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参考人(
井關孝雄君) それじや
国民金融公庫の最近の
貸出状況、それから
資金の
資金繰りの
状態、それから最後に
中小企業金融対策に関する
意見等を申述べまして、時間がないそうでございますので大ざつぱに御説明申上げたいと思うのですが、大体の詳しい資料はお手許に差上げてあります
国民金融公庫月報に大体載
つておりますので、それからわかりやすく摘要したものをプリントにして公庫の現状というものでタイプに打
つてお手許に差上げてありますから、それによ
つて大体説明申上げたいと思います。
極く概略に申上げますが、資本金に対する
状態でございますが、資本金は、御
承知のように二十七年度におきまして
政府から新らしく三十億頂きまして現在百億に
なつております。そのほかに昨年
資金運用部、昔の
預金部でございますか、これの金を二十億拜借いたして、それから今年度におきましてやはり二十億借受けができることに
なつておりますが、これはまだ借受けいたしておりません。それからほかに、庶民金庫時代からや
つておりまする引揚者及び戰災者に対する貸付を、厚生省のお金を
地方府県庁からお預かりいたしまして、これが約三十億という
資金であります。先申上げました本年度の三十億の
政府の
出資のほうは、まだ十五億しか頂いておりませんので、残りが十五億ございます。だから実際は百億でありますが、その中から十五億引きました八十五億、それから昨年の
資金運用部の借りの二十億ということで
事業をや
つております。
事務所の数は現在四十カ所ありますが、二十七年度に
あと十カ所こしらえまするので、現在準備いたしております。これは旭川、盛岡、宇都宮、甲府、岐阜、福井、奈良、徳島、東京二カ所という、こういう残りの十カ所を本年度中に作るつもりでございます。それから代理所の数は、現在、相互
銀行、
信用金庫これを合しまして全国に二百四十カ所ございます。それでも
地方の残りはできませんので、往々都市
金融じやないか、都市
中心の
金融じやないかというお叱りを受けまするので、現在着々とこの代理所も拡張いたしておりまするので、だんだん多く
なつて参ると思います。人員は、そこに書いてあります
通り現在の人員は千九十五人でございます。
あと百九十七、八人残
つておりますが、これは十カ所の新らしい支所を作りますので、それに割当てるつもりでまだ未採用の分が残
つております。
それから業務の貸付
状態でありますが、今までの申込の総数は大体二十七万六千件、申込の金額が四百億、それから
貸出しの
状態はどういうふうであるかと申しますると、
貸出して回收して現在残
つておるのが甲種と申しますか、五十万円以下の個人に貸付けるものが九万七千件、金額にいたしまして七十七億円
ちよつとであります。それから乙種貸付と申しますのは、
組合とか会社あたりを目標にいたしました貸付で、これは新らしく昨年の十二月から始めたものです。これは昨年までは御
承知のように最高百万円の貸付でありましたが、最高二百万円まで認められることになりましたが、これを乙種貸付という大口の貸付を別にいたしまして、処理をいたしておるのであります。そうしないと大口の貸付のほうに傾きまして小口の貸付が疎かにされやしないかという観点から、別種にいたしまして貸付をいたしております。それが昨年の十二月に始ま
つて現在までは大体千七百二十三件、金額にいたしまして七億四千万円、五千万円を
ちよつと欠けるぐらいです。両方合計いたしまして件数が九万八千七百何件、金額にいたしまして八十四億何がし、これは二十六年度末の三月までの統計でありまして、統計がどうしても二カ月ぐらい遅れますので、三月で打切
つておりますが、大体それ以後四、五と二月でありますが、一カ月に大体六、七千件貸付けまして、金額にいたしまして大体七億から八億、これは時期によりまして、月によりまして多少の増減がありますが、大体現在までに今お手許に書いてあります数字の上に二十七年度の四、五の分がそれだけ加わるということを御
承知願えればよくわかると思います。それから一口
当りの
貸出でありますが、これは二十四年の六月公庫始まりまして今年の三月までを見ますと、申込にいたしまして十五万六千円、それから
貸出のほうを見ますと一件
当りが直接貸の場合は十一万六千円、代理所のほうは大体六万幾ら、両方全部平均いたして見ますると、代理所と直接貸のを平均して見ますると九万八千円と、こういうことに
なつております。これは古い統計によりますと、個人では大体七、八万円であります。それから大きい全体貸付は二月頃になりますまで、百億の時代までは大体二十五、六万円が見当であります。個人の場合は七、八万、それから会社
組合の場合は二十五、六万円乃至二十七、八万円、三十万円に欠けるわけです。一口
当りの貸付は極く金額の少いものでありまして、無論この中には、一口
当りの平均貸付額でありますので、大きい百万以上を越したものもありますが、これは極めて少うございまして、大体五、六十万から七、八十万、百万
程度が特殊貸付の場合に多いように存じております。
それから貸付の
業種別でありますが、これはこの印刷物に書いてありますが、工業が件数にして二七%、金額にして三五%、商業が五二%、金額にして四六%、その他、これは商業にも工業にも入りませず、サービス、これが件数で二一%、金額で一九%、それから用途別、これは
運転資金と設備
資金とに分けまして、
運転資金のほうは件数にして七六%。こういう少額の
金融でありますので、
運転資金のほうは
相当多いのでありまして、件数にして七六%、金額にしてやはり七六%、それから設備
資金のほうは件数で二四%、金額で二四%、同じことであります。それから期間でありますが、これは六カ月から十二カ月、六カ月から一年までのが件数にいたしまして二九%、金額にいたしまして二十六%、それから一年半以上二年、これが件数にいたしまして四〇%、金額にいたしまして四四%でありますから、配分は一年半から二年までは多いということに
なつておるのであります。私
どものほうは御
承知のように月賦でありまして、甲種の小さい貸付の場合は、最長三年、大きい場合は二百万円まで貸せる、五年まで、いずれも
長期の月賦でございます。それから貸付期間の最後のその他というのは、これは
長期のと、六カ月以上のと、短期に手形なんかで貸す、それがその他、これは件数にいたしまして三一%、金額にいたしまして三〇%、こういうことに
なつております。それから申込に対してどのくらい一体貸付けられておるか、それを見ますると、
昭和二十四年度では件数にいたしまして申込の二一%、金額にいたしまして一八%、これは
資金の非常に少い時代でありまして、こういう悪い比率が出ております。それから二十五年度に参りまして、件数で申込の三〇%四、それから金額にして二五%、二十六年に参りまして、件数にいたしまして四五%、金額にいたしまして三三%というふうにだんだん申込に対する貸付の率は多く
なつて参
つておりますが、これは
資金がだんだん潤沢に
なつて参
つた証拠であります。それから延滞率でありますが、延滞率は二十六年の三月現在でありますが、それは件数にいたしまして一%、金額にいたしまして〇・九%だから両方とも大体一分ということで、殆んど延滯というものはないと申上げても差支えないと思います。貸付の業務の
状態は一応さような
状態でございます。
それから
資金の
状態でありますが、
資金は私のほうでは三カ月ごと三カ月ごと、第一四半期ごとに審議会におきまして、
資金の運用を承認を得まして貸付をや
つておりますが、第一四半期は大体三十七億円でございます。これは前期の繰越金と
政府の
出資金か二十億ありまして、その
資金源に充てます。これは総計三十七億というのを
資金源にいたしまして、それで本年度に貸付けますのは、第一四半期の四、五、六に貸付けますのは、そのうち二十七億八千万円、残りの九億二千万円を次期繰越として残しております。それから第二四半期の七、八、九以後でございますが、これの大体前期の繰越金の今の九億を入れまして、それから
政府の
出資金の残りの十億円を頂きまして、それから貸付金の回收、これは大体一カ月四、五億から五、六億でありますが、その回収金を入れまして大体第二四半期では三十六億という金ができるのであります。それから第三・四半期以後です。これはやはり繰越金と運用部の、元の
預金部でございますが、
資金運用部借入が二十億と、それから回收金を合しまして六十六億二千万円、これを
資金源と合しますと、大体九十四億八千万円という
資金源が出ます。これが二十七年度の、つまり来年の三月までの総
資金であります。それが九十四億であります。これによ
つて一応貸付の運用をいたす。その運用も下に書いてありますが、大体第二四半期以後第二、第三、第四と合しまして九十三億になります。これはお金が、もう
資金が、臨時国会なんかないといたしまして、これだけしか本年度は金がないといたしまして、一応計画を立てたのでありますが、一応方面を変えて見ますと、第二四半期以後の
資金の申込が大体どのくらいあるかと申しますと四百三十億、これは過去の実績において計算したのでありますが、四百三十億、そのうち現在までは、先ほ
ども申上げましたように大体三三%しか貸していない。件数にいたしまして四〇%か四五%で、我々が従来の経験によ
つて調査いたしたところを見ると、件数にいたしましては五〇%、金額にいたしましては大体四〇%ぐらいまでは貸しはしないかと思うのであります。これで申込の数字に換えて見ますると、大体百六十億というものは……百六十億以上の金の必要があるのであります。
資金が九十四億しかありませんので、現在ではその九十三、四億で賄い得るような一応
資金計画を立てております。これは
資金さえ増して頂けばもう少し貸せると思います。それから申残したのでありますが、この九十四億の
資金の中から、実は戰病死者の遺家族の公債を担保にしてどうしても金を出してくれということを言われましたので、この九十四億の中から十億を割かなければ
いかん、十億でも間に合わんかも知れん。そういたしますと、百六十億以上も要するのに八十四億しかないという
状態になるのでありまして、このほかに新設支所が十カ所できますので、これに要する
資金も十億ぐらい見なければ
いかんと思う。それから鳥取県の火災に現在では一億廻わしたのでありますが、これも一億では間に合わないので、いずれ
あと一、二億又鳥取県へくれということをたびたび申して参
つております。これもあります。それから釧路の、北海道のこの間の震災と津浪でございます、これに大体現在五百万
程度しか送
つていない、これも
相当の量を、一億
程度増してくれということを盛んに申して参
つております。果してできますかどうか非常に
資金面ではむずかしく
なつておけます。それからもう
一つ、最近に起
つて来ておる現象は、
政府のこの間まで封鎖ざれた工場、機械設備を払い下げますので、この払下げの
資金に要する金を、横浜とか、神戸とかいう工業都市、主として六大都市でありますが、これが恐らく二、三億の
需要があるのじやないかと、かように考えますので、少くとも、どう少く見積りましても三、四十億乃至五、六十億の金が足りないのでございます。臨時国会で補正
予算でも頂けるかどうか。併しこれは未確定の問題でありますので、我々としては、どうしても従来のある
資金源の九十四億の中で一切を賄
つて行かなければならんという
状態が現状であります。
資金が殖えますればもう少し広く、それから査定減少をしないで所要の金を十分にお廻わしすることができる、今は実は金が少いものですから、それをたくさんの人に成るべく均霑さすというので、心ならずも申込よりも査定減少いたしております。六掛とか半分とか七掛とかいうことにいたしておりますが、
資金さえ廻れば、もう少し
需要の額だけお貸しできる、かようにしたいと考えております。
以上
簡單でありますが、
国民金融公庫の貸付の、
貸出の現状と、それから
資金の上の現状を申上げたのでありますが、第三の
中小企業の
金融対策でありますが、これは我々のほうの
金融機関から見ますると、大体三つの方面から考えられると私は思います。それは
金融を受ける
中小企業者の主体の問題、つまり
中小企業者の主体の問題でありますが、これがやはり
受入態勢をはつきりするということ、これはもうたびたびこういう会合で繰返された問題でありますが、收支をはつきりして置くこと、記帳の問題であります。それから
経営を合理化して行くという主体の問題があると思います。それが往々になされないで、
金融機関へ申込まれるかたがありますが、
金融機関としては、この主体の問題、バランスがはつきりしておるということ、
経営が比較的合理化してうまく行
つておるということ、これが
一つの要件になるのではないか。この主体をどうするかということが
一つの問題でありますし、又
中小企業者としては
受入態勢を十分整えるということが必要だと、かように考えるのであります。それから
金融機関の制度でありますが、これは考えるのに、この
中小企業者という階級は、露店
業者から二百人までの使用人を使う
相当な中企業の大きいところまであるのでありますが、バラエテイに富んだ各種の形態の企業が、各種の規模の企業があるのでありますが、私は
中小企業金融機関としては
信用金庫もいいし、相互
銀行もいい、それから
信用組合もいいし、それから極端に言えば質屋の金を使
つてもいい、一カ月
資金を廻して商売をして一カ月一割以上の利益があれば、質屋の一割の金を使
つてでも引合う、こういうことになるのでありますから、各種の
金融機関がたくさんあることが私はいいのではないかというように考えております。で、いろいろな
金融機関が、成るべくいろいろな階層に向くような
金融機関があることが必要だと、かように考えております。
それから最後は、私
どもで申します
中小企業者と
金融機関の間へ入
つて指導し、それから連絡する媒体、お仲人役をする機関が必要だ、これは信用保証協会の立法化であります。信用保証協会が現在ありますが、これは單独に立法化して、いい信用保証協会、この
信用保険の制度、それから商工相談所、商工
指導所、これが企業の今の
経営の
指導とか、帳簿の
指導、それから借受のときの
指導というようなものをや
つて頂けばいい、商工
指導所の完備。それから最後に信用調査の問題でありますが、これはままあ
信用組合、
信用金庫、それから
商工中金、相互
銀行あたりでは、第一、先ず入
つて、
取引があ
つて組合員に
なつておるというかたにお貸しするのでありますが、私
ども一言で、そういう
預金も、
取引もない、一言で飛込んで来るかたにお金を貸すので、信用調査に非常に手数と時間と、それから経費がかかるのであります。恐らく三百万円以下の貸付は、
銀行あたりの形態でやれば引合わない、かように考えておりますが、幸い
政府の機関でありますので、小さい少額の
金融ができる。これほどに初めての一言のお客さんに金を貸すということはむずかしい仕事であります。同時に経費がかかる。信用調査に手数がかかるのであります。殆んどこれに忙殺されておるという有様であります。外国なんかでは、特にアメリカなんかではクレジツト、アソシエイシヨンというものがありまして、日本のような興信所、調査機関、営利機関でなく、半公の、いわゆる商工会議所あたりでや
つておる、各地の商工会議所も商店会で信用調査機関をお作りになりまして、そうして我々のほうで、そこへ行けば或いは電話を掛ければ、大体それに所属しておる
中小企業者の信用
状態がわかるという制度になれば、大変手数も省けるし、時間的にも早くなるし、
金融も便利じやないか、かように考えておるのであります。
それから今の
資金の
需要状態は、
銀行、その他の一般の
金融機関のような六十日や九十日でなしに、一遍に返すのでなく、
長期に月賦で払う
長期資金が欲しいのであります。これは我々痛感しております。そうでありますので、我々のほうは初めから
長期の比較的お役に立
つておるといいますか、一般の要望に副うておりますのでありますが、非常に
国民金融公庫は便利であるとかいうふうに言われておりますが、一方一月半から二月もかかるので時間がかか
つてしようがない、長くかか
つてかなわんというように言われておりまして、これも我々痛感しておりますが、せめて一週間か二週間でお貸付でもできるというようになれば大変結構だと思います。これは
予算の
関係で、人手を私
どものほうは
予算に制約されておる、自由に人を増せないので困
つておるのであります。これは代理商なんかでは、代理商へ定期積金をしておる
組合員のかたが私の借金を申込んで、二日くらいで借りられたというようなことも、信用がわか
つておりさえすれば、又人手が足りさえすればもう少し短縮できるのじやないか。この人手を殖やす
資金を増すということを私
どものほうとしては目下非常に望んでおる次第であります。
それから担保でありますが、担保は我々のほうも一応百万円以下は担保を取ることに原則としてきめておりますが、これは更地とか、人が住んでいない家であれば換金がすぐきくので担保力が十分あるのでありますが、御
承知のようにいわゆる上物があるとか、それから人が住んでいるというようなことになると條件の問題、居住権の問題が非常にやかましくて、これを出てもら
つて金に換えるまでには、担保権を執行するまでには非常に時間がかかりますので、実はそういうのは殆んど昔のような担保力にはならんので、ただ精神的にお借りになるかたを拘束する
程度で、見返りの
程度であります。なかなかこの
中小企業者の担保の問題というものは、そういうふうに
金融機関としてはむずかしい問題が存在しておるのではないかと考えております。
以上
簡單でありますが、三つの項目について私の
意見を申述べたのでありますが、何か御質問でもございましたらお答えいたします。一応これで話を打切
つておきます。