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1952-05-24 第13回国会 参議院 通商産業委員会中小企業に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十四日(土曜日)    午前十時四十三分開会   ————————————— 昭和二十七年一月三十一日通商産業委 員長において小委員を左の通り指名し た。            松本  昇君            古池 信三君            入交 太藏君            小松 正雄君            小林 孝平君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            境野 清雄君 同日通商産業委員長は左の者を小委員 長に指名した。    委員長     松本  昇君   —————————————   委員の異動 二月四日委員入交太藏君辞任した。 二月十三日委員池信三君辞任につ き、その補欠として小林英三君を通商 産業委員長において指名した。 同日委員小林孝平君辞任した。 同日通商産業委員長において中川以良 君を委員に指名した。 三月三日委員小松正雄君辞任した。 四月二十四日通商産業委員長において 栗山良夫君を委員に指名した。 五月二十二日通商産業委員長において 小松正雄君を委員に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松本  昇君    委員            中川 以良君            栗山 良夫君            小松 正雄君            境野 清雄君   委員外委員            島   清君   政府委員    中小企業庁長官 小笠 公韶君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君    中小企業庁振興    部振興課長   伊藤 三郎君   参考人    商工組合中央金    庫理事長    豐田 雅孝君    国民金融公庫副    総裁      井關 孝雄君    大生相互銀行常    務取締役    大口 勝道君    大洋相互銀行專    務取締役    堤  歴治君    芝信用金庫專務    理事     渡邊八右衞門君    東京都商工信用    金庫理事長   川端  巖君    永代信用組合長 山屋八萬雄君    高崎信用組合東    京出張所長   江尻金太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業金融に関する件   —————————————
  2. 松本昇

    委員長松本昇君) それでは只今より中小企業に関する小委員会を開催いたします。  本日は公報で御通知申上げました通り中小企業金融に関し專門金融機関のかたがたから御意見なり、御事情を伺うことにいたしております。参考人のかたの御意見を伺う前にちよつとお諮りいたしたいのでありますが、本日の参考人のかたは時間を違えて順次お見えになるはずになつておりますので、順次お一人ずつ御意見を伺い、質疑を行い、一旦お帰りを願つて、そのあとで次のかたの御意見を伺う形にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  3. 境野清雄

    境野清雄君 今のお話ですが、大体中小企業金融豐田さんがお見えなつておりますが、商工中金国民金融公庫はこれは一応商工中金さんがいては、これは喋べれない、信用金庫なんかありますから……、そうでなく、信用金庫商工中金、こういうものは利害関係が、利害関係ということはないのですが、そう直接関連がないから、それは一緒でもいいじやないのですか、どうでしようか。
  4. 松本昇

    委員長松本昇君) それではあと一緒に願いましようか。それでは取りあえず商工組合中央金庫理事長豐田雅孝氏にお願いいたします。
  5. 境野清雄

    境野清雄君 その前に政府側にはどういうふうな要求をしておりますか。
  6. 松本昇

    委員長松本昇君) 政府のほうは今中小企業庁長官見えております。それから大蔵省銀行局特殊金融課長有吉さんがお見えなつております。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 長官今日は一日中大丈夫ですか。
  8. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 午前中に一つ……。
  9. 境野清雄

    境野清雄君 長官が午前中だけだつたら、やはり中小企業の問題は政府がいつも煮え切らないのですから、次官を午後要求して下さいませんか、大臣は来なくともいいから、次官ぐらいは来るように……。
  10. 松本昇

    委員長松本昇君) それではそのように取計らいます。それでは一つお願いいたします。
  11. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) それでは私から一応最近の中小企業組合金融につきまして申上げたいと思います。  商工中金貸出状態は、昨年の暮は二百十二億まで参つたのでありまして、当時は非常に資金難であつたのでありまするが、日本銀行の第二次高率の利用までいたしまして、極力自己資金調達に努めまして、只今申しまするように二百十二億までの貸出をいたして年末を越えたのであります。ところがその後回収は順調に参りますと同時に、資金需要は減少いたしまして、これは如何に経済界の不況が深刻化して来たかという一つの現われであろうと思うのでありますが、その結果去る三月末、二十六年度末におきましては、二百一億にまで貸出残高が減りまして、極く最近におきましては、これが二百二億になつておるわけであります。貸出組合はその数五千百十五組合でありまして、一組合当り平均残高は三百九十四万八千円に相成つております。件数から申しますと一万六千百四件でありまして、一件当り平均残高は百二十五万四千円に相成つております。一組合当り平均三百九十四万八千円でありますが、これは何人かの組合員利用いたしておるのでありまして、従つて一人当り貸出残高にいたしますと、ずつと減つて来る点は御了承願つて置きたいと存ずる次第でございます。かような貸出状況でありまするが、只今企業組合事業協同組合全体を合せますと、約二万四千の組合というふうに言われておるのであります。その中の約半分はいわゆる睡眠組合とでも申しまするか、殆んど名目だけの組合だというようなものが多いのでありまして、残る半分が一応動いておる組合ということに見られておるのであります。その約半分ぐらいに対しまして、商工中金現実貸出をいたしております。その数が只今申しまする五千百十五組合という状態であります。で、かような結果になつておりまする原因を探求いたして見ますと、一面においては組合自体に問題があるわけでありまして、他面において、商工中金資金源に問題があるということになつておるのであります。組合側のほうは御承知通り統制組合と申しまして、業界の一業種に属する営業者の人は全部その組合に入つてつたという形の組合が、中小企業等協同組合法によりまして、そのまま現在の組合になり変つて来ておるというようなものも非常に多いのでありまして、組合は作つておるが本当に経済的な事業活動はしておらんというようなものが非常に多いわけであります。一応組合の恰好をなしておりましても、いよいよ資金借入等になりますると、ああいうアンシユアーな人たち一緒では役員連帶保証ができんとか、或いは担保の提供ができんというようなことに相成りまする組合も少くない。その結果が只今申しまするように、全体の組合の四分の一とか、或いは五分の一とかに対して貸出をしておるというような結果になつておると思われるのであります。そういう面から一面におきましては、組合の再編成と言いまするか、事業活動のしやすいような、裏から見まするというと、金融べースに乗りやすいような組合になり変つて行くということに相当今後努力をして行かなければならん面があると思うのであります。それと同時に商工中金資金源を拡大して行かなければならんということは申すまでもないのでありまして、殊に一部のかたに御承知願つておるかと思いますが、公団の廃止に伴いまして、従来公団金融で賄つておりましたものが、その傘下の業者は自力で資金調達をしなければならん、曾つて委託加工委託販売つたものが、自己資金によつて買取加工買取販売をせざるを得んということになりましたにつきまして、例えば味噌、醤油、木材、木炭等非常に業界といたしましては自己資金調達に追われ、これがために組合金融の形で商工中金に依存しておるというものが最近相当多くなつて来たわけであります。従いまして通産委員会では非常に組合金融について御心配願つておるのでありまして非常に感謝いたしておるのでありますが、私どもの見まするところでは、農林委員会などでも相当この問題をお考え願わなければいかんのじやないか。それがやがて麦の統制撤廃の問題がありまするし、場合によりますれば、更に米の統制撤廃にまで及ぶのでありまして、この際の資金を如何にするかという点をお考え願う必要があると思うのであります。  それともう一つ、最近保健衛生見地からいたしまして、いろいろ中小企業、又これに準ずるような業界におきまして施設改善をしなければならん、この面から又組合金融に依存して来ておるものが少くないのでありまして、甚だしいと申しますと言過ぎかも知れませんか、多少毛色の変つたものといたしましては、お医者さんがたが医療施設改善、ベツドの増設、これは一定の規格に達しておらんというと病院の開業ができんそうでありましてそういう面から医療設備改善のために相当資金が要る。ところが医療業信用保険対象業種にもなつておるわけであります。見返資金等が出まする限り、商工中金といたしましても協調融資をして行く必要にも差迫られておりまして、そういう面からお医者関係融資というものが出ております。更に散髪業者店舗保健衛生施設改善、或いは魚屋さんの店舗設備改善、或いは佃煮屋などの店舗のやはり衛生的見地からの設備改善、更に国際観光旅館の台所を中心とするような衛生施設改善というようなものが出て来ておるのでありまして、要するに厚生省所管産業面から商工中金に対する資金需要というものが大きくなつて来ておるのであります。この面におきましては、やはり厚生関係委員会等におかれましても、その資金源をどうするかということを私は真剣にお考え願いたいと思うのでありまして、さような方向に参りませんと、本来のプロパー中小企業金融資金源というものに大きな重圧が加わつて来る、さなきだに足らない資金源が一層枯渇して来るということに相成るのでありまして、こういう面を考え合せますると、組合の再編成受入態勢の整備と相並びまして、商工中金資金源につきましては、よほど恒久的な考え方をこの際する必要があると思うのであります。と同時に、資金の量もさることではありまするけれども、もはや今日程度商工中金もなりまするし、又中小企業界の現状から見ますと、どうしても短期の資金だけに重点を置いておるわけには行かないのでありまして、むしろ今後は長期資金重点を置いて行かなければならん。而も低利資金を融通して行くような方向に極力向けて行かなければならん次第でありまして、今日におきましては、資金のボリユームを殖やすことも急務でありますけれども、それと同時に量よりも質と申しまするか、少くとも量と同時に質の点を併せ考えて行かなければならん。この面におきまして長期資金低利資金を導入して来ることをどうしても考えざるを得ない段階に相成つておるのであります。かくいたしまして、商工中金といたしましては、今後積極的に長期資金、而も利子の引下の方向に極力向いて行きたいというふうに考えている次第であります。  極く最近の資金源状態を申しますると、出資金は十四億九千万円でありますが、そのうち四億九千万円は見返資金優先出資であります。これは一般に配当いたさないといたしましても、七分五厘の優先配当をしなければならんことになつているのであります。債券発行高只今百七億に相成つているのでありますが、これの資金コスト日歩にいたしまして二銭四厘になるのであります。相当コスト資金なのであります。預金只今約八十四億ございまするが、そのうち政府預金が二十八億でありまして、ところがこの金利が一銭八厘に相成つているのであります。県、市等のいわゆる公共団体預金、これが約二十六億でありますが、これも日歩は一銭三厘ということに相成つております。本来の組合及び組合員預金は約三十億でありまして、これは大体コストは一銭一厘くらいになつているのでございます。併し普通銀行預金によりまする資金コストを見ますると、日歩にいたしまして七厘くらいになつているのであります。この七厘くらいになつておりまするものと、只今資金コストを比べますると、いずれも高いコスト資金に相成つているのでありまして、ここに商工中金といたしましての貸出金利自然幾分高くなると同時に、商工中金経理面が非常に苦しいという状態に追込まれているわけであります。で、今後具体的な対策といたしましては、只今三月債券政府引受でやつて頂いているのでありますが、この行き方割引商工債券についても認めて頂く、できることならばその引受率の引上ということを今後御考究願いたいというわけでありまして、殊に私どもが非常に待望いたしておりまするのは、資金運用部資金商工中金に対しまする直接貸の途を開くような法律改正等措置でありまして、と申しまするのは、昔商工中金ができましたときには、預金部資金を十分に活用する、而も長期且つ低利預金部資金を、商工中金を経まして中小企業層に還元して行くという考え方の下に商工中金はできたようなものでありまして、この点が十分に活用できませんと、実際沿革等から見ますると、商工中金はその存在の大部分を失うという結果になるといつても、あえて過言ではないと思われるのであります。さような意味合いで、昔の商工中金設立当時のあり方に帰ると言いますが、一時はこれはGHQの関係等もありまして、なかなか問題であつたと思うのでありまして、その間において、よくここまで政府当局でもやつて頂いたと私は常日頃考えているのでありますが、今回はいよいよ独立もいたしましたし、従前とは根本的に事情が変つて来ていると思います。只今申しまするように資金運用部資金の積極的な事業に復元するという行き方について格別の御考慮を願いたいと存ずる次第であります。そのほかに見返資金活用、更に又復金收資金活用或いは閉鎖機関余裕金活用、これらにつきまして、今後格段の御考究を願いたいと存ずる次第であります。そのほかにちよつと申添えておきたいと存じますることは信用保険関係でありますが、只今までに信用保険利用金額の累計を見ますると、五十六億余に相成つておりまするが、そのうち二十五億五千六百万円、約四五%は商工中金利用いたしているわけでありまして、これに次ぎまするものは地方銀行全体としての十九億二千万円でありまして、比率で三四・二%に相成つているのであります。その次が信用金庫及び信用組合でありまして、五億三千六百万円でありまして九・五%、その次が十一大銀行でありまして、一億九千七百万円でありまして、パーセンテージが三・五%というような状態でありますが、それ以外はいずれも三%にまで達しないというような状態でありまして、利用は十分に行つておらんというわけでありますが、その原因がどこにあるかということでありまするけれども、それにつきましては、先ず第一は保険割合が七割五分になつている、これをもう少し引上げてもらいたいという要望が起きたという点が一点でありまして、第二の点は保険事故発生保険金支給までの期間が六カ月必要だということになつているのでありますが、これが長過ぎるという点が一つであります。第三には、保険料の問題でありまして、これが日歩八厘一毛に相成つているのでありますが、その半額を関係金融機関が負担しなければならないという点が困るというのが一つであります。それからもう一つ信用保険が受けられまするものは、六カ月以上の長期資金に限るということになつているのでありますが、これを三、四カ月程度運転資金についても信用保険を適用し得るというふうに改めるならば相当活用の途が開かれるのじやないかという点が、関係筋等からそれぞれ要望せられているわけでありまして、この機会に申上げまして、御考究を願いたいと存ずる次第であります。  以上簡單でございまするが、大体の概況並びに今後かくもありたいというような点を率直に申上げた次第であります。あとは御質問等がございましたらば、お答えをいたしたいと思います。
  12. 境野清雄

    境野清雄君 只今お話協同組合の二万四千ばかりあるやつが半分ばかりは寝ておるというようなお話があつたのですが、折角協同組合作つたものが半分から寝ておるということは、一応中小企業庁のほうにも責任があるように考えられるのですが、一つ中小企業庁のほうの長官から一番根本問題だろうと思うので、この辺どんなふうになつておるのか、又それに対してどういうような手を打とうとお考えになつておるか、その点を一つ長官からお伺いいたしたいと思います。
  13. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 現在新らしい協同組合法に基きまして設立されておる数は約二万五千であります。二万五千でありまするが、その中に活動状況がどの程度まで活発に行つておるか、こういうことでありまするが、組合設立が非常に急テンポに増加して参りましたのは昨年の下期からであります。そういうふうな事情を考えて見ますると、組合設立後日がなお浅いというふうな点から見て組合経営の基礎がまだ固まつていないものがあるということは認めなければならんと思うのであります。協同組合の中には非常に大きな組合、特に商工協同組合、終戰直後できました商工協同組合法を形たけ変えたというふうなものがまだ相当あるのであります。そういうふうな多人数の組合員を抱えておる組合におきましては、経済事業というものが非常にやりにくいというような点から、活動がともすれば微弱であるということも言えると思います。併しながら最近の一般的な傾向、特に数が多くなりましたのは組合が比較的小さな人数によつて構成されて来る、大きい組合が分れて小さくなつて来るという傾向が私はあるように思うのです。今お尋ねのようにどの程度制限組合と言えるかどうかはつきりしたことを申上げにくいのでありますが、先ほど申上げましたように、設立後日なお浅いというような点から活動のまだ微弱なものがあると思うのであります。このような事態に対処いたしまして、どういうふうに組合指導方針を持つて行くかということでありまするが、先ず基本的な考え方といたしましては、組合の成果が上るか上らないかは先ず第一に組合構成の仕方が私は基本的にあると思うのであります。構成をするときに慢然として作つた場合は必ずうまく行かんと思うのであります。どうしても目的をはつきりし、その目的に適応した程度構成員なり、或いは出資の内容を持たせるというふうなことが必要であると考えるのであります。その点につきましては、抽象的にどの程度の基準がいいということは示しにくいのでありますが、その土地の実情に応じて一つ目的と照合して適当な組合を作らせるという方向で進めて参つておるのであります。もう一つの、そういうふうな基本的な作り方の問題が一つと、それからできましたあと組合に対する指導、いわゆる行政指導というふうなことに対しまして、いろいろな面から指導をして行く、例えば組合の幹部の組合意識の徹底、強化というふうな方向で、私どもといたしましては、できるだけ毎年講習会その他を開いてやつてつておるのであります。  それからもう一つの問題は、これは先般御協賛を経まして実施に入つたのでありますが、従来の組合におきましては、組合役員員外選任を認められていなかつたので、事業を持つておる組合員組合事務を鞅掌するということになかなか手間がかかつたというような弊害が一部あつたことも又事実であります。これも今度の改正で修正されました。それからもう一つの問題は、私どもは本来の法律の狙いといたしまして、組合員の自覚に待つて相互扶助体系としてこれが作られておるのでありますが、そのために法律上は事業者団体法や独禁法の適用を排除する、或いは税法上におきましては、普通法人税をとつておるというような、何と申しますか、優遇措置と言いますか、便益が與えられておるのでありますが、日本の現在の実情から申上げますと、どうしてもこういうような組織においてやるのは、政府或いは公共団体におきまして、できるだけの一つ援助措置というものは私は強化して行く必要があると思うのであります。これは現実の問題といたしまして、何か組合を組織することによつて、この経営の場合よりも便利な措置があるという点が言えるのではないかと思うのでございます。その便益を與えて行く方法といたしましての問題は、例えば先ほどお話がございましたように、いわゆる組合を作ることによつて金融機関取引先一つ殖える、例えば商工中金組合金融中心といたしておる点から考えましても、取引が先よりも殖えて来るということになりますので、商工中金先ほどお話のような線に沿うてこれを強化するということが、組合運動というものを強化して行く一つの方策であると思うのであります。それからもう一つの問題は、只今のところにおきましてはまだ十分でありませんが、税法上の特典をもう少しできないか、こういうふうな問題が私は一つあると思います。  それから更にもう一つは、現実援助の手として、組合事業に対する直接的な、政府或いは地方公共団体補助政策というものをやはり強化して行く必要があろうと思うのであります。補助政策につきましては、すでに御承知通り協同施設に対する補助金制度を復活して参りまして、予算といたしまして毎年二億ずつ国庫から出しますほかに、地方公共団体のほうを督促いたしまして、地方予算からの補助金をできるだけ引出す方向に努力して参つておるのであります。この点は私が両三年来中小企業庁におりました当時に比べますと、政府補助金の三倍乃至四倍ぐらいが地方から直接協同組合施設補助金として交付されるような態勢に相成つて参つたのであります。当初は地方は非常に国家の補助金に依存しておつたのでありますが、最近は地方自体でそういうふうな形が生れて参つたのであります。そういうふうな形におきまして、政府或いは地方公共団体の積極的な援助協同施設中心としての援助強化して行くという線を更に進めなければいかんというふうに考えておるのであります。それから各地方公共団体におきまする援助共同施設に限りませず、中小企業、特に地方におきまする中小企業一つの弱点は販路の狭いところにあると思うのであります。その販路の開拓、斡旋、仲介をするというようなことが、どうしても地方産業助長見地から見まして私は必要であると思うのであります。そういうふうな例えば見本市の開催であるとか、或いは展示会というような方向にできるだけ地方公共団体におきまして措置することを指導、要請をいたしておるわけでありまするが、これもだんだんに強くなつて参つたようであります。  以上申上げましたように、協同組合が多数できて参りまするが、中には形だけで魂の入らないというふうな組合が往々にしてあるのであります。これは私は一旦組合ができた以上、これが当初の目的の機能を発揮するというふうに指導いたさなければならんと思うのですが、その指導方法中心としては、何と申しましても、私は公共団体或いは政府援助措置強化によつてつて行くということが私は特に必要であるというふうに考えておるわけであります。以上簡單組合制度につきましてのお話を申上げたわけであります。
  14. 境野清雄

    境野清雄君 今お伺いしました協同組合の問題については、相当残された問題があるだろうと思うので、今日の金融問題と直接関係もありませんし、又後日通産委員会にでも一つ長官に来て頂いて、この問題は篤と質問して見たいと思います。取りあえず今の金融問題に関連して、一、二長官にお伺いしたいのですが、大体資金運用部資金を直接使いたいということは、これはもう前から我々も考えておるんですが、従来から割引債券についても運用部資金で引受けるということの運動は、中小企業庁自体として相当長い間やつていられるように聞いておるのですが、この問題の大蔵省との折衝過程はどんなふうになつておるか、お伺いしたいと思います。
  15. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 商工中金資金源増加の一つ方法といたしまして、割引商工債券の引受を資金運用部によつて行うということの運動と言いますか、お願いを起したのは昨年の秋であります。昨年の秋以来いろいろ努力いたしまして、実は昨年の末に至りまして、新年度にはやろうというふうな段階まで実は或る程度の話が進んだのであります。ところが御承知通りに二十七年度の予算編成に伴いまして、資金運用部資金の運用計画の中で、金融債引受の分三百六十億というものが一応削除されたというふうな経緯に相成りまして、この点につきましては、すでに予算委員会、本院で議決せられましたので御承知だと思うのでありますが、そんな事情から金融債引受の問題が一頓挫を実はいたして参つておるのであります。で、最近、今朝の新聞等で御覧の通り金融債引受百八十億というふうなものを引受ける途を昨日の審議会で御相談になつたようであります。商工中金に対しては約十八億というふうな数字が今朝の新聞に出ておる、これは事務的には正式に私はまだ伺つておりません。今朝の新聞で見た程度でありまするが、この数字にして間違いがないといたしますれば、この金額の中で割引商工債券を引受けてもらうという方向にお願いを続けたい、こういうふうな考え方をいたしておるのであります。短期割引商工債券の引受けに対しまする従来の経緯を率直に申上げますと、以上のような次第であります。  それから御指摘の第二点の資金運用部資金から商工中金に貸付の途を開く、こういう問題ですが、これもすでに御承知通りに私は是非これを実現したい、こういう考え方をとつてお願いをいたして参つておるのであります。でありまするが、この問題はまだ話のまとまる方向まで実は行つていない、こういうような現状であります。
  16. 境野清雄

    境野清雄君 今商工中金のほうからも信用保険の問題が出まして、信用保険改正点として四つばかり挙げられたんですが、今更私たちが言うまでもなく、信用保険自体がもつと中小企業に金を貸す制度というような形態でこの信用保険作つたことは、もとより中小企業庁も十分御承知のはずであり、我々はこの前の改正のときにも、今の保険割合が七五%というものは九〇%ぐらいに上げなければ、これは到底利用価値がないんではないか、又保険期間の六カ月というものも三カ月くらいに短縮しなければならんのじやないかというようなことは強く我々は要望しておるのでありまして、金融業者日歩の半分を負担するというような問題も、共に我々が信用保険利用する場合のこれは大きな盲点になりはしないかということは、我々が従来信用保險の法案審議のときにも再度申上げており、その点については中小企業庁自体もこれを十二分に納得せられておつたと思うのでありますけれども、今の保険割合の七五%の九〇%ぐらいまでの引上げ並びに保険期間の六カ月の三カ月への短縮というものは、その後大蔵省との折衝はどんなふうになつておるか、この点ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  17. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 信用保険法の運用上から参りまする欠点については御指摘のような点があるわけであります。この点はすでにお話通り、私といたしましても、まだ立案当初におきましての考え方も大体御指摘のような点を考えておつたのでありますが、いろいろな事情で現行の法律のように相成つたのであります。特に私は保険割合の問題も去ることながら、保険金支払期間の短縮という問題が運用上非常に微妙な問題を起すものと思うのであります。これは三月がいいか、二月がいいか、少なくとも保險事故が発生すれば、速かに資金が入るという態勢をとるということが金融機関の立場からいう資金の回転、資金計画の点からも非常に便益が多いのだと実は思つておるのであります。これはできるだけ早い機会に直したい、こう考えておるのでありますが、まだその運びに相成つていない状態でございます。中小企業信用保険法の対象にいたしておりまする貸付金が六カ月以上の長期資金ということに相成つておるのでありますが、これをもう少し短期な資金にも適用したらどうか、こういうお話でありますが、実は御承知通りに信用保証制度、信用保証協会による保証制度がございますので、これは專ら一年以内の、と申しまするか、主として二つ、三カ月の短期の信用保証をいたしておるのであります。で、これが私から数字を挙げるまでもなく相当多くの効果を残して今運営されておるわけでありますが、短期資金はそれらの信用保証協会の機能によつてカバーして行くというふうな考え方を実はとつてつたのであります。そういうふうな考え方の下に、ただ信用保証協会の運営の基礎が府県の財政に專ら依存いたしておりますので、その信用保証協会の保証債務に対して、国家が再保険のような実を挙げるという必要が強く要望されておりましたので、この前の保険法の改正の主点を、信用保証協会の保証債務に対して信用保險をかけ得るということに実はいたしたのであります。その点から考えますと、信用保証協会の機能がそれだけ拡大して来るわけでありますし、短期金融という面が相当促進される。これは信用保証協会の保証債務の保険は五〇%ということに相成つておるのでありまするが、この五〇%がいいかどうかという問題は別に論議の余地はあるとは思いますが、それによりまして短期の資金融通というものをできるだけ円滑にして参るというふうに考えておるのであります。以上のような考え方をとつておりますので、本来の信用保険制度の対象でありまする貸出資金の六カ月を更に下げて行くということが適当かどうか、信用保証協会に対する再保険の実をとつておるその制度との調整を考えて行かなければならんと、そういうふうな点をこれから考究して、そこにすつきりした一つの政策を編み出して行く必要があると私は実は思つておるのであります。そういうような点から、單純に六カ月をすぐ短縮するということで適当かどうか、制度のすつきりさ、素直さを考える上においてなお考究しなければならん点があると、こういうふうに実は考えておるのであります。
  18. 境野清雄

    境野清雄君 次に商工中金理事長にお伺いいたしたいのですが、先ほどお話の冒頭に、資金需要が減退しておるというお話で、それがあなたのほうの数字の上に現われて、十二月末日に二百十二億あつたのが、一月以降二百三億になり、二億になつたというようなお話でしたが、これは私は商工中金の金の貸し方のほうから見た需要の減退でありまして、今日の日本経済の現状から見て決して、特に中小企業自体が金にもう一番行詰つておることは、我々が議論するまでもないことでありまして、中小企業資金需要の減退して来ておるというお考えは、これはどうも商工中金さんとして何か考え違いではないか。むしろ資金源がないから、要求があるが貸せないというふうな現状ではないか、そういうような点から見まして、例えばここに出ております業種貸出状況というようなものを見ましても、大体業種別として一カ年間のものと、一月中の貸出というようなものが殆んど同じような足並みでいる。併しながらこの業種別として分れている工業であるとか、金属工業というような中で、特に先般私どもが福井、金沢方面を視察したときにも、繊維工業というものが、特に絹、人絹の繊維工業というものが本当に行詰つておるというような状況になつておつて商工中金としては繊維工業者に対する貸付というものは、総貸付の二二%乃至二三%というように私は記憶しておるのですが、そういうものが、この統計表を見ますと、業界自体の衰退しているもの、或いは殷盛になつておるものということにお構いなしに平均に貸付けておるというような点が、どうも幾分納得でき得ないのでありまして、繊維工業なら繊維工業というものが行詰つておる、そのもの自体を救わなければならないというときは、私は二二%なり、二三%というものを五〇%くらいに上げるということも商工中金自体にお考えを願いたい。そういうような面から見まして、数学的に見て二百十二億というものが十億から減つたから資金需要が減退しておるのだろうということでなく、私のほうではもつともつと借りたい人はおるが、たまたま商工中金のほうで貸出ができ得ないというのが現状じやないか。言換えまするなら、商工中金自体としての資金源がもつともつと要るのじやないか、私は本格的に商工中金を動かすためには、一カ月十億くらいの金がないことにはなかなか進んで行かない。然るに三月ですか、大蔵省は九億出したというようなことを豪語しておりますけれども、九億出したうち、我々が考えましてもルース台風の金だとか、或いは農林中金への借入金というようなものを返してしまうと、大蔵省自体は九億出したということを称えておつても、現実商工中金でそのうち使える金は一億五、六千万円よりないのじやないか。併し世間一般では商工中金へ九億出たのだから、地方の枠は殖えるのじやないかというようなことを考えておられるのに、逆に貸出す金は幾らもないというようなのが現状なんでありまして、私どもとしては、一つ商工中金自体が現実資金源というようなものはどのくらい大体目先でも必要であるか、又その大蔵省自体との折衝をやつておるかどうか、例えばこの間中小企業に対しての五十億というようなものを出したのを見ましても、相互銀行は二十七億とか、それから信用金庫が十二億とかいうような厖大なものをとつてしまつて商工中金自体は僅かに六億というようなことで、果して商工中金の機能が発揮でき得るかどうかということは我々は大きな疑問を持つておるのでありまして、こういう点に対して、一つ商工中金としての忌憚のない御意見を承わりたいと思います。
  19. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 忌憚のないところを申上げたために、ちよつと御了解が十分願えなかつた点が出て来たかと思うのでありますが、やはり忌憚のないところを申しますというと、もう窓口での資金需要現実にやはり減つて来ておるのでありまして、私のほうはこれを査定して出さんとか、何とかいうようなことでなく、現実資金需要は減つて来ておるのであります。それだけにこれは私は容易ならん問題なんで、それだけに又根本的な中小金融対策、延いてはもう一つ基本的な財政金融対策というものが必要なんじやないかということになると思うのであります。これが私どものほうで強いて金が足らないので査定を強くしておるというようなことであるならば、私はそれほど、心配しないということはありませんが、心配の度合が少いのであります。私も五年有余商工中金を預つてつて参りましたけれども、本当に資金需要が率直に見て減つて来ておるというのは、恐らく今回初めてでないか、それだけによほど考えなければいかんのじやないかと思うのであります。ただこの中小企業と申しましても、ピンからキリまであるのでありまして、いわゆる零細な、業界でむしろ何とか救済してもらいたいと、その金額もさして多額のものではないというようなものの需要は非常に多いのであります。併し御承知のごとく中小企業でも組合の形にまとまつた事業金融として相当まとまつた資金融通を受けなければ事が足りないというようなものにおきましては、今申しまする通り資金需要が減つておる。要するに先行き不安が資金需要の形を示さないというような面が出て来ておるのであります。併しこれは経済界全体の動きが変つて参りますると、いつ何時資金需要は私は活溌になるかも知れないと思うのでありまして、そういう際に従前から商工中金といたしましては、いつも非常に苦しい思いをするのでありまして、ちよつと預金があると思つておりますると忽ち資金源に困るほどのことになる。これは預金本位に資金の運用をいたしておりまするが、普通金融機関と違いまして、外部資金に依存しておるだけに、それの波が打つためにかようなことになるのでありまして、そういう面からこの際資金の量を増すことも必要でありますが、先ほど申しまするように、むしろ安定した資金長期資金源をここで確保する必要があると思います。そういう面で特に今後私どもも努力を一層しなければならんと思うのでありますが、その線については先ほど申しまするようなふうに、政府の預託金にいたしましても、これは十一月頃までには返さんならんということになつておるのでありまして、その額が少いという問題のほかに、どうも長期性の資金でないために中小企業金融として非常に困る面があります。これを御承知と存じまするが、只今私のほうでも七割くらいは短期の運転資金というのことに貸出の残高が相成つておりまするが、これはただ短期だというだけの一応の恰好でありまして、一度手形が落ちれば、又次の貸出をしなければならないということになるのでありまして、実質的には殆んど長期運転資金と変るところがないのであります。従いまして、どうしてもここで長期性の資金を確保するようにしなければならんということに相成るのでありまして、その点についても先ほど申述べましたような点について御考慮を得まするならば非常に幸いだと存ずる次第であります。又私どもといたしましても、その線について大蔵省にも縷々申述べておりまして、大蔵当局としても、事務当局のほうでは非常に熱心に御研究を願つておるような次第であります。なおついででありますから、先ほどの信用保険関係で、少し短い期間のものについても、信用保険でカバーできるようにしてもらつたらどうだろうかということでありますが、これにつきまして、信用保険のほうで行くようになつておることについて中小企業庁長官から話がありまして、御尤もであるわけでありますが、信用保証のほうで参りますると、御承知のように各県所在の信用保証協会の財源の薄い点から見まして、保証限度というものが低いのであります。従つて組合金融の場合に今のような保証限度では到底十分に活用ができん。例えば今保証限度は百万円くらいなところが多いと思いますが、その程度の保証限度でありますると、個人融資についての信用保証としては役に立つでありましようけれども組合としての信用保証には役に立たんという面が出て来るのであります。ところがこれを信用保証限度を、然らば今の信用保険程度にまで上げるということはなかなか地方の保証協会の資金源関係等からいたしまして、言うべくして行われないのじやないかというような点を考えさせられる次第でありまして、その面において、今のところ六カ月以上でありまするならば運転資金でも信用保険でカバーするようになつておるのでありまするから、まあ四月くらいのものについて、せめて信用保険で行けるようになりますると、相当まとまつた組合運転資金信用保険でカバーし得るという点で相当活用ができるのじやないか、殊に普通銀行方面で貸出をしまする場合に相当活用せられるのじやないかというような感がするわけでありまして、二月程度のものであり、而も金額の余り多くないものについては信用保証制度を利用して行くというような方向に向いて行くならばいいんじやないかというようなことをまあ考えて申上げたような次第でありまして、なお今後御考究を願いますならば幸いだと存じます。 豐田中川以良君 先ほど来豊田理事長、長官お話の中にも、資金運用部資金の中から直接中金に貸出すことについてのお話があつたのでありますが、私どももこれは是非資金運用部資金法を改正いたしまして、少くも商工中金並びに農林中金にはこれから直接貸出のできる途を開きたい、かように考えて只今いろいろ検討をいたしておるのでありまするが、仄聞いたしまするのに、閣議でございまするか、或いは経済閣僚懇談会であるがよく承わつておりませんが、農林大臣は強くこの点を主張いたしまして、資金運用部資金から農林中金には貸出ができるようにするというようなことに対し、関係閣僚の了解を得たというようなことを聞いております。その際に通産大臣がおられたかおられないかは存じませんが、商工中金に対しては何ら配慮は加えられていないという、これが私は非常にいかんと思いますので、先般も通産大臣に、通産省設置法の問題につきまして中小企業庁廃止すべからずという点につきまして私が強く要望をし、いろいろ質疑をしたのでありまするが、誠に御答弁等につきましては、私ども了解しがたいものがあるのであります。かようなことであるが故に私は中小企業庁は絶対に廃止してはならんと思うのでありまして、かくのごとくすでに通産省はこの金融関係等に対しまして弱いのであつて、殊に中小企業に対してはすべてのしわ寄せを甘んじて受けておるというように私は痛感されてならないのであります。そこで先ほど豊田理事長のお話のごとく、成るほど農業関係は農林中金が主体ではございましようが、商工中金においてもいわゆる農林漁業等の資源の加工、販売等につきまして、大きな分野を担つております中小企業でございますので、そういう方面には当然商工中金からも融資をさるべきだろうと思うのであります。これらの点につきまして、一つ長官に伺いたいのでありますが、長官はもう当然私らと同じ考えを持つておられますか、今私が申上げましたような事実があつたのかないのかという点と、若しそういうようなことがあつたといたしますならば、これは通産省といたしましては、これはこのまま黙視し得ない点でございますので、中小企業庁長官一つ毅然として立つて、かくのごとき閣僚諸公の考え方に対して一つの是正をしてもらう御主張を出すべきだろうと思います。無論当委員会もこの考えでございますので、この点につきまして一応御所見を承わりたい。 豐田政府委員小笠公韶君) 先週の火曜日の閣議で御指摘のような話があつたということを私は翌日の新聞でちよつと見たのでありますが、正式の閣議の議案になつたのかどうか、そういうふうな話合が出たのかどうかというふうな本当のところにつきましては、実はまだはつきりいたしておりません。そういうまあ話合があつたと仮定いたしましても、これは当然に、法律資金運用部資金法の改正の問題、法律改正案として出て来るはずでありますので、そのときにはつきりした意見がわかるわけでございまするが、私は今中川さんのお話通りに、資金運用部資金の直接貸出という問題は、従来のように全額政府出資なつておりまする国民金融公庫だとか、その他の開発銀行というような形に相成つておるのでありまするが、農林中金と商工中金との性格は殆んど同様でありますし、そういうふうなものに貸出しの途を開くことがいいかどうかという議論は、一応私は見方として両論があり得ると思うのでありまするが、現実の必要性から申しまして、又私は法律論といたしましても、貸出の途を開くということが適当であるというふうな考え方を実は持つておるのでございます。それでそういうような考え方でありまするので、私は直接新らしい考え方資金運用部資金の貸付について開かれる際には、農林中金と商工中金が同時に実現されるべきものというふうな考え方をいたしておるのでございます。これは極力関係方面のそれぞれの関係のところの御了解を得まして実現を図るということが、今日の中小企業の必要としておる長期な而も比較的コストの安い金を導入する、こういう要請に応える最も近い途だと考えておりまするので、努力して参りたいと考えておる次第でございます。 豐田中川以良君 只今の点は、是非一つ長官に一層の御努力をお願いしておきたいと思います。それからもう一点伺いたいのは、従来復興金融金庫が出しておりました中小企業への見返資金の問題、更に中小企業への貸出の問題、更には見返資金特別会計から出しておりました中小企業への貸付金、これらが御承知のごとく全部日本開発銀行に移管をされるようになりまして、これが回收は日本開発銀行において今後行われることになつておりまするが、この点につきまして、私どもはこれら復金中小企業への貸出或いは見返資金貸出等の金は、再び中小企業にこれを当然還元をすべきであるということを強く主張して参つたのであります。先般も大蔵委員会と合同委員会を開きまして、大蔵当局並びに開発銀行の山田総裁等にいろいろとお尋ねをいたしますると、どうもこの点私ども考え方と大分隔たりがあるようでございます。そこで私どもは是非ともこれらは中小企業庁一つ強く御主張を頂きまして、銀行局とも十分御協議を賜わつて、開発銀行の中に少くも中小企業に関する何かの部門、機関を設置をいたしまして、これら復金の金、見返資金中小企業へ出しておりました金は全部そこで一括取扱つて、これを回收したものは再び中小企業商工中金その他等を通じて代理貸のような形でこれを出すというふうなことについて、是非これを実現して頂きたいと思いますが、この点につきましての一つ長官の御意思を承わりたいのと、更に続いて本問題に対して豊田理事長の御所見をも承わりたいと思います。 豐田政府委員小笠公韶君) 私は只今中川さんからもお話の線で従来主張を続けて来たわけでございます。先般の大蔵、通産両合同委員会にも御意見を拜聽いたしておりますが、私は政府側意見がまとまつていないというふうなところで、はつきりした御答弁がしにくいような事態に相成つておるのでありますが、私はこの問題が御趣旨に副つて極力実現をするように努力をいたしたいと思います。特にこの問題に関連いたしまして、先般のお話を伺つておりまして感ずるのは、回收金額が非常に少いのじやないか、少いからそれほどやかましく言わなくともという感じをちよつと受けたのでありますが、推定七、八億乃至十億前後になろうと思うのでありまするが、それをそういうふうな金が安定して入るということが中小企業に非常に私はプラスになる、そういうふうな意味で、額の大小にかかわらず、これは実現することが必要であるというふうに感じておる次第でございます。 豐田参考人(豊田雅孝君) 私からもということでございますからお答え申上げまするが、結論から申上げますると、中川さんのお説の通り、又中小企業庁長官のお答えの通りで行くべきであり、それで結構だと思います。一定のそれぞれ枠でも関係金融機関のためにお作り願いまして、そうしてその範囲内で回收せられたるものをそれぞれ関係金融機関から代理貸の形でやつて行くというようなことをいたしまするならば、開発銀行といたしましても、それほど手数でもなく、又関係金融機関としましても枠が設定せられまするならば、相当自信と責任を持つて融資し得ると思うのでありまして、最も簡便であり、而も実行の容易な問題だと考える次第でありまして、そういう方向に早く参りますようにお願いいたしたいと存じます。
  20. 中川以良

    中川以良君 更に豐田理事長に承わりたいのでありますが、中金より従来見返資金相当に出ておりまするが、これらの回收は無論従来の関係上中金でおやりになるのでございましようが、それをことごとく開発銀行のほうに御移管になるようなことになるのでありましようか。私は実際問題から行きまするならば、少くとも中金が扱つておられた従来の見返資金の回收金というものは、再び中金の手で中小企業に直接貸出しをするということが最も私は適切なる、又直ちに役立つ方法ではないかと思うのでありますが、その点は今どういうふうになつておりましようか。
  21. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 只今はまだ見返資金関係のほうは恐らく回收をする期間になつておらんと思うのでございまして、只今貸出しをしておるものも実に少額でございます。これは只今承知のように見返資金貸出しにつきましては、日本銀行へその都度打合せをしなければならんことに相成つておりまするために相当時間的にも双方かかるわけであります。むしろ私どもとしましては、今後新規の貸出しにつきまして、見返資金関係は特別の枠を、熱意を以てこれを融資しようとする金融機関に設定せられまして、そうしてその範囲内において関係金融機関の責任において貸出しをして行くというふうにせられますることが、見返資金の今後の新規貸出しを促進する上において非常に効果的であると考える次第でありまして、この点を従前から縷々関係御当局ともお話いたしておるのであります。何分にも従前は占領下でありましたために思うに任せない点があつたのでありますが、これも今後独立をした日本としましては、責任を持つて関係当局でお捌き願えるのでありまして、この際改めてこの点についてもお考えを願いたいというふうに考えておる次第であります。
  22. 境野清雄

    境野清雄君 今のに関連して、今の中川委員中小企業庁長官に質問した復金の約九十八億ですかの未收金の問題についての中小企業庁長官のお考えですが、大体一カ年に返るものは七、八億乃至十億というお話ですが、私のほうはこれは七、八億或いは十億というもので折衝せられないで、九十八億というものは回收不能金が半分あつたにしても五十億くらいあるんじやないか。取りあえず中小企業庁自体が金融が梗塞しておることは御承知通りなんで、まあ先借りまでしなければ、とても中小企業は追付かないという状態にあるのですから、一つ長官も折衝されるときは一カ年分の七、八億とか、十億とかいうのではなくて、回收金を引いても五十億ぐらい残るのだから、五十億ぐらいを対象にして折衝して頂かないと、七、八億ということであると、大蔵省自体は大体金を出し澁るところでありますから、そうでなくても、いつだつて半分ぐらいしか出さないというのが大蔵省の通弊ですから、大蔵省のかたはおりませんから、あなたから折衝されるときは七、八億というふうに讓歩はしないで、五十億乃至六十億という点で折衝して頂くように特にお願いいたします。
  23. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 今の点はちよつと言葉が足りなかつたのでありますが、九十八億、最近は九十六億になつておるようでありますが、九十六億全部する予定でございます。ただ一年に七、八億ぐらいしか回收ができないだろうというのであります。だからこの前の合同委員会の空気から見た感じは、まあ小さい、まあ問題にしないでいいというようなことでございましたので……。
  24. 境野清雄

    境野清雄君 全部先借りでお願いいたします。
  25. 中川以良

    中川以良君 それから見返資金の問題でございまするが、従来はこれは設備資金にだけ長期資金を出しておる。これは司令部がありました関係上、どうしても我々の力が及ばなかつたのでありますが、今豐田理事長のお話のごとく、独立した今日において是非積極的に長期運転資金を出すということに方途を変えて頂きたいと思うのであります。従来商工中金等においても見返資金を扱つておられるのは極く僅かである。今のお話通りでありますので、これは手続の複雑化、それから設備資金だけもらいましても、実際長期運転資金が出なければ、中小企業の合理化、これの発展は期して待つべきものがないのでありますので、この点は是非一つ御研究をして頂きたいと思うのでありますが、これに対する長官の御所信を一つ承わりたい。
  26. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 見返資金を設備資金以外の運転資金にも使えるようにしろと、こういう要求は古くからあるのでありますが、これを長期運転資金にまで廻し得る見込があるかどうか、今日の政治情勢から見てあるかどうかという見通しのことに相成りますると、私は消極的な見通しを実は持つておるのであります。で、これはなぜそう申上げますかと申しますと、欧洲におきまする見返資金の運用の状況は全都設備資金であります。それから見返資金という政府の資産の形でなしに、開発銀行という一つの形に変えて現在運用いたしておる場合にも設備資金に限つておるのであります。で、援助資金という性質が当初から設備の拡大或いは合理化という線によつてあの趣旨が設定されたという経緯から考えまして、特にこれが援助の形から生れて来たという点から考えまして、私は必要は十分にわかるのでありまするが、なかなかむずかしい問題だと思います。私はそう思つておるわけです。従いまして運転にも使える方法は見返資金という形でなしに別の形に変えてから使つて行くという途を講じないとなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに私は思つておる次第であります。
  27. 中川以良

    中川以良君 特殊金融課長見えておられますから、今のことについて、今の問題と、先ほどお話したいわゆる開発銀行の問題とにつきまして、大蔵省側の一つ御所見を伺いたいのです。
  28. 有吉正

    説明員有吉正君) 見返資金の問題、先ほどのお話復金の回收金等の問題につきまして、私所管の事項でございませんので、或いは個人的な見解になりまして甚だ恐縮と存じますが、見返資金の問題につきまして、見返資金がかねてより協調融資で参つておりますが、これが運用につきまして、日銀の関係の手続上の問題或いは今お話の設備資金に限られておることの関係上円滑に行い得ないという部面がございましたことは、私ども十分に承知いたしておりまして、かねがねこの点につきましても何かと措置を講じて参りたいと、かように考えて検討は加えて来た次第でございまするが、ただ先ほども中小企業庁長官お話にもございました通り、見返資金の各国におきますところの現在の使用方法につきましても、設備資金に限られておるというような関係、特に従来アメリカの援助関係から、そうした資産の運用ということから考えまして、これが実現が非常に困難であるということと同時に、これ又同時に私の個人的な見解に相成るかとも思いますが、各種の資金中小企業に流れます際におきまして、特にその資金の性質によりましては、或いは設備資金だけに限つてこれが運用を図るということも考えられ得るのじやなかろうか、特に見返資金と財政資金につきましては、その点に重点を置きまして、或いはそれに限定をいたしまして運用したほうが然るべきではなかろうかというようなことも考えられます。御趣旨の点は帰りまして所管のほうにお伝えいたします。我々としましても、今後なお研究を続けさせて頂きたいと、かように考える次第であります。  次に見返資金及び復金の回收金の回転の問題でございますが、これは一応開発銀行が引継ぐということに相成りまして、開発銀行が自己の開発銀行本来の目的に副つたところのものにこれを投資する。併し対象の業種の規模の大小ということと、開発銀行の本来の目的からいたしまして、中小金融に対して開発銀行融資をしてはならんという規定はございませんので、開発銀行本来の目的に副いまして、中小金融のほうにこれを廻すということは十分に考えられる説たと思つております。現在差当つてのところ開発銀行がこれが引継ぎをするということに相成ります次第は、暫定的には見返資金及び復金の回收金の中小金融向けの融資につきましても、一応暫定的に開発銀行が引続ぎを行うということの方針というものを検討しておる次第でございます。今後これを如何に考えるかということは、更に大蔵省内部におきましても検討を続けて参りたいと、かように考える次第であります。
  29. 中川以良

    中川以良君 もう一つ伺いたいのですが、中小企業資金源というものに対しまして、私どもは重大な関心を持つておるのでありますが、只今閉鎖機関余裕金が約百億程度あるように承わつておるのでありますが、これは今日は管財局長がおられませんので、特殊金融課長に伺いましても、或いは御無理かとも存じまするが、こういう金は今日本銀行に殆んど眠つておる。これはことごとく従来やはり一般産業が出した金でありまして、当然産業資金としてこれを還元をすべきものであろうと思うのであります。これが今日多少一般金融機関を通じて産業資金として還元をされておりまするようでありまするが、その状況はどうなつておるか、殊に中小企業に対してこれが有利に活用されておるかどうか、商工中金等にも或る程度のものが廻つておるかどうかというような点につきまして、一つ特殊金融課長並びに中金の理事長にお尋ねいたしたいと思います。
  30. 有吉正

    説明員有吉正君) 閉鎖機関が現在日銀に持つておりますのは、当座預金の形として持つておるものに限られると思います。先般新聞紙上に見えました問題につきましては、それ以外に閉鎖機関が抱えておりますところの国債を換価して合せての金額であろうと私承知しておる次第でございますが、何分管財局関係のことでございますので、正確な数字或いは私が今申したことにつきましても誤まりがあろうかと思いますが、漏れ聞きますところによりますと、かような関係の金であろうと思います。そこでこれが中小金融のほうの專門の機関に預託というような関係の話が見えておりました、現在のところ、かかる金が直接に中小金融の專門家のほうに廻つておるということは承知はしておりません。又今後政府としてこれを如何に考えるかという問題になりますと、閉鎖機関もやはり一個の民間的な機関でございます。これが資金の運用というような点につきまして、大蔵省として資金の統制的な関係がなし得るかどうかというところに更に問題の検討の余地があろうと、かように考える次第でございます。
  31. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 閉鎖機関からの預託金につきましては、最近いろいろお話関係方面からありまして、ただその場合に商工中金は御案内のごとく営利を目的とせざる法人の預託金でないといかんということに法律上の制限があるものでありますから、閉鎖機関といえども、営利を目的とせざる法人たるものの閉鎖機関の預託金だけというような方向に動いておるのでありまして、すでに二、三千万円は預託を受けておるようであります。今後極力更に増額をしようということになつておるのでありまするから、その額は別といたしまして、お尋ねのような点は漸次実現、増額に相成る、かように考えておる次第であります。
  32. 中川以良

    中川以良君 今の点は中小企業庁長官も十分一つ御配慮を頂きますように特にお願いを申上げて置きます。それからこの表のうちに、開発銀行の代理貸というのがございますが、これはどういうのでございますか。
  33. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) これは復金の代理貸を曾つてつておりましたものが、開発銀行に移行をいたしたわけでありまして、さような面におきまして、従来の復金の代理貸についての事務を今なおやつておるというわけでございます。
  34. 中川以良

    中川以良君 それからその表の数字を拜見いたしますると、政府の指定預金の預託状況でございまするが、最後の二十八億は、四月一日から期限が一番長いのは十一月の末までになつておりまするので、そのくらいの期間がありますれば、相当に私は中金としても活用をいたし得られると思いまするが、極めて短い短期の指定預金の預託を受けた場合には、これが運用については却つて非常な迷惑をされることもありはしないかと思うのでありまして、できるだけ中小企業関係長期融資をいたしまするためには、やはりこの預託の期間というものはできるだけ一つ長くしてやつて頂かないと、徒らに金額だけたくさん預託をいたしましても、実質はこれに伴わないので、一部のところだけにこれは一時的に活用されるというようなことになる虞れが私はあろうと思います。この点につきまして、長官はどんなふうにお考えでありましようか、これはよほど運用の妙を得ないと、折角預託されたものが本当に活溌に活用されないという私は憾みがあると思います。
  35. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御指摘の通りだと思います。そこで私はやつぱり商工中金資金中心は、こういう臨時的なものに余り大きく被らんほうがいい、そこで安定した資金を得る途としまして、先ほども御指摘ありましたが、資金運用部資金の貸付の途と、それと金融債引受の途と、又公共団体となりますと、一年の期限でありまするが、そういうふうな預金というふうなものを、自己資金も当然でありまするが、そういうふうな面にやはり大きく資金量のウエイトを置いて行くような運営をして行くということが適当なのではないかと、こういうふうに実は考えております。
  36. 島清

    委員外委員(島清君) 境野委員豐田理事長の忌憚のない意見をお聞かせ願いたいと注文付で御答弁を要求しましたときに、忌憚のないところを申上げると、資金需要が本当に減つておるんだと、それで非常にここに重大な問題が含んでおるのじやないかと思うというような意味の御答弁がなされたのでありまするが、私たちは非常にしわの寄つておりまするところの中小企業の諸君が、お先まつくらで非常に恐慌の前夜にあるということは、私たちなりに把握しておつたのでありまするが、併しこの程度資金じや消化し切れないと言つちや語弊があるかも知れませんが、幾ら商工中金のほうに金がありましても、中小企業者のほうの諸君に対しては焼石に水程度のものじやないかと、こういうふうに思つてつたんでありまするが、併しながら需要の面が減つておるということでございまするならば、私たちは今の中小企業の諸君の困り方について、又別の角度からこれを見なければならない面が出て来るんじやないかというふうにも思えるのであります。話は少し飛躍し過ぎるかも知れませんが、資金需要原因がどこにあると思わるるか、そういう点について豐田理事長の御説明を承わりたい。更にそういうことについて中小企業庁長官は、すでに何らかの具体的な対策を講じておられたか、又考えておられるかというようなことを承わりたいのでありまするが、併し少し話が飛躍し過ぎるように思いまするので、それは後刻でも結構でございまするが、或いはその原因等について併せて御説明が願えれば大変に仕合せだと思います。
  37. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 資金需要の減つとる原因でございますか。
  38. 島清

    委員外委員(島清君) そうでございます。
  39. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) これはもう御承知だと思いまするが、一体に昨年の春以来、いわゆる糸へん、それから金へん、或いは油脂、皮革、ゴム、ここらが一時非常に困つてつたのでありますが、年末にやり繰り算段の資金需要は出て来たものの、いよいよ本年に入りましてからは、なかなかその不況は立直らない、要するに先行不安ということになるのでありまして、絹、人絹の例をとりましても、殆んど工賃も出ないというような状態でありまするが故に、操短もやらなければならん。ただ従来の申合せ程度じやいかん。それがすでに御承知中小企業安定法案制定の必要にまで発展しておるようなわけでありまして、これは絹、人絹に限らず、あれが出るとなりますると、恐らくこれは綿織物も要望するでありましようし、或いは皮革、ゴム、油脂関係も要望するかも知れんと思つておるのでありまして、それほどやはり先行不安の念がそこに出ておる。中小企業もり先ほど申しまする通り、ピンからキリまであると申しましたが、中小企業でも組合を作つて相当活躍しておる。輸出産業の面において、或いは関連産業の面において、或いは生活必需産業として相当なものというのは、今のような先行不安の影響をいわゆる十分に受けておるのでありまして、従つていわゆる仮需要も起らなければ、或いは見込生産も控えるということからいたしまして、いわゆる資金需要というものは減つて来るのは、これはもう当然なんであります。むしろ御質問がありまするのが私どもは不思議に思われるくらい只今の情勢を心配いたしておるのでありまして、これに対しましては、この中小企業金融対策のほかに、やはり基本的な政策をお考え願わないといかんのではないか。併しそうこうしておるうちに、これ又特需の発注も出て来るとか、或いは東南市場の一時の買もたれになつておりまするものも消化もできて来たとか、殊に国内の軍需産業的な面の動きが活発になるというようなことになりますると、忽ち又急激なる資金需要も出て来るのじやないか。そういう場合に、短期資金などでは到底間に合わんことは先ほど来縷々申上げておるのでありまして、用意を今からしておかなければいかん。むしろこういう際こそ長期資金低利資金のほうへ向いて行くように考えなければいかんのではないかという点を痛感させられるわけであります。それと併せて申上げておきたいと存じまするのは、もう半恐慌状態なつておりまするが、例えば絹、人絹などにつきましては、事業金融としては到底できないが、救済金融でやつてもらいたいというような動きはありますが、併しこれにつきましては、もう国家自身、或いは関係府県等から長期資金を思い切つて貸してもらう、而もさようなものは、なかなか普通の金利計算では返済も不可能なんでありまするから、極めて低利のものにして行く、まあ或る県の動きでありまするが、いよいよとなつたならば、県が商工中金に預託をいたしておりまする金を無利子でいいから紐付きで当該業界に救済金融としてやつてくれたらどうかというような声もあるようであります。併しこれは事業金融としては考えられないところまですでに行つておるのでありまして、これにつきましては、商工中金あたりの考えだけでは行かん面が出て来ておるのでありまして、そこにおきまして如何にするかというような点は、又中小企業庁政府関係御当局で十分お考えを願いまして、別途のものとしてお考え願うというようなことも或いは必要ではないかというような場面があることは、私どもも聞いておるわけであります。これもはう関係業者といたしましても、普通の金融ではないというふうにまで思われておるわけでありまして、従つてこの普通金融の申入として出て来ておるというものとは別なものになつておりまするので、その辺も併せて御了承置きをお願いいたしまする次第であります。
  40. 境野清雄

    境野清雄君 今の理事長のお話の中で、私は納得でき得ない問題が一、二点ありまするので、これは別の問題として一つ御研究を願いたいと思うのであります。今丁度お話がありましたので、私は他の例を引きたいと思うのでありますが、今の現在の市中銀行というものの金融方途が、大体私が見ましても、市中銀行預金を盛んに集めておる。盛んに集めておるけれども、その結果を見ますと、大体御承知通り、日銀自体へ高率適用されておる金をどんどん返えしておる。日銀自体は四百億近いものが戻つて来ておる。こういう形態が、日本の金融界の各方面にそのままの形態が移されますと、私は日本経済の上では重大な問題が起るのじやないか、こういうように思いますのは、これは決して商工中金が今の市中銀行と同じような形態を、金融方途を講じておるとは思わないのでありますが、商工中金業種貸出の状況を見ましても、十二月末におきましては、組合数が五千二百四十一というのが、僅かではありますが、一月末では五千百七十七というように幾らか減つておる。それから今のお話の実際問題として、金は貸そうとしても需要がないのだ、これは今の市中銀行でも同じようなことを言つてるのでありまして、市中銀行自体は貸す相手を見付けるが、借手は大勢あるが、果して安心して貸せる相手がないのだというので、今の市中銀行の現状であると思うのであります。今お話のありました一番疲弊しておる絹、人絹というようなものを一つの例にとりましても、過般来全国の絹人絹業者が五十億の融資をしてもらわないことには前へも出られないじやないか。そうしてもう投産するより止むを得ない、こういうような状態なつておるのでありまして、それが、じや果してこの絹、人絹のメーカーというものは、それほど行きついておるのかという形態を見ますと、これはそうでなく、すでに理事長も御存じの通り、問屋制度というものは非常な私は欠陷があるのじやないかと思う。いわゆる従来の戰争前におきましては、極端な例を申上げまするならば、産地の問屋というものは、産地のメーカーに対しまして三十日くらいの手形によつて品物を買う、その買いました品物自体を集散地の問屋へ二十八日くらいの手形で売る、そうしてその二日間が金融操作になるのでありまして、その二日間の金融操作によりまして、いわゆる絹人絹業界というものが地方の問屋がメーカーに直接金を払つて行ける、資金が余り関係がなくやつて行けるというのが戰争前の状態であつたのであります。それなのに今日の状態はどうか、いわゆるメーカーのほうからは三十日の手形で買う、そうしますと、それを集散地の問屋に売りますのは六十日乃至九十日という手形で売つて、そうして集散地の問屋は、それを小売商に売つて現金三十日で取つてしもう。言い換えますならば、絹人絹のメーカーは集散地において問屋の金融をやつてるという変則の状態なつておるにかかわらず、大蔵省初め日銀その他は集散地における問屋の救済策は講ずる、大きい商社で行きついておるものはないというのが今日の現状でありまして、幾つかの收拾すべからざるものがまいつたのでありますが、そうでない貿易業者、紡績業者というものは殆んど円満に解決しておる。そうしてそのしわ寄せが全部地方におけるメーカーにしわ寄せさせられておるというような、金融状態自体から見て非常に変則な状態にあるのでありまして、そういうようなしわ寄せさせられた中小企業自体が金が要るというような場合におきましては、なかなか金融せないというようなのが実態でありまして、私はこの点は今の理事長のおつしやるような金融体系が全部じやないが、金が要るほうでも借りられないというほうが相当あると思うのでありまして、この点は後日私のほうから数字でも何でもお出ししていいのでありますけれども、全国の各中小企業というものに対しての金融行政としてのあなたのほうのお考えが、若し地方の報告を受けて、そのまま鵜呑みにしておるとすれば、私は大きな間違いじやないか。不幸にしてこの業種別の貸出状況の中に申込数というものがありませんので、申込数に対する貸出というものの比率が入つていないのでありますけれども、これは必ずや申込は相当殺到しておるのじやないか。そうして従来から私は商工中金自体としまして、中央と地方相当考えが違つておるのじやないか。中央の考えがそのまま受入れられて各地方におきまして商工中金というものが完全な業界の味方であるというようなふうに考えられない点があるのじやないか。言い換えれば資金源その他の問題にいたしましても、国民金融公庫というようなもののほうに大きな期待を持つておる現状がなきにしもあらずであるのでありまして、これは特に商工中金理事長として、長年に亘つてこの業界に精通しておられる理事長であられますので、この点はもう少し私は円滑に地方へも指令を徹底するように出して頂きたい。特に私は今この中の表を拜見しまして、こういう点も是非お伺いしたいと思うのでありますけれども商工組合中央金庫の都道府県別預金貸出状況という表があるのでありますけれども、これは必ずしも預金金額に比例して、貸出金額がそのままの形態になつておらない。成る県には六倍の県もあり、或る県には二倍なり三倍きりないものもある。これは事情によりまして、いろいろあなたのほうとしても信用状態、或いはその各県の力の入れ方というようなものについて、こういうばらばらな数字が出て来ておると思うのでありますけれども、こういう面に関しても一つ商工中金として、地方へもどういうような形態になれば貸出金額というものが殖えるのだというような話も、或る程度地方の支所なり何なりを通じてやつて頂きませんと、この間廻りましたところでは、新潟県あたりは非常に活用しておるけれども、他の府県はこれに比較して活用度が少いというような点もありますので、こういうような点に関しても、一つお差支えなかつたら都道府県に対する預金貸出というものに対してはこんなものを参考にしておるというようなことを一つ承わりたいと思うのであります。  それからもう一つ、これは先ほどの中川委員の質問に関連して、大蔵省特殊金融課長にお伺いいたしたいのでありますけれども、先ほど特殊金融課長お話では、開発銀行が本来の使命に副つて、いわゆる復金からの返つて来た金というものを中小企業にも貸すんだ、こういうようなお話でありましたけれども、それは大蔵省の考えは非常に私は結構だと思うのであります。結構だが、これはペーパー・プランであつて実質的には行われない。これは私から申上げるまでもなく、あなたは開発銀行自体の現状をよく御存じだと思うのでありまして、今の開発銀行の窓口その他から見まして、決してあなたの言うように中小企業へそんな細かい金を貸出でき得る状況にないということは、もう大蔵省自体が十分に知つておるのだろうと思うのでありまして、こういう点は実際とそぐうような金融措置を講じてもらいたいのでありまして、開発銀行では、幾らあなたのほうから出して、そして本来の使命だから中小企業へ流せと、指令は出してありますよ、と言つたところが、これは今までの窓口を見ますと現実に行われない。そういうようなことを窓口まで変えるというような御構想があるのか。その点も併せてお伺いいたしたいと思います。
  41. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 余りに私のほうも率直なことを申上げておるもんでありますから、いろいろ御意見も出ると思うのでありますが、併しやはり率直なことを申上げて、その対策を御検討願うというほうが、やはり結果的にはいいと思うのでありまするから、もう言葉に何らの衣も着せず、又駈引きのないところを申上げておるわけなんでありますが、やはり私のほうといたしましても、その後貸出は伸びませずいたしまするんで、なぜかようなことになつておるか、実際の窓口の申入自身は相当なつておるんじやないかということは、私自身も先ず疑問を持つたわけでありまして、そういう点も確めておるわけなんでありますが、やはり窓口の受付自身がもう少いわけでありまして、それは先ほども申上げまするように、結局商工中金の対象というものが、いわゆる生産金融面の面が多いので、消費金融の面が少いことから来ておるのだろうと思うのでありまして、裏から申しますると、もつと零細な金融等でありますると、割合に私は資金需要が今でもあると思うのでありまして、その点は国民金融公庫などは資金需要が割合減つてはいないで、むしろ殖えておるかも知れんと思うのでありますが、そこは商工中金国民金融公庫との金融の対象と言いますか、金融の本質か違つておるところにあるのだと思うのでありまして、御承知のように割にこう不景気になつて参りますると、月給取りがまだ悪い中では割合にいいというような面があるのでありまして、又都市から見ましても、生産都市、問屋都市に随分ひどい影響を受けておるのでありますが、いわゆる消費都市だとそれほどでもない。従つてそういう面に対する金融の消費金融の面は割合に減らないで、むしろ伸びている面もあるというようなことじやないかと思うのでありますが、生産金融のほうは、甚だ遺憾でありまするが、有効需要自体がもう減つて来ておる。そこに又心配の原因があるわけであります。併しこれはもう先ほども申します通り、一時的な現象ではあるでありましようし、早くこの現象を解消するように国家の政策も持つてつてもらわねばならんと思うのでありますから、やがて資金需要も出て来るでありましようし、それに対しましては、こういう際にむしろ従来の短期資金源長期資金源に変へ、而も資金コストを恒常的な資金コストまて引下げて行くように努力をして行くという態勢の準備が必要なんだというふうに考えておる次第であります。  なお預金貸出の比率関係でありますが、これは私どものほうといたしましては、各県に枠を設けるというようなことは絶対にいたしておらぬのであります。又公共団体預金等が多い少いによりまして、その県へ流して貸出資金を調節するというようなこともいたしておらぬのでありまして、全体総合的に資金の調節をする、そういう面で公共預託金が殖えるように希望いたしますけれども、少い県であるが故に資金需要が適切なものがあるにかかわらず、その点から資金貸出を抑えるということは絶対にいたしておらぬのであります。その点どうぞ御了承を願いたいと思います。
  42. 有吉正

    説明員有吉正君) 開発銀行が見返資金なり復金の中小向けの金融を引継ぐという際におきまして、その能力の点の御質問でございます。先ほど私がお答え申上げました開発銀行は、中小金融もやり得るのだということは、これは誠におつしやる通り開発銀行の性格上、又は見返資金の性質上、開発銀行がかかるものの権利義務の承継ということが可能であり、且つ今後これを回転し得るということを申上げたわけであります。今御指摘の能力の点につきましては、御尤もな点も多々あろうかと思います。ただ開発銀行は従来から復金の営業所というものも承継しておりますし、復金中小企業向けの金融をやつたという経験があるわけであります。これらの経験なり、営業所というものの能力は十分に活かし得るものだと、かように考えることもできようと思うわけでございます。ただそれだけで十分であるとは必ずしも言い切れないのでございまして、この点につきましては、今後の開発銀行が中小金融向けのかかるものの資金の運用ということに如何に処して参るかということにつきましては、大蔵省といたしまして検討を加える要があろうと、かように考える次第でございます。何分にも私所管外のことでございますので、如何ようになるのだということをここで申上げるわけに参りませんので悪しからず御了承願いたいと思います。
  43. 島清

    委員外委員(島清君) 私たちの努力は、中小企業の一番弱点として現われて来ておるのが金融の面に現われておるので、その中小企業の健全なる育成発達のために資金源を確保してやらなければならん、そういうことで資金源増大のための私たちは努力をしておる、私はそう思つております。併しながら今豐田さんのお話から承わりますると、商工中金としては中小企業者の使い得るところの金はもうダブついておるんだというような解釈にもなり得ると思うのであります。非常にこれは重大な問題でありまして、私たちのこの中小企業に対するものの考え方従つて変えて行かなければならん重大な問題だと私は思つておりまするので、先刻豐田さんに対して資金需要減について、あなたから御覧になりましたところの理由と思われる点を御説明願いたいということを御質問申上げたのでありますが、併しながら、君からそういう質問を受けること自体が非常に不思議に堪えないのだというお話でありましたが、それでありますれば二回も繰返してざつくばらんにおつしやつて、これはもう商工中金としては貸したくとも借手がないんだというようなお説でございまするので、これはその通り忌憚のない実情として私たちは承つておきましよう。それに対しまして企業庁長官といたしましては、こういう理由について更に豐田さんが今御説明になりましたようなことに対して、その通りのようにその事態を認識しておられるのか、そういうふうに把握しておられるのかという点について、この際一つ御説明を願いたい。
  44. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) 私が申しましたのは、現在のこの一時的現象として資金需要が減退しておる、こういうことを申上げたのでありまして、この状態が長く続くというふうにも申上げておりませず、いわんやこういう状態でずつと進むだろうというふうには絶対申上げておらんのでありまして、やがて資金需要は出て来るだろうし、むしろそれに備えるためにこの際資金源の拡大、殊に長期性の資金低利資金を用意して置く必要があるということを申上げておるのであります。従つて只今私のほうの資金態勢といたしましても、余裕をコール・ローンに放出するというようなことまでいたしまして、これはもう経営上非常な不利な行き方でありまして、資金コストが高い、私のほうとしましてはまあ逆鞘になるようなことすらあるのでありますが、かくまでいたしまして資金需要の起きるのに備えるべく待つておるようなわけであります。併しこれは全く一時の現象だというふうに私は見ておるのでありまして、それだけに、何度も申上げますが、この際短期資金源として預託せられておるものを長期資金に切替える、或いは更に低利資金に切替えるというようなことをこの際こそ措置して置かなければいかんのじやないかというふうに考えておるような次第でありまして、やがて国の政策なり、或いは国内の経済情勢の変化、海外の模様の変化によりまして、相当又出て来ることは従来の経験から見ましてわかつておることでありますので、そういう点についての見通しもいたしつついろいろ考えもいたしておる次第でございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
  45. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 只今お尋ねになりました現在の中小企業界の景気をどう見ているかという趣旨でございますが、概括的に申上げまして、不況であるということは私から申すまでもないことであります。この原因がどこから来ておるかという点でありますが、先ず第一に、一つの問題は、日本経済が世界経済の中におきましてアメリカの景気の波動を非常に強く受けるということから、アメリカにおきまする景気の中だるみの影響が一つ出て来ておることも事実であります。それともう一つは、日本経済に一番大きく響くものは、やはり輸出の状況であろうと思うのでありますが、輸出の状況が御承知のようにこの春のポンド地域向けの調整、その前後から余り伸びないという状況から、相当中小企業製品に影響を来たしておるようであります。特に最近東南アジアその他各地域で日本品の輸入に対して制限措置をとつて来るというような海外市場の状況が非常に影響いたしておるのであります。それに加えて日本の輸出の大宗でありまする繊維製品の輸出状況が世界的な綿糸市の過剰といつては言葉が適当ではないかも知れませんが、そういう点から来る繊維製品の輸出の停滞というようなところが強く出て参つておるようであります。国内的に見ましては御承知通りに昨年の暮におきまして、秋高、いわゆる秋には高くなるのだろうという景気の見通しも一部に立てられたのでありまするが、国内景気に関する限り、今のところはつきりした見通しが立てにくいというふうなことから取引相当弱くなつて来ておる。国内マーケツトにおきまする取引がともすれば手控えになりがちのようであるのであります。これはよく繊維製品等におきまして展示即買会というようなものをやつておるのでありますが、どうもやはり買付いて来るのは、小売商の買付きが当座買いのような形が強く出て来ておるようであります。まあ要するにいはわる手控えて来ておるというようなことから、国内の商品の流通が速度を落として来ておる、こういうことが一つ原因であるように思うのであります。  そこでこういうふうなことのほかにもいろいろな原因はあると思うのでありますが、そこでこの不況な状況下におきましてこれをどうしたらよくなつて来るだろうかということでありますが、先ほどもお話がございましたが、業界の或る一部におきましては、非常に何といいますか、秩序が乱れておる、いわゆる乱売の域にまで入つて来ておる、こういう向きも出て参つておるのであります。そういうふうな状況にある中小企業に対しましては、私はやはり何かそこに強い、業界一つの秩序を回復するような手を打つ必要がある向きがあるのじやないかというふうに実は考えておるのであります。それから基本的にはやはり日本の景気をよくする意味におきまして、輸出の振興策というものを中心的に私は持つて行かなければいかんというふうに考えておるわけであります。で、そういうふうな点から見まして、将来の景気に対する明るさを持たせるような、希望を持たせるような基本的な通商政策、或いは国内におきまする財政金融政策というようなものを考えて行く必要があるのではないかというふうに考えております。で、中小企業の具体的な金融の問題につきましては、そのときどきによりましていろいろな波もあることも私は事実だと思うのであります。ただ全体的に見まして、中小企業からの要請がときによつていろいろ違つて参りまするが、今要求しておる、私どもの耳に入つておりまする要請は、できるだけ長期資金長期運転資金の要請が相当強い。これが実際問題といたしまして商工中金におきましても、或いは市中金融機関におきましても、なかなか長期資金は出しにくい、こういう資金源関係から見て出しにくい状況にあるようであります。この面をこれから特に私は解決することが業界の安定という点から必要ではないかというふうに考えておるわけであります。  非常に抽象的なお話を申上げましたが、以上今日の不況に対してどう見ておるか、どういう原因から来ておるかというふうな見方についてお話申上げた次第であります。
  46. 松本昇

    委員長松本昇君) ちよつと理事長に質問したいと思います。今お話を伺うと、今のところでは取りあえず中金としては、中小企業の各位に対して相当金があり余つておるのだというお話でありますが、近い将来中金として大体どれくらいの資金を御希望になつておるか。これは見通しですからなかなかむずかしい問題ですが、どれくらいの金があれば中金としてはよろしいか、又どういうふうな額を要するか、大まかで結構ですからそれだけを一つお伺いしたいと思います。
  47. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) これはむずかしい見通しの問題になりますけれども只今資金需要が減退いたしております理由は、先ほど申上げたのでありますが、そのほかにもう一つ申添えておいたほうがいいと思いますのは、さつきの組合が再編成を今後どんどん行われて、事業本位の組合になり、金融ベースに乗るような組合、まあ具体的に言いますれば役員が喜んで保証もし合おう、担保も出し合おうというような気分の組合になること、これが並んで進まないといけないのじやないか。ややいい組合といいますか、事業活動をしておる組合には、或る程度今の段階では出廻つて来たのじやないか。そこへ持つて来て非常な不況のために、見越し生産或いは有効需要が起らないというか、それほどまで殖えて来ないというような点から、資金需要がこういう状態なつて来ておるのじやないかと思つております。従つて今後経済界の情勢が変つて参りますと同時に、組合の再編成がどんどん進むとこれは相当資金が要るのじやないか。殊に先ほども申上げましたように、公団金融あと始末の問題がありまするし、或いは厚生省関係の衛生保健関係についての資金の放出も必要になつて来るでありましようし、そういたしますると、これはもうよほどの金が要るのじやないかと思つておりますが、仮に今組合が二万四千ありまするけれども、そのうちの半分の一万二千の組合に貸し得るということになりますと、現在は五千ちよつとで二百億でありますから、今の倍の組合に貸すということになりますと、どうしても今の倍の四百億ぐらい要るのではないかということになるわけであります。只今債券発行計画その他の計画から参りましても、一年間に約百億ぐらいは貸出純増になり得ると思います。併しこれで少し景気がよくなつ資金需要が殖えますと、債券発行などは月々八億とか十億とか出して行くことになりますからとても一度に殺到する資金需要には間に合わんというのは、従来、只今商工中金が苦しんで来ておる実情でありますので、只今申しますようにまだあと二百億ぐらいは間もなく要るようなことになるかも知れんのでありますが、本当の理想的な考え方を言えと言われますと、今二百億くらいここにぽんと用意してもらいまして、そうしてそれを債券の発行その他のことによつて漸次返還をして行くというような手が打たれれば一番安定はして来るのであろうと思いますが、そういう構想の下に、一挙でなくていいのでありますけれども、お考えを願うということが必要なのじやないかというふうに考えておるわけであります。誤解を願いませんように、決して私は消極的なことを申しておるわけじやないのでありまして、非常に積極的ではあるけどれも、極めて現実的に今の段階では考えて進んで行くというふうに考えておるのであります。
  48. 松本昇

    委員長松本昇君) もう一つお伺いいたしますが、それは今の理事長のお話は、今度麦が仮に近いうちに統制が解かれましたような場合にも、公団からいろいろな金が個人的な方面にも出て行かなければならんということになるでしようが、そういう場合にも今の大体二百億あれば賄つて行けるのでしようか、どうでしようか。
  49. 豐田雅孝

    参考人豐田雅孝君) この点はなかなかむずかしいのでありますが、まあ麦は別としまして米にまで及ぶということになりますと、殆んど見当がつかんのでありまして、それだけによほどしつかりした考えをして行かなければならんと思うのでありますが、これはやはりそのときになつて考えるよりほかないのじやないかと思うのでありまして、差当り考えなければならんのは、やはり組合の受入れ態勢の整備に伴うての資金増、景気回復に伴うての資金増、この二つ、加うるに公団金融資金増、それから厚生省関係のもの、そこらをお考え願えれば結構たと思いますが、麦の統制関係のほうは差当つての問題でありますので、これも御考慮に入れて頂きたいと思います。
  50. 松本昇

    委員長松本昇君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  51. 松本昇

    委員長松本昇君) 速記を始めて。それでは一旦休憩いたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  52. 松本昇

    委員長松本昇君) それではこれから再開いたします。  では最初に国民金融公庫副総裁の井關さんから一つお話をお聞きいたします。
  53. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) それじや国民金融公庫の最近の貸出状況、それから資金資金繰りの状態、それから最後に中小企業金融対策に関する意見等を申述べまして、時間がないそうでございますので大ざつぱに御説明申上げたいと思うのですが、大体の詳しい資料はお手許に差上げてあります国民金融公庫月報に大体載つておりますので、それからわかりやすく摘要したものをプリントにして公庫の現状というものでタイプに打つてお手許に差上げてありますから、それによつて大体説明申上げたいと思います。  極く概略に申上げますが、資本金に対する状態でございますが、資本金は、御承知のように二十七年度におきまして政府から新らしく三十億頂きまして現在百億になつております。そのほかに昨年資金運用部、昔の預金部でございますか、これの金を二十億拜借いたして、それから今年度におきましてやはり二十億借受けができることになつておりますが、これはまだ借受けいたしておりません。それからほかに、庶民金庫時代からやつておりまする引揚者及び戰災者に対する貸付を、厚生省のお金を地方府県庁からお預かりいたしまして、これが約三十億という資金であります。先申上げました本年度の三十億の政府出資のほうは、まだ十五億しか頂いておりませんので、残りが十五億ございます。だから実際は百億でありますが、その中から十五億引きました八十五億、それから昨年の資金運用部の借りの二十億ということで事業をやつております。  事務所の数は現在四十カ所ありますが、二十七年度にあと十カ所こしらえまするので、現在準備いたしております。これは旭川、盛岡、宇都宮、甲府、岐阜、福井、奈良、徳島、東京二カ所という、こういう残りの十カ所を本年度中に作るつもりでございます。それから代理所の数は、現在、相互銀行信用金庫これを合しまして全国に二百四十カ所ございます。それでも地方の残りはできませんので、往々都市金融じやないか、都市中心金融じやないかというお叱りを受けまするので、現在着々とこの代理所も拡張いたしておりまするので、だんだん多くなつて参ると思います。人員は、そこに書いてあります通り現在の人員は千九十五人でございます。あと百九十七、八人残つておりますが、これは十カ所の新らしい支所を作りますので、それに割当てるつもりでまだ未採用の分が残つております。  それから業務の貸付状態でありますが、今までの申込の総数は大体二十七万六千件、申込の金額が四百億、それから貸出しの状態はどういうふうであるかと申しますると、貸出して回收して現在残つておるのが甲種と申しますか、五十万円以下の個人に貸付けるものが九万七千件、金額にいたしまして七十七億円ちよつとであります。それから乙種貸付と申しますのは、組合とか会社あたりを目標にいたしました貸付で、これは新らしく昨年の十二月から始めたものです。これは昨年までは御承知のように最高百万円の貸付でありましたが、最高二百万円まで認められることになりましたが、これを乙種貸付という大口の貸付を別にいたしまして、処理をいたしておるのであります。そうしないと大口の貸付のほうに傾きまして小口の貸付が疎かにされやしないかという観点から、別種にいたしまして貸付をいたしております。それが昨年の十二月に始まつて現在までは大体千七百二十三件、金額にいたしまして七億四千万円、五千万円をちよつと欠けるぐらいです。両方合計いたしまして件数が九万八千七百何件、金額にいたしまして八十四億何がし、これは二十六年度末の三月までの統計でありまして、統計がどうしても二カ月ぐらい遅れますので、三月で打切つておりますが、大体それ以後四、五と二月でありますが、一カ月に大体六、七千件貸付けまして、金額にいたしまして大体七億から八億、これは時期によりまして、月によりまして多少の増減がありますが、大体現在までに今お手許に書いてあります数字の上に二十七年度の四、五の分がそれだけ加わるということを御承知願えればよくわかると思います。それから一口当り貸出でありますが、これは二十四年の六月公庫始まりまして今年の三月までを見ますと、申込にいたしまして十五万六千円、それから貸出のほうを見ますと一件当りが直接貸の場合は十一万六千円、代理所のほうは大体六万幾ら、両方全部平均いたして見ますると、代理所と直接貸のを平均して見ますると九万八千円と、こういうことになつております。これは古い統計によりますと、個人では大体七、八万円であります。それから大きい全体貸付は二月頃になりますまで、百億の時代までは大体二十五、六万円が見当であります。個人の場合は七、八万、それから会社組合の場合は二十五、六万円乃至二十七、八万円、三十万円に欠けるわけです。一口当りの貸付は極く金額の少いものでありまして、無論この中には、一口当りの平均貸付額でありますので、大きい百万以上を越したものもありますが、これは極めて少うございまして、大体五、六十万から七、八十万、百万程度が特殊貸付の場合に多いように存じております。  それから貸付の業種別でありますが、これはこの印刷物に書いてありますが、工業が件数にして二七%、金額にして三五%、商業が五二%、金額にして四六%、その他、これは商業にも工業にも入りませず、サービス、これが件数で二一%、金額で一九%、それから用途別、これは運転資金と設備資金とに分けまして、運転資金のほうは件数にして七六%。こういう少額の金融でありますので、運転資金のほうは相当多いのでありまして、件数にして七六%、金額にしてやはり七六%、それから設備資金のほうは件数で二四%、金額で二四%、同じことであります。それから期間でありますが、これは六カ月から十二カ月、六カ月から一年までのが件数にいたしまして二九%、金額にいたしまして二十六%、それから一年半以上二年、これが件数にいたしまして四〇%、金額にいたしまして四四%でありますから、配分は一年半から二年までは多いということになつておるのであります。私どものほうは御承知のように月賦でありまして、甲種の小さい貸付の場合は、最長三年、大きい場合は二百万円まで貸せる、五年まで、いずれも長期の月賦でございます。それから貸付期間の最後のその他というのは、これは長期のと、六カ月以上のと、短期に手形なんかで貸す、それがその他、これは件数にいたしまして三一%、金額にいたしまして三〇%、こういうことになつております。それから申込に対してどのくらい一体貸付けられておるか、それを見ますると、昭和二十四年度では件数にいたしまして申込の二一%、金額にいたしまして一八%、これは資金の非常に少い時代でありまして、こういう悪い比率が出ております。それから二十五年度に参りまして、件数で申込の三〇%四、それから金額にして二五%、二十六年に参りまして、件数にいたしまして四五%、金額にいたしまして三三%というふうにだんだん申込に対する貸付の率は多くなつて参つておりますが、これは資金がだんだん潤沢になつて参つた証拠であります。それから延滞率でありますが、延滞率は二十六年の三月現在でありますが、それは件数にいたしまして一%、金額にいたしまして〇・九%だから両方とも大体一分ということで、殆んど延滯というものはないと申上げても差支えないと思います。貸付の業務の状態は一応さような状態でございます。  それから資金状態でありますが、資金は私のほうでは三カ月ごと三カ月ごと、第一四半期ごとに審議会におきまして、資金の運用を承認を得まして貸付をやつておりますが、第一四半期は大体三十七億円でございます。これは前期の繰越金と政府出資金か二十億ありまして、その資金源に充てます。これは総計三十七億というのを資金源にいたしまして、それで本年度に貸付けますのは、第一四半期の四、五、六に貸付けますのは、そのうち二十七億八千万円、残りの九億二千万円を次期繰越として残しております。それから第二四半期の七、八、九以後でございますが、これの大体前期の繰越金の今の九億を入れまして、それから政府出資金の残りの十億円を頂きまして、それから貸付金の回收、これは大体一カ月四、五億から五、六億でありますが、その回収金を入れまして大体第二四半期では三十六億という金ができるのであります。それから第三・四半期以後です。これはやはり繰越金と運用部の、元の預金部でございますが、資金運用部借入が二十億と、それから回收金を合しまして六十六億二千万円、これを資金源と合しますと、大体九十四億八千万円という資金源が出ます。これが二十七年度の、つまり来年の三月までの総資金であります。それが九十四億であります。これによつて一応貸付の運用をいたす。その運用も下に書いてありますが、大体第二四半期以後第二、第三、第四と合しまして九十三億になります。これはお金が、もう資金が、臨時国会なんかないといたしまして、これだけしか本年度は金がないといたしまして、一応計画を立てたのでありますが、一応方面を変えて見ますと、第二四半期以後の資金の申込が大体どのくらいあるかと申しますと四百三十億、これは過去の実績において計算したのでありますが、四百三十億、そのうち現在までは、先ほども申上げましたように大体三三%しか貸していない。件数にいたしまして四〇%か四五%で、我々が従来の経験によつて調査いたしたところを見ると、件数にいたしましては五〇%、金額にいたしましては大体四〇%ぐらいまでは貸しはしないかと思うのであります。これで申込の数字に換えて見ますると、大体百六十億というものは……百六十億以上の金の必要があるのであります。資金が九十四億しかありませんので、現在ではその九十三、四億で賄い得るような一応資金計画を立てております。これは資金さえ増して頂けばもう少し貸せると思います。それから申残したのでありますが、この九十四億の資金の中から、実は戰病死者の遺家族の公債を担保にしてどうしても金を出してくれということを言われましたので、この九十四億の中から十億を割かなければいかん、十億でも間に合わんかも知れん。そういたしますと、百六十億以上も要するのに八十四億しかないという状態になるのでありまして、このほかに新設支所が十カ所できますので、これに要する資金も十億ぐらい見なければいかんと思う。それから鳥取県の火災に現在では一億廻わしたのでありますが、これも一億では間に合わないので、いずれあと一、二億又鳥取県へくれということをたびたび申して参つております。これもあります。それから釧路の、北海道のこの間の震災と津浪でございます、これに大体現在五百万程度しか送つていない、これも相当の量を、一億程度増してくれということを盛んに申して参つております。果してできますかどうか非常に資金面ではむずかしくなつておけます。それからもう一つ、最近に起つて来ておる現象は、政府のこの間まで封鎖ざれた工場、機械設備を払い下げますので、この払下げの資金に要する金を、横浜とか、神戸とかいう工業都市、主として六大都市でありますが、これが恐らく二、三億の需要があるのじやないかと、かように考えますので、少くとも、どう少く見積りましても三、四十億乃至五、六十億の金が足りないのでございます。臨時国会で補正予算でも頂けるかどうか。併しこれは未確定の問題でありますので、我々としては、どうしても従来のある資金源の九十四億の中で一切を賄つて行かなければならんという状態が現状であります。資金が殖えますればもう少し広く、それから査定減少をしないで所要の金を十分にお廻わしすることができる、今は実は金が少いものですから、それをたくさんの人に成るべく均霑さすというので、心ならずも申込よりも査定減少いたしております。六掛とか半分とか七掛とかいうことにいたしておりますが、資金さえ廻れば、もう少し需要の額だけお貸しできる、かようにしたいと考えております。  以上簡單でありますが、国民金融公庫の貸付の、貸出の現状と、それから資金の上の現状を申上げたのでありますが、第三の中小企業金融対策でありますが、これは我々のほうの金融機関から見ますると、大体三つの方面から考えられると私は思います。それは金融を受ける中小企業者の主体の問題、つまり中小企業者の主体の問題でありますが、これがやはり受入態勢をはつきりするということ、これはもうたびたびこういう会合で繰返された問題でありますが、收支をはつきりして置くこと、記帳の問題であります。それから経営を合理化して行くという主体の問題があると思います。それが往々になされないで、金融機関へ申込まれるかたがありますが、金融機関としては、この主体の問題、バランスがはつきりしておるということ、経営が比較的合理化してうまく行つておるということ、これが一つの要件になるのではないか。この主体をどうするかということが一つの問題でありますし、又中小企業者としては受入態勢を十分整えるということが必要だと、かように考えるのであります。それから金融機関の制度でありますが、これは考えるのに、この中小企業者という階級は、露店業者から二百人までの使用人を使う相当な中企業の大きいところまであるのでありますが、バラエテイに富んだ各種の形態の企業が、各種の規模の企業があるのでありますが、私は中小企業金融機関としては信用金庫もいいし、相互銀行もいい、それから信用組合もいいし、それから極端に言えば質屋の金を使つてもいい、一カ月資金を廻して商売をして一カ月一割以上の利益があれば、質屋の一割の金を使つてでも引合う、こういうことになるのでありますから、各種の金融機関がたくさんあることが私はいいのではないかというように考えております。で、いろいろな金融機関が、成るべくいろいろな階層に向くような金融機関があることが必要だと、かように考えております。  それから最後は、私どもで申します中小企業者と金融機関の間へ入つて指導し、それから連絡する媒体、お仲人役をする機関が必要だ、これは信用保証協会の立法化であります。信用保証協会が現在ありますが、これは單独に立法化して、いい信用保証協会、この信用保険の制度、それから商工相談所、商工指導所、これが企業の今の経営指導とか、帳簿の指導、それから借受のときの指導というようなものをやつて頂けばいい、商工指導所の完備。それから最後に信用調査の問題でありますが、これはままあ信用組合信用金庫、それから商工中金、相互銀行あたりでは、第一、先ず入つて取引があつて組合員なつておるというかたにお貸しするのでありますが、私ども一言で、そういう預金も、取引もない、一言で飛込んで来るかたにお金を貸すので、信用調査に非常に手数と時間と、それから経費がかかるのであります。恐らく三百万円以下の貸付は、銀行あたりの形態でやれば引合わない、かように考えておりますが、幸い政府の機関でありますので、小さい少額の金融ができる。これほどに初めての一言のお客さんに金を貸すということはむずかしい仕事であります。同時に経費がかかる。信用調査に手数がかかるのであります。殆んどこれに忙殺されておるという有様であります。外国なんかでは、特にアメリカなんかではクレジツト、アソシエイシヨンというものがありまして、日本のような興信所、調査機関、営利機関でなく、半公の、いわゆる商工会議所あたりでやつておる、各地の商工会議所も商店会で信用調査機関をお作りになりまして、そうして我々のほうで、そこへ行けば或いは電話を掛ければ、大体それに所属しておる中小企業者の信用状態がわかるという制度になれば、大変手数も省けるし、時間的にも早くなるし、金融も便利じやないか、かように考えておるのであります。  それから今の資金需要状態は、銀行、その他の一般の金融機関のような六十日や九十日でなしに、一遍に返すのでなく、長期に月賦で払う長期資金が欲しいのであります。これは我々痛感しております。そうでありますので、我々のほうは初めから長期の比較的お役に立つておるといいますか、一般の要望に副うておりますのでありますが、非常に国民金融公庫は便利であるとかいうふうに言われておりますが、一方一月半から二月もかかるので時間がかかつてしようがない、長くかかつてかなわんというように言われておりまして、これも我々痛感しておりますが、せめて一週間か二週間でお貸付でもできるというようになれば大変結構だと思います。これは予算関係で、人手を私どものほうは予算に制約されておる、自由に人を増せないので困つておるのであります。これは代理商なんかでは、代理商へ定期積金をしておる組合員のかたが私の借金を申込んで、二日くらいで借りられたというようなことも、信用がわかつておりさえすれば、又人手が足りさえすればもう少し短縮できるのじやないか。この人手を殖やす資金を増すということを私どものほうとしては目下非常に望んでおる次第であります。  それから担保でありますが、担保は我々のほうも一応百万円以下は担保を取ることに原則としてきめておりますが、これは更地とか、人が住んでいない家であれば換金がすぐきくので担保力が十分あるのでありますが、御承知のようにいわゆる上物があるとか、それから人が住んでいるというようなことになると條件の問題、居住権の問題が非常にやかましくて、これを出てもらつて金に換えるまでには、担保権を執行するまでには非常に時間がかかりますので、実はそういうのは殆んど昔のような担保力にはならんので、ただ精神的にお借りになるかたを拘束する程度で、見返りの程度であります。なかなかこの中小企業者の担保の問題というものは、そういうふうに金融機関としてはむずかしい問題が存在しておるのではないかと考えております。  以上簡單でありますが、三つの項目について私の意見を申述べたのでありますが、何か御質問でもございましたらお答えいたします。一応これで話を打切つておきます。
  54. 境野清雄

    境野清雄君 質問の前に委員長にお願いしておきたいのですが、午前中通産次官を要求して午後に出て来られるのは、今日は無理はないと思うのですけれども、大体政府中小企業問題や何かに対して、一応私のほうから考えれば、次官なり大臣なりが出て来て然るべきだと思うのですが、今日は次官、何か用事があるなら午前中だから仕方がないと思うのですけれども、続いて中小企業の問題は又再度取上げるつもりでおりますから、そのときは一つ委員長のほうから次官なり、通産省の首脳部にもう少し真剣に出て来るようにお話願いたいと思うのです。一つお取計らい願いたいと思います。  それから国民金融公庫のかたへ御質問を申上げたいのですが、大体今国民金融公庫としての資金源お話を承わつて、承わるところによりますと、大体まあ約九十億ばかり不足しておる、それは鳥取なり釧路なり、或いはその他の問題を全部入れまして、やはり私の計算では九十億ばかり不足するというようなふうに考えてお聞きしたのですが、大体まあ十二月末を見ましても六千億ばかり出ておる金のうち、国民金融公庫は九十七億、約一・五%というような比率であり、それから併せて商工中金のほうを見ますと、これ又さつき豊田理事長からお話があつたのですが、二百十二億というのが大体十二月末の貸出で、これが大体三・四%、合せて、政府中小企業金融と銘行つておる中小企業專門金融機関が両者を合せて僅かに四・九%、言い換えれば五%に足りないということでは、我我としては到底中小企業のこの金融問題が解決するというようなふうには考えられないので、少くとも私どもから考えれば一〇%くらい、いわゆる商工中金とあなたのほうとを合せたもので六百億くらいのものは中小企業に廻らないことには、中小企業金融というものはその解決の緒にも付かないのじやないか。でき得れば相互銀行と同じように二〇%、まあ千三百億くらいのものは要ると思うのでありますけれども、それはともあれ、そういう形で私のほうとしては一〇%くらい欲しい、こういうふうに考えるのですが、そこで今副総裁から話のありました九十億不足しておるという問題は、現実のままの状態、言い換えれば申込に対しては大体幾らでしようか、件数で五〇%、金額で四〇%というものを目安にしたものが九十億ばかり不足しておるというお話か。或いは今私の申上げましたような中小企業金融というものを解決するのだという点に立てば、この何倍くらい要るのか、そういう点一つおわかりだつたらお知らせ願いたいと思います。
  55. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 今の数字は申込の三三%を四〇%にするとしての数字でございますので、それから完全にこれをやろうとすれば、これは今までの実績によつてその三三%、四〇%を彈き出したのですが、その実績というものが今までは圧縮して行つたが、これは金があれば、それから人が多くて早くすればもう少し来るのですけれども、この数字は将来の数字でわからないのです。もうむやみに申上げてもいけないので、私の申上げたいのは、過去の実績に四〇%をかけると百六十億が必要だということになるのです。
  56. 境野清雄

    境野清雄君 勿論過失の実績、今の副総裁の話の三三%とか何とかということは、私の考えでは窓口で処理した件数というものに対しての三三%であり、三五%であるので、窓口へ来るまでにもう突き返されちやうというものは、それは窓口へ来るものの倍くらいあるだろうと思う。ですからむしろ三三%というものは、まあこれは甚だ言い過ぎかも知れんが、国民金融公庫としての貸付状態がこういうようにいいのだぞという見せかけの数字であつて現実に見れば私は一七%なり一五%に落ちるのじやないかと、こういうように解釈するので、そういうような解釈から行きますと、今の九十億不足というものは、国民金融公庫の本来の使命を果すというためには、やはりこれの五倍くらい要るのじやないか、こういうふうに解釈するのですが、その辺は如何です。
  57. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) そのことなんです、それは金が少くてなかなかむずかしいから申込んでも駄目だろうといつたものが大分多いのです。それを予想して行きますと三倍になりますか、倍になりますか、恐らくもつと殖えるのじやないかと思います。的確な数字を申上げるといかんので、実績だけ言つたので、そういうふうに窓口ではねられたとか、それからどうせむずかしいのだから申込んでも駄目だろうというので、手控えになつておるかたが大分ある。それから現に兵庫県なんかでは、何億とまとまつた申込があるのです。これは受理してもとても捌けませんし、それから資金がない。これは五十億現在申込んでおるけれども受けておりません。そういうものがあります。
  58. 境野清雄

    境野清雄君 それからあなたのほうの現情を拜見しますと、大体各地に相当支所があるようですが、あなたのほうとして現在支所に対しての貸出の枠というようなもの、或いは栃木県というようなものは総体的に何億であり、そしてその支所の取扱は何十万円を超えてはいかんというような一応枠があるのかどうかということが一点、それから併せて同じように代理所であります相互銀行なり、信用金庫なんというもりに対しても、一応貸出の枠をお作りになつておるのかどうか、この二点をお伺いいたします。
  59. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 資金計画をやりますときに、先に申上げましたように、第一四半期ごとに今期は幾ら貸すということを審議会で決定いたしまして、それで貸付けるのでありまして、それで一応その一期間に貸付ける枠というものは自然にきまつて来るわけでございまして、それをどういう標準で分けるかと申しますと、銀行の貸付とか、それから信用金庫の貸付とか、それから相互銀行の貸付の各県の工合、それから各地の中小商工業者の数、それから生産高、取引高というようなものを基準にいたしまして、それから率を出しまして、その基準によつてその一定の一期間に貸出の枠がきまりますと、それを割当てておる、それがお話の第一点であります。それから第二点のほうは、代理所のほうへは昨年度までは資金が少かつたので、私どもの店で直接貸を中心にしてやりまして、大体二割五分から三割を代理所に廻わして、七割五分から七割を直接貸でやる。本年度からは直接貸の分量を減らしまして、一期間に貸出す枠がきまつて六割を直接貸にして、四割を代理所に貸す、こういうふうにやつております。
  60. 境野清雄

    境野清雄君 今の枠の設定をする基準というものは、四半期ごとに設定するわけなのですか。
  61. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) そうなんであります。
  62. 境野清雄

    境野清雄君 そういうような場合に、いわゆる産業の消長というようなもの、言い換えれば産業資金がその業種別によつて非常に必要な部面ができて来るというようなことを相当考慮に入れておるのでありますか。
  63. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 勘案いたしております。
  64. 境野清雄

    境野清雄君 それからもう一つは、地方において、支所なら支所というものの貸出の扱う限度というものはあるのでございますか。十万円までとか、或いは五十万円までとかいうような限度は……。
  65. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) これはその扱う代理店の何と言いますか、信用状態と言いますか、それから在庫力と申しまするか、信用力と申しますか、それを勘案いたして、それでその県内に割当てた額を按分しております。それから一口当りの額の限度は、総額はそういうふうにきめておりますし、一口当りの額は大体五十万円以下を扱わして、五十万円以上は代理所といわず、それから支所といわず一応本省に稟申させて、それで本省のほうで決定したら一応五十万円以上の貸付はできるということになつております。
  66. 境野清雄

    境野清雄君 今のお話ですが、五十万円と二百万円という設定を過般の法律改正でやつたと私は記憶しておるのですが、その最高限度である二百万円なり或いは五十万円なりという最高限度の貸付というものは今までに相当おやりになりましたか。
  67. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 最高限度は、百五十方円から二百万円までが三月までで五件でございます。
  68. 境野清雄

    境野清雄君 これは実際かどうかはよく知らん問題ですが、過般私が北陸へ廻りましたときに、国民金融公庫が金を貸す場合に、前の更生資金ですか、更生資金相当こげついているのが相当ある。それで更生資金の返済を背負つてもらわないことには新らしい貸出ができないぞということで、更生資金の穴のあいている部門だけを別途にその本人でない者から返済させて貸しておるということを新潟県で相当私は聞いたのですが、そういう問題は副総裁の耳には入つているかどうか。
  69. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 新潟県は更生資金の成績が一番悪い所なんです。それで普通資金従つてやることも一番遅れたのですね。これはあすこの連合会なんかが一番悪いので、回收率も悪いので、それで普通資金の貸付が遅れたのですが、そういうような更生資金をほかの人に背負わせるということは私はないと思うのですが、聞いておらんのですがね。ただ県や商工会議所のかたには、ここの更生資金の貸付の成績が悪いから、だから普通資金の貸付がなかなかに困難だということを私は特に申上げたのですが、第三者に背負わせるということは、私は恐らく新潟県ではないと思います。
  70. 境野清雄

    境野清雄君 その点は私ども調査に行つたときに現実に聞いておりますから、一つ再度お調べ願いたいと思います。それから先ほど副総裁からのお話で、大体借入金の受入態勢なり、企業の合理化というような問題、これは御尤もな問題でありまして、そういうような面からこれの仲介斡旋と申しますか、仲介運用というような面で信用保証協会の立法化を図るとか、或いはその相談所の維持育成を図るというようなことは、私は非常に結構なことだと思いますが、丁度中小企業庁からも見えておるようでありますが、こういう受入態勢なり或いは合理化なりというような問題に関して金の借入ができ得るようにこれの態勢を整えることに中小企業庁自体が何か考えておられるかどうか。こういう点が一点、もう一つには、これは現実問題として商工中金なり、或いは国民金融公庫、他のいわゆる不動産貸付をやる金融機関というものは、確かに信用調査というものに一番手間取つておる。信用調査を手間取るがために、折角有難がる金を要らなくなつた時分に貸付けるという状態にもなつておる。各方面で相当この時間の問題がかかつておるということは、これは現実の問題になつているのですが、こういう信用調査というものに関して、従来工場診断なり何なり中小企業庁はやつておるのですか、むしろ私はこういう信用調査というものは、これは零細企業についてはなかなかできないと思うのでありますけれども中小企業庁自体が従来の工場診断なり、何かやつたものを対象にして金融機関からの金の借入が楽にできた例が相当あるのかないのか。この二つの点について一つ中小企業庁のほうにお伺いしたいと思います。
  71. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 第一点の中小企業庁側の受入態勢という面の指導といたしましては、先ほど国民金融公庫の副総裁からお話もありましたように、先ず帳簿関係の整備という点が第一歩となるわけでございます。これにつきましては、昭和二十四年でありますか、簡易経理制度の普及という趣旨によりまして、中小企業者向けの簡易な帳簿組織というものにつきまして実施要領を作りまして、これを都道府県各会議所等を通じまして周知徹底を図つております。基本的な簿記要領のほかに、各業種に即応しまして業種別の簿記要領まで作つて普及をいたしております。第二の診断等と金融との関係でありますが、誠にお説の通りでありまして、單に診断をやりつ放しでは、あと診断を受けた工場の経営改善、技術の向上という点についても力が足りませんので、診断後の工場の指導育成を図りたい。残念ながら今までのところ、診断後までなかなか手が延びておりませんが、この際特に金融機関を中心にいたしまして、診断後の指導の徹底を図りたいと考えて只今案をいろいろ考えておるわけでございます。何分にもそういう法規的な権限がございませんので、金融機関等の理解のある協力を必要とするわけでありますが、大体各府県庁にそういう趣旨で診断後の指導を図るような何か機構を作りたいと考えておるわけでございます。工場診断によつて金融の面で相当効果を挙げた事例はここで個々の事例を申上げる資料はございませんが、相当に効果が挙つたというふうに聞いております。
  72. 境野清雄

    境野清雄君 これはどうも副総裁に直接お聞きするのは甚だあれと思うんですが、従来私は副総裁の持論としては、中小企業金融というものは、少額のほうがよろしいという持論であつたやに私は拜聽をしておるのであります。従来は大体平均が七万二千円、今日では九万何千円というふうに上つて来ておるようですが、国民金融公庫本来の性格として、今後とも大口貸付に進んで行くほうが是と思われるのか。或いは従来のような七万円ぐらいのものでありまして、まあ一応中小企業という対象を持ちながら商工中金というものが三百万乃至四百万というようなものを持つておるということには、これは相当今後の中小企業金融の対策として根本問題があるんではないかと、こういうように考えておるんですが、今の国民金融公庫の今後のあり方というものについて、一人当りの金額を増すということに対して副総裁どうお考えか。一つこの機会に承わりたいと思います。
  73. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) これはいろいろ差障りがございますが、私のほうは大体長期の月賦でやつておるので、ほかの金融機関さんができないところを一応狙つてつておるのであります。たた一口当りの限度の引上げをやりますと、ほかの金融機関との摩擦があるように一応ほかの金融機関でお考えになりますので、私のほう自身といたしましては、欠陷が確かにあるのですから、金額をもう少し大きくしてやりたいという考えはあるんですけれども、それを表面から主張するということは、どうも私たちからは一つ御遠慮を申上げたいと思うのでございます。
  74. 中川以良

    中川以良君 さつきのお話国民金融公庫利用するのはいわゆる零細なる事業に携つておる者が多いのでありますが、信用調査に非常に手間取る、二月も三月もかかるというようなことが往々にあるようでありますが、殊に季節的なものを扱つておるところは何にもならんことになる。時期的に直ちに迅速に行かないという点が、私は金融公庫が零細なる企業者に対する思いやりの点が十分に行かない、それが一番の欠陷ではないかと思うのですが、一体平均どのくらいかかるのですか、一件について。
  75. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 平均いたしますと、短いところもあります。長いところもあります。それから一週間でも信用がわかつておればできると思うのです。これは信用の問題でございます。普通まあ平均すれば一カ月半かかつておりはせんかと思います。長いのは三カ月かかつておるところもあるのですが、平均いたしまして大体一カ月半かかつているのではないかと思います。私のほうといたしましては、今中川委員の申されましたように、時期を失しては折角きまつたけれども効果が半減される場合がある。成るべく早くお貸ししたいのは我々としては本旨なんですけれども、一日で一人で大体二件か三件しか調査できない。ところが申込は東京で大体百件から百二、三十件あると見ております。で、調査員が三十人おるといたしましても六十件です。そうすると半分は残るということであります。ですからもう少し調査員を増せばもう少し早くなるのではないかと考えておるんですが、予算で人を増すということもなかなか認めてくれません。それでも初めの五百人の時分から比べれば千二百人ばかりになつたんですから、大体倍加しておるんですけれども、私のほうでは急速に人が欲しい、やはり超過勤務をやるので病人が非常に多く出ておりますので……。
  76. 中川以良

    中川以良君 それは調査を直接おやりになるんですか。何か代行機関を利用されるというようなことで敏速な而も経済的な方法というものはないのですか。
  77. 井關孝雄

    参考人井關孝雄君) 東京ではいかんでしようけれども地方なんかでは商工会議所さんあたりに信用調査をやつて頂いて、大体代行してやつて見ておるんです。その代りに支払の責任を持つというような方法もやつておるんですけれども、東京ではなかなかむずかしいのではないか。よほど商工会議所あたりと……やはりしつかりしないと係の人なんかが代つたりなんかすると又あとの回收なんかもごたつきますし、東京では人を増す以外に方法はないんじやないかと思います。
  78. 境野清雄

    境野清雄君 先ほど仲介的な立場から信用保証協会の立法化というお話があつたんで、これも尤もなことだと思うんですけれど、大体信用保証協会というやつは、民法上の公益法人ですから、事業者団体法との関連性は相当あるだろうと、私なんか聞くところによると中小企業庁として信用保証協会法ですか、何とかいうような考え方で考えておられるというようなことを聞いておりますが、中小企業庁はそういうようなものを研究しておるわけですか。
  79. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 中小企業庁におきましても信用保証協会のほうでそういう点について研究いたしておりますが、この立法化につきましては大蔵省で案を作りまして、その準備を進めておるというふうに聞いております。中小企業庁としては提案することにはならないと思います。
  80. 境野清雄

    境野清雄君 そういうものが立法化されるという場面も大蔵省から大蔵委員会に廻つてもいいのですが、大体従来の懸案になつておる政府再保險の五〇%というものを我々は九〇%まで引上げてくれということを再度謳つてつたのでありますが、そういう点に対して中小企業庁自体は今の信用保証協会の政府への再保險率が五〇%というものが相当効果があるということに考えておられるのですか。相当これが、ないのよりは五〇%でもいいと思いますが、これを七〇%なり八〇%に引上げるということについて大蔵省に折衝をしておられるのかどうか、その点を先ず承わりたいと思います。
  81. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 信用保証協会に対する国の保険の率でございますが、当初来七五%ということを大蔵省に申入れておりましたが、それはもう五〇%にきまつたというような経緯もあります。中小企業庁としては引続きこの保険率の引上げということについては大蔵省に対して折衝いたしております。
  82. 松本昇

    委員長松本昇君) ちよつとこの際皆さんにお諮りいたしますが、時間の関係がございますので、この国民金融公庫副総裁に対する御質問はこの辺のところで一応ほかのかたがたの御意見を伺つて、然る後に時間がありますれば承わることにします。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 松本昇

    委員長松本昇君) それでは本日皆さん参考人として御出席頂きまして大変時間が延びましてお待たせして誠に申訳なかつたのですが、これから一つよろしくお願いいたします。時間が余りありませんので、せいぜいお一人十分くらいの程度で極く簡單に要点だけ一つお話頂きたいと思います。そして然る後に質疑に移りたいと思います。それでは最初に大生相互銀行常務の大口さんにお願いいたします。
  84. 大口勝道

    参考人(大口勝道君) 一応それでは全国の数字を申上げます。只今相互銀行並びに無盡会社といたしましては預金、最近は相互掛金と申しておりますが、これと無盡と一緒にいたしまして、いわゆる預金に該当する資金量でありますがこれが只今のところ約千五百億ございます。これに対する貸付が無盡の方法或いは相互掛金契約の方法による給付金並びにこの貸付金、この合計が千四百三十億ございます。こういつた状況でございます。大体資金繰りと申しましても、私のほうは掛金乃至預金で頂戴したその範囲で賄つておるのでございます。  貸出状況について見ますと、昨年の一月から十二月までの一カ年の貸出先並びにその金額でございますが、貸出件数にいたしますというと百四十三万八千件ございます。昨年一カ年の件数でございます。金額にいたしまして千百八十七億ございます。このうち業種別に見ますと、一般の製造業に二三%でございまするか、農業、林業等に三・五%、漁業に一・五%、このパーセントの多いのは卸売及び小売業に三九・八%、約四〇%でございます。そのほか大きいのではサービス業に一六%余となつております。大体そんな状況でございます。私のほうの大生相互銀行といたしましては昨年の十月からこの三月までの実際を見ますと、掛金乃至預金等で受入れましたのが約四十億円でございます。預金等の払出がそのうち百六十億ございまして、貸付給付等に六カ月間で約三十億出しております。大体一カ月約五億平均程度でございます。業種別に見ますというと、この三月末におきまして、件数にして約二万件でございますが、大きなものだけ申上げますと、製造業が三一%、卸売業及び小売業が三三%、サービス業が二〇%その他でございます。それから金額別に申しますと、これはやはり三月末でございますが、金額にいたしまして二十三億二千四百万円ほどこの三月末ございます。このうち五万円未満が件数にいたしまして約四〇%でございます。五万円以上十万円未満が二七%、十万円以上三十万円未満が二六・六%、その三十万円未満が大体全件数の九三%を占めております。あとの七%が三十万円以上の貸付でございます。金額別に見ましても大体三十万円未満が五七%ということであります。これは東京の平均でございまして、これは大生相互銀行は群馬県と埼玉県と東京で営業しておりますが、東京の実情を申しますと、大体昨年の十月から本年の三月までに件数にしまして約二千件ほどございます。その金額が五億でございます。この平均の一口当りは大体二十四、五万円程度でございます。それからこの三月末に政府の余裕資金の預託を受けましたのですが、この貸付状況を申上げますと、私どもは五千万円頂戴いたしました。これは全額でありますが、大体件数にして二百三十件でございます。業種別に申しましてやはり製造業、件数にいたしましては五五%、卸売業及び小売業が二八%、あとその他でございますが、金額別に申上げますと、これは五万円以上十万円未満が件数にいたしまして全体の八%、十万円以上三十万円未満で七九%件数にして出しております。それ以上が二一%でございますが、一件当りの平均にいたしますというと、大体十万円から三十万円未満が一番多うございまして、一件当りが十二万程度なつております。大体そういつた状況でございます。
  85. 松本昇

    委員長松本昇君) 有難うございました。  それでは太洋相互銀行專務の提さんにお願いいたします。
  86. 堤歴治

    参考人(堤歴治君) 最近の資金繰状況につきまして大略御説明申上げますが、これは最近と申しましても、昨年の十月一日から本年の三月三十一日まで、丁度先期のこれは実績について申上げるわけであります。二十六年九月末の手許に持つておりますところの資金が一億一千四百万でございます。詳しいことは差上げてある資料に書いてございますので、大体だけ申上げますが、一億一千四百万でございまして、そのうちこの六カ月間に掛金として徴收いたしました金額が四億六千一百万でございます。それから預金といたしまして純増加いたしましたものが一億三千七百万、そのうちすでに貸付けた金額を回收いたしましたものが二億二千でございます。合せてこれらの合計が約九億三千四百万になつておりまして、これが運用資金に当るわけでございます。この九億三千四百万のうちでこの六カ月間に実際貸出放出いたしました額は七億九千九百万、約八億でございます。それで只今二十七年三月末に手許に保有しております資金が一億三千四百万、こういう数字になりますが、三月末現在におきまする支払準備といたしまして定期性預金が六千四百万、要求払に対するその支払準備といたしまして一千七百万、合せまして約八千二百万をこのうち含んでいるわけでございます。最近の資金繰状況は大略只今申上げたような次第であります。  次に貸出状況につきまして御説明申上げますが、業種別新規貸出調、これは只今申上げましたように、期間はやはり十月一日から三月三十一日までの六カ月間の実績でございます。さつき説明申上げました約八億円のうちのこれを業種別に分けましたのが以下申上げる数字でございますが、大略申上げます。  この業種別が非常に数が多うございまして、先ず製造業、その中にいろいろな面の製造業が含まれておりまして、一括して製造業ということで申上げますが、その中には食料品の製造もありますれば、繊維品の製造もございますが、製造業を一括して申上げますると、貸出先の数が千五百五九件ございます。それからすでに貸出しました金額が二億一千三百万、これは一件当り平均額が十三万六千となつております。それからそのうち設備資金運転資金と手形の割引とこの三つに分けてございますが、そのうちの設備資金には二千万、それから運転資金には一億五千八百万、それから手形割引には三千四百万、こういう内訳になります。次に農業でございます。農業は貸出件数が四百七十八件、それからその金額が二千六百万、これを一件当り平均いたしますと五万四千、それから設備資金に流しましたものが八百六十万、運転資金が約千七百万でありまして、割引手形が四十九万でございます。  その次が林業関係でございます。これは比較的少うございまして、貸出の件数は八件、これに貸付いたしましたのが百五十六万、一件当り平均が十九万五千、これは設備資金はございませんで、運転資金だけでございまして、百四十六万、別に割引手形がこれは十万ほどございます。  次は漁業、水産関係でございます。これは件数が百三十一件、金額が九百五十一万六千、一件当り平均が七万三千、設備資金が百五十六万、運転資金が七百八十九万六千、手形の割引が六万、これは少数でございます。  それから鉱業方面、これが十三件、金額にいたしまして、百三十九万、一件当り平均額が十万七千、設備資金がそのうち十万、運転資金が七十一万、割引手形が五十八万、こういう内訳でございます。それからあとまだ大分細かいのがございますが、資料を差上げてございますから省略いたしてよろしうございますか。
  87. 松本昇

    委員長松本昇君) 大きいところだけお願いします。
  88. 堤歴治

    参考人(堤歴治君) それにつきましてそのうちの比較的大きいものが、卸売業及び小売業というのが件数で二千六百四十五件でございまして、二億二千八百万の貸付がございます。これは一件当りが八万七千、こういう数字でございます。あとは表で御覧になつて頂きまして、次に地域別による業種貸出状況というものは、只今のは大都市も、中小都市も、町村も全部一括した見方でございましたが、更に大都市、これは東京と横浜、中小都市は普通の市でございますが、その他町村と三つに分けまして、やはり今のように業態別に見たものがございますが、これは今のように、細かくなりまして、長くなりますから、表で御覧になつて頂いて省略さして頂きます。  次にこれは金額別でございます。金額別にいたしまして五万円未満というのが貸出件数が三千百六十二、金額にいたしまして五千九百万、一件当りが一万九千、ちよつと二万未満でございます。五万円以上十万円未満というのが件数が千八百八十三件、貸出金額が一億六百万でございます。これは一件当り五万六千、十万円以上三十万円未満というのが二千二百二十件、二億九千六百万、一件当りが十三万三千円、三十万円以上五十万円未満が二百九十二件、九千六百万、一件当りが三十三万、五十万円以上というのが、この中には單に五十万円以上といたしまして、勿論百万円以上のものもこの中に含んでおりますが、二百四十四件、二億四千一百万、一件当りが九十九万、こういうことになります。  それから更に地域別にこれを見たものがございますが、大都市、中都市、並びに町村と、この三つに内容を分けまして、今のように五万円未満、五万円以上十万円未満、十万円以上三十万円未満、三十万円以上五十万円未満、五十万円以上というようにいたしたのでございますが、すべて表にございますので省略させて頂きます。  次に政府の預託金の業種別でございますが、私ども二千万円預託を受けております。そのうち製造業が件数にいたしまして二十九件、金額にいたしまして七百九十三万、これはすべて運転資金でございます。農業方面が一件ございましてこれが五十万、これも全額が運転資金でございます。次が漁業及び水産業、そういう方面の件数が一件、金額にいたしまして二十万、すべて運転資金、それから建設業が一件ございまして金額は三十万、これも全部運転資金でございます。次が卸売業及び小売業が五十一件ございまして金額は八百三十五万一千、これも全額運転資金でございます。次が運輸通信及びその他の公益事業の方面が二件ございまして金額にいたしまして八十五万七千、これが全部運転資金でございます。それからサービス業が八件ございまして金額は百六十八万、このうち設備資金へ五十万、運転資金へ百十八万、その他が一件ございまして金額が十二万、全部これは運転資金でございます。政府預託金の二千万はこういう方面に投資いたしました。合計設備資金が五十万、運転資金が千九百五十万、これはパーセンテージはこれには出して参りませんでしたが、すべて件数と金額で現わして参りました。  それから参考までに次に申上げたいことは、貸付申込と貸付の実績との比較でございます。これはすべて一番最後の表についております。そのうちの例えば製造業について申上げますと、申込が三千五十三件でございまして、金額にいたしまして三億八千五百万申込がありました。そのうち実際に貸出いたしましたのが件数で千五百五十九件、金額にいたしまして二億一千三百万、そのパーセンテージは、申込に対しまして実際に貸付いたしました割合は、件数は五一%でございまして、金額が五十五%、これはすべて以下農業或いは林業方面というふうに業種別に申込と実績の割当表がございますが、これも合計いたしますと、申込と実績との割合は、件数におきまして五九%、金額におきまして六一%、大体六〇%のものしか満足できない。あとの四〇%のものは、我々のこの資金を以てしては到底満足をさせられないといつたような現状でございます。
  89. 松本昇

    委員長松本昇君) それでは相互銀行に関連しての御質問がございましたら一つお願いいたします。
  90. 境野清雄

    境野清雄君 時間がないから、私は相互銀行さんにいろいろ詳しい質問をしたいと思つたのですけれども、時間がありませんから要点だけ質問さして頂きます。大体今拜見しまして、この間の政府から出した五十億の中の二十七億ですが、二十七億の政府資金の貸付状況というものは、私たちは心配しておつたほどでなく、中小企業專門にやられておるので、非常に私は結果はよかつたと思うのでありますが、大体従来から見ましても、相互銀行というものが中小企業に占めるこの貸出率というものは非常にパーセンテージが多いので、私どもとしては従来の無盡、最近の相互銀行というものに対しては、中小企業金融という面では非常に期待をしておるのです。例えば十二月末あたりを見ましても、総体六千億のものに対して千三百億以上ということで、総体の二一%からを相互銀行さんが占めておる。こういうような状態でありますが、たまたま昨年法律改正によりまして無盡会社が相互銀行なつた。これは非常に結構なことですけれども、どうも私はその後の相互銀行行き方というものに一抹の不安を感じておるのでありまして、言い換えればこれは純然たる金融機関になりまして、大体やがては地方銀行と競合いをする状態になりはしないか、そういうようなことになると私どもが従来から希望しておつた庶民金融機関としての本来の使命を全うでき得ないのじやないかというような点に私ども相当の心配をしておつたのですが、今の貸付状況というものを二行だけですが拜見して非常に私は結構じやないかと、こういうふうに思つておるのでありますが、大体資金源というようなものに対して政府預託金なり何なりに対してあなたがたのほうの希望がどんなようなものがあるのか、むしろ今の従来やつておりました経過報告よりも、新らしく相互銀行とならんましたがために資金源というものをどういうふうにしなくちやならんか、そういうような希望があつたら是非お聞きしたい。言い換えれば従来の形が一歩前進しまして、そうして相互銀行になられたというようなことは、これは企業の合理化もやらなくちやならん、経営の合理化もやらなくちやならんと思いますし、資金コスト自体も相当低いものも欲しいでしよう。職員の養成や何かも相当やらなくちやならんということで、内容を整備するというような問題も相当考えられるというような面から行きましても、従来の無盡組織でやつてつた時代とは相当つて来るので、資金源というものが問題になるのじやないか。一つの例を私から申上げてこれも御意見を承わりたいのですが、御承知通り全国の五大都市や六大都市に例の中小企業の特別店舗というようなものが設けてある。こういうようなものが、御承知通り十一大銀行からこういうようなものを設けまして、そうして中小企業金融対策に相当骨を折つておるような話でありますし、このもの自体を見ますと十一月か十二月ははつきりわかりませんが、預金残高が二百四十億というようなものであるにもかかわらず、貸出は九十何億、いずれも四〇%下廻つておる、三八%台でいたのが今の中小企業の六十四か六十五あります特別店舗の状況である、こういうような状況であることは、逆に見まするなら、残つた六〇%なり六一・二%というものが大企業に廻つてしまつておる、或いは本店に廻されておるというようなことで、私どもは逆に見れば羊頭を掲げて狗肉を売るような形が今日の中小企業の特別店舗じやないかというふうにまで考えておるので、こういうような特別店舗というものとあなたがたが相互銀行として本格的な銀行業というふうにやつてつたときに、そういうものに対する何か摩擦と言うか、希望條件というものがあるのかないのか、そういうような点について一つ忌憚のない御意見を承わりたい。  第一の問題としましては資金源に対してどういうような希望を持つておられるか。第二は今一つの例でありますけれども、ああいうような中小企業の特別店舗というようなものとあなたがたの銀行との関連性に何かそのお考えの点があるかどうか、この二点について大生の大口さんでも、太洋の堤さんでも結構ですが、一つ意見を承わりたいと思います。
  91. 大口勝道

    参考人(大口勝道君) 大生から申上げます。只今資金源お話がございましたのですが、資金源につきましては私ども従来は無盡会社時代のこれも預金を扱つておりまして、これは終戰後に預金が認められまして、そう大したまだ無盡会社という名称で一般の皆さんが無盡会社が預金を扱うということを御存知なかつた点が多うございまして大部分の無盡会社自体といたしましては掛金によつて資金源を賄つております。相互銀行になりましてから殖えつつありますが、まだその絶対数は僅かでございます。預金といたしまして四百四十億でございますか、その程度でございます。掛金のほうは約千億でございます。そういうあれでございます。私どもはもつと積極的にこの預金について努力をいたさなくちやならんのでありまして、殊に私は今東京で以てやつておりますところの日掛によつて預金を集めるように積極的にやつております。これは前の例でございますが、この資金源につきましても無盡会社、相互銀行になりましても同様でありますが、大体この貸付が設備資金と申しますか長期に亘るものでございまして、預金で集めた資金をそう長期に廻し得ないのであります。これは前に終戰後一回政府から預金部の資金を預託を受けたことがございます。只今政府資金は延長はされましたが、そういつた期間の短いものでは安心して皆さんの御要求なさるような期間では貸付ができないという憾みがあるのでございます。或る程度貸付期間を長期にして頂きたい。それからこの預金部資金をもつと私ども活用さして頂いたらば中小金融に貢献するものも相当あるのじやないかと思つております。  それから先ほどの私どもの例で申上げましたが、大体私どものほうのこの件数にしまして一〇〇%といたしますというと五万円以下が四〇%、それから五万円から十万円までが二七%、十万円から三十万円までが約二七%、九三%を件数において計数値を占めておるのであります。これはちよつと非常に細かい金融でありまして手数がかかるのでありますが、できるだけ先ほどお話がございましたが、経営の合理化を図つて金利を安くやりたいというあれはあります。むしろこの細かい金融、相互銀行につきましては、多少金利を高く認めて頂きたいという希望があります。それから私の東京の経験におきましては他の金融機関と競合うということはありませんです。たまたま同業の日本相互とか常盤相互とかかち合うことがありますが、目につくことはありませんです。それからそういつたあれでございますから、私どももできるだけの努力は払いますが、この預金部資金みたような一般国民大衆の金を是非私どもに或る程度扱わさして頂きたいと思つております。それからこれは余談になりますが、この議案でありますが、大蔵大臣が担保その地中小企業の問題としてありますが、私どもの実例で申上げますとこれは東京における実例でありますが、全国的に申しましても恐らく信用でできておるのが六割と思つております。東京における私のほうでは大体信用が八割を超えておると思います。担保というものは殆んどよほど大額でないと頂戴いたさない、そういうわけでございます。
  92. 松本昇

    委員長松本昇君) それでは次には信用金庫の專務理事の渡邊さんにお願いいたします。
  93. 渡邊八右衞門

    参考人(渡邊八右衞門君) 準備が整いませんものですから、余り明快に御説明ができないと思いますのでありますが、御存じのように信用金庫は他の金融機関と非常に性格を異にしておりますので、この時代の資金繰の状況とか、その他の点につきましても多少違つた点もございますからそれを申上げます。  先ず第一の最近の資金繰の状況という問題が出ております。信用金庫はこちらに見えておられます信用協同組合と根本は同じでございまして、協同組織でありますので、建前から本当は資金は幾らあつても足りないのでありますけれども、会員という組織によりまして、或を程度セーブをしておりますので、どうやら賄つておる状態であります。殊にこの配付いたしましたバランスなど御覧下さいますと預金の七〇%ぐらいしか全国的に貸しておりませんので楽じやないかというお考えのかたもあるかも知れませんけれども、これは決して金が余つておるのではなく、大蔵省の定めました経理基準によりまして、支払準備の確保ということは金融機関として第一條件になつておりますために、三〇%程度の支払準備をせざるを得ないということが一つの枠であります。それとたとえ政府のほうでそういう資金の枠を作りませんでも、信用協同組合信用金庫といたしましては、自衛上その存立を完うしなければ使命を果すことができませんので、どうしてもその程度の支払準備を必要としておるわけでありまして、貸出のパーセントが七〇%であるということは、決して私どもが貸し澁つておるというふうにお考えにならないように願いたいと思います。その理由は信用組合信用金庫は、日本銀行と直結しておる他の銀行と違いまして、支払準備というものは常に自分自身で確保していなければならん、銀行のようにオーバー・ローンということは絶対あり得ないのでありまして、そこに資金が苦しいながらも無理にそれだけ保有しておるということをお認め願いたいと思います。それから最近どうかということでございますが、この最近の経済情勢にやはりよりまして、昨年の暮あたりから見ますると、やはり会員の資金貸出の要求はその当時より、緩慢にはなつておる。併しながら中小企業は常に金に悩んでおりますから決して金が要らないという状態ではない。ただ昨年の暮頃よりは最近はややいいと、こういう程度でございます。  それから貸出の状況でございますが、これはお手許に配付いたしました一枚のほうが信用金庫業種別新規貸出でございまして、これは二月中の全国の信用金庫の合計でございまして、一カ月間の貸出の総額が百五十三億円でありますが、そのうち製造業のほうが三三%程度なつております。それから商業、卸売業、小売業のほうが四七%であります。その他のものが残りのものを使つております。こういう状況でございまして、私どもの芝信用金庫のほうのこれは一カ月ではなく三月末の残高でございますが、そのパーセンテージもやはり全国のパーセンテージと殆んど同じく、製造業のほうに三五%、商業のほうに四六%、そのようになつております。それから金額別の調べを出せということでございまして、私どものほうも調べましたのでありますが、私どもの芝信用金庫では貸出を受けておりますのが、三月末現在において二千三百五人であります。その内訳は、五万円以下の貸出を受けているのが六百六十七人であります。それから五万円から十万円未満、それが三百六十八人、十万円から三十万円未満のものは六百二十一人、三十万円から五十万円未満のものが二百四十二人、こういう状況でありまして、五十万円から百万円未満は二百七人であります。それから百万円から三百万円未満のものが百五十六人と、こういうふうになつておりまして、仮に三百万円未満の合計を調べますと、人員が二千二百六十一人でありまして、その貸出は六億九百四十三万円でありまして、この二千二百六十一人の、その金額を人数で割りますと、一人当りが二十六万九千円ということになつております。全体の貸出人員二千三百五人で総額を割りますと、大体一人三十八万円、一人の会員が三十八万円借りておるという状態でございますが、これは私どものほうは会員制度でございますので、一人が幾日も借りておりましてもこれは合計いたしましたのでありますが、実際の取扱件数は約この倍でございまして、四千五百口座ぐらいの貸出が出ておりまして、一口平均が二十万円ぐらいの貸出と、こういうふうになつております。全国の信用金庫を平均いたしますると、大体一口十万円程度なつているように思つております。今統計を持つておりませんですが、私のほうは東京の真中でございますので、やや全国よりは一口当りは大きくなつております。それから下のほうに会員外と書いてございますが、これは金庫法によりまして、会員外に対しましてはその人の預金を担保とするものに限つて貸出ができますので、これは会員外で預金をしているかたが使つておりまする金額でございます。勿論その金額は上の合計金額の中に含まれておるわけであります。それから貸出に対する要求と、それに対して貸せる状況でございますが、私どものほうは最初に申上げましたように、会員制でございますので、入つていない者が飛び込んで来てすぐお金を借りるということはできませんので、そういう関係で割合に何とか凌いでおるわけであります。暫らくの間会員として、又預金者としてお取引をなさつて、このかたは信用できる、このかたの事業がよいということを確認しましてから初めて御融通するようになつておりますので、まあどうやら健全経営を保つておるわけであります。従いまして御融通の申込みにいらつしやるかたは大体その金庫の趣旨を了解されておりますので、余り入りてすぐ無理な金を貸せというかたは少いのでありますが、万一そういうかたがありました場合には、よく金庫の性質を話しましてお帰り願うわけであります。そういうかたは貸出の申込書を受付けないで済んでおりますので、大体申込書として受付をいたしましたものは殆んど御融通をすることができるのであります。但しそのかたの希望通りの金額というわけには参りませんので、五十万円借りたいというかたがありましても、こちらで審査をいたしまして、三十万円で我慢して頂くというようなことはございますが、人数とすれば、会員として取引しておるかたは幾分かは御希望に副えるという状態で、ただ減額する場合がある、こういうことでございます。  その次に第三の問題でございますが、先ず資金のソースでありますが、これは私どものほうといたしましては、共同組織でございますから、お互いに会員の啓蒙運動を絶えず行いまして、お互い自身の力によつてお互いの金融改善しなければならない。單に政府資金などに頼るということはこれは第二の問題である。自分自身の力でやることが第一である。お互いに自分らのために面倒を見ないところの大企業本位の銀行などへ親の代から預けているけれども、自分が必要なときに、五万や十万の金を必要なときに借りられないというようなことはいけないじやないかというような啓蒙はいたしておりますが、これは私どものほうで言いませんでも、実際町のかたがそういう苦い経験を絶えず嘗めておりまして、自然に信用金庫のほうへ変つて来るというのが実情でございまして、それが昨年度のこの貯蓄増強の成績において、信用金庫がパーセンテージにおいては一番よかつたということに現われているのじやないかと思うのであります。併しながらこれはただ相対的な問題でありまして、金額という点に行きました絶対額におきましては、非常にまだ私どもとしては不満なのでありまして、これから長い間会員として入つてくれて、よく協力してくれたかたには貸せるのでありますけれども、今まで信用組合の運動、信用金庫の運動が私どもの力が足りないために認識しておらなかつたかたが、だんだん銀行で借りられないので信用金庫のほうに変つていらつしやる。そのときに最初に面倒を見て上げられないということが私どもとしては誠に遺憾なのでありまして、そういう点から行きますると、やはり今相互銀行のかたが言われましたように、政府資金、郵便貯金とか或いは税金、そうようような資金はお互い国民大衆の醵出したものでありますから、そういうものが大衆のほうに還元する途を開きくという意味におきまして、相互銀行さんも十分活動していらつしやいます、私どもといたしましても信用金庫又信用協同組合、皆一生懸命やつているわけでありまするから、そういう方面に預託金などは優先的に多量にお流し下さいますことが、この中小企業金融対策としては一番よろしいのじやないか。誠に私どもの手前味噌のようでございますけれども、これは自分が、信用金庫は殊に商売ではありませんので、大衆の共同組織でありますから、大衆自身のお互いの金融を緩和するそのためには、自分自身がお互いに預金をしないで、そのお金は絶えず信用金庫に持つて来る。友人にもそれを説いて、これは預金とは違うのだから自分のほうに預けて下さいといつて資金を吸收する。自分自身で経済再建に盡くすということは勿論でありますけれども、今申上げたようにまだ趣旨がわかつていない、やつと今わかつた、これから協力するから面倒見てもらいたい、そういうかたのほうに廻りませんので、そういう意味において、政府資金どももつと多量に出して頂けば誠に有難いのであります。信用金庫の役職員は一層奮闘申上げたいというふうに考えております。  それから現在資金の預託を受けておりますのは百余りの金庫でございますが、私どもといたしましては比較的大きい金庫でありまして、現在二千万円の預託を受けておりますけれども、この信用金庫運動というものは個々の商売ではありません。一つの国民大衆的な組織的な運動でなければなりませんので、是非とも信用金庫に対して隈なく預託されることが最もこの中小企業対策としてよろしいのではないか。その額はその金庫の実力に応じまして如何ようでも結構でありますけれども、全体の金庫に出して頂いて、全体の金庫がよくなることがよろしいというふうに考えております。なお信用協同組合のほうには行つていないようでございますけれども、信用協同組合は次の金融制度になりますが、私どもといたしましては一つ幹で出ました信用金庫と信用協同組合というものが、二つあるということは、これは誠に面白くないと思うのでありまして、同じ地域、地縁的な組織でありますところの地域的な信用協同組合は、すべからく全部信用金庫なつて頂いて、相共に携えでそうして中小企業に御奉公しなければならんと私は考えております。それからただ会社などの従業員などが地域的にお作りになりますものにつきましては、労働金庫法というような問題も今浮び上つておりますから、そういうほうで解決が付くのじやないか、そんなように考えておりますので、同じ地域に信用組合信用金庫があつて対立するということは、私どもとしては好ましくないと思います。昨年の信用金庫法を作りました当時いろいろないきさつがございましたけれども、私どもといたしましては、全信用組合が地域的なものであれば、全部の信用組合信用金庫になることを希望したのでございますけれども事情止むを得ず今のようになつております。従いまして現在地域的な信用組合でありましたならば、内容は極く悪ければ止むを得ませんけれども、でき得る限り信用金庫なつて頂いて、そうして又政府の預託金も全部行き渡るようになることがよろしいのじやないかというように思つております。  それから第三の担保、その他の中小企業側の問題でございますが、私どもの会員は比較的大きいのもややございますけれども、大多数が零細業者でございますので、担保を提供するという能力は非常に乏しいのでありまして、有価証券というような流動性のあるものを提供することは殆んど不可能でございまして、非常に百人に一人くらいしかないようでございます。百人に一人もどうかという状態でございますので、どうしても担保として出ぜるものは自分の家くらいでございますので、そういうものを担保にとつてどんどん貸せますならば誠によろしいのでありますけれども信用金庫資金繰りといたしましては、やはり短期の預金を以て賄つておりますので、長い間貸して上げるということが非常に窮屈である。殊に又事故がありましたときに、換価性が非常に少いのでございますところから、不動産などによつて、どんどん貸すということができないのでありまして、そのかたの人物、営業状態というようなものを総合いたしまして、信用によつて御融通するのは信用金庫の本来ではございまして、ただ余りに余分に貸して上げるときに、万一のときに如何に会員であつても倒れては困りますので、万一を確保するために、不動産でも何でもあつたら抵当にとりましようというので、抵当を持つて来ればどんどん貸すという状態ではないのであります。それから担保問題を補う方法といたしまして、信用保証協会の保証だとか、或いは中小企業庁中小企業信用保険というような制度もございますけれども、やはりこれは資金のソースが限られておりまして、自己資金によつているわけでありますから、この保証があるだけではなかなか貸せない。やはり長期資金がなかなか確保されないということでありまして、先ほど相互銀行のかたが言われましたように、政府資金の預託などをして下さいます場合には、三月ですぐに返せということではなく、もう少し使えるようなふうにしてお出しを願つたならばよろしいのではないか。そういうふうになりますれば、この信用保証協会とか、信用保険というものと結び付けまして、やや中小企業者の役に立つような貸出ができるのではないか、かように考えます。誠にへたでございましたが、一応この程度で……。
  94. 松本昇

    委員長松本昇君) では次に東京都商工信用金庫理事長の川端巖さん。
  95. 川端巖

    参考人(川端巖君) お示しの項目に従いまして、資金繰状況を申上げまするならば、只今預金量が四億余りございますが、これは預金だけでございまして、このほかに政府指定預金が五百万円ございますが、これ以外の資金繰の途もございませんので、申込は大体三倍くらいありますわけでありますから、先ず資金借入の申込がございましたならば、その三分の一くらいをこの預金によつてつておるという状態でございます。  それから第二の貸出状況でございますが、これは專ら簡易迅速に申込を受けましてから、一週間も十日もそれ以上かかるというようなことでは間に合いません人が多いので、大体二、三日程度で処理をいたしまして、簡易迅速にいたす。殊に本年は二月、三月の納税期に当りまして、非常に申込がたくさんありまして、納税のための借人、それから商品仕入のための借入、工業者の原材料、或いは給料等のために必要な資金を申込を受けるわけでありますが、長期資金と短期資金と分けますれば、殆んど差出しました表のように短期資金ばかりでありまして、運転資金、短期資金だけで、長期資金というものは賄う力が、資金的な力がないわけであります。それから又売掛並びに受取手形の割引ということも短期の形でやつております。一口当り規模別ということにつきましては、ここに表がございまするが、先ほど皆さんのほうから話がありましたように、大体三十万円から五十万円程度の一口、一件当りその程度のものも非常に多数でありまして、この表にお示ししてありまするように、十万円から三十万円のものが大体全体の半分、金額にいたしまして、金額の申込数量の半分くらいになつております。それから三十万円から五十万円程度のものが二割五分くらい、この十万円から五十万円のもので全体の七割五分程度なつておるわけであります。あとは表によつて一つ御覧をお願いいたしたいと存じます。  それから三の中小企業金融対策に対する意見という点につきましての、一の資金源という点でございまするが、中小企業金融におきましては非常に資金が足りないが、併しながらオーバー・ローンは殆んど監督の関係上ございません。大体七、八割程度預金量に対する七、八割程度であることにつきましては、只今芝信用の仰せの通りでございます。ただそこでいろいろ皆様からお話のありまするように財政資金を、国家の財政資金を流して頂く、或いは運用部の資金を流して頂くというようなことは、私どものほうも誠にそう願えますれば結構でありまするが、併し財政資金というのは納税によつて国家の資金なつておるものを、中小企業金融に幾ら困つたからといつて流すことが適当じやない、併しながらこの運用部資金のほうにつきましては、一般国民の零細なる郵便貯金その他によつて集められておる、その殆んど大部分が興業債券によりまして大企業に流れておる、これは誠に不合理である、そうでなくてさえ中小企業金融は非常に足りないと申しますときに、零細なる庶民金融で集めたものを、それを又大企業へ更に流すということは政策上誠に好ましからんことだと考えるわけでありまして、どうかこれらの点につきましては、中小企業金融資金の還元の意味を以ちまして我我の機関のほうに流すような途をとつて頂きたい、かように考えるわけであります。  それから大体次の金融制度につきまして感じますことは、今いろいろと信用金庫制度、協同組合制度につきましてはお話がありましたので省略いたしますが、元来この商工信用と、それから庶民金融、いわゆる企業金融と庶民金融とは性質上分れるべきものじやない。庶民金融と申しますれば生活資金も入つておるが、商工業金融、企業金融と申しますれば全く産業資金である、企業者資金である、この資金を何とか得なければならんというのでありまするか、私どものほうのこの四億数千万円の預金と申しまするのも全くこの中小企業者がなけなしの、ない金を預けておる、金のない人より預つて、そうして金融をしておる、まあ相互金融でありますからそれでいいわけでありまするが、ではなぜないものが預金するのかと申しますれば、借りられる、借りることができるということを楽しみに預金をしておるわけであります。それで若し借りられなかつたならば、その人たちは又預金に対して失望をするわけでありまして、借りることを前提として預金をしておる人の金を預つて、そうしてその金を有無相通ずるような形におきまして、相互金融をやつておる、これが我々の中小企業の誠にみじめな金融状態である、かように御承知願いたいと思います。  それから次に私常々痛感いたしますことは中小企業の生産力、或いは商業者の配給業務と申しまするものは、中小企業は全体の日本経済の生産力の三分の二である。或いは商業におきましては八割以上が大体中小商工業の分野である、かように申しまするに対しまして金融の面から見ますると日本銀行の統計等によりましても最近には三百万円の線を以て大と中小との比較の統計になつておるのでありますが、ずつと以前には五十万円の線の統計であつたように思います。五十万円の統計におきましては全く今後件数にいたしまして八割五分とか、九割とか、そして金額は全く一割五分か二割か足りない、最近の状態におきましてこの三百万円の線にいたしましても三百万円以上の貸出はどんどん殖えて行くのに三百万円以下のものは金額にして殖えておらないということは誠に日本経済の産業と、それから金融と、裏腹であるべき金融と産業との背馳逆行である、これを何とか直さなければ日本の産業の建直しも、経済の復興もできないだろう、これを何らかの政策によつて実行して頂きたい。この方法で然らばどういうことをお前は気が付いているかというお話になりますれば、大体できました信用金庫というものが信用が足りないために先ほど申しましたように貸出は非常にあるが預金は大銀行に持つて行く、大銀行に持つてつて、そして貸出だけを信用金庫に持つて来るということはどうも賛成できない相談でありまして、それは要するに信用問題であつて一般国民大衆が、大銀行は信用するが、信用金庫は信用がそれほどにはできないという、こういうわけでありまするからして、これらの信用金庫に対してもう少し政府の力によつて何分でも信用の向上するような途が講ぜられて頂きたい。監督は十分にできているのでありまするからして監督によつても一般大衆に対して証明ができるわけであります。信用上の証明があるところに対しては一般大衆が信用することができるようになりますかと思いますのでこういつた二流銀行の、曾つて乙種、甲種の両銀行がありましたように、乙種銀行というような立場においてどうか信用の向上するような途を政策的に講じて頂きたいというようなことを考えるわけであります、  それからもう一つ問題点は最近郵便貯金の利子が引上げになつて郵便貯金の積金では年四分二厘になつておりますが、中小金融におきましては三分強であります。政府の信用を以て四分二厘の利子を付けて、そして中小企業をやかましく言いながらこの貧弱な中小金融に対しては三分以上の利子をとつてはならん、これは誠に政策の矛盾と思いますが、これらの点につきましてはどうか御賢察をお願いいたしたい。以上であります。
  96. 松本昇

    委員長松本昇君) それでは一応信用金庫のことについて御質疑を一つお願いいたします。
  97. 境野清雄

    境野清雄君 時間も遅いようでありますから信用協同組合のほうも一応話を承わつてから……。
  98. 松本昇

    委員長松本昇君) よろしうございます。それでは次は永代信用組合組合長山屋八萬雄さんお願いいたします。
  99. 山屋八萬雄

    参考人(山屋八萬雄君) 信用金庫の御説明と大体私重複することが多いと思うのでありまするが、大体ここに昨年信用金庫法が通りましてここに信用組合信用金庫とおのずから分かれておるということは事実でありまして、この点につきまして然らば信用金庫信用組合とどこに違いがあるのかということになるのでありますが、法律上どこも変つたところはなく、ただ信用金庫とするものに対しては員外貯金を扱わせる、信用組合そのもので行く場合は員外貯金を本年の六月十四日以降取扱をさせないと、こういう点において組合を金庫に変えただけのものでありまして、誠にどうもその法律の提案趣旨が私ども何の故を以てやつたものかも合点が行かないような次第であります。若干役員の性質等などがボス的に、つまり現在の位置を崩さない方法で、お手盛でできるようなことと、更に員外貯金を信用組合で行くような場合にはとにかく員外貯金を扱わせない、そして金庫に変えたものには員外貯金を扱わせるというのでありますから、要するに弱肉強食の形をとつて小さいものを潰して、大きいものだけを育てようというような一つの形態を整えられたことを甚だ遺憾とするものであります。併しこの信用組合なるものの前身をすでに御承知のことと思いまするが、東京旧十五区の信用組合の出発は大正十二年のあの震災の、つまり復興に対しまして復興資金を何によつて扱わせるかということがそもそも出発でありまして、役所の手よりも民間の手のほうがいいだろうという、そこでつまりあの震災地の最寄り最寄りの信用組合をこしらえさせまして、そしてここで復興信用組合、要するに復興建築信用組合とか、いろいろの名称の下に政府資金で建築資金貸出をさせたのであります。これが後々一段落がつきましてそのままで通つて参りますと、その後にできたのが市街地信用組合、これは要するに信用本位とするところの組合であつたのでありまして、市街地信用組合のほうは大蔵省の認可であり、一方旧十五区の信用組合は、つまりそういつたような出発でありましたからこれは産業組合法によるところの信用組合である、こういうものが一昨年どうも別々ではいかんというので信用協同組合法改正されたことと思うのでありますが、信用協同組合法改正をされまするときに、議員さんたちは御存知かどうかわかりませんが、このいずれの両組合に対しましてもABCの段階を付けて、そうしてつまり預金量の多いものは無條件、預金量の線を引きましてABは三年間、Cは一年間、こういうので結局そこで強いものと弱いものとの区別の線を引いてしまつたのです、大蔵省で……。ここで非常に摩擦が起りましてどうもこういうことでは困る、強いか弱いかということは実際上資金が少いからといつて決して弱いものではない。こういうことは何を以て基準で言うかと申しますれば一昨年あたり信用組合が三つほど潰れたのがあります。これらはいずれも資金量か少いのじやなかつた。要するにこの潰れた組合には東京都の保証協会からも金が出ておるのであります。百万円、二百万円、或いは三百万円くらい皆その保証協会の手を経て金が流れておる、それでありまするから外面から見たところではその経理上の現われたところから見たところでは少しも危險性はないのであります。これがたまたま潰れておる。潰れておるということは、要するに大蔵省が見る眼は小さな少額の預金高ではこれはもう弱小だ、内容が悪いのだというふうに解釈してしまつておる。ところがたまたまああいつた大きなものが潰れて来た、これはいずれも運営の如何によつて潰れておるのでありまして、專務とか、或いは組合長とかは横暴を極めて勝手な貸出方をやつてつた、その結果の焦付ができて潰れてしまうのであります。こういうふうなことでありまするから、私ども我田引水かもわかりませんが、信用組合、いわゆる信用金庫、この出発はみんな同じでありまして、この同じものに対して大蔵省が調査をしなければ金庫にはできないとか、資金量に線を引いて五千万円以上なければ金庫にできないとかいうことは、どうも甚だ矛盾することだというので、昨年金庫法案に反対をいたしまして、而も公聽会を開いて頂きましたときに、貯金量には線を引かない、それでありまするから、絶対にその預金高に線を引かないから、どんどん金庫に出してくれ、とこういうわけでありましたが、たまたまその切替えに当つて相当出されたところが低いものはみんな蹴飛ばされておるのであります。こういうふうな関係でこの金庫に未だ出さすにおる組合相当あるのでありまして、併し金庫になれば、こういう特典があるという一つの特典でもあれば、進んで又金庫になるでしようが、強いて貯金高を殖やさんがために徒らに両建の貯金をするような嫌いが多分にあるのでありまするから、そういうことのないように、やはり一年間の延期を願いまして、そうして現在一年間の間に小さな組合は金庫に楽になれるようにお願いいたしましたところ、衆議院も満場一致で通りまして、只今こちらの参議院のほうに廻つておるような次第でありますが、こういうふうにつまり弱小の組合という名前を付けておりますが、私どもつておる範囲内で、決してその預金高が三千万円だからその組合が内容が悪いかというと絶対に悪いことはない、この組合のつまり役員というものが出発が出発でありまするから、土地の名望家が大体役をみんな占めておるのであります。これらは終始無報酬であります。私といえども現在無報酬でやつておるのでありますが、こういうふうな関係からいたしまして、絶対に内容には何ら大蔵省の検査の結果も危險性を認めないということを言われておるのであります。これが只今政府預金部資金を預託すると言いましても、昨年あたりもまだ信用金庫信用組合がどちらに流してもいいような預託金でありましたけれども、大体その金の取扱は政府から九億五千万円が昨年出されましたときも、その成り行きを見守つておりましたが、これが皆下に廻つておらない。つまりこれを銀行に再預託をして利鞘を稼いでおるような状態であつたのであります。たまたまこれを調べた結果、昨年の暮に東京都から信用金庫信用組合に対して一億預託をするから、短期しやあるが零細企業家に貸付けてくれ、このときに金庫のほうは大きいのだから余計よこせ、組合のほうは小さいのだから我慢をしろということから端を発しまして、私が金庫さんのほうへ一々抗議を申込んだ、それじやあなたのほうでそれだけ金が必要であつたならば、政府の預託金をどこへ貸付けたか、皆銀行へ預けて利鞘を稼いだにしか過ぎないじやないか、こういうことを言つて、そこで激論を飛ばしましたのですが、かようなわけで小さいほうは危いから預託をしない、こういう観念を是非打破してもらいたい。小さい危いような企業家、これは何としても家族制度の我が国でございまして、現在でも実際四、五人の徒弟を以てやつておられるようなところこそは、本当に時間を八時間制を十五時間働いてもこの経済を破壊しないようにというような麗しい制度でありますから、これらの点に私どもは集中して資金を流しておるのであります。現在どこからもその外部からの資金というものは、預託金等は信用組合にはありません。仮に私ども経営方法を申上げますと、いずれも小さいながらも優秀な約束手形を、皆受取手形を持つておるのであります。これを割引をいたしまして、更に私どもではこれを銀行に頼んで再割引をして、この表が差上げてありまするけれども、これによつて仮に預金が二億といたしますれば、再割引を更に五、六千万円しまして、そこで預託金以上の貸出をしておるわけであります。かような状態でありまするから、信用組合に対しましては、基の起りは政府資金を扱つた信用組合であります。これらの人たちが、要するに商売人でない人たちの運営でありまするから、大きくすることができなかつたのであります。皆いずれも町の有力者、町の旦那がたが役員でやつてつた関係で大きくすることができなかつた。たまたま立派な專務とか支配人とかを他から入れて、金融に経験者を入れた組合がどしどし伸びて来た、こういうことに過ぎないのであります。  それからもう一つお願いしておきたいのは、信用組合信用金庫がどしどし本年の三月、距離の制限撤廃をしたのであります。これによつて各地に今支店、出張所を出しておるのであります。これがお互いに血みどろの戰をして、預金の獲得をしておるのでありますが、業者は決して今日そんなに預金をするほど金があるはずはない。そうして或る金庫のごときは外交員の七、八十名も使いまして、二カ月掛ければその倍額を貸すのだ、或いは百万円は一カ年契約なら一カ月で貸すのだというようなことで、どしどし外交でこの営業方針を立ててやつておるのでありますが、こういつたようなことになりますと、銀行には今支店設置に制限があられるそうでありますが、やはりこれも小は商人といえども、その最寄り最寄りの金融機関でありまするから、余り支店の設置とか或いは出張所とかいうものは、やはり相当の制限を加えて頂きませんと、たまたま強者の味方である金融機関の破綻を招くものであろうと思うのであります。この点も特に一つ御考慮を願いたいと思うのであります。  たくさん申上げたいことはありますが、時間がないということを聞いておりますから、この程度にとどめたいと思います。
  100. 松本昇

    委員長松本昇君) ちよつと申上げておきます。只今組合の員外の預金の点ですが、これは参議院でも去る十九日に信用金庫法施行法の一部を改正する法律案は全会一致で通過しておりますので、従つて一年延期の件は決定いたしておる次第でございますから申添えておきます。  次は高崎信用組合東京出張所長江尻金太郎君。
  101. 江尻金太郎

    参考人江尻金太郎君) 私高崎商工信用組合の江尻でございます。本日松澤組合長が呼ばれておりましたけれども、たまたま今日第一回の通常総会を開催いたすため来られなくて代理として私参りました。  私の組合は極く新らしい組合でありまして、昨年の八月一日に開店いたしまして、三月末で丁度八カ月の期間でございますが、出資の総額が一千八万五千円、三月末における貯金の残高が一億五百二十六万円、これが大体資金源でございます。併し借り手が相当たくさんございますので、これだけの資金では到底賄い切れないで商工組合中央金庫と手形割引の契約というものを結びまして、その極度額は二千万円、この二千万円の極度額の契約で優良の手形の再割等をしてもらつておる次第であります。その場合に中金では融資の場合に優良の手形を要求しまして、例えば日銀で再割のきくような優良な手形を要求します。中小企業者の大部分には、そういつたいい極く優良の手形というものが余りにございませんので、それで県の信用保証協会、これを活用いたしまして、融資の場合には県の保証協会の保証をとりてそれについて貸出をしておるようなわけであります。これについてはこれらの優良の手形或いは県の保証協会の保証附の手形等については商工中金の二千万円の枠の範囲内において八五%の融資を受けておるわけでございます。この点私どものような新らしくできる信用協同組合におきましては資金源が誠に乏しいので、資金繰りの操作等によりこういつた方面を活用したほうが非常に便利であると思います。それからこの貸出の状況についてはこの表に詳しく書きまして、貸出の総数が一億百五十四万九千円、これを貸付金の担保別に分けたり或いは又業種別にこれを分けたり、それから貸出の金額別或いは規模別と一応八カ月間の実績を数字的に取りまとめましたから御覧を願いたいと存じます。それから第三のほうの資金源についてはすでに相互銀行さん、或るいは又信用金庫さん等で縷々述べられた通りでございまして、信用組合におきましては政府資金等の預託をまだ一つも受けてないのでございます。同じく中小企業金融を担当しておるこの零細な小さい信用組合にも是非政府資金の預託を願いたいと思つております。金融制度については中小企業金融には相互銀行あり、信用金庫あり、或いは又信用協同組合ありといろいろございますので、それぞれこれは皆持味が違い、それぞれの使命によつて仕事をしておりますので、どれがいいとか、或いは又どれが悪いとかまあ一朝一夕で論ずることもちよつとできないように思われますので、私個人の意見を差控えて、これはこの次にどういう制度がいいかというようなことは信用組合信用組合としてよく検討してから御返事申上げたいと思つております。それから担保についてのことをここに一つ取上げますが、いろいろ不動産金融の、信用協同組合も救済機関ではないので、何か貸出をするような場合に不動産等の担保をとつて貸すような場合がございますが、これらは皆相当むずかしい手続を要するので、できればこの不動産金融等については極く簡便で而も手数料の少いような、そういつたような方法を講ぜられて、そうして法制化のものは何とかさして頂きたいと思つております。  そのほかに是非一つお願いしたいことは現在信用保険制度が布かれておりまして誠に結構でございますが、この信用保険は大体長期金融に適用されておりますので、資金源の小い信用組合等では相当これで信用保險をつけて貸出をしておるところもありますし、現在又私のほうの組合でも二百数十万円の貸出をしておりますけれど、何しろこれは相当長期に亘るものでありまするから、何とかこれはこの信用保險の制度をもう少し拡大して頂いて、そうして貸付をし、そうして保険契約をしたらば何%かの保険の基金をその金融機関へ預託さして頂きたい。そうすると非常に資金繰りに大変便利になるかと思うのであります。そのほか信用協同組合といたしましては、制度として商工中金を親銀行商工中金の下に中小協同組合法によつて事業協同組合ができ、信用協同組合ができております。この協同組合法によるところの信用協同組合商工中金を親銀行として是非面倒を見て頂きたい。まあ幸い私のほうは極度契約を結んで若干でも資金繰りに便利になつておりますが、これを是非とも信用組合全部に及ぼして頂きたいと思うのでありまして、聞くところによりますと、中金においては信用組合に対する融資方針を決定したということを聞いておりますが、成るべくこれを早急に実施をさして頂きたいと、こう思うのであります。時間も大変切迫しておるようでございますからこの程度にして終りたいと思います。
  102. 境野清雄

    境野清雄君 いろいろ私のほうは質問したい問題があるのですが、時間がもうなくなりましたので一、二点だけお伺いして、あとは大変貴重なる御資料を頂きましたので、これをよく検討して見てから又再度お伺いいたしたいと思います。  大体今信用金庫と信用協同組合という問題をお聞きしますと私どもの知らなかつたような相当相剋があるようでありまして、信用金庫さんのほうからのお話では同地域にあるものは、信用協同組合信用金庫にしたらいいじやないかというようなお話がありましたが、大体私ども承知しておりまする範囲では信用金庫と信用協同組合を分けましたときに、従来から市街地信用組合の流れをくんでおりますこの金融機関としての公共性を持つておるものと、それから協同組合というような協同組合精神によつてつて行く自立性のものとはどうしても相容れないものがあるのじやないか、こういうような公共性と自立性というものを勘案したものが私は信用金庫信用組合の分れたものであります。そういう点から行きますれば私は信用金庫信用金庫としての與えられた範囲で大いに伸びて頂かなくちやならん、併せて信用協同組合は信用協同組合として協同組合形態で以てもつと進んで頂ければいいんじやないかというようなことを従来は考えておつたのでありますが、今お話を聞きまして、大変この問題についての私どもの考えとは違うんじやないかというような疑点を持つて参つたのであります。これは詳しく私どものほうも再度調査しまして、それによつて又の機会に何かお会いする機会を見つけまして、十二分にこの問題を私は打開して行きたい、こういうふうに考えておるのであります。ともあれ皆さんの御希望自体が、短期資金は有難迷惑でもないが、短期資金ではなかなか預託金を借入れててもすぐ返さなくちやならんというようなことは、私ども中小企業形態に対する大きな間違いでありまして、何とか長期資金、皆さんのおつしやる資金運用部資金活用というものを私どもは考えており、そのものは特にこの通産委員会としましてはそういう面に持つて行かなければ中小企業金融が打開できないんじやないかというようなことを従来から考えておるのでありまして、大蔵省との折衝も私ども委員会としてもこれは十二分にやつて行きたい。なお且つ従来占領治下にありましたところの資金運用部資金の使い方というものも今日とは相当つて来ると思うのでありまして、この点は私どもは再度皆さんの要望に副うように十二分に委員会としても活動して行きたい。たまたま中小企業庁のほうでも来ておるのでありまして、中小企業庁自体もこの意のあるところは十二分に前から承知しておると思うのでありますが、大蔵省に対しても一つどもと協力して行つてもらいたいと思うのであります。大体そういうようなことから行けば、資金源の獲得、つまり長期資金の獲得ということは必ずやらなくちやならないところでありますので、これはどうしても私どもとして力を入れたい。ただそこで一つ信用協同組合さんのお話に少し私は疑点があるのでお伺いしたいと思うのでありますけれども、今日ここへおいで下さいました永代信用組合と高崎信用組合さんは、共に預金額を私が見ましても、大体信用金庫になり得る力を持つておられるようでありますが、これは勿論従来東京都或いは人口五十万以上の都市は一千万円とか、その他の地域は五百万円とかいうようなものを昨年の六月十五日に決定し、それが三カ年間は一千万円のほうは五百万円、五百万円のほうは二百五十万円というようなふうに減少されておるので、これは私は信用金庫になりたいという御希望があつて、それをやつても蹴られておるものかどうか、この点を一つ永代信用組合さんと高崎信用組合さんにお聞きしたいのであります。  それから併せて私もう時間がないので、一応質問だけ二つ三つお願いいたしますが、相互銀行さんが従来やつております国民金融公庫の代理店と申しますか、国民金融公庫との繋がり、こういうようなものに対して国民金融公庫資金源が増しておる率が一体相互銀行のほうが殖えておるのかどうか、こういうような点、併せて同じような問題が信用金庫さんに対しましても最近の率が殖えておるかどうか、こういうことを相互銀行さんと信用金庫さんにお伺いしたい。  それから信用協同組合さんに対しましては、これは商工中金というものをどうしても活用するより現在手がないと思いますので、商工中金というものをどの程度活用せられておるのか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。要するに私どもといたしましては、一つ又の機会でも何でも捉えましても、中小企業金融というものは今日の状態ではどうしても私どもは実際に中小企業側が要望しておる半分もない、こういうようなふうに考えておるのでありまして、何としても資金源を殖やしまして、そうして中小企業に最も経験の深い皆様方に真剣に中小企業金融をやつて頂きませんと、行く行くはまかり間違えばこれは社会問題になるんじやないか、こういうふうに私どもは考えておるのでありまして、従来から私ども通産委員会というものは中小企業問題は特に何とか取上げて解決することを図らなくちやならんのじやないかということからして、前国会から中小企業の小委員会を作つておるのでありまして、そういうような点から行きましても、一つこれを機会にして頂きまして、皆様方の御要望がありましたら御遠慮なく委員長の手許までお申出でを願いたい、そうして余り問題が尖鋭化さんうちに私どもは解決したいと思うのでありまして、今日のいい機会に是非この点を御来会の皆様方にお願いしたい。特に先ほど来聞きました信用金庫、信用協同組合というような問題は委員長におかれましても特にこれを取上げて頂きまして、再度御検討願つて、そうして折角の中小企業の唯一の頼りにしております中小企業專門である信用金庫と信用協同組合が相剋摩擦を起して、その結果中小企業への金の流れが鈍いというようなことは残念でありますので、この点につきましては委員長においては格別に取計らつて頂きたいと思います。なお信用組合に対しまして先ほど来いろいろ問題がありますが、そのほか金融機関に類似した行為を行うところの金融会社が最近非常にできておるというように聞いておるのでありまして、これは相当信用協同組合に対しては圧迫を加えておるんじやないかと思つて、これは特別な取締法でもやらなくちやならんのじやないかと思いますけれども、これについて信用組合さんの御意見はどんなであるか。それから先ほど法案が改正になりまして組合員外の預金問題が一年延期されたということについて、現在皆様方の信用組合としての員外預金のパーセンテージはどのくらいのものであるか、これを是非又一年たちますればこの法案はもう一度戻つて来る問題だと思いますので、これについて若しここで御返事願えれば結構でありますが、願えなければ組合員外の預金というものの総体の預金に対するパーセンテージはどのくらいのものであるかということについての一つ御調査を願いたいと思うのであります。甚だお願いする問題を急いで申上げましたからおわかりにならなかつた点があるかと思いますが、一つその点について簡單で結構でございますから御答弁願いたいと思います。
  103. 松本昇

    委員長松本昇君) 只今境野委員からの質問に対し順次一つお願いいたします。
  104. 大口勝道

    参考人(大口勝道君) 国民金融公庫から相互銀行に来ておりますのはそう大して殖えていない。全体の数字はちよつとわかりませんが、必要でしたら又調べて出します。
  105. 境野清雄

    境野清雄君 頂戴したいと思います。
  106. 大口勝道

    参考人(大口勝道君) 承知いたしました。
  107. 山屋八萬雄

    参考人(山屋八萬雄君) 只今何故に信用金庫にならんかという問題でありますが、これは申上げると長くなりますから簡單に申上げますが、大体現在金庫になつておるかたがたでも、つまりこの信用組合が二派あつたということはよく御了解を得ておるようでありますから省略いたしますが、昨年の金庫法に対しまして真つ先当時の反対の委員長である中央信用金庫の小野君が委員長でありまして、私が副委員長でやつたのであります。当時小野君も僕も自由党に所属して政調会の参與をやつてつたのでありますが、どうも自由党は率先してこれをやつておるのだから自由党ではいけないというので、当時の民主党、今渡欧されておる宮腰さんあたりに率先してお願いいたしまして、又社会党さんあたりにも呼びかけて、そうしてこれは一斉にまあこの問題に私どもが運動した結果、非常にそのときにはよかつたのであります。それで私どもそのときの約束に、東京都連合会といたしまして小野君が会長であつて我々の連合会の傘下が一つの船で全部金庫に行くときには移行するのである、その金庫に移行する過程といたしまして預金量に制限を加えられたのではこれは絶対に一つの船で行けないからと、こういうのでわざわざ民主党から公聽会を開いて頂いて、当時の課長をお呼びを願つて、そこで現在記録が残つておると思うのでありますが、絶対に預金量には制限を加えない、それでありますから御心配なくというので、若し預金量に制限を加えなければ政令で五百万という出資金は全部一応できておるわけでありますから、何ら手数なく、法律の改廃によつて現在までの信用組合は全部信用金庫だという看板の塗り替えが一斉にできなければならんはずであります。ところが飽くまで預金面とか何とかということに制限を加えておるから、結局出したうちで却下されたり、いろいろの面でうまく行かなかつたのであります。そこで小野君はいち早く当時の約束を破つて金庫にしてしまつたのであります。それであとに残つたものを私ども責任を負つて引継がなければならんので、私あとの連合会長を受けまして現在やつております関係上、私ども現在資金量、出資金におきましても大組合に絶対に負けない、都内では十万以内の、二千二百万の出資を持つておるのであります。恐らく中央の六億預金高があると称せられておるところの小野君よりも、私どものほうが二百万ばかり現在では多いのであります。預金面においては二億でありますが、併し預金面でそこでどうこうと申しますならば、結局他の五億ある、六億あるというところの数字面で争うところの金庫、組合、これは店舗が五つも六つもあるようであります。私どものような組合一つ店舗です。それでありますから一店舗平均にするとみんな同じようなものなんです。それを各店舗を持つておるが故にその総数字を読上げて、つまり大きい、小さいということになつている。それですから信用金庫とか信用組合とかいうものがそんなにそれぞれ店を出したところで、資本金によつて経営をするのでなくして、店を出せば必ず争いを起して、つまりいろいろの、外交の二枚舌によつて貯金を集めておるのでありますから、経済面においては決してプラスにならない、マイナスになる、こういう点で特に現在でも、先に金庫になられたかたがたから理窟なしにして金庫になつてくれんか、こういうことでありますが、さて金庫になつてどういう恩典が組合に対して授けられるかということを考えますと、金庫になつたところで大きいほうが全部預託金をとつてしまつて、我々二億や三億のところへは絶対に当分の間廻らないということは火を見るよりも明らかなのであります。こういうところへ入つて行くよりは小さいところで、結局少し高い日歩になりますけれども、保証協会を通じてこれを動かしておれば、完全に資金が下まで廻る、ところが大きいほうへ入つて行くと、手数料も出ない。資金運用部資金が廻つて来ますけれども、これはもう万が一廻つたところで二階から目薬を降らす程度のものでございます。こういう点でつまり切替えをしないでおるわけであります。それから商工中金との関係でありますが、これはやはり私も連合会長をいたしておる関係上、いろいろ加藤理事さんやその他のほうへ直接呼びかげておりますが、利息が非常に高いのです。私ども現在帝国銀行その他の二、三の銀行で再割引をいたしておりますが、決して日銀で再割引をするような手形を持つて来いとは言わない、勿論零細企業者でありますから、そういうふうな手形もたまにはありますが、額が小さい、日銀に持つて行くほどの二百万だ、三百万だという手形はない、精々二、三十万の手形で一流手形が相当入るのであります。これらの手形を集めまして、他の銀行で割引をいたしますと二銭六厘であります。先般商工中金にかけ合いましたところが、二銭八厘は一厘もまからない、だからそれでよかつたら枠をきめましよう、こういうふうな話でありましたが、二厘の食い違いではこれは又大変なことになりますので、現在不自由をしておらない。再割引ではほかの銀行へ頼んだほうがいい、でありますから商工中金従つて使わないでもいい、こういうことになるわけであります。要するに私の組合が力がついておる、こういうことになるのであります。  それから三の他の殖産とかいろいろ類似した金貸会社であります。これはもうここにおいでのかたがたはどなたも異口同音であろうと思うのでありますが、これは二カ月出せばかけた倍額を返す、先般衆議院の大蔵委員会の傍聽をいたしておりましたが、大分議員さんでも殖産会社の肩を持つておられるようなかたも中にはありましたが、これは弊害のほうが多いのであります。とにかく二カ月なら二カ月の日掛がかけきれなければ、結局途中で解約という場合には、三割くらい差引かれて、実際自分が一万円かけたものを七千五百円くらいで泣寝入になつてしまう。途中でいろいろ家庭内に病人ができたとか、いろいろな問題でどうしてもかけきれないという場合に解約してくれというと三割くらい引かれる。それも十日や十五日かけたものは全部棒引だ。実に高利貸以上のやり方をやつておるのであります。これはもう見るに忍びない。これらの金融会社はいずれも外交員を相当使つておりまして、それで外交本位でやつておりますから手つ取早く御機嫌伺いに店へ行くものですから、結局これが日掛貯金という名目で、その通帳はこれは積り貯金はできないことになつておるのでありまするから、出資金の日掛払いということになつておるそうでありますが、一般はこれを貯金と考えておるのであります。それでこの貯金が二カ月できればつまりその倍額を貸すのだ、要するに五十万かければ百万貸すのだ、こういうことになるのです。  それで貸付を参考までに申上げますと、私どもの近所でも相当これに入つてつた人もあるのでありますが、先ず二カ月かけて申込んで、やれ保証人の調査だ、やれこれが何だかんだというので、最低が十五日から引つ張るのです。その間かけ遅れたら又これは駄目なんであります。それでありますから名目は二カ月かければその倍額貸すというが、実際は二カ月半かけてどうやら貸すか貸さないか、こういうことになる。非常にまあ害を流しておるように今日まで聞いております。  それから員外貯金のパーセンテージでありますが、これは大体私どものほうなどは員外貯金というものは案外少いから、要するに金庫にならないで差支えない、その少いという理由は、私どもオーバー・ローンでは日本一であります。現在でも一一〇%くらいになつておりますが、併し検査の結果オーバー・ローンになつたからといつて決して危険なようなことは一つもしておらん。要するに再割引をしておりますから千万や二千万の金はいつ取付けに会つても心配ないというようなことになつておる。組合のオーバー・ローンというものは、ややともすれば有り金をそつくり貸してしまうところのオーバー・ローンでありますが、銀行をまねたところのオーバー・ローンになつておりまするから、絶対にオーバー・ローンで心配ない、又オーバー・ローンにしなかつたならば絶対に組合員に満足はさせられない、こういうことで員外貯金は三〇%くらいに過ぎない、員外貯金の問題はかように申上げておきます。
  108. 境野清雄

  109. 渡邊八右衞門

    参考人(渡邊八右衞門君) 私どものほうへの御質問の第一点は、預金が殖えたのに貸出が殖えないとか、預金に対する貸出のパーセントが殖えないじやないかというようなことでございましたが、こちらに今差上げましたこの資料のうちに表がございますが、この一番下のほうの二十六年度の三月末、二十七年産の三月末を御覧願いますと、預金貸出金のパーセントが出ておりせんけれども、大体これは計算いたしますと、二十六年度末においても預金に対する貸出しのパーセントは七〇%であります。それから二十七年度末におきましてもやはり七〇%でありまして、パーセントは変つておらないのであります。それから政府資金を三月の末に十二億円信用金庫のほうに預託して頂いた、それにもかかわらず貸出が殖えないというような問題もあるようでありますが、これも三月三十一日に預託されましたので、貸出しは一銭もないというのが実情でございますから、四月、五月には行つておるものと御了承願いたいのであります。  それから信用金庫信用組合の問題につきましても先ほどいろいろと組合側から御説明がありましたけれども、私見も若干申上げたいと思うのでありますが、永代商工さんのほうはいわゆる産業組合系の信用組合でございまして、私どものほうは市街地信用組合であります。一昨年の中小企業等協同組合法によつて一緒になつたのでありまするが、市街地信用組合系のほうにいろいろ何といいますか、まあ小さいものを蔑視するというような形もなきにしもあらずであります。私は同士のことを言うのは悪いのですけれども、なきにしもあらずであります。そういうようなこともございまして、この信用金庫法を制定する運動につきましても、十分に御了解を得て全体の信用金庫運動としてやる手続きが非常に欠けておつたということは、私は事実であるということを申上げて差支えないと思うのであります。私は社会党でそういう公聽会を催されたときに、私も呼ばれましたから参りました。反対派についたわけではありませんけれども、反対派の衷情は止むを得ないということを私はよく御説明を申上げたのであります。私どもはまあ自慢のようでございますが、現在の信用金庫におきましても預金は第三位で十一億五千万円、現在は十二億円くらいになつておりますが、第三位の成績を持つておりますけれども、これは中小企業者自身の大衆の運動であるからそういう分裂するということは誠にいかん、そういう一部の幹部が十分に小さい組合であつても、どういう組合でも十分に納得して貰つて全体の運動としてやるべきである。一部の者がやつたためにひがみがあつて、小さい信用組合が置いてきぼりにされるのじやないかというひがみがありまして、反対のほうに行く者ができたのであります。今後はそういうことのないように、円満にやつて頂きたいということを申上げたのでありまして、山屋さんはそのほうの総帥でありましたので実際のところを申上げますと面子の上でなれない。併し信用金庫になる実力はあるのですから、先ほど申上げましたようにそういうことを捨てて、全部信用金庫なつて頂くことが中小企業のためによろしい。それから高崎信用さんは信用金庫法ができてから出発された関係がありまして、信用金庫にそのまま今の法律で、施行法で乗り換えができないのでありますが、併しながらまあ原則もございまして、新らしく同士で以て信用金庫を作られて事業を全部讓渡されれば信用金庫になれるのでありますから、そういうようにまあ大乗的見地から、いいかたは全部信用金庫なつて頂いて、ともにお盡しすることがよろしいのじやないかというふうに思つております。
  110. 松本昇

    委員長松本昇君) 本日はどうも長時間に亘りましていろいろ有難うございました。これを以ちまして本日は閉会いたします。    午後四時四十三分散会