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1952-02-22 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十二日(金曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君            相馬 助治君            原  虎一君            若木 勝藏君            林屋亀次郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    内閣官房長官  保利  茂君    地方財政委員会    委員      菊山 嘉男君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)  (地方行政機構に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこれから委員会を開会いたします。  本日は先ず第一に予備審査に付されております国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案政府当局説明を求めます。
  3. 保利茂

    政府委員保利茂君) 只今議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案提案理由並びに内容概略説明申上げます。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律は、国会議員選挙最高裁判所裁判官国民審査及び日本国憲法第九十五条の規定による一の地方公共団体のみに適用される特別法の制定に関する住民投票の適正且つ円滑な執行を確保いたしますため、国において負担することになつておりますこれらの選挙等執行経費で都道府県及び市町村に交付する経費基準を定める目的を以て昭和二十五年に制定されたものであります。  この法律は、御承知の通り昭和二十五年六月執行参議院議員通常選挙を初めとして、数府県執行されました国会議員補欠選挙及び再選挙並びに熱海市、松江市等における日本国憲法第九十五条の規定による住民投票等約二十件の選挙及び投票経費について適用されて参りましたが、本法施行後の物価及び賃金の騰貴は、到底今日の法定の基準による経費では賄い切れない状況となつて参りましたので、規定の整備を要する若干の事項と共に、ここに改正することが妥当であるという結論に達した次第であります。  改正内容について述べますと、第一点は、本法施行後、公務員の給與基準が、六千三百円ペースであつたものが七千九百八十一円ベース及び一万六十二円ベースと二度に亘つて改訂され、又昨年暮には鉄道旅客運賃郵便料金電信電話料金及び電気料金も改訂され、更に用紙燃料等選挙執行に必要な物資の価格も相当騰貴いたして参りましたのに伴うものでありますが選挙事務執行に支障のない限り節約をいたすと共に、その事務執行にも工夫をして経費増嵩を避ける趣旨を以ちまして経費基準算出基礎となつております内容について検討いたしました結果、節約によつてもなお補うことのできない選挙事務従事者超過勤務手当選挙事務執行のための放費、通信費電燈料薪炭費用紙ガソリン代等について改訂の必要を認めまして、これら人件費物件費の変動を織り込んで経費基準改正いたしました。  第二点は、公職選挙法の一部改正が行われまして、選挙に関する届出時間の改正等選挙事務の態様にも多少の変更がありました。その結果経費基準についても検討をする必要が生じたのであります。第三点は、本法施行後の実績に鑑みまして、特に市及び区において要します事務費増額いたす必要が認められますので、新たに経費積算基礎規定いたしました。  なお、参議院議員の再選挙又は補欠選挙執行いたします場合の経費を算出する方法を明確にする等現行法では運用上疑義のある点について若干の規定を整備いたしました。  なお、昭和二十七会計年度において執行予定されております衆議院議員選挙執行経費は、この改正案に基き算定し、別に予算案に計上いたしておりますが、それによりますると、衆議院議員選挙に要する経費総額は十四億五千二百余万円となり、うち、地方公共団体に交付いたします委託費の額は、最高裁判所裁判官国民審査執行に要します経費総額四千二百余万円のうちの地方委託費四千十七万一千円を含めて十二億四千五十万六千円となつておりまして、これを昭和二十四年一月執行衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査執行経費のうちの地方委託費九億一千五百十五万三千円に比べて三億二千四百余万円の増加となり、昭和二十五年六月執行参議院議員通常選挙における経費地方委託費九億六千九百八十九万三千円に比べて二億七千余万円の増加となります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概略でございます。愼重御審議をお願いいたす次第でございます。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日はこの予備審査に付されました法案の御説明だけを聞いておきまして、後日この審議をしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、昨日に引続きまして二十六年度繋ぎ融資の問題について検討を加えたいと思います。  それでは、この際政務次官がお見えになつておりますから、自治庁のほうで今国会に提出なさる法案につきまして、大体いつ頃、こういうものが出揃うか、その点ちよつと御説明願いたいと思います。
  6. 藤野繁雄

    政府委員藤野繁雄君) 地方税法の一部を改正する法律案は、すでにその要綱が閣議で決定したのでありますから、できるだけ速かに提出する予定であるのであります。町村職員恩給法地方公営企業法、こういうふうなものも、できるだけ早く提案すべく今検討を進めておるような状況であるのであります。
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 政務次官に伺いますが、地方税法等は大体成案を得たように聞いておりますが、大体時期はいつ頃提案になりますか。
  8. 藤野繁雄

    政府委員藤野繁雄君) できるならば、今月末までのうちには提案したいと思つているような次第であるのであります。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 内閣官房から発表になりました二月六日附の今国会提出予定法案の中に、自治庁関係のものも大分あつて、それでそれらもいずれも二月中旬までには作業を終つて国会に出すというふうに予定されておりますが、自治庁関係のものだけでなくて、この国会には非常にその提出法案が遅れておりますが、その中でも一番問題なのは、私は機構改革に伴う地方行政の各般に亘る所要の法案、こういうものが当然予想されるのですが、この地方行政委員会にかかると予定される全部の法案を列記して、それを書類にしてこの委員会にお示しになつておかれたらどうかと思うのですが、どうでしようか。
  10. 藤野繁雄

    政府委員藤野繁雄君) 最初に鈴木次長から説明したような法律案提案すべく、今準備を進めておるのであります。すべて提出予定法律案については、只今相馬さんから御希望のように案件をしたためまして御報告することにいたしたいと思います。
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 目下岡野国務大臣初め地方財政委員会菊山委員事務局長等も参りますが、まだ到着しておりませんが、どういたしましようか……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて。  只今地方財政委員会菊山委員が出席されました。御質疑をお願いいたします。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 実は菊山委員がお見えなつたので、重ねて昨日の質問とダブるようなことをお聞きしたいと思うのです。と申しまするのは、御案内のように繋ぎ融資の問題について菊山委員との間に本委員会でいろいろ質疑が続けられたのですが、どうもその質疑の過程においては問題の焦点がはつきりしていないのです。現在年度末に際して各府県相当程度赤字で困つている。これは平衡交付金をきめたときに、もうすでに赤で、大蔵省自身も認めているように地財委が二百億を要求したが、二百億は出せない、百億である、足らない分は繋ぎ融資で考えてやる、こういう発言が委員会でも本会議でもあつて今日まで至つておるわけです。そこで今日の、私は今例を府県にとつておるのですが、府県分の赤を考えた場合に、先ずやらなければならない、これは緊急を要することであろうと思う。従つて地財委としては、この府県で現に要求している短期融資についての資料というものをどういうふうに操作されて、どのような形で大蔵省折衝されておるのか、そうしてその見通しはいつ頃どんな形でこの短期融資というものが実現するのであるか、これらの点について特に菊山委員答弁を求めたいと思います。
  14. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 短期融資の問題につきましては、その後大蔵省事務的に折衝を行なつているのであります。これは各地方短期融資を必要とする資料を集めまして、それを基礎にして交渉をいたしているのでありますが、大蔵省側といたしましては、成るべくその数字を圧縮したいという希望があるのでありまして、実際どこまで融資を受け得るかということ、又如何なる条件を以てこれを受け得るかということにつきましての見通しがついていない段階にあることを御了承願いたいと思うのであります。地方側要求しておりまする条件は、端的に申上げまするというと、單なる短期融資でなくて、これを来年度においては普通の起債に切換えたという強い希望を持つているのでありますけれども大蔵省におきましては、その点について非常に難色を示しているのであります。その条件の食違い、或いは数字の食違い等がございまして、未だ的確にどれだけ融資をしようという数字大蔵省から示されるに至つていない、又地方側といたしましても、まだこれだけは是非とも必要だという数字を出すところまでまだ折衝が進んでいないのであります。そういう状況年度末が近付いて参りまするので甚だ私どもも焦慮いたしているのでありますが、成るべく早く的確なる数字を出しまして、又条件等も成るべく地方の有利な条件で解決し得らるるように努力をしたいと考えている次第であります。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 大蔵省大臣を初めとしてあらゆる機会に、必要であるならば、短期融資はいたします、こういうことを言明しております。で事実は、併しいろいろな条件その他はついて容易に地財委意見というものを容れていないということをまあ私どもも承知しておるのですが、このまま行くならば全く大蔵省の思う壷にはまつて地財委というものは、これは地方地財委に対する期待を裏切ることが非常なるものとなつて地方の怨嗟の声が大蔵省に集中するのでなくて、地財委に集るのではないかと、こういうことをまあ私どもは憂えているわけです。それで私はお聞きしたいのですが、現にあなたの手許で、地財委としてまとまつた金額として大蔵省要求している府県側要求額は幾らなのか、地財委はその要求額のうちのどの程度を至当であるとして大蔵省要求されておるのか、この二つの大体の数字でいいですから、お聞かせ願つておきたいと思います。
  16. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 地財委として調査をいたしましたところによりますると、大体二百二十億の赤字があるということになつているのであります。赤字が二百二十億あるから、これを埋めるために先ず短期融資をやつてもらいたいと、こういうことが交渉基礎になつているのです。併しながら、その二百二十億のうちどれだけが短期融資でやり、又どれだけが節約或いは又繰延べ等によつてやるかということはこれからの交渉できまることでありまして、短期融資はどれだけという数字をまだ出しておりませんのですが、御了承願いたいと思います。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 伝えられるところによると、七十億見当はぎりぎり決着の線として交渉しているやに聞いておるのですが、これについては答弁したくないものとして避けていられると思うので、答弁を別に強く要求いたしませんが、できるだけ早く多くの金を地方側にきめて頂きたいと思う。どうせ来年座の起債で肩替りするとか、或いはこれを何か見合う、平衡交付金か何かで操作するとか、こういう条件の問題では、私は早急に地財委大蔵省が折合えるものであるとは不幸にして思つていないわけです。従つて府県側なんかでは非常に困つているのですから、明日の百円よりも今日の八十円ですから、一つ是非取り急いで大蔵省とやつて結論を早く出して頂きたい。
  18. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今菊山委員からの御答弁で驚いたのですが、まだこの二百二十億の赤字に対してどれだけ節約ができるか、どれだけ事業繰延べができるか、まだ地方財政委員会見当がついてないということになりますと、もう二月の下旬であります。そうすると見当がつくのはいつ頃につくか、それに対して短期融資をすればいつ頃まで保つことができるか、三、四、五と三カ月、五月の終りまでは保つことができるかどうか、その点をちよつと御説明願いたい。
  19. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 大蔵省との間の交渉は数日中には結論が出ると期待をいたしております。そういたしますれば本年度事業最小限度遂行には差支えなく行くものであろうと考えております。
  20. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今からの短期融資が成立するとすると、いつまで短期融資が、これからの分については、やはり三カ月ぐらいで、五月までは認められるのでありますか。
  21. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 短期融資の性質から申しまして、年度が変りますると、これを償還をいたし、或いは借換えをいたし、何らかの手続をいたさなければならんものであります。併しながら成るべく急速にそれらのことが取運びまして、会計年度閉鎖期までには確実な手続を取運んでしまいたいと思つております。
  22. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 政府会計閉鎖期と申しますのは、たしか五月末日までと思いますが、それまでは借りておかれるということになるのですか。
  23. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 償還をいたしますのは、結局年度内償還をしなければならないのであります。従いまして三月三十一日までには償還をしなければならんのでありますが、その期間に将来の借換え或いはその他の条件を確定いたしまして、あとの見通しをつけて然るべく処分をいたしたいと考えておる次第であります。
  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この短期融資では年度内にどうしても返さなければならん、今から借りるのは一カ月くらいしか借りることができないということになるというと、今度二十七年度において又短期融資をしてもらうか、或いはそれでは又二、三カ月しか持たないのでありますから、恒久的な国庫余裕金を貸付けてもらうとか何とかしなければならないのであろうと思うのです。そういう点はどういうふうな御成算があるか、それを伺つて置きたい。
  25. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 来年度地方起債計画はそれぞれ御審議を願いまして、又我々のほうにおいても計画を立てておりますので、その計画のなかに織込んで、この短期融資の後始末もつけたいと考えておる次第であります。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 非常に地方財政が困つたということで、前に二十三年でありましたか、国庫余裕金を貸付けてもらつた、あれは六三制の問題でありましたか、そういうこともあつたのですが、これは二十六年度の大赤字処分の問題でありますから、そういうふうな臨時措置がとれないものであるか、起債ということになりますと、二十七年度起債額がきまつておる。それを使つてしまうと二十七年度は又困つて来る。二十六年度分は二十六年度分で片を付けなければならない。そうなれば国庫余裕金というものは何とかして融資をしてもらうというふうなことはできないのでありますか、その点を伺いたい。
  27. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 今岡本委員のおつしやいまするようなことも、将来の地方財政運行の上においては相当考えなければならん問題であると思つております。併しながら現在の地方財政窮乏状況から考えまして、これらの善後処置を立てますることは、なお篤と研究をいたしまして、今日は取りあえず短期融資、それから来年度融資計画等をおきめを願つておきまして、この地方財政窮乏を救治するのにはどうすればよろしいかというようなことにつきましては、なおとくと研究をして、確かな方策を樹立いたしたいと考えている次第であります。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 岡野国務大臣もお見えになりましたから、地方財政委員会地方自治庁との二つについてお聞きをするのですが、二十七年度地方財政平衡交付金の問題につきまして地方財政委員会から二十七年度地方財政平衡交付金増額は、初めは千二百五十億を計上するようにするということで出しておられたと思う。ところが税収が多くあるというようなことで妥協されて五十億は要らない、政府の計上したごとく千二百億、それで十分だというようなことで又上申と言いますか、勧告を、意見を出し変えられたのでありますが、新聞の報ずるところによりますと、税収が多くなつたそれだけは減税のほうへ廻すということになる。そういたしますとやはり地方財政窮乏ということから考えて、元の通り勧告額が必要でなかろうかということになるのですが、この点はどういう関係になつておりますか。いや初めちよつと言い違えました。初め千三百億の要求を出しておられて、それで千二百五十億で辛抱するという上申を出し変えられた、それに対して今度は前の、前提である税収がたくさんあるから、その税収のたくさんあるだけは減税のほうへ向けるということになつて来ると、やはり地方としては千三百億の平衡交付金が必要であるということになりやしませんか。
  29. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 地方財政委員会といたしましては、只今のところ千二百五十億の平衡交付金を出して頂きますれば、来年度地方財政運行を辛うじてではありまするけれども、とにかく運行をして行くという見通しを付けているのであります。殊に、この後ほど地方税法の一部改正案の御審議を願わなければならんことになつているのでありまするが、いわゆる附加価値税等をとりやめて、事業税等の税制を布きまする際においては大体これでやつて行くべきものであり、又やつて行けるものと考えている次第であります。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私の質問に対するお答えになつていないのですが、つまり一月の十二日に地方財政委員会委員長から総理大臣勧告を出された。それはどうしても二十七年度における地方財政平衡交付金総額は、千三百億円要るんだという勧告であります。それに対しまして一月の二十二日に改められたのであります。その改めたのは千三百億でなくて千二百五十億でよろしい、そういうふうに修正いたしました。その理由とするところは税収が多いからだということにあると思うのです。税収予定より多いから千二百五十億で辛抱するという理由であつたと思います。ところが新聞の報ずるところでありますから、それが間違つておるのかも知れませんが、ともかくも新聞の報ずるところでは、その税が予定より多くなるだけは地方税減税に向けるのだ、ほかの税の減税に向けるのだ、こういうことになりますれば、やはり千二百五十億じや足りないのであつて、千三百億要るという結果になるのじやないか、この点をお尋ねしておるのでありまして、その点について御答弁をお願いいたします。
  31. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お尋ねの点につきまして私から数字のことでございまするから御説明申上げさして頂きます。当初御指摘通り地方財政委員会におきましては、千三百億という数字を挙げたのでございまするが、なお税法改正等のことがありまして、そういうことで代り財源が得られるならば、平衡交付金は千二百五十億でよろしいのではないか、こういうことで勧告のし直しをしたのであります。その五十億の財源につきましては、御指摘のように今回政府予定をいたしておりまする地方税法改正によりまする財源の一部を充てるのでありまして、即ち具体的に申しまするならば附加価値税、つまり現行の制度をそのまま施行いたしまする際と、今回改正予定いたしておりまするものとの間に約百七十億ばかりの税の増収期待されるわけでありまするから、その中から平衡交付金として当初は一応予定をいたしました五十億を充当いたしまして、更にその他の税率の調整等をする財源余裕があるわけでありまするから、只今申上げましたようなわけで、今回の税法改正が行われまするならば、交付金はやはり千二百五十億で間に合うのではないかと、かように考えておるわけであります。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは二十七年度におけるこの地方税増収が百七十億の増収になる、併しその中から五十億は平衡交付金の、千三百億であるべきところを千二百五十億で辛抱する、その穴埋めにして、そして百二十億は減税に向ける、こういう意味ですか。
  33. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) さようでございます。
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 じや、わかりました。
  35. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質問ございませんか。
  36. 若木勝藏

    若木勝藏君  繋ぎ融資の点につきまして、昨日来いろいろ問題になつておりまするが、結局大蔵省の考えとしては地方余裕財源がある、これはまあ従来大蔵大臣平衡交付金増額に対してはそういう立場からこれを一蹴して来たのでありますが、そういうふうなことからこれを單なる繋ぎ融資と、或る事業をやるためのいわゆる短期融資というような恰好を考えているらしい、ところが現在においては地方の知事においてはそういうふうな立場ではない、実際どうにもならない、赤字を克服しなければならない意味短期融資である、こういうふうに私は食い違いがあると思うのであります。で、地財委といたしましても、これに対しましては大蔵省の考え方をとつておらないように昨日来私は聞いておるのであります。というのは結局財源措置の問題である。今短期融資しておつてもこれは二十七年度において起債に肩替りするとか、そういうふうな長期の期間與えて地方財政を救わなければならんという立場に立つておるようであります。こういうふうなことはそのためにここに問題の解決がなかなか付かないで、今年度末に至つてもどうにもならない、今日も折衝、明日も折衝というような形になつて進められておるのでありますが、これは私非常に大きな問題であると思うのであります。先ほどの質問にもありました通り、今年は又地財委の千三百億の平衡交付金勧告に対して、千二百五十億しか認められない、そうすると来年も又必ずこの問題が起つて来るだろうと思うのです。短期融資をしてくれとか、或いは繋ぎ融資をしてくれとかいうような、こういう問題が繰返されて来る、いつになつたら一体この地方財政の問題が解決されるか、こういうことになつて来るだろうと思う。本当にこの問題は大蔵大臣の言う通り地方余裕財源があるのか、或いはないのか、そういうところをはつきりと確かめて行くのが私は地財委立場であろうと思うのであります。これらについて一体どういうふうになつておるか、地財委委員のかたにお伺いいたします。
  37. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 従来地方財政委員会大蔵省当局との間に地方財政の見方についての若干の差がありましたことは御指摘通りであるのであります。大蔵省側の言いまするところは、地方において財源が相当あるということを申すのではございませんで、地方においては既定経費、歳出の方面において節約し得る部面が相当あるのではないかということを主として言われるようであります。地方財政委員会の見るところによりますと、節約し得るものも精査を加えましたならば多少はあるでありましようけれども、併しながら今日地方はいろいろの公共業、その他やらなければならん仕事が多くありまして、如何に精査をいたしましても、この費用をそれほどたくさん節約し得る余地というものがないものだということを、地方財政委員会としては考えております。従いまして、今お説のように地方に対して恒久的の財源を與えるということは地方の振興を図る上から申しますれば、是非とも必要なことであると考えられるのであります。その恒久的財源平衡交付金に求めるべきか或いは他の租税その他の方面に求むべきか、それらのことはなお研究をいたさなければならん問題でありまするが、二十六年度といたしましては取りあえずこの短期融資、二十七年度といたしましては只今要求申上げておりまするような平衡交付金その他の操作を以ちまして、切抜けて行きたいと、その間になおよく精査を遂げて恒久対策を考えたいと、なお又この地方財政窮乏はなかなか一年二年で以て根本的のすつきりした姿にやり直すということは困難な実情でございまするので、暫くこの研究をいたし、工夫を講じつつ、この改善を図つて行きたいと考えている次第であります。
  38. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体御意向はわかりましたが、それでは今の問題は再び二十六年度繋ぎ融資の問題に帰つて来るのでありますが、そういう御立場から考えれば、当然これはこの二十六年度の場合も一つの財源措置という立場から強硬に、これは大蔵省に單なる繋ぎ融資というような立場でなしに、地方財政を救うというような立場から折衝されなければならん、私はそう考える。あなたの御答弁によれば、この点について果してそういうふうな御態度で大蔵に折衝されておるかどうか、どこまでもこれを強行するつもりであるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  39. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 短期融資は、額はどの程度になりますかは目下折衝中で、落着くところは先ほど申上げましたようにはつきりとわかるところに至つておりませんけれども、併しながら或る程度短期融資をこの際行うことは取りあえず必要なものであると考えているのであります。短期融資は取りあえずの措置でありまして、恒久的の措置はなおよく研究をいたして行きたいというつもりでいるわけであります。
  40. 若木勝藏

    若木勝藏君 短期融資は、確かにそういうような態度にあるのでありましようけれども、正式の短期融資という形は一応とるけれども、実際においてはこれはどこまでも地方財政を救うために長期のものに転換させて行こうこういう御意向でやられておるのかどうかということを聞いておるのです。
  41. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) そういう意向で以てやつて行きたいと考えております。
  42. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。
  43. 石村幸作

    ○石村幸作君 繋ぎ融資、財政問題で大分問題があつたようですが、私この機会に岡野国務大臣ちよつと行政面について質問したいと思いますが、よろしうございますか。……聞くところによりますと、自治庁において中央官庁と地方庁との人事の交流の途を開くというような措置を講せられる御意図があるやに聞いておりますが、これはまあ頗る結構なことと思うのですが、そういう事実がございましたら、ちよつとお伺いいたします。
  44. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。地方の人事が新制度になりまして非常に交流する法的の制度もございませんし、又事実上人事は停滞しておるということで、各地方自治団体から何とか人のやりくりなんかのときに自治庁で世話してくれないか、こういうような御依頼があるものですから、自治庁としては大体各地方公共団体のサービスをする官庁でございますから、若しお役に立つことなら何でもいたしますという立場をとりまして、そうして各地方公共団体がこういう人が欲しいとか、ああいう人を何とか世話をしてくれとかいう話もございますし、又地方団体に対しましてこういうように出し得る人はないだろうかということも聞きまして、そうしてお世話をしておるわけであります。併しこれは法的根拠も何もあるわけでございませんから、若し強いて申しますならば自治庁地方のことをお世話するのであるから、その役目上連絡がつき易いというわけで、そういうふうなお世話を申上げておるわけであります。その役目上連絡がつき易いというわけで、そういうふうなお世話を申上げておるわけであります。
  45. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の御意見我々まあ結構だと賛成する次第であります。そういうことが実現する場合には中央のほうからの気持でおやりになつているのでなく、地方の而も知事の要望という面から一つ実現さして頂きたい、それでないとこれが昔の地方の行政事務を中央で把握しようと、こういうふうな危険も多々ありまするので、成るべく地方要求によつてそういうお世話をして下さる、そういう行き方にして頂きたいと思うのであります。  そこでもう一つお伺いしたいことは、自治庁の御意図として従来地方の土木部長はまあ土木工学の技術家が專らこれに当つておつた。然るに一般行政職の人に代えようという御意図があるやに聞えるのでありますが、特に大分根強いそういう御意見を持つておるというように聞いておるのですけれども地方庁のその土木部長というのは、同じ地方行政事務を扱つておりましても、その傘下には道路、河川、砂防、港湾、都市計画とか上水道、こういうふうな、專ら土木工学を專門に扱う部でありまして、従つてこの長である土木部長は技術的な專門知識、経験、手腕とか、そうして技術上の最高の判断力を以て知事を補佐すると、こういう特別な地方の職員であります。これを一般行政職の人に代えるということは、これは相当研究を要する問題ではないかと思うのです。地方庁においては、御承知の通り一般行政部面に対してはまあ総務部長とかその他のいろいろな部長級の人がいて、これが知事の補佐をしておるわけであります。やはり地方の土木部長に対しては專門技術家を以て当てるのが適当じやないかと、こう考えておるのですが、長官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  46. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。お説至極御尤もでございまして、土木と申しますのは相当な知識経験を持つておらなければ勤まらん職務でありますし、従つてその点を普通の專門以外の人を以て土木部長に当てるとか何とかということは我々今考えておりません。
  47. 石村幸作

    ○石村幸作君 よくわかりました。非常に満足なお答えを頂いて有難うございました。そこでもう一つお伺いしたいのですが、この先般新聞にもちよつと出ておりましたが、地方行政簡素化と事務の簡素化を図る、こういう御意図でいろいろなことが出ておりましたが、非常に時宜に即応したことと思うのですが、その中にいろいろの国の法律を廃止しようというのが大分記載してありました、例えばこの農産物の検査法とか、建設業法、建築士法とが、陸上交通事業調整法、通訳案内業法、又そのほかに興行場法、公衆浴場法、旅館業法、こういうようなものを廃止するというようなことが事実記事に載つておつたのでありますが、まあその中にいろいろありますが、特に私申上げたいのは、例えば興行場法、これは皆大衆を相手にする映画館、劇場、こういうふうなものの法律がなくなる、それから又公衆浴場法、こういうふうな大衆の衛生に最も関係の深い公衆浴場の法律がなくなる、それから又旅館業法、この法律もなくなる、こういうふうなことだと、その後をどういうふうになさるつもりか。まあ私この旅館業法のことにつきまして、特に申上げたいのですが、これは多年この法律的な根拠を持たなかつたのでありまして、従つて営業面にいろいろな明朗を欠くような感が沢山あつたのです。まあこれは三年ばかり前に旅館業法ができた。これは主として厚生省扱いで、この公衆衛生の面を主にしておつたのでありまして、これによつてこの業者の自覚々促したということは事実であります。従つて公衆衛生の改善、いろいろな施設の整備がなされまして、文化的な水準が非常に向上した、又業務上の、この法律によつていろいろな義務を業者にも負わしたわけでして、非常によかつたと、こう考えておるのであります。これが又折角できた法律が僅か三年ぐらいで、なくなつてしまうと、これは非常に遺憾なように思いますが、こういう法律がなくなる。そうすると地方で条例のようなものにして、みんなまちまちな取締の方法を講ずるというようなことで、全国ばらばらになる。従つて又、その警察の取締というようなことが又出て来て、非常に面白くない不明朗はあり方になりはしないかと、こんなふうにも考えるのですが、長官はどういうふうに、これは事実、こういうふうな諸法律を廃止するという本当の御意図ですか。そして廃止するとしましたならば、その後をどういうふうにしてやつて行くか、お考えがあると思いますが、ちよつと、お洩らしを願いたい。
  48. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。地方行政簡素化のために我々過去、昨年の秋あたりから研究しておつたのでございますが、何を申しましても、地方事務の殆んど全部が中央で出ておりますこの法律、各省所管の法律によつて運行しております。大体いろいろございますけれども、主なる法令を挙げますというと、約七十六ぐらいでございまして、その七十六の法令が皆各省に亘つておりまして、そして大体において地方行政簡素化は、例えて申しますれば一番明らかなことでございまするが、独立国家になれば古領管理の行政は要らんというようなことになるし、それから又今お触れになりましたような監督とか、指示とか、許可とか認可とかいうようなことをしなければならん行政がございますが、それもやはり皆七十六の法律に含まれておるのでございます。これを大体におきまして、できるだけ簡素にしたいとこういう意味でその七十六の法律を皆各省別に示しまして、何とかこれが簡素になるようなことに改廃できないかということを各省に申上げておるわけでございます。併しお説の通りに、お触れになりました旅館業法とか又興行場法とか公衆の衛生に関係があり、又社会秩序に影響あるというようなものについては、そう廃止してしまうというようなことは考えておりません。できるならば自治の面において極く簡單になるように法を改正してもらえんだろうかというふうなことを考えておるわけであります。御心配になるような程度にはならんと私は考えております。
  49. 石村幸作

    ○石村幸作君 はい、わかりました。今の御説明でよく納得できましたが、七十幾つかの相当数の法律がなくなると、まあなくなる場合には、特にこの地方庁において、地方に、都道府県において勝手なばらばらな条例をめちやくちやに作つて、そして隣の県ではこうであるとき、こつちはこうだ、非常にこれが又業者の面にしましても不便が多いと思つております。そういうふうなところを十分一つ御検討を願つて、この地方行政簡素化の目的を達成されんことに御盡力願いたいと思います。
  50. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 政府で行政機構の相当の大改革をやつておられる、従つて地方行政機構についても、行政事務の簡素化というようなことでなくて地方行政機構改革も考えておられると、こういうふうに考えておるのですが、一方では地方行政調査委員会議の勧告というものが、もうすでに昨年出ておる。この受入れ方をどうしておられるのか。又新聞の報ずるところによりますと、地方自治法の一部を改正して都道府県の部の數を制限するとか、議員の数を減すとか、そういうようなことも考えておられるというようなことが出ておりましたので、岡野国務大臣地方行政機構改革というようなことを簡素化の意味で、事務の簡素化の意味でなくて、機構のほうで、どういうふうに考えておられるか。又地方自治法の一部改正についてどこまで考えておられるか。又成案が殆んどできておるのか、そういうことを御説明願いたいと思います。
  51. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私の只今考えておりますことを極く率直に申上げますれば、行政簡素化をするためには今の自治制度の根本制度をこわさないように、その枠内において仕事が單純になればいいが、という意味で簡素化するわけでありまして、その点におきましては自治法を幾らかいじらなければならない。その自治法をいじるために地方自治法の改正案を今研究中でございます。できるならば本国会に出したいと思いますけれども、間に合いますかどうか。これはちよつとなかなか愼重に考えなければならんことでございますから、まだ検討中でございます。併しできますならば、自治法は一部改正しまして、その改正はいわゆる機構を変えるのじやなくて、只今の制度の中において事務を簡素化するのに役立つような方向にまあ改正して行つたらどうかと、こう考えております。それからもう一つの中央の行政機構改革をすることを今検討中でございますが、今内閣ではそれに即応しまして、地方の大きな、いわゆる地方制度の改革ということも、私は当然、中央政府で機構の改革が実現するならば、地方もやらなきやならんと、こう考えております。併しこれは御承知の通りに相当大きな問題でございますから、我々といたしましては一存でいたしませんで、各界、各層の学識経験者を集めまして、仮の名前でございますけれども地方制度調査会というものを作りまして、それに研究をして頂いて、そうしてやつて行きたいと、こう考えております、これは無論本国会には間に合いませんで、少し先のことになるだろうと、こう考えております。いずれにいたしましても、只今申上げましたように自治の根本制度を立てることは、地方行政制度調査会で考えますし、そのときに只今お触れになりました地方行政調査委員会議の勧告をこれも十分取り入れまして、やつて行きたいと、こう考えております。
  52. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 地方行政調査委員会議で国と府県と市町村の事務の再配分ということを重点を置いて勧告をしておるのであります。で、事務の簡素化については、やはりそれを是非とも考究して行かなきやならん、睨み合わして行かなきやならないと考えるのでありますが、その点はどのくらい今度の簡素化について考慮に入れられるおつもりであるか、その点を伺いたいと思います。
  53. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点は織り込みまして、各省にその七十六の法律改正するときに参考にしてもらいたい、こういうことにしております。
  54. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 参考のために委員長からその七十六の関係法令の表を取つてもらつて、又名前を羅列しただけじやわかりませんから、地方行政関係をしておるところを抜き出して取つて頂きたいと思います。  それからもう一つ岡野国務大臣に伺いたいのですが、地方公務員の減員をされるということが……減員等を勧告されるのか指導されるのか知りませんが、地方のそういうことが新聞に出ております。で、この前に私が政府に国家公務員の減員をいたします……行政整理をいたしますときに、岡野国務大臣に対して質問をしたのでありますが、岡野国務大臣は、そのときには取りあえずの地方公務員の減員はしないんだ、地方行政機構といいますか、そういうものの根本的な改革をやるそのときに減員をするんだというふうに、はつきりお答えになつたと私は了解いたしております。そうすると今度減員することを考えておられるとすれば、差当りにやつぱり減員ということになりやしないか、そのときの問題がまだ解決していないんだから、そういうことになるのではないかと思うのですね。地方公務員の減員ということについて通牒でも出されるお心組みであるのかどうか、それを伺つておきたいと思います。
  55. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これはこの前にも私の考えを申上げておきました通り、又今岡本さんが御記憶の通りでございまして、私は人員の縮減ということを目標にして地方の行政簡素化をやつているんじやございませんで、余りにも地方の行政が複雑多岐に流れて、実は住民に大変な迷惑を及ぼしておろうし、それから又それがために地方団体が財政上非常な負担を持つているということでございますから、まあ一般住民に便利な行政を受けさせるという方向と、できるならば地方の財政を軽くする、即ち負担を軽くする。こういうような二つの目標から事務の簡素化、即ち事務の整理をして行きたい、そうして事務整理をいたした場合に、間接の結果としまして、人員の縮減が当然に伴うことと思います。併しこれは簡素の情勢がどのくらいになつたかということによつて、初めて人がこんなに要らないじやないかというような結果が出て来ると思いますが、併しそれは当然事務を縮減した結果に出て来るものでありまして、それがどのくらいになるかということもはつきりいたしませんし、又同時に我々といたしましては、地方に向つてお前のところの人員が多過ぎるじやないか、一つこれだけ切つたらいいじやないかというような勧告は無論いたしません。ただ私自身といたしましては極く正直なところを申しますれば地方の公共団体から、何とか一つ首切りの人数でもきめて一つ地方自治庁から廻してくれんか、こういうことを言われることがたくさんあるのです。これは各地方公共団体とも相当人が多過ぎて、そのために非常に平素負担がたくさんかかつて、財政を緊縮して行かなければならんときに困る。併し自分自身だけじやできないから、一つ自治庁で指示でもしてくれんかということもあるのでありまして、併し私は、そういう立場はとらないほうがいい、とにかく事務をこういうふうに整理して、そうしてあなたのほうでそれに対して大体の人繰りをして、そうして要らんものは適当に御処置なすつたらいいじやないか、こういう建前をとつて臨んでおります。
  56. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の御説明でよく了解いたしました。つまり地方行政の簡素化、行政事務の簡素化ということに伴つて、自然減員ということを考えておるのだというお話で、その点よくわかりました。そういたしますと、警察吏員とか消防吏員の減員ということも、やはり何ぼか減らせというようなことをやられるつもりであつたか。それから又あとの新聞では、その点はそうでなくなつたというようなことも出ておるのでありますが、警察吏員、消防吏員というものは、私はむしろこれからますます事務が増すのじやないかと思うのでありまして、その点ではどういうふうにお考えになつておりますか。新聞記事がどういう関係であつたか、お話を願いたいと思います。
  57. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは一概に私は論ずるわけに行かんと思います。というのは、今人口の移動が非常に激しくなつておりますので、各地方公共団体の人数、人口組織というものが変つて来ておりますものですから、もとは僅かしかいなかつた所に人口が非常に増加したから、それには警察、消防も無論殖えなければならん。併し或る所では、一番初めに自治体警察とか又は消防団員とかいうものを形式的に割振つたもので、少し過大じやないか、又少し多過ぎるのじやないかというような点も個個別々に見ますればないとも限りません。そういう点を各一万何百の公共団体で実際上に即応しまして、そうして整理を勧告することは、これは一つの大きな方針として考えております。併しながら警察を天引何割減らせとか、消防団員を何割減らせとか、そんなことを我々は指示したいとも考えておりません。
  58. 高橋進太郎

    高橋進太郎君  只今格言委員から地方行政の簡素化の問題等について御質問があり、今岡野大臣から御答弁があつたのですが、その中に、地方行政がどうも複雑多岐であり、且つ又行政事務というものも相当輻湊し、中には、従つてそれの結果、人員の整理を要するものもあるというようなお答えがあつたのでありますが、ただこの際私は、非常に地方の実態を見ますると、特に府県におきましては地方行政が複雑多岐であり、或いは事務が非常に煩瑣であつて人が多いという、その基本的な背後には、問題はむしろ地方行政自体にあるのではなくて、中央の行政自体が非常に複雑多岐を強いておる、そこに一つの問題があるのではなかろうかと思うのであります。例えば人員について見ましても、よく中央からの指令或いは補助金の裏打というような形で、いわゆる中央の息のかかつているのが、大体府県におきましては人員のうち六五%はそうしたものであり、且つ残つた三割五分というものも、或いは人事院規則であるとか、或いは管財規則であるとかいうような工合に、大体法律、命令に基くものが非常に多いのであります。従つて地方行政が複雑多岐であるというこの複雑多岐の背後には、現在の中央機構が、例えば起債を認めてもらうにいたしましても、一銭一厘といえども中央の許可がなければいかん。而も仮に水道の例で見ましても、その許可をもらうのに、或いは厚生省、或いは建設省の了解を得、且つ又それが自治庁の認可を得て、更に大蔵省の許可を要するというような工合に、この事務が四重にも五重にも中央の事務に十重二十重に囲まれておる。従つてそれに対応するところの地方の行政が、これ又それに応じたいろいろな人を配置し、或いは又説明材料もいろいろと用意しなくちやならないというところに、言い換えれば中央の行政自体が非常に複雑多岐になつておるということが、地方行政の複雑多岐の根本原因なのでありまして、その根本原因が除去されない限りにおきましては、私は地方行政の複雑多岐というものは到底救われないと考えるのであります。従いまして、この点についての大臣の中央とのこの問題に対する解決の御経綸なり何なりをお伺いいたしたいと思います。
  59. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。それが先ほどお答え申上げました通りに、地方の行政の殆んど全部は中央の法令を運行するというために事務が複雑多岐になつておる。でございますから、この地方の行政事務を簡素にしなければならないためには、中央において出しておる法律の重要なるもの七十六くらいを、これを改正しなければいけない。その意味におきまして、各省大臣に我々からこれを出しまして、この事務を少し整理してもらいたいと、こういう要求を出しておる次第でございます。で、御参考のために一つ申上げたいと思いますことは、地方の行政はどういう性質のもので成立つておるかと申しますというと、先ず一番としましては、これは国の機関によつて行われる事務というものがありますが、これは全く国の官吏が出て行つて仕事をしておるのでございまして、そうして知事に何ら指揮権も何もない。これは地方で仕事をしておりますけれども、これらは整理の対象になりませんが、一種類ございます。その次には、知事、市町村長に委託費、これは全額国庫負担で金を出しておりますが、それによつてやられておる仕事が第二種類、第三種類としましては、国の指示に基いて国庫補助金を受けて行われておる事務と、こういうものがございます。それから第四種といたしましては、大体地方事務であるべきはずのものでございますが、やはり或る程度国の規制がありまして、国の指図によりまして、そうして地方団体の全然自由な裁量には行かんと、こういうような事務がございます。大体こういうようなものを全部……これがいわゆる複雑多岐を極めておる地方の行政の実態でございます、性質でございますが、こういうようなものを改正しなければ地方事務が簡素化できない。その簡素にするためには、只今御説の通りに、やはり中央の取扱振りを変えなければならん。中央の取扱を変えるためには七十六に上る多くの法令を中央でやはり改めてもらわなければならんということで、私は中央政府に対してこれを要請しておるわけでございます。
  60. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 大臣の御趣旨非常によく了解いたしたのでありますが、ただ問題は、私はその七十六の法令だけの問題ではなくて、例えば府県における耕地課長を変えるにいたしましても、ちやんと通牒か何かで、耕地課長を変える場合においてはこれは農林省とあらかじめ会議してくれと、こういうような工合で、非常にまあそういう法令以外のいろいろな通知があるのであります。それから又町村におきましても、先ほど来町村財政の貧窮を言つておりますが、私は先般山形県の町村につきましてこれを調べてみますると、一町村当り約五十万円程度の寄附金をしておりますが、その内容を見ますると、或いは警察署の庁舎の建築費に対する寄附であるとか、或いは簡易裁判所に対する建設費の寄附であるとか、その他国のそういう予算の「しわ」が町村の寄附というような形で現われて来ておるのでありまして、従つてこういうところがどうも、そういうような話をそれなら拒絶したらどうかと言つても、なかなか弱小の町村におきましては、十分これを拒絶するところの力もないし、且つ又その後のいろいろなトラブルを恐れてようしないと、こういうような実情でありまして、成るほど地方行政と申しましても、国の第一線の行政を承わつておりまするけれども、実情を見ますると、これがいわゆる一万有余に分割しておるために、非常に却つて力が弱い。こういう現状が、従来ともすれば中央の行政によつて地方行政が非常に複雑多岐になり、又非常に混乱を来たしており、その弱体性を暴露していると思うのです。そういう意味から申しますれば、ただにこれは七十六の法令の問題じやない、言い換えるならば毎日々々の地方行政というものを中央においてしつかりと見守つて地方行政に対して毅然たる、或いは確立したところの態度が必要であり、又それを成して初めて地方行政というものが本当に見通しのよい、或いは又はつきりした形において運営されるものと考えるのであります。そういう見地から見ますれば、どうしても私は地方行政のためにはその責任を持つところの一省の設立がどうしても必要なのでありまして、且つ又国の予算から見ましても、国全体の予算の半数というものは地方行政に使われておるのでありまして、従つて地方行政のためにはむしろ二省でも三省でも、いわゆる地方行政の中央行政との均衡から言うなら、省が二つや三つあつてもよいくらいなんでありまして、少くとも一省はどうしても必要であり現に地方行政なり、或いは国の行政なりがそのあるべき姿において運営される上から見ましても、どうしても必要と考えられるのであります。先般新聞紙上で、或いは内政省というような形で機構問題を取り上げられておつたのでありますが、そのことが何か警保局の出先の、或いは復活でないかというようないろいろな雑音が入つているようなんでありまして、私はむしろそれは我々が地方行政について要望しておりまする線とは全く違つた問題でありまして、いわゆる我々は地方自治省、むしろ地方自治省と、そういう責任省の設置を希つているのでございますが、只今申上げたような観点から、それらの経過等について大臣のこの際御意見或いは御所見を承わりたいと思います。
  61. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。お説は至極御尤もであり、又同感でございます。只今折角中央におきまして行政機構の改革をよりより協議中でございます。まだその段階を御披露申上げる立場まで参つておりませんから、いずれ又そういう御趣旨をよく尊重いたしまして研究の任に当りたいと、こう考えます。
  62. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 過般全国の知事会議の議長のほうから決議文を以て要望をされたのでありますが、この中の一項に国力の強化、或いは行政の簡素化に名をかりて、民主政治の基盤として成長を遂げて来た地方自治の後退をも顧慮せらるべき経過が見られるが、こういうことであつちや困る、本当の、事務簡素化というようなことに名をかりて、民主政治の基盤である地方自治の後退しないように十分注意してもらわなければいかんという決議をしております、これは非常に大事なことでありまして、岡野国務大臣は重々この線に副つて簡素化を進められると思うのでありますが、念のためにその点を伺つておきたいと思います。
  63. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私もその書類を拝見しまして、至極同感でございまして、できるだけ地方自治の確立のために私は奮鬪して行きたいと、こう考えます。
  64. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 話が違いますが、地方財政委員会から来ておられるようですが、念を押しておくのでありますが、府県の特別平衡交付金は大体きまつて通達があつたようですが、市町村の特別平衡交付金はまだこれはきまらない、きめられつつあるというふうに承知をいたしております。そこで殊に町村が二十五年度の一般の平衡交付金と、二十六年度の本決定を見ました一般平衡交付金とは大分少いところがあります。それが警察署を廃止したために少くなつた、生活保護法による関係で少くなつたというようなことは止むを得ないのでありまして、皆納得するのでありますが、そうでない関係におきまして少くなるということになつておりますので、非常に皆困つておるのであります。それで地方財政委員会のほうにおきましては、それでは特別平衡交付金のほうで以て十分それを補おう、又事情のあるところはその特別平衡交付金で以てよりよくするように努力しようというようなお話があつたと承知いたしております。その関係は十分考慮されて町村の特別平衡交付金が考えられておるのだろうと思いますが、その点どうなつておりますか。
  65. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 只今岡本さんの御心配は御尤もでございまして、大体その御趣旨によつて特別平衡交付金を考えたいと思つております。ただ併しながら、只今指摘になりました原因のほかに、当然の税収増加をいたしております町村もあるのであります。税収額が増加しましたために平衡交付金の減つておりますところはこれは止むを得ないものではないかと考えますので、その点は昨年並みに必ずしも特別平衡交付金で増すのだというわけには行かない点もあるかと思いまするが、併しながらそれらのところも昨年に比べて余り激変をするということでありましては、地方団体として迷惑であると思いますから、相当考慮いたしまして、適当なるところできめて行きたいと考えております。
  66. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 平衡交付金の問題につきまして、地方財政委員会がよく考慮して善処して下さることについて敬意を表しますが、平衡交付金の問題は單に額の多い少いの問題だけでなくて、各市町村が衡平である市町村間に衡平であるということが必要であると思います。私の知つている例を取りますと、一つの郡におきまして、同じ郡におきまして、一番財政上恵まれているところに平衡交付金が非常にたくさん行つている。非常に貧乏なところに平衡交付金が少いというようなことがあるのであります。これは基準の取り方とか何かに関係もありましよう。又所得、国税の関係においても、いろいろな関係が出て来ると思うのです。併しこれは何とか善処してもらわないと又衡平観が失われる。この点は非常に問題があると思う。そういうような平衡交付金の配分基準といいますか、そういうものについて近く改正される、二十七年度において改正されるというような御用意があるかどうか、それを伺つておきたい。
  67. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 平衡交付金配分の基準はだんだんと精密に衡平になつてきておると信じておるのであります。併しながら何分にも一万有余の市町村、都道府県等を考えまして、全部極めて衡平にぬかりなく行つているかどうかということにつきましては、常に私ども委員会として注意をいたして行かなければならんと思つて研究をいたしております。不備な点があればなお研究をいたして改善をするにやぶさかでないつもりでおりますから御了承願います。
  68. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 具体的の案はまだないわけですか。
  69. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 今のところ具体的な案はございません。
  70. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これを何か方法を講せられて、そういう例を集められて御研究になるということが必要じやないかと思いますが……。
  71. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 必要であると考えまするから、よく努力をいたしたいと思います。
  72. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 何か全国の町村に通牒でも廻して、そうして直接平衡交付金について不服があるものは遠慮なく地方財政委員会に申出ろというようなことにされる、そうすれば非常に面白い例が私は集まると思うのです。これをやられることが非常に必要じやないあと私は思うのですが……。
  73. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 御意見御尤もでございまするから、よくこれを参考といたしまして遺憾なきを期したいと思います。
  74. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御質疑ございませんか……。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会