)    午後一時四十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事            山田 節男君    委員            大島 定吉君            寺尾  豊君            新谷寅三郎君            稻垣平太郎君   政府委員    電波監理委員会    委員長     網島  毅君    電波監理委員会    副委員長    岡咲 恕一君    電波監理長官  長谷 愼一君   事務局側    常任委員会專門    員       後藤 隆吉君    常任委員会專門    員       柏原 榮一君   説明員    電波監理委員会    審理官     柴橋 國隆君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電波行政に関する調査の件  (テレビジヨンに関する件)   ―――――――――――――
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) これより会議を開きます。  電波行政に関する調査議題といたします。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この前に審理官ちよつと一言お聞きしたのですが、審理官の出されております意見書についてもう一つ伺いたいと思います。審理官決定につきましてはこれは審理公聽会というものの性格から言いまして、審理官は極めて公平な立場からむしろ公益的な見地を考えて、結論を出されたということを私は信ずるのでありますが、内容は別として、この聴聞会資料を何遍も拜見して見ますると、一方においては周波数帯幅の問題ですが、非常に具体的に、七メガのほうが天然色なつた場合に非常に有利であるということを具体的に挙げている人が多い。それに対して六メガ説をとつておる人たち、この間から再々言われておりまするアメリカ技術に信頼すればいいのだ、今日本で殆んどテレビジヨン技術というものが独得のものがない、アメリカのものをとればいいというようなことに終始しておるわけであります。そういうふうな両方意見を並べて見ました場合に、あなたがこの間にお話になつたように、将来のテレビジヨン放送あり方、まあテレビジヨン放送に関するいろいろの政策的な問題を根本的にきめて行かないと、この標準方式は出て来ないだろうということはこれはよくわかるのです。よくわかるのですが、少くとも聴聞会の結果としましては、現在の技術の達した段階から言いますと、公聽会結論としては七メガのほうがいい、まり多数の支持者があり、このほうが議論としてはいいのだというような意見が出て来そうな気が私はするのであります。そういつたことは、その意見書をお書きになる場合に、どういつたふうにその意見書をお作りになつたか、この点もう一遍お聞きしたいと思います。
  4. 柴橋國隆

    説明員柴橋國隆君) 私が書きました意見書……このプリントによりますと、三百六十頁以下にまあ理由ということを書いておりまするが、今のお尋ねの件につきましては、聴聞会の結果につきましては、審理官といたしましては六メガよりも七メガのほうがより適当であるという結論には達しております。従いましてその理由は、何頁でございますか、ここに書いてあります。ただ意見にはつきり七メガがいいということを書かなかつた点は、白黒の場合、或いは天然色の場合に、六メガより七メガがいいという意見は非常に多かつたし、私もそういうように感じたのでありまするが、それじや七メガがベストか、標準方式日本で制定いたしまするのにベストかということになりますると、必ずしもベストだと断言はいたしかねるのであります。七メガを主張されました人も、六メガよりは七メガがいいということは、いろいろの理由資料を挙げまして述べられたのでありますが、七メガが最上であるということは言つておらない。或いは参考人意見にもありましたように、本当天然色を、まあ理想的と申しまするか、よくやるためには、もう少し大きなバンドが必要だということも言つておられまするし、又七メガを主張された人も、もつとバンドを欲しいのだけれども、一メガだけ余計にくれということを言つておるのだと、こういうふうな御意見でありまして、審理官といたしましては、結局そういう点につきましても理由害に書いておきましたが、例えば絵の品位をどのようにきめるが適当か、或いは周波数の割当上ほかの受像との関係をどう考えるか、或いは受像機の価格をどの辺に求めるのが最も適当であるか、又テレビジヨン放送局を全国にどういうふうに配置したらいいか、まあこういつた関連しました問題を引きまして或る程度の見通しをつけた上できめるべきだという意味にとりまして、意見ではこういうふうに書いたわけでございます。六メガと七メガと比べた場合に、七メガがのほうがより適当である、ベターであるということを審理官ははつきり認めております。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私考え違いをしておりましたが、審理官意見書というものは、ここに書いてあります意見というところだけでなしに、理由とか結びとかいろいろ分けて書いてありますが、この全体があなたの意見書審理官意見書であるというふうに考えてよろしいのですか。
  6. 柴橋國隆

    説明員柴橋國隆君) 意見書の書き方としましては、いろいろまあ……審理官が二人おりますが、意見というと語弊がありますが、考え方によりまして若干違つて来る。過去に十何回かやりまして意見書の要領も必ずしも一致しておりません。聴聞規則によりますと、意見書には意見と事実及び主張と理由を書けと、こういうふうに書いてありますが、それじや具体的にどういうふうに書くのかということにつきましては必ずしも一致しておりません。従いまして、私といたしましては、これはプリントでありまして、委員会に出しました意見書というものはこの三つ、それから今度の場合は結びという項目がありまして、もう一つ西松審理官が異なる意見というものを書いております。尤もこれは実質的に異なる意見というほど違つておりませんけれども、まあ追加の意見という意味で出て来ております。その五つを一緒にいたしまして審理官意見といたしております。ただ最初の意見というものは、理由とかいうものを全部省きまして、ただほんの結論と言いますか、こういうものを出したというふうにお考えを願いたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりました。そうすると、聴聞会の結果の審理官意見というものは、このプリントにあります理由とか、或いは結びというようなものを包含してその内容については、意見のところに十分出てない分は理由とか或いは結びのところに書いてある見解なり或いは見方なりというものについて判断することにしたい。大体大きな問題についてあなたにお尋ねすることは、今日はこの程度にしておきます。  それから電波監理委員会お尋ねをしたいのですが、実は今日は他の委員会で非常に重要な問題がありますので、非常に細かい審理をする時間がないので、次の機会に私は詳しい質問をしたいと思いますが、今日は先般来質問を留保しておりました問題、それから証人を喚問して調査いたしました結果に基く疑問等を入れまして、極めて大きな問題について御意見を伺うことにしたいと思います。先般来いろいろ質疑応答を聞いておりましたが、どうも網島委員長お話によりますと、これは自分たちとしては非常に急がなければならんので、あらゆる手配を進めておると、こういうのです。その理由として述べられたところは、いろいろ各委員によつて違つたことも言われましたが、それを要約いたしますと、衆議院のほうで促進決議が出ておるということ、それから申請書が出ておる。まあそういうふうな事実からして、自分たちとしてはできるだけこれを早く結論付けるように急いでおる。こういう話でありましたが、私はこれは、申請書の問題には先般ちよつと触れておいたのでありますけれども、多少法律論になりますから、これは岡咲委員長からでもお伺いしてみたいと思います。衆議院促進決議といいましても、これはどんなものでも、何んでもかんでも一日でも早ければいいのだという趣旨では私は勿論ないと思うのでありまして、国民負担が軽減されて、そして内容のいいものを日本で早く実現するように、こういう意味考えているのであります。参議院については、まだ本会議決議等措置をとつておりませんけれども、本委員会では、これは去年の十月以来随分何回もの委員会を開いて各委員意見も述べてあるわけでありまして、非常に早くしなきやならん理由として、衆議院促進決議をしたからというようなことを、いつぞや委員長でしたか言われましたが、そうすると、若しそういうことが根本で、参議院としてはこれに対する院としての意思表示がないために……、衆議院は院としての意思表示決定しておるのだから……。参議院個々意見を聞いたけれども、院として決議をしないのだから、個々意見は余り聞くわけにいかんのだと、こういうようなお考えのようにもとれるのであります。この点についてどういうふうな御見解を持つておられるのか、伺つておきたいと思います。
  8. 網島毅

    政府委員網島毅君) 先般当委員会におきまして電波監理委員会審議をなぜ急ぐのかという御質問のお答えの一つとして、衆議院決議が昨年の春に行われておるということを申上げたのでありますが、これは私ども仕事を進める上においての一つの指針と申しますか、国会においては、少くとも衆議院においてはこういう考え方をしておるということを頭に置いて仕事を進めておるという説明に申上げたのであります。勿論参議院におきまして昨秋来いろいろ論議されまして、テレビジヨンの問題は慎重にやらなければいけないというお話がございますが、この御意見も勿論私どもとしては十分傾聴し、又それを頭に入れて仕事をしておるつもりであります。従いまして参議院においては決議がない、個々委員の話であるからそれは余り重く見ないのだというようなことは、私どもとしてはないのでありまして、参議院衆議院委員会において御開陳された御意見は常に頭に置きまして、而も電波法なり、放送法、或いは電波監理委員会設置法の命ずるところによつて仕事をしておるというふうに考えておるわけでありまして、どうぞそういうふうに御了承願いたいと思います。
  9. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういうことであれば非常に結構だと思うのです。これは私も多少電通行政には関係を持つたものでありますから、言うまでもないのでありますけれども網島さんにこの際に申上げておきますが、私どもが率直に我々の意向院議を以てきめました場合には、それが必ずしも衆議院促進決議とは全然合致するかどうかが非常に疑問であると思います。そういう場合に、多少違つたよう内容決議が出た場合に、行政官庁としては非常に困るだろう、そういう点も我々は親心として考えている。若し仮に一部で言われているように、衆議院決議があつたから、これは衆議院決議に従う以外にない、参議院のほうはそういう意思表示がないのだから、それなら本院できめたらどうですかというような若し考え電波監理委員会にあつたとしますれば、あなたがた行政機関としての措置は非常にむずかしいものになつて来るだろうというようなことを我々は考えて、非常にそれに対する措置については慎重に考えているのであります。従つてどもがここを申上げますことは、必ずしも院議を代表して言つておるのでないことは事実でありますけれども、若し仮に参議院のそういう意向をまとめて表示する必要があるとすれば、これは各党の委員集つて相談をして、恐らく或る種の結論には達し得るだろうと私は思います。そういうことを是非することが果して国政をうまく動かして行くゆえんであるかということを考えると、その点は実際問題としての疑念が生じるのであります。我々としてその点についても極めて実際的な考え方をして措置をしているということをお考えにならなければいけないと思います。  それからこれは岡咲委員長が行かれたのでありますから、あなたに代表的に伺うのですが、先般来拔山委員等の御発言を聞いておりまして、私はこれはテレビジヨンの問題に関して余り技術的な具体的な問題には触れる資格もないのですが、併し少くとも私どもアメリカで多数の本当首脳部に会いまして、これは向う技術のほうを担当している人、或いは経営のほうを担当している本当テレビジヨン界権威者であると私は信じておりますが、FCCからの見解によつてこれらの人の意見を徴した。その場合に、どうも私どもの聞いて来た、私どもに対して非常に親切に忠言をしてくれたことと、あなたがたアメリカに行かれて、やはり同じような人に会われたのだと思うのですが、それから聞いて来られた事柄が、余りにも違い過ぎるということを私は感ずるのであります。これは内容には入りませんけれども、一体電波監理委員会かたがたアメリカに行かれて、テレビジヨンに関してどういう人にどこでお会いになつて、そうしてどういうふうなことを聞いて帰られたのか。私どもに対しましては、日本アメリカの二の舞はやつちやいかんぞ、これはもつと慎重に考えなさい。これから始まるのだから、アメリカかように始まつてしまうと取返しがつかないのだということを、殆んど会う人ごとに聞かされた。私どもそれを聞いて帰りまして、実はアメリカに行くまでは非常にテレビジヨンというものは放送に画の入つた程度のものじやないかという考えを持つておりましたが、そういう安易な考えではできないということを痛感して、非常に我々も得るところがあつて帰つたのでありますけれども、同じような人に会つて同じような話を聞かされた電波監理委員会が、今のような、たびたび御答弁のあるようなそういう態度にあられるということは、私はどうも解し得ない。或いは同じ人に会つても違つたことを言つたのか、その事実を私は非常に疑うのです。それで一体電波監理委員会のかたがどのらくいの日数を費してテレビジヨンのほうの視察に行かれて、どういう人に会つて、どういう話を聞かれたのか。岡咲さんも事実御一緒に旅行されたのですから、あなたから内容を、抽象的がいいですから、お聞かせ願いたいのです。
  10. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) お答え申上げます。私ども電波監理委員会のものが昨年アメリカのほうに参りましたのは、テレビジヨン問題を研究するということが主題ではございませんで、むしろ行政委員会アメリカにおけるあり方、殊に連邦通信委員会の実際の事務運営実情というものを把握いたしまして、日本行政委員会運営に万遺憾なきを期したいというふうな心構えで参つたものでございまして、FCCのほうの配慮も、主として行政委員会実態を把握するということに重点が向けられておつたようでございま正す。併しこれと同時に、向うアメリカにおきまする放送、これはテレビジヨンを含めまして、放送の企業が一体どういう形で行われているか、その経済的或いは文化的、社会的な働きというものも併せて研究いたしまして、将来の日本放送事業の円満な発達というものを我々が検討して見るということも勿論含まれておつたわけと考えております。併し大部分は、只今申しましたように行政委員会検討というものに向けられまして、主としてワシントンにおきまして殆んど連日一カ月半に亘りましてFCCに出頭いたしまして、午前から午後の五時頃まで、遅いときは六時頃まで関係かたがたとデスカツシヨンをしましたり、或いは向う実情説明を承わるということをいたしたわけでございます。実際のテレビジョン或いは放送運営の、実際は主としてニユーヨークヘ参りまして検討もいたしたのですが、私どもは或いはRCA、CBFの会社、或いはABCと、大分いろいろな会社を見て参りましたけれど、先ほど申しましたように、向う放送事業が何を中心にして、どういう方針の下に運営されておるかという運営実態を見ることが主でございまして、テレビジヨンたまたま当時は最高裁判所におきましてFCC決定が指示されたというふうな関係もございまして、天然色テレビジヨン方式というものに対しては相当興味がありまするし、そういう問題も派生的には伺つたのですが、主として事業というものの本態を見るということに中心を置いたわけでございます。尤も同行をせられました拔山委員技術のほうの專門家でもございますので、私どもとは多少離れた行動もせられまして、主として技術的な検討を重ねられておつたようでございます。抜山先生技術專門家にお会いになつてお調べになつた事項、お会いになつかたがたも、たしかメモを作つておられたかと思いますが、新谷委員から改めてその辺をお確かめになると関係ははつきりするかと思います。技術問題につきましては、FCCにおります際に、先ほど申上げましたように天然色テレビジヨン方式の問題が相当白熱しておる状態でございましたので、私はこれを議題にいたしまして、主として技術部專門かたがた意見を求めたのですが、当時、私の個人的な印象でございまするけれども、その技術部かたがたは、FCC決定した理由お話になりましたけれども、それが果して終局的に正しかつたか、或いはどうであるかという問題については、努めて答えを回避されたように思われまして、天然色問題一般につきましても余り立入つた説明を伺うことができなかつたのでございます。従いまして、殊に技術的な問題である六メガ或いは七メガという問題につきまして、私も当時は深い知識を持つておりませんし、私個人といたしましてその問題を確かめたことはFCCにおいても一度もございませんし、ニユーヨークに参りましてテレビジヨン会社を訪問いたした際も、その問題については私自身実は確かめたことがございません。従いましてアメリカにおりまする間には、六メガが果して天然色テレビジヨンに適応しておりますバンド、幅であるか、或いは七メガが必要であるかということについては、私は突詰めた考えをいたさなかつた次第でございます。抜山先生はこの点は專門家でございまするから、恐らくその問題もお触れになつたのではないかと思いまするが、私はその点を拔山委員から確かめておりません。新谷先生、若しその点御必要があれば拔山先生にお確かめになればもつと詳しいことがわかるかと思います。
  11. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 実はこれはいつか秘密会をやりましたときに、どういうふうな委員会報告を出しているのだということを聞きましたら、あとで拔山さんから私に向う行つた報告だという「オリエンテイシヨンについて」という刷物を送つて来たのであります。これを少し見ましたが、そういう問題については何ら触れていないのです。私は先般来どうも最近新聞等で何か両方の面子を立てるのには非常にむずかしい問題だとか、面子問題であつたり、或いはお互いに電波管理委員会と当委員会とが何が意地張つて争つているような印象を與えるように聞いておりますが、私はそういう意思は全然ない、ただ六メガ、七メガという技術的な問題については私たち十分判定をする知識もないし、そういう資料もないんだけれども、併しどうも聞いておるところを総合すると、非常に疑いがある問題であります。而も結論において天然色の場合には七メガのほうが遙かに国民負担が軽減されるというようなことが一応理窟としては考えられる。そのくらいの問題なんだから、もつと我々が先ほど網島君が言われたように、本委員会委員意向も尊重するんだ、十分に決議がなくても勿論尊重しなければならないということが真実であれば、我々がもう口を酸つぱくして言つておるように、その点についてもつと愼重に真劍な調査研究をして、そうして最後の判定を下す措置をとられるほうがよかつたのではないかということが、どうしても私の頭から抜けない。前委員長もこの点についてはこれは今いろいろの足がかりをここで付けようとしているのだ、何もここできめるわけでない、あらゆる方面のいい意見を聞いて、十二分にこれは調査研究をした上でないと、国民にとつては非常に不幸な結果になるということは、よく自分もわかるということで、再三前委員長聴聞会の結果により、或いは各方面意見を聞いて、国会審議経過も深く考え合せた上で、十分に愼重態度をとりますということをしばしば言明されております。これはまああなたの御承知の通りであります。抜山君はそのときにおられなかつたけれども、とにかくそういう経過をとつております。ですから私は、今日そういうふうな重大な問題であり、而も内容的に審理官も言つておるように、ここでは一応七メガいいと思う。併しこれについては将来のテレビジヨンあり方とも考え合して、愼重態度をとつてきめないと、單純にはきまりませんということを審理官は言つておるのですね。尤もだと私は思うのですが、委員会がそう言うのにもかかわらず六メガを何と言いますか、非常に早急にきめられるということについて、私は他の委員と同じように少くとも結果は六メガになるかも知れない、なつても私は結構だと思う。併し、あなたがた決定に到る過程の手続の問題と言いますか、その過程の問題としては非常に愼重を欠いたという感じがするのです。これは併し、今日からでも遅くはないのですけれども来年度は多少の調査研究費も要求しておられるし、これらを十分に使つて愼重両方の利得を比較して、そうして将来過ちのないような方式を立てるように進めて行くと思いますが、これについて網島君はどういうふうにお考えになつておるか、余り妙な何と言いますか雑音に支配されないで、あなたの考えておるところをお述べ願いたい。
  12. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今新谷委員の御意見よくわかりました。又先ほど来私ども電波監理委員会仕事のやり方について、成るべくやりにくくならないようにとまあいろいろ御配慮されておるということを伺いまして非常に有難く感謝する次第であります。只今お尋ねの件に関しましては、一応私どもは過般の聴聞会の結果によりまして、又私どもの従来調べたところによりまして決定したのでありますが、先般も申上げましたように、或る方面では異議申立をするということも聞いております。異議申立がございました場合には、改めて委員会としては聴聞会を開いて慎重にこの問題を検討しなければならないわけであります。そのときには今まで縷々当委員会において御審議された事柄、御発言事柄もよく頭におきまして、最も公平に、独立委員会の名に背かないように正しい決定をしたいというふうに考えておる次第であります。
  13. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の網島委員長の御答弁はそれは非常に結構だと思うのですが、どうも今お話なつ言葉通りに将来国民から怨まれることのないように、当委員会からも責任を追及されることのないように、これはまあ十分な慎重な配慮をして頂きたい。これは電波監理委員会のためと言いますよりも、国民のために特にこれは希望して置きます。それから前回の委員会抜山委員ちよつとお話なつたことでありますが、私非常にこれは気になる事柄でありますから伺つておくのですが、拔山委員お話によると、カラーテレビというものは、まあ非常にこれはいろいろ論争があつたわけですが、日本ではこの五年間くらいはカラーテレビというものは採用しないということの宣言をしたらどうかということを自分考えているということを言われました。この点については、私は非常にこれは不思議な感じを持つわけです。先般も電波監理委員会立場としてあなたがた述べておられるのは申請だから遅滞なくこれを処理しなければならないのだというようなことまで、これはまあ或いは売り言葉に買い言葉であつたかも知れないが、そういうことまで言われる。私はまあその申請が仮に正規の申請かどうかということについては法律上疑点がありますが、というのは、関係規則が制定されてない、いわゆる基準がない場合に、果してこの法律部分が施行せられておるのかどうかということについては、私はこれは法律上疑問があります。ありますが、この問題を除外いたしましても、委員会がそのために一生懸命やつて基準を制定するために努力をしておる、何とかして早くやろうと思つて努力をしておるというならば、私は十分遅滞なくやつておられることが如何なる状態においても、ただ日数だけが遅滞なくということに当てはまるということは極く常識的な法律解釈でない。併しまあそこまで申請に対しては真劍に考えておられる、それも結構でしよう。結構でありましようが、そういうことまで考えておられる委員会が、仮に申請が出たところでそれはもう受理しませんぞということを今から宣言して置こうというようなことは、法律的根拠がなくしてはできないことだと思うのです。それを私はそう思つておる個人的な見解かも知れませんが、委員会としてはそういう方向でものをお考えになつておる。私の見解で参りますと、アメリカのほうのカラーテレビ受像機の製作の制限の指定が日ならずしてきまつて来るだろう、きまつて来た場合には、あそこのRCAのほうもCBSのほうもその間に相当に技術の改良をやつておるから、急速にアメリカではカラーテレビジヨンが普及して行くだろうということが考えられます。あなたがたが御覧になつてもこのカラーテレビジヨンと白黒のテレビジヨンとの効果の違いというものは素人目で見てもはつきりすることなので、聞くところによりますと、電波監理委員会のかたがアメリカから帰つて、これは個人的な意見つたかも知れませんが、どうもテレビジヨンをやるならばカラーテレビジヨンでなければ駄目だと思うという意見が相当多数あつたように私は承知しておる。これは私の見解もそうであります。そういう状態であるにもかかわらず、とにかく日本では白黒でスタートするのだからカラーテレビジヨンはどんなに進歩改良ができて日本申請が出ても五年間は、これは放つて置くのだというような措置を独断的におやりになることは、どうも私は解釈に苦しむ、この問題について委員会はどういう態度をとつておられるか、拔山さんの個人の意見としては、委員会としてやはり相当考えられておるのですか、その点を伺いたいと思います。
  14. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今の問題に関しまして、先般拔山委員がこの席上におきまして言われたのでありまするが、その言葉は自分個人として、或いは自分が研究者としての立場からそういうことを希望するのだというふうに言われたと覚えております。只今の問題は電波監理委員会の席上におきましても拔山委員からその見解を表明されたこともございます。併し電波監理委員会といたしましては、この問題は非常に慎重を要する問題でございまするし、今の段階におきましては、只今新谷委員が申されたように今の法律においてはそういうことは職責上できないんじやないかというふうにも考えておりますので、電波監理委員会としては現在そういう考えを持つておりません。又きめたこともございません。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 わかりました。それでその態度が私は当然だと思うのであります。電波監理委員会は行政権限を持つておるから許可しようと許可しまいと自分たちの勝手であるというだけの一片の形式論では、これは済まない問題であると私は思います。一般の需要がそこまで来て、申請が出て、そうして相当根拠のあるものであれば当然それを審理して、そうして仮にこれは不許可になる場合もあるでしようが、併し許可すべきや否やということをこの法律に基いて検討しなければならない義務があると、私はこういうふうに考えておる。そこでこのカラーテレビジヨンの製作問題ですが、先般もお伺いしたところでありますが、これは日本でもやはりよりよいものができるということであれば、早晩実現すべきであると私は考えておるのであります。ただ技術的にそれができない、或いはそういうカラーテレビジヨンをやろうというような人がなければ、私は問題にならないと思います。そうでなくして、技術的にも可能になり、そうして誰かやろうということであれば、当然それをやらさなければならんと思うのでありまするが、現在電波監理委員会が白黒の方式で先ずスタートしようという場合に、あなた方の発表文書にもあるように、その白黒式を採用する場合においても、将来カラーテレビジヨンの実現を阻害することのないように、あらゆる配慮をしなければならんと思うし、それを具体的に言うと、この場合に技術的な或いは経済的な負担を或るべく少くするような方法で考えなければならんということを再三述べておられる。この点は根本の方針だと私は思うのですが、これについては細かい議論は別として、根本方針としては今でもそのお考えで進んでおられるものと了承していいのですか。これは根本問題ですからはつきり御答弁願いたい。
  16. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今の御質問に対しましては、先般も申上げたと思うのでありまするが、電波監理委員会としては、原則としては、その方針は変えてないつもりであります。ただ、この社会的、経済的という面の解釈は、相当広く考えまして、全般的に見て、そういう経済的になり、国民に対して利益をもたらすものだというふうな解釈をしておる次第であります。今回の決定も、今日までのところにおきましては、電波監理委員会としては、その趣旨に戻つていないというように私ども考えておる次第であります。  なお、先ほども申上げましたように、異議申立がありまして、再聴聞が行われた結果、新らしい事実が出て来た場合には或いは決定を変えるかも知れませんが、今のところは、その方針には戻つていないというふうに私ども考えております。
  17. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その結論については私は多少意見がありますが、次の機会に譲ります。根本方針としては、やはりカラーテレビジヨンも早晩実現すながら今の白黒式の方式をきめて行くべきだという態度には、これは変りないということで了解して、次の質問に移りますが、先般来証人を喚問して、実は我々にわからないことでありますけれども、種々技術的なことを聞き、調査して見たのでございますが、この細かい技術的な問題は私には余りうまく表現できないので、この際省きますけれども、問題になつておる六メガ、七メガという問題について、この影響を実は両方の主張から聞いて見たのであります。六メガ説につきましては、一メガ節約すると、それが非常に多くの通信でありますとか、或いは放送等に大きな好影響がもたらされる、これは言うまでもないことでありますが、具体的にテレビだけの問題としていろいろ検討してみたところによると、実は私たち考えておつた以上に、七メガ説を主張する人たちの言い分がはつきりとわかつたのであります。例えば受像機についていいましても、まあ数は別として真空管の数でも、今の方式で行く限りは十数個の真空管がとても整備されんだろうということもいつておりますし、又七メガにして何か不利益があるかということになりますと、白黒の場合、絵の品位はよくなる、併し価格において一%乃至二%高くなる。真空管にすれば大体一個余計取付けなければならんというような意見があつたのであります。仮に受像機の問題をもとにして考えますと、三百万台くらい日本に普及するだろうということを土台にして見ますると、一台について三万円乃至四万円の価格の相違があるということを、これも又数字は動くでしようが、一応そういうふうに計算して参りますと、三万円にしてみると国民負担なるものは九百億くらい違つて来るというような結果になつて、これは国民経済からいつても非常に大きな問題だということを痛感したのであります。これは先般来山田君の質問に対しましてですか、網島君からも、それは実証的なものではないのだから、机の上だけの議論であるというふうな答弁もあつたようですが、併しこれはいずれにしても、そうでないということも実証的なものでないだろうと思うのです。そうだということも実証的なものでななければ、そうでないということについても、別に実験したり或いは試験をしたりしてデータをとつた結果に基いての話じやないと思うのです。そうすると一応机の上だけでもそういうふうな結論が出るならば、私はやつぱりこれだけの国民負担が数百億違うだろうというような大きな問題に関しては、この判定をするまでに電波監理委員会でありますが、或いはこれは工業技術庁の分野になるかも知れませんが、政府機関のどこかがそれについて、いずれが正当であるか、いずれが国民経済の点からいつていいのかという判定をするだけの試験をし、実験をして然る後に決定すべきものじやないかと思うのです。これらの点は電波監理委員会でもこれはわからんはずはないと思う。わかつてつても、そうしなければならなかつたという理由について、私はむしろ非常に疑いを持つているのです。この点は網島君、どうお考えなんでしようか。そういう問題は一応六メガにきめておいて、更に試験をし、実験をして、若しそれが七メガのほうがよかつたらもう一遍変えてもいいというふうにお考えになつているのか。これは私は一遍きまればそういうふうに簡單に変えられんと思うのですが、いずれかにきめる前に、あなたがた政府機関の手において確信のある結論を得るために試験をし実験をして、これだけの異論があるものであれば十分慎重な態度をとつて、然る後に決定されるのが至当じやないかと思うのですが、網島君どう考えますか。
  18. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今御疑問の点は今度異議申立がありまして、再聴聞が行われる場合に恐らく相当具体的に明らかにされるのじやないかと私どもは期待しております。従いまして、その結果を御覧になつて頂いて、もう一度御検討願うというのが適当じやないかと思いますが、今具体的にいろいろ数字に対する御意見がございましたので、一応私どもの現在持つている見解を御披瀝したいと思います。七メガ説を唱える方向におきましては、六メガ・バンド天然色をやる場合には、現在の白黒が二十二の球を使つている。それに三十二本の球が余計要るので、結局五十四本の球が要るのだということを経済的な問題の基礎にされております。これ恐らくIREの十月号に載つておるミスター・フインクのペーパーからこれを取つたのではないかと私ども考えておるのでありますが、同じペーパーのすぐ下に、この天然色テレビジヨン受像機の設計者は、近い将来にこの三十二本の半分は省ける、実際的に画の上では何ら影響を與えることなしに、半分は省けると約束しているということが、その次の行に書いてあるのであります。この約束しておるということはちつともおつしやらないのであります。私どもは従来の経験その他からいいまして、この約束は必ず実現できるというふうに確信しておるのでありまして、若しもこれが実現されるならば、六メガの天然色なつたときの球は三十七、八本で済むということになりまして、今七メガ説を唱えている人が、天然色の場合には三十八本ということを言つておりますが、大体同じ程度の球の数になるのであります。勿論そのときには七メガをとつておけば、もつと球は減るという議論も出て来るかと思いますが、これは減つても数は二本とか、三本とか、五本という程度のものであろうと思つております。この六メガの天然色受像機が三十七、八本で済む、五十四本なんか要らないのだということは、最近私が聞いたところによりますと、すでにその程度天然色受像機をRCAが作り始めているということであります。従つて、私どもの予想は間違つていなかつたという確信を最近だんだん持つようになつて来つつあるのでありますが、これらの問題は再聴聞のときに更に明らかにして欲しいと私どもも熱望しておる次第であります。
  19. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私はそういう技術のことはちつともわからないのですが、極く常識的に考えまして、この技術の進歩発達は、これは勿論本当テレビジヨンについては非常に著しいものがあると思うのです。この場合に七メガをとつても、六メガをとつても、両方に共通した、これは方式は同じなんですから、同じように経済負担が軽くなるという部分が相当あると思います。それでそういつた問題は、これは電波監理委員会も虚心坦懐に考えられればいいと思うので、恐らくそういつたことが主になつているのじやないかと、私は常識で想像しておるのですが、この点は再聴聞会のときでもいいし、或いはあなたがたどこででも結構ですが、私たちわからないながらに、いろいろな回路の図面とか何とかいうものをあちらこちらで調べてみても、相当この七メガと六メガ説には天然色の場合には開きがあるような気がするのです。そこで私たちは、あなたがたが十分なる試験研究の結果、こういうわけで六メガというものが日本にとつてはいいのだ、そのほうが大局から見ていいのだ、国民負担も決して殖えないのだということであれば、何もこの六メガに反対する理由も必要もない、今のところは、今お話にもありましたが、これも或る程度は六メガ、七メガに共通の技術の発達が加えられている。なお六メガと七メガとの相違から来る問題についても、それは相当な進歩発達もあるでしよう、そういつたことはもう少しお互いに研究をし、そして実験でも積まれないと、今ここで簡單に私は信ずるとか、私はこう思うとか、雑誌に書いてあつたというくらいでは私は電波監理委員会としては、責任のある電波監理委員会としては私は足りないのじやないかということを痛感しております。これは私の希望意見に過ぎませんけれども聴聞会をやつて今度検討されるというならば、單にあなたがたが一遍出したのだからそれを引つ込めるのは権威に関するとかいうことでなしに、本当に先ほどからお話のような気持で、とにかく国民負担が軽減されるということであれば、原案を変えられたつて構わないのだし、変えられるのがむしろ至当であると思います。その辺が公共の見地をあなたがたは代表しておられる、そういう意味において十分審議をされ、公平な判断を下されるように、この機会に特に私は希望しておきます。これらの問題については又いずれ再聴聞会のあとでもお尋ねいたしますが、今日先ほど申上げましたように、余り時間がありませんので、もう一つ二つ関連した問題で、どういうふうに準備が進んでおるかということをお聞きしたいのです。それは一つは私再々申上げたテレビジヨンに関する技術者の問題です。何か新聞等で読みますと電気通信大学と言いましたかそういう大学があるかと思うのですが、目黒か何かに。電気通信大学、ああいうところでもテレビジヨンに関する技術者を養成するために何か特別な講座を設けたとか、或いはどこかの大学がそういつた講座を設けるということもちよちよい見るのですが、これはもう少し、本当に実施しようと思えばもう少し真劍な態度でなければこれは実際できないと思うのです。アメリカから技術者を連れて来てテレビジヨン受像機の修繕までやらせるというなら別ですが、一万台でも仮に普及してしまえば、相当にこれはたびたび修繕ということになることで、その場合に一々アメリカ技術者を頼んで来なければならんということでは、これは実施の措置としては非常に欠けるところがあると私は思うのです。従つて国内に手軽に使えるようなそういう技術者も必要であるであろうし、或いはテレビジヨン放送を担当する企業体においても相当のこれは技術者が要るわけである。そういつたものを考え併せると、まだ日本としましては技術者の養成ということは殆んど手をつけていないと言つてもいい状態であります。従つて急速にこの技術者の養成に手をつけなければならんという段階にあると私は考えるのであります。それについて電波監理委員会が、例えば文部省に対して今どういうふうな要望を出しておるか、或いはそれに対して今度はこの程度の予算をとつて、どのくらいの技術者を何年先に出すように措置をしたとかいうような具体的なことが伺えれば、多少私は安心できると思うのですが、その点如何でしようか。
  20. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今質問の点は誠に御尤もだと思います。まだ電波監理委員会としては具体的にその問題で文部省と交渉したことはございませんが、それは先般来申上げているように、電波監理委員会として個々の審査をまだ始めてないのでありまして、もう少したつてテレビジヨンの許可不許可の問題に見通しがついたら、そういう問題も是非やりたい。又やらなければいかんと考えております。電気通信大学あたりでも現在いろいろ計画しておるようでございまするし、なおこの民間の公益法人あたりでも、アメリカの通信教育、テレビジヨンに関する技術の通信教育、そういうものを取り寄せまして、そうしてそれによつて民間の人々にテレビジヨン技術を普及させたいという計画も持つております。私どもは正規の学校或いはそういうような通信教育というものもいろいろ利用いたしまして、でき得るだけ御趣旨に沿うようにしたいと考えております。
  21. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この問題は、私は皆が割合に軽く考えている問題で、而も根本をなす一番大事な問題だと私は思つているのです。何も併し六メガとか七メガという問題がきまらなくても、あなた方が言われるように私たちもそういうふうに考えているのですが、日本で成るべく早い機会にテレビジヨンの実現をさせたいということを政府で決心をした以上は、もうすぐにもこれに取りかからないと、この標準方式をきめたとか、そういうことだけでは実行できるものではない。ですから私は、これはあなた方の当然の義務として早く実現しようという決心をされると同時に、この技術者の問題に手をつけられなければならぬと考えております。これは意見になりましたから、これ以上答弁を要求しませんけれども、早急にあなた方としては段階的に実施のめどをつけて、そうして何もこんなものは七メガとか六メガということに影響するのではない、とにかくテレビジヨン一般に関する技術をどこかで教えるように、今実行された場合、技術者がないために全部アメリカ技術者をつれて来なければならんというような醜態なことをここでやらないように、措置を今から考えて頂きたい。  それからもう一つ聞きたいことは、これも私は何遍も言つたことですが、どうせ受像機にしたつて、或いは送像機にしたつて、これは方式の如何によりますが、外国との間に技術の交換と言いますか、或いは特許と言いますか、そういう技術の導入が必要になつて来るのです。そういう前提で考えると、これは單にどこがこの放送をやるとか、或いは方式をどうするかという今当面の問題にかかわらず、相当特許問題がやかましい問題になることが必定なんであります。殊にあなた方の、今伺つておると、アメリカ技術を持つて来ればそれでいいのだ、自分たちは安心しておればいいのだというような極端なお話もあつたくらいで、そうなると一体アメリカでもテレビジヨンに関する特許というのは極めて数が多い。又一社や一社ではいかんだろうと思います。そういう問題についてこの交渉と言いますか、これは勿論工業技術庁なんかが主管庁として担当する問題かも知れませんが、電波監理委員会としてテレビジヨンを実現しようという決意をされたに伴つて、何か特別の措置を講じておられるのですか。これは或いはメーカー方面の、つまり民間業者の交渉に全部任せるという態度でおられるですか、民間業者の手に任せて置きますと、恐らくこれは経済的には話は成り立ちにくいのではないかと思うのです。一部分の特許は或いは買えるかも知れません。併しそれについて相当の特許料も要求されるかも知れませんのであります。こういう問題は他のあらゆる生産行政とも関連を持つて、相当これは政府が蔭になり日なたになつて、外交交渉的な性格を持たしてやつてつてやらないと、急の間に合わないのではないかと考えておるのであります。この点は現状はどうなつておりますか。お答え願いたい。
  22. 網島毅

    政府委員網島毅君) 特許問題についてもいろいろ御心配の点は誠に御尤もだと存じます。私どもも、日本テレビジヨンをやるということをきめても、何がしかのアメリカその他の特許を使わなければどうにもならない現状でありますので、この特許問題をないがしろにして問題は解決しないということを前から考えておつた次第でございまして、これの所管省でありますところの通商産業省と協議したこともございます。又工業界方面意見を聞いたこともございまするが、何分この特許問題はメーカーのいろいろな経営上の問題、或いは商業的な立場、いろいろございまして簡單には行かないようでございます。私どもは御説のように、どこかでこの問題をまとめて、そして最も有利なように外国と交渉するなり、或いは国内の各メーカーの利益を代表して交渉に当るというようなことが望ましいのじやないかということも考えておつたのでありまするが、なかなか実情は困難なようであります。ところで、実際問題としてどうなつておるかということにつきまして、それと並行的にいろいろ情報を集めておるのでありまするが、最近各メーカーがアメリカあたりのメーカーといろいろ技術指導或いは特許の輸入問題を協議しておりまして、今までのところ、私どもの聞いたところによりますれば、大体順調に行つている。テレビジヨンの問題につきまして、或いはテレビジヨンに使用する真空管、ブラウン管、そういうようなものにつきましてもアメリカは好意的に技術指導もやつてくれる、特許も使わしてくれる、而もそのロイアルテイも私ども考えて大体リーズナブルと思われるようなところでいろいろ話合いが進められておるようでございます。併しまだこれらの問題は途中の段階にございますので、なお私どもといたしましては今後とも十分関心を持つて、若しそういうような行き方ではうまく行かない、どうしても政府として強力に何か処置をしなければならないということになりましたら、所管省であります通産省とも連絡をとつて、御心配の点は万遺漏のないようにして行かなければならんというふうに考えておる次第でございます。
  23. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから特許問題については、私はいろいろ意見を持つておりますが、これは又別な機会に申上げますが、生産設備に要する設備資金の問題、これもなかなか私は今の段階では非常にむずかしいことになつて来ておると思うのです。昨年でありましたか、すでに許可を受けて更に免許を受けて、そうしてまさに使用さえしようとしている民間放送会社の資金についてさえも、市中銀行は勿論のこと、大蔵省当局もこれを必ずしも無條件には認めないということで、大分問題があつたことはあなたの御存じの通りなんです。それで銀行局長の通牒を見ますと、これがその資金規正の基になつていないと政府は言つておりますが、実際はそれによつて金融界は動いておるのです。これによりますと、今そういうふうな鉄とか石炭とか銅線とか或いは電力とかいうもの以外の設備資金というものは、原則としてこれを抑制する。新らしいそういうものは抑制して行くのだということをはつきりと局長通牒にも書いてございます。これは各金融業者はその線にしか金融をしない、そういう状況にあるわけですが、それにもかかわらず、これはどういう形になつて、又どういうふうな程度に資金が要るか、今後の問題ではありますけれども、全然資金が要らないでこれはできるはずがないのでありますから、その点について各メーカーが相当の設備資金を需要した場合に、それに対する手当を考えておかないと、あなたがたが先刻来言つておられるような方向にも向い得ない、日本のメーカーというものはテレビジヨンについては全然これは無関係である、全部外国から輸入する以外に方法はないのだというようなことまで発展するのじやないかと思うのですが、設備資金に対する何らかの措置をおとりになつたのかならないのか、それに対する今後の見通しはどういうふうに考えておられるか、この点を伺いたい。
  24. 網島毅

    政府委員網島毅君) 設備資金に関するお尋ねの点は御尤もだと思います。この問題に関しましても電波監理委員会といたしまして、我が国においてテレビジヨンが急速に実施できる可能性があるかないかという見通しをつけます段階におきまして、通商産業省或いは大蔵省の見解を求めたこともございます。只今お尋ねの設備資金の問題は、通商産業省におきましても相当積極的に努力をしてくれておりますし、又各製造業者もテレビジヨン受像機の製造につきましては非常に熱意を持つておりまして、設備の整備擴充という問題につきましていろいろ計画を立てておるようでございます。又それに必要な資金の面も通産省その他を通じまして、いろいろ折衝しておるような状況に見受けられるのでありまして、なおテレビジヨン放送そのものの主管庁としての私どもも、今後できるだけこういう面にも側面から応援したいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 以上申上げましたような諸点は、これは私から言うまでもなく委員諸君においても十分知つておられる。而も今日なお具体的にここまで説明を伺う段階にもなつていない、いずれもこれからの段階であるということでありますが、あなたがたの私は熱意を疑うわけじやないですが、併しそういう問題を解決して行かないことには如何に力んで見てもこれはできない。そういう意味においても私はこの実施を促進するために考えられることは、そういつた一連の関連を持つ政策をここで政府全体として強くきめて、そうして各行政分野が一緒になつてこの仕事に努力をして行かないことにはなかなかあなたがたの希望のように簡單には実現ができないと思うのです。でありますから、これは私から御注意までに申上げるわけですが、そういう問題を至急取上げて、そしてこの標準方式決定と並行してどんどん進めて行かないことには、こと志と違う問題が出て来るだろうということを痛感するのでございます。特にこの点をの機会に改めてあなたがたに私の意見を申上げて参考にして頂きたいと思うのです。  最後にもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、これは先般網島君はおられませんでしたが、代りに岡咲君が答弁されたことなんですが、来年度多少の研究費と言いますか、調査費のようなものが盛られておる。電波監理委員会としても多少予算がとれたという話、非常に結構だと思います。併しその額が極めて少いということを先般他の委員が言われたように、この点は我々の何故にそうなつたかということについて大蔵省の意見も聞いてみたいと思つておりますが、僅かな額であつてもこの調査員、研究員の使途ですね、これについては岡咲委員長なり長谷長官からもお答えがあつて、NHKが実験放送のようなものをやるだろう、その場合に電波監理委員会は別に自分でこの実験放送をやるだけの経費も用意していない、だから何か特定の事項をNHK実の験放送に関連を持たしてそのついでと言いますか、その機会に調べさせるつもりである、それについては放送法による研究命令、或いは委託命令というようなものを出してやらせるつもりである、こういうお話であつたのであります。でありますから、これは予算委員会の問題にしてもいいのですが、その研究によつて一体どういうふうなことを電波監理委員会は実験し試験しようとするのか、大体の予定が私は立つておると思いますが、そのあなたがたの今考えておられる使用計画というものについて、これは今日すぐでなくても結構です、次の機会でもいいですから文書にして出して頂くと非常に参考になると思います。
  26. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと止むを得ない事情で外出しておりまして、実は審理官に私二、三重要な質問を持つておるわけでありますが、私予算委員会で総理大臣に質問通告をしておつて、もう順序が、二十分くらいしかないという通告を受けましたので、本日は審理官への質問はそういう工合で打切つて頂いて、次回において柴橋審理官に御質問申上げたいと思います。  それからこれは盛んに今日いろいろ質問の形式で何か御意見が出されたかも知れませんが、この間の、この前の委員会で、日本テレビジヨンというものに対して一体どういうポリシーをとるのか。アメリカと全然同じスタンダードをとつたということに対して、電波監理委員会としての根本的な態度というものが、岡咲委員長からの御説明があつたけれども、これは納得できない。フランスがやつたような……日本の国情に適したことを考えてやつたかどうかと言つたら、岡咲委員長説明でははつきりしない。この決定理由書から見れば、アメリカの真似をすれば間違いないということが電波監理委員会結論です。これは私として非常に、電波監理委員会ともあろうものがそういう軽薄なポリシーでやられたということについては、すでにこれはもう一回検討を願わなくてはならない問題だと思う。それからそれに関連して、この標準方式がいずれにしても近き将来に決定せられるということになれば、現在テレビジヨン放送についての申請が三、四件出ておるわけであります。そうすると、次は経営形態をどうするかという問題です。これは、経営形態の問題に関する限りは、電波監理委員会として決定すべき問題ではない。本質が余りに重大で、技術的な問題ではないのであります。この問題を電波監理委員会としてどう取扱われるつもりか、これを一つ電波監理委員長から御意見を伺つておきたいと思います。
  27. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今質問の経営形態の問題に関しましては、電波監理委員会といたしましても、これは相当に慎重に考慮しなければいけないということで、よりより意見の交換をやつております。併しこの結論を出すためにはいろいろな調査資料も集めなければなりませんので、まだ結論を出す、段階には至つておりません。併し十分慎重に研究したいと思つております。
  28. 山田節男

    ○山田節男君 心組みというのは電波監理委員会で、独自の立場でいろいろ資料を集めてきめると言われるのか、或いは標準方式の場合のように聴聞会にかけてやるというのか、それから又或いは標準方式決定についても非常に強く要請したように、経営形態の方式標準方式に次いで重大な問題であることは、これは申すまでもないのです。そこで、これは前にも申上げたのですが、イギリスでは御承知のようにそのためにビヴアリツジ・コンミツテイを作つて相当各方面から公共放送か商業放送かということを研究している。これ又数カ月の日子を費してやつているわけです。電決監理委員会標準方式決定に対しても私どもから言えば極めて軽卒な見通しの非常に不確実なことをやつておられる、私はそういうふうに考える。まして経営形態の問題について標準方式決定のようなことをやられた場合に、それこそもう私は重大問題であると思う。であるから私が申上げるのは、経営形態に関する限りは、果して電波監理委員会が処理し得る問題かどうか。そこで私はこういう質問をしているのです、心組みとしては電波監理委員会で経営形態を何かの方法によつて決定すると言われるのか、或いはイギリスのように、ビヴアリツジ・コンミツテイに比すべきようなものを作つて、各界の人を集めて、そうしてこの経営形態をどうして持つかという結論を出さして、それを採択するかしないかという方式を取られるのか、或いはこの問題は私の考えにすればむしろ国会がこれを論ずべきものであつて電波監理委員会、一行政委員会ではこれは到底決定し得べき問題ではない、私はそう思うのですが、その心組みという点をもう少し詳しく御説明願いたい。
  29. 網島毅

    政府委員網島毅君) 先ほど申上げましたように、経営形態の問題は、私どもといたしましても慎重に時々研究しておるのでありまするが、今日までの段階におきましては、現在の放送法なり、電波法で示されておるところの多数並立と申しますか、経済的な面或いは技術的な面、周波数の面が許されるならば、二つなり、三つなり並立して行く、現在の標準放送にとられておりますような、そういう形態で行くという現在の法律の建前を変更する必要があるという、まだそこまでの結論には到達しておりません。併しながら、その現在の放送法なり、電波法のそういう行き方じやどうも工合が惡いということになりますならば、これは法律改正ということにも相成るものと思うのでありまして、勿論国会の御意見も伺わなければなりませんし、又御意見を伺うということじやなしに、むしろ国会で御審議を願う、或いは法案は政府において、作るといたしましても、国会において御審議を願うということにならなければいかんと考えておる次第であります。
  30. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると、今の放送法はもう殆んどNHKを対象とした法律であります。成るほど民間放送のこともちよつと謳つてあるけれども、一、二カ條に過ぎない。その大部分はNHKのための放送というようなものであります。テレビジヨンを公共放送にするか、商業放送にするかということを決定するに当つては、テレビジヨン放送、或いは放送自体の技術的部面と経営形態を、いずれかにきまるにしても、やはり單独法或いは現在の放送法を改正しなければならん、こういう御意見ですかどうか、これを伺いたい。
  31. 網島毅

    政府委員網島毅君) 若し民間のテレビジヨンだけではなしに、日本放送協会にもテレビジヨンをやらしたほうがいいということに相成りました場合には、法律論は別といたしまして、実際問題として放送法を改正する必要があるように思われるのであります。併しこの問題は、まだ委員会としては結論ではございません。私の考えを申述べたのでありまするが、法律の上から行きますと、日本放送協会はテレビジヨンをやつて惡いということは何もないのでありまして、やれるのでありまするが、併し日本放送協会が聴取料をとることが必要になつて来る。これは放送法によりまして、日本放送協会は広告放送はできないことになつておりますので、聴取料でやるということなれば、テレビジヨンにつきましても聴取料を確保できるような方法を講じなければ困るじやないかという実際論から考えまして、放送法の改正ということになるのではないかと考えております。なお法律ばかりではございませんで、日本放送協会がやるということになりますれば、これは協会の予算を国会へお出しいたしまして、そうして予算についても御審議をお願いしなければならん、こういうことに相成ると存ずるのであります。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 もう一度確認しておきたいのですが、今の経営形態をどうするかということを電波監理委員会決定する、し得る権限を持つておるという前提、それを前提として御意見を伺つておきたいのですが、経営形態の問題を電波監理委員会がこれを決定し得る、いわゆる何というか監督権を持つておるというジユリスデイクシヨンがあるというお考えなのがそれで若しありとしたならば、その場合にやはりイギリスがやつたようにビヴアリツジ・コンミツテイに比すべきものを作つて、そうしてこれを聴聞会を作つてですね、やる御意思があるのかどうか、その心組みについてお伺いしたい。
  33. 網島毅

    政府委員網島毅君) 経営形態をきめるジユリスデイクシヨンを電波監理委員会が持つておるかという御質問でございますが、私どもはその点は今の放送法及び電波法によりまして、テレビジヨンについてもやはり法律は複数制と申しますか、多数制を考えておるというふうに私は了解しておるのであります。従つて、ほかの制約事項がなければ民間テレビということも考えられる。それはNHKのテレビということも考えられる。おのずからその経営形態というものは今の法律によつてきめられておるというふうに私ども考えておるのであります。ただ先ほど申上げましたように、日本放送協会がやるということになりますれば、今の放送法だけでは不十分な面でございまするので、どうしてもその面は放送法改正というようなことによりまして、国会の御審議を得てきめて行くということにしなければならないのじやないかという考えを持つておるのでございます。
  34. 山田節男

    ○山田節男君 今のビヴアリツジ・コンミツテイのようなものを作つて電波監理委員会はたとえ予備的でも研究し、審理する心組みがあるかということ……。
  35. 網島毅

    政府委員網島毅君) 今のところまだそこまで結論が出ておりません。今後なおその面も加えまして、委員会として考えまとめたいというふうに思います。
  36. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の法律改正の問題について関連しますから伺いたいと思いますが、我々あなたがたと同じように、FCCなり、あつちこつちアメリカの事情を見たときに、このテレビジヨンというものは放送と違つて非常に影響力が強いので、番組編成について非常に今アメリカでは問題になつておる。それで私ども聞いたところでは、その番組編成に対して、あのように言論機関に対して自由であるアメリカでさえも、国会が立法措置を今考慮する傾向があるということを述べております。これはFCCで聞いたことであります。恐らく岡咲君もその時分聞かれたと思います。私は最近のこの日本の民間放送をみまして、これはまだそこまで弊害が行つてないと思う。ですから、直ちに民間放送に関しても番組の編成について法律的な規正を加えたほうがいいという結論は持つておりませんが、テンビジヨンになつて参りますと非常にこれは又別な角度から見なければならんという気がするのですが、前富安委員長にもこの点をお伺いしたところが、これについては併せて各国の状況も見て、立法措置についても大いに考究するということを言つておられたのです。網島君はこれらの点についても富安前委員長と同じような見解を持つておられるかどうかですね、結局私はいい面も勿論これはたくさんありましよう。併し、よつて生ずる社会的な弊害というものに対してはこれはやはり極力これを防止する、その意味から言うと、私は非常に好ましくないけれどもテレビジヨンあり方というものに関連をして、場合によつては番組の編成についても何らかの法的な規正をする必要が生ずるのじやないかということを考えるのであります。この点について、今或いは十分なお答えは得られないかも知れませんが、あなたの考えておられる構想だけでも聞かして頂いたら結構です。
  37. 網島毅

    政府委員網島毅君) 番組の点の御懸念誠に御尤もだと思います。富安前委員長がこういうふうに考えておられたという今の点は、私個人としても全く同感であります。ただ御承知のように私どもの行政は、委員会として会議してきめることでありますので、或いはすでに私の不在中に、委員会としてその方針がきまつているのかも知れませんけれども、なお、その点についても十分委員会において研究して、委員会としての考え方或いは今後の方針というものをきめて行きたいと思つております。
  38. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 本日の質疑はこの程度にとめまして、次回は十二日の午後一時から……、審理官もおいで願いたいと思います。なお二十五年度の日本放送協会の決算と二十七年度の予算の審議に入りたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会